JP6599980B2 - タンパク質抽出方法 - Google Patents

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Description

本明細書に開示した実施形態は、タンパク質調製物からのDNA凝縮タンパク質の抽出方法に関する。
DNA凝縮タンパク質の抽出方法及び特性分析方法を記述した。かかる一方法は、2.5Mなどの高濃度の塩化ナトリウムに試料をさらすことを含む。別の一方法は、pH1.0以下などの低pHに最高16時間さらすことを含む。塩化ナトリウムと低pHの組合せは、恐らくはそれらの理解されている作用機序が相反するために、用いられていない。どちらかの技術と界面活性剤の使用をサイズ排除クロマトグラフィによる後続処理と一緒に記述した。
一部の態様においては、本明細書に開示した実施形態は、DNA凝縮タンパク質を調製物から抽出する方法であって、調製物を有機カチオン、中性塩及び非イオン界面活性剤とpH約0.1から約1.0で接触させるステップ、混合物を約30分間から約150分間インキュベートするステップ、固体を除去して抽出物を得るステップ、抽出物を(1)アニオン交換クロマトグラフィを空隙排除モードで実施するのに適切な正電荷粒子又は(2)排除限界が約5,000ダルトンの実質的に無電荷のサイズ排除クロマトグラフィ粒子を含む粒子充填カラムにかけるステップであって、粒子充填カラムは粒子間体積を有し、かけた抽出物の体積は粒子間体積以下である、ステップの後に、続いて緩衝剤を用いて、試料をカラムの下方に移し、カラムの排除体積に対応するピークにおいて抽出DNA凝縮タンパク質を収集するステップを含む方法を提供する。
空隙排除モードで操作された正電荷粒子のカラムによる初期抽出物の分画を示すクロマトグラムである。灰色で強調したピークは、抽出されたヒストンタンパク質を含む。
一部の実施形態においては、所望のタンパク質を含む生物学的調製物からDNA凝縮タンパク質を抽出する方法であって、調製物をカチオン性有機化合物と、濃度約1から約3Mの中性塩と、非イオン界面活性剤との組合せと約0.1から約1.0の範囲のpHで約30分間から約2時間接触させて、抽出物試料を得ることを含む初期抽出ステップ、次いで、分画を空隙排除モードで行うのに適切な正電荷粒子が充填されたカラム、又は排除限界が約5,000ダルトンの実質的に無電荷の多孔質粒子が充填されたカラムに抽出物試料をかけることを含む最終抽出ステップ、ここで、かけた試料がカラムに入った時点における試料体積はカラムの粒子間体積以下である、かけるステップの後に、続いて緩衝剤を用いて、試料をカラムの下方に移し、カラムの排除体積に対応するピークにおいて抽出DNA凝縮タンパク質を収集するステップを含む方法を提供する。
一部の実施形態においては、DNA凝縮タンパク質を調製物から抽出する方法であって、調製物を有機カチオン、中性塩及び非イオン界面活性剤とpH約0.1から約1.0で接触させるステップ、混合物を約30分間から約150分間インキュベートするステップ、固体を除去して抽出物を得るステップ、抽出物を(1)アニオン交換クロマトグラフィを空隙排除モードで実施するのに適切な正電荷粒子又は(2)排除限界が約5,000ダルトンの実質的に無電荷のサイズ排除クロマトグラフィ粒子を含む粒子充填カラムにかけるステップであって、粒子充填カラムは粒子間体積を有し、かけた抽出物の体積は粒子間体積以下であるステップ、かけるステップの後に、続いて緩衝剤を用いて、試料をカラムの下方に移し、カラムの排除体積に対応するピークにおいて抽出DNA凝縮タンパク質を収集するステップを含む方法を提供する。
一部の実施形態においては、有機カチオンは、グアニジニウム、エタクリジン、メチレンブルー、ダウノマイシン、ドキソルビシン、クロルヘキシジン、アレキシジン、塩化ベンザルコニウム、トリス(2−アミノエチル)アミン、セチルトリメチルアンモニウム、ポリエチレンイミン及びそれらの組合せからなる群から選択される。
一部の実施形態においては、エタクリジン又はメチレンブルーの濃度は、ゼロでない量から0.05%(重量/体積)、0.01から0.1%、0.02から0.05%、及び0.03から0.10%からなる群から選択される範囲である。
一部の実施形態においては、グアニジニウムの濃度は、0.5から1.5M、0.8から1.2M、及び0.9から1.1Mからなる群から選択される範囲である。
一部の実施形態においては、中性塩は、約1Mから約3Mの濃度範囲で存在する。
一部の実施形態においては、中性塩は塩化ナトリウム又は塩化カリウムである。
一部の実施形態においては、非イオン界面活性剤は、Tween20、Tween40、Tween60及びノニデット(Nonidet)NP40からなる群から選択される。
一部の実施形態においては、非イオン界面活性剤は、約0.05%から約0.25%w/vの濃度範囲で存在する。
一部の実施形態においては、DNA凝縮タンパク質は、1種以上のヒストンタンパク質を含む。
一部の実施形態においては、調製物は、細胞培養上清、体液、組織ホモジネート、分画プロセスからの一画分からなる群から選択される。
一部の実施形態においては、所望の非ヒストンタンパク質は、天然タンパク質又は組換えタンパク質である。
一部の実施形態においては、所望の非ヒストンタンパク質は、抗体、IgG、IgM、非抗体タンパク質からなる群から選択される。
一部の実施形態においては、カチオン性有機化合物を初期抽出ステップから省略することができる。
一部の実施形態においては、クロマトグラフィ最終抽出ステップを省略することができる。
一部の実施形態においては、本明細書に開示した方法を実施するように構成されたキットを提供する。
DNA凝縮タンパク質の抽出は、強力な自己会合及びDNAとの相互作用のために困難である。抽出用試薬は市販されているものの、効率的な抽出を支援するとされる方法は、存在する実際の量を著しく過小評価していることが判明した。その上、ヒストンなどのDNA凝縮タンパク質をヌクレオソームなどのより複雑な構造体から十分遊離させることができないことは明白である。公知の抽出条件も長期の抽出中にヒストンを分解し、過小評価を悪化させる。既存の抽出方法によって個々に採用された、高塩濃度による電荷抑制及び低pHにおける電荷反発の主要な機構は、相反するものであり、併用すると、特定の範囲内を除いて、ヒストン含有量をより一層過小評価し得ることが判明した。既存のヒストン抽出方法の更なる問題は、抽出環境を生理的環境に戻すと、ヒストンが未抽出試料中に存在して、並行して検出不可能になることである。これは、公知のヒストン検出方法が、ヒストン抗原部位を露出させるためにヌクレオソームなどのヒストン含有構造体の一時的な不安定化に依存することを含意し、それは、試料が抽出環境中にある間しか既存の抽出方法がその抗原部位を露出させることができないことを示している。
細胞培養によって産生される所望の組換えタンパク質を含む調製物中のすべての混入宿主タンパク質の量を明らかにするのに使用され、明らかにすると考えられている宿主タンパク質アッセイは、ヒストンを含めたDNA凝縮タンパク質を正確に検出できないことが予想外に見いだされた。実験データによれば、全宿主タンパク質を明らかにすることになっている宿主タンパク質アッセイは、ヒストン含有量を20,000倍以上過小評価する(P.Gagnonら、J.Chromatogr.A 1340(2014)68〜78)。これは、ヒストン除去のための精製方法をその能力について評価することも選択することもできず、ヒト治療用の最終製品が危険な多量の混入物を含む可能性があることを意味するので、生物学的製剤の精製における重大な問題である。
正確なヒストン定量化の問題は、較正標準の評価にまで及ぶ。ヒストンを自然源から効果的に抽出することが困難であるため、一部の供給業者は、ヒストンがヌクレオソーム中のDNAと結合しないように1種のヒストンを過剰発現させる細胞培養プロセスを開発した。これは、それ自体が天然ヒストン含有試料の組成からの逸脱であり、潜在的な分析誤差源であり、こうした「較正」溶液が単一のヒストン種、一般にはH3しか含まないことによって更に複雑になる。それは、細胞質で発現されるヒストンや細胞から分泌されるヒストンが、天然ヒストンと同じ翻訳後修飾を受けない程度に、更なる誤差源になる。
ヒストン抽出のより有効な方法を本明細書に開示する。この方法は、カチオン性有機化合物、濃度約1から約3Mの中性塩、濃度約0.01から約0.25%の非イオン界面活性剤を含む要素及び条件の組合せとヒストン含有調製物をpH約0.1から約1.0で30分間から2時間接触させるステップ、次いでアニオン交換クロマトグラフィを空隙排除モードで実施するのに適切な正電荷粒子が充填されたカラム、又は排除限界が約5,000ダルトンの実質的に無電荷の多孔質粒子が充填されたカラムに試料をかけるステップ、ここで、かけた試料がカラムに入った時点における試料体積はカラムの粒子間体積以下である、及びカラムの排除体積に対応するピークにおいて抽出ヒストンタンパク質を収集するステップを含む。これによって、pH1に、又は2.5M NaClに、又は0.1%非イオン界面活性剤NP40との組合せに、又は上記のすべてに、又は任意濃度のグアニジン単独に依拠する抽出方法よりもヒストン回収率が高くなる。予想外に、開示した方法によって抽出されたヒストンは、緩衝剤配合物を生理的条件に戻しても、DNA及び他のクロマチン成分と再集合しない。これは、低pH単独などの公知の抽出方法と根本的に対照的である。低pH単独の場合、低pH抽出試料を生理的条件に戻すと、ヒストン成分が未抽出試料中と同じくらい検出不十分になる。「生理的条件」という用語は、本明細書においては、pH約6.5から約7.5及び導電率約12から約16ミリシーメンス/cm(mS/cm)を指すと理解される。理論に拘泥するものではないが、開示した方法がこの制限を回避する能力は、クロマトグラフ分離の最終ステップ中にヒストン含有画分を未同定の再集合促進要素から分離することから生じると考えられる。空隙排除モードのアニオン交換クロマトグラフィを最終抽出ステップとして使用する場合、残留DNAは、除去される主要な再集合促進成分であり、正電荷粒子の表面に結合することによって除去されると思われる。どんな機序でも、本明細書の方法が抽出後の再集合を防止する能力によって、抽出試料は、後続の免疫測定法を妨害しない生理的条件下にあることができ、一方、低pH抽出は、通常、検出抗体も低pHで利用する必要があり、検出抗体を損なうことによって、又はその抗原結合動力学を抑制することによって、シグナルを低下させ得る。最終クロマトグラフ分離の更なる利点は、抽出試料が、最初の試料の塩濃度又はpHの中度の変化にもかかわらず、本質的に同じ結果を与えることが可能になることであり、これは、低pHなどの公知の抽出方法とは対照的である。低pHの場合、塩濃度が変化すると、後続のアッセイによって得られる値の変化がかなり誤ったものになる。最終クロマトグラフ分離の更なる利点は、すべての抽出試料が、その初期試料pH及び導電率にかかわらず同一の条件下に存在することが可能になることであり、関連する一連の試料間の条件の均一性が、そうした一連の試料間のヒストン値の全体的精度及び比較性を向上させると理解される。この利点は、異なる時間で分析され得る試料間の一貫性及び再現性を向上させることができ、開示した方法をキット形式で実施できるようにする最終クロマトグラフ分離用標準緩衝剤の使用にまで及ぶ。特にクロマトグラフィ媒体が正に帯電しているときに得られる更なる利点は、抽出方法が、後続の免疫測定法を妨害し得る酸性混入物の大部分を選択的に除去することである。含意されるように、これは、抽出されたヒストンを比較的精製された状態にする。これは、定量分析用試料の調製に、又は天然のヒストン分布を正確に示す組成物を用いた較正標準の精製に、又は別の目的での試料の精製に、開示した方法を使用できることを示している。低pH及び高塩濃度に試料を比較的短期間さらすことから得られる開示した方法の更なる利点は、低pHなどの公知の抽出方法に比べて全体のアッセイ時間を短縮することである。低pH及び高塩濃度に試料を比較的短期間さらすことから得られる開示した方法の更なる利点は、抽出されるヒストンの損傷が減少することである。抽出ヒストンの損傷は、低pHにおける抽出の慢性的な問題である。というのは、それが抽出ヒストンの検出性を低下させ、ヒストン含有量の過小評価、及び結果の抑制されない変動の増加を生じるからである。
例示的一実施形態においては、抽出される試料のpHを、容積比約15%v/vの200mM塩酸などのその条件を達成するのに十分な酸の添加によって約0.1から約1.0に低下させることができる。塩化ナトリウムを最終濃度2Mまで添加する。カチオン性有機化合物グアニジンを最終濃度0.25Mまで添加する。非イオン界面活性剤ノニデット(Nonidet)NP40を最終濃度0.1%まで添加し、混合物を室温で1時間インキュベートする。固体を濾過、遠心分離などの任意の適切な方法によって除去する。セファデックスG25などのサイズ排除に基づく緩衝剤交換クロマトグラフィ媒体をカラムに充填し、次いで50mM Hepes、100mM NaCl、pH7.0に平衡化する。浄化された試料をカラムにかける。かけられた試料がカラムに入るときの試料体積は、充填層の粒子間体積を超えない。追加の緩衝剤をカラムに流して、試料をカラム経由で送る。抽出ヒストンを含み平衡緩衝剤中で溶出する第1のピークを収集する。
別の例示的一実施形態においては、抽出される試料のpHを、容積比約15%v/vの200mM硫酸などのその条件を達成するのに十分な酸の添加によって約1に低下させることができる。塩化ナトリウムを最終濃度3Mまで添加する。カチオン性有機化合物グアニジンを最終濃度0.2Mまで添加する。非イオン界面活性剤Tween−20を最終濃度0.1%まで添加し、混合物を室温で1時間インキュベートする。固体を濾過、遠心分離などの任意の適切な方法によって除去する。UNOsphere Qなどのアニオン交換クロマトグラフィ媒体をカラムに充填し、次いで50mM Tris、pH8.0に平衡化する。浄化された試料をカラムにかける。かけられた試料がカラムに入るときの試料体積は、充填層の粒子間体積を超えない。追加の緩衝剤をカラムに流して、試料をカラム経由で送る。抽出ヒストンを含み平衡緩衝剤中で溶出する第1のピークを収集する。例えば、図1及び下記実施例7を参照されたい。実験データによれば、この手法は、酸性タンパク質の欠如とDNA含有ヌクレオソームレムナントの見かけの欠如の両方に関して、名目上無電荷の多孔質粒子が充填されたカラムを用いた手法よりもヒストン回収率が高く、ヒストン純度レベルがはるかに高い。
別の例示的一実施形態においては、抽出される試料のpHを、容積比約15%v/vの200mM硫酸などのその条件を達成するのに十分な酸の添加によって約0.1から約1.0に低下させる。塩化ナトリウムを最終濃度1Mまで添加する。カチオン性有機化合物エタクリジンを最終濃度0.025%(w/v)まで添加する。非イオン界面活性剤NP40を最終濃度0.1%まで添加し、混合物を室温で1時間インキュベートする。固体を濾過、遠心分離などの任意の適切な方法によって除去する。Nuvia Qなどのアニオン交換クロマトグラフィ媒体をカラムに充填し、次いで50mM Hepes、pH7.0に平衡化する。浄化された試料をカラムにかける。かけられた試料がカラムに入るときの試料体積は、充填層の粒子間体積を超えない。追加の緩衝剤をカラムに流して、試料をカラム経由で送る。抽出ヒストンを含み平衡緩衝剤中で溶出する第1のピークを収集する。浄化された試料をカラムにかける。かけられた試料がカラムに入るときの試料体積は、充填層の粒子間体積を超えない。追加の緩衝剤をカラムに流して、試料をカラム経由で送る。抽出ヒストンを含み平衡緩衝剤中で溶出する第1のピークを収集する。
別の例示的一実施形態においては、抽出される試料のpHを、容積比約0.8%v/vの200mM硫酸などのその条件を達成するのに十分な酸の添加によって約0.1から1.0に低下させる。塩化ナトリウムを最終濃度1.5Mまで添加する。カチオン性有機化合物メチレンブルーを最終濃度0.025%(w/v)まで添加する。非イオン界面活性剤NP40を最終濃度0.1%まで添加し、混合物を室温で1時間インキュベートする。固体を濾過、遠心分離などの任意の適切な方法によって除去する。UNOsphere Qなどのアニオン交換クロマトグラフィ媒体をカラムに充填し、次いで50mM Hepes、100mM NaCl、pH7.0に平衡化する。浄化された試料をカラムにかける。かけられた試料がカラムに入るときの試料体積は、充填層の粒子間体積を超えない。追加の緩衝剤をカラムに流して、試料をカラム経由で送る。抽出ヒストンを含み平衡緩衝剤中で溶出する第1のピークを収集する。
一部の実施形態においては、カチオン性有機化合物は、クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、アレキシジン、トリス(2−アミノエチル)アミン、又はポリエチレンイミン、又は臭化セチルトリメチルアンモニウム、又は上記の組合せとすることができ、エタクリジン、メチレンブルー、ダウノマイシン、ドキソルビシン及び/又はグアニジンを潜在的に含む。特定の理論に帰するものではないが、実験データは、これらの化合物の正電荷がヌクレオソームのDNA成分との相互作用を強化し、それによってDNA凝縮タンパク質とDNAの相互作用を競合的に弱めることを示唆している。グアニジンの場合、その抽出促進効果は、カオトロープとしてのその作用によって更に調節することができる。エタクリジン、ダウノマイシン、ドキソルビシン及び/又はメチレンブルーの場合、その抽出促進効果は、DNA構造にインターカレートし、DNAを部分的に巻き戻し、それによってDNAとヒストンなどのDNA凝縮タンパク質との相互作用を弱めるその能力によって更に調節することができる。
一部の実施形態においては、初期試料組成は、pH、導電率、塩種、細胞培地成分、又は所望の組換えタンパク質の特性に関して無制限とすることができる。一部の実施形態においては、一連の試料間の初期試料組成は、塩含有量、又はpH、又は別のパラメータの増加又は減少によってそれぞれ変わり得る、前の吸着クロマトグラフィ精製ステップからの画分などの1個以上のパラメータによって系統的に変わる可能性があり、各々が異なるサブセットのタンパク質を潜在的に含む。一部の実施形態においては、一連の試料間の初期試料組成は、存在するタンパク質のサブセットに関して試料ごとに変わる可能性があるが、条件は、例えば、試料がサイズ排除クロマトグラフィステップから誘導されたときには、実質的に不変とすることができる。
一部の実施形態においては、クロマトグラフィステップに使用される緩衝剤を最終抽出試料が存在する緩衝剤とすることもできる。一部のかかる実施形態においては、最終緩衝剤は、緩衝成分のみを含み、追加の塩やとりわけ防腐剤、凍結防止剤などの他の成分を含まなくてもよい。一部のかかる実施形態においては、最終緩衝剤条件は、生理的条件を合理的にシミュレートすることができる。一部のかかる実施形態においては、同じ緩衝剤を使用して、関連したセットの試料のすべてを処理することができる。一部のかかる実施形態においては、同じ緩衝剤を使用して、無関係なセットの試料のすべてを処理することができる。
一部の実施形態においては、初期抽出pHを約0.1から1.0とすることができる。一部のかかる実施形態においては、200mM塩酸、又は硫酸、又は別の酸、又は酸の組合せを試料に添加することによって抽出pHを達成する。一部のかかる実施形態においては、約200mM酸を15%v/vの割合で試料に添加することによって抽出pHを達成する。一部の実施形態においては、添加した酸の容積比を5から50%、又は10から25%、又は12.5から17.5%とすることができる。一部の実施形態においては、酸の濃度を100mM、又は200mM、又は300mM、又はより低い、中間若しくはより高い濃度とすることができる。一部のかかる実施形態においては、酸の体積及び濃度を、目標pHを達成する最低酸量に調節する。一部の実施形態においては、目標pHは、0.1から1.0、若しくは0.2から0.9、若しくは0.3から0.8、若しくは0.4から0.7、若しくは0.5から0.6の範囲、又は異なる範囲、又は中間値とすることができる。一部の実施形態においては、別の酸又は酸の組合せを類似の全濃度で、又は必要に応じて試料の緩衝効果に打ち勝つためにより高い濃度で、又は目標pHを達成することが判明すればより低い濃度で、又は異なる割合で使用することができる。
一部の実施形態においては、抽出中の中性塩の濃度は、1M、若しくは2M、若しくは3M、又は1Mから3M、若しくは1.5Mから2.5M、若しくは1.75から2.25M、若しくは1.8から2.2M、若しくは1.9から2.1Mの範囲、又は異なる範囲、又は中間値とすることができる。一部のかかる実施形態においては、中性塩は、NaCl若しくはKCl、又はそれらの組合せ、又は別の中性塩である。一部の実施形態においては、塩を濃縮液として添加することができる。一部の実施形態においては、中性塩を固体として添加することができる。
一部の実施形態においては、カチオン性有機化合物をグアニジニウムイオンとすることができ、遊離塩基として、又は硫酸グアニジン、塩酸グアニジン、酢酸グアニジンなどの塩として、添加することができる。一部のかかる実施形態においては、最終抽出混合物中のグアニジニウムイオンの濃度は、2M未満のゼロでない量である。一部のかかる実施形態においては、濃度を0.05M、又は0.1M、又は0.15M、又は0.2M、又は0.25M、又は0.5M、又は1.0M、又は1.5Mとすることができる。一部のかかる実施形態においては、グアニジニウム濃度を1.5Mから0.05M、若しくは1Mから0.1M、若しくは0.5Mから0.15M、若しくは0.4から0.2Mの範囲、又は異なる範囲、又は中間濃度とすることができる。一部の実施形態においては、カチオン性カオトロープを濃縮液として添加することができる。一部の実施形態においては、カチオン性カオトロープを固体として添加することができる。一部の実施形態においては、グアニジニウムイオンが無くてもよい。
一部の実施形態においては、カチオン性有機化合物を0.025%(w/v)、若しくは0.01%、若しくは0.1%の濃度、又は0.01から0.1%の濃度、又は中間値のエタクリジン又はメチレンブルーとすることができる。
一部の実施形態においては、非イオン界面活性剤をノニデット(Nonidet)NP40、又はTween−20、又はTween−40、又はTween−60とすることができる。一部のかかる実施形態においては、界面活性剤濃度を0.01%、若しくは0.025%、若しくは0.05%、若しくは0.075%、若しくは0.1%、若しくは0.25%、若しくは0.5%、又は1%から0.01%、若しくは0.5%から0.05%、若しくは0.25%から0.025%、若しくは0.2%から0.02%、若しくは0.15%から0.05%、若しくは0.125%から0.075%、若しくは1.1%から0.9%の範囲、又は異なる範囲、又は中間値とすることができる。一部の実施形態においては、非イオン界面活性剤をトリトン、Brij、別の種などのNP40又はTween以外の種とすることができる。一部の実施形態においては、非イオン界面活性剤をCHAPS、CHAPSO、オクタグルコシドなどの両性イオン性界面活性剤で交換することができる。一部の実施形態においては、非イオン界面活性剤を臭化セチルトリメチルアンモニウムなどのアニオン界面活性剤で交換することができる。
一部の実施形態においては、初期抽出の期間は、15分間、又は30分間、又は60分間、又は120分間、又は150分間、又は180分間、又はそれ以上とすることができる。実験データによれば、ヒストンの分解は1時間を超える間隔で起こるが、2時間でもかなり少ない。しかし、より長い間隔ではさらに激しい。30分の間隔は、60分間よりも見かけの値が低くなる傾向があり、1時間が妥当な最小抽出期間として示唆されるが、ある場合には中間の期間が好ましい可能性もある。一部のかかる実施形態においては、30分間から150分間、若しくは45分間から90分間、若しくは50分間から70分間の範囲、又は別の間隔、又は中間値を評価することが賢明かもしれない。データによれば、試料組成物は、最有効期間に影響することがあり、死細胞を最長期間含む試料は、最も長い酸曝露間隔を必要とする可能性が高い。というのは、それらは、所望のタンパク質産物が細胞外クロマチンと相互作用する最大の機会を有し、解離しにくい凝集体を形成する可能性がある状況だからである。
一部の実施形態においては、抽出の最終ステップに使用されるクロマトグラフィ媒体は、アニオン交換クロマトグラフィ技術の実施に使用されるものなどの正電荷多孔質粒子を含むことができる。一部のかかる実施形態においては、アニオン交換媒体を、R.Nianら(J.Chromatography A 1282(2013)127〜132)によって記述された空隙排除モードのアニオン交換クロマトグラフィの技術を支援するその公知の能力に従って特別に選択することができる。一部のかかる実施形態においては、アニオン交換媒体をUNOsphere Q(Bio−Rad Laboratories)とすることができる。一部のかかる実施形態においては、アニオン交換媒体をNuvia Q(Bio−Rad Laboratories)とすることができる。一部のかかる実施形態においては、アニオン交換媒体をCapto Q(GEヘルスケア)、又はその技術を実施するのに適切な別のアニオン交換体とすることができる。一部の実施形態においては、試料がカラムに入るときの試料体積は、カラムの粒子間体積よりも小さい。一部のかかる実施形態においては、試料の体積をカラムの粒子間体積の1%未満とすることができる。一部のかかる実施形態においては、試料の体積を粒子間体積よりも5%、若しくは10%、若しくは20%、若しくは50%、若しくは90%、若しくは99%小さくすることができ、又はゼロでない量よりも小さい試料体積に削減することができるが、試料体積は、一般に、粒子間体積を超えてはならない。
空隙排除モードのアニオン交換媒体が最終抽出ステップに使用される一部の実施形態においては、このステップを実施するように選択された平衡緩衝剤は、所望の非ヒストンタンパク質が存在する場合にそれが可溶性のままであり、アニオン交換媒体によって保持されない最低の導電率においてアルカリ性pHを実現することによって利点を得ることができる。空隙排除モードのアニオン交換媒体が、較正標準として使用するために、又は別の目的のために、ヒストンを精製するのに使用され、所望の非ヒストンタンパク質が存在しない一部の実施形態においては、ヒストンが安定なままであり、アニオン交換媒体によって保持されない最低の導電率においてアルカリ性pHを使用することが有益であり得る。したがって、pHを8.0、又は9.0、又は9.5、又は10.0、又はより高くすることができる。一部のかかる実施形態においては、塩が存在しない。一部のかかる実施形態においては、緩衝種は、最低の導電率を緩衝剤に付与するように選択することができる。例えば、両性イオン性緩衝剤は、一般に、無視し得る導電率を緩衝剤自体に付与し、存在する導電率は、そのpHの調節に使用されるカウンターイオンに起因し得る。pHが高いほど、また、導電率が低いほど、ヒストンタンパク質の抽出と同時に試料から除去される酸性種の多様性が大きくなることは当業者に明らかなはずである。これらの条件は、ヒストン成分による電荷反発を最小限に抑えながら交換体の正電荷表面とのDNA結合に有利であるので、DNA含有ヌクレオソームレムナントを除去する可能性が高いことも明らかなはずである。換言すれば、かかる条件は、特にDNAの除去に関して、最高ヒストン純度をもたらす。これは、目的が較正標準として使用するための高精製ヒストンを得ること、又は特徴づけることができるような精製ヒストンを得ることである場合に有利であると予想することができる。抽出技術をスケールアップして所望のどんな量の精製ヒストンでも得られる方法は当業者に既知のはずである。
一部の実施形態においては、抽出の最終ステップに使用されるクロマトグラフィ媒体は、緩衝剤交換クロマトグラフィ技術の実施に使用されるものなどのサイズ排除クロマトグラフィ粒子を含むことができる。一部のかかる実施形態においては、緩衝剤交換媒体は、質量約5,000Dの仮想球状タンパク質に対応する排除限界を実現することができる。一部のかかる実施形態においては、緩衝剤交換媒体をセファデックスG25とすることができる。一部のかかる実施形態においては、媒体の粒径分布は、製造者によって行われた粒度測定によって変わり、例えばセファデックスG25の場合、最小粒径分布は超微粒として知られるG25の等級に関係し、それよりも少し大きい粒径分布は微粒として知られるG25の等級に関係し、それよりわずかに大きい粒径分布は中間として知られるG25の等級に関係し、それよりわずかに大きい粒径分布は粗粒として知られるG25の等級に関係する。一部の実施形態においては、排除限界が約5,000Dの多孔質粒子は、別のポリマー、例えば、Trisacryl GF05から構築することができる。Trisacryl GF05は、セファデックスに使用されるデキストランポリマーに対して、アクリルアミドポリマーからできていると理解される。一部の実施形態においては、セファデックスG10などの排除限界のより低いサイズ排除媒体を用いてより高いヒストン回収率を得ることができる。一般に、こうした媒体によって得られる分画の能力及び品質は、最も小さく最も狭い粒径分布に対応する等級を用いると最も高くなる。一部の実施形態においては、試料がカラムに入るときの試料体積は、カラムの粒子間体積よりも小さい。一部のかかる実施形態においては、試料の体積をカラムの粒子間体積の1%未満とすることができる。一部のかかる実施形態においては、試料の体積を粒子間体積よりも5%、若しくは10%、若しくは20%、若しくは50%、若しくは90%、若しくは99%小さくすることができ、又はより小さいゼロでない量に削減することができる。
サイズ排除媒体を最終抽出ステップに使用する一部の実施形態においては、このステップを実施するように選択された平衡緩衝剤は、全ヒストン抽出効率を低下させずに、広範囲の条件を実現することができる。pHは4から10の範囲とすることができ、導電率は1mS/cm未満から50mS/cm以上の範囲とすることができ、緩衝剤は界面活性剤又は他の添加剤を含むことができる。
最終抽出ステップが正電荷クロマトグラフィ媒体又はサイズ排除クロマトグラフィ媒体を用いて行われ、開示した方法を実施する目的を利用して、ヒストンの定量分析用試料を調製する一部の実施形態においては、カラムステップを平衡化するように選択された緩衝剤は、後続の免疫測定法の必要性に対応するように処方される。当業者は、異なるセンサを採用する免疫測定法は、最適な性能を得るのに異なる化学環境を必要とし、これらの必要性に対応する開示した方法の能力は、それによって、その柔軟性及び適用範囲を増大させることを理解されたい。例えば、開示した方法を使用してヒストンを較正標準として抽出する一部の実施形態においては、最終抽出ステップに選択される緩衝剤は、ヒストンを安定化させる緩衝剤であるように選択することができ、及び/又は特に冷蔵若しくは凍結条件下で貯蔵中に処方することができる。
定義
本明細書の実施形態をより容易に理解できるように用語を定義する。追加の定義は、詳細な説明全体を通して記載されている。
「DNA凝縮タンパク質」とは、DNAの長いセグメントがDNA凝縮タンパク質の1種以上とのその相互作用の結果として折り畳み、コイル又はスーパーコイルを形成して小領域内に存在するようにゲノムDNAと相互作用するタンパク質種を指す。
「ヒストン」とは、真核生物中に存在するDNA凝縮タンパク質の種の一群を指す。ヒストンは、一般に、ヒストンH1、H2A、H2B、H3及びH4からなる5種である。
「ヌクレオソーム」とは、DNA凝縮タンパク質とDNAの相互作用によって形成される二次構造を指し、二次構造はDNAの凝縮を媒介する。ヌクレオソームは、一般に、ヒストンH2A、H2B、H3及びH4の各々2つを含むコアヒストン八量体からなり、DNAは、コアの周りに約1.5回巻かれる。ヌクレオソーム内のヒストンとDNAの結合は強く、DNAとヒストン成分の両方を溶解、解離又は立体構造変化から安定化するので、ヒストンを免疫測定法で検出可能にする化学的に厳格な抽出手順が必要である。
「ヌクレオソームアレイ」とは、それ自体がヒストンH1と結合したリンカーDNAの一部分によって線状配列で連結された2個以上のヌクレオソームを指す。
「クロマチン」とは、ゲノムDNA及び結合DNA凝縮タンパク質及び他の成分を指す。クロマチンは、細胞死直後に分解し始め、異なるサイズのヌクレオソームアレイ、単一のヌクレオソーム、ヒストン、及びDNAを形成する。
「粒子間体積」とは、クロマトグラフィカラムなどの3次元空間に充填された粒子からの空間を指す。粒子間体積は、より一般的には、カラムの空隙容量、又はカラム空隙、又は単に空隙を指す。粒子間体積という用語は、最も正確と考えられる。というのは、空隙容量は、時折、拡散物質移動が無効であるために、又は細孔が単に浅いために、タンパク質が接近できない粒子の深い内部体積を指すのに使用されるからである。一般的な系においては、重力沈降粒子のカラムにおける空隙容量は、全層体積の約40%を占める。
「排除限界」とは、多孔質粒子に基づくクロマトグラフィ媒体の細孔に入ることができる最大タンパク質のサイズを指す。これは、仮想球状(球形)タンパク質に基づく任意の指針であると理解される。例えば、排除限界が5,000Dであるクロマトグラフィ媒体は、5,000Dよりも小さいタンパク質がその細孔に拡散することができるが、5,000Dより大きいタンパク質はそうした細孔に拡散することができない。天然タンパク質は、完全な球状ではないと理解され、この例は、非現実的に厳密であると理解されるが、媒体製造者によって公表された排除限界は、概略のサイズクラスの分子に対する候補媒体を特定するのに有用であり得る。
サイズ排除クロマトグラフィに使用されるものなどの名目上無電荷の多孔質粒子に適用される「空隙排除」とは、排除限界より大きいタンパク質及び/又は別の溶質がそのサイズによってカラムの粒子間体積に制限される現象を指す。正電荷粒子に適用される「空隙排除」とは、タンパク質及び又は別の溶質のサブセットがその電荷特性によってカラムの粒子間体積に制限される現象を指す。正電荷粒子のカラムにおける空隙排除の詳細な考察は、ニアン(Nian)ら(上記)によって提供されている。サイズによる空隙排除と電荷による空隙排除はどちらも、カラム充填が、カラムの粒子間体積以下である試料体積に同様に制限される。どちらの場合も、カラムから溶出する第1のピークは、カラム通過中に粒子間体積(空隙容量)中に排除される最初の試料の成分を含むと理解される。このピークは、一般に空隙ピーク、空隙排除ピーク又は排除ピークと称される。
「カチオン性」とは、正に帯電したイオンを指す。
「アニオン性」とは、負に帯電したイオンを指す。
「非イオン性」とは、電荷のないイオンを指す。
「両性イオン性」とは、正電荷と負電荷の両方を平衡状態で有する化合物を指し、正電荷は正の効果を打ち消し、その逆も同様であり、その結果、化合物の実効電荷はゼロである。
「カオトロープ」とは、タンパク質又は別の生体分子を変性させる傾向がある化合物を指す。変性という用語は、タンパク質がその天然の機能を失い、極端な場合、認識できる構造的特徴を完全に失い得る程度に、構造を緩和することを意味すると理解される。周知のカオトロープとしては、グアニジニウムイオン(カチオン性)、尿素(非イオン性)及びチオシアン酸(アニオン性)が挙げられる。
ある実施形態においては、開示した方法は、上記一般的例から変更なしで適用して、所与の試料のヒストン含有量の良好な定量的推定を得ることができる。一般に、クロマトグラフィステップを含む抽出の第二段階は、最初、正電荷多孔質粒子のカラムを用いて行うべきである。というのは、実験データによれば、それらは、ヒストン回収率及び純度を最高にするからである。初期の抽出されない試料が、初期に試料中に存在するヒストン含有体の組成に関して変動する可能性を考慮すれば、ある種の変数を調べて、条件が試料に適切であることを確認することが賢明かもしれない。例えば、生細胞の均質化によって誘導される試料においては、ヒストンは、ほとんどヌクレオソームのみと結合する。かかる試料は、較正標準の調製に好ましい可能性がある。死細胞を含む体液から誘導される試料においては、ヌクレオソーム及びその分解副生物は、細胞によって産生される別のタンパク質と結合することが実験的に示され(P.Gagnonら、上記)、ヒストンをより抽出しにくくする可能性があり、又は全ヒストン集団のサブセットは、前に結合していたDNAの酵素溶解のために、妨害物(encumberments)がない可能性があり、より分解されやすくなる可能性がある。一部の実施形態においては、所望の組換えタンパク質の特性は、その抽出性にも影響を及ぼし得るヒストン又はヌクレオソーム構造との強い相互作用を媒介する性質があり得る。調べるべき最も単純なプロセス変数は、抽出時間であろう。これまでの実験データによれば、抽出効率は、約60分まで増加し、次いで、より長い間隔で継続すると低下するように見える。低下は、抽出効率を反映しているのではなく、むしろ抽出条件への過剰な曝露に起因するヒストンの分解を反映していると理解される。どんな原因でも、異なる抽出時間を評価する単純な実験を実施して、所与の供給源からの試料に対する最適条件を決定することができる。他の変数も同様の概念で最適化することができ、中性塩、有機カチオン若しくは界面活性剤の濃度、又はpH、又は組合せが系統的に変わる。一部の実施形態においては、異なる種の中性塩、酸、カオトロープ(カチオン性、非イオン性、両性イオン性、アニオン性)、DNA挿入剤及び界面活性剤を試験することもできる。実験計画法(DoE:Design of Experiments)として知られる技術は、所与の変数セットの最適条件を特定する統計的に妥当な多数のデータを得るのに必要な試験数を最小限にするために当該技術分野で周知である。
一部の実施形態においては、正電荷粒子が充填されたカラムを空隙排除モードで使用する最終抽出ステップから始めるのが有利である。というのは、これは、通常、ヒストンの回収率及び純度が最高になるからである。一部の実施形態においては、最終ステップのアニオン交換クロマトグラフィに対して、サイズ排除クロマトグラフィを最終ステップに使用することによって得られる結果を評価する価値があり得る。一部の実施形態においては、異なる等級若しくはタイプのサイズ排除媒体、又は異なるアニオン交換クロマトグラフィ媒体を評価して、最高度の全抽出効率を媒介するものを決定する価値があり得る。
一部の実施形態においては、これまでに特徴づけられていない分析用抗ヒストンELISAを用いると、グアニジンに基づく抽出とエタクリジン又はメチレンブルーに基づく抽出を試験するのに有用であり得る。というのは、実験データによれば、異なるELISA製品によって使用される異なる抗体は、一方又は他方の抽出方法によって調製される試料から検出されるヒストンの検出が低下したり、向上したりし得るからである。しかし、一部の実施形態においては、エタクリジン、メチレンブルー、ダウノマイシン、ドキソルビシン、別のDNAインターカレータなどの有機カチオンによる抽出は、一般に、抽出ヒストンの回収率を最高にし、特に続いてアニオン交換クロマトグラフィを空隙排除モードで実施するのに適切な正電荷粒子のカラムに適用するときにはそうである。
最終抽出ステップを実施するのに適切な一部のクロマトグラフィ媒体は公知であるが、すべてが調査されたわけではなく、開示した方法を実施するのに適切であると判明する新しい媒体を開発することができる。適切であることが知られたサイズ排除クロマトグラフィ媒体としては、セファデックスG25、好ましくはその超微粒又は微粒等級が挙げられるが、Trisacryl GF05などの製品のように、中間及び粗粒等級も満足な結果を得ることができる。適切であることが知られたアニオン交換クロマトグラフィ媒体としては、UNOsphere Q、Nuvia Q及びCapto Qが挙げられ、UNOsphere Qが特に優れた結果を生む。一部の実施形態においては、所与のクロマトグラフィ媒体が充填された所与のカラムに適用することができる試料の体積を求める必要がある。これは、両方の媒体クラスに対して単純な実験で求めることができ、50mMリン酸ナトリウム中1mg/mLのリゾチームの調製物の場合、pH約7.0の1M NaClを50mMリン酸ナトリウム、pH7.0に平衡化された充填カラムに適用する。最初の通過時、試料を適用したポイントを示すチャート上の印を付け、カラム体積の10%の試料体積を適用する。試料導入の後に平衡緩衝剤を用いて、試料成分をカラムの下方に移す。280nmにおける紫外線の吸光度、及び導電率をモニターする。溶出プロファイル上で、280シグナルが上昇し始めるポイントに印を付け、次いで導電率シグナルが上昇し始めるポイントに印を付ける。これらの2つのポイントからの体積は、そのカラムの粒子間(空隙)体積の関数であり、全空隙ピークにおけるヒストンをできるだけ十分抽出するために、そのカラムにかけることができる試料の最大体積の推定値を与える。後続の実験においては、カラム体積の20%を充填する。後続の実験においては、カラム体積の30%を充填する。各場合において、導電率シグナルが増加し始める前にUV吸光度がベースラインに確実に戻ることをチェックする。目的は、この条件を満たす最大試料体積を特定することである。均一な直径の完全に球状の粒子が充填されたカラムにおいては、粒子間体積はカラム体積の40%に近いが、種々の要因に応じてより少ない割合になり得る(Nianら(上記))。例えば、実際的な経験によれば、充填中のカラムの圧縮は、粒子間体積を異なって減少させる。さらに、試料を系に導入し、それが実際にカラムに入るポイントからの流体分散が制御されないと、カラムに入る試料の体積が、注射口から導入された体積よりも大きい結果になり得る。これらの理由のため、様々な体積の試料を上述したように導入する単純な実験を行って、試料口において導入することができる試料の最大体積を決定し、さらに、塩及び他の成分が溶出する前に所望のヒストン抽出ピークを完全に溶出させることが賢明かもしれない。
一部の実施形態においては、カチオン性有機化合物以外のカオトロピック化合物を評価することが興味深い場合もある。ただし、これまでの実験データは、代替化合物が劣ることを示している。尿素は、グアニジニウムイオンに匹敵する結果が得られない周知のカオトロピック剤である。この結果は予想外であった。というのは、グアニジニウムイオンと尿素は、どちらも生体分子との直接結合によってそのカオトロピック効果を媒介することが知られており、どちらも、ヒストンの損傷に対して同様の効果を有するはずだからである。任意の特定の理論に帰するものではないが、正電荷グアニジニウムイオンは、正電荷ヒストンからある程度静電気的に反発され、それによってグアニジンが反発されない場合よりも高いグアニジン濃度が許容されるのかもしれない。同時に、グアニジニウムイオンは、DNA上の各リン酸ジエステル架橋における正電荷グアニジニウムイオンと負電荷酸素原子の静電気的結合によってDNAを選択的に変性させることができ、変性は、ヒストンをDNAから分離するのに役立ち、それによってより高い抽出効率に寄与する可能性がある。チオシアン酸、過塩素酸などのアニオン性カオトロープも考えられるが、予備的なデータによれば、それらもグアニジニウムに劣る。
一部の実施形態においては、エタクリジン、メチレンブルーなどのグアニジン以外のカチオン性有機化合物もヒストン抽出効率を改善することができる。実験データによれば、別のカチオン性有機化合物もカチオン有機化合物のない系よりも完全な抽出を支援するが、それらは一般にエタクリジン又はメチレンブルーほど有効ではない。一部のかかる実施形態においては、エタクリジン又はメチレンブルーの代替は、クロルヘキシジン、アレキシジン、セチルトリメチルアンモニウム、ダウノマイシン、ドキソルビシン、トリス(2−アミノエチル)アミン及び/又はポリエチレンイミンからなることができる。
実施例1 異なる洗浄剤及び濃度の影響。一連の実験を行って、2.5M NaCl、0.2M HClにおけるヒストン抽出に対する異なる洗浄剤の効果を評価した。洗浄剤濃度はすべて0.05%であった。抽出効率は、Active Motif(東京)から入手したELISAに基づいた。最高抽出効率は、Tween−20、Tween−40、Tween−60及びノニデット(Nonidet)NP−40を用いて得られた。完全なデータを表1に示す。
Figure 0006599980
実施例2 異なる洗浄剤にわたる界面活性剤濃度の効果。実施例2からの最高性能の洗浄剤をActive Motif,Inc及びCell Signaling(ダンバーズ、MA、USA)から入手したELISAを用いて異なる濃度で比較した。抽出を2M NaCl、0.2M HCl中で実施した。抽出物をセファデックスG25のカラム(GEヘルスケア)を用いて50mM Hepes、150mM NaCl、pH7に緩衝剤交換した。Tween−20は特に良好な結果を与えた。完全なデータを表2に示す。
Figure 0006599980
実施例3 ヒストンH3の定量化に対する抽出時間の効果。モノクローナル抗体を含む細胞培地の試料を0.2M HCl、0.1%NP−40、2.5M NaCl中で4℃で抽出した。一定分量を一定の時間間隔で取り出し、セファデックスG25上で50mM Hepes、150mM NaCl、pH7.0に緩衝剤交換した。ヒストンH3値をCell Signalingによって製造されたELISAを用いて測定した。シグナルは、16時間(960分間)の時間経過によって約15%減少した。結果を表3に示す。
Figure 0006599980
実施例4 2M NaCl、0.2M HCl、0.1%NP40における異なる有機カチオンの効果。試料は初期抽出後に50mM Hepes pH7.0に緩衝剤交換した。選択した非カチオン性有機化合物も評価した。ヒストンH3値をActive Motifs及びCell SignalingのELISAを用いて測定した。エタクリジンは、Active Motif ELISAで特に良好な結果が得られた。グアニジンは、Cell Signaling ELISAで特に良好な結果が得られた。すべてのカチオン性有機化合物が非カチオン性有機化合物よりも優れた。結果を表4に示す。
Figure 0006599980
実施例5 エタクリジン、メチレンブルー及びグアニジンの比較。1.5M NaCl、0.1%NP−40、0.2M HCl。セファデックスG25を用いて50mM Hepes、pH7.0に緩衝剤交換。ヒストンH3をELISAによって測定し、実験を3つ組で実施し、結果を平均した。結果を表5に示す。
Figure 0006599980
実施例6 異なる抽出方法の比較。種々の抽出方法を比較し、抽出した試料をActive Motifs及びCell SignalingのELISAを用いて評価した。抽出1:抽出なし、実験対照。抽出2:0.2M HCl。抽出3:0.2M HCl、続いてpH7.0に調整。抽出4:0.2M HCl、サイズ排除によって50mM Hepes、pH7.0に緩衝剤交換。抽出5:2.5M NaCl、0.1%NP40。抽出6:2.5M NaCl、0.1%NP40、サイズ排除によって50mM Hepes、pH7に緩衝剤交換。抽出7:0.2M HCl、1.5M NaCl、0.1%NP40。抽出8:0.2M HCl、1.5M NaCl、0.1%NP40、サイズ排除によって50mM Hepes、pH7に緩衝剤交換。抽出9:0.2M HCl、2M NaCl、0.1%NP40、1.25M グアニジンHCl。抽出10:0.2M HCl、2M NaCl、0.1%NP40、1.25MグアニジンHCl、次いでサイズ排除によって50mM Hepes、pH7に緩衝剤交換。抽出11:0.2M HCl、1.5M NaCl、0.1%NP40、0.2%エタクリジン。抽出12:0.2M HCl、1.5M NaCl、0.1%NP40、0.2%エタクリジン、次いでサイズ排除クロマトグラフィによって50mM Hepes、pH7に緩衝剤交換。結果を表6に示す。
Figure 0006599980
実施例7 空隙排除アニオン交換とサイズ排除による第2の抽出ステップ。IgGモノクローナル抗体を含む細胞培養収集物を0.2M HCl、2M NaCl、0.1%NP40、0.05%エタクリジンで1時間抽出した。試料の半分をセファデックスG25上の50mM Tris、pH8中への緩衝剤交換クロマトグラフィの最終抽出ステップによって処理した。残り半分をUNOsphere Q上の50mM tris、pH8中への空隙排除クロマトグラフィによって処理した。試料をActive Motifs及びCell SignalingのヒストンH3 ELISAを用いて分析した。両方のカラムの空隙排除ピークの平均H3値を下表に示す。空隙排除アニオン交換クロマトグラフィは、両方のアッセイで最高の応答を示した。結果を表7に示す。
Figure 0006599980
図1は、空隙排除アニオン交換クロマトグラフィを使用したステップを示し、収集した空隙排除ピークを灰色で強調した。
実施例8 最終抽出後の沈殿の形成。初期抽出を0.5M未満のNaCl濃度で行うと、サイズ排除クロマトグラフィによって50mM Hepes pH7.0に緩衝剤交換後、沈殿が観察される。初期抽出を1M NaCl中でもグアニジンの非存在下で行うと、同様の結果が観察される。初期抽出を1M NaClの存在下で0.75Mを超えるグアニジン中で行うと、同様の結果が観察される。初期抽出をエタクリジン又はメチレンブルーの存在下で行うと、0.0から0.5M NaCL中で同様の結果が観察される。いずれの場合においても、沈殿の除去は、H3シグナルの損失に直接対応し、沈殿がヒストンタンパク質によって構成されることを示している。
上記実施例から、開示した方法は、カチオン性有機化合物の非存在下でも、公知の方法よりも高度のヒストン抽出効率が得られることが明らかである。所与の試料におけるヒストンタンパク質の最も正確な定量化を支援する開示した方法の意図を考慮すれば、許容される結果がカチオン性有機化合物なしで得られると一部の使用者が判断し得るとしても、カチオン性有機化合物を含むことが好ましいはずである。しかし、そうした場合でも、当業者は、クロマトグラフィステップを含むことが依然必要であると認識するであろう。開示した方法の一部として記述したクロマトグラフィステップを公知の抽出方法に追加すると、開示した方法の利点の一部をこれら別の方法に付与することになることも同様に認識すべきである。
一部の実施形態においては、開示した方法は、試料中のヒストンを定量推定する目的でヒストンを試料から抽出するのに使用することができる。したがって、一部の実施形態においては、本明細書に開示した方法は、さらに、試料、調製物などにおけるヒストンを定量化するステップを含むことができる。かかる試料又は調製物は、精製プロセスなど、任意のそうした供給源から処理された体液、細胞又は組織溶解物、細胞培養上清、及び試料を含むことができる。一部の実施形態においては、方法は、さらに、定量化したヒストン量をヒストン又は内部標準の基準量と比較するステップを含むことができる。定量推定する目的は、ヒト注射用の所望の精製治療用タンパク質が適切な安全及び規制基準を確実に満たすように、所望のタンパク質中のヒストン量を測定することでもよい。一部の実施形態においては、ヒストンを定量化した後、方法は、ヒストン量が安全及び/又は規制基準を満たすかどうか判定するステップを含むことができる。別のかかる一実施形態においては、定量推定する目的は、ヒストン及び/又は他の混入物を除去するように意図した分画(精製)ステップから収集した一連の画分の各々におけるヒストン量を測定することでもよい。
一部の適用例においては、定量推定する目的は、一連の分画ステップの各々の後に残ったヒストン量を測定することでもよい。かかる実施形態においては、定量推定する目的は、ヒストンを調製物から候補プロセスによって除去するように特に意図された分画方法の開発を導くことでもよい。したがって、一部の実施形態においては、本明細書に開示した方法は、さらに、1個以上の画分又はヒストン供給源の同様に分割されたグループにおけるヒストンを定量化するステップを含むことができる。一連の画分におけるヒストンを定量化後、方法は、さらに、ヒストンを含むすべての画分を収集するステップを含むことができる。すべての画分を収集後、ヒストンの単離、収集した画分の緩衝剤交換、濾過、マイクロ若しくはナノ濾過、クロマトグラフィ法による更なる精製、又はそれらの組合せの1つ以上のステップにヒストンを更に供することができる。
一部の実施形態においては、開示した方法は、ヒストン含有量の不明な試料におけるヒストンの定量分析を支援する較正標準を作製する目的でヒストンを抽出するのに使用することができる。したがって、一部の実施形態においては、本明細書に開示した方法は、さらに、抽出ヒストンを用いて較正標準を形成するステップを含むことができる。一部の実施形態においては、ヒストンを抽出する試料を生細胞調製物とすることができる。したがって、方法は、本明細書に開示した方法の第1の抽出ステップを含むことができ、生細胞調製物を用いることができる。別の実施形態においては、ヒストンを抽出する試料は、組換えタンパク質の製造に使用するものなどの細胞培地とすることができ、かなりの割合の死細胞を含むことができる。別のかかる例においては、ヒストンを検出する試料は、血清、血漿、涙、母乳、胸膜液、唾液、別の体液などの体液とすることができる。別の実施形態においては、開示した方法は、ヒストンを精製する目的でヒストンを抽出するのに使用することができる。一部のかかる実施形態においては、特に正電荷粒子のカラムを空隙排除モードで用いて最終抽出ステップを実施する場合、抽出と同時にかなりのヒストンが精製される。一部のかかる実施形態においては、開示した方法によって製造されるある程度精製されたヒストン抽出物を、別の方法によって更に精製することができる。一部の実施形態においては、かかる別の方法は、疎水性相互作用クロマトグラフィ、カチオン交換クロマトグラフィ、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィ、混合モードクロマトグラフィ、アフィニティクロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィの1つ以上などのクロマトグラフィ法を含むことができる。
本明細書で引用するすべての参考文献は、個々の刊行物又は特許若しくは特許出願が参照によりその全体が援用されるように具体的かつ個々に示されたと同じ程度に、参照によりその全体が本明細書に援用される。参照により援用する刊行物及び特許又は特許出願が本明細書に含まれる開示に矛盾する範囲では、本明細書は、こうした矛盾を無効にし、及び/又は矛盾に優先するものとする。
本明細書及び特許請求の範囲で使用する成分量、クロマトグラフィ条件などを表すすべての数値は、すべての場合において「約」という用語によって修飾されることを理解されたい。したがって、それに反しない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、本実施形態によって得ようとする所望の性能に応じて変わり得る近似値である。
当業者には明らかなように、本明細書に開示した実施形態の多数の改変及び変更をその精神及び範囲から逸脱することなく成すことができる。本明細書に記載した具体的実施形態は、単なる例示にすぎず、何ら限定することを意味するものではない。本明細書及び実施例は単なる例示と考えられるものであり、本明細書の実施形態の正確な範囲及び精神は以下の特許請求の範囲によって示されるものである。

Claims (10)

  1. DNA凝縮タンパク質をDNA凝縮タンパク質を含む調製物から抽出する方法であって、前記調製物は細胞培養上清、体液、組織ホモジネート、及び分画プロセスからの一画分からなる群から選択され、
    (i)前記調製物を有機カチオン、中性塩及び非イオン界面活性剤とpH0.1から1.0で接触させるステップ、
    (ii)混合物を30分間から150分間インキュベートするステップ、
    (iii)固体を除去して抽出物を得るステップ、
    (iv)前記抽出物を(1)アニオン交換クロマトグラフィを空隙排除モードで実施するのに適切な正電荷粒子又は(2)排除限界が5,000ダルトンの実質的に無電荷のサイズ排除クロマトグラフィ粒子を含む粒子充填カラムにかけるステップであって、前記粒子充填カラムは粒子間体積を有し、
    前記カラムにかけた抽出物の体積は前記粒子間体積以下である、ステップ、
    (v)前記ステップ(iv)の後に、緩衝剤を前記カラムに通して、試料を前記カラムの下方に移し、前記カラムの排除体積に対応するピークにおいて、抽出されたDNA凝縮タンパク質を収集するステップ
    を含み、前記有機カチオンが、0.01%から0.1%(重量/体積)の濃度のエタクリジン若しくはメチレンブルー、又は0.5Mから1.5Mの濃度のグアニジニウムである、方法。
  2. 前記有機カチオンが、エタクリジンである、請求項1に記載の方法。
  3. エタクリジン又はメチレンブルーの濃度が、0.02から0.05%、又は0.03から0.10%(重量/体積)の範囲である、請求項1又は2のいずれか一項に記載の方法。
  4. グアニジニウムの濃度が、0.8から1.2M、又は0.9から1.1Mの範囲である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記中性塩が1Mから3Mの濃度範囲で存在する、請求項1に記載の方法。
  6. 前記中性塩が塩化ナトリウム又は塩化カリウムである、請求項1に記載の方法。
  7. 前記非イオン界面活性剤が、Tween(登録商標)20、Tween(登録商標)40、Tween(登録商標)60及びノニデット(Nonidet)(登録商標)NP40からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  8. 前記非イオン界面活性剤が0.05%から0.25%w/vの濃度範囲で存在する、請求項1に記載の方法。
  9. 前記DNA凝縮タンパク質が1種以上のヒストンタンパク質を含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記調製物が、細胞培養上清である、請求項1に記載の方法。
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