JP6604504B2 - 撥水撥油性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、撥水撥油性樹脂組成物およびその成形体に関する。成形体は、含フッ素重合体が成形体表面に偏在していることを特徴としている。成形体は、家庭用品、文房具、内装資材、外層資材、床材、壁紙、食品包装材、食品容器、化粧品容器、工業用の薬品容器、サニタリー用品、医療用品などとして使用できる。
成形体表面に撥水撥油性を付与するため、表面にフッ素処理を施す技術は従来より知られている。しかし、成形後にフッ素処理を施す方法では撥水撥油機能の持続性が弱く、繰り返し使用することにより撥水撥油機能が低下するという問題があった。この問題を解決するため、成形加工前の段階で樹脂中にフッ素化合物を加え溶融混練することで、成形後表面にフッ素成分を偏析させ、撥水撥油性を付与する研究が行われている。
国際公開第98/15598号は、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂100重量部と、炭素数5〜18のパーフルオロアルキル基を有するパーフルオロアルキル基含有ポリマー0.1〜5重量部を含んでなる樹脂組成物を開示している。
特開平10−168324号公報は、炭素数3〜21のポリフルオロアルキル基を有する含フッ素重合体からなる撥水撥油性付与添加剤を、ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂に撥水撥油性向上のために添加することを開示している。
特開平03−007745号公報は、ポリオレフィン樹脂と、炭素数4〜20が好ましいポリフルオロアルキル基を有する重合性化合物からなる樹脂組成物を開示している。
特開平03−041162号公報は、炭素数5〜16のパーフルオロアルキル基を有するパーフルオロアルキル基含有ポリマー0.1〜5重量部を、熱可塑性樹脂100重量部に添加配合した熱可塑性樹脂組成物を開示している。
さらに、特開2006−37085号公報は、熱可塑性樹脂に含フッ素重合体を混合した樹脂組成物を開示する。この含フッ素重合体はランダム共重合体である。
これら文献において得られた樹脂組成物は、撥水撥油性および液切れ性が充分でなかった。
国際公開第98/15598号 特開平10−168324号公報 特開平03−007745号公報 特開平03−041162号公報 特開2006−37085号公報
撥液性を持続させるには、ポリマーとフッ素化合物を溶融混合し成形することにより、フッ素化合物が表面に偏析することが必要である。しかし、公知技術に従い成形体を作成しても、フッ素化合物を表面に偏析しやすくするためには、熱可塑性樹脂と相溶性の悪いフッ素化合物を用いるため限定された条件で行わなければならなかった。また通常の条件で混練が可能であってもフッ素化合物の添加量を多くする必要があるなどの問題があり、コスト、工程上好ましいものではなかった。
そこで、これらの問題を解決するため研究を重ねた結果、熱可塑性樹脂に、特定の含フッ素重合体を溶融混練した後、成形体にすることによりフッ素化合物が効果的に表面に偏析することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、含フッ素ブロック共重合体(B)を0.01〜50重量部含有する撥水撥油性樹脂組成物であって、
含フッ素ブロック共重合体(B)は、遷移金属錯体を使用したリビングラジカル重合法により製造され、含フッ素ブロックセグメント(B1)と非フッ素ブロックセグメント(B2)とからなり、
該含フッ素ブロックセグメント(B1)は、含フッ素アクリレート単量体からの繰り返し単位を有し、該非フッ素ブロックセグメント(B2)は、非フッ素アクリレート単量体からの繰り返し単位を有する撥水撥油性樹脂組成物を提供する。
さらに、本発明は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、含フッ素ブロック共重合体(B)を0.01〜50重量部含有する撥水撥油性樹脂組成物であって、
含フッ素ブロック共重合体(B)は、含フッ素ブロックセグメント(B1)と非フッ素ブロックセグメント(B2)を有してなり、
含フッ素ブロック共重合体(B)は、共重合体の分子末端に、ハロゲン化合物からの開裂基を有しており、
該含フッ素ブロックセグメント(B1)は、含フッ素アクリレート単量体からの繰り返し単位を有し、該非フッ素ブロックセグメント(B2)は、非フッ素アクリレート単量体からの繰り返し単位を有する撥水撥油性樹脂組成物を提供する。
含フッ素ブロック共重合体の分子量分散度(Mw/Mn)が1.0〜1.5であることが好ましい。
さらに加えて、本発明は、
(1)遷移金属錯体を使用したリビングラジカル重合法により、含フッ素ブロックセグメント(B1)と非フッ素ブロックセグメント(B2)とからなる含フッ素ブロック重合体(B)を準備する工程、および
(2)含フッ素ブロック重合体(B)を熱可塑性樹脂(A)と混合して撥水撥油性樹脂組成物を製造する工程
を有する、撥水撥油性樹脂組成物の製造方法を提供する。
本発明の撥水撥油性樹脂組成物は、含フッ素ブロック共重合体の量が少量であっても、高い撥水撥油性(特に、高い撥油性)を有する。本発明によれば、撥水撥油性および液切れ性に優れた成形体を得ることができる。
本発明において、熱可塑性樹脂(A)および含フッ素ブロック共重合体(B)を使用する。熱可塑性樹脂(A)は含フッ素ブロック共重合体(B)と混合されている。
熱可塑性樹脂(A)
熱可塑性樹脂(A)の例は、ポリアミド樹脂 (例えば、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン66、芳香族ナイロン)、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとプロピレンとのコポリマー、エチレンまたはプロピレンとC〜C20αオレフィンとのコポリマー、エチレンとプロピレンとC〜C20αオレフィンとのターポリマー、エチレンとビニルアセテートとのコポリマー、プロピレンとビニルアセテートとのコポリマー、スチレンとαオレフィンとのコポリマー、ポリブチレン、ポリイソブチレン)、ポリエーテル樹脂、ポリエーテルエステル樹脂、ポリアクリレート樹脂、エチレンアルキルアクリレート樹脂、ポリジエン樹脂(例えば、ポリブタジエン、イソブチレンとイソプレンとのコポリマー)、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂などである。
これらのうち、ポリオレフィン樹脂が好ましい。ポリオレフィン樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダムコポリマー、エチレン−α−オレフィンコポリマー、プロピレン−α−オレフィンコポリマー、ポリブチレンを使用できる。ポリエチレンおよびポリプロピレンが好ましい。
ポリエチレンには、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンを含む。またポリプロピレンには、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン、非晶性ポリプロピレンを含む。
前記アイソタクティックポリプロピレンとは、Zigler−Natta系触媒、メタロセン触媒により作成されたアイソタクティックポリプロピレンを主体とする高結晶性ポリプロピレンのことであり、射出成形用、押出成形用、フィルム用、繊維用等、一般に市販されている成形用ポリプロピレンより選択、入手することが可能である。
前記非晶性ポリプロピレンは、メタロセン触媒を用いて作成した結晶性の極めて低いプロピレンである。非晶性ポリプロピレンは、メタロセン触媒を用いて作成した結晶性の極めて低いポリプロピレン(例えば、混合物の合計量の少なくとも50重量%)と他のプロピレンとの混合物であってよい。非晶性ポリプロピレンは、例えば、住友化学社製タフセレンT−3512、T−3522等として入手可能である。
本発明において、熱可塑性樹脂(A)は2種以上の熱可塑性樹脂の混合物であってよい。
(B)含フッ素ブロック共重合体
含フッ素ブロック共重合体は、含フッ素ブロックセグメントおよび非フッ素ブロックセグメントを有する。含フッ素ブロック共重合体は、1つの含フッ素ブロックセグメントおよび1つの非フッ素ブロックセグメントを有するABジブロック共重合体であるか、あるいは2つの含フッ素ブロックセグメントおよび1つの非フッ素ブロックセグメントを有するABAトリブロック共重合体であることが好ましい。
(B1)含フッ素ブロックセグメント
含フッ素ブロックセグメントは、含フッ素アクリレート単量体から誘導された繰り返し単位によって形成されている。一般に、含フッ素ブロックセグメントは、含フッ素アクリレート単量体から誘導された繰り返し単位のみからなる。
含フッ素アクリレート単量体は、式:

Figure 0006604504
(式中、Rfは、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基、
Xは、水素原子、メチル基、フッ素原子又は塩素原子であり、
Yは、炭素数1以上の脂肪族基である。)
で示される化合物であることが好ましい。
Yは、例えば、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状脂肪族基(特に、アルキレン基)、例えば、式−(CH−(式中、xは1〜10である。)で示される基であってよい。
含フッ素アクリレート単量体において、Rf基が、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。Rf基の炭素数は、1〜8、例えば4〜8、特に4〜6であることが好ましい。Rf基の例は、−CF2CF2CF2CF3、−CF2CF(CF3)2、−C(CF)3、−(CF2)4CF3、−(CF2)2CF(CF3)2、−CF2C(CF3)3、−CF(CF3)CF2CF2CF3、−(CF2)5CF3、−(CF2)3CF(CF3)2、−(CF2)4CF(CF3)2、−C817等である。
含フッ素アクリレート単量体の具体例としては、例えば以下のものを例示できるが、これらに限定されるものではない。
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−Rf
[上記式中、Rfは、炭素数1〜8のフルオロアルキル基である。]
(B2)非フッ素ブロックセグメント
非フッ素ブロックセグメントは、非フッ素アクリレート単量体から誘導された繰り返し単位によって形成されている。一般に、非フッ素ブロックセグメントは、非フッ素アクリレート単量体から誘導された繰り返し単位のみからなる。
「非フッ素アクリレート単量体」は、非フッ素アクリレートエステルに加えて、非フッ素アクリル酸をも意味する。非フッ素アクリレート単量体において、α位は、水素原子、メチル基またはハロゲン原子であってよい。非フッ素アクリレート単量体は、非フッ素アクリレートエステルであることが好ましい。
非フッ素アクリレート単量体は、一般式:
CH=CACOO-A
[式中、Aは、水素原子、メチル基、または、フッ素原子以外のハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子)であり、
は、水素原子、または炭素数1〜30の炭化水素基である。]
で示される化合物であってよい。
炭素数1〜30の炭化水素基の例は、炭素数1〜30の直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜30の環状脂肪族基、炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、炭素数7〜20の芳香脂肪族炭化水素基である。炭化水素基の好ましい例は、アルキル基である。
非フッ素アクリレート単量体の好ましい例は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレートである。
含フッ素ブロック共重合体において、含フッ素ブロックセグメントと非フッ素ブロックセグメントのモル比(含フッ素ブロックセグメントにおける繰り返し単位と非フッ素ブロックセグメントにおける繰り返し単位のモル比)は、5:95〜70:30、例えば10:90〜50:50であってよい。
含フッ素ブロック共重合体は、次のようにして製造できる。
含フッ素ブロック共重合体は、非フッ素アクリレート単量体を重合させる第一段目の重合工程(工程1)と、次に第一段目の重合工程で得られた溶液中にさらに含フッ素アクリレート単量体を供給して重合させる第二段目の重合工程(工程2)を有する製法によって製造できる。また、第一段目の重合工程の後に、非フッ素アクリレート重合体を単離、回収した後、再度、分散溶媒に溶解し、さらに含フッ素アクリレート単量体を供給して重合させる第二段目の重合工程による製法によって製造してもよい。あるいは、含フッ素ブロック共重合体は、含フッ素アクリレート単量体を重合させる第一段目の重合工程(工程1)と、次に第一段目の重合工程で得られた溶液中にさらに非フッ素アクリレート単量体を供給して重合させる第二段目の重合工程(工程2)を有する製法によって製造してもよい。また、第一段目の重合工程の後に、含フッ素アクリレート重合体を単離、回収した後、再度、分散溶媒に溶解し、さらに非フッ素アクリレート単量体を供給して重合させる第二段目の重合工程による製法によって製造してもよい。
工程1および工程2において、リビングラジカル重合開始剤系を使用する。リビングラジカル重合開始剤系において、ハロゲンを含有する複合系重合開始剤を用いることが好ましい。
工程1で重合体(A)の製造に用いるハロゲンを含有する複合系重合開始剤(以下、単に「複合系重合開始剤」という)としては、(a−1)短周期型周期表8族の遷移金属錯体及び(a−2)ハロゲン化合物と、必要により、(a−3)アミンを含むものが望ましい。
(a−1)は、短周期型周期表8族元素を中心金属とする遷移金属錯体であり、このような遷移金属錯体は1又は2以上を組み合わせて使用できる。
中心金属の短周期型周期表8族元素としては、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Pt等を挙げることができるが、これらの中でもFe、Ru、が好ましく、Ruが特に好ましい。
これらの中心金属に単座で又は多座で配位して錯体を形成する配位子は特に制限されないが、例えば、鎖状炭化水素配位子(エチレン、2−ブテン、アリル、2−メチルアリル等のオレフィン類、アレン類等)、炭化水素環を含む炭化水素配位子(シクロペンタジエニル、ペンタメチルシクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル、シクロオクタジエン、ノルボルナジエン等)、リン原子を含む配位子(トリフェニルホスフィン、トリナフチルホスフィン等のトリアリールホスフィン、トリn−ブチルホスフィン等のトリアルキルホスフィン、トリフェニルホスファイト等のトリアリールホスファイト等)、窒素原子を含む配位子(窒素、ビピリジン、フェナントロリン等)、硫黄原子を含む配位子(ジチオカルバメート、ジチオレン等)、酸素原子を含む配位子(アセチルアセトナト、一酸化炭素、)ハロゲン原子(塩素、臭素、ヨウ素等)、擬ハロゲン基(CN、SCN、OCN、ONC、N3等)水素原子等を挙げることができる。
(a−1)の遷移金属錯体としては、下記一般式(1)で表されるものが好ましい。
ML (1)
〔式中、Mは短周期型周期表8族の遷移金属元素を示し、Lは炭化水素環を含む炭化水素配位子を示し、置換基を有していてもよい。Lは同一又は異なっていてもよい、金属に配位して錯体を形成する配位子を示す。iは0〜2の整数、jは0〜5の整数を示す。〕
一般式(1)において、Mで表される短周期型周期表8族の遷移金属元素は前記の通りである。Lで表される配位子としては、前記金属錯体に単座で又は多座で配位又は結合可能な炭化水素環を含む炭化水素配位子であれば特に制限されず、炭化水素配位子は置換基を有していてもよい。例えば、ベンゼン、シクロブタジエン、シクロペンタジエニル、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、シクロヘプタトリエン、シクロヘプタトリエニル、シクロオクタジエン、シクロオクタテトラエン、ノルボルナジエン等が挙げられる。特に、5員環を有する炭化水素環が好ましく、例えば、シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル等を挙げることができる。
これらの炭化水素配位子は、種々の置換基、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、イミノ基、ニトロ基、シアノ基、シリル基、チオエステル基、チオケトン基、チオエーテル基、ハロゲン原子(塩素、臭素、ヨウ素等)等を有していてもよい。置換基を有する炭化水素配位子としては、ペンタメチルシクロペンタジエニル、トリメチルシリルシクロペンタジエニル等を挙げることができる。
で表される配位子としては、中心金属に単座で又は多座で配位して、錯体を形成する配位子であれば特に制限されず、炭化水素環を含む炭化水素配位子以外の前記の通りである。Lの具体例は、水素原子、ハロゲン原子、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子である。これらの配位子は同一又は異なっていてもよい。
iは0〜2の整数であり、1〜2の整数が好ましく、1がより好ましい。jは0〜5の整数であり、2〜5の整数が好ましく、3〜5の整数がより好ましい。
(a−1)の遷移金属錯体の具体例としては、クロロシクロペンタジエニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロペンタメチルシクロペンタジエニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロインデニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロペンタメチルシクロペンタジエニルトリシクロヘキシルホスフィンルテニウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロトリス(トリブチルホスフィン)ルテニウム、ジヒドリドテトラキス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ヨードジカルボニルシクロペンタジエニル鉄、ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)鉄等を挙げることができるが、これらの中でもクロロシクロペンタジエニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロペンタメチルシクロペンタジエニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロインデニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムが好ましい。
(a−2)のハロゲン化合物は、分子内に少なくとも1つのハロゲン原子(塩素、臭素、ヨウ素等)を含み、(a−1)と作用してラジカル種を発生させることにより重合を開始させる開始剤として用いられる。このようなハロゲン化合物は1又は2以上を組み合わせて使用できる。
(a−2)のハロゲン化合物は、式:
1−X
[式中、R1は一価の有機基、Xはハロゲン原子である。]
で表される化合物であることが好ましい。R1は、少なくとも1つのヘテロ原子(酸素、窒素又は硫黄等)を含む有機基であってよい。
(a−2)のハロゲン化合物としては、下記一般式(2a)又は(2b)で表される化合物が好ましい。
CXR2a2b2c (2a)
2dSOX (2b)
(式中、Xはハロゲン原子を示し、R2a、R2dはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はヘテロ原子を含む有機基を示し、R2b、R2cは同一又は異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基及びヘテロ原子を含む有機基を示す。)
一般式(2a)又は(2b)において、R2b、R2c、Xで表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等を挙げることができ、特に塩素、臭素、ヨウ素が好ましい。
一般式(2a)又は(2b)において、R2b、R2cで表されるアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、t−ブチル基等のC1〜C12アルキル基(特にC1〜C6アルキル基)等;シクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル基等のC4〜C8シクロアルキル基等;アリール基としては、フェニル、トリル、ナフチル基等のC6〜C12アリール基等;アラルキル基としては、ベンジル、フェネチル基等のC7〜C14アラルキル基等を挙げることができる。
一般式(2a)又は(2b)において、R2b、R2cで表されるヘテロ原子を含む有機基としては、少なくとも1つのヘテロ原子(酸素、窒素又は硫黄等)を含む有機基、例えば、エステル基[アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の脂肪族C1〜C10アルコキシ−カルボニル基;フェノキシカルボニル基等の芳香族C6〜C12アリールオキシ−カルボニル基等)、アシルオキシ基(アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等の脂肪族C2〜C10アシルオキシ基);ベンゾイルオキシ基等の芳香族C6〜C12アリールカルボニルオキシ基等]、ケトン基(ホルミル基、アセチル基等の脂肪族C1〜C10アシル基;ベンゾイル基等の芳香族C6〜C12アリール−カルボニル基等)、エーテル基(メトキシ基、エトキシ基等の脂肪族C1〜C10アルコキシ基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の芳香族C6〜C12アリールオキシ基等)、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、イミノ基、ニトロ基、シアノ基、チオエステル基、チオケトン基、チオエーテル基(硫化アルキル基、硫化アリール基等)等を挙げることができる。
(a−2)のハロゲン化合物の具体例としては、エチル2−ブロモイソブチレート(2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸エチル)、エチル2−ブロモプロピオネート、エチル2−クロロプロピオネート、エチル2,2−ジブロモアセテート、エチル2,2−ジクロロアセテート、エチル2,2,2−トリブロモアセテート、エチル2,2,2−トリクロロアセテート、メチル2−クロロ−2−フェニルアセテート、エチル2−クロロ−2−フェニルアセテート、メチル2−ブロモ−2−フェニルアセテート、エチル2−ブロモ−2−フェニルアセテート、2,2−ジクロロアセトフェノン、2,2−ジブロモアセトフェノン、メタンスルホニルクロリド、エタンスルホニルクロリド、プロパンスルホニルクロリド、ベンゼンスルホニルクロリド、トルエンスルホニルクロリド等を挙げることができる。
(a−3)のアミンは、(a−1)に作用してラジカル重合を促進させる活性化剤として用いられる。このようなアミンは1又は2以上を組み合わせて使用できる。
(a−3)のアミンとしては、脂肪族第一級アミン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン等)、脂肪族第二級アミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン等)、脂肪族第三級アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン等)、脂肪族ポリアミン(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラアミン等)、芳香族第一級アミン(アニリン、トルイジン等)、芳香族第二級アミン(ジフェニルアミン等)、芳香族第三級アミン(トリフェニルアミン等)等を挙げることができ、これらの中でも、脂肪族アミンが好ましい。
複合系重合開始剤において、(a−1)と(a−2)との割合(a−1)/(a−2)(モル比)は、好ましくは0.01〜10、より好ましくは0.05〜5である。この範囲内であると、分子量分布が狭い重合体が早い重合速度で得られる。
(a−1)と(a−3)との割合(a−1)/(a−3)(モル比)は、好ましくは0.01〜10、より好ましくは0.05〜5である。この範囲内であると、分子量分布が狭い重合体が早い重合速度で得られる。
工程1および工程2における重合方法は特に制限されず、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、塊状−懸濁重合等を適用することができる。
溶液重合を行う場合、溶媒としては、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等)、脂環族炭化水素(シクロヘキサン等)、脂肪族炭化水素(ヘキサン、オクタン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類〔ジオキサン(1,4−ジオキサン等)、テトラヒドロフラン等〕、エステル類(酢酸エチル等)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド等)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)等が使用できる。特にトルエン、エチルベンゼン、ベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等が好ましい。このような溶媒は1又は2以上を混合して使用できる。
重合は、常圧又は加圧下で行うことができる。重合温度は、重合法の種類、複合系重合開始剤の構成、重合速度等に応じて、0〜200℃程度の広い範囲から選択でき、好ましくは50〜200℃、より好ましくは60〜160℃、更に好ましくは80〜140℃である。重合は、窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下、例えば、不活性ガスの流通下で行ってよい。重合時には、熱、光、放射線等のラジカル発生手段を適用する。
重合反応終了後、必要により、溶媒で希釈し、貧溶媒中で析出させたり、単量体や溶媒等の揮発性成分を除去することにより分離精製してもよい。
含フッ素ブロック共重合体は、一般に、直線状の重合体である。含フッ素ブロック共重合体は、共重合体の分子末端(一般に、2つの分子末端)に、(a−2)のハロゲン化合物)の開裂基(上記の(a−2)のハロゲン化合物が開裂して形成された基)を有する。ハロゲン化合物がR1−X[式中、R1は一価の有機基、Xはハロゲン原子である。]で表される場合に、開裂基は、-X基および-R1基である。含フッ素ブロック共重合体は、1つの分子末端に、-X基を有し、他の分子末端に、-X基または-R1基を有することが好ましい。ABジブロック共重合体は、1つの分子末端に、-X基を有し、他の分子末端に、-R基を有することが好ましい。ABAトリブロック共重合体は、両方の分子末端に、-X基を有することが好ましい。ハロゲン化合物が上記の(2a)または(2b)のハロゲン化合物である場合に、-R1基が-CR2a2b2c基またはR2dSO-基に相当する。
含フッ素ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は、1000〜1000000、好ましくは2000〜500000であってよい(例えば、GPCで測定してポリメタクリル酸メチル換算)。含フッ素ブロック共重合体の分子量分散度(Mw/Mn)は、1.0〜1.5であることが好ましい。分子量分散度の上限は、1.3、より好ましくは1.2、特に1.15、特別に1.1であることが好ましい。
含フッ素ブロック共重合体(B)の量は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対し、0.01〜50重量部、好ましくは0.1〜20重量部、例えば0.2〜5重量部、特に0.5〜3重量部であってよい。
撥水撥油性樹脂組成物は、必要に応じて、添加剤(すなわち、助剤)、例えば、染料、顔料、帯電防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、造核剤、エポキシ安定剤、滑剤、抗菌剤、難燃剤、可塑剤等を含有してもよい。
撥水撥油性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)と含フッ素ブロック共重合体(B)を混練(例えば、溶融混練)することによって得られる。一般に、熱可塑性樹脂(A)と含フッ素ブロック共重合体(B)とは、溶融状態において相溶性である。混練は、例えば一軸押出機、二軸押出機、ロール等、従来公知の方法にて行うことができる。こうして得られた撥水撥油性樹脂組成物を、押出成形、射出成形、圧縮成形、ブロー成形、プレス等によるフィルム化など、公知の方法により成形することができる。撥水撥油性樹脂組成物は、種々の成形体、例えば繊維、フイルム、チューブなどの形状の成形体に成形されてよい。得られた成形体については、公知の技術に沿って成形加工後さらにオーブン、乾燥炉等で加熱処理を施してもよい。繊維において、直径は0.2〜2000ミクロン、例えば0.5〜50ミクロン、長さは0.2mm〜200mm、例えば2〜30mmであってよい。
撥水撥油性樹脂組成物は、不織布にされてもよい。不織布は、カード法、エアレイド法、抄紙法、あるいは溶融押出から直接不織布 を得るメルトブローン法やスパンボンド法などにより得ることができる。溶融押出において、熱可塑性樹脂(A)と含フッ素ブロック共重合体(B)の両者を溶融するような温度を用いることが好ましい。不織布の目付は特に限定されないが、0.1〜1000g/mであってよい。不織布の目付は、不織布の用途に応じて、例えば、液吸収性物品の表面材等では1〜60g/m2、吸収性物品やワイパー等では10〜500g/m2、フィルターでは8〜1000g/m2が好ましい。
以下に実施例を挙げて詳細を説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
物性は次のようにして測定した。
ポリマーの分子量分散度(M w /M n )
日本分光製HPLCポンプ(PU-2080)、示差屈折計(RI-2031)、カラムオーブン(CO-2065)、分析カラムTSKgelからなるゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)装置を用い、溶媒として含フッ素溶剤を流速1 mL/min、カラム温度40℃で流して測定した。検量線サンプルはポリメタクリル酸メチル標準サンプルを使用し、サンプル打ち込み量20μLで測定を行った。
ポリマー構造および分子量
ポリマー構造および分子量は、日本電子(JEOL)製NMR(核磁気共鳴)装置(ECP-400)を用いて測定した。1H NMR測定の周波数は400 MHz、サンプルの溶媒としてテトラメチルシラン(TMS)を含むCDCl3もしくはCDCl3/含フッ素溶剤を用い、TMSの吸収を0 ppmとして解析した。
接触角
各試験片について協和界面科学製DropMaster701 にて、ヘキサデカン(HD と以下略記する場合がある) に対する静的接触角を測定した。測定時の液滴量は2μlとした。
試料調製方法(ポリマーの合成)
製造例1〜16
1.C6SFMA/メタクリル酸ステアリル(StMA) ABジブロック共重合体の合成
Ru錯体によるリビングラジカル重合技術を用いて、2−ペルフルオロヘキシルエチルメタクリレート(C6SFMA)とステアリルメタクリレート(StMA)から成るAB型ジブロックコポリマー[pStMA-b-pC6SFMA (50-50)]を2段階反応で合成した。
1-1.プレポリマー(ポリメタクリル酸ステアリル(pStMA-Cl))の合成
Figure 0006604504
三方コックを取り付けた100 mLナス型フラスコにクロロインデニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(Ru(Ind)Cl(PPh3)2)触媒(0.060 mmol, 51.7 mg)、非フッ素単量体としてStMA (75 mmol, 25.4 g)を秤取し、そこにトルエン (30.2 mL)、n−トリブチルアミン(n-Bu3N)助触媒(0.60 mmol,0.111g )、開始剤であるmethyl 2-chloro-2-phenylacetate(MCPA)(1.50 mmol, 0.276g)を順に加えよく攪拌した。重合溶液を80℃に加熱したオイルバスに浸し、重合を開始した。重合開始42時間後、重合を停止した。
重合溶液をCHCl3で希釈し、大量のMeOHに滴下することによりポリマーを沈殿精製した。精製後のポリマーをGPCで解析すると、Mw/Mn 1.21の鎖長が制御されたものであった。このポリマーを1H NMRにより解析し、分子量を求めるとMn(NMR) 19,700であった。
1-2. C6SFMA/メタクリル酸ステアリル(StMA) ABジブロック共重合体の合成
Figure 0006604504
三方コックを取り付けた100 mLナス型フラスコにRu(Ind)Cl(PPh3)2触媒(0.040 mmol, 34.4 mg)、pStMA-Cl (Mn = 19,700, 0.40 mmol, 7.88 g)を秤取し、溶媒としてtoluene (9.93 mL)、n-Bu3N助触媒(0.40 mmol,0.074g)、フッ素溶媒のトリフルオロトルエン(CF3Ph, 14.8 mL)、C6SFMA (25.6 mmol, 7.38 mL)を順に加えよく攪拌した。重合溶液を80℃に加熱したオイルバスに浸し、重合を開始した。重合開始して30時間後、重合を停止した。大量のMeOHに滴下することによりポリマーを沈殿精製した。精製後のポリマーをGPCで解析すると、Mw/Mn = 1.12の構造が制御されたものであった。このポリマーを1H NMRにより解析し、分子量を求めるとMn(NMR) 44,500、C6SFMA/StMA組成比を求めるとC6SFMA/StMA = 50/50であり、ポリマー鎖中にそれぞれのユニットが等量含まれた構造が制御されたブロックコポリマーが得られた(製造例5)。
製造例1,2,3,8は、非フッ素単量体をそれぞれメチルメタクリレート(MMA)、ブチルメタクリレート(BMA)、ラウリルメタクリレート(LMA)、ベヘニルメタクリレート(VMA)に変えて上記の方法と同様に調製した。
また、実施例4,6,7は、C6SFMAとStMAの仕込み比をそれぞれモル比で、70/30,30/70、10/90に変更した以外、上記と同様の方法で調製した。
2.C6SFMA/メタクリル酸ステアリル(StMA) ABAトリブロック共重合体の合成
Ru錯体によるリビングラジカル重合技術を用いて、C6SFMAとStMAから成るABA型トリブロックコポリマー[pC6SFMA-b-pStMA-b-pC6SFMA (25-50-25)]を2段階反応で合成した。
2-1.プレポリマー(二官能性ポリメタクリル酸ステアリル(Cl-pStMA-Cl))の合成
Figure 0006604504
三方コックを取り付けた100 mLナス型フラスコにRu(Ind)Cl(PPh3)2触媒(0.060 mmol, 51.7 mg)、非フッ素単量体としてStMA (75 mmol, 25.4 g)を秤取した。溶媒としてtoluene (30.2 mL)、n-Bu3N助触媒(0.60 mmol, 0.110g)、開始剤であるα,α-dichloroacetophenone (DCAP) (1.50 mmol, 0.284g )を加えよく攪拌した。重合溶液を80℃に加熱したオイルバスに浸し、重合を開始した。重合開始して43時間後に重合を停止した。得られたポリマーの分子量をGPCにより解析すると、数平均分子量(Mn) 13,700、分子量分散度(Mw/Mn) 1.23となった。重合溶液を、大量のMeOHに滴下することによりポリマーを沈殿精製した。精製後のポリマーをGPCで解析すると、Mn 15,100、Mw/Mn 1.19の鎖長が制御されたものであった。このポリマーを1H NMRにより解析し、分子量を求めるとMn(NMR) 17,500であった。
2-2.C6SFMA/メタクリル酸ステアリル(StMA) ABAトリブロック共重合体の合成

Figure 0006604504

三方コックを取り付けた100 mLナス型フラスコにRu(Ind)Cl(PPh3)2触媒(0.040 mmol, 34.4 mg)、Cl-pStMA-Cl (Mn = 17,500, 0.40 mmol, 7.00 g)を秤取した。そこに溶媒としてtoluene (9.94 mL)、n-Bu3N助触媒のtoluene溶液 (0.40 mmol, 0.074 mL)、フッ素溶媒のtrifluorotoluene (CF3Ph, 15.9 mL)、C6SFMA (22.8 mmol, 6.57 mL)を加えよく攪拌した。重合溶液を80℃に加熱したオイルバスに浸し、重合を開始した。重合開始して30時間後重合を停止した。重合溶液を大量のMeOHに滴下することによりポリマーを沈殿精製した。精製後のポリマーをGPCで解析すると、Mw/Mn = 1.12の構造が制御されたものであった。このポリマーを1H NMRにより解析し、分子量を求めるとMn(NMR) 39,400、C6SFMA/StMA組成比を求めるとC6SFMA/StMA = 53/47であり、ポリマー鎖中にそれぞれのユニットがほぼ等量含まれた構造が制御されたトリブロックコポリマーが得られた(製造例13)。
製造例9,10,11,16は、非フッ素単量体をそれぞれメチルメタクリレート(MMA)、ブチルメタクリレート(BMA)、ラウリルメタクリレート(LMA)、ベヘニルメタクリレート(VMA)に変えて上記の方法と同様に調製した。
また、実施例12,13,15は、C6SFMAとStMAの仕込み比をそれぞれモル比で、70/30、30/70、10/90に変更した以外、上記と同様の方法で調製した。
比較製造例1〜8
C6SFMA/メタクリル酸ステアリル(StMA)ランダム共重合体の合成
三方コックを取り付けたシュレンク管にRu(Ind)Cl(PPh3)2触媒(0.020 mmol, 17 mg)、非フッ素単量体としてStMA (15 mmol, 5.1 g)を秤取した。そこに溶媒としてtoluene (3.9 mL)、n-Bu3N助触媒(0.20 mmol, 0.037g,)、CF3Ph (5.9 mL)、C6SFMA (15 mmol, 4.3 mL)、開始剤であるmethyl 2-chloro-2-phenylacetate (0.30 mmol,0.0552g )を加えよく攪拌した。重合溶液を80℃に加熱したオイルバスに浸し、重合を開始した。重合開始して32時間後重合を停止した。
重合溶液を大量のMeOHに滴下することによりポリマーを沈殿精製した。精製後のポリマーをGPCで解析すると、Mw/Mn 1.14の鎖長が制御されたものであった。このポリマーを1H NMRにより解析し、分子量を求めるとMn(NMR) 38,100、C6SFMA/StMA組成比を求めるとC6SFMA/StMA = 52/48であり、ポリマー鎖中にそれぞれのユニットがほぼ等量含まれた構造が制御されたランダムコポリマーが得られた(比較製造例5)。
比較製造例1,2,3,8は、非フッ素単量体をそれぞれメチルメタクリレート(MMA)、ブチルメタクリレート(BMA)、ラウリルメタクリレート(LMA)、ベヘニルメタクリレート(VMA)に変えて上記の方法と同様に調製した。
また、比較例4,6,7は、C6SFMAとStMAの仕込み比をそれぞれmol比で、70/30,30/70、10/90に変更した以外、上記と同様の方法で調製した。
製造例1〜16および比較製造例1〜8で得られた含フッ素重合体の組成と分子量を表1に示す。
Figure 0006604504
a) 1H NMRにより開始剤の吸収(MCPA: ~3.6 ppm, DCAP: ~7.3 ppm)と各モノマーユニット(C6SFMA: 4.4 - 4.0 ppm, RMA: 4.0 - 3.8 pp)の吸収強度から算出
b) GPCにより測定
実施例1〜23および比較例1〜13
1.試料調製方法(含フッ素重合体を添加した熱可塑性樹脂シートの成形)
アイソタクティックポリプロピレン(熱可塑性樹脂)100重量部と、表1に示す含フッ素重合体1重量部を二軸押出機にて180℃で溶融混練した後、得られた混練物をヒートプレスで成形し 0.2mm厚のシートを得た。使用した含フッ素重合体および得られた接触角を表2に示す。
また、比較例6は、アイソタクティックポリプロピレン(熱可塑性樹脂)を二軸押出機にて180℃で溶融混練した後、得られた混練物をヒートプレスで成形し 0.2mm厚のシートを得た。
Figure 0006604504
2.試料調製方法(含フッ素重合体を添加した熱可塑性樹脂シートの成形)
アイソタクティックポリプロピレン(熱可塑性樹脂)100重量部と、表1に示す含フッ素重合体のうち、製造例5、13、15、比較製造例5を表3に記載の重量部に変更し、二軸押出機にて180℃で溶融混練した後、得られた混練物をヒートプレスで成形し 0.2mm厚のシートを得た。使用した含フッ素重合体および得られた接触角を表3に示す。
Figure 0006604504
実施例24〜25および比較例14〜15
3.試料調製方法(含フッ素重合体を添加した熱可塑性樹脂シートの成形)
低密度ポリエチレン(熱可塑性樹脂)100重量部と、表1に示す含フッ素重合体1重量部を二軸押出機にて180℃で溶融混練した後、得られた混練物をヒートプレスで成形し 0.2mm厚のシートを得た。使用した含フッ素重合体および接触角を表4に示す。
また、比較製造例15は、ノバテックLD LC500(日本ポリプロ社製) (熱可塑性樹脂)(低密度ポリエチレン)100重量部を二軸押出機にて180℃で溶融混練した後、得られた混練物をヒートプレスで成形し 0.2mm厚のシートを得た。
Figure 0006604504
本発明は、樹脂組成物およびその成形体に関する。成形体は、含フッ素重合体が成形体表面に偏在していることを特徴としている。成形体は、家庭用品、文房具、内装資材、外層資材、床材、壁紙、食品包装材、食品容器、化粧品容器、工業用の薬品容器、サニタリー用品、医療用品などとして使用できる。

Claims (11)

  1. 熱可塑性樹脂(A)100重量部、および含フッ素ブロック共重合体(B)0.01〜50重量部を含有する撥水撥油性樹脂組成物であって、
    熱可塑性樹脂(A)はポリプロピレン樹脂およびポリエチレン樹脂からなる群から選択された少なくとも1種であり、
    含フッ素ブロック共重合体(B)は、2つの含フッ素ブロックセグメント(B1)と1つの非フッ素ブロックセグメント(B2)を有するABAトリブロック共重合体であり、
    含フッ素ブロック共重合体(B)は、共重合体の分子末端に、ハロゲン化合物からの開裂基を有しており、
    該含フッ素ブロックセグメント(B1)は、含フッ素アクリレート単量体からの繰り返し単位を有し、該非フッ素ブロックセグメント(B2)は、非フッ素アクリレート単量体からの繰り返し単位を有する撥水撥油性樹脂組成物。
  2. 含フッ素アクリレート単量体が、式:

    Figure 0006604504
    (式中、Rfは、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基、
    Xは、水素原子、メチル基、フッ素原子又は塩素原子であり、
    Yは、炭素数1以上の脂肪族基である。)
    で示される化合物である請求項に記載の樹脂組成物。
  3. 非フッ素アクリレート単量体が、アルキル基の炭素数が1〜30である(メタ)アクリル酸アルキルである請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 含フッ素ブロックセグメントと非フッ素ブロックセグメントのモル比(繰り返し単位のモル比)が5:95〜70:30である請求項1〜のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 含フッ素ブロック共重合体の分子量分散度(Mw/Mn)が1.0〜1.5である請求項1〜のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. ハロゲン化合物がR1−X
    [式中、R1は一価の有機基、Xはハロゲン原子である。]
    で表され、
    開裂基が-X基および-R1基である請求項1〜のいずれかに記載の樹脂組成物。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の撥水撥油性樹脂組成物を加熱成形して得られる成形体。
  8. (1)遷移金属が短周期型周期表8族の遷移金属元素である遷移金属錯体を使用したリビングラジカル重合法により、含フッ素ブロックセグメント(B1)と非フッ素ブロックセグメント(B2)とからなる含フッ素ブロック重合体(B)を準備する工程、および
    (2)含フッ素ブロック重合体(B)を熱可塑性樹脂(A)と混合して撥水撥油性樹脂組成物を製造する工程
    を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の撥水撥油性樹脂組成物の製造方法。
  9. リビングラジカル重合法が原子移動ラジカル重合法である請求項に記載の製造方法。
  10. リビングラジカル重合法で用いるドーマントがハロゲン化アルキル、チオエステルおよびアルコキシアミンからなる群から選択された少なくとも1種である請求項またはに記載の製造方法。
  11. 遷移金属錯体が、式:
    ML
    [式中、Mは短周期型周期表8族の遷移金属元素であり、
    は炭化水素環を含む炭化水素配位子であり、置換基を有していてもよく、
    は同一又は異なっていてもよい、金属に配位して錯体を形成する配位子であり、
    iは0〜2の整数、jは0〜5の整数である。]
    で示される請求項10のいずれかに記載の製造方法。
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