本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1ないし図9に示す本実施形態の什器は、小売店舗や卸売店舗において商品類を陳列するための陳列棚、ハーフバスケットスタンドである。本実施形態の什器は、人手により移動させることが可能な比較的軽い重量及び比較的小型の寸法を有する。この什器は、商品その他の物品を載置可能な複数段の棚2を包有する什器本体1と、什器本体1に取り付けられて棚2の下方及び/または上方の領域を手前方及び側方から遮蔽する着脱自在のカバー4と、必要に応じて棚2の上に配することのできるブックエンド状のバックパネル5とを具備する。
什器本体1は、棚2と、棚2を支持する支持構造体3とを要素とする。本実施形態の什器では、棚2を上下二段設けている。各段の棚2はそれぞれ、平面視半円板状をなす、即ちその外周縁となる前縁及び左右の側縁が連続した円弧を描くような、例えば金属(特に、スチール)製の板体である。棚2は、支持構造体3に設けた棚受313、314に上方から載せ置かれ、その棚受313、314により下方から支持される。棚2の後縁付近における左右方向の中間部位には、人の指を挿入可能な大きさの貫通孔21を穿っている。この貫通孔21は、棚2を支持構造体3に設置し、または棚2を支持構造体3から撤去する操作に利用できる。棚2の後縁には、後述する支持構造体3の支柱311との干渉を避けるための切欠22を形成してある。
支持構造体3は、棚2を支持する棚受313、314を含む上部フレーム31と、棚2及び上部フレーム31を下方から支持する脚となるベース32とを備えた、例えば全体が金属(特に、スチール)製の構造体である。詳述すると、支持構造体3の上部フレーム31は、左右方向に並び各々が上下方向に伸びる複数本の支柱311と、各支柱311の背面側に固着した背板312と、各支柱311の正面側にそれぞれ固着した前後方向に伸びる複数本の支持桟313と、背板312の正面側にそれぞれ固着した複数個の支持片314と、背板312の正面側に固着した平面視略半円弧状をなす外柵315とを有している。
支柱311は、直立する細長い筒体(特に、円筒)であり、同様の筒体である後述するベース32の脚柱321とともにテレスコピック構造、即ち入れ子のように重なり合った複数の筒体が相対的に進退することでそれらの総体の長さが伸び縮みする構造をなす。並立する複数本の支柱311の左右方向の外法は、棚2の左右の幅寸法よりも小さい。各支柱311の下端部には、左右方向に沿ってねじ(ユリアねじ)316を挿入することを目的とした孔311aを穿ってある。ねじ316は、棚2及び上部フレーム31のベース32及び床面に対する高さ位置を固定するものである。孔311aは、各支柱311の下端部の周壁における外方を向く部位及び内方を向く部位、つまりは支柱311の左右にそれぞれ開通しており、双方の孔311aは側面視略重なり合う。加えて、各支柱311の下端部の周壁における外側方を向く部位には、ナット311bを溶接等により固着している。ナット311bは、孔311aと同一軸線上にあって、孔311aに挿通するねじ316の軸部に形成された雄ねじと螺合する雌ねじ孔を構成する。
背板312は、左右方向及び上下方向に拡張した平面視略長方形状の板体である。背板312は、上段の棚2と下段の棚2との間の領域を後方から遮蔽するとともに、棚2に載置した物品が什器の後背に落下することを抑制する役割を担う。背板312の上縁は、支柱311の上端よりも上方に突出し、上段の棚2よりも高い位置にある。背板312の下縁は、支柱311の下端よりも上方、下段の棚2に略等しい高さまで垂下している。背板312の左右の幅寸法は、棚2の左右の幅寸法に匹敵する。背板312の左右の側端部は、前方に向かって屈曲している。
支持桟313は、側面視前方から後方に向かって略水平に伸び、後端部付近で一旦後下方に傾斜した後、後端部において上方に向かって屈曲した形状をなす棒状体(特に、丸棒)である。そして、その略垂直に起立する後端部を支柱311の正面側に溶接等により接合することで、支持桟313を支柱311に固定している。支持桟313における略水平に伸びる部分は、棚2を下方より支持する棚受の一部となる。既に述べた通り、本実施形態では棚2を上下二段設けることから、上段の棚2を支持する支持桟313を支柱311とともに左右一対設け、並びに下段の棚2を支持する支持桟313をやはり支柱311とともに左右一対設けている。上段の棚2を支持する支持桟313の略水平な部分の高さ位置は、支柱311の上端に近く、背板312の上縁よりも低い。下段の棚2を支持する支持桟313の略水平な部分の高さ位置は、背板312の下縁に略等しい。
支持片314は、起立した部分と略水平な部分とが側面視略L字形をなすものである。そして、その起立した部分の背面を背板312の正面における左右の側端部よりもやや内方の部位に溶接等により接合することで、支持片314を背板312に固定している。支持片314の略水平な部分は、背板312の正面から前方に向けて突出し、棚2を下方より支持する棚受の一部となる。本実施形態では、上段の棚2を支持する支持片314を支柱311よりも外方の位置に左右一対設け、並びに下段の棚2を支持する支持片314を支柱311よりも外方の位置に左右一対設けている。棚2を支持する支持片314の略水平な部分の上面の高さは、同じ棚2を支持する支持桟313の略水平に伸びる部分の上縁の高さに略等しい。
外柵315は、同一形状をなす上下一対の横木315a、315bと、それら横木315a、315b同士を連結する多数本の立柱315cとにより構成する。横木315a、315bは、平面視棚2の外周縁に沿うような略半円弧状に成形した棒状体(特に、丸棒)である。立柱315cは、横木315a、315bよりも細い略垂直な棒状体(特に、丸棒)であり、その上端部及び下端部を上下の横木315a、315bにそれぞれ溶接する等して固着せしめ、以て外柵315を形作っている。外柵315は、棚2の外周縁に外方から隣接し、かつ棚2の上面よりも上方に迫り出して、棚2に載置した物品が什器の前方または側方に落下することを抑制する落下防止部となる。本実施形態では、横木315a、315bの両端部を背板312の正面における側端近傍の部位及び/または背板312の屈折した側端部の内向側面に溶接等により接合することで、外柵315を背板312に固定している。さらに、支持桟313の前端部を、外柵315を構成する下側の横木315bに溶接等により固着している。外柵315は、棚2と同数、つまり上下に存在している。各外柵315の下側の横木315bは、支持桟313そして棚2と略同一の高さにある。下側の横木315bから起立する立柱315c及び立柱315cの上端部に接合する上側の横木315aは、当然ながら、棚2の上面よりも高位置となる。また、下段の棚2に付随する外柵315の下側の横木315bの高さ位置は背板312の下縁に略等しく、上段の棚2に付随する外柵315の上側の横木315aの高さ位置は背板312の上縁に略等しい。
支持構造体3のベース32は、左右方向に並び各々が上下方向に伸びる複数本の脚柱321と、各脚柱321の下端側に固着した接地体322と、脚柱321及び接地体322の双方に固着した補強材323、324とを有している。
脚柱321は、直立する細長い筒体(特に、円筒)であり、上部フレーム31の支柱311内に下方から挿入されることで支柱311とともにテレスコピック構造をなす。並立する複数本の脚柱321の左右方向の外法は、支柱311の左右方向の外法に略等しい。各脚柱321には、左右方向に沿ってねじ316を挿通するための孔321aを穿ってある。孔321aは、各脚柱321の周壁における外方を向く部位及び内方を向く部位、つまりは脚柱321の左右にそれぞれ開通しており、双方の孔321aは側面視略重なり合う。また、棚2及び上部フレーム31のベース32に対する高さ位置を調整する都合上、孔321aは上下方向に沿って間欠的に複数箇所(図示例では、四つ)存在している。
接地体322は、床面に接地する扁平な板体である。接地体322は、左右方向に伸展する後部322aと、後部322aの前縁から平面視略ハ字形をなすように前方に向かって伸展する前部322bと、後部322aの後縁よりも後方に突出した突片322cと、後部322aの後縁における突片322cに隣接する部位を前方に凹ませるように切り欠いてなる凹欠322dとを設けた部材である。突片322cと凹欠322dとの隣接箇所は、接地体322(そして、什器)の左右方向の概ね中央である。突片322cの左右の幅寸法は、凹欠322dの左右の幅寸法に略等しい。並びに、突片322cが後部322aの後縁から後方に突出する寸法は、凹欠322dが後部322aの後縁から前方に凹む寸法に略等しい。
補強材323は、脚柱321の外側面側及び接地体322の後部322aの上面側の各々に溶接等により接合する。また、補強材324は、脚柱321の正面側及び接地体322の前部322bの上面側の各々に溶接等により接合する。同時に、この補強材324は、左右の脚柱321を相互に連結している。
図6に示しているように、支柱311及び脚柱321、並びにベース32は、接地体322の前部322bの前端及び突片322cを除き、棚2の後縁や背板312よりも後方に突出することはなく、棚2の外周縁や外柵315よりも前方または外側方に突出することもない。
本実施形態にあって、上段の棚2、下段の棚2はともに、支持構造体3に対して任意に着脱が可能である。上段の棚2のみを取り外すこともでき、下段の棚2のみを取り外すこともでき、両方の棚2を取り外すこともできる。棚2を装着するためには、単に棚2を棚受となる支持桟313及び支持片314の上に載せればよい。棚2を棚受313、314に載置すると、棚2の後縁が背板312の正面に当接ないし近接し、棚2の外周縁である前縁及び左右の側縁が外柵315に当接ないし近接する。また、棚2の後縁に形成してある切欠22の内に支柱311が収まる。棚2の着脱のために、ねじを回すドライバやその他の工具、鍵等を使用する必要はない。棚2は、棚受313、314や外柵315、支柱311や背板312からは独立した、これらとは別体の部材である。上段の棚2及び/または下段の棚2を取り外したとしても、棚受313、314、外柵315、支柱311及び背板312による上部フレーム31の構造には何らの変更も生じず、支持構造体3の自立性は損なわれない。つまり、棚2を取り外した状態で什器本体1の自立が可能である。
本実施形態の什器では、棚2及び上部フレーム31のベース32及び床面に対する高さ位置を複数段階(図示例では、四段階)に調整することができる。棚2及び上部フレーム31の高さ位置を変えるためには、支柱311を脚柱321に固定しているねじ316を操作してその軸部を孔311a、321aから抜出し、支柱311の脚柱321に対する相対的な上下動を解禁する。次いで、支柱311を脚柱321に対して上下方向に変位させ、テレスコピック構造をなす支柱311及び脚柱321の全長を伸縮させる。そして、棚2及び上部フレーム31が所望の高さとなるよう、支柱311に穿たれた孔311aを、脚柱321に穿たれた何れかの孔321aに重ね合わせる。その状態で、ねじ316を操作してその軸部を外側方からナット311b及び孔311a、321aに挿通し、ねじ316とナット311bとの螺合を通じて支柱311と脚柱321とを緊締する。これにより、支柱311の脚柱321に対する相対的な上下動が禁止され、棚2及び上部フレーム31を所望の高さ位置に固定できる。
テレスコピック構造において内側の筒体となる脚柱321の左右両側に孔321aを形成しているのみならず、脚柱321に覆い被さる外側の筒体である支柱311にも左右両側に孔311aを形成していることから、支柱311側の孔311aと脚柱321側の孔321aとの位置を合わせようとするときに、ナット311bやねじ316の頭部に遮られない内側方から支柱311及び脚柱321を看視し、支柱311の内側方にある孔311aを介して脚柱321の孔321aの所在を視認することが可能である。図7に示しているように、ナット311bに螺着したねじ316の軸部の先端は、支柱311及び脚柱321の内側方の壁に穿たれた孔311a、321aまでは達しない。因みに、棚2及び上部フレーム31の高さ位置の調整作業を行う際、上段の棚2及び下段の棚2を上部フレーム31から取り外して、上方から支柱311と脚柱321との連結部分を覗き見るようにすることもできる。
カバー4は、平面視棚2の外周縁(及び、外柵315)に沿うように拡張した、略半円筒状に成形した薄手の板体である。カバー4の上下高さ寸法は、上段の棚2と下段の棚2との上下方向に沿った離間距離よりもやや大きく、上段の棚2に隣接する外柵315の上側の横木315aと下段の棚2に隣接する外柵315の下側の横木315bとの上下方向に沿った離間距離よりも若干大きい。このカバー4の左右の側端は、棚2の後縁または什器本体1の背板312の近傍にまで達する。カバー4は、不透明でもよいし、透明または透光性を有していてもよい。カバー4の一部または全部に無数の小径の貫通孔を穿つことでカバー4をメッシュ状のもの(典型例として、パンチングメタル)とし、外方からそれら貫通孔を介してカバー4の内側に存在する物を見透すことができるようにすることも好ましい。一方で、カバー4は、強い外力が意図的に加えられない限りその形状を維持できる程度の剛性、保形性を有していることが望ましい。
カバー4の内面における上端近傍の部位には、当該カバー4を什器本体1の上部フレーム31に取り付けるための取付部として、複数のフック41を設けている。フック41は、前縁部及び左右の側縁部の三箇所存在する。これらフック41は、上部フレーム31においてカバー4を取り付けるための被取付部となる、外柵315の上側の横木315aに係合し得る。
本実施形態にあって、カバー4は、什器本体1の支持構造体3に対して任意に着脱が可能である。カバー4を装着するためには、単にカバー4のフック41を外柵315の横木315aに上方から引っ掛ければよい。フック41を横木315aに掛け止めると、カバー4が外柵315の横木315a、315bに外方から当接ないし近接し、かつ棚2の外周縁に沿うように近接する。加えて、カバー4の左右の側端部が、背板312の左右の側端部に外側方から覆い被さる。カバー4の着脱のために、ねじを回すドライバやその他の工具、鍵等を使用する必要はない。カバー4は、棚受313、314や外柵315、支柱311や背板312からは独立した、これらとは別体の部材である。カバー4を取り外したとしても、棚受313、314、外柵315、支柱311及び背板312による上部フレーム31の構造には何らの変更も生じず、什器本体1の自立性は損なわれない。つまり、カバー4を取り外した状態で、棚2及び棚2に載置している物品を支持した什器本体1の自立が可能である。
さらには、カバー4及びその被取付部たる外柵315が、棚2から独立している。即ち、カバー4を支持構造体3に装着した状態で上段の棚2及び/または下段の棚2を支持構造体3から取り外すことができ、上段の棚2及び/または下段の棚2を支持構造体3に装着した状態でカバー4のみを支持構造体3から取り外すこともできる。棚2及びカバー4を同時に支持構造体3に装着可能であることは言うまでもない。
バックパネル5は、第一の立壁51と第二の立壁52とが側面視略L字形をなすものである。第一の立壁51の高さ寸法H1は、第二の立壁52の高さ寸法H2よりも大きい。このバックパネル5は、第一の立壁51を立てた状態で使用することができ、第二の立壁52を立てた状態で使用することもできる。前者の場合、第二の立壁52を水平に寝かせて棚2の上に載置する。この第二の立壁52の平面視形状は、棚2の平面視形状よりも小さく、第二の立壁52が背板312及び外柵315に包囲される領域内に収まる。後者の場合には、第一の立壁51を水平に寝かせて棚2の上に載置する。この第一の立壁51の平面視形状もまた、棚2の平面視形状よりは小さく、第一の立壁51が背板312及び外柵315に包囲される領域内に収まる。何れの場合にも、バックパネル5の重心は棚2に載置される側の立壁52、51そして棚2の直上に存在しており、バックパネル5の自立が可能であって、略垂直に立てられる側の立壁51、52が傾倒することはない。
本実施形態の什器は、種々の態様で使用することが可能である。具体例を列挙すると、まず、カバー4を什器本体1から取り外し、上段の棚2の下方かつ下段の棚2の上方の領域を開放して、上段の棚2及び下段の棚2をともに利用可能とする態様がある。この場合、上段の棚2や下段の棚2の上に任意に物品を載置して展示または陳列することができ、これらの棚2に載置されている物品に手を伸ばして自由に当該物品を取り上げることもできる。カバー4を装着していないことから、下段の棚2の下方の領域も開放され、当該領域に所在する支柱311の下端部やねじ316、ベース32等が露わとなる。
次に、図1に示しているように、下段の棚2の下方の領域を前方及び左右両側方から遮蔽するように、カバー4を什器本体1に取り付ける態様がある。このときには、カバー4のフック41を下段の棚2の外周縁に隣接する外柵315の上側の横木315aに係合させる。また、下段の棚2と接地体322または床面との距離がカバー4の上下高さ寸法以上となるよう、上フレームのベース32に対する高さ位置を調節する。このカバー4は、下段の棚2の下方の領域及び当該領域に所在する支柱311、ねじ316及びベース32等を隠蔽して目立たなくするとともに、これらに人の手や足等が触れることを抑制する働きをする。図1に示す使用態様は、下段の棚2の下方の領域に、例えば商品の在庫等の物品を保管しておくためにも有用である。当該領域に保管している物品が人の目に触れにくくなるだけでなく、その物品がカバー4の外側に転がり出てしまうことも抑えられるからである。当然ながら、上段の棚2及び下段の棚2の上には、任意の物品を載置できる。但し、下段の棚2を使用しないこととして、下段の棚2を支持構造体3から撤去してしまっても構わない。
図2、図4及び図5に示しているように、上段の棚2の下方の領域かつ下段の棚2の上方の領域を前方及び左右両側方から遮蔽するように、カバー4を什器本体1に取り付ける態様もとり得る。このときには、カバー4のフック41を上段の棚2の外周縁に隣接する外柵315の上側の横木315aに係合させる。このカバー4は、上段の棚2と下段の棚2との間の領域及び当該領域に所在する支柱311や背板312等を隠蔽して目立たなくするとともに、下段の棚2に載置し当該領域内に保管した物品に人の手等が触れることを抑制する働きをする。当該領域内に保管している物品が、カバー4の外側に転がり出て下段の棚2から脱落してしまうことも抑えられる。上段の棚2の上には、任意の物品を載置できる。
さらには、図8に示すように、カバー4を装着して上段の棚2と下段の棚2との間の領域を遮蔽しつつ、上段の棚2のみを支持構造体3から取り外してもよい。さすれば、下段の棚2、外柵315、背板312及びカバー4により、深底の物品収納用の空間を構築することができる。この使用態様は、長尺な物品を収容して展示または陳列するために好適であり、カバー4及び背板312が当該物品の下段の棚2からの脱落を効果的に抑止する。
また、図9に示すように、二基の什器を組み合わせて使用する態様もとり得る。即ち、一方の什器の背板312の背面と他方の什器のそれとを互いに当接ないし近接させるように両什器を配置して、両什器の上段の棚2及び下段の棚2がそれぞれ一枚の略真円板状の棚となるようにするのである。このときには、一方の什器の接地体322の後部322aの後縁と他方の什器の接地体322の後部322aの後縁とを突き合わせ、一方の什器の接地体322の突片322cを他方の什器の接地体322の凹欠322d内に差し入れ、かつ他方の什器の接地体322の突片322cを一方の什器の接地体322の凹欠322d内に差し入れる。これにより、一方の什器を他方の什器に対して位置決めできる、即ち一方の什器の位置と他方の什器の位置とが不意にずれてしまうことを防止できる。なお、本実施形態では、背板312の背面の上端近傍の部位にフック317を設けており、一方の什器のフック317を他方の什器の背板312の上端部に掛け止めるとともに、他方の什器のフック317を一方の什器の背板312の上端部に掛け止めることとして、両什器の結合をより強固にしている。
本実施形態では、物品を載置可能な棚2を有する什器本体1と、前記什器本体1に取り付けられ前記棚2の下方または上方の領域を手前方から遮蔽するとともに、什器本体1の自立性を損なうことなく什器本体1からの取り外しが可能な板状のカバー4とを具備する什器を構成した。
並びに、本実施形態では、物品を載置可能な棚2を有する什器本体1と、前記什器本体1に取り付けられ前記棚2の外周縁に沿って拡張し棚2の下方または上方の領域を手前方及び側方から遮蔽するとともに、什器本体1の自立性を損なうことなく什器本体1からの取り外しが可能なカバー4とを具備する什器を構成した。
また、本実施形態では、物品を載置可能な棚2を有する什器本体1と、前記什器本体1における前記棚2を支持する支持構造体3に取り付けられ棚2の下方または上方の領域を手前方から遮蔽するとともに、什器本体1の自立性を損なうことなく什器本体からの取り外しが可能なカバー4とを具備する什器を構成した。
本実施形態によれば、その使用目的や用途に応じて、カバー4によって棚2の下方または上方の領域を手前方から遮蔽した態様と、カバー4を取り外して棚2の下方または上方の領域を手前方に開放した態様とを適宜に選択することが可能となる。
前記什器本体1に、前記棚(下段の棚)2の下方の領域を遮蔽するように前記カバー4を取り付けるための被取付部315と、同じ棚2の上方の領域を遮蔽するように同じカバー4を取り付けるための被取付部315とが設けられているため、カバー4によって棚2の下方の領域を手前方から遮蔽する態様と、カバー4によって同じ棚2の上方の領域を手前方から遮蔽する態様とを選択的にとり得る。
前記什器本体1が、物品を載置可能な棚2を複数段有しており、前記什器本体1に取り付けられた前記カバー4が、上段の棚2と下段の棚2との間の領域を遮蔽し、かつその状態で上段の棚2の取り外しが可能であるため、下段の棚2とカバー4とにより深底の物品収納用の空間を構築することが可能である。
前記カバー4が前記下段の棚2の下方の領域を遮蔽する態様と、カバー4が下段の棚2の上方の領域を遮蔽する態様と、カバー4が前記什器本体1に取り付けられない態様とを選択的にとり得るため、什器の使用方法の幅がより一層拡大する。
前記什器本体1に、前記棚2の外周縁に隣接し棚2の上面よりも上方に位置する落下抑制部315が設けられ、この落下抑制部315が前記カバー4を取り付けるための被取付部となっており、前記カバー4に、前記被取付部315に係合する取付部41が設けられているため、落下抑制部315が被取付部を兼ねることができ、部品点数の増加が抑制される。
本実施形態の什器では、カバー4を什器本体1に対して取り付ける高さ位置が複数存在する。換言すれば、什器本体1が複数の被取付部、即ち上段の外柵315及び下段の外柵315を備えている。カバー4に設けた取付部たるフック41は、その何れにも係合することが可能である。
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態では、ベース32の接地体322が直接床面に接地したが、ベース32(または、接地体322)の下方にキャスタを装着して、そのキャスタが床面に接地するものとしてもよい。
上記実施形態では、棚2の外周縁即ち前縁及び側縁に沿って拡張するカバー4が一枚の板体であったが、複数枚の板体の組み合わせとしてカバー4を構成し、当該カバー4により棚2の下方または上方の領域を手前方及び側方から遮蔽する態様をとることを妨げない。この場合、カバー4を構成する複数枚の板体の各々に、取付部として例えばフック41を設けることになる。
上記実施形態では、棚2が平面視略半円板状をなし、故にカバー4が略半円筒状をなしていたが、棚2及びカバー4の形状はこれに限定されない。棚2が平面視方形状をなす場合、カバー4はその前縁及び側縁に沿って拡張した平面視略コ字形または略L字形をなすことになる。
棚2は、板体であるとは限られず、簀の子のようなものであってもよいし、網棚であってもよい。
その他各部の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。