JP6606438B2 - ヨウ素酸イオン及びヨウ化物イオンの定量分析方法 - Google Patents

ヨウ素酸イオン及びヨウ化物イオンの定量分析方法 Download PDF

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Description

本発明は、液体試料中のヨウ素酸イオン(IO )量及びヨウ化物イオン(I)量を求める定量分析方法に関し、特に高塩濃度の液体試料中のヨウ素酸イオン(IO )量及びヨウ化物イオン(I)量を求める定量分析方法に関する。
ヨウ素の定量分析法について一般的に良く知られたものとしては、ヨウ素滴定法やヨウ素酸カリウム滴定法のような滴定による容量分析法がある。またヨウ化物イオンを亜硝酸塩と反応させ遊離する単体ヨウ素を四塩化炭素などの有機溶媒で抽出する吸光光度法や、ヨウ素−デンプン反応による発色を利用する吸光光度法も広く利用されている(非特許文献1)。
一方、放射性のヨウ素を検出あるいは定量する場合は半導体検出器が広く用いられる。半導体検出器の場合、測定対象が放射線であるため非常に高感度である反面、ヨウ化物イオンとヨウ素酸イオンのような化学構造の違いを認識出来ないという難点がある(非特許文献2)。
2011年3月11日の東日本大震災により福島第一原子力発電所で発生した事故により、放射性ヨウ素を含む放射性廃液が大量に発生している。この放射性廃液には、原子炉圧力容器や格納容器、使用済み燃料プールに注水される冷却水に起因して発生する汚染水や、トレンチ内に滞留しているトレンチ水、原子炉建屋周辺のサブドレンと呼ばれる井戸より汲み上げられるサブドレン水、地下水、海水などがある(以下「放射性廃液」と称す。)。これらの放射性廃液は、サリー(SARRY, Simplified Active Water Retrieve and Recovery System(単純型汚染水処理システム)セシウム除去装置)やアルプス(ALPS, 多核種除去装置)などと呼ばれる処理設備にて放射性物質が除去され、処理された水はタンクに回収されている。放射性物質のうち放射性ヨウ素は主にヨウ化物イオンあるいはヨウ素酸イオンの形態で汚染水中に存在しているものが大半を占めている。そして放射性ヨウ素を選択的に吸着・除去可能な物質として、銀担持活性炭、銀担持無機物などがある。たとえばアルプスでは、銀担持活性炭である吸着剤が使用され、放射性ヨウ素が除去されている。
放射性ヨウ素吸着材の探索のためには、ヨウ化物イオン(I)とヨウ素酸イオン(IO )を混合した“ハイブリッド”系の原液を用いたカラム試験が必要になってくる。このとき吸着材のヨウ化物イオンとヨウ素酸イオン各々に対する除去性能を個別に知る必要が出てくるので、処理水中の両者の濃度も個別に定量出来なければならない。ところが従来のヨウ素の定量法の殆どはヨウ化物イオン(I)とヨウ素酸イオン(IO )を区別して定量することが出来ない。水溶液試料の定量に広く使用されている誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS)の場合も、ヨウ素は一つの元素(核種)として認識されるので、ヨウ化物イオン(I)とヨウ素酸イオン(IO )区別して定量することが原理的に出来ない。そこでこの両者を区別して定量する方法として以下のようなものが考えられる。
(1)イオンクロマトグラフィーによる分析
(2)吸光度測定による分析
(3)両者を分離して再分析
上記のうち(1)はヨウ化物イオンとヨウ素酸イオンを違うピークとして認識可能であるが、共存イオンが高濃度で存在する場合、正確な定量は不可能である。(2)は、ヨウ化物イオンとヨウ素酸イオンに可視紫外領域で大きな吸収帯が存在し、しかも両者の吸収
極大波長が離れており互いに邪魔しない、という好条件が必要であるが、はやり共存イオンが高濃度で存在する場合、正確な定量は不可能である。一方、(3)については、ヨウ化物イオン(I)とヨウ素酸イオン(IO )の分離さえ巧くいけば、その分離の前後に定量を実施することにより両者を個別に定量することが可能となると予測されるが、いまだ実現されていない。
日本化学会編 第4版「実験化学講座15(分析)」p228 日本化学会編 第4版「実験化学講座14(核・放射線)」p225
本発明の目的は、水溶液試料の分析方法において、共存イオンが高濃度で存在する高塩濃度の試料に含まれる微量のヨウ化物イオン(I)及びヨウ素酸イオン(IO )をそれぞれ個別に高精度で定量する方法を提供することにある。
本発明によれば、ヨウ化物イオン及びヨウ素イオンを定量分析方法が提供される。具体的には以下の態様が含まれる。
[1]液体試料中のヨウ素をICP−MSにより定量して全ヨウ素量を求め、
次いで、下記(1)又は(2):
(1)当該液体試料を、ヨウ化物イオンを選択的に吸着する銀含有吸着剤に接触させてヨウ化物イオンを除去した液体試料を得て、
当該ヨウ化物イオンを除去した液体試料中のヨウ素をICP−MSにより定量してヨウ素酸イオン量を求め、
全ヨウ素量からヨウ素酸イオン量を差し引く
(2)当該液体試料を、ヨウ素酸イオンを選択的に吸着する吸着剤に接触させてヨウ素酸イオンを除去した液体試料を得て、
当該ヨウ素酸イオンを除去した液体試料中のヨウ素をICP−MSにより定量してヨウ化物イオン量を求め、
全ヨウ素量からヨウ化物イオン量を差し引く
工程により、液体試料中のヨウ素酸イオン(IO )量及びヨウ化物イオン(I)量を求めるヨウ素酸イオン及びヨウ化物イオンの定量分析方法。
[2]ICP−MSにより定量分析する前記放射性ヨウ素はヨウ素127である、[1]に記載の定量分析方法。
[3]前記液体試料は、放射性ヨウ素を含む、[1]又は[2]に記載の定量分析方法。[4]前記銀含有吸着剤は、銀含有量が36wt%未満である銀含有ゼオライト成形体である、[1]〜[3]のいずれか1に記載の定量分析方法。
[5]前記ヨウ素酸イオンを選択的に吸着する吸着剤は、水酸化セリウム(IV)(Ce(OH)4)を含む、[1]〜[3]のいずれか1に記載の定量分析方法。
本発明の定量分析方法により、高塩濃度の水溶液試料中の微量のヨウ化物イオンとヨウ素酸イオンを区別して定量することが可能である。本発明の定量分析方法を利用することで、様々な吸着剤のヨウ化物イオンとヨウ素酸イオンに対する吸着性能を区別して評価することが可能になる。
実施例1における銀担持吸着剤のヨウ化物イオン/ヨウ素酸イオン吸着挙動を示すグラフである。 実施例3における銀担持吸着剤のヨウ素吸着挙動を示すグラフである。 実施例3における銀担持吸着剤のヨウ化物イオン/ヨウ素酸イオン吸着挙動を示すグラフである。 実施例4における銀担持吸着剤のヨウ素吸着挙動を示すグラフである。 実施例4における銀担持吸着剤のヨウ化物イオン/ヨウ素酸イオン吸着挙動を示すグラフである。
以下、添付図面を参照しながら本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものいではない。
本発明は、液体試料中のヨウ素をICP−MSにより定量して全ヨウ素量を求め、次いで、(1)当該液体試料を銀含有吸着剤と接触させてヨウ化物イオンを除去した液体試料を得て、当該ヨウ化物イオンを除去した液体試料中のヨウ素をICP−MSにより定量してヨウ素酸イオン量を求め、全ヨウ素量からヨウ素酸イオン量を差し引く、又は(2)当該液体試料を、ヨウ素酸イオンを選択的に吸着するセリウム含有吸着剤に接触させてヨウ素酸イオンを除去した液体試料を得て、当該ヨウ素酸イオンを除去した液体試料中のヨウ素をICP−MSにより定量してヨウ化物イオン量を求め、全ヨウ素量からヨウ化物イオン量を差し引く、ことにより液体試料中のヨウ素酸イオン(IO )量及びヨウ化物イオン(I)量を求める定量分析方法を提供する。
本発明において用いる銀含有吸着剤は、ヨウ化物イオンを吸着するが、ヨウ素酸イオンを吸着せず、ヨウ化物イオンとヨウ素酸イオンとが共存する液中から選択的にヨウ化物イオンを吸着することができる。銀含有吸着剤中の銀の含有量は、被験試料中に含まれるヨウ素の全モル当量以上、好ましくは2倍モル当量以上であればよい。ヨウ素濃度未知の被験試料を分析する際には、複数種類の銀含有量の吸着剤を準備し、分析を繰り返すことで対応できる。担体としては、活性炭、ゼオライト、イオン交換樹脂、中空糸、不織布、織布、編布を好適に用いることができ、中でも銀粒子をゼオライトに担持させた銀担持ゼオライト吸着剤が好適である。本発明において用いる銀担持ゼオライト吸着剤としては、A型、X型、Y型、β型、モルデナイト型、チャバサイト型又はこれらの1種類以上の組み合わせから選択されるゼオライトに、銀粒子を担持させたものを好適に挙げることができる。ゼオライトの粒径は、100〜1000μmの範囲がカラム通水に適するため好適であり、特に300〜600μmの範囲が好ましい。ゼオライトの細孔径は、銀の凝集を抑制するために、8Å以上15Å以下の比較的大きな細孔径であることが好ましい。
好適な銀含有吸着剤は、36wt%未満の銀含有量を有する銀含有ゼオライト成形体である。銀含有ゼオライト成形体は、成形体の全重量中0wt%よりも多く、好ましくは5wt%以上、より好ましくは10wt%以上、特に好ましくは15wt%以上であり、36wt%未満、好ましくは35.5wt%以下、より好ましくは35wt%以下、さらに好ましくは29wt%以下、特に好ましくは25wt%以下の銀を含む。銀としては、分散状態として存在する銀イオン、凝集状態として存在する銀クラスター及び金属銀の形態を取り得るが、銀イオンは高いヨウ化物イオン吸着性能を示し、銀クラスター及び金属銀のヨウ化物イオン吸着性能は低い。銀含有ゼオライト成形体中の銀含有量が36wt%以上では、銀の凝集が顕著になり、凝集状態の銀クラスター及び金属銀が多くなる。金属銀は、ゼオライトの細孔を閉塞するだけでなく、ゼオライト成形体から脱離し易く、ゼオライト成形体の単位銀量当たりのヨウ化物イオン吸着性能が低くなる。ヨウ化物イオン吸着剤としての銀含有ゼオライト成形体は、分散状態としての銀イオンの含有量が多く、凝集状態としての銀クラスター及び金属銀の含有量は少ないことが好ましい。銀含有ゼオライト成形体中の銀イオンの含有量としては、5wt%以上、好ましくは8wt%以上、さらに好ましくは11wt%以上である。多量の銀イオンを含むほどヨウ素吸着性能は高くな
るが、費用対効果の観点から35wt%以下、好ましくは30wt%以下の含有量であることが望ましい。一方、銀クラスター及び金属銀は少ないことが好ましく、銀含有ゼオライト成形体中銀全量の50wt%以下、好ましくは45wt%以下、より好ましくは43wt%以下、さらに好ましくは34wt%以下であることが望ましい。また、銀含有ゼオライト成形体中の銀クラスター含有量としては、好ましくは8.5wt%以下、より好ましくは7wt%以下であり、銀含有ゼオライト成形体中の金属銀含有量としては、好ましくは1wt%以下、より好ましくは0.8wt%以下であることが望ましい。ヨウ化物イオン吸着剤としての銀含有ゼオライト成形体は、560m/g以上、好ましくは600m/g以上、より好ましくは700m/g以上で、900m/g以下、好ましくは850m/g以下、より好ましくは750m/g以下のBET比表面積を有する多孔体であることが好ましい。BET比表面積を560m/g以上とすることで、銀の凝集が抑制され、活性の高い銀イオンの比率が高くなる。
本発明において用いるセリウム含有吸着剤は、ヨウ素酸イオンを吸着するが、ヨウ化物イオンを吸着せず、ヨウ化物イオンとヨウ素酸イオンとが共存する液中から選択的にヨウ化物イオンを吸着することができる。セリウム含有吸着剤中の銀の含有量は、被験試料中に含まれるヨウ素の全モル当量以上、好ましくは2倍モル当量以上であればよい。ヨウ素濃度未知の被験試料を分析する際には、複数種類のセリウム含有量の吸着剤を準備し、分析を繰り返すことで対応できる。セリウムとしては、水酸化セリウム(IV)・n水和物(Ce(OH)4・nH2O)を好適に挙げることができる。セリウム含有吸着剤の粒径は、100〜1000μmの範囲がカラム通水に適するため好適であり、特に300〜600μmの範囲が好ましい。
好適なセリウム含有吸着剤は、高分子樹脂と、当該高分子樹脂100重量部あたり100重量部以上、好ましくは400重量部以上、より好ましくは600重量部以上、5000重量部以下、好ましくは1000重量部以下、より好ましくは800重量部以下の水酸化セリウム水和物と、を含む。水酸化セリウム水和物は、乾燥物100重量部あたり1重量部以上30重量部以下の含水量を有するものが好ましく、5重量部以上15重量部以下の含水量を有することがより好ましい。この範囲の含水量を有する事で、流動性を良好に維持し高分子樹脂との混合が適切に行われること、2次凝集している水酸化セリウム水和物粒子を適度な粒径に維持して二次粒子同士の間に生じる空隙によって被処理水との適度な接触が達成されること、及び水酸化物が酸化物に戻ることを防止し、水酸化物として吸着作用を発揮することで、結果としてヨウ素酸イオン吸着能が高まっているものと推定される。水酸化セリウム水和物は、二次粒子の平均粒径が好ましくは0.2μm以上25μm以下、より好ましくは0.5μm以上10μm以下となる凝集体であることが望ましい。凝集体を構成する一次粒子の平均粒径は0.01μm以上0.1μm以下であることが好ましい。二次粒子の平均粒径が0.2μm未満では高分子樹脂に包まれてしまい、被処理水との接触が不足することがあり、二次粒子の平均粒径が25μmを超えると高分子樹脂との均一な混合が達成されないことがある。
本発明の定量分析方法において、ICP−MSを分析機器として用いるため、微量分析が可能となり、定量限界は10μg/L(10ppb)程度である。
液体試料が定量範囲の上限を超える高濃度のヨウ化物イオン及びヨウ素酸イオンを含む場合には、ICP−MSで定量可能なヨウ素濃度となるように液体試料を純水で希釈する。
本発明の定量分析方法は、ヨウ化物イオン及びヨウ素酸イオンの他に、共存イオンを含む液体試料に適用することができる。本発明の定量分析方法は、特に放射性ヨウ素に起因するヨウ化物イオン及びヨウ素酸イオンを含む放射性廃液の定量分析に適する。共存イオンとしては、塩化物イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、臭
化物イオンなどの従来のイオンクロマトグラフィーなどでは定量分析の障害となるイオン種を挙げることができるが、これらに限定されない。
[実施例1]
<ヨウ化物イオン含有原水の調製>
ダイヤソルト株式会社の並塩を用いて塩分濃度が0.3%になるように水溶液を作成した。そこに、セシウム濃度が1mg/Lとなるように塩化セシウムを、ストロンチウム濃度が10mg/Lとなるように塩化ストロンチウムを、マグネシウム濃度が400mg/Lとなるように塩化マグネシウムを、カルシウム濃度が400mg/Lとなるように塩化カルシウムを、ヨウ素濃度が10mg/Lとなる分量のヨウ化ナトリウムをそれぞれ添加して、共存イオンとして高濃度の塩化物イオン、セシウムイオン、ストロンチウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンを含むヨウ化物イオン含有原水を調製した。
<銀担持ゼオライト「ET-3」の通水試験(ヨウ化物イオン吸着性能評価)>
内径16mmのガラスカラムに東ソー(株)製の銀担持ゼオライトである「ET-3」の造粒品(粒径0.3−0.6mm、銀担持量18%)を20mL充填し10cmの層高を形成し、上記のヨウ化物イオン含有原水を67mL/minの流量(線速度20m/h)で通水し、出口水を定期的に採取して、アジレントテクノロジー社製誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS,型式:Agilent 7700x)を用いてヨウ素127を測定することによりヨウ素濃度を定量した。結果を図1に示す。図1の横軸は吸着剤の体積に対して何倍量の被処理水を通水したかを示すB.V.をとり、縦軸はカラム出口のヨウ素濃度(ppm)を示す。
<ヨウ素酸イオン含有原水の調製>
ダイヤソルト株式会社の並塩を用いて塩分濃度が0.3%になるように水溶液を作成した。そこに、セシウム濃度が1mg/Lとなるように塩化セシウムを、ストロンチウム濃度が10mg/Lとなるように塩化ストロンチウムを、マグネシウム濃度が400mg/Lとなるように塩化マグネシウムを、カルシウム濃度が400mg/Lとなるように塩化カルシウムを、ヨウ素濃度が10mg/Lとなる分量のヨウ素酸ナトリウムをそれぞれ添加して、ヨウ素酸イオン含有原水を調製した。
<銀担持ゼオライト「ET-3」の通水試験(ヨウ素酸イオン吸着性能評価)>
内径16mmのガラスカラムに東ソー(株)製の銀担持ゼオライトである「ET-3」の造粒品(粒径0.3−0.6mm)を20mL充填し10cmの層高を形成し上記のヨウ素酸イオン含有原水を67mL/minの流量(線速度20m/h)で通水し、出口水を定期的に採取して、アジレントテクノロジー社製誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS,型式:Agilent 7700x)を用いてヨウ素127を測定することによりヨウ素濃度を定量した。結果を図1に示す。図1中、ヨウ素濃度を定量分析した被験試料を下記記号で示す。
Figure 0006606438
図1の結果から銀担持ゼオライト「ET-3」はヨウ化物イオンを効率的に吸着し、一方ヨウ素酸イオンを殆ど吸着しないことが確認できた。したがって、液体試料中のヨウ素をICP−MSにより定量して全ヨウ素量を求め、次いで、当該液体試料を銀含有吸着剤(銀担持ゼオライト)と接触させてヨウ化物イオンを除去した液体試料を得て、当該ヨウ化物
イオンを除去した液体試料中のヨウ素をICP−MSにより定量してヨウ素酸イオン量を求め、全ヨウ素量からヨウ素酸イオン量を差し引くことにより、液体試料中のヨウ素酸イオン(IO )量及びヨウ化物イオン(I)量を求めることができる。
[実施例2]
<模擬汚染水(液体試料)の調製>
以下の手順にて、福島第一原発の汚染水を模擬した非放射性ヨウ素を含む液体試料を調製した。
まず、ダイヤソルト株式会社の並塩を用いて塩分濃度が0.3%になるように水溶液を作成した。そこに、セシウム濃度が1mg/Lとなるように塩化セシウムを、ストロンチウム濃度が10mg/Lとなるように塩化ストロンチウムを、マグネシウム濃度が400mg/Lとなるように塩化マグネシウムを、カルシウム濃度が400mg/Lとなるように塩化カルシウムをそれぞれ添加した。そして、ヨウ素濃度が1mg/Lとなる分量のヨウ化ナトリウムを、同様にヨウ素濃度が1mg/Lとなる分量のヨウ素酸ナトリウムを添加して、ヨウ化物イオン及びヨウ素酸イオンの他に共存イオンとして高濃度の塩化物イオン、セシウムイオン、ストロンチウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオンを含む液体試料を調製した。液体試料中のヨウ素濃度は合計で2mg/Lである。上記手順にて液体試料を3回調製した(被験試料1〜3)。
<全ヨウ素量の定量>
前記被験試料を純水で20倍希釈して、アジレントテクノロジー社製誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS,型式:Agilent 7700x)に供して、ヨウ素127を測定することにより、前記被験試料1及び2中の全ヨウ素量(ヨウ化物イオン量とヨウ素酸イオン量の合計)を定量した。
<銀担持ゼオライトカラム処理>
100mLビーカーに純水を約50mLとり、そこへ東ソー(株)製の銀担持ゼオライトである「ET-3」の造粒品(粒径0.3−0.6mm、銀担持量18%)を加え、発泡がなくなるまで静置した。内径10mmのガラスフィルタ付カラムに「ET-3」を純水ごとスポイトで移し充填層高を50mmとした。カラム下部のコックを開き、カラム上部より10mL/minの流速で純水(50mL)を流し、最後に銀担持ゼオライト充填層上部の純水を深さ5mm以下に調整することによりカラムをコンディショニングした。
前記被験試料をそれぞれカラム上部に静かに注ぎ、カラム下部のコックを開き流速10mL/minで通水することによりカラム処理を行った。カラム出口水のうち、入口水が純水から前記被験試料に切替わった最初の50mLは採用せず、その後の出口水をカラム処理水とした。
<ヨウ素酸イオン量の定量>
前記カラム処理にて得られた処理水を被験試料と同様に純水で20倍に希釈して誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)に供して、ヨウ素量(ヨウ素酸イオン量)を定量し、カラム処理前の結果と比較した。
銀担持ゼオライトカラム処理及びICP−MSによる定量分析を各被験試料に対して行い、被験試料1及び2のカラム処理前後のヨウ素濃度を表1に示す。表1の結果より、銀担持ゼオライトカラムによりヨウ化物イオンのみをほぼ選択的に除去できていることが分かる。そして、被験試料の調製方法との比較から、表1中の「カラム処理前(A)」が全ヨウ素量、「カラム処理後(B)」がヨウ素酸イオン由来のヨウ素量、「A−B」がヨウ化物イオン由来のヨウ素量を示していることが確認できた。また、表1から、被験試料の
調製濃度(ヨウ素酸イオン濃度1.0ppm、ヨウ化物イオン濃度1.0ppm)と分析結果が良好な一致を示し、本方法によりヨウ素酸イオン及びヨウ化物イオンを別個に分析できることがわかる。
Figure 0006606438
[比較例3]
<銀担持水酸化セリウムの通水試験(ヨウ素吸着性能評価)>
内径16mmのガラスカラムに日本化学工業(株)製のハイブリッド吸着剤「EN-4V」(粒径0.3−0.6mm、水酸化セリウムに銀を5%担持)を200mL充填し100cmの層高を形成し、そこに実施例2で調製した被験試料1を67mL/minの流量(線速度:20m/h)で通水し、出口水を定期的に採取して、実施例2と同様にアジレントテクノロジー社製誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS,型式:Agilent 7700x)を用いて、ヨウ素127を測定することによりヨウ素濃度を定量した。結果を図2に示す。図2の横軸は吸着剤の体積に対して何倍量の被処理水を通水したかを示すB.V.をとり、縦軸はカラム出口のヨウ素濃度(ppm)を示す。図2から、B.V.=4000前後から破過曲線が上昇し始めており、ヨウ素吸着能の破過が始まっていることを示している。また、水酸化セリウムを含む吸着剤はヨウ化物イオン及びヨウ素酸イオン共に吸着し、ヨウ化物イオンの選択吸着性を有していないことがわかる。
次に前項で得られたカラム出口水をそれぞれ実施例2と同様に銀担持ゼオライトカラムで処理し、その処理水を上記誘導結合プラズマ質量分析装置で定量した。定量分析結果を図3に示す。図3中、各記号は下記のカラム出口水中イオン濃度を示す。
Figure 0006606438
図3から分かるように、水酸化セリウムと銀を含む吸着剤では、ヨウ素酸イオン又はヨウ化物イオンを選択的に吸着することはできず、B.V.=4000前後でヨウ素酸イオンの吸着能の破過が、B.V.=5000前後でヨウ化物イオンの吸着能の破過が始まっていることを示している。
[実施例4]
<水酸化セリウムの通水試験(ヨウ素吸着性能評価)>
内径16mmのガラスカラムに日本化学工業(株)製の「ピュアセラムEN-4」(水酸化セリウム含有吸着剤、粒径0.3−0.6mm)を200mL充填し100cmの層高を形成し、そこに実施例2と同様に調製した被験試料3(ヨウ化物イオン濃度1.0ppm、ヨウ素酸イオン濃度1.0ppm)を67mL/minの流量(線速度:20m/h)
で通水し、出口水を定期的に採取して、実施例2と同様にアジレントテクノロジー社製誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS,型式:Agilent 7700x)を用いて、ヨウ素127を測定することによりヨウ素濃度を定量した。結果を図4に示す。図4の横軸は吸着剤の体積に対して何倍量の被処理水を通水したかを示すB.V.をとり、縦軸はカラム出口のヨウ素濃度(ppm)を示す。
次に前項で得られたカラム出口水をそれぞれ実施例2と同様に銀担持ゼオライトカラムで処理し、その処理水を上記誘導結合プラズマ質量分析装置で定量した。
定量分析結果を図5に示す。図5中、各記号は下記のカラム出口水中イオン濃度を示す。
Figure 0006606438
Figure 0006606438
図5より、水酸化セリウム含有吸着剤である「ピュアセラムEN-4」はヨウ素酸イオンの高い吸着性能を示すのに対し、ヨウ化物イオンは通水開始直後から破過して、ヨウ素酸イオンを殆ど吸着しないことが確認できた。したがって、ヨウ素酸イオンを選択的に吸着するセリウム含有吸着剤に接触させてヨウ素酸イオンを除去した液体試料を得て、当該ヨウ素酸イオンを除去した液体試料中のヨウ素をICP−MSにより定量してヨウ化物イオン量を求め、全ヨウ素量からヨウ化物イオン量を差し引くことで、液体試料中のヨウ素酸イオン(IO )量及びヨウ化物イオン(I)量を求めることができる。
なお、「カラム出口水中のヨウ化物イオン濃度(計算値)」は、出口水中の全ヨウ素濃度(出口水をカラム処理する前のICP−MSによる実測値)から、出口水中のヨウ素酸イオン濃度(出口水をカラム処理した後のICP−MSによる実測値)を差し引いて算出したものであり、「被験試料中のヨウ化物イオン濃度(計算値)」は、被験試料中の全ヨウ素濃度(被験試料をカラム処理する前のICP−MSによる実測値:表2のA)から、被験試料中のヨウ素酸イオン濃度(被験試料をカラム処理した後のICP−MSによる実測値:表2のB)を差し引いて算出したもの(表2のA−B)である。
[比較例2]
<イオンクロマトグラフ(IC)による定量>
実施例2にて調製した模擬汚染水(被験試料)に含まれるヨウ化物イオン及びヨウ素酸イオンをイオンクロマトグラフ(IC)にて定量した。定量分析は、アジレントテクノロジー社のAgilent Technologies 1200LCシステムを用い、カラムはThermo Fisher Scientific IonPac AG111HC + AS11HC(2mm径)、移動相は20mMあるいは5mM水酸化カリウム水溶液、検出器はUV検出器を用いて流速0.38mL/minで実施した。その結果、いずれの移動相によってもヨウ素酸イオンのピークは共存イオンのピークに埋もれて読み取れず、ヨウ素酸イオン濃度については検出下限(100mg/L)以下となり定量できなかった。被験試料中のヨウ化物イオン濃度は1.0mg/Lという実施例2と同等の結果が得られた。

Claims (5)

  1. 液体試料中のヨウ素をICP−MSにより定量して全ヨウ素量を求め、
    次いで、下記(1)又は(2):
    (1)当該液体試料を、ヨウ化物イオンを選択的に吸着する銀含有吸着剤に接触させてヨウ化物イオンを除去した液体試料を得て、
    当該ヨウ化物イオンを除去した液体試料中のヨウ素をICP−MSにより定量してヨウ素酸イオン量を求め、
    全ヨウ素量からヨウ素酸イオン量を差し引く
    (2)当該液体試料を、ヨウ素酸イオンを選択的に吸着する吸着剤に接触させてヨウ素酸イオンを除去した液体試料を得て、
    当該ヨウ素酸イオンを除去した液体試料中のヨウ素をICP−MSにより定量してヨウ化物イオン量を求め、
    全ヨウ素量からヨウ化物イオン量を差し引く
    工程により、液体試料中のヨウ素酸イオン(IO )量及びヨウ化物イオン(I)量を求めるヨウ素酸イオン及びヨウ化物イオンの定量分析方法。
  2. 前記液体試料は、放射性ヨウ素を含む、請求項1に記載の定量分析方法。
  3. 前記液体試料は、塩化物イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、及び臭化物イオンから選択される少なくとも1種の共存イオンを含む、請求項1又は2に記載の定量分析方法。
  4. 前記銀含有吸着剤は、銀含有量が36wt%未満である銀含有ゼオライト成形体である、請求項1〜3のいずれか1に記載の定量分析方法。
  5. 前記ヨウ素酸イオンを選択的に吸着する吸着剤は、水酸化セリウム(IV)(Ce(OH)4)を含む、請求項1〜3のいずれか1に記載の定量分析方法。
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