JP6606631B2 - 光変調器 - Google Patents

光変調器 Download PDF

Info

Publication number
JP6606631B2
JP6606631B2 JP2015004259A JP2015004259A JP6606631B2 JP 6606631 B2 JP6606631 B2 JP 6606631B2 JP 2015004259 A JP2015004259 A JP 2015004259A JP 2015004259 A JP2015004259 A JP 2015004259A JP 6606631 B2 JP6606631 B2 JP 6606631B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
polymer layer
optical modulator
slot
electro
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015004259A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6606631B6 (ja
JP2016130768A (ja
Inventor
康文 榎波
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kochi Prefectural University Corp
Original Assignee
Kochi Prefectural University Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kochi Prefectural University Corp filed Critical Kochi Prefectural University Corp
Priority to JP2015004259A priority Critical patent/JP6606631B6/ja
Publication of JP2016130768A publication Critical patent/JP2016130768A/ja
Publication of JP6606631B2 publication Critical patent/JP6606631B2/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6606631B6 publication Critical patent/JP6606631B6/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)
  • Optical Integrated Circuits (AREA)

Description

本発明は、光変調器に関し、特に、導波路に用いられる電気光学ポリマーのポーリング効率を向上させる技術に関する。
光変調器は、電気信号を光信号に変換するものであり、高速かつ大容量の光通信に必須のデバイスである。これまで光変調器はニオブ酸リチウム(LN)を用いて構成されることが多かったが、デバイスの大きさ、駆動電圧(半波長電圧)の高さ、変調帯域幅の上限などの難点があることから、近年、電気光学効果を呈する有機ポリマー(電気光学ポリマー)を導波路に用いた光変調器が開発されている(例えば、特許文献1参照)。このような有機導波路型光変調器は、デバイス長を短くすることができ、より低電圧で動作し、より高い周波数領域の電気信号を光変調することができる。
さらに、本願発明者は、電気光学ポリマーを基板の垂直方向上下から二つの高屈折率のTiOスロットコアで挟んだ構造の垂直閉じ込め型スロット導波路を採用した光変調器を開発している(例えば、特許文献2参照)。垂直閉じ込め型スロット導波路では二つのスロットコアに挟まれた低屈折率の電気光学ポリマーに光が強く閉じ込められ、クラッド層を薄くすることができる。したがって、電気光学ポリマーに対して基板垂直方向の上方と下方にそれぞれ配置された電極の間隔を狭くすることができ、結果としてより低い半波長電圧で光変調器を駆動することが可能となっている。
さらに、本願発明者は、垂直閉じ込め型スロット導波路を有する光変調器において、基板とクラッド層との間に多孔性ゾルゲルシリカからなる底部クラッド層を設けることでクラッド層を薄くしてもスロット導波路から基板面へ光の漏れを低く抑え、その効果として上下電極間を狭めて半波長電圧をより一層低下させている(例えば、特許文献3参照)。
特開2007−25370号公報 特開2011−85842号公報 特開2014−63098号公報
光変調器には今後さらなる変調帯域幅の拡大と駆動電圧(半波長電圧)の低減が求められる。電気光学ポリマーを用いた光変調器においてそれら要求を満たすには、電気光学ポリマーの電気光学効果(電気光学係数)をいかに高めるかが重要となる。
電気光学ポリマーは、ポリマー中のクロモフォアを配向させるポーリング処理を行うことで電気光学効果を呈するようになる。ポーリング処理は、ガラス遷移温度下で電気光学ポリマーに電界を印加することで行われる。
垂直閉じ込め型スロット導波路を有する光変調器は、ゾルゲルシリカからなるクラッド層、TiOからなる高屈折率層、および電気光学ポリマーが積層された多層構造になっているため、ポーリング処理時に印加電圧が各層に分圧されて電気光学ポリマーに十分な電界が印加されにくいという構造上の問題がある。一方、ポーリング処理の電圧を上げすぎると、電気光学ポリマーへの電界分布が一様でないため、ポリマーに局所的に強い電界が印加され、その部分から電気光学ポリマーが誘電破壊されるおそれがある。
上記問題に鑑み、本発明は、光変調器の導波路に用いられる電気光学ポリマーのポーリング効率を向上させて電気光学効果を高めることを課題とする。
本発明の一局面に従った光変調器は、基板と、前記基板の上面に形成された下部電極と、前記下部電極の上面に形成された導電性ポリマー層と、前記導電性ポリマー層の上面に形成された、ゾルゲルシリカからなるクラッド層と、電気光学効果を呈する低屈折率のポリマー層を前記基板の垂直上下方向から二つの高屈折率のスロットコア層で挟んだスロット構造を有し、前記クラッド層中に形成されたスロット導波路と、前記スロット導波路の上面に形成されたバッファ層と、前記バッファ層の上面に形成された上部電極とを備え、前記上部電極、スロット導波路、および下部電極が平面視で互いに重なるように配置されている、光変調器である。
これによると、下部電極とクラッド層との間に導電性ポリマー層を設けることで、ポリマー層(電気光学ポリマー)のポーリング効率を向上させることができ、高い電気光学効果を有するポリマー層でスロット導波路(垂直閉じ込め型スロット導波路)を構成することができる。
前記導電性ポリマー層はPEDOT:PSSからなっていてもよい。PEDOT:PSSは、他の導電性ポリマーと比較して導電率および透明性が非常に高いという特徴を有する。また、PEDOT:PSSは、表面平坦で均質な層を形成することができる。
前記下部電極はITOからなっていてもよい。これにより、ポリマー層のポーリング処理時にポリマー層の絶縁破壊開始を遅延させてポリマー層の絶縁破壊を防ぐことができる。
前記スロットコア層は酸化チタンからなっていてもよい。これにより、より高屈折率のスロットコア層を得ることができ、スロット導波路(垂直閉じ込め型スロット導波路)への光の閉じ込め効率がより増大する。酸化チタンなどの絶縁体で高屈折率材料を使用することにより、シリコンなどの半導体に比べてキャリア移動などに起因する応答速度減少要因を局限し高速光変調が容易である利点を有する。
以上のように本発明によると、光変調器の導波路に用いられる電気光学ポリマーのポーリング効率を向上させて電気光学効果を高めることができる。これにより、光変調器の変調帯域幅を拡大するとともに駆動電圧を低減することができる。
本発明の一実施形態に係る光変調器の構造を示す図 本発明の一実施形態に係る光変調器の製造工程を示す図 導電性ポリマー層がある場合とない場合の多層構造の導電率のグラフ 導電性ポリマー層がある場合とない場合のポーリング処理中のJ−V特性のグラフ
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態について説明する。なお、各図において同一の構成要素には同一の符号を付し、説明は繰り返さない。
≪光変調器の構造≫
まず、光変調器の構造について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る光変調器の構造を示す。図1(a)は平面図であり、図1(b)は図1(a)中のI−I’断面図であり、図1(c)は図1(a)中のII−II’断面図である。なお、各図は本実施形態に係る光変調器の構造が理解できるように模式的に描いたものであり、各構成部材の縮尺は正確ではない。
本実施形態に係る光変調器は略長方形の平面形状をした光デバイスであり、全長(光進行方向の長さ)は例えば14mmである。なお、全長はこの長さに限定されず、どのような長さでもよい。当該光変調器の基板10は、シリコン(Si)基板12と、その上面に形成された酸化シリコン(SiO)からなる絶縁層14とからなる。絶縁層14の厚さは6μm以上である。
基板10の上面に下部電極20が形成されている。より詳細には、下部電極20は、基板10の上面全面に形成されている。下部電極20は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)からなる透明電極で形成されている。下部電極20の厚さは40nm程度である。下部電極20をITOで形成することで、下述のポーリング処理時にポリマー層56の絶縁破壊開始を遅延させてポリマー層56の絶縁破壊を防ぐ効果がある。
下部電極20の上面に導電性ポリマー層30が形成されている。導電性ポリマー層30は、例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(4−スチレンスルホン酸塩)(PEDOT:PSS)からなる。PEDOT:PSSは、導電性ポリマーであるPEDOTポリマーの水分散液タイプであり、EDOTモノマーをポリスチレンスルホン酸存在下で重合させることで得られる。導電性ポリマー層30の厚さは140nm程度である。
PEDOT:PSSからなる導電性ポリマー層30は、絶縁層14との接着性、および、下述のクラッド層40との接着性が良好である。また、PEDOT:PSSの屈折率は510nmの波長に対して1.48と十分に低いため、下述のポーリング処理の際の光特性も劣化せずに光変調器の光損失増大の影響もない。
導電性ポリマー層30の上面にクラッド層40が形成されている。クラッド層40は、導電性ポリマー層30の上面に形成された下部クラッド層42と、下部クラッド層42の上面に形成された側部クラッド層44とからなる。クラッド層40は、例えば、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(MAPTMS:Methacryloyloxy propyltrimethoxysilane)を主成分とするゾルゲルシリカからなる。「ゾルゲルシリカ」とは、熱または活性エネルギー線などの照射を行うことにより、ゾルゲルシリカ溶液の加水分解反応を進行させて得られるシリカ膜のことを指す。側部クラッド層44の厚さは4μmであり、下部クラッド層42の厚さは1.8μm程度である。また、クラッド層40の屈折率は波長1550nmの光に対して1.487である。
なお、側部クラッド層44の上端面とのバッファ層60の表面とを平坦化する場合には、側部クラッド層44の厚さをもう少し薄くする必要がある。
導電性ポリマー層30とクラッド層40との境界面から1.8μm程度の間隔を保ってクラッド層40中に垂直閉じ込め型スロット導波路(以下、単にスロット導波路という)50が形成されている。すなわち、スロット導波路50の底面は下部クラッド層42の上面に接面しており、スロット導波路50の両側面は側部クラッド層44の側面に接面している。
スロット導波路50は、Y字形状をした二つの分岐導波路52と、これら二つの分岐導波路52を互いに接続する、光路長の等しい直線状の二つのアーム54とからなり、マッハツェンダ導波路として機能する。スロット導波路50の全長は当該光変調器の全長と同じく例えば14mmであり、そのうち各分岐導波路52の全長が例えば4.5mmであり、各アームの全長が例えば5mmである。すなわち、当該光変調器の一方の端面にスロット導波路50の入光面があり、他方の端面にスロット導波路50の出光面がある。また、各分岐導波路52およびアーム54の各幅は例えば4μm以下であり、単一導波モードが存在する幅である。
スロット導波路50を構成する分岐導波路52およびアーム54は、いずれも、電気光学効果(ポッケルス効果)を呈する低屈折率のポリマー層56を基板10の垂直上下方向から高屈折率の二つのスロットコア層58で挟んだスロット構造を有する。「電気光学効果を呈するポリマー」とは、分子端部に正負の極性を有し電気双極子を構成する分子であるクロモフォアを透明な有機ポリマー中に含有させたものをいい、例えば、アモルファスポリカーボネイト(APC)などのマトリクス中にドープしたものが挙げられる。ここで、マトリクス中の色素の濃度は、0.1質量%〜80質量%であることができ、好ましくは35質量%である。ポリマー層56の厚さは300nm程度である。また、ポリマー層56の屈折率は、ドープするクロモフォアにより異なるが、1.62〜1.70である。一方、各スロットコア層58は、例えば、酸化チタン(TiO)からなり、ゾル−ゲル法やスパッタリング法などで形成することができる。各スロットコア層58の厚さは100nm程度(導波光が存在しない寸法以下)である。また、各スロットコア層58の屈折率は2.1(ゾル−ゲル法でTiO膜を形成した場合)から2.7(スパッタリング法でTiO膜を形成した場合)である。
「スロット構造」とは、狭い間隔をおいて導波光が存在しない寸法以下、すなわち、λ/2n(ただし、λは導波光の波長、nは導波路の実効屈折率である。)以下の寸法を有する2本の高屈折率の導波路(スロットコア層)を並べて配置することで、これら2本の導波路間の電界強度が大きくなり、これら2本の導波路で挟まれた低屈折率の領域に電場が強く閉じ込められる構造をいう。特に、本実施形態で採用している垂直閉じ込め型スロット導波路において各スロットコア層58を構成するTiO膜をスパッタリング法で形成すると屈折率をより高くすることができるため、光の閉じ込め効果をより大きくすることができる。また、スパッタリング法で形成されたTiO膜にはゾル−ゲル法で形成されたTiO膜と比べてクラックが起きにくいという利点もある。
ポリマー層56は後述するようにポーリング処理されており高い電気光学効果(電気光学係数)を呈する。したがって、上部電極70および下部電極20に電位信号を印加することでポリマー層56にそれぞれ異なる極性で印加される電界が生起してポリマー層56の屈折率が変化する。入力側の分岐導波路52に入力された光は二つに均等に分岐されて各アーム54を進行する。この進行中に各アーム54のポリマー層56の屈折率がそれぞれ変化して、各アーム54において異なる位相変化が発生することで、進行する光の位相が変化する。例えば、一方のアーム54では正の位相変化が発生し、これと同時に他方のアーム54では負の位相変化が発生する。そして、二つのアーム54をそれぞれ進行した光を出力側の分岐導波路52で結合することで干渉が発生して光の強弱が発生する。当該光変調器では、このようにして電位信号が光の強度信号に変換される。
スロット導波路50の上面にバッファ層60が形成されている。バッファ層60は低屈折率の材料からなり、例えば、フッ素系ポリマーやCYTOP(登録商標)などを使用することができる。バッファ層60の厚さは0.9μm程度である。また、バッファ層60の屈折率は1.33〜1.34である。
バッファ層60の上面に上部電極70が形成されている。より詳細には、上部電極70は、スロット導波路50を構成する二つのアーム54の各上方に個別に配置されている。また、上部電極70は、下部電極20とともに二つのアーム54を基板10の垂直方向上下から挟むように配置されている。すなわち、下部電極20、各アーム54、および上部電極70は平面視で互いに重なるように配置されている。上部電極70は、例えば、金(Au)膜でできている。上部電極70の厚さは100nm以上である。
なお、上部電極70を進行波型かつ数μmの膜厚の金電極にすることにより光変調帯域幅を拡大することができる。
≪光変調器の製造方法≫
次に、本実施形態に係る光変調器の製造方法について説明する。図2は、本実施形態に係る光変調器の製造工程を示す。なお、各図は本実施形態に係る光変調器の製造工程が理解できるように図1(a)中のI−I’断面を模式的に描いたものであり、各構成部材の縮尺は正確ではない。
まず、図2(a)に示した製造工程について説明する。シリコン(Si)基板12の上面に熱酸化膜(SiO)からなる絶縁層14を形成した基板10を使用する。基板10の上面に下部電極20を形成する。具体的には、基板10の上面にITO膜を蒸着またはスパッタリングにより形成する。
次に、図2(b)に示した製造工程について説明する。ポリスチレンスルホン酸(PSS)にPEDOTを添加したPEDOT:PSS混合溶液を作成する。そして、当該混合溶液を下部電極20の上面に、厚さが140nmになるように塗布する。塗布方法としては、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、バーコート法、フローコート法、グラビアコート法、ロールコート法などの公知の方法を用いることができるが、スピンコート法が好適である。そして、大気中において120℃で1時間乾燥して水分を除去してPEDOT:PSSからなる厚さ140nmの導電性ポリマー層30を下部電極20の上面に形成する。
その後、導電性ポリマー層30の上面に、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(MAPTMS:Methacryloyloxy propyltrimethoxysilane)などのゾルゲルシリカ溶液をスピンコート法などにより塗布する。塗布するゾルゲルシリカ溶液の厚さは1.8μm程度である。そして、150℃の温度で1時間ベーキングして導電性ポリマー層30の上面に厚さ1.8μm程度の下部クラッド層42を形成する。
次に、図2(c)に示した製造工程について説明する。下部クラッド層42の上面に、上記のゾルゲルシリカ溶液をスピンコート法などにより塗布する。塗布するゾルゲルシリカ溶液の厚さは4μmである。そして、試料の表面にフォトマスク(図略)を介してUV光を照射して、UV光が照射される部分の加水分解を促進させてシリカネットワークを形成してアルコールに溶けない状態にする。その後、アルコール溶液でウェットエッチングする。これにより、下部クラッド層42の上面に側部クラッド層44を形成するとともに、スロット導波路50を形成するためのスロットコア溝50’を形成する。
次に、図2(d)に示した製造工程について説明する。酸化チタン(TiO)をターゲットとするスパッタリング法によりスロットコア溝50’に厚さ100nmの下側のスロットコア層58を形成する。形成されたスロットコア層58の上面に、アモルファスポリカーボネイト(APC)にクロモフォアをドープした電気光学ポリマー溶液をスピンコート法などで塗布する。塗布する電気光学ポリマー溶液の厚さは300nmである。溶媒は、例えば、ジクロモメタンなどである。そして、塗布した電気光学ポリマー溶液を真空オーブンで80℃の温度で8時間以上加熱して溶媒を蒸発させ、スロットコア層58の上面に厚さ300nmのポリマー層56を形成する。
ポリマー層56が高い電気光学効果を呈するには、ポリマー中のクロモフォアを配向させるポーリング処理が必要である。そこで、ポーリング処理を行うために、ポリマー層56の上面に厚さ50nm以上のポーリング処理用の例えば金電極100をスパッタリング法により形成する。ポーリング処理は、試料をガラス遷移温度(例えば、158℃)に加熱した状態で、ポリマー層56に印加される電界が100〜150V/μmとなる電界を電極100および下部電極20の間に印加することで行う。その後、電圧を印加した状態で試料を冷却する。図2(d)は、ポーリング処理を行っている様子を模式的に表している。そして、ポーリング処理が終わるとヨウ素とヨウ化カリウム水溶液により電極100を除去する。
次に、図2(e)に示した製造工程について説明する。ポーリング処理用の電極100の除去後に、ポリマー層56の上面に、酸化チタン(TiO)をターゲットとするスパッタリング法により厚さ100nmの上側のスロットコア層58を形成する。これにより、スロット導波路50が作製される。
スロット導波路50の上面に、低屈折率のフッ素系ポリマーやCYTOP(登録商標)などを塗布して50℃で短時間乾燥し、バッファ層60を形成する。そして、バッファ層60の上面にAuからなる上部電極70を蒸着またはスパッタリング法により形成する。
以上の製造工程により、本実施形態に係る光変調器が完成する。
≪導電性ポリマー層(PEDOT:PSS)を設けたことによる効果≫
PEDOT:PSSは、他の導電性ポリマーと比較して導電率および透明性が非常に高いという特徴を有する。また、PEDOT:PSSは、ITO薄膜上に塗布することで表面平坦で均質な層を形成することができる。このような特徴を有するPEDOT:PSSからなる導電性ポリマー層30を、ITOからなる下部電極20とゾルゲルシリカからなるクラッド層40との間に形成することで、ポーリング処理時にポリマー層56の表面の電界分布を一様にすることができる。これにより、一様な電界で効率よくポリマー層56のポーリング処理を行うことができ、ポリマー層56の誘電破壊も起きにくくなる。
また、導電性ポリマー層30を設けることでポリマー層56以外の多層構造の導電率が上がる。図3は、導電性ポリマー層がある場合とない場合の多層構造の導電率のグラフである。丸のプロットは導電性ポリマー層30がある場合の多層構造、すなわち、スロットコア層(TiO)58、クラッド層40(ゾルゲルシリカ)、および導電性ポリマー層30(PEDOT:PSS)の3層構造の導電率を示す。一方、四角のプロットは導電性ポリマー層30がない場合の多層構造、すなわち、スロットコア層(TiO)58およびクラッド層40(ゾルゲルシリカ)の2層構造の導電率を示す。同グラフからわかるように、導電性ポリマー層30がある場合には、導電性ポリマー層30がない場合と比較して、多層構造の導電率がおよそ4倍に上がっている。
図4は、導電性ポリマー層がある場合とない場合のポーリング処理中のJ−V特性のグラフである。四角のプロットは導電性ポリマー層30がある場合の電流密度を示し、丸のプロットは導電性ポリマー層30がない場合の電流密度を示す。同グラフからわかるように、導電性ポリマー層30がある方がポーリング処理中の電流密度が高くなる。
上記事実から、導電性ポリマー層30を設けることによって電気光学ポリマー(ポリマー層56)のポーリング効率を向上させることができるといえる。
次表は、導電性ポリマー層がある場合とない場合のポーリング処理後のポリマー層56の電気光学係数(r33)を示す。なお、電気光学係数の測定にはTeng−Man Methodを用いた。
同表からわかるように、導電性ポリマー層30がある場合には、導電性ポリマー層30がない場合と比較して、ポリマー層56の電気光学係数は、波長1.55μmにおいておよそ1.09倍の向上、波長1.31μmにおいておよそ1.16倍の向上がみられる。すなわち、導電性ポリマー層30を設けることでポリマー層56の電気光学効果を向上させる効果があることが実証されている。
以上のように本実施形態によると、光変調器の導波路に用いられる電気光学ポリマー(ポリマー層56)のポーリング効率を向上させて電気光学効果を高めることができる。これにより、光変調器の変調帯域幅を拡大するとともに駆動電圧を低減することができる。
以上、本実施形態に係る光変調器の構造と製造方法について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。各層の厚さおよび屈折率ならびに各層を構成する材料などは任意に変更可能である。例えば、上記実施形態ではバッファ層60はスロット導波路50の上面にのみ形成されているが、クラッド層40の上面全体、すなわち、デバイスの表面全体に形成してもよい。また、下部電極20は、ITO以外に、金(Au)/クロム(Cr)または金(Au)/チタン(Ti)からなる金属の多層膜で構成してもよい。
また、スロットコア層58を、酸化チタン(TiO)以外の高屈折率材料、例えば、シリコン薄膜などで形成してもよい。
電極の形状や形成領域も任意に変更可能である。上記実施形態では下部電極20を基板10の表面全体に亘って形成しているが、平面視で上部電極70に重なる領域にのみ形成するようにしてもよい。
上記実施形態ではスロット導波路50を構成する分岐導波路52およびアーム54が、いずれも、電気光学効果(ポッケルス効果)を呈する低屈折率のポリマー層56を基板10の垂直上下方向から高屈折率の二つのスロットコア層58で挟んだ垂直閉じ込め型スロット構造を有しているが、アーム54のみスロット構造にして、分岐導波路52は酸化チタン(TiO)からなる細線導波路であってもよい。ただし、この場合、特許文献2などに開示されているように、アーム54におけるポリマー層56の延長方向の両端をテーパー構造にすることが好ましい。なお、テーパー構造の部分において光損失があり、TiOの光損失を考慮するとアーム54のみをスロット構造にするよりも、上記実施形態のように分岐導波路52およびアーム54をすべて垂直閉じ込め型スロット導波路にする方が好ましい。また、テーパー構造を形成しない分、製造工程も簡略化することができる。
また、上記実施形態に係る光変調器はマッハツェンダ型の光変調器であるが、本発明に係る光変調器はマッハツェンダ型に限定されない。例えば、本発明は、一本のスロット導波路の上方および下方に電極を配置して、スロット導波路における電気光学ポリマー層の屈折率変化に伴う位相変化をそのまま用いる位相変調型の光変調器にも適用することができる。
本発明に係る光変調器は、広帯域で動作し、また、低電圧で駆動可能であるため、コンピュータ内部の光回路用の光変調器や光通信ネットワーク用の光変調器などとして有用である。
10 基板
20 下部電極
30 導電性ポリマー層
40 クラッド層
50 スロット導波路
56 ポリマー層
58 スロットコア層
60 バッファ層
70 上部電極

Claims (4)

  1. 基板と、
    前記基板の上面に形成された下部電極と、
    前記下部電極の上面に形成された導電性ポリマー層と、
    前記導電性ポリマー層の上面に形成された、ゾルゲルシリカからなるクラッド層と、
    電気光学効果を呈する低屈折率のポリマー層を前記基板の垂直上下方向から二つの高屈折率のスロットコア層で挟んだスロット構造を有し、前記クラッド層中に形成されたスロット導波路と、
    前記スロット導波路の上面に形成されたバッファ層と、
    前記バッファ層の上面に形成された上部電極とを備え、
    前記上部電極、スロット導波路、および下部電極が平面視で互いに重なるように配置されている
    ことを特徴とする光変調器。
  2. 前記導電性ポリマー層がPEDOT:PSSからなる請求項1に記載の光変調器。
  3. 前記下部電極がITOからなる請求項1または請求項2に記載の光変調器。
  4. 前記スロットコア層が酸化チタンからなる請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の光変調器。
JP2015004259A 2015-01-13 2015-01-13 光変調器 Active JP6606631B6 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015004259A JP6606631B6 (ja) 2015-01-13 2015-01-13 光変調器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015004259A JP6606631B6 (ja) 2015-01-13 2015-01-13 光変調器

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2016130768A JP2016130768A (ja) 2016-07-21
JP6606631B2 true JP6606631B2 (ja) 2019-11-20
JP6606631B6 JP6606631B6 (ja) 2020-01-15

Family

ID=56415382

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015004259A Active JP6606631B6 (ja) 2015-01-13 2015-01-13 光変調器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6606631B6 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3674792A4 (en) 2017-08-24 2021-04-14 National Institute of Information and Communications Technology LAMINATE FOR A NONLINEAR OPTICS WITH AN ELECTRO-OPTIC POLYMER LAYER AND A PROCESS FOR THE PRODUCTION OF IT
CN111458909B (zh) * 2020-04-22 2023-12-26 中国计量大学 一种基于等离子体结构与有机材料的硅基复合波导的电光调制器
JP2024031081A (ja) * 2022-08-25 2024-03-07 国立大学法人徳島大学 無線受信装置
JP2024031069A (ja) * 2022-08-25 2024-03-07 国立大学法人徳島大学 無線受信装置
CN117850075A (zh) * 2022-09-30 2024-04-09 华为技术有限公司 电光聚合物器件、光器件以及光集成电路

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100472056B1 (ko) * 2002-10-31 2005-03-11 한국전자통신연구원 편광 무관형 폴리머 광세기 변조기
JP2004184728A (ja) * 2002-12-04 2004-07-02 Fuji Xerox Co Ltd 非線形光学材料及びその製造方法、並びに非線形光学素子
JP2007121405A (ja) * 2005-10-25 2007-05-17 Fuji Xerox Co Ltd 非線形光学材料、及びその製造方法、並びに非線形光学素子
JP2009058906A (ja) * 2007-09-03 2009-03-19 Fuji Xerox Co Ltd 導波路デバイス
US20120248419A1 (en) * 2011-02-09 2012-10-04 Mark Thompson Organic photosensitive devices comprising aryl squaraines and methods of making the same
JP6086581B2 (ja) * 2012-09-24 2017-03-01 高知県公立大学法人 光変調器

Also Published As

Publication number Publication date
JP6606631B6 (ja) 2020-01-15
JP2016130768A (ja) 2016-07-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6606631B2 (ja) 光変調器
US9746743B1 (en) Electro-optic optical modulator devices and method of fabrication
Liu et al. Epsilon-near-zero Si slot-waveguide modulator
CN105866984B (zh) 一种石墨烯电光调制器及其制备方法
JP6086581B2 (ja) 光変調器
Luo et al. Highly efficient organic electrooptic materials and their hybrid systems for advanced photonic devices
CN107894669B (zh) 石墨烯铌酸锂多层结构混合集成光学调制器及其制备方法
Xu et al. High-speed traveling-wave modulator based on graphene and microfiber
Chen et al. Achieving higher modulation efficiency in electrooptic polymer modulator with slotted silicon waveguide
JP4892840B2 (ja) 垂直積層型導波路デバイスのポーリング方法及び垂直積層型導波路デバイスの駆動方法
Song et al. Analysis and demonstration of Mach–Zehnder polymer modulators using in-plane coplanar waveguide structure
CN109541822A (zh) 一种石墨烯电光调制器及其制备方法
JP5135244B2 (ja) 光導波路スイッチ
CN109375389B (zh) 一种石墨烯电光调制器及其制备方法
TW200933224A (en) Metal-diffused single polarization light waveguide chip and manufacturing method thereof
JP2805027B2 (ja) 導波路型光変調器
Luo et al. Inverse design of deformed Sb 2 Se 3 stripes in silicon waveguide for reconfigurable mode converters
Receveur et al. Sensitivity improvement of broadband electro-optic polymer-based optical phase modulator using 1D and 2D photonic crystal structures
US11353772B1 (en) Photonic device structure and method of manufacturing the same, and electro-optic waveguide
Maleki et al. A compact low-loss 2-to-4 plasmonic decoder based on suspended graphene for surface plasmon polariton transmission
CN220105455U (zh) 一种基于石墨烯电极的电光调制器
CN111812867B (zh) 一种光子晶体电光调制器及其制作方法
Wang et al. Performance enhancement of strip-loaded electro-optic modulator using photobleaching-assisted method
CN221039681U (zh) 一种基于薄膜铌酸锂的片上热光相移器
CN116931367B (zh) 一种铌酸锂薄膜脊型波导调制器及其制备方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7426

Effective date: 20150203

A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80

Effective date: 20150130

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20150203

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20150701

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180110

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181026

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181106

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190409

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20190509

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190509

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190920

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6606631

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6606631

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250