JP6604581B2 - セルロースナノ構造体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
一方、結晶性のセルロースが人工的にも合成できることが知られている(人工合成で得られるセルロースは一般にオリゴマーであることから、このようなセルロースはセロデキストリンと呼ばれる。ここでは、区別せずにすべてセルロースと呼ぶ)。下記の反応は、セロデキストリンホスホリラーゼ(CDP)の逆反応を利用したセルロースの酵素合成を示す。
そこで、本発明は、これらの実情に鑑み、セロデキストリンホスホリラーゼ(CDP)を用いたセルロースの合成において、多様な置換基を有するグルコース誘導体を利用し、新規な特性を有するセルロース構造体を合成することを目的とする。
上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、セロデキストリンホスホリラーゼ(CDP)を用いたセルロースの合成において、多様な置換基を有するグルコース誘導体をプライマーとして用いることで、新規な特性を有するセルロースナノ構造体を合成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下を包含する。
(1)次式(I):
Aは、水素及び水酸基以外の置換基であり、
nは、4〜10である]
で示される化合物を構成成分として含有するセルロースナノ構造体。
(2)Aが、O−R1(R1=C2−5−直鎖状アルキル基又はC2−5を主鎖とする分岐状アルキル基)であり、且つセルロースナノ構造体が、溶媒を含む三次元構造体である、(1)記載のセルロースナノ構造体。
(3)溶媒を含む三次元構造体が、溶媒を含む三次元網目構造を有する、(2)記載のセルロースナノ構造体。
(4)溶媒を含む三次元網目構造が、溶媒を含むスポンジ状である、(3)記載のセルロースナノ構造体。
(5)(1)〜(4)のいずれか1記載のセルロースナノ構造体を含む足場材。
(6)(1)〜(4)のいずれか1記載のセルロースナノ構造体を含むフィルム。
(7)(1)〜(4)のいずれか1記載のセルロースナノ構造体又は(6)記載のフィルムを含むセパレータ。
(8)Aがアジド基であり、且つセルロースナノ構造体がセルロースナノシートである、(1)記載のセルロースナノ構造体。
(9)α−グルコース 1−リン酸と、プライマーとして次式(II):
Aは、水素及び水酸基以外の置換基である]
で示されるグルコース誘導体とを、セロデキストリンホスホリラーゼと反応させる工程を含む、次式(I):
Aは、前記と同一であり、
nは、4〜10である]
で示される化合物を構成成分として含有するセルロースナノ構造体の製造方法。
(10)Aが、O−R1(R1=C2−5−直鎖状アルキル基又はC2−5を主鎖とする分岐状アルキル基)であり、且つセルロースナノ構造体が、溶媒を含む三次元構造体である、(9)記載の方法。
(11)溶媒を含む三次元構造体が、溶媒を含む三次元網目構造を有する、(10)記載の方法。
(12)溶媒を含む三次元網目構造が、溶媒を含むスポンジ状である、(11)記載の方法。
(13)Aがアジド基であり、且つセルロースナノ構造体がセルロースナノシートである、(9)記載の方法。
本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願番号2015−006062号、2015−039443号の開示内容を包含する。
図2は、実施例1のセルロースの合成方法1で調製したスポンジ状セルロース構造体の走査型電子顕微鏡写真である。「Ethyl」は、プライマーとしてエチル−β−D−グルコピラノシドを用いて合成したスポンジ状セルロース構造体である。「Butyl」は、プライマーとしてブチル−β−D−グルコピラノシドを用いて合成したスポンジ状セルロース構造体である。
図3Aは、実施例1のセルロースの合成方法1で調製したスポンジ状セルロース構造体の赤外吸収スペクトルを示す(ATR−IR法、分解能:2cm−1、積算100回)。「Ethyl」は、プライマーとしてエチル−β−D−グルコピラノシドを用いて合成したスポンジ状セルロース構造体である。「Butyl」は、プライマーとしてブチル−β−D−グルコピラノシドを用いて合成したスポンジ状セルロース構造体である。
図3Bは、実施例1のセルロースの合成方法1で調製したスポンジ状セルロース構造体の赤外吸収スペクトルを示す(ATR−IR法、分解能:2cm−1、積算100回)。「Pentyl」は、プライマーとしてペンチル−β−D−グルコピラノシドを用いて合成したスポンジ状セルロース構造体である。
図3Cは、実施例1のセルロースの合成方法1で調製したスポンジ状セルロース構造体の赤外吸収スペクトルを示す(ATR−IR法、分解能:2cm−1、積算100回)。「t−ブチル化」は、プライマーとしてtert−ブチル−β−D−グルコピラノシドを用いて合成したスポンジ状セルロース構造体である。
図4Aは、実施例1のセルロースの合成方法1でプライマーとしてエチル−β−D−グルコピラノシドを用いて合成したスポンジ状セルロース構造体の核磁気共鳴スペクトルを示す(4%NaOD/D2O中3%(w/v)、300MHz、500μL、積算32回)。
図4Bは、実施例1のセルロースの合成方法1でプライマーとしてブチル−β−D−グルコピラノシドを用いて合成したスポンジ状セルロース構造体の核磁気共鳴スペクトルを示す(4%NaOD/D2O中4.6%(w/v)、300MHz、500μL、積算32回)。
図4Cは、実施例1のセルロースの合成方法1でプライマーとしてオクチル−β−D−グルコピラノシドを用いて合成したセルロース構造体の核磁気共鳴スペクトルを示す(4%NaOD/D2O中3%(w/v)、300MHz、500μL、積算32回)。
図5は、実施例1のセルロースの合成方法1で調製したスポンジ化した試料((A)プライマーとしてエチル−β−D−グルコピラノシドを用いて合成したスポンジ状セルロース構造体;(B)プライマーとしてブチル−β−D−グルコピラノシドを用いて合成したスポンジ状セルロース構造体)に、試験棒をスポンジが破断するまで押込んだ際の写真を示す。
図6は、実施例1のセルロースの合成方法1でプライマーとしてエチル−β−D−グルコピラノシドを用いて合成したスポンジ状セルロース構造体のセルラーゼによる酵素分解を示す写真である。
図7は、実施例2において、プライマーとして1−アジド−1−デオキシ−β−D−グルコピラノシドを用いて合成した反応性セルロースナノシートの透過型電子顕微鏡写真である。
図8は、実施例2において、プライマーとして1−アジド−1−デオキシ−β−D−グルコピラノシド(Azide)を用いて合成した反応性セルロースナノシート又はD−グルコース(Glc)を用いて合成したセルロースナノシートの赤外吸収スペクトルを示す。四角で囲んだ箇所は、II型セルロースに特徴的なピークを示す。
図9は、実施例2において、プライマーとして1−アジド−1−デオキシ−β−D−グルコピラノシドを用いて合成した反応性セルロースナノシートの核磁気共鳴スペクトルを示す。
図10は、実施例2において、ピレンを導入したセルロースナノシートの各溶媒中における紫外可視吸収スペクトルを示す([セルロース]0.0034%(w/v))。
図11は、実施例2において、ピレンを導入したセルロースナノシートの各溶媒中における蛍光スペクトルを示す。四角で囲んだ箇所は、エキシマー発光領域を示す。
図12は、実施例2において、ピレンを導入したセルロースナノシート分散液のソルバトクロミズム特性を示す写真である([セルロース]0.0034%(w/v)、λex365nm)。
図13は、実施例2において、ピレンを導入したセルロースナノシート分散液の円二色性吸収スペクトル特性を示す([セルロース]0.034%(w/v)、積算4回、光路長2mm、800μL)。
Aは、水素及び水酸基以外の置換基であり、
nは、4〜10である]
で示される化合物(セルロース誘導体)を構成成分として含有するものである。天然由来のセルロース鎖が平行に配列したI型セルロース構造とは異なり、本発明に係るセルロースナノ構造体は、より安定な逆平行鎖のII型セルロース構造を有する。
式(I)の化合物の重合度は、例えば6以上、7以上、好ましくは8以上(すなわち、式(I)の化合物において、nが4以上、5以上、好ましくは6以上)であり、且つ12以下、好ましくは11以下(すなわち、式(I)の化合物において、nが10以下、好ましくは9以下)である。
1.本発明に係るセルロース三次元構造体
第一の実施形態において、本発明に係るセルロースナノ構造体は、置換基AがO−R1(R1=C2−5−直鎖状アルキル基又はC2−5を主鎖とする分岐状アルキル基)である式(I)の化合物を構成成分として含有するものである。この場合、本発明に係るセルロースナノ構造体は、構成成分のセルロース誘導体におけるC2−5−直鎖状アルキル基又はC2−5を主鎖とする分岐状アルキル基の存在により、溶媒を含む三次元構造体、より具体的には、溶媒を含むスポンジ状の構造等の溶媒を含む三次元網目構造を有する三次元構造体となる。当該三次元構造体においては、網目構造中の空隙が外面につながっている(よって、溶媒(水分)が外に出る)状態である。従って、当該三次元構造体は、押す(圧力をかける)と、圧力に応じた構造の崩壊を伴いながら、溶媒(水分)が外面に出る構造を有する。
ここで、上記置換基R1のC2−5−直鎖状アルキル基は、エチル基、プロピル基、ブチル基又はペンチル基である。
また、上記置換基R1のC2−5を主鎖とする分岐状アルキル基は、炭素数2〜5個を主鎖とする分岐状アルキル基であれば、枝分かれの数又は長さは特に限定されず、例えばイソプロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、ペンタン−2−イル基、ペンタン−3−イル基、イソペンチル基、3−メチルブタン−2−イル基、t−ペンチル基、2−メチルブチル基等が挙げられる。
2.本発明に係るセルロースナノシート
第二の実施形態において、本発明に係るセルロースナノ構造体は、置換基Aが、アジド基である式(I)の化合物を構成成分として含有するものである。この場合、本発明に係るセルロースナノ構造体は、シート状の構造を有する(「セルロースナノシート」)。
本発明に係るセルロースナノシートにおいては、セルロース鎖が厚さ方向に逆平行に配列しており、セルロースの還元末端(すなわち、式(I)の化合物における置換基A)がシート表面に規則的に露出している。例えば、導入した置換基A(官能基)を利用し、機能性分子をシート表面に化学修飾することで、シートの機能化を図ることができる。
3.本発明に係るセルロースナノ構造体の製造方法
以上に説明した本発明に係るセルロースナノ構造体は、以下に示される反応に準じて製造することができる。
αG1P及び式(II)のグルコース誘導体は、市販品として入手できるものであってよい。また、特定の置換基Aを有する式(II)のグルコース誘導体は、例えばZ.Shiら,J.Agric.Food Chem.,2014年,62,3287−3292等に記載の方法に準じて合成することもできる。
一方、CDPは、例えばM.Krishnareddyら,J.Appl.Glycosci.,2002年,49,1−8に記載の方法に準じて調製することができる。具体的には、M.Krishnareddyら,J.Appl.Glycosci.,2002年,49,1−8によれば、Clostridium thermocellum YM4株由来のCDPを調製することができる。
また、CDPの酵素量は、例えばα−D−グルコース 1−リン酸とD−(+)−セロビオース及びCDPをインキュベーションし、CDPにより生成されるリン酸を定量し、1分間当たり1μmolのリン酸を遊離する酵素量を1Uとして求めることができる。
例えば、10〜1000mM(好ましくは100〜300mM)のαG1P、10〜200mM(好ましくは、10〜100mM、特に好ましくは50〜60mM)の式(II)のグルコース誘導体、及び0.01〜1.5U/mL(好ましくは0.05〜0.5U/mL)のCDPを、100〜1000mM(好ましくは250〜750mM)の4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)緩衝液(pH7.0〜8.0(好ましくはpH7.5))中で混合し、10〜80℃(好ましくは、20〜60℃)で0.5〜30日間(好ましくは、1〜14日間)インキュベートし、反応させる。このようにして、本発明に係るセルロースナノ構造体を製造することができる。
4.本発明に係るセルロースナノ構造体の用途
4−1.医療分野
4−1−1.細胞培養足場材
本発明に係るセルロースナノ構造体は、例えばその表面に動物細胞を生育させる足場材として使用することができる。
生育させる細胞としては、動物由来であれば良く、例えば哺乳類、爬虫類、又は昆虫由来の細胞が挙げられる。また、心臓、肝臓、脾臓、表皮等の臓器や組織から分離した初代培養細胞でも、継代培養した株化細胞、腫瘍細胞でも良い。さらに、間葉系幹細胞(MSC)等の体性幹細胞、人工多能性幹細胞、CHO細胞、BHK細胞、Vero細胞等の細胞株(Cell Line)等でも良い。
細胞培養に用いる培地としては、平衡塩類溶液にアミノ酸やビタミン等の低分子化合物を加えた基礎培地が挙げられる。さらに、血清或いは血清・組織抽出物、加水分解物、成長因子、ホルモン、搬送体タンパク質、脂質、ポリアミン酸、微量元素、ビタミン、増粘剤、界面活性剤、細胞接着因子等を添加した培地を使用することもできる。
当該セルロースナノ構造体を、薄膜状に成形して、薄膜の表面で細胞を培養できる。栄養成分を薄膜底面からも供給することで培養効率を高めることができる。
当該セルロースナノ構造体上に単層状に生育した細胞は、細胞剥離剤にて剥離し回収することができる。細胞剥離剤には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等の2価カチオン除去のためのキレート剤、細胞・基質間、細胞・細胞間接着タンパク質のためのトリプシン等のプロテアーゼを用いることもできるし、セルラーゼにより当該セルロースナノ構造体の一部又は全部を分解し、可溶化することで細胞を剥離することもできる。プロテアーゼを用いない後者の方法では、細胞・細胞間の接着は剥離することなく、また細胞への影響も無いことから、活性の高い懸濁細胞又は細胞シートを得ることができる。
得られた細胞シートは、同様に得られた細胞シートと積層するか、或いは細胞シートの表面を細胞間接着タンパク質等でコートし、さらに細胞を培養することで、三次元的に厚みを持った細胞塊を得ることができる。
4−1−2.高濃度細胞培養用足場材
本発明に係るセルロースナノ構造体は、その内部に動物細胞を生育させる足場材として使用することができる。当該セルロースナノ構造体を、細胞が入ることができる大きさ程度又はそれ以上の空隙を持つ構造体に成形し、構造体の中で細胞を培養することができる。
生育させる細胞は、上記の第4−1−1節に記載するように、動物由来であればどのような細胞でも良い。また、培養に用いる培地は、上記の第4−1−1節に記載するように、基礎培地、血清添加培地又はその他成分を添加した培地でも良い。
当該セルロースナノ構造体中で細胞を培養することで、浮遊懸濁培養の際に起こる撹拌のせん断応力による細胞の傷害が起こらず、培養液当たりの細胞の高濃度化が可能となる。
また、抗体やタンパク質等のバイオ医薬品の生成能を付与したrCHO細胞等を当該セルロースナノ構造体で高濃度に培養すれば、バッチ当たりの抗体やタンパク質等の生産量が増大し、バイオ医薬品の製造コスト低減が可能である。さらに、目的生産物を回収後、新しい培地を添加し、再度培養を行うか、或いは連続的に目的生産物を含む培地を回収し、新しい培地を追加添加することで、バッチ連続式又は連続式に生産物を得ることができる。
さらに、高濃度培養した細胞は、足場材として利用したセルロースナノ構造体をセルラーゼ処理に供することで、プロテアーゼ処理の際に起こるような細胞への傷害を起こさずに細胞を遊離させ、回収することができる。iPS細胞やES細胞等の全能性幹細胞を当該手法で大量に培養し、再生医療や創薬産業のために必要な細胞を供給することができる。
4−1−3.三次元構造体足場材
本発明に係るセルロースナノ構造体は、その内部に動物細胞を生育させる足場材として使用することができる。当該セルロースナノ構造体を、細胞が入ることができる大きさ程度又はそれ以上の空隙を持つ構造体に成形し、構造体の中で細胞を培養することができる。
生育させる細胞は、上記の第4−1−1節に記載するように、動物由来であればどのような細胞でも良い。培養に用いる培地は、上記の第4−1−1節に記載するように、基礎培地、血清添加培地又はその他成分を添加した培地でも良い。
当該セルロースナノ構造体を、細胞培養の前、途中又は後に、目的組織に合わせた形状に成形し、生体組織又は臓器の再生のために用いることができる。細胞培養の前に成形する場合、当該セルロースナノ構造体の重合反応時に目的の形状の型枠で反応させることもできるし、成形後に切断、積層、編み込み等で目的の形状にすることができる。
当該セルロースナノ構造体は、セルラーゼ処理により、細胞へ影響することなく分解可溶化することができる。臓器への移植する前に、セルラーゼ処理に供し、部分的に、又は全部を分解可溶化しても良いし、セルラーゼ処理に供することなく足場材と共に移植しても良い。
さらに、細胞を生育させた三次元構造体は、組織又は臓器の形状や機能を生体外(ex vivo)で再現したものとして、癌転移の機構解明、制癌剤の薬効評価等の基礎医学研究用、或いは、近年動物試験が禁止された化粧品の皮膚等の生体組織への影響を検討するための素材として利用することができる。
4−1−4.骨欠損部位への移植材料
本発明に係るセルロースナノ構造体は、動物の骨欠損部位への移植材料、歯周組織の再生誘導材料としても使用することができる。当該セルロースナノ構造体は、容易に望む形に成形加工することができ、高圧蒸気による滅菌も可能である。当該セルロースナノ構造体は、移植する前に細胞を生着させても良いし、そのまま移植しても良い。
4−2.環境・エネルギー分野
下記に説明するように、本発明に係るセルロースナノ構造体は、フィルム(例えば、微多孔性のフィルム(用途例:セパレータ、吸着材、バイオセンサー等)、緻密なフィルム(用途例:バリアフィルム等))として環境・エネルギー分野において使用することができる。
4−2−1.電池セパレータ用途
本発明に係るセルロースナノ構造体は、例えばリチウムイオン電池等の二次電池向けのセパレータとしても用いることができる。セパレータとして用いることにより、従来のポリオレフィン製のセパレータに比べ、高い耐熱性を有するため、例えば、過充電等により、電池が異常発熱した場合に、セパレータが融解し、内部短絡することを防ぐことができ、安全性を向上させることができる。
4−2−2.吸着材、濃縮(生分解性)
本発明に係るセルロースナノ構造体は、シリカ、アルミナ、ゼオライト、プルシアンブルー等の吸着材微粒子を分散、担持させることにより、アンモニア、アルデヒド等の有毒ガス、放射性廃棄物等の有害物質、海水中の有価金属等を吸着回収することが可能である。
また、該セルロースナノ構造体は、分解酵素を用いて簡単に分解可能であることから、吸着回収した物質を必要に応じて簡単に濃縮することができるといった特長も有する。
4−2−3.バイオセンサー
本発明に係るセルロースナノ構造体は、酵素や抗体を担持することによってバイオセンサーとして使用することができる。例えば、グルコースオキシダーゼ等の酵素を担持すればグルコースセンサーとして使用することが可能である。
4−2−4.ガスバリアシート(構造体も含む)
本発明に係るセルロースナノ構造体に無機ナノ材料を緻密に担持させることにより、例えば水蒸気等のガスを遮断するガスバリアシートとすることができる。無機ナノ材料としては、シリカ等のナノ粒子、又はモンモリロナイト等のクレイが挙げられる。
4−2−5.放熱シート
本発明に係るセルロースナノ構造体に高熱伝導率を持つ材料を緻密に担持させることにより、放熱材料として使用することが可能である。高熱伝導率を持つ材料としては、ダイヤモンド、グラフェン、カーボンナノチューブ等の炭素系材料、銀、銅、金、アルミニウム等の金属材料、アルミナ、マグネシア、六方晶窒化ホウ素等の無機材料等が挙げられる。
4−2−6.蓄熱シート
本発明に係るセルロースナノ構造体に蓄熱性を有する材料を分散、担持させることにより、蓄熱材として使用することが可能である。蓄熱材としては、エリスリトール、酢酸ナトリウム3水塩、硫酸ナトリウム10水塩、パラフィン、Fe−Co合金等の潜熱蓄熱材、その他、顕熱蓄熱材、化学蓄熱材等が挙げられる。潜熱蓄熱材は物質の相転移を利用するものであり、固液相転移を利用する蓄熱材の場合は、液状となった場合に漏洩が生じないように工夫する必要があり、例えば石油樹脂等のカプセル内に包含させる方法がある。
4−2−7.分離精製の基材(カラムの充填剤、電気泳動)
本発明に係るセルロース三次元構造体は、ナノサイズの空間を有しているため、該空間を利用して分離精製カラムや電気泳動の充填剤として用いることが可能である。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
1.実験方法
1−1.材料
α−D−グルコース 1−リン酸二ナトリウムn水和物(生化学用)は和光純薬工業株式会社より購入した。D−グルコース(生化学用)及びD−(+)−セロビオース(特級)はナカライテスクから購入した。
メチル−β−D−グルコピラノシドはSigma−Aldrichから購入した。エチル−β−D−グルコピラノシド、ブチル−β−D−グルコピラノシド及びヘキシル−β−D−グルコピラノシドはCarbosynth Limitedから購入した。オクチル−β−D−グルコピラノシドはDojindoから購入した。ペンチル−β−D−グルコピラノシドはCarbosynth Limitedから購入した。tert−ブチル−β−D−グルコピラノシドはCarbosynth Limitedから購入した。
セロデキストリンホスホリラーゼは、M.Krishnareddyら,J.Appl.Glycosci.,2002年,49,1−8に記載の方法と同様の方法により調製した。
4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸及び3−モルホリノプロパンスルホン酸はナカライテスクより購入した。
超純水は、MilliQシステム(MilliQ Advantage A−10、Millipore)で精製した水を用いた。
セルラーゼはTrichoderma viride由来のものをSigma−Aldrichより購入した。
1−2.酵素の活性測定
セロデキストリンホスホリラーゼの活性は以下のように測定した。10mMのα−D−グルコース 1−リン酸と10mMのD−(+)−セロビオース、及び所定倍率希釈されたセロデキストリンホスホリラーゼを含む50mMの3−モルホリノプロパンスルホン酸緩衝液(pH7.5)を37℃でインキュベーションした。セロデキストリンホスホリラーゼにより生成されるリン酸を定量し、1分間当たり1μmolのリン酸を遊離する酵素量を1Uと定義した際のU/mLを求め、酵素活性とした。セロデキストリンホスホリラーゼの希釈率は、反応時間が100分の際におけるα−D−グルコース 1−リン酸の転化率が10%以下になるように決定した。
1−3.セルロースの合成方法1:プライマーのアルキル鎖長
モノマーであるα−D−グルコース 1−リン酸が200mM、プライマーであるメチル−β−D−グルコピラノシド若しくはエチル−β−D−グルコピラノシド若しくはブチル−β−D−グルコピラノシド若しくはペンチル−β−D−グルコピラノシド若しくはヘキシル−β−D−グルコピラノシド若しくはオクチル−β−D−グルコピラノシド若しくはtert−ブチル−β−D−グルコピラノシドが50mM又は200mM、セロデキストリンホスホリラーゼが0.2U/mLになるように、これらを500mMの4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸緩衝液(pH7.5)中で混合し、60℃で3日間反応させた。生成したスポンジ状セルロース構造体を超純水に1週間浸漬させ、精製した。
1−4.セルロースの評価方法
スポンジ化の有無をサンプル管転倒試験(サンプル管を上下逆さまで置いたときに流れてこないときにスポンジ化したと判断)により評価した。
スポンジ状セルロース構造体の収量は、絶乾若しくは凍結乾燥後の重量を秤量することにより評価した。
スポンジ状セルロース構造体の構造は、スポンジ状セルロース構造体を凍結乾燥後に、走査型電子顕微鏡(JSM−7500F、日本電子)及び全反射赤外分光光度計(FT/IR−4100、日本分光)により評価した。
セルロースの構造及び重合度は、重水素化された4%の水酸化ナトリウム/重水溶液を用いた核磁気共鳴分光装置(DPX−300、Bruker若しくはJNM−400,JOEL RESONANCE)により評価した。
スポンジ状セルロースに対し、万能小型試験機(AGS−X,島津製作所)により直径3mmの試験棒を1mm/minの速度で押込み、スポンジを破断させた。この際、破断した後の様子からセルロースの状態を評価した。
1−5.スポンジ状セルロース構造体の酵素分解
スポンジ状セルロースの酵素分解は、3mg/mLのセルラーゼを含む50mMの酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.8)に厚さ0.75mm、数mm四方の立方体のスポンジ状セルロースを浸漬させて50℃で反応させ、大きさの経時変化を観察することで評価した。
2.結果
2−1.セルロースの合成方法1:プライマーのアルキル鎖長
図1に、サンプル管転倒試験の写真を示す。エチル−β−D−グルコピラノシド若しくはブチル−β−D−グルコピラノシド若しくはペンチル−β−D−グルコピラノシド若しくはtert−ブチル−β−D−グルコピラノシドをプライマーに用いた際に、反応後に溶液は流れなくなり、スポンジ化した。一方、D−グルコース若しくはヘキシル−β−D−グルコピラノシド若しくはオクチル−β−D−グルコピラノシドをプライマーとして用いて同様に反応させた際には、反応後も溶液のままであり、スポンジ化しなかった。また、メチル−β−D−グルコピラノシドをプライマーとして用いて同様に反応させた際には、溶液の一部がスポンジ化したものの、肉眼で判断できるほど、不均一であった。
図2に、スポンジ化した試料の走査型電子顕微鏡の観察結果を示す。スポンジ状セルロース構造体に特長的な網目状の構造(ネットワーク)が観察された。
図3A〜Cに、スポンジ化した試料の全反射赤外分光光度計による解析結果を示す。II型セルロース由来のピークが3488cm−1と3445cm−1付近に観察され、II型セルロースを含むスポンジ状セルロース構造体であることが分かった。
図4A〜Cに、核磁気共鳴分光装置による解析結果を示す。セルロース由来のピークが3〜5ppm付近に観察され、末端のアルキル基とグルコース単位のプロトン比から求めたエチル化セルロース及びブチル化セルロースの平均重合度はそれぞれおよそ7であり、オクチル化セルロースの平均重合度はおよそ6であった。
図5に、スポンジ化した試料に、試験棒をスポンジが破断するまで押込んだ際の写真を示す。試験棒を試料に押込むことにより、絞り出された水が観察されたことから、試料がスポンジ状であることが確認できた。
図6に、プライマーとしてエチル−β−D−グルコピラノシドを用いて合成したスポンジ状セルロース構造体(2.5ヶ月間冷蔵庫で保存した試料)のセルラーゼによる酵素分解を示す写真を示す。およそ3時間のセルラーゼ処理で、当該スポンジ状セルロース構造体のほとんどが酵素分解により消失した。エチル−β−D−グルコピラノシドを用いて合成したセルロースの重合度は、アルキル基がより長いプライマーから合成したセルロースよりも高いことから、ブチル−β−D−グルコピラノシド若しくはペンチル−β−D−グルコピラノシドなどの他のスポンジ状セルロースも同様に酵素分解により消失すると考えられる。
以下の表1は、アルキル化セルロース構造体の特性をまとめたものである。表1において、略語は、以下の通りである:
「Original」:プライマーとしてD−グルコースを用いて合成したセルロース構造体;
「Methyl」:プライマーとしてメチル−β−D−グルコピラノシドを用いて合成したセルロース構造体;
「Ethyl」:プライマーとしてエチル−β−D−グルコピラノシドを用いて合成したスポンジ状セルロース構造体;
「Butyl」:プライマーとしてブチル−β−D−グルコピラノシドを用いて合成したスポンジ状セルロース構造体;
「Hexyl」:プライマーとしてヘキシル−β−D−グルコピラノシドを用いて合成したセルロース構造体;
「Octyl」:プライマーとしてオクチル−β−D−グルコピラノシドを用いて合成したセルロース構造体;
「DP」:重合度。
1.実験方法
1−1.材料
α−D−グルコース 1−リン酸二ナトリウムn水和物(生化学用)は和光純薬工業株式会社より購入した。
D−(+)−セロビオース、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸、3−モルホリノプロパンスルホン酸、アルコルビン酸ナトリウム、硫化銅(II)五水和物、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、クロロホルム、メタノール及びN,N−ジメチルスルホキシドはナカライテスクより購入した。
1−アジド−1−デオキシ−β−D−グルコピラノシドはSigma−Aldrichより購入した。
1−エチニルピレンは東京化成より購入した。2−プロパノールは関東化学より購入した。
超純水は、MilliQシステム(MilliQ ADVANTAGE A−10、Millipore)で精製した水を用いた。
セロデキストリンホスホリラーゼは、M.Krishnareddyら,J.Appl.Glycosci.,2002年,49,1−8に記載の方法と同様の方法により調製した。
1−2.酵素の活性測定
セロデキストリンホスホリラーゼの活性は以下のように測定した。10mMのα−D−グルコース 1−リン酸と10mMのD−(+)−セロビオース、及び所定倍率希釈されたセロデキストリンホスホリラーゼを含む50mMの3−モルホリノプロパンスルホン酸緩衝液(pH7.5)を37℃でインキュベーションした。セロデキストリンホスホリラーゼにより生成されるリン酸を定量し、1分間当たり1μmolのリン酸を遊離する酵素量を1Uと定義した際のU/mLを求め、酵素活性とした。セロデキストリンホスホリラーゼの希釈率は、反応時間が100分の際におけるα−D−グルコース 1−リン酸の転化率が10%以下になるように決定した。
1−3.反応性セルロースナノシートの合成と構造解析
モノマーであるα−D−グルコース 1−リン酸が200mM、プライマーである1−アジド−1−デオキシ−β−D−グルコピラノシドが50mM、セロデキストリンホスホリラーゼが0.2U/mLになるように、これらを500mMの4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸緩衝液(pH7.5)中で混合し、60℃で3日間反応させた。反応後に、遠心して上清を除去し、超純水で再分散させる手順を繰り返すことで、生成物を精製した。
セルロースの構造は、透過型電子顕微鏡(H−7650 Zero.A、日立製作所)及び全反射赤外分光光度計(FT/IR−4100、日本分光)により評価した。
セルロースの存在は、核磁気共鳴分光装置(DPX−300、Bruker;JSE−ECS 400、JEOL RESONANCE)により評価した。
セルロースの平均重合度は、核磁気共鳴分光装置(DPX−300、Bruker;JSE−ECS 400、JEOL RESONANCE)若しくは元素分析(CHN corder MT−6、YANACO)により求めた。
1−4.反応性セルロースナノシートに対する機能性基の導入と機能評価
1−アジド−1−デオキシ−β−D−グルコピラノシドをプライマーとして合成したアジド化セルロースナノシートが0.5%(w/v)、1−エチニルピレンが5mM、硫化銅(II)五水和物が0.5mMになるように、これらをN,N−ジメチルホルムアミド中で混合し、30分間乾燥窒素でバブリングした。続いて、12.5mMのアスコルビン酸ナトリウム水溶液0.5mLを添加し、窒素雰囲気下で室温で24時間反応させた。反応後に、遠心して上清を除去し、N,N−ジメチルホルムアミドで再分散させる手順を繰り返すことで、生成物を精製した。
ピレンの導入率は、元素分析(CHN corder MT−6、YANACO)より求めた。ピレンを導入したセルロースナノシートを、各種溶媒(トルエン、クロロホルム、2−プロパノール、メタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルスルホキシド、超純水)に分散させ、光学特性を紫外可視分光光度計(V−550、日本分光)及び紫外可視近赤外分光光度計(V670、日本分光)及び蛍光分光光度計(FP−6500、日本分光)及び円二色性分光光度計(J−820、日本分光)により評価した。
2.結果
2−1.反応性セルロースナノシートの合成と構造解析
図7に、透過型電子顕微鏡の写真を示す。1−アジド−1−デオキシ−β−D−グルコピラノシド(合成時におけるモノマーの転化率:およそ30%)をプライマーに用いた際には、シート状のセルロースが得られた。
図8に、全反射赤外分光光度計による解析結果を示す。II型セルロース由来のピークが3488cm−1と3445cm−1付近に観察され、II型セルロースを含む構造体であることが分かった。
図9に、核磁気共鳴分光装置による解析結果を示す。2.9〜3.6ppm付近にセルロース由来のピークが観察された。
アジド基を持つセルロースの元素分析の結果、炭素と窒素の存在比から求めた平均重合度はおよそ11であった。
2−2.反応性セルロースナノシートに対する機能性基の導入と機能評価
元素分析の結果、炭素と窒素の存在比から求められたピレンの導入率はおよそ30%であった。
図10に、ピレンを導入したセルロースナノシートを各種の溶媒に0.0034%(w/v)になるように分散させ、吸収スペクトルを測定した結果を示す。いずれも同じ波長付近(343nm付近、360nm付近)にピレンに特有のピークを示し、ピレンが導入されていることが分かった。
図11に、ピレンを導入したセルロースナノシートを各種の溶媒に0.0034%(w/v)になるように分散させ、蛍光スペクトルを測定した結果を示す。溶媒の種類によって異なる蛍光スペクトルを示した。
図12に、ピレンが導入されたセルロースナノシートを各種溶媒に0.0034%(w/v)になるように分散させ、暗所下で紫外線(365nm)を照射した際の写真を示す。溶媒の種類によって色調が変化するソルバトクロミズム特性を示した。
図13に、ピレンを導入したセルロースナノシートを各溶媒に0.034%(w/v)になるように分散させ、円二色性吸収スペクトルを測定した結果を示す。ピレン由来の吸収帯に負のコットン効果が観察され、導入したピレンは不斉誘起された。また、図13の右側のパネルに示すように、導入されたピレンは、ねじれてパッキングしていると考えられる。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられるものとする。
Claims (11)
- 次式(I):
Aは、O-R 1 (R 1 =C 2-5 -直鎖状アルキル基又はC 2-5 を主鎖とする分岐状アルキル基)であり、
nは、4〜10である]
で示される化合物を構成成分として含有するセルロースナノ構造体であって、該セルロースナノ構造体が、溶媒を含む三次元構造体である、前記セルロースナノ構造体。 - 溶媒を含む三次元構造体が、溶媒を含む三次元網目構造を有する、請求項1記載のセルロースナノ構造体。
- 溶媒を含む三次元網目構造が、溶媒を含むスポンジ状である、請求項2記載のセルロースナノ構造体。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載のセルロースナノ構造体を含む足場材。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載のセルロースナノ構造体を含むフィルム。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載のセルロースナノ構造体又は請求項5記載のフィルムを含むセパレータ。
- 次式(I):
Aは、アジド基であり、
nは、4〜10である]
で示される化合物を構成成分として含有するセルロースナノ構造体であって、該セルロースナノ構造体がセルロースナノシートである、前記セルロースナノ構造体。 - α-グルコース 1-リン酸と、プライマーとして次式(II):
Aは、O-R 1 (R 1 =C 2-5 -直鎖状アルキル基又はC 2-5 を主鎖とする分岐状アルキル基)である]
で示されるグルコース誘導体とを、セロデキストリンホスホリラーゼと反応させる工程を含む、次式(I):
Aは、前記と同一であり、
nは、4〜10である]
で示される化合物を構成成分として含有するセルロースナノ構造体の製造方法であって、前記セルロースナノ構造体が、溶媒を含む三次元構造体である、前記方法。 - 溶媒を含む三次元構造体が、溶媒を含む三次元網目構造を有する、請求項8記載の方法。
- 溶媒を含む三次元網目構造が、溶媒を含むスポンジ状である、請求項9記載の方法。
- α-グルコース 1-リン酸と、プライマーとして次式(II):
Aは、アジド基である]
で示されるグルコース誘導体とを、セロデキストリンホスホリラーゼと反応させる工程を含む、次式(I):
Aは、前記と同一であり、
nは、4〜10である]
で示される化合物を構成成分として含有するセルロースナノ構造体の製造方法であって、前記セルロースナノ構造体がセルロースナノシートである、前記方法。
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