以下、本発明の実施形態を温度補償機能を備えた水晶発振器(TCXO)を例に挙げ、図1乃至5を参照しながら説明する。なお図1は第2容器の上部に水晶振動子が搭載された状態における図3でのA−A線における断面模式図である。また、図4は第2容器の上部に水晶振動子が搭載された状態における図3でのB−B線における断面模式図である。
図1は本発明の実施形態に係る水晶発振器の断面模式図である。水晶発振器1は全体としては略直方体状であり、平面視では略矩形となっている。本実施形態では水晶発振器1の平面視における外形寸法は、長辺が1.65mmで、短辺が1.25mmとなっている。なお、前述の水晶発振器の平面視の外形寸法は一例であり、前記外形寸法以外のパッケージサイズであっても本発明は適用可能である。
水晶発振器1は、第2容器3の上部に水晶振動子2が接合材(半田)を介して導電接合された,いわゆる「2階建て構造」となっている。水晶発振器1は、第2容器の外底面301の4隅に設けられた4つの外部接続端子12が、半田等を介して外部基板と接合されるようになっている。以下、水晶発振器を構成する水晶振動子と第2容器等とに大別して説明する。
まず、水晶振動子2の概略について図1乃至2を参照しながら説明する。水晶振動子2は直方体状のパッケージからなる表面実装型の圧電振動子である。水晶振動子2は、水晶振動片7と、第1容器4と、蓋9が主な構成部材となっている。
図1に示す水晶振動片7は、ATカット水晶振動板の表裏主面に各種電極が形成された平面視矩形状の圧電素子である。水晶振動板の表裏主面の各々には、励振電極E,Eが水晶振動板を挟んで対向するように一対で形成されている。そして一対の励振電極の各々からは、水晶振動板の長辺の一端側に向かって引出電極が引き出されている。この一対の引出電極の各々の終端部は接着用の電極(接着電極)となっている。なお、図1では励振電極(E)のみを図示し、前記引出電極と前記接着電極とは図示を省略している。
第1容器4は上部が開口した箱状の容器体であり、平面視では略矩形となっている。第1容器4は、絶縁性材料からなる平板状の底板部40と、底板部40の上面の外周部に取り付けられる金属製の枠部5とで構成されている。底板部40はセラミックグリーンシートからなる2つの層(下層である第1層41と、その上層の第2層42)で構成されている。第2層42の上面の外周部には図示しないタングステン(W)のメタライズ層が周状に形成されており、当該メタライズ層の上にコバール(Kovar)からなる枠部5がロウ材を介して取り付けられている。枠部5は平面視で環状となっており、その上面に蓋9がシーム溶接によって接合される。
蓋9は平面視略矩形の平板である。蓋9はコバールが基材となっており、基材の表面にニッケルメッキと金メッキが施されている。そして蓋の枠部5と接合される側の主面の外周部には封止材が枠状に形成されている。次に第1容器の概略について述べる。
図1に示すように、第1容器の枠部5と、底板部の第2層42の上面とで囲まれた空間は凹部C1となっており、平面視では略矩形となっている。この凹部C1の内底面420(第2層42の上面)の一短辺側には、水晶振動片7と導電接合される一対の搭載電極6,6が並列して形成されている(図1では1つのみ図示)。一対の搭載電極6,6の上には、前述した水晶振動片の一対の接着電極(図示省略)が導電性接着剤S,Sを介して一対一で導電接合される。これにより、水晶振動片7の長辺の一端側が搭載電極6上に片持ち支持接合される。本発明の実施形態においては、水晶振動片7が搭載電極6に片持ち支持接合された部位のことを「接合部」と称している。なお本実施形態では導電性接着剤Sにシリコーン系の導電性樹脂接着剤が使用されているが、シリコーン系以外の導電性樹脂接着剤を使用してもよい。
図2に示す第1容器4の外底面410(第1層41の下面)は平面視略矩形となっており、外底面410の4隅の各々には底部電極8(8a,8b,8c,8d)が形成されている。なお、底部電極8aについては、外底面410の1つの長辺の周縁側の角部が面取りされている。これは4つの底部電極の方向性を識別するための目印となっている。
本実施形態において搭載電極6および底部電極8等は、3種類の金属の積層構成となっている。具体的にはこれらの電極は、第1容器の基材(セラミック)上に印刷処理によってタングステン層が形成され、当該タングステン層の上に、ニッケルめっき層、金めっき層の順で電解めっき法によってめっき層が積層された構成となっている。このようにして搭載電極や底部電極等が一括で形成されている。なお前述した電極の各層を構成する金属材料は一例であり、他の金属材料を使用してもよい。例えばタングステンに代えてモリブデンを用いてもよい。
図2に示すように平面視略矩形の第1容器の外底面410の4つの角部は、平面視では4分の1円状に切り欠かれている。具体的には、第1容器の底板部40の外側面の4つの稜部の各々は底板部を厚み方向に貫くように切り欠かれており、これら4つの切り欠かれた部位の各々の内壁面のうち、第1層41の厚み分だけに導体が被着されている。このように4分の1円柱状に切り欠かれた部位の内壁面の一部に導体が被着されたものをキャスタレーションと称し、図2では符号40a,40b,40c,40dで表示している。これらのキャスタレーション40a〜40dにおける各導体は、平面視4分の1円弧状の引出部L1,L2,L3,L4を介して外底面410の底部電極8a〜8dの各々に電気的に接続されている。
4つの底部電極8a,8b,8c,8dのうち8bと8dは、第1層41と第2層42の積層間に設けられた内部配線(図示省略)とキャスタレーション40b,40dを経由して一対の搭載電極6,6とそれぞれ電気的に接続されている。残りの底部電極8aおよび8cは、ビア(図示省略)と枠部5を介して金属製の蓋9と電気的に接続されている(グランド用端子)。
本実施形態では底板部40のうち、第2層42の内部を厚み方向に貫く貫通孔の内部に導体が充填されたビアが複数形成されている(図示省略)。こらら複数のビアは、その一端が第2層42の上面に露出しており、一部のビアの一端は金属製の枠部5と電気的に接続されている。一方、前記一部のビアの他端はキャスタレーション40aと40cを経由して最終的に底部電極8aと8cと各々電気的に接続されている。底部電極8aおよび8cを第2容器を介して外部基板のグランド端子とグランド電位で接続することによって、電磁的シールド効果を得ることができる。なお底部電極8aと8cのいずれか一方だけをグランド電位で接続してもよい。
以上が水晶振動子の概略である。次に第2容器および第2容器に第1容器が接合された水晶発振器について図3乃至5を参照しながら説明する。
第2容器3は上部が開口した箱状の容器体であり、平面視では略矩形となっている。第2容器3は2枚のセラミックグリーンシートが積層された状態で焼成により一体成型されている。具体的には第2容器3は、平板状の第1層30と、第1層30の上面の外周部に積層され枠状の第2層31とで構成されている(図1参照)。第1層30の上面と第2層31とで囲まれた空間は凹部C2となっている。つまり、第2層31は凹部C2を包囲する側壁となっている。なお、図3は発振回路素子13が凹部C2に搭載された状態を表しており、水晶振動子2が第2容器3の上に接合された状態における底部電極8の位置を点線で透過表示している。
図3に示すように凹部C2は発振回路素子13が搭載される空間であり、後述する切り欠き部(31,32)を除けば平面視略矩形となっている。なお図3では記載を省略しているが、凹部C2の内底面300(第1層30の上面)には、複数の発振回路素子搭載用パッドとこれらのパッドから引き出された電極パターン(配線)が形成されている。つまり、複数の発振回路素子搭載用パッドは図示しない電極パターンの端部となっている。
第2容器の側壁である第2層31は、対向する1組の短辺部と対向する1組の長辺部とから成っている。すなわち、短辺側の側壁である短辺部3a,3bと、長辺側の側壁である長辺部3c,3dの4つの側壁で構成されている。このうち図3に示すように、一端側の短辺部3aには切り欠き部31が、他端側の短辺部3bには切り欠き部32がそれぞれ形成されている。
切り欠き部31,32を利用して、アンダーフィル剤を滴下するためのニードルやノズルや、シェア強度測定用のツールを挿入することができる。アンダーフィル剤を発振回路素子13と凹部の内底面300との隙間に行き渡らせることにより、発振回路素子13の第2容器3への接合信頼性を向上させることができる。なお、本実施形態ではアンダーフィル剤としてエポキシ系樹脂を使用しており、図1における符号Rはアンダーフィル剤が硬化した後の状態を表している。
平面視で平面視略矩形の第2容器の4つの角部は、平面視では4分の1円状に切り欠かれている。具体的には、第2容器の第1層30と第2層31の外側面の4つの稜部の各々を当該容器の厚み方向に貫くように切り欠かれており、これら4つの切り欠かれた部位の各々の内壁面のうち、第1層30の厚み分だけに導体が被着されている。図3では4分の1円柱状に切り欠かれた部位の内壁面の一部に導体が被着されたものをキャスタレーション33(33a,33b,33c,33d)として図示している。
図3に示す第2層31の上面310(側壁の上面)は平坦面であり、当該上面の4隅部分には4つの接合電極10a,10b,10c,10dが形成されている。これらの接合電極は、水晶振動子2の外底面410に設けられた4つの底部電極8a,8b,8c,8dと一対一で対応している。すなわち、接合電極10aは底部電極8aに対応し、接合電極10bは底部電極8bに、接合電極10cは底部電極8cに、接合電極10dは底部電極8dにそれぞれ対応している。
接合電極10(10a,10b,10c,10d)は、その平面視形状がアルファベットの「L」字状に屈曲した形状となっている。すなわち接合電極10は、平面視で略矩形の凹部C2の仮想角部(図3では角部が曲率を帯びているため)と、当該角部を挟んで隣接する2つの辺に沿うようにして側壁の上面(第2層31の上面310)に形成されている。つまり、接合電極10の内周縁は側壁の内周縁に沿って形成されている。一方、接合電極10の外周縁のうち第2容器のキャスタレーション33a〜33dに近接する角部は平面視で4分の1円状に切り欠かれている。なお接合電極10の第2容器のキャスタレーション33a〜33dに近接する角部は、平面視で4分の1円状でなくてもよい。例えば当該角部をC面状に切り欠いた構成であってもよい。また、当該角部を切り欠かない構成(直角)であってもよい。
第2容器の側壁のうち1組の長辺部3c,3dには、当該側壁の内壁面を半円柱状に切欠き、その内部に導体が充填された4つのビア(ハーフビア)が形成されている(図示省略)。つまり、これら4つのビアは第2容器の側壁の内壁面に露出している。これら4つのビアの一端側は4つの接合電極10a〜10dと各々電気的に接続されている。これら4つのビアの他端側は、凹部C2の内底面300の複数の発振回路素子搭載用パッド11の一部と電気的に接続されている(図1参照)。
このように第2容器の側壁の内壁面に露出したビアを形成することによって、各ビアの上方に位置する底部電極8の内周縁から当該ビアにかけて接合材のフィレットが形成されるため、第1容器の引出部L1〜L4やキャスタレーション40a〜40dにおける接合材のフィレットと、接合電極10の底部電極8に対するはみ出し領域における接合材のフィレットと相まって、第1容器と第2容器との接合強度をより向上させることができる。なお、本発明の実施形態では、4つの接合電極10a〜10dと発振回路素子搭載用パッドとの電気的接続をビアを介して行っているが、ビアを用いずに側壁の外壁面または内壁面を経由した引き回しによって電気的接続を行ってもよい。
発振回路素子13は、発振回路や温度センサ、温度補償回路等が1チップ化された集積回路素子(ベアチップIC)であり、その外観は直方体状となっている。発振回路素子13(IC)の回路面側の複数の各種機能端子(図示省略)は、金属バンプBを介して複数の発振回路素子搭載用パッド11と導電接合されている(図1参照)。
発振回路素子13の各種機能端子のうち、2つの端子(水晶用端子)は前記電極パターンおよび前述のビアを経由して接合電極10b,10dと電気的に接続されている。そして第2容器の接合電極10b,10dと第1容器の底部電極8b,8dとが各々導電接合されることによって、最終的に発振回路素子13の前記2つの水晶用端子は、水晶振動片7の表裏主面に形成された励振電極E,Eと電気的に接続されることになる。なお発振回路素子13の水晶振動片7と接続される端子以外の機能端子は、電極パターンやビア、第2容器のキャスタレーション33a,33cを経由して接合電極10a,10cや4つの外部接続端子12と電気的に接続されている。
第2容器の上部に第1容器を位置決め載置した状態では、図3に示すように接合電極10の外縁は、底部電極8(点線で表示)の外縁よりも外側に位置している。つまり、第1容器と第2容器とが接合された状態において、平面視透過で接合電極10が底部電極8からはみ出した状態となっている。具体的には接合電極10a〜10dは、引出部L1〜L4と、底部電極8a〜8dの引出部の近傍の領域と、底部電極8a〜8dの凹部C2の上方に位置する領域とを除いて、底部電極よりも外側にはみ出している。なお、引出部全体が接合電極よりも外側にはみ出しているだけでなく、引出部の一部が接合電極よりも外側にはみ出している構成であってもよい。
上記構成によれば、水晶発振器の小型化に対応しつつ、第1容器と第2容器との接合強度を向上させることができる。これは第1容器と第2容器とが接合された状態において平面視透過で接合電極10が底部電極8からはみ出しているため、水晶発振器の小型化を妨げることなく省スペースで接合材のフィレットの形成が可能となるからである。具体的には、図4に示すように底部電極8a,8dの周縁から接合電極10a,10dの周縁にかけて接合材のフィレットF1(内周縁側),F2(外周縁側)が形成されるため、第1容器と第2容器との接合強度を向上させることができる。
また本発明の実施形態では、図5に示すように底部電極8aと接合電極10aとが対向する領域の間に接合材14が介在するとともに、第2容器の側壁の内壁面側(凹部C2に面する側)においては底部電極8aの内周縁から接合電極10aの内周縁にかけて接合材14のフィレットF1が形成される。
一方、第2容器の側壁の外壁面側においては、第1容器のキャスタレーション40aの導体部分から、接合電極10aの外周縁にかけて接合材のフィレットF3が形成されている。つまり、第1容器の外底面の4隅における接合材のフィレットの起点は、引出部と連続したキャスタレーションとなっている。なお本実施形態では、溶融した接合材がキャスタレーションの導体部分にまで及ぶように、予めその量がコントロールされている。
以上のように本発明の実施形態では、キャスタレーション40a〜40dの導体部分の一部または全部への接合材14の這い上がり14hを形成しつつ、引出部L1〜L4と底部電極8a〜8dの各々に接合材が及んだ状態となっている。このような接合形態によって、接合材が引出部と底部電極の各々に及んだ状態の場合に比べて、より強固に第1容器と第2容器とを接合することができる。当該接合形態は、高い接合信頼性が要求される車載用途や、より水晶発振器が小型になった場合に好適である。また、キャスタレーションに接合材のフィレットが形成されることによって、水晶発振器の外部から接合材の這い上がり状態を確認できるようになる。
−本発明の実施形態の変形例−
図6に本発明の実施形態の変形例に係る水晶発振器の上面透過図を示す。なお、前述した本発明の実施形態と同一の構成については同一の番号を付してその説明を割愛する。
本発明の実施形態の変形例では、なお水晶振動子の底部電極については、その形状および面積ともに前述した本発明の実施形態と同一となっている。
図6は水晶振動子2が第2容器16の上に接合された状態における,底部電極の位置を点線で、第1容器の搭載電極の位置を実線で、それぞれ平面視透過で表示したものである。本発明の実施形態の変形例では、第2容器の接合電極の構成が前述した実施形態と異なっている。すなわち、4つの接合電極17a〜17dの全てが、前述した実施形態における接合電極(10a〜10d)よりも平面視の大きさが大きくなっている。
4つの接合電極17a〜17dは、平面視矩形状の第2容器の対向する2つの短辺の各中央を通る直線に対して線対称となるように配置されている。そして、接合電極17aと17dとは、接合電極17bと17cに比べて大きな面積となっている。具体的には接合電極17a〜17dは、前述した実施形態における接合電極に比べて、その先端部分が第2容器の長辺中央方向および短辺中央方向へそれぞれ延長されている。
第2容器の側壁を構成する辺のうち、短辺部16aには切り欠き部は形成されていないため、短辺部16aは短辺部16bよりも側壁上面の面積が相対的に大きくなっている。切り欠き部が形成されていない短辺部16aの上面の領域を利用して、接合電極17aと17dとが第2容器の短辺方向において互いに近接するように配置されている。
短辺部16aは平面視透過で接合部(搭載電極)に対応する辺となっており、短辺部16bは平面視透過で接合部(搭載電極)に対応しない辺となっている。すなわち、平面視透過で接合部に対応する辺における接合電極17a,17dの方が、平面視透過で前記接合部に対応しない辺における接合電極17b,17cよりも、その平面視における面積が大きくなっている。
図6に示すように第1容器4と第2容器16の接合後の状態において、平面視透過で接合電極17a〜17dは底部電極8a〜8dからはみ出した状態となっている。
上記構成によれば、TTFF特性を向上させることができる。これは平面視透過で接合部に対応する辺における接合電極17a,17dの方を、平面視透過で接合部に対応しない辺における接合電極接合電極17b,17cよりも、その平面視の面積を大きくすることによって、第1容器の底部電極8a〜8dに対して接合材のフィレットが形成される領域を相対的に広く確保できることによる。つまり、第2容器の側壁を構成する辺のうち、平面視透過で接合部に対応する辺側(短辺部16a)の方が、対応しない辺側(短辺部16b)に比べて相対的に強固に第1容器と接合される。これにより、外部基板から発生した応力が接合部を介して水晶振動片7に伝わるのを抑制することできるため、発振周波数の変動を抑制してTTFF特性を向上させることができる。
−本発明の実施形態の他の変形例−
本発明の実施形態の他の変形例について図7を参照しながら説明する。図7は水晶振動子2が第2容器18の上に接合された状態における底部電極の位置を点線で透過表示した図である。以下、本発明の実施形態との相違点について述べる。なお、前述した本発明の実施形態と同一の構成については同一の番号を付してその説明を割愛する。
本発明の実施形態の他の変形例では、第2容器の構成が前述した本発明の実施形態と異なっている。なお水晶振動子の底部電極は、その形状および面積ともに前述した本発明の実施形態と同一である。
平面視で第2容器18の4つの角部20a〜20dは直角になっており、前述したキャスタレーション(33)は形成されていない。このように第2容器にキャスタレーションが形成されないことによって、キャスタレーションが形成された容器に比べて容器本体の剛性を向上させることができる。さらに、側壁の上面の面積をより広く確保することができるため、接合電極を配置できる領域を拡大させることができる。
また、第2容器18の一端側の短辺部18aと他端側の短辺部18bには切り欠き部は形成されていない。図7のように第2容器の全ての側壁18a〜18dに切り欠き部が形成されていないことによって、側壁に切り欠き部が形成された容器に比べて容器本体の剛性を向上させることができる。以上のように、本発明の実施形態の他の変形例に係る第2容器は、容器の剛性を高めつつ、接合電極を配置できる領域を拡大することができるため、圧電発振器の小型化がより進行した場合に好適である。
第2容器18の側壁の上面180の4隅部分には、4つの接合電極19a,19b,19c,19dが形成されており、これらの接合電極は、水晶振動子2の4つの底部電極8a,8b,8c,8dと一対一で対応している。すなわち、接合電極19aは底部電極8aに,接合電極19bは底部電極8bに,接合電極19cは底部電極8cに,接合電極19dは底部電極8dにそれぞれ対応している。
接合電極19(19a〜19d)は、その平面視形状は略「L」字状に屈曲した形状であるが、一部の構成が本発明の実施形態と異なっている。具体的には、接合電極19の内周縁は側壁の内周縁に沿って形成されているが、第2容器18の側壁の内周縁を超えて、当該側壁の内壁面まで及んでいる。一方、接合電極19の外周縁のうち第2容器の角部20a〜20dに直近となる角部は直角となっている。
図7に示すように第1容器4と第2容器18の接合後の状態において、平面視透過で接合電極19a〜19dは底部電極8a〜8dからはみ出した状態となっている。
具体的には、2つの短辺部18a,18bと、2つの長辺部18c,18dの各上面において接合電極が底部電極からはみ出しているとともに、水晶振動子2の引出部L1〜L4に対して外側に接合電極19a〜19dの角部を含む領域がはみ出している。
上記構成によれば、接合電極19a〜19dの角部を含む領域が引出部L1〜L4に対して外側にはみ出しているため、接合電極19a〜19dの角部を含む周縁から引出部L1〜L4の周縁にかけて接合材のフィレットが形成される。
また、接合電極19の第2容器の角部20a〜20dに直近となる角部が切り欠かれていないため接合電極の面積が増大することになる。以上により、第1容器と第2容器との接合強度をより向上させることができる。また、接合電極19は第2容器18の側壁の内壁面まで及んで形成されているため、底部電極8の内周縁から接合電極19の前記内壁面側の周縁にかけて接合材のフィレットが形成されるようになる。これにより、凹部C3側における接合強度も向上させることができる。
本発明の実施形態の変形例では、なお水晶振動子の底部電極については、その形状および面積ともに前述した本発明の実施形態と同一となっている。
本発明の実施形態とその変形例および他の変形例において、圧電発振器として温度補償型の水晶発振器(TCXO:Temperature Compensated Oscillator)を例に挙げたが、TCXOに限らず、温度補償機能を有さない水晶発振器(SPXO)においても本発明は適用可能である。
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。