JP6599447B2 - プラダー・ウィリー症候群を治療する方法 - Google Patents

プラダー・ウィリー症候群を治療する方法 Download PDF

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Description

[関連出願との相互参照]
本出願は、35U.S.C.§119(e)の下で2014年9月19日出願の米国仮特許出願第62/052,957号に基づく優先権を主張し、その開示内容の全体が本明細書に組み込まれる。
本開示は、プラダー・ウィリー症候群を処置する方法、および関連する組成物に関する。
プラダー・ウィリー症候群(PWS)は、出生数約16,000人に1人の割合で発生する遺伝性障害である。この稀な複合および多系統の遺伝性障害は、父性微細欠失、母性片親性ダイソミー、および刷り込み異常の3つの主要メカニズムのうちの1つを介して起こり得る、15番染色体q11−q13上の父性遺伝の刷り込み遺伝子の発現の欠損によって引き起こされる。
PWSの経過および自然歴は、古典的には2つの異なる臨床段階からなるものと説明されてきたが、今日の知見では、これらが当初考えられていたものから微妙に異なることが示されている。第1段階は新生児期および乳児期早期中に起こり、さまざまな程度の筋緊張低下、弱い啼泣、乏しい吸啜反射、哺乳不良(体重増加不良)、発達遅延、体温不安定、および性器形成不全(性腺発育不全)を特徴とする。運動発達および言語発達の遅延もこの第1段階において顕著である。新生児期の症状は、筋緊張が改善し、子供がより機敏になり、食欲がより適切になると共に、典型的には9〜25月齢までに改善する。
PWSの第2段階(約2〜4歳から始まる)は、より急速な体重増加、過食症の発症および亢進、ならびに継続した成長遅延および発達遅延を特徴とする。さらに、過食症が現れると、個別の際立ってネガティブな一連の不適応または問題行動が認められる。これらの不適応(問題)行動としては、かんしゃく、苛立ち、頑固さ、反復行為および強迫行為、ならびに攻撃性が挙げられる。外部からの食物の制限および監督が必要である。さもなければ、PWSの個体は生命を脅かす肥満のリスクに直面する。いったん食物探索行動が起こると、両親は一般的に、食物の管理〔food security〕、摂取カロリーの削減、ならびに、食事および食物周辺へのアクセスの常時監督を行うことになる。監督を行った場合でも、多くのPWSの個体は食物の入手に非常に長けており巧みである。生命を脅かす状態としての肥満、および、それと併発し、多くの場合深刻な不適応行動障害は、症候群の個体およびその家族にとって重要かつ困難な課題となっている。
本開示は、選択的オキシトシン受容体アゴニストがプラダー・ウィリー症候群の治療に有効であり得るという予期せぬ発見に基づいている。
一態様において、本開示は、選択的オキシトシン受容体アゴニストまたはその薬学的に許容される塩を含有する有効量の組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、プラダー・ウィリー症候群を治療する方法を特徴とする。
他の特徴、目的、および利点は、明細書および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
本開示は、概して、選択的オキシトシン受容体アゴニストまたはその薬学的に許容される塩を含有する有効量の組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、プラダー・ウィリー症候群を治療する方法に関する。用語「選択的オキシトシン受容体アゴニスト」は、ヒトバソプレシン受容体(例えば、ヒトV2(hV2)受容体)よりもヒトオキシトシン(hOT)受容体において高いアゴニスト活性を有し、かつ、オキシトシンに比べて高い選択性を有する化合物を指す。本明細書で述べるように、アゴニスト活性はEC50として表され、選択性はEC50値の比(すなわち、EC50hV2/EC50hOT)として表される。オキシトシンのhV2/hOT選択比は3であり、カルベトシンのhV2/hOT選択比は244である。WO2009/122285の表2を参照されたい。いくつかの実施形態において、選択的オキシトシン受容体アゴニストのhV2/hOT選択比は少なくとも50(例えば、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも244、少なくとも300、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも2,000、少なくとも3,000、少なくとも5,000、少なくとも10,000、少なくとも20,000、または少なくとも30,000)である。用語「有効量」は、処置された対象に治療学的効果〔therapeutic effect〕を与えるのに必要とされる組成物の量を指す。
いくつかの実施形態において、選択的オキシトシン受容体アゴニストは、式(I)の化合物とすることができる:
式中、WおよびXの各々は、独立して、CH2およびSであり、ただし、WおよびXが両方ともCH2であることはなく;Aは、側鎖上で5または6員複素芳香環で置換されているアラニン;チロシン;および、フェニル環上でハロゲン、C14アルコキシ、C14アルキルヒドロキシ、C14アルキル、またはアミノで置換されているフェニルアラニンからなる群より選択されるアミノ酸であり;Bは、イソロイシン;および、α−炭素がC46シクロアルキルで置換されているグリシンからなる群より選択されるアミノ酸であり;Cは、側鎖上で(例えば、4位において)ヒドロキシル、C14アルコキシ、ハロゲン、またはアジドで置換されていてもよいプロリン、および、ヘテロ原子に割り込まれていてもよい側鎖を有し、該割り込まれていてもよい側鎖が(例えば、4位において)C14アルキルで置換されていてもよいプロリンからなる群より選択されるアミノ酸であり;Dは、ロイシン;ホモロイシン;イソロイシン;および、α−炭素がC46シクロアルキルで置換されているグリシンからなる群より選択されるアミノ酸であり;Eは、グリシンおよびアザグリシンからなる群より選択されるアミノ酸である。
用語「アルキル」は、−CH3または−CH(CH32などの、飽和の直鎖または分枝炭化水素部分を指す。用語「シクロアルキル」は、シクロヘキシルなどの、飽和環状炭化水素部分を指す。5員複素芳香環系は、5個の環原子を有する単環式芳香環系を指し、ここで1、2、3、または4個の環原子は独立してN、O、およびSから選択される。このような環系は、例えば、チエニル、フリル、イミダゾリル、ピロリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、またはテトラゾリルとすることができる。6員複素芳香環系は、6個の環原子を有する単環式芳香環系を指し、ここで1、2、3、または4個の環原子は独立してN、O、およびSから選択される。このような環系は、例えば、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、またはピリダジニルとすることができる。
置換部分は、例えば、ハロゲン(フッ素、塩素、または臭素)原子、アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ(OH)、アルコキシ(O−アルキル)、アルキルチオ(−S−アルキル)、アルキルヒドロキシ(−アルキル−OH)、アジド(−N3)、アミノ(−NRR’、ここでRおよびR’は独立して水素またはC14アルキルとすることができる)、または5員もしくは6員複素芳香環系とすることができる。
いくつかの実施形態において、式(I)に関して、Cが4−ヒドロキシプロリンである場合、Aは、フェニル環上でハロゲンまたはC14アルキルヒドロキシのいずれかで置換されているフェニルアラニンとすることができる。いくつかの実施形態において、Cが4−ヒドロキシプロリンであり、Aがフェニル環上でハロゲンで置換されているフェニルアラニンである場合、BまたはDのいずれかはα−炭素がC46シクロアルキルで置換されているグリシンとすることができる、または、Dはイソロイシンとすることができる。
いくつかの実施形態において、式(I)に関して、Aがフェニル環上でC14アルキルまたはハロゲンで置換されているフェニルアラニンである場合、Cは、プロリン、または側鎖上でハロゲンで置換されているプロリンとすることができる。
いくつかの実施形態において、式(I)に関して、Aがフェニル環上でハロゲンで置換されているフェニルアラニンである場合、BまたはDのいずれかはα−炭素がC46シクロアルキルで置換されているグリシンとすることができる、または、Dはイソロイシンとすることができる。
いくつかの実施形態において、式(I)のAは、4−ハロフェニルアラニン、例えば、Cpa(4−クロロフェニルアラニン);4−ブロモフェニルアラニンであってよい。いくつかの実施形態において、Aは、側鎖上で5または6員複素芳香環で置換されているアラニン、例えば、Ala(2−Fur)(2−フリルアラニン);Ala(3−Fur)(3−フリルアラニン);2−Thi(2−チエニルアラニン);3−Thi(3−チエニルアラニン);2−もしくは3−ピロリルアラニン;2−、3−、もしくは4−ピリジルアラニン;2−、4−、もしくは5−イミダゾリルアラニン;2−、4−、もしくは5−チアゾリルアラニン;および、2−もしくは5−チアジアゾリル;または5−テトラゾリルとすることができる。いくつかの実施形態において、Aはチロシンとすることができる、またはAは、フェニル環の4位においてC14アルコキシ基またはアミノ基で置換されているフェニルアラニン、例えば、Tyr(Me)(4−メトキシフェニルアラニン);4−エトキシフェニルアラニン;Aph(4−アミノフェニルアラニン);または4−N,N−ジメチルアミノフェニルアラニンとすることができる。いくつかの実施形態において、Aは、フェニル環上の4位においてC14アルキルヒドロキシル、C14アルキル、またはハロで置換されているフェニルアラニン、例えば、Phe(4−Et)(4−エチルフェニルアラニン);4−メチルフェニルアラニン;Phe(4−CH2OH)(4−ヒドロキシメチルフェニルアラニン);4−ヒドロキシエチルフェニルアラニン;Phe(Br)(4−ブロモフェニルアラニン);4−クロロフェニルアラニン;または4−フルオロフェニルアラニンとすることができる。
いくつかの実施形態において、式(I)のBは、イソロイシンとすることができる、または、Gly(cPe)(シクロペンチルグリシン)、Gly(cBu)(シクロブチルグリシン)、もしくはシクロヘキシルグリシンなどの、C46シクロアルキルで置換されているグリシンである。
いくつかの実施形態において、式(I)のCは、プロリン環の4位においてヒドロキシ、C14アルコキシ、ハロ、またはアジド基で置換されていてもよいプロリン、例えば、Hyp(4−ヒドロキシプロリン);Hyp(Me)(4−メトキシプロリン);Pro(F)(4−フルオロプロリン);またはPro(N3)(4−アジドプロリン)とすることができる。いくつかの実施形態において、Cは、プロリン環中にヘテロ原子が割り込んでおり、かつ、該プロリン環上でC14アルキルで置換されていてもよいプロリン、例えば、Thz(4−チアプロリン)またはDmt(5,5−ジメチルチアプロリン)とすることができる。
いくつかの実施形態において、式(I)のDは、ロイシン、Hol(ホモロイシン)、イソロイシン、および、Gly(cPe)(シクロペンチルグリシン)、Gly(cBu)(シクロブチルグリシン)、またはシクロヘキシルグリシンなどの、C46シクロアルキルで置換されているグリシンとすることができる。
いくつかの実施形態において、式(I)のEは、グリシンまたはAzGly(アザグリシン)とすることができる。
式(I)の化合物のサブセットは、WがCH2であり、XがSである化合物である。このような実施形態において、Aは、フェニル環上でC14アルコキシで置換されているフェニルアラニン(例えば、フェニル環上の4位においてOCH3で置換されているフェニルアラニン)とすることができる。このような式(I)の化合物の例は、WがCH2であり、XがSであり、Aがフェニル環上の4位においてOCH3で置換されているフェニルアラニンであり、Bがイソロイシンであり、Cがプロリンであり、Dがロイシンであり、Eがグリシンである、カルベトシンである。
式(I)の特定の例示的な化合物としては、つぎのものが挙げられる。
いくつかの実施形態において、選択的オキトシン受容体アゴニストは、式(II)の化合物である:
式中、nは、0、1、または2であり;pは、0、1、2、3、4、5、または6であり;R1は、少なくとも1つのOH、F、Cl、Br、アルキル、またはO−アルキル置換基で置換されていてもよいアリールであり;R2は、R4、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、5員複素芳香環系、または6員複素芳香環系であり;R3は、H、または、R2がR4である場合、環構造を形成するためのR2に対する共有結合であり;R4は、少なくとも1つのO−アルキル、S−アルキル、またはOH置換基で置換されているC16アルキレン部分であり;WおよびXの各々は、独立して、CH2およびSであり、ただし、WおよびXが両方ともCH2であることはなく;アルキルは、C16直鎖またはC48分枝鎖アルキルであり、かつ、少なくとも1つのヒドロキシル置換基を有していてもよく;アリールは、非置換または置換フェニルであり;シクロアルキルはC36シクロアルキルであり、かつ、少なくとも1つのヒドロキシル置換基を有していてもよい。
式(II)の基の置換部分は、フッ素(F)、塩素(Cl)、および臭素(Br)原子、ならびに、アルキル、ヒドロキシ(OH)、アルコキシ(O−アルキル)、およびアルキルチオ(S−アルキル)から選択することができる。
いくつかの実施形態において、式(II)のR2がHであり、pが1であり、R3がHであり、nが1であり、WおよびXが共にSである場合、R1は4−ヒドロキシフェニルではない。いくつかの実施形態において、R2がHであり、pが0であり、R3がHであり、nが1であり、WおよびXが共にSである場合、R1は4−ヒドロキシフェニルではない。いくつかの実施形態において、式(II)の化合物は、[1−β−Mpa,7−Sar]OTまたはデアミノ[7−グリシン]オキシトシンではない。
式(II)の特定の例示的な化合物としては、つぎのものが挙げられる。
式(I)および(II)の他の例示的な化合物は、例えば、WO2011/035330およびWO2009/122285に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
また、本開示は、治療有効量の少なくとも1種(例えば、2種以上)の上記選択的オキシトシン受容体アゴニスト(例えば、式(I)および(II)の化合物)またはその薬学的に許容される塩を有効成分として、また、少なくとも1種の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、または担体も含有する、医薬組成物を特徴とする。薬学的に許容される塩の例としては、酸付加塩、例えば、ハロゲン化水素酸(塩酸など)、鉱酸(硫酸、リン酸、および硝酸など)、および、脂肪族、脂環式、芳香族、または複素環式のスルホン酸またはカルボン酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、ピルビン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、エンボン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、ハロベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、およびナフタレンスルホン酸など)との反応により生成する塩が挙げられる。
式(I)および(II)の化合物は、市販されているか、WO2011/035330およびWO2009/122285に記載されているような、当該技術分野で知られている方法によって製造することができ、これらは参照により本明細書中に組み込まれる。
本明細書に記載の医薬組成物は、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、着香剤、防腐剤、着色剤、およびそれらの任意の混合物から選択される少なくとも1種のさらなる添加剤を含有することもできる。そのような添加剤および他の添加剤の例は、「Handbook of Pharmaceutical Excipients」;A.H.Kibbe編,第3版,American Pharmaceutical Association,USAおよびPharmaceutical Press UK,2000に見出すことができる。
本明細書に記載の医薬組成物は、経口、静脈内、筋肉内、局所、腹腔内、経鼻、頬側、眼内、耳内、舌下、もしくは皮下投与用、または気道を介した投与用、例えば、エアロゾルもしくは気中浮遊微粒子に適合させることができる。いくつかの実施形態において、組成物は、錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、シロップ剤、懸濁剤、液剤、経皮パッチ、または坐剤の形態とすることができる。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、水溶液に溶解した選択的オキシトシン受容体アゴニストを含有することができる。例えば、組成物は希釈剤として働く塩化ナトリウム水溶液(例えば、0.9重量%の塩化ナトリウムを含有するもの)を含有することができる。
さらに、本開示は、プラダー・ウィリー症候群の治療のための、またはプラダー・ウィリー症候群の治療のための医薬品の製造のための、上記に概説した選択的オキシトシン受容体アゴニストの使用に関する。さらに、本開示は、プラダー・ウィリー症候群の治療のための医薬品における、またはプラダー・ウィリー症候群の治療のための医薬品の製造における、上記に概説した選択的オキシトシン受容体アゴニストの使用に関する。
本開示は、さらに、プラダー・ウィリー症候群の治療のための(またはプラダー・ウィリー症候群の治療における使用のための)選択的オキシトシン受容体アゴニストまたはその薬学的に許容される塩を含有する組成物を提供する。プラダー・ウィリー症候群の治療は、過食症を軽減させるための治療および/または強迫性行為を低減させるための治療であってよい。
選択的オキシトシン受容体アゴニストは、ヒトバソプレシン受容体(例えば、ヒトV2(hV2)受容体)よりもヒトオキシトシン(hOT)受容体において高いアゴニスト活性を有し、かつ、オキシトシンに比べて高い選択性を有する化合物である。アゴニスト活性および選択性は、WO2009/122285(PCT/IB2009/005351)に記載の方法によって測定してよい。この方法では、hOT受容体における化合物のアゴニスト活性は、転写レポーター遺伝子アッセイにおいて、hOT受容体発現DNAを、ホタルルシフェラーゼの発現を制御する細胞内カルシウム応答性プロモーターエレメントを含むレポーターDNAと共にチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株に一過的にトランスフェクトすることにより決定する。本アッセイのさらなる手引きについては、Boss,V.,Talpade,D.J.,Murphy,T.J.,J.Biol.Chem,1996年5月3日;271(18),10429−10432を参照されたい。用量毎に10倍希釈した化合物の連続希釈物に細胞を5時間曝露した後、細胞を溶解させ、ルシフェラーゼ活性を測定し、非線形回帰により化合物の有効性およびEC50値を決定する。オキシトシン(OT)を各実験の内部対照として使用し、少なくとも3回の独立した実験で化合物を試験する。選択性を決定するために、ヒトバソプレシン(hV2)受容体を発現するルシフェラーゼに基づく転写レポーター遺伝子アッセイで、化合物をさらに試験する。さらなる比較目的のために、カルベトシンも参照化合物として使用する。得られるEC50値はnanomol/l(nM)で表される幾何平均である。選択性の値はEC50比として得られる。したがって、アゴニスト活性はEC50として表され、選択性はEC50値の比(すなわち、EC50hV2/EC50hOT)として表してよい。オキシトシンのhV2/hOT選択比は3であり、カルベトシンのhV2/hOT選択比は244である(WO2009/122285の表2を参照されたい)。
いくつかの例において、選択的オキシトシン受容体アゴニストは、少なくとも50(例えば、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも244、少なくとも300、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも2,000、少なくとも3,000、少なくとも5,000、少なくとも10,000、少なくとも20,000、または少なくとも30,000)のhV2/hOT選択比を有する。
選択的オキシトシン受容体アゴニストは、式(I)の化合物であってよい:
式中、
WおよびXの各々は、独立して、CH2およびSであり、ただし、WおよびXが両方ともCH2であることはなく;
Aは、側鎖上で5または6員複素芳香環で置換されているアラニン;チロシン;および、フェニル環上でハロゲン、C14アルコキシ、C14アルキルヒドロキシ、C14アルキル、またはアミノで置換されているフェニルアラニンからなる群より選択されるアミノ酸であり;
Bは、イソロイシン;および、α−炭素がC46シクロアルキルで置換されているグリシンからなる群より選択されるアミノ酸であり;
Cは、側鎖上でヒドロキシル、C14アルコキシ、ハロゲン、またはアジドで置換されていてもよいプロリン、および、ヘテロ原子に割り込まれていてもよい側鎖を有し、該割り込まれていてもよい側鎖がC14アルキルで置換されていてもよいプロリンからなる群より選択されるアミノ酸であり;
Dは、ロイシン;ホモロイシン;イソロイシン;および、α−炭素がC46シクロアルキルで置換されているグリシンからなる群より選択されるアミノ酸であり;
Eは、グリシンおよびアザグリシンからなる群より選択されるアミノ酸である。
いくつかの例において、WはCH2であり、XはSである。いくつかの例において、Aは、フェニル環上でC14アルコキシで置換されているフェニルアラニンである。いくつかの例において、Aは、フェニル環上の4位においてOCH3で置換されているフェニルアラニンである。式(I)の化合物は、カルベトシンであってよい。
選択的オキシトシン受容体アゴニストは、式(II)の化合物であってよい:
式中、
nは、0、1、または2であり;
pは、0、1、2、3、4、5、または6であり;
1は、少なくとも1つのOH、F、Cl、Br、アルキル、またはO−アルキル置換基で置換されていてもよいアリールであり;
2は、R4、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、5員複素芳香環系、または6員複素芳香環系であり;
3は、H、または、R2がR4である場合、環構造を形成するためのR2に対する共有結合であり、
4は、少なくとも1つのO−アルキル、S−アルキル、またはOH置換基で置換されているC16アルキレン部分であり;
WおよびXの各々は、独立して、CH2およびSであり、ただし、WおよびXが両方ともCH2であることはなく、
アルキルは、C16直鎖またはC48分枝鎖アルキルであり、かつ、少なくとも1つのヒドロキシル置換基を有していてもよく、
アリールは、非置換または置換フェニルであり;
シクロアルキルはC36シクロアルキルであり、かつ、少なくとも1つのヒドロキシル置換基を有していてもよい。
組成物は、鼻腔内投与による(プラダー・ウィリー症候群の治療における)使用のためのものであってよい。組成物は、例えば、各投与が約1mg〜約10mgの選択的オキシトシン受容体アゴニストを送達する、かつ/または、各投与が食前に行われる、1日3回投与するためのものであってよい。
組成物は、約0.5mg〜約30mgの1日用量の選択的オキシトシン受容体アゴニストを投与することを含む、(プラダー・ウィリー症候群の治療における)使用のためのものであってよい。
組成物は、約5.76mg〜約28.8mgの1日用量の選択的オキシトシン受容体アゴニストを投与することを含む、(プラダー・ウィリー症候群の治療における)使用のためのものであってよい。
組成物は、約10mg〜約28.8mgの1日用量の選択的オキシトシン受容体アゴニストを投与することを含む、(プラダー・ウィリー症候群の治療における)使用のためのものであってよい。
組成物は、約28.8mgの1日用量のカルベトシンを投与することを含む、(プラダー・ウィリー症候群の治療における)使用のためのものであってよい。
組成物は、水溶液を含有し、選択的オキシトシン受容体アゴニストは該水溶液に溶解している、(プラダー・ウィリー症候群の治療における)使用のためのものであってよい。
組成物は、塩化ナトリウム水溶液を含有する、(プラダー・ウィリー症候群の治療における)使用のためのものであってよい。
組成物は、約0.9重量%の塩化ナトリウムを含有する、(プラダー・ウィリー症候群の治療における)使用のためのものであってよい。
本明細書中に記載の選択的オキシトシン受容体アゴニストの典型的な投与量は、広い範囲で変更することができ、各患者の個別のニーズおよび投与経路などのさまざまな要因に依存することになる。例示的な1日投与量は、少なくとも約0.5mg(例えば、少なくとも約1mg、少なくとも約5mg、少なくとも約5.76mg、少なくとも約10mg、または少なくとも約15mg)、および/または、最大約30mg(例えば、最大約28.8mg、最大約25mg、最大約20mg、または最大約15mg)の選択的オキシトシン受容体アゴニスト(例えば、カルベトシン)とすることができる。当業者または医師は、目の前の状況に合わせて、この投与量範囲および実際の実施について適切な変更を検討してよい。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、鼻腔内投与形態(例えば、経鼻スプレー)で投与することができる。このような実施形態では、組成物は、単回用量で、または、例えば、片方もしくは両方の鼻孔に送達される、1、2、もしくは3回のサブ用量(例えば、1吹き〔puff〕)に分割して、投与することができる。例えば、1吹き当たり1.6mgの選択的オキシトシン受容体アゴニスト(例えばカルベトシン)を含有する用量を各鼻孔が受けるように、両鼻孔に経鼻スプレーを3吹き送達することによって組成物を投与することができる。このような例では、各投与により、合計9.6mgの選択的オキシトシン受容体アゴニストが患者に送達される。いくつかの実施形態において、組成物の各投与により、少なくとも約1mg(例えば、少なくとも約2mg、少なくとも約3mg、少なくとも約4mg、または少なくとも約5mg)、および/または、最大約10mg(例えば、最大約9mg、最大約8mg、最大約7mg、または最大約6mg)の選択的オキシトシン受容体アゴニストを患者に送達することができる。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は1日1回投与することができる。いくつかの実施形態において、医薬組成物は1日複数回(例えば、1日2回、1日3回、または1日4回)投与することができる。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、食前に投与することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、食物と共に、または食物なしで投与することができる。
本明細書において引用した全ての刊行物(例えば、特許、特許出願公開、および文献)の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
以下の実施例は例示的なものであり、限定することを意図するものではない。
PWSと診断された患者の治療にカルベトシンを用いる臨床試験
方法
PWSの遺伝学的確定診断を受けており、Millerら,2011(Am J Med Genet A,155A(5):1040−1049)に記載の基準に基づいて栄養段階3と記録されている、10歳から18歳の間のPWSの被験者において、前向き二重盲検プラセボ対照並行試験を実施した。本試験には、スクリーニング期間、14日間の治療期間、およびフォローアップ期間が含まれた。被験者には、親/介護者と共に、試験期間中に治験実施施設に4回来院し、2回の電話評価に参加してもらった。試験スケジュールは以下の通りである。
− 来院1:スクリーニング期間(−7日目〜0日目)
− 来院2:オンサイトでのベースライン1日目投与(1日目)
− 来院3:オンサイトでの2日目投与(2日目)
− 電話評価(8±1日目)
− 来院4:治療終了時来院(15日目)
− フォローアップ電話(19±3日目)
適切な同意取得手続き後、被験者は、無作為化前に適格性確認のためのスクリーニング評価を受けた。無作為化後、選定した来院時に、身体検査、バイタルサイン、ならびに臨床検査および薬物動態評価のための血液試料の採取を含む、有効性測定および他の評価を実施した。有害事象について試験期間を通して被験者を注意深く監視した。
治験実施施設における初回投与前に、経鼻スプレー装置の適切な使用および治験薬(IMP)の自宅への配送手順について親/介護者の訓練を行った。親/介護者に、1日3回、食前に、以下の間隔内で、盲検化されたIMPの鼻腔内スプレーを鼻孔当たり3ポンプ投与するように指示した。
朝投与:午前6時00分〜午前9時00分
昼投与:午前11時00分〜午後1時00分
夕投与:午後4時30分〜午後6時00分
来院2(1日目)および来院3(2日目)の初回IMP投与は、適切な投与技術の確保のために、治験実施施設において実施施設職員の観察の下で実施した。
被験者数
PWSの遺伝学的確定診断を受けており、PWS基準の栄養段階3(Millerら,2011に基づく)と記録されている10〜18歳の38例の被験者を無作為化した。36例の被験者が試験を完了した。
組み入れ/除外に使用する選択基準
組み入れ基準:
1.10〜18歳(両端を含む)の男性または女性
2.PWSの遺伝学的確定診断
3.Millerら,2011(Am J Med Genet A,155A(5):1040−1049)に基づくPWS基準の栄養段階3
4.スクリーニング時(来院1)のプラダー・ウィリー症候群における過食症質問票−回答(HPWSQ−R)スコアが13を超えること
除外基準:
1.PWS以外の認知機能障害の既知の遺伝学的要因、ホルモン要因、または染色体要因
2.現在アクティブな精神病性症状があること
3.いかなる心血管障害、てんかん、頻繁な片頭痛、または重度の喘息があること
4.過去に有資格医療提供者によって自閉症スペクトル障害の診断がなされていること
5.スクリーニング(来院1)から1年以内の鼻または鼻洞手術
6.慢性副鼻腔炎−年間3回を超えるエピソード
7.鼻腔内投与薬の沈着に影響を与え得る他の鼻疾患
8.スクリーニング時(来院1)の血清ナトリウム<135mmol/L
治験薬
本試験で使用したIMPは、カルベトシン鼻腔内スプレーおよびプラセボ鼻腔内スプレーであった。
カルベトシン鼻腔内スプレーは、160のカルベトシンを0.9%滅菌塩化ナトリウム溶液に溶解することによって調製した。具体的には、予め秤量したカルベトシン粉末を塩化ナトリウム溶液で再構成し、続いて経鼻スプレー装置に移した。各スプレーポンプの作動により1.6mgのカルベトシンを含有する容量50μLの溶液を送達した。各投与は各鼻孔における3回のスプレーポンプの作動からなり、合計9.6mgのカルベトシンを送達した。カルベトシンの1日用量は28.8mgであった。
プラセボ鼻腔内スプレーは、0.9%滅菌塩化ナトリウム溶液を経鼻スプレー装置に移すことにより調製した。各スプレーポンプの作動により容量50μLの溶液を送達した。各投与は各鼻孔における3回のスプレーポンプの作動からなるものとした。
評価項目
主要評価項目
本試験で測定した主要評価項目はプラダー・ウィリー症候群における過食症質問票−回答(HPWSQ−R)の合計スコアの来院2から来院4への変化量であり、質問票−回答は親/介護者が記入した。
副次的評価項目
本試験の副次的評価項目はつぎの項目とした。
1.来院4の治療後の臨床全般印象−改善度(CGI−I)
2.以下の測定値の来院2から来院4への変化量
− HPWSQ−Rの過食行動、衝動、および重症度領域のスコア
− 臨床医が記入したプラダー・ウィリー症候群における過食症質問票−回答(HPWSQ−R−C)の合計スコア
− HPWSQ−R−Cの過食行動、衝動、および重症度領域のスコア
3.以下の測定値の来院1から来院4への変化量
− 小児エール・ブラウン強迫観念・強迫行為尺度(CY−BOCS)のスコア
− レイスプロファイルの食物領域
4.カルベトシンのポピュレーションPK/PD関係
安全性評価項目
本試験の安全性評価項目はつぎの項目とした。
− 有害事象の頻度、重症度、および重篤度
− バイタルサインの臨床的に意義のある変化
− 身体評価および臨床検査評価(例えば、重点的な鼻の検査および鼻の刺激を含む身体検査)における臨床的に意義のある所見
統計方法
主要評価項目は、治療および実施施設を固定効果とし、来院2(ベースライン)におけるHPVSQ−R合計スコアを共変量とする、共分散モデル分析を用いて分析した。最終観察繰越方法〔last observation carried forward method〕を用いて、電話評価(8±1日目)におけるHPWSQ−R合計スコアの非欠測値を繰り越して、来院4におけるHPWSQ−R合計スコアの欠測値を補完した。プラセボとカルベトシンとの間の合計スコアの治療群間差は、カルベトシン群におけるベースラインからの平均変化量から、プラセボにおけるベースラインからの平均変化量を差し引いて算出した。治療間差の90%片側信頼区間の上限がゼロ未満であれば、10%有意水準におけるボーダーラインレベルの統計的有意差が達成された。副次的評価項目は、主要評価項目と同様のモデルを用いて分析した。
本試験で使用した測定値
プラダー・ウィリー症候群における過食症質問票−回答(HPWSQ−R)
本試験で使用したHPWSQ−Rは、元々はPWSにおける過食症の心理学的、発達学的、および神経生物学的相関を調べる包括的なツールとしてElisabeth Dykens(Vanderbilt)が開発した記入者評価に基づく測定値である、プラダー・ウィリー症候群における過食症質問票(HPWSQ)(Dykensら,Obesity,2007;15:1816−26)から応用したものである。HPWSQ−Rには元のHPWSQからの11項目全てが再現されており、かつ、1週間の想起期間〔recall period〕を含むように構成した。HPWSQ−Rは、介入後の過食症重症度における変化量を評価するための反復測定に用いられるように設計した。HPWSQ−Rは、親/介護者(HPWSQ−R)および臨床医(HPWSQ−R−C)の両方が、来院1、2、および4中、ならびに試験8日目に記入した。
臨床全般印象(CGI)
CGI評価尺度は、精神障害、神経障害、または行動障害を有する被験者の治療研究において、症状の重症度、治療反応性、および治療有効性の測定値として一般的に使用されている。CGIは、被験者の既往歴、心理社会的状況、症状、行動、および被験者の機能能力に対する症状の影響に関する知識を含む、利用可能な全ての情報を考慮に入れる、臨床医が決定する総括尺度である。CGIでは、1)疾患重症度、2)全般改善度、および3)有効性指数(被験者のベースラインの状態と、副作用重症度に対する現在の治療有用性の比との対比)の3つの構成要素を測定する。
CGI尺度は、試験開始時における疾患重症度の7段階の臨床医評価(CGI−S;1=正常、全く病気ではない、7=極めて重度の患者)、ならびに、試験中および試験終了時における患者の状態の改善度の7段階の臨床医評価(CGI−I;1=ベースラインからとても改善、7=ベースラインからとても悪化)である(BusnerおよびTargum,Psychiatry(Edgmont)4:28−37,2007)。CGI−S尺度は来院1中に記入し、CGI−I尺度は来院4中および試験8日目に記入した。
小児エール・ブラウン強迫観念・強迫行為尺度(CY−BOCS)
CY−BOCSは、小児強迫性障害(OCD)における特定症状および症状の重症度についての臨床医評価による半構造化インベントリである。これには、症状チェックリストおよび重症度尺度の、2つの主要構成要素が含まれる。重症度10項目を合計して、強迫観念重症度スコア(5項目)、強迫行為重症度スコア(5項目)、および合計スコア(重症度10項目全ての合計)とする。CY−BOCSは、心理測定試験においてよく研究されており、治療感受性があることが報告されている。CY−BOCSは、例えば、Scahillら,J Am Acad Child Adolesc Psychiatry,36:844−52,1997により詳細に記載されている。
CY−BOCSは、来院1および4の際、ならびに試験8日目に記入した。
レイスプロファイルの食物領域
レイスプロファイルの食物領域は、食物探索行動に関連する7つの質問で構成されており、例えば、Dykensら,Am.J.Mental Retardation,1999,104(2):158−169に記載されている。レイスプロファイルの食物領域は、来院1および4の際、ならびに試験8日目に記入した。
結果
上記臨床試験の結果を以下の表1に要約する。
表1に示すように、カルベトシンで治療した患者は、HPWSQ−R、HPWSQ−R−C、CGI、CY−BOCS、およびレイスプロファイルの食物領域スコアについての15日目の結果に示すように、プラセボで治療した患者に比して統計的に有意な改善(P<0.05)を示した。
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。

Claims (12)

  1. 治療有効量のカルベトシンまたはその薬学的に許容される塩を含有する、プラダー・ウィリー症候群を治療するための医薬組成物であって、
    前記治療有効量は、前記カルベトシンまたはその薬学的に許容される塩の、約5.76mg〜約28.8mgの1日用量であり、
    鼻腔内投与されるものである、医薬組成物
  2. 1日3回投与される、請求項に記載の医薬組成物。
  3. 各投与が、約10mgのカルベトシンまたはその薬学的に許容される塩を送達する、請求項1または2に記載の医薬組成物。
  4. 各投与が食前に行われる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  5. 約10mg〜約28.8mgの1日用量のカルベトシンまたはその薬学的に許容される塩を投与する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  6. 約28.8mgの1日用量のカルベトシンまたはその薬学的に許容される塩を投与する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  7. 水溶液に溶解しているカルベトシンまたはその薬学的に許容される塩を含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  8. 塩化ナトリウム水溶液を含有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  9. 水溶液が約0.9重量%の塩化ナトリウムを含有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  10. 鼻腔内スプレーとして投与される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  11. カルベトシンまたはその薬学的に許容される塩の、約10mgの1日用量で投与される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の医薬組成物
  12. 散剤の形態である、請求項1〜6、10および11のいずれか一項に記載の医薬組成物
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