JP6609286B2 - ヒトにおける炎症性障害の治療用リポソームコルチコステロイド - Google Patents

ヒトにおける炎症性障害の治療用リポソームコルチコステロイド Download PDF

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Description

本発明は、医薬品の分野に関する。より具体的には、本発明は、炎症性障害のコルチコ
ステロイド治療に関する。
リウマチ様関節炎(RA)などの炎症性結合組織疾患、炎症性腎疾患、及び炎症性腸疾
患(IBD)のような炎症性疾患は、能力障害を招くことの多い慢性、進行性及び消耗性
の疾患である。プレドニゾロンや他のコルチコステロイドが炎症性疾患に有効であり得る
が、骨粗しょう症、視床下部−下垂体−副腎皮質系(HPA)抑制、筋肉疲労、インスリ
ン抵抗性、皮膚易損性、重篤な細菌感染のリスク増大、及び心血管イベントを含めて、有
害作用(AE)の発生率が高いためにその全身適用は限られている。ほとんどの場合、こ
れらのAEの重症度は、処方薬剤の用量、曝露時間及び効力に依存する。不十分な安全性
プロファイルに加えて、体内の炎症部位に局在しにくいことも、患者におけるコルチコス
テロイドの有用性を制限しており、そのため、十分な治療効果を得るにはコルチコステロ
イドを頻繁に投与する必要がある。
近年、コルチコステロイドの治療指数を改善するために幾つかの系統の研究が行われた
。これらの系統には、例えば、選択的グルココルチコイド(GC)受容体作動物質(SE
GRA)の開発、コルチコステロイドと活性化炎症細胞におけるその効果を増強する薬物
との組合せ、徐放性薬剤の開発、及び実際の炎症部位を標的にしてコルチコステロイドを
送達する高度な製剤の設計が含まれる。コルチコステロイドの標的送達は、静脈内注射後
に循環し、同時に高い血管透過性のために炎症病変部位において血管外遊出し、標的部位
に選択的にコルチコステロイドの局所的デポーを構築する血中滞留型リポソーム(LCL
)への封入によって実現することができる。この手法は、例えば、国際公開第02/45
688号及び国際公開第03/105805号に記載されており、関節炎及び他の炎症性
疾患の実験動物モデルを用いた前臨床試験において有効であることが証明された。
一般に、これらの実験においては、PEG−リポソームリン酸プレドニゾロン(PLP
)10mg/kgの用量のPLPは、治療後1週間まで炎症を消散させ、その後炎症は徐
々に再発する。PEG−リポソームリン酸プレドニゾロン20mg/kgでは、炎症の消
散を治療後2週間でも観察することができる。同じ用量の遊離プレドニゾロンを用いた単
剤治療は有効ではなく、遊離プレドニゾロンを用いて毎日繰り返して治療しても、実施例
1(図1A及び1B)の研究結果によって示されるように短期間の中程度の効果しか得ら
れない。
しかし、ヒトにおけるコルチコステロイド用量レベル10及び20mg/kgのリポソ
ームコルチコステロイド静脈内投与は実際的でない。体重1kg当たり20mgの用量の
プレドニゾロンを体重75kgの個体に投与すると、合計1.5gのプレドニゾロンが投
与される。リポソームプレドニゾロン製剤の一般的なプレドニゾロン含量はプレドニゾロ
ン1.5mg/mLである。その結果、体重1kg当たり20mgの用量のプレドニゾロ
ンは、1回の治療につき1リットル(プレドニゾロン1.5g/1.5mg/mL)の製
剤を必要とすることになる。次いで、輸注反応又は過敏反応、すなわちヒトへのリポソー
ムなどの粒子の静脈内投与に起因し得るアレルギー様反応を防止するために、かかる量の
製剤を12時間以上にわたって注入する必要がある。さらに、これらの高プレドニゾロン
用量によって、莫大な量のリン脂質、コレステロールなどのリポソーム成分が患者に投与
される。したがって、ヒトにおける炎症性障害の治療にはより低用量のリポソームコルチ
コステロイドが好ましい。その場合、投与に必要なリポソームコルチコステロイド製剤が
少なく、12時間もの投与時間を必要としないからである。しかし、動物試験においては
、10mg/kg未満の用量のリポソームプレドニゾロンは、例えば実施例1(図2A及
び2B)において示されるように、持続的な効果が極めて小さい。プレドニゾロン1mg
/kgは、4日間のみの限られた効果しかない。プレドニゾロン2mg/kgは、わずか
に効果が高いが、効果持続時間は同じである。5mg/kgでも治療活性は1週間以内で
ある。
同様の観察結果は、先行刊行物にも記載されている。例えば、国際公開第02/456
88号には、用量10mg/kgのリポソームリン酸プレドニゾロンが、アジュバント誘
発関節炎のラットに有効であることが記載されている。1mg/kgのリポソームリン酸
プレドニゾロンも有効であったと述べられているが、治療効果の持続時間は示されていな
い。類似の科学刊行物Metselaar JM.et al.2003は、用量1mg
/kgのリポソームリン酸プレドニゾロンの治療活性がアジュバント誘発関節炎のラット
において4日間しか持続しないことを示した(Metselaar JM.et al.
図3A参照)。したがって、ラットにおける用量1mg/kgの持続的治療には、少なく
とも4日に1回のリポソームコルチコステロイド投与が必要になる。
欧州特許第2127639号は、リポソームコルチコステロイドを循環器疾患の治療に
使用することを記載している。例として、大動脈の動脈硬化巣を有するウサギの治療が記
載されている。ウサギを15mg/kg体重の用量のリポソームリン酸プレドニゾロンで
治療すると、治療効果は最高2週間持続した。それより低用量のリポソームコルチコステ
ロイドは試験されず、記載されていない。
国際公開第2006/060759号は、リポソームトリアムシノロンを気道の治療に
使用することに関する。噴霧器による投与が1〜2週間に1回なされることが記載されて
いるが、リポソームトリアムシノロン用量は示されていない。国際公開第2006/06
0759号の実験の項にはぜん息のマウスモデルが記載されている。マウスは、リポソー
ムトリアムシノロンを用いて1週間に1回治療された。
したがって、従来技術は、少なくとも10mg/kg体重の用量の投与が、炎症性障害
の動物モデルにおいて少なくとも2週間持続する治療効果をもたらし得ることを教示して
いる。これらの動物におけるより低用量のリポソームコルチコステロイドの投与は、1週
間に1回、4日に1回などのより高頻度で治療した場合にしか満足した治療効果が得られ
ないことがある。したがって、先行刊行物及び本実施例1に記載のラット、マウス及びウ
サギにおいて実施された実験に基づいて、当業者は、有効な治療反応を得るには、コルチ
コステロイド10mg/kg未満の用量レベルでの治療の場合、少なくとも1週間以内、
場合によっては4日ごとの繰り返しが必要であると考えるであろう。本発明の前までは、
コルチコステロイド10mg/kg未満の用量で持続的治療反応は不可能と考えられた。
せいぜい短期間の効果が予想され、リポソームコルチコステロイドの複数回投与が必要で
あった。医療現場においては、これは、これらの低用量レベルでは、リポソームコルチコ
ステロイドは外来患者に適用される状況にあるので、患者は新しい静脈内注入を受けるの
に4から7日ごとに来院する必要があることを意味しており、実際的でない。リポソーム
コルチコステロイド治療が可能であるためには、患者は、治療を繰り返す必要なしに、又
は少なくとも次の2週間若しくはそれより長期間以内に病院に戻る必要なしに、治療後に
帰宅できる持続的治療反応を得る必要がある。さらに、治療の注入時間は、好ましくは、
約4時間を超えず、したがって治療は、最大200mLのリポソームコルチコステロイド
製剤に制限される必要がある。最後に、好ましくは、治療によって患者は、例えば、比較
的安価で広く利用可能な低分子疾患修飾剤(例えば、メトトレキサート、ヒドロキシクロ
ロキン、レフルノミド、シクロホスファミド、5−フルオロウラシル、5−ASA剤、6
−メルカプトプリン又はアザチオプリン)を含む維持療法を続けることができる。かかる
疾患修飾剤は、炎症の一時的な増悪を抑制するのには有効でなく、使用もされないが、疾
患の長期経過の緩和に使用される。臨床実務によれば、炎症の短期の増悪の有効な治療が
ないと患者は比較的安価な(ジェネリックの)疾患修飾剤による維持療法をやめ、その代
わりに比較的高価な生物学的製剤(例えば、インフリキシマブ、Enbrel、アダリム
マブ、アナキンラ及び関連製剤)による療法の開始を望む可能性のあることが明らかにな
った。疾患修飾剤に対して、かかる生物学的製剤は、急性状態において有効であり得るが
、疾患修飾剤同様、維持療法として使用する必要がある。しかし、かかる生物学的製剤に
よる維持療法のコストは、疾患修飾剤による療法のコストの何倍にもなり、生物学的製剤
に切り換える患者の傾向は、最終的に医療費負担の莫大な増加をもたらし得る。
本発明の目的は、炎症性結合組織疾患(特にリウマチ様関節炎)、炎症性腎疾患、炎症
性腸疾患などの炎症性障害の増悪又は活動期にある患者において、持続性の臨床的に意味
のある治療反応を得るのに使用することができるリポソームコルチコステロイド製剤を提
供することによって、上記制限を克服することである。したがって、本発明は、一態様に
おいては、ヒトにおける炎症性障害の治療方法であって、それを必要とするヒトに、10
モルパーセント以下の負に帯電した小胞形成脂質及び/又は10モルパーセント以下のP
EG化脂質を場合によっては含む、非荷電小胞形成脂質で構成されたリポソームを含む薬
剤組成物を投与することを含み、リポソームが40〜200nmのサイズ範囲の選択され
た平均粒径を有し、最大でプレドニゾロン5mg/kg体重の用量で又はプレドニゾロン
以外のコルチコステロイドの等効力用量で水溶性型の第1のコルチコステロイドを含み、
前記治療の治療頻度が多くても2週間に1回である、方法を提供する。10モルパーセン
ト以下の負に帯電した小胞形成脂質及び/又は10モルパーセント以下のPEG化脂質を
場合によっては含む、非荷電小胞形成脂質で構成されたリポソームの使用であって、リポ
ソームが40〜200nmのサイズ範囲の選択された平均粒径を有し、最大でプレドニゾ
ロン5mg/kg体重の用量で又はプレドニゾロン以外のコルチコステロイドの等効力用
量でヒトにおける炎症性障害の治療用医薬品の調製のための水溶性型の第1のコルチコス
テロイドを含み、前記治療の治療頻度が多くても2週間に1回である、使用も提供する。
10モルパーセント以下の負に帯電した小胞形成脂質及び/又は10モルパーセント以
下のPEG化脂質を場合によっては含む、非荷電小胞形成脂質で構成され、40〜200
nmのサイズ範囲の選択された平均粒径を有し、水溶性型の第1のコルチコステロイドを
含むリポソームを、本明細書では「本発明による方法に使用されるリポソーム」及び「本
明細書に定義されたリポソーム」とも称する。
かかるリポソームを含む薬剤組成物を、本明細書では「本発明による方法に使用される
薬剤組成物」及び「本明細書に記載のリポソームを含む薬剤組成物」と称する。
本発明は、炎症性障害のあるヒトにおいて最大でプレドニゾロン5mg/kg体重の用
量で又はプレドニゾロン以外のコルチコステロイドの等効力用量でリポソームコルチコス
テロイドを投与すると最高2週間以上の驚くほど長い持続的治療効果がもたらされるとい
う洞察を与えるものである。実施例2に示されるように、リウマチ様関節炎(RA)患者
においては、迅速で強力な持続的抗炎症活性が150mg(約2mg/kg)の比較的低
い用量で見られる。この活性は、これらの疾患用に現在市販されている比較的新しい静脈
内抗TNFアルファ生物学的製剤に匹敵する(EULAR DAS−28スコア1.5ポ
イントの低下)。このより低い(したがって臨床的により実用的な)用量レベルで認めら
れた持続的効果は、ラットにおけるこれらの用量レベルでの公知の前臨床試験結果に比べ
て新しい(図6の実施例1のラットにおける前臨床試験結果と実施例2で報告されたヒト
における本発明による臨床試験結果の比較を参照されたい)。臨床実務においては、これ
は、患者が炎症性疾患の増悪又は活動期、すなわち疾患再燃を経験したときに、疾患再燃
を抑制するのに単一の治療で十分であり得ることを意味する。あるいは、反復治療が必要
である場合に、疾患再燃を抑制するのに、増悪又は疾患活動期が続く限り2週間に1回以
下の治療頻度で十分である。
本発明による方法に使用されるリポソームを含む薬剤組成物は、有利には、遊離コルチ
コステロイドを含む第2の薬剤組成物と組み合わせられる。本発明者は、静脈内リポソー
ムコルチコステロイドを用いた治療が、コルチコステロイドの筋肉内投与製剤を用いた治
療と補完関係にあることを見いだした。実施例2で示すように、RAに罹患したヒトにお
けるリポソームコルチコステロイドの治療活性は、筋肉内投与された等効力用量の遊離コ
ルチコステロイド(実施例2のメチルプレドニゾロン)よりも強力であるだけでなく、迅
速でもある。図3〜5に示すように、リポソームコルチコステロイドは、特に第1週中に
迅速で強力な治療反応をもたらす。リポソームコルチコステロイドは、投与後最初の2週
間以内にその最大治療活性、すなわちEULAR疾患活動性スコアの最大低減を示し、そ
の後スコアは再度徐々に増加する。一方、遊離コルチコステロイドの筋肉内投与製剤は、
数週間後に適度な治療反応に達する。治療活性は、投与後徐々に増加し、投与後第3から
7週でその最大治療活性に達する。したがって、筋肉内投与された遊離コルチコステロイ
ドはデポー製剤として機能する。したがって、リポソームコルチコステロイドと遊離コル
チコステロイドの組合せは、強力な直接の治療活性と投与後数週間の強力な治療活性が得
られるので、特に有利である。したがって、かかる組合せを使用すると、リポソームコル
チコステロイドは炎症性障害の直接治療として役立ち、遊離コルチコステロイドはデポー
製剤として、すなわちより緩効性の治療として役立つ。したがって、これら二つの治療を
同時に行うと、さらに長期間(4〜6週間以上)にわたる有効性プロファイルが得られ、
リポソーム製剤を用いた反復治療を少なくとも4週間回避することができる。
一実施形態においては、本発明は、したがって、ヒトにおける炎症性障害の治療方法で
あって、それを必要とするヒトに本明細書に記載のリポソームを含む薬剤組成物と第2の
遊離コルチコステロイドを含む薬剤組成物とを投与することを含む、方法を提供する。最
大でプレドニゾロン5mg/kg体重の用量又はプレドニゾロン以外のコルチコステロイ
ドの等効力用量、及び多くても2週間に1回のリポソームコルチコステロイドの治療頻度
が好ましい。
本明細書に記載のリポソームを含む薬剤組成物と第2の遊離コルチコステロイドを含む
薬剤組成物とを含む、部品のキットも提供する。前記部品のキットは、更に好ましくは、
最大でプレドニゾロン5mg/kg体重又はプレドニゾロン以外のコルチコステロイドの
等効力用量の第1のリポソームコルチコステロイドの多くても2週間に1回の治療頻度の
投与計画、及び場合によっては、プレドニゾロン0.5〜5mg/kg体重又はプレドニ
ゾロン以外のコルチコステロイドの等効力用量の第2の遊離コルチコステロイドの投与計
画の説明書を含む。部品のキットは、最大でプレドニゾロン5mg/kg体重又はプレド
ニゾロン以外のコルチコステロイドの等効力用量で多くても2週間に1回の治療頻度の投
与計画に対応したリポソームコルチコステロイド量を含むことが好ましい。したがって、
前記部品のキットは、好ましくは、1以上の単位用量を含み、各単位用量は、最大でプレ
ドニゾロン5mg/kg体重の用量で又はプレドニゾロン以外のコルチコステロイドの等
効力用量で第1のリポソームコルチコステロイドを投与するのに適切である。さらに、前
記部品のキットは、好ましくは、1以上の単位用量を含み、各単位用量は、プレドニゾロ
ン0.5〜5mg/kg体重の用量で又はプレドニゾロン以外のコルチコステロイドの等
効力用量で第2の遊離コルチコステロイドを投与するのに適切である。
好ましくは最大でリポソームプレドニゾロン5mg/kg体重の用量で又はプレドニゾ
ロン以外のリポソームコルチコステロイドの等効力用量で、本明細書に記載のリポソーム
を含む薬剤組成物と、ヒトにおける炎症性障害の治療方法に使用される第2の遊離コルチ
コステロイドを含む薬剤組成物との組合せであって、前記治療の治療頻度が多くても2週
間に1回である、組合せも提供する。
本明細書では「遊離コルチコステロイド」とは、リポソームなどの微小胞に取り込まれ
ていないコルチコステロイドを指す。場合によっては、前記遊離コルチコステロイドは、
場合によっては1種類以上の薬学的に許容される添加剤の存在下で、薬学的に許容される
担体に結合しており、及び/又は薬学的に許容される希釈剤中に存在する。第2の遊離コ
ルチコステロイドは、好ましくは脂溶性型であり、第1のリポソームコルチコステロイド
と同一でも異なっていてもよい。好ましくは、第2の遊離コルチコステロイドは、ヒトに
おける炎症性障害治療の臨床実務に使用されるコルチコステロイドであり、一般には、プ
レドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾ
ン、コルチゾン、又は酢酸プレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、酢酸トリアムシ
ノロン、リン酸ベタメタゾンなどのそのそれぞれの誘導体である。
前記第2の遊離コルチコステロイドを含む薬剤組成物は、本発明による方法においてそ
れを必要とするヒトに好ましくは経口、関節内、静脈内、皮下投与され、最も好ましくは
筋肉内投与される。本明細書に記載のリポソームを含む薬剤組成物は、好ましくは静脈内
投与され、より好ましくは静脈内注入される。
本明細書に記載のリポソームと第2の遊離コルチコステロイドの投与を含む併用療法を
使用する場合、前記療法は、好ましくは、前記リポソームを含む薬剤組成物を最大でプレ
ドニゾロン5mg/kg体重の用量で又はプレドニゾロン以外のコルチコステロイドの等
効力用量で多くても2週間に1回の治療頻度で投与することを含む。前記第2の遊離コル
チコステロイドは、好ましくは、0.5〜5mg/kg、好ましくは1〜5mg/kgの
用量で、多くても2週間に1回の治療頻度で投与される。最も好ましくは、前記第1のリ
ポソームコルチコステロイドと前記第2の遊離コルチコステロイドを同時に投与する。「
同時に」とは、第1と第2のコルチコステロイドを同時に又はほぼ同時に投与することを
意味する。第2の遊離コルチコステロイドは、好ましくは、第1のリポソームコルチコス
テロイドの投与開始前1時間以内に、第1のリポソームコルチコステロイドの投与中に、
又は第1のリポソームコルチコステロイドの投与終了後1時間以内に、より好ましくは第
1のリポソームコルチコステロイドの投与前若しくは投与後30分以内に、更により好ま
しくは第1のリポソームコルチコステロイドの投与前若しくは投与後15分以内に、又は
第1のリポソームコルチコステロイドの投与中に、投与される。
本発明による方法に使用されるリポソームを含む薬剤組成物は、有利には、疾患修飾剤
を含む薬剤組成物とも組み合わせられる。本発明によれば、本発明による方法に使用され
るリポソームを含む薬剤組成物は、炎症性障害の能動的な発症を阻止するのに特に適して
いる。かかる医薬リポソーム組成物は、疾患修飾剤を用いた持続的治療の結果として疾病
経過がその他の点ではある程度安定している患者が、能動的な発症、又は炎症の増悪をま
れに予想外に経験したときに、有効な介入療法を提供するものである。最大でプレドニゾ
ロン5mg/kg体重の用量又はプレドニゾロン以外のコルチコステロイドの等効力用量
、及び多くても2週間に1回のリポソームコルチコステロイドの治療頻度が好ましい。
一実施形態においては、本発明は、したがって、ヒトにおける炎症性障害の治療方法で
あって、それを必要とするヒトに本明細書に記載のリポソームを含む薬剤組成物及び疾患
修飾剤を含む薬剤組成物を投与することを含む、方法を提供する。前記治療は、疾患修飾
剤を含む前記薬剤組成物を用いた維持療法、及びリポソームコルチコステロイドを含む薬
剤組成物を用いた炎症の増悪の一時的な療法を含む。
本明細書に記載のリポソームを含む薬剤組成物と、ヒトにおける炎症性障害の治療方法
に使用される疾患修飾剤を含む薬剤組成物との組合せも提供する。
実施例2で詳述するように、メトトレキサートを用いた維持療法を受けているリウマチ
様関節炎に罹患した患者は、メトトレキサートを服用していない患者や別の疾患修飾剤を
服用している患者よりもリポソームコルチコステロイドを用いた療法に対する感応性が高
いことが判明した。メトトレキサートと組み合わせたコルチコステロイドの治療が文献で
知られていないわけではないにもかかわらず、実施例2に報告された臨床試験によれば、
メトトレキサートと組み合わせて遊離コルチコステロイドを筋肉内投与された患者は、メ
トトレキサートなしで遊離コルチコステロイドを筋肉内投与された患者よりも良好な反応
を示さなかった(図7)。それに対して、本発明によれば、リポソームコルチコステロイ
ドとメトトレキサートの組合せは、リポソームコルチコステロイド単体よりも良好な結果
を与える。したがって、本明細書に記載のリポソームとメトトレキサート維持療法の組合
せは、疾患活動性の低減に極めて有効であるのに対して、遊離コルチコステロイドとメト
トレキサートの組合せによるかかる患者の治療は有効でない。臨床実務においては、これ
は、メトトレキサートのような比較的安価な経口疾患修飾剤を用いた維持療法によってそ
の他の点では良好な治療を受け、疾患の活動期又は増悪を経験する患者は、今回、リポソ
ームコルチコステロイドの単回注入又はごく少数の反復注入によって極めて効果的に治療
を受けることができることを意味する。これによって、疾患再燃頻度の低い患者は、疾患
の低活動期を急速に回復し、炎症性疾患の分野により最近になって入ってきたより高価な
生物学的製剤を用いた治療に切り換えることを望まず、必要とせずに、その比較的安価な
疾患修飾剤療法を続けることができる。患者の便宜に加えて、リポソームコルチコステロ
イドの使用を伴う治療は、炎症性疾患の治療に付随したコストを限度内に維持するのに役
立つので、これは医療経済学の見地からも重要である。
したがって、好ましい一実施形態においては、炎症性障害に罹患したヒトは、疾患修飾
剤を含む薬剤組成物を用いた維持療法を受け、前記炎症性障害の再燃後に、リポソームを
含む薬剤組成物を用いた一時的治療を受ける。
「疾患修飾剤」という用語は、当該技術分野で公知であり、炎症性疾患において維持療
法として使用される低分子薬物を指す。すなわち、疾患修飾剤は、疾患進行を調節するの
に長期間、通常1か月以上、より典型的には3か月以上患者によって服用される。例えば
、リウマチ様関節炎の治療に使用される疾患修飾剤は、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMA
RD)である。炎症性疾患において維持療法として使用されるかかる低分子薬物の分子量
は、好ましくは最高800ダルトンである。好ましくは、本発明による方法に使用される
疾患修飾剤は、メトトレキサート、ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、シクロホスフ
ァミド、5−フルオロウラシル、5−ASA剤、6−メルカプトプリン、ミコフェノール
酸モフェチル、アザチオプリンなどの炎症性疾患の持続的治療の臨床実務で投与される比
較的安価な疾患修飾剤からなる群から選択される。特に好ましい一実施形態においては、
疾患修飾剤はメトトレキサートである。本発明に従って治療される疾患がリウマチ性疾患
又は関連した炎症性結合組織疾患である場合、前記疾患修飾剤は、好ましくは、メトトレ
キサート、ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、シクロホスファミド、5−フルオロウ
ラシル、5−ASA剤、6−メルカプトプリン及びアザチオプリンからなる群から選択さ
れ、最も好ましくは前記疾患修飾剤はメトトレキサートである。本発明に従って治療され
る疾患が炎症性腎疾患である場合、前記疾患修飾剤は、好ましくは、ヒドロキシクロロキ
ン、ミコフェノール酸モフェチル、アザチオプリン及びシクロホスファミドからなる群か
ら選択される。本発明に従って治療される疾患が炎症性腸疾患である場合、前記疾患修飾
剤は、好ましくは、5−ASA剤、アザチオプリン、6−メルカプトプリン及びメトトレ
キサートからなる群から選択される。
本明細書では「維持療法」とは、疾患進行を調節するのに長期間、通常1か月以上、よ
り典型的には3か月以上患者が受ける療法を指す。一般に、維持療法は、疾患修飾剤など
の医薬品の1日量の投与を含む。
本明細書では「一時的治療」とは、単回投与又は限定数投与、すなわち10回未満、好
ましくは2回又は3回投与などの5回未満によって患者が受ける治療を指す。「一時的治
療」は、本明細書では、上述したように長期間の治療を必要とする「維持療法」から該治
療を識別するのに使用される。
本明細書では「再燃」とは、炎症性障害が活動期に入った、又は増悪する期間を指し、
したがって障害の症状の重症度の増加を指す。
好ましくは、疾患修飾剤を含む薬剤組成物は、経口投与用錠剤、カプセル剤又はエリキ
シル剤の形で経口投与される。本明細書に記載のリポソームを含む薬剤組成物は、好まし
くは静脈内投与され、より好ましくは静脈内注入される。本明細書に記載のリポソームと
疾患修飾剤の投与を含む併用療法を使用する場合、前記療法は、好ましくは、前記リポソ
ームを含む薬剤組成物を最大でコルチコステロイド5mg/kg体重の用量で多くても2
週間に1回の治療頻度で投与することを含む。
本明細書では「治療頻度」とは、本発明による方法に使用されるリポソーム(を含む薬
剤組成物)の投与頻度を指す。例えば、2週間に1回の治療頻度は、薬剤組成物を患者に
2週間に1回投与すること、すなわち、2回の投与の間隔が約2週であることを意味する
。臨床実務においては、これは、2週間±1又は2日とすることができる。多くても2週
間に1回の治療頻度とは、薬剤組成物を患者に2週間に1回投与すること、又はしばしば
3週間に1回、4週間に1回などのそれ以下の回数で投与することを指す。したがって、
2回の投与間隔は少なくとも2週間であり、又は第2の用量は全く投与されない。本明細
書に記載の薬剤組成物の唯一で単一の投与は、「多くても2週間に1回の治療頻度」とい
う用語に包含される。
本発明によれば、本発明による方法に使用されるリポソームを含む薬剤組成物の用量は
、最大でプレドニゾロン5mg/kg体重又はプレドニゾロン以外のコルチコステロイド
の等効力用量である。本明細書では「等効力用量」は、所与の用量のプレドニゾロンの薬
理効果と同じ薬理効果を生じるのに必要なコルチコステロイドの用量と定義される。例え
ば、プレドニゾロンの用量が2.5mg/kgである場合、別のコルチコステロイドの等
効力用量は、プレドニゾロン2.5mg/kgと同じ薬理効果を有する用量である。「薬
理効果」という用語は、人体に対するコルチコステロイドの効果、好ましくは治療効果を
指す。メチルプレドニゾロン及びトリアムシノロンは、プレドニゾロンに対する効力比が
1.25である。本明細書では「効力比」とは、コルチコステロイドの薬理効果とプレド
ニゾロンの薬理効果の比を指す。プレドニゾロンの効力を1に設定する。したがって、効
力比1.25のコルチコステロイドは、用量5/1.25=4mg/kgの前記コルチコ
ステロイドが用量5mg/kgのプレドニゾロンの効果に匹敵する効果を有することを示
す。したがって、前記用量4mg/kgは、プレドニゾロン5mg/kgの等効力用量で
ある。前述したように、メチルプレドニゾロン及びトリアムシノロンは、プレドニゾロン
に対する効力比が1.25である。したがって、一実施形態においては、本発明による方
法に使用されるリポソームは、メチルプレドニゾロン又はトリアムシノロンを含み、前記
用量は最大でメチルプレドニゾロン又はトリアムシノロン4mg/kg体重である。デキ
サメタゾン及びベタメタゾンは、プレドニゾロンに対する効力比が6.5である。したが
って、別の一実施形態においては、本発明による方法に使用されるリポソームは、デキサ
メタゾン又はベタメタゾンを含み、前記用量は最大でデキサメタゾン又はベタメタゾン0
.8mg/kg体重である。前記用量はプレドニゾロン5mg/kg体重と等効力用量だ
からである。別の例として、酢酸フルドロコルチゾンは、プレドニゾロンに対する効力比
が3.5である。したがって、別の一実施形態においては、本発明による方法に使用され
るリポソームは、酢酸フルドロコルチゾンを含み、前記用量は最大で酢酸フルドロコルチ
ゾン1.4mg/kg体重である。前記用量はプレドニゾロン5mg/kg体重と等効力
用量だからである。
用量は、一般に、最大でプレドニゾロン3.5mg/kgの用量又はプレドニゾロン以
外のコルチコステロイドの等効力用量、最大でプレドニゾロン3mg/kgの用量又はプ
レドニゾロン以外のコルチコステロイドの等効力用量など、プレドニゾロン4mg/kg
若しくはプレドニゾロン以外のコルチコステロイドの等効力用量又はそれ以下である。最
大でプレドニゾロン2.5mg/kg体重又はプレドニゾロン以外のコルチコステロイド
の等効力用量が好ましい。好ましい用量の例は、2.5mg/kg、2mg/kg、1.
5mg/kg及び1mg/kgである。一実施形態においては、本発明による方法に使用
されるリポソームは、メチルプレドニゾロン又はトリアムシノロンを含み、前記用量は最
大でメチルプレドニゾロン又はトリアムシノロン2mg/kg体重である。別の一実施形
態においては、本発明による方法に使用されるリポソームは、デキサメタゾン又はベタメ
タゾンを含み、前記用量は最大でデキサメタゾン又はベタメタゾン0.4mg/kg体重
である。更に別の一実施形態においては、本発明による方法に使用されるリポソームは、
酢酸フルドロコルチゾンを含み、前記用量(を含む薬剤組成物)は、最大で酢酸フルドロ
コルチゾン0.7mg/kg体重である。上記用量はすべて、プレドニゾロン5mg/k
g体重と等効力用量である。最も好ましくは、前記用量は最大でプレドニゾロン2.5m
g/kg体重である。
治療は、2週間後に繰り返すことができる。しかし、3週間、4週間又はそれ以上の治
療間隔も可能である。あるいは、最大でプレドニゾロン5mg/kgの用量又はプレドニ
ゾロン以外のコルチコステロイドの等効力用量を有する本発明による方法に使用される薬
剤組成物を用いた単剤治療は、かかる単剤治療がヒトにおける炎症性疾患の能動的な発症
又は増悪を克服するのに十分である場合に使用される。好ましくは、前記用量は、最大で
4mg/kg、より好ましくは最大で3mg/kg、より好ましくは最大で2.5mg/
kgである。
本発明による方法に使用されるリポソーム、遊離コルチコステロイド又は疾患修飾剤を
含む薬剤組成物は、好ましくは、さらに、薬学的に許容される担体、希釈剤及び/又は賦
形剤を含む。
本発明による方法に使用されるリポソームの平均粒径は、Malvern DLS測定
レーザー装置を用いた動的光散乱によって測定して40〜200nmである。好ましくは
、リポソームの直径は75〜150nmである。リポソームは、好ましくは、かなり低い
多分散指数、すなわち0.2未満を有する。これは、粒径分布が狭いことを意味する。
本発明による方法に使用されるリポソームは、一般に、人工的に合成することができる
、又は場合によっては人工的に改変された、自然源に由来する、リン脂質のグループから
の非荷電小胞形成脂質を含む。好ましくは、前記非荷電小胞形成脂質は、一部又は完全に
合成である。自然源から得られるもの、又は一部若しくは完全に合成である、又は可変の
脂質鎖長及び不飽和のものを含めて、ホスファチジルコリン(PC)は、本発明における
使用に適切である。本明細書では「一部合成又は完全に合成の小胞形成リン脂質」という
用語は、人工的に作製された、又は人工的に改変された天然リン脂質に由来する、少なく
とも1種類の小胞形成リン脂質を意味する。好ましいリン脂質は、比較的高い転移温度を
有する二重層を生成する飽和アルキル鎖を含む。ジパルミトイルホスファチジルコリン(
DPPC)、水素化ダイズホスファチジルコリン(HSPC)、ジステアロイルホスファ
チジルコリン(DSPC)及び水素化卵黄ホスファチジルコリン(HEPC)が特に好ま
しい。本発明による方法に使用されるリポソームは、最大で10モル%のPEG化脂質及
び/又は最大で10モル%の負に帯電した脂質を含む。好ましいPEG化脂質は、一端が
分子量200〜20000ダルトンのPEGポリマー、他端が親油性係留分子で構成され
る。一般に、係留分子はリン脂質及びステロールの群から選択される。好ましいPEG化
脂質は、PEG2000−ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(PEG−D
SPE)及びPEG2000−コレステロールである。好ましい負に帯電した脂質は、ジ
パルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)及びジステアロイルホスファチジ
ルグリセロール(DSPG)である。本発明による方法に使用されるリポソームは、更に
好ましくは、A環の3位にヒドロキシル基を有する合成又は天然起源のステロール又はス
テロイドアルコールを含む。このグループのステロール化合物のうちコレステロールが好
ましい。
ポリマー脂質複合体及び負に帯電した脂質の割合は、製剤中の小胞形成脂質の全モル比
に基づいて、0〜10mol%、好ましくは1〜10mol%、より好ましくは2.5〜
10mol%である。リポソーム製剤中に負に帯電した脂質、特にポリマー−脂質複合体
が存在すると、製剤が安定し、リポソームの循環時間に有利な効果をもたらす。しかし、
物理的細目において特定の脂質組成物を慎重に選択することによって、PEG−脂質複合
体や負に帯電した脂質を使用しなくても、適切な長い循環時間を得ることができる。例え
ば、DSPC及びコレステロール及び/又はスフィンゴミエリンのようなスフィンゴ脂質
の50〜100nmリポソームは、本発明による方法における使用に適している。
特に好ましい一実施形態においては、本発明は、本発明による使用又は本発明による方
法のためのリポソームを提供する。前記リポソームは、コレステロール0〜50mol%
、非荷電一部合成又は完全合成小胞形成脂質50〜90mol%、ポリエチレングリコー
ルに結合した両親媒性小胞形成脂質0〜10mol%、及び負に帯電した小胞形成脂質0
〜10mol%を含む。かかるリポソームは、例えば、国際公開第02/45688号又
は国際公開第03/105805号に記載の方法に従って製造される。しかし、本発明に
係る低用量及び治療頻度はその中に記載されていない。本発明による方法に使用されるリ
ポソームは、好ましくは、平均粒径範囲が約75〜150nmである。上述したように、
前記一部合成又は完全合成小胞形成脂質は、好ましくは、DSPC、DPPC、HSPC
及びHEPCからなる群から選択される。
本発明による方法に使用されるリポソームの具体例は、以下のとおりである。
・ポリエチレングリコールで誘導体化された両親媒性小胞形成脂質最高10モルパーセ
ントを含み、負に帯電した小胞形成脂質10モルパーセント以下を場合によっては含む、
非荷電小胞形成脂質で構成されたリポソーム。該リポソームは、選択された平均粒径が4
0〜200nmの範囲であり、コルチコステロイドを含み、コルチコステロイドが水溶性
の形で存在することを特徴とする。
・コレステロールとDSPC、HSPC、HEPC及びDPPCから選択された非荷電
小胞形成脂質とで構成されたリポソーム。該リポソームは、選択された平均粒径が40〜
200nmの範囲であり、コルチコステロイドが水溶性の形で存在することを特徴とする
コルチコステロイドを含む。
・非荷電小胞形成脂質及び5モルパーセント以下の負に帯電したジパルミトイルホスフ
ァチジルグリセロールで構成されたリポソーム。該リポソームは、選択された平均粒径が
40〜200nmの範囲であり、コルチコステロイドが水溶性の形で存在することを特徴
とするコルチコステロイドを含む。
・5モルパーセント以下の負に帯電した小胞形成脂質を場合によっては含む、コレステ
ロールと一部又は完全合成のリン脂質から選択された非荷電小胞形成脂質とで構成された
リポソーム。該リポソームは、選択された平均粒径が40〜200nmの範囲であり、コ
ルチコステロイドが水溶性の形で存在することを特徴とするコルチコステロイドを含む。
上述したように、本発明に従って使用されるリポソームは、例えば国際公開第02/4
5688号、国際公開第03/105805号などに開示された、従来のリポソーム又は
PEG−リポソームの調製に使用される方法に従って調製することができる。コルチコス
テロイドを水相に溶解させることによってリポソーム中に活性成分を受動的に挿入するこ
とは、十分な封入を得るのに十分であるが、封入効率を更に増加させるために別の方法を
使用することもできる。リポソームの形成に用いられる脂質成分は、リン脂質、スフィン
ゴ脂質、ステロールなどの種々の小胞形成脂質から選択することができる。例えばスフィ
ンゴミエリン及びエルゴステロールによる、これらの基本成分の(完全又は一部)置換も
可能であるように思えた。水溶性コルチコステロイドをリポソームに効果的に封入し、そ
れによってリポソームからの薬物の漏出を防止するために、特に、飽和硬化(rigid
ifying)アシル鎖を有するリン脂質成分が有用であるように思えた。
本発明による方法に使用されるリポソーム組成物は、水溶性コルチコステロイドを含む
。「水溶性」という用語は、本明細書では、温度25℃における溶解性が水又は中性pH
に緩衝された水1リットル当たり少なくとも10gと定義される。本発明に従って有利に
使用することができる水溶性コルチコステロイドは、遊離ヒドロキシル基を有するコルチ
コステロイド、(C2〜C12)脂肪族飽和及び不飽和二炭酸などの有機酸、並びにリン
酸、硫酸などの無機酸から調製されるアルカリ金属及びアンモニウム塩である。アルカリ
金属塩としてはカリウム及びナトリウム塩が好ましい。コルチコステロイドの他の正又は
負に帯電した誘導体を使用することもできる。水溶性コルチコステロイドの具体例は、リ
ン酸ベタメタゾンナトリウム、リン酸デソニドナトリウム、リン酸デキサメタゾンナトリ
ウム、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、リン
酸メチルプレドニゾロン二ナトリウム、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、リン
酸プレドニゾロンナトリウム、コハク酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニゾラマート
(prednisolamate)塩酸塩、リン酸プレドニゾン二ナトリウム、コハク酸
プレドニゾンナトリウム、リン酸トリアムシノロンアセトニド二ナトリウム及びリン酸ト
リアムシノロンアセトニド二ナトリウムである。これらのコルチコステロイドのうち、リ
ン酸プレドニゾロン二ナトリウム、コハク酸プレドニゾロンナトリウム、リン酸メチルプ
レドニゾロン二ナトリウム、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、リン酸デキサメ
タゾン二ナトリウム及びリン酸ベタメタゾン二ナトリウムが好ましい。上記コルチコステ
ロイドは、通常、抗炎症性疾患及び障害の全身的治療に使用される。一実施形態において
は、したがって、第1のコルチコステロイドは、本発明による方法に使用されるリポソー
ム内で成り立ち、及び/又は第2の遊離コルチコステロイドは、全身投与用コルチコステ
ロイドである。本明細書では「全身投与用コルチコステロイド」は、前記コルチコステロ
イドが臨床実務において抗炎症性疾患の全身的治療に使用されることを意味する。
平均粒径40〜200nmの長期循環リポソーム中の水溶性型コルチコステロイドを使
用することによって、薬物が炎症部位に効果的に送達されることが判明したので、様々な
理由で通常は局所用に使用されるコルチコステロイドにも本発明を有利に適用することが
できる。かかるコルチコステロイドとしては、例えば、プロピオン酸アルクロメタゾン、
アムシノニド、モノプロピオン酸ベクロメタゾン、17−吉草酸ベタメタゾン、シクロメ
タゾン(ciclomethasone)、プロピオン酸クロベタゾール、酪酸クロベタ
ゾン、プロピオン酸デプロドン、デソニド、デスオキシメタゾン、酢酸デキサメタゾン、
吉草酸ジフルコルトロン、酢酸ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、
ピバル酸フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニドアセタート、フルオシ
ノニド、ピバリン酸フルオコルトロン、酢酸フルオロメトロン、酢酸フルプレドニデン、
ハルシノニド、ハロメタゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、メドリゾン、酢酸メチルプレドニ
ゾロン、フランカルボン酸モメタゾン、酢酸パラメタゾン、プレドニカルベート、酢酸プ
レドニゾロン、プレドニリデン、リメキソロン、ピバル酸チキソコルトール及びトリアム
シノロンヘキサセトニドが挙げられる。特に興味深い局所コルチコステロイドは、例えば
、ブデソニド、フルニソリド及びプロピオン酸フルチカゾンであり、これらの薬物は全身
循環中で利用可能になるとすぐに急速で効率的なクリアランスを起こす。水溶性型のこれ
らのステロイドを調製し、それを本発明による長期循環リポソームに封入することによっ
て、部位特異的に薬物を送達し、それによって全身的治療に付随する有害作用を回避し、
急速なクリアランスなどのコルチコステロイドに固有の問題を克服するために、かかるコ
ルチコステロイドを全身投与することが今回可能になる。この点に関して、リン酸ブデソ
ニド二ナトリウムは、大いに興味のある塩であるように思えた。一実施形態においては、
したがって、本発明による方法に使用されるリポソームに含まれる第1のコルチコステロ
イド及び/又は第2の遊離コルチコステロイドは、局所適用用コルチコステロイドである
。本明細書では「局所適用用コルチコステロイド」は、前記コルチコステロイドが臨床実
務においては抗炎症性疾患の局所治療に使用され、すなわち皮膚などの体表、又は膣、肛
門、咽頭、眼由来のものなどの粘膜に適用されることを意味する。
本発明によるリポソーム組成物を用いて首尾よく治療することができる炎症性障害の例
は、炎症性結合組織疾患、炎症性腎疾患及び炎症性腸疾患(IBD)である。炎症性結合
組織疾患の具体例は、リウマチ様関節炎、(例えば、その注目すべき症状の一つとしてル
ープス腎炎を伴う)全身性エリテマトーデス、強直性脊椎炎、骨関節炎及び乾せん性関節
炎である。好ましくは、本発明による方法によって治療される炎症性障害は、リウマチ性
疾患、より好ましくはリウマチ様関節炎、又は炎症性腸疾患、又は炎症性腎疾患である。
炎症性腸疾患のうち、潰よう性大腸炎及びクローン病は、本発明によって治療される好ま
しい炎症性障害である。本発明によって治療される好ましい炎症性腎疾患は、糸球体腎炎
、ループス腎炎、急性移植拒絶及び動静脈ろう不全である。
本発明を以下の実施例においてさらに説明する。これらの例は、本発明の範囲を限定す
るものではなく、本発明を明確にするのに役立つにすぎない。
アジュバント誘発関節炎のラットにおけるリポソーム及び遊離リン酸プレドニゾロン(PLP)を用いた治療の治療活性。 A.巨視的足炎症スコアに対する10mg/kgPLP−ポリエチレングリコール(PEG)リポソーム(塗りつぶした円)、10mg/kg遊離PLP(塗りつぶした四角)及び食塩水対照治療(白抜きの四角)による単剤治療の効果。 B.スコアに対する20mg/kgPLP−ポリエチレングリコール(PEG)リポソーム(塗りつぶした円)、20mg/kg遊離PLPを用いた毎日の治療(塗りつぶした四角)及び食塩水対照(白抜きの四角)の効果。バーは、5匹のラットの平均及びSEMを示す。治療は14日目に行われた。 アジュバント誘発関節炎のラットにおいてリン酸プレドニゾロン(PLP)−ポリエチレングリコール(PEG)リポソーム用量レベルを増加させた単剤治療の治療活性。 A.巨視的足炎症スコアに対する1mg/kgPLP−PEGリポソーム(灰色の円)、10mg/kg遊離PLP(塗りつぶした四角)及び食塩水対照治療(白抜きの四角)の効果。 B.スコアに対する2mg/kgPLP−PEGリポソーム(灰色の円)、5mg/kgPLP−PEGリポソーム(塗りつぶした四角)及び食塩水対照(白抜きの四角)の効果。 バーは3〜5匹のラットの平均及びSEMを示す。治療は14日目(A)及び13日目(B)に行われた。 EULAR疾患活動性スコア(DAS28スコア)に対する150mg(2mg/kg)PLP−PEG−リポソーム(塗りつぶした円)及び等効力用量の120mg(1.6mg/kg)メチルプレドニゾロン(筋肉内デポー製剤、白抜きの四角)の効果。バーは、両方の治療群における7名のヒト対象の平均及びSEMを示す。値は、治療日(ベースライン)における疾患スコアの%として表される。ベースラインを100%と定義する。 150mg(2mg/kg)PLP−PEG−リポソーム(試験薬剤)又は等効力用量の120mg(1.6mg/kg)メチルプレドニゾロン(基準薬剤)後の、良好若しくは中程度のEULAR反応の、又はEULAR反応のない、患者の分布。バーは、両方の治療群における7名のヒト対象の平均を示す。 150mg(2mg/kg)PLP−PEG−リポソーム(試験薬剤)又は等効力用量の120mg(1.6mg/kg)メチルプレドニゾロン(基準薬剤)後のVASスコアによって測定されたとう痛強度。 バーは、両方の治療群における7名のヒト対象の平均及びSEMを示す。値は、治療日におけるVASスコアの%として表される。 ラット対ヒトにおける2mg/kgリン酸プレドニゾロン(PLP)PEG−リポソームを用いた単剤治療の治療活性。 A.ラットにおけるベースライン(100%)の%としての巨視的疾患スコアに対する効果。 B.ヒトにおけるベースライン(100%)の%としてのEULAR疾患活動性スコア(DAS28スコア)に対する効果。 バーは、3〜5匹のラット(A)及び7名のヒト(B)の平均及びSEMを示す。 EULAR疾患活動性スコア(DAS28スコア)に対する以下の単剤治療の効果。 A.メトトレキサートを服用していない患者(白抜きの四角、n=3)と比較した慢性期メトトレキサート療法を受けている患者(塗りつぶした円、n=4)に対する150mg(2mg/kg)PLP−PEG−リポソーム。 B.メトトレキサートを服用していない患者(白抜きの四角、n=3)と比較した慢性期メトトレキサート療法を受けている患者(塗りつぶした円、n=4)に対する等効力用量の120mg(1.6mg/kg)メチルプレドニゾロン(筋肉内デポー製剤)。 バーは平均及びSEMを示す。値は、治療日(ベースライン)における疾患スコアの%として表される。ベースラインは100%と定義される。
ラット実験的関節炎の研究
製剤
リン酸プレドニゾロン含有PEG−リポソームは、ジパルミトイルホスファチジルコリ
ン(DPPC)750mg、コレステロール250.8mg及びPEG−ジステアロイル
ホスファチジルエタノール−アミン(PEG−DSPE)267.6mgで構成された。
これらの成分を100ml丸底フラスコに秤量し、混合した。脂質をエタノール約30m
lに溶解させ、その後Rotavapor中で1時間減圧下で40℃で蒸発乾固させた。
リン酸プレドニゾロン二ナトリウム1200mgを秤量し、滅菌水12mlに溶解させた
。溶液を乾燥脂質膜に添加し、脂質膜を完全に水和させるために、ガラスビーズの存在下
で1時間振とうした。リポソーム懸濁液を押出機(Avestin、最大容積15ml)
に移し、窒素ガスを用い、孔径100nm未満のポリカルボナートフィルタを用いて、加
圧押し出しした。続いて、リポソーム懸濁液を無菌食塩水に対して透析した。リポソーム
の平均粒径を動的光散乱によって測定すると、93.1±1.2nmであり、多分散指数
は0.095±0.024であった。リン酸プレドニゾロンの封入効率をHPLC法によ
って測定すると3〜4%であった。リポソーム懸濁液を窒素雰囲気中で4℃で貯蔵すると
、1年以上安定であった。
ラット、実験的関節炎及び研究手順
Lewisラットの尾基部に不完全フロイントアジュバント中の加熱不活性化されたヒ
ト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)を皮下注射した。
足炎症は免疫処置後9〜12日で発症し、約20日後に最大重症度に達し、次いで徐々に
回復した。足炎症重症度を足1本当たり最大スコア4で視覚的に採点し、疾患による体重
減少を測定することによって疾患を評価した。これらの変数に対するリポソームリン酸プ
レドニゾロンの治療効果を等用量のカプセルに入っていない薬物と比較した。平均スコア
>6のとき(疾患誘発後14又は15日目)にラットを処置した。
結果
リポソームリン酸プレドニゾロンをリン酸プレドニゾロン10mg/kgで単回投与し
て治療した後3日以内に5匹のラットのうち4匹で炎症の完全寛解が認められた(図1A
)。カプセルに入っていないリン酸プレドニゾロンは、単回投与として疾患経過をさほど
変えなかった。したがって、さらに高用量のカプセルに入っていないプレドニゾロン20
mg/kgを毎日7日間注射することに決めた。この治療計画によって、炎症スコアは1
5日目から21日目まで平均6.5(14日目)から平均約5.0に低下した(食塩水を
毎日用いた対照治療は20日目に最大10.6に達した。図1B)。しかし、同じ用量の
リポソームリン酸プレドニゾロン20mg/kgを14日目に単回投与すると、アジュバ
ント関節炎(AA)の症候が20日目までに消失した。
さらに、10mg/kg未満の用量レベルのリポソームプレドニゾロンをラットアジュ
バント関節炎モデルにおいて試験した。これらの用量レベルでの効力は短期間であること
が判明した。リポソームプレドニゾロン1mg/kgは4日間のみの限られた効果しか持
たず(図2A)、一方、2mg/kgはわずかに効果が高かったが同じ効果持続時間を示
す(図2B)。5mg/kgでも治療活性は1週間以内である(図2B)。
ヒトRA研究
製剤
プレドニゾロン含有ポリエチレングリコール(PEG)リポソームは、プレドニゾロン
の水溶性リン酸二ナトリウム誘導体が封入された水溶液区画を含む脂質二重層で構成され
る。製剤各1mLは、リン酸プレドニゾロンナトリウム1.5mg/mL、パルミトイル
ホスファチジルコリン(DPPC)30mg、ジステアロイルホスファチジルエタノール
アミン−PEG2000(PEG−DSPE)9mg及びコレステロール8mgを含む。
リン酸緩衝剤でpH7.4に緩衝された10%スクロースにリポソームを分散させる。
脂質成分をコルチコステロイド水溶液と混合し、続いて高剪断均質化を繰り返して形成
される小胞を小さくすることによって製剤を調製する。カプセルに入っていないコルチコ
ステロイドをクロスフロー(tangential flow)ろ過によって除去する。
0.2マイクロメートルフィルター膜を使用したデッドエンドろ過によって滅菌を行う。
製剤を以下の特性分析及び品質管理に供する:粒径及び多分散指数(動的光散乱で測定
してそれぞれ100nm及び<0.1)、HPLCアッセイで測定されるプレドニゾロン
及び脂質賦形剤含有量、無菌性及び発熱性(後者はLALアッセイ(Biowhitta
ker、Walkersville、MD)によって測定される)、及び溶媒残留試験。
購入した原料はすべてGMP認可されたものであり、リポソーム製造をGMP条件下で実
施する。
患者
炎症性疾患におけるプレドニゾロンPEG−リポソーム製剤の治療活性を評価するため
に、活動性RAの16名の同意患者が臨床試験に登録された。そのうち、8名の患者を静
脈内注入プレドニゾロン−PEG−リポソーム150mg(プレドニゾロン約2mg/k
g体重)を用いて1回治療し、8名の患者を等効力用量のメチルプレドニゾロンデポー製
剤(筋肉内)120mgを用いて治療した。適格性の判定基準は以下の通りであった:年
齢18歳以上、改訂1987 ARA判定基準(Arnett FC,et al.19
88)によるRA、スクリーニング来診時の修正疾患活動性スコア(Modified
Disease Activity Score)(DAS28、Prevoo ML,
et al.1995)3.2以上によって定義された活動性疾患。
除外基準としては、異常な腎臓、肝臓又は血液学的検査、現在妊娠中、授乳中、感染又
は悪性腫よう、臨床的に重篤又は不安定な健康状態、内分泌障害などが挙げられる。研究
開始前2週間以内の経口GCは許可されなかった。ベースライン前8週間以内の関節内又
は筋肉内GCは許可されなかった。試験開始前12週間以内の疾患修飾性抗リウマチ薬(
DMARD)による治療は安定でなければならなかった。
研究手順
組入れ基準及び除外基準を満たした後、試験薬剤の投与を計画した。1日目に患者を病
棟に入れ、そこでプレドニゾロンPEG−リポソーム/プラセボ又はメチルプレドニゾロ
ン/プラセボを投与した。ベースライン後、患者を最高12週間毎週評価した。各来診に
は、臨床評価、疾患活動性評価、生命徴候、安全性評価及び採血が含まれた。疾患活動性
を同じ査定者によって疾患活動性スコア(DAS28)を用いて測定し、療法に対する反
応をEuropean League Against Rheumatism(EUL
AR)判定基準(Zandbelt MM,et al.2001;Van Geste
l AM,et al.1996)を用いて測定した。疾患再燃を、毎週の評価で、DA
S28>1.2の増加、又は結果的にDAS28>5.1となる場合はDAS0.6〜1
.2の増加によって定義した(Den Broeder AA,et al.2002)
データ解析
DAS28スコアは、試行的介入の効力を試験するための主要評価基準であった。第一
種の過誤は、主要な結果の分析の場合、有意水準0.05で管理された。幾つかの第二の
効力基準を分析して、主要基準の所見を確認した。これらには、DASの個々の成分、と
う痛の患者評価、疾患活動性の医師評価が含まれた。これは、限定数の患者の試験であっ
たので、ほとんどの分析は説明的なものにすぎない。統計解析を適用可能である場合、2
標本t検定を用いた。
結果
16名の患者のうち14名の患者(各群7名)の効力を評価した。治療後第1週の試験
薬剤(プレドニゾロンPEG−リポソーム)群において明白な治療上の改善が治療後第1
週に見られた。基準薬剤群(筋肉内メチルプレドニゾロン)においては、より遅くより穏
やかな治療上の改善が見られる(図3)。
試験薬剤群は、治療反応のEULAR定義による応答者の割合がより高い。興味深いこ
とに、試験薬剤群の患者のみが良好なEULAR反応を経験した(図4)。基準薬剤にお
いては、認められた反応は中程度にすぎない。とう痛強度を「無痛」から「極度の痛み」
までの100mmライン上で測定した。とう痛は、LCLP群においてより改善され、よ
り急速に減少した(図5)。「RA活動性の研究者の評価」のレベルで対照薬剤に比べて
試行薬剤のかなり良好な効力が見られた。
安全性分析は、両方の治療群において類似した有害事象パターンを示した。恐らくは試
行薬剤に関連した重大な一有害事象(軽度の注入反応)があった。試行薬剤は、更なる毒
性の懸念を生じなかった。
興味深いことに、人体研究における2mg/kgプレドニゾロンPEG−リポソームの
効力は、数日しか持続しなかったラット実験的関節炎における同じ用量の効力に比べては
るかに長いことが判明した。図6Aに、ラット関節炎における2mg/kgリポソームプ
レドニゾロンを用いた単剤治療の効力を示す。図6Bに、ヒトにおける関節炎炎症レベル
における効果を示す(比較のために、治療日のベースライン値を100%と定義した)。
図7に、メトトレキサートを用いた慢性期療法を受けた患者及びかかる療法を受けてい
ない患者の試験薬剤及び基準薬剤の治療効果を示す。メトトレキサートを用いた慢性期療
法を受けている患者は、メトトレキサートや他の疾患修飾剤を服用していない患者よりも
、リポソームプレドニゾロンを用いた療法に対する感応性が高い(図7A)。しかし、基
準薬剤(筋肉内メチルプレドニゾロン)を投与した患者は、基準薬剤を用いメトトレキサ
ートを用いなかった患者よりも、メトトレキサートとの組み合わせでより良好な反応を示
さなかった(図7B)。
ヒト炎症性腸疾患研究
製剤
プレドニゾロン含有PEGリポソームを実施例2に記載のように調製した。
患者
活動性潰よう性大腸炎(UC)を有する18歳から75歳の20名の対象を以下の主要
算入/除外基準に従って14日間のスクリーニング期中に選択した:18歳から75歳、
内視鏡検査で査定され、組織学的測定で確認されたUCの病歴文書(少なくとも6か月)
、内視鏡サブスコア≧2及び直腸出血サブスコア≧1のMayoスコア≧5、安定な投薬
(6−MP/アザチオプリン、5−ASA、MTX、生物学的製剤、並びに病歴及び理学
的検査によって判断して(検討中の疾患以外の)良好な身体的及び精神的健康。
研究手順
対象が治験薬群に無作為化されたときには、食塩水250mL中のPEG−リポソーム
リン酸プレドニゾロンナトリウム(Nanocort)IV150mgの少なくとも1時
間にわたる単回注入を1日目及び15日目に行った(プレドニゾロン約2mg/kg体重
)。対象がプラセボ群に無作為化されたときには、(Nanocortを含まない)食塩
水250mLの少なくとも1時間にわたる単回注入を1日目及び15日目に行った。
ベースライン後、患者を最高8週間毎週評価した。各来診には、臨床評価、疾患活動性
評価、生命徴候、安全性評価及び採血が含まれた。Nanocort対プラセボ群におい
て部分的Mayoスコアによって測定して、さらにNanocort対プラセボ群におい
て微視的評価(急性炎症スコア及び炎症の評価尺度)によって生検材料に対する組織病理
学的評価をスコア化することによって、15、29、57及び85日目に臨床的寛解又は
反応を示した対象の%として疾患活動性を測定した。
結果
7名の患者がこれまで登録した。患者の大多数において、急速で実質的な有益な治療効
果が見られる。
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Claims (13)

  1. 10モルパーセント以下の負に帯電した小胞形成脂質を場合によっては含み、かつ2.5〜10モルパーセントのPEG化脂質を含む、非荷電小胞形成脂質で構成されたリポソームを含み、前記リポソームが40〜200nmのサイズ範囲の選択された平均粒径を有し、最大でプレドニゾロン5mg/kg体重の用量で又はプレドニゾロン以外のコルチコステロイドの等効力用量でヒトにおける炎症性障害の静脈内治療方法に使用される水溶性型の第1のコルチコステロイドを含む、薬剤組成物であって、前記治療の治療頻度が多くても2週間に1回であり、2週間以上の長期にわたる治療効果を有することを特徴とする薬剤組成物。
  2. 前記治療は、第二の遊離コルチコステロイドを含む治療と組み合わせられることを特徴とする請求項1に記載の薬剤組成物。
  3. 前記治療は、疾患修飾剤を含む治療と組み合わせられることを特徴とする請求項1に記載の薬剤組成物。
  4. 前記ヒトが疾患修飾剤を含む薬物組成物を用いた維持療法を受け、前記ヒトが前記炎症性障害の再燃後にリポソームを含む前記薬剤組成物を用いた一時的治療を受けることを特徴とする請求項3に記載の薬剤組成物。
  5. 前記疾患修飾剤を用いた前記治療は前記炎症性障害の維持療法の一部であり、前記リポソームを用いた前記治療が前記炎症性障害の再燃後の一時的治療であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の薬剤組成物。
  6. 前記疾患修飾剤は、メトトレキサート、ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、シクロホスファミド、5−フルオロウラシル、5−ASA剤、6−メルカプトプリン、ミコフェノール酸モフェチル又はアザチオプリンであることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の薬剤組成物。
  7. 前記炎症性障害は、リウマチ性疾患若しくは関連した炎症性結合組織疾患、炎症性腸疾患、又は炎症性腎疾患であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の薬剤組成物。
  8. 前記第1のコルチコステロイド及び/又は前記第2の遊離コルチコステロイドは全身投与用コルチコステロイドであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の薬剤組成物。
  9. 前記コルチコステロイドは、プレドニゾロン、デキサメタゾン及びメチルプレドニゾロンからなる群から選択されることを特徴とする請求項8に記載の薬剤組成物。
  10. 前記第1のコルチコステロイド及び/又は前記第2の遊離コルチコステロイドは局所適用用コルチコステロイドであることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の薬剤組成物。
  11. 前記コルチコステロイドは、ブデソニド、フルニソリド及びプロピオン酸フルチカゾンからなる群から選択されることを特徴とする請求項10に記載の薬剤組成物。
  12. 前記用量は、
    最大でプレドニゾロン5mg/kg体重、または
    最大でメチルプレドニゾロン又はトリアムシノロン4mg/kg体重、または
    最大でデキサメタゾン又はベタメタゾン0.8mg/kg体重、または
    最大で酢酸フルドロコルチゾン1.4mg/kg体重
    であることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の薬剤組成物。
  13. 前記用量は、
    最大でプレドニゾロン2.5mg/kg体重、または
    最大でメチルプレドニゾロン又はトリアムシノロン2mg/kg体重、または
    最大でデキサメタゾン又はベタメタゾン0.4mg/kg体重、または
    最大で酢酸フルドロコルチゾン0.7mg/kg体重
    であることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の薬剤組成物。
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