JP6599526B2 - トリポード型等速自在継手 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車や産業機械等における動力伝達に使用される摺動式のトリポード型等速自在継手に関する。
自動車や各種産業機械の動力伝達系を構成する等速自在継手は、駆動側と従動側の二軸をトルク伝達可能に連結すると共に、前記二軸が作動角をとっても等速で回転トルクを伝達することができる。等速自在継手は、角度変位のみを許容する固定式等速自在継手と、角度変位および軸方向変位の両方を許容する摺動式等速自在継手とに大別され、例えば、自動車のエンジンから駆動車輪に動力を伝達するドライブシャフトにおいては、デフ側(インボード側)に摺動式等速自在継手が使用され、駆動車輪側(アウトボード側)には固定式等速自在継手が使用される。
摺動式等速自在継手の一つとしてトリポード型等速自在継手がある。このトリポード型等速自在継手は、トルク伝達部材であるローラがシングルローラタイプと、ダブルローラタイプが知られている。図23〜図26に、ダブルローラタイプのトリポード型等速自在継手を例示する(例えば、特許文献1参照)。
図23はトリポード型等速自在継手の部分縦断面図であり、図24は図23のK−K線で矢視した部分横断面図である。図23および図24に示すように、このトリポード型等速自在継手101は、外側継手部材102と、内側継手部材としてのトリポード部材103と、トルク伝達部材としてのローラユニット104とで主要部が構成されている。外側継手部材102は、一端が開口したカップ状をなし、内周面に軸方向に延びる3本の直線状トラック溝105が周方向等間隔に形成され、各トラック溝105の両側には、円周方向に対向して配置され、それぞれ軸方向に延びるローラ案内面106が形成されている。外側継手部材102の内部には、トリポード部材103とローラユニット104が収容されている。トリポード部材103は、半径方向に突出した3本の脚軸107を有する。トリポード部材103の中心孔108に形成された雌スプライン123にシャフト109に形成された雄スプライン124が嵌合し、止め輪110により軸方向に固定されている。ローラユニット104は、ローラであるアウタリング111と、このアウタリング111の内側に配置されて脚軸107に外嵌されたインナリング112と、アウタリング111とインナリング112との間に介在された多数の針状ころ113とで主要部が構成されており、外側継手部材102のトラック溝105に収容されている。インナリング112の内周面112aは、インナリング112の軸線を含む縦断面において円弧状凸面をなす。インナリング112、針状ころ113およびアウタリング111からなるローラユニット104は、ワッシャ114、115により分離しない構造となっている。
トリポード部材103の各脚軸107の外周面は、脚軸107の軸線を含んだ縦断面においてストレート形状をなす。また、図23のL−L線で矢視した平面図である図25に示すように、脚軸107の外周面は、脚軸107の軸線に直交する横断面において略楕円形状をなし、継手の軸線と直交する方向、すなわち長軸aの方向でインナリング112の内周面112aと接触し、継手の軸線方向、すなわち短軸bの方向でインナリング112の内周面112aとの間に隙間mが形成されている。図23、図24を参照して、この等速自在継手101では、トリポード部材103の脚軸107に装着されたローラユニット104のアウタリング111が、外側継手部材102のトラック溝105のローラ案内面106上を転動する。脚軸107の横断面が略楕円形状であるので、等速自在継手101が作動角を取ったとき、外側継手部材102の軸線に対してトリポード部材103の軸線は傾斜するが、ローラユニット104はトリポード部材103の脚軸107の軸線に対して傾斜可能である。したがって、ローラユニット104のアウタリング111とローラ案内面106とが斜交した状態になることを回避し、正しく転動するので、誘起スラストやスライド抵抗の低減を図ることができ、継手の低振動化を実現することができる。
図27に示すように、トリポード部材103の製作工程として、従来、バー材切断工程S1、球状化焼なまし工程S2’、ボンデ処理工程S3、冷間鍛造工程S4、旋削加工工程S5、ブローチ加工工程S6、熱処理工程S7、研削加工工程S8を経て製作されることが特許文献2に記載されている。
特開2002−195284号公報 特開2013−217478号公報
トリポード部材103は、強度や耐摩耗性及び耐はく離性を要求されることから、上記の製作工程のように浸炭焼入れ焼戻しなどの熱処理を施して硬度を高めるようにしている。ところが、図26(a)、図26(b)に示すように、トリポード部材103は、ボス部103aから脚軸107が放射状に突出した形状であるので、周方向での肉厚の変化が大きい。
このような肉厚の変化が大きい部品を浸炭焼入れ焼戻しした場合、冷却速度が部位により異なるため熱処理変形が大きくなる。また、焼入れでの変態により膨張が生じ、この膨張は部品の体積に比例する。そのため、肉厚の厚い部位は大きく膨張し、逆に肉厚の薄い部位は小さな膨張となり、その結果、トリポード部材103の雌スプライン123のピッチ円Pは、熱処理前の真円形状から、図26(b)に示すように、肉厚の厚い脚軸形成部位Dにおいてピッチ円Pの直径が大きく、肉厚の薄い円筒状部位Cではピッチ円Pの直径が小さくなり、数十μm程度の直径差を有する略三角形状に変形する。図26(b)では、理解しやすいように雌スプライン123のピッチ円Pの直径差を誇張して図示している。
上記のような熱処理変形が生じるため、トリポード部材103の雌スプライン123にシャフト109の雄スプライン124(図23参照)を嵌合結合してトルクを伝達する場合、肉厚の薄い円筒状部位Cの雌スプライン123に大きな負荷がかかり、脚軸形成部位Dの雌スプライン123には小さな負荷となって、雌スプライン123の各歯に作用する応力が不均一になる。これにより、トリポード部材103の疲労強度の低下や疲労強度の大きなバラツキを招く場合がある。また、このようなトリポード部材103の熱処理変形によるスプライン負荷の不均一により、嵌合するシャフト109の強度を低下させる場合がある。
このような状況にあるが、トリポード部材103の雌スプライン123の熱処理変形は、容易に、また経済的に研削仕上げすることが難しいこともあって、熱処理後仕上げ加工されずに使用されることが多い。このような事情により、トリポード部材103の材料は、モリブデン(Mo)を添加した焼入れ性がよく機械的性質に優れるクロム・モリブデン鋼(例えば、SCM420)を一般的に使用している。
ところが、クロム・モリブデン鋼は、モリブデンを添加している関係で、クロム鋼(例えば、SCr420)に比べて、材料が高価という問題がある。自動車の生産台数を考えた場合、このような材料価格問題は工業上極めて重要な問題であることに、まず着目した。
熱処理変形の問題に対して、特許文献2には、トリポード部材の雌スプラインを形成する部分に対して局部的に浸炭を抑制した浸炭焼入れ焼戻しを施すことにより、雌スプラインを形成する部分を不完全焼入れ部とすると共に、当該部分を除いた表面に焼入れ部を形成し、この熱処理後に雌スプラインを形成する部分をブローチ加工する製造技術が記載されている。この製造技術は、トリポード部材の雌スプラインが真円度の高いピッチ円に形成され、かつ、歯底部の浸炭異常層が除去されることにより、高強度でかつ強度のバラツキの小さなトリポード部材を得ることができる。また、ブローチの寿命向上が図れると共に、新たな設備の導入や長い加工時間によるコストの増加や生産性の低下を抑制することができるという優れたものである。
上記のように、特許文献2は、トリポード部材に対して局部的に浸炭を抑制して浸炭焼入れ焼戻しを施すことを条件にしているが、本発明者らは、熱処理の生産性、コスト面で優れると共に、スプライン部の耐久性が良好な、ワークの全表面を浸炭焼入れ焼戻しする通常の熱処理により、真円度の高いピッチ円を有する雌スプラインの可能性の有無に着目した。
上記のような問題に鑑み、本発明は、トリポード部材を比較的安価なクロム鋼とし、全表面を浸炭焼入れ焼戻しする通常の熱処理により、加工時間の増加やコスト増加を抑制しつつ、スプラインの各歯に作用する応力を可及的に均一化し、高強度なトリポード型等速自在継手を提供することを目的とする。上記の全表面を浸炭焼入れ焼戻しする処理を本明細書および特許請求の範囲において全面浸炭焼入れ焼戻しと略称する。
本発明者らは、上記の目的を達成するために、以下に示す多面的な項目に着目し、鋭意検討および検証した結果、トリポード部材を比較的安価なクロム鋼とし、全面浸炭焼入れ焼戻しする通常の熱処理により、雌スプラインの熱処理変形を抑制するという新たなコンセプトに到達し、本発明に至った。
(1)冷間鍛造前のビレットの焼なましの評価
(2)焼なましと全面浸炭焼入れ焼戻しによるスプライン精度についての着目と検証
(3)クロム鋼からなるトリポード部材の全面浸炭焼入れ焼戻し品の実用性の検証
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、円周方向の三等分位置に軸方向に延びるトラック溝を形成した外側継手部材と、ボス部の円周方向の三等分位置から半径方向に突出した脚軸を有するトリポード部材と、前記脚軸に回転自在に装着されたローラとを備え、このローラが前記トラック溝に収容され、前記ボス部の内周面にシャフトと連結するための雌スプラインが形成されたトリポード型等速自在継手において、前記トリポード部材は、クロム鋼からなり、全面浸炭焼入れ焼戻しによる硬化層が形成され、前記硬化層は、完全焼きなましによる旧オーステナイト結晶粒が整粒化された金属組織を有し、前記雌スプラインは、その小径部の真円度が20μm以下の精度の高いスプラインで形成されていることを特徴とする。
上記の構成により、トリポード部材を比較的安価なクロム鋼とし、全面浸炭焼入れ焼戻しする通常の熱処理により、加工時間の増加やコスト増加を抑制しつつ、スプラインの各歯に作用する応力を可及的に均一化し、高強度なトリポード型等速自在継手を実現することができる。
上記のクロム鋼は、SCr415又はSCr420およびこれらに相当する材料であることが好ましい。SCr415又はSCr420は比較的安価な材料であり、母材硬度が低く鍛造成形性に優れている。またグローバルに調達が可能である。さらに、炭素量の少ないSCr415材はより母材硬度が低く鍛造成形性に優れている。
上記のトリポード部材の脚軸にローラユニットが装着された形式とした場合は、誘起スラストやスライド抵抗の低減を図ることができ、継手の低振動化を実現することができる。
上記のトリポード部材の脚軸に複数の針状ころを介してローラが装着された形式とした場合は、構造がシンプルで、低コスト化を図ることができる。
本発明によれば、トリポード部材を比較的安価なクロム鋼とし、全面浸炭焼入れ焼戻しする通常の熱処理により、加工時間の増加やコスト増加を抑制しつつ、スプラインの各歯に作用する応力を可及的に均一化し、高強度なトリポード型等速自在継手およびそのトリポード部材の製造方法を実現することができる。
本発明の第1の実施形態のトリポード型等速自在継手の縦断面図である。 図1のK−K線で矢視した部分横断面図である。 図1のL−L線で矢視した平面図である。 図1のトリポード型等速自在継手が作動角を取った状態を示す縦断面図である。 (a)図はトリポード部材の部分縦断面図であり、(b)図はトリポード部材の正面図である。 トリポード部材の雌スプラインの歪量を測定する方法を示す概要図である。 雌スプラインの歪量の測定結果を示す図である。 トリポード部材の製作工程の概要を示す図である。 完全焼なましの条件を示す図である。 完全焼なまし後の金属組織写真である。 浸炭焼入れ焼戻し後の金属組織写真である。 (a)図はトリポード部材の鍛造金型の概要を示す横断面図であり、(b)図は縦断面図である。 球状化焼なましの条件を示す図である。 球状化焼なまし後の金属組織写真である。 浸炭焼入れ焼戻し後の金属組織写真である。 応力除去焼なましの条件を示す図である。 応力除去焼なまし後の金属組織写真である。 浸炭焼入れ焼戻し後の金属組織写真である。 図1のトリポード型等速自在継手を組込んだ自動車用ドライブシャフトの縦断面図である。 本発明の第2の実施形態のトリポード型等速自在継手の縦断面図である。 図20のトリポード部材を示す正面図である。 図20のトリポード型等速自在継手を組込んだ自動車用ドライブシャフトの縦断面図である。 従来のトリポード型等速自在継手を示す縦断面図である。 図23のK−K線で矢視した部分横断面図である。 図23のL−L線で矢視した平面図である。 (a)図は、図23のトリポード部材の部分縦断面図であり、(b)図はトリポード部材の正面図である。 図23のトリポード部材の製作工程の概要を示す図である。
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の第1の実施形態に係るトリポード型等速自在継手を図1〜7に基づいて説明する。本実施形態のトリポード型等速自在継手1はダブルローラタイプのものである。図1はトリポード型等速自在継手の縦断面図であり、図2は図1のK−K線で矢視した部分横断面図である。このトリポード型等速自在継手1は、外側継手部材2と、内側継手部材としてのトリポード部材3と、トルク伝達部材としてのローラユニット4とで主要部が構成されている。外側継手部材2は、一端が開口したカップ状をなし、内周面に軸方向に延びる3本の直線状トラック溝5が周方向等間隔に形成され、各トラック溝5の両側には、円周方向に対向して配置され、それぞれ軸方向に延びるローラ案内面6が形成されている。外側継手部材2の内部には、トリポード部材3とローラユニット4が収容されている。
トリポード部材3は、半径方向に突出した3本の脚軸7を有する。トリポード部材3の中心孔8に形成された雌スプライン23にシャフト9に形成された雄スプライン24が嵌合し、止め輪10により軸方向に固定されている。ローラユニット4は、ローラであるアウタリング11と、このアウタリング11の内側に配置されて脚軸7に外嵌されたインナリング12と、アウタリング11とインナリング12との間に介在された多数の針状ころ13とで主要部が構成されており、外側継手部材2のトラック溝5に収容されている。インナリング12の内周面12aは、インナリング12の軸線を含む縦断面において円弧状凸面をなす。インナリング12、針状ころ13およびアウタリング11からなるローラユニット4は、ワッシャ14、15により分離しない構造となっている。
トリポード部材3の各脚軸7の外周面は、脚軸7の軸線を含んだ縦断面においてストレート形状をなす。また、図1のL−L線で矢視した平面図である図3に示すように、脚軸7の外周面は、脚軸7の軸線に直交する横断面において略楕円形状をなし、継手の軸線と直交する方向、すなわち長軸aの方向でインナリング12の内周面12aと接触し、継手の軸線方向、すなわち短軸bの方向でインナリング12の内周面12aとの間に隙間mが形成されている。
この等速自在継手1では、トリポード部材3の脚軸7に装着されたローラユニット4のアウタリング11が、外側継手部材2のトラック溝5のローラ案内面6上を転動する(図1、図2参照)。脚軸7の横断面が略楕円形状であるので、図4に示すように、等速自在継手1が作動角を取ったとき、外側継手部材2の軸線に対してトリポード部材3の軸線は傾斜するが、ローラユニット4はトリポード部材3の脚軸7の軸線に対して傾斜可能である。したがって、ローラユニット4のアウタリング11とローラ案内面6とが斜交した状態になることを回避し、正しく転動するので、誘起スラストやスライド抵抗の低減を図ることができ、継手の低振動化を実現することができる。
トリポード部材3を図5に基づいて説明する。図5(a)は部分縦断面図であり、図5(b)は正面図である。トリポード部材3は、ボス部3aから3本の脚軸7が放射状に突出している。脚軸7の長軸aを含む7aはインナリング12の内周面12a(図3参照)と接触する表面で、熱処理後に研削加工で仕上げられている。トリポード部材3のボス部3aの中心孔8に雌スプライン23が形成され、ピッチ円Pを有する。
本実施形態に適用されるトリポード部材3は、クロム鋼(例えば、SCr420)からなり、全面浸炭焼入れ焼戻しによる硬化層が表面全体に形成されている。雌スプライン23は、真円度の高いピッチ円Pを有し、雌スプライン23の小径部の真円度が20μm以下の精度の高いスプラインで形成されている。
雌スプライン23の小径部の真円度の測定方法および測定結果を図6、図7に基づいて説明する。図6に小径部の真円度の測定方法の概要を示す。使用した測定機は、テーラー ホブソン株式会社 製 TALYROND 265で、トリポード部材3をスピンドル(図示省略)にセットし、トリポード部材3の軸方向中央位置で測定端子30を雌スプライン23の歯先23a(小径部23aともいう)に当接させ、スピンドルを回転させて測定した。
測定結果の代表例を図7に示す。図7のEが位相1、Fが位相2、Gが位相3であり、各位相が肉厚の厚い脚軸形成部位D〔図5(b)参照〕の中央に当たる。雌スプライン23の小径部23aの真円度の求め方として、測定によって得られた形状(測定形状)における各位相の最大部と測定形状に対する内接円との差を求める。この差について、位相1のものをH1、位相2のものをH2、位相3のものをH3とした。そして、これらの差の平均値X=(H1+H2+H3)/3を雌スプライン23の小径部23aの真円度とした。本明細書および特許請求の範囲において、雌スプラインの小径部の真円度とは、上記の平均値X=(H1+H2+H3)/3を意味する。本実施形態では、雌スプライン23の小径部23aの真円度(上記の平均値X)が20μm以下の精度の高いスプラインで形成されている。図7に実線で示す本実施形態のトリポード部材についての代表例では、H1=16μm、H2=20μm、H3=18μmで、小径部23aの真円度としての平均値X=18μmとなっている。
これに対して、図7に破線で示す従来のクロム・モリブデン鋼(SCM420)からなり球状化焼なましを施したトリポード部材の代表例では、H1’=28μm、H2’=32μm、H3’=30μmで、小径部23aの真円度としての平均値X=30μmとなっている。
図7には、完全焼なましを施したものと球状化焼なましを施したものの測定結果の代表例を示したが、前記の各焼なましで試料数n=10個ずつの小径部23aの真円度を比較した結果、完全焼なましを施したものは、球状化焼なましを施したものより雌スプライン23の小径部23aの真円度が35%程度向上することが判明した。
次に、トリポード部材の製造方法についての実施形態を図8〜12に基づいて説明する。製造工程の概要を図8に示す。トリポード部材3は、バー材切断工程S1、完全焼なまし工程S2、ボンデ処理工程S3、冷間鍛造工程S4、旋削加工工程S5、ブローチ加工工程S6、熱処理工程S7、研削加工工程S8を経て製作される。本実施形態の製造工程は、従来の製造工程(図27参照)を比較すると、バー材を切断したビレットの焼なまし処理が、従来は球状化焼なましであることに対して、本実施形態では完全焼なましであるところが異なる。
各工程の概要を説明する。各工程は、代表的な例を示すものであって、必要に応じて適宜変更や追加を行うことができる。
[バー材切断工程S1]
鍛造重量に基づいて所定長さで切断し、ビレットを製作する。
[完全焼なまし工程S2]
冷間鍛造の際の材料流動性(変形能)の向上と浸炭焼入れ焼戻し後の結晶粒の整粒化を図るために完全焼なましを施す。詳細は後述する。
[ボンデ処理工程S3]
鍛造金型の寿命向上や鍛造性を向上するために、ビレットに潤滑性を高めるボンデ処理を施す。
[冷間鍛造工程S4]
鍛造金型のキャビティ内にビレットを投入し、ビレットを塑性加工により金型に充足させる。これにより、ボス部とボス部内周面並びに脚軸が形成されたトリポード部材の冷間鍛造品が得られる。
[旋削加工工程S5]
冷間鍛造品から端面、内周面等を旋削加工する。
[ブローチ加工工程S6]
トリポード部材の中間製品の内周面にブローチ加工してスプラインを形成する。
[熱処理工程S7]
トリポード部材は、強度を要求されることから、浸炭焼入れ焼戻しを施して硬度を高める。本実施形態では、スプライン部を含むトリポード部材の全表面を通常の全面浸炭焼入れ焼戻しを施す。
[研削加工工程S8]
熱処理後、トリポード部材の脚軸の外周面を研削加工で仕上げる。
本実施形態の完全焼なまし工程S2における処理条件は、図9に示すように、ビレットをA3変態点から50℃程度高い温度範囲(例えば、890℃)で2時間保持して均熱し、その後、A1変態点から70℃程度低い温度(例えば、660℃)まで8時間かけて炉冷し、その後、空冷する。例えば、SCr420材では840〜890℃の均熱を約2時間実施し、その後、1時間に15〜30℃の降温速度で660℃まで炉冷する。完全焼なまし後の金属組織は、図10に示す写真のように、素地はフェライト、パーライトの安定した組織となる。腐食液はナイタル5%液を用いた。以降の図14、図17も腐食液は同じである。なお、上記の840〜890℃の均熱温度は、合金成分によって若干変わってくる。
ここで、完全焼なましについて定義する。本明細書および特許請求の範囲において、完全焼なましとは、処理後の金属組織がフェライトとパーライトの整粒化された組織となり、処理温度がA3変態点から50℃程度高い温度に製品を均熱した後、A1変態点から70℃程度低い温度までゆっくり炉冷する焼なましを意味する。
完全焼なまし後のビレットの冷間鍛造工程S4を図12に基づいて説明する。図12(b)は金型の縦断面図であり、図12(a)は、図12(b)のM−M線で矢視した横断面図である。図12(a)および図12(b)に示すように、上側ダイス40、下側ダイス41、上側パンチ42、下側パンチ43からなる金型による閉塞鍛造により、トリポード部材3の鍛造品3’が形成される。具体的には、上側ダイス40と下側ダイス41を型締めして成形空間を形成し、その中に円筒状のビレットが投入される。そして、上側パンチ42と下側パンチ43を接近させて、ビレットを加圧しダイス40、41内に充足させて、3本の脚軸7’を有する鍛造品3’が得られる。
次に、鍛造品3’は、旋削加工工程S5で端面、内周面等が旋削加工され、ブローチ加工工程S6で内周面にスプラインが形成されてトリポード部材3の中間製品となる。その後、トリポード部材3の中間製品は、熱処理工程S7で全面浸炭焼入れ焼戻しが施される。
全面浸炭焼入れ焼戻しの処理条件を次に説明する。まず、トリポード部材3の中間製品を850℃で1時間均熱保持し、その後、940℃まで加熱し、この温度で3時間浸炭・拡散し、浸炭・拡散が終了すると、炉冷して860℃になるまで温度を下げて、860℃で30分保持した後、油焼入れする。焼戻しは180℃で40分保持する条件とした。処理品のサイズ等が異なれば、適宜処理条件を変える。
浸炭焼入れ焼戻し後の金属組織は、図11に示す写真のように結晶粒の成長はなく整粒化が安定している。この結晶粒の整粒化により、前述したように、本実施形態のトリポード部材3の雌スプライン23は、その小径部23aの真円度が20μmの精度の高いスプラインで形成されるものと考えられる。なお、腐食液は粒界現出液を用いた。以降の図15、図18も腐食液は同じである。
ここで、前述したトリポード型等速自在継手ついての第1の実施形態およびトリポード部材の製造方法についての本実施形態に至った開発経緯を説明する。総括として、トリポード部材を比較的安価なクロム鋼とすることに着目した後、以下に示す多面的な項目に着目し、鋭意検討および検証した結果、トリポード部材を比較的に安価なクロム鋼とし、表面全部を浸炭焼入れ焼戻しする通常の熱処理により、雌スプラインの熱処理変形を抑制するという新たなコンセプトに到達した。
(1)冷間鍛造前のビレットの焼なましの評価
(2)焼なましと全面浸炭焼入れ焼戻しによるスプライン精度についての着目と検証
(3)クロム鋼からなるトリポード部材の全面浸炭焼入れ焼戻し品の実用性の検証
(1)冷間鍛造前のビレットの焼なましの評価
トリポード部材の製作工程として、図27に示すように、従来、クロム・モリブデン鋼製のバー材を切断してビレットを製作し、その後、ビレットを球状化焼なまし工程S2’により球状化焼なましを施している。これは、軟化しやすい球状化焼なましは、強度や耐久性が要求される転がり軸受や等速自在継手の構成部材の冷間鍛造において定常的に行われるもので、冷間鍛造の際の材料流動性(変形能)を向上させるという点で優れている。
しかしながら、機械的特性に優れるクロム・モリブデン鋼(SCM420)から特性面で厳しいクロム鋼(SCr420)に転換するためには、ビレットの焼なまし処理という原点に戻って抜本的に検討する必要があることに着目し、ビレットの焼なまし処理について評価した。
そこで、冷間鍛造の際の軟化目的で従来より定常的に行われている球状化焼なまし処理をクロム鋼からなるビレットに施した。球状化焼なましの処理条件は、図13に示すように、A1変態点より高い780℃で10時間均熱保持した後、660℃まで2時間かけて炉冷し、その後、空冷した。球状化焼なまし処理を施した結果、図14に示す写真のように均一に球状化が進行せず、部分的に球状化した金属組織となることが判明した。これは、炭素量の低い肌焼き鋼を球状化焼なまし処理をした場合、球状化するパーライト量が少ないために均一に球状化が進行せず、部分的な球状化となることが考えられる。
上記の知見が引き金となって、クロム鋼(SCr420)のビレットの冷間鍛造前の焼なまし処理として、応力除去焼なましと完全焼なましを施して金属組織を調査した。応力除去焼なましの条件を図16に示す。すなわち、A1変態点近傍の720℃で6時間均熱保持し、その後空冷した。図17に示す写真は、応力除去焼なまし後の金属組織であり、素地はフェライト、パーライトになることが判明した。完全焼なましについては、製造方法についての本実施形態で前述したとおりである。すなわち、処理条件は図9と同じであり、完全焼なまし後の金属組織は図10に示す写真と同じで、素地はフェライト、パーライト組織である。完全焼なましの場合は、フェライト、パーライト組織がくずれにくくなっていることが判明した。
(2)焼なましと全面浸炭焼入れ焼戻しによるスプライン精度についての着目と検証
(1)項の知見が全面浸炭焼入れ焼戻しによるスプライン精度の追求への動機付けとなった。そこで、球状化焼なまし、応力除去焼なまし、完全焼なましを施した各ビレットを浸炭焼入れ焼戻しした。浸炭焼入れ焼戻しの処理条件は、製造方法についての本実施形態で前述した条件と同じである。浸炭焼入れ焼戻し後の金属組織を調査した結果、球状化焼なましを施したものは、図15に示す写真のように部分的に結晶粒が粗大化した。この検証結果から、部分的に球状化した斑な組織に浸炭焼入れ焼戻しを施すと部分的に結晶粒が急成長し粗大化することが判明した。ここで、旧オーステナイト粒径の粗大化とは、通常5〜50μm程度の大きさに揃っているが、それ以上の粒径を粗大化したものとする。
一方、応力除去焼なましを施したものは、図18に示す写真のように結晶粒の成長はなく整粒化され、さらに、完全焼なましを施したものは、製造方法についての本実施形態で前述したとおりであった。すなわち、完全焼なましを施したものの浸炭焼入れ焼戻し後の金属組織は、図11に示す写真のように結晶粒の成長はなく整粒化が安定していることが判明した。さらに、この検証結果から、結晶粒が整粒化された金属組織は、熱処理変形の抑制、スプライン精度への好影響を与えるのではないかということに着目し、クロム鋼からなるトリポード部材の雌スプラインの小径部の真円度の検証を進める動機付けとなった。
雌スプラインの小径部の真円度の検証結果は、トリポード型等速自在継手についての第1の実施形態において、図7に基づいて前述したとおりであり、完全焼なましを施したものは、従来の球状化焼なましを施したものより雌スプラインの小径部の真円度が35%程度向上することが判明した。
(3)クロム鋼からなるトリポード部材の全表面浸炭焼入れ焼戻し品の実用性の検証
以上の経緯を経て、クロム鋼からなるトリポード部材の全面浸炭焼入れ焼戻し品の実用性を評価した。具体的には、クロム鋼(SCr420)からなるビレットに完全焼なましを施したトリポード部材(本発明品)とクロム・モリブデン鋼(SCM420)からなるビレットに球状化焼なましを施したトリポード部材(従来品)を、それぞれ、トリポード型等速自在継手に組込んで片振り捩り疲労試験を実施した。試験結果を表1に示す。
片振り捩り疲労試験結果より、従来品の破損までの繰返し数を基準として、本発明品は、負荷条件が0〜0.6GPaおよび0〜0.7GPaの低負荷域での疲労強度が従来品と同等であることが分かった。負荷条件が0〜0.9GPaの高負荷域での疲労強度については、本発明品は従来品より若干劣る結果となったが、実用上問題がないことが確認できた。上記試験の結果、破損個所がスプラインの歯底部であり、クロム鋼(SCr420)からなるビレットに完全焼なましを施した本発明品は、破損起点となるスプライン歯底部の強度が向上することが分かった。
完全焼なまし後の硬度は条件にもよるが、球状化焼なまし後の硬度より若干高め(HRBスケールで5ポイント程度)となる傾向がある。しかし、ビレットの冷間鍛造において実用上問題がないことが確認できた。また、SCr415材を使用すれば、母材硬度が低くなり冷間鍛造が優れている。
以上のような種々の検討、検証を通じて、トリポード部材を比較的に安価なクロム鋼とし、全面浸炭焼入れ焼戻しする通常の熱処理により、雌スプラインの熱処理変形を抑制するという新たなコンセプトに到達した。
図19に、第1の実施形態のトリポード型等速自在継手1を組込んだ自動車のフロント用ドライブシャフト50を示す。図19において、ドライブシャフト50の左側が駆動車輪側(アウトボード側)で右側がデフ側(インボード側)である。摺動式のトリポード型等速自在継手1は、シャフト9のインボード側端部に連結され、固定式のツェッパ型等速自在継手31は、シャフト9のアウトボード側端部に連結されている。ツェッパ型等速自在継手31の外周面とシャフト9の外周面との間、およびトリポード型等速自在継手1の外周面とシャフト9の外周面との間に、それぞれ蛇腹状ブーツ52、53がブーツバンド54a、54b、54c、54dにより締付固定されている。継手内部には潤滑剤としてのグリースが封入されている。
ツェッパ型等速自在継手31の内側継手部材32とトリポード型等速自在継手1のトリポード部材3は、それぞれ、シャフト9にスプライン嵌合で連結されている。前述したように、トリポード部材3は、クロム鋼からなり、全面浸炭焼入れ焼戻しによる硬化層が形成され、雌スプライン23は、その小径部の真円度が20μm以下の精度の高いスプラインで形成されている。このため、シャフト9の雄スプライン24との間でスプラインの各歯に作用する応力を可及的に均一化し、高強度なスプライン嵌合を実現する。また、比較的安価なクロム鋼を用い全面浸炭焼入れ焼戻しを施しているので、加工時間の増加やコスト増加を抑制でき、ひいては、ドライブシャフト50の低コストを図ることができる。
次に、本発明に係るトリポード型等速自在継手の第2の実施形態を図20〜22に基づいて説明する。図20は、本実施形態のトリポード型等速自在継手の部分縦断面図であり、図21は、トリポード部材の正面図である。図20に示すように、トリポード型等速自在継手61はシングルローラタイプのものである。このトリポード型等速自在継手61は、外側継手部材62、内方部材としてのトリポード部材63、トルク伝達要素としての転動体65および球面ローラ64を主な構成とする。外側継手部材62の内周部に3本のトラック溝66が軸方向に形成され、各トラック溝66の両側にそれぞれローラ案内面67が軸方向に形成されている。
トリポード部材63は、そのボス部63aより3本の脚軸63bが放射状に形成されている。脚軸63bに多数の転動体65を介して球面ローラ64が嵌合され、転動体の両端にワッシャ69、70を介在させ、ワッシャ69は止め輪68により位置決めされている。脚軸63bの外径面は転動体65の内側軌道面を形成し、球面ローラ64の内径面は転動体65の外側軌道面を形成している。転動体65の列が脚軸63b上で案内されると共に、球面ローラ64は、転動体65上で回転自在で、かつ脚軸63bの軸線方向に移動可能となっている。また、球面ローラ64は、外側継手部材62のローラ案内面67に回転自在に収容されている。このような構造により、外側継手部材62とトリポード部材63との間の相対的な軸方向変位や角度変位が吸収され、回転が等速で伝達される。
トリポード部材63のボス部63aの内周面72に雌スプライン73が形成され、この雌スプライン73とシャフト81の雄スプライン74が嵌合され、トルク伝達可能に連結されている。
図21にトリポード部材63の正面図を拡大して示す。トリポード部材63は、ボス部63aから3本の脚軸63bが放射状に突出し、転動体65の内側軌道面となる脚軸63bの外径面63cは、例えば、研削加工により仕上げられている。ボス部63aの内周面72に雌スプライン73が形成されている。本実施形態に適用されるトリポード部材63は、第1の実施形態と同様、クロム鋼(例えば、SCr420)からなり、全面浸炭焼入れ焼戻しによる硬化層が表面全体に形成されている。雌スプライン73は、熱処理変形が抑制され、真円度の高いピッチ円Pを有し、雌スプライン73の小径部73aの真円度が20μm以下の精度の高いスプラインで形成されている。したがって、雌スプライン73にシャフト81の雄スプライン74を嵌合してトルクを伝達するとき、各スプライン73、74の各歯に作用する応力は可及的に均一になる。
本実施形態に適用されるトリポード部材63の製造方法は、前述した製造方法についての実施形態と同様であるので、前述した内容を準用し、説明を省略する。また、本実施形態に適用されるトリポード部材63の雌スプライン73の小径部の真円度の測定方法および測定結果は、トリポード型等速自在継手についての第1の実施形態と同様であるので、前述した内容を準用し、説明を省略する。
図22に、第2の実施形態のトリポード型等速自在継手61を組込んだ自動車のフロント用ドライブシャフト80を示す。図22においても、ドライブシャフト80の左側が駆動車輪側(アウトボード側)で右側がデフ側(インボード側)である。摺動式のトリポード型等速自在継手61は、シャフト81のインボード側端部に連結され、固定式のツェッパ型等速自在継手51は、シャフト81のアウトボード側端部に連結されている。このドライブシャフト80に使用されたシャフト81は中空シャフトである。ツェッパ型等速自在継手51の外周面とシャフト81の外周面との間、およびトリポード型等速自在継手61の外周面とシャフト81の外周面との間に、それぞれ蛇腹状ブーツ82、83がブーツバンド84a、84b、84c、84dにより締付固定されている。継手内部には潤滑剤としてのグリースが封入されている。
ツェッパ型等速自在継手51の内側継手部材52とトリポード型等速自在継手61のトリポード部材63は、それぞれ、シャフト81にスプライン嵌合で連結されている。トリポード部材63は、第1の実施形態と同様、クロム鋼からなり、全面浸炭焼入れ焼戻しによる硬化層が形成され、雌スプライン73は、その小径部の真円度が20μm以下の精度の高いスプラインで形成されている。このため、シャフト81の雄スプライン74との間でスプラインの各歯に作用する応力を可及的に均一化し、高強度なスプライン嵌合を実現する。また、比較的安価なクロム鋼を用い全面浸炭焼入れ焼戻しを施しているので、加工時間の増加やコスト増加を抑制でき、ひいては、ドライブシャフト80の低コストを図ることができる。
以上の実施形態では、トリポード部材3、63の材料であるクロム鋼について、SCr420材を例示したが、これに限られず、SCr415材やこれらに相当する材料を使用することができる。相当する材料としては、例えば、ISO規格の20Cr4材、20CrS4材や、SAE規格の5120材、DIN規格の17Cr3材、17CrS3材などが挙げられる。
また、本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々の形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
1 トリポード型等速自在継手
2 外側継手部材
3 トリポード部材
3a ボス部
4 ローラユニット
5 トラック溝
6 ローラ案内面
7 脚軸
8 シャフト
11 ローラ(アウタリング)
23 雌スプライン
23a 小径部
61 トリポード型等速自在継手
62 外側継手部材
63 トリポード部材
63a ボス部
63b 脚軸
64 球面ローラ
65 針状ころ
66 トラック溝
67 ローラ案内面
73 雌スプライン
73a 小径部
81 シャフト
C 円筒状部位
D 脚軸形成部位

Claims (4)

  1. 円周方向の三等分位置に軸方向に延びるトラック溝を形成した外側継手部材と、ボス部の円周方向の三等分位置から半径方向に突出した脚軸を有するトリポード部材と、前記脚軸に回転自在に装着されたローラとを備え、このローラが前記トラック溝に収容され、前記ボス部の内周面にシャフトと連結するための雌スプラインが形成されたトリポード型等速自在継手において、
    前記トリポード部材は、クロム鋼からなり、全面浸炭焼入れ焼戻しによる硬化層が形成され、
    前記硬化層は、完全焼きなましによる旧オーステナイト結晶粒が整粒化された金属組織を有し、
    前記雌スプラインは、その小径部の真円度が20μm以下の精度の高いスプラインで形成されていることを特徴とするトリポード型等速自在継手。
  2. 前記クロム鋼がSCr415又はSCr420およびこれらに相当する材料であることを特徴とする請求項1に記載のトリポード型等速自在継手。
  3. 前記トリポード部材の脚軸にローラユニットが装着された形式であることを特徴とする請求項1に記載のトリポード型等速自在継手。
  4. 前記トリポード部材の脚軸に複数の針状ころを介してローラが装着された形式であることを特徴とする請求項1に記載のトリポード型等速自在継手。
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