JP6608634B2 - 走査型プローブ顕微鏡用のプローブの製造方法 - Google Patents

走査型プローブ顕微鏡用のプローブの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、走査型プローブ顕微鏡用のプローブに関し、詳細には、先端部にカーボンナノチューブからなる探針を備えたプローブに関する。また、本発明は該プローブを製造する方法にも関する。
原子間力顕微鏡(AFM)等の走査型プローブ顕微鏡用のプローブは、カンチレバーの先端に備えられた、例えば三角錐や四角錐形状のチップ先端で試料表面を走査して、試料の表面形状等を検出する。チップが表面形状に良好に追随するためには、チップ先端部が鋭利である必要があり、該先端部にカーボンナノチューブ(以下、「CNT」という場合がある)の探針を備えたものが知られている(例えば特許文献1)。
CNTをチップ先端部に固定する方法としては、電子顕微鏡下でマイクロマニュピュレーターを用いてCNTを取り付ける方法が報告されている(非特許文献1〜3)。これらの方法では、CNTを取り付けた後に、電子ビームもしくはイオンビームを用いて該CNTを切断し、次いで該CNTの配向を最適化するプロセスを要する(非特許文献4、5)。
上記特許文献1では、電気泳動法によりCNT一本一本をナイフエッジ上に該ナイフエッジの長さ方向に対して略垂直方向に付着させたカートリッジを用意し、電子顕微鏡下で一本のCNTの自由端の所定長さの領域にチップを接近させ、チップに負電位を印加しながら、引力によりCNTをチップ上に付着させた後、該所定領域上に電子ビームを照射して、電子顕微鏡内に浮遊する炭素物質を堆積させてコーティング膜を形成してCNTを固定して、該ナイフエッジから引き抜く方法が使用されている。
先端にカーボンナノチューブからなる探針を備えたプローブには、その高い空間分解能に加えて、カーボンナノチューブの高い導電性とを活かした微小領域の電気特性計測機能が期待されている。しかし、カーボンナノチューブからなる探針を備えたプローブは、プローブ全体の導電性が低いあるいは不安定であるため、この電気特性計測用途には用いられていないのが現状である。この問題を解消するために、カーボンナノチューブ探針を含めた全体を金属皮膜で被覆してプローブ全体の導電性を確保する試みがある(非特許文献6)。
特開2000−227435号公報
J. Martinez, T.D. Yuzvinsky, A.M. Fennimore, A. Zettl, R. Garcia, C. Bustamante, Nanotechnol, 16 (2005), pp. 2493-2496 A.D. Slattery, A.J., Blanch, J.S., Quinton, C.T. Gibson, Nanotechnol 24 (2013). N. de Jonge, Y. Lamy, M. Kaiser, Nano Lett, 3 (2003), pp. 1621-1624 T.D. Yuzvinsky, A.M., Fennimore, W., Mickelson, C., Esquivias, A. Zettl, Appl Phys Lett 86 (2005) Z.W. Xu, F.Z. Fang, J Vac Sci Technol B, 27 (2009), pp. 1388-1393 S. Yoshimoto et al.,Nano Letters 7, 956-959 (2007)
上記特許文献1記載の方法は、CNTの切断等の追加のプロセスを要しない点で優れるが、電気泳動法でCNTをナイフエッジ上で配向させるのは容易ではなく、CNTを固定させるためのコーティング膜が頑丈でないと該ナイフエッジからCNTを上手く引き抜けない場合がある。また、非特許文献6記載のカーボンナノチューブ探針を含めた全体を金属皮膜で被覆する方法は、探針部分の細い直径を犠牲にし、高い空間分解能という最大の利点を損なうこととなる。これらの方法も含め、カーボンナノチューブをチップに取り付ける従来の方法は、プロセス制御が困難であり、一定の特性のプローブを再現性良く得ることが難しい。
本発明はこれらの状況に鑑み、空間分解能及び電気伝導性に優れたカーボンナノチューブ探針を備えた走査型プローブ顕微鏡用プローブを提供すること、及びこれらの特性を再現性良く得ることができるプローブの製造方法を提供する。
本発明者は、種々検討した結果、チップ先端とカーボンナノチューブとの接触抵抗を安定して低減する製造プロセスを見出し、上記課題を解決する走査型プローブ顕微鏡用プローブを作製し、本発明を完成した。即ち、本発明はチップと、該チップの先端部から突出した探針を備える走査型プローブ顕微鏡用のプローブであって、該探針がカーボンナノチューブからなり、該カーボンナノチューブは該チップ先端部から突出した突出部と、該チップに固着された固着部を備え、該固着部ではカーボンナノチューブの側面が該チップの一側面に固着されており、該固着部は該カーボンナノチューブ製造工程で使用された触媒由来の金属を含む、走査型プローブ顕微鏡用のプローブである。
また、本発明は、下記工程:
(1)原子間力顕微鏡用のチップを用いて、シリコン基板上に該基板に対して略垂直に配置され、頂部に触媒由来の金属を含む、少なくとも一のカーボンナノチューブのイメージングをする工程、
(2)該チップの先端を一のカーボンナノチューブの自由端上に接触させて配置する工程、
(3)該チップに負のバイアス電位を印加しながら、該チップ及び該カーボンナノチューブに、該カーボンナノチューブが切断されるまで、直流電流を流す工程、
を含むことを特徴とする、走査型プローブ顕微鏡用のプローブの製造方法である。
本発明の方法は、チップとCNTに電流を流すことによって、CNTをチップ先端部に良好な配向で固着すると同時に切断することができ、配向及び切断のための追加の工程は不要である。驚くことに、得られるプローブでは、CNTとチップが側面同士で強固に固着され、且つ、該CNTが試料に対してほぼ垂直になるように配向されており、鮮明な表面像を得るのに最適であるだけでなく、高い信頼性で微小領域の電気特性を計測することができることが見出された。
図1は、CrコートされたSi基板上に、PECVD法でNi触媒を用いて成長させたMWCNTアレイのTEM写真である。 図2aは、従来のAuコートされたチップを用いてAFMで測定された、垂直状に成長されたMWCNTのトポグラフィーである。図2bは、MWCNTの自由端の上に、チップを置いた状態を示す概略図である。図2cは、本発明のプローブを用いて測定した、基板上に残ったMWCNTのAFM像である。図2dは、電流に対するチップバイアス電圧の変化を示す。左側Y軸はチップバイアス電圧を、右側Y軸はカンチレバーの変位を示す。図2eは、Auコートされた従来のSiチップを用いて得られた、CrコートされたSi基板のAFMトポグラフィーである。図中白線の位置で計測した凹凸プロファイルを下に付す。図2fは、本発明のプローブを用いて得られた、CrコートされたSi基板のAFMトポグラフィーである。図中白線の位置で計測した凹凸プロファイルを下に付す。 図3は、Auコートされたチップ上に固着されたMWCNTを備える本発明のプローブのSEM像である。上段a〜cは同一のプローブを異なる方向から見たSEM像であり、下段d〜fは異なる3つのプローブのSEM像である。スケールバーは全て200nmである。 図4は、本発明のプローブのSEM像(a,b)及びTEM像(c,d)である。図4eは、Au修飾された探針のTEM像である。図4fは、該Au修飾された探針のEDXスペクトルであり、挿入図は、Au(左)とC(右)のマッピングである。スケールバーは全て200nmである。 図5aは、AuコートSiチップを用いて測定した、切断される前のMWCNTの典型的なI/V曲線である。図5bは、Crコートされた基板とプローブとの間のコンダクタンスの変化である。
本発明において、走査型プローブ顕微鏡は、プローブと試料間に作用する引力、静電気力等の種々の物理量を検出し、微小領域の表面形状や物性を測定する顕微鏡をすべて包含する。主な該顕微鏡として、走査型トンネル顕微鏡(STM)、原子間力顕微鏡(AFM)、ダイナミックフォースモード非接触型原子間力顕微鏡(DFM)がある。
本発明において、チップは従来使用されているAFM用の導電性チップであってよい。該チップを「探針」と呼ぶ場合もあるが、ここでは先端部にCNTを設ける前のものを「チップ」とする。該チップは、通常シリコン又は窒化シリコンからなり、金、ガリウム、白金イリジウム等の導電性コーティングが付されている。好ましくは金被覆(以下「Auコート」と表す場合がある)されたシリコンチップが使用される。
カーボンナノチューブ(CNT)は、単層、多層のいずれであってもよく、アームチェア型、ジグザグ型、カイラル型、カップスタック型、同軸型又はバンブー型のもの等、広く包含される。これらのうち、機械的強度の点で多層ナノチューブ(以下、「MWCNT」という場合がある)が好ましい。また、多層であれば金属的導電性を有するため電気特性計測用途にも好ましい。
CNTの製造方法にはアーク放電法、レーザー蒸発法、気相成長法等種々のものがあるが、基板上に制御された方向で成長させることができる点で、気相成長法が好ましい。なかでもプラズマエンハンスト気相成長法(PECVD)によれば、図1に示すように基板上に略垂直配向させてCNTを成長させることができるので、より好ましい。同図はCrコートされたSi基板上に、PECVD法でNi触媒を用いて成長させたMWCNTのTEM写真である。触媒はNiに限定されず、Fe、Co等の公知の触媒を使用することができる。同写真において、MWCNTは直径約50〜70nm及び長さ2〜3μmであり、MWCNTの密度は10MWCNT/cmであり、隣接するCNT間の間隔は5μm以上である。
本発明のプローブは、カーボンナノチューブからなる探針を備える。該CNTはチップの先端から突出している突出部と、該チップに固着された固着部からなる。該固着部では、CNTの側面が該チップの一側面と、側面同士で接合されている。図3は、Auコートされたチップ上に固着されたMWCNTのSEM像である。上段は同一のプローブを異なる方向から見た像であり、下段は同様の方法で作った別の3つのプローブの像である。これらのSEM像から分かるように、CNTとチップが側面同士で固着されている。
図4aはプローブ固着部のSEM像であり、図4c及び図4dはTEM像である。図4cに示すとおり、該固着部は、チップ先端とは反対側の端部に、該CNT製造する際に用いた触媒由来のNiを含む。また、これらの写真から、該固着部は数nm〜約10nmの無定形炭素の層で覆われていることが分かった。該無定形炭素層は、CNTとチップの固着の強度及び安定性の向上に寄与しているものと思われるが、本発明において主たる固着は、CNTの側面とチップの側面との側面同士の固着であり、特に注目すべきは図4cから分かるように触媒由来のNiとチップ側面との良好な制御可能な接触である。驚くことに、本発明の方法によれば、該接触を再現できる。そして該接触が、但し本発明を限定する趣旨ではないが、本発明のプローブを電気特性計測に好適なものとしていると考えられる。
該本発明のプローブは、走査型トンネル顕微鏡(STM)、原子間力顕微鏡(AFM)等の走査型プローブ顕微鏡のプローブとして、凹凸が大きい試料の表面のイメージング及び電気特性計測に最適である。
上記本発明のプローブは、下記工程を含む方法で作ることができる:
(1)原子間力顕微鏡用のチップを用いて、シリコン基板上に該基板に対して略垂直に配置され、頂部に触媒由来の金属を含む、少なくとも一のカーボンナノチューブのイメージングをする工程、
(2)該チップの先端を一のカーボンナノチューブの自由端上に接触させて配置する工程、
(3)該チップに負のバイアス電位を印加しながら、該チップ及び該カーボンナノチューブに、該カーボンナノチューブが切断されるまで、直流電流を流す工程。
工程(1)において、原子間力顕微鏡用のチップ及びCNTについては、既に説明したとおりである。該イメージングは、探針として適切な長さ及び太さ等を有するCNTを選択し、該CNTの位置を特定するために行う。なお、一本のCNTのみのイメージングをした後に、該一本のCNTについて工程(2)に進んでもよいことは言うまでもない。該イメージングの方法としては、原子間力顕微鏡のタッピングモードで行うことが好ましい。
工程(2)では、チップの先端を固着しようとするCNTの自由端、即ち、基板に固定されていない端部、の上に接触させて配置する。該配置は、コンタクトモードで所定の力を負荷しながら行う。該所定の力は、チップが保持されているカンチレバーのバネ定数等に応じて異なり得るが、後述する実施例では、約15nNであった。
工程(3)における負のバイアス電位及び直流電流は、使用するカンチレバー、チップ及びCNTの電気抵抗値に応じて異なり得るが、通常、−10〜−2V及び50μA〜150μAであり、典型的には90〜100μAの直流電流が流れるように電圧値を調整する。
電流は、CNTが切断される迄流す。該切断は、CNTが電気抵抗によって発熱して、その構造上の欠陥部に熱が集積して焼き切れることにより起こると考えられる。後述する実施例では電流を次第に強くして行き90〜100μAにした時点で切断が起こったが、該電流値はCNTの太さ及び長さに依存して異なる。電流を次第に強くする代わりに、所定の定電流を切断が起こるまでの時間流してもよい。
切断と同時に又は切断直後に、CNTがチップ先端から側壁へと移動して固着される。該移動は、チップ先端付近に集積される負電荷と、CNT上の正電荷との静電気的な力と歪緩和とによって、起こるものと考えられる。
工程(1)の前に、カーボンナノチューブを、プラズマエンハンスト化学気相成長法(PECVD)により製造する工程をさらに含んでよい。同方法は、アセチレン等の原料ガスをマイクロ波によりプラズマ化し、表面にNi等の触媒金属を有する基板上で積層させる方法である。この方法により成長されたCNTは、基板に略垂直方向に、触媒金属を内包した形で成長し、竹様の節を有するバンブー構造のMWCNTとなる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<カーボンナノチューブの調製>
プラズマエンハンスト化学気相成長法で、Ni触媒を用いて、CrコートされたSi基板上に、該基板に対して略垂直方向にMWCNTのアレイを成長させた。得られたMWCNTは、直径が50〜70nm、長さ2〜3μm、密度が10MWCNT/cmであり、隣接するMWCNT同士の間は5μm超であった。得られたMWCNTアレイのTEM写真を図1に示す。
<プローブの作成>
三角錐形状のAuコートされたSiチップを有するカンチレバー(バネ定数約3N/m、チップ頂点の曲率約50nm)を備える原子間力顕微鏡(SIIナノテクノロジー社製、SPA400)を使用して、以下の手順でプローブを作成した。
(1)タッピングモードで、上記MWCNTアレイをイメージングして、2μm程度の適切な長さを有するMWCNTの位置を特定した。図2aに、従来のAuコートされたSiチップを用いて測定された、基板に対して垂直状に成長したMWCNTのトポグラフィーを示す。
(2)コンタクトモードで、上記特定されたうちの一のMWCNTの自由端の上に、カンチレバーの変位が5nm(図2d、右側y軸)となる程度の力(約15nN)をかけて、図2bに示すようにして、チップを配置した。
(3)図2bの配置を保った状態で、チップに負バイアス電圧(図2d、左側y軸)を与える条件で、MWCNTを通じて基板に流れ込む電流を次第に増加させていった(図2d、x軸)。これは、設定した電流を流すために必要な電圧を印加する、定電流制御の条件で実施した。電流が90〜100μAに達したとき、カンチレバーの変位が0nmに戻ると共にバイアス電圧が増大し、MWCNTの切断が確認された。この切断によって、もともと基板上にあった2μm程度の長さを持つMWCNTは、数百nm程度を基板上に残してチップ側へと移動した。図2cに、得られたプローブを用いて測定した、基板上に残ったMWCNTのAFM像を示す。該AFM像では、探針を備えないチップで測定した図2aのAFM像と比べて、MWCNTの円形が明確に示されている。
(4)同様にして、他に24個のプローブを作成した。
<評価>
図2fに、得られたプローブを用いて得られた、CrコートされたSi基板のAFMトポグラフィーと、対応する高さプロフィールを示す。比較のために、本発明の探針を有しない、従来のチップを用いて得られたものを図2eに示す。本発明のプローブでは、細かい構造が鮮明に検出され、図2f下のグラフに示すように、20nm程度の小粒子も検出できた。一方、従来のチップでは、図2e下のグラフに示すように、80nm程度の粒子が何とか検出できる程度であった。ここから、本発明のプローブの増強されたイメージング能が確認された。
このとおり本発明の方法に従い、CNTを正確に位置決めして、適切に力を負荷し、電流を流すことによって、良好に配置され、適切な長さを有するCNT探針を有するプローブが簡単且つ高収率で得られることが分かった。
<プローブの形態>
得られたプローブを、走査型電子顕微鏡(日立 S4800)及び透過型電子顕微鏡(JEOL1010、100kV)を用いて観察した。後者の観察では、カンチレバーをそのSi基材から取り外し、Cu製のTEMグリッド上に銀ペーストを用いて固定した。
図3は、得られたプローブのSEM像である。上段は同じプローブを異なる方向から見た像であり、下段は他の異なる3つのプローブの像である。図3aにおいて、MWCNTは完全にyz平面内に在り、y軸に対して約15°傾いている。この傾き角(ティルトアングル)は、プローブをAFM装置に搭載したときに補償され、MWCNTが試料面に対して垂直となる。
図3に示す4つのプローブにおいて、MWCNTは長さが約1〜1.5μmであった。25回行った実験のうち、1回だけ約500nmより少し長い程度のものがあったが、他は全て、特別の切断工程無しに、1〜1.5μmの長さであった。この長さの均一性は、使用したMWCNT垂直アレイが長さ2μm〜3μmでほぼ揃っており、そのうちの2.5〜3μmのものを選んでチップに取り付けたことによるものと考えられる。MWCNTの直径が約50nmであることを考慮すると、上記長さのものはAFMイメージング中の熱雑音が低く、好ましい。
図4は得られたプローブのSEM像(a,b)及びTEM像(c,d)である。既に述べたとおり、図4a及びcからMWCNTとチップが側面同士で固着されていることが分かる。さらに、該固着部は数nmの厚みの無定形炭素層で覆われていることが分かった。これは、切断のために流した比較的大きな電流によって生成されたものと思われる。
図4dから、MWCNTの質はあまり良いとは言えず、多くの欠陥を含むバンブー構造であることが分かった。より欠陥が少なく、細くて良質の構造のCNTを用いることで、ヤング率及び導電性がより高い良質のプローブが得られるものと考えられる。
<プローブの電気的特性>
上記実施例において、AuコートSiチップをMWCNTの上に配置した後、該系を導電性にするためには、約3Vまでの電圧を要することが分かった。一般に、環境雰囲気中でAFMを用いるときには、チップと試料の間の汚染物質及び酸化層を除去するために、最初の活性化電圧が必要である。本発明の場合も同様であるが、一旦活性化された後は、チップとMWCNTの良好な電気的接続が形成されることが、AuコートSiチップを用いて、切断される前のMWCNTのコンダクタンスを測定することで確認された。典型的なI/V特性を図5aに示す。各MWCNTの電気的測定をする間に、コンタクト力を連続的に3、7.5、15、及び30nNに制御したが、30nNまではI/V特性に影響を及ぼさないことが分かった。20本以上のMWCNTについて測定した結果、使用したMWCNTの抵抗値が12〜70kΩであることが算定された。この値は、これまでに微細電極を用いて測定されてきた数100kΩ以上という値に比べて明らかに低く、今回使用したMWCNTとAuコートチップは良好な電気的接続を形成していると言える。
得られたプローブ自体も安定な導電性を示した。図5bは、Crコートされた基板とプローブとの間のコンダクタンスを計測した結果である。初期の減少と1回の揺らぎの後は、25μAを流した状態で2時間超安定であった。ここから、本発明のプローブはナノ構造の電気的特性を調べるプローブとして電気的安定性に優れ、信頼性が高いことが分かる。
<Au修飾>
該プローブを用いて容易にAu修飾された探針を得ることができることが分かった。図4eはAu修飾した探針のTEM像である。これは、得られたプローブを空気中で350℃で2時間、単に加熱しただけである。金粒子がMWCNTの表面に観察された。該粒子の密度は、加熱温度及び時間を制御することで制御できる。該探針のエネルギー分散X線(EDX)スペクトルを図4fに示す。約7keVにAuが検出されているのが分かる。同スペクトルにおいて、Cu、Al、SiはSEM装置及び基板由来である。挿入図は、Au(左)とC(右)のマッピングである。ここから、Auが全体に亘って均一に付着していることが分かった。該Au修飾探針を用いれば、触媒反応、センシング、チップ増強ラマン分析等への応用が可能である(R. Kumarら, Nanoscale, 5 (2013), pp. 6491-6497; H. Sharmaら, J. Raman Spectroscopy, 44 (2012), pp. 12-20;J.C. Charlier,ら, Nanotechnol., 20 (2009), p. 375501)
<比較実験>
比較として、Auコートが無いSiチップを用いて同上の操作を行った。該チップでも、コンタクトモードでMWCNTを固着させることはできたが、あまり綺麗に配向していなかった。MWCNTは基板から引き抜かれ、基板表面上のCr粒子と汚染物でコートされた、丸まった頂部の探針となり、AFMには適切ではなかった。
本発明のプローブは、高いアスペクト比を有する試料のイメージングに有用である。また、探針とチップとの間の良好な電気的接続に基づく良好な導電性を利用して、試料の電気的特性のプローブとしても有用である。

Claims (3)

  1. (1)原子間力顕微鏡用のチップを用いて、シリコン基板上に該基板に対して略垂直に配置され、頂部に触媒由来の金属を含む、少なくとも一のカーボンナノチューブのイメージングをする工程、
    (2)該チップの先端を該一のカーボンナノチューブの自由端上に接触させて配置する工程、
    (3)該チップに負のバイアス電位を印加しながら、該チップ及び該カーボンナノチューブに、該カーボンナノチューブが切断されるまで、直流電流を流す工程、
    を含むことを特徴とする、走査型プローブ顕微鏡用のプローブの製造方法。
  2. 工程(1)の前に、該カーボンナノチューブを、プラズマエンハンスト化学気相成長法(PECVD)により製造する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
  3. 該チップが、金被覆されたシリコンからなることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
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