以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。なお、実施形態において、同一の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
(実施の形態の概要)
実施の形態の説明に先立って、実施の形態の概要を説明する。まず、図1を用いて、実施の形態の概要にかかる無線通信装置1について説明する。図1は、実施の形態の概要にかかる無線通信装置1の構成を説明する概略図である。無線通信装置1は、無線回線を介して、通信装置2(第1の通信装置)と接続および通信を行う通信装置である。無線通信装置1は、フレームアグリゲーションに対応する無線通信装置である。そのため、無線通信装置1は、データフレームを統合(集約)して通信装置2に送信する。無線通信装置1は、例えば、無線LANアクセスポイント、リピータ、無線基地局、携帯電話端末、スマートフォン端末、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ装置、モバイルルータ等であってもよい。
無線通信装置1は、記憶部11と、算出部12と、アグリゲーションサイズ決定部13とを備える。
記憶部11は、少なくとも1つのアグリゲーションサイズと、所定条件においてアグリゲーションサイズのデータにより通信装置2と通信した場合に達成される基準スループットとの対応関係を記憶する。記憶部11が記憶するアグリゲーションサイズは、無線通信装置1が通信装置2に送信するデータフレームを統合(集約)する際に用いられるアグリゲーションサイズであり、無線通信装置1が設定可能なアグリゲーションサイズである。基準スループットは、例えば、通信装置2との通信において使用される通信パラメータのパラメータ値により決定される所定条件において、アグリゲーションサイズのいずれかを選択した場合に達成されるスループットである。基準スループットは、選択したアグリゲーションサイズである場合の予め測定されたスループットであってもよく、シミュレーションにより決定されたスループットであってもよい。
算出部12は、通信装置2との通信における必要スループットを算出する。必要スループットは、無線通信装置1と通信装置2との通信において必要な(所望する)スループットである。算出部12は、後述するアグリゲーションサイズ決定部13がアグリゲーションサイズを決定する直前の所定期間内に、送信元通信装置から無線通信装置1を介して通信装置2に送信されるパケットのデータ量を用いて必要スループットを算出してもよい。または、算出部12は、無線通信装置1が起動してから現在までの通信装置2との通信における平均スループットを必要スループットとしてもよい。または、算出部12は、通信装置2との通信において所定期間内に送信されたパケットのうち、正常に送信が完了したパケットのデータ量を用いて、必要スループットを算出してもよい。
アグリゲーションサイズ決定部13は、記憶部11に記憶されたアグリゲーションサイズと基準スループットとの対応関係に基づいて、必要スループットを満たす最小の基準スループットに対応するアグリゲーションサイズを、通信装置2との通信におけるアグリゲーションサイズと決定する。
続いて、図2および図3を用いて実施の形態の概要における効果を説明する。図2は、従来の無線通信装置を用いたときのパケット送受信状況を説明する図である。図3は、実施の形態の概要にかかる無線通信装置1を用いた場合のパケット送受信状況を説明する図である。
図2に示す様に、従来の無線通信装置101(以降、単に無線通信装置101と記載する)は、送信元通信装置からパケット104を受信する。無線通信装置101は、スループットを向上させる観点から、パケット104を可能な限り高いアグリゲーションサイズとなるようにデータフレームを統合(集約)する。無線通信装置101は、統合したデータフレームを含むパケット105を通信装置2に送信する。そのため、無線通信装置101と通信装置2との間の通信路にはバースト性が高いパケット105が送信される。
通信装置2は、このバースト性が高いパケット105を受信して、内部処理が出来るように統合データフレームを分割してパケット106とする。分割されたパケット106は、通信装置2のバッファ103に蓄積される。ここで、説明を行う上で、通信装置2のバッファ103は、5つのパケットを蓄積することが可能であり、既に3つのパケットがバッファ103に蓄積されていると仮定する。なお、バッファ103は、5つよりも多いパケットを蓄積することが可能であるのは当然である。
バッファ103は、パケット106のうち、2パケット分(パケット107およびパケット108)を蓄積することが可能であるが、1パケット分(パケット109)は蓄積することが出来ない。そのため、通信装置2は、パケット106のうち、パケット109を破棄(ドロップ)する。送信元通信装置は、破棄されたパケットを再送する。無線通信装置101は、常にバースト性が高いパケットを送信することから、通信装置2が破棄するパケットは時間と共に増加していく。そうすると、送信元通信装置が再送するパケット数および再送回数も増加していく。その結果、通信システムにおけるネットワーク負荷は徐々に高くなり、通信システム内の通信ネットワークにおいて輻輳が発生する。したがって、無線通信装置101を用いると、通信ネットワーク性能は低下する。
一方、実施の形態の概要にかかる無線通信装置1は、通信装置2との通信における必要スループットを算出する。無線通信装置1は、必要スループットを満たす基準スループットのうち、最小の基準スループットに対応するアグリゲーションサイズを通信装置2との通信におけるアグリゲーションサイズと決定する。つまり、無線通信装置1は、必要スループットを満たしつつ、通信装置2が全てのパケットを受信して処理出来るようにアグリゲーションサイズを抑制する。
そのため、図3に示す様に、実施の形態の概要にかかる無線通信装置1は、無線通信装置101と比較すると、通信装置2との間の通信路にはバースト性が低いパケット205が送信される。バッファ103は、パケット205を分割したパケット206の全て(パケット207およびパケット208)を蓄積することが可能となる。そのため、通信装置2が破棄するパケット数は減少することになる。通信装置2が破棄するパケット数が減少すると、通信装置2へ送信するパケットの送信元の通信装置が再送するパケット数および再送回数も減少する。その結果、無線通信装置1を含む通信システムのネットワーク負荷は無線通信装置101を用いる場合と比較して低減される。したがって、実施の形態の概要にかかる無線通信装置1を用いることにより、スループットを確保しつつ、通信ネットワークにおける輻輳を低減することが可能となる。
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。まず、図4を用いて、実施の形態1にかかる通信システム100について説明する。図4は、実施の形態1にかかる通信システムの構成例を示す構成図である。通信システム100は、無線LANシステムであってもよい。また、通信システム100は、モバイル通信ネットワーク等であってもよい。なお、以降の説明では、通信システム100は、無線LANシステムとして説明を行う。
通信システム100は、通信ノード41〜45と、インターネット50と、AP(Access Point)60と、STA(Station)71と、STA72とを備える。なお、説明を行う上で便宜的に以下のように記載をすることがある。通信ノード41をNode−Aとし、通信ノード42をNode−Bとし、通信ノード43をNode−Cとし、通信ノード44をNode−Dとし、通信ノード45をNode−Eとして記載をすることがある。また、STA71をSTA−Aとし、STA72をSTA−Bであるとして記載をすることがある。
通信ノード41〜45は、例えば、サーバ、ルータ、無線基地局制御装置、無線LANアクセスポイント、無線LAN子機、携帯電話端末、スマートフォン端末、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ装置、モバイルルータ等の通信装置である。通信ノード41〜44は、インターネット50を介してAP60と通信を行う。また、通信ノード45は、インターネット50を介さずに、通信回線を介してAP60と直接接続し、通信を行う。なお、通信ノード41〜45とAP60との通信回線は有線回線であってもよく、通信ノード41〜45とAP60との通信回線は無線回線であってもよく、有線回線と無線回線との組み合わせであってもよい。
AP60は、実施の形態の概要における無線通信装置1に相当する。AP60は、フレームアグリゲーションに対応する無線LANアクセスポイントである。AP60は、通信エリア70を形成し、通信エリア70に存在する無線LAN子機と接続および通信を行うことが可能である。後述するSTA71およびSTA72は、通信エリア70に存在する無線LAN子機であり、AP60は、STA71およびSTA72と接続および通信を行う。つまり、AP60は、STA71およびSTA72の親機となる無線LANアクセスポイントである。
AP60は、通信ノード41〜45と、後述するSTA71およびSTA72との通信を中継する。具体的には、AP60は、通信ノード41〜45のいずれかから受信したデータを、STA71およびSTA72のいずれかに送信する。AP60は、STA71およびSTA72にデータを送信する際に、データフレームを統合(集約)し、STA71およびSTA72に統合データフレームを含むパケットを送信する。
STA71およびSTA72は、実施の形態の概要における通信装置2に相当する。STA71およびSTA72は、AP60から送信された統合データフレームを含むパケットを受信し、統合データフレームを処理可能な無線LAN子機である。STA71およびSTA72は、無線LAN通信機能を有する通信装置であって、例えば、携帯電話端末、スマートフォン端末、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ装置、モバイルルータ、ルータ、リピータ等であってもよい。
続いて、図5を用いて、AP60の構成例について説明する。図5は、実施の形態1にかかるAPの構成例を示す構成図である。AP60は、通信部61と、記憶部62と、算出部63と、パラメータ決定部64と、アグリゲーションサイズ決定部65と、通信部66とを備える。通信部61、記憶部62、算出部63、パラメータ決定部64、アグリゲーションサイズ決定部65および通信部66は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって処理が実行されるソフトウェアもしくはモジュールであってもよい。また、通信部61、記憶部62、算出部63、パラメータ決定部64、アグリゲーションサイズ決定部65および通信部66は、回路もしくはチップ等のハードウェアであってもよい。
通信部61は、通信ノード41〜45との間において、パケットを送受信する通信部である。通信部61は、受信したパケットを解析して、送信先のSTAおよび送信元の通信ノードを検出する。具体的には、通信部61は、受信したパケットのヘッダ部分の送信元アドレス情報および送信先アドレス情報に設定されたMAC(Media Access Control)アドレスを用いて、送信先のSTAおよび送信元の通信ノードを検出する。
通信部61は、送信元の通信ノードを検出すると、送信元の通信ノードが後述するSTA情報テーブルT1に登録されているか否かを判定する。送信元の通信ノードがSTA情報テーブルT1に登録されている場合、通信部61は、アグリゲーションサイズ決定処理を実行するように後述する算出部63に指示する。一方、送信元の通信ノードがSTA情報テーブルT1に登録されていない場合、通信部61は、送信元の通信ノードをSTA情報テーブルT1に登録する。
記憶部62は、実施の形態の概要における記憶部11に相当する。記憶部62は、STA情報テーブルT1と、アグリゲーションサイズテーブルT2とを記憶する。アグリゲーションサイズテーブルT2は、実施の形態の概要において記憶部11が記憶する対応関係を管理するテーブルであり、実施の形態の概要を具体化した管理テーブルである。本実施の形態では、アグリゲーションサイズテーブルT2は、複数の通信パラメータの取り得るパラメータ値の組み合わせに応じたアグリゲーションサイズと基準スループットとの対応関係を登録する管理テーブルである。本実施の形態では、複数の通信パラメータは、ストリーム数、周波数帯域幅および変調符号化方式(MCS:Modulation Coding Scheme)インデックスである。なお、複数の通信パラメータは、SINR(Signal to interference plus noise ratio)などのAP60と送信先のSTAとの間の通信品質、AP60と送信先のSTAとの間の無線環境状態を含んでもよい。
次に、STA情報テーブルT1について説明する。図6は、STA情報テーブルの一例を示す図である。STA情報テーブルT1は、AP60と通信対象である無線LAN子機(STA)を管理するテーブルである。
STA情報テーブルT1は、STA−MACアドレスと、使用可能MCSと、使用中MCSと、通信対象MACアドレスと、必要スループットと、最大アグリゲーションサイズと、が少なくとも登録される。
STA−MACアドレスは、AP60と通信対象であるSTAのMACアドレスが設定される。具体的には、STA−MACアドレスには、AP60に帰属している無線LAN子機のMACアドレスが登録される。図4に示す通信システム100の構成例では、図6に示すように、STA情報テーブルT1のSTA−MACアドレスには、STA71(STA−A)のMACアドレスとSTA72(STA−B)のMACアドレスとが登録される。
使用可能MCSは、STA−MACアドレスに登録されている通信対象のSTAとの通信において使用可能な(設定可能な)MCSインデックスが設定される。具体的には、使用可能MCSは、AP60と通信対象のSTAとの通信能力により決定される。例えば、AP60が使用可能なMCSインデックスが0〜9であり、STA−Bが使用可能なMCSインデックスが0〜7であるとする。この場合、図6に示す様に、使用可能MCSは、AP60とSTA−Bとの使用可能MCSインデックスである0〜7が設定される。
使用中MCSは、AP60と通信対象のSTAとの通信において使用されているMCSインデックスが設定される。
通信対象MACアドレスは、STA−MACアドレスに設定されたSTAと通信を行う通信ノードが設定される。具体的には、通信対象MACアドレスには、STA−MACアドレスに設定されたSTAと通信を行った履歴がある通信ノードが設定される。
必要スループットは、STA−MACアドレスに設定されたSTAとの通信における必要スループットが設定される。具体的には、必要スループットには、後述する算出部63が算出した必要スループットが設定される。
最大アグリゲーションサイズは、必要スループットを用いて、後述するアグリゲーションサイズ決定部65が決定したアグリゲーションサイズが設定される。
次に、アグリゲーションサイズテーブルT2について説明する。図7および図8は、アグリゲーションサイズテーブルの一例を示す図である。アグリゲーションサイズテーブルT2は、ストリーム数、周波数帯域幅およびMCSインデックスの設定可能パラメータ値の組み合わせに対応するアグリゲーションサイズと基準スループットとの対応関係を登録する管理テーブルである。
アグリゲーションサイズテーブルT2は、AP60が設定可能なストリーム数、周波数帯域幅およびMCSインデックスの全てを網羅するテーブルであってもよい。または、通信対象のSTAが予め決まっている場合、アグリゲーションサイズテーブルT2は、AP60と通信対象のSTAとの通信能力により決定される特定のストリーム数、特定の周波数帯域幅および特定のMCSインデックスを網羅するテーブルであってもよい。
図7に示すように、本実施の形態では、アグリゲーションサイズテーブルT2は、ストリーム数および周波数帯域幅毎に異なるサブ管理テーブルT21〜T36を含んで構成される。また、図8に示すように、サブ管理テーブルT21〜T36のそれぞれは、MCSインデックスと設定可能なアグリゲーションサイズと基準スループットとの対応関係が登録される構成となっている。なお、アグリゲーションサイズテーブルT2は、ストリーム数、周波数帯域幅およびMCSインデックスをキー情報とする1つの管理テーブルであってもよい。すなわち、アグリゲーションサイズテーブルT2は、サブ管理テーブルを含まずに1つの管理テーブルであってもよい。
図8に示す様に、各サブ管理テーブルは、一番上の行にAP60が設定可能なMCSインデックスのラベルが設定される。各サブ管理テーブルは、一番左の列に設定可能なアグリゲーションサイズのラベルが設定される。また、各サブ管理テーブルは、上から2行目以降かつ左から2列目以降に、MCSインデックスとアグリゲーションサイズとの組み合わせのときの基準スループットが設定される。
基準スループットは、設定可能なアグリゲーションサイズおよびMCSインデックスであるときの基準となるスループットである。本実施の形態では、基準スループットは、設定可能なアグリゲーションサイズおよびMCSインデックスとするときの予め測定されたスループットとして説明を行う。なお、基準スループットは、選択されたアグリゲーションサイズおよびMCSインデックスとするときにシミュレーションにより予め決定されたスループットであってもよい。
また、図9は、MCSインデックスと設定可能なアグリゲーションサイズと基準スループットとの対応関係を示すグラフである。図9は、図8のサブ管理テーブルをグラフにした図である。記憶部62は、図8に示すサブ管理テーブルの代わりに、図9に示すグラフとして記憶してもよい。
図5に戻りAP60の構成例について説明を続ける。算出部63は、実施の形態1における算出部12に相当する。算出部63は、通信部61が検出した送信先のSTAとの通信における必要スループットを算出する。具体的には、算出部63は、通信部61が検出した送信元の通信ノードから受信したパケットを送信先のSTAに送信する際に用いる必要スループットを算出する。すなわち、算出部63は、送信元の通信ノードと送信先のSTAとの組み合わせ毎に必要スループットを算出する。
また、本実施の形態では、算出部63は、現在から例えば1秒前までの所定期間内に、通信部61が検出した通信ノードからSTA−MACアドレスが設定されたパケットのデータ量から算出する。換言すると、本実施の形態では、算出部63は、通信部61が送信元の通信ノードから受信したパケットのデータ量を用いて必要スループットを算出する。なお、上記所定期間は、1秒間に限られず、適宜変更が可能である。算出部63は、STA情報テーブルT1において、通信対象MACアドレスとSTA−MACアドレスとが一致する必要スループットに、算出した必要スループットを登録する。
パラメータ決定部64は、送信先のSTAとの通信において使用されている複数の通信パラメータのパラメータ値を決定する。つまり、本実施の形態では、パラメータ決定部64は、ストリーム数、周波数帯域幅およびMCSインデックスのパラメータ値を決定する。具体的には、ストリーム数、周波数帯域幅およびMCSインデックスのパラメータ値は送信先のSTAから取得することが出来るパラメータである。そのため、パラメータ決定部64は、送信先のSTAから取得したパラメータ値を、送信先のSTAとの通信において使用されているパラメータ値と決定する。パラメータ決定部64は、STA情報テーブルT1において、通信対象MACアドレスとSTA−MACアドレスとが一致する使用中MCSに、決定したMCSインデックスを登録する。
アグリゲーションサイズ決定部65は、実施の形態1におけるアグリゲーションサイズ決定部13に相当する。送信元の通信ノードがSTA情報テーブルT1に登録されている場合、アグリゲーションサイズ決定部65は、STA情報テーブルT1とアグリゲーションサイズテーブルT2とを用いて、送信先のSTAとの通信におけるアグリゲーションサイズを決定する。
具体的には、アグリゲーションサイズ決定部65は、STA情報テーブルT1に登録された使用中MCSおよび必要スループットを取得する。そして、アグリゲーションサイズ決定部65は、アグリゲーションサイズテーブルT2のうち、取得したストリーム数および周波数帯域幅と一致するサブ管理テーブルを選択する。アグリゲーションサイズ決定部65は、選択したサブ管理テーブルにおいて、取得した使用中MCSと一致するMCSインデックスの列に設定された基準スループットのうち、算出した必要スループットを満たす最小の基準スループットを決定する。そして、アグリゲーションサイズ決定部65は、決定した基準スループットに対応するアグリゲーションサイズを送信先のSTAとの通信におけるアグリゲーションサイズと決定する。
一方、送信元の通信ノードがSTA情報テーブルT1に登録されていない場合、アグリゲーションサイズ決定部65は、送信先のSTAとの通信におけるアグリゲーションサイズを、例えば、4096Byte等の予め定められた値に決定する。なお、予め定められた値として、4096Byteとしたが、これに限られず、適宜変更が可能であってもよい。アグリゲーションサイズ決定部65は、STA情報テーブルT1において、通信対象MACアドレスとSTA−MACアドレスとが一致する最大アグリゲーションサイズに、決定したアグリゲーションサイズを登録する。
ここで、図7および図8を用いて具体例を説明する。例えば、通信先のSTAがSTA71(STA−A)であり、STA71との通信におけるストリーム数が4であり、周波数帯域幅が40MHz(VHT40)であり、MCSインデックスが4であると仮定する。また、算出部63が算出した必要スループットが90Mbpsであると仮定する。この場合、アグリゲーションサイズ決定部65は、図7に示すアグリゲーションサイズテーブルT2のうち、ストリーム数が4で、かつ周波数帯域幅が40MHz(VHT40)であるサブ管理テーブルT34を選択する。
サブ管理テーブルT34の具体的な設定例は、図8に示す内容である。アグリゲーションサイズ決定部65は、図8を参照して、STA71との通信におけるMCSインデックスと一致するMCSインデックスである列を参照する。アグリゲーションサイズ決定部65は、該当の列に登録された基準スループットのうち、必要スループットを満たす最小の基準スループットを決定する。図8に示すサブ管理テーブルにおいて、基準スループットのうち、必要スループットを満たす最小の基準スループットは131.96Mbpsである。そのため、アグリゲーションサイズ決定部65は、MCSインデックスが4であり、基準スループットが131.96Mbpsであるときのアグリゲーションサイズである8192Byteを、STA71との通信におけるアグリゲーションサイズと決定する。
図5に戻りAP60の構成例について説明を続ける。通信部66は、STA71およびSTA72との間でパケットを送受信する通信部である。具体的には、通信部66は、通信部61が検出した送信先のSTAに対して、決定したアグリゲーションサイズとなるようにデータフレームを統合して、統合データフレームを含むパケットを送信先のSTAに送信する。また、通信部66は、送信先のSTAに送信したパケットが正常に送信完了した場合、正常応答(ACK:acknowledgement)パケットを受信する。一方、通信部66は、送信先のSTAに送信したパケットが正常に送信完了しなかった場合、否定応答(NACK:Negative acknowledge)パケットを受信する。
続いて、AP60の動作例について説明する。図10は、実施の形態2にかかるAPの動作例を示すフローチャートである。まず、通信部61が通信ノード41〜45のいずれかからパケットを受信し、受信したパケットから送信先のSTAを検出する(ステップS1)。具体的には、通信部61は、受信したパケットのヘッダを解析して、送信先のSTAを検出する。
次に、通信部61は、受信したパケットから送信元の通信ノードを検出する(ステップS2)。具体的には、通信部61は、受信したパケットのヘッダを解析して、送信元の通信ノードを検出する。
次に、通信部61は、送信元の通信ノードがSTA情報テーブルT1に登録されているか否かを判定する(ステップS3)。
送信元の通信ノードがSTA情報テーブルT1に登録されている場合(ステップS3のYES)、算出部63は、所定期間内に受信したパケットのデータ量から通信部61が検出した送信先のSTAとの通信における必要スループットを算出する(ステップS4)。算出部63は、STA情報テーブルT1において、通信対象MACアドレスとSTA−MACアドレスとが一致する必要スループットに、算出した必要スループットを登録する。
次に、パラメータ決定部64は、送信先のSTAとの通信におけるストリーム数、周波数帯域幅およびMCSインデックスのパラメータ値を決定する(ステップS5)。具体的には、パラメータ決定部64は、送信先のSTAから取得したパラメータ値を、送信先のSTAとの通信において使用されているパラメータ値と決定する。パラメータ決定部64は、STA情報テーブルT1において、通信対象MACアドレスとSTA−MACアドレスとが一致する使用中MCSに、決定したMCSインデックスを登録する。
次に、アグリゲーションサイズ決定部65は、STA情報テーブルT1に登録された使用中MCSおよび必要スループットと、アグリゲーションサイズテーブルT2とを用いて、送信先のSTAとの通信におけるアグリゲーションサイズを決定する(ステップS6)。具体的には、アグリゲーションサイズ決定部65は、アグリゲーションサイズテーブルT2のうち、決定したストリーム数および周波数帯域幅と一致するサブ管理テーブルを選択する。アグリゲーションサイズ決定部65は、選択したサブ管理テーブルにおいて、送信先のSTAとの通信におけるMCSインデックスが一致し、算出した必要スループット以上であって、最小の基準スループットを決定する。そして、アグリゲーションサイズ決定部65は、決定した基準スループットに対応するアグリゲーションサイズを送信先のSTAとの通信におけるアグリゲーションサイズと決定する。アグリゲーションサイズ決定部65は、STA情報テーブルT1において、通信対象MACアドレスとSTA−MACアドレスとが一致する最大アグリゲーションサイズに、決定したアグリゲーションサイズを登録する。
次いで、通信部66は、送信元の通信ノードから送信先のSTAに送信されるパケットに対して、STA情報テーブルT1に登録された最大アグリゲーションサイズとなるようにデータフレームを統合して送信先のSTAに送信する(ステップS9)。
一方、送信元の通信ノードがSTA情報テーブルT1に登録されていない場合(ステップS3のNO)、通信部61は、送信元の通信ノードをSTA情報テーブルT1に登録する(ステップS7)。
次に、アグリゲーションサイズ決定部65は、送信先のSTAとのとの通信におけるアグリゲーションサイズを、例えば、4095Byte等の所定の値に決定する(ステップS8)。アグリゲーションサイズ決定部65は、STA情報テーブルT1において、通信対象MACアドレスとSTA−MACアドレスとが一致する最大アグリゲーションサイズに、決定したアグリゲーションサイズを登録する。そして、通信部66は、上記ステップS9と同じ動作を行う。
続いて、本実施の形態の効果について説明する。1つ目の効果は、本実施の形態にかかるAP60を用いることにより、スループットを確保しつつ、バースト性を低く抑えることが可能となる。本実施の形態にかかるAP60は、算出部63が送信先のSTAとの通信における必要スループットを算出する。パラメータ決定部64は、ストリーム数、周波数帯域幅およびMCSインデックスのパラメータ値を決定する。アグリゲーションサイズ決定部65は、ストリーム数、周波数帯域幅およびMCSインデックスのパラメータ値が一致する、アグリゲーションサイズと基準スループットとの対応関係を用いて、必要スループットを満たす最小のアグリゲーションサイズを決定する。そして、アグリゲーションサイズ決定部65は、決定したアグリゲーションサイズを送信先のSTAとの通信におけるアグリゲーションサイズと決定する。そのため、AP60は、スループットを確保しつつ、アグリゲーションサイズを低く抑えることが可能となる。換言すると、アグリゲーションサイズを低く抑えるということは、バースト性を低く抑えることを意味する。したがって、本実施の形態にかかるAP60を用いることにより、スループットを確保しつつ、バースト性を低く抑えることが可能となる。
2つ目の効果は、本実施の形態にかかるAP60を用いることにより、スループットを確保しつつ、通信ネットワークの輻輳を低減することが可能となる。バースト性が高いトラヒック(バーストトラヒック)が送信先のSTAに流れると、送信先のSTAは到達したパケット全てを処理できず、処理できなかったパケットは破棄される。送信元の通信ノードは、破棄されたパケットを再送するが、パケットの再送が増加すればするほど、ネットワークの輻輳が発生する可能性が高くなる。しかし、本実施の形態にかかるAP60を用いることにより、バースト性を低く抑えることが可能であるため、送信先のSTAに到達するパケットは送信先のSTAが処理可能なパケット数以下となる可能性が高まる。その結果、送信先のSTAにおいて、破棄されるパケット数も低減し、パケットの再送回数も低減する可能性も高くなる。したがって、本実施の形態にかかるAP60を用いることにより、スループットを確保しつつ、通信ネットワークの輻輳を低減することが可能となる。
3つ目の効果は、本実施の形態にかかるAP60を用いることにより、AP60を含む通信システム100の通信品質を向上させることが可能となる。上記の通り、本実施の形態にかかるAP60を用いることにより、パケットの再送を低減することが可能となる。そのため、AP60は、送信先のSTAとの間の無線回線上に、同じデータを複数回送信する必要がなくなる。すなわち、AP60は、送信先のSTAとの通信で使用する周波数帯域を占有する時間を減らすことが可能となる。AP60が使用する周波数帯域を占有する時間が減少すれば、減少した時間を他のAPに割り当てすることが可能となる。その結果、通信システム100に含まれる全てのAPが当該周波数帯域を占有する時間が減少し、周波数帯域全体の通信品質を向上することが可能となる。すなわち、本実施の形態にかかるAP60を用いることにより、通信システム100の通信品質を向上することが可能となる。
(実施の形態2)
続いて、実施の形態2について説明を行う。実施の形態2は、実施の形態1の改良例である。実施の形態2は、実施の形態1と通信システムの構成は共通する。ただし、実施の形態2は、実施の形態1と異なり、APの構成が異なる。そのため、本実施の形態では、通信システムの構成については説明を割愛し、APの構成および動作について説明する。また、実施の形態2のAPの構成のうち、実施の形態1と共通する記載は適宜割愛して説明を行う。また、本実施の形態では、複数の通信パラメータは、実施の形態1の通信パラメータに加えて、無線環境状態を含むとして説明を行う。
まず、図11を用いて、本実施の形態にかかるAP60について説明する。図11は、実施の形態2にかかるAPの構成例を示す構成図である。AP60は、実施の形態1の構成に加えて、計測部67をさらに備える。計測部67は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって処理が実行されるソフトウェアもしくはモジュールであってもよい。また、計測部67は、回路もしくはチップ等のハードウェアであってもよい。
記憶部62は、STA情報テーブルT1およびアグリゲーションサイズテーブルT40〜T42を記憶する。アグリゲーションテーブルT40〜T42は、無線環境状態毎のアグリゲーションサイズテーブルである。
本実施の形態では、無線環境状態は、良好、中庸および劣悪の3つの状態であるとして説明を行う。図11に示すように、アグリゲーションサイズテーブルT40は、無線環境状態が良好の際に参照される管理テーブルである。アグリゲーションサイズテーブルT41は、無線環境状態が中庸の際に参照される管理テーブルである。アグリゲーションサイズテーブルT42は、無線環境状態が劣悪の際に参照される管理テーブルである。なお、無線環境状態は、良好および劣悪の2つの状態であってもよく、最良、良好、中庸、劣悪および最悪の5つの状態であってもよく、その他の状態を定義してその他複数の状態であってもよい。また、無線環境状態は、+6〜−6などのように中庸を基準として良好または劣悪の度合いを数値により表してもよく、適宜変更をすることが可能であってもよい。
アグリゲーションサイズテーブルT40〜T42のそれぞれは、実施の形態2におけるアグリゲーションサイズテーブルT2と同じ構成である。すなわち、アグリゲーションサイズテーブルT40〜T42は、ストリーム数および周波数帯域幅毎に異なるサブ管理テーブルT21〜T36を含んで構成される。図12〜図14は、ストリーム数が4であり、周波数帯域幅が40MHz(VHT40)であるときのサブ管理テーブルT34の一例を示す図である。図12は、無線環境状態が良好のときのサブ管理テーブルを示す図である。図13は、無線環境状態が中庸のときのサブ管理テーブルを示す図である。図14は、無線環境状態が劣悪のときのサブ管理テーブルを示す図である。図12〜図14に示すサブ管理テーブルは基準スループットが異なる。具体的には、各サブ管理テーブルにおいて、MCSインデックスとアグリゲーションサイズとが同一である場合の基準スループットの大きさは良好>中庸>劣悪となる。
なお、本実施の形態では、無線環境状態毎に、異なるアグリゲーションサイズテーブルとするが、無線環境状態とストリーム数と周波数帯域幅とMCSインデックスとをキー情報とする1つの管理テーブルであってもよい。または、MCSインデックスと設定可能なアグリゲーションサイズと基準スループットとの対応関係をサブ管理テーブルとせずに、グラフとして記憶してもよい。
計測部67は、送信先のSTAに送信したパケットのうち、正常に送信が完了したデータ量を計測する。計測部67は、通信部66が送信先のSTAにパケットを送信した後に、通信部66が受信するACKパケット数を計測する。そして、計測部67は、ACKパケット数と、ACKパケットに対応するパケットのデータ量とを用いて、送信先のSTAに正常に送信が完了したデータ量を算出(計測)する。なお、以降の説明では、正常に送信が完了したデータ量を正常送信データ量として記載することがある。
計測部67は、アグリゲーションサイズ決定部65がアグリゲーションサイズを決定する直前の一定時間(所定期間)内に送信先のSTAに送信したパケットに対するACKパケット数を用いて正常送信データ量を計測してもよい。または、計測部67は、STA情報テーブルT1に登録されている送信元の通信ノードと送信先のSTA毎に、周期的に一定時間内に通信部66が送信したパケットに対するACKパケット数を用いて、予め正常送信データ量を計測してもよい。上記一定時間は、例えば、1秒であってもよい。なお、上記一定時間は、1秒に限られず、適宜変更が可能であってもよい。または、計測部67は、AP60が起動してから現在までの正常送信データ量を計測してもよい。この場合、計測部67は、AP60が起動してから現在までの経過時間を計測してもよく、AP60が起動した時刻とAP60が保持する現在時刻とからAP60が起動してから現在までの経過時間を算出してもよい。
算出部63は、計測部67が計測した正常送信データ量を用いて、送信先のSTAとの通信における必要スループットを算出する。具体的には、計測部67が、アグリゲーションサイズ決定部65がアグリゲーションサイズを決定する直前の一定時間内に正常送信データ量を計測している場合、算出部63は、正常送信データ量と、例えば1秒間等の一定時間とを用いて必要スループットを算出してもよい。計測部67が、周期的に一定時間内に送信したパケットを用いて正常送信データ量を計測する場合も、算出部63は、正常送信データ量と、例えば1秒間等の一定時間とを用いて必要スループットを算出してもよい。また、計測部67が、AP60が起動してから現在までの正常送信データ量を計測する場合、正常送信データ量と、AP60が起動してから現在までの経過時間とを用いて必要スループットを算出してもよい。
パラメータ決定部64は、計測部67が計測した正常送信データ量に基づいて、無線環境状態を決定する。パラメータ決定部64は、正常送信データ量を用いて、無線環境状態を決定してもよい。または、パラメータ決定部64は、通信部66が送信したパケットのデータ量から正常送信データ量を引いたデータ量、つまり、送信が失敗したパケットのデータ量(以降、送信失敗データ量と記載することがある)を用いて、無線環境状態を決定してもよい。または、パラメータ決定部64は、一定時間内に送信したパケットのデータ量と、計測部67が計測した正常送信データ量との比率(以降、送信成功比率と記載することがある)を用いて、無線環境状態を決定してもよい。
例えば、現在の無線環境状態が中庸であって、一定時間内の正常送信データ量が所定の閾値よりも小さい場合、パラメータ決定部64は、無線環境状態を1つ下げる、つまり、劣悪として決定してもよい。また、例えば、現在の無線環境状態が中庸であって、一定時間内の正常送信データ量が所定の閾値よりも大きい場合、パラメータ決定部64は、無線環境状態を1つ上げる、つまり、良好として決定してもよい。上記所定の閾値は、同一の閾値であってもよく、異なる閾値であってもよい。
例えば、現在の無線環境状態が中庸であって、一定時間内の送信失敗データ量が所定の閾値よりも大きい場合、パラメータ決定部64は、無線環境状態を劣悪として決定してもよい。また、例えば、現在の無線環境状態が中庸であって、一定時間内の送信失敗データ量が所定の閾値よりも小さい場合、パラメータ決定部64は、無線環境状態を良好として決定してもよい。上記所定の閾値は、同一の閾値であってもよく、異なる閾値であってもよい。
例えば、現在の無線環境状態が中庸であって、一定時間内の送信成功比率が所定の閾値よりも小さい場合、パラメータ決定部64は、無線環境状態を劣悪として決定してもよい。また、例えば、現在の無線環境状態が中庸であって、一定時間内の送信成功比率が所定の閾値よりも大きい場合、パラメータ決定部64は、無線環境状態を良好として決定してもよい。上記所定の閾値は、同一の閾値であってもよく、異なる閾値であってもよい。
例えば、現在の無線環境状態が良好であって、2つの閾値(第1の閾値および第2の閾値)を設けておき、一定時間内の正常送信データ量が第1の閾値よりも小さい場合、パラメータ決定部64は、無線環境状態を中庸と決定し、さらに第2の閾値よりも小さい場合、無線環境状態を劣悪と決定してもよい。例えば、現在の無線環境状態が劣悪であって、一定時間内の正常送信データ量が第1の閾値よりも大きい場合、パラメータ決定部64は、無線環境状態を中庸と決定し、さらに第2の閾値よりも大きい場合、無線環境状態を良好と決定してもよい。送信失敗データ量または送信成功比率を用いる場合についても、パラメータ決定部64は、同様に、2つの閾値を設けておき、無線環境状態を決定してもよい。
アグリゲーションサイズ決定部65は、決定した無線環境状態と一致する無線環境状態に対応するアグリゲーションサイズテーブルを選択する。アグリゲーションサイズ決定部65は、送信元の通信ノードがSTA情報テーブルT1に登録されている場合、STA情報テーブルT1と決定(選択)したアグリゲーションサイズテーブルとを用いて、送信先のSTAとの通信におけるアグリゲーションサイズを決定する。一方、送信元の通信ノードがSTA情報テーブルT1に登録されていない場合、アグリゲーションサイズ決定部65は、送信先のSTAとの通信におけるアグリゲーションサイズを、例えば、4096Byte等の所定の値に決定する。
続いて、本実施の形態のAP60の動作例について説明する。図15は、本実施の形態にかかるAPの動作例を示すフローチャートである。図15は、図10に示すフローチャートに対応しており、同じ動作を行う処理ステップについては同一の参照番号を付与して示している。そのため、図10と同じ動作を行う処理ステップについては適宜説明を割愛して説明する。
AP60は、通信ノード41〜45のいずれかからパケットを受信すると、図10におけるステップS1〜S3の動作を行う。ステップS3において、送信元の通信ノードがSTA情報テーブルT1に存在すると(ステップS3のYES)、計測部67は、正常送信データ量を計測する(ステップS11)。
次に、算出部63は、計測部67が計測した正常送信データ量を用いて、必要スループットを算出する(ステップS12)。上述したように、算出部63は、正常送信データ量と、正常送信データ量を計測した一定時間とを用いて必要スループットを算出する。
次に、パラメータ決定部64は、計測部67が計測した正常送信データ量を用いて、無線環境状態を決定する(ステップS13)。上述したように、パラメータ決定部64は、一定時間内の正常送信データ量、送信失敗データ量または送信成功比率を用いて無線環境状態を決定する。
そして、アグリゲーションサイズ決定部65は、決定した無線環境状態と一致するアグリゲーションサイズテーブルを選択する(ステップS14)。
以降、AP60は、ステップS5、S6およびS9の動作を行う。ステップS3において、送信元の通信ノードがSTA情報テーブルT1に存在しない場合(ステップS3のNO)、図10におけるステップS7〜S9の動作を行う。
続いて、本実施の形態の効果を説明する。まず、本実施の形態においても、アグリゲーションサイズ決定部65は、決定した複数の通信パラメータのパラメータ値の組み合わせに応じた設定可能アグリゲーションサイズと基準スループットとの対応関係を用いて、必要スループットを満たす最小のアグリゲーションサイズを決定する。アグリゲーションサイズ決定部65は、決定したアグリゲーションサイズを、送信先のSTAとの通信におけるアグリゲーションサイズと決定する。したがって、本実施の形態にかかるAP60を用いることにより、スループットを確保しつつ、バースト性を低く抑えることが可能となる。そして、スループットを確保しつつ、通信ネットワークの輻輳を低減することが可能となる。さらに、通信システム100の通信品質を向上することが可能となる。
そして、本実施の形態にかかるAP60を用いることにより、実施の形態1よりもさらに通信ネットワークの輻輳を低減することが可能となる。本実施の形態では、計測部67が正常送信データ量を計測する。算出部63は、正常送信データ量を用いて必要スループットを算出する。つまり、算出部63は、送信先のSTAが、AP60が送信したパケットのうち、実際に処理することが出来たデータ量を用いて必要スループットを算出する。そのため、算出した必要スループットは、送信先のSTAが、AP60が送信するパケットの全てを処理する可能性が高いスループットとなる。すなわち、本実施の形態における必要スループットを用いることにより、送信先のSTAが破棄するパケット数は、実施の形態2よりもさらに減少すると予測される。破棄するパケット数が減少するということは、再送するパケット数および再送回数も減少することを示す。したがって、本実施の形態にかかるAP60を用いることにより、実施の形態1よりもさらに通信ネットワークの輻輳を低減することが可能となる。
さらに、本実施の形態では、通信パラメータとして無線環境状態情報を含む。すなわち、本実施の形態では、実施の形態1と比較して、多くの通信パラメータを用いてアグリゲーションサイズを決定する。そのため、本実施の形態にかかるAP60を用いることにより、実施の形態1と比較してさらに適切なアグリゲーションサイズとすることが可能となる。
(実施の形態3)
続いて、実施の形態3について説明を行う。実施の形態3は、実施の形態1または2の変形例である。本実施の形態の説明を、実施の形態1を用いて行う。通信システムの構成は、図4に示した実施の形態1と同様である。
実施の形態1では、STA情報テーブルT1は、図6に示すように、通信対象となるSTAと通信対象の通信ノードとを登録するテーブルとして説明を行った。本実施の形態では、STA情報テーブルT1は、通信対象の通信ノードの使用プロトコルと使用ポートとをさらに管理するテーブル構成とする。
次に、AP60の構成について説明を行う。本実施の形態にかかるAP60は、図5に示した実施の形態1と同様である。
通信部61は、通信ノード41〜45のいずれかから受信したパケットを解析し、送信元の通信ノードのMACアドレスに加えて、使用プロトコルおよび使用ポート番号を識別する。通信部61は、STA情報テーブルに送信元の通信ノードのMACアドレスに加えて、使用プロトコルおよび使用ポート番号を登録する。
記憶部62は、図16に示すSTA情報テーブルと、アグリゲーションサイズテーブルT2とを記憶する。ここで、本実施の形態にかかるSTA情報テーブルについて説明を行う。図16は、実施の形態3にかかるSTA情報テーブルの一例を示す図である。STA情報テーブルは、通信対象の通信ノードのMACアドレスに加えて、通信対象の通信ノードの使用プロトコルと通信対象の通信ノードの使用プロトコルと使用ポートと登録するテーブルである。すなわち、本実施の形態にかかるSTA情報テーブルは、送信元のポート番号毎に送信先のSTAを登録するテーブルである。
使用プロトコルと使用ポートとは、通信部61が受信したパケットを解析して識別した送信元の通信ノードの使用プロトコルと使用ポート番号が設定される。使用プロトコルは、例えば、TCP(Transmission Control Protocol)、UDP(User Datagram Protocol)等であってもよい。
算出部63は、送信元ポート番号からAP60を介して送信先のSTAに、通信部61が受信したパケットを送信する際に用いる必要スループットを算出する。つまり、算出部63は、送信元のポート番号毎に必要スループットを算出する。具体的には、算出部63は、送信元のポート番号から送信先のSTAに送信されるパケットのデータ量を用いて必要スループットを算出する。このようにすることで、アグリゲーションサイズの管理を通信ノード単位からアプリケーション単位とすることができ、より細かな管理が可能となる。
(実施の形態4)
続いて、実施の形態4について説明を行う。実施の形態4は、実施の形態2〜4の変形例である。本実施の形態の説明を、実施の形態1を用いて行う。
実施の形態1では、STA情報テーブルT1は、図6に示すように、通信対象となるSTAと通信対象の通信ノードとを登録するテーブルとして説明を行った。本実施の形態では、STA情報テーブルT1は、送信先のSTAに接続されるエンドノード(終端ノード)をさらに管理する構成とする。
次に、本実施の形態にかかる通信システムについて説明する。図17は、実施の形態4にかかる通信システムの構成例を示す構成図である。図17に示すように、通信システム1000は、図4に示す通信システム100のSTA71にエンドノードである通信ノード81と通信ノード82とが接続されている。また、通信システム1000は、図4に示すSTA72がリピータ73(REP−B)に置換されている。また、リピータ73は通信エリア80を形成し、エンドノードであるSTA83と接続されている。
次に、本実施の形態にかかるAP60の構成を説明する。AP60は、図5に示した実施の形態1と同様であるため、図5を用いて説明を行う。
通信部61は、通信ノード41〜45のいずれかから受信したパケットを解析し、送信先のSTAのMACアドレスに加えて、送信先のSTAに接続するエンドノードを識別する。通信部61は、STA情報テーブルに送信先のSTAのMACアドレスに加えて、送信先のSTAに接続するエンドノードのMACアドレスを登録する。
記憶部62は、図18に示すSTA情報テーブルと、アグリゲーションサイズテーブルT2とを記憶する。ここで、本実施の形態にかかるSTA情報テーブルについて説明を行う。図18は、実施の形態5にかかるSTA情報テーブルの一例を示す図である。STA情報テーブルは、通信対象のSTA−MACに設定されるSTAに接続されるエンドノードを管理する。すなわち、本実施の形態にかかるSTA情報テーブルは、通信対象のSTAに接続するエンドノード毎に登録するテーブルである。なお、図18に示すSTA情報テーブルは、エンドノードのMACアドレスを用いて登録しているが、MACアドレスに代えて、IP(Internet Protocol)アドレス、その他エンドノードを識別する情報が登録されてもよい。または、図18に示すSTA情報テーブルは、エンドノードのMACアドレスに加えて、IPアドレス、その他エンドノードを識別する情報が登録されてもよい。
算出部63は、エンドノードへ、通信部61が受信したパケットを送信する際に用いる必要スループットを算出する。つまり、算出部63は、送信元の通信ノードと送信先のエンドノードとの組み合わせ毎に必要スループットを算出する。具体的には、算出部63は、送信元の通信ノードから送信先のSTAに接続されたエンドノードに送信されるパケットのデータ量を用いて必要スループットを算出する。このようにすることで、アグリゲーションサイズの管理をエンドツーエンドのスループットを考慮したバースト性の低減が可能となる。
(実施の形態5)
続いて、実施の形態5について説明を行う。実施の形態5は、実施の形態1〜4の改良例である。本実施の形態の説明を、実施の形態1を用いて行う。本実施の形態にかかる通信システムでは、図4に示した通信システムと同様であるため説明を割愛する。また、本実施の形態では、実施の形態1と比較してAPの構成が異なる。なお、重複する記載は適宜割愛して説明を行う。
図19を用いて、本実施の形態にかかるAP60の構成について説明する。図19は、実施の形態5にかかるAPの構成例を示す構成図である。図19に示すように、本実施の形態にかかるAP60は、実施の形態1の構成に加えて、取得部68をさらに備える。取得部68は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって処理が実行されるソフトウェアもしくはモジュールであってもよい。また、取得部68は、回路もしくはチップ等のハードウェアであってもよい。
取得部68は、送信先のSTAのバッファにおける処理可能データ量を取得する。具体的には、取得部68は、送信先のSTAが受信パケットを処理するために一時的に受信パケットを蓄積するバッファにおける空きデータ量を取得する。
アグリゲーションサイズ決定部65は、決定したアグリゲーションサイズと取得部68が取得した処理可能なデータ量とを比較する。アグリゲーションサイズ決定部65は、決定したアグリゲーションサイズが処理可能なデータ量を超過する場合、取得部68が取得した処理可能なデータ量を、送信先のSTAとの通信におけるアグリゲーションサイズと決定してもよい。または、アグリゲーションサイズ決定部65は、決定したアグリゲーションサイズが処理可能なデータ量を超過する場合、決定した複数の通信パラメータのパラメータ値の組み合わせに応じたサブ管理テーブルを選択する。そして、アグリゲーションサイズ決定部65は、サブ管理テーブルにおいて、設定可能なアグリゲーションサイズのうち、取得部68が取得した処理可能なデータ量以下であるアグリゲーションサイズを、送信先のSTAとの通信におけるアグリゲーションサイズと決定してもよい。このようにすることで、実施の形態1〜4と比較して、送信先のSTAにおけるパケットドロップがさらに低減され、通信ネットワークにおける輻輳をさらに低減することが可能となる。
(変形例)
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、実施の形態2では、複数の通信パラメータは、実施の形態1の通信パラメータに加えて、無線環境状態をさらに含む構成として説明したが、複数のパラメータが無線環境状態を含まない構成であってもよい。すなわち、実施の形態1のAP60が、計測部67を備える構成であってもよい。この場合、計測部67は、正常送信データ量を計測する。そして、算出部63は、正常送信データ量を用いて必要スループットを算出する。このような構成とすることで、AP60は、実施の形態1よりもさらに通信ネットワークの輻輳を低減することが可能となる。
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
少なくとも1つのアグリゲーションサイズと、所定条件において前記アグリゲーションサイズのデータにより第1の通信装置と通信した場合に達成される基準スループットとの対応関係を記憶する記憶部と、
前記第1の通信装置との通信における必要スループットを算出する算出部と、
前記記憶部に記憶された前記対応関係に基づいて、前記必要スループットを満たす最小の基準スループットに対応するアグリゲーションサイズを、前記第1の通信装置との通信におけるアグリゲーションサイズと決定するアグリゲーションサイズ決定部と、
を備える無線通信装置。
(付記2)
前記算出部は、前記アグリゲーションサイズ決定部がアグリゲーションサイズを決定する直前の所定期間内に、第2の通信装置から前記無線通信装置を介して第1の通信装置に送信されるパケットのデータ量を用いて前記必要スループットを算出する、
付記1に記載の無線通信装置。
(付記3)
前記記憶部は、複数の通信パラメータの取り得るパラメータ値の組み合わせに対する前記対応関係を記憶し、
前記第1の通信装置との通信において使用されている前記複数の通信パラメータのパラメータ値を決定するパラメータ決定部を備え、
前記アグリゲーションサイズ決定部は、前記記憶部に記憶された前記対応関係のうち、前記パラメータ決定部が決定した複数の通信パラメータのパラメータ値の組み合わせと一致する前記対応関係を選択する、
付記1または2に記載の無線通信装置。
(付記4)
前記第1の通信装置へ所定期間内に送信されたパケットのうち前記第1の通信装置へ正常に送信完了したパケットのデータ量を計測する計測部を備え、
前記算出部は、前記計測部が計測したデータ量を用いて前記必要スループットを算出する、
付記3に記載の無線通信装置。
(付記5)
前記複数の通信パラメータは、無線環境状態を含み、
前記パラメータ決定部は、前記計測したデータ量に基づいて、前記第1の通信装置との間の無線環境状態を決定する、
付記4に記載の無線通信装置。
(付記6)
前記パラメータ決定部は、前記計測したデータ量と、予め定められた閾値とを比較した比較結果に基づいて、前記第1の通信装置との間の無線環境状態を決定する、
付記5に記載の無線通信装置。
(付記7)
前記パラメータ決定部は、前記第1の通信装置に送信したパケットのデータ量と前記計測したデータ量との比率と、予め定められた閾値とを比較した比較結果に基づいて、前記第1の通信装置との間の無線環境状態を決定する、
付記5に記載の無線通信装置。
(付記8)
前記無線通信装置は、前記第1の通信装置に送信したパケットに対する正常応答パケット数を用いて、前記第1の通信装置へ正常に送信が完了したパケットのデータ量を計測する、
付記3から7のいずれか1項に記載の無線通信装置。
(付記9)
前記複数の通信パラメータは、ストリーム数、周波数帯域幅およびMCS(Modulation Coding Scheme)インデックスを含む、
付記3から8のいずれか1項に記載の無線通信装置。
(付記10)
前記第1の通信装置に送信するパケットから前記パケットの送信元ポートを識別する通信部を備え、
前記算出部は、前記送信元ポートから前記第1の通信装置に前記パケットを送信する際に用いる前記必要スループットを算出する、
付記1から9のいずれか1項に記載の無線通信装置。
(付記11)
前記第1の通信装置に送信するパケットから前記第1の通信装置とネットワークを介して接続され、前記パケットの送信先である第3の通信装置を識別する通信部を備え、
前記算出部は、前記第3の通信装置へ前記パケットを送信する際に用いる前記必要スループットを算出する、
付記1から10のいずれか1項に記載の無線通信装置。
(付記12)
前記第1の通信装置のバッファにおける処理可能データ量を取得する取得部を備え、
前記アグリゲーションサイズ決定部は、決定した前記アグリゲーションサイズが前記処理可能データ量を超える場合、前記処理可能データ量以下であって最大のアグリゲーションサイズを前記第1の通信装置との通信におけるアグリゲーションサイズと決定する、
付記1から11のいずれか1項に記載の無線通信装置。
(付記13)
第1の通信装置と、前記第1の通信装置と通信を行う無線通信装置とを備える通信システムであって、
前記無線通信装置は、
少なくとも1つのアグリゲーションサイズと、所定条件において前記アグリゲーションサイズのデータにより第1の通信装置と通信した場合に達成される基準スループットとの対応関係を記憶する記憶部と、
前記第1の通信装置との通信における必要スループットを算出する算出部と、
前記記憶部に記憶された対応関係に基づいて、前記必要スループットを満たす最小の基準スループットに対応するアグリゲーションサイズを、前記第1の通信装置との通信におけるアグリゲーションサイズと決定するアグリゲーションサイズ決定部と、
を備える、通信システム。
(付記14)
第1の通信装置との通信における必要スループットを算出し、
予め記憶された少なくとも1つのアグリゲーションサイズと、所定条件において前記アグリゲーションサイズのデータにより前記第1の通信装置と通信した場合に達成される基準スループットとの対応関係に基づいて、前記必要スループットを満たす最小の基準スループットに対応するアグリゲーションサイズを、前記第1の通信装置との通信におけるアグリゲーションサイズと決定する、
無線通信装置における通信制御方法。
(付記15)
第1の通信装置との通信における必要スループットを算出し、
予め記憶された少なくとも1つのアグリゲーションサイズと、所定条件において前記アグリゲーションサイズのデータにより前記第1の通信装置と通信した場合に達成される基準スループットとの対応関係に基づいて、前記必要スループットを満たす最小の基準スループットに対応するアグリゲーションサイズを、前記第1の通信装置との通信におけるアグリゲーションサイズと決定する、
ことを無線通信装置に実行させる通信制御プログラム。