JP6605200B2 - 塗布具 - Google Patents

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Description

本発明は、各種化粧料や薬液等を顔面等の肌面に塗布するに好適な塗布具に関する。
従来、化粧料等の塗布具として、特許文献1、2に記載のものがある。
特許文献1に記載の化粧用塗布具は、発泡素材からなる塗布本体の片面又は両面の一部を、突設又は凹設して塗布本体に肉厚差を設けることにより、肉厚部と肉薄部とを形成し、ファンデーション等を塗布可能にするものである。即ち、額、頬、又は首筋等の塗布面積が広くて、比較的平坦な被塗布部には、塗布本体の肉厚部を用いて化粧料を塗布し、指先の凹凸を肉厚部で吸収する等しようとするものである。また、小鼻の回りや目頭の窪み等、凹凸が多くて塗布面積の狭い被塗布部には、塗布本体の肉薄部を用いて化粧料を塗布するものとし、肉薄部の塗布面を、被塗布面の凹凸に合わせて柔軟に変形させたり、折り曲げて幅狭とする等しようとするのである。
特許文献2に記載の塗布具は、孫の手のような握り部を有する柄の先端部に、軟膏を留め置くように加工した凹部を設けて、孫の手を使う要領で背中に軟膏を塗り込むようにしたものである。
特開平11-206447号公報 特開2014-46190号公報
化粧料等を顔等の肌面に塗布しようとした場合、特許文献1に記載の化粧用塗布具や特許文献2に記載の塗布具では、塗布面の外周を小鼻の回りや目頭のくぼみ等の肌面における細かい部分に押し当て難く、化粧料を肌面の細かい部分に塗布することに困難であった。従って、肌面の隅々に与えるマッサージ感の向上も困難であった。
本発明の課題は、化粧料等を肌面に滑らかに均一に塗り広げるとともに、化粧料等を肌面の細かい部分にも容易に塗布でき、肌面に与えるマッサージ感も向上することにある。
請求項1に係る発明は、持ち手を備えた柄の先端側に塗布面を有してなる塗布具であって、持ち手から塗布面に向かう長手方向に沿って延在する板状体であり、塗布面は凸曲面により形成され、塗布面の外周のうち、長手方向に沿う先端側の外周は、曲線をなして外方へ突出する凸部とされ、板幅方向に沿う左右両側の外周は、曲線からなる膨出部とされ、凸部と膨出部をつなぐ部分の外周は、凸部と膨出部を滑らかにつなぐ曲線からなる凹状湾曲部とされ、凸部の曲率を膨出部の曲率よりも大曲率としたものである。
本発明によれば、化粧料等を肌面に滑らかに均一に塗り広げるとともに、化粧料等を肌面の細かい部分にも容易に塗布でき、肌面に与えるマッサージ感も向上することができる。
図1は塗布具を示す斜視図である。 図2は塗布具を示す正面図である。 図3は塗布具を示す側面図である。 図4は塗布具を先端からみた拡大図である。 図5は図2のV-V線に沿う断面図である。
塗布具100は、図1〜図5に示す如く、アルミ、ステンレス鋼、鉄等の金属、プラスチック、又はセラミック等から製作されたものである。
塗布具100は、持ち手10を備えた柄11の先端側に塗布面20を有する板状体である。尚、塗布具100の以下の説明において、その板状体の正背2面のうち、塗布面20が設けられる側を正面とする。
使用者は、例えば、持ち手10の正面と背面の一方に当てた親指と、他方に当てた人差し指により持ち手10を把持し、化粧料が供された塗布面20を自らの顔面等の肌面に押し付けて任意の方向に動かし、化粧料を肌面に塗り広げる。
化粧料としては、吐出されて泡状をなすもの、クリームやジェル等の粘液等を含むものの他、いかなる性状の化粧料であっても適用できる。また、化粧料として、化粧水、乳液、美容液、ファンデーション等が挙げられる。
塗布具100は、持ち手10から塗布面20に向かう長手方向に沿って一定の板厚t(図5)をなして延在する細長板状体であり、長手方向に沿う全長L(図2)の一方(基端側)の概半部を柄11とし、他方の概半部に塗布面20を設け、柄11において塗布面20から最も離隔する部分を持ち手10としている。
塗布具100は、正面視(背面視も同じ)で、持ち手10の長手方向に直交する板幅W1を、塗布面20の長手方向に直交する板幅W2より狭幅とし、柄11の板幅を持ち手10から塗布面20に向けて徐々に拡幅するものとしている(図2)。尚、以降、板幅に沿う方向を便宜的に左右方向とも称す。
塗布面20は、なだらかに湾曲した凸曲面21により形成され、凸曲面21の外周に外方へ突出する凸部22を設けている。凸曲面21は肌面に当たって化粧料を塗り広げる面となる。凸部22の正面も凸曲面21に滑らかに連続する曲面になっている。凸曲面21及び凸部22の正面の好ましい曲率半径はR20〜100mmである。
尚、本実施形態の凸曲面21はなだらかであり、平面に近くなっている箇所もある。塗布面20は、曲面があり、その連続する領域に凹となる箇所(後述するへこみ25は除く)がなければ凸曲面21により形成されているものとみなす。
塗布面20の外周のうち、長手方向に沿う先端側の外周は、円弧状曲線(曲率半径r1、図2)からなる凸部22とされ、長手方向に直交する板幅方向に沿う左右両側の外周は、円弧状曲線(曲率半径r2、図2)からなる膨出部23とされ、凸部22と膨出部23をつなぐ部分の外周は、凸部22と膨出部23を滑らかにつなぐ円弧状曲線(曲率半径−r3、図2)からなる凹状湾曲部24とされている。塗布面20、凸部22等の外周は、図2のように正面視(又は背面視)で観察される。尚、円弧状曲線からなる凸部22は、曲率半径r1のみから形成されるものではなく、凹状湾曲部24と連続するにあたり、徐々にその曲率を変化させるものであり、凹状湾曲部24、膨出部23も同様である。また、塗布面20の外周のうち、長手方向に沿う先端側の外周は、大曲率(曲率半径r1、図2)の円弧状曲線からなる凸部22とされ、長手方向に直交する板幅方向に沿う左右両側の外周は、小曲率(曲率半径r2、図2)の円弧状曲線からなる膨出部23とされ、凸部22と膨出部23をつなぐ部分の外周は凸部22と膨出部23を滑らかにつなぐ大曲率(曲率半径−r3、図2)の円弧状曲線からなる凹状湾曲部24とされている。尚、曲率半径が大きい方が小曲率であり、曲率半径が小さい方が大曲率である。
凸部22の曲率半径r1は、凸部22が細かい部分に塗布できる指のような役割ができるように、指の幅寸法から好ましいRの範囲を決定され、好ましいr1はR2.5〜10mmである。また、膨出部23の曲率半径r2は、膨出部23によって適度な広範囲に塗布できるような大きさのRとされ、好ましいr2はR15〜50mmである。塗布具100にあっては、化粧料を凸部22により細かい部分に容易に塗布できるようにする点で、r1<r2とすることが重要である。
塗布面20の外周のうち、長手方向において凸部22の反対側に位置する部分は柄11の後述する凸状面11Aと滑らかに連続する。
塗布面20は、凸曲面21の面内に円形状へこみ25を形成している。へこみ25は化粧料を保持する部分となる。へこみ25は凹曲面であることが好ましく、その曲率半径r6(図5)の好適範囲は、顔等の肌面の曲面にフィット性及び液垂れ防止の観点等から、例えばR30〜100mmとされる。従って、本実施例の塗布面20は、正面視で、塗布面20の外周との間に区画される概円環状の凸曲面21と、凸曲面21に囲まれるへこみ25とを有するものになる。本実施例において、凸曲面21の仮想上の頂点pは塗布具100の側面視でへこみ25の上方に位置し(図5)、凸曲面21の上記頂点pはへこみ25の中心点cに対し塗布具100の正面視で合致するものとされ、同軸配置されたものである(図2)。
塗布具100は、柄11の基端部である持ち手10の正面を、板幅W1の中央部から板幅方向の左右両側に反らせた円筒面状をなす凹曲面10Aによって形成している。凹曲面10Aは持ち手10を把持する指が当たって納まる面になる。また、凹曲面10Aは長手方向に沿って設けられているため、凹曲面10Aに把持する指を納めた状態では持ち手10から塗布面20の方向が定まり、塗布具10の安定した操作が可能となる。
塗布具100は、柄11において持ち手10と塗布面20に挟まれる部分を持ち手10の凹曲面10Aと塗布面20の凸曲面21を滑らかにつなぐ凸曲面11Aによって形成している。
塗布具100は、柄11の外周のうち、長手方向に沿う基端側の外周を大曲率(曲率半径r4、図2)の円弧状曲線からなる凸部12とし、凸部12と塗布面20の膨出部23をつなぐ部分の外周を凸部12と膨出部23を滑らかにつなぐ小曲率(曲率半径−r5、図2)の円弧状曲線からなる凹状湾曲部13としている。これにより、塗布具100は持ち手10を含む柄11及び塗布面20の全体の外周を曲線で構成するものになる。柄11の上述の曲率半径r4の好ましい範囲はR5〜20mm、曲率半径r5の好ましい範囲はR100〜500mmである。
塗布具100は、持ち手10と塗布面20を含む全体の断面視で、持ち手10を塗布面20における凸曲面21の中央部に引いた接線a(本実施例では、凸曲面21の面内にへこみ25が形成されているため、接線aが引かれる凸曲面21の中央部は凹み25の周縁の相対する2点となる)に対し、距離bだけ離隔して配置し(図5)、持ち手10を把持した指が肌面に接することなく、塗布面10を肌面に当てることができるようにしている。距離bは指の厚さから好ましい範囲が決定され、例えば10〜25mmである。
塗布具100は、持ち手10の板幅W1の中心部と、塗布面20の板幅W2の中心部を通って長手方向に延びる中心線kの左右両側部分が、互いに線対称をなすようにしている(図2)。従って、塗布具100の各部(持ち手10、柄11、凸部12、凹状湾曲部13、塗布面20、凸曲面21、凸部22、膨出部23、凹状湾曲部24、円形状へこみ25)は、中心線kに関して左右対称形状をなすものになる。
また、塗布具100は一定の板厚tからなる板状体であるから、塗布具100の正面に設けられた塗布面20の凸曲面21(凸面)、円形状へこみ25(凹面)、持ち手10の凹曲面10A(凹面)、柄11の凸曲面11A(凸面)のそれぞれに対する、塗布具100の背面の各部は、その正面側が凸面ならば凹面になり、その正面側が凹面ならば凸面になっている。
塗布具100は、プレス成形やモールド成形によって全体の輪郭を成形された後、例えばバレル研磨、更にはバフ研磨を施され、外周エッジの丸味、へこみ25の円形状輪郭線25Aの丸味、及び全体の光沢を付与される。
本実施例において、塗布具100の図2、図5に示した各部寸法は、L=112mm、W1=18mm、W2=40mm、r1=R6.5mm、r2=R25mm、r3=R30mm、r4=R7mm、r5=R200mm、r6=R50mm、b=16.5mmとした。
しかるに、本実施例の塗布具100によれば以下の作用効果を奏する。
(a)塗布具100の塗布面20が凸曲面21により形成される。この塗布面20は使用者の例えば手の平の如くに機能する。
塗布面20は、へこみ25の領域を除き、凸曲面21の中心から周辺部及び外周に至るまで凹となる箇所がない。このため、塗布面20により化粧料を均一に塗り広げることができるとともに、塗布面20を顔等の肌面にスムーズに違和感なく移動させることができ、心地良い感触を得ることができる。
従って、塗布具100の持ち手10を把持した使用者により、化粧料が供された塗布面20を自らの顔面等の肌面に押し付けて任意の方向に動かし、化粧料を塗り広げようとするとき、塗布具100の肌面に対する角度設定によらず、塗布面20の中央部が化粧料を肌面に押し付け、塗布面20の中央部まわりの周辺部はその全周において外方に行くに従って肌面から徐々に離隔する。これにより、塗布面20のほぼ全面が化粧料を肌面にべったりと付着させるように過度に強く密着することがない。また、塗布面20の外縁エッジが既に肌面に塗布済の化粧料を掻き取り除去するおそれがない。即ち、化粧料を肌面に滑らかに均一に塗り広げることができるし、この塗り広げに伴って肌面に与えるマッサージ感も向上できる。
(b)塗布面20の外周に外方へ突出する凸部22を設けた。この凸部22は、使用者の例えば指先の如くに機能する。凸部22は、円弧状曲線をなすとともに、その正面が凸曲面21に連続する曲面をなすため、顔等の肌面にスムーズに違和感なく移動して化粧料を塗り広げることができ、心地良い感触を得ることができる。
従って、塗布面20の外周に凸部22が形成する大曲率部を設け、この塗布面20の外周を小鼻の回りや目頭のくぼみ等の肌面における細かい部分に容易に押し当てることができる。即ち、化粧料を肌面の細かい部分に塗布することができるし、肌面の隅々に与えるマッサージ感も向上できる。
(c)凸部22の外周を曲線状にした。これにより、塗布面20の外周の凸部22を肌面における細かい部分に柔らかく押し当てることができ、化粧料の塗り心地とマッサージ感を一層向上できる。
(d)塗布面20の外周(凸部22、膨出部23、凹状湾曲部24の各外周)を曲線状にした。これにより、塗布面20の全外周を肌面に柔らかく押し当て、化粧料を肌面に一層滑らかに塗り広げることができるし、マッサージ感も一層向上できる。
(e)塗布面20の面内にへこみ25を形成し、このへこみ25に化粧料を供給し、貯留しておくことができる。へこみ25の輪郭線25A(本実施例では円形状)が化粧料の供給貯留量の計量ライン(供給量の目安)になる。また、へこみ25が化粧料を保持し、塗布時の化粧料の垂れ落ちを防ぐ。へこみ25が化粧料を包み込みように保持し、泡状の化粧料の泡もつぶさずに保持できる。
顔等の肌面は凸曲面であることから、へこみ25はそれらの肌面に適合して化粧料を均一に塗布でき、へこみ25が凹曲面になっているため、一層良くそれらの肌面に適合できる。
(f)持ち手10と塗布面20を含む断面視で、持ち手10が塗布面20における凸曲面21の中央部に引いた接線aに対し離隔して配置された。これにより、持ち手10を把持した手指が肌面に干渉することなく、塗布面20を肌面に当てて化粧料を塗り広げることができる。また、塗布具100をテーブル等の平坦な台に置いた際にも、手指によって持ち手10を容易に把持して取り易い。
また、塗布具100にあっては、持ち手10から塗布面20に渡る長手方向の全体的に、塗布面20の側が凸となるように湾曲しており、操作性が良い。
また、塗布具100にあっては、持ち手10を含む、柄11の外周も曲線で構成したから、持ち手10を把持する手指にやさしく、それらの外周が肌面に当たることがあっても、その当たりを柔らかくすることができる。
また、塗布具100にあっては、各部が中心線kに対して線対称形状をなすものであるから、塗布面20を顔面等の肌面に押し付けていかなる方向に動かすときにも、概同じ塗り広げ性能を発揮できる。また、塗布具100が線対称形状をなすとき、右手でも左手でも把持でき、また左利きでも右利きでも使用できる。
また、塗布面20は、化粧料を保持するへこみ25を円形状にし、その中心点cまわりに凸曲面21を同軸配置したから、塗布面20を顔面等の肌面に押し付けていかなる方向に動かすときにも、概同じ塗り広げ性能を発揮できる。
また、塗布具100にあっては、例えば金属製板状体からなるとき、顔面等の肌面に当たってひんやり感を得ることができるし、板厚の薄肉化によって軽量化でき、使い勝手を向上できる。
尚、本発明の実施において、塗布面20の外周形状はいか様にも変形できる。例えば、塗布面の外周の複数位置のそれぞれに外方へ突出する凸部を設けても良く、それらの複数の凸部が異なる曲率からなるものでも良い。これにより、顔面等の肌面の広い部分、或いは多様に異なる細かい部分の各所に良くフィットする塗布具100を提供できる。
また、塗布具100は、左右非対称形状をなすものであっても良い。
また、塗布具100は、塗布面20の裏面を凹面ではなく、凸面としても良い。
また、塗布具100は、化粧料だけでなく、消毒剤や虫除け剤等の薬液の塗布に用いても良い。
本発明によれば、化粧料等を肌面に滑らかに均一に塗り広げるとともに、化粧料等を肌面の細かい部分にも容易に塗布でき、肌面に与えるマッサージ感も向上することができる。
10 持ち手
11 柄
20 塗布面
21 凸曲面
22 凸部
23 膨出部
24 凹状湾曲部
25 へこみ
100 塗布具
a 接線

Claims (5)

  1. 持ち手を備えた柄の先端側に塗布面を有してなる塗布具であって、
    持ち手から塗布面に向かう長手方向に沿って延在する板状体であり、
    塗布面は凸曲面により形成され、
    塗布面の外周のうち、長手方向に沿う先端側の外周は、曲線をなして外方へ突出する凸部とされ、板幅方向に沿う左右両側の外周は、曲線からなる膨出部とされ、凸部と膨出部をつなぐ部分の外周は、凸部と膨出部を滑らかにつなぐ曲線からなる凹状湾曲部とされ、凸部の曲率を膨出部の曲率よりも大曲率としてなる塗布具。
  2. 前記塗布面の面内にへこみを形成してなる請求項1に記載の塗布具。
  3. 前記塗布面がへこみを円形状にし、そのへこみの中心点まわりに凸曲面を同軸配置した請求項2に記載の塗布具。
  4. 前記持ち手と塗布面を含む断面視で、持ち手が塗布面における凸曲面の中央部に引いた接線に対し離隔して配置されてなる請求項1〜3のいずれかに記載の塗布具。
  5. 前記持ち手から塗布面に渡る長手方向の全体的に塗布面の側が凸となるように湾曲してなる請求項1乃至4のいずれかに記載の塗布具。
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