JP6606790B2 - 磁気冷凍用材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気冷凍用材料に関し、特に、各種磁気冷凍機に搭載した際に優れた冷却性能を発揮する磁気冷凍用材料に関する。
近年、地球温暖化、オゾン層の破壊などの環境問題を引き起こすフロン系ガスを冷媒として用いる従来の気体冷凍方式に代わる新しい磁気冷凍方式が提案されている。この磁気冷凍方式では、磁性体を冷媒(磁気冷凍用材料)とし、その磁気熱量効果つまり等温状態で磁性体の磁気秩序を磁場で変化させた際に生じる磁気エントロピー変化量及び断熱状態で磁性体の磁気秩序を磁場で変化させた際に生じる断熱温度変化を利用する。従って、この磁気冷凍方式によれば、フロンガスを使用することなく冷凍を行うことができ、これまでの気体冷凍方式に比べて冷凍効率が高いという利点がある。
斯かる磁気冷凍方式に用いられる磁気冷凍用材料として、低い磁場で大きな磁気熱量効果を示す効率の良い材料が模索されている。そのような磁気冷凍用材料として、10〜20J/kgKという大きな磁気エントロピー変化量を有するFeP構造のMnFePGe系化合物やMnFePSi系化合物などが開示されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特表2013−501910号公報 特表2011−523676号公報
しかし、これらの磁気エントロピー変化量が大きい材料をそのまま磁気冷凍機(磁気ヒートポンプ機)に搭載した場合、磁気冷凍用材料の冷却特性が著しく低いことが影響して、熱ヒステリシスの大小にかかわらず、冷却機能が安定的に発揮されず、磁気冷凍機として十分に機能しないという課題があった。事実、上述した特許文献1及び2に開示されているMnFePGe系化合物やMnFePSi系化合物は、磁気冷凍機に搭載したときの効果については何ら言及されていない。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、磁気冷凍性能に優れ、特に、磁気冷凍機(磁気ヒートポンプ機)に搭載した場合にもその冷却機能が十分に発揮できる磁気冷凍用材料を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、マンガン系化合物に対して、当該マンガン系化合物固有のキュリー温度以下に一度冷却することで得られた磁気冷凍用材料が、磁気冷凍機に搭載した時の冷凍性能を大幅に改善でき、上述の目的を達成し得ることを見出した。当該磁気冷凍機としては、冷凍庫、冷蔵庫等の家電製品、ガス液化産業、超伝導素子、家庭用および車載用のエアコンなど広範に及ぶ。
すなわち、本発明に係る磁気冷凍用材料の製造方法は、マンガンを含有するマンガン系化合物を、当該マンガン系化合物固有のキュリー温度以下に冷却する冷却工程を含むものである。
本発明の実施形態に係る磁気冷凍用材料を用いる能動的蓄冷器(以下AMRと略す)の概略図を示す。 本発明の実施例及び比較例に係る磁気冷凍用材料の示差走査熱量測定(DSC)結果を示す(吹き出し線で示された温度は、冷却した温度を示す)。 本発明の実施例及び比較例に係る磁気冷凍用材料の示差走査熱量測定(DSC)結果を示す(吹き出し線で示された温度は、冷却した温度を示す)。 本発明の実施例及び比較例に係る磁気冷凍用材料の示差走査熱量測定(DSC)結果を示す(吹き出し線で示された温度は、冷却した温度を示す)。
本発明の実施形態に係る磁気冷凍用材料の製造方法は、マンガンを含有するマンガン系化合物を、当該マンガン系化合物固有のキュリー温度以下に冷却する冷却工程を含む。
当該冷却工程における冷却は、前記キュリー温度以下であれば特に限定されず、例えば、0℃まで冷却してもよいし、−20℃まで冷却してもよいが、安定した磁気冷凍特性を得るという観点から、好ましいのは、前記キュリー温度よりも25℃以下に冷却することであり、より好ましいのは、前記キュリー温度よりも35℃以下に冷却することであり、特に好ましいのは、前記キュリー温度よりも100℃以下に冷却することである。なお、キュリー温度とは、各物質の磁性が、強磁性から常磁性に転移する温度を示す各物質固有に定められる温度である。
本発明で用いられるマンガン系化合物としては、特に限定されないが、少なくともMn、Fe、Ru、P、及びSiの構成元素から構成されることが好ましく、MnFePGe系化合物やMnFePSi系化合物であることがより好ましく、例えば、一般式(1)(Mn2−x―yFey1+σ(P1−z)(A:Ni(ニッケル)、Co(コバルト)、Ru(ルテニウム)、B:Ge(ゲルマニウム)、Si(ケイ素)、B(ホウ素))(−0.1≦σ≦+0.1、0.6≦x≦1.2、0.03≦y≦0.7、0<z≦0.7)で表される化合物を挙げることができる。
このうち安定した磁気冷凍特性が得られるという観点から、マンガン系化合物の構成元素について、特に好ましいのは、Aが、Ni、Co、又はRuであり、Bが、Ge又はSiであり、より好ましいのは、Aが、Co又はRuであり、Bが、Siであり、さらに好ましいのは、AがRuであり、BがSiである。
また、マンガン系化合物の熱ヒステリシスは、比較的小さい値であることが好ましく、特に2.2K以下であることが、磁気冷凍用材料の冷凍性能を高めるという点から、より好ましい。
例えば、上記一般式(1)で表されるマンガン系化合物の場合では、MnとFeとAの比率およびPとBの比率を変化させることによって、キュリー温度、熱ヒステリシスおよび磁気エントロピー変化量を調整し、特に熱ヒステリシスが2.2K以下を示す材料を選定することが好適である。
即ち、Feの比率(x)とAの比率(y)との相関関係については、特に限定されないが、安定した磁気冷凍特性が得られるという観点から、0.7≦x+y≦0.8であることが好ましく、より好ましくは、0.73≦x+y≦0.77であり、さらに好ましくは、0.74≦x+y≦0.76であり、例えば、x+y=0.75〜0.76とすることが好適である。
本実施形態に係る磁気冷凍用材料は、冷凍効果を高めるという観点から、前記マンガン系化合物の熱ヒステリシスについては、上述したように、比較的小さい数値であることが好ましく、具体的には2.2K以下であることがより好ましいが、磁気エントロピー変化量については、10J/kgK以上という比較的大きい値であることが一般的には好ましいものの、10J/kgKより小さくてもよく、特に限定されるものではない。
例えば、磁気冷凍機に搭載する前に一度キュリー温度以下に冷却した本発明に係るマンガン系化合物Mn1.25Fe0.66Ru0.090.45Si0.55(後述の実施例1参照)は、熱ヒステリシスについては1.2Kを示し、磁気エントロピー変化量については14J/kgKを示しており、当該冷却工程の無い従来のマンガン系化合物(後述の比較例1参照)に比べて、磁気熱量効果が大幅に増し、磁気冷凍機に搭載した時に大きな温度差が得られることが確認されている。また、強磁性から常磁性へ転移する温度(キュリー温度)で構造変化を伴わない(一次転移が保たれる)材料といえる。このように、本実施形態に係る磁気冷凍用化合物は、従来の磁気冷凍用化合物と比較して、磁気冷凍機に搭載した場合に優れた冷却性能を発揮するものである。
この本実施形態に係る磁気冷凍用材料が、優れた効果を奏するメカニズムは、詳細には解明されていないが、前記冷却工程で実施される冷却によって、前記マンガン系化合物が、原子レベルで磁気スピンの配向(磁気スピンの向き(並びやすさ))が一方向に整列され、物理的な乱雑さが低下し、前記マンガン系化合物に高い磁気冷却性能を生じさせるものと推察される。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例)
(1)試料の作成
原料のマンガン、鉄、リン、シリコン及びルテニウムを、後述の表1における実施例1〜7、および比較例1となるように遊星ボールミルで均質に粉砕混合し、カーボン製容器に充填した後、1100(℃)で焼結し、2℃/分の条件で室温まで徐冷した。この焼結体を線源がFeKαのX線回折装置で40kV,20mAの出力でX線回折データを取得し、計算値と比較したところFeP構造で結晶化している事が確認できた。なお、計算値はRietveld解析プログラム「RIETAN」に格子定数と結晶構造データを入力しX線パターンをシミュレートした。
得られた焼結体(後述の表1における実施例1〜7および比較例1を、カンタム・デザイン株式会社(Quantum Design社)の物理特性測定装置(PPMS)を用い磁場0.1Tから2.0Tまで印加磁場を変化させながら繰り返し測定し、下記(2)式を用いて磁気エントロピー変化量を算出した。
Figure 0006606790
式(2)中、Sは磁気エントロピー変化量、Mは磁化量、Tは作動温度、Hは磁界の強さである。
得られた焼結体は0.2〜1.0(mm)の大きさになるように粉砕、分級し、さらにキュリー温度以下に一度冷却して磁気冷凍機に搭載する材料とした。当該焼結体の形状は特に限定されず、ランダムな粒状でよいが、より好ましくは球状であり、比表面積を高めることによってさらに効率的な熱交換が実現できる。分級した後にキュリー温度以下に冷却していない比較例1とともに、図1(a)に示すAMRに材料を搭載し、AMR両端の温度を測定した。
なお、当該焼結体の大きさは、特に上記に限定されず、図1(b)に示す収容容器10に充填した時に熱交換媒体(例えば水)が透過する大きさであればよいが、効率的な熱交換を実現するためには、0.2mmより小さいと通常の磁気冷凍機が熱交換媒体(例えば水)に加える圧力を考慮した際に熱交換媒体(例えば水)が透過し難くなるという点及び1.0mmを超えると熱交換媒体(例えば水)が当該焼結体に接触する表面積が十分に得られ難くなるという点から、0.2〜1.0(mm)であることが好ましく、当該焼結体に接触する表面積を高めるという点から、より好ましくは0.2〜0.7(mm)であり、さらに好ましくは0.2〜0.4(mm)である。
このAMRでは、図1(b)に示すように、磁気冷凍用材料1は、ミリオーダーの粒子状で複数存在しており、収容容器10に充填されて収容されている。この収容容器10としては、透水性を有する容器であれば特に限定されず、熱交換媒体と磁気冷凍用材料1が熱交換できる形態であれば用いることが可能である。この収容容器10によって、媒体(例えば水)を透過させ、当該透過と共に、内部に収容された磁気冷凍用材料1と接触することによって、熱交換を行い、AMR両端で大きな温度差を生み出す。
AMR両端での温度測定は、アクリルパイプで作製したAMRを「一対の永久磁石(1テスラ)の中で励磁(磁気冷凍用材料が発熱−温度が上昇)→熱交換媒体(水)による熱交換→AMRを永久磁石から出して消磁(磁気冷凍用材料が吸熱−温度が低下)→熱交換媒体(水)を挿入したときとは逆方向に流し熱交換」この一連の動作を1サイクルとし、このサイクルを繰り返すことでAMRの中で温度勾配ができ両端に温度差がつくので、その温度を測定し磁気冷凍用材料の性能を測定した。中央の温度より高くなる方を高温端、低くなる方を低温端とした。なお温度測定はT型の熱電対で行った。これらの結果を表2に示す。
Figure 0006606790
Figure 0006606790
実施例1および比較例1から、破砕、分級後にキュリー温度以下に冷却していない材料はほとんど温度変化が得られないことが認められた。一方、破砕、分級後にキュリー温度以下に冷却した本発明に従う材料は大きな温度差が得られた。
実施例3、5、6から、それぞれの材料の磁気エントロピー変化量はほぼ同じであったが、熱ヒステリシスが大きくなるにつれて高温端と低温端の温度差は小さくなっていることが認められた。
実施例2、5、6、7から、実施例2は実施例5、6、7に比べると磁気エントロピー変化量が小さいにも関わらず、高温端と低温端で温度差が大きくなっていることからもわかるように、高温端と低温端で温度差を得るための絶対条件が材料の磁気エントロピー変化量ではなく、熱ヒステリシスが小さいことが重要であることが認められた。
実施例2、3、4から、実施例3、4は実施例2と比べると1Kほど熱ヒステリシスは大きいが、高温端と低温端でより大きな温度差が得られていた。このことから、熱ヒステリシスが小さいことは必須であるが、加えて熱ヒステリシスが2K程度の材料であれば磁気エントロピー変化量が大きければ高温端と低温端の温度差が熱ヒステリシス1K程度の材料と同等もしくはそれ以上になることが認められた。
比較例1および実施例1〜7の結果から、磁気冷凍機のAMR内で大きな温度差(冷却性能)を得る要素としては、焼結体を焼成後キュリー温度以下に冷却することが最も重要であり、さらに熱ヒステリシスが2.2K以下で且つ磁気エントロピー変化量も大きい方が望ましいことが分かった。
さらに、以下では、種々のマンガン系磁気冷凍用材料(Mn系磁気冷凍用材料)の熱特性を確認すべく、種々のMn系磁気冷凍用材料の断熱温度変化の測定及び示差走査熱量測定(DSC)を行った。
(2)断熱温度変化の測定−1
Mn1.24Fe0.61Ru0.15P0.45Si0.55の組成を持つMn系磁気冷凍用材料の断熱温度変化を測定した。断熱温度変化が大きいほどAMRを作った時に温度変化が大きくなる。上記Mn系磁気冷凍用材料は15℃にキュリー温度を持つ材料である。焼成後のバルク材料をキュリー温度以下に冷やすことなく微粉末化し、その微粉末化した材料を10℃、0℃、-10℃、-20℃、-125℃まで冷却した材料と全く冷却していない材料を測定用試料とした。断熱温度変化の測定は18℃に設定した恒温室の中で、各々の温度まで冷却した試料を0.93テスラの永久磁石で励磁、消磁した時の温度変化の値とした。励磁前後での温度の差から求めたMn1.24Fe0.61Ru0.15P0.45Si0.55の断熱温度変化の値を以下の表に示す。
Figure 0006606790
得られた結果から明らかなように、キュリー温度付近までしか冷却していない材料の温度変化は小さかったが、キュリー温度より25℃低い温度まで冷却した試料は、全く冷却していない試料より2倍もの温度変化量があったことが確認された。
(3)示差走査熱量測定(DSC)−1
次に上記材料の示差走査熱量測定(DSC)を行った。示差走査熱量測定は測定試料と基準物質との間の熱量の差を計測することで、融点や磁性転移点などを測定する熱分析の手法である。
測定に使用したDSCはセイコーインスツル社製のEXTAR6100である。30mgの試料をアルミパンの中に入れ、基準物質にアルミナを選択し熱量の差を測定した。測定は25℃に設定した部屋の中で、試料がキュリー温度以下にならないように慎重に作製し、測定開始温度を60℃に設定し、-30℃まで冷却した。温度の走査速度は5℃/minとして測定した結果を、図2に示す(吹き出し線で示された温度は、冷却した温度を示す)。
Mn1.24Fe0.61Ru0.15P0.45Si0.55のDSC測定結果から求めた各材料の熱ヒステリシスは以下の通りであり、熱ヒステリシスの値はすべての試料で1K程度であった。
Figure 0006606790
得られた結果から、冷却していない材料は1℃付近に転移点が認められたが、冷却温度が低くなるにつれて13℃付近の転移点(第1転移点)が確認できるようになった。また、10℃まで冷却した試料は1℃付近に、0℃まで冷却した試料は−3℃付近に、−10℃まで冷却した試料は−15℃付近に、−20℃まで冷却した試料は−26℃付近に第2の転移点が認められた。-125℃まで冷却した試料は、測定した範囲には第2の転移点が確認できなかった。各温度まで冷却した材料の断熱温度変化が異なっているのは、この第2の転移点の存在(準安定相)のためと推察される。材料の性能を最も引き出すためにはこの不要な転移をできる限り小さくする(なくす)必要があり、最低でもキュリー温度より25℃、好ましくは35℃以上冷却することが好ましく、さらに100℃以上キュリー温度より低い温度まで冷却すると、上述の第2の転移点(準安定相)は全て消失し、材料の性能が最も発揮できることが確認された。
以上の結果から、次のことが確認された。
・冷却していない材料の断熱温度変化(材料を励磁した時の温度変化)は小さく、その結果AMRで温度変化を測定したときに温度差が取れない。
・冷却温度によっても断熱温度変化の値は変わる。AMRで大きな温度変化を得るためにはキュリー温度より25℃低い温度まで冷却することが望ましい。
・AMRの温度変化を大きくするには熱ヒステリシスが小さいことは必須である。
・冷却温度を低くしていくと、本来あるべき温度にキュリー点が確認できるようになり、第2の転移点は低温方向にシフトし、その強度は下がっていく。DSCのグラフ(第2の転移点の強度の減衰)から推測するとキュリー温度より50℃程度低い温度まで冷却することがさらに望ましく、その場合には第2の相の影響はほぼなくなったことが確認された。
(4)断熱温度変化の測定−2
Mn1.25Fe0.66Ru0.09P0.45Si0.55についても同様に試験を行った。上記Mn系磁気冷凍用材料は25℃にキュリー温度を持つ材料である。焼成後のバルク材料をキュリー温度以下に冷やすことなく微粉末化し、その微粉末化した材料を20℃、10℃、0℃、-10℃、-20℃、-55℃、-85℃、-125℃まで冷却した材料と全く冷却していない材料を測定用試料とした。
断熱温度変化の測定は28℃に設定した恒温室の中で、各々の温度まで冷却した試料を0.93テスラの永久磁石で励磁、消磁した時の温度変化の値とした。励磁前後での温度の差から求めたMn1.25Fe0.66Ru0.09P0.45Si0.55の断熱温度変化の値を以下の表に示す。
Figure 0006606790
キュリー温度付近までしか冷却していない材料の温度変化は小さいが、キュリー温度より35℃以上低い温度まで冷却した試料は、全く冷却していない試料より2倍の温度変化量があった。
(5)示差走査熱量測定(DSC)−2
上記と同様に、上記材料の示差走査熱量測定(DSC)を行った。即ち、30mgの試料をアルミパンの中に入れ、基準物質にアルミナを選択し熱量の差を測定した。測定は30℃に設定した部屋の中で、試料がキュリー温度以下にならないように慎重に作製し、測定開始温度を75℃に設定し、-20℃(冷却なし、20℃まで冷却した材料)、-30℃(10℃、0℃まで冷却した材料)、-40℃(-10℃まで冷却した材料)、-50℃(-20℃まで冷却した材料)、-100℃(-55℃、-85℃、-125℃まで冷却した材料)までの熱量の変化及び最大の熱量の差を取るときの温度(キュリー温度)を測定した結果を図3に示す(吹き出し線で示された温度は、冷却した温度を示す)。温度の走査速度は5℃/minで測定した。
Mn1.25Fe0.66Ru0.09P0.45Si0.55のDSC測定結果から求めた各冷却材料の熱ヒステリシスは以下の通りであり、熱ヒステリシスの値はすべての試料で1.5K程度であった。
Figure 0006606790
得られた結果から、DSCスペクトルは冷却温度によって大きく異なっていた。即ち、冷却していない材料は9℃付近に転移点が認められた。冷却温度が低くなるにつれて25℃付近の転移点が確認できるようになったが、20℃まで冷却した試料は8℃付近に、10℃まで冷却した試料は6℃付近に、0℃まで冷却した試料は−7℃付近に、−10℃まで冷却した試料は−19℃付近に、−20℃まで冷却した試料は−30℃付近に、第2の転移点が認められた。
また、-55℃、-85℃および-125℃まで冷却した試料は、明確な第2の転移点は確認できなかった。各温度まで冷却した材料の断熱温度変化が異なっているのは、この第2の転移点の存在(準安定相)のためであると推察される。材料の性能を最も引き出すためにはこの不要な転移をできる限り小さくする(なくす)必要があり、最低でもキュリー温度より25℃、好ましくは35℃以上冷却することが望ましい。さらに80℃以上キュリー温度より低い温度まで冷却すると、準安定相は全て消失し、材料の性能が最も発揮できることが確認された。
(6)断熱温度変化の測定−3
Mn1.25Fe0.70Ru0.05P0.46Si0.54の組成を持つMn系磁気冷凍用材料の断熱温度変化を測定した。上記Mn系磁気冷凍用材料は28℃にキュリー温度を持つ材料である。焼成後のバルク材料をキュリー温度以下に冷やすことなく微粉末化し、その微粉末化した材料を20℃、10℃、0℃、-10℃、-20℃、-55℃まで冷却した材料と全く冷却していない材料を測定用試料とした。
断熱温度変化の測定は30℃に設定した恒温室の中で、各々の温度まで冷却した試料を0.93テスラの永久磁石で励磁、消磁した時の温度変化の値とした。励磁前後での温度の差から求めたMn1.25Fe0.70Ru0.05P0.46Si0.54の断熱温度変化の値を以下の表に示す。
Figure 0006606790
冷却していない材料の温度変化は小さいが、キュリー温度より30℃以上低い温度まで冷却した試料は、全く冷却していない試料より2倍の温度変化量があった。
(7)示差走査熱量測定(DSC)−3
上記と同様に、上記材料の示差走査熱量測定(DSC)を行った。即ち、30mgの試料をアルミパンの中に入れ、基準物質にアルミナを選択し熱量の差を測定した。測定は30℃に設定した部屋の中で、試料がキュリー温度以下にならないように慎重に作製し、測定開始温度を70℃に設定し、-15℃(冷却なし)-20℃(20℃まで冷却した材料)-30℃(10℃まで冷却した材料)-40℃(0℃まで冷却した材料)-50℃(-10℃まで冷却した材料)-60℃(-20℃まで冷却した材料)-85℃(-60℃まで冷却した材料)までの熱量の変化及び最大の熱量の差を取るときの温度(キュリー温度)を測定した結果を図4に示す(吹き出し線で示された温度は、冷却した温度を示す)。温度の走査速度は5℃/minで測定した。
Mn1.25Fe0.66Ru0.05P0.46Si0.54のDSC測定結果から求めた各冷却材料の熱ヒステリシスは以下の通りであり、熱ヒステリシスの値はすべての試料で2K程度であった。
Figure 0006606790
得られた結果から、DSCスペクトルは冷却温度によって大きく異なっていた。即ち、冷却していない材料は8℃付近に転移点が認められた。冷却温度が低くなるにつれて25℃付近の転移点の増大が確認できるようになったが、20℃まで冷却した試料は8℃付近に、10℃まで冷却した試料は6℃付近に、0℃まで冷却した試料は−10℃付近に、−10℃まで冷却した試料は−22℃付近に、−20℃まで冷却した試料は−30℃付近に、第2の転移点が認められた。
また、-60℃まで冷却した試料は、明確な第2の転移点は確認できなかった。各温度まで冷却した材料の断熱温度変化が異なっているのは、この第2の転移点の存在(準安定相)のためであると推察される。材料の性能を最も引き出すためにはこの不要な転移をできる限り小さくする(なくす)必要があり、最低でもキュリー温度より25℃、好ましくは35℃以上冷却することが望ましい。さらに80℃以上キュリー温度より低い温度まで冷却すると、準安定相は全て消失し、材料の性能が最も発揮できることが確認された。
10 収容容器
1 磁気冷凍用材料

Claims (4)

  1. 少なくともMn、Fe、Ru、P、及びSiの構成元素から構成されるマンガンを含有するマンガン系化合物を、焼成して焼結体を得る焼成工程と、当該焼結体を粉砕する粉砕工程と、当該焼結体を室温より低い温度、且つ、当該マンガン系化合物固有のキュリー温度より25℃以下の温度に冷却する冷却工程を含むことを特徴とする磁気冷凍用材料の製造方法。
  2. 少なくともMn、Fe、Ru、P、及びSiの構成元素から構成され、Feの比率(x)とRuの比率(y)が0.7≦x+y≦0.77であるマンガンを含有するマンガン系化合物を、室温より低い温度、且つ、当該マンガン系化合物固有のキュリー温度より25℃以下の温度に冷却する冷却工程を含むことを特徴とする磁気冷凍用材料の製造方法。
  3. 前記マンガン系化合物が、一般式(Mn2−x−yFey)1+σ(P1−z)(A:Ni、Co、Ru、B:Ge、Si、B)(−0.1≦σ≦+0.1、0.6≦x≦1.2、0.03≦y≦0.7、0<z≦0.7)で表されることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気冷凍用材料の製造方法。
  4. 前記マンガン系化合物の熱ヒステリシスが2.2K以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の磁気冷凍用材料の製造方法。
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