図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。図1は、本実施形態の撮像装置の全体構成を模式的に示すブロック図である。複数の画素10が、複数の画素列を含む画素アレイ10Aを構成する。図1には、3つの画素行と3つの画素列とを構成する9個の画素10が示されている。しかし、複数の画素10の数、および、複数の画素列の数はこれらに限定されない。
撮像装置は複数の読出し回路を備える。それぞれの読出し回路は、出力線112と信号処理回路40とを含む。いくつかの実施例では、複数の読出し回路は、複数の画素列に対応して設けられる。つまり、複数の読出し回路は、それぞれ、複数の画素列の互いに異なる1つに対応して設けられる。
1つの画素列に含まれる複数の画素10が、1つの出力線112に接続される。このような構成により、画素アレイ10Aを構成する複数の画素10の一部、具体的には、1つの画素列に含まれる複数の画素10からの信号が、出力線112に出力される。
出力線112に出力された信号は、対応する信号処理回路40に入力される。つまり、信号処理回路40は、出力線112に出力された信号を受けるように構成される。信号処理回路40は、出力線112に出力された信号に対して、増幅、バッファリグ、比較、サンプルホールド、アナログデジタル変換(Analog to Digital Conversion、以下AD変換)などの処理を行う。出力線112と信号処理回路40との間の電気経路に、バッファ、スイッチ、増幅回路、クランプ回路など、信号を伝達する回路が配されてもよい。なお、図1においては、1つのブロックが、複数の読出し回路に含まれる複数の要素を示している。例えば、図1において増幅回路42を表す1つのブロックは、複数の読出し回路のそれぞれに増幅回路42が含まれることを表している。
撮像装置は、複数の第1電流源30と複数の第2電流源32とを備える。図1は、複数の第1電流源30と複数の第2電流源32とを、模式的に1つのブロックで表している。
複数の読出し回路に対応して、複数の第1電流源30が設けられる。複数の第1電流源30のそれぞれは、対応する1つの読出し回路へ電流を供給する第1トランジスタを含む。第1トランジスタは、図2にトランジスタM7として例示されている。いくつかの実施例では、第1トランジスタが出力線112へ電流を供給することで、画素10の増幅トランジスタと第1トランジスタとがソースフォロア回路を構成する。いくつかの実施例では、第1トランジスタが信号処理回路40へ電流を供給する。
撮像装置は、複数の第2電流源32を備える。複数の第2電流源のそれぞれは、複数の第1電流源30の少なくとも1つに対しての基準となる基準電流を供給する第2トランジスタを含む。第2トランジスタは、図2にトランジスタM2として例示されている。いくつかの実施例では、第1電流源30に含まれる第1トランジスタと、第2トランジスタからの電流を受ける第3トランジスタとがカレントミラー回路を構成する。このような構成により、第2トランジスタの供給する基準電流を基準として、当該第1電流源30が読出し回路へ電流を供給することができる。
いくつかの実施例では、複数の第1電流源30の数と複数の第2電流源32の数とが等しい。この場合、1つの第2トランジスタからの基準電流を、1つの第1電流源30に含まれる第1トランジスタだけが基準とする。
いくつかの実施例では、第2電流源32の数が、複数の第1電流源30の数より少ない。この場合、1つの第2トランジスタからの基準電流を、2つ以上の第1電流源30に含まれる第1トランジスタが共通の基準とする。具体的には、1つの第2トランジスタと、2つ以上の第1電流源30に含まれる第1トランジスタのそれぞれとが、カレントミラー回路を構成する。
また、いくつかの実施例では、複数の第2電流源32が、N個の画素列に対して1つの割合で配される。Nは2以上の自然数である。この場合、1つの第2トランジスタからの基準電流を、N個の第1電流源30に含まれる第1トランジスタが共通の基準とする。具体的には、1つの第2トランジスタと、N個の第1電流源30に含まれる第1トランジスタのそれぞれとが、カレントミラー回路を構成する。
撮像装置は、第1電流源30に含まれる第1トランジスタから読出し回路への電流の出力を制御する第1制御部を備える。いくつかの実施例では、第1制御部は、第1電流源30に含まれる第1トランジスタと読出し回路とを接続する第1スイッチを含む。第1スイッチは、図2にトランジスタM5として例示されている。
撮像装置は、第2電流源32に含まれる第2トランジスタのゲートへの電圧の供給と、当該ゲートの電圧の保持とを選択的に行う第2制御部を備える。第2制御部は、例えば、電圧供給部と第2トランジスタのゲートとを電気的に導通させることにより、第2トランジスタのゲートに電圧を供給する。第2制御部は、例えば、第2トランジスタのゲートを電気的にフローティングにすることにより、第2トランジスタのゲートの電圧を保持する。いくつかの実施例では、第2制御部は、電圧供給部と第2トランジスタのゲートとを接続する、あるいは、第2トランジスタのゲートを電気的にフローティングにするための第2スイッチを含む。第2スイッチは、図2にトランジスタM20として例示されている。
第2制御部が第2トランジスタのゲートへ電圧を供給しているときに、第2トランジスタは基準電流を供給し、かつ、第1制御部は第1トランジスタから読出し回路への電流の出力を停止する。また、第2制御部が前記第2トランジスタのゲートの電圧を保持しているときに、第1制御部は第1トランジスタから読出し回路へ電流を出力する。
本実施形態によれば、撮像装置の画質を向上させることができる。この効果について説明する。第2トランジスタのゲートに電圧が供給されているとき、第2トランジスタが基準電流を供給している。そのため、第2トランジスタのソースとドレインとの間には、基準電流に応じた電圧が生じている。したがって、第2制御部が第2トランジスタのゲートの電圧を保持するときに、第2トランジスタのドレインの電圧の変化を小さくする、あるいは、ゼロにすることができる。結果として、第2トランジスタのゲートの電圧の変動を低減することができるのである。
以下、本発明に係るいくつかの実施例を説明する。特に断りがない限り、本実施形態についての説明は、全ての実施例について同様である。また、いずれかの実施例の一部の構成を、他の実施例の一部と置換、あるいは、他の実施例に付加してもよい。
実施例1の撮像装置を説明する。本実施例の撮像装置は、複数の画素列に対応して設けられた複数の第1電流源30と、N個の画素列に対して1つの割合で配された複数の第2電流源32とを備える。また、画素10に含まれる増幅トランジスタM8と、第1電流源30に含まれるトランジスタM7とがソースフォロア回路を構成している。
このような構成において、第2電流源32に含まれるトランジスタM2のゲートへ電圧が供給されているときに、トランジスタM2は基準電流を供給し、かつ、トランジスタM7から出力線112への電流の出力が停止される。そして、トランジスタM2のゲートに電圧が保持されているときに、トランジスタM7から出力線112へ電流が出力される。
図1は、本実施例の撮像装置の全体構成を模式的に示すブロック図である。撮像領域に配された複数の画素10が、複数の画素列および複数の画素行を含む画素アレイ10Aを構成する。1つの画素行に含まれる複数の画素10が垂直走査回路20からの駆動信号により選択される。さらに、垂直走査回路20からの駆動信号に基づいて、選択された1つの画素行に含まれる複数の画素10からの信号が、並行して、複数の出力線112に出力される。このような制御を複数の画素行に対して順次行うことにより、画素アレイ10Aからの信号が出力線112に出力される。
それぞれの出力線112には、第1電流源30が接続される。第1電流源30は、出力線112に電流を供給する。第1電流源30は第2電流源32に接続される。第2電流源32は、第1電流源30に対して基準となる基準電流を供給する。電圧供給部34は、第2電流源32へ電圧を供給する。電圧供給部34は省略されてもよい。電圧供給部34は省略された場合、例えば、外部から第2電流源32へ直接電圧が供給されうる。
出力線112に出力された信号は、信号処理回路40に入力される。信号処理回路40は、出力線112に出力された信号に対して所定の信号処理を行う。本実施例の信号処理回路40は出力線112からの信号を増幅する増幅回路42、および、出力線112からの信号をデジタル信号へ変換するアナログデジタル変換回路(以下、AD変換回路)を含む。AD変換回路は比較部44とメモリ46とを含む。比較部44には、参照信号発生回路50によって生成された参照信号が入力される。比較部44は、出力線112に出力された信号と参照信号との比較を行う。そして、比較部44の出力が反転したタイミングで、カウンタ60のカウント値がメモリ46に記憶される。水平走査回路80からの駆動信号に基づいて、メモリ46に保持されたカウント値が、デジタル信号として読み出される。垂直走査回路20、増幅回路42、比較部44、メモリ46、参照信号発生回路50、カウンタ60、および、水平走査回路80は、タイミング発生回路70から供給されるクロック信号に基づいて制御される。
なお、本実施例の信号処理回路40は、アナログ信号である画素10からの信号を、デジタル信号に変換している。しかし、信号処理回路40は、アナログ信号のまま画素10からの信号を撮像装置の外部に出力してもよい。この場合、AD変換回路は省略される。
図2は本実施例の撮像装置の等価回路を示す図である。図1と同じ部分については、図1と同じ符号を付してある。また、図2においては、参照信号発生回路50、カウンタ60、および、水平走査回路80の図示は省略されている。以下では1つの画素列を例に説明するが、他の画素列も同様の構成である。
図2に示されたトランジスタM1およびトランジスタM2には、それぞれ、Pチャネル型のMOSトランジスタが用いられる。図2に示されたトランジスタM3〜M7、および、トランジスタM20には、それぞれ、Nチャネル型のMOSトランジスタが用いられる。
本実施例の撮像装置は、トランジスタM1と参照電流源36とを含む電圧供給部34を備える。参照電流源36には、公知の電流源が用いられる。トランジスタM1および参照電流源36は、電源ノードとグラウンドノードとの間の電気経路に直列に配される。電源ノードには、第1の基準電圧として電源電圧Vddが供給される。グラウンドノードには、第2の基準電圧としてグラウンド電圧GNDが供給される。トランジスタM1のゲートとドレインとが互いに接続される。トランジスタM1のソースは電源ノードに接続される。このような構成により、トランジスタM1のゲート(ドレイン)の電圧が、参照電流源36の電流によって定められる。電圧供給部34は、トランジスタM1のゲート(ドレイン)の電圧を、複数の第2電流源32に供給する。
複数の第2電流源32のそれぞれは、トランジスタM2を含む。トランジスタM1とトランジスタM2とがカレントミラー回路を構成する。具体的には、トランジスタM2のゲートが、トランジスタM20を介して、トランジスタM1のゲートおよびドレインに接続される。トランジスタM2のソースは電源ノードに接続される。このような構成により、トランジスタM2は、トランジスタM1に流れる電流をミラーして出力する。トランジスタM2から出力される電流が、第1電流源32に対して基準となる基準電流である。
本実施例では、トランジスタM3が、トランジスタM2から出力される基準電流を受ける。具体的には、電源ノードとグラウンドノードとの間の電気経路に、トランジスタM2およびトランジスタM3が直列に配される。
トランジスタM20は、トランジスタM2のゲートと電圧供給部34とを接続するスイッチ(以下、第2スイッチM20)である。第2スイッチM20には、第2スイッチM20のオンとオフとを制御するための駆動信号PSHが供給される。第2スイッチM20がオンすることで、電圧供給部34からの電圧がトランジスタM2のゲートに供給される。第2スイッチM20がオフすることで、トランジスタM2のゲートはフローティングになる。つまり、第2スイッチM20がオフすることで、トランジスタM2のゲートの電圧が保持される。
本実施例の第2電流源32は、容量素子113を含む。容量素子113は第1端子および第2端子を含む。第1端子はトランジスタM2のゲートに接続される。第2端子は電源ノードに接続される。容量素子113によって、トランジスタM2のゲートの容量を大きくすることができるため、画質を向上させることができる。なお、容量素子113は省略してもよい。
複数の第1電流源30のそれぞれは、トランジスタM7を含む。トランジスタM7と、トランジスタM2からの電流を受けるトランジスタM4とがカレントミラー回路を構成する。具体的には、トランジスタM7のゲートが、トランジスタM4のゲートとドレインとに接続される。このような構成により、第1電流源30のトランジスタM7は、トランジスタM2からの基準電流を基準として、出力線112へ電流を出力する。
本実施例では、トランジスタM7とトランジスタM4とによって構成されるカレントミラー回路が、第1ゲート接地回路および第2ゲート接地回路を含む。第1ゲート接地回路は、トランジスタM7と出力線112との間の電気経路に配されたトランジスタM6を含む。第2ゲート接地回路は、トランジスタM4とトランジスタM2との間の電気経路に配されたトランジスタM3を含む。トランジスタM3のゲートとトランジスタM6のゲートには、それぞれ、バイアス電圧VGATEが供給される。また、トランジスタM4のゲートおよびトランジスタM7のゲートは、トランジスタM3を介して、トランジスタM4のドレインに接続される。このような構成によれば、第1電流源30から出力される電流を安定化することができる。結果として、画質を向上させることができる。なお、第1ゲート接地回路および第2ゲート接地回路は省略してもよい。
第1電流源30のトランジスタM7は、トランジスタM5を介して、出力線112に接続される。トランジスタM5は、トランジスタM7と出力線112とを接続するスイッチ(以下、第1スイッチM5)である。第1スイッチM5には、第1スイッチM5のオンとオフとを制御するための駆動信号PBIASが供給される。第1スイッチM5がオンすることで、第1電流源30のトランジスタM7から出力線112へ電流が出力される。第1スイッチM5がオフすることで、第1電流源30のトランジスタM7から出力線112への電流の出力が停止する。
本実施例においては、N個の画素列に対して1つの割合で、複数の第2電流源32が配されている。Nは2以上の自然数である。そのため、N個の画素列に対応するN個の第1電流源30が、1つのトランジスタM2からの基準電流を基準としている。具体的には、トランジスタM2、M3、M4が、N個の画素列に対して1つの割合で設けられている。そして、トランジスタM5、M6、M7は、複数の画素列のそれぞれに設けられている。そして、1つのトランジスタM2からの電流を受ける1つのトランジスタM4が、N個の第1電流源30に含まれるトランジスタM7のそれぞれとカレントミラー回路を構成している。このような構成によれば、基準電流を供給するトランジスタM2の数を減らすことができ、結果として、消費電力を低減できる。
画素アレイ10AがM×N個の画素列を含んでいてもよい。Mは2以上の自然数である。この場合、複数のトランジスタM4と複数のトランジスタM7とが、それぞれ、1つのトランジスタM4、および、当該1つのトランジスタM4とカレントミラー回路を構成するN個のトランジスタM7からなるM個のグループに分けられる。複数のトランジスタM5と複数のトランジスタM6は、同様に、M個のグループに分けられる。各グループ内において、N個のトランジスタM5のゲートが共通のノードに接続される。また、各グループ内において、N個のトランジスタM6のゲートが共通のノードに接続される。一方で、異なるグループに属する2つのトランジスタM5のゲートは、互いに別のノードに接続される。また、異なるグループに属する2つのトランジスタM6のゲートは、互いに別のノードに接続される。
次に、画素10の構成について説明する。図3は画素10の等価回路を示す図である。図3は1つの画素10のみを示しているが、他の画素10も同様の構成である。
画素10は、フォトダイオードD1を含む光電変換部、増幅トランジスタM8、選択トランジスタM9、転送トランジスタM10、リセットトランジスタM11を含む。光電変換部は、入射した光に基づく電荷を生成する。転送トランジスタM10は、光電変換部の電荷を増幅トランジスタM8のゲートに転送する。リセットトランジスタM11は、増幅トランジスタM8のゲートの電圧をリセットする。選択トランジスタM9は増幅トランジスタM8と出力線112との接続を制御する。選択トランジスタM9のゲート、転送トランジスタM10のゲート、および、リセットトランジスタM11のゲートには、それぞれ、駆動信号PSEL、駆動信号PTX、駆動信号PRESが供給される。
画素10の増幅トランジスタM8は、出力線112を介して、第1電流源30のトランジスタM7に接続される。トランジスタM7が出力線112に電流を出力することで、増幅トランジスタM8とトランジスタM7とがソースフォロア回路を構成する。選択トランジスタM9がオンのときに、ソースフォロア回路は、増幅トランジスタM8のゲートの電圧に基づく信号を出力線112に出力する。
次に、本実施例の動作を説明する。図4は、撮像装置の駆動信号のタイミングチャートを模式的に示す図である。図4は、駆動信号PSHと駆動信号PBIASとを示している。駆動信号がハイレベルのときに、対応するスイッチがオンする。駆動信号がローレベルのときに、対応するスイッチがオフする。
本実施例の撮像装置の動作は、電圧供給部34からの電圧を第2電流源32に含まれるトランジスタM2のゲートにサンプリングするサンプリング動作と、トランジスタM2のゲートの電圧を保持するホールド動作とを含む。図4における時刻t0から時刻t1までの期間にサンプリング動作が行われる。時刻t1から時刻t4までの期間にホールド動作が行われている。サンプリング動作とホールド動作とのいずれを行うかは、撮像装置の駆動に合わせて決定される。
時刻t0において、駆動信号PSHがローレベルからハイレベルに遷移する。これにより、第2スイッチM20がオンする。第2スイッチM20がオンしている間、電圧供給部34からの電圧が、トランジスタM2のゲートに供給される。つまり、トランジスタM2のゲートに、電圧供給部34の供給する電圧をサンプリングする。このとき、駆動信号PBIASはローレベルであるため、第1スイッチM5はオフしている。したがって、トランジスタM7から出力線112への電流の供給は停止している。
時刻t1において、駆動信号PSHがハイレベルからローレベルに遷移する。これにより、第2スイッチM20がオフする。第2スイッチM20がオフすることにより、トランジスタM2のゲートの電圧が保持される。
時刻t2において、駆動信号PBIASがローレベルからハイレベルに遷移する。これにより、第1スイッチM5がオンする。第1スイッチM5がオンすることにより、トランジスタM7から出力線112へ電流が出力される。
次に、時刻t3において、駆動信号PBIASがハイレベルからローレベルへ遷移する。これにより、第1スイッチM5がオフする。第1スイッチM5がオフすることにより、トランジスタM7から出力線112への電流の出力が停止される。
その後、時刻t4において、駆動信号PSHがローレベルからハイレベルに遷移する。時刻t4以降は、時刻t0から時刻t4までの動作を繰り返すことで、サンプリング動作とホールド動作とを切り替える。
本実施例において、第2電流源32に含まれるトランジスタM2のゲートに電圧が供給されている間、トランジスタM2は基準電流を出力している。一方で、第2電流源32に含まれるトランジスタM2のゲートに電圧が供給されている間、第1電流源30に含まれるトランジスタM7からの電流の出力は停止している。そして、トランジスタM2のゲートの電圧が保持された後、トランジスタM7からの電流の出力が開始される。
このような構成によれば、撮像装置の画質を向上させることができる。この効果について説明する。まず、トランジスタM2のゲートに電圧をサンプリングしているとき、第2電流源32に含まれるトランジスタM2が基準電流を供給している。トランジスタM2のドレインの電圧は、基準電流に応じて、電源電圧VDDとは異なる値をとる。言い換えると、トランジスタM2のソースとドレインとの間には所定の電圧が生じる。その後、トランジスタM2のゲートの電圧を保持した後も、トランジスタM2はほぼ同じ基準電流を供給する。したがって、サンプリング動作とホールド動作との間での、トランジスタM2のドレインの電圧の変動を小さくすることができる。そのため、トランジスタM2のゲートとドレインとの結合容量を介して生じるトランジスタM2のゲートの電圧の変動を小さくすることができる。結果として、トランジスタM2のゲートに正確に電圧を保持することができ、トランジスタM2が正確な基準電流を出力できる。このように、画質を向上させることが可能である。
また、トランジスタM2のゲートに電圧をサンプリングしているとき、第1電流源30に含まれるトランジスタM7からの電流の出力が停止される。そのため、撮像装置全体で見たとき、電源ノードからグラウンドノードへの電流量の総和が低減される。これにより、電源ノードを構成する配線抵抗に起因した電圧降下を小さくすることができる。つまり、電源ノードにおける電圧シェーディングを低減できる。結果として、複数のトランジスタM2のゲートにサンプリングされる電圧のばらつきを低減することができる。なお、この電圧シェーディング低減の効果は、複数の第2電流源32の数が複数の第1電流源30の数より少ない実施例において、より顕著に得られる。
また、本実施例では、第2電流源32のトランジスタM2に対して、電圧のサンプリングを行い、第2電流源32の供給する基準電流を基準とする第1電流源30の出力を停止している。そのため、サンプリングの後に、第1電流源30に含まれるトランジスタM7からの電流の出力を開始したときに、第2電流源32に含まれるトランジスタM2のドレインの電圧はほとんど変化しない。そのため、電圧シェーディングを低減しつつ、第2電流源での電圧の保持を正確に行うことができる。結果として、撮像装置の画質を大幅に向上させることが可能である。
以上に述べた通り、本実施例によれば、撮像装置の画質を向上させることができる。特に本実施例では画素10から出力される信号のノイズを低減できる。
実施例2の撮像装置を説明する。本実施例の撮像装置は、第1電流源130に含まれるトランジスタM7が、信号処理回路40に含まれる増幅回路42へ電流を供給する点で、実施例1と異なる。実施例1との相違を説明し、実施例1と同様の部分は説明を省略する。
本実施例では、第2電流源132に含まれるトランジスタM2のゲートへ電圧が供給されているときに、トランジスタM2は基準電流を供給し、かつ、トランジスタM7から増幅回路42への電流の出力が停止される。そして、トランジスタM2のゲートに電圧が保持されているときに、トランジスタM7から増幅回路42へ電流が出力される。
図1は、本実施例の撮像装置の全体構成を模式的に示すブロック図である。実施例1との相違は、第1電流源30の代わりに第1電流源130が配されていること、および、第2電流源32の代わりに第2電流源132が配されていることである。また、電圧供給部34の代わりに電圧供給部134が配される。他の構成は実施例1と同様なので、説明を省略する。
複数の第1電流源130は、それぞれ、対応する画素列の信号処理回路40に含まれる増幅回路42に電流を供給する。また、第1電流源30は第2電流源132に接続される。第2電流源132は、第1電流源130に対して基準となる基準電流を供給する。
図5は本実施例の撮像装置の等価回路を示す図である。図1または図2と同じ部分については、図1または図2と同じ符号を付してある。また、図5においては、信号処理回路40に含まれる比較部44、および、メモリ46、ならびに、参照信号発生回路50、カウンタ60、水平走査回路80の図示は省略されている。
図5に示されたトランジスタM1、トランジスタM2、および、トランジスタM20には、それぞれ、Nチャネル型のMOSトランジスタが用いられる。図5に示されたトランジスタM3〜M7には、それぞれ、Pチャネル型のMOSトランジスタが用いられる。
本実施例の電圧供給部134は、トランジスタM1がグラウンドノード側に接続され、参照電流源36が電源ノード側に接続される点で、実施例1の電圧供給部34と相違する。他の構成は電圧供給部34と同じである。
本実施例の第2電流源132はトランジスタM2を含む。トランジスタM2のソースがグラウンドノードに接続される。また、第2電流源132に含まれる容量素子113の第2端子がグラウンドノードに接続される。他の構成は第2電流源32と同じである。なお、トランジスタM2からの電流を受けるトランジスタM4のソースは電源ノードに接続される。
本実施例の第1電流源130はトランジスタM7を含む。トランジスタM7のソースが電源ノードに接続される。また、ゲート接地回路を構成するトランジスタM6と、第2スイッチM5は、トランジスタM7とグラウンドノードとの間の電気経路に直列に配される。
増幅回路42には、出力線112からの信号Vinが入力される。増幅回路42は、入力された信号Vinを増幅して、増幅信号Voutを出力する。増幅回路42は、トランジスタM13とトランジスタM12とを含む。トランジスタM12およびトランジスタM13には、それぞれ、Nチャネル型のMOSトランジスタが用いられる。トランジスタM13のソースはグラウンドノードに接続される。トランジスタM13のドレインは、トランジスタM12を介して、出力ノードに接続される。トランジスタM13はゲート接地回路を構成する。具体的に、トランジスタM13のゲートにはバイアス電圧VNGHが供給される。
第1電流源130に含まれるトランジスタM7は、増幅回路42に電流を供給する。具体的には、トランジスタM7が、トランジスタM12と電源ノードとの間の電気経路に配される。このような構成により、トランジスタM7は、トランジスタM12の電流源負荷として動作する。
次に、本実施例の動作は、実施例1と同じである。すなわち、図4が、撮像装置の駆動信号のタイミングチャートを模式的に示す図である。詳細な説明は省略する。
本実施例において、第2電流源132に含まれるトランジスタM2のゲートに電圧が供給されている間、トランジスタM2は基準電流を出力している。一方で、第2電流源132に含まれるトランジスタM2のゲートに電圧が供給されている間、第1電流源130に含まれるトランジスタM7からの電流の出力は停止している。そして、トランジスタM2のゲートの電圧が保持された後、トランジスタM7からの電流の出力が開始される。
このような構成によれば、実施例1と同様に、撮像装置の画質を向上させることができる。特に本実施例では増幅回路42から出力される信号のノイズを低減できる。
実施例3の撮像装置を説明する。本実施例の撮像装置は、第1電流源130に含まれるトランジスタM7が、信号処理回路40に含まれるAD変換回路へ電流を供給する点で、実施例2と異なる。実施例2との相違を説明し、実施例1または実施例2と同様の部分は説明を省略する。
本実施例では、第2電流源132に含まれるトランジスタM2のゲートへ電圧が供給されているときに、トランジスタM2は基準電流を供給し、かつ、トランジスタM7からAD変換回路への電流の出力が停止される。そして、トランジスタM2のゲートに電圧が保持されているときに、トランジスタM7からAD変換回路へ電流が出力される。
図1は、本実施例の撮像装置の全体構成を模式的に示すブロック図である。本実施例の撮像装置は、複数の第1電流源130と、複数の第2電流源132とを備える。複数の第1電流源130は、それぞれ、対応する画素列の信号処理回路40に含まれるAD変換回路に電流を供給する。他の構成は実施例2と同様である。
図6は本実施例の撮像装置の等価回路を示す図である。図1、図2、または、図5と同じ部分については、図1、図2、または、図5と同じ符号を付してある。また、図6においては、信号処理回路40に含まれる増幅回路42、および、メモリ46、ならびに、参照信号発生回路50、カウンタ60、水平走査回路80の図示は省略されている。
図6に示されたトランジスタM1、トランジスタM2、および、トランジスタM20には、それぞれ、Nチャネル型のMOSトランジスタが用いられる。図6に示されたトランジスタM3〜M7には、それぞれ、Pチャネル型のMOSトランジスタが用いられる。
第1電流源130、第2電流源132、および、本実施例の電圧供給部134は、実施例2と同様である。これらの構成の説明は省略する。
図6には、AD変換回路に含まれる比較部44が示されている。比較部44の第1入力ノードには、出力線112からの信号Vinが入力される。比較部44の第2入力ノードには、参照信号発生回路50によって生成された参照信号Vrefが入力される。比較部44は、出力線112からの信号Vinと参照信号Vrefとの比較を行う。参照信号Vrefには、例えば、ランプ信号が用いられる。
比較部44は、差動対を構成するトランジスタM14およびトランジスタM15を含む。トランジスタM14およびトランジスタM15には、それぞれ、Pチャネル型のMOSトランジスタが用いられる。トランジスタM14のドレイン、および、トランジスタM15のドレインには、2つのトランジスタM16によって構成されたカレントミラー回路が接続される。トランジスタM16には、Nチャネル型のMOSトランジスタが用いられる。トランジスタM15のドレインが、比較部44の出力ノードである。
第1電流源130に含まれるトランジスタM7は、比較部44に電流を供給する。具体的には、トランジスタM14のソース、および、トランジスタM15のソースが、第1電流源130に含まれるトランジスタM7に接続される。このような構成により、トランジスタM7が比較部44のテール電流源として動作する。なお、トランジスタM7、および、トランジスタM14〜M16は、差動増幅回路を構成している。
次に、本実施例の動作は、実施例1と同じである。すなわち、図4が、撮像装置の駆動信号のタイミングチャートを模式的に示す図である。詳細な説明は省略する。
本実施例において、第2電流源132に含まれるトランジスタM2のゲートに電圧が供給されている間、トランジスタM2は基準電流を出力している。一方で、第2電流源132に含まれるトランジスタM2のゲートに電圧が供給されている間、第1電流源130に含まれるトランジスタM7からの電流の出力は停止している。そして、トランジスタM2のゲートの電圧が保持された後、トランジスタM7からの電流の出力が開始される。
このような構成によれば、実施例1と同様に、撮像装置の画質を向上させることができる。特に本実施例ではAD変換回路によるAD変換の精度を向上させることができる。
実施例4の撮像装置を説明する。本実施例の撮像装置は、第1電流源230が、第1電流源230に含まれるトランジスタM7のゲートへの電圧の供給と、トランジスタM7のゲートの電圧の保持とを選択的に行う制御部を備える点で、実施例1と相違する。実施例1との相違を説明し、実施例1と同様の部分は説明を省略する。
図1は、本実施例の撮像装置の全体構成を模式的に示すブロック図である。実施例1の第1電流源30の代わりに、第1電流源230が配される。他の構成は、実施例1と同様なので、説明を省略する。
図7は本実施例の撮像装置の等価回路を示す図である。図2と同じ部分については、図2と同じ符号を付してある。図2においては、参照信号発生回路50、カウンタ60、および、水平走査回路80の図示は省略されている。以下では1つの画素列を例に説明するが、他の画素列も同様の構成である。
本実施例の第1電流源230は、トランジスタM7のゲートに接続されたトランジスタM21(以下、第3スイッチM21)を含む。第3スイッチM21には、第3スイッチM21のオンとオフとを制御するための駆動信号PSH2が供給される。第3スイッチM21がオンすることで、トランジスタM7のゲートが、第2電流源32に含まれるトランジスタM2のドレイン、および、トランジスタM4のゲートに接続される。第3スイッチM21がオフすることで、トランジスタM7のゲートが電気的にフローティングになる。このような構成により、第3スイッチが、トランジスタM7のゲートへの電圧の供給と、トランジスタM7のゲートの電圧の保持とを選択的に行う。
本実施例の第1電流源230は、容量素子114を含む。容量素子114は第1端子および第2端子を含む。第1端子はトランジスタM7のゲートに接続される。第2端子はグラウンドノードに接続される。容量素子114によって、トランジスタM7のゲートの容量を大きくすることができるため、画質を向上させることができる。なお、容量素子114は省略してもよい。
第1電流源230の他の構成は、実施例1の第1電流源30と同様である。なお、本実施例においては、第2スイッチM20に駆動信号PSH1が供給される。
次に、本実施例の動作を説明する。図8は、撮像装置の駆動信号のタイミングチャートを模式的に示す図である。図8は、駆動信号PSH1、駆動信号PSH2、駆動信号PBIAS、駆動信号PRES、および、駆動信号PTXを示している。駆動信号がハイレベルのときに、対応するスイッチまたはトランジスタがオンする。駆動信号がローレベルのときに、対応するスイッチまたはトランジスタがオフする。
本実施例の撮像装置の動作は、電圧供給部34からの電圧を第2電流源32に含まれるトランジスタM2のゲートにサンプリングするサンプリング動作と、トランジスタM2のゲートの電圧を保持するホールド動作とを含む。図8における時刻t0から時刻t1までの期間に、第2電流源32におけるサンプリング動作が行われる。時刻t1から時刻t5までの期間に、第2電流源32におけるホールド動作が行われている。
さらに、本実施例の撮像装置の動作は、第1電流源230に含まれるトランジスタM7のゲートに電圧をサンプリングするサンプリング動作と、トランジスタM7のゲートの電圧を保持するホールド動作とを含む。図8における時刻t0から時刻t3までの期間に、第1電流源230におけるサンプリング動作が行われる。時刻t3から時刻t5までの期間に、第1電流源230におけるホールド動作が行われている。それぞれの電流源でサンプリング動作とホールド動作とのいずれを行うかは、撮像装置の駆動に合わせて決定される。
時刻t0において、駆動信号PSH1および駆動信号PSH2が、それぞれ、ローレベルからハイレベルへ遷移する。これにより、第2スイッチM20および第3スイッチM21がオンする。トランジスタM2のゲート、および、トランジスタM7のゲートに、それぞれ、電圧が供給される。このとき、駆動信号PBIASはローレベルであるため、第1スイッチM5はオフしている。したがって、トランジスタM7から出力線112への電流の供給は停止している。
時刻t1において、駆動信号PSH1がハイレベルからローレベルに遷移する。これにより、第2スイッチM20がオフする。第2スイッチM20がオフすることにより、トランジスタM2のゲートの電圧が保持される。
時刻t2において、駆動信号PBIASがローレベルからハイレベルに遷移する。これにより、第1スイッチM5がオンする。第1スイッチM5がオンすることにより、トランジスタM7から出力線112へ電流が出力される。
その後、時刻t3において、駆動信号PSH2がハイレベルからローレベルに遷移する。これにより、第3スイッチM21がオフする。第3スイッチM21がオフすることにより、トランジスタM7のゲートの電圧が保持される。
次に、時刻t4において、駆動信号PBIASがハイレベルからローレベルへ遷移する。これにより、第1スイッチM5がオフする。第1スイッチM5がオフすることにより、トランジスタM7から出力線112への電流の出力が停止される。
その後、時刻t5において、駆動信号PSH1および駆動信号PSH2が、それぞれ、ローレベルからハイレベルへ遷移する。時刻t5以降は、時刻t0から時刻t5までの動作を繰り返すことで、サンプリング動作とホールド動作とを切り替える。
時刻t3と時刻t4との間の期間に、画素10から出力線112への信号の出力動作が行われる。まず、駆動信号PRESがハイレベルとなることにより、増幅トランジスタM8のゲートの電圧がリセットされる。駆動信号PRESがローレベルとなった後に、駆動信号PTXがハイレベルになる。これにより、フォトダイオードD1の電荷が、増幅トランジスタM8のゲートに転送される。このような動作により、画素10からの信号が、出力線112に出力される。
本実施例では、複数の第1電流源230が、トランジスタM7に接続された第3スイッチM21を含む。第3スイッチM21は、トランジスタM7のゲートの電圧を保持する。このような構成によれば、ノイズを低減することができる。
一部の画素列の画素10のフォトダイオードD1に強い光が入射すると、当該画素列に対応する出力線112に大きな電圧の変動が生じる。出力線112の電圧の変動が、結合容量を介して、他の画素列の第1電流源230に含まれるトランジスタM7のゲートの電圧を変動させる可能性がある。結果としてノイズが生じる可能性がある。しかし、本実施例によれば、第3スイッチM21によりトランジスタM7のゲートの電圧が保持されているため、出力線112の電圧の変動を受けにくい。特に、トランジスタM7のゲートに電圧を供給する配線が、出力線112と交差する方向に延在している場合、当該配線の電圧が変動しやすい。このような構成においては、ノイズを低減する効果がより顕著である。
以上に述べた通り、本実施例によれば、撮像装置の画質を向上させることができる。特に本実施例では強い光が入射したときに生じるノイズを低減することができる。
図9には、本発明の1つの実施形態の光電変換システムの構成が示されている。光電変換システム800は、例えば、光学部810、撮像素子1、映像信号処理部830、記録・通信部840、タイミング制御部850、システム制御部860、及び再生・表示部870を含む。撮像装置820は、撮像素子1及び映像信号処理部830を有する。撮像素子1には、上記の実施形態で説明された光電変換装置が用いられる。
レンズ等の光学系である光学部810は、被写体からの光を撮像素子1の、複数の画素が2次元状に配列された画素アレイ10Aに結像させ、被写体の像を形成する。撮像素子1は、タイミング制御部850からの信号に基づくタイミングで、画素アレイ10Aに結像された光に応じた信号を出力する。撮像素子1から出力された信号は、映像信号処理部である映像信号処理部830に入力され、映像信号処理部830が、プログラム等によって定められた方法に従って信号処理を行う。映像信号処理部830での処理によって得られた信号は画像データとして記録・通信部840に送られる。記録・通信部840は、画像を形成するための信号を再生・表示部870に送り、再生・表示部870に動画や静止画像を再生・表示させる。記録・通信部840は、また、映像信号処理部830からの信号を受けて、システム制御部860と通信を行うほか、不図示の記録媒体に、画像を形成するための信号を記録する動作も行う。
システム制御部860は、撮像システムの動作を統括的に制御するものであり、光学部810、タイミング制御部850、記録・通信部840、及び再生・表示部870の駆動を制御する。また、システム制御部860は、例えば記録媒体である不図示の記憶装置を備え、ここに撮像システムの動作を制御するのに必要なプログラム等が記録される。また、システム制御部860は、例えばユーザの操作に応じて駆動モードを切り替える信号を撮像システム内に供給する。具体的な例としては、読み出す行やリセットする行の変更、電子ズームに伴う画角の変更や、電子防振に伴う画角のずらし等である。タイミング制御部850は、システム制御部860による制御に基づいて撮像素子1及び映像信号処理部830の駆動タイミングを制御する。