JP6600710B2 - 遠心力により岩石或いは鉱石等を破砕する装置 - Google Patents

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本発明は、遠心力を利用して岩石或いは鉱石等を破砕して砂利状或いは砂状の細かい粒子とする破砕装置に関し、特に、このような破砕装置のロータに取り付ける部品の改良に関する。
遠心力を利用して岩石或いは鉱石等を砂利状或いは砂状の細かい粒子に粉砕する破砕装置は提案されている。尚、本明細書では「岩石或いは鉱石等」を単に「被破砕物」或いは「岩石等」と称する場合がある。
実用新案出願公告昭52−51333号公報 特許第3610019号公報
特許文献1に記載された従来技術を図1〜図4を参照して説明する。尚、この特許文献1に係わる実用新案登録出願は本願発明者によってなされたものである。
図1は破砕装置の全体を示す断面図、図2は図1に示したロータの斜視図、図3(a)はロータに組み込むシリンダの分解斜視図、図3(b)は図3(a)のシリンダの一部を構成するガイド板単体の斜視図、図3(c)はロータの外周に取り付ける打撃板の斜視図、図3(d)はロータの上部に取り付ける略円錐形状のキャップであり投入岩石或いは鉱石等をロータに取り付けた複数のシリンダに分配するためのものである。
図1、図2及び図4において参照番号1は略逆円錐形(略こま型)のロータを示す。図2に示すように、ロータ1の上部に複数のシリンダホルダ3がロータ1本体と一体的に且つ円周方向に間隔を置いて突出形成され、隣接するシリンダホルダ3の間及びロータ1の中心部に平坦面2が形成されている。尚、図2において、ロータ1の周囲の矢印はロータの回転方向を示す。
複数のシリンダホルダ3の夫々は同一形状であり全体が図2に示すロータの回転方向に少し湾曲した直方体である。この直方体の外周側壁4はロータ1の外周面の一部をなし、内周側壁5はロータ1の中心軸(図示せず)に面している。即ち、これら外周側壁4と内周側壁5はロータ1の中心軸に対して同心円筒面の一部を構成するようになっている。
シリンダホルダ3の外周側壁4と内周側壁5との間には、アウターガイド側壁6とインナーガイド側壁7があり、これらの側壁6及び7はロータ1の回転方向に向かって膨らんだ曲面からなっている。シリンダホルダ3の外周側壁4を除いた他の側壁(5、6及び7)には、シリンダ本体11及びガイド板12(図3)に設けた係止部13a〜13dと係合する切り込み部8,9,10が側壁の中央部で且つ平坦面2に略平行して形成されている。
さらに、アウターガイド側壁6には、シリンダ本体11の膨出部14と係合する係止凹部15が縦方向に形成されている。インナーガイド側壁7にはガイド板12(図3)をロータ1に取り付ける際に利用される案内凹部19が同様に縦方向に形成され、更に、打撃板17の取付部18と係合する係止凹部20が上述の案内凹部19の外側であって且つ縦方向に形成されている。
ガイド板12の一方の端部の上下には係止部16があり(図3)、シリンダ本体11の端部に形成した段部16´と組み合わされる。図3(d)は岩石等をロータ上で分配するシャフトヘッドカバー21の斜視図であり、このカバー21の中央部には略円錐形状の突出部24があり、カバー21のフランジ部23はロータ1の中央開口段部22(図1及び図2)にはめ込まれる。
図1に示す参照番号25は被破砕物の投入口、26は断面が略コの字型の誘導要素27を受ける支持プレート、28はロータ1の外部の周囲に設けた三角形状の衝撃部片、29はカバー30の内面に緩衝を目的として重ねて取り付けたゴムライナー、31は装置のハウジング、32は軸受、33はロータ1を回転させるドライブシャフト、34は破砕されて細粒となった被破砕物を排出する排出口である。
図3(a)に示すガイド板12の内壁の中央部には細長い突起部35が設けられている。ガイド板12の中央部は、中央部以外に比べて岩石が激突する割合が大きいので、磨耗の度合いが激しい。このため、中央部に設けた突起部35によりガイド板本体12の衝撃全体の磨耗をより均一にしている。
上述のシリンダ(シリンダ本体11とガイド板12の組み合わせたもの)及び打撃版17をロータ1に組み込むには次の手順・方法で行う。
ロータ1の隣接するシリンダホルダ3の間の平坦面2にシリンダ本体11を置く。次に、シリンダ本体11の係止部13a(図3(a))をシリンダホルダ3の内周側壁5から外周側壁6に回り込んでいる切込部8に嵌め込むと共に、他の係止部13bをアウターガイド側壁6の切込部10にも嵌め込むと共に、膨出部14をシリンダホルダ3の係止凹部15(図2)に組み込む。
次に、打撃板17の取付部18(図3(c))をシリンダホルダ3の係止凹部20に嵌合させる。その後、ガイド板12の係止部13d(図3(b))を、シリンダホルダ3のインナーガイド側壁7の縦方向の凹部19に合わせてガイド板12を上方から組み込み、更に、このガイド板12をロータ1の外周に向けて移動させ、前記係止部13dを凹部19から切込部9に移行させる。これに伴い、ガイド板12の他方の係止部13cがシリンダホルダ3の切込部8に組み込まれる。このとき、ガイド板12の上下係止片16がシリンダ本体11の切欠き段部16´に当接すると同時に、外周側のテーパ部36が打撃板17の背部を押圧することになる。このようにして、隣接するシリンダホルダ3の間に一個のシリンダが形成される。
上述のシリンダ組込を順次行い、図4に示すように、ロータ1の組み立てを完成させる。図4の参照番号36及び37は夫々シリンダ本体11及びガイド板12の内周側の端部を示す。その後、図3(d)に示すシャフトヘッドカバー21をロータ1の中央開口段差22に載せる。尚、シリンダを組み込む前に、シャフトヘッドカバー21をロータ1の中央開口段差22に配置するようにしてもよい。
以上のように、ロータ1を組み立ててシャフトヘッドカバー21を取り付けて完成させた破砕装置(図1参照)に、岩石などの被破砕物を投入口25から投入すると、被破砕物は、ロータ1と共に回転しているシャフトヘッドカバー21により分散されてロータ1の上部に設けた複数のシリンダ内に供給される。
各シリンダを構成するガイド板12の内壁はロータ1の回転方向に向いているので、各シリンダに入った被破砕物はガイド板12の内壁に衝突しながらロータ1の外周方向に流れる。遠心力によりロータ1の外周部から放出された被破砕物は、ハウジング31側に固定された衝撃片(衝撃部材)28(図1)に激突して破砕されると共に、ロータ1側にはね返ってきた被破砕物は、ロータ1の外周に設けた打撃板17に激突して更に破砕される。尚、この間に、被破砕物同士の衝突が加わり、装置に投入された被破砕物は細かく砕かれて装置の排出口34から装置外部に排出される。
シリンダ本体11の内壁は、ロータ1の回転方向とは逆方向に向いているので被破砕物との衝突は少なく、したがって、シリンダ本体11の内壁の磨耗はガイド板12に比べて非常に小さい。このため、特許文献1に記載の従来技術では、シリンダをシリンダ本体11とガイド板12とで構成することによってシリンダそのものを交換するのではなく、磨耗の激しいガイド板12のみを交換可能としているので部材交換費用を低減できるという効果がある。
しかしながら、特許文献1の従来技術では、磨耗の激しいガイド板12のみを交換すればよいという効果があるが、ガイド板12自体を交換しなければならないという新たな問題がある。
上述の特許文献1に記載の従来技術の問題を解決するため、本願発明者は、特許文献2に係わる特許出願をしている。
以下、特許文献2の従来技術について説明する。尚、必要に応じて特許文献1で説明した装置部品にも言及する。
図5(a)及び(b)は夫々ガイド板ケース50及びガイド板本体52を示し、図5(c)はケース50に本体52を取り付けた様子を示している。ガイド板ケース50にガイド板本体52を取り付けた後にロータ1(図1等参照)に組込む手順・方法は特許文献1で説明したとおりである。尚、ケース50にガイド板本体52を取り付けたものをガイド板と称し参照番号53で示す。
図5(a)に示すように、ガイド板ケース50は、側壁54a及び54b、切込部56、突起部58a,及び58bなどを有する。切込部56は、図5(b)に示すガイド板本体52の底部の端部(ロータの中心軸側(例えば図2参照)の端部)付近に形成した突起部60と係合し、一方、突起58a及び58bは、ガイド板本体52の端部61a及び61bに夫々当接する。ガイド板本体52は、図5(c)に示すようにケース50に取り付けられ、ロータ1に設置される。ケース50の切込部56及び突起部58a及び58b、側壁54a及び54bによって、ガイド板本体52はロータ1の回転によって生ずる遠心力に抗してケース50に保持される。
ガイド板本体52の衝撃中央部に設けた細長い突起部62は、図3(b)に示した突起部35と同様の目的を有する。即ち、ガイド板本体52の中央部はその周辺部に比べて岩石が激突する割合が大きいので中央部の磨耗度合いは中央部以外に比べて大きい。このため、突起部62を設けることにより、ガイド板本体52の衝撃表面全体の磨耗をより均一にすることができる。
このように、ガイド板本体52をケース50に着脱可能に設けることにより、摩耗して使用に支障があるガイド板本体のみを交換すればよいので、ガイド板全体の交換を必要とする特許文献1の問題を解決することができる。
しかしながら、装置に投入される岩石等は、所定の大きさを超えないようにする前工程(メッシュフィルタ等を使用)を経てはいるが、大きさと形状が夫々異なり、シリンダに分配される岩石などの量も一様ではないため、ガイド板本体52の衝撃の摩耗(損傷)が局所的であってもガイド板本体52を交換しなければならないという問題があった。
本発明は上述の従来技術の問題を解消するためになされたものである。簡単に説明すると、ロータ上に搭載した複数のシリンダの夫々をシリンダ本体とガイド板との組み合わせで構成し、このガイド板のシリンダ内面となる内壁に複数の衝撃部材をロータに対して略放射状に且つ着脱可能に設けることによって課題を達成している。
本発明は、略逆円錐形のロータの上部に複数のシリンダを略放射状に配置し、上記ロータの上方から投入される岩石或いは鉱石を上記複数のシリンダに導入し、上記岩石或いは鉱石を上記ロータの遠心力を利用してロータ外周部から放出して破砕する装置において、上記複数のシリンダの夫々はシリンダ本体とガイド板との組み合わせであり、該ガイド板はシリンダ内面となる内壁に複数の衝撃部材を上記ロータに対して略放射状に且つ着脱可能に備え、上記複数の衝撃部材は夫々略同一の形状であり相互に配置転換可能であるとともに、各衝撃部材はその両側部分が同一形状を有し当該衝撃部材の配置場所を変えることなく反転させて配置することが可能であることを特徴とする遠心力により岩石或いは鉱石を破砕する装置である。
本発明の一形態では、上記ガイド板はその長手方向に湾曲した凹部状の収納部を有し、上記複数の衝撃部材は上記収納部内に縦列配置されることにより上記シリンダ内面に湾曲した面を構成するようにしている。
ロータの回転による遠心力を利用して岩石等を破砕する装置において、ロータ上に設置され且つ岩石等を案内するシリンダを構成する従来のガイド板の内壁に複数の衝撃部材をロータに対して放射状に且つ着脱可能に配設している。このようにすることにより、ガイド板のシリンダ側の内壁に設けた複数の衝撃部材が局所的に損傷した場合、損傷した衝撃部材のみを交換すればよいので、従来のようにガイド板全体を交換する必要がなくなる。さらに、その衝撃部材の損傷の具合によっては、損傷した衝撃部材の配置位置を変更するだけで部材の交換を延ばすことが可能であり、さらに、衝撃部材の配置位置を変えることなく損傷部材を反転させることによっても部材の交換を延ばすことが可能となることもある。
本発明が応用される従来の破砕装置の一例の断面図。 図1に示した従来の装置のロータの斜視図。 図2に示した従来のロータに組込む部品の斜視図。 図2に示した従来のロータに図3に示した部品を組込んだ様子を示す斜視図。 本発明の実施の形態に係るガイド板を説明するための斜視図。 本発明に係るガイド板と衝撃部材などを説明する斜視図及び断面図。
以下、本発明の実施の形態について図6を参照しながら説明する。尚、必要に応じて特許文献1及び2に関連して説明した部材(部品)にも言及する。
図6(a)のガイド板80は図3(a)に示したガイド板12に相当し、ガイド板80と12の相違は、前者には図6(a)に示す凹部状の収納部84が設けられ、この収納部84に図6(c)に示す衝撃部材82が収納されることにある。
図6(b)は、複数の衝撃部材82がガイド板80の長手方向(長軸方向)に沿って収納部84に縦列配置されていることを示している。図4で説明したように、ガイド板80はロータ1に対して略放射状に配置されるので、複数の衝撃部材82はガイド板80のシリンダ内面となる内壁に略放射状(ロータ1に対して)に設けられることになる。
衝撃部材82の中央部に設けた細長い突起部86は、図3(a)で説明した突起部35に相当し、衝撃部材82の中央部は岩石が衝突する割合が大きいことを考慮して設けたものである。
衝撃部材82は突起部86の長手方向の中心線に関して両側部分が同一形状に製作される。したがって、複数の衝撃部材82を図6(b)に示すように設置した場合、個々の部材を180度回転させて設置しなおすことができる。
図6(d)は衝撃部材82を組み込んだガイド板80を、図3(a)のシリンダ本体11に相当するシリンダ本体88に設置した様子を示す断面図である。シリンダ本体88と11の主な相違点は、シリンダ本体88には縦列設置した衝撃部材82を抑えるための突起部90が設けられていることである。図4に示したように、ロータ1は矢印の方向に回転するので、衝撃部材82には図6(d)の矢印92の方向に力が加わる。
シリンダ本体88にガイド板80を合わせたものがシリンダ94であり、上述した従来技術に即していえば合計6本のシリンダ94がロータ1(図4)に搭載される。
以上説明したように、岩石等を案内するシリンダを構成する従来のガイド板の内壁に凹部状の収納部84を形成し、この収納部に複数の衝撃部材82をロータに対して放射状に且つ着脱可能に設けることによって、ガイド板80のシリンダ側の内壁が局所的に損傷した場合、その部分の衝撃部材を交換することによってガイド板全体を交換する無駄を省くことができる。さらに、その衝撃部材82の損傷の具合によっては、損傷した衝撃部材を新た部材に交換することなく配置位置を反転させることによって新たな衝撃部材の補充回数を減らすことが可能となる。したがって、磨耗が激しい部品の交換費用を大幅に削減することができる。
1…ロータ
50:ガイド板ケース
52:ガイド板本体
53:ガイド板
74:打撃板
80:ガイド板
82:衝撃部材
84:衝撃部材を収納する収納部
86:突起部
88:ガイド板本体
90:衝撃部材を抑える突起部
92:装置の運転中に衝撃部材に加わる円周方向の力を示す矢印

Claims (2)

  1. 略逆円錐形のロータの上部に複数のシリンダを略放射状に配置し、上記ロータの上方から投入される岩石或いは鉱石を上記複数のシリンダに導入し、上記岩石或いは鉱石を上記ロータの遠心力を利用してロータ外周部から放出して破砕する装置において、上記複数のシリンダの夫々はシリンダ本体とガイド板との組み合わせであり、該ガイド板はシリンダ内面となる内壁に複数の衝撃部材を上記ロータに対して略放射状に且つ着脱可能に備え、上記複数の衝撃部材は夫々略同一の形状であり相互に配置転換可能であるとともに、各衝撃部材はその両側部分が同一形状を有し当該衝撃部材の配置場所を変えることなく反転させて配置することが可能であることを特徴とする遠心力により岩石或いは鉱石を破砕する装置。
  2. 上記ガイド板はその長手方向に湾曲した凹部状の収納部を有し、上記複数の衝撃部材は上記収納部内に縦列配置されることにより上記シリンダ内面に湾曲した面を構成することを特徴とする請求項1記載の遠心力により岩石或いは鉱石を破砕する装置。
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