JP6607436B2 - 難治性血管炎の病態を特定する新規なmpo−anca検査法 - Google Patents

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Description

本発明は、難治性血管炎の新規な病態検査方法、検査用試薬および病態マーカーに関する。
ミエロペルオキシダーゼ(MPO)に対する好中球自己抗体(MPO−ANCA(Anti−Neutrophil Cytoplasmic Antibody))は、顕微鏡的多発血管炎(MPA)、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(Eosinophilic Granulomatosis with Polyangitis:EGPA、チャーグストラウス(Churg−Strauss)、アレルギー性肉芽腫性血管炎)などの難治性血管炎に関連している。そして、これらの患者の血清中のMPO−ANCAはこれらの疾患のマーカーとして、診断や治療判定に用いられている(例えば、非特許文献1を参照)。
また、MPO−ANCAのMPOへの反応性(エピトープ)が、重篤化した病態と関連していることも報告されている。図1は、難治性血管炎患者の血清中のMPO−ANCAエピトープが、病態の重症度と関連していることを示す(非特許文献5)。図1より、難治性血管炎の病態の重症度には、MPOのHa−Hbの領域が関係していると考えられる。
Goeken JA. Antineutrophil cytoplasmic antibody−A useful serological marker for vasculitis. J Clin Immunol 1991; 11: 161−174 Kallenberg CG, Stegeman CA, Heeringa P. Autoantibodies vex the vasculature. Nat. Med. 2008 Oct;14(10):1018−9. Kain R, Exner M, Brandes R, Ziebermayr R, Cunningham D, Alderson CA, Davidovits A, Raab I, Jahn R, Ashour O, Spitzauer S, Sunder−Plassmann G, Fukuda M, Klemm P, Rees AJ, Kerjaschki D. Molecular mimicry in pauci−immune focal necrotizing glomerulonephritis. Nat. Med. 2008 Oct;14(10):1088−96. Epub 2008 Oct 5. Tomizawa, K., Mine, E., Fujii, A., Y. Ohashi, Y., Yamagoe, S., Ishida−Okawara, A., Y. Hashimoto, Ito, M., Tanokura, M., Yamamoto, T., Arimura, Y., Nagasawa, T., Mizuno, S. and Suzuki, K. A panel set for epitope analysis of myeloperoxidase (MPO)−specific anti−neutrophil cytoplasmic antibody MPO−ANCA using recombinant hexamer histidine−tagged MPO Deletion Mutants. Journal of Clinical Immunology 18, 142−152, 1998. Fujii, A., Tomizawa, K., Arimura, Y., Nagasawa, T., Y−Ohashi, Y., Hiyama, T., Mizuno, S. and Suzuki, K. Epitope analysis of myeloperoxidase−specific anti−neutrophil cytoplasmic antibody (MPO−ANCA) associated glomerulonephritis. Clin. Nephrology 53, 242−252, 2000. Suzuki K, Kobayashi S, Yamazaki K, Gondo M, Tomizawa K, Arimura Y, Nakabayashi K, Ozaki S, Yoshida M, Yoshida T, Tsusaka N, Muso E, Okazaki T, Hashimoto H. Analysis of risk epitopes of anti−neutrophil antibody MPO−ANCA in vasculitis in Japan population. Microbiol Immunol 2007; 51: 1215−1220. Roth AJ, Ooi JD, Hess JJ, van Timmeren MM, Berg EA, Poulton CE, McGregor J, Burkart M, Hogan SL, Hu Y, Winnik W, Nachman PH, Stegeman CA, Niles J, Heeringa P, Kitching AR, Holdsworth S, Jennette JC, Preston GA, Falk RJ. Epitope specificity determines pathogenicity and detectability in ANCA−associated vasculitis. J Clin Invest. 2013 Apr 1;123(4):1773−83. doi: 10.1172/JCI65292. Epub 2013 Mar 15.
しかしながら、MPO−ANCAをマーカーとして用いた場合であっても、血清中のMPO−ANCAの力価と病態とが必ずしも一致しない場合があった。
上述したような従来技術に鑑み、本発明は、血管炎の重症度との相関性が高い病態マーカーおよび当該病態マーカーを利用した病態検査方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題を解決することを目指して、鋭意研究を行なった。その結果、MPOの部分ペプチドに対する自己抗体が、血管炎の重症度と密接に関連していることを見出した。特に、Ha−Hbに位置するH4P4をエピトープとする自己抗体が、血管炎の重症度に深く関与し、血管炎の病態の中でも重症度を特定するためのマーカーとなりえることを見出した。
また、アミノ酸配列がH4P4と相同な部分ペプチドを血管炎の検査用試薬として用いることにより、簡便に行える方法を確立するに至った。
すなわち、本発明の第1の形態によれば、生体試料中の、MPOの部分ペプチドを認識する抗体を検出することを含み、前記部分ペプチドのアミノ酸配列が配列番号5からなる、血管炎の病態検査方法が提供される。当該検査方法において、部分ペプチドのアミノ酸配列が、配列番号5からなることが好ましい。すなわち、上記抗体のエピトープが、配列番号5のアミノ酸配列であることが好ましい。
さらに、上記検査方法が検査の対象とする血管炎は、MPA、EGPA、GPA(ウェゲナー:Wegener肉芽腫症)、ギラン・バレー症候群、血栓性血小板減少性紫斑病、特発性血小板減少性紫斑病、IgA腎症、急速進行性糸球体腎炎、特発性間質性肺炎、サルコイドーシス、びまん性汎細気管支炎、ベーチェット病、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、高安病、バージャー病、結節性多発動脈炎、悪性関節リウマチ、側頭動脈炎、抗リン脂質抗体症候群、強皮症、好酸球性筋膜炎、および天疱瘡からなる群から選択されるであることが好ましい。
また、本発明の第2の形態によれば、MPOの部分ペプチドを1つ以上含む、血管炎の検査用試薬であって、前記部分ペプチドとして、(1−1)アミノ酸配列が配列番号5からなるペプチド、および/または(1−2)配列番号5において1もしくは2個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつMPO−ANCAに認識されるペプチド、を含む検査用試薬が提供される。
本発明によれば、血管炎の重症度との相関性が高い新たな病態マーカーおよび当該病態マーカーを利用した病態検査方法が提供される。
重症な難治性血管炎患者の血清中のMPO−ANCAエピトープを示す図であり、縦軸は、各MPO−ANCAエピトープに対するMPO−ANCAを保有する患者の割合(反応頻度)を示す(非特許文献5)。 比較例の3.1におけるキットを作製するための、MPOフラグメントを生産する組み換え体の構成を示す図である。 実施例および比較例において使用した、マルチクローニングサイトHindIIIおよびBamHI間に、各種MPOフラグメント配列またはMPOフラグメントをさらに10領域に細分化した部分ペプチド配列をコードするDNA配列を組み込んだベクターを構築する、pQE発現ベクタープラスミドのマップを示す。 各MPO−ANCAエピトープに相当する配列からなるMPOフラグメントを検査試薬として含む、ANCA関連血管炎の患者の血清中の抗体検査用の比較例3.1において用いた簡便キットの概念図である。 MPO−ANCAエピトープのH−4領域(Ha−Hb)をさらに分割した部分ペプチドを示すマップ図である。 実施例3.2〜3.6において用いたキット(MPO−ANCA−Fine:H4PX)に検査試薬として含まれる、MPOフラグメントのH−4領域をさらに分割した各部分ペプチドのアミノ酸配列を示す図である。 実施例3.2〜3.6において用いた、各部分ペプチドを検査試薬として含む病態マーカーキット(MPO−ANCA−Fine:H4PX)の測定法を示す概念図である。 MPO−ANCA−Fine:H4PXキットを用いて、MPO−ANCA陽性を呈するANCA関連血管炎(顕微鏡的多発血管炎)の患者の血清における反応頻度の結果を示す図である(縦軸は、全患者10人中、それぞれの部分ペプチドに対する抗体を有していた患者の割合を示す)。
本発明の第1の形態は、生体試料中の、MPOの部分ペプチドを認識する抗体を検出することを含む、血管炎の病態検査方法である。本発明の別の側面は、生体試料中の、MPOの部分ペプチドを認識する抗体を検出することを含む、血管炎の病態を評価するためのデータ収集方法でもある。
従来、ポリクローナルなMPO−ANCAが難治性血管炎のマーカーとして用いられてきた。しかしながら、MPO−ANCAをマーカーとして用いた場合であっても、血清中のMPO−ANCAの力価と病態とが必ずしも一致しない場合があった。これは、ポリクローナルなMPO−ANCAのうち全ての抗体が、必ずしも好中球に作用して血管炎を誘発したり、血管炎の発症後に関与したりしているわけではなく、MPO−ANCA中の特定のクローンが病態に関与していることが考えられる。本発明者らは、MPO−ANCAのうちでも、MPO中の特定の領域を認識する抗体が血管炎の重症度との相関性が高いことを見出した。本発明によれば、血管炎の重症度との相関性が高い新たな病態マーカーおよび当該マーカーを用いた検査方法が提供されうる。本発明により提供される新たな血管炎病態マーカー(MPO−H4PX抗体)や検査方法を用いれば、マーカーの定量値などの情報に基づいて、血管炎の病態を細分類したり、その治療効果を判定したりすることが可能となる。なお、上記記載は推定であり、本発明の技術的範囲を制限するものではない。
本発明の検査方法を適用することができる対象としては、動物であれば特に限定されないが、例えば、哺乳動物等が挙げられる。哺乳動物としては、例えば、霊長類、実験用動物、家畜、ペット等が挙げられ特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、ヒト、サル、ラット、マウス、ウサギ、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコなどが挙げられる。好ましくは、対象動物はヒトである。
本発明の方法に用いられうる生体試料としては、特に限定されないが、例えば、検査対象である動物由来の組織、細胞、細胞抽出成分、体液等が挙げられる。組織としては、脾臓、リンパ節、腎臓、肺、心臓、肝臓等が、細胞としては、脾細胞、リンパ細胞、好中球、単球、マクロファージ、樹状細胞、抗体産生細胞等が、体液としては、血液、血清、血漿、尿、汗、脊髄液等が挙げられる。検出の容易性などを考慮すると、生体試料としては体液、特に血清・血漿、尿が好ましい。
本発明の検査方法において検査される「血管炎」は本技術分野において「血管炎」として認識されうるすべての疾患、症状、障害などがいずれも包含されうる。これらに限定されるものではないが、血管炎の一例としては、例えば、MPA、EGPA、GPA(ウェゲナー:Wegener肉芽腫症)、ギラン・バレー症候群、血栓性血小板減少性紫斑病、特発性血小板減少性紫斑病、IgA腎症、急速進行性糸球体腎炎、特発性間質性肺炎、サルコイドーシス、びまん性汎細気管支炎、ベーチェット病、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、高安病、バージャー病、結節性多発動脈炎、悪性関節リウマチ、側頭動脈炎、抗リン脂質抗体症候群、強皮症、好酸球性筋膜炎、および天疱瘡などが挙げられるが、これらの血管炎のうち、MPAに特に好適に用いられる検査方法である。
本明細書において血管炎の病態が「重症」とは、尿所見での潜血および3mg/dl以上の血清クレアチニンのうち、少なくとも一方の所見が観察されるに至った状態であり、場合によっては腎死(人工透析)も観察される。本発明によれば、MPOの部分ペプチドを認識する抗体が検出された場合、血管炎の病態が重症化していることを示す。
本発明の検査方法において検出される抗体(以下、MPO−H4PX抗体という場合もある)は、MPOに含まれる部分ペプチドを認識する。MPOは、L鎖とH鎖を2本ずつ有する約158kDaで、好中球の顆粒中に存在する酵素である。MPOとしては、上述の哺乳動物由来のものであれば特に限定されないが、好ましくはヒト由来のMPOである。ヒトMPOとしては、例えば、GenBank登録番号M19507にコードされるアミノ酸配列からなるタンパク質、またはその天然のアレル変異体等が挙げられる。MPOの部分ペプチドとしては、MPOのフラグメント変異体および化学合成ペプチドを含む。
抗体としては、特にそのクラスは限定されず、IgG、IgD、IgE、IgA、sIgA、IgM等のいずれのものであってもよい。また、抗体の結合性断片(Fab、Fab’、F(ab’)等)等も、MPOの部分ペプチドに対して結合する限り、「抗体」に含まれる。抗体は、好ましくは、アミノ酸配列が配列番号5からなるペプチドと結合する。抗体は、例えば、アミノ酸配列が配列番号5からなるペプチドと結合するモノクローナル抗体である。
本発明で検出される抗体は、自己のMPOの部分ペプチドを認識する自己抗体であることが好ましい。例えば、生体試料がヒト由来である場合には、好ましくは、ヒトのMPOの部分ペプチドを認識するヒト抗体が検出される。この際、生体試料は血清試料であることが特に好ましい。
生体試料中のMPOの部分ペプチドを認識する抗体を検出する方法としては、従来公知の方法を用いることができ、特に限定されないが、液相または固相で起こる反応(例えば抗原抗体反応)を直接測定する方法や、阻害物質を加えることにより免疫反応の阻害を測定する方法などを利用することができる。
上記方法としては、例えば、MPOの部分ペプチドを生体試料と接触させ、生体試料中の抗体のMPOの部分ペプチドに対する特異的結合を、直接的または間接的に検出する方法が挙げられる。
上記方法に用いられるMPOの部分ペプチドは、上述のMPOタンパク質の部分ペプチドのうち、検査対象動物の自己抗体である抗MPO抗体(MPO−H4PX抗体)により認識されうるものであれば特に限定されないが、好ましくは検査対象動物由来のMPOの部分ペプチドである。例えば、検査対象がヒトであれば、ヒトMPO(例えば、GenBank登録番号M19507にコードされるアミノ酸配列からなるタンパク質またはその天然のアレル変異体等の部分対応配列、または化学合成ペプチド)を用いることが好ましい。
また、本発明においてMPOの部分ペプチドとしては、本発明で検出されるMPO部分ペプチドに対する抗体(MPO−H4PX抗体)が認識する抗原決定基を含む部分ペプチドであれば特にその長さは限定されない。一般的にタンパク質抗原の抗原決定基は、少なくとも5〜6個のアミノ酸残基により構成されるため、少なくとも5個以上、好ましくは8個以上、より好ましくは10個以上のアミノ酸残基を含むMPOの部分ペプチドを、本発明では用いることができる。
MPOの部分ペプチドは、好ましくはMPO−ANCAエピトープから選択される5〜20、好ましくは10〜17アミノ酸残基からなり、H鎖に含まれる領域であるHa−Hbに存在する連続したアミノ酸配列から選択されることがより好ましい。例として、ヒトMPOのHa−Hbのアミノ酸配列を配列番号1として示す。
MPOの部分ペプチドのアミノ酸配列は、下記の配列番号5からなることがより好ましい。
MPOの部分ペプチドは修飾されていてもよい。このような修飾としては、例えば、リン酸、糖または糖鎖、リン脂質、脂質、ヌクレオチド等による修飾などが挙げられる。
本発明のMPOの部分ペプチドは、MPOの部分ペプチドをコードする核酸を含有する発現ベクターを公知の宿主に導入し、宿主を培養してMPOの部分ペプチドを生成し、得られる培養物からMPOの部分ペプチドを分離・精製することによって製造できる。具体的には、電気パルス法、カルシウムイオンを用いる方法、プロトプラスト法、エレクトロポレーション法等により発現ベクターを導入した培養細胞または大腸菌等の宿主をホモジナイズした後、酸等で抽出を行い、当該抽出液を逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー等のクロマトグラフィーを組み合わせることにより精製単離することができる。
本発明で用いられるMPOの部分ペプチドは、公知のペプチド合成法により製造することもできる。このようなペプチド合成法としては、例えば、固相合成法、液相合成法のいずれであってもよい。MPOを構成しうる部分ペプチドまたはアミノ酸と残余部分とを縮合し、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより、MPOの部分ペプチドを製造することができる。
本発明で用いられるMPOの部分ペプチドは、上述したヒトやその他の動物から公知の方法によって得られたMPOを、適当なペプチダーゼで切断することによって製造することもできる。例えば、脾臓、子宮、腎臓等のようなMPOが結合できる組織またはその培養細胞、またはUT−7等のMPOの発現細胞株などを用いて、MPOを精製することができる。または、後述のいずれかの方法により得られるMPOを、適当なペプチダーゼで切断することによっても製造することができる。
MPOの部分ペプチドは、精製作業等を容易にすることを目的に、適当なタグが連結されたものであってもよい。このようなタグとしては、イムノグロブリンFc領域、マルトース結合タンパク質(MBP)、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、c−Mycタグ、FLAGタグ、HAタグ、Hisタグ(6×His)等が挙げられる。
抗体を検出するための検出方法としては、特に限定されないが、より具体的には以下の方法が挙げられる。
(1)血球やゼラチン粒子の表面に、MPOの部分ペプチド(抗原)を被覆し、生体試料を加えることにより抗原抗体反応を起こさせ、凝集塊を作らせる凝集反応;
(2)MPOの部分ペプチドを含む抽出液と生体試料とを寒天ゲル内で拡散させて沈降反応を起こさせる二重免疫拡散法(DID:double immune diffusion:オクタロニー法);
(3)精製したMPOの部分ペプチドをプレートに固相化し、生体試料を加えて反応させた後、
i)酵素と結合した二次抗体をさらに反応させて、基質の発色を分光光度計で検出するELISA法;
ii)蛍光色素と結合した二次抗体をさらに反応させて、蛍光発色を測定する蛍光免疫測定法(FIA);または、
iii)化学発光物質と結合した二次抗体をさらに反応させて、化学蛍光(ケミルミネッセンス)を測定する化学発光免疫測定法(CLIA);
(4)ラテックス粒子やガラスビーズなどの表面をMPOの部分ペプチドで被覆し、当該粒子が抗体と遭遇したときに起こる凝集反応液に光をあて、その透過光を測定する免疫比濁法またはその散乱光を測定する免疫比朧法(ネフロメトリー法);
(5)MPOの部分ペプチドを放射性同位元素で標識し、生体試料と反応させ抗原抗体反応を検出するラジオイムノアッセイ;
(6)MPOの部分ペプチドを含む組織の凍結薄切片または細胞をスライドガラス上に貼り付け、生体試料を切片上に滴下することにより反応させ、蛍光色素と結合した二次抗体とさらに反応させて、蛍光を顕微鏡下で検出する蛍光抗体法;
(7)MPOの部分ペプチドをチップ上に固定して生体試料を流すことにより親和性をみる表面プラズモン共鳴解析法;
(8)電気泳動により分離展開したゲル内のMPOの部分ペプチドを、ニトロセルロース膜等に転写し、生体試料と反応させ抗原抗体反応を検出するウェスタンブロッティング法;
(9)メンブレンによるクロマト法(イムノクロマト法)。
例えば検出集団がクロマト法の場合、クロマトメンブレンに固相化したMPO部分ペプチドに抗体を結合させ、メンブレン上に固定化された抗体を着色されたラテックスマイクロスフェアを結合した抗抗体分子を凝集させることによって抗体が固定化された部分を検出することができる。
例えば検出手段がELISA法の場合、具体的には、下記のように検出および/または定量を行なうことができる。すなわち、慣用のELISAの手法に従い、例えば、MPOの部分ペプチドで被覆したマルチウェルプレートの各ウェルに生体試料を供し、各ウェルに酵素標識した二次抗体を添加して反応させ、酵素基質を添加した後、当該酵素により生じた産物を検出および/または定量することにより、抗原抗体反応の検出および/または定量を行なうことができる。
上述したELISA法の場合、標識に用いられる酵素としては、通常ELISA法に用いられる慣用の酵素であればよく、例えば、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、エステラーゼ、β−D−グルクロニダーゼなどが挙げられる。より高感度で安定な検出を達成することが可能であるという観点からは、ペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼが公的に用いられうる。また、酵素基質は、用いる酵素により適宜選択することができ、例えば、ペルオキシダーゼの場合、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンなどが用いられ、アルカリホスファターゼの場合、パラニトロフェニルリン酸ナトリウムなどが用いられる。
酵素により生じた産物の検出および/または定量は、当該産物の吸光度を測定することにより行なうことができる。例えば、酵素基質として、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンを用いた場合には、655nmにおける吸光度を測定すればよい。
例えば、検出手段が蛍光免疫測定法(FIA)の場合、蛍光色素としては、FITC(Fluorescein Isothiocyanate)、PE(phycoerythrin)、APC(Allophycocyanin)、Cy−3、Cy−5等が挙げられる。
また、例えば、検出手段が化学発光免疫測定法(CLIA)の場合、化学蛍光(ケミルミネッセンス)としては、アクリジニウムエステル等が挙げられる。
例えば、検出手段がイムノクロマト法の場合、抗抗体分子を粒子径300nMの赤色または青色ラテックスマイクロスフェアを結合させる等が挙げられる。
本発明においては、抗体を検出するための検出方法としては、イムノクロマト法が好ましい。MPO−ANCAのエピトープを高い精度で詳細に特定して病態マーカーとして使用する必要があるところ、イムノクロマト法によれば、従来一般的に行われてきたELISA法により測定する場合と比べ、簡便な操作により迅速に抗体を検出することができる。本発明の一実施形態では、MPOの部分ペプチドを認識する抗体を、イムノクロマト法により検出することを含む、血管炎の病態検査方法が提供される。
生体試料中にMPOの部分ペプチドを認識する抗体が検出された場合、当該生体試料の由来する対象は、血管炎を発症する/している可能性が高いと判断することができる。この場合、生体試料中のMPOの部分ペプチドを認識する抗体価が高いほど血管炎を発症する/している可能性が高いとすることもできる。逆に、生体試料中にMPOの部分ペプチドを認識する抗体が検出されない場合、当該生体試料の由来する対象は、血管炎を発症する/している可能性が低いと判断することができる。
上述した発症可能性を判断する場合、その判断基準は抗体の検出・未検出のみに限定されるわけでない。例えば、健常対象由来の生体試料中のMPOの部分ペプチドを認識する抗体量の平均値±3SD等をカットオフ値と設定し、カットオフ値以上であれば対象は血管炎を発症する/している可能性が高いと判断し、逆にカットオフ値以下であれば対象は血管炎を発症する/している可能性が低いと判断してもよい。
また、血液中のMPO−ANCAの存在の有無やその存在量その他の指標によって血管炎を発症していることが判明している患者において、本発明の検査方法により、MPOの部分ペプチドを認識する抗体が検出された場合、当該患者は血管炎を発症、再発、治療効果の弱さを示している可能性が高いと判定することができる。言い換えると、本発明の第1の形態の検査方法は、生体試料中の、MPOを認識する抗体を検出することをさらに含んでもよいということもできる。なお、上記抗体としては、例えば、MPO−ANCAが挙げられ、その検出方法については、MPOの部分ペプチドを認識する抗体の検出について上述した形態が同様に採用されうるため、ここでは詳細な説明を省略する。
上述したようにMPOの部分ペプチドを認識する抗体(MPOの部分ペプチドに対する自己抗体)を検出することで、血管炎の病態を細分類することが可能である。すなわち、本発明によれば、「血管炎の病態を細分類するために、MPOを認識する抗体を検出することを特徴とする、MPOに対する自己抗体の血管炎病態マーカーとしての使用」もまた、提供されうる。ここで、細分類の対象とされる血管炎について特に制限はなく、上述したものやその他従来公知の血管炎が細分類の対象とされうるが、一例として、小血管炎と中血管炎とを合併するものが挙げられる。かような血管炎としては、例えば、MPA、EGPA、GPA、川崎病、ギラン・バレー症候群、血栓性血小板減少性紫斑病、特発性血小板減少性紫斑病、IgA腎症、急速進行性糸球体腎炎、特発性間質性肺炎、サルコイドーシス、びまん性汎細気管支炎、ベーチェット病、全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン症候群、高安病、バージャー病、結節性多発動脈炎、関節リウマチ(悪性関節リウマチ)、側頭動脈炎、抗リン脂質抗体症候群、強皮症、好酸球性筋膜炎、および天疱瘡によるものが挙げられる。なかでも、MPA、EGPA、またはGPAの病態を細分類する目的で、反応性の血管炎病態マーカーとして用いられることが好ましい。上記の血管炎病態マーカーは、これらの血管炎への治療による寛解、再発、治療抵抗性にも用いられる。
本発明が適用され得る他の疾患としては、循環器病疾患:高血圧、脳梗塞、心筋梗塞、脳卒中、動脈瘤、多発性硬化症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、ライソゾーム病、特発性血栓症、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、特発性血小板減少性紫斑病、IgA腎症、急速進行性糸球体腎炎、難治性ネフローゼ症候群、特発性間質性肺炎、サルコイドーシス、自己免疫性肝炎、が挙げられる。
また、本発明の別の形態によれば、MPOの部分ペプチドを1つ以上含む、血管炎の検査用試薬が提供される。本形態で使用される部分ペプチドは、単離されたものである。
本態様においては、第1の態様における部分ペプチドや血管についての記載が参照される。
本形態の検査用試薬に用いるMPOの部分ペプチドとしては、上述の方法においてMPOの部分ペプチドを認識する抗体の検出を達成しうるものであれば特に限定されない。好ましくは、検査用試薬は、部分ペプチドとして、(1−1)アミノ酸配列が配列番号5からなるペプチド、および/または(1−2)配列番号5において1もしくは2個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつMPO−ANCAに認識されるペプチド、を含む。上記(1−2)のペプチドがMPO−ANCAに認識されることは、上記の抗体を検出するための検出方法のほか、表面プラズモン共鳴現象を利用した方法など、従来公知の方法により確認することができる。より好ましくは、検査用試薬は、部分ペプチドとして、アミノ酸配列が配列番号5からなるペプチドを少なくとも含む。
また、患者がヒトである場合は、前記部分ペプチドは、配列番号12で表わされるヒトHaと相同なアミノ酸配列からなるペプチドおよび配列番号13で表わされるヒトHbと相同なアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選ばれるペプチドも好適に用いられる。すなわち、本発明の一実施形態にかかる検査用試薬は、上記(1−1)および(1−2)からなる群から選択される1つ以上のペプチドに加え、(2−1)アミノ酸配列が配列番号12からなるペプチド、(2−2)アミノ酸配列が配列番号13からなるペプチド、および(2−3)配列番号12または13において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつMPO−ANCAに認識されるペプチド、のうち少なくとも1つをさらに含む。上記の(2−3)のペプチドがMPO−ANCAに認識されることは、(1−2)のペプチドについて上記した方法により確認することができる。なお、上記の「数個」とは、通常2〜5個であり、好ましくは2〜3個である。上記(2−3)のペプチドは、(2−1)のペプチドまたは(2−2)のペプチドに対して、80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上の相同性を有する。
本発明の好ましい一実施形態では、検査用試薬は、部分ペプチドとして、(1−1)アミノ酸配列が配列番号5からなるペプチド、および(1−2)配列番号5において1もしくは2個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり且つMPO−ANCAに認識されるペプチドのうち少なくとも一つ、ならびに、(2−1)アミノ酸配列が配列番号12からなるペプチド、(2−2)アミノ酸配列が配列番号13からなるペプチド、および(2−3)配列番号12または13において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつMPO−ANCAに認識されるペプチド、のうち少なくとも1つを含む。
本発明の検査試薬は、上記のペプチドを1種単独でまたは2種以上を混合して含んでもよい。
部分ペプチドとして、アミノ酸配列が配列番号5からなるペプチド、ならびに、アミノ酸配列が配列番号12および配列番号13からなるペプチドからなる群から選ばれる少なくとも1つのペプチドを含むことが、検出感度を向上させるという観点からより好ましい。これらのペプチドは、例えばニトロセルロースメンブレン上にペプチドごとに固相化され、クロマト法による抗体の検出に用いられ得る。
MPOの部分ペプチドを含む検査用試薬は、粉末、溶液等の形態で提供されてもよく、血球、ゼラチン粒子、プレート、ラテックス粒子、ガラスビーズ、スライドガラス、チップ、マイクロタイタープレート、遠心管、マイクロビーズ、メンブレン、ペーパーディスク等の不溶性担体に担持された形で提供されてもよい。なお、容器上の担体においては、当該担体に保持される溶液が接触する部位、例えばマイクロタイタープレートの場合には、ウェルの部位にMPOの部分ペプチドが担持される。また、例えばクロマト法の場合には、ニトロセルロース膜担体が用いられうる。なお、MPOの部分ペプチドの不溶性担体への担持は、公知の方法により行なうことができる。検査用試薬が溶液の場合、任意の溶媒、例えば水、生理食塩水、リン酸緩衝液、トリス−塩酸緩衝液、Goodバッファー等の緩衝液などに、例えば0.001〜10重量%で部分ペプチドが溶解された形態でもよい。溶液は、MPO−ANCAによる認識に影響を与えない限りにおいて、防腐剤、安定化剤、プロテアーゼインヒビター、pH調整剤等の公知の試薬を含んでもよい。
本発明の検査用試薬を用いれば、上述の方法により、血管炎が重症であることを容易に特定することができる。
本発明の検査用試薬はまた、上述の検出方法で使用される試薬等をさらに含む、血管炎の病態検査用キットとすることもできる。上記試薬等として具体的には、試薬や生体試料を希釈するための緩衝液、蛍光色素、反応容器、陽性対照、陰性対照、検査プロトコールを記載した指示書等が挙げられる。これらの要素は、必要に応じて予め混合しておくこともできる。このキットを使用することにより、本発明の血管炎の病態の特異的検査が簡便となり、早期の治療方針決定に非常に有用である。
以下、実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
1.MPO−ANCAのMPOの反応部位(エピトープ)の解析法
1.1.MPO分子中の各MPO−ANCAエピトープ(La、Lb、Ha、Hb、Hc、Hd、He、Hf、Hg)と相同なアミノ酸配列を有するペプチドを生産する組み換え体の構成:MPO分子を断片化し、ヒスチジンをN末端に6個付けた各種組み換えフラグメントからなるセットを作製した(非特許文献4)。MPO分子中のMPO−ANCAエピトープと相同なアミノ酸配列を有するペプチドを生産する組み換え体の構成を図1に示す。
ヒトMPOアミノ酸番号 165〜279(La−Lb), 165〜214(La(L−2とも称する)), 215〜272(Lb(L−3とも称する)), 269〜730(LbのC末端側領域−HgのN末端側領域), 279〜745(Ha−Hg), 279〜511(Ha−HcのN末端側領域), 512〜745(HcのC末端側領域−Hg), 279〜409(Ha−Hb(H−4とも称する)), 279〜340(Ha(H−4aとも称する)), 341〜409(Hb(H−4bとも称する)), 341〜474(Hb−HcのN末端側領域(H−5とも称する)), 34l〜479(Hb−HcのN末端側領域), 410〜540(Hc−Hd(H−6とも称する)), 512〜598(HcのC末端側領域−He), 537〜598(Hd−He(H−7とも称する)), 54l〜745(He−Hg(H−8とも称する)), 597〜678(Hf(H−10とも称する)), 598〜745(Hf−Hg), 678〜745(Hg(H−11とも称する))番(これらのMPOペプチドを、「MPOフラグメント」とも称する。)をコードするcDNAを作製し、下記のとおりMPOフラグメントのセットを作製した。このペプチドセットを用いて、MPO−ANCAとの反応性を測定することにより、血管炎の重症の病態とMPO−ANCAの抗原認識部位との関係を解析した。ヒトMPOのアミノ酸配列を配列番号14に示す。
1.2.マルチクローニングサイトに各種MPOフラグメントをコードするDNA配列を組み込んだベクターを構築する、プラスミドのマップ:pQE発現系の構築:pQEベクター系は、6個のヒスチジンをタグの下流にマルチクローニングサイト部位のあるベクター系である(図3 pQE発現ベクタープラスミドのマップ:マルチクローニングサイトHindIIIおよびBamHI間に、各種MPOフラグメントをコードするDNA配列を組み込んだベクターを構築した)。
これらのMPOフラグメントをコードするcDNAの増幅に用いたプライマーとしては、接着配列を有する。ベクターに接続する為の部位として、5’(sense)プライマーの5’端にはHidIII認識部位を付加した。ベクターに接続する為の部位として、3’プライマー(antisense)の5’端にはBamHI認識部位を付加した。OLIGO 1000 DNA synthesizer(ベックマン社製)にてプライマーを合成した後、NH溶液中に5分、室温にて溶出した。65℃にて5分間、脱保護基処理をおこなった。氷中で30分静置後、Lycentrifugal freeze dryer MODEL,RC−h(大和社製)にてNH溶液を蒸発させ、−20℃で一晩静置し、プライマーを得た。その後、TEバッファー(10mMトリス塩酸塩、1mM EDTA 4Na、pH7.6)に10pmol/μlの濃度になるように、得られたプライマーを溶解させた。
MPOフラグメントをコードするDNAをPCR法(反応サイクル:94℃ 1分、55℃ 1分、72℃ 1分: 25サイクル)により増幅した。PCRにより得られたDNAおよびプラスミドを制限酵素処理した。プラスミドのマルチクローニングサイトHindIII及びBamHI間に、各種MPOフラグメントに相当するDNA配列を組み込んだベクターを構築した。
2.各MPOフラグメントの精製
2.1.精製:上記で調製した発現ベクターを、宿主である大腸菌(K−12株)にヒートショック法により導入した。大腸菌(K−12株)を、前培養として37℃で16時間培養した。その後、30mlから40mlのTrific brothに前培養した菌液を1(菌液)/50(Trific broth)(v/v)となるように加え、37℃で培養した。培養液の吸光度(600nm)が0.7から0.9になった時点で、終濃度が1mMとなるようにIPTGを添加し、さらに37℃で16時間培養した。培養後、4000gで10分遠心して菌体を回収し、使用時まで−80℃で保存した。その後、−80℃で保存していた大腸菌の菌体を融解後、バッファーA(6Mグアニチジン塩酸、0.1Mリン酸二水素一ナトリウム、0.01Mトリス塩酸塩(pH8.0))中でホモジナイズし、超音波破砕した。その後、破砕物を遠心ろ過し、菌体ペレットを回収した。
精製のため、−80℃にて保存した菌体ペレットが極力プロテアーゼによる影響を受けないよう、4℃にて一晩かけて菌体を融解させた。バッファーA(pH8.0)を菌体ペレット1g(湿重量)あたり50mlの割合で徐々に加え、シェイカーにて室温で1時間振盪した。ホモジナイザーNo.57−317(池本理化株式会社製)にてホモジナイズした後、ソニケイターにて超音波破砕し、さらに桐山漏斗に濾紙(No.5B,直径95mm)を2枚ひき、濾過を3回繰り返した。ろ液を13,000xgで15分遠心分離し、上清を回収した。遠心後、バッファーAにて予め平衡化したNi−NTAカラム(0.5×5cm,2.5×10cm,2.5×20cm)に上清をアプライした。20ml/hの流速でバッファーA(pH8.0)をカラムに通液し、上清の20倍容量のバッファーAを通液した。バッファーB(8M尿素、0.1Mリン酸二水素一ナトリウム、0.01Mトリス塩酸塩(pH8.0))に交換後、吸光度が0.1以下になるまで20ml/hの流速でバッファーBをカラムに通液した。バッファーC(8M尿素、0.1Mリン酸二水素一ナトリウム、0.01Mトリス塩酸塩(pH6.3))に交換後、バッファーBと同様に、吸光度が0.1以下になるまで20ml/hの流速でバッファーCをカラムに通液した。バッファーD(8M尿素、0.1Mリン酸二水素一ナトリウム、0.01Mトリス塩酸塩(pH5.9))、E(8M尿素、0.1Mリン酸二水素一ナトリウム、0.01Mトリス塩酸塩(pH4.5))についてもバッファーBと同様に行い、溶出液を回収した。溶出したフラグメントを確認するため、恒温式2連ミニゲルスラブ電気泳動装置NA−1013(日本エイドー株式会社製)、および電源としてデジタル定電圧・定電流電源装置NC−1011(日本エイドー株式会社製)を用い、200V,50mAで30分間、電気泳動を行った。
Ni−NTAカラムで溶出された各溶出液のフラクションのうち、目的のMPOフラグメントを含むことが電気泳動で確認されたフラクションを、Sephacryl−200HRカラムを用いた精製に供した。すなわち、Sephacryl−200HRカラムを4M HNCONH−50M NaHPOバッファー(pH7.2)で平衡化させた後、Ni−NTAカラムで部分精製された各MPOフラグメントをアプライした。溶出条件は、ベッドボリューム486ml(256×96cm)、8℃、流速80ml/hの条件にて溶出を行い、フラクションは3mlずつ分取した。確認のため、それぞれのフラクションをSDS−PAGE電気泳動により解析を行った。併せて、Sephacryl−200HRカラムで溶出された各溶出液のフラクションのうち、目的のMPOフラグメントを含むことが確認されたフラクションをHPLCにて分析し、分離の程度の確認を行った。
2.2.精製したMPOフラグメントの確認
2.2.1.ウエスタンブロット法による同定:Block Aceは大日本住友製薬社より;ペルオキシダーゼ標識−ウサギ抗ヒトMPO抗体はDako社より;5−ブロモ−4−クロロ−3インドシルリン酸(BCIP)ジメチルホルムアミド水溶液、Tween(登録商標)20、4−クロロ−1−ナフトール、およびアルカリホファターゼ(AP)標識−ヤギ抗ウサギIgG(H+L)抗体はBio−Rad社より;Trizma BaseはSigma社より;アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビスアクリルアミド、テトラメチレンジアミン(TEMED)、および過硫酸アンモニウム(APS)は和光純薬より購入し、使用した。検体としては、MPO−ANCA陽性患者(MPA)由来の血清試料を使用した。陰性対照用の正常血清として健常人由来の血清試料を使用した。ダルベッコ改変イーグル培地、およびウシ胎児血清はGIBCO BRL社より、EDTA 4Naは株式会社同仁化学研究所より購入し、使用した。
ウエスタンブロットは、血清試料をSDS−PAGE後、ニトロセルロース膜に転写し、MPO抗体にて反応させ、二次抗体としてアルカリホスファターゼ標識−ヤギ抗ウサギIgG抗体と反応させ、アルカリホスファターゼ活性により1次抗体が反応したタンパク質を検出し、各MPOフラグメントが回収されたことを確認した。
3. 血管炎患者の血清中のMPO−ANCAに対するMPO−ANCAエピトープのイムノクロマト法による定量:
3.1 MPOフラグメントを検査用試薬として含むキット(比較例)
従来、MPO−ANCAのエピトープを特定するためには、極めて複雑で効率の悪い方法により解析することが必要であった(非特許文献5)(非特許文献6)。そこで、上述のMPOフラグメントを利用したクロマト法による簡易キットを作製した。具体的には、上記のMPOフラグメントのうちL−1、L−2、H−4、H−4a、H−4b、H−5〜H−8、H−10およびH−11を、フラグメントごとにニトロセルロースメンブレン上に間隔を置いて配置して担持した。本キットは、フラグメントを担持したニトロセルロースメンブレン以外に、血清希釈液(1%BSA,150mM NaCl,10mM NaPO,pH7.0,0.05%NaN)、および検出液(検出反応液)(1%(v/v)抗ヒト−IgG 標識化ラテックスミクロスフィア,1%BSA,10mM NaPO,pH7.0,0.05%NaN)を含む。本キットでは(図4参照)、フラグメントを担持したニトロセルロースを樹脂製のケースに収容したキット本体を含む。キット本体のケースには、血清試料および検出液をニトロセルロースに滴下するための添加口と、バンドを確認するための覗き窓とが開口している。
血清希釈液320μlに対し、40μlの血清または血漿を添加し、穏やかに混合した。検出液5μlに、血清希釈液で希釈した試料80μlを加えて穏やかに混合し、全量を直ちにキット本体の添加口に滴下し、室温(25℃)で15分静置した。その後、バンド検出の有無を目視によって確認した。あるフラグメントを担持した位置にバンドが検出された場合、当該フラグメントを認識する抗体が試料中に含まれることを示す。
本キットにおいては、各フラグメントが配置された位置にバンドが検出された場合は、当該検出されたフラグメントをエピトープとするMPO−ANCAが試料中に含まれることを意味する。ANCA関連血管炎の患者の血清に含まれる、重症度を示すMPO−ANCAエピトープを認識する簡便キットの概念図を図4に示す。本検査用試薬によれば、非特許文献5に記載の方法と比べて、血清に含まれるMPO−ANCAのエピトープを簡易な手段により特定することができる。
10名のMPO−ANCA陽性患者(MPA)由来の血清試料を本キットで測定した。Ha(H−4a)またはHb(H−4b)に対して陽性反応を示す患者由来試料の割合が高かった。本キットを用いることにより迅速な測定が可能であったが、一部の患者由来の血清では、偽陰性を示した(反応頻度80%)。
3.2 Ha−Hbをさらに細分化した部分ペプチドを検査用試薬として含むキット(MPO−ANCA−Fine:H4PX)(実施例)
MPO−ANCA陽性患者(MPA)においては、Ha−HbをエピトープとするMPO−ANCAを保有している場合が多い。重症度に関わるMPO−ANCAのエピトープを高い精度で詳細に特定するため、ヒトHa−HbからなるMPOフラグメントをさらに10領域に細分化した部分ペプチドセットを調製した。ヒトHa−HbからなるMPOフラグメントをさらに10領域に細分化した部分ペプチド(H4P1〜H4P10)を示すマップを図5に、各部分ペプチドの領域を図6に示す。本実施例では部分ペプチドのセットを上記のMPOフラグメントと同様の方法により調製したが、化学合成して得てもよい。ペプチド分子鎖内または分子間においてCys同士が結合することを防止するため、CysがAlaに置換されることがあるが、置換されたペプチドであっても検出される抗MPO抗体(MPO−H4PX抗体)が結合する限りにおいて好適に使用できる。本キットでは、ヒトMPOのアミノ酸配列において、CysがAlaに置換されたアミノ酸配列を有するペプチドを用いた。
3.3 重症度病態マーカー(MPO−H4PX)の測定法を示す概念図
重症化した病態を特定するマーカーを検出する検査試薬を含むキット(MPO−ANCA−Fine:H4PX)の測定法を示す概念図を図7に示す。キット(MPO−ANCA−Fine:H4PX)は、MPOフラグメントをさらに10領域に細分化した部分ペプチドセットを、各部分ペプチドごとに間隔を置いて固相化したニトロセルロースメンブレンを含む。本キットにおいては、各フラグメントが配置された位置にバンドが検出された場合は、当該検出されたフラグメントをエピトープとするMPO−ANCAが試料中に含まれることを意味する。検出されたバンドの強度に基づいて、病態を細分類することもできる。
3.4 キット(MPO−ANCA−Fine:H4PX)は、血管炎患者の血清に含まれる病態マーカーをイムノクロマト法により検出する。ニトロセルロースメンブレンの抗体検出部位に、上記の各部分ペプチドを試料流路に対して直交するよう線状に固相化した。メンブレン上に固相化されたいずれかの部分ペプチドをエピトープとするMPO−ANCAが試料に含まれる場合、部分ペプチドが固相化された部位に線状にラテックス結合抗抗体分子が集積するため、バンドが形成される。病態マーカーの検査は、可視化されたバンドを検出することにより行った。本キットは、各部分ペプチドを担持したニトロセルロースメンブレン以外に、血清希釈液(1%BSA,150mM NaCl,10mM NaPO,pH7.0,0.05%NaN)、および検出液(1%(v/v)抗ヒト−IgG 標識化ラテックスミクロスフィア,1%BSA,10mM NaPO,pH7.0,0.05%NaN)を含む。本キットの使用方法は、上記の「3.1 MPOフラグメントを検査用試薬として含むキット」と同様である。
3.5 MPO部分ペプチドと、血管炎患者の血清中のMPO−ANCAとの反応性の、キットによる測定:重症度病態マーカー検出キット(MPO−ANCA−Fine:H4PX)を使って測定した、MPO−ANCA陽性を呈するANCA関連血管炎(重篤なMPA)患者の反応頻度の結果を図8に示す。図8に示す通り、アミノ酸配列が配列番号5からなるペプチドを試験試薬として用いることにより、全ての患者血清において陽性反応を呈した。
3.6 重症患者の血清試料における抗MPO抗体の解析
重症患者の血清試料における抗MPO抗体と、MPO部分ペプチドとの反応性を測定した結果について解析を行なった。その結果、上述した図5、並びに、図6および図7に示すように、Ha−Hbに反応した血清は、さらに、H4P2、H4P4、H4P5、H4P6、H4P7にそれぞれ反応した。特に、H4P4については、測定に供した検体すべて(10名)が反応することが判明した。従って、Ha−Hbから選択されるMPOの部分ペプチド、特に、H4P4と相同な配列番号5で表わされるアミノ酸配列からなる部分ペプチドを認識する抗体は、重症な病態との相関性が高い病態マーカーとして利用することができる。
本発明の知見を利用し、これを従来存在するMPO−ANCAに基づく検査結果と組み合わせることで、MPAなどの血管炎の重症度を分類するための、新たな基準が提供されうる。そして、このような細分類基準を用いることで、患者血清中のMPO−ANCAに重症化反応部位(H4P4)をエピトープとする抗体が存在するか否かを判定することができ、さらに、MPO−H4PXの存在量に基づき血管炎の重症度を検査し、種々の治療の効果をより精密に分類することができる。そして、最終的には、よりよい治療計画の策定や患者の予後の改善にも資するものである。

Claims (5)

  1. 血管炎の病態検査のための方法であって、
    生体試料中の、ミエロペルオキシダーゼの部分ペプチドを認識する抗体を検出することを含み、
    前記部分ペプチドのアミノ酸配列が配列番号5からなり、
    前記血管炎が、顕微鏡的多発血管炎であ、方法。
  2. 前記抗体がミエロペルオキシダーゼの自己抗体である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記生体試料が血清試料である、請求項1または2に記載の方法。
  4. ミエロペルオキシダーゼの部分ペプチドを1つ以上含む血管炎の検査用試薬であって、
    前記部分ペプチドとして、
    (1−1)アミノ酸配列が配列番号5からなるペプチド、および/または
    (1−2)配列番号5において1もしくは2個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつMPO−ANCAに認識されるペプチド、
    を含み、
    前記血管炎が、顕微鏡的多発血管炎である、検査用試薬。
  5. 下記(2−1)〜(2−3)のペプチドのうち少なくとも1つをさらに含む、請求項に記載の検査用試薬;
    (2−1)アミノ酸配列が配列番号12からなるペプチド
    (2−2)アミノ酸配列が配列番号13からなるペプチド
    (2−3)配列番号12または13において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつMPO−ANCAに認識されるペプチド。
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