以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
本発明の実施形態の理解を容易にするため、まず、遊技機の機械的構成および電気的構成を簡単に説明し、その後、各基板における具体的な処理を説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の遊技機100の斜視図であり、扉が開放された状態を示している。図示のように、遊技機100は、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成される外枠102と、この外枠102にヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた中枠104と、この中枠104に、ヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた前枠106と、を備えている。
中枠104は、外枠102と同様に、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成されており、この囲繞空間に遊技盤108が保持されている。また、前枠106には、ガラス製または樹脂製の透過板110が保持されている。そして、これら中枠104および前枠106を外枠102に対して閉じると、遊技盤108と透過板110とが所定の間隔を維持して略平行に対面するとともに、遊技機100の正面側から、透過板110を介して遊技盤108が視認可能となる。
図2は、遊技盤108の正面図である。上記したように、中枠104および前枠106が外枠102に対して閉じられた状態では、遊技盤108の正面に離隔して透過板110が対向する。このとき、透過板110と遊技盤108の正面との間に、遊技球が転動する遊技領域116が形成される。遊技領域116は、発射機構の発射強度に応じて遊技球の進入度合いを互いに異にする左打ち領域116aおよび右打ち領域116bを含む。左打ち領域116aは、遊技機100に正対した遊技者から見て遊技盤108の左側に位置し、右打ち領域116bは、遊技機100に正対した遊技者から見て遊技盤108の右側に位置している。
遊技盤108には、レール114a、114bが固定されている。レール114bは、遊技盤108の下端から左上方に向けて延在するとともに、遊技盤108の鉛直方向の略中央から右上方に向けて延在する。このレール114bは、遊技盤108の下部から上部まで、図示のように湾曲して延在しており、遊技領域116を囲繞形成する。また、レール114aは、遊技盤108の左側であって、レール114bよりも遊技領域116の内側に設けられている。レール114a、114bが遊技領域116の左側にあることから、左打ち領域116aには、所定の発射強度未満で発射された遊技球が進入し、右打ち領域116bには、所定の発射強度以上で発射された遊技球が進入することとなる。
また、遊技盤108には、厚み方向(遊技機100の前後方向)に貫通する貫通孔108aが形成されている。遊技盤108の背面には、液晶表示装置からなる演出表示装置200が設けられる。演出表示装置200は、演出用の画像が表示される演出表示部200aを備えている。遊技者は、貫通孔108aを介して、演出表示部200aに表示される画像を視認可能となる。演出表示部200aには、不図示の複数の演出図柄が変動表示され、これら複数の演出図柄の停止表示態様によって大役抽選結果が遊技者に報知される変動演出が実行されることとなる。なお、遊技盤108の正面には、遊技領域116を流下、転動する遊技球が貫通孔108aに脱落しないように、貫通孔108aの全周に亘って透過板110側に起立する壁部が設けられている。
また、遊技領域116には、左打ち領域116aと右打ち領域116bとを繋ぐ上部通路114cが含まれている。この上部通路114cは、貫通孔108aの上方に設けられている。
また、遊技領域116には、遊技球が入球可能な一般入賞口118、第1始動口120が設けられており、これら一般入賞口118、第1始動口120に遊技球が入球すると、それぞれ所定の賞球が遊技者に払い出される。なお、賞球数は1個以上であれば何個でもよく、また、一般入賞口118、第1始動口120のそれぞれで払い出す賞球数を異ならせてもよいし、同じ賞球数に設定してもよい。
また、第1始動口120内には始動領域が設けられている。そして、第1始動口120に遊技球が入球して始動領域に遊技球が進入すると、予め設けられた複数の特別図柄の中からいずれか1の特別図柄を決定するための抽選が行われる。各特別図柄には、遊技者にとって有利な大役遊技の実行可否や、以後の遊技状態をどのような遊技状態にするかといった種々の遊技利益が対応付けられている。したがって、遊技者は、第1始動口120に遊技球が入球すると、所定の賞球を獲得するのと同時に、種々の遊技利益を受ける権利獲得の機会を獲得することとなる。
さらに、遊技領域116には、遊技球が入球可能な大入賞口126が設けられている。この大入賞口126には、開閉扉126bが開閉可能に設けられており、通常、開閉扉126bが大入賞口126を閉鎖して、大入賞口126への遊技球の入球が不可能となっている。これに対して、前述の大役遊技が実行されると、開閉扉126bが開放されて、大入賞口126への遊技球の入球が可能となる。そして、大入賞口126に遊技球が入球すると、所定の賞球が遊技者に払い出される。
また、図示を省略するが、遊技領域116には、遊技球が入球可能な第2始動口、可動片、ゲートが設けられる。第2始動口内には、第2始動領域が設けられている。第2始動領域に遊技球が進入すると、予め設けられた複数の特別図柄の中からいずれか1の特別図柄を決定するための抽選が行われる。可動片は、第2始動口を開閉可能に設けられ、可動片の状態に応じて、第2始動口への遊技球の進入容易性が変化するようになっている。可動片が閉状態にあるときには、第2始動口への遊技球の入球が不可能となっている。ゲート内の進入領域を遊技球が通過すると、普通図柄の抽選が行われ、この抽選によって当たりに当選すると、可動片が所定時間、開状態に制御される。
なお、遊技領域116の最下部には、一般入賞口118、第1始動口120、大入賞口126、第2始動口のいずれにも入球しなかった遊技球を、遊技領域116から遊技盤108の背面側に排出する排出口128が設けられている。
遊技盤108の上部中央には、反射部411が設けられている。反射部411は、反射性を有する部材で構成される。反射部411は、正面から見て略半円形に形成される。
また、図示を省略するが、遊技盤108には、遊技領域116の外方であって、かつ、遊技者が視認可能な位置に、第1特別図柄表示器、第2特別図柄表示器、第1特別図柄保留表示器、第2特別図柄保留表示器、普通図柄表示器、普通図柄保留表示器、右打ち報知表示器が設けられている。これら各表示器は、遊技に係る種々の状況を表示するための装置である。
図3は、遊技機100の正面図である。この図に示すように、前枠106の下部には、遊技機100の正面側に突出する操作ハンドル112が設けられている。この操作ハンドル112は、遊技者が回転操作可能に設けられており、遊技者が操作ハンドル112を回転させて発射操作を行うと、当該操作ハンドル112の回転角度に応じた強度で、不図示の発射機構によって遊技球が発射される。このようにして発射された遊技球は、上記したように、遊技盤108に設けられたレール114a、114b間を上昇して遊技領域116に導かれることとなる。
また、遊技機100には、遊技の進行中等に演出を行う演出装置として、さまざまな点灯態様や発光色に制御されるランプからなる演出照明装置204、スピーカからなる楽曲出力装置206、遊技者の押下操作を受け付ける演出ボタン208a、遊技者の手前方向に引くことで演出ボタン208aの周りに回転する操作を受け付ける演出ハンドル208bが設けられている。演出ボタン208aおよび演出ハンドル208bは、演出に関する操作を受け付ける演出操作装置208である。
また、遊技機100の上部中央には、前枠106と別部材で構成された意匠ユニット400が配置されている。意匠ユニット400は、主に、遊技領域116を転動する遊技球を視認可能な可視部406と、可視部406の下部に取り付けられる略半円柱状の台座部408と、台座部408の下部に取り付けられる略球の一部である球状部410と、可視部406の上方に位置し、遊技機100の機種名等の情報を掲示する掲示部412と、掲示部412および可視部406が取り付けられる箱体414とを有する。
意匠ユニット400は、前枠106の上部から、遊技領域116および遊技球が転動しない非遊技領域である貫通孔108aの前面に突出するように設けられている。つまり、意匠ユニット400は、透過板110の前面に突出して対向している。また、遊技領域116(上部通路114c)の前面に対向する部位には、可視部406が位置している。可視部406は、無色透明の部材で構成されており、上部通路114cを通過する遊技球を遊技者が視認可能となっている。一方、台座部408および球状部410は、可視部406よりも視認性が低い部材で構成されており、非遊技領域(貫通孔108a)の前面に対向する部位に位置している。具体的には、台座部408は、反射性を有する部材で構成され、球状部410は、有色(例えば、赤色)の半透明の部材で構成されている。
図4は、意匠ユニット400の正面図である。意匠ユニット400には、遊技の進行中等に演出を行う演出装置として、可動装置からなる演出役物装置202が設けられている。演出役物装置202は、発光体202aと、発光体202aの周囲を回転可能な回転体202bと、回転体202bを回転させるモータ202cとを有する。モータ202cは、例えば、台座部408内に配置される。発光体202aおよび回転体202bは、球状部410内に配置される。発光体202a、回転体202b、モータ202c、球状部410は、所謂、回転灯(パトランプ)を構成している。演出役物装置202は、発光体202aを発光させて、モータ202cにより回転体202bを回転させることで、発光体202aの光の放射方向を変え、遊技者に大当たりの期待感を付与することができる。
意匠ユニット400の球状部410の外形と、遊技盤108の反射部411の外形とは、略一致しており、反射部411の正面に球状部410が配置される。このため、遊技者には、意匠ユニット400の球状部410と、遊技盤108の反射部411とが一体の部材で形成された演出役物装置202(パトランプ)であるかのように見えることとなる。
また、掲示部412、箱体414には、演出照明装置204が設けられており、演出照明装置204の発光態様により掲示部412、箱体414が発光する。
また、意匠ユニット400には、演出タッチセンサ210sが設けられている。演出タッチセンサ210sは、例えば、透明の静電容量式のタッチセンサであり、球状部410の表面に設けられている。演出タッチセンサ210sは、遊技者の手が接触した(タッチした)か否かを検知し、その検出結果を出力する。遊技者の手が接触したことを示す演出タッチセンサ210sの検出結果に応じて、さまざまな演出が実行されることとなる。演出タッチセンサ210sは、演出表示部200aに表示される画像等に合わせて有効化され、操作有効期間内に遊技者の操作を受け付けると、演出が実行されるとしてもよい。
また、意匠ユニット400は、前枠106に対して取り付けおよび取り外し可能となっている。具体的には、図1に示すように、箱体414の上部には、背面側に突出する組み付けユニット500が設けられている。組み付けユニット500は、背面方向の先端が正面方向に折り曲げられており、箱体414から背面方向にスライド可能な構成となっている。組み付けユニット500が箱体414方向にスライドされると、組み付けユニット500の先端が前枠106に係止され、意匠ユニット400が前枠106に取り付けられる。一方、組み付けユニット500が背面方向にスライドされると、係止されていた組み付けユニット500の先端が前枠106から外れ、意匠ユニット400が前枠106から取り外される。このように、組み付けユニット500は、意匠ユニット400を取り付けるための取り付け機構として機能する。このような取り付け機構(具体的には、組み付けユニット500の構成)は、異なる機種において共通となっている。
なお、取り付け機構は、組み付けユニット500に限らず、例えば、意匠ユニット400および前枠106の一方において突出した係止部が設けられており、他方において係止部に対応する穴部(被係止部)が設けられており、係止部が穴部に挿入されることで意匠ユニット400が取り付けられる構成であってもよい。この構成において、係止部および穴部の位置、形状、サイズなどが、機種が異なる複数の意匠ユニット400について共通化されてもよい。
遊技機100では、工具等を使用せずに、意匠ユニット400の取り付けおよび取り外しを行うことが可能となる。これにより、遊技機100を設置する際における作業者への負担を軽減することが可能となる。特に、遊技場における管理者(ホール店員)等の遊技機メーカーの人間以外でも、簡単に意匠ユニット400の取り付けおよび取り外しを行うことが可能となるので、故障時やメンテナンス時における作業性の向上に寄与することができる。また、遊技盤108と意匠ユニット400とを取り付ければよいので、枠体(外枠102、中枠104、前枠106)自体は、従来のものを流用することが可能となり、製造コストを低減することが可能となる。
そして、意匠ユニット400を取り付けることにより、前枠106や遊技盤108の交換をせずに、遊技機100の意匠性を大きく向上することができる。特に、遊技機100の前枠106の上部には、遊技者の視線が集まりやすく、この部分に取り付けられた意匠ユニット400の存在により遊技者が受ける印象が大きく変化する。この意匠ユニット400は、遊技盤108を他の機種に切り替える際に交換してもよいし、遊技盤108とは関係なく単独で交換してもよい。そのため、意匠ユニット400を取り付けた状態と、意匠ユニット400を取り外した状態とで、それぞれ完成状態の別機種として運用することが可能である。また、意匠ユニット400は、遊技盤108とともに出荷(販売)してもよいし、遊技盤108とは別に単独で出荷(販売)してもよい。
(制御手段の内部構成)
図5は、遊技の進行を制御する制御手段の内部構成を示すブロック図である。主制御基板300は遊技の基本動作を制御する。この主制御基板300は、メインCPU300a、メインROM300b、メインRAM300cを備えている。メインCPU300aは、各検出スイッチやタイマからの入力信号に基づいて、メインROM300bに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、各装置や表示器を直接制御したり、あるいは演算処理の結果に応じて他の基板にコマンドを送信したりする。メインRAM300cは、メインCPU300aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
上記主制御基板300には、一般入賞口118に遊技球が入球したことを検出する一般入賞口検出スイッチ118s、第1始動口120に遊技球が入球したことを検出する始動口検出スイッチ120s、第2始動口に遊技球が入球したことを検出する第2始動口検出スイッチ122s、ゲートを遊技球が通過したことを検出するゲート検出スイッチ124s、大入賞口126に遊技球が入球したことを検出する大入賞口検出スイッチ126sが接続されており、これら各検出スイッチから主制御基板300に検出信号が入力されるようになっている。
また、主制御基板300には、第2始動口の可動片を作動する普通電動役物ソレノイド122cと、大入賞口126を開閉する開閉扉126bを作動する大入賞口ソレノイド126cと、が接続されており、主制御基板300によって、第2始動口および大入賞口126の開閉制御がなされるようになっている。
さらに、主制御基板300には、第1特別図柄表示器160、第2特別図柄表示器162、第1特別図柄保留表示器164、第2特別図柄保留表示器166、普通図柄表示器168、普通図柄保留表示器170、右打ち報知表示器172が接続されており、主制御基板300によって、これら各表示器の表示制御がなされるようになっている。
また、第1実施形態の遊技機100は、主に第1始動口120または第2始動口への遊技球の入球によって開始される特別遊技と、ゲートを遊技球が通過することによって開始される普通遊技とに大別される。そして、主制御基板300のメインROM300bには、特別遊技および普通遊技を進行するための種々のプログラムや、各種の遊技に必要なデータ、テーブルが記憶されている。
また、主制御基板300には、払出制御基板310および副制御基板330が接続されている。
払出制御基板310は、遊技球を発射させるための制御、および、賞球を払い出すための制御を行う。この払出制御基板310も、CPU、ROM、RAMを備えており、主制御基板300に対して双方向に通信可能に接続されている。この払出制御基板310には遊技情報出力端子板312が接続されており、主制御基板300から出力される遊技進行上の種々の情報が、払出制御基板310および遊技情報出力端子板312を介して、遊技店のホールコンピュータ等に出力されることとなる。
また、払出制御基板310には、貯留部に貯留された遊技球を賞球として遊技者に払い出すための払出モータ314が接続されている。払出制御基板310は、主制御基板300から送信された払出個数指定コマンドに基づいて払出モータ314を制御して所定の賞球を遊技者に払い出すように制御する。このとき、払い出された遊技球数が払出球計数スイッチ316sによって検出され、払い出すべき賞球が遊技者に払い出されたかが把握されるようになっている。
また、払出制御基板310には、下皿の満タン状態を検出する皿満タン検出スイッチ318sが接続されている。この皿満タン検出スイッチ318sは、賞球として払い出される遊技球を下皿に導く通路に設けられており、当該通路を遊技球が通過するたびに、遊技球検出信号が払出制御基板310に入力されるようになっている。
そして、下皿に所定量以上の遊技球が貯留されて満タン状態になると、下皿に向かう通路内に遊技球が滞留し、皿満タン検出スイッチ318sから払出制御基板310に向けて、遊技球検出信号が連続的に入力される。払出制御基板310は、遊技球検出信号が所定時間連続して入力された場合に、下皿が満タン状態であると判断し、皿満タンコマンドを主制御基板300に送信する。一方、皿満タンコマンドを送信した後、遊技球検出信号の連続入力が途絶えた場合には、満タン状態が解除されたと判断し、皿満タン解除コマンドを主制御基板300に送信する。
また、払出制御基板310には、遊技球の発射制御を行う発射制御回路320が設けられている。払出制御基板310には、操作ハンドル112に設けられ、当該操作ハンドル112に遊技者が触れたことを検出するタッチセンサ112sと、操作ハンドル112の操作角度を検出する操作ボリューム112aと、が接続されている。そして、タッチセンサ112sおよび操作ボリューム112aから信号が入力されると、発射制御回路320において、遊技球発射装置に設けられた発射用ソレノイド112cを通電して遊技球を発射させる制御がなされる。
副制御基板330は、主に遊技中や待機中等の各演出を制御する。この副制御基板330は、サブCPU330a、サブROM330b、サブRAM330cを備えており、主制御基板300に対して、不正防止の観点により、当該主制御基板300から副制御基板330への一方向に通信可能に接続されている。サブCPU330aは、主制御基板300から送信されたコマンドやタイマからの入力信号等に基づいて、サブROM330bに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、演出を実行制御する。このとき、サブRAM330cは、サブCPU330aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
具体的には、副制御基板330は、上記演出表示部200aに画像を表示させる画像表示制御を行う。サブROM330bには、演出表示部200aに表示される図柄や背景等の画像データが多数格納されており、サブCPU330aが、画像データをサブROM330bから不図示のVRAMに読み出して、演出表示部200aの画像表示を制御する。また、副制御基板330は、演出役物装置202を駆動制御したり、演出照明装置204を点灯制御したり、楽曲出力装置206から楽曲を出力させる楽曲出力制御を行う。
図6は、副制御基板330における、演出表示部200a、演出役物装置202、演出照明装置204、楽曲出力装置206の制御態様を説明するためのブロック図であり、図7は、それらに共通する制御態様を示すフローチャートである。副制御基板330に設けられたサブCPU(CPU)330aは、サブROM330bに格納されたプログラムおよびサブRAM330cと協働して、演出決定手段332、演出実行手段334として機能する。演出決定手段332は、主制御基板300から送信されたコマンドを解読し、そのコマンドに対応する演出パターン(演出の一連の流れを示す内容)を決定する。演出実行手段334は、決定された演出パターンに基づいて画像IC340a、コントローラ342、楽曲IC346a等の各デバイスにコマンドを送信して演出を実行させる。かかる演出決定手段332および演出実行手段334は、いずれも割込に応じた処理(割込処理)であり、デバイスそれぞれに対応付けられた割込タイミングで実行される。
例えば、演出決定手段332は、図7に示すように、所定の割込周期(例えば33.3msec)の到来を待ち(S10におけるNO)、所定の割込周期が到来すると(S10におけるYES)、演出パターンに基づいた画像データ(演出パターンが示す演出のうち、演出表示部200aに表示する画像に相当するデータ)を決定する(S11)。そして、演出実行手段334は、画像IC340aに対して、画像データを特定可能な画像コマンドを送信し(S12)、ステップS10からの処理を繰り返す。画像IC340aは、VDP(Video Display Processor)とも呼ばれ、画像コマンドによって特定される画像データを画像ROM340bから画像RAM(VRAM)340cに読み出し、画像データを、順次、演出表示部200aに出力する。なお、演出表示部200aには、常に、何かしらの画像が表示される。したがって、演出決定手段332は、割込周期毎に、常に、画像データを決定していることとなる。なお、画像RAM340cは、それぞれ異なるレイヤを有し、各レイヤに異なる画像データを保持させることができる。そして、画像IC340aは、複数のレイヤに保持された画像データを重畳し、その重畳された画像データが演出表示部200aに出力される。
また、演出決定手段332は、上記の画像IC340aに対する制御と並行して、演出パターンの決定に伴い、所定の割込周期(例えば2msec)が到来すると(S10におけるYES)、演出パターンに基づいた役物パターン(演出パターンが示す演出のうち、演出役物装置202の一連の動作を示す内容)を決定する(S11)。そして、演出実行手段334は、その役物パターンに従って、コントローラ342に所定時間間隔で、進行方向(回転方向)、進行量(回転量)、進行速度(回転速度)の少なくともいずれかを示すコマンドを送信し(S12)、ステップS10からの処理を繰り返す。コントローラ342は、かかるコマンドに従い、演出役物装置202を駆動する。ここで、演出役物装置202は、役物パターンが決定されたときのみ動作している。なお、演出役物装置202は、遊技者に対し、大当たりの期待感を高める、物理的な動作を伴う一時的な演出なので、画像データや、後述する照明パターン、楽曲データと比較して、役物パターンが決定される頻度が低い。
また、演出決定手段332は、演出パターンの決定に伴い、所定の割込周期(例えば33msec)が到来すると(S10におけるYES)、演出パターンに基づいた照明パターン(演出パターンが示す演出のうち、演出照明装置204の一連の点灯態様を示す内容)を決定する(S11)。そして、演出実行手段334は、その照明パターンに従って、役物パターン同様、コントローラ342に所定時間間隔で1(ON)または0(OFF)のコマンドを送信し(S12)、ステップS10からの処理を繰り返す。コントローラ342は、かかるコマンドに従い、演出照明装置204を駆動するFETをONまたはOFFにする。こうして、演出照明装置204であるランプが点灯制御される。なお、演出照明装置204は、常に、点灯または消灯を繰り返している。したがって、演出決定手段332は、割込周期毎に、常に、演出パターンを決定していることとなる。
また、演出決定手段332は、上記の画像IC340a、コントローラ342に対する制御と並行して、演出パターンの決定に伴い、所定の割込周期(例えば50msec)が到来すると(S10におけるYES)、演出パターンに基づいた楽曲データ(演出パターンが示す演出のうち、楽曲出力装置206に出力する楽曲に相当するデータ)を決定する(S11)。そして、演出実行手段334は、楽曲IC346aに対して、楽曲データを特定可能な楽曲コマンドを送信し(S12)、ステップS10からの処理を繰り返す。楽曲IC346aは、楽曲コマンドによって特定される楽曲データを楽曲ROM346bから楽曲IC346aに読み出し、楽曲データを、順次、楽曲出力装置206であるスピーカに出力する。なお、楽曲出力装置206には、常に、何かしらの楽曲が出力されている。したがって、演出決定手段332は、割込周期毎に、常に、楽曲データを決定していることとなる。なお、楽曲IC346aは、複数の楽曲バッファ(バッファ)を有し、各楽曲バッファに異なる楽曲データを保持させることができる。そして、楽曲IC346aは、複数の楽曲バッファに保持された楽曲データを重畳し、その重畳された楽曲データが楽曲出力装置206に出力される。
さらに、副制御基板330には、遊技者によってタッチされたことを検出する演出タッチセンサ210s、演出ボタン208aが押下操作されたことを検出する押下検出スイッチ208s、および、演出ハンドル208bが回転操作されたことを検出する回転検出スイッチ209sから検出信号が入力される。コントローラ342は、演出タッチセンサ210s、演出操作装置208(押下検出スイッチ208sや回転検出スイッチ209s)から検出信号が入力されると、その旨、演出決定手段332に伝達し、演出決定手段332は、かかる検出信号の入力に応じて、演出表示部200aに画像を表示する等、さまざまな演出を決定する。
また、サブCPU330aは、サブROM330bに格納されたプログラムおよびサブRAM330cと協働して、識別実行手段336としても機能する。識別実行手段336は、意匠ユニット400を識別するための識別情報を意匠ユニット400から取得し、取得した識別情報に基づいて、遊技盤108に適切に対応する意匠ユニット400が接続されているか否かを判断する。識別実行手段336については、後に詳述する。
ここでは、サブCPU330a、サブRAM330c、画像IC340a、画像ROM340b、画像RAM340c、コントローラ342、楽曲IC346a、楽曲ROM346b等の一連の機能部が、SoC(System-on-a-Chip)として1個の集積回路に集積されている。ただし、かかるSoCにいずれの機能部を集積するかは任意に設定することができる。また、サブCPU330a、サブRAM330c、画像IC340a、画像ROM340b、画像RAM340c、コントローラ342、楽曲IC346a、楽曲ROM346b等の各機能部がそれぞれ異なる集積回路として集積され、電気的に接続されているとしてもよい。
なお、各基板には、不図示の電源基板が接続されており、電源基板を介して商用電源から各基板に電力供給がなされている。
(意匠ユニット400の電気的な接続)
以下、意匠ユニット400に設けられる演出役物装置202、演出照明装置204、演出タッチセンサ210sの制御について説明する。図8は、意匠ユニット400の電気的な接続例を示すブロック図である。意匠ユニット400には、演出役物装置202、演出照明装置204および演出タッチセンサ210sが接続される中継基板350が設けられている。意匠ユニット400の中継基板350は、前枠106に設けられた中継基板352にハーネスを介して接続される。ここで、ハーネスは、電線の束を示す。前枠106の中継基板352は、中枠104に設けられた中継基板354にハーネスを介して接続される。中枠104の中継基板354は、遊技盤108の副制御基板330にハーネスを介して接続される。
副制御基板330は、意匠ユニット400に設けられる演出役物装置202、演出照明装置204を制御するための情報である出力情報を送信する。この出力情報は、中枠104の中継基板354、前枠106の中継基板352、意匠ユニット400の中継基板350を経由して、演出役物装置202、演出照明装置204に送信される。また、意匠ユニット400に設けられる演出タッチセンサ210s等の各種検出スイッチの検出結果を示す情報である入力情報が、意匠ユニット400の中継基板350から送信される。副制御基板330は、中継基板350から前枠106の中継基板352、中枠104の中継基板354を経由して送信される入力情報を受信する。副制御基板330のコントローラ342は、これら出力情報および入力情報をシリアル通信により送受信する。
(コントローラ342による制御)
図9は、コントローラ342によるシリアル通信例を説明するための説明図であり、図10および図11は、データ(出力情報、入力情報)のラッチタイミングを説明するための説明図である。図9では、副制御基板330と、意匠ユニット400の中継基板350との間の中継基板352、354の記載を省略している。なおシリアル通信方式として、基準となるクロック信号に同期してシリアル信号が送受信されるクロック同期式シリアル通信を用いている。
中継基板350には、複数の出力部220(図9中、220a、220b、220c)、複数の入力部222(図9中、222a、222b、222c)および識別情報設定部224が設けられている。
上述したように、副制御基板330において、演出決定手段332は、演出パターンに基づいた役物パターンや照明パターンを決定し、演出実行手段334は、その役物パターンや照明パターンに従って、例えば、演出役物装置202の回転方向、回転量、回転速度、演出照明装置204の発光量等を特定するコマンドを生成する。
コントローラ342は、図9に示すように、中継基板350に設けられた複数の出力部220(図9中、220a、220b、220c)および複数の入力部222(図9中、222a、222b、222c)に接続されている。コントローラ342のデータ送信部342aは、コマンド等に基づいて、演出役物装置202や演出照明装置204等に出力すべき複数ビットからなる出力情報を生成し、出力情報をシリアル化し、そのシリアル化したシリアル信号を出力部220aに送信する。また、データ送信部342aは、シリアル信号を取得するための同期信号であるクロック信号を出力部220a、220b、220c、入力部222a、222b、222cに送信する。
出力部220aは、所謂、シリアル−パラレル変換素子であり、CI端子から入力されるクロック信号に基づき、SI端子においてシリアル信号を受信し、内部のシフトレジスタ(図示せず)で保持する。そして、図10に示すように、第1ラッチ信号に基づいて(第1ラッチ信号の立ち上がりで)シフトレジスタに保持された出力情報をビット単位で出力ポート(Q0〜Q7)にラッチすることで、複数ビット分の出力情報をパラレル出力する。ここで、パラレル出力は、出力情報をビット単位で並行かつ独立して出力することである。また、出力ポートからは、Hi(ハイレベル)とLow(ローレベル)の2値(2進数のデジタル信号)のいずれかの信号が、次のラッチタイミングまで連続して出力される。なお、出力部220b、220cも、出力部220aと同様のシリアル−パラレル変換素子である。
そして、出力部220(220a、220b、220c)のSI端子に入力されたシリアル信号は、シフトレジスタ分(パラレル出力のビット数分、ここでは8ビット)遅れてSO端子から送信される。また、出力部220aは、図9のように出力部220b、出力部220cと連結し、デイジーチェイン接続することができる。したがって、図9のように、出力部220a、220b、220cを連結した場合、24ビットの出力情報を、3つの出力部220a、220b、220cのシフトレジスタがそれぞれ8ビットずつ保持することとなる。そして、出力情報が対応する出力部220a、220b、220cに位置(保持)している状態で出力ポートにラッチすることで、図10に示すように、24ビット分のパラレル出力が可能となる。
出力部220aの出力ポート(Q0〜Q7)には、演出役物装置202が接続されている。具体的には、出力部220aの出力ポートには、演出役物装置202を構成するドライバが接続されている。ドライバは、演出役物装置202を構成するモータ202cに接続されている。モータ202cは、回転灯の回転体202bを回転させる。出力部220aの出力ポートには、モータ202cをドライバによって駆動させる出力情報が出力される。例えば、モータ202cの4相(A相、B相、/A相、/B相)それぞれにHiまたはLow信号を出力して、1相励磁、2相励磁、または1−2相励磁による回転駆動制御が行われる。例えば、1相励磁であれば、A相、B相、/A相、/B相のいずれか1の相がHiとなり、他の3相はLowとなる。そして、Hiとなる相を順次切り換えることで、励磁パターンを形成することができる。
また、出力部220bの出力ポート(Q0〜Q7)、出力部220cの出力ポート(Q0〜Q7)には、演出照明装置204が接続されている。具体的には、出力部220b、220cの各出力ポートには、演出照明装置204を構成するLEDが接続されている。出力部220b、220cの各出力ポートには、LEDを発光および消灯させる出力情報が出力される。LEDの照明パターンに従って、Hi(発光)とLow(消灯)のタイミングが制御される。例えば、LEDのRGB(Red Green Blue)それぞれの輝度(発光量)を変更する場合、PWM(Pulse Width Modulation)によりHiとLowとのパルス幅の比率を変化させる。また、LEDを点滅させる場合、点滅周期に従って、消灯に対応する期間はLowを維持する。
入力部222aは、所謂、パラレル−シリアル変換素子であり、図11に示すように、第2ラッチ信号に基づいて(第2ラッチ信号の立ち下がりで)、入力ポート(D0〜D7)にパラレル入力されている複数ビットからなる入力情報をシフトレジスタにラッチし、その入力情報をシリアル化したシリアル信号を、クロック信号に基づいてSO端子から送信する。ここで、パラレル入力は、入力情報をビット単位で並行かつ独立して入力することである。なお、入力部222b、222cも、入力部222aと同様のパラレル−シリアル変換素子である。
そして、入力部222(222a、222b、222c)のSI端子に入力されたシリアル信号は、シフトレジスタ分(パラレル入力のビット数分、ここでは8ビット)遅れて、SO端子から送信される。なお、ここでは、入力部222aのSI端子には何ら入力されていないが、HiかLowいずれか一方の値が連続して入力されているとみなされる。また、入力部222aは、図9のように入力部222b、入力部222cと連結し、デイジーチェイン接続することができる。したがって、図9のように、入力部222a、222b、222cを連結した場合、図11に示すように、3つの入力部222a、222b、222cで24ビットの入力情報が一度に生成され、その24ビットの入力情報がシリアル信号として送信されることとなる。
入力部222aの入力ポート(D1〜D7)には、各種の検出スイッチの一例であるリミットセンサ202sが接続されている。リミットセンサ202sは、演出役物装置202の動作を確認したり、動作範囲を規制するための検出スイッチである。入力部222aの入力ポートには、リミットセンサ202sの検出結果が入力される。なお、入力部222aの入力ポートに接続される検出スイッチは、リミットセンサ202sに限らず、例えば、フォトセンサなどでもよい。
入力部222bの入力ポート(D0〜D7)には、演出タッチセンサ210sが接続されている。演出タッチセンサ210sは、遊技者による演出タッチセンサ210sへのタッチを検出する。入力部222bの入力ポートには、演出タッチセンサ210sの検出結果が入力される。
入力部222cの入力ポート(D0〜D7)には、識別情報設定部224が接続されている。識別情報設定部224には、例えば、8ビットで所定の数値を表す識別情報が設定されている。入力部222cの入力ポートには、識別情報設定部224に設定された8ビットの識別情報がパラレル入力される。
識別情報は、遊技機100の機種を示す情報であり、遊技機100の機種毎に固有に割り当てられる。識別情報は、8ビットの数値で構成されるため、256通りの選択肢がある。識別情報設定部224には、256通りの選択肢の中から決められた1の識別情報であり、意匠ユニット400の機種(すなわち、遊技機100の機種)を示す識別情報が設定される。識別情報設定部224に設定された識別情報は、副制御基板330における意匠ユニット400の識別に用いられる。
識別情報設定部224は、例えば、DIPスイッチを含んで構成される。このDIPスイッチは、少なくとも8個のスイッチが並列に配置されて構成される。入力部222cの入力ポートには、DIPスイッチにおける各スイッチの一端が接続される。この一端には、抵抗器を介して所定電圧の電源が接続される。また、各スイッチにおける他端は、接地される。8個のスイッチのうち、オンされたスイッチでは、Lowの識別用ビットが設定されたこととなり、オフされたスイッチでは、Hiの識別用ビットが設定されたこととなる。管理者は、DIPスイッチの各スイッチのオンオフを設定することで、8ビットのHi、Lowの設定、すなわち、識別情報の設定が可能となる。識別情報の設定は、例えば、工場出荷時などにおいて行われる。DIPスイッチを含む構成によれば、識別情報を容易に設定することができる。
なお、識別情報設定部224は、DIPスイッチを含む構成に限らない。例えば、識別情報設定部224は、識別情報を記憶するROMを含んで構成され、ROMから読み出された識別情報が入力ポートに入力されるとしてもよい。
また、識別情報設定部224は、複数の抵抗器によって構成される分圧回路を含んで構成されてもよい。例えば、10kΩの抵抗器と1kΩの抵抗器とを直列接続し、その接続ノードを入力ポートに接続する構成とする。10kΩの抵抗器側に電源線を接続し、1kΩの抵抗器側を接地線(GND)に接続した場合、入力ポートは、Lowに設定されることとなる。一方、1kΩの抵抗器側に電源線を接続し、10kΩの抵抗器側を接地線に接続した場合、入力ポートは、Hiに設定されることとなる。分圧回路を含む構成によれば、一度設定した識別情報の変更が困難となり、識別情報を改ざんする不正を防止することが可能となる。
また、識別情報設定部224は、入力部222cの入力ポート(D0〜D7)を電源線や接地線に直接に接続させる構成であってもよい。例えば、電源線に直接に接続される入力ポートは、Hiに設定され、接地線に直接に接続される入力ポートは、Lowに設定されることとなる。この構成においても、一度設定した識別情報の変更が困難となり、識別情報を改ざんする不正を防止することが可能となる。また、この構成では、識別情報設定部224の回路を簡素化することが可能である。
入力部222cは、第2ラッチ信号の立ち下がりで、入力ポートにパラレル入力されている8ビットの識別用ビットからなる識別情報をシフトレジスタにラッチし、その識別情報をシリアル化したシリアル信号を、クロック信号に基づいてSO端子から送信する。
ここで、入力部222a、222b、222cがデイジーチェイン接続されているため、入力部222a、222bでラッチされた16ビットの入力情報と、入力部222cでラッチされた8ビットの識別情報とから構成される24ビットの入力情報が一度に生成される。そして、その識別情報を含む24ビットの入力情報が、シリアル信号としてコントローラ342に送信されることとなる。また、識別情報がラッチされる入力部222cは、デイジーチェイン接続において、最もコントローラ342側に接続されている。このため、識別情報は、24ビットの入力情報のうちの上位8ビットに含まれることとなる。
コントローラ342のデータ受信部342bは、データ送信部342aのクロック信号に基づいて、入力部222からシリアル信号を受信する。こうして、入力情報および識別情報をサブCPU330aに取り込むことができる。
このように、演出役物装置202や演出照明装置204への出力情報の出力および各種検出スイッチの入力情報の入力を、シリアル通信で管理することで、以下のような汎用性を得ることができる。すなわち、出力情報や入力情報を追加する場合に、ハーネスの数やハーネスの取り回しを変更することなく、予備(予約)の出力ポートや入力ポートに割り当てることで対応できる。また、仮に、予備の出力ポートや入力ポートが余っていなくとも、出力部220や入力部222の増設のみを行えば、ソフトウェアの修正のみで対応することができる。
なお、ここでは、出力部220は、第1ラッチ信号の立ち上がりで出力情報を出力ポートにラッチし、入力部222は、第2ラッチ信号の立ち下がりで入力ポートの入力情報をラッチする例を挙げたが、そのラッチタイミングは、立ち上がりまたは立ち下がりのいずれに設定してもよい。
ところで、図9に示した中継基板350の各素子が何らかの原因で正しく機能しないおそれがある。このような事態に陥る原因として、例えば、副制御基板330と中継基板350とを結ぶハーネスが断線したり、出力部220間や入力部222間のシリアル信号線が断線したり、出力部220や入力部222に異常(故障)が生じることが考えられる。このように中継基板350の各素子に異常が生じると、パチンコ機の遊技の進行に影響を及ぼす可能性があるので、各素子をリセットする必要がある。
そこで、第1実施形態では、図9に示すように、コントローラ342に異常判定部342cを設けている。異常判定部342cは、出力情報と入力情報とを用い、その整合性を確認することで中継基板350の各素子の異常を判定する。ここでは、図9のように、出力部220の任意の出力ポート(ここでは出力部220cの出力ポートQ7)と、入力部222の任意の入力ポート(ここでは入力部222aの入力ポートD0)を異常判定用のビット信号とし、両ポートを電気的に接続している。
図12は、異常判定動作を説明するための説明図である。まず、異常判定部342cは、データ送信部342aに対し、異常判定に用いる1ビットの任意の値(ここでは判定値という)を伝達する。データ送信部342aは、出力部220に出力する24ビットの出力情報のうち、最上位ビットに異常判定部342cから送信された判定値を設定する。そして、データ送信部342aが、図12のようにシリアル信号を送信すると、図中ハッチングで示すように、シリアル信号の先頭のビットに判定値が位置することとなる。出力部220は、第1ラッチ信号に応じてシリアル信号をラッチする。そうすると、出力部220cの出力ポートQ7には判定値が出力される。
続いて、入力部222は、第2ラッチ信号に応じて、入力ポートにパラレル入力されている入力情報をシフトレジスタにラッチする。ここでは、入力部222の入力ポートD0と出力部220cの出力ポートQ7とが接続されているので、入力部222の入力ポートD0には判定値が入力される。そして、入力部222は、その入力情報をシリアル化したシリアル信号をデータ受信部342bに送信する。そうすると、図中クロスハッチングで示すようにシリアル信号の末尾のビットに判定値が含まれることとなる。
データ受信部342bは、シリアル信号を受信すると、入力情報の最下位ビットに位置する判定値を抽出し、異常判定部342cに伝達する。異常判定部342cは、データ受信部342bから受信した(ループバックした)判定値と、データ送信部342aに送信した判定値を比較して、両値が一致しているか否か判定する。そして、一致していれば、中継基板350における各素子は正常であると判定し、一致していなければ、異常であると判定する。異常判定部342cは、中継基板350における各素子が異常であると判定した場合、中継基板350に設けられた出力部220および入力部222にリセット信号を出力してリセットする。
異常判定部342cは、このような異常判定を所定の周期で繰り返し行う。このとき、異常判定部342cは、判定値としてHiとLowを交互に決定してもよい。こうすることで、出力ポートや入力ポートが、HiまたはLowに固定される異常が生じたとしても、その異常を適切に判定することが可能となる。
また、第1実施形態では、第1ラッチ信号と第2ラッチ信号とを独立して設定可能である。したがって、第1ラッチ信号によって、判定値を出力ポートに出力させた後、任意のタイミングで第2ラッチ信号を出力することで、所望するタイミングで判定値を取得し、異常判定することが可能となる。
なお、ここでは、データ送信部342aが送信するシリアル信号の先頭のビットに判定値を位置させ、データ受信部342bが受信するシリアル信号の末尾のビットに判定値を位置させている。かかる位置は、連結された出力部220や入力部222のコントローラ342からみて最端部に相当する位置である。したがって、かかる位置の判定値の整合がとれている場合、その途中にある出力部220の出力ポートや入力部222の入力ポートは正常に動いていることになる。ただし、このような異常判定の対象となる出力ポートや入力ポートはかかる位置に限らず、全ての出力ポートや入力ポートから任意に選択し、それを接続するとしてもよい。また、ここでは、1の出力ポートと1の入力ポートとを接続する例を挙げて説明しているが、その数も任意に決定でき、出力ポート同士を接続しない限り、様々な接続態様をとることもできる。
また、ここでは、シリアル信号への判定値の付加や、シリアル信号からの判定値の抽出を、コントローラ342内で、ソフトウェアを通じて行っているが、かかる場合に限らず、シフトレジスタを用いてハードウェアで実現してもよい。
(意匠ユニット400の識別)
ところで、ホールにおいて遊技機100の機種交換が行われる際には、遊技盤108と意匠ユニット400とが一緒に交換される。そして、機種交換後の遊技盤108に適切に対応する意匠ユニット400が前枠106に設置される。しかし、このような機種交換時に、遊技盤108に適切に対応する意匠ユニット400とは異なる意匠ユニット400が前枠106に設置されるおそれがある。そこで、遊技機100では、意匠ユニット400から副制御基板330に送信されるシリアル信号に識別情報を含ませ、その識別情報に基づいて、異なる意匠ユニット400が取り付けられたことを電気的に識別可能としている。
また、遊技盤108には、報知部360が設けられている(図8参照)。報知部360は、副制御基板330に接続されている。報知部360は、意匠ユニット400の識別結果を遊技者やホールに報知する。遊技機100では、演出表示部200a、楽曲出力装置206、各種のLEDランプなどを報知部360として機能させることができる。以下、意匠ユニット400の識別について詳細に説明する。
図13は、意匠ユニット400の識別動作を示すフローチャートである。遊技機100の電源が投入されると、サブCPU330aは、まず、初期化処理を行う(S20)。初期化処理では、例えば、演出役物装置202の原点位置合わせなどが行われる。なお、初期化処理は、後述の意匠ユニット400の識別が行われた後に行われるとしてもよい。
次に、サブCPU330aは、識別実行手段336として機能し、識別情報の取得を行う(S21)。具体的には、識別実行手段336は、コントローラ342のデータ受信部342bから第2ラッチ信号を送信させ、データ送信部342aからクロック信号を送信させる。入力部222a、222bは、受信した第2ラッチ信号の立ち下がりで、入力ポートに入力されている入力信号をシフトレジスタにラッチし、入力部222cは、受信した第2ラッチ信号の立ち下がりで、入力ポートに入力されている識別情報をシフトレジスタにラッチする。そして、入力部222は、ラッチした入力情報および識別情報をシリアル化したシリアル信号を、受信したクロック信号に基づいて、データ受信部342bに送信する。データ受信部342bは、クロック信号に基づいて、入力部222からシリアル信号を受信する。そして、識別実行手段336は、データ受信部342bが受信したシリアル信号を取得する。識別実行手段336は、このようにしてシリアル信号に含まれる識別情報を取得する。
次に、識別実行手段336は、意匠ユニット400が遊技盤108に適切に対応する(適合する)ものであるか否かを判断する(S22)。
ここで、サブROM330bには、予め識別情報が記憶されている。具体的には、複数の識別情報が記述された識別テーブルが記憶されている。識別テーブルには、自機種に関連付けられた識別情報(正規の識別情報)が記述されている。また、識別テーブルには、その他の各機種に関連付けられた複数の識別情報(その他の識別情報)も記述されている。
識別実行手段336は、サブROM330bから識別テーブルを読み出し、識別テーブルにおける正規の識別情報と、意匠ユニット400から取得した識別情報(比較対象の識別情報)とを比較する。具体的には、識別実行手段336は、正規の識別情報を構成する8ビットと、比較対象の識別情報を構成する8ビットとを、ビット毎に比較する。
比較対象の識別情報が正規の識別情報に一致する場合、識別実行手段336は、接続されている意匠ユニット400は遊技盤108に適切に対応するものであると判断する(S22におけるYES)。そして、サブCPU330aは、識別実行手段336としての処理を終了し、通常処理に移行する(S25)。すなわち、遊技機100は、客待ち状態に移行することとなる。
一方、比較対象の識別情報が正規の識別情報に一致しない場合、識別実行手段336は、接続されている意匠ユニット400は遊技盤108に適切に対応するものではないと判断する(S22におけるNO)。そして、識別実行手段336は、接続されている意匠ユニット400の機種を特定する(S23)。具体的には、識別実行手段336は、識別テーブルにおけるその他の識別情報を順番に参照し、参照した当該その他の識別情報と、比較対象の識別情報との比較を繰り返す。識別実行手段336は、その他の識別情報の中の比較対象の識別情報に一致した識別情報に関連付けられた機種に特定することができる。
次に、識別実行手段336は、報知部360を動作させて、適切に対応する意匠ユニット400が接続されていない旨の報知を行う(S24)。この際、識別実行手段336は、接続されている意匠ユニット400の機種をステップS23で特定しているため、接続されている意匠ユニット400の機種を明確にして報知することもできる。
例えば、演出表示部200aを報知部360として機能させる場合、識別実行手段336は、演出表示部200aに、「正しい意匠ユニット400が接続されていません」などのエラーメッセージを表示させる。また、識別実行手段336は、意匠ユニット400の機種を、例えば、X機種に特定したとき、演出表示部200aに、「X機種の意匠ユニットが接続されています」などの機種を特定したエラーメッセージを表示させてもよい。
また、楽曲出力装置206を報知部360として機能させる場合、識別実行手段336は、楽曲出力装置206に、エラーブザー音やエラーメッセージなどを放音させる。また、識別実行手段336は、エラーブザー音の種類やエラーメッセージの内容によって意匠ユニット400の機種を特定した音を放音させてもよい。
また、各種のLEDランプを報知部360として機能させる場合、識別実行手段336は、各種のLEDランプを点灯させたり点滅させて、意匠ユニット400の接続エラーを報知させる。この場合、識別実行手段336は、各種のLEDランプを激しく点滅させることで、意匠ユニット400の接続エラーを報知してもよい。また、意匠ユニット400の接続エラーを報知するためのLEDのアドレス(位置)を、機種毎に共通にしてもよい。このようにすると、異なる機種の遊技機100であっても、意匠ユニット400の接続エラーを確実に報知することができるとともに、LEDランプの点灯や点滅が意匠ユニット400の接続エラーを示すものであることが確実にわかるようになる。
なお、意匠ユニット400の機種特定処理において、比較対象の識別情報が、その他の識別情報のいずれにも一致しなかった場合、識別実行手段336は、接続されている意匠ユニット400の機種が特定できなかった旨の報知を行ってもよい。また、識別実行手段336は、機種を特定せずに、意匠ユニット400の接続エラーがある旨のみを報知してもよい。
なお、比較対象の識別情報が正規の識別情報に一致した場合、識別実行手段336は、一致した旨を報知部360に報知させてもよい。例えば、識別実行手段336は、初期化処理の完了および識別情報の一致の確認が完了したことを、各種のLEDランプを所定のパターンで点灯または点滅させて報知させてもよい。これにより、作業者は、初期化処理の完了および識別情報の一致の確認の完了を認識することができる。
比較対象の識別情報が正規の識別情報に一致せずに報知処理が行われた場合、その報知処理は、例えば、遊技機100の電源がオフされるまで維持される。そして、遊技機100は、各種演出装置(演出役物装置202、演出照明装置204、演出タッチセンサ210s)において正常な動作が行われないこととなる。しかし、比較対象の識別情報が正規の識別情報に一致せずに報知処理が行われても、遊技自体を行うことは可能である。つまり、主制御基板300によって制御される遊技(例えば、第1特別図柄表示器や普通図柄表示器等における遊技)を行うことは可能である。
なお、報知処理の開始から所定時間の経過に応じて、報知処理を部分的に終了させてもよい。例えば、演出表示部200aにエラーメッセージを表示させつつ、楽曲出力装置206にエラーブザー音を放音させた場合において、所定時間の経過に応じてエラーブザー音の放音を終了させ、エラーメッセージの表示を維持してもよい。
以上のように、第1実施形態による遊技機100では、意匠ユニット400から送信される識別情報に基づいて、意匠ユニット400の識別が電気的に行われる。したがって、遊技機100によれば、意匠ユニット400のような遊技機100の設置時に取り付けられる部材を内部的に確実かつ迅速に識別することが可能となる。
また、遊技機100では、異なる意匠ユニット400が接続されている旨が報知される。このため、遊技機100によれば、適切に対応する意匠ユニット400への付け替えを促すことが可能となる。また、遊技機100では、接続されている意匠ユニット400の機種を特定して報知することができるため、意匠ユニット400の接続エラーを、より明確に認識させることが可能となる。
なお、第1実施形態では、3個の出力部220a、220b、220cがデイジーチェイン接続され、3個の入力部222a、222b、222cがデイジーチェイン接続されていた。しかし、出力部220の数および入力部222の数は、3個に限らず、任意の数で設定することができる。
また、識別情報は、入力部222cの入力ポートに入力されていた。しかし、識別情報が入力される入力ポートは、入力部222cの入力ポートに限らず、シリアル信号を送信する入力部222の入力ポートのいずれかに入力されていればよい。例えば、識別情報は、入力部222bの入力ポートに入力されてもよいし、入力部222aの入力ポートに入力されてもよい。識別情報が入力部222aや入力部222bの入力ポートに入力される場合、リミットセンサ202sや演出タッチセンサ210sの検出結果は、識別情報が入力される入力部以外の入力部に入力されればよい。なお、入力部222aの入力ポートに識別情報が入力される態様では、異常判定部342cで判定される判定値は、入力部222bまたは入力部222cの入力ポートに入力されるとよい。
また、識別情報は、8ビットで構成されていた。しかし、識別情報を構成するビット数は、8ビットに限らず、任意のビット数で構成することができる。例えば、識別情報は、4ビットで構成されてもよいし、将来の機種数の増加を踏まえて16ビットで構成されてもよい。なお、ビット数が1の入力部222の入力ポート数を超える場合、識別情報は、複数の入力部222に跨って入力されてもよい。
また、識別実行手段336は、異なる意匠ユニット400が接続されていると判断した場合、意匠ユニット400の機種を特定する処理を行っていた。しかし、識別実行手段336は、意匠ユニット400の機種を特定する処理を省略して報知処理を行ってもよい。
また、ここでは、コントローラ342による出力部220の制御および入力部222の制御の両方について説明したが、意匠ユニット400の識別に関しては、少なくとも入力部222が意匠ユニット400の中継基板350に設けられていればよく、出力部220が中継基板350に設けられていなくてもよい。
(第2実施形態)
第1実施形態では、副制御基板330において意匠ユニット400の識別が行われていた。第2実施形態では、副制御基板330だけでなく、主制御基板300においても、意匠ユニット400の識別が行われる。
図14は、第2実施形態において意匠ユニット400の電気的な接続例を示すブロック図である。第2実施形態において、中枠104の中継基板354には、シリアル−パラレル変換素子356が設けられている。シリアル−パラレル変換素子356は、例えば、中継基板350の出力部220と同様の構成となっている。図14では、中継基板354内の配線が破線で示されている。
意匠ユニット400の中継基板350は、前枠106の中継基板352およびハーネスを介して、中枠104の中継基板354のシリアル−パラレル変換素子356に接続される。シリアル−パラレル変換素子356は、ハーネスを介して主制御基板300のパラレル入力ポートに接続される。ここで、中継基板350から送信されるシリアル信号において、識別情報は、24ビットのうちの上位8ビット分に含まれている。つまり、シリアル信号における識別情報の位置が固定されている。そこで、シリアル−パラレル変換素子356における識別情報の位置のパラレル出力ポートが、主制御基板300のパラレル入力ポートに接続される。なお、中継基板350は、第1実施形態と同様に、中継基板352、354を介して副制御基板330にも接続される。
中継基板350から送信される識別情報を含む入力情報は、副制御基板330だけでなく、主制御基板300にも送信される。主制御基板300に送信される入力情報は、中継基板350からシリアル信号としてシリアル−パラレル変換素子356に送信される。シリアル−パラレル変換素子356は、副制御基板330から送信されるラッチ信号およびクロック信号に基づいて、中継基板350から送信されたシリアル信号をパラレル信号に変換する。そして、主制御基板300は、変換されたパラレル信号の中の識別情報を受信する。このようにして、メインCPU300aは、中継基板350から送信される識別情報を取得することができる。
第2実施形態において、主制御基板300のメインCPU300aは、メインROM300bに格納されたプログラムおよびメインRAM300cと協働して、識別実行手段306としても機能する。
図15は、主制御基板300における意匠ユニット400の識別動作を示すフローチャートである。
遊技機100の電源が投入されると、メインCPU300aは、識別実行手段306として機能し、識別情報の取得を行う(S31)。すなわち、識別実行手段306は、中継基板350からシリアル−パラレル変換素子356に送信された入力情報に含まれる識別情報を取得する。
次に、識別実行手段306は、意匠ユニット400が遊技盤108に適切に対応するものであるか否かを判断する(S32)。このステップS32では、サブCPU330aにおけるステップS22と同様の処理が行われる。具体的には、メインROM300bには、正規の識別情報およびその他の識別情報が記述された識別テーブルが予め格納されている。なお、メインROM300bの識別テーブルは、少なくとも正規の識別情報が記述されていればよく、その他の識別情報が省略されていてもよい。識別実行手段306は、メインROM300bから識別テーブルを読み出し、識別テーブルにおける正規の識別情報と、比較対象の識別情報である意匠ユニット400から取得した識別情報とを比較する。
比較対象の識別情報が正規の識別情報に一致する場合、識別実行手段336は、接続されている意匠ユニット400は遊技盤108に適切に対応するものであると判断する(S32におけるYES)。そして、メインCPU300aは、識別実行手段306としての処理を終了し、通常処理に移行する(S33)。
一方、比較対象の識別情報が正規の識別情報に一致しない場合、識別実行手段306は、接続されている意匠ユニット400は遊技盤108に適切に対応するものではないと判断する(S32におけるNO)。そして、識別実行手段306は、遊技機100を遊技停止状態に移行させる(S34)。例えば、識別実行手段306は、一般入賞口検出スイッチ118s、始動口検出スイッチ120s、第2始動口検出スイッチ122s、ゲート検出スイッチ124s、大入賞口検出スイッチ126sを無効化させる。また、識別実行手段306は、発射制御回路320において発射用ソレノイド112cに通電せずに遊技球を発射させないようにするコマンドを、払出制御基板310に送信してもよい。
以上のように、第2実施形態では、異なる意匠ユニット400が接続されている場合、遊技機100が遊技停止状態となる。したがって、第2実施形態によれば、装置構成が不適切な状態での遊技をさせないようにすることができる。
第2実施形態では、中枠104の中継基板354にシリアル−パラレル変換素子356が設けられていた。しかし、シリアル−パラレル変換素子356の位置は、意匠ユニット400の中継基板350と主制御基板300との間であればよく、中枠104の中継基板354に限らない。
また、主制御基板300には、識別情報がパラレル入力されていた。しかし、主制御基板300は、識別情報をシリアル入力が可能な構成としてもよい。例えば、主制御基板300において、シリアル入力された識別情報をシリアル−パラレル変換素子を介してメインCPU300aに送信してもよい。なお、この場合、中枠104のシリアル−パラレル変換素子356は省略され、シリアル信号が主制御基板300に送信される。
また、第2実施形態では、副制御基板330と主制御基板300との両方において意匠ユニット400の識別が行われるとしていた。しかし、副制御基板330における意匠ユニット400の識別は行わず、主制御基板300における意匠ユニット400の識別のみを行ってもよい。図16は、第2実施形態の変形例における意匠ユニット400の電気的な接続例を示すブロック図である。図16の例において、意匠ユニット400には、中継基板350とは別個の中継基板351が設けられ、前枠106には、中継基板352とは別個の中継基板353が設けられ、中枠104には、中継基板354とは別個の中継基板355が設けられている。中継基板350は、中継基板352、354を介して副制御基板330に接続される。中継基板350には、識別情報設定部が設けられておらず、副制御基板330には、識別実行手段が設けられていない。
一方、図16の例において、中継基板351は、中継基板353、355を介して主制御基板300に接続される。主制御基板300の識別実行手段306は、主制御基板300から中継基板355、353を介して中継基板351にクロック信号およびラッチ信号を送信する。中継基板351は、クロック信号に応じて中継基板353および中継基板355のシリアル−パラレル変換素子356を介して主制御基板300に識別情報を送信する。識別実行手段306は、中継基板351の識別情報設定部224から取得した識別情報に基づいて意匠ユニット400の識別を行い、適切に対応する意匠ユニット400が接続されていない場合、遊技停止状態に移行させる。このように、少なくとも主制御基板300における意匠ユニット400の識別が行われることで、装置構成が不適切な状態での遊技をさせないようにすることができる。また、図16に示す例では、副制御基板330に接続される中継基板350、352、354と、主制御基板300に接続される中継基板351、353、355とが完全に分離している。このため、主制御基板300と副制御基板330とによって中継基板が共用される態様に比べ、不正防止の観点から、より好ましい。
また、図17に示すように、副制御基板330に接続される中継基板350、352、354と、主制御基板300に接続される中継基板351、353、355とを完全に分離しつつ、副制御基板330における意匠ユニット400の識別と、主制御基板300における意匠ユニット400の識別との両方を行ってもよい。この態様は、意匠ユニット400の接続エラーの報知と、遊技停止状態に移行させることの両方を行うことが可能であるとともに、主制御基板300と副制御基板330とによって中継基板が共用される態様に比べ、不正防止の観点から、より好ましい。なお、この場合、中継基板350の識別情報設定部224と中継基板351の識別情報設定部224とには、共通の識別情報が設定されればよい。
なお、図16および図17では、中継基板351から識別情報を含むシリアル信号が送信されて、中継基板355においてシリアル信号がパラレル信号に変換されていた。しかし、図16および図17の例において、中継基板351から識別情報を含むパラレル信号が送信され、そのパラレル信号が、中継基板353、355を介して主制御基板300に送信されるとしてもよい。
(第3実施形態)
第3実施形態では、例えば、意匠ユニット400における掲示部412が箱体414から分離可能となっている。第3実施形態では、分離可能な掲示部412を第2意匠ユニット450とし、掲示部412を除く意匠ユニット400を第1意匠ユニット400とする。つまり、第3実施形態では、前枠106に取り付けられる部材が複数ある。第3実施形態では、第1意匠ユニット400に演出役物装置202、演出照明装置204、演出タッチセンサ210sが設けられており、第2意匠ユニット450に演出照明装置204、演出タッチセンサ210sが設けられている。第2意匠ユニット450の演出タッチセンサ210sは、例えば、透明であり、第2意匠ユニット450(掲示部412)の正面に設けられる。そして、第3実施形態では、第1意匠ユニット400だけでなく、第2意匠ユニット450の識別も併せて行われる。
図18は、第3実施形態におけるコントローラ342によるシリアル通信例を説明するための説明図である。図18に示すように、第3実施形態では、第2意匠ユニット450が第1意匠ユニット400に電気的に接続される。第2意匠ユニット450には、中継基板358が設けられている。中継基板358には、出力部230、入力部232および識別情報設定部224が設けられている。
第2意匠ユニット450の識別情報設定部224には、識別情報の一部が設定される。具体的には、第2意匠ユニット450の識別情報設定部224には、8ビットで構成される識別情報の中の、上位4ビット分が設定される。一方、第3実施形態において、第1意匠ユニット400の識別情報設定部224には、8ビットで構成される識別情報の中の、下位4ビット分が設定される。つまり、第2意匠ユニット450の識別情報設定部224と第1意匠ユニット400の識別情報設定部224にはそれぞれ独立して識別情報が設定され、さらに、第2意匠ユニット450の識別情報設定部224に設定される4ビットと、第1意匠ユニット400の識別情報設定部224に設定される4ビットとを合わせて、1の識別情報が構成される。
出力部230は、出力部220aと同様のシリアル−パラレル変換素子である。出力部230のSI端子は、出力部220cのSO端子に接続される。つまり、出力部230は、出力部220a、220b、220cと連結し、デイジーチェイン接続することができる。したがって、出力部220a、220b、220c、230を連結した場合、32ビットの出力情報を、4つの出力部220a、220b、220c、230のシフトレジスタがそれぞれ8ビットずつ保持することとなる。そして、出力情報が対応する出力部220a、220b、220c、230に位置(保持)している状態で出力ポートにラッチすることで、32ビット分のパラレル出力が可能となる。ここでは、32ビットのうちの上位8ビット分が、出力部230の出力ポート(Q0〜Q7)に出力される。
出力部230の出力ポートには、第2意匠ユニット450に設けられる演出照明装置204が接続される。出力部230の出力ポートには、演出照明装置204を制御する出力情報が出力される。
入力部232は、入力部222aと同様のパラレル−シリアル変換素子である。入力部232のSI端子は、入力部222cのSO端子に接続される。つまり、入力部232は、入力部222a、222b、222cと連結し、デイジーチェイン接続することができる。したがって、入力部222a、222b、222c、232を連結した場合、入力部222a、222b、222c、232でラッチされた32ビットの入力情報が一度に生成される。そして、32ビットの入力情報が、シリアル信号として、中継基板350を経由してコントローラ342に送信されることとなる。
ここで、入力部222cにおける下位4ビット分の入力ポート(D0〜D3)には、演出タッチセンサ210sが接続され、演出タッチセンサ210sの検出結果が入力される。一方、入力部222cの上位4ビット分の入力ポート(D4〜D7)には、識別情報設定部224が接続され、識別情報の中の下位4ビット分がパラレル入力される。
また、入力部232における上位4ビット分の入力ポート(D4〜D7)には、演出タッチセンサ210sが接続され、演出タッチセンサ210sの検出結果が入力される。一方、入力部232における下位4ビット分の入力ポート(D0〜D3)には、識別情報設定部224が接続され、識別情報の中の上位4ビット分がパラレル入力される。したがって、32ビットの入力情報の中の5番目から12番目までの8ビット分の連続したビット列に識別情報が含まれることとなる。
また、ここでは、出力部230の出力ポートQ7が、入力部222aの入力ポートD0に接続されている。データ送信部342aは、32ビットの出力情報のうち、最上位ビットに異常判定部342cから送信された判定値を設定する。これにより、当該判定値は、出力部230の出力ポートQ7に出力され、入力部222aの入力ポートD0から入力されて、異常判定部342cにループバッグされる。
図19は、第1意匠ユニット400および第2意匠ユニット450の識別動作を示すフローチャートである。遊技機100の電源が投入されると、サブCPU330aは、初期化処理を行う(S40)。なお、初期化処理は、第1意匠ユニット400および第2意匠ユニット450の識別が行われた後に行われるとしてもよい。
次に、サブCPU330aは、識別実行手段336として機能し、識別情報の取得を行う(S41)。具体的には、識別実行手段336は、データ受信部342bから第2ラッチ信号を送信させ、データ送信部342aからクロック信号を送信させる。ここでは、入力部222cは、第2ラッチ信号の立ち下がりで、上位4ビット分の入力ポートに入力されている識別情報と、下位4ビット分の入力ポートに入力されている入力情報とをシフトレジスタにラッチする。入力部232は、第2ラッチ信号の立ち下がりで、下位4ビット分の入力ポートに入力されている識別情報と、上位4ビット分の入力ポートに入力されている入力情報とをシフトレジスタにラッチする。入力部222a、222bも、第2ラッチ信号の立ち下がりで、入力ポートに入力されている入力情報をシフトレジスタにラッチする。そして、入力部222、232は、ラッチした入力情報および識別情報をシリアル化したシリアル信号を、受信したクロック信号に基づいて、データ受信部342bに送信する。データ受信部342bは、クロック信号に基づいて、入力部222、232からシリアル信号を受信する。そして、識別実行手段336は、データ受信部342bが受信したシリアル信号に含まれる識別情報を取得する。
次に、識別実行手段336は、第1意匠ユニット400および第2意匠ユニット450が遊技盤108に適切に対応する(適合する)ものであるか否かを判断する(S42)。具体的には、第1実施形態と同様に、サブROM330bに記憶されている識別テーブルにおける正規の識別情報と、比較対象の識別情報である第1意匠ユニット400および第2意匠ユニット450から取得した識別情報とを比較する。取得した比較対象の識別情報が8ビットの連続したビット列となっているため、識別実行手段336は、連続したビット列を識別情報として一度に取得できるので、正規の識別情報と比較対象の識別情報との比較を行い易い。また、隣接する入力部222c、232同士のシリアル信号のビット列が連続するため、識別情報の比較が行い易いことに加え、識別情報のビット数を抑えつつ、第1意匠ユニット400および第2意匠ユニット450の識別を同時に行うことが可能となる。
比較対象の識別情報が正規の識別情報に一致する場合、識別実行手段336は、接続されている第1意匠ユニット400および第2意匠ユニット450は遊技盤108に適切に対応するものであると判断する(S42におけるYES)。そして、サブCPU330aは、識別実行手段336としての処理を終了し、通常処理に移行する(S44)。すなわち、遊技機100は、客待ち状態に移行することとなる。
一方、比較対象の識別情報が正規の識別情報に一致しない場合、識別実行手段336は、接続されている第1意匠ユニット400および第2意匠ユニット450は遊技盤108に適切に対応するものではないと判断する(S42におけるNO)。そして、識別実行手段336は、報知部360を動作させて、適切に対応する第1意匠ユニット400および第2意匠ユニット450が接続されていない旨の報知を行う(S43)。
上述のように、第1意匠ユニット400の識別情報設定部224の識別情報と第2意匠ユニット450の識別情報設定部224の識別情報との両方を合わせて、1の識別情報が構成されている。このことから、第1意匠ユニット400および第2意匠ユニット450のいずれか一方または双方が異なるものであるときに、比較対象の識別情報が正規の識別情報に一致しないようになる。つまり、ここでは、第1意匠ユニット400および第2意匠ユニット450の少なくとも一方が異なるものであるときに、報知部360にその旨を報知させる。
第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、演出表示部200a、楽曲出力装置206、各種のLEDランプなどを報知部360として機能させることができる。例えば、演出表示部200aを報知部360として機能させる場合、エラーメッセージを表示させてもよいし、楽曲出力装置206を報知部360として機能させる場合、エラーメッセージなどを放音させてもよいし、各種のLEDランプを報知部360として機能させる場合、各種のLEDランプを激しく点滅させてもよい。なお、報知処理は、第1実施形態と同様に、遊技機100の電源が切られるまで維持される。また、各種演出装置において正常な動作が行われないこととなるが、主制御基板300によって制御される遊技を行うことは可能である。
以上のように、第3実施形態では、第1意匠ユニット400および第2意匠ユニット450の識別が同時に行われる。したがって、第3実施形態によれば、遊技機100の設置時に前枠106に取り付けられる複数の部材を、同時に確実に識別することができる。
第3実施形態では、第1意匠ユニット400および第2意匠ユニット450の2個の部材を同時に識別していた。しかし、同時に識別する部材の数は、2個に限らない。例えば、3個以上の部材を同時に識別してもよい。その場合、識別対象における入力部を、入力部222、232の例にならってデイジーチェイン接続してシリアル信号を送信させることで、複数の識別対象を同時に識別可能となる。
また、第3実施形態では、第1意匠ユニット400の識別情報設定部224の識別情報と、第2意匠ユニット450の識別情報設定部224の識別情報との両方を合わせて、1の識別情報が構成されていた。しかし、第1意匠ユニット400の識別情報設定部224および第2意匠ユニット450の識別情報設定部224のそれぞれに、完全な1の識別情報が設定されてもよい。この場合、識別実行手段336は、第1意匠ユニット400の識別情報設定部224の識別情報と、第2意匠ユニットの識別情報設定部224の識別情報とのそれぞれに対し、正規の識別情報との比較を行えばよい。この態様によれば、例えば、第1意匠ユニット400および第2意匠ユニット450の一方が適切に対応しており、他方が異なるような場合など、異なる方を特定して識別することが可能となる。また、この態様によれば、第1意匠ユニット400および第2意匠ユニット450のそれぞれについて、機種の特定を行うことが可能となる。
また、入力部232の入力ポートに、1の識別情報が入力され、入力部222には識別情報が入力されないようにしてもよい。また、入力部222の入力ポートに、1の識別情報が入力され、入力部232の入力ポートには識別情報が入力されないようにしてもよい。
また、識別情報は、入力部222、232に亘って連続するように入力されていた。しかし、識別情報は、入力部222、232に亘って、連続していなくてもよい。
また、出力部230および入力部232に送信される第1ラッチ信号、第2ラッチ信号およびクロック信号は、中継基板350を経由して送信されていた。しかし、出力部230および入力部232に送信される第1ラッチ信号、第2ラッチ信号およびクロック信号は、中継基板350を経由せずに送信されてもよい。
(第4実施形態)
第1実施形態では、意匠ユニット400の中継基板350と前枠106の中継基板352とがハーネスを介して接続されていた。ハーネス(ワイヤハーネス)は、複数の電線が集合され、それら複数の電線の両端に多芯のコネクタが取り付けられて構成される。意匠ユニット400と副制御基板330との間で送受信される信号の数が少ない場合、例えば、中継基板350と中継基板352とを結ぶハーネスは、中継基板350との間で1組のコネクタによって接続され、中継基板352との間で1組のコネクタによって接続される。
意匠ユニット400の前枠106への取り付け時には、意匠ユニット400を機械的に前枠106に固定することに加え、ハーネスのコネクタを中継基板350、352のコネクタに接続することも行われる。この際、適切に対応する意匠ユニット400が前枠106に機械的に固定されたとしても、コネクタの接続作業を忘れて、コネクタの未接続が生じるおそれがある。中継基板350と中継基板352とを結ぶハーネスが1個であれば、このようなコネクタの未接続を、適切に対応する意匠ユニット400が接続されていないとして電気的に認識することが可能である。
ここで、例えば、意匠ユニット400に演出が表示される液晶表示装置が追加されたとする。このような場合、意匠ユニット400と副制御基板330との間で送受信される信号の数が増加するため、例えば、中継基板350と中継基板352との間を複数のハーネスで接続することがある。なお、中継基板352と中継基板354との間や中継基板354と副制御基板330との間も同様である。
例えば、中継基板350と中継基板352とを結ぶハーネスが2個ある場合、一方のハーネスのコネクタは接続され、他方のハーネスのコネクタは接続されないことが起こり得る。この場合、意匠ユニット400の各部では、適切な演出が行われないこととなる。第4実施形態では、このような場合においても、意匠ユニット400を電気的に識別可能とする。
図20は、第4実施形態における意匠ユニット400の中継基板350と前枠106の中継基板352との電気的な接続例を示すブロック図である。図20では、中継基板350および中継基板352の一部が示されている。また、図20では、ハーネス380、382が、複数の電線が集合されていることを表わす楕円によって示している。また、図20では、ハーネス380、382における複数の電線のうち、リセット信号、第2ラッチ信号、クロック信号、シリアル信号以外の信号が伝送される電線を破線で示している。この破線で示される電線によって伝送される信号は、中継基板352から中継基板350に伝送されてもよいし、中継基板350から中継基板352に伝送されてもよい。
意匠ユニット400の中継基板350には、2個のコネクタ370a、372aが設けられている。また、前枠106の中継基板352には、2個のコネクタ374a、376aが設けられている。
中継基板350のコネクタ370aには、ハーネス380の一端に設けられているコネクタ370bが接続される。ハーネス380の他端に設けられているコネクタ374bは、中継基板352のコネクタ374aに接続される。また、中継基板350のコネクタ372aには、ハーネス382の一端に設けられているコネクタ372bが接続される。ハーネス382の他端に設けられているコネクタ376bは、中継基板352のコネクタ376aに接続される。中継基板350と中継基板352との間において、ハーネス380とハーネス382とが並列に配置されている。
ハーネス380には、異常判定部342cから送信されるリセット信号、データ受信部342bから送信される第2ラッチ信号、データ送信部342aから送信されるクロック信号が割り当てられている。つまり、リセット信号、第2ラッチ信号、クロック信号は、中継基板352からハーネス380を介して中継基板350に送信される。そして、コネクタ370b、370aを介して受信されたリセット信号、第2ラッチ信号、クロック信号は、各入力部222に送信される。
入力部222cのSO端子は、コネクタ372aに接続されている。ハーネス382には、入力部222cのSO端子から送信されるシリアル信号が割り当てられている。つまり、シリアル信号は、コネクタ372a、372b、ハーネス382を介して中継基板350から中継基板352に送信される。そして、中継基板352に送信されたシリアル信号は、副制御基板330のデータ受信部342bに送信される。
第4実施形態においても、第1実施形態と同様にして、意匠ユニット400の識別が行われる。
異なる意匠ユニット400が前枠106に固定されて、すべてのコネクタ370a、370b、372a、372b、374a、374b、376a、376bの接続が完了していた場合、識別実行手段336は、その意匠ユニット400に設定された識別情報を取得することができる。この場合、識別実行手段336は、適切に対応する意匠ユニット400が接続されていない旨を、機種を特定して報知部360に報知させることができる。
ここで、例えば、ハーネス380側のコネクタ370a、370b、374a、374bの接続が完了しており、ハーネス382側のコネクタ372a、372b、376a、376bの接続が完了していない状態で、遊技機100の電源が投入されたとする。
この場合、中継基板350は、ハーネス380を介して第2ラッチ信号およびクロック信号を受信することができる。中継基板350において入力部222は、第2ラッチ信号およびクロック信号に基づいて、シリアル信号を生成し、入力部222cのSO端子からシリアル信号を送信する。しかし、シリアル信号の伝送経路の途中のコネクタ372a、372b、376a、376bが電気的に接続されていないため、シリアル信号、すなわち、識別情報が、意匠ユニット400から副制御基板330に伝送されないこととなる。その結果、副制御基板330は、論理が固定されたシリアル信号、すなわち、論理が固定された識別情報を取得することとなる。
識別実行手段336では、識別テーブルにおける正規の識別情報と、論理が固定された識別情報との比較が行われることとなる。論理が固定された識別情報は、正規の識別情報に一致しない確率が高い。そして、識別実行手段336は、適切に対応する意匠ユニット400が接続されていない旨を報知部360に報知させる。
また、例えば、ハーネス382側のコネクタ372a、372b、376a、376bの接続が完了しており、ハーネス380側のコネクタ370a、370b、374a、374bの接続が完了していない状態で、遊技機100の電源が投入されたとする。
この場合、第2ラッチ信号およびクロック信号の伝送経路の途中のコネクタ370a、370b、374a、374bが電気的に接続されていないため、中継基板350は、第2ラッチ信号およびクロック信号を受信することができない。これにより、入力部222では、識別情報を含むシリアル信号が生成されないこととなる。その結果、この場合においても、副制御基板330は、論理が固定された識別情報を取得することとなる。これにより、識別実行手段336は、論理が固定された識別情報を比較対象の識別情報として比較を行い、適切に対応する意匠ユニット400が接続されていない旨を報知部360に報知させることとなる。
なお、ハーネス380側のコネクタ370a、370b、374a、374b、ハーネス382側のコネクタ372a、372b、376a、376bのいずれについても、接続が完了していない状態で、遊技機100の電源が投入された場合についても、上述と同様に、適切に対応する意匠ユニット400が接続されていない旨が報知される。
なお、中継基板350と中継基板352との間の配線を例示して説明したが、中継基板352と中枠104の中継基板354との間の配線、中継基板354と副制御基板330との間の配線についても同様である。
以上のように、第4実施形態では、ハーネス380を介して第2ラッチ信号およびクロック信号が送受信され、ハーネス382を介してシリアル信号が送受信される。したがって、第4実施形態によれば、複数のハーネス380、382が並列に配置されていても意匠ユニット400を電気的に確実に識別可能となる。
第4実施形態では、異なる意匠ユニット400が接続されている旨を識別可能であることに加え、意匠ユニット400の機種に依らず、意匠ユニット400の電気的な未接続を、適切に対応する意匠ユニット400が接続されていないとして、識別可能である。
第4実施形態では、ハーネス380に第2ラッチ信号およびクロック信号が割り当てられ、ハーネス382にシリアル信号が割り当てられていた。しかし、ハーネス380、382への第2ラッチ信号、クロック信号およびシリアル信号の割り当ては、この態様に限らない。例えば、ハーネス380にクロック信号が割り当てられ、ハーネス382に第2ラッチ信号およびシリアル信号が割り当てられてもよい。
また、2個のハーネス380、382が並列に配置されていた。しかし、3個のハーネスが並列に配置されてもよい。この場合、3個のハーネスの各々に、第2ラッチ信号、クロック信号、シリアル信号を分散して割り当ててもよい。
また、すべてのコネクタ370a、370b、372a、372b、374a、374b、376a、376bの接続が完了している状態における識別情報の不一致による報知の内容と、コネクタ370a、370b、372a、372b、374a、374b、376a、376bの少なくともいずれかの接続が完了していない状態における識別情報の不一致による報知の内容とを、異ならせてもよい。
(第5実施形態)
図21は、第5実施形態における意匠ユニット400の中継基板350の構成を示すブロック図である。
第5実施形態において、入力部222cの入力ポートD0には、検出スイッチ240aが接続されている。つまり、入力部222cの入力ポートD0には、検出スイッチ240aの検出結果が入力される。
検出スイッチ240aは、例えば、演出タッチセンサ210sである。検出スイッチ240aが演出タッチセンサ210sである場合、例えば、タッチが検出されないときに、Hiの検出結果が出力され、タッチを検出したときに、Lowの検出結果が出力される。
検出スイッチ240aの出力端と入力ポートD0との間の配線には、抵抗器242aの一端が接続されている。抵抗器242aの他端は、所定電圧(例えば、5V)の電源に接続されている。ここで、検出スイッチ240aの出力方式は、オープンコレクタまたはオープンドレインとなっている。抵抗器242aは、検出スイッチ240aがHiの検出結果を出力するときに、Hiの検出結果の電圧を所定電圧(5V)にするために設けられる。
また、入力部222cの入力ポートD1には、インバータ244を介して検出スイッチ240bが接続されている。つまり、入力部222cの入力ポートD1には、検出スイッチ240bの検出結果が入力される。
検出スイッチ240bは、例えば、演出役物装置202の初期位置を確認するためのリミットセンサである。検出スイッチ240bがこのようなリミットセンサである場合、例えば、演出役物装置202が初期位置にあるときに、Hiの検出結果が出力され、演出役物装置202が初期位置にないときに、Lowの検出結果が出力される。
検出スイッチ240bの出力端とインバータ244との間の配線には、抵抗器242bの一端が接続されている。抵抗器242bの他端は、所定電圧(例えば、5V)の電源に接続されている。抵抗器242bは、抵抗器242aと同様に、検出スイッチ240bがHiの検出結果を出力するときに、Hiの検出結果の電圧を所定電圧(5V)にするために設けられる。
インバータ244は、検出スイッチ240bの検出結果を論理反転する。これにより、検出スイッチ240bから出力されたHiの検出結果は、論理反転されてLowの検出結果として入力ポートD1に入力され、検出スイッチ240bから出力されたLowの検出結果は、論理反転されてHiの検出結果として入力ポートD1に入力される。つまり、インバータ244は、入力ポートD1に入力する検出結果の論理を、所望の識別情報に合わせ込むために設けられている。
また、識別情報設定部224は、入力部222cの入力ポート(D2〜D7)に接続されている。つまり、識別情報設定部224で設定されている8ビットの識別情報のうちの下位2ビット分を除く上位6ビット分が、入力ポート(D2〜D7)に入力される。
ここでは、入力ポートD0に入力される検出スイッチ240aの検出結果が、識別時において、識別情報の最下位ビットとして用いられ、入力ポートD1に入力される検出スイッチ240bの検出結果が、識別時において、識別情報の最下位から2番目のビットとして用いられる。つまり、ここでは、検出スイッチ240aの検出結果、検出スイッチ240bの検出結果、識別情報設定部224の6ビットを合わせて、1の識別情報を構成する。
検出スイッチ240aが演出タッチセンサ210sである場合、タッチが検出されないときにHiの検出結果が入力ポートD0に入力されるため、識別情報の最下位ビットは、Hiを示す。
検出スイッチ240bが上述のようなリミットセンサである場合、演出役物装置202が初期位置にあるときに、Hiの検出結果を論理反転したLowの検出結果が、入力ポートD1に入力されるため、識別情報の最下位から2番目のビットは、Lowを示す。インバータ244は、識別情報の最下位から2番目のビットを、Hiではなく、Lowに設定するために挿入されている。
例えば、識別時における検出スイッチ240bの検出結果がHiであり、識別情報における最下位から2番目のビットをHiに設定する場合、インバータ244は省略可能である。また、例えば、識別時における検出スイッチ240aの検出結果がHiであり、識別情報における最下位ビットをLowに設定する場合、検出スイッチ240aと入力ポートD0との間にインバータ244が挿入される。このように、識別情報に合わせ込むためにインバータ244の挿入および省略がなされる。
第5実施形態においても、第1実施形態と同様にして、意匠ユニット400の識別が行われる。
ここでは、検出スイッチ240aである演出タッチセンサ210sにタッチしない状態で、遊技機100の電源の投入が行われる。電源が投入されると、初期化処理が行われる。初期化処理が行われると、演出役物装置202が初期位置に配置される。演出タッチセンサ210sにタッチしない状態で電源の投入が行われるため、タッチが検出されない旨のHiの検出結果が、検出スイッチ240aから入力ポートD0に入力されることとなる。また、初期化処理によって演出役物装置202が初期位置に配置されるため、演出役物装置202が初期位置にある旨を示し、論理反転されたLowの検出結果が、検出スイッチ240bから入力ポートD1に入力されることとなる。
初期化処理の後、識別実行手段336は、識別情報を取得する。識別実行手段336は、識別情報を取得するために、データ受信部342bに第2ラッチ信号を送信させ、データ送信部342aにクロック信号を送信させる。入力部222cは、第2ラッチ信号の立ち下がりで、入力ポート(D0〜D7)に入力されている識別情報をシフトレジスタにラッチする。つまり、識別情報取得時には、検出スイッチ240aの検出結果および検出スイッチ240bの検出結果は、識別情報の一部としてラッチされる。入力部222cは、識別情報をシリアル化したシリアル信号を、クロック信号に基づいてSO端子から送信する。その結果、識別実行手段336は、識別情報を取得する。
そして、識別実行手段336は、取得した識別情報を比較対象の識別情報として正規の識別情報と比較し、比較対象の識別情報が正規の識別情報に不一致の場合、適切に対応する意匠ユニット400が接続されていない旨を、報知部360に報知させる。
また、比較対象の識別情報が正規の識別情報に一致する場合、通常処理に移行される。通常処理時、第2ラッチ信号およびクロック信号が送信されると、入力部222cの入力ポート(D0〜D7)に入力されるビットを含むシリアル信号がデータ受信部342bに送信される。
例えば、通常処理時において、検出スイッチ240aである演出タッチセンサ210sがタッチを検出した場合、入力ポートD0には、タッチを検出した旨のLowの検出結果が入力される。その結果、入力ポートD0の位置には、Lowの検出結果がラッチされることとなる。また、検出スイッチ240bであるリミットセンサが初期位置において演出役物装置202を検出しない場合、入力ポートD1には、初期位置において演出役物装置202を検出しない旨を示し、論理反転されたHiの検出結果が入力される。その結果、入力ポートD1の位置には、Hiの検出結果がラッチされることとなる。このように、入力ポートD0、D1には、検出スイッチ240a、240bの検出結果が反映される。
通常処理時、サブCPU330aは、シリアル信号における入力部222cの入力ポートD0、D1の位置のビットを、検出スイッチ240a、240bの検出結果を示すビットとして処理する。
以上のように、第5実施形態では、識別情報設定部224と、検出スイッチ240a、240bとが、並列に入力部222cに接続される。そして、第5実施形態では、検出スイッチ240a、240bの検出結果が、識別時において識別情報を構成するビットとして処理され、通常処理時において検出結果を示すビットとして処理される。したがって、第5実施形態によれば、識別情報が入力されることによる入力ポート(すなわち、入力部222)の増加を抑制することが可能となる。
第5実施形態では、検出スイッチ240aが演出タッチセンサ210sであり、検出スイッチ240bがリミットセンサである例を説明したが、検出スイッチ240a、240bは、この例に限らず、各種の検出スイッチであってもよい。例えば、検出スイッチ240a、240bは、押下操作により各種の演出が行われる演出ボタンの押下検出スイッチであってもよい。また、検出スイッチ240a、240bは、検出スイッチに限らず、検出結果を出力して入力ポートに入力可能な検出部であってもよい。
また、例えば、演出役物装置202の位置を制御するモータの回転角度(すなわち、演出役物装置202の位置)を示す情報(例えば、位置を示す情報のうちの上位2ビット分など)を入力部222cの入力ポートD0、D1に入力してもよい。
また、検出スイッチ240aは、入力部222cの入力ポートD0に接続され、検出スイッチ240bは、入力部222cの入力ポートD1に接続されていた。しかし、検出スイッチ240a、240bの接続先は、入力ポートD0、D1に限らず、識別情報としてラッチされる入力ポート(D0〜D7)のいずれであってもよい。
また、識別情報が入力される入力部222cには、2個の検出スイッチ240a、240bが接続されていた。しかし、入力部222cに接続される検出スイッチの数は、2個に限らない。最大で識別情報を構成するビット数だけ、検出スイッチを入力部222cに接続可能である。
また、機種によって識別情報が異なるため、入力ポート(D0〜D7)と、入力ポート(D0〜D7)に接続される検出スイッチとの間に、識別情報に応じて、インバータ244を適宜挿入および省略してもよい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
各実施形態では、識別情報を比較することで、意匠ユニット400の識別を行っていた。しかし、意匠ユニット400の識別を電気的に行えればよく、識別情報を比較する態様に限らない。
例えば、意匠ユニット400には、機種毎に異なる抵抗値の抵抗器が設けられており、意匠ユニット400が副制御基板330に電気的に接続されると、意匠ユニット400の抵抗器を含む閉回路を形成させるようにする。そして、副制御基板330では、その閉回路の電圧または電流を測定し、その測定結果によって意匠ユニット400を識別してもよい。
また、例えば、意匠ユニット400には、接点の配置が異なるコネクタが設けられており、このコネクタの接点には、例えば、電源線が接続されるとする。意匠ユニット400のコネクタにハーネスが接続されると、意匠ユニット400のコネクタの接点に対応する電線のみが電気的に接続される。副制御基板330は、接続された電線の導通を確認し、その導通された電線の配置や組み合わせに基づいて意匠ユニット400を識別してもよい。
また、意匠ユニット400の識別を電気的に行う態様に限らず、意匠ユニット400の識別を機械的に行ってもよい。例えば、意匠ユニット400の取り付け機構を機種毎に異なる形状とし、意匠ユニット400の前枠106等への接続の可否によって、意匠ユニット400の識別を行ってもよい。また、例えば、中継基板350のコネクタ370a、372aの大きさや形状などを機種毎に異なるものとし、コネクタ370a、372aへの接続の可否によって、意匠ユニット400の識別を行ってもよい。これらの場合、取り付け機構やコネクタ370a、372aが、意匠ユニット400の識別を行う識別手段として機能することとなる。
また、各実施形態では、意匠ユニット400に識別情報設定部224が設けられており、副制御基板330が意匠ユニット400から識別情報を取得して識別を行っていた。しかし、識別情報設定部224が遊技盤108に設けられ、遊技盤108から識別情報を取得して識別を行う制御部が、意匠ユニット400に設けられてもよい。意匠ユニット400に識別を行う制御部を設ける場合、識別情報を含ませた出力情報を、副制御基板330から意匠ユニット400に送信してもよい。そして、意匠ユニット400の制御部は、予め記憶された識別情報と、副制御基板330から取得した識別情報とを比較し、不一致の場合、演出照明装置204などを激しく点滅させるなどして報知させてもよい。
また、各実施形態では、意匠ユニット400(第1意匠ユニット400)は、前枠106に取り付けられるものに限らない。例えば、意匠ユニット400は、中枠104に取り付けられてもよいし、外枠102に取り付けられてもよい。例えば、意匠ユニット400が中枠104に取り付けられた場合、意匠ユニット400の中継基板350は、前枠106の中継基板352を経由せずに中枠104の中継基板354に電気的に接続されてもよい。また、第3実施形態において、第2意匠ユニット450は、第1意匠ユニット400を介して前枠106に取り付けられていた。しかし、第2意匠ユニット450は、第1意匠ユニット400を介して中枠104や外枠102に取り付けられてもよいし、前枠106、中枠104、外枠102に直接に取り付けられてもよい。
また、各実施形態では、識別情報が不一致の場合に報知が行われ、識別情報が一致した場合には報知が行われなかった。しかし、識別情報が一致した場合、適切に対応する意匠ユニット400が接続されている旨の報知を行ってから通常処理に移行してもよい。
なお、意匠ユニット400を前枠に取り付けるための取り付け機構として機能する組み付けユニット500が意匠ユニット400に設けられていたが、取り付け機構は、前枠に設けられてもよい。
なお、各実施形態における中枠104が、本発明の遊技盤保持枠に相当する。
また、各実施形態における外枠102、中枠104、前枠106が、本発明の1または複数の枠体に相当する。
また、各実施形態における意匠ユニット400(第1意匠ユニット400)、第2意匠ユニット450が、本発明の構造体に相当する。
また、各実施形態における副制御基板330および第2実施形態における主制御基板300は、構造体が遊技盤108に対応するものであるか否かの識別を行う識別手段に相当するとともに、構造体が遊技盤108に対応するものであるか否かの識別を電気的に行う制御部に相当する。