JP6607751B2 - Fe−Co合金粉末およびその製造方法並びにアンテナ、インダクタおよびEMIフィルタ - Google Patents

Fe−Co合金粉末およびその製造方法並びにアンテナ、インダクタおよびEMIフィルタ Download PDF

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Description

本発明は、数百MHz〜数GHz帯域での比透磁率の向上に有利な金属磁性粉末、およびその製造方法に関する。
近年、各種携帯端末をはじめ、数百MHz〜数GHzの電波を通信手段に用いる電子機器が普及している。これらの機器に適した小型アンテナとして、導体板と、それに平行に配置される放射板を有する平面アンテナが知られている。この種のアンテナの更なる小型化を図るためには、導体板と放射板との間に高透磁率の磁性体を配置することが有効である。しかし、従来の磁性体は数百MHz以上の高周波帯域における損失が大きいため、磁性体を用いるタイプの平面アンテナの普及は遅れている。例えば特許文献1、2には、複素比透磁率の実数部μ’を高めた金属磁性粉末が開示されているが、磁気損失の指標となる複素比透磁率の損失係数tanδ(μ)については必ずしも十分な改善効果は得られていない。
特許文献3には、Fe−Co合金粉末粒子の軸比(=長径/短径)を比較的大きくして磁気異方性を増大させることにより損失係数tanδ(μ)を低減する技術が開示されている。
特開2011−96923号公報 特開2010−103427号公報 特開2013−236021号公報
高周波用アンテナの小型化を図る上ではμ’が大きく、かつ損失係数tanδ(μ)=μ”/μ’が小さい磁性体が有利となる。ここで、μ’は複素比透磁率の実数部、μ”は複素比透磁率の虚数部である。μ’の向上には、金属磁性粉末の飽和磁化σsを高めることが有効である。Fe−Co合金粉末においては一般にCoの含有量割合の増加に伴ってσsが増大する傾向が見られる。しかし、従来一般的な製法でCo含有量の高いFe−Co合金粉末を作製すると、σsは増大しているにもかかわらず、μ’が十分に高くならないという問題があった。
本発明は、高い飽和磁化σsを有し、制御された保磁力Hcを有し、極めて大きいμ’と十分に小さいtanδ(μ)が得られる、アンテナに適したFe−Co合金粉末を提供すること、およびそれを用いたアンテナを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、平均粒子径100nm以下、Co/Feモル比が0.15〜0.50のFe−Co合金粉末であって、保磁力Hcが52.0〜78.0kA/m、飽和磁化σsが160.0Am2/kg以上であり、60℃、相対湿度90%の空気環境に168h(1週間)保持する方法で行う耐候性試験に供したとき、下記(1)式によるΔσsが15.0%以下となるFe−Co合金粉末が提供される。
Δσs=(σs−σs1)/σs×100 …(1)
ここで、σsは耐候性試験前の飽和磁化(Am2/kg)、σs1は耐候性試験後の飽和磁化(Am2/kg)である。
「Fe−Co合金粉末のCo/Feモル比」は粉体の化学組成におけるCoとFeのモル比を意味する。
上記において、σsが167.0Am2/kg以上、かつ前記(1)式によるΔσsが12.0%以下となるFe−Co合金粉末がより好ましい対象となる。特に、σsが170.0Am2/kg以上、Hcが52.0〜62.0kA/mであり、前記(1)式によるΔσsが10.0%未満となるものが一層好ましい。BET比表面積は30.0〜70.0m2/gの範囲とすることができるが、30.0〜42.5m2/gであることがより好ましい。
前記Fe−Co合金粉末のCo/Feモル比は0.25〜0.40の範囲とすることがより好ましい。粉末を構成する粒子の平均軸比(=平均長径/平均短径)は1.40より大きく1.70未満であることが望ましい。
上記Fe−Co合金粉末は、当該粉末とエポキシ樹脂を90:10の質量割合で混合して作製した成形体を磁気測定に供したとき、1GHzにおいて、複素比透磁率の実数部μ’が2.50以上、かつ複素比透磁率の損失係数tanδ(μ)が0.05未満となる性質を有することが好ましい。また、2GHzにおいて、複素比透磁率の実数部μ’が2.80以上、かつ複素比透磁率の損失係数tanδ(μ)が0.12未満となる性質を有することが好ましく、tanδ(μ)を0.10未満に管理することもできる。さらに、3GHzにおいて、複素比透磁率の実数部μ’が3.00以上、かつ複素比透磁率の損失係数tanδ(μ)が0.30未満となる性質を有することが好ましい。粉末の電気抵抗としては、JIS K6911に準拠した二重リング電極方法により、金属粉末1.0gを電極間に挟んで25MPa(8kN)の垂直荷重を付与しながら印加電圧10Vにて測定した場合の体積抵抗率が1.0×108Ω・cm以上であることが好ましい。
また、上記Fe−Co合金粉末の製造方法として、Feイオンを含有する水溶液に酸化剤を導入して核晶を生成させ、その後、FeおよびCoを成分に持つ前駆体を析出成長させるに際し、析出反応に使用する全Co量をCo/Feモル比0.15〜0.50の範囲とし、そのCoの全量を核晶生成開始後の時期に前記水溶液中に添加して前駆体を得る工程(前駆体形成工程)、
前駆体の乾燥物を還元性ガス雰囲気中で250〜650℃に加熱することにより、Fe−Co合金相を持つ金属粉末を得る工程(還元工程)、
還元後の金属粉末粒子の表層部に酸化保護層を形成する工程(安定化工程)、
を有する製造方法が提供される。
前駆体形成工程において、析出反応に使用する全Co量を、Co/Feモル比0.25〜0.40の範囲とすることがより好ましい。前記Coの全量を、析出反応に使用する全Fe量の10%が析出反応に消費された時点以降の時期に前記水溶液中に添加することがより好ましい。より具体的には例えば、前記Coの全量を、析出反応に使用する全Fe量に占める既に析出反応に消費されたFe量の累積割合が10〜80%である時期に前記水溶液中に添加する手法を採用することができる。
必要に応じて、希土類元素(Yも希土類元素として扱う)が水溶液中に存在している状態で前記核晶を生成させることができる。核晶を生成する前に添加する希土類元素の添加量を変化させることで、得られる前駆体や最終的に得られる金属磁性粉末を構成する粒子の軸比を変更することができる。さらに、希土類元素(Yも希土類元素として扱う)、Al、Si、Mgの1種以上が水溶液中に存在している状態で前記析出成長を進行させることができる。
また本発明では、上記Fe−Co合金粉末を使用して形成されたアンテナが提供される。特に、前記Fe−Co合金粉末を樹脂組成物と混合した成形体を構成部材に有する周波数430MHz以上の電波を受信、送信、または送受信するアンテナが好適な対象となる。また、上記Fe−Co合金粉末を使用して形成されたインダクタおよびEMIフィルタが提供される。
本発明によれば、Fe−Co合金粉末において、同等のCo含有率で比較したときの飽和磁化σsを従来よりも顕著に向上させることが可能となった。Co含有率増加に伴う保磁力Hcの増大も抑制される。σsの向上とHcの抑制は、高周波特性として重要な複素比透磁率の実数部μ’の向上に極めて有利となる。Fe−Co合金粉末の耐候性Δσsも改善される。また、本発明に従えば粉末粒子の軸比を適正に制御することが可能であり、磁気損失tanδ(μ)の増大も抑止される。従って本発明は、高周波用アンテナ等の小型化・高性能化に寄与するものである。また、本発明は、高周波用アンテナのみならず、インダクタ、さらにはEMIフィルタなどの高周波部品の小型化・高性能化に寄与するものである。
トータルCo/Feモル比と、飽和磁化σsの関係を示すグラフ。 トータルCo/Feモル比と、保磁力Hcの関係を示すグラフ。
上述のように、従来のFe−Co合金粉末の製法でCo含有量割合が高い粒子を作製すると、飽和磁化σsが増加しているにもかかわらずμ’を十分に高めることができなかった。その理由について詳細に検討した結果、従来の製法でCo含有量割合が高い粒子を作製すると、粒子の軸比が大きくなり、磁気異方性の増大により共鳴周波数が高周波側にシフトすることで、μ’を十分に高めることができないことが判明した。磁気異方性は保磁力Hcと密接な関係があり、磁気異方性が大きくなるとHcも大きくなるため、μ’を十分に高めるためには、磁性体に必要な磁気特性としてσsを高めるとともに、保磁力Hcが必要以上に大きくならないように制御することが重要である。一方、保磁力Hcが小さすぎると今度はtanδ(μ)が大きなものとなり、アンテナに使用する際の損失が増大してしまう。tanδ(μ)の観点からは保磁力Hcが過度に小さくならないように制御すること重要であることがわかった。
発明者らは詳細な研究の結果、水溶液中で前駆体を析出成長させ、その前駆体を還元焼成してFe−Co合金磁性粉末を得るに際し、前駆体の核晶を生成させる初期の酸化反応をCoが添加されていないFeイオン含有水溶液中で行い、その後、析出反応に使用されるCoの全量を、前駆体が析出成長する過程の途中段階で液中に添加する手法を採用したとき、保磁力Hcの過度な増大を伴わずに飽和磁化σsを顕著に向上させることができることを見出した。その結果、tanδ(μ)を低く抑えながらμ’を顕著に向上させることが可能となる。また、従来、σsが非常に高く、かつΔσs(耐候性)が良好であるFe−Co合金粉末を安定して得るためには、後述の還元工程と安定化工程(徐酸化処理)を複数回行うといった工夫が必要であった。ところが、前駆体が析出成長する途中段階でCoの全量を添加する手法により、還元工程および安定化工程を1回行うだけで、例えばσsが167.0Am2/kg以上あるいはさらに170.0Am2/kg以上と非常に高く、かつΔσsが11.5%以下あるいはさらに10.0%未満と耐候性が良好であるFe−Co合金粉末を工業的に安定して製造できることがわかった。本発明はこのような知見に基づいて完成したものである。
《金属磁性粉末》
〔化学組成〕
本明細書において、Fe−Co合金粉末におけるCo含有量は、CoとFeのモル比によって表す。このモル比を「Co/Feモル比」と呼ぶ。一般に、Co/Feモル比の増加に伴って飽和磁化σsが増大する傾向がある。本発明に従えば、同じCo/Feモル比で比べると、従来一般的なFe−Co合金粉末よりも高いσsが得られる。そのσs改善効果は広いCo含有量範囲において得られる。高周波用アンテナ等、高いσsを必要とする用途を考慮すると、Co/Feモル比は0.15以上であることが好ましく、0.25以上がより好ましい。高いσsを得る点においてはCoを多く含有することが望ましいが、過剰なCo含有はコスト増を招く要因となるため、Co/Feモル比は0.70以下とすることが望ましく、0.60以下とすることがより好ましく、0.50以下とすることがさらに好ましい。本発明に従えばCo/Feモル比を0.40以下、あるいはさらに0.35以下の範囲とした場合においても高いσsを得ることができる。
Fe、Co以外の金属元素として、希土類元素(Yも希土類元素として扱う)、Al、Si、Mgの1種以上を含有することができる。希土類元素、Si、Al、Mgは、従来公知の金属磁性粉末の製造工程において必要に応じて添加されるものであり、本発明においてもこれらの元素の含有が許容される。金属磁性粉末に添加される希土類元素としては代表的にはYが挙げられる。FeとCoの総量に対するモル比において、希土類元素/(Fe+Co)モル比は0〜0.20とすることができ、0.001〜0.05がより好ましく、0.01〜0.03が一層好ましい。Si/(Fe+Co)モル比は0〜0.30とすることができ、0.01〜0.15がより好ましい。Al/(Fe+Co)モル比は0〜0.20とすることができ、0.01〜0.15がより好ましく、0.03〜0.07が一層好ましい。Mg/(Fe+Co)モル比は0〜0.20とすることができる。
〔粒子径〕
金属磁性粉末を構成する粒子の粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求めることができる。TEM画像上である粒子を取り囲む最小円の直径をその粒子の径(長径)と定める。その径は、金属コアの周囲を覆う酸化保護層を含めた径を意味する。ランダムに選択した300個の粒子について径を測定し、その平均値を当該金属磁性粉末の平均粒子径とすることができる。本発明では、平均粒子径が100nm以下のものを対象とする。一方、平均粒子径が10nm未満の超微細粉末は、製造コストの上昇や取り扱い性の低下を伴うので、通常、平均粒子径は10nm以上とすればよい。
〔軸比〕
TEM画像上のある粒子について、上記の「長径」に対して直角方向に測った最も長い部分の長さを「短径」と呼び、長径/短径の比をその粒子の「軸比」と呼ぶ。粉末としての平均的な軸比である「平均軸比」は以下のようにして定めることができる。TEM観察により、ランダムに選択した300個の粒子について「長径」と「短径」を測定し、測定対象の全粒子についての長径の平均値および短径の平均値をそれぞれ「平均長径」および「平均短径」とし、平均長径/平均短径の比を「平均軸比」と定める。本発明に従うFe−Co合金粉末の平均軸比は、1.40より大きく1.70未満の範囲であることが望ましい。1.40以下になると形状磁気異方性が小さくなることに起因して複素比透磁率の虚数部μ”が大きくなり、損失係数δ(μ)の低下を重視する用途では不利となる。一方、平均軸比が1.70を超えると飽和磁化σsの向上効果が小さくなりやすく、複素比透磁率の実数部μ’の向上を重視する用途ではメリットが低減する。
〔粉末特性〕
保磁力Hcの許容範囲は52.0〜78.0kA/mである。Hcが低すぎると周波数430MHz以上の特性においてtanδ(μ)が大きなものとなり、アンテナに使用する際に損失が増大する。一方、Hcが高すぎると高周波特性において複素比透磁率の実数部μ’を低下させる要因となる。この場合、σsの増大によるμ’の向上効果が相殺され好ましくない。Hcは70.0kA/m未満であることがより好ましく、62.0kA/m以下であることが一層好ましい。後述のCo添加手法を採用することにより、52.0〜62.0kA/mの保磁力範囲にコントロールすることができる。
本発明に従うFe−Co磁性粉は、飽和磁化σsが160.0Am2/kg以上である。σsが160.0Am2/kgよりも小さい場合はμ’が小さくなり、アンテナに使用した際の小型化効果が小さなものとなる。σsは167.0Am2/kg以上、あるいはさらに170.0Am2/kg以上であることがより好ましい。こういった高い飽和磁化σsを有し、かつ保磁力Hcが過度に高くない範囲(例えば52.0〜70.0kA/m、より好ましくは52.0〜62.0kA/m)にあるFe−Co磁性粉を得ることは、従来、極めて困難であった。後述のCo添加手法を採用することにより、それが可能となった。なお、σsは通常、200Am2/kg以下の範囲にあればよい。
飽和磁化σsとCo/Feモル比との関係において下記(2)式を満たすことが好ましい。
σs≧50[Co/Fe]+151 …(2)
ここで、[Co/Fe]は粉体の化学組成におけるCoとFeのモル比を意味する。
(2)式を満たす金属磁性粉末は、従来一般的なFe−Co合金粉末と比べ、より少ないCo添加量において高いσsを呈するものであり、Feよりも高価なCoの使用量を節約できる点でコストパフォーマンスに優れる。
その他の粉末特性として、BET比表面積は30.0〜70.0m2/gであることが好ましく、30.0〜42.5m2/gであることが一層好ましい。BET比表面積が小さいほど耐候性の向上(Δσsの低減)には有利に作用する。BET比表面積を低減するには、例えば、還元工程および安定化工程(徐酸化処理)を複数回行うといった入念な熱処理を行うことが有効である。ところが、本発明に従うCo添加手法(全量途中添加)を採用することにより、1回の還元工程および安定化工程を経るだけで、BET比表面積の低減化(例えば42.5m2/g以下への低減化)が可能となる。
TAP密度は0.8〜1.5g/cm3、角形比SQは0.3〜0.6、SFDは3.5以下の範囲にそれぞれあることが好ましい。
耐候性については、60℃、相対湿度90%の空気環境に168h(1週間)保持する方法で行う耐候性試験に供したとき、下記(1)式によるΔσsが15.0%以下となるFe−Co合金粉末が対象となる。
Δσs=(σs−σs1)/σs×100 …(1)
ここで、σsは耐候性試験前の飽和磁化(Am2/kg)、σs1は耐候性試験後の飽和磁化(Am2/kg)である。
Δσsが12.0%以下であるものがより好ましく、10.0%未満であるものが一層好ましい。
絶縁性については、JIS K6911に準拠した二重リング電極方法により、金属磁性粉末1.0gを電極間に挟んで25MPa(8kN)の垂直荷重を付与しながら印加電圧10Vにて測定した場合の体積抵抗率が1.0×108Ω・cm以上であることが好ましい。
〔透磁率・誘電率〕
Fe−Co合金粉末と樹脂を90:10の質量割合で混合して作製したトロイダル形状のサンプルを用いて、当該Fe−Co合金粉末によって発現する透磁率・誘電率を評価することができる。その際に使用する樹脂としては、エポキシ樹脂をはじめとする公知の熱硬化性樹脂や、公知の熱可塑性樹脂が採用できる。このような成形体としたとき、1GHzにおいて、複素比透磁率の実数部μ’が2.50以上、複素比透磁率の損失係数tanδ(μ)が0.05未満となる性質を有することが好ましく、μ’が2.70以上、tanδ(μ)が0.03未満となる性質を有することがより好ましい。このtanδ(μ)は小さければ小さいほど好ましいが、通常0.005以上の範囲で調整されていればよい。
また、本発明に従うFe−Co合金粉末は、1GHzを超える周波数領域でも優れた磁気特性を呈する。例えば、上記の成形体における2GHzの高周波特性を例示すると、μ’が2.80以上、tanδ(μ)が0.12未満あるいは0.10未満となる性質を有するものが好適な対象となる。同様に3GHzの高周波特性を例示すると、μ’が3.00以上、tanδ(μ)が0.300以下より好ましくは0.250以下となる性質を有するものが好適な対象となる。
特に本発明に従えば、1GHzのμ’が3.50以上、tanδ(μ)が0.025未満、2GHzのμ’が3.80以上、tanδ(μ)が0.12未満、かつ3GHzのμ’が4.00以上、tanδ(μ)が0.30未満という極めて優れた高周波特性を発揮させることができるFe−Co合金粉末を作り分けることも可能である。
《製造方法》
上記のFe−Co磁性粉末は、以下のような工程で製造することができる。
〔前駆体形成工程〕
Feイオンが溶解している水溶液に酸化剤を導入して核晶を生成させ、その後、FeおよびCoを成分に持つ前駆体を析出成長させる。ただし、析出反応に使用するCoの全量を、核晶生成開始後かつ析出反応終了前の時期に前記水溶液中に添加する。すなわち、核晶が生成する初期の酸化反応は、Coが添加されていないFe含有水溶液中で行い、Coを含まないオキシ水酸化鉄の核晶を生成させる。以下において、核晶生成開始前(すなわち酸化剤導入開始前)の水溶液を「反応元液」と呼び、核晶生成開始前の時期を「初期段階」と呼ぶ。また、核晶生成開始後(すなわち酸化剤導入開始後)かつ析出反応終了前の時期を「途中段階」と呼び、途中段階で水溶性の物質を液中に添加して溶解させる操作を「途中添加」と呼ぶ。
反応元液中にはFeイオンが存在する必要がある。Feイオンが存在する水溶液としては、水溶性の鉄化合物(硫酸鉄、硝酸鉄、塩化鉄など)を、水酸化アルカリ(NaOH、KOHなど)水溶液や炭酸アルカリ(炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウムなど)水溶液で中和して得られる2価のFeイオンを含む水溶液が好適である。反応元液を用意する手順において、その液中にCo源の添加は行わない。Co源を最初に添加するのは、Feイオンの酸化生成物である核晶が生成した後の段階である。
従来、Coは反応元液の初期段階において全量を溶解させておくことが通常である。しかし、このような従来のCo添加方法では、Co含有量の増加に伴って飽和磁化σsは増大するとともに、保磁力Hcも増大する。その理由として、Co添加によって長径方向への析出が生じやすくなり、軸比増大による形状磁気異方性の効果が大きくなることが考えられる。保磁力Hcの増大は複素比透磁率の実数部μ’の低下要因となる。高周波特性を改善するためには、保磁力Hcの増大を抑制しながら飽和磁化σsを増大させることが可能な新たな手法の開発が望まれていた。発明者らは詳細な研究の結果、Coの全量を途中添加することにより、保磁力Hcの増大抑制および飽和磁化σsの顕著な向上が可能となることを見出した。
Co無添加の反応元液中でFeイオンを酸化させて核晶を生成させ、異方性の小さい微細な前駆体粒子が形成し始めた後に最初のCo添加を行った場合には、核晶の段階からCo存在下で析出成長する場合とは異なり、長径方向に優先的に析出が進行する現象が緩和されることがわかった。そのため、Coを途中添加のみによって添加することによって、トータルCo含有量は同じでも、より軸比の小さい前駆体粒子を得ることができる。この粒子は、中心部に比べ周辺部のCo濃度が高くなっていると考えられるが、還元焼成の際の原子拡散によって、FeとCoの濃度変動は均質化されると考えられる。
Co源としては、水溶性のコバルト化合物(硫酸コバルト、硝酸コバルト、塩化コバルトなど)が使用できる。酸化剤としては、空気などの酸素含有ガスや、過酸化水素などが使用できる。反応元液に酸素含有ガスを通気させるか、過酸化水素などの酸化剤物質を添加することにより、前駆体の核晶を生成させる。その後、さらに酸化剤の導入を継続して、前記核晶の表面にFe化合物を析出させ、Coが存在しない環境で前駆体をある程度成長させる。その析出成長を行う際の液温は25〜80℃の範囲とすればよく、40〜70℃とすることがより好ましい。その後、液中にCoを添加し、酸化剤のさらなる導入を行った、既にある程度成長している前駆体粒子の表面にFe化合物およびCo化合物を析出させ、前駆体粒子をさらに成長させる。前駆体は、オキシ水酸化鉄あるいはオキシ水酸化鉄のFeサイトの一部をCoで置換した構造の結晶を主体とするものであると考えられる。
Co途中添加の方法は前述の水溶性コバルト化合物の直接投入、あるいは予めCoを溶解させた液の投入によって行うことができる。一挙添加、分割添加、連続添加を適宜選択することができる。析出反応に使用する全Fe量の10%が析出反応に消費される時点以降にCoの途中添加を開始することが好ましい。析出反応に使用する全Fe量の20〜80%が酸化される時期にCoの途中添加を開始することがより好ましく、全Fe量の35〜75%が酸化される時期にCoの途中添加を開始することが一層好ましい。より具体的には例えば、析出反応に使用する全Fe量に占める既に析出反応に消費されたFe量の累積割合が10〜80%である時期にCoの全量を前記水溶液中に添加する手法を採用することができ、上記累積割合が35〜75%である時期にCoの全量を前記水溶液中に添加するように添加時期を管理してもよい。
また、必要に応じて希土類元素(Yも希土類元素として扱う)、Al、Si、Mgの1種以上が水溶液中に存在している状態で前駆体の析出成長を進行させることができる。これらの元素の添加時期は、初期段階、途中段階、初期段階および途中段階のいずれかとすればよい。これらの元素の供給源として、各水溶性の化合物を使用すればよい。水溶性の希土類元素化合物としては、例えばイットリウム化合物の場合、硫酸イットリウム、硝酸イットリウム、塩化イットリウムなどが挙げられる。水溶性のアルミニウム化合物としては、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウムなどが挙げられる。水溶性のケイ素化合物としては、ケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムなどが挙げられる。水溶性のマグネシウム化合物としては、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウムなどが挙げられる。これら添加元素を含有させる場合の含有量に関し、希土類元素/(Fe+Co)モル比は0.20以下の範囲とすることが好ましく、0.001〜0.05、あるいは0.01〜0.03の範囲に管理してもよい。Al/(Fe+Co)モル比は0.20以下の範囲とすることが好ましく、0.01〜0.15、あるいは0.03〜0.07の範囲に管理してもよい。Si/(Fe+Co)モル比は0.30以下の範囲とすることが好ましく、0.01〜0.15の範囲に管理してもよい。Mg/(Fe+Co)モル比は0.20以下の範囲とすることが好ましく、0.01〜0.15の範囲に管理してもよい。
〔還元工程〕
上記の方法で得られた前駆体の乾燥物を還元性ガス雰囲気中で加熱することにより、Fe−Co合金相を持つ金属粉末を得る。還元性ガスとしては、代表的には水素ガスが挙げられる。加熱温度は250〜650℃の範囲とすることができ、500〜650℃がより好ましい。加熱温度が低すぎると還元反応が進まないために好ましくなく、また加熱温度が高すぎると金属粉末の粒子間の焼結が進行してしまうために好ましくない。加熱時間は10〜120minの範囲で調整すればよい。
〔安定化工程〕
還元工程を終えた金属粉末は、そのまま大気に曝すと急速に酸化するおそれがある。安定化工程は、急激な酸化を回避しながら粒子表面に酸化保護層を形成する工程である。還元後の金属粉末が曝される雰囲気を不活性ガス雰囲気とし、当該雰囲気中の酸素濃度を増大させながら20〜200℃、より好ましくは60〜100℃で金属粉末粒子表層部の酸化反応を進行させる。上記還元工程と同じ炉中で安定化工程を実施する場合は、還元工程を終了後、炉内の還元性ガスを不活性ガスで置換し、上記温度範囲において当該不活性ガス雰囲気中に酸素含有ガスを導入しながら粒子表層部の酸化反応を進行させるとよい。金属粉末を別の熱処理装置に移して安定化工程を実施してもよい。また、還元工程後に金属粉末をコンベア等で移動させながら連続的に安定化工程を実施することもできる。いずれの場合も、還元工程後に、金属粉末を大気に曝すことなく、安定化工程に移行させることが重要である。不活性ガスとしては、希ガスおよび窒素ガスから選ばれる1種以上のガス成分が適用できる。酸素含有ガスとしては、純酸素ガスや空気が使用できる。酸素含有ガスとともに、水蒸気を導入してもよい。水蒸気は酸化皮膜を緻密化させる効果がある。金属磁性粉末を20〜200℃好ましくは60〜100℃に保持するときの酸素濃度は、最終的には0.1〜21体積%とする。酸素含有ガスの導入は、連続的または間欠的に行うことができる。安定化工程の初期の段階で、酸素濃度が1.0体積%以下である時間を5.0min以上キープすることがより好ましい。
前記安定化工程後に、還元性ガス雰囲気中での250〜650℃の加熱処理と、それに続く前記安定化工程の処理を1回以上実施してもよい。ただし、上述のCo添加手法に従えば、還元・安定化工程の反復を行うことなく、飽和磁化σsの向上および耐候性の向上(Δσsの低減化)を高いレベルで実現することができる。
《アンテナ》
本発明に従うFe−Co合金粉末は、アンテナの構成材料として使用できる。例えば、導体板と、それに平行に配置される放射板とを有する平面アンテナが挙げられる。平面アンテナの構成は例えば特許文献3の図1に開示されている。本発明に従うFe−Co合金粉末は、430MHz以上の電波を送信、受信 または送受信するアンテナ用の磁性体素材として極めて有用である。特に700MHz〜6GHzの周波数帯域で使用されるアンテナへの適用がより効果的である。
本発明に従うFe−Co合金粉末を樹脂組成物と混合した成形体とし、これを上記アンテナの磁性体に使用する。樹脂としては、公知の熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を適用すればよい。例えば熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、イソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂などから選択することができる。エポキシ樹脂としては、モノエポキシ化合物、多価エポキシ化合物のいずれか又はそれらの混合物を用いることができる。モノエポキシ化合物や、多価エポキシ化合物は、特許文献3に種々のものが例示されており、それらを適宜選択して使用することができる。熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂、アクニロニトリルスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、液晶ポリマー(LCP)、フッ素樹脂、ウレタン樹脂などから選択することができる。
Fe−Co合金粉末と樹脂の混合の割合は、金属磁性粉末/樹脂の質量比で表すと、30/70以上99/1以下が好ましく、50/50以上95/5以下がより好ましく、70/30以上90/10以下がさらに好ましい。樹脂が少なすぎると成形体にならず、多すぎると所望の磁気特性が得られない。
《実施例1》
〔反応元液の作成〕
1mol/Lの硫酸第一鉄水溶液700mLに、0.2mol/Lの硫酸イットリウム水溶液をY/Feモル比が0.023となるように加えて、約1LのFe、Y含有溶液を用意した。5000mLビーカーに、純水2600mLと、炭酸アンモニウム溶液350mLを添加し、温調機で40℃に維持しながら撹拌し、炭酸アンモニウム水溶液を得た。なお、炭酸アンモニウム溶液の濃度としては、前記Fe、Y含有溶液中のFe2+および途中で添加するCo2+の総量に対し炭酸CO3 2-が3当量となるように調整した。この炭酸アンモニウム水溶液中に前記Fe、Y含有溶液を加え、反応元液とした。
〔前駆体形成〕
上記の反応元液に3.4mol/LのH22水溶液を5mL添加しオキシ水酸化鉄の核晶を生成させた。その後、この液を60℃に昇温し、反応元液中に存在していた全Fe2+の40%が酸化するまで液中に空気を163mL/minの吹き込み速度で通気した。このときに必要な通気量は、予め予備実験により把握してある。予備実験においては、反応元液に空気を吹き込み、横河電機株式会社製の酸素濃度計(型番:OX61)を用いて反応元液の上面における酸素濃度を計測し、その酸素濃度の上昇速度が0.4体積%/min以上となった時点を酸化の完結点として必要通気量を算出した。その後、反応元液中のFeの総量に対しCo/Feモル比が0.35(=35モル%)となる量のCoを液中に添加した(途中添加)。Coの途中添加は1mol/Lの硫酸コバルト水溶液を混合する方法で行った。Co添加後、0.3mol/Lの硫酸アルミニウム水溶液をFeとCoの総量に対しAl/(Fe+Co)モル比が0.055となるように添加し、酸化が完結するまで(すなわち前駆体の形成反応が終了するまで)空気を163mL/minの吹き込み速度で通気した。Co途中添加後、前駆体形成反応終了までの液温は60℃とした。このようにして得た前駆体含有スラリーを、濾過、水洗したのち、空気中110℃で乾燥して、前駆体の乾燥物(粉末)を得た。本例では、Co添加を途中添加のみで賄い、仕込み組成におけるトータルCo/Feモル比は0.35である。Coの仕込み添加量を表1中に示す。
〔還元処理〕
上記の前駆体の乾燥物を通気可能なバケットに入れ、そのバケットを貫通型還元炉内に装入し、炉内に水素ガスを流しながら630℃で40min保持することにより還元処理を施した。
〔安定化処理〕
還元処理後、炉内の雰囲気ガスを水素から窒素に変換し、窒素ガスを流した状態で炉内温度を降温速度20℃/minで80℃まで低下させた。その後、安定化処理を行う初期のガスとして、窒素ガス/空気の体積割合が125/1となるように窒素ガスと空気を混合したガス(酸素濃度約0.17体積%)を炉内に導入して金属粉末粒子表層部の酸化反応を開始させ、その後徐々に空気の混合割合を増大させ、最終的に窒素ガス/空気の体積割合が25/1となる混合ガス(酸素濃度約0.80体積%)を炉内に連続的に導入することにより、粒子の表層部に酸化保護層を形成した。安定化処理中、温度は80℃に維持し、ガスの導入流量もほぼ一定に保った。
以上の工程により、Fe−Co合金相を磁性相に持つ供試粉末を得た。
〔組成分析〕
ICP発光分析装置により供試粉末の組成分析を行った。その結果を表1中に示す。
〔平均粒子径、平均軸比〕
供試粉末について、TEM観察による上述の方法で平均粒子径および平均軸比を測定した。結果を表1中に示す。
〔体積抵抗率〕
供試粉末の体積抵抗率は、JIS K6911に準拠した二重リング電極方法により、供試粉末1.0gを電極間に挟んで13〜64MPa(4〜20kN)の垂直荷重を付与しながら印加電圧10Vにて測定する方法により求めた。測定には、三菱化学アナリテック社製粉体抵抗測定ユニット(MCP―PD51)、同社製高抵抗抵抗率計ハイレスタUP(MCP−HT450)、同社製高抵抗粉体測定システムソフトウェアを用いた。結果を表2中に示す。
〔BET比表面積〕
BET比表面積は、ユアサアイオニクス社製の4ソーブUSを用いて、BET一点法により求めた。結果を表2中に示す。
〔TAP密度〕
TAP密度は、ガラス製のサンプルセル(5mm径×40mm高さ)に供試粉末を入れ、タップ高さ10cmとして、200回タッピングを行って測定した。結果を表2中に示す。
〔粉末の磁気特性および耐候性〕
供試粉末の磁気特性(バルク特性)として、VSM装置(東英工業社製;VSM−7P)を使用して、外部磁場795.8kA/m(10kOe)で、保磁力Hc(kA/m)、飽和磁化σs(Am2/kg)、角形比SQを測定した。耐候性については、金属磁性粉末を温度60℃、相対湿度90%の空気環境に168h(1週間)保持する試験前後のσsの変化量率Δσsにより評価した。Δσsは前述の(1)式により算出される。これらの結果を表3中に示す。
また、表3中には前記(2)式右辺の値、およびσs(Am2/kg)と(2)式右辺の値の差を示す。σsと(2)式右辺の値の差が0または正になる場合に(2)式を満たす。
〔透磁率・誘電率測定〕
供試粉末とエポキシ樹脂(株式会社テスク製;一液性エポキシ樹脂B−1106)を90:10の質量割合で秤量し、真空撹拌・脱泡ミキサー(EME社製;V−mini300)を用いてこれらを混練し、供試粉末がエポキシ樹脂中に分散したペーストとした。このペーストをホットプレート上で60℃、2h乾燥させて金属粉末と樹脂の複合体としたのち、粉末状に解粒して、複合体粉末とした。この複合体粉末0.2gをドーナッツ状の容器内に入れて、ハンドプレス機により9800N(1Ton)の荷重をかけることにより、外径7mm、内径3mmのトロイダル形状の成形体を得た。この成形体について、ネットワーク・アナライザー(アジレント・テクノロジー社製;E5071C)と同軸型Sパラメーター法サンプルホルダーキット(関東電子応用開発社製;CSH2−APC7、試料寸法:φ7.0mm−φ3.04mm×5mm)を用い、0.1〜4.5GHzにおける複素比透磁率の実数部μ’および虚数部μ”、並びに複素比誘電率の実数部ε’および虚数部ε”を測定し、複素比透磁率の損失係数tanδ(μ)=μ”/μ’および複素比誘電率の損失係数tanδ(ε)=ε”/ε’を求めた。表4、表5に、1GHz、2GHzおよび3GHzにおけるこれらの結果を例示する。
《実施例2》
硫酸イットリウム水溶液をY/(Fe+Co)モル比が0.019となるように加えたことを除き、実施例1と同様の条件で実験を行った。製造条件および結果を実施例1と同様に表1〜表5に示す(以下の各例において同じ)。
《実施例3、4》
核晶を生成させる際のH22添加量を5.9mL(実施例3)、7.4mL(実施例4)に変更しことを除き、実施例2と同様の条件で実験を行った。
《実施例5》
核晶生成後、Co添加前の酸化反応時における液温を60℃から50℃に変更したことを除き、実施例2と同様の条件で実験を行った。
《実施例6》
核晶を生成させる際のH22添加量を5.9mLに変更しことを除き、実施例5と同様の条件で実験を行った。
《実施例7》
仕込み組成におけるトータルCo/Feモル比を0.35から0.30に変更し、硫酸イットリウム水溶液をY/(Fe+Co)モル比が0.024となるように加えたことを除き、実施例1と同様の条件で実験を行った。
《実施例8、9》
硫酸イットリウム水溶液をY/(Fe+Co)モル比が0.020(実施例8)、0.012(実施例9)となるように加えたことを除き、実施例7と同様の条件で実験を行った。
《実施例10》
核晶を生成させる際のH22添加量を5.9mLに変更しことを除き、実施例8と同様の条件で実験を行った。
《実施例11》
核晶を生成させる際のH22添加量を5.9mLに変更し、硫酸イットリウム水溶液をY/(Fe+Co)モル比が0.015となるように加えたことを除き、実施例7と同様の条件で実験を行った。
《実施例12》
核晶を生成させる際のH22添加量を7.4mLに変更しことを除き、実施例10と同様の条件で実験を行った。
《実施例13》
核晶を生成させる際のH22添加量を7.4mLに変更しことを除き、実施例11と同様の条件で実験を行った。
《実施例14》
核晶生成後、Co添加前の酸化反応時における液温を60℃から50℃に変更したことを除き、実施例8と同様の条件で実験を行った。
《実施例15、16》
核晶を生成させる際のH22添加量を5.9mL(実施例15)、7.4mL(実施例16)に変更しことを除き、実施例14と同様の条件で実験を行った。
《実施例17》
核晶生成後、反応元液中に存在していた全Fe2+の53%が酸化するまで液中に空気を196mL/minの吹き込み速度で通気し、その後Coを途中添加したこと、およびCo途中添加後、酸化が完結するまで、空気を49.0mL/minの吹き込み速度で通気したことを除き実施例10と同様の条件で実験を行った。
《実施例18》
安定化処理の温度を80℃から70℃に変更し、安定化処理後に、再度、同じ炉中で還元処理および安定化処理を1回実施したことを除き、実施例17と同様の条件で実験を行った。この場合、2回目の還元処理および安定化処理の条件は、それぞれ1回目の還元処理および安定化処理の条件と同様とした。
《比較例1》
〔反応元液の作成〕
1mol/Lの硫酸第一鉄水溶液と1mol/Lの硫酸コバルト水溶液をFe:Coのモル比が100:5となるように混合して約800mLの溶液とし、これに0.2mol/Lの硫酸イットリウム水溶液をY/(Fe+Co)モル比が0.026となるように加えて、約1LのFe、Co、Y含有溶液を用意した。5000mLビーカーに、純水2600mLと、炭酸アンモニウム溶液350mLを添加し、温調機で40℃に維持しながら撹拌し、炭酸アンモニウム水溶液を得た。なお、炭酸アンモニウム溶液の濃度としては、前記Fe、Co、Y含有溶液中のFe2+に対し炭酸CO3 2-が3当量となるように調整した。この炭酸アンモニウム水溶液中に前記Fe、Co、Y含有溶液を加え、反応元液とした。本例では、初期段階(反応元液)の仕込みCo/Feモル比は0.05である。
〔前駆体形成〕
上記の反応元液に3mol/LのH22水溶液を5mL添加しオキシ水酸化鉄の核晶を生成させた。その後、この液を60℃に昇温し、反応元液中に存在していた全Fe2+の40%が酸化するまで液中に空気を163mL/minの吹き込み速度で通気した。このときに必要な通気量は、予め予備実験により把握してある。その後、0.3mol/Lの硫酸アルミニウム水溶液をFeとCoの総量に対しAl/(Fe+Co)モル比が0.055となるように添加し、酸化が完結するまで(すなわち前駆体の形成反応が終了するまで)空気を163mL/minの吹き込み速度で通気した。このようにして得た前駆体含有スラリーを、濾過、水洗したのち、空気中110℃で乾燥して、前駆体の乾燥物(粉末)を得た。
〔還元処理〕
上記の前駆体の乾燥物を通気可能なバケットに入れ、そのバケットを貫通型還元炉内に装入し、炉内に水素ガスを流しながら630℃で40min保持することにより還元処理を施した。
〔安定化処理〕
還元処理後、炉内の雰囲気ガスを水素から窒素に変換し、窒素ガスを流した状態で炉内温度を降温速度20℃/minで80℃まで低下させた。その後、安定化処理を行う初期のガスとして、窒素ガス/空気の体積割合が125/1となるように窒素ガスと空気を混合したガス(酸素濃度約0.17体積%)を炉内に導入して金属粉末粒子表層部の酸化反応を開始させ、その後徐々に空気の混合割合を増大させ、最終的に窒素ガス/空気の体積割合が25/1となる混合ガス(酸素濃度約0.80体積%)を炉内に連続的に導入することにより、粒子の表層部に酸化保護層を形成した。安定化処理中、温度は80℃に維持し、ガスの導入流量もほぼ一定に保った。
以上の工程により、Fe−Co合金相を磁性相に持つ供試粉末を得た。
《比較例2〜5》
比較例2、3、4および5では、初期段階の仕込みCo/Feモル比をそれぞれ0.10、0.15、0.20および0.25としたことを除き、いずれも比較例1と同様の条件で実験を行った。
Figure 0006607751
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図1に、上記各実施例および比較例1〜5のトータルCo/Feモル比(分析値)と、飽和磁化σsの関係を示す。図1中には前記(2)式の境界線を記載した。液中へのCoの添加を核晶生成後の前駆体成長過程での途中添加とした各実施例のものは、Coの全量を初期添加で賄った比較例のものに比べ、Co含有量の増加に伴うσsの増大効果が大きいことがわかる。実施例のものはΔσsが低く、耐候性も改善されている(表3)。
図2に、上記各実施例および比較例1〜5のトータルCo/Feモル比(分析値)と、保磁力Hcの関係を示す。液中へのCoの添加を核晶生成後の前駆体成長過程での途中添加とした各実施例のものは、Coの全量を初期添加で賄った比較例のものに比べ、保磁力Hcの増大が抑制されていることがわかる。
透磁率については、実施例のものは比較例のものより1〜3GHzでの複素比透磁率の実数部μ’が顕著に向上している。これは、実施例のFe−Co合金粉末ではσsが高く、かつHcの増大が抑制されていることによる効果であると考えられる。また、実施例のものはμ’が向上しているにもかかわらず、損失係数tanδ(μ)は低く抑えられている。これは、Co途中添加によりFe−Co合金粉末の平均軸比が、過小にならない適正範囲にコントロールされたことによる効果であると考えられる。

Claims (19)

  1. 平均粒子径100nm以下、Co/Feモル比が0.15〜0.50のFe−Co合金粉末であって、保磁力Hcが52.0〜78.0kA/m、飽和磁化σsが160.0Am2/kg以上であり、60℃、相対湿度90%の空気環境に168h保持する方法で行う耐候性試験に供したとき、下記(1)式によるΔσsが15.0%以下となるFe−Co合金粉末。
    Δσs=(σs−σs1)/σs×100 …(1)
    ここで、σsは耐候性試験前の飽和磁化(Am2/kg)、σs1は耐候性試験後の飽和磁化(Am2/kg)である。
  2. 飽和磁化σsが167.0Am2/kg以上であり、前記(1)式によるΔσsが12.0%以下となる請求項1に記載のFe−Co合金粉末。
  3. 飽和磁化σsが170.0Am2/kg以上、保磁力Hcが52.0〜62.0kA/mであり、前記(1)式によるΔσsが10.0%未満となる請求項1に記載のFe−Co合金粉末。
  4. 飽和磁化σsが170.0Am2/kg以上、保磁力Hcが52.0〜62.0kA/m、BET比表面積が30.0〜42.5m2/gであり、前記(1)式によるΔσsが10.0%未満となる請求項1に記載のFe−Co合金粉末。
  5. Co/Feモル比が0.25〜0.40である請求項1〜4のいずれか1項に記載のFe−Co合金粉末。
  6. 粉末を構成する粒子の平均軸比(=平均長径/平均短径)が1.40より大きく1.70未満である請求項1〜5のいずれか1項に記載のFe−Co合金粉末。
  7. JIS K6911に準拠した二重リング電極方法により、金属粉末1.0gを電極間に挟んで25MPa(8kN)の垂直荷重を付与しながら印加電圧10Vにて測定した場合の体積抵抗率が1.0×108Ω・cm以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載のFe−Co合金粉末。
  8. 当該粉末とエポキシ樹脂を90:10の質量割合で混合して作製した成形体を磁気測定に供したとき、1GHzにおいて、複素比透磁率の実数部μ’が2.50以上、かつ複素比透磁率の損失係数tanδ(μ)が0.05未満となる性質を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載のFe−Co合金粉末。
  9. 当該粉末とエポキシ樹脂を90:10の質量割合で混合して作製した成形体を磁気測定に供したとき、2GHzにおいて、複素比透磁率の実数部μ’が2.80以上、かつ複素比透磁率の損失係数tanδ(μ)が0.12未満となる性質を有する請求項1〜8のいずれか1項に記載のFe−Co合金粉末。
  10. 当該粉末とエポキシ樹脂を90:10の質量割合で混合して作製した成形体を磁気測定に供したとき、3GHzにおいて、複素比透磁率の実数部μ’が3.00以上、かつ複素比透磁率の損失係数tanδ(μ)が0.30未満となる性質を有する請求項1〜9のいずれか1項に記載のFe−Co合金粉末。
  11. Feイオンを含有する水溶液に酸化剤を導入して核晶を生成させ、その後、FeおよびCoを成分に持つ前駆体を析出成長させるに際し、析出反応に使用する全Co量をCo/Feモル比0.15〜0.50の範囲とし、そのCoの全量を核晶生成開始後の時期に前記水溶液中に添加して前駆体を得る工程(前駆体形成工程)、
    前駆体の乾燥物を還元性ガス雰囲気中で250〜650℃に加熱することにより、Fe−Co合金相を持つ金属粉末を得る工程(還元工程)、
    還元後の金属粉末粒子の表層部に酸化保護層を形成する工程(安定化工程)、
    を有する請求項1に記載のFe−Co合金粉末の製造方法。
  12. 前記Coの全量を、析出反応に使用する全Fe量の10%が析出反応に消費された時点以降の時期に前記水溶液中に添加する請求項11に記載のFe−Co合金粉末の製造方法。
  13. 前記Coの全量を、析出反応に使用する全Fe量に占める既に析出反応に消費されたFe量の累積割合が10〜80%である時期に前記水溶液中に添加する請求項11に記載のFe−Co合金粉末の製造方法。
  14. 前駆体形成工程において、希土類元素(Yも希土類元素として扱う)が水溶液中に存在している状態で前記核晶を生成させる請求項11〜13のいずれか1項に記載のFe−Co合金粉末の製造方法。
  15. 前駆体形成工程において、希土類元素(Yも希土類元素として扱う)、Al、Si、Mgの1種以上が水溶液中に存在している状態で前記析出成長を進行させる請求項11〜14のいずれか1項に記載のFe−Co合金粉末の製造方法。
  16. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のFe−Co合金粉末を使用して形成されたアンテナ。
  17. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のFe−Co合金粉末を樹脂組成物と混合した成形体を構成部材に有する周波数430MHz以上の電波を受信、送信、または送受信するアンテナ。
  18. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のFe−Co合金粉末を使用して形成されたインダクタ。
  19. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のFe−Co合金粉末を使用して形成されたEMIフィルタ。
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