JP6599665B2 - 気体取込通気シートを用いた防水工法 - Google Patents

気体取込通気シートを用いた防水工法 Download PDF

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本発明はコンクリートから発生する水蒸気等の気体による防水層の障害を回避する防水工法に関し、更に詳しくは、覆いテープ材、気体取込通気シート等を用い、水蒸気等の気体を好適に大気中に逃すことができる防水工法に関するものである。
従来、改修時の下地コンクリートの防水工法としては、下地表面に通気緩衝シートを敷設し、この通気緩衝シートの上に塗膜防水材を塗布して防水層を形成する方法が知られている。
該通気緩衝シートは、人の歩行等により加えられる力や、コンクリートの収縮・膨張により生じる応力等を緩衝する機能を有すると共に、水蒸気等の気体を横方向に通気させる機能を有する。
すなわち、建築物の屋上等に敷設される下地コンクリートは、夏場は約60℃、冬場は約−20℃という激しい温度変化にさらされる。そのため、温度が高くなると、コンクリートに含有される水蒸気等の気体が大量に該コンクリートから外部に放出される。
上記した通り、通気緩衝シートの上から塗膜防水材を塗布して防水層を形成する必要性から、該通気緩衝シートの上面には通気緩衝シート基材が用いられている。
従って、コンクリートから放出された気体は、該通気緩衝シートや防水層を抜けてその上面から大気中に放出されることはあり得ないので、該通気緩衝シートには、通常、気体を横方向に逃すために、主に不織布等からできた通気層が基材の下に設けられている(例えば、特許文献1)。
また、通気緩衝シートの中には、コンクリート下地に接着される最下面に粘着層を有し、該粘着層には通気性がないので、該粘着層を下面全面ではなく一部にのみ形成し、粘着剤層が形成されていない部分と下地との間の空間を気体の通気路として確保した通気緩衝シートも知られている(例えば、特許文献2、3)。
しかしながら、コンクリートから放出された水蒸気等の気体は、上記通気緩衝シートに設けられた通気層又は通気路を横に抜けるとは言っても、通気緩衝シートの膜厚に比べ屋上は極めて広いため気体は速くは抜けず、また途中で閉塞することもあった。その場合、該気体の圧力は局部的に極めて高くなり、通気緩衝シートのみならずその上の塗膜防水層も含めて局所的な浮き上がり(膨れ)が生じる。
そこで、上記浮き上がり(膨れ)を防止するため、気体を大気中に排出するために、脱気筒を塗膜防水層の上の所々に設置することが義務付けられている。該脱気筒は、数十cmの高さを有し、50m〜100mに1個(100mに1個ないし2個)設置される。
しかしながら、10m四方(10m×10m)の正方形に1個設けるか、例えば2m×50mの長方形に1個設けるかで、その脱気能力は大きく異なることになり、上記規定通りに脱気筒が設けられていても脱気筒の設置個所によっては、局所的な浮き上がり(膨れ)が生じていた。
また、脱気筒は、その目的から屋上等の中程に、通常は複数個設けられるため、歩行の妨げになる上に場所的に外観を損ねるものであった。更に、雪の積もった屋上で子供が遊んでいて、脱気筒により怪我をする事故も起こっていた。
一方、屋上等に敷設される下地コンクリートは、激しい温度変化にさらされるため、押さえコンクリート等には、温度変化に起因する膨張・収縮を吸収するための目地が設けられている。
コンクリートの線膨張率は、約1.2×10−5[K−1]であることから、前記温度差(80℃)で、長さ1mに対して約1mm程度伸縮することになる。すなわち、押さえコンクリートの膨張と収縮によって、押さえコンクリートに例えば3mピッチに設けられた目地の幅は、夏場と冬場で±3mmの膨張と収縮を繰り返すことになる。
屋上等の押さえコンクリートに防水加工を施す際、目地は防水性能を低下させる原因となるため、通常、該目地の内部には、押さえコンクリートの膨張に対してクッションの役割を果たす目地材を充填する等の処理を施す。
また、屋上等の特に改修時には、該目地を覆って防水性を確保するため、アルミ製金属板目地カバー等の覆いテープを用いることも知られている(例えば、特許文献4)。
しかしながら、通気緩衝シート工法においては、目地の交差部に脱気筒を設置することはあったが、「通常は目地材が内部に充填されている目地」を、コンクリートから放出される水蒸気等の気体の通路として利用し、該目地を積極的に脱気の目的のために利用した技術はなかった。
屋上等の下地に、特に夏場に、防水層に局所的な浮き上がり(膨れ)が生じると、そこが破れて防水機能が損なわれる可能性があることに加え、外観や歩行にも影響を与えるが、それを防止するための脱気筒もまた、外観や歩行に影響を与るだけでなく、縦長の突起が屋上の中程に複数本あることから安全性にも問題があるものであった。
そこで、コンクリートから放出される水蒸気等の脱気に充分に適応し、外観的にも機能的にも優れた防水工法の開発が望まれていた。
特開2011−057807号公報 特開2004−036324号公報 特開2010−248757号公報 特開2009−215732号公報
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、改修時に、たとえ通気性能の異なる如何なる通気緩衝シートを用いても、防水層に浮き上がり(膨れ)を防止でき、通気緩衝シートの通気効果を、より完全に引き出す方法を提供することにある。
また、その課題は、下地コンクリートから放出される水蒸気等の気体を好適に大気中に逃し、防水層に局所的な浮き上がり(膨れ)を生じなくする改修時の防水工法を提供することにある。
更には、下地コンクリートが施されている屋上等では、一定の面積当たりに1個は必ず設置しなければならない脱気筒の設置位置に改良を加え、脱気筒についての「歩行や外観における問題点」をなくした防水工法、及び、該防水工法に用いられる材料を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、目地材で目地を完全に塞いで気体の流通を遮断してしまわずに(ただし、目地材の使用(不除去)を排除するものではない)、該目地の上部を覆いテープで覆った後、所々の目地の上部において特定の処理を行い、更に通気緩衝シートを設けることによって、下地コンクリートから放出される気体による防水層の局所的な浮き上がり(膨れ)を防止できることを見出した。
また、一定面積に1個は必要とされ、従って、通常は屋上等の中程付近にも設けなくてはならなかった脱気筒の設置位置に関しても改善できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下地コンクリートの目地の上部を覆いテープで覆った後、該下地コンクリートと該覆いテープの上部に、少なくとも粘着層と通気路とを有する通気緩衝シートを設け、その上から塗膜防水材を塗布する防水工法であって、
該目地の上部に存在する覆いテープの一部のみに、覆いテープ通気孔又は覆いテープ隙間を設け、その部分の上に、気体取込通気シートを載せてから、通気緩衝シートを設けることを特徴とする防水工法を提供するものである。
また、本発明は、上記下地コンクリートが押さえコンクリートであり、既存の押さえコンクリートに対し、上記の防水工法を使用することを特徴とする防水層やシート防水層の改修方法を提供するものである。
また、本発明は、上記の防水工法に用いられるものであり、厚さが0.1mm以上3mm以下の不織布でできたものであることを特徴とする気体取込通気シートを提供するものである。
また、本発明は、上記の防水工法又は上記の防水層の改修方法を使用して得られたものであることを特徴とする防水層を提供するものである。
本発明によれば、前記問題点と課題を解決し、特に夏場等に下地コンクリートから放出される水蒸気等の気体を好適に大気中に逃し、該気体の極めて高い圧力のために防水層に局所的に発生する浮き上がり(膨れ)を生じなくすることができる。
その結果、歩行等に障害を与えず、防水層が破損して防水性を損なうことがなく、外観的にも問題を生じさせない、屋上等の防水工法、補修方法及び被防水面(床面)を提供することができる。
従来、通気緩衝シートを用いれば防水層に浮き上がり(膨れ)が防止できると考えられていた。しかしながら、浮き上がり(膨れ)の防止効果は、通気緩衝シートの性能に大きく依存し、多くの通気緩衝シートで、例えば、「細長い50〜100mの長方形」に1個の脱気筒等では、十分に浮き上がり(膨れ)が防止できていなかった。本発明によれば、通気緩衝シートの性能の如何に関わらず、浮き上がり(膨れ)を防止できる。
温度変化による下地コンクリートの熱膨張・熱収縮に対応すべく、通常、下地コンクリート約3m当たりに平均約20mm〜約30mmの目地が設けられている。
該目地には、通常は施工時(建築時)にクッションの役割を果たす目地材が充填されている。防水層の改修時には、前記した通り、既存の目地(の一部)を通常は除去した後、目地の上部を覆いテープで覆って、下地コンクリートの熱膨張・熱収縮に対応しつつ、目地部分の平滑性と防水性を確保する方法が用いられる。
本発明の防水工法によれば、上記覆いテープを必須のものとすることによって、上記のようにしてできた「目地と該覆いテープで囲まれた空間」を、コンクリート下地から発生した水蒸気等の気体の通路として利用できる。
更に、長い覆いテープの一部のみに、「覆いテープに開けられた覆いテープ通気孔」又は「該覆いテープのない覆いテープ隙間」を設け、その上に気体取込通気シートを載せることによって、該気体取込通気シートが、周囲の広い範囲から通気緩衝シートの通気路を横に通過してきた気体を好適に取り込んで、該気体を広い空間である目地に放出できる。
更に、該気体取込通気シートの面積を十分大きくして、その上に設けられた通気緩衝シートが有する通気路が、どのように該通気緩衝シートを設けても、常に気体取込通気シートの上を通過するようにしておけば、通気緩衝シートを通過してきた気体は、該気体取込通気シートを経由して目地に到達できる。
その結果、目地まで到達した気体は、覆いテープで覆われた目地内の(通気緩衝シートの通気路に比較すれば)広い空間に放出されるため、後は、目地の末端、例えば「屋上等の壁面(立ち上がり部)13」にだけ脱気筒を設ければよく、屋上の中程付近等の「壁面ではない箇所」に脱気筒を設ける必要がなくなる。
なお、屋上等の壁面(上がり部)13に脱気筒を設ける方法は従来からあったが、脱気の効率が極めて悪いため、屋上等の壁面(立ち上がり部)に脱気筒を設ける方法が使用されることは少なかった。
すなわち、従来は、脱気の効率を良くするため、脱気筒が一定の面積(50m〜100m)当たり1個は必要とされていたところ、本発明の防水工法によれば、脱気の効率が良いので、脱気筒を壁面(立ち上がり部)13にだけ設ければよいので、歩行や外観における問題点がなくなると共に安全性が向上する。
防水層の改修時に、目地から目地材を除去し、該目地を覆いテープで覆うようにすれば、本発明の防水工法が好適に適用され得るので、本発明の防水工法は、防水層の改修時に、その改修方法として特に好適である。
通気緩衝シートの形態とその上の塗膜防水層を示す概略断面図である。 (a)不織布等を材質とする通気層と通気路を有する通気緩衝シートの概略断面図(図1(b)のE−E’矢視断面図) (b)通気層と通気路を有する通気緩衝シートの概略斜視図 (c)緩衝層と通気路を有する通気緩衝シートの概略断面図 板状部材を有する覆いテープで目地を覆った形態を示す図である。 (a)気体取込通気シートの存在しない部分の概略切断部端面図(図2(b)におけるA−A’矢視切断部端面図) (b)板状部材を有する覆いテープの該略平面図 気体取込通気シートが存在する部分の概略断面図(図2(b)におけるB−B’矢視断面図)である(平行斜線を付していない覆いテープの中央部分は、B−B’矢視切断部端面には存在せず、この概略断面図では向こう側に見えている)。 金属層を有する覆いテープで目地を覆った形態を示す図である。 (a)気体取込通気シートの存在しない部分の概略切断部端面図(図4(b)におけるC−C’矢視切断部端面図) (b)板状部材を有する覆いテープの該略平面図 気体取込通気シートが存在する部分の概略断面図(図4(b)におけるD−D’矢視断面図)である(平行斜線を付していない覆いテープは、D−D’矢視切断部端面には存在せず、この概略断面図では向こう側に見えている)。 目地の上の気体取込通気シートから目地の中に流れ込む気体の流れGを示す概略図である。 (a)目地の部分の概略平面図 (b)目地の部分の概略断面図 気体取込通気シートの好ましい大きさを示す図である(a、b、cの倍率は同一ではない)。 (a)通気緩衝シートをどのように設けても常に通気緩衝シートの通気路が気体取込通気シートの上部に存在する大きさ (b)(c)通気緩衝シートの設け方によっては通気緩衝シートの通気路が気体取込通気シートの上部に存在しないことがある大きさ 実施例1の加速試験で用いた実験装置の写真を示す図である。 (a)模擬の目地と下地コンクリートと気体の模擬発生装置を示す写真 (b)模擬の目地の上部を覆いテープで覆いその一部に覆いテープ通気孔を設けた状態を示す写真 (c)その上に気体取込通気シートを載せた状態を示す写真 (d)更にその上に通気緩衝シートを設けた状態を示す写真 (e)更にその上に塗膜防水材を塗布した状態を示す写真 下地コンクリートが押さえコンクリートの場合の目地の態様の一例を示す図である。 離型フィルムが付与された覆いテープの形態を示す長手方向での概略縦断面図である。 (a)覆いテープ接着層を、熱融着、溶液塗布等で付与した形態 (b)覆いテープ接着層を、予め覆いテープ接着層が設けられた両面粘着テープで付与した形態 代表的な目地の間隔(配置)における、テープ通気孔(気体取込通気シート)の設置位置の一例を示す模式図である。 代表的な目地の間隔(配置)における、テープ通気孔(気体取込通気シート)の設置位置と設置間隔の好ましい一例を示す模式図である。 (a)一辺3mの押さえコンクリート9個(3個×3個)分(一辺9mの正方形)を設置の単位とした場合 (b)一辺3mの押さえコンクリート16個(4個×4個)分(一辺12mの正方形)を設置の単位とした場合 細くなった部分を有する屋上を防水加工する際の脱気塔の好ましい個数と位置の一例を示す模式図である。 (a)本発明の防水工法 (b)従来の防水工法
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
<防水工法の対象等>
本発明の防水工法は、下地コンクリート11の目地12の上部を覆いテープ21で覆った後、該下地コンクリート11と該覆いテープ21の上部に、少なくとも粘着層45と通気路47とを有する通気緩衝シート41を設け、その上から塗膜防水材を塗布する防水工法であって、
該目地12の上部に存在する覆いテープ21の一部のみに、覆いテープ通気孔25又は覆いテープ隙間27を設け、その部分の上に、気体取込通気シート31を載せてから、通気緩衝シート41を設けることを特徴とする。
図9に、下地コンクリート11が押さえコンクリート(保護コンクリート)の場合の目地12の一例を示す。通常は、3m間隔に約20mm〜約30mm幅の目地12が設けられ、温度上昇・下降によるコンクリートの膨張・収縮を吸収して、下地コンクリート11にクラックが発生することを抑制している。
該目地12には、通常は目地材が充填され、目地キャップで目地12がカバーされ、防水性を確保している。該目地材の上部は、夏は目地12の両脇のコンクリートに押され凸状になり、冬は目地12の両脇のコンクリートに引っ張られて凹状になる場合がある。
本発明の防水工法は、該目地12の内部に気体が通過する空間が必要なので、上記目地材は残存していてもよいが、少なくとも気体の流通に使用される目地12においては、目地12の上部が凸状になる等で気体の流通が妨げられないようにすることが好ましい。
例えば、目地材としては、エラスタイト系目地材、「独立気泡型の発泡ポリプロピレン、ブチルゴム、合成ゴム(EPDM)、ステンレス、ガラス繊維、塩化ビニル等を組み合わせた目地材」(例えば、株式会社タイセイ社製、商品名「エキスパンタイ」)、発泡ポリエチレン系目地材等が知られているが、改修時には、目地キャップを取り除いた後、これらの目地材を取り除き(好ましくは、ほぼ全部を取り除き)、該目地12の上部に覆いテープ21を設けることが好ましい。
覆いテープ21でコンクリートの膨張・収縮の吸収と防水性を確保する工法は、新築時よりも改修時に行われる場合が多い。従って、本発明の防水工法は、そもそも覆いテープ21が必須であることから、覆いテープ21が使用される特に改修時に用いることが好ましい。すなわち、本発明の防水工法は、改修時に既存の目地材を除去し、目地材に代えて覆いテープ21を使用する際に、同時に使用されることが特に好ましい。
本発明の防水工法では、(既存の)目地材は存在(残存)させておいてもよく(気体の流通が確保できる程度の目地材はあってもよく)、また、好適に気体の流通を確保するため、目地材は存在しなくてもよい。
すなわち、本発明の防水工法を改修時に使用し、気体の流通が確保できれば既存の目地材を除去してもしなくてもよい。
本発明の防水工法を改修時に使用し、塩化ビニル等でできた目地キャップを撤去し、好ましくは目地12内に充填されている前記目地材を実質的に全て撤去して、気体の流通を確保することが、本発明の前記効果を発揮できる点から好ましい態様である。
<覆いテープ>
本発明の防水工法においては、下地コンクリート11の目地12の上部を覆いテープ21で覆う。目地12に目地材等を充填してコンクリートの膨張・収縮を吸収すると共に防水性を確保することに代えて、目地12の上部を覆いテープ21で覆ってコンクリートの膨張・収縮を吸収すると共に防水性を確保する。そのことによって、目地12と覆いテープ21で囲まれた空間が気体の通路として機能し本発明が成立する。
目地12の上部を覆いテープ21で覆った状態を図2〜6に示す。該覆いテープ21は、目地12を覆うようにして、覆いテープ接着層22を、目地12の周辺(両脇)の下地コンクリート11に貼り付けることによって、該目地12の上から敷設する。
その際、覆いテープ接着層22を離型テープPが保護している場合には、該離型テープPを剥離してから目地12の上から敷設する。
補修の場合で、既存の目地キャップがある場合には撤去する。また、覆いテープ21を施設する前に、下地をプライマー処理することが好ましい。該プライマー処理は公知の方法が好適に用いられる。
覆いテープ21の横幅は、特に限定はないが、40mm以上300mm以下であることが好ましく、55mm以上200mm以下であることがより好ましく、70mm以上130mm以下であることが特に好ましい。
該横幅が短過ぎると、コンクリート等が伸縮した際に受ける歪みが大きくなったり、目地12を完全に覆えなくなったり、施工後に剥離したりする場合がある。逆に、長過ぎると、材料のコストアップになり無駄であったり、作業性が悪くなったりする場合がある。
該覆いテープ21としては、前記効果を奏するものであれば、特に限定はないが、図2、3、8、10又は、特願2014−120227に示したようなものが好適に使用できる。
すなわち、下から順に、少なくとも、覆いテープ接着層22、「複数の板状部材23又は複数の線状部材」が並列してなる部材列、及び、覆いテープ基材24を有し、「該板状部材23又は該線状部材」の最長軸が、該テープ状基材の長手方向に対して略垂直に、かつ、該板状部材23同士又は該線状部材同士が互いに接触することなく間隔を開けて、並列して該テープ状基材上に貼り付けられてなるもの(以下、この覆いテープ21を「覆いテープA」と略記する)が好適に使用できる。
また、株式会社秀カンパニーから、「メジキーパー」(登録商標)として市販されているものも好適に使用できる。
覆いテープAの特に好ましい態様の概略断面図を図10(a)(b)に示した。本発明における覆いテープAは、図10(a)、図10(b)に示した何れの態様のものでもよい。
図2、3は、覆いテープ接着層22を、熱融着、溶液塗布等で付与した覆いテープ(図10(a)の覆いテープ)を用いた場合を示している。
覆いテープAを使用すると、前記した効果、すなわちコンクリートの膨張・収縮を吸収すると共に防水性を確保できると言う効果の他にも、上記板状部材23等により目地12の上部を平坦にできる、上記テープ状基材が目地12の動きを吸収して目地部の平坦性を維持する、上記板状部材23等がない任意の場所で容易に覆いテープ21の切断が可能である、通気緩衝シート41や塗膜防水材との密着性が良好である、覆いテープ21が連続して存在するのでその任意の場所に覆いテープ通気孔25を開け易い、覆いテープ接着層22や覆いテープ基材24が樹脂であるので、そこに孔を開ければ金属に孔を開けるより覆いテープ通気孔25を設け易い(特に、金属でできた板状部材23等を除去すればその部分に覆いテープ通気孔25を設け易い)、等の効果を発揮する。
覆いテープAにおける覆いテープ接着層22は、どのように付与されたものでもよいが、例えば、覆いテープ接着層22の熱融着;覆いテープ接着層材料の溶液塗布;覆いテープ接着層22を有する両面粘着テープRの付与;等により設けられたものであることが好ましい。
図10(a)は、覆いテープ接着層22が覆いテープ基材24に接着剤等で付与された態様を示し、図10(b)は、覆いテープ接着層22を有する両面粘着テープRを付与することによって、覆いテープ接着層22が付与された態様を示す。該両面粘着テープRは、図10(b)に示したように、下から順に、覆いテープ接着層22、両面粘着テープ支持層28、両面粘着テープ板状部材側接着層29が積層されている。
覆いテープAにおける覆いテープ接着層22の厚さは、熱収縮や熱膨張を吸収し、目地12の幅の変化に追従できれば特に限定はないが、50μm以上1000μm以下が好ましく、100μm以上700μm以下がより好ましく、200μm以上500μm以下が特に好ましい。
覆いテープ接着層22の厚さが上記下限以上であると、下地への粘着力が向上し、柔らかい接着層の厚みによって、下地の動きに追従でき、熱収縮・熱膨張に伴う直線状隙間の幅の変化に追従できる。また、縦方向(覆いテープ21の長手方向)の熱収縮・熱膨張に伴う膨れや剥離を防止できる。
一方、覆いテープ接着層22の厚さが上記上限以下であると、覆いテープ21全体の厚さが抑えられ、全体の厚さによる段差が少なくなり、塗膜防水材の塗布が容易で、また最終的に防水塗膜に段差ができ難い。
覆いテープAにおける板状部材23の長さは、特に限定はないが、10mm以上300mm以下であることが好ましく、40mm以上150mm以下であることがより好ましく、60mm以上100mm以下であることが特に好ましい。
該長さが短過ぎると、コンクリート等が伸縮した際に板状部材23が受ける歪みの割合が大きくなったり、覆いテープ接着層22の幅も短くした場合に目地12を完全に覆えなくなったりする場合がある。逆に、長過ぎると、材料のコストアップになり無駄であったり、覆いシート材自体の幅が大きくなり過ぎて作業性が悪くなったりする場合がある。
板状部材23の厚さは、特に限定はないが、0.1mm以上3mm以下であることが好ましく、0.2mm以上1mm以下であることがより好ましく、0.3mm以上0.8mm以下であることが特に好ましい。
薄過ぎると、強度が低下したり、施工後の歩行感が悪くなったりする場合がある。逆に、厚過ぎると、材料のコストアップにつながり無駄であり、施工後に目地12の両脇に凸部ができ、その膨らみや段差が目立つ場合がある。
板状部材23間の間隔については、特に限定はないが、0.1mm以上30mm以下であることが好ましく、1mm以上20mm以下であることがより好ましく、2mm以上15mm以下であることが特に好ましく、4mm以上13mm以下であることが更に好ましい。
該間隔が短過ぎると、はさみ、カッター等の切断工具が、該隙間に入らず覆いテープ21が切断できなくなったり、切断工具が接触することで板状部材23に傷がついたりする場合がある。また、覆いテープ21をロール状に巻くことが困難になったり、材料のコストアップになったりする場合がある。
逆に、該間隔が長過ぎると、間隔部分は切断可能程度に柔らかいので、強度的に十分でなくなり、その結果、防水性能の低下、施工後の歩行感の悪化等につながり、また、目地12が目立つ場合がある。
覆いテープ基材24の厚さに関しては、特に限定はないが、材質が織布の場合は、目付が4本/インチ以上25本/インチ以下が好ましく、6本/インチ以上18本/インチ以下がより好ましく、8本/インチ以上16本/インチ以下が特に好ましい。
また、材質が不織布の場合は、15g/m以上120g/m以下が好ましく、20g/m以上80g/m以下がより好ましく、40g/m以上70g/m以下が特に好ましい。
また、材質が樹脂フィルムの場合は、8μm以上120μm以下が好ましく、20μm以上100μm以下がより好ましく、30μm以上60μm以下が特に好ましい。
覆いテープ基材24の厚さが上記下限以上であると、引き裂き強度等の機械的強度が十分となり、施工時に破断や皺の発生が解消され、覆いテープ21の直進性も良好となる。
一方、覆いテープ基材24の厚さが上記上限以下であると、該覆いテープ基材24の厚さによる段差が少なくなり、塗膜防水材の塗布が容易となり、また最終的に防水塗膜に段差ができ難い。
また、本発明における覆いテープ21としては、前記効果を奏するものであれば、特に限定はないが、図4、5又は特許文献4に示したようなものも好適に使用できる。すなわち、下から順に、少なくとも、覆いテープ接着層22及び金属層26を有してなるもの(以下、この覆いテープを「覆いテープB」と略記する)も好適に使用できる。
また、田島ルーフィング株式会社から、「メジパス」として市販されているものや、株式会社タイセイから、「メジフィット」(登録商標)として市販されているものも使用できる。
覆いテープBを使用すると、前記した効果、すなわちコンクリートの膨張・収縮を吸収すると共に防水性を確保できると言う効果の他にも、上記金属層26により目地12の上部を平坦にできる、長尺の覆いテープBの所々に覆いテープ隙間27を設ければ覆いテープB自体の熱膨張・収縮を吸収できる、該覆いテープ隙間27の部分に気体取込通気シート31を載せることで、気体が該覆いテープ隙間27から目地12に流れ込むようにできるので無駄がない(一石二鳥である)、構造がシンプルである、等の効果を発揮する。
覆いテープBにおける覆いテープ接着層22の厚さは、熱収縮や熱膨張を吸収し、目地12の幅の変化に追従できれば特に限定はないが、50μm以上1000μm以下が好ましく、100μm以上700μm以下がより好ましく、200μm以上500μm以下が特に好ましい。
覆いテープ接着層22の厚さが上記範囲であると、前記した覆いテープAの場合と同様の効果を発揮する。
覆いテープBにおける金属層26の厚さは、特に限定はないが、0.05mm以上2mm以下であることが好ましく、0.2mm以上1.5mm以下であることがより好ましく、0.5mm以上1mm以下であることが特に好ましい。
薄過ぎると、強度が低下したり、施工後の歩行感が悪くなったりする場合がある。逆に、厚過ぎると、材料のコストアップにつながり無駄であり、施工後に目地12の両脇に凸部ができ、その膨らみや段差が目立つ場合がある。
覆いテープ21の各層の材質については、特に限定はないが、覆いテープAにおける板状部材23の材質としては、鉄、ブリキ、トタン、ガルバニウム等が、強度、コスト等の点から特に好ましい。
また、覆いテープBにおける金属層26の材質としては、鉄、ブリキ、トタン、アルミニウム等が、強度、コスト等の点から特に好ましい。
覆いテープAの最上面の覆いテープ基材24は、特に限定はないが、表面加工をして、プライマー処理を不要にしたり、通気緩衝シート41(の粘着層45)との接着を向上させたりすることが好ましい。また、覆いテープ基材24の材質は、特に限定はないが、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略記する)が、(特に表面加工をして)通気緩衝シート41の粘着層45の接着性を良くできる等の点から特に好ましい。
覆いテープAであっても覆いテープBであっても、覆いテープ接着層22の材質は、特に限定はないが、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、アクリル樹脂系粘着剤、シリコーンゴム系粘着剤、ウレタン樹脂系粘着剤、ブチルゴム系粘着剤、改質アスファルト系粘着剤等が好ましく、ブチルゴム系粘着剤が、粘着強度が高い、自着性を有し施工時間を短縮できる等のために特に好ましい。
覆いテープAであっても覆いテープBであっても、使用前は、覆いテープ接着層22に離型紙又は樹脂製の離型フィルムを積層しておき、施工現場おいて、この離型紙又は離型フィルムを剥離した後、目地12の周辺(両脇)の下地コンクリート11に貼り付けることによって、該目地12の上から目地12に沿って敷設する。
<<覆いテープ通気孔又は覆いテープ隙間>>
本発明の防水工法では、目地12の上部に存在する覆いテープ21の一部のみに、覆いテープ通気孔25又は覆いテープ隙間27を設け、その部分の上に、気体取込通気シート31を載せてから、通気緩衝シート41を設けることを特徴とする。
すなわち、覆いテープ21の所々に、覆いテープ通気孔25や、覆いテープ21のない覆いテープ隙間27を設け、それをカバーするように気体取込通気シート31を載せてから通気緩衝シート41を設ける。
覆いテープ通気孔25の態様を、図2、3、6及び8(b)に示した。
覆いテープ21に覆いテープ通気孔25を開ける時期は、特に限定はないが、覆いテープ21で目地12を覆った後に覆いテープ通気孔25を開けることが作業性の点から好ましい。
覆いテープ通気孔25を設ける場合、覆いテープ21としては、前記した覆いテープAのような態様でも、覆いテープBのような態様でもよいが、金属層26に覆いテープ通気孔25を開けることは容易でなく、覆いテープ基材24に覆いテープ通気孔25を開けることは容易なので、覆いテープ通気孔25は、覆いテープAのような態様に適用することが好ましい(図2、3、6及び8(b))。
例えば、覆いテープ21として前記した覆いテープAを使用する場合には、図2(b)、図3及び図8(b)に示したように、覆いテープAから板状部材23を1個又は複数個(好ましくは1個又は2個、特に好ましくは1個)取り除き、その周辺を切り取って、覆いテープ通気孔25を設けることが好ましい。
覆いテープ通気孔25の大きさは、後述する気体取込通気シート31より小さいことが好ましい。覆いテープ通気孔25が気体取込通気シート31からはみ出していると、無駄に孔が開いていることになり、覆いテープ21の強度や防水性に劣る場合がある。
覆いテープ通気孔25の「覆いテープ幅方向の長さ」は、覆いテープ21の左右の縁から、0.5cm〜3cmだけ中に入ったところが好ましく、1cm〜2cmだけ中に入ったところが特に好ましい。具体的には、覆いテープ21の横幅にも依存するので特に限定はないが、2cm〜12cmが好ましく、4cm〜10cmがより好ましく、5cm〜8cmが特に好ましい。
覆いテープ通気孔25の「覆いテープ幅方向の長さ」が、上記下限以上であると、十分に気体が覆いテープ通気孔25から目地12に流れ込む。覆いテープ通気孔25と目地12が直行している場合でも、目地12の幅だけ(交点部分だけ)が気体の流れ込みに資する訳ではなく、気体取込通気シート31と下地との間にある覆いテープ通気孔25の部分も空間となっているので、気体の流れ込みに資する。
一方、覆いテープ通気孔25の「覆いテープ幅方向の長さ」が、上記上限以下であると、覆いテープ通気孔25を設けることによる覆いテープ21の強度減少が認められない。
覆いテープ通気孔25の「覆いテープ長手方向の長さ」は、0.5cm〜5cmが好ましく、0.7cm〜3.5cmがより好ましく、1cm〜2cmが特に好ましい。
覆いテープ通気孔25の「覆いテープ長手方向の長さ」が、上記下限以上であると、十分に気体が覆いテープ通気孔25から目地12に流れ込む。
一方、覆いテープ通気孔25の「覆いテープ長手方向の長さ」が、上記上限以下であると、覆いテープ通気孔25を設けることによる、覆いテープ21の強度減少や防水性の劣化が認められない。
覆いテープ隙間27(覆いテープ膨張緩衝隙間)の態様を、図4、5に示した。
覆いテープ隙間27を設ける場合、覆いテープ21としては、前記した覆いテープAのような態様でも、覆いテープBのような態様でもよいが、覆いテープAでは、前記した覆いテープ通気孔25を設けることが好ましいので、覆いテープ隙間27は、覆いテープBのような態様の方に適用することが好ましい(図4、5)。
また、覆いテープBでは、長手方向の熱膨張・収縮を吸収するため、また作業性の点から、通常、敷設時に覆いテープ21をある長さで切断し、所々に膨張緩衝隙間を設けるが、それを覆いテープ隙間27として利用できる。その点から、覆いテープ隙間27は、覆いテープBのような態様に適用することが好ましい(図4、5)。
覆いテープ隙間27の大きさは、「覆いテープ幅方向の長さ」に関しては、覆いテープ21の幅であり、「覆いテープ長手方向の長さ」の好ましい範囲に関しては、前記覆いテープ通気孔25の場合と同様である。
覆いテープ21の所々に、「覆いテープ通気孔25又は覆いテープ隙間27」(以下、括弧内を単に「テープ通気孔」と略記する場合がある)を設けるが、その間隔は、目地に平行な直線上の距離として、2m〜20mに1個が好ましく、3m〜15mに1個がより好ましく、5m〜12mに1個が特に好ましい。
また、目地に沿っているか否かや目地に平行か否かとは関係なく、テープ通気孔から最も近いテープ通気孔までの直線距離(テープ通気孔間の最短直線距離)を、好ましくは1m〜20mの範囲、より好ましくは1.3m〜16mの範囲、特に好ましくは2m〜12mの範囲、更に好ましくは4m〜10mの範囲になるように設定し、テープ通気孔25や気体取込通気シート31を設けることが望ましい。
また、テープ通気孔の下地の面積当たりの存在頻度は、(3m×3m=)9mの押さえコンクリート3個分を一辺とした正方形(面積9m×9m=81m)に、1個〜4個が好ましく、1.3個〜3個がより好ましく、1.5個〜2.3個が特に好ましく、図12(a)に示したように2個が最も好ましい。
また、テープ通気孔の下地の面積当たりの存在頻度は、(3m×3m=)9mの押さえコンクリート4個分を一辺とした正方形(面積12m×12m=144m)に、1個〜4個が好ましく、1.3個〜3個がより好ましく、1.5個〜2.3個が特に好ましく、図12(b)に示したように2個が最も好ましい。
図11に、代表的な目地配置に対する、テープ通気孔(25又は27)の位置、すなわち後述する気体取込通気シート31の設置位置の一例を示す(本発明は図11には限定はされない)。
図11では、目地で囲まれた1個の区画9mに、それぞれ1/2だけが占めるテープ通気孔(気体取込通気シート)が4個あるので、9m当たりに、テープ通気孔(気体取込通気シート)が、((1/2)×4=)2個あることになる。
また、図12(a)(b)に、テープ通気孔25と気体取込通気シート31の特に好ましい相互距離や配置関係を示す。
図12(a)は、一辺3mの押さえコンクリート3個分を一辺とした正方形の中に、その1/2が含まれるテープ通気孔が4個あるので、テープ通気孔25(気体取込通気シート31)の頻度は、81m当たり(1/2)×4=2個である。
また、テープ通気孔25(気体取込通気シート31)間の「目地に平行な直線上の最短距離」は9mであり、「目地とは関係のない最短直線距離」は、4.5m×21/2=6.3mである。
図12(b)は、一辺3mの押さえコンクリート4個分を一辺とした正方形の中に、その1/2が含まれるテープ通気孔が4個あるので、テープ通気孔25(気体取込通気シート31)の頻度は、144m当たり(1/2)×4=2個である。
また、テープ通気孔25(気体取込通気シート31)間の「目地に平行な直線上の最短距離」は12mであり、「目地とは関係のない最短直線距離」は、6m×21/2=8.5mである。
テープ通気孔(25又は27)や気体取込通気シート31の設置頻度の下限が上記以上であると、コンクリートから発生する気体(圧力)の逃しが有効であり、塗膜防水層51に浮き上がり(膨れ)ができない。また、設置頻度の上限が上記以下であると、テープ通気孔(気体取込通気シート)の設置が無駄にならず、また、気体取込通気シートに起因する防水層上の膨らみが気にならない。
また、テープ通気孔(25又は27)は、2本の目地12の交差点(図9参照)に設けることも、気体が4方向に逃げて効率が良いために好ましい。
<気体取込通気シート>
本発明の防水工法では、上記したテープ通気孔(25又は27)の部分の上に、気体取込通気シート31を載せてから、通気緩衝シート41を設けることを特徴とする。
気体取込通気シート31は、上記したテープ通気孔の全部をカバーするように載せることが、テープ通気孔の全部を、コンクリートから出る気体の通気に有効活用できる点から好ましい。
図2〜7、8(c)に、気体取込通気シート31の使用態様を示した。
気体取込通気シート31がないと、上記したテープ通気孔の面積しか、気体の取り込みに役立たない場合がある。
テープ通気孔の部分のちょうど上部に、通気緩衝シート41の通気路47が偶然通過(接する)とは限らない(その可能性は低い)。しかし、その場合でも、気体取込通気シート31があると、気体取込通気シート31の上の何処かに、通気緩衝シート41の通気路47が通過して(接して)いさえすれば、コンクリートから出る気体は、テープ通気孔を介して目地12に流れ、該気体による圧力を逃すことができる。
上記した通り、気体取込通気シート31は、テープ通気孔の面積を、実質的に広げているような役割を果たす。気体取込通気シート31があると、ない場合に比較して、気体(圧力)の目地12への逃し効果が極めて向上する。
気体取込通気シート31の形状は、特に限定はなく、円形でも楕円形でも角形でもよいが、円形、長軸が短軸の3倍以下の楕円形、長辺が短辺の3倍以下の長方形等が、通気緩衝シート41の通気路47が上を通過し易い形状である、作業性が良い等の点から好ましい。
気体取込通気シート31の大きさは、テープ通気孔の全部をカバーする大きさであることが、該テープ通気孔の全部を、コンクリートから出る気体の通気に有効活用できる点から好ましい。
具体的には、テープ通気孔の大きさにもより、特に限定はないが、何れかの差し渡し長さが、7cm〜25cmが好ましく、8cm〜20cmがより好ましく、9cm〜13cmが特に好ましい。
何れかの差し渡し長さが、上記下限以上であると、気体取込通気シート31が十分に通気路47からの気体を取り込んで、該気体をテープ通気孔から目地12に流れ込ませることができる。
一方、上記上限以下であると、通気緩衝シート41が、覆いテープ21や下地に強く密着する。
気体取込通気シート31の大きさは、テープ通気孔の大きさを見てから決めることも好ましい。
また、気体取込通気シート31の大きさは、通気緩衝シート41の通気路47のピッチ(周期)や幅や存在具合を見てから決めることも好ましい。
図7に、気体取込通気シート31の大きさと通気路47との関係を模式的に示した。なお、図7(a)と図7(b)(c)の縮尺は、円形の気体取込通気シート31の大きさを統一して描いたもので、同一ではない(同一とは限らない)。使用する通気緩衝シート41の通気路47の態様を見て気体取込通気シート31の大きさを決めることが好ましい。
図7(a)に示したように、通気緩衝シート41の通気路47が、気体取込通気シート31の上部を横切っている必要がある。
図7(b)に示したように、通気路47が気体取込通気シート31の上部を横切っていない場合は、本発明の効果を奏し難い。また、図7(c)に示したように、通気路47が気体取込通気シート31の上部をたまたま横切っている個所があったとしても、通気緩衝シート41の配置の仕方によっては、図7(b)に示したように、通気路47が気体取込通気シート31の上部を横切っていない箇所ができるので、その箇所は本発明の効果を奏し難い。
すなわち、本発明において、気体取込通気シート31の大きさは、該気体取込通気シート31に上から接している通気緩衝シート41の部分に、上記通気路47が常に存在する大きさに設定することが、気体取込通気シート31が常に通気路47からの気体を取り込んで、該気体を覆いテープ通気孔25から目地12に流れ込ませることができる点から好ましい。
従って、気体取込通気シート31の大きさは、通気路47のピッチより大きいことが、上記点から好ましい。言い換えると、幅Lの通気路47を間隔Dで平行に有する通気緩衝シート41を設ける場合、上記気体取込通気シート31の差し渡し長さを、(L+D)以上に設定することが、上記点から好ましい。
気体取込通気シート31の厚さは、通気路47を通ってくる気体を好適に吸収する厚さに設定する。気体取込通気シート31の厚さの下限は、前記効果を発揮すれば特に限定はないが、好ましくは0.07mm以上であり、より好ましくは0.1mm以上であり、特に好ましくは0.4mm以上であり、更に好ましくは0.7mm以上であり、最も好ましくは0.8mm以上である。
また、気体取込通気シート31の厚さの上限は、施工に支障をきたさず段差(膨らみ)が目立たなければ特に限定はないが、好ましくは3mm以下であり、より好ましくは2mm以下であり、特に好ましくは1.5mm以下であり、更に好ましくは1.2mm以下であり、最も好ましくは0.9mm以下である。
下限が上記以上であると、通気路47を通ってくる気体を好適に吸収し、テープ通気孔を介して、目地12に好適に流せる。一方、上限が上記以下であると、気体取込通気シート31の材料が無駄にならず、また、塗膜防水層51に膨らみ・凸部・段差ができ難い。
限定はされないが、図2〜5、8(c)に示したように、気体取込通気シート31には、目地12の略上部であってテープ通気孔の上部に、気体取込通気シート孔32を設けることが、気体を効率的に直接的に目地12に流すために好ましい。
すなわち、気体取込通気シート31は、気体取込通気シート孔32を有し、該気体取込通気シート孔32が目地12の上に位置するように該気体取込通気シート31を載せることが好ましい。
気体の流れGを、図3、図5及び図6に示した。
気体取込通気シート31に取り込まれた(流れ込んだ)気体は、その下に位置するテープ通気孔を介して目地12に流れ込むが、気体取込通気シート31の下面から直接目地12に流れ込んだり、気体取込通気シート孔32から目地12に流れ込んだり、気体取込通気シート孔32の内側面である気体取込通気シート断面33から出て目地12に流れ込んだりする。
気体取込通気シート31の材質は、限定はされないが、例えば、不織布、織布、ネットクロス(網状の布)等の布材が用いられる。布材としては、単繊維若しくは集束繊維によって布状又は網状に形成されたもの、これらが複数種類組み合わされたもの、等が挙げられる。
気体取込通気シート31を構成する繊維としては、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリビニルアルコール等の合成繊維;綿、麻等の天然繊維;それらの複合繊維等の有機質繊維;ガラス、金属、カーボン等の無機質繊維;等が好ましい。
これらの中でも、通気性、強度、柔軟性、コスト等の点から、(好ましくはポリエステルからなる)不織布が特に好ましい。上記不織布としては、ニードルパンチング、樹脂バインダー、熱融着法等で作製したものを用いることができる。
また、通気性、強度、柔軟性、コスト等の点から、(好ましくはポリエステルからなる)ラッセル織の織物も特に好ましい。
気体取込通気シート31の目付量は、大き過ぎれば通気性が低くなるため、200g/m以下が好ましい。目付量をこの範囲にすることによって、十分な通気性が得られる。また、目付量が小さ過ぎれば緩衝性能が低くなるため、30g/m以上が好ましい。
<通気緩衝シート>
本発明の防水工法では、目地12の上部を覆いテープ21で覆った後、下地コンクリート11と該覆いテープ21の上部に、通気緩衝シート41を設け、その上から塗膜防水材を塗布する。
該通気緩衝シート41は、少なくとも粘着層45と通気路47とを有するものであり、人の歩行等により加えられる力や、コンクリートの収縮・膨張により生じる応力等を緩衝する機能を有すると共に、コンクリート等から発生する水蒸気等の気体を横方向に通気させる機能を有する。
上記通気緩衝シート41としては、少なくとも粘着層45と通気路47とを有し、上記要件を満たすものであれば特に限定はない。
ただ、図1(a)(b)に示したような、下から、粘着層45と「粘着層45の合間の通気路47」、通気層44、補強層43、通気緩衝シート基材42を有する通気緩衝シート(以下、「通気緩衝シートE」と略記する)が特に好ましいものとして挙げられる。
また、図1(c)に示したような、下から、粘着層45と「粘着層45がない部分があってそこを気体が通過するようになっている通気路47」、緩衝層46、補強層43、通気緩衝シート基材42を有する通気緩衝シート(以下、「通気緩衝シートF」と略記する)も特に好ましいものとして挙げられる。
通気緩衝シート41において、補強層43、通気層44、緩衝層46、通気緩衝シート基材42は必須ではなく、それを備えていない構成も可能である。通気層44がない通気緩衝シート(例えば、通気緩衝シートF等)の場合は、粘着層45の設けられていない部分で構成される通気路47が通気性を確保する。
また、本発明における「通気緩衝シート41」は、粘着層45を必須の層としており、少なくとも該粘着層45が緩衝性を有しているので、通常そのように命名されており、本発明でもそのような名称を使用したが、本発明の効果を奏するためには、該通気緩衝シート41に緩衝性は必要ではない。従って、緩衝性の付与を目的としていないシートであっても、該シートに通気性と、若干でも緩衝性があり、少なくとも粘着層45と通気路47とを有せば、そのシートは本発明における「通気緩衝シート41」に含まれる。
上記通気緩衝シートEでは、コンクリートから放出された気体は、通気路47から通気緩衝シート41に取り込まれ、通気緩衝シート41を縦に抜けずに、通気層44及び通気路47を通じて横に移動し、通気路47から前記した気体取込通気シート31に取り込まれる。通気緩衝シートEでは、粘着層45がない部分があり、そこが通気路47となる。
また、上記通気緩衝シートFでは、コンクリートから放出された気体は、通気緩衝シート41を縦に抜けずに、通気路47を通じて横に移動し、通気路47から前記した気体取込通気シート31に取り込まれる。通気緩衝シートFでは、粘着層45がない部分があり、そこが通気路47として機能して気体が通過する。
粘着層45の材質としては、特に限定はないが、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、アクリル樹脂系粘着剤、シリコーンゴム系粘着剤、ウレタン樹脂系粘着剤、ブチルゴム系粘着剤、改質アスファルト系粘着剤等が好ましく、ブチルゴム系粘着剤又はポリマー改質アスファルト系粘着剤が、コンクリートに対する相性(密着性等)が良く、粘着強度が高い、自着性を有し施工時間を短縮できる等のために特に好ましい。
粘着層45は、下面全体ではなく一部のみに形成されている。
粘着層45は、幅方向に間隔をおいて形成された複数の帯状部分からなっていて、該間隔部分が通気路47となっていてもよく(図1)、特許文献2に記載のように、粘着層45が入り組んで配置されていて、同じく入り組んで配置された「該粘着層45がない部分」が、通気緩衝シート41の端から端まで繋がっていて通気路47となっていてもよい(図示せず)。
粘着層45の厚さが通気路47の高さになるので、該粘着層45の厚さは、該通気路47の断面積が十分に確保されるように定めるのが通気性確保の点で好ましい。
粘着層45の厚さは、特に限定はないが、具体的には、0.1mm〜2mmが好ましく、0.2mm〜1.5mmがより好ましく、0.3mm〜1mmが特に好ましい。
粘着層45の厚さが厚過ぎると、通気緩衝シート41の表面に凹凸が生じる場合があり、粘着層45の厚さが薄過ぎると、通気路47の断面積が十分に確保されず通気性が確保できない場合がある。
通気路47の幅は、その断面積が十分に確保されるように定めるのが通気性確保の点で好適であるが、具体的には、該通気路47の幅は、2mm〜40mmが好ましく、3mm〜20mmが特に好ましい。
特に前記通気緩衝シートEの場合は、通気路47の幅は、1mm〜15mmが好ましく、2mm〜12mmがより好ましく、3mm〜8mmが特に好ましい。
また、特に前記通気緩衝シートFの場合は、通気層44がなく通気路47だけで通気性を確保する必要性から、通気路47の幅は、5mm〜40mmが好ましく、7mm〜33mmがより好ましく、10mm〜25mmが特に好ましい。
通気路47の幅が広過ぎると、粘着層45がない部分が多くあることになり、下地への粘着性が弱くなる場合があり、一方、通気路47の幅が狭過ぎると、通気性を十分に確保できない場合や、気体取込通気シート31の上を通過できない場合や、気体取込通気シート31に気体を十分に取り込ませられない場合がある。
通気路47の下面の、通気緩衝シート41の下面全体に対する面積比率は、小さ過ぎれば通気性が低くなり、大き過ぎれば下地に対する接着性が低くなるため、5〜50%が好ましく、7〜45%がより好ましく、10〜40%が特に好ましい。
また、通気路47のピッチ(平均周期)の好ましい範囲は、前記通気路47の幅と上記面積比率とから計算で求まる範囲である。
通気路47のピッチが粗過ぎると、通気性を十分に確保できない箇所が生じる場合や、前記した気体取込通気シート31の上を通過するように通気緩衝シート41を設けられずに気体取込通気シート31に気体を取り込ませられない場合がある。一方、通気路47のピッチが細か過ぎると、製造コストが高くなり過ぎる場合や、粘着層45が細切れで粘着層45の幅を十分に確保できないために接着性が十分でない場合がある。
通気緩衝シート基材42の材質としては、PET等のポリエステル;ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリ塩化ビニル等の合成樹脂フィルムが好ましく、中でもPETが、(表面加工をして)塗膜防水材の接着性を良くできる等の点から特に好ましい。
通気緩衝シート基材42の厚さは、10μm〜100μmが好ましく、20μm〜70μmが特に好ましい。通気緩衝シート基材42によって、防水性を高めたり、塗膜防水材の塗布性を向上させたりできる。
補強層43は、網目状の繊維で構成することが好ましい。かかる繊維としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン等からなる有機繊維;ガラス繊維;金属繊維等が好ましい。中でも、価格、重量、入手容易性等の点からガラス繊維が特に好ましい。
前記通気緩衝シートE等における通気層44としては、例えば、不織布、織布、ネットクロス(網状の布)等の布材が用いられる。布材としては、単繊維若しくは集束繊維によって布状又は網状に形成されたもの、これらが複数種類組み合わされたもの、等が挙げられる。
通気層44を構成する繊維としては、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリビニルアルコール等の合成繊維;綿、麻等の天然繊維;それらの複合繊維等の有機質繊維;ガラス、金属、カーボン等の無機質繊維;等が好ましい。
これらの中でも、耐候性、機械的強度、粘着層45との接着性等の点から、ポリエステルからなる不織布が特に好ましい。
通気層44の目付量は、大き過ぎれば通気性が低くなるため、500g/m以下が好ましい。目付量をこの範囲にすることによって、十分な通気性が得られる。また、目付量が小さ過ぎれば緩衝性能が低くなるため、50g/m以上が好ましい。
通気層44は、薄過ぎれば通気量が低下するため、その厚さは0.2mm以上が好ましく、0.5mm以上が特に好ましい。また、厚過ぎると通気緩衝シート41の厚さが大きくなり、施工がし難くなる場合がるので、通気層44の厚さは3mm以下が好ましい。
前記通気緩衝シートF等における緩衝層46としては、粘着層45と同様なもの(材質等)が用いられる。ただし、緩衝層46の好ましい厚さは前記粘着層45の好ましい厚さの1倍〜5倍が望ましい。特に限定はないが、具体的には、0.2mm〜4mmが好ましく、0.25mm〜3mmがより好ましく、0.3mm〜2mmが特に好ましい。
通気緩衝シート41は、使用前は粘着層45に離型紙又は樹脂製の離型フィルムを積層しておき、施工現場においてこの離型紙又は離型フィルムを剥離させて敷設することが好ましい。
<防水層の改修方法>
本発明は、下地コンクリート11の目地12の上部を覆いテープ21で覆った後、前記した所定の場所に、気体取込通気シート31を載せてから、該下地コンクリート11と該覆いテープ21の上部に通気緩衝シート41を設け、その上から塗膜防水材を塗布する防水工法及び防水層の改修方法である。
該塗膜防水材の種類には特に限定はなく公知の塗膜防水材が使用できるが、ウレタン防水材、ポリマーセメント防水材、FRP(繊維強化プラスチック)防水材、シート防水材、冷工法アスファルト防水材等が好ましく使用できる。
また、塗膜防水材を塗布する方法についても特に限定はなく公知の方法が用いられる。
<<脱気筒>>
前記した通り、塗膜防水層51の浮き上がり(膨れ)を防止するため、気体を縦に(大気中に)排出するために、脱気筒53を塗膜防水層51の上の所々に設置することが義務付けられている。例えば日本では、「建築工事標準仕様書JASS 8 防止工事」によって、100mに1〜2個設置することが義務付けられている。該脱気筒53は、通常数十cmの高さを有している。
しかしながら、その設置(配置)場所によって脱気能力が大きく異なり、脱気筒53の設置個所によっては、局所的な浮き上がり(膨れ)が生じていた。
また、脱気筒53は、屋上等の中程に複数個設けられるため、歩行の妨げになる、外観を損ねる、安全性に問題がある(特に雪の積もった屋上では脱気筒53により怪我をする)等の問題もあった。
本発明によれば、脱気筒53を、「上記目地12の末端である壁面近傍」等の立ち上がり部13のみに設置しても脱気の効果(浮き上がり(膨れ)防止効果)を発揮するので、歩行の妨げにならず、外観を損ねず、安全性の問題も解決される。
本発明では、脱気筒53を、従来通り上記のように、例えば屋上等の中程に(例えば、100mに2個)設置してもよい。その場合、従来法より、更に、脱気の効果、すなわち浮き上がり(膨れ)防止効果が上がる。
図6、8、13に脱気筒53の例を示した。脱気筒53を設置する場合は、脱気筒53の個数(頻度、密度)は、特に限定はなく、「建築工事標準仕様書JASS 8 防止工事」の基準に合うように、100mに1〜2個設置することによって、脱気の効果(浮き上がり(膨れ)防止効果)が更に上がる。
技術的には、目地が連続的に繋がっていれば、100m〜500mの範囲の面積当たり1個でも、更には200m〜1000mの範囲の面積当たり1個でも、十分に脱気の効果(浮き上がり(膨れ)防止効果)を奏することができる。本発明によれば、現在、日本における前記規定より脱気筒の設置個数(頻度、密度)を下げることが技術的には可能である。
また、本発明の防水工法によれば、細長い床面の屋上や、例えば図13のような「細くなった部分14を有する床面の屋上」を防水加工する際に脱気塔53の個数を減らすことができる。図13(a)は本発明の防水工法の一例であり、図13(b)は従来の防水工法の一例である。
図13(a)も図13(b)も、JASS 8の基準に合うように、100mに1〜2個の脱気筒53が設置されている。ただ、従来工法では、十分に脱気の効果(浮き上がり(膨れ)防止効果)を得るためには、細くなった部分14を有する床面の場合、左右それぞれに1個ずつ、計2個の脱気筒53を設置する必要があった(図13(b))。
しかしながら、本発明の防水工法の場合、細くなった部分14に存在する目地12を通って気体が自由に(圧がかからず)通過するので、一方のみに脱気筒53を設置すれば、十分に脱気の効果(浮き上がり(膨れ)防止効果)を得ることができる(図13(a))。
このように、本発明の防止工法によれば、脱気筒53の設置数を減らせるので、歩行や外観における問題点がなくなると共に安全性が向上する。
コンクリートから発生した気体は、図6に示したように、通気緩衝シート41の通気路47(及び通気層44)を通り、気体取込通気シート31に取り込まれ、気体取込通気シート31を下に通過して、及び/又は、気体取込通気シート孔32を通過して、テープ通気孔を通って目地12内に流れ込む。
通気緩衝シート41の通気路47や通気層44に比べれば圧倒的に体積が大きい目地12内に流れ込んだ気体は、好ましくは「目地12の末端である壁面近傍」等の立ち上がり部13に設けられた脱気筒53から大気中に放出される。
<気体取込通気シート>
本発明の別の態様は、上記の防水工法に用いられるものであり、厚さが0.3mm以上5mm以下の不織布でできたものであることを特徴とする気体取込通気シート31である。
気体取込通気シート31は、使用する所定の大きさに切断して提供してもよいし、ロール状、シート状等で提供し、施工現場で適宜切断して使用してもよい。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
図8に示した加速実験装置で、浮き上がり(膨れ)の抑制を確認する実験を行った。
図8(a)に示したように、長さ49cm、幅14cm、高さ3cmの直方体の箱4個を、2cmの目地が直角に交差して形成されるように配置した。
1個の(図8では右下の)箱の上面に、直径5mmの穴をほぼ等距離に10個開けた。更に、1個の(図8では右下の)箱の中には、コンクリートから発生する水蒸気等の気体に模した空気が導入されるようにホースを導入した。
次いで、図8では一番奥の目地の末端(立ち上がり部)13に、導気テープと脱気筒53を設置した。
図8(b)に示したように、目地12の上部を覆いテープ21で覆い、該覆いテープ21から板状部材23を1個除去し、その周囲を、カッターを用いて切開し、覆いテープ通気孔25を設けた。
また、この覆いテープ通気孔25の大きさは、長辺7.5cm、短辺1.5cmの長方形であった。
ここで使用した覆いテープ21は、前記した覆いテープAのタイプのものであり、詳しくは以下の通りのものである。
板状部材23として、短辺10mm×長辺70mm×厚さ0.35mmのガルバニウム鋼板を、幅100mm、厚さ0.05mmのPETフィルムからなる覆いテープ基材24」に、接着剤を用いて、7mmの間隔を開けて並べて貼り付けた。
次いで、覆いテープ接着層22として、幅100mm、厚さ0.35mmのブチルゴム系粘着剤をその上から貼り付けて、図2に概略断面を示したような覆いテープ21を作製した。
更に、その上から、100mm幅の離型フィルムを貼り付け、それをロール状に巻き取って覆いシート材ロールとした。そこから、49cmだけ切り出して使用した。
次いで、図8(c)に示したように、上記覆いテープ通気孔25の真上に、直径が10cmで中心に直径2cmの気体取込通気シート孔32を開けた気体取込通気シート31を置いた。
ここで使用した気体取込通気シート31は、材質ポリエステルで構成された、厚さ0.5mmの不織布であって、片面に粘着剤が付与されているものである。
次いで、図8(d)に示したように、通気緩衝シート41を設けた。
ここで使用した通気緩衝シート41は、前記した通気緩衝シートEのタイプのものであり、(株)ダイフレックス社製の商品名「マットSB」である。
使用した通気緩衝シートは、全体の厚さ約1.2mm、通気路の幅3mm、通気路の幅(粘着層の厚さ)約0.5mm、通気層の厚さ約0.3mmであった。
次いで、図8(e)に示したように、塗膜防水材(ダイフレックス社製、「コスミックRIM」(登録商標)を、平均膜厚3mmになるように吹き付けて硬化させ塗膜防水層51を形成した。
右下の箱に導入したホースから空気を導入したが、この空気は、抵抗なく(圧力の上昇もなく)目地12を通って脱気筒53から大気中に放出された。
この流量は、通常コンクリートから発生する水蒸気等の気体の発生速度の、約1万倍以上であり、この試験面積と実際の施工面の面積の相違を加味しても、本発明の防水工法が有効であることが示された。
また、試験中、塗膜防水層51に浮き上がり(膨れ)は全く見られなかった。
実施例2
実施例1で使用した覆いテープ21を市販の覆いテープ(株式会社秀カンパニー製の「メジキーパー」(登録商標))に代えた以外は実施例1と同様にして試験をしたところ、実施例1と同様の結果が得られた。
すなわち、導入した空気は、抵抗なく(圧力の上昇もなく)目地12を通って脱気筒53から大気中に放出され、試験中、塗膜防水層51に浮き上がり(膨れ)は見られなかった。
実施例3
実施例1で使用した覆いテープ21を、株式会社タイセイ社製、「メジフィット」(登録商標)に代え、覆いテープ通気孔25を開ける代わりに、1.5cm幅の覆いテープ隙間27を1か所設けた以外は実施例1と同様にして試験をしたところ、実施例1と同様の結果が得られた。
すなわち、導入した空気は、抵抗なく(圧力の上昇もなく)目地12を通って脱気筒53から大気中に放出され、試験中、塗膜防水層51に浮き上がり(膨れ)は見られなかった。
実施例4
実施例1で使用した通気緩衝シート41を、前記した通気緩衝シートFのタイプの日本特殊塗料(株)社製の商品名「タックシートS」に代えた以外は実施例1と同様にして試験をしたところ、実施例1と同様の結果が得られた。
すなわち、導入した空気は、抵抗なく(圧力の上昇もなく)目地12を通って脱気筒53から大気中に放出され、試験中、塗膜防水層51に浮き上がり(膨れ)は見られなかった。
実施例5
実施例1で使用した気体取込通気シート31を、気体取込通気シート孔32のないものに変更した以外は、実施例1と同様に試験をした。
導入した空気は、実施例1に比べると若干の抵抗の上昇はあったが、殆ど抵抗なく(圧力の上昇もなく)目地12を通って脱気筒53から大気中に放出され、本発明の防水工法が有効であることが示された。
また、試験中、塗膜防水層51に浮き上がり(膨れ)は全く見られなかった。
比較例1
覆いテープ通気孔25を設けず、従って気体取込通気シート31も設けず、それ以外は実施例1と同様にして試験をしたところ、送り込んだ空気は、抵抗があって(圧力の上昇があって)、右下の箱内に流入しなかった。空気は全く目地12を通って脱気筒53から大気中に放出されなかった。
無理に空気を送り込んだところ、塗膜防水層51に浮き上がり(膨れ)が見られた。
比較例2
覆いテープ通気孔25は設けたが、その上に気体取込通気シート31を設けなかった以外は実施例1と同様にして試験をしたところ、比較例1よりは良かったが、送り込んだ空気は、抵抗があって(圧力の上昇があって)、右下の箱内に流入しなかった。空気の殆どは、目地12を通って脱気筒53から大気中に放出されなかった。
無理に空気を送り込んだところ、塗膜防水層51に浮き上がり(膨れ)が見られた。
本発明の防水工法は、下地コンクリート11の目地12を、外見的にも機能的にも安全面からも問題のない形で簡便に処理することができ、コンクリートから発生する気体を好適に大気中に逃すため、塗膜防水層51の下に加圧された空間ができず、防水層に浮き上がり(膨れ)ができず、防水層の破れもない。
従って、長期の防水性に優れ、作業能率の向上も図れるため、屋上等の新規塗膜防水工事や防水塗膜の改修工事等に広く利用されるものである。
11 下地コンクリート
12 目地
13 壁面(立ち上がり部)
14 細くなった部分
21 覆いテープ
22 覆いテープ接着層
23 板状部材
24 覆いテープ基材
25 覆いテープ通気孔
26 金属層
27 覆いテープ隙間(覆いテープ膨張緩衝隙間)
28 両面粘着テープ支持層
29 両面粘着テープ板状部材側接着層
31 気体取込通気シート
32 気体取込通気シート孔
33 気体取込通気シート断面
41 通気緩衝シート
42 通気緩衝シート基材
43 補強層
44 通気層
45 粘着層
46 緩衝層
47 通気路
51 塗膜防水層
53 脱気筒
P 離型テープ
R 両面粘着テープ
G 気体の流れ

Claims (12)

  1. 下地コンクリートの目地の上部を覆いテープで覆った後、該下地コンクリートと該覆いテープの上部に、少なくとも粘着層と通気路とを有する通気緩衝シートを設け、その上から塗膜防水材を塗布する防水工法であって、
    該目地の上部に存在する覆いテープの一部のみに覆いテープ通気孔又は、覆いテープのない覆いテープ隙間を設け、該覆いテープ通気孔又は該覆いテープ隙間をカバーするように、該覆いテープの上に気体取込通気シートを載せてから、通気緩衝シートを設けることを特徴とする防水工法。
  2. 上記気体取込通気シートの大きさを、該気体取込通気シートに上から接している通気緩衝シートの部分に、上記通気路が常に存在する大きさに設定する請求項1に記載の防水工法。
  3. 幅Lの通気路を間隔Dで平行に有する通気緩衝シートを設ける場合、上記気体取込通気シートの差し渡し長さを、(L+D)以上に設定する請求項1又は請求項2に記載の防水工法。
  4. 上記気体取込通気シートが気体取込通気シート孔を有し、該気体取込通気シート孔が目地の上に位置するように該気体取込通気シートを載せる請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の防水工法。
  5. 脱気筒を、上記目地の末端である壁面近傍に設置する請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の防水工法。
  6. 上記覆いテープが、下から順に、少なくとも、覆いテープ接着層、複数の板状部材又は複数の線状部材が並列してなる部材列、及び、覆いテープ基材を有し、
    該板状部材又は該線状部材の最長軸が、該テープ状基材の長手方向に対して略垂直に、かつ、該板状部材同士又は該線状部材同士が互いに接触することなく間隔を開けて、並列して該テープ状基材上に貼り付けられてなるものである請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の防水工法。
  7. 上記覆いテープが、下から順に、少なくとも、覆いテープ接着層及び金属層を有してなるものである請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の防水工法。
  8. 上記気体取込通気シートの厚さを、0.1mm以上3mm以下にする請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載の防水工法。
  9. 上記気体取込通気シートの材質を不織布にする請求項1ないし請求項8の何れかの請求項に記載の防水工法。
  10. 上記下地コンクリートが押さえコンクリートであり、既存の押さえコンクリートに対し、請求項1ないし請求項9の何れかの請求項に記載の防水工法を使用することを特徴とする防水層の改修方法。
  11. 請求項1ないし請求項9の何れかの請求項に記載の防水工法に用いられるものであり、厚さが0.1mm以上3mm以下の不織布でできたものであって、
    下に存在する上記覆いテープ通気孔をカバーできるだけの大きさを有し、かつ、上から接している上記通気緩衝シートの通気路が上に存在するように、該通気路のピッチより大きいことを特徴とする気体取込通気シートと覆いテープと通気緩衝シートとからなるセット
  12. 請求項1ないし請求項9の何れかの請求項に記載の防水工法、又は、請求項10に記載の防水層の改修方法、を使用して得られたものであって、
    目地の上部に存在する上記覆いテープ、該覆いテープに設けられた上記通気孔又は上記覆いテープ隙間をカバーするように該覆いテープの上に載せてある上記気体取込通気シート、上記通気緩衝シート、及び、塗膜防水材からなる塗膜防水層を有することを特徴とする防水層。
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