ところが、上述のコネクタ嵌合方法では、完全嵌合状態であるにも拘わらず、半嵌合状態であると誤検知する虞があった。具体的には、コネクタ嵌合治具の挿入部を挿入空間から引き抜くときに、コネクタ嵌合治具が傾くなどして、ロックアームのスリット部内に挿入されている半嵌合検知用凸部が、押圧部の先端面に引っ掛かる虞があった。この場合、完全嵌合状態であるにも拘わらず、作業者は、半嵌合状態であると判断し、雄コネクタ本体部を、雌コネクタ本体部の挿入空間内にさらに押し込む作業をするなどした後、再度、コネクタ嵌合治具の挿入部を挿入空間から引き抜くようにしなければならず、作業効率が低下する虞があった。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、雄コネクタと雌コネクタとが完全嵌合状態であるにも拘わらず半嵌合状態であると誤検知(誤判断)することを低減することができるコネクタ嵌合方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、雄コネクタと雌コネクタとをコネクタ嵌合治具を用いて嵌合するコネクタ嵌合方法において、前記雄コネクタは、雄コネクタ本体部と、ロック部を有する可撓性のロックアームを含む治具装着部と、を備え、前記雌コネクタは、前記雄コネクタ本体部が挿入される挿入空間を有する雌コネクタ本体部と、前記ロック部と係合して前記ロック部を係止する係止部と、を備え、前記コネクタ嵌合治具は、前記雄コネクタの前記治具装着部に取り付ける取付部を有し、前記雄コネクタと前記雌コネクタとを嵌合させるときは、前記コネクタ嵌合治具の前記取付部を前記雄コネクタの前記治具装着部に取り付けた状態で、前記雄コネクタ本体部を前記雌コネクタ本体部の前記挿入空間内に挿入してゆくと、原位置に位置している前記ロック部が前記係止部に接触し、その後、さらに、前記雄コネクタ本体部を前記雌コネクタ本体部の前記挿入空間内に挿入させてゆくと、前記ロック部が前記係止部から前記取付部側に力を受けることによって、前記ロックアームが前記取付部側に撓みつつ前記ロック部が前記取付部側に変位してゆき、前記ロック部が前記原位置から前記取付部側に変位した状態の、前記雄コネクタと前記雌コネクタとが完全に嵌合していない半嵌合状態となり、その後、さらに、前記雄コネクタ本体部を前記雌コネクタ本体部の前記挿入空間内に挿入させてゆくと、前記ロック部が前記係止部から受けていた力が解除され、撓んでいた前記ロックアームがその弾性によって復元すると共に前記ロック部が前記原位置に戻り、前記ロック部が前記係止部と係合して前記ロック部が前記係止部によって係止された状態の、前記雄コネクタと前記雌コネクタとが完全に嵌合した完全嵌合状態となるコネクタ嵌合方法であって、前記雄コネクタの前記治具装着部は、第1方向に延びる平板形状のガイド部を備え、前記コネクタ嵌合治具の前記取付部は、間隙を空けて前記第1方向に平行に延びる一対の被ガイド部であって、当該取付部を前記治具装着部に取り付けた状態で前記ガイド部を挟む一対の被ガイド部を有し、前記一対の被ガイド部は、前記ガイド部を挟んだ状態で、前記ロック部と前記ガイド部との間に位置する平板状の第1被ガイド部と、前記ガイド部について前記第1被ガイド部とは反対側に位置する平板状の第2被ガイド部とであり、前記第1被ガイド部は、前記第1方向の先端側に、前記ロック部側に突出する形態の半嵌合検知用凸部を有し、前記コネクタ嵌合治具の前記取付部を前記雄コネクタの前記治具装着部に取り付けるときは、前記第1被ガイド部と前記第2被ガイド部との間に前記ガイド部を挟み入れるようにして、前記第1被ガイド部及び前記第2被ガイド部をその先端側から前記第1方向の先端側に移動させて、前記半嵌合検知用凸部を前記ロック部よりも前記第1方向の先端側に配置して、前記取付部が前記治具装着部に取り付けられた状態にし、前記コネクタ嵌合治具を前記第1方向の後端側に移動させて前記取付部を前記治具装着部から取り外すときは、前記第1被ガイド部と前記第2被ガイド部とが、両者の間に挟まれている前記ガイド部によって前記第1方向の後端側への移動を案内され、前記半嵌合状態である場合に、前記コネクタ嵌合治具を前記第1方向の後端側に移動させて前記取付部を前記治具装着部から取り外そうとすると、前記半嵌合検知用凸部の後端部が、前記原位置から前記第1被ガイド部側に変位している前記ロック部の先端面に接触する態様で、前記半嵌合検知用凸部が前記ロック部に引っ掛かり、前記第1被ガイド部と前記第2被ガイド部との間に前記ガイド部が挟まれた状態が維持されて、前記取付部を前記治具装着部から取り外すことができないことで、前記半嵌合状態であることを検知し、前記完全嵌合状態である場合、前記コネクタ嵌合治具を前記第1方向の後端側に移動させて前記取付部を前記治具装着部から取り外すときは、少なくとも前記半嵌合検知用凸部の前記後端部が前記ロック部の前記先端面よりも前記第1方向の後端側に移動するまで、前記第1被ガイド部と前記第2被ガイド部との間に前記ガイド部が挟まれた状態が維持されることで、前記半嵌合検知用凸部が前記原位置に位置する前記ロック部に引っ掛かることなく前記取付部が前記治具装着部から取り外されることで、前記完全嵌合状態であることを検知するコネクタ嵌合方法である。
上述のコネクタ嵌合方法では、雄コネクタとして、雄コネクタ本体部と、ロック部を有する可撓性のロックアームを含む治具装着部とを備える雄コネクタを用いる。この雄コネクタの治具装着部は、第1方向に延びる平板形状のガイド部を備える。
また、コネクタ嵌合治具として、雄コネクタの治具装着部に取り付ける取付部を有するコネクタ嵌合治具を用いる。コネクタ嵌合治具の取付部は、間隙を空けて第1方向に平行に延びる一対の被ガイド部であって、当該取付部を治具装着部に取り付けた状態でガイド部を挟む形態の一対の被ガイド部を有する。一対の被ガイド部は、雄コネクタのガイド部を挟んだ状態で、ロック部とガイド部との間に位置する平板状の第1被ガイド部と、ガイド部について第1被ガイド部とは反対側に位置する(ガイド部よりもロック部から離れて位置する)平板状の第2被ガイド部とである。このうち、第1被ガイド部は、取付部を治具装着部に取り付けた状態で、当該第1被ガイド部の第1方向の先端側に、ロック部側に突出する形態の半嵌合検知用凸部を有する。
上述のコネクタ嵌合方法では、コネクタ嵌合治具の取付部を雄コネクタの治具装着部に取り付けるときは、第1被ガイド部と第2被ガイド部との間にガイド部を挟み入れるようにして、第1被ガイド部及び第2被ガイド部をその先端側から第1方向の先端側(取付方向)に移動させて、半嵌合検知用凸部をロック部よりも第1方向の先端側に配置して、取付部が治具装着部に取り付けられた状態にする。
一方、コネクタ嵌合治具の取付部を雄コネクタの治具装着部から取り外すときは、コネクタ嵌合治具を第1方向の後端側(取付方向とは反対方向である取り外し方向)に移動させる。このとき、上述のコネクタ嵌合方法では、第1被ガイド部と第2被ガイド部とが、両者の間に挟まれているガイド部によって、第1方向の後端側への移動を案内される(第1方向の後端側に真っ直ぐ移動するように導かれる)。具体的には、例えば、第1被ガイド部が、ガイド部のうちロック部側を向いて第1方向に延びる平面である第1ガイド平面に接触することで、第1ガイド平面に対し交差する方向に傾くことを規制(防止)されると共に、第2被ガイド部が、ガイド部のうち第1ガイド平面と反対側を向いて第1方向に延びる平面である第2ガイド平面に接触することで、第2ガイド平面に対し交差する方向に傾くことを規制(防止)されるようにして、第1方向の後端側への移動を案内される。
換言すれば、コネクタ嵌合治具の第1被ガイド部と第2被ガイド部、及び、雄コネクタのガイド部は、コネクタ嵌合治具の取付部を雄コネクタの治具装着部から取り外すために、コネクタ嵌合治具を第1方向の後端側に移動させたとき、第1被ガイド部と第2被ガイド部とが、両者の間に挟まれているガイド部によって第1方向の後端側への移動を案内される構成(構造)を有している。例えば、第1被ガイド部が、ガイド部のうちロック部側を向いて第1方向に延びる第1ガイド平面に接触することで、第1ガイド平面に対し交差する方向に傾くことを規制(防止)されると共に、第2被ガイド部が、第1ガイド平面と反対側を向いて第1方向に延びる第2ガイド平面に接触することで、第2ガイド平面に対し交差する方向に傾くことを規制(防止)されるようにして、第1方向の後端側への移動を案内される構成(構造)を有する。
さらに、上述のコネクタ嵌合方法では、「ロック部が係止部から取付部側に力を受ける(係止部によって取付部側に押圧される)ことによって、ロックアームが取付部側に撓んで、ロック部が原位置から取付部側に変位した状態となっている、雄コネクタと雌コネクタとが完全に嵌合していない半嵌合状態(ハーフロック状態)」である場合に、コネクタ嵌合治具を第1方向の後端側(取り外し方向)に移動させて、取付部を治具装着部から取り外そうとすると、半嵌合検知用凸部の後端部(後端面)が、原位置から第1被ガイド部側に変位しているロック部の先端面に接触する態様で、半嵌合検知用凸部がロック部に引っ掛かり(これにより、これ以上取付部を第1方向の後端側に移動させることができなくなり)、第1被ガイド部と第2被ガイド部との間にガイド部が挟まれた状態が維持される。このために、取付部を治具装着部から取り外すことができず、これによって、雄コネクタと雌コネクタとが半嵌合状態であることを検知する(半嵌合状態であると判断する)ことができる。
換言すれば、コネクタ嵌合治具の取付部と雄コネクタの治具装着部とは、取付部を治具装着部に取り付けた状態で、ロック部が係止部から取付部側に力を受ける(係止部によって取付部側に押圧される)ことによって、ロックアームが取付部側に撓んで、ロック部が原位置から取付部側に変位している状態(すなわち、半嵌合状態)において、コネクタ嵌合治具(取付部)を第1方向の後端側に移動させたとき、半嵌合検知用凸部の後端部がロック部の先端面に引っ掛かる(接触する)構成(構造)を有している。
すなわち、コネクタ嵌合治具の取付部と雄コネクタの治具装着部とは、取付部を治具装着部に取り付けた状態で、ロック部が係止部から取付部側に力を受けることによって、ロックアームが取付部側に撓んで、当該ロック部が原位置から取付部側に変位しているとき、ロック部の先端面の少なくとも一部が、半嵌合検知用凸部の後端部(後端面)の少なくとも一部と、第1方向について対向する位置関係(第1方向に見て、ロック部の先端面の少なくとも一部が半嵌合検知用凸部の後端部(後端面)の少なくとも一部と重なる位置関係)となるように構成されている。
一方、「雄コネクタと雌コネクタとが完全に嵌合した完全嵌合状態(完全ロック状態)となることで、ロック部が原位置に戻った状態」である場合に、コネクタ嵌合治具を第1方向の後端側に移動させて、取付部を治具装着部から取り外すときは、少なくとも半嵌合検知用凸部の後端部がロック部の先端面よりも第1方向の後端側に移動するまで、第1被ガイド部と第2被ガイド部との間にガイド部が挟まれた状態が維持されて、半嵌合検知用凸部が原位置に位置するロック部に引っ掛かることなく取付部を治具装着部から取り外すことができることで、完全嵌合状態であることを検知する(完全嵌合状態であると判断する)ことができる。
換言すれば、コネクタ嵌合治具の取付部と雄コネクタの治具装着部とは、取付部を治具装着部に取り付けた状態で、コネクタ嵌合治具を第1方向の後端側に移動させたとき、少なくとも半嵌合検知用凸部の後端部がロック部の先端面よりも第1方向の後端側に移動するまで、第1被ガイド部と第2被ガイド部との間にガイド部が挟まれた状態が維持されるように構成されている(維持される構造を有する)。
さらに、コネクタ嵌合治具の取付部と雄コネクタの治具装着部とは、取付部を治具装着部に取り付けた状態で、ロック部が原位置に位置しているとき(完全嵌合状態であるとき)は、ロック部の先端面と半嵌合検知用凸部の後端部(後端面)とが、第1方向について対向しない(対面しない)位置関係(第1方向に見て、ロック部の先端面が半嵌合検知用凸部の後端部(後端面)と全く重ならない位置関係)となるように構成されている(位置関係となる構造を有する)。
特に、上述のコネクタ嵌合方法では、前述のように、取付部を治具装着部から取り外すためにコネクタ嵌合治具を第1方向の後端側に移動させたとき、第1被ガイド部と第2被ガイド部とが、両者の間に挟まれているガイド部によって、第1方向の後端側への移動を案内される(第1方向の後端側に真っ直ぐ移動するように導かれる)。詳細には、例えば、第1被ガイド部が、ガイド部のうちロック部側を向いて第1方向に延びる第1ガイド平面に接触することで、第1ガイド平面に対し交差する方向に傾くことを規制(防止)されると共に、第2被ガイド部が、第1ガイド平面と反対側を向いて第1方向に延びる第2ガイド平面に接触することで、第2ガイド平面に対し交差する方向に傾くことを規制(防止)されるようにして、第1方向の後端側への移動を案内される。
このため、上述のコネクタ嵌合方法では、雄コネクタと雌コネクタとが完全嵌合状態であるとき(従って、ロック部が原位置に位置しているとき)は、取付部を治具装着部から取り外すためにコネクタ嵌合治具を第1方向の後端側に移動させている途中で、「半嵌合検知用凸部を有する第1被ガイド部がガイド部の第1ガイド平面に交差する方向に傾くことで、半嵌合検知用凸部の後端部の少なくとも一部が、ロック部の先端面の少なくとも一部と、第1方向について対向する位置関係(第1方向に見て、半嵌合検知用凸部の後端部の少なくとも一部がロック部の先端面の少なくとも一部と重なる位置関係)となり、半嵌合検知用凸部が原位置に位置するロック部に引っ掛かる」ことを低減することができる。
従って、上述のコネクタ嵌合方法では、「雄コネクタと雌コネクタとが完全嵌合状態であるにも拘わらず半嵌合状態であると誤検知(誤判断)する」ことを低減することができる。
(実施形態)
次に、本発明の実施形態について説明する。図1は、実施形態にかかる雄コネクタ10の斜視図である。図2は、雄コネクタ10の他の斜視図である。図3は、雄コネクタ10の断面図であり、雄コネクタ10の幅方向DW(図3において紙面に直交する方向)の中心位置で、第1方向D1に沿って切断した断面図である。図4は、実施形態にかかる雌コネクタ20の斜視図である。図5は、雌コネクタ20の断面図であり、雌コネクタ20の幅方向(図5において紙面に直交する方向)の中心位置で切断した断面図である。
まず、雄コネクタ10について説明する。雄コネクタ10は、図1〜図3に示すように、雄コネクタ本体部11と、この雄コネクタ本体部11の上部(第2方向D2の一方側D21に位置する部位)に設けられた治具装着部15とを備えている。雄コネクタ本体部11に内部には、雌端子金具12が設けられている。この雌端子金具12は、雄コネクタ10に連結されているケーブル13の内部に位置する導線(図示なし)に接続されている。
治具装着部15は、可撓性のロックアーム16を有する。このロックアーム16は、可撓性を有する一対のアーム部16bと、アーム部16bの先端側に位置する鉤状のロック部17とを有する。一対のアーム部16bは、幅方向DWに間隔を空けて、第1方向D1に平行に延びる形態をなしている(図2参照)。一対のアーム部16bは、その後端部(第1方向D1の後端側D1Kに位置する部位、図3において右側に位置する部位)が、雄コネクタ本体部11の上面11b(第2方向D2の一方側D21に位置する面)に固定されており、これよりも先端側(第1方向D1の先端側D1S、図3において左側)に位置する部位が、第2方向D2(図3において上下方向)に撓むように形成されている。
また、ロック部17は、一対のアーム部16bの先端部(第1方向D1の先端側D1Sに位置する部位、図3において左側に位置する部位)に接続している。従って、ロックアーム16のアーム部16bが第2方向D2に撓むことで、ロック部17が第2方向D2(上下方向)に変位する。なお、ロックアーム16のアーム部16bが撓んでいない状態(図3に示す状態)におけるロック部17の位置が、ロック部17の原位置である。
さらに、治具装着部15は、ロック部17の上面に接続して、第1方向D1の後端側D1K(図3において右側)に延びるロック解除部19を有する。このロック解除部19は、その後端部に、解除用押圧部19bを有している。作業者等が、この解除用押圧部19bを下方(第2方向D2の他方側D22)に押圧すると、ロックアーム16が上方(第2方向D2の一方側D21)に撓むと共に、ロック部17が第2方向D2も上方(第2方向D2の一方側D21)に変位する。
さらに、治具装着部15は、第1方向D1に延びる平板形状のガイド部18を備えている。このガイド部18は、雄コネクタ本体部11の上面11bに固定されて、第1方向D1に延びる一対の側壁部14,14の先端部に挟まれるようにして、側壁部14,14と一体に形成されている。このガイド部18は、ロック部17よりも第1方向D1の先端側D1S(図3において左側)で、且つ、ロック部17よりも第2方向D2の一方側D21(図3において上方)に配置されている。ガイド部18は、ロック部17側(第2方向D2の他方側D22、図3において下方)を向いて第1方向D1(図3において左右方向)に延びる平面である第1ガイド平面18bと、第1ガイド平面18bとは反対側(第2方向D2の一方側D21、図3において上方)を向いて第1方向D1に延びる平面である第2ガイド平面18cとを有する。
次に、雌コネクタ20について説明する。雌コネクタ20は、図4及び図5に示すように、雄コネクタ本体部11が挿入される挿入空間21bを有する雌コネクタ本体部21と、雄コネクタ10のロック部17と係合してロック部17を係止する係止部25とを備える。雌コネクタ本体部21の内部(挿入空間21b)には、雄端子金具22が設けられている。この雄端子金具22は、雌コネクタ20に連結されているケーブル23の内部に位置する導線(図示なし)に接続されている。
雄コネクタ10の雄コネクタ本体部11を、雌コネクタ本体部21の挿入空間21b内に挿入して、雄コネクタ10のロック部17が雌コネクタ20の係止部25と係合して、ロック部17が係止部25によって係止された状態となることで、雄コネクタ10と雌コネクタ20とが完全に嵌合した状態(完全嵌合状態、図16に示す状態)となる。これにより、雄コネクタ10の雌端子金具12と雌コネクタ20の雄端子金具22とが接続されて、ケーブル13とケーブル23とが電気的に接続される。
次に、実施形態にかかるコネクタ嵌合治具30について説明する。図6は、コネクタ嵌合治具30の斜視図である。図7は、コネクタ嵌合治具30の他の斜視図であり、図6の反対側の斜視図である。コネクタ嵌合治具30は、第1方向D1に延びる棒状をなし、矩形棒状の本体部38と、この本体部38の先端側(第1方向D1の先端側D1S)に位置する取付部31とを有する。取付部31は、雄コネクタ10の治具装着部15に取り付けられる部位である。
この取付部31は、第2方向D2に間隙を空けて、第1方向D1に平行に延びる一対の被ガイド部32,33と、一対の被ガイド部32,33を連結する連結部34とを有する。一対の被ガイド部32,33は、取付部31を雄コネクタ10の治具装着部15に取り付けた状態(図9に示す状態)で、治具装着部15のガイド部18を挟む形態を有する。
図9に示すように、一対の被ガイド部32,33は、治具装着部15のガイド部18を挟んだ状態で、ロック部17とガイド部18との間に位置する(図9においてガイド部18よりも下方に位置する、ガイド部18よりも第2方向D2の他方側D22に位置する)平板状の第1被ガイド部32と、ガイド部18について第1被ガイド部32とは反対側に位置する(図9においてガイド部18よりも上方に位置する、ガイド部18よりも第2方向D2の一方側D21に位置する)平板状の第2被ガイド部33とである。このうち、第1被ガイド部32は、取付部31を治具装着部15に取り付けた状態で、当該第1被ガイド部32の第1方向D1の先端側D1Sに、ロック部17側(図9において下方、第2方向D2の他方側D22)に突出する形態の半嵌合検知用凸部35を有する。
ここで、コネクタ嵌合治具30(取付部31)の雄コネクタ10(治具装着部15)への着脱方法について説明する。まず、コネクタ嵌合治具30の取付部31を雄コネクタ10の治具装着部15に取り付けるときは、第1被ガイド部32と第2被ガイド部33との間にガイド部18を挟み入れるようにして、第1被ガイド部32及び第2被ガイド部33をその先端側から第1方向D1の先端側D1S(挿入方向)に移動させる。
より具体的には、図8に示すように、第1被ガイド部32を解除用押圧部19bの上面に配置した状態から、コネクタ嵌合治具30を第1方向D1の先端側D1S(挿入方向)に移動させてゆき、第1被ガイド部32と第2被ガイド部33との間にガイド部18を挟み入れるようにする。そして、図9に示すように、第1被ガイド部32と第2被ガイド部33とを連結する連結部34が、ガイド部18に当接することで、コネクタ嵌合治具30の取付部31に雄コネクタ10の治具装着部15が取り付けられた状態となる。このとき、半嵌合検知用凸部35がロック部17よりも第1方向D1の先端側D1Sに配置されると共に、第1被ガイド部32と第2被ガイド部33との間にガイド部18が挟まれた状態となる。
一方、コネクタ嵌合治具30の取付部31を雄コネクタ10の治具装着部15から取り外すときは、取り付けるときとは反対に、コネクタ嵌合治具30を第1方向D1の後端側D1Kに移動させる。
ところで、本実施形態のガイド部18は、前述のように、ロック部17側(第2方向D2の他方側D22、図9において下方)を向いて第1方向D1(図9において左右方向)に延びる第1ガイド平面18bと、第1ガイド平面18bとは反対側(第2方向D2の一方側D21、図9において上方)を向いて第1方向D1に延びる第2ガイド平面18cとを有している。
さらに、コネクタ嵌合治具30の取付部31が雄コネクタ10の治具装着部15に取り付けられた状態において、第1被ガイド部32は、第2方向D2の一方側D21(図9において上方)を向いて第1方向D1に延びる平面である第1平面32bを有し、第2被ガイド部33は、第2方向D2の他方側D22(図9において下方)を向いて第1方向D1に延びる平面である第2平面33bを有している。
そして、コネクタ嵌合治具30の取付部31が雄コネクタ10の治具装着部15に取り付けられた状態において、第1被ガイド部32の第1平面32bがガイド部18の第1ガイド平面18bと対向(近接乃至は接触)すると共に、第2被ガイド部33の第2平面33bがガイド部18の第2ガイド平面18cと対向(近接乃至は接触)して、第1被ガイド部32と第2被ガイド部33との間にガイド部18が挟まれている。
このため、コネクタ嵌合治具30の取付部31を雄コネクタ10の治具装着部15から取り外すために、コネクタ嵌合治具30を第1方向D1の後端側D1Kに移動させると、第1被ガイド部32と第2被ガイド部33とが、両者の間に挟まれているガイド部18によって、第1方向D1の後端側D1Kへの移動を案内される(第1方向D1の後端側D1Kに真っ直ぐ移動するように導かれる)。
より具体的には、コネクタ嵌合治具30の取付部31が雄コネクタ10の治具装着部15に取り付けられている状態から、コネクタ嵌合治具30を第1方向D1の後端側D1Kに移動させると、第1被ガイド部32の第1平面32bが、ガイド部18の第1ガイド平面18bに接触することで、第1ガイド平面18bに対し交差する方向(図9において斜め上方または斜め下方)に傾くことを規制(防止)されると共に、第2被ガイド部33の第2平面33bが、ガイド部18の第2ガイド平面18cに接触することで、第2ガイド平面に対し交差する方向(図9において斜め上方または斜め下方)に傾くことを規制(防止)されるようにして、第1被ガイド部32及び第2被ガイド部33を含む取付部31が、第1方向D1の後端側D1Kへの移動を案内される。
換言すれば、コネクタ嵌合治具30の第1被ガイド部32と第2被ガイド部33、及び、雄コネクタ10のガイド部18は、コネクタ嵌合治具30の取付部31を雄コネクタ10の治具装着部15から取り外すために、コネクタ嵌合治具30を第1方向D1の後端側D1Kに移動させたとき、第1被ガイド部32と第2被ガイド部33とが、両者の間に挟まれているガイド部18によって第1方向D1の後端側D1Kへの移動を案内される構成(構造)を有している。
より具体的には、コネクタ嵌合治具30の取付部31が雄コネクタ10の治具装着部15に取り付けられている状態から、コネクタ嵌合治具30を第1方向D1の後端側D1Kに移動させたときに、第1被ガイド部32の第1平面32bが、ガイド部18の第1ガイド平面18bに接触することで、第1ガイド平面18bに対し交差する方向(図9において斜め上方または斜め下方)に傾くことを規制(防止)されると共に、第2被ガイド部33の第2平面33bが、ガイド部18の第2ガイド平面18cに接触することで、第2ガイド平面に対し交差する方向(図9において斜め上方または斜め下方)に傾くことを規制(防止)されるようにして、第1被ガイド部32及び第2被ガイド部33を含む取付部31が、第1方向D1の後端側D1Kへの移動を案内される構成(構造)を有する。
次に、本実施形態のコネクタ嵌合方法について説明する。本実施形態では、雄コネクタ10と雌コネクタ20とをコネクタ嵌合治具30を用いて嵌合する。
まず、図10に示すように、コネクタ嵌合治具30の取付部31を雄コネクタ10の治具装着部15に取り付けた状態で、これらを第1方向D1の先端側D1Sに移動させて、雄コネクタ本体部11を雌コネクタ本体部21の挿入空間21b内に挿入してゆく。すると、やがて、図11に示すように、原位置に位置しているロック部17が、雌コネクタ20の係止部25の傾斜面25bに接触する。なお、係止部25の傾斜面25bは、第1方向D1の先端側D1Sに位置する部位ほど第2方向D2の一方側D21に位置する傾斜面である。
その後、さらに、雄コネクタ本体部11を雌コネクタ本体部21の挿入空間21b内に挿入させてゆくと、図12に示すように、ロック部17が、雌コネクタ20の係止部25の傾斜面25bに沿うようにして、第2方向D2の一方側D21(図12において上方)に変位してゆく。詳細には、ロック部17が、係止部25から、コネクタ嵌合治具30の取付部31側(第2方向D2の一方側D21、図12において上方)に力を受けることによって、ロックアーム16のアーム部16bが取付部31側に撓みつつ、ロック部17が取付部31側に変位してゆき、ロック部17が原位置から取付部31側に変位した状態となる。この状態が、雄コネクタ10と雌コネクタ20とが完全に嵌合していない半嵌合状態(ハーフロック状態)である。
その後、さらに、雄コネクタ本体部11を雌コネクタ本体部21の挿入空間21b内に挿入させてゆくと、ロック部17が、雌コネクタ20の係止部25の傾斜面25bを通過した後、ロック部17が係止部25から受けていた力が解除される(図13参照)。これにより、図13に示すように、撓んでいたロックアーム16のアーム部16bがその弾性によって復元すると共に、ロック部17が原位置に戻り、ロック部17が係止部25と係合して、ロック部17が係止部25によって係止された状態となる。詳細には、ロック部17のロック面17cが係止部25の係止面25cに接触する態様で、ロック部17が第1方向D1の後端側D1K(図13において右側)に移動するのを規制(防止)される。すなわち、雄コネクタ10が第1方向D1の後端側D1K(図13において右側)に移動して雌コネクタ20から抜けてしまうことが防止される。この状態が、雄コネクタ10と雌コネクタ20とが完全に嵌合した完全嵌合状態である。
ところで、本実施形態では、雄コネクタ10と雌コネクタ20とが半嵌合状態である場合に、図14に示すように、コネクタ嵌合治具30を第1方向D1の後端側D1K(図14において右側)に移動させて、コネクタ嵌合治具30の取付部31を雄コネクタ10の治具装着部15から取り外そうとしても、取り外すことができないように構成されている。
具体的には、コネクタ嵌合治具30の半嵌合検知用凸部35の後端部35b(後端面35c)が、原位置から第1被ガイド部32側(第2方向D2の一方側D21、図14において上方)に変位しているロック部17の先端面17bに接触する態様で、半嵌合検知用凸部35がロック部17に引っ掛かり(これにより、これ以上取付部31を第1方向D1の後端側D1Kに移動させることができなくなり)、第1被ガイド部32と第2被ガイド部33との間にガイド部18が挟まれた状態が維持される。このために、取付部31を治具装着部15から取り外すことができず、これによって、雄コネクタ10と雌コネクタ20とが半嵌合状態であることを検知する(半嵌合状態であると判断する)ことができる。
換言すれば、コネクタ嵌合治具30の取付部31と雄コネクタ10の治具装着部15とは、取付部31を治具装着部15に取り付けた状態で、ロック部17が係止部25から取付部31側(第2方向D2の一方側D21、図14において上方)に力を受ける(係止部25によって取付部31側に押圧される)ことによって、ロックアーム16のアーム部16bが取付部31側に撓んで、ロック部17が原位置から取付部31側に変位している状態(すなわち、半嵌合状態)において、コネクタ嵌合治具30(取付部31)を第1方向D1の後端側D1K(図14において右側)に移動させたとき、半嵌合検知用凸部35の後端部35b(後端面35c)がロック部17の先端面17bに引っ掛かる(接触する)構成(構造)を有している。
すなわち、コネクタ嵌合治具30の取付部31と雄コネクタ10の治具装着部15とは、取付部31を治具装着部15に取り付けた状態で、ロック部17が係止部25から取付部31側に力を受けることによって、ロックアーム16のアーム部16bが取付部31側に撓んで、当該ロック部17が原位置から取付部31側(第2方向D2の一方側D21、図12において上方)に変位しているとき、ロック部17の先端面17bの少なくとも一部が、半嵌合検知用凸部35の後端部35b(後端面35c)の少なくとも一部と、第1方向D1について対向する位置関係(第1方向D1に見て、ロック部17の先端面17bの少なくとも一部が、半嵌合検知用凸部35の後端部35b(後端面35c)の少なくとも一部と重なる位置関係)となるように構成されている(図12参照)。
従って、作業者が、雄コネクタ10と雌コネクタ20とが半嵌合状態であるにも拘わらず、雄コネクタ10と雌コネクタ20とを完全嵌合させたと思い込んで、コネクタ嵌合治具30を第1方向D1の後端側D1K(図14において右側)に移動させて、コネクタ嵌合治具30を雄コネクタ10から取り外そうとした場合でも、上述のように、半嵌合検知用凸部35の後端部35b(後端面35c)がロック部17の先端面17bに引っ掛かることで、取付部31を治具装着部15から取り外すことができない。これによって、作業者は、雄コネクタ10と雌コネクタ20とが半嵌合状態であることを知ることができる。このため、作業者は、雄コネクタ本体部11を、雌コネクタ本体部21の挿入空間21b内にさらに押し込む作業をすることで、雄コネクタ10と雌コネクタ20とを完全嵌合状態にすることができる。
一方、「雄コネクタ10と雌コネクタ20とが完全嵌合状態(完全ロック状態)となることで、ロック部17が原位置に戻った状態」である場合に、コネクタ嵌合治具30を第1方向D1の後端側D1Kに移動させて、取付部31を治具装着部15から取り外すときは、図15に示すように、少なくとも半嵌合検知用凸部35の後端部35b(後端面35c)がロック部17の先端面17bよりも第1方向D1の後端側D1K(図15において右側)に移動するまで、第1被ガイド部32と第2被ガイド部33との間にガイド部18が挟まれた状態が維持されて、半嵌合検知用凸部35が原位置に位置するロック部17に引っ掛かることなく取付部31を治具装着部15から取り外すことができる(図15及び図16参照)。これにより、雄コネクタ10と雌コネクタ20とが完全嵌合状態であることを検知する(完全嵌合状態であると判断する)ことができる。
換言すれば、コネクタ嵌合治具30の取付部31と雄コネクタ10の治具装着部15とは、取付部31を治具装着部15に取り付けた状態で、コネクタ嵌合治具30を第1方向D1の後端側D1Kに移動させたとき、少なくとも半嵌合検知用凸部35の後端部35b(後端面35c)がロック部17の先端面17bよりも第1方向D1の後端側D1Kに移動するまで、第1被ガイド部32と第2被ガイド部33との間にガイド部18が挟まれた状態が維持されるように構成されている(維持される構造を有する)(図13、図15参照)。
さらに、コネクタ嵌合治具30の取付部31と雄コネクタ10の治具装着部15とは、取付部31を治具装着部15に取り付けた状態で、ロック部17が原位置に位置しているとき(完全嵌合状態であるとき)は、ロック部17の先端面17bと半嵌合検知用凸部35の後端部35b(後端面35c)とが、第1方向D1について対向しない(対面しない)位置関係(第1方向D1に見て、ロック部17の先端面17bが半嵌合検知用凸部35の後端部35b(後端面35c)と全く重ならない位置関係)となるように構成されている(位置関係となる構造を有する)(図13、図15参照)。換言すれば、取付部31を治具装着部15に取り付けた状態で、ロック部17が原位置に位置しているとき(完全嵌合状態であるとき)は、半嵌合検知用凸部35の後端部35b(後端面35c)の全体が、ロック部17の先端面17bよりも第2方向D2の一方側D21(図13及び図15において上方)に位置するように構成されている。
特に、本実施形態では、前述のように、コネクタ嵌合治具30の取付部31を雄コネクタ10の治具装着部15から取り外すために、コネクタ嵌合治具30を第1方向D1の後端側D1Kに移動させたとき、第1被ガイド部32と第2被ガイド部33とが、両者の間に挟まれているガイド部18によって、第1方向D1の後端側D1Kへの移動を案内される(第1方向D1の後端側D1Kに真っ直ぐ移動するように導かれる)。詳細には、第1被ガイド部32の第1平面32bが、ガイド部18の第1ガイド平面18bに接触することで、第1ガイド平面18bに対し交差する方向に傾くことを規制(防止)されると共に、第2被ガイド部33の第2平面33bが、ガイド部18の第2ガイド平面18cに接触することで、第2ガイド平面18cに対し交差する方向に傾くことを規制(防止)されるようにして、第1方向D1の後端側D1Kへの移動を案内される。
このため、雄コネクタ10と雌コネクタ20とが完全嵌合状態であるとき(従って、ロック部17が原位置に位置しているとき)は、取付部31を治具装着部15から取り外すためにコネクタ嵌合治具30を第1方向D1の後端側D1Kに移動させている途中で、「半嵌合検知用凸部35を有する第1被ガイド部32がガイド部18の第1ガイド平面18bに交差する方向に傾くことで、ロック部17の先端面17bの少なくとも一部が、半嵌合検知用凸部35の後端部35b(後端面35c)の少なくとも一部と、第1方向D1について対向する位置関係(第1方向D1に見て、ロック部17の先端面17bの少なくとも一部が、半嵌合検知用凸部35の後端部35b(後端面35c)の少なくとも一部と重なる位置関係)となり、半嵌合検知用凸部35が原位置に位置するロック部17に引っ掛かる」状態になることを低減することができる。
従って、本実施形態のコネクタ嵌合方法では、「雄コネクタ10と雌コネクタ20とが完全嵌合状態であるにも拘わらず半嵌合状態であると誤検知(誤判断)する」ことを低減することができる。
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。