JP6598641B2 - 磁気粘性流体組成物 - Google Patents

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本発明は、建造物、自動車、建設機械、産業機械のダンパー、クラッチ、ブレーキ等に用いられる磁気粘性流体組成物に関する。
磁気粘性流体(Magneto Rheological Fluid;MRF、以下、「MRF」又は「MR流体」ともいう。)は、炭化水素系合成油やシリコーンオイル等に数μm〜数十μmの磁性粒子を混合したもので、磁場によって非常に大きな応力を発生させる機能性流体である。MRFを用いると磁場により可逆的に粘度を変化させることができるので、機器の制御幅を大きくすることができる利点があることから、ダンパー、クラッチ、ブレーキ等への応用が期待され、ダンパーとしては自動車用サスペンション、建築物の免震ダンパー等(非特許文献1参照)、あるいは家電製品のサスペンションといったMR装置として実用化されている(非特許文献2参照)。
また、例えば、熱安定性、分散安定性等の改良を目的として、特定の基油と特定の増ちょう剤によってMRFをグリース化し、耐熱性の高い磁気粘性グリースが提案されている(特許文献1参照)。
日本ロボット学会誌、「MRFダンパの応用事例」、PP483−485、Vol.31、No.5(2013年) 日本ロボット学会誌、「MRFアクティブサスペンションの洗濯機への応用」、PP488−489、Vol.31、No.5(2013年)
特開2013−104037号公報
MRFを用い、より広範囲でのトルク制御を可能とするためには、磁場印加時に発生する応力を高めると同時に磁場オフ時の粘度を低くすることが必要となる。しかし、磁場オフ時の粘度を低くするために低粘度の基油を用いる場合、基油の蒸気圧が高くなり、耐熱性も劣るため、MR装置での使用時に摩擦熱によって基油が蒸発し、装置内部の圧力が上昇したり、油分の劣化によりMRFが高粘度化する懸念がある。
例えば、流体状態を維持しながら、蒸発量を抑制したMRFはこれまで報告が無い。
一方、MRFの耐熱性を高めようとして高粘度の基油を用いる場合は、磁場オフ時の粘度が高くなるほか、低温時の流動性が低下する懸念がある。
そこで、本発明においては、磁場オフ時では低粘度でありながら、蒸発量が抑制され、低温時の流動性(以下、低温流動性という場合がある)に優れた磁気粘性流体組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、モノエステル、磁性粒子、分散剤、及びレオロジーコントロール剤を配合することにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明の磁気粘性流体組成物を完成するに至った。
すなわち、本発明の磁気粘性流体組成物は、(1)モノエステルと、(2)磁性粒子と、(3)分散剤と、(4)レオロジーコントロール剤と、を含有する。
本発明によれば、磁場オフ時では低粘度でありながら、蒸発量が抑制され、低温流動性に優れた磁気粘性流体組成物を提供することができる。よって、本発明の磁気粘性流体組成物は、回転型・往復動型ダンパー、クラッチ、ブレーキ等のMR装置にも好適に用いられる。
以下、本発明の磁気粘性流体組成物について詳細に説明する。なお、本明細書中、数値範囲を表す「〜」はその上限及び下限の数値を含む範囲を表す。
本発明の磁気粘性流体組成物は、(1)モノエステルと、(2)磁性粒子と、(3)分散剤と、(4)レオロジーコントロール剤と、を含有する。
(1)モノエステル
本発明の磁気粘性流体組成物は、基油としてモノエステルを含有する。モノエステルとは、分子中に1つのエステル結合を含む化合物であり、常温で液体状のものをいう。本発明に用いられるモノエステルとしては、合成して得られるものであっても、天然から得られるものであってもよい。
合成して得られるモノエステルとしては、例えば、水酸基を有する化合物及びカルボキシル基を有する化合物を原料として、これらをエステル化反応させることによって得ることができる。
本発明に用いられるモノエステルとしては、上記好ましい範囲の炭素数を有するモノエステルを合成する観点から、炭素数が16〜50のものが好ましく、18〜48がさらに好ましく、20〜40が特に好ましい。炭素数が16以上であることで蒸発量が抑制されやすいので好ましく、炭素数が50以下であることで、MRFの粘度がより適度となりやすいので好ましい。
また、モノエステルは直鎖構造を有していてもよいし分岐した構造を有していてもよいが、低温流動性の観点から、分岐した構造を有しているものが好ましく、中でも、分岐を1箇所有していることが好ましい。さらに、粘度指数の観点から、分岐は、水酸基を有する化合物の残基部分、すなわち、R´−C(=O)ORで示されるモノエステルの構造におけるR部位に有しているものが好ましい。
また、モノエステルは、飽和であっても不飽和であってもよいが、耐熱性の観点から飽和のものが好ましい。
さらに、モノエステルとしては、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記のモノエステルの原料として用いられる、水酸基を有する化合物としては、リン酸及びアルコールを用いることができるが、中でもアルコールが好ましい。またアルコールとしては、1価のアルコールであれば特に限定されないが、例えば、芳香族アルコール、脂環式アルコール及び脂肪族アルコール(脂環式アルコールを除く)が挙げられる。中でも脂肪族アルコールが好ましい。
脂肪族アルコールとしては、炭素数が3〜40のものが好ましく、6〜36がさらに好ましい。モノエステルの原料である脂肪族アルコールの炭素数が3以上であることで、モノエステルの蒸発量が抑制されやすいので好ましく、炭素数が40以下であることで、粘度を低く抑えやすいので好ましい。
また、脂肪族アルコールは直鎖構造を有していてもよいし分岐した構造を有していてもよいが、低温流動性の観点から、分岐した構造を有しているものが好ましく、中でも粘度指数の観点から、分岐は1箇所有していることが好ましい。また、脂肪族アルコールは、飽和であっても不飽和であってもよいが、耐熱性の観点から飽和のものが好ましい。
さらに、アルコールとして、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記の好ましいアルコールの具体例としては、2−ブチルオクタノール、2−ペンチルノナノール、2−ヘキシルデカノール、2−ヘプチルウンデカノール、2−オクチルドデカノール、2−ノニルトリデカノール、2−デシルテトラデカノール等が挙げられ、この中でも、2−ペンチルノナノール、2−ヘキシルデカノール、2−ヘプチルウンデカノールが好ましい。
上記のモノエステルの原料として用いられる、カルボキシル基を有する化合物としては、1価のカルボン酸、例えば、芳香族カルボン酸、ナフテン酸及び脂肪酸が挙げられ、中でも脂肪酸が好ましい。脂肪酸は、上記好ましい範囲の炭素数を有するモノエステルを合成する観点から、炭素数が3〜40のものが好ましく、6〜36がさらに好ましい。モノエステルの原料であるモノカルボン酸の炭素数が3以上であることでモノエステルの蒸発量が抑制されやすいので好ましく、炭素数が40以下であることで粘度を低く抑えることができるので好ましい。
また、脂肪酸は直鎖構造を有していてもよいし分岐した構造を有していてもよいが、粘度指数の観点から、直鎖構造を有しているものが好ましい。
また、脂肪酸は、飽和脂肪酸であっても不飽和脂肪酸であってもよいが、耐熱性の観点から飽和脂肪酸が好ましい。
さらに、前記カルボキシル基を有する化合物として、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記の好ましい脂肪酸の具体例としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸等が挙げられ、中でもカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸が好ましい。
(モノエステル以外の基油)
本発明の磁気粘性流体組成物は、本発明の効果を奏する範囲に限り、基油として、前記モノエステル以外に、例えば、鉱油系潤滑油基油や合成系基油等を前記モノエステルに混合して用いてもよい。鉱油系基油としては、例えば原油の潤滑油留分を溶剤精製、水素化精製など適宜組み合わせて精製した基油が挙げられる。合成系基油としては、例えば、ポリ−α−オレフィン、ポリオールエステル類、アルキルベンゼン類、ポリグリコール類、フェニルエーテル類等が挙げられる。ただし、低粘度であって、蒸発量を抑制することができる磁気粘性流体組成物を得るために、上記モノエステルは、基油全量に対して、5質量%〜100質量%含有することが好ましく、10質量%〜90質量%含有することがさらに好ましく、15質量%〜80質量%含有することが特に好ましい。
モノエステル以外の基油を前記モノエステルに混合して用いる場合、ポリ−α−オレフィンを用いることが好ましい。ポリ−α−オレフィンの好適な製造方法としては、例えば、エチレンの低重合又はワックスの熱分解によって炭素数6〜18のα−オレフィンを合成し、このα−オレフィン2〜9単位を重合し、水添反応を行う方法が挙げられる。このようにして得られたポリ−α−オレフィンの動粘度は、40℃において4mm/s〜50mm/sであることが好ましく、8mm/s〜40mm/sであることがさらに好ましい。ポリ−α−オレフィンの40℃の動粘度が4mm/s以上であることで、蒸発量をより抑制することができるので好ましく、50mm/s以下であることで、磁気粘性流体組成物の粘度を低く抑えることができるので好ましい。ポリ−α−オレフィンは、1種類を単独でモノエステルと混合してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の磁気粘性流体組成物における、モノエステルを含む基油の含有量は、前記磁気粘性流体組成物全量に対して、6質量%〜50質量%が好ましく、8質量%〜40質量%がさらに好ましく、10質量%〜30質量%が最も好ましい。基油の含有量が6質量%以上であることで流動性が向上するのでハンドリング性がさらに向上し、50質量%以下であることで磁場印加時のせん断応力をより高めることができるので好ましい。
本発明で用いる基油において、JIS K2283:2000動粘度試験方法による40℃での動粘度は、2mm/s〜1000mm/sが好ましく、さらに好ましくは5mm/s〜700mm/s、特に好ましくは5mm/s〜500mm/sである。
基油の40℃における動粘度が2mm/s以上であると、引火点が高くなるので蒸発が抑制され、MR流体として好ましい。また、基油の40℃における動粘度が1000mm/s以下であると、粘稠性が低くなり、磁気粘性流体組成物の製造時に基油中への磁性粒子の安定分散が容易になる。
(2)磁性粒子
本発明の磁気粘性流体組成物に含まれる磁性粒子としては、例えば、鉄、コバルト及びニッケルから選ばれる1種以上の金属を(好ましくは主成分として)含む金属粒子、並びに窒化鉄、炭化鉄、フェライト及びマグネタイトから選ばれる1種以上の化合物を(好ましくは主成分として)含み、強磁性を示す金属化合物粒子から選ばれる1種以上の磁性粒子が挙げられる。この中でも、鉄を主成分とする金属粒子又はフェライトを主成分とする金属化合物粒子が好ましく、鉄を主成分とする金属粒子が特に好ましい。
ここで、金属粒子とは、基本的に、金属単体の粒子、2種以上の金属が結合した合金の粒子、2種以上の金属が結合せずに含まれる粒子等を意味するが、例えば後述するカルボニル鉄のように、金属を主成分とし、原料中の金属以外の残留成分も含まれる粒子も包含される。金属化合物粒子についても同様である。
また、「主成分」とは、磁性粒子を構成する成分のうち質量割合が最も多い成分を意味し、好ましくは、磁性粒子を構成する成分の50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上である。
本発明に用いる好ましい磁性粒子のうち、鉄を主成分とする金属粒子としては、鉄含有率が高く、不純物が少ないほど飽和磁化が高いので好ましい。鉄を主成分とする金属粒子の好ましい鉄含有率は98質量%〜100質量%であり、特に好ましくは99質量%〜100質量%である。このような磁性粒子として、カルボニル鉄が挙げられる。カルボニル鉄は鉄ペンタカルボニルの熱分解により製造される、高純度の金属粒子である。
本発明で用いる磁性粒子の累積50%粒子径は、好ましくは0.5μm〜50μmであり、より好ましくは1μm〜30μm、さらに好ましくは2.5μm〜20μmである。
なお、累積50%粒子径はレーザー回折散乱法で測定される粒子径である。累積50%粒子径が0.5μm以上であると、磁場印加時のせん断応力が高くなり、50μm以下であると、磁性粒子の沈降が早くなることがより抑制されるので、安定性が向上し、摺動時のフリクション増加を抑えるので好ましい。
本発明に用いる磁性粒子は、各種のカップリング剤や樹脂で表面処理したものでもよいし、未処理のものでもよい。各種のカップリング剤としては、シラン系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、チタネート系カップリング剤が挙げられる。樹脂としては、炭化水素系樹脂、ワックス、ポリエチレン、ポリメタクリレート、等が挙げられる。
磁性粒子の含有割合が少な過ぎると、磁場印加時に必要なせん断応力が得られず、多過ぎると、流体ではなく半固体状となり、装置への充填が困難となるとともに、磁気粘性流体としての機能が得られ難い。かかる観点から、本発明の磁気粘性流体組成物における磁性粒子の好ましい含有割合は、組成物全量に対して60質量%〜94質量%であり、さらに好ましくは70質量%〜92質量%、特に好ましくは75質量%〜90質量%である。
(3)分散剤
本発明の磁気粘性流体組成物に用いる分散剤としては、種々の分散剤が利用でき、親油性を発現する部分と磁性粒子に吸着する官能基を有するものが好ましく用いられる。このような分散剤としては、アニオン系・カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤、顔料分散剤、アルコール類、脂肪酸、アミン類、アミド類、イミド類、金属せっけん、脂肪酸オリゴマー化合物、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、フッ素系界面活性剤、ホウ素系界面活性剤が挙げられる。この中では、磁性粒子に強く吸着し、親油性の高いものが好ましく、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤、顔料分散剤、脂肪酸、アミン類、アミド類、イミド類、金属せっけん、脂肪酸オリゴマー化合物、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤が好ましく用いられる。さらに好ましくは、ノニオン系界面活性剤、脂肪酸、アミン類、アミド類、脂肪酸オリゴマー化合物である。
本発明の磁気粘性流体組成物における分散剤の含有量は、磁気粘性流体組成物全量に対して、0.001質量%〜3質量%が好ましく、0.01質量%〜2質量%がさらに好ましく、0.1質量%〜1.5質量%が最も好ましい。分散剤の含有量が0.001質量%以上であると、磁性粒子等の分散性が向上し、沈降後の再分散性も良好となり、分散剤の含有量が3質量%以下であると、レオロジーコントロール剤の効果を阻害せず、良好な沈降性が得られるので好ましい。
またこれらの分散剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上で用いる場合は、合計の含有量が上記範囲内であることが好ましい。
(4)レオロジーコントロール剤
本発明の磁気粘性流体組成物に用いるレオロジーコントロール剤としては、種々のレオロジーコントロール剤が利用できる。ここでいうレオロジーコントロール剤は、せん断速度変化に対して非ニュートン性を与えるものを指し、低せん断速度域のせん断粘度を高くしつつ高いせん断速度域ではせん断粘度が低くなるような流動特性を付与する添加剤である。
このようなレオロジーコントロール剤としては、無機化合物系ではヒュームドシリカ、ベントナイト、雲母、カオリンが挙げられる。また有機化合物系ではウレア変性ポリマー、ウレタン変性ポリマー、ひまし油ワックス、ポリエチレンワックス、ポリアマイドワックス、脂肪酸アマイドワックスが挙げられる。この中では、無機化合物系のレオロジーコントロール剤が好ましく、ヒュームドシリカ、ベントナイトが特に好ましい。ヒュームドシリカを用いる場合、シランカップリング剤やその他の表面改質剤により表面を疎水性としたものが好ましい。またベントナイトを用いる場合、4級アンモニウム塩やその他の有機改質剤により有機修飾した有機化ベントナイトが好ましく用いられる。
本発明の磁気粘性流体組成物におけるレオロジーコントロール剤の含有量は、組成物全量に対して、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.05質量%〜4質量%がさらに好ましく、0.07質量%〜3質量%が最も好ましい。レオロジーコントロール剤の含有量が0.01質量%以上であると、低せん断速度域でも高い増粘効果が得られ、レオロジーコントロール剤の含有量が5質量%以下であると、適度な粘度が得られ、ハンドリング性も良好となり、好ましい。
またこれらのレオロジーコントロール剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上で用いる場合は、合計の含有量が上記範囲内であることが好ましい。
(5)その他の添加剤
また、磁気粘性流体組成物の各種の性能を確保するために、潤滑剤に一般に用いられている公知の添加剤、例えば金属型清浄分散剤、無灰型清浄分散剤、油性剤、摩耗防止剤、極圧剤、さび止め剤、摩擦調整剤、固体潤滑剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、消泡剤、着色剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤などを添加することもできる。
金属型清浄分散剤としては、金属成分がカルシウムやマグネシウムである、スルホネート、フィネート、サリシレート等が挙げられる。
無灰型分散剤としては、コハク酸イミド系無灰分散剤、コハク酸アミド系無灰分散剤、又はこれらのホウ素化誘導体などが挙げられる。コハク酸イミド系無灰分散剤としては、ビスポリプロペニルコハク酸イミド、モノプロペニルコハク酸イミド、ビスポリブテニルコハク酸イミド、モノブテニルコハク酸イミド、ビスポリペンテニルコハク酸イミド、モノペンテニルコハク酸イミドなどのポリアルケニルコハク酸イミドなどが挙げられる。コハク酸アミド系無灰分散剤としては、ポリプロペニルコハク酸アミド、ポリブテニルコハク酸アミド、ポリペンテニルコハク酸アミドなどのポリアルケニルコハク酸アミド等が挙げられる。通常、これらの無灰分散剤におけるポリアルケニル基の分子量(Mw)は、70〜50000程度である。また、これらのホウ素化誘導体としては、ポリアルケニルコハク酸無水物を、ホウ酸、ホウ酸エステル、ホウ酸塩などのホウ素化合物及びポリアミンなどと反応させることにより得られる無灰型分散剤が挙げられる。
油性剤としては、オレイン酸、ステアリン酸、高級アルコール、アミン、エステル、硫化油脂、酸性リン酸エステル、酸性亜リン酸エステルなどが挙げられる。
摩耗防止剤としては、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、各種のリン酸エステル、チオリン酸エステル、各種リン酸エステルのアミン塩などが挙げられる。
極圧剤としては、炭化水素硫化物、硫化油脂、硫黄、リン酸エステル、亜リン酸エステル、塩素化パラフィン、塩素化ジフェニルなどが挙げられる。
さび止め剤としては、カルボン酸やそのアミン塩、エステル、スルホン酸塩、ホウ素化合物などが挙げられる。
摩擦調整剤としては、有機モリブテン化合物、多価アルコール部分エステル系、アミン系、アミド系、硫化エステル、リン酸エステル、酸性リン酸エステルやそのアミン塩、ジオール類などが挙げられる。
固体潤滑剤としては、二硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、グラファイト、炭酸カルシウム、窒化ホウ素、雲母(マイカ)などが挙げられる。
酸化防止剤としては、アミン系、フェノール系、硫黄系の酸化防止剤などが挙げられる。アミン系としてはジフェニルアミン系、ナフチルアミン系の酸化防止剤が挙げられ、フェノール系としてはヒンダードフェノール系の酸化防止剤が挙げられる。
金属不活性化剤としては、ベンゾトリアゾール、チアジアゾール、アルケニルコハク酸エステルなどが挙げられる。
消泡剤としては、ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン化合物、フルオロシリコーン化合物、エステル系などが挙げられる。
流動点降下剤としては、ポリアルキルメタクリレート系、塩素化パラフィン−ナフタレン縮合物、アルキル化ポリスチレンなどが挙げられる。
粘度指数向上剤としては、ポリアルキルメタクリレート系、ポリイソブチレン系、エチレン−プロピレン共重合体系、スチレン−イソプレン共重合体系、スチレン−ブタジエン水添共重合体系、ポリイソブチレン系などが挙げられる。粘度指数向上剤として用いられるポリマーの重量平均分子量(Mw)(ポリスチレン換算)は、1万〜40万が好ましく、2万〜20万が特に好ましい。このような粘度指数向上剤の添加量は、組成物全量に対して0.1質量%〜10質量%が好ましい。なお、本発明における重量平均分子量(Mw)とは、下記条件にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定された分子量算定用標準ポリスチレン換算である。
<条件>
装置:Shodex GPC−101(昭和電工(株)製)、カラム:Shodex GPC LF−804(昭和電工(株)製)を3本、検出器:示差屈折検出器、移動相:THF(テトラヒドロフラン)、流量:1ml/min、試料濃度:約1.0mass%/vol%THF、注入量:100μL
本発明の磁気粘性流体組成物の調製方法は、例えば、以下の手順により行う。
<手順1:磁気粘性流体組成物用オイルの調製>
あらかじめ(1)モノエステルと(3)分散剤を混合して、磁気粘性流体組成物用オイルを調製する。混合は、ビーカーとマグネチックスターラーを用い、温度は50℃〜80℃程度で行う。酸化防止剤や粘度指数向上剤等の油溶性の添加剤を加える場合は、このときに加える。
<手順2:磁性粒子の混合>
手順1により調製した磁気粘性流体組成物用オイルと(2)磁性粒子とを混合し、磁気粘性流体組成物用オイル中の分散剤を磁性粒子に吸着させる。混合機としては、自転・公転型プロペラレスミキサーや、プラネタリーミキサー、ホモジナイザー等が使用できる。 上記混合する材料は、60℃〜100℃程度に加熱することが望ましく、あらかじめ加熱したものを混合機に投入してもよい。
<手順3:レオロジーコントロール剤、その他の添加剤の混合>
手順2で磁性粒子を均一に混合したあと、(4)レオロジーコントロール剤、(5)その他の添加剤(例えば固体潤滑剤)を混合する。手順2と同様、混合機としては、自転・公転型プロペラレスミキサーや、プラネタリーミキサー、ホモジナイザー等が使用できる。混合する材料は、それぞれ、60℃〜100℃程度に加熱することが望ましく、あらかじめ加熱したものを混合機に投入してもよい。
上記手順1〜3を経て、本発明の磁気粘性流体組成物を好適に得ることができる。なお、本発明の磁気粘性流体組成物の製造方法は上記方法に限定されるものではない。
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明は、これらの例によって何ら制限されるものではない。
実施例及び比較例では、以下の手順により磁気粘性流体組成物を調合し、それぞれの性能を評価した。結果は表中に示す。
<調合法>
(1)表1及び表2に示す成分の含有量になるように、磁気粘性流体組成物用オイルを調製し、ビーカーとマグネチックスターラーを用いて60℃で混合した。
(2)上記磁気粘性流体組成物用オイルと磁性粒子とを、表1及び表2に示す含有量になるように配合し、80℃に加熱した後、自転・公転式プロペラレスミキサー((株)シンキー製、ARE-500)にて均一に攪拌した。磁性粒子が均一に混合された後、その他の成分を、表1及び表2に示す割合で配合し、80℃に加熱した後、自転・公転式プロペラレスミキサーにて均一に攪拌し、磁気粘性流体組成物を調合した。
実施例及び比較例の磁気粘性流体組成物の調合に用いた各成分は次の通りである。
<磁気粘性流体組成物用オイル>
・モノエステルA:カプリン酸及び2‐ヘキシルデカノールを原料として調製されたモノエステル、炭素数26、40℃動粘度が9.0mm/sのもの。
・ジエステルA:ジオクチルアジペート、40℃動粘度が7.8mm/sのもの。
・ジエステルB:ジオクチルセバケート、40℃動粘度が11.5mm/sのもの。
・ポリオールエステル:ペンタエリスリトールと、炭素数8及び炭素数10の脂肪酸の混合物とのエステル、40℃動粘度が32.4mm/sのもの。
・炭化水素系合成油A:ポリ−α−オレフィン、40℃動粘度が17.1mm/sのもの。
・炭化水素系合成油B:ポリ−α−オレフィン、40℃動粘度が5.1mm/sのもの。
・分散剤:エルカ酸
・酸化防止剤:ジアルキル化ジフェニルアミン
・粘度指数向上剤:非分散型PMA(ポリメタクリレート)、重量平均分子量(Mw)が10万(既述の方法で測定したスチレン換算値)、希釈油:27質量%。
<磁気粘性流体組成物(MRF)>
・磁気粘性流体組成物用オイル:上記で調合した磁気粘性流体組成物用オイル
・カルボニル鉄粉(磁性粒子):鉄含有率:99.7質量%、累積50%粒子径:4.5μm
・有機化ベントナイト(レオロジーコントロール剤):ベントナイトを4級アンモニウムカチオンで親油化処理、Al含有率:5.9質量%、Si含有率:15質量%
・疎水性ヒュームドシリカ(レオロジーコントロール剤):ヒュームドシリカをジメチルジクロロシランで表面処理、BET比表面積:110±20m/g、1次粒子平均粒径:16nm
なお、磁性粒子の粒径は、粒度測定装置(マイクロトラック社製、商品名:FRA)を用いてレーザー回折散乱法により測定した値である。
実施例及び比較例の磁気粘性流体組成物は、次の方法で評価した。
(1)蒸発試験
JIS K2540:2000石油製品−潤滑油−熱安定度試験方法に規定する内径53mmのガラス製試験容器に、上記で調製した磁気粘性流体組成物5mlを入れ、120℃で24時間、恒温槽内に静置し、恒温槽内に静置する前後の重量変化を測定した。
本試験においては前記重量変化した質量の恒温槽内に静置する前の磁気粘性流体組成物の全質量に対する割合(%)、すなわち重量減少率が小さいほど耐熱性が良好であることを示す。
(2)磁場オフ時せん断粘度試験
アントンパール社製レオメーター「MCR101」により、以下の試験条件にて、20℃及び−30℃での磁場オフ時のせん断粘度を測定し、流動性を評価する指標とした。また、測定値から−30℃における磁場オフ時のせん断粘度の、20℃における磁場オフ時のせん断粘度に対する比(せん断粘度比)を求めた。
(試験条件)
・測定治具:φ20mmパラレルプレート
・GAP:0.5mm
・温度:20℃ 、−30℃
・せん断速度:1000s-1(一定)
本試験においては、20℃における磁場オフ時のせん断粘度が小さいほど良好であり、かつ−30℃における磁場オフ時のせん断粘度の、20℃における磁場オフ時のせん断粘度に対する比(せん断粘度比、−30℃/20℃)が小さいほど、低温流動性が良好であることを示す。
(3)磁場印加時せん断応力試験
アントンパール社製レオメーター「MCR101」に、同社製「磁気粘弾性測定セル」を装着し、以下の試験条件にて磁場印加時のせん断応力(kPa)を測定した。
(試験条件)
・測定治具:φ20mmパラレルプレート
・GAP:0.5mm
・温度:20℃
・せん断速度:100s−1(一定)
・磁束密度:0.2T、0.4T.0.6T、0.8T
本試験においては、磁束密度が低い領域から高い領域までの広い領域において高いせん断粘度を有するものが磁場印加時の発生応力が高く好ましいこととなる。


本発明の磁気粘性流体組成物は、実施例で示した通り、耐熱性に優れており、磁場オフ時の低粘度及び低温流動性に優れ、なおかつ磁場印加時の高いせん断粘度を確保できるので、各種ダンパー、トルク伝達装置、クラッチ、ブレーキ、振動吸収装置などに有用である。

Claims (1)

  1. (1)モノエステルと、
    (2)磁性粒子と、
    (3)分散剤と、
    (4)レオロジーコントロール剤と、
    を含有し、
    前記(1)モノエステルが、2−ペンチルノナノール、2−ヘキシルデカノール、又は、2−ヘプチルウンデカノールである脂肪族アルコールと炭素数が3〜40のモノカルボン酸とを原料として、これらをエステル化反応させることにより得られる化合物であり、
    前記(2)磁性粒子の含有割合が、組成物全量に対して70質量%〜92質量%である、
    磁気粘性流体組成物。
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