JP5545299B2 - 研磨ユニット - Google Patents

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Description

関連出願の相互参照
本願は、日本国特許出願第2010−216294号(出願日2010年9月28日)、発明の名称「研磨ユニット」の優先権の利益を主張しており、当該出願の内容の全体が参照により本明細書に組み込まれている。
発明の詳細な説明
[技術分野]
本発明は、遠心バレル研磨装置に用いる研磨ユニットおよび該研磨ユニットを搭載した遠心バレル研磨装置による研磨方法に関する。
従来より、被研磨物(ワーク)のバリ取り、丸め加工、光沢仕上げ研磨などのために、バレル槽内にワークと研磨メディアとを投入し、このバレル槽を自公転させることにより研磨メディアを流動させてワークを研磨する遠心バレル研磨装置が広く用いられている。
このような遠心バレル研磨装置に用いられる従来の研磨ユニットは、例えば、特許文献1に開示されている。
図4に従来の研磨ユニット一例を示す。この従来の研磨ユニット100は、箱型の本体111と蓋112とからなるバレル槽110と、図示されていないタレット(公転円盤)に回転可能に取り付けられたバレル槽ケース120とを備えている。バレル槽110をバレル槽ケース120に固定するには、バレル槽ケース120に設けられた固定部材121のレバ−122を作業員が手動操作して、偏心棒123を回転させることにより、カム124を蓋112の上面に形成されたショルダ113に当接させて、蓋112を本体111に強く押し付けて固定する。
特開平11−58214号公報(新東ブレータ−株式会社)
上記のような従来の研磨ユニット100では、バレル槽110が、本体111に蓋112を固定する手段を備えていないので、カム124の偏心量で充分な押圧力を生じさせるためには、カム124とショルダ113との間のクリアランスに高い精度が要求される。従って本体111と蓋112とが互いに整合しなければ、クリアランスが所定の範囲を外れるおそれがあるため、本体111及び蓋112には他の蓋及び本体に対する互換性がなく、バレル槽110の着脱作業を効率的に行えないという問題がある。また、カム124の偏心量と、カム124とショルダ113との間のクリアランスとにより、押圧力の大きさ及び押圧力が作用する方向が決まるため、押圧力を一定の値で一定の方向に制御することが困難であるという問題もある。
また、バレル槽110内面のゴム製ライニングを交換する際には、ライニングを形成するゴムを加熱して除去する場合があるが、このとき本体111または蓋112、またはその両方に熱歪みが生じると、カム124とショルダ113との間のクリアランスが変化してしまうため、クリアランスの修正を要し、場合によっては本体111および蓋112の少なくとも一方を交換しなければならない。
また、前述の通りバレル槽110は、メンテナンス(例えば、前記ゴム製ライニングの摩耗によるバレル槽の交換)や、ワークおよび研磨メディアを該バレル槽110に対して出し入れするために着脱する必要があるので、軽量化が求められている。
そこで、本発明の目的は、バレル槽の本体及び蓋に他の蓋及び本体に対する互換性を与え、バレル槽本体への蓋の固定及びバレル槽ケースへのバレル槽の固定を確実に行うことができ、メンテナンス性に優れた研磨ユニットを提供し、また該研磨ユニットを使用した研磨方法を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明の一つの実施形態では、遠心バレル研磨装置に用いる研磨ユニットが提供され、これは、被研磨部材及びメディアを装入する本体部と、この本体部を封止する蓋とを有するバレル槽と、
前記バレル槽を保持するトレイと、前記バレル槽を前記トレイに固定するバレル槽固定部材とを有し、遠心バレル研磨装置の公転円盤に取り付けられたバレル槽ケースとを備え、前記バレル槽固定部材は、前記蓋の外形形状に対応し、前記蓋を鉛直下方に押圧可能に構成されている押圧部材を有する。
この実施形態によれば、押圧部材により蓋を鉛直下方に押圧し、適切な押圧力により蓋を本体部に固定することができるので、バレル槽固定部材と蓋とのクリアランスによらずバレル槽をバレル槽ケースに確実に固定することができる。
また、押圧部材は蓋の外形形状に対応しているため、押圧部材と蓋とのがたつきが生じることを防いで蓋を本体部に確実に固定することができる。
蓋を本体部に同じ押圧状態で固定することができるので、本体部と蓋との組み合わせを固定する必要がなく、バレル槽本体と蓋とに互換性がある研磨ユニットとすることができる。
この場合、前記バレル槽固定部材は、前記バレル槽固定部材を案内する一対のガイド部に挿通され、前記バレル槽を着脱するときに水平方向に移動可能に構成されていると共に、前記バレル槽固定部材を前記バレル槽の固定位置に装着するときに前記ガイド部を基準にして前記バレル槽固定部材の移動を制限する位置決め部材を含んでもよい。
このような構成によれば、バレル槽固定部材は、バレル槽固定部材を案内する一対のガイド部に挿通され、バレル槽を着脱するときに水平方向に移動可能に構成されているため、バレル槽固定部材がバレル槽の着脱の邪魔にならないようにすることができ、バレル槽の着脱を容易に行うことができる。
そして、バレル槽固定部材をバレル槽の固定位置に装着するときに、位置決め部材によりガイド部を基準にしてバレル槽固定部材の移動を制限することができるので、バレル槽を容易に固定位置に配置して移動しないようにすることができる。
その位置決め部材は、前記バレル槽固定部材を前記バレル槽の固定位置に装着するときに前記バレル槽固定部材の装着方向への移動を制限する凸部材と、前記バレル槽固定部材の内部から外方に突出する向きに付勢された突出部材であって、前記バレル槽固定部材の内部に格納可能に構成されており、前記バレル槽固定部材を前記バレル槽の固定位置に装着するときに突出して、前記バレル槽固定部材の解除方向への移動を制限する突出部材とを含んでもよい。
この場合、バレル槽固定部材を装着するときに、凸部材によりバレル槽固定部材の装着方向への移動を制限し、突出部材により解除方向への移動を制限することができる。これにより、バレル槽を容易に固定位置に配置して移動しないようにすることができる。
突出部材は位置決め部材の内部から外方に突出する向きに付勢されているので、バレル槽固定部材をバレル槽の固定位置に装着するだけで自動的に突出して解除方向への移動を制限することができる。
本発明の研磨ユニットは、所定の位置への位置決めが可能なインデックスプランジャと、前記インデックスプランジャを操作することにより前記インデックスプランジャを介して前記蓋を前記本体部に対して押圧する蓋押圧部材と、前記蓋を前記本体部に固定するための蓋固定部材とを更に備えることが好ましい。
この場合、バレル槽が、インデックスプランジャを操作することにより蓋を本体部に固定する蓋固定部材を備えているので、簡単かつ確実に固定が可能であるので、本体部と蓋との整合性を考慮しなくてもよく、本体部及び蓋に他の蓋及び本体に対する互換性を与えることができる。
上述のいずれの研磨ユニットにおいても、前記バレル槽本体部の溶接部をスポット溶接法により形成することが好ましい。
従来、バレル槽本体部は、柱状に曲げた金属板に側面を形成する金属板をアーク溶接法などにより全周溶接して形成されており、入熱量が多く溶損するおそれがあるので、金属板は板厚が3mm以上の厚いものが用いられている。一方、上述のようにバレル槽本体部の溶接部をスポット溶接法により形成すると、金属板が溶損するおそれが少なくなるので、1mm程度の薄い金属板を用いてバレル槽本体部を作製することができる。これにより、バレル槽を軽量化することができ、作業者の負担が軽減されるとともに、バレル槽の作製の作業工数削減及び部材のコストダウンが可能となる。さらに、該バレル槽が軽量化されることで、該バレル槽の自転および公転運動を行うための駆動源への負荷が軽減されることにより、バレル研磨装置の省エネルギ化ともにバレル研磨装置の劣化を抑えることができる。
上述のいずれの研磨ユニットを備える遠心バレル研磨装置による研磨を行う前記メディアは、基体となる樹脂に砥粒が分散されて形成していることが好ましく、また、該砥粒は、前記メディアに対して30〜70質量%含有されている事がなお好ましい。また、前記メディアの重量が0.01〜50gまたは比重が1.7〜2.3であることが好ましい。
また、前記メディアは、円形断面をもち、かつ連続した同一の断面積を持つ直胴部と、前記断面積より連続的に縮径する縮径部と、により形成されていることが好ましく、また、該メディアは、鋭角部が丸め加工されていることがさらに好ましい。
また、前記円形断面の直径と、該円形断面に直交する断面の長さとの比が1:0.5〜1:1.5であることが好ましい。
樹脂を基体したメディアを使用して研磨を行うことは、本発明の目的の一つである「軽量化」の一助となる。しかし、樹脂の含有量が少ないと十分な研磨力を得ることができない。軽量化に貢献し、かつ十分な研磨力を得るために、前記メディアに含まれる砥粒の含有率を30〜70%とすることが好ましい。さらに、前記メディアの重量が0.01〜50gまたは比重が1.7〜2.3であることが好ましい。
上述のいずれの研磨ユニットを備える遠心バレル研磨装置は研磨時にバレル槽が自公転して研磨を行うため、研削力が高いが他の形式のバレル研磨装置(例えば回転式)に比べメディアの損耗量が大きい。メディアの形状を、前述のように前記直胴部と前記縮径部を組み合わせた形状とすることで、メディアの損耗の原因となるワークおよびバレル槽と衝突する際に衝突エネルギが分散し、ある箇所のみが集中的に摩耗するいわゆる片減りや、割れ・欠け等を防ぐことができる。さらに鋭角部に丸め加工を施すことで、割れ・欠けの起点となることを防ぐことができる。前記直胴部および前記縮径部を組み合わせた形状のメディアにおいて、十分な研磨力を有し、かつ前述のような片へりや割れ・欠けを防ぐのに最適な形状は、前記円形断面と該断面に直交する断面の長さの比を1:0.5〜1:1.5の範囲とすることが好ましい。
明細書の一部に含まれ、それを構成する添付図面は、本発明の好ましい実施形態を概略的に示し、上述の一般的説明および以下の好ましい実施形態の詳細な説明と共に、本発明の要旨を説明するのに役立つ。
本発明に係る研磨ユニットのバレル槽の構造を示す説明図である。図1(A)はバレル槽の斜視図、図1(B)は側面透視図である。 本発明に係る研磨ユニットの構造を示す説明図である。図2(A)は研磨ユニットの斜視図、図2(B)は図2(A)のA−A矢視拡大断面図である。 図3(A)−図3(D)は、本発明に係る研磨ユニットのバレル槽における蓋固定部材の構造及び蓋固定部材による蓋の本体部への固定方法を示す説明図である。 従来の研磨ユニットを示す斜視図である。 本発明に係るメディアの形状を示す説明図である。図5(A)は正面図、図5(B)は図5(A)におけるA−A線矢視図(底面図)である。
本発明に係る遠心バレル研磨装置に用いる研磨ユニットについて説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1に示すように、バレル槽10は、縦断面が多角形または円形の筒状に形成されており、上部にワーク及びメディアを装入するための開口部11aを有する本体部11と、開口部11aを封止する蓋12と、を備えている。本実施形態では、バレル槽10は一例として縦断面形状が8角形に形成されている。
本体部11の内面及び蓋12の下面には、従来の研磨ユニットと同様に、各面の摩耗を防ぐための耐摩耗性ゴム部材からなるライニング13が形成されている。
蓋12を本体部11に固定するための蓋固定部材14は、本体部11の開口部11aの外側の固定位置(孔部11b)に対応して、蓋12の4箇所に設けられている。
蓋固定部材14は、本体部11に取り付けるべき蓋12が、本体部11に対して所定の位置に整合した際に、ピンや球またはそれらの均等物(図示せず)が突出することで蓋12の位置決めを行うインデックスプランジャ14aと、インデックスプランジャ14aを操作することによりインデックスプランジャ14aを介して蓋12を本体部11に対して押圧することができる蓋押圧部材14bと、を有している。図1は、蓋固定部材14により蓋12が本体部11に固定された状態を示している。
図3に、蓋固定部材14の構造及び蓋固定部材14による蓋12の本体部11への固定構造並びに固定方法を示す。ここで、図3(A)の上半部及び図3(B)〜(D)は固定構造を側面から見た透視図であり、図3(A)の下半部は本体部11を上方から見た平面図である。
図3(A)に示すように、蓋押圧部材14bは、蓋12を貫通し本体部11の孔部11bに挿入可能な円柱部をインデックスプランジャ14aの操作により回動可能に構成されている。孔部11bに挿入される円柱部には傾斜溝14cが形成されており、孔部11bの内部には傾斜溝14cを上下方向に案内する固定ピン11cが設けられている。
図3(B)に示すように、蓋押圧部材14bを本体部11の孔部11bに挿入し、図3(C)に示すように、インデックスプランジャ14aを図1の矢印L方向に移動させると、蓋押圧部材14bが回動して、固定ピン11cにより傾斜溝14cが案内されてインデックスプランジャ14aが下方に移動する。
そして、インデックスプランジャ14aが所定の位置に到達すると、ピンが下方に突出して蓋押圧部材14bが所定の回動位置に位置決めされ、図3(D)に示すように、蓋12の上面を押圧して蓋12を本体部11に固定することができる。ここで、インデックスプランジャ14aが所定の位置(図1の矢印の一端L位置)で位置決めされるため、蓋押圧部材14bによりインデックスプランジャ14aを介して蓋12が本体部11を押圧する変位を一定量とする(即ち、押圧力を一定とする)ことができる。
インデックスプランジャ14aを図2のO方向に回動させると、蓋12に対する押圧が解除されるため、蓋12を本体部11から取り外すことができる。
このように、バレル槽10が蓋12を本体部11に固定する蓋固定部材14を備えており、簡単かつ確実な固定が可能であるので、本体部11と蓋12との整合性を考慮しなくてもよく、本体部11及び蓋12を他の蓋及び本体部に対して互換性を有するものとすることができる。
ここで、蓋固定部材14を設ける位置及び数は、バレル槽10の大きさなどにより適宜に設定することができる。
図2に示すように、バレル槽ケース20は、バレル槽10を載置して保持するトレイ21と、バレル槽10をトレイ21に固定するバレル槽固定部材22、バレル槽10を着脱するときにバレル槽固定部材22を水平方向(本実施形態では回転軸方向)に移動可能に案内する一対のガイド部23とを備えている。バレル槽ケース20は図示しない遠心バレル装置のタレット(公転円盤)に回転軸24を介して自転可能に取り付けられている。
ガイド部23は、回転軸方向の両側面に設けられており、バレル槽固定部材22を挿通したときに、ガイド部23の内周面とバレル槽固定部材22の外周面との間に、バレル槽固定部材22の移動を妨げない程度の間隙が形成されるように、環状に形成されている。
バレル槽固定部材22は、バレル槽10を鉛直下方に押圧可能なようにトレイ21に対向する位置に差し渡して配置され、バレル槽10を押圧する押圧部材22aと、バレル槽固定部材22を装着するときにガイド部23を基準にしてバレル槽固定部材22の移動を制限する位置決め部材である凸部材22c及び突出部材22dと、を備えている。
押圧部材22aは、例えば締め付けボルト22bにより上下の位置を調節し、蓋12を鉛直下方に押圧可能に構成されている。蓋12を押圧する接触部22eは、蓋12の上面の外形形状に対応している。
凸部材22cは、バレル槽固定部材22上面に、ガイド部23を通過できない凸形状に形成されており、バレル槽固定部材22をバレル槽10の固定位置に装着するときに装着方向(図2(A)の矢印M方向)への移動を制限する位置に配置されている。
突出部材22dは、本実施形態では板状に形成されており、バレル槽固定部材22の内部に格納可能に構成され、バレル槽固定部材22の内部から外方に突出する向き(図2(A)の矢印X方向)にバネなどにより付勢されている。
突出部材22dはバレル槽固定部材22を装着するときに突出して、バレル槽固定部材22の解除方向(図2(A)の矢印N方向)への移動を制限するように形成されている。
バレル槽固定部材22を解除するときには、突出部材22dを付勢に対抗してバレル槽固定部材22の内部に格納することで、簡単に移動の制限を解除し、移動させることができる。
なお、装着方向側のガイド部23は、上述の環状に代えて、解除方向に開口するカップ状に形成してもよい。この場合も、バレル槽固定部材22の装着方向への移動を制限することができ、凸部材22cと同様の効果が奏される。
以下に、本実施形態の研磨ユニット1の使用例について説明する。
まず、バレル槽10の本体部11内部にワーク及びメディアを投入し、本体部11の開口部11aに蓋12を載置し、インデックスプランジャ14aを操作して蓋固定部材14により蓋12を本体部11に固定する。
次に、突出部材22dを押圧してバレル槽固定部材22内部に格納した状態で、バレル槽固定部材22をガイド部23に沿って解除方向(図2(A)の矢印N方向)へ移動させる。
続いて、バレル槽10をトレイ21に載置し、バレル槽固定部材22を、バレル槽10の固定位置に装着する装着方向(図2(A)の矢印M方向)へガイド部23に沿って移動させる。ここで、突出部材22dには装着方向Mに向かって幅が狭くなる傾斜部22fが形成されているため、バレル槽固定部材22を装着方向へ移動させると、ガイド部23により突出部材22dが図2(A)の矢印Y方向に押し込まれる。そして、突出部材22dがガイド部23を通過すると再度突出し、バレル槽固定部材22が所定の位置に位置決めされる。
そして、締め付けボルト22bにより押圧部材22aを下降させて、蓋12を鉛直下方に押圧し本体部11に押し付けて封止するとともに、バレル槽10をバレル槽ケース20に固定する。
このように、押圧部材22aにより蓋12を鉛直下方に押圧し、適切な押圧力により蓋12を本体部11に固定することができるので、バレル槽固定部材22と蓋12とのクリアランスによらずバレル槽10をバレル槽ケース20に確実に固定することができる。
また、押圧部材22aの接触部22eは蓋12の外形形状に対応しているため、押圧部材22aと蓋12とのがたつきが生じることを防いで蓋12を本体部11に確実に固定することができる。
蓋12を本体部11に同じ押圧状態で固定することができるので、本体部11と蓋12との組み合わせを固定する必要がなく、本体部11及び蓋12が他の蓋及び本体部に対して互換性を有する研磨ユニット1とすることができる。
本実施形態で用いるバレル槽10の本体部11は、柱状に曲げた金属板に側面を形成する金属板をスポット溶接法により溶接して作製されている。従来、バレル槽本体部は、アーク溶接法などにより全周溶接して形成されていたが、入熱量が多く溶損するおそれがあるので、その金属板には板厚は3mm以上の厚いものが採用されている。
一方、本実施形態のように、本体部11の溶接部をスポット溶接法により形成することにより、金属板が溶損するおそれが少なくなるため、1mm程度の薄い金属板を用いて本体部11を作製することができる。これにより、バレル槽10を軽量化することができ、作業者の負担が軽減されるとともに、作製に係る作業工数削減及び部材のコストダウンが可能となる。さらに、前記軽量化したことにより、該バレル槽10の自転および公転運動を行うための駆動源(例えば駆動モータ)への負荷が軽減されることにより、バレル研磨装置1の省エネルギ化が図れるとともにバレル研磨装置1の劣化を抑えることができる。
従来のバレル槽では、そのライニングを交換する際には、ライニングを形成するゴムを加熱して除去した後、新たなライニングを形成する場合がある。しかしながら、このような交換方法では、ライニング13を新たに形成するコストと研磨バレル槽10の製造コストとが大差なくなるため、ライニング13を交換することなく、新しいバレル槽10を使用してもよい。
前述のように、メディアおよびワークが投入されているバレル槽10を操作員が手動で遠心バレル研磨装置内に載置するため、軽量であるほうが好ましい。そのため、本実施形態では、樹脂を基体とし、該樹脂に砥粒を分散させて形成したメディアを使用した。砥粒によって形成されるメディアに比べて軽量であるが、砥粒の含有率が低いと十分な研磨力が得られないため、砥粒の含有率はメディアに対して30〜70質量%、望ましくは40〜60%含有していることが好ましい。また、前記メディアの重量を、0.01〜50g、望ましくは0.02〜40g、あるいは前記メディアの比重を1.6〜2.4、望ましくは1.8〜2.2とすることが好ましい。重量または比重が前述の範囲より小さいと、バレル槽10内でのバレルの流動が不十分となり十分な研磨力を得られず、重量または比重が前述の範囲より大きいと、研磨時にワークとメディアの衝突により、ワークの表面に打痕が生じる。なお、前記樹脂は熱可塑性樹脂(例えば、ナイロン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、AS樹脂、等)や熱硬化樹脂(例えば、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、等)を好適に用いることができる。砥粒としては、公知の材料(例えば、アルミナ、シリカ、炭化珪素、酸化鉄、酸化硼素、ジルコン、酸化クロム、ダイヤモンド、金剛砂、及びこれらの粉末、あるいはこれらを原料とした成形物、等)を好適に用いることができる。また、砥粒の粒度は砥粒の種類、メディアの大きさ、ワークの性状および研磨の目的に応じて適宜選択することができる。
また、前記メディアの形状は球形、柱形状(円柱、多角柱)、円錐形状、等が考えられるが、図5に示すように、円形断面をもち、かつ連続した同一の断面積を持つ直胴部と、前記断面積より連続的に縮径する縮径部と、により形成される形状とした。球形のメディアより強い研磨力を有し、かつ円錐形状や柱形状の様に研磨が進むにつれメディアが片減りすることがなく、同様の形状を維持しながら損耗していくので高い研磨力を長時間維持することができる。また、前記直胴部の角面や、前記直胴部と前記縮径部との交点や、前記縮径部の頂点(最も縮径された箇所)が鋭角であると、鋭角部が基点となりチッピングが生じてメディアの割れや欠けの原因となったり、ワークに傷または凹凸(打痕)が形成されたりするため、該鋭角部に丸め加工を施したメディアを使用した。丸め加工は、鋭角部を持つメディアを形成後に加工しても、メディアの形成時に鋭角部を持たないように形成しても、いずれでもよい。
前記メディアの大きさは、ワークの性状、研磨の目的、バレル槽の大きさ、等によって適宜選択されるが、概ね前記円形断面の径が1〜50mm、望ましくは2〜40mmより選択するのが好ましい。また、前記のような形状のメディアでは、前記円形断面の径Dと、前記円形断面と直交する断面の長さLの比D:Lは1:0.5〜1:1.5とすることが好ましい。LがDに対して小さいと十分な研磨力が得られず、Lが大きいと研磨時にメディアの片減りが生じる。
なお、本発明の研磨ユニットを用いる遠心バレル研磨装置は、乾式遠心バレル研磨装置、湿式遠心バレル研磨装置のいずれでもよい。
[実施形態の効果]
(1)本発明の研磨ユニット1によれば、押圧部材22aにより蓋12を鉛直下方に押圧し、適切な押圧力により蓋12を本体部11に固定することができるので、バレル槽固定部材22と蓋12とのクリアランスによらずバレル槽10をバレル槽ケース20に確実に固定することができる。
また、押圧部材22aの接触部22eは蓋12の外形形状に対応しているため、押圧部材22aと蓋12とのがたつきが生じることを防いで蓋12を本体部11に確実に固定することができる。
蓋12を本体部11に同じ押圧状態で固定することができるので、本体部11と蓋12との組み合わせを一対一に限定する必要がなく、本体部11及び蓋12が他の蓋及び本体部との互換性を有する研磨ユニット1とすることができる。
(2)バレル槽固定部材22は、バレル槽10を着脱するときに水平方向に移動可能に構成されているため、バレル槽固定部材22がバレル槽10の着脱を妨げないようにすることができ、バレル槽10の着脱が容易になる。
そして、バレル槽固定部材22をバレル槽10の固定位置に装着するときに、凸部材22c及び突出部材22dによりガイド部23を基準にしてバレル槽固定部材22の移動を制限することができるので、バレル槽10を容易に固定位置に配置して移動しないようにすることができる。
(3)バレル槽10が、インデックスプランジャ14aを操作することにより蓋12を本体部11に固定する蓋固定部材14を備えており、簡単かつ確実な固定が可能であるので、本体部11と蓋12との整合性を考慮しなくてもよく、本体部11及び蓋12を他の蓋及び本体部との互換性を有するものとすることができる。
本発明の幾つかの実施例について説明した。それでもなお、本発明の要旨及び目的から逸脱することなく、様々な変更例をなし得ることを理解されたい。
1…研磨ユニット
10…バレル槽
11…本体部
11a…開口部
11b…孔部
11c…固定ピン
12…蓋
14…蓋固定部材
14a…インデックスプランジャ
14b…蓋押圧部材
14c…傾斜溝
20…バレル槽ケース
21…トレイ
22…バレル槽固定部材
22a…押圧部材
22b…締め付けボルト
22c…凸部材
22d…突出部材
22e…接触部
23…ガイド部
24…回転軸

Claims (4)

  1. 遠心バレル研磨装置に用いる研磨ユニットであって、
    被研磨部材及びメディアを投入する本体部と、この本体部を封止する蓋とを有するバレル槽と、
    前記バレル槽を保持するトレイと、前記バレル槽を前記トレイに固定するバレル槽固定部材とを有し、遠心バレル研磨装置の公転円盤に取り付けられたバレル槽ケースとを備え、
    前記バレル槽固定部材は、前記蓋の外形形状に対応し、前記蓋を鉛直下方に押圧可能に構成された押圧部材を有し、前記バレル槽固定部材を案内する一対のガイド部に挿通され、前記バレル槽を着脱するときに水平方向に移動可能に構成されていると共に、
    前記バレル槽固定部材を前記バレル槽の固定位置に装着するときに前記ガイド部を基準にして前記バレル槽固定部材の移動を制限する位置決め部材を含むことを特徴とする研磨ユニット。
  2. 前記位置決め部材は、
    前記バレル槽固定部材を前記バレル槽の前記固定位置に装着するときに前記バレル槽固定部材の装着方向への移動を制限する凸部材と、
    前記バレル槽固定部材の内部から外方に突出する向きに付勢された突出部材であって、
    前記バレル槽固定部材の内部に格納可能に構成されており、前記バレル槽固定部材を前記バレル槽の固定位置に装着するときに突出して、前記バレル槽固定部材の解除方向への移動を制限する突出部材とを含むことを特徴とする請求項に記載の研磨ユニット。
  3. 所定の位置への位置決めが可能なインデックスプランジャと、前記インデックスプランジャを操作することにより前記インデックスプランジャを介して前記蓋を前記本体部に対して押圧する蓋押圧部材と、前記蓋を前記本体部に固定するための蓋固定部材とを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の研磨ユニット。
  4. 前記バレル槽本体部の溶接部がスポット溶接法により形成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか1つに記載の研磨ユニット。
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