JP2018152675A - ネットワーク制御方法、制御装置、プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】ネットワークを介して伝送されるデータの送信レートを保つことを可能とし、データの欠落が発生する確率を低減可能とする。【解決手段】制御装置(ネットワークコントローラ10)は、端末が送信したフレームの受信時刻を取得するフレーム受信時刻取得部と、前記端末と関連付けて、前記端末から送信されたフレームの受信時刻を少なくとも記憶する記憶部と、前記端末から今回受信したフレームの受信時刻と、前回受信したフレームの受信時刻との差と、前記端末のフレーム送信間隔に基づき、前記フレームの遅延の変動を検出する遅延変動検出部と、前記フレームの遅延の変動と遅延変動許容値との比較結果に応じて、前記端末がフレームに含めて一度に送信するデータサイズとフレームの送信間隔を求め、該当する端末に、データサイズとフレームの送信間隔の変更を通知する設定変更部を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、ネットワーク制御方法、制御装置、プログラムに関する。
IoT(Internet of Things)が様々な領域に用いられるようになってきており、産業用途にも設備の故障の事前検知や、作業者の健康状態の管理などの目的で導入されてきている。こういった目的のために、設備等に、例えば振動センサや電力量センサ等のセンサを取り付けたり、作業者に心拍や体温を測定するバイタルセンサ等を取り付けたり、と必要な情報を取得可能なセンサが用いられる。これらのセンサから得られたデータ(センサデータ)は、基本的に、無線通信を使用して、パケットやフレーム(本明細書では、パケットはISO(International Organization for Standardization)によるOSI(Open Systems Interconnection)7階層モデルの第3層と第4層で扱う、ネットワーク経由で送受信するためのデータの塊(Program Data Unit: PDU)、フレームはOSI7階層モデルの第1層と第2層で扱う、ネットワーク経由で送受信するためのデータの塊(PDU)、を意味する用語として用いる)の形で、ネットワークを通じて、センサデータを解析するアプリケーション(以下、「解析アプリケーション」という)に送られる。解析アプリケーションは一般的に、センサとネットワークで接続されたPC(Personal Computer)やサーバなどで動作する。
これらのセンサは、一定間隔でデータを取得するため、一般的にパケットまたはフレームは一定周期で間欠的に送信される。センサがデータを取得するたびに、パケットやフレームを送信するということも考えられるが、無線ネットワークの利用効率等を考慮して、ある一定量のデータがバッファに溜まる度にパケットやフレームを送信する、という方法もありうる。この場合、センサにおけるデータの取得間隔が一定であるため、バッファ(例えばセンサ内のバッファ)に一定量のデータが溜まるまでの時間もまた一定となる。結果として、パケットまたはフレームは一定周期で間欠的に送信される。
このとき、センサがデータを取得する速度よりも、無線通信のアプリケーションレベルのスループット(グッドプット)が高いことが必要となる。これは、センサでのデータの取得速度の方が高い場合、センサデータがセンサ内のバッファに滞留し、バッファサイズを超えた時点で、取得したデータの破棄が発生するためである。データの破棄が発生すると、設備の故障の予兆を検知することができない、作業者の体調不良の検知が遅れ、重篤化する、といった事態が起こり得る。このため、データの破棄は起こらないようにすることが望ましい。
また、設備の故障の予兆を検知すると即座に設備を停止したい、あるいは、作業者の体調不良を早期に検知したい、などの理由により、センサデータは、所定の遅延内に解析アプリケーションに届けられ、解析されることが望ましい。そのため、センサデータは、ネットワークが許容する最大パケットサイズまたは最大フレームサイズ(例えばMTU(Maximum Transfer Unit))に到達するまで貯められることなく、小サイズのパケットやフレームに格納されて送信されることもある。
この場合、パケットヘッダ/フレームヘッダ、パケット到達確認/フレーム到達確認等のセンサデータのサイズに依存しないオーバヘッドが、ネットワークが許容する最大パケット/フレームサイズで送信するよりも大きくなる。
さて、無線通信を利用する理由としては、作業者はもちろんのこと、設備の中には敷地内や建屋内を移動するために、物理的な配線が必要な有線通信では実現できないこと、特に工場等のような場所では、様々な装置を制御するフィールドバスと呼ばれる有線ネットワークが引かれており、センサのために新たに有線ネットワークを引く物理的なスペースが無い、といったことが挙げられる。
一方で、無線通信の場合、有線通信と異なり、同じ空間内に存在する全てのセンサが同一の通信媒体(空間)を共有するため、同時に通信することなどによる通信エラーを避けるための仕組みが導入されている。これは、複数の電波が重なると、電波同士が干渉し、通信エラーとなってしまうためである。
通信エラーが発生した場合、MAC(Media Access Control)層(第2層)の再送機能などによって、フレームが再送される。フレームの再送が発生すると、その分、センサデータが解析アプリケーションに到着する時間が遅れる。さらには、あるセンサが、フレーム再送のために、無線リソースを使用するため、他のセンサがセンサデータを送信できず、遅延の増加が連鎖する事態が発生する場合がある。このため、フレームの再送が発生しないようにすることが望ましい。
無線LAN(Local Area Network)規格を定めたIEEE(The Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.11では、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)の機能によって、同時に通信を行う通信端末(「ステーション」という)が発生しないようにする。CSMA/CAでは、あるステーションがある周波数(チャネル)でフレームを送信しようとした場合、当該周波数がすでに他の通信で使用されていないかどうかを、フレームを送信する前に確認し、使用されていない場合にフレームを送信する。仮に、当該周波数が使用されていた場合(これを「ビジー状態」と呼ぶ)、その周波数が未使用になるまで待機する。
しかし、通信エラーの原因となるのは、同種の通信規格に則ったステーション間の電波干渉だけではなく、例えば、
・インバータを備える設備が発する電磁ノイズや、
・金属製の設備や材料などの電波を遮る遮蔽物、
・こういった遮蔽物の移動、
・反射した電波同士が干渉し合うフェージング、
・異種の無線端末による電波、
などによって、ステーションが発した電波が影響を受け、通信エラーが発生する。
そのため、ある特定の無線通信規格内で、CSMA/CAのような通信エラーを避ける仕組みを導入したとしても、無線通信規格の外の原因による通信エラーを完全に避けるのは難しい。例えば、IEEE802.11にて、あるステーションがCSMA/CAによって使用する周波数が空いていると検知し、フレームを送信したとしても、フレーム送信中または送信後にノイズが周囲から発生することでフレームが正常に受信側に届かず、通信エラーとなる可能性がある。つまり、完全に、遅延の制約を守って通信を行うことは難しいと言える。
一方で、このような通信エラーが発生し、センサデータが所定の遅延内に解析アプリケーションに届かなかったとしても、センサデータの使用目的はリアルタイムな解析だけではなく、バッチ処理などで所定の期間のデータを解析するような用途もある。そのため、所定の遅延内に間に合わなくとも、センサデータの欠落が発生しないようにすることが望ましい。しかし、ノイズが長期に渡って発生し続けるなどして、センサデータをいつまでも送信できず、センサが備えるバッファに溢れが生じる可能性がある。このため、センサデータの欠落を完全に防ぐことも、また、難しいと言える。
そのため、センサデータの遅延制約を守れない確率と、センサデータが欠落する確率を、可能な限り低くすることが、このような無線通信に求められる要件であると言える。
通信エラーなど、無線通信の環境が悪化したことを検知し、検知結果に基づいて、通信エラー等の影響を小さくする等の対策を施す関連技術として、例えば以下の特許文献が挙げられる。
特許文献1には、無線環境の状態に応じて、データ送信時刻、送信データ量を変更する手法が開示されている。
特許文献2には、伝送路の帯域に変動があった場合に、パケット送信に要する遅延を計測し、計測した遅延に基づいて、ネットワークの状態を推測し、パケットの送信レートを制御することで、伝送効率を向上させる手法が開示されている。
特許文献3には、応答パケット(ACK(Acknowledgement)パケット)の受信間隔の変動に応じて、パケット送信レートを変更し、映像品質の悪化を抑制する手法が開示されている。
特許文献4と特許文献5には、無線環境の状態に応じて、最適な変調方式を選択し、伝送効率の向上、またはスループットの維持・向上を実現する手法が開示されている。
特許文献6には、ACKパケットの受信状況に応じて、符号化速度、誤り耐性を変更する手法が開示されている。
特許文献7には、無線通信の品質に基づいて符号化パラメータを決定する手法が開示されている。
特許文献8には、パケット伝送の待ち時間と待ち時間の揺らぎに応じて、最適なパケットサイズと最適なパケット間隔を決定する手法が開示されている。
特許文献9には、パケットエラー率の増加を抑えるために、パケットを中継する装置において、パケットサイズおよびパケット送信間隔を変更する手法が開示されている。無線装置は、自己の単位時間当たりのパケット送信量Wを検出し、検出したパケット送信量Wがしきい値Wth以上に達すると、パケット送信量Wがしきい値Wthよりも小さくなるようにパケットサイズおよびパケット送信間隔の変更を、送信元の無線装置に指示する。
特許文献10には、パケットを中継する装置において、パケットを束ねて1つのパケットとして送信することで、パケットエラー率を抑制する手法が開示されている。
特許文献11には、網資源を有効に活用することができ、遅延時間を最小に抑えることが可能であり、輻輳の発生を抑制する手法が開示されている。最適ウィンドウサイズ計算部は周期毎の往復応答時間の平均値、ACKパケット受信間隔の平均値を求め、往復応答時間の平均値をACKパケットの受信間隔の平均値で除算した値以上の最小の整数値Waを求め、TCP(Transmission Control Protocol)のように受信局で受信可能なパケット数Wbが通知される場合には、WaがWbを超える時、最適なウィンドウサイズをWbとし、WaがWb以下の場合には、最適なウィンドウサイズをWaとする。
国際公開第2015/178017号 国際公開第2014/171543号 国際公開第2012/172795号 特開2005−318533号公報 特開2005−86304号公報 特開2006−129277号公報 特開2004−215224号公報 特表2004−533184号公報 特開2007−235871号公報 特開2007−221527号公報 特開2001−111618号公報
以下の分析は、本発明によって与えられたものである。
各センサが一定の間隔で一定サイズのデータを取得する場合、ネットワークには一定レートでフレームが送信され、所定の遅延以内に解析アプリケーションに届けられる。そのため、OSI7階層モデルにおける、第7層(アプリケーション層)レベルでこのレートが保たれ、かつ可能な限り所定の遅延を守るように、無線ネットワークを制御する必要がある(要件1)。以降、第7層レベルのことを、「アプリケーション層レベル」と記載する。また、アプリケーション層レベルのデータを、「アプリケーションデータ」と記載する。センサデータはアプリケーションデータである。
通信エラーの要因として、電磁ノイズや、異種の無線機器による電波など、特定の通信規格に準拠した通信装置では制御が難しいものが存在する。従って、パケットやフレームの再送がある程度発生するのは避けがたい。しかし、パケットやフレームの再送が発生し、無線ネットワークが混雑した状況でも、パケットやフレームの再送回数の上限に達するなどして、アプリケーションデータが破棄され、欠落するということが可能な限り発生しないように制御することが必要である(要件2)。
つまり、無線ネットワークの混雑状況に応じて、アプリケーション層レベルのレートを保ちつつ、可能な限り最小の遅延でアプリケーションデータを解析アプリケーションに届けることのできる仕組みが必要である。
しかし、特許文献1〜特許文献11には、遅延を抑えつつ、アプリケーション層レベルでレートが保たれるような仕組みは開示されていない。
仮に、アプリケーション層レベルのレート以下のレートで、ネットワークにフレームを送信するように設定された場合、センサデータ(アプリケーションデータ)の送信元であるセンサ内のバッファが溢れ、該アプリケーションデータが破棄される等して、アプリケーションデータの欠落が発生する可能性がある。
本発明は、上述した課題に鑑みて創案されたものであって、その目的の一つは、ネットワークを介して伝送されるパケットデータの送信レートを保つことを可能とし、パケットデータの欠落が発生する確率を低減可能とするネットワーク制御方法、装置、プログラムを提供することにある。
本発明の一形態によれば、データをフレームに含めて一度に送信する端末から送信されたフレームの受信時刻を取得するフレーム受信時刻取得部と、前記端末と関連付けて、前記端末から送信されたフレームの受信時刻、前記端末がフレームに含めて一度に送信するデータサイズ、及びフレーム送信間隔を少なくとも記憶する記憶部と、前記端末から今回受信したフレームの受信時刻と、前回受信したフレームの受信時刻との差と、前記端末のフレーム送信間隔に基づき、前記フレームの遅延の変動を検出する遅延変動検出部と、前記フレームの遅延の変動と、予め定められた遅延変動許容値との比較結果に応じて、前記端末がフレームに含めて一度に送信するデータサイズとフレーム送信間隔を求め、求めた値で前記記憶部における該当する端末のエントリを更新するとともに、該当する端末に、前記データサイズとフレーム送信間隔の変更を通知する設定変更部と、を備えた制御装置(ネットワークコントローラ)が提供される。
本発明の一形態の方法によれば、データをフレームに含めて一度に送信する端末と関連付けて、前記端末から送信されたフレームを受信した時刻、前記端末が送信するフレームのサイズ及びフレーム送信間隔を少なくとも記憶する記憶部を有するコンピュータによるネットワークの制御方法であって、
前記端末が送信したフレームの受信時刻を取得し、前記端末から今回受信したフレームの受信時刻と、前記記憶部に記憶されている、前記端末から前回受信したフレームの受信時刻との差と、前記端末のフレーム送信間隔と、に基づき、前記フレームの遅延の変動を検出し、
前記フレームの遅延の変動と、予め定められた遅延変動許容値との比較結果に応じて、前記端末がフレームに含めて一度に送信するデータサイズとフレームの送信間隔を求め、求めた値で前記記憶部における該当する端末のエントリを更新するとともに、該当する端末に、前記データサイズと前記フレームの送信間隔の変更を通知する、ネットワーク制御方法が提供される。
本発明の一形態によれば、データをフレームに含めて一度に送信する端末と関連付けて、前記端末から送信されたフレームの受信時刻、前記端末が送信するフレームのサイズ及びフレーム送信間隔を少なくとも記憶する記憶部を有するコンピュータに、
前記端末が送信したフレームの受信時刻を取得する処理と、
前記端末から今回受信したフレームの受信時刻と、前記記憶部に記憶されている、前記端末から前回受信したフレームの受信時刻と、の差と、前記端末のフレーム送信間隔と、に基づき、前記フレームの遅延の変動を検出する処理と、
前記フレームの遅延の変動と、予め定められた遅延変動許容値との比較結果に応じて、前記端末がフレームに含めて一度に送信するデータサイズとフレームの送信間隔を求め、求めた値で前記記憶部における該当する端末のエントリを更新するとともに、該当する端末に、前記データサイズと前記フレームの送信間隔の変更を通知する処理と、を実行させるプログラムが提供される。なお、上記形態の装置、方法、プログラム等において、「フレーム」は「パケット」と読み替えてもよい。
本発明の一形態によれば、上記プログラムは非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納してもよい。当該媒体は、磁気記録媒体(例えば磁気テープ、ハードディスクドライブ等)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、CD−R(Compact Disc-Recordable)、CD−R/W(Compact Disc-Rewritable)、DVD−ROM(Digital Versatile Disc-ROM)、DVD−R(Digital Versatile Disc-Recordable)、DVD−R/W(Digital Versatile Disc-Rewritable)、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))等であってもよい。
本発明によれば、ネットワークを介して伝送されるデータの送信レートを保ち、データの欠落が発生する確率を低減可能としている。
本発明の例示的な第1の実施形態に係る無線通信システム1の一構成例を例示する図である。 本発明の例示的な第1の実施形態に係るネットワークコントローラ10の一構成例を例示する図である。 本発明の例示的な第1の実施形態に係る無線ステーションデータベース104の一構成例を模式的に示す図である。 UDPペイロードサイズとUDPペイロード1バイトあたりの送信遅延をプロットしたグラフである。 本発明の例示的な第1の実施形態における、無線システム起動後の初期設定のシーケンスの一例を説明する図である。 本発明の例示的な第1の実施形態における、アプリケーションデータサイズとアプリケーションデータ送信間隔を決定する手順を説明するフローチャートである。 本発明の例示的な第1の実施形態における、フレーム受信時刻情報の通知のシーケンスの一例を説明する図である。 本発明の例示的な第1の実施形態における、アプリケーションデータサイズとアプリケーションデータ送信間隔を変更する手順を説明するフローチャートである。 アプリケーションデータパケットサイズ、及びアプリケーションデータパケット送信間隔の変更通知のシーケンスの一例を説明する図である。 本発明の例示的な第2の実施形態に係る、ステーションデータベース105の一構成例を例示する図である。 本発明の例示的な第3の実施形態において、無線ステーションが別の無線アクセスポイントに接続する際のシーケンスの一例を説明する図である。 本発明の例示意的な第4の実施形態に係る、無線通信システム2の一構成例を例示する図である。 本発明の例示的な第4の実施形態において、接続先の無線アクセスポイントの切り替え時の、設定変更のシーケンスの一例を説明する図である。 本発明の例示的な第5の実施形態に係る無線ステーションデータベースの構成を模式的の示す図である。 本発明の例示的な第5の実施形態に係る無線ステーションデータベースの別の構成例を例示する図である。 本発明の例示的な実施形態に係るネットワークコントローラの一構成例を例示する図である。
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、この説明に付記する図面や参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。本発明の実施形態では、説明を簡潔にするために、無線ネットワークとしてIEEE802.11gを対象に記載するが、このことは本発明が適用可能な無線ネットワークをIEEE802.11gに限定することを意図するものではない。本発明の実施形態を説明する図では、同一の要素から構成される要素については、同一の番号の後にa、b、c…と英小文字を付与して表記する。本明細書中では、特に区別する必要が無い場合には、英小文字を省略して記載する。
[第1の実施の形態]
[構成の説明]
図1は、本発明の例示的な第1の実施形態に係る、無線通信システム1の一構成例を例示する図である。図1を参照すると、無線通信システム1は、ネットワークコントローラ(ネットワーク制御装置)10と、ネットワーク11と、無線アクセスポイント12と、無線ネットワーク13と、無線ステーション14と、有線ネットワーク15と、データ処理サーバ16と、を備えている。
ネットワークコントローラ10は、無線ステーション14のアプリケーションデータ送信に関する情報を管理する。ネットワークコントローラ10は、無線ステーション14のアプリケーションデータの到着に関わる遅延の変動に基づいて、無線ステーション14の無線通信パラメータを変更する機能を持つ。
ネットワーク11は、ネットワークコントローラ10と、無線アクセスポイント12とを接続するネットワークである。媒体は無線と有線の双方を取りうる。
仮に、ネットワークコントローラ10が無線アクセスポイント12や無線ステーション14が設置されるエリアから離れた場所、例えばインターネット等の広域ネットワーク経由で接続するデータセンタやクラウド環境に設置される場合、ネットワーク11は、インターネット等の広域ネットワークを含むネットワークとなる。
無線アクセスポイント12は、無線ステーション14から送信されたフレームをデータ処理サーバ16に接続するための中継装置である。無線アクセスポイント12は、フレームに含まれるMAC層のヘッダまでの情報を用いて、フレームの中継を行う。
無線ネットワーク13は、無線アクセスポイント12と、無線ステーション14と、を接続するネットワークである。
無線ステーション14は、例えば、データを周期的に収集するセンサを備える構成としてもよい。この場合、無線ステーション14は、収集したセンサデータを一定間隔で、データ処理サーバ16に送信する。無線ステーション14は、例えば、無線通信機能を有するセンサ(振動センサ等各種センサ)で構成してもよい。
有線ネットワーク15は、無線アクセスポイント12と、データ処理サーバ16と、を接続するネットワークである。各無線ステーション14が取得したデータを受信するのに十分な帯域が必要とされる。このため、有線媒体によるネットワークとしているが、無線アクセスポイント12とデータ処理サーバ16間のネットワークは有線媒体に制限されるものでないことは勿論である。例えば、各無線ステーション14が取得したデータを受信するのに、十分な帯域が確保できる場合には、無線ネットワークも利用可能である。
仮に、データ処理サーバ16が無線アクセスポイント12や無線ステーション14が設置されるエリアから離れた場所、例えばインターネット経由で接続するデータセンタやクラウド環境に設置される場合、有線ネットワーク15は、インターネットを含むネットワークとなる。
データ処理サーバ16は、無線ステーション14が取得したセンサデータを処理し、様々な事象を検出するためのサーバである。特に制限されないが、データ処理サーバ16は、例えば、設備故障の予兆検知や、作業員の体調不良の検知を検出する機能を具備してもよい。本実施形態によれば、ネットワークコントローラ10は、パケットやフレームの再送によるネットワークの混雑した状況を緩和し、アプリケーションデータの欠落が発生する確率を低減させる制御を行う。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る、ネットワークコントローラ10の一構成例を例示する図である。図2を参照すると、ネットワークコントローラ10は、フレーム受信情報取得部100と、遅延変動検出部102と、無線ステーションデータベース104と、設定変更部106と、を備えている。
フレーム受信情報取得部100は、各無線アクセスポイント12から、各無線アクセスポイント12が、各無線ステーション14から受信したフレームの受信時刻に関する情報(「フレーム受信時刻情報」という)を受け取る。
フレーム受信時刻情報には、少なくとも、無線ステーションID(Identifier)と、無線アクセスポイント12がフレームを受信した時刻(フレーム受信時刻)と、再送フレームかどうかを示すフラグ(再送フラグ)と、を含むようにしてもよい。
例えば、IEEE802.11では、PLCP(Physical Layer Convergence Protocol)ヘッダに再送フレームであるか否かを示すフラグがある。そのため、無線アクセスポイント12は、PLCPヘッダのこのフラグを参照することで、フレーム受信時刻情報に、再送フラグを立てるか否か(オンとするか否か)を決定することができる。
フレーム受信時刻情報は、データ処理サーバ16で取得するようにしてもよい。例えば、データ処理サーバ16が、ネットワークコントローラ10の機能を備える構成、あるいは、ネットワークコントローラ10が、データ処理サーバ16から情報を受け取る構成としてもよい。
図1の例では、ネットワークコントローラ10は、データ処理サーバ16とは互いに別ユニットとして構成され、無線アクセスポイント12からフレーム受信時刻情報を取得する形態で説明するが、このことは、本発明をこの態様に限定することを意図するものではない。
フレーム受信情報取得部100は、フレーム受信時刻情報を、遅延変動検出部102に転送する。
遅延変動検出部102は、フレーム受信情報取得部100から受け取ったフレーム受信時刻情報と、無線ステーションデータベース104に格納されている情報を比較し、フレームの遅延の変動を検出する。
フレームの遅延の変動が所定の閾値(遅延変動許容値)を超えている場合には、遅延変動検出部102は、設定変更部106に対して、パケット/フレームに含めるアプリケーションデータサイズや、データ送信間隔の変更要求を出す。このために、遅延変動検出部102は、どの程度の遅延変動を許容するかの遅延変動許容閾値を不図示の記憶部(ROM、EPROM、RAMやHDD(Hard Disk Drive)等であってもよい)に保持する。なお、データはパケットのペイロード部に収容され、該パケットのヘッダとペイロード部は、フレームのヘッダとFCS(Frame Check Sequence)間のデータに収容される。
無線ステーションデータベース104は、各無線ステーション14のアプリケーションデータの送信に関する情報を管理するデータベースである。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る、無線ステーションデータベース104の一構成例(データ構造)を模式的に示す図である。図3を参照すると、無線ステーションデータベース104は、1レコードあたり、少なくとも、無線ステーションIDフィールド1040、接続先アクセスポイントIDフィールド1041と、データ取得レートフィールド1042と、アプリケーションデータサイズフィールド1044と、アプリケーションデータ送信間隔フィールド1046と、最終受信時刻フィールド1048と、遅延変動値フィールド1045と、を含むデータベースである。
無線ステーションIDフィールド1040は、無線ステーション14の識別子を保持するフィールドである。
接続先アクセスポイントIDフィールド1041は、無線ステーション14が接続する無線アクセスポイント12の識別子を保持するフィールドである。
データ取得レートフィールド1042は、無線ステーション14が取得するセンサデータの取得レートを保持するフィールドであり、B/s(Bytes per second)やbps(bits per second)といった単位で表現される数値情報である。このような表現方法の他、1回のデータ取得サイズ(単位はByteまたはbit)と、データの取得間隔(単位は秒など)で表現するようにしてもよい。
アプリケーションデータサイズフィールド1044は、無線ステーション14がフレームを送信する際に、何バイトのアプリケーションデータを格納するかを示す情報を保持するフィールドである。アプリケーションデータサイズフィールド1044は、ネットワークコントローラ10が決定し、各無線ステーション14に通知する値である。
無線ステーション14側では、例えば、無線ステーション14で稼働するアプリケーションが、例えば、Unix(登録商標)OS(Operating System)系のネットワークプログラミングのAPI(Application Programming Interface)であるソケットインタフェース(Socket Interface)のsendシステムコール(ソケット経由のデータ送信を行う関数)を呼ぶ際に、送信するデータサイズの引数として指定する値として、アプリケーションデータサイズの情報を用いる。 send関数のシンタックスとして例えばstatus=send(socket, *buffer, buffer-length, flags)というものがある。*bufferは送信するデータへのポインタ、buffer-lengthはバッファサイズ(バイト数)である。戻り値statusは、send()が成功した場合、送信バイト数が設定される。
アプリケーションデータ送信間隔フィールド1046は、無線ステーション14がアプリケーションデータを送信する間隔を保持するフィールドであり、単位が秒などで表現される数値となる。アプリケーションデータ送信間隔は、ネットワークコントローラ10が決定し、各無線ステーション14に通知する値である。
無線ステーション14側では、例えば、無線ステーション14で稼働するアプリケーションがSocketインタフェースのSendシステムコールなどを呼ぶ間隔として、アプリケーションデータ送信間隔の情報を用いる。
最終受信時刻フィールド1048は、フレームを最後に受信した時刻に関する情報を保持するフィールドである。
遅延変動値フィールド1045は、アプリケーション層レベルの遅延変動値を保持するフィールドである。
遅延変動検出部102は、フレーム受信時刻情報に含まれる無線ステーションIDを検索キーとして、無線ステーションデータベース104を参照し、アプリケーションデータ送信間隔と、最終受信時刻と、遅延変動値と、に関する情報を取得する。
遅延変動検出部102は、フレーム受信時刻情報に含まれる再送フラグが、MAC層における再送を示していない場合(再送フラグが立っていない(オンにセットされていない)場合)、フレーム受信時刻情報に含まれるフレーム受信時刻と、無線ステーションデータベース104から取得した最終受信時刻フィールド1048の値との差分を求める。
そして、遅延変動検出部102は、この差分が、アプリケーションデータ送信間隔に遅延変動許容閾値を加えた値を超えているか否かを判定する。
遅延変動検出部102は、この差分を、遅延変動値フィールド1045に登録する。
また、遅延変動検出部102は、フレーム受信時刻情報に含まれる再送フラグが、MAC層における再送を示している場合(再送フラグが立っている場合)、フレーム受信時刻情報に含まれるフレーム受信時刻と、無線ステーションデータベース104から取得した最終受信時刻の差分を、遅延変動値フィールド1045の値に加え、この加えた値を遅延変動値フィールド1045に登録する。
そして、遅延変動検出部102は、登録した遅延変動値フィールド1045の値が、アプリケーションデータ送信間隔1046フィールドの値に遅延変動許容閾値を加えた値を超えているか否かを判定する。
登録した遅延変動値フィールド1045の値がアプリケーションデータ送信間隔に遅延変動許容閾値を加えた値を超えている場合、遅延変動検出部102は、無線ネットワークが混雑してきたと認識し、設定変更部106に、対象の無線ステーション14のアプリケーションデータサイズを増加させ、アプリケーションデータ送信間隔を長くするように、アプリケーションデータ送信に関する設定の変更要求(アプリケーションデータ送信設定変更要求)を出す。
アプリケーションデータ送信設定変更要求には、少なくとも無線ステーション14のIDに関する情報と、アプリケーションデータサイズを増加させ、アプリケーションデータ送信間隔を長くするという変更であることを示す変更種別に関する情報と、が含まれる。
このような変更を行う理由は以下の通りである。
アプリケーションデータサイズを大きくすると、MTU(Maximum Transfer Unit)等のフレームサイズの制約を超えない範囲でフレームサイズを大きくすることができる。アプリケーションデータを送信する場合に、送信するフレーム数が減り、パケットやフレームのヘッダ等のオーバヘッドが削減され、無線ネットワークの混雑度が緩和される。
一方、登録した遅延変動値フィールド1045の値がアプリケーションデータ送信間隔に遅延変動許容閾値を加えた値を超えていない場合には、遅延変動検出部102は、無線ネットワークの混雑が解消されてきたと認識し、対象の無線ステーション14のアプリケーションデータサイズを減少させ、アプリケーションデータ送信間隔を短くするように、アプリケーションデータ送信設定変更要求を設定変更部106に出す。
このアプリケーションデータ送信設定変更要求には、少なくとも無線ステーション14のIDに関する情報と、アプリケーションデータサイズを減少させ、アプリケーションデータ送信間隔を短くするという変更であることを示す変更種別に関する情報と、が含まれる。
このような変更を行う理由は以下の通りである。
アプリケーションデータサイズを小さくすると、結果としてフレームサイズが小さくなる。そのため、一定のアプリケーションデータ送信レートを維持するには、フレーム送信間隔を短くする必要がある。フレーム送信間隔を短くした結果、アプリケーションデータが所定の遅延内に解析アプリケーションで受信されるようになるためである。
遅延変動検出部102は、遅延変動値フィールド1045の値がアプリケーションデータ送信間隔に第1の遅延変動許容閾値を加えた値を超えている場合、アプリケーションデータサイズを増加させ、アプリケーションデータ送信間隔を長くし、遅延変動値フィールド1045の値がアプリケーションデータ送信間隔に第2の遅延変動許容閾値を加えた値を超えていない場合には、対象の無線ステーション14のアプリケーションデータサイズを減少させ、アプリケーションデータ送信間隔を短くするように、アプリケーションデータ送信設定変更要求を設定変更部106に出すようにしてもよい。第1の遅延変動許容閾値と第2の遅延変動許容閾値は同じ値であってもよい。
例えば、フレームサイズが1000バイトで、フレーム送信間隔が10秒(MAC層のレートは100B/s)の場合、解析アプリケーションには10秒おきにフレームが届く。
一方、フレームサイズが500バイトで、フレーム送信間隔が5秒(MAC層のレートはフレームサイズが1000バイトの場合と同じく100B/s)の場合、解析アプリケーションには5秒おきにフレームが届く。
なお、フレーム受信時刻情報を受信するたびに設定変更部106にアプリケーションデータ送信設定変更要求を出すと、設定変更のための多数の制御フレームが無線ネットワーク13を流れることになり、無線リソースの利用効率が低下する。そのため、無線ステーションデータベース104に、フレーム受信時刻情報に含まれるフレーム受信時刻と、無線ステーションデータベース104から取得した最終受信時刻の差分が、アプリケーションデータ送信間隔に遅延変動許容閾値を加えた値を超えた回数、越えなかった回数を記録するフィールドを追加した構成としてもよい。
無線ステーションデータベース104において、該追加されたフィールドに記録された回数が一定回数を超えた場合に、アプリケーションデータ送信設定変更要求を設定変更部106に出すようにすると、設定変更のための制御フレーム数を削減することが可能となる。
また、無線ステーションデータベース104に、フレーム受信時刻情報に含まれるフレーム受信時刻と、無線ステーションデータベース104から取得した最終受信時刻の差分が、アプリケーションデータ送信間隔に遅延変動許容閾値を加えた値を越えた回数と越えなかった回数をそれぞれ別のフィールドとして備えず、単一のフィールドとして備え、フレーム受信時刻情報に含まれるフレーム受信時刻と、無線ステーションデータベース104から取得した最終受信時刻の差分が、アプリケーションデータ送信間隔に遅延変動許容閾値を加えた値を超えた場合に1を加算し、越えなかった場合に1を減算し、この値が一定値を超える、あるいは一定値より小さくなる場合に、アプリケーションデータ送信設定変更要求を設定変更部106に出すようにする構成としてもよい。
遅延変動検出部102は、無線ステーションデータベース104の最終受信時刻を更新する。
また、遅延変動検出部102は、無線ステーションデータベース104に、フレーム受信時刻情報に含まれるフレーム受信時刻と、無線ステーションデータベース104から取得した最終受信時刻の差分が、アプリケーションデータ送信間隔に遅延変動許容閾値を加えた値を超えた回数、越えなかった回数を記録するフィールドが備えられる場合には、その値も更新する。
設定変更部106は、遅延変動検出部102からアプリケーションデータ送信設定変更要求を受け取ると、アプリケーションデータ送信設定変更要求に含まれる無線ステーションIDを検索キーとして、無線ステーションデータベース104を参照し、データ取得レートと、アプリケーションデータサイズと、アプリケーションデータ送信間隔に関する情報を取得する。そして、設定変更部106は、アプリケーションデータ送信設定変更要求の変更種別に従って、アプリケーションデータサイズとアプリケーションデータ送信間隔を変更する。
設定変更部106は、アプリケーションデータサイズとアプリケーションデータ送信間隔の変更後の値が、データ取得レートに、パケット又はフレームのヘッダ等のオーバヘッド分を加算したレートを保つか、あるいは下回らないように変更する。
変更種別が、アプリケーションサイズを増加させ、アプリケーションデータ送信間隔を長くする場合、設定変更部106において、アプリケーションデータサイズをどのように変更するか、の一例として、「目標とする帯域占有率」を用いるようにしてもよい。
「目標とする帯域占有率」とは、アプリケーションデータサイズを変更することによって、無線ネットワークの帯域占有率をどこまで上げたいか、あるいは下げたいか、という目標値である。
帯域占有率は、下記の式(1)で与えられる。
帯域占有率[%]=[アプリケーションデータ送信遅延]÷[アプリケーションデータ送信間隔]×100 ・・・式(1)
例えば、アプリケーションデータ送信間隔が5ミリ秒で、アプリケーションデータ送信遅延が500マイクロ秒の場合、帯域占有率は、
500マイクロ秒÷5ミリ秒×100=10%となる。
アプリケーションデータ送信遅延は、例えば、IEEE802.11では、下記の式(2)で与えられる。
アプリケーションデータ送信遅延=[MACフレームの送信遅延]+[MACフレームに対するACKの受信までの遅延] ・・・式(2)
例えば、IEEE802.11gでは、MACフレームの送信遅延と、それに対するACKの受信までの遅延と、を下記の情報から求めることができる。
(1)バックオフの期間を決定するためのコンテンションウィンドウ(Contention Window)の最小値、
(2)コンテンションウィンドウ(Contention Window)のスロットタイム
(3)変調方式(OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)、またはDSSS(Direct Sequence Spread Spectrum))、
(4)該変調方式でのシンボル当たりのビット数、
(5)1シンボルを送信するのに要する時間、
(6)DIFS(DCF(Distributed Coordination Function) Inter Frame Space)の期間、
(7)PLCP(Physical Layer Convergence Protocol)プリアンブルの送信時間、
(8)PLCPヘッダ信号部の送信時間、
(9)PLCPサービス部からPLCPテイル(Tail)までのフレームサイズ、
これらの情報は、無線通信機器の設定内容や、IEEE802.11gの仕様から取得することが可能である。
トランスポート層として、UDP(User Datagram Protocol)を使用するIP(Internet Protocol)パケットを送信する場合、上記の情報を用いて、MACフレームの送信からACKの受信までの遅延は、下記の式(3)で求めることができる。
[MACフレームの送信からACKの受信までの遅延]=
[PLCPプリアンブルの送信時間]+
[PLCPヘッダ信号部の送信時間]+
{[PLCPサービス部のビット数]+[802.11 MACヘッダのビット数]+[LLC(Logical Link Control)ヘッダのビット数]+[IP及びUDPヘッダのビット数)+[UDPペイロードのビット数]+[802.11 FCS(Frame Check Sequence)のビット数]+[パディングビット]+[PLCP Tailのビット数]}÷[シンボルあたりのビット数]×[1シンボルを送信するのに要する時間]+
[無信号期間]+
[SIFS(Short Inter Frame Space)の期間]+
[802.11 ACKフレームの送信時間]+
[DIFSの期間]+
[平均バックオフ時間]
・・・式(3)
式(3)のうち、パディングビットは、式(3)の{}内の式の値がシンボルあたりのビット数で割り切れる長さになるように挿入される。
また、式(3)において、[802.11 ACKフレームの送信時間]は、下記の式(4)で与えられる。
[802.11 ACKフレームの送信時間]=
[PLCPプリアンブルの送信時間]+
[PLCPヘッダ信号部の送信時間]+
{[PLCPサービス部のビット数]+[802.11 ACKフレーム長]+[802.11 FCS(Frame Check Sequence)のビット数]+[パディング]+[PLCPテイル(Tail)のビット数}÷[シンボル当たりのビット数]×[1シンボルを送信するのに要する時間]
・・・式(4)
また、式(3)において、[平均バックオフ時間]は、下記の式(5)で与えられる。
[平均バックオフ時間]=[コンテンションウィンドウの最小値]×[コンテンションウィンドウのスロットタイム]÷2
・・・式(5)
アプリケーションデータサイズとアプリケーションデータ送信間隔は、データ取得レートを下回らないように設定されるため、下記の式(6)のような関係がある。
[データ取得レート]≦[アプリケーションデータサイズ]÷[アプリケーションデータ送信間隔] ・・・式(6)
そのため、アプリケーションデータサイズかアプリケーションデータ送信間隔のどちらか一方が決定すると、他方の取るべき値(の範囲)が決定される。ここでは説明を容易、簡潔とするために、
[データ取得レート]=[アプリケーションデータサイズ]÷[アプリケーションデータ送信間隔] ・・・式(7)
として説明する。
式(7)を変形すると、アプリケーションデータ送信間隔は、下記の式(8)のようにアプリケーションデータサイズによって決定されるパラメータであることが分かる。
[アプリケーションデータ送信間隔]=[アプリケーションデータサイズ]÷[データ取得レート] ・・・式(8)
式(8)を式(1)に代入すると、次式(9)が導かれる。
帯域占有率[%]=[アプリケーションデータ送信遅延]÷([アプリケーションデータサイズ]÷[データ取得レート])×100 ・・・式(9)
式(9)を整理すると、次式(10)となる。
帯域占有率[%]=[アプリケーションデータ送信遅延]×[データ取得レート]÷[アプリケーションデータサイズ]×100 ・・・式(10)
例えば、帯域占有率を所定の値(目標とする帯域占有率)まで下げたい場合、設定変更部106は、アプリケーションデータサイズを現在の値より大きな値として仮置きし、式(3)〜(5)からアプリケーションデータ送信遅延を求める。
そして、設定変更部106は、求めた値を式(1)に代入し、帯域占有率が所定の値を下回っているか否かを判定することで、アプリケーションデータサイズの変更値を決定することができる。
式で表すと、
<目標とする帯域占有率>[%]≧[アプリケーションデータ送信遅延]×[データ取得レート]÷[アプリケーションデータサイズ]×100 ・・・式(11)
を満たすアプリケーションデータサイズであればよいことになる。
一方で、ネットワークにはMTU(Maximum Transmission Unit)という、1フレームの最大サイズが決められている。MTUを超えるフレームは分割されて送信される。そのため、変更後のフレームサイズがMTUを超える場合には、変更後のフレームサイズがMTUになるように、アプリケーションデータサイズを変更する構成としてもよい。なお、例えばイーサネット(登録商標)フレームを転送する無線LANにおいて、イーサネット(登録商標)フレームのフレーム長は最大1518オクテットであることから、イーサネット(登録商標)ヘッダ(14オクテット(byte))とFCS(Frame Check Sequence)(4オクテット) を差し引いた1500オクテットがMTUサイズとなる。
また、単純に、変更後のアプリケーションデータサイズを、所定のサイズだけ増減させる手法を用いてもよい。例えば、アプリケーションデータサイズを32バイトずつ増加させる、というような具合である。
アプリケーションデータ送信設定変更要求の変更種別がアプリケーションデータサイズを小さくし、アプリケーションデータの送信間隔を短くするものであった場合、設定変更部106は、徐々にアプリケーションデータサイズを小さくしていき、最終的にアプリケーションデータサイズを増加させる前のアプリケーションデータサイズにするようにしてもよい。
あるいは、設定変更部106は、アプリケーションデータサイズを増加させる前のアプリケーションデータサイズに一度に修正する、あるいは、アプリケーションデータサイズを大きくする場合と同様に、目標とする帯域占有率から求める、といった方法を用いてもよい。
目標とする帯域占有率から求める場合、上式(11)を用いて、目標とする帯域占有率に限りなく近い値を求めるか、あるいは、上式(11)を、下記の式(12)のようにして、目標とする帯域占有率に限りなく近い値を求める、という処理を行う。
<目標とする帯域占有率>[%]≦[アプリケーションデータ送信遅延]×[データ取得レート]÷[アプリケーションデータサイズ]×100 ・・・式(12)
上式(11)を使用する場合、アプリケーションデータサイズを小さいサイズから徐々に大きくしていくが、上式(12)を使用する場合、アプリケーションデータサイズを大きなサイズから徐々に小さくしていく。
設定変更部106は、このようにして求めたアプリケーションデータサイズから、式(10)を用いてアプリケーションデータの送信レートを維持するようにアプリケーションデータ送信間隔を求めることで、アプリケーションデータ送信間隔を決定することができる。
なお、パケット、またはフレームの再送はMAC層だけではなく、例えば、トランスポート層でも行われることがある。例えば、トランスポート層でTCP(Transmission Control Protocol)を使用している場合には、TCP層でパケットの受信確認がパケット送信側で取れない場合(TCP ACKを受信できない場合)、トランスポート層でパケットの再送が行われる。
TCPによる再送の場合、受信側でTCPヘッダ中に含まれるシーケンス番号を確認し、既に受信したシーケンス番号を持つパケットであれば、そのパケットが再送パケットであることを検出できる。
しかし、このケースは、TCP層のACKパケットが送信側に届いていないことによる再送であり、アプリケーションデータ自体は受信側に正常に受信されている。従って、この再送による遅延は、次のパケットの到着が遅れる、という形で検出される。
一方で、上記とは別の構成で検出することもできる。パケットを送信する無線ステーション14にTCP層のACKパケットが届くまでの遅延を、TCPパケットの送信時刻とTCP層のACKパケットが届いた時刻から計算し、TCP層の遅延が変動していることを検出することができる。
この場合、無線ステーション14は、ネットワークコントローラ10に対して、
・センサデータとは別に、遅延が変動していることを通知するためのパケットを送信する、あるいは、
・センサデータを送信するパケット中に、TCP層の遅延変動値を含むフィールドを定義しておき、無線ステーション14が、センサデータとともに遅延変動値をネットワークコントローラ10に送信する。
この結果、無線ステーション14から該パケットを受信したネットワークコントローラ10側で、アプリケーション層レベルの遅延変動を検出することができる。
そのため、この構成では、無線ステーション14側に、TCPレベルでの遅延変動を検出するための手段として、TCPパケットの送信時刻をシーケンス番号と対応付けて管理し、そのパケットに対するACKパケットが届いた時刻から遅延変動を検出する機構を備える。
また、この構成では、無線ステーションデータベース104から、最終受信時刻フィールド1048と、遅延変動値フィールド1045を除くことが可能である。
また別の構成では、アプリケーションデータごとに遅延変動が閾値を超えているか否かを判定するのではなく、アプリケーションデータの到着遅延を、遅延変動値フィールド1045の値に、アプリケーションデータを受信するたびに加算していき、その合計値が所定の閾値を超えた場合に、アプリケーションデータサイズとアプリケーションデータ送信間隔を変更する構成としてもよい。
この場合、ネットワークコントローラ10は、再送フラグが立っていないフレーム受信時刻情報を受信した場合であっても、フレーム受信時刻情報に含まれるフレーム受信時刻情報と最終受信時刻フィールド1048の値の差分から、アプリケーションデータ送信間隔フィールド1046の値を引いた値を、遅延変動値フィールド1045の値に加える、という動作を行う。
そして、アプリケーションデータサイズとアプリケーションデータ送信間隔の変更処理を機に(契機として)、遅延変動値フィールド1045の値を初期化する。
設定変更部106は、このようにして決定したアプリケーションデータサイズとアプリケーションデータ送信間隔を、無線ステーションデータベース104の変更対象の無線ステーションIDのアプリケーションデータサイズフィールド1044とアプリケーションデータ送信間隔フィールド1046に登録する。
設定変更部106は、変更後のアプリケーションデータサイズとアプリケーションデータ送信間隔を、アプリケーションデータ送信設定変更要求に含まれる無線ステーションIDを持つ無線ステーション14に通知(アプリケーションデータサイズ・送信間隔変更通知)する。
無線ステーション14は、設定変更部106から、アプリケーションデータサイズ・送信間隔変更通知を受け取ると、通知に従ったアプリケーションデータサイズとアプリケーションデータ送信間隔でアプリケーションデータを送信するように動作を変更する。無線ステーション14は、設定変更部106から通知された、変更後のアプリケーションデータサイズとアプリケーションデータ送信間隔で、無線ステーション14内の不図示の記憶部に記憶されたアプリケーションデータサイズとアプリケーションデータ送信間隔を更新する。無線ステーション14は、アプリケーションデータを送信する場合、不図示の記憶部に記憶されている更新後のアプリケーションデータサイズとし、前回のアプリケーションデータの送信後、更新されたアプリケーションデータ送信間隔が経過した後、次のアプリケーションデータを送信する。
また、無線ステーション14は、アプリケーションデータサイズ・送信間隔変更通知を受け取り、動作を変更したことを、ネットワークコントローラ10に通知する(変更許諾通知)。
変更許諾通知には、無線ステーションIDと、変更が完了したとことを示す情報と、が少なくとも含まれる。
ネットワークコントローラ10が備えるフレーム受信情報取得部100は、変更許諾通知を受け取ると、無線ステーションデータベース104の、変更許諾通知に含まれる無線ステーションIDのエントリの最終受信時刻フィールド1048を、変更許諾通知を受信した時刻に変更する。
また、無線ステーション14が、ハードウェアの機能の制約などでアプリケーションデータサイズ・送信間隔変更通知に従った変更ができない場合には、無線ステーションIDと、変更ができなかったことを示す情報と、現在のアプリケーションデータサイズと、現在のアプリケーションデータ送信間隔と、を含めて、ネットワークコントローラ10に通知するように構成してもよい(変更拒否通知)。
この場合、ネットワークコントローラ10が備えるフレーム受信情報取得部100は、変更拒否通知を受け取ると、無線ステーションデータベース104において、変更拒否通知に含まれる無線ステーションIDのエントリのアプリケーションデータサイズフィールド1044と、アプリケーションデータ送信間隔フィールド104とを、それぞれ変更拒否通知に含まれる値に変更する。
さらに、最終受信時刻フィールド1048を、変更拒否通知を受信した時刻に変更するように構成してもよい。
[動作の説明]
次に、本発明の第1の実施形態の動作について、図面を参照して説明する。
図5は、ネットワークコントローラ10が、各無線ステーション14のアプリケーションデータサイズとアプリケーションデータ送信間隔の初期設定を行うシーケンス動作を説明する図である。
まず、無線ステーション14は、無線ステーションIDと、接続先アクセスポイントIDと、データ取得レートを、ネットワークコントローラ10に通知する(図5のステップS5140)。
次に、ネットワークコントローラ10は、フレーム受信情報取得部100にて、無線ステーション14から情報(接続先アクセスポイントIDとデータ取得レートを)を受け取るたびに、無線ステーションデータベース104に、無線ステーションIDと、接続先アクセスポイントIDと、データ取得レートと、を登録していく(図5のステップS5100)。
次に、ネットワークコントローラ10は、設定変更部106にて、所定の一定期間経過後に、図5のステップS5100で登録した無線ステーションデータベース104の情報を用いて、接続先アクセスポイントIDごとに、各無線ステーション14のアプリケーションデータサイズ、アプリケーションデータ送信間隔を決定する(図5のステップS5102)。
同一の無線アクセスポイント12に接続する無線ステーション14のデータ取得レートを元に、ネットワークコントローラ10が備える設定変更部106は、各無線アクセスポイント12のアプリケーションデータサイズとアプリケーションデータ送信間隔を決定する。
図6は、ネットワークコントローラ10の設定変更部106(図2)が、各無線ステーション14のアプリケーションデータサイズとアプリケーションデータ送信間隔を決定する処理手順を説明するフローチャートである。
まず、設定変更部106は、現アプリケーションデータサイズの値を予め決めておいた最大値に設定する(図6のステップS61060)。この最大値は、無線ネットワーク13のMTUからMAC層などのヘッダサイズを引いたサイズとしてもよい。
次に、設定変更部106は、現アプリケーションデータサイズの値を、前アプリケーションデータサイズの値としてコピーを保持する(図6のステップS61061)。
次に、設定変更部106は、現アプリケーションデータサイズでのアプリケーションデータ送信遅延を、式(1)を用いて求める(図6のステップS61062)。
もし、無線ネットワーク13がIEEE 802.11g以外のネットワークであれば、それに従った式を、式(1)と同様に導出し、導出した式によって、現アプリケーションデータサイズでのアプリケーションデータ送信遅延を求める。
次に、設定変更部106は、各無線ステーション14に対して、現アプリケーションデータサイズでのアプリケーションデータ送信間隔を求める(図6のステップS61063)。
アプリケーションデータ送信間隔は、現アプリケーションデータサイズを、データ取得レートで割ることで算出することができる。
次に、設定変更部106は、各無線ステーション14について、図6のステップS61062で求めたアプリケーションデータ送信遅延と、図6のステップS61063で求めたアプリケーションデータ送信間隔と、を用いて、帯域占有率を、式(6)を用いて求める(図6のステップS61064)。
次に、設定変更部106は、各無線ステーション14の帯域占有率を合計し、目標帯域占有率を超えるか否かを判定する(図6のステップS61065)。
帯域占有率が目標帯域占有率を超える場合(図6のステップS61065のYes)、設定変更部106は、前アプリケーションデータサイズの値を各無線ステーション14のアプリケーションデータサイズとする(図6のステップS61067)。そして、設定変更部106は、このアプリケーションデータサイズとアプリケーションデータ送信間隔を各無線ステーション14に通知し(図6のステップS61068)、処理を終了する。
一方、帯域占有率が目標帯域占有率を超えない場合(図6のステップS61065のNo)、設定変更部106は、現アプリケーションデータサイズの値を前アプリケーションデータサイズの値としてコピーし、現アプリケーションデータサイズの値を、所定のサイズ減らす(図6のステップS61066)。
そして、設定変更部106は、ステップS61062の処理を行う。現アプリケーションデータサイズを減らす場合のサイズは、32バイトや128バイト等、予め決めておくようにしてもよい。
減らすサイズが小さければ、アプリケーションデータサイズを細かく調整可能であるが、アプリケーションデータサイズを決定するまでの時間が伸びる。
一方、減らすサイズが大きければ、アプリケーションデータサイズは大まかな調整になるが、アプリケーションデータサイズを決定するまでの時間は短くなる。このトレードオフを考慮して、任意の値に決定すればよい。
以上の処理によって、無線ステーション14のアプリケーションデータサイズとアプリケーションデータ送信間隔の初期設定が完了する。
ここでは、各無線ステーション14のアプリケーションデータサイズは同一となるが、無線ステーション14のデータ取得レートが低いものを優先してアプリケーションデータサイズを小さくするなど、無線ステーション14ごとにアプリケーションデータサイズを変えるようにしてもよい。この場合、無線ステーション14に、優先度を設定し(優先度情報は、例えば無線ステーションデータベース104に格納される)、ステップS61062からステップS61066の処理を、無線ステーション14の優先度に応じた回数実行する、などの方法で、優先度の高い無線ステーション14のアプリケーションデータサイズを、より適切なサイズとすることが可能となる。
例えば、無線ステーション14の優先度が数値(正の値)で表現され、数値が小さいものの方が高優先度の場合、優先度値の逆数の比をとり、ステップS61062からステップS61066の処理を行う回数を決定する、というようにしてもよい。例えば、センサの中でもバイタルセンサのように人命に関わるデータを取得するセンサが存在する。このようなセンサのデータは他のセンサ(製造装置に取り付けた振動センサなど)のデータよりも優先度を高くするケースがあり得る。このとき、バイタルセンサのセンサデータについては、無線ネットワークが混雑した状況であっても、アプリケーションデータサイズを大きくし、アプリケーションデータ送信間隔を長くする、つまり、遅延を増加させる処理は、他のセンサのアプリケーションデータサイズ、アプリケーションデータ送信間隔を調整した上で、さらに調整が必要な場合に行う、といった運用形態としてもよい。
アプリケーションデータ送信間隔を短くするとは、アプリケーションデータサイズを小さくするということである。無線ステーション14ごとに、アプリケーションデータ到達遅延を超えないアプリケーションデータ送信間隔となる最大アプリケーションデータサイズを求め、設定変更部106は、この最大アプリケーションデータサイズに対して、帯域占有率の合計が所定の値を超えないようにアプリケーションデータサイズを減らしていく、ようにしてもよい。
図7は無線ステーション14が送信したフレームを無線アクセスポイント12が受信し、フレーム受信時刻情報をネットワークコントローラ10に送信するまでのシーケンス動作を説明する図である。
まず、無線ステーション14が、フレームをデータ処理サーバ16に送信する(図7のステップS7140)。
次に、無線アクセスポイント12が、無線ステーション14が送信したフレームを受信し、そのフレームをデータ処理サーバ16に送信する(図7のステップS7120)。このとき、無線アクセスポイント12は、無線ステーション14のIDと、フレーム受信時刻と、再送フラグが立っているかどうかと、をフレーム受信時刻情報として記憶する。
データ処理サーバ16はフレームを受信する(図7のステップS7160)。
次に、無線アクセスポイント12は、図7のステップS7120で記録したフレーム受信時刻情報をネットワークコントローラ10に送信する(図7のステップS7122)。
ネットワークコントローラ10は、無線アクセスポイント12から、フレーム受信時刻情報を受信する(図7のステップS7100)。
図8は、ネットワークコントローラ10が無線ステーション14のアプリケーションデータサイズとアプリケーションデータ送信間隔を変更する処理手順を説明するフローチャートである。
まず、フレーム受信情報取得部100が、フレーム受信時刻情報を無線アクセスポイント12から受け取り、遅延変動検出部102に転送する(図8のステップS81000)。
次に、遅延変動検出部102は、フレーム受信時刻情報に含まれる無線ステーション14のIDで、無線ステーションデータベース104を参照し、該当の無線ステーション14の最終受信時刻と、アプリケーションデータ送信間隔と、遅延変動値と、の情報を取得する(図8のステップS81021)。
次に、遅延変動検出部102は、フレーム受信時刻情報に含まれるフレーム受信時刻と、図8のステップS81021で取得した最終受信時刻の差分を算出する(図8のステップS81022)。
次に、遅延変動検出部102は、図8のステップS81022で算出した差分が、図8のステップS81021で取得したアプリケーションデータ送信間隔を超えるかどうか判定する(図8のステップS81023)。
ここで、遅延変動検出部102は、フレーム受信時刻情報に含まれる再送フラグが立っていない場合(オフである場合)、フレーム受信時刻情報に含まれるフレーム受信時刻と、無線ステーションデータベース104から取得した最終受信時刻フィールド1048の値との差分が、アプリケーションデータ送信間隔に遅延変動許容閾値を加えた値を超えているか否かを判定する。そして、遅延変動検出部102は、この差分を、遅延変動値フィールド1045に登録する。
また、遅延変動検出部102は、フレーム受信時刻情報に含まれる再送フラグが立っている場合、フレーム受信時刻情報に含まれるフレーム受信時刻と、無線ステーションデータベース104から取得した最終受信時刻の差分を、遅延変動値フィールド1045の値に加え、この加えた値を遅延変動値フィールド1045に登録する。
そして、遅延変動検出部102は、登録した遅延変動値フィールド1045の値が、アプリケーションデータ送信間隔フィールド1046の値に遅延変動許容閾値を加えた値を超えているか否かを判定する。
図8のステップS81022で算出した差分が、アプリケーションデータ送信間隔を超える場合(図8のステップS81023のYes)、遅延変動検出部102は、設定変更部106に、アプリケーションデータサイズを増加させ、アプリケーションデータ送信間隔を長くするという変更種別のアプリケーションデータ送信設定変更要求を出す(図8のステップS81024)。
図8のステップS81022で算出した差分が、アプリケーションデータ送信間隔を超えない場合(図8のステップS81023のNo)、遅延変動検出部102は、設定変更部106に、アプリケーションデータサイズを減少させ、アプリケーションデータ送信間隔を短くするという変更種別のアプリケーションデータ送信設定変更要求を出す(図8のステップS81025)。
設定変更部106は、アプリケーションデータ送信設定変更要求に含まれる変更種別に応じて、式(5)等に基づいて、新たなアプリケーションデータサイズ、アプリケーションデータ送信間隔を求める。設定変更部106は、求めた値で、無線ステーションデータベース104の該当する無線ステーション14のエントリの新たなアプリケーションデータサイズフィールド1044、アプリケーションデータ送信間隔フィールド1046の値を更新する(図8のステップS81066)。
続いて、設定変更部106は、新たなアプリケーションデータサイズ、アプリケーションデータ送信間隔を該当の無線ステーション14に通知する(図8のステップS81067)。
遅延変動検出部102は、該当の無線ステーション14の、無線ステーションデータベース104の最終受信時刻フィールド1048の情報を、フレーム受信時刻で更新する(図8のステップS81068)。
図9は、ネットワークコントローラ10が送信したアプリケーションデータサイズ、及びアプリケーションデータ送信間隔の変更通知を無線ステーション14に通知し、無線ステーション14がこれらの設定を変更するシーケンス動作を説明する図である。
まず、ネットワークコントローラ10が、アプリケーションデータサイズ、及びアプリケーションデータ送信間隔の変更通知を無線ステーション14に送信する(図9のステップS9100)。
次に、無線ステーション14は、アプリケーションデータサイズ、及びアプリケーションデータ送信間隔の変更通知を受け取り(図9のステップS9140)、これらの設定を変更する。
無線ステーション14は、変更が成功した場合は、変更受諾通知、変更が失敗した場合は、変更拒否通知を、ネットワークコントローラ10に送信する(図9のステップS9142)。
ネットワークコントローラ10は、無線ステーション14が送信した変更受諾通知、または変更拒否通知を受信する(図9のステップS9102)。
ネットワークコントローラ10は、図9のステップS9102で変更受諾通知を受け取った場合、無線ステーションデータベース104の該当する無線ステーション14のIDのエントリの最終受信時刻フィールド1048の値を、変更受諾通知を受け取った時刻に更新する(図9のステップS9104)。
ネットワークコントローラ10は、図9のステップS9102で変更拒否通知を受け取った場合、無線ステーションデータベース104の該当する無線ステーション14のアプリケーションデータサイズと、アプリケーションデータ送信間隔と、を変更拒否通知に含まれる値に更新し、最終受信時刻フィールド1048の値を、変更拒否通知を受信した時刻に更新する。
このようにして、無線ステーション14のアプリケーションデータサイズと、アプリケーションデータ送信間隔が更新される。
[効果の説明]
次に、例示的な第1の実施の形態の作用効果について説明する。
例示的な第1の実施の形態によれば、アプリケーションデータを受信するまでの遅延が増加すると、無線ネットワークが混雑したと判断し、該当する無線ステーション14のアプリケーションデータサイズを増加させ、アプリケーションデータ送信間隔を長くすることで、ネットワークの混雑状況を緩和するように動作する。また、アプリケーションデータの到達遅延が増大していない間は、アプリケーションデータサイズを可能な限り小さくし、アプリケーションデータ送信間隔を短くすることで、アプリケーションデータサイズの到達遅延を守るように動作する。
このとき、アプリケーションデータの送信レートは保たれるように、アプリケーションデータサイズとアプリケーションデータ送信間隔は変更される。そのため、アプリケーションデータの送信レートを保つ必要があるアプリケーションであっても、アプリケーションデータの到着遅延の増加が発生した場合、すなわち、パケットやフレームの再送が発生し、ネットワークが混雑している状況を緩和し、パケットやフレームの再送回数の上限に達する確率を下げることで、到達遅延をできるだけ小さくしつつ、アプリケーションデータの欠落が発生する確率を下げることができる。以下では、具体例を用いて、本実施の形態の作用効果についてさらに説明する。
例えば工場等に置いて、製造装置の異常を検知するために、製造装置の可動部(モーター等)の付近に加速度センサ(3軸(X方向、Y方向、Z方向)、10KHz(Kilo Herz)サンプリング)を取り付けるケースを想定する。
データ形式として、{時刻、X方向の加速度、Y方向の加速度、Z方向の加速度}の4つの8バイト値(合計32バイト値)から構成されるものとする。そして、このセンサを備える製造装置が4台配置されているとする。
サンプリングレートが10KHz(KiloHerz)であるため、製造装置あたり、毎秒320Kバイト(32バイト×10000回)のデータが加速度センサで取得される。
仮に、各加速度センサが1ミリ秒ごとに、320バイトのデータを送信するものとし、かつ、無線ネットワークがIEEE802.11g(変調方式:OFDM、レート:54Mbps(Mega bits per second))の場合、上式(3)により、320バイトのUDP(User Datagram Protocol)ペイロードを送信すると、MACフレームの送信からACKの受信までの遅延は237.5マイクロ秒となる。
この値と、データ送信間隔(1ミリ秒)を式(1)に代入すると、
帯域占有率=237.5[マイクロ秒]÷1[ミリ秒]×100≒23.8%
となる。
製造装置が4台存在するため、製造装置全体では、23.8%×4=95.2%の帯域を占有することになる。
このときに電波環境が悪化し、パケットやフレームの再送によって、ネットワークが混雑し始め、加速度センサのアプリケーションデータサイズ、およびアプリケーションデータ送信間隔を変更する場合の例を以下に説明する。
仮に、加速度センサについて、目標とする帯域占有率の合計値を50%とした場合、加速度センサ1つあたりの目標とする帯域占有率は、式(11)より、
50%/4=12.5%≧[アプリケーションデータ送信遅延]×[データ取得レート]÷[アプリケーションデータサイズ]×100・・・式(13)
となる。
加速度センサのアプリケーションデータサイズを、仮に、倍の640バイトとした場合、アプリケーションデータ送信遅延は、上式(3)より、281.5マイクロ秒となる。
データ取得レートは変わらず、320KB/秒である。アプリケーションデータサイズは640バイトである。
これらの値を、上式(13)に代入すると、上式(13)の右辺は、
281.5[マイクロ秒]×320[KB/秒]÷640[バイト]×100
=14.7%≧12.5%
となり、目標とする帯域占有率を達成できない。
アプリケーションデータサイズをさらに倍の1280バイトとした場合、アプリケーションデータ送信遅延は、上式(3)より、377.5マイクロ秒となる。
アプリケーションデータサイズが640バイトの場合と同様に、
377.5[マイクロ秒]×320[KB/秒]÷1280[バイト]×100≒7%≦12.5%
となり、目標とする帯域占有率を達成することができる。
このとき、加速度センサの総帯域占有率は、
7%×4=28%
となり、ノイズ等の干渉を受ける確率が下がり、結果として、アプリケーションデータの再送を繰り返す確率が下がり、再送回数の上限に達する前に解析アプリケーションにアプリケーションデータが届く確率が上がる。つまり、アプリケーションデータの欠落が防がれる可能性が上がる。
[第2の実施の形態]
[構成の説明]
次に、本発明の例示的な第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、前記した実施形態と同様の構成要素に対しては、図面において、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。図10は、本発明の例示的な第2の実施形態に係る無線ステーションデータベース105の一構成例を示す図である。
図10を参照すると、無線ステーションデータベース105は、無線ステーションデータベース104に、各無線ステーション14が使用する変調方式を示す変調方式フィールド1047を備えている。具体的には、変調方式フィールドは、変調方式と伝送速度の情報から構成される。
IEEE802.11gを例にすると、変調方式として、DSSSまたはOFDMが利用可能である。また、伝送速度として、最低1Mbpsから最大で54Mbpsまで、選択可能である。
伝送速度を高めると、通信可能な距離が短くなるため、実際には、無線ステーション14と、無線アクセスポイント12の間の電波環境などに応じて、伝送速度が決定される。IEEE802.11では、変調方式と伝送速度によって、1シンボルに格納可能なビット数が異なる。
1シンボル当たりの送信時間はIEEE802.11の各無線規格で定められており、同一の無線規格内では格納可能なビット数によらず一定であるため、1シンボルに多数のビット数を格納可能な変調方式の方が、同サイズのアプリケーションデータを送信する場合には短いアプリケーションデータ送信遅延となる。そのため、ネットワークコントローラ10は、各無線ステーション14のアプリケーションデータサイズとアプリケーションデータ送信間隔を決定する際に、図6のステップS61062にて式(3)のシンボルあたりのビット数の項に、変調方式と伝送速度によって決まる値を代入し、無線ステーション14ごとに異なる可能性のある変調方式、伝送速度に応じたフレーム送信遅延を求める。
無線ステーション14がどの変調方式、伝送速度を使用するかは、無線ステーション14が、図5のステップS5140で、無線ステーションIDなどをネットワークコントローラ10に通知する際に、同時に、通知する構成としてもよい。
[効果の説明]
次に、例示的な第2の実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態では、無線ステーション14が使用する変調方式、伝送速度を考慮して、各無線ステーション14が使用するアプリケーションデータサイズ、アプリケーションデータ送信間隔を決定するように動作する。これによって、電磁ノイズ等が存在する環境、かつ異なる変調方式、伝送速度が混在する環境であっても、パケットやフレームの再送が発生し、ネットワークが混雑している状況を緩和し、パケットやフレームの再送回数の上限に達する確率を下げることで、遅延を可能な限り小さくしつつ、アプリケーションデータの欠落が発生する確率を下げることができる。
[第3の実施の形態]
[動作の説明]
次に、本発明の例示的な第3の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、前記した実施形態と同様の構成要素に対しては、図面において、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。図11は、ある無線ステーション14が、別の無線アクセスポイント12に接続する際の動作を示したシーケンス図である。これは、作業者に装着したバイタルセンサのように、移動する対象物に接続されたセンサが対象物の移動に伴って、様々な無線アクセスポイント12へ接続するケースを想定したものである。ここでは、図1の無線ステーション14aが、無線アクセスポイント12aから無線アクセスポイント12bに接続するとして、説明する。
まず、無線ステーション14aは、無線アクセスポイント12aのエリアから外れ、無線アクセスポイント12bのエリアに入りそうになると、ネットワークコントローラ10に、接続先無線アクセスポイント変更通知を出す(図11のステップS11140)。
接続先無線アクセスポイントを変更するか否かの判断基準として、無線アクセスポイントから受信する電波の強度を見て、現在接続している無線アクセスポイント12aよりも強度の強い電波を受信可能な無線アクセスポイント12bに切り替える、と判断するようにしてもよい。この接続先無線アクセスポイント変更通知には、無線ステーションIDと、接続先無線アクセスポイントIDが少なくとも含まれる。
接続先無線アクセスポイント変更通知を受け取ったネットワークコントローラ10は、該当する無線ステーション14の接続先アクセスポイントのフィールドIDを、接続先無線アクセスポイント変更通知に含まれる接続先アクセスポイントIDに変更する(図11のステップS5100)。
無線アクセスポイントの接続先を変更する無線ステーション14を含めて、接続先アクセスポイントIDの無線アクセスポイント12に接続する全ての無線ステーション14について、アプリケーションデータサイズとアプリケーションデータ送信間隔を再計算し、アプリケーションデータサイズとアプリケーションデータ送信間隔に変更のある無線ステーション14に、変更内容を通知する(図11のステップS11102)。
アプリケーションデータサイズとアプリケーションデータ送信間隔に変更のある無線ステーション14は、変更通知をネットワークコントローラ10から受け取ると、設定を変更し(図11のステップS5142)、変更が完了した旨をネットワークコントローラ10に通知する(図11のステップS5144)。
ネットワークコントローラ10は、無線ステーション14から、設定完了通知を受け取る(図11のステップS11104)。
図11を参照して説明したシーケンスは、無線ステーション14が移動するケースだけでなく、新規に無線ステーション14を接続する場合にもあてはまる。この場合、図11のステップS11140において、無線ステーション14は、無線ステーションID、接続先アクセスポイントIDの他に,データ取得レートをネットワークコントローラ10に通知する。
[効果の説明]
次に、例示的な第3の実施の形態の作用効果について説明する。
例示的な第3の実施の形態では、無線ステーション14が接続先のアクセスポイントを変更することを考慮して、ネットワークコントローラ10が、無線ステーション14が使用するアプリケーションデータサイズ、アプリケーションデータ送信間隔を変更する。
これによって、電磁ノイズ等が存在する環境、かつ移動する無線ステーション14が存在する環境であっても、パケットやフレームの再送が発生し、ネットワークが混雑している状況を緩和し、パケットやフレームの再送回数の上限に達する確率を下げることで、遅延を可能な限り小さくしつつ、アプリケーションデータの欠落が発生する確率を下げることができる。
[第4の実施の形態]
[構成の説明]
次に、本発明の第4の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、前記した実施形態と同様の構成要素に対しては、図面において、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。図12は、本発明の第4の実施形態に係る、無線通信システム2の一構成例を示す図である。図12を参照すると、無線通信システム2では、各無線アクセスポイント12a、12bに対応してネットワークコントローラ10a、10bが備えられている。図12では無線アクセスポイント12a、12bの外部にネットワークコントローラ10a、10bが配設されているが、ネットワークコントローラ10が無線アクセスポイント12の内部に備えるようにしてもよい。
ネットワークコントローラ10a、10b同士は、有線または無線のネットワーク(図12のネットワーク17)で相互に接続されている。
ネットワークコントローラ10は、接続されている無線アクセスポイント12の配下に存在する無線ステーション14の管理を行う。
基本的な動作は第1の実施の形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。
図13は、無線アクセスポイント12a(およびネットワークコントローラ10a)に接続していた無線ステーション14が、無線アクセスポイント12bに接続する際の、設定変更のシーケンスを説明する図である。
まず、接続先の無線アクセスポイント2aを変更する無線ステーション14は、ネットワークコントローラ10aに接続先無線アクセスポイント変更通知を出す(図13のステップS13140)。
接続先無線アクセスポイント変更通知には、少なくとも新たな接続先となる無線アクセスポイント12bのIDと、無線ステーション14のIDと、が含まれる。
次に、ネットワークコントローラ10aは、変更先となる無線アクセスポイント12bのネットワークコントローラ10bに、移動する無線ステーション14のIDと、データ取得レートを通知する(図13のステップS13100)。
データ取得レートは、ネットワークコントローラ10aが備える無線ステーションデータベース104を参照することで得られる。
次に、ネットワークコントローラ10bは、新たに接続する無線ステーション14を含め、配下の無線ステーション14のアプリケーションデータサイズとアプリケーションデータ送信間隔を再計算する(図13のステップS13102)。
次に、無線ステーション14が変更先の無線アクセスポイント12bに接続し、ネットワークコントローラ10bに、その旨を通知する(図13のステップS13142)。
次に、ネットワークコントローラ10bは、図13のステップS13102で計算したアプリケーションデータサイズとアプリケーションデータ送信間隔を配下の無線ステーション14に通知する(図13のステップS13104)。
ネットワークコントローラ10bと、無線ステーション14の通知のやりとりは、図11のステップS5142からステップS11104等を参照のこと。
次に、ネットワークコントローラ10bは、ネットワークコントローラ10aに無線ステーション14の接続先アクセスポイント変更が完了した通知を出す(図13のステップS13106)。この通知には、少なくとも接続先を変更した無線ステーション14のIDが含まれる。
次に、ネットワークコントローラ10aは、移動した無線ステーション14のエントリを、無線ステーションデータベース104から削除する。
[効果の説明]
次に、例示的な第4の実施の形態の作用効果について説明する。例示的な第4の実施の形態では、ネットワークコントローラ10が、各無線アクセスポイント12に備えられる。これによって、無線通信システム1乃至2を集中制御するコントローラが存在しない場合でも、電磁ノイズ等が存在する環境で、パケットやフレームの再送が発生し、ネットワークが混雑している状況を緩和し、パケットやフレームの再送回数の上限に達する確率を下げることで、遅延を可能な限り小さくしつつ、アプリケーションデータの欠落が発生する確率を下げることができる。
[第5の実施の形態]
[構成の説明]
次に、本発明の第5の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明の実施形態と同様の構成要素に対しては、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。図14は、本発明の第5の実施形態に係る無線ステーションデータベース107の構成例を示す図である。
図14を参照すると、無線ステーションデータベース107は、無線ステーションデータベース104のアプリケーションデータ送信間隔フィールド1046と、最終受信時刻フィールド1048とが、それぞれビーコン送信間隔フィールド1049と、ビーコン最終受信時刻フィールド1050となっている点、また、遅延変動値フィールド1045が存在しない点、が異なる。
IoT(Internet of Things)においては、データの取得レートが数ミリ秒に1回という高いレートのセンサから、数秒〜数分に1回という低いレートのセンサまで、様々なデータ取得レートのセンサが存在する。
データの取得レートが高いセンサの場合、アプリケーションデータ送信間隔も短くなる傾向があり、アプリケーションデータの到達遅延が増大したことの検出を、比較的早期に行うことができる。
しかし、データの取得レートが低いセンサの場合、アプリケーションデータ送信間隔も長くなり、アプリケーションデータの到達遅延が増大したことが検出されるのが、数秒〜数分後ということになりかねない。秒〜数分という時間は、無線通信における遅延の時間オーダ(マイクロ秒〜ミリ秒)とは、その差が大きい。
結果として、アプリケーションデータの到達遅延の増大の検出が遅れ、アプリケーションデータの到着遅延の制約を守れなくなる可能性がある。
そこで、こういったデータ取得レートが低いセンサを主な対象として、データ取得レートの低いセンサが接続された無線ステーション14から、ネットワークコントローラ10へ、定期的にビーコンフレームを送信する、という構成としてもよい。
ビーコンフレームは、フレームヘッダまたはフレームのデータ部に、ビーコンフレームであることを示す情報が埋め込まれている。
ネットワークコントローラ10は、この情報に基づいて、フレーム受信時刻情報の通知なのか、ビーコンフレームなのかを識別する。
また、ビーコンフレームは、ある決められたフォーマットに従ったフレームであり、その遅延は式(3)などを用いて求めることができる。
ビーコンフレームの送信間隔は、無線通信システム1、2を管理する管理者が、どの程度早期に遅延の増大を検出したいか、ということに基づいて任意の値を設定することができる。
ビーコンフレームの送信間隔が極端に短いと、ビーコンフレームの送信によって無線リソースが消費されてしまい、無線リソースの利用効率の低下につながる。
そのため、例えば、無線アクセスポイント12の配下に存在するビーコンフレームを送信する無線ステーション14の個数に応じて、ビーコンフレームの送信間隔を下記の式(14)で求めるようにしてもよい。
ビーコンフレームの送信間隔=[管理者が遅延増大を検出するまでの時間]×[ビーコンフレームを送信する無線ステーション14の個数]×[スケール] ・・・式(14)
式(14)において、スケールの項は、ビーコンフレームの送信間隔を調整するための項である。
例えば、管理者が遅延増大を検出するまでの時間を5ミリ秒とし、ビーコンフレームを送信する無線ステーション14の個数が10個、スケールが1.0の場合、各無線ステーション14は、
5ミリ秒×10個×1.0=50ミリ秒
に1回、ビーコンフレームを送信することになる。
各無線ステーション14がビーコンフレームを送信するタイミングが十分に分散していれば、平均して5ミリ秒に1回の頻度で、ネットワークコントローラ10は、ビーコンフレームを受信することができる。
もし、無線通信システム1又は2の管理者が、より早く遅延の増大を検出したいと考えれば、スケールを0.5のような値とし、
5ミリ秒×10個×0.5=25ミリ秒
に1回、ビーコンフレームを送信するような調整が可能である。
さらに、式(14)のビーコンフレームを送信する無線ステーション14の個数の項を、無線アクセスポイント12配下の全ての無線ステーション14の個数、としてもよい。
これは、データ取得レートの高い無線ステーション14から受信するフレームによっても、ネットワークコントローラ10は、遅延の増大を検出可能だからである。
各無線ステーション14がビーコンフレームを送信するタイミングの設定方法については、図5のステップS5140にて、無線ステーション14がビーコンフレームを送信する旨を、ネットワークコントローラ10に通知し、ネットワークコントローラ10は、式(7)のような方法で、ビーコンフレーム送信間隔を図5のステップS5102で求め、無線ステーション14に通知する。
図15は、第5の実施形態において、ビーコンフレーム送信端末フラグを管理する無線ステーションデータベース108の構成を模式的に示す図である。
ビーコンフレームを送信する無線ステーション14と、ビーコンフレームを送信しない無線ステーション14が混在する場合は、図15に例示するように、例えば、ビーコンフレームを送信する端末であることを示すフラグを管理するフィールド(ビーコンフレーム送信端末フラグフィールド)1051を、無線ステーションデータベース108に備える。
ネットワークコントローラ10が、フレーム受信時刻情報の通知を受けた時に、このビーコンフレーム送信端末フラグフィールド1051が無効になっている無線ステーション14からのフレーム受信時刻情報であった場合に、アプリケーションデータ到達遅延の増大の判定を行う、といった構成とすることが考えられる。
あるいは、フレーム受信情報取得部100にて、ビーコンフレームを送信する無線ステーション14のリストを保持し、このリストに登録されている無線ステーション14のIDが含まれるフレーム受信時刻情報の通知はフィルタリングし、アプリケーションデータ到達遅延の増大の判定を行わないようにする、という構成としてもよい。
ネットワークコントローラ10は、ビーコンフレームを送信する無線ステーション14については、図6のステップS61062〜ステップS61064の処理で、データの送信に関するフレームによる、帯域占有率の他に、ビーコンフレームによる帯域占有率を求め、図6のステップS61065の帯域占有率の合計が所定の値を超えるかどうかの判定に用いる。
そして、所定の値を超えた場合には、データの送信に関するフレームのアプリケーションデータサイズを、前アプリケーションデータサイズに設定するか、あるいは、ビーコンフレームの送信間隔を、式(7)の管理者が遅延増大を検出するまでの時間やスケールの項を調整することで、データの送信に関するフレームのアプリケーションデータサイズを可能な限り小さくする、ように制御するようにしてもよい。
ビーコンフレームの送信間隔の変更通知は、例えば、図9のシーケンスに従って行うことができる。
この場合、アプリケーションデータサイズ、アプリケーションデータ送信間隔の変更を、ビーコンフレームの送信間隔の変更、と置き換える、といったことが考えられる。
[効果の説明]
次に、第5の実施の形態の作用効果について説明する。
第5の実施の形態では、ネットワークコントローラ10が備える無線ステーションデータベース108がビーコンフレームを扱えるように構成されている。
これによって、アプリケーションデータの送信間隔が長い無線ステーション14であっても、早期にアプリケーションデータ到着遅延の増大を検出することができる。
結果として、早期に無線ネットワークの混雑具合が極めて悪くなる前に対処をすることが可能になり、アプリケーションデータサイズとアプリケーションデータ送信間隔の調整幅を小さくすることができるようになる。結果として、遅延を小さく抑えることが可能になる。
図16に示すように、ネットワークコントローラ10は、コンピュータ装置200に実装してもよい。図16を参照すると、コンピュータ装置200は、プロセッサ(CPU(Central Processing Unit)、データ処理装置)201、半導体メモリ(例えばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、又は、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)等)、HDD(Hard Disk Drive)、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の少なくともいずれかを含む記憶装置202と、表示装置203と、ネットワークインタフェース(Network Interface Card: NIC)204を備えている。ネットワークインタフェース(NIC)204はネットワーク11を介して無線アクセスポイント12、あるいは他のネットワークコントローラと通信接続する。記憶装置202に、前記各実施形態で説明したネットワークコントローラ10の機能を実現するプログラムを記憶しておき、プロセッサ201が、該プログラムを読み出して実行することで、前記実施形態のネットワークコントローラ10の機能を実現するようにしてもよい。
特に制限されないが、上記各実施形態によれば、例えばセンサのような定期的にデータを送信するような端末が存在する環境に適用できる。ただし、端末は、インターネットに接続されるIoTデバイス等が送信するパケットサイズ、パケット送信間隔の制御に制限されるものでなく、例えばある時間帯等で、データ(Uplink Data)を無線アクセスポイント等に所定間隔で送信する設定とされた、任意の通信端末やM2Mデバイス(Machine to Machine)等の通信デバイスを含む通信ネットワーク等に適用可能である。
なお、上記の特許文献1−11の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各付記の各要素、各実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ乃至選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
上記した実施形態は、以下のように付記される。
(付記1)
パケット送信端末からのパケットの到達遅延と、前記パケットと異なるデータをパケットのデータ部に含む直前のパケットの到達遅延の差から、パケット到達遅延の変動を検出する第1の手段と、
パケットの到達遅延の変動が、予め定められた第1の閾値(遅延変動許容値)を超えている場合に、パケット送信端末のデータの取得レートより上回るようにパケットサイズとパケットの送信間隔を求め、前記パケットサイズとパケット送信間隔をパケット送信端末に通知する第2の手段と、
を備えた、ことを特徴とするパケットサイズ調整装置。
(付記2)
前記第1の手段は、
前記パケット送信端末が送信したパケット受信時刻を取得するパケット受信時刻取得部と、
前記パケット送信端末の識別子と対応付けて受信済みのパケット受信時刻を管理するパケット受信データ管理部と、
前記パケット受信データ管理部が管理する受信済みのパケット受信時刻と、前記パケット受信時刻の差分から、パケット到達遅延の変動を検出する遅延変動検出部と、
を備え、
前記第2の手段は、
前記遅延変動検出部が検出した遅延の変動が、前記第1の閾値を超えている場合に、前記第1の閾値を超えたパケット送信端末、または、前記パケット送信端末とネットワークリソースを共有する全パケット送信端末の、パケットサイズとパケット送信間隔を再計算し、再計算したパケットサイズとパケット送信間隔を、前記全パケット送信端末の全て、またはパケットサイズとパケット送信間隔に変更のあるパケット送信端末に通知する設定変更部を備えた、ことを特徴とする付記1記載のパケットサイズ調整装置。
(付記3)
前記設定変更部は、パケットを送信するのに要する遅延を、使用する変調方式と、シンボル当たりのデータサイズと、シンボル当たりの送信遅延と、パケットに対する応答を受信するまでの遅延と、から求め、前記求めた遅延を前記パケット送信間隔で割ることで、通信媒体の占有率を求め、占有率が所定の上限を超えないように前記パケットサイズと、前記パケット送信間隔を決定する、ことを特徴とする、付記2に記載のパケットサイズ調整装置。
(付記4)
前記遅延変動検出部は、前記第1の閾値に加え、第2の閾値を備え、前記第1の閾値を超える遅延の増大を検出した際に、前記第1の閾値を超えたパケット送信端末のパケットサイズを増加させ、パケット送信間隔を長くするための変更要求を前記設定変更部に出し、また、第2の閾値を下回る遅延を検出した際に、前記第2の閾値を下回ったパケット送信端末のパケットサイズを減少させ、パケット送信間隔を短くするための変更要求依頼を前記設定変更部に出し、
前記設定変更部は、前記変更要求に従って、パケットサイズとパケット送信間隔を決定するする、ことを特徴とする、付記2又は3に記載のパケットサイズ調整装置。
(付記5)
前記遅延変動検出部は、さらに第3の閾値を備え、遅延の変動が閾値を超えた回数を記録し、前記回数が前記第3の閾値を超えた場合に、前記設定変更部に、パケットサイズとパケット送信間隔を変更するように要求する、ことを特徴とする、付記2乃至4のいずれか1に記載のパケットサイズ調整装置。
(付記6)
前記設定変更部は、新規のパケット送信端末が追加された際、またはパケット送信端末が移動した際に、前記パケット送信端末とネットワークリソースを共有する全てのパケット送信端末のパケットサイズと、パケット送信間隔を再度決定する、ことを特徴する、付記2乃至5のいずれか1に記載のパケットサイズ調整装置。
(付記7)
前記パケット送信端末は、ビーコンパケットを定期的に送信し、
前記遅延変動検出部は、ビーコンパケットの到達遅延に基づいて遅延の変動を検出する、ことを特徴とする、付記2乃至6のいずれか1に記載のパケットサイズ調整装置。
(付記8)
付記1乃至7のいずれか1に記載のパケットサイズ調整装置を備えたネットワークコントローラ。
(付記9)
パケット送信端末からのパケットの到達遅延と、過去のパケットの到達遅延の差から、パケット到達遅延の変動を検出し、
パケットの到達遅延の変動が、所定の閾値を超えている場合に、パケット送信端末のデータの取得レートより上回るようにパケットサイズとパケットの送信間隔を求め、前記パケットサイズとパケット送信間隔をパケット送信端末に通知する、ことを特徴とするパケットサイズ調整方法。
(付記10)
パケット送信端末からのパケットの到達遅延と、過去のパケットの到達遅延の差から、パケット到達遅延の変動を検出する処理と、
パケットの到達遅延の変動が、ある閾値を超えている場合に、パケット送信端末のデータの取得レートより上回るようにパケットサイズとパケットの送信間隔を求め、前記パケットサイズとパケット送信間隔をパケット送信端末に通知する処理と、をコンピュータに実行させるプログラム。
以下の各付記では、上記各付記と同様に、フレームをパケットに置き換えてもよい。
(付記11)
データをフレームに含めて一度に送信する端末から送信されたフレームの受信時刻を取得するフレーム受信時刻取得部と、
前記端末と関連付けて、前記端末から送信されたフレームの受信時刻、前記端末がフレームに含めて一度に送信するデータサイズ、及びフレーム送信間隔を少なくとも記憶する記憶部と、
前記端末から今回受信したフレームの受信時刻と、前回受信したフレームの受信時刻との差と、前記端末のフレーム送信間隔に基づき、前記フレームの遅延の変動を検出する遅延変動検出部と、
前記遅延変動検出部で検出された前記フレームの遅延の変動と、予め定められた遅延変動許容値との比較結果に応じて、前記端末がフレームに含めて一度に送信するデータサイズとフレーム送信間隔を求め、求めた値で前記記憶部における該当する端末のエントリを更新するとともに、該当する端末に、前記データサイズとフレーム送信間隔の変更を通知する設定変更部と、
を備えた、ことを特徴とする制御装置。
(付記12)
前記設定変更部は、前記端末が前記フレームに含めて一度に送信するデータサイズを増加させ、前記フレーム送信間隔を長くする場合、
前記フレームを送信するのに要する遅延を、
使用する変調方式と、
シンボル当たりのデータサイズと、
シンボル当たりの送信遅延と、
前記フレームの送信に対する応答を受信するまでの遅延と、
に基づき算出し、
前記遅延を、前記フレーム送信間隔で除することで、通信媒体の帯域占有率を求め、
前記帯域占有率が、予め定められた値を超えないように、前記データサイズと前記フレーム送信間隔を決定する、ことを特徴とする、付記11に記載の制御装置。
(付記13)
前記遅延変動検出部は、前記端末から今回受信したフレームが再送でない場合には、
前記記憶部に記憶されている、前記端末から前回受信したフレームの受信時刻と、
前記今回受信したフレームの受信時刻と、
の差分をとり、
前記差分と、
前記記憶部に記憶されている前記端末の前記フレーム送信間隔に前記遅延変動許容値を加えた値と、
の比較結果に基づき、前記端末が前記フレームに含めて一度に送信するデータサイズとフレーム送信間隔の変更要求を、前記設定変更部に出力する、ことを特徴とする付記11又は12に記載の制御装置。
(付記14)
前記遅延変動検出部は、前記端末から今回受信したフレームが再送である場合には、
前記記憶部に記憶されている、前記端末から前回受信したフレームの受信時刻と、
前記今回受信したフレームの受信時刻と、
の差分をとり、
前記差分を、前記記憶部に前記端末に関連付けて記憶された遅延変動値に加えた値で、前記遅延変動値を更新し、
更新された前記遅延変動値と、
前記フレーム送信間隔に前記遅延許容値を加えた値と、
の大小の比較結果に基づき、前記端末が前記フレームに含めて一度に送信するデータサイズと前記フレーム送信間隔の変更要求を、前記設定変更部に出力する、ことを特徴とする付記11又は12に記載の制御装置。
(付記15)
前記遅延変動検出部は、前記フレームの遅延変動が、前記遅延変動許容値に関する予め定められた第1の閾値を超える場合、
前記第1の閾値を超えた前記端末が前記フレームに含めて一度に送信するデータサイズを増加させ、前記フレーム送信間隔を長くするための変更要求を前記設定変更部に出し、
前記フレームの遅延変動が、前記遅延変動許容値に関する第2の閾値を下回る場合、
前記第2の閾値を下回った端末が送信するデータサイズを減少させ、フレーム送信間隔を短くするための変更要求依頼を前記設定変更部に出し、
前記設定変更部は、前記変更要求に従って、前記端末のデータサイズとフレーム送信間隔を決定する、ことを特徴とする、付記11乃至14のいずれかに記載の制御装置。
(付記16)
前記遅延変動検出部は、前記フレームの遅延変動が前記遅延許容変動値を超えた回数、又は、前記フレームの遅延変動が前記遅延許容変動値を超えた回数と超えなかった回数の差が、予め定められた値を超えた場合に、前記設定変更部に対して、前記端末がフレームに含めて一度に送信するデータのサイズとフレーム送信間隔を変更するように要求する、ことを特徴とする、付記11乃至14のいずれかに記載の制御装置。
(付記17)
前記設定変更部は、無線アクセスポイントと通信する端末が追加された際、又は、前記端末が他の無線アクセスポイントに移動した際に、
前記端末とネットワークリソースを共有する端末がフレームに含めて一度に送信するデータサイズとそのフレーム送信間隔を再計算する、ことを特徴する、付記11乃至16のいずれかに記載の制御装置。
(付記18)
前記端末は、ビーコンフレームを送信し、
前記遅延変動検出部は、前記ビーコンフレームの受信時刻に基づいて遅延の変動を検出する、ことを特徴とする、付記11乃至17のいずれかに記載の制御装置。
(付記19)
データをフレームに含めて一度に送信する端末と関連付けて、前記端末から送信されたフレームを受信した時刻、前記端末が送信するデータサイズ及びフレーム送信間隔を少なくとも記憶する記憶部を有するコンピュータによるネットワーク制御方法であって、
前記端末が送信したフレームの受信時刻を取得し、
前記端末から今回受信したフレームの受信時刻と、前記記憶部に記憶されている、前記端末から前回受信したフレームの受信時刻との差と、前記端末のフレーム送信間隔と、に基づき、前記フレームの遅延の変動を検出し、
前記フレームの遅延の変動と、予め定められた遅延変動許容値との比較結果に応じて、前記端末がフレームに含めて一度に送信するデータサイズとフレームの送信間隔を求め、求めた値で前記記憶部における該当する端末のエントリを更新するとともに、該当する端末に、前記データサイズと前記フレームの送信間隔の変更を通知する、ことを特徴とするネットワーク制御方法。
(付記20)
前記端末が前記フレームに含めて一度に送信するデータサイズを増加させ、前記フレーム送信間隔を長くする場合、
前記フレームを送信するのに要する遅延を、
使用する変調方式と、
シンボル当たりのデータサイズと、
シンボル当たりの送信遅延と、
前記フレームの送信に対する応答を受信するまでの遅延と、
に基づき算出し、
前記遅延を、前記フレーム送信間隔で除することで、通信媒体の帯域占有率を求め、
前記帯域占有率が、予め定められた値を超えないように、前記データサイズと前記フレーム送信間隔を決定する、ことを特徴とする、付記19に記載のネットワーク制御方法。
(付記21)
前記端末から今回受信したフレームが再送でない場合には、
前記記憶部に記憶されている、前記端末から前回受信したフレームの受信時刻と、
前記今回受信したフレームの受信時刻と、
の差分をとり、
前記差分と、
前記記憶部に記憶されている前記端末の前記フレーム送信間隔に前記遅延変動許容値を加えた値と、
の比較結果に基づき、前記端末が前記フレームに含めて一度に送信するデータサイズとフレーム送信間隔の変更要求を出力する、ことを特徴とする付記19又は20に記載のネットワーク制御方法。
(付記22)
前記端末から今回受信したフレームが再送である場合には、
前記記憶部に記憶されている、前記端末から前回受信したフレームの受信時刻と、
前記今回受信したフレームの受信時刻と、
の差分をとり、
前記差分を、前記記憶部に前記端末に関連付けて記憶された遅延変動値に加えた値で、前記遅延変動値を更新し、
更新された前記遅延変動値と、
前記フレーム送信間隔に前記遅延許容値を加えた値と、
の大小の比較結果に基づき、前記端末が前記フレームに含めて一度に送信するデータサイズと前記フレーム送信間隔の変更要求を出力する、ことを特徴とする付記19又は20に記載のネットワーク制御方法。
(付記23)
前記フレームの遅延変動が、前記遅延変動許容値に関する予め定められた第1の閾値を超える場合、
前記第1の閾値を超えた前記端末が前記フレームに含めて一度に送信するデータサイズを増加させ、前記フレーム送信間隔を長くするための変更要求を出し、
前記フレームの遅延変動が、前記遅延変動許容値に関する第2の閾値を下回る場合、
前記第2の閾値を下回った端末が送信するデータサイズを減少させ、フレーム送信間隔を短くするための変更要求を出し、
前記変更要求に従って、前記端末のデータサイズとフレーム送信間隔を決定する、ことを特徴とする、付記19乃至22のいずれかに記載のネットワーク制御方法。
(付記24)
前記フレームの遅延変動が前記遅延許容変動値を超えた回数、又は、前記フレームの遅延変動が前記遅延許容変動値を超えた回数と超えなかった回数の差が、予め定められた値を超えた場合に、前記端末がフレームに含めて一度に送信するデータのサイズとフレーム送信間隔を変更するように要求する、ことを特徴とする、付記19乃至23のいずれかに記載のネットワーク制御方法。
(付記25)
無線アクセスポイントと通信する端末が追加された際、又は、前記端末が他の無線アクセスポイントに移動した際に、
前記端末とネットワークリソースを共有する端末がフレームに含めて一度に送信するデータサイズとそのフレーム送信間隔を再計算する、ことを特徴する、付記19乃至24のいずれかに記載のネットワーク制御方法。
(付記26)
前記端末は、ビーコンフレームを送信し、
前記ビーコンフレームの受信時刻に基づいて遅延の変動を検出する、ことを特徴とする、付記19乃至25のいずれかに記載のネットワーク制御方法。
(付記27)
データをフレームに含めて一度に送信する端末と関連付けて、前記端末から送信されたフレームの受信時刻、前記端末が送信するフレームのサイズ及びフレーム送信間隔を少なくとも記憶する記憶部を有するコンピュータに、
前記端末が送信したフレームの受信時刻を取得する処理と、
前記端末から今回受信したフレームの受信時刻と、前記記憶部に記憶されている、前記端末から前回受信したフレームの受信時刻と、の差と、前記端末のフレーム送信間隔と、に基づき、前記フレームの遅延の変動を検出する遅延変動検出処理と、
前記フレームの遅延の変動と、予め定められた遅延変動許容値との比較結果に応じて、前記端末がフレームに含めて一度に送信するデータサイズとフレームの送信間隔を求め、求めた値で前記記憶部における該当する端末のエントリを更新するとともに、該当する端末に、前記データサイズと前記フレームの送信間隔の変更を通知する設定変更処理と、
を実行させるプログラム。
(付記28)
前記設定変更処理は、前記端末が前記フレームに含めて一度に送信するデータサイズを増加させ、前記フレーム送信間隔を長くする場合、
前記フレームを送信するのに要する遅延を、
使用する変調方式と、
シンボル当たりのデータサイズと、
シンボル当たりの送信遅延と、
前記フレームの送信に対する応答を受信するまでの遅延と、
に基づき算出し、
前記遅延を、前記フレーム送信間隔で除することで、通信媒体の帯域占有率を求め、
前記帯域占有率が、予め定められた値を超えないように、前記データサイズと前記フレーム送信間隔を決定する、ことを特徴とする、付記27に記載のプログラム。
(付記29)
前記遅延変動検出部は、前記端末から今回受信したフレームが再送でない場合には、
前記記憶部に記憶されている、前記端末から前回受信したフレームの受信時刻と、
前記今回受信したフレームの受信時刻と、
の差分をとり、
前記差分と、
前記記憶部に記憶されている前記端末の前記フレーム送信間隔に前記遅延変動許容値を加えた値と、
の比較結果に基づき、前記端末が前記フレームに含めて一度に送信するデータサイズとフレーム送信間隔の変更要求を、前記設定変更処理に出力する、ことを特徴とする付記27又は28に記載のプログラム。
(付記30)
前記遅延変動検出処理は、前記端末から今回受信したフレームが再送である場合には、
前記記憶部に記憶されている、前記端末から前回受信したフレームの受信時刻と、
前記今回受信したフレームの受信時刻と、
の差分をとり、
前記差分を、前記記憶部に前記端末に関連付けて記憶された遅延変動値に加えた値で、前記遅延変動値を更新し、
更新された前記遅延変動値と、
前記フレーム送信間隔に前記遅延許容値を加えた値と、
の大小の比較結果に基づき、前記端末が前記フレームに含めて一度に送信するデータサイズと前記フレーム送信間隔の変更要求を、前記設定変更処理に出力する、ことを特徴とする付記27又は28に記載のプログラム。
(付記31)
前記遅延変動検出処理は、前記フレームの遅延変動が、前記遅延変動許容値に関する予め定められた第1の閾値を超える場合、
前記第1の閾値を超えた前記端末が前記フレームに含めて一度に送信するデータサイズを増加させ、前記フレーム送信間隔を長くするための変更要求を前記設定変更処理に出し、
前記フレームの遅延変動が、前記遅延変動許容値に関する第2の閾値を下回る場合、
前記第2の閾値を下回った端末が送信するデータサイズを減少させ、フレーム送信間隔を短くするための変更要求依頼を前記設定変更処理に出し、
前記設定変更処理は、前記変更要求に従って、前記端末のデータサイズとフレーム送信間隔を決定する、ことを特徴とする、付記27乃至30のいずれかに記載のプログラム。
(付記32)
前記遅延変動検出処理は、前記フレームの遅延変動が前記遅延許容変動値を超えた回数、又は、前記フレームの遅延変動が前記遅延許容変動値を超えた回数と超えなかった回数の差が、予め定められた値を超えた場合に、前記設定変更処理に対して、前記端末がフレームに含めて一度に送信するデータのサイズとフレーム送信間隔を変更するように要求する、ことを特徴とする、付記27乃至30のいずれかに記載のプログラム。
(付記33)
前記設定変更処理は、無線アクセスポイントと通信する端末が追加された際、又は、前記端末が他の無線アクセスポイントに移動した際に、
前記端末とネットワークリソースを共有する端末がフレームに含めて一度に送信するデータサイズとそのフレーム送信間隔を再計算する、ことを特徴する、付記27乃至32のいずれかに記載のプログラム。
(付記34)
前記端末は、ビーコンフレームを送信し、
前記遅延変動検出処理は、前記ビーコンフレームの受信時刻に基づいて遅延の変動を検出する、ことを特徴とする、付記27乃至33のいずれかに記載のプログラム。
1、2、11 無線通信システム
10、10a、10b ネットワークコントローラ
11 ネットワーク
12a、12b 無線アクセスポイント
13 無線ネットワーク
14a、14b、14c、14d 無線ステーション
15 有線ネットワーク
16 データ処理サーバ
17 ネットワーク
100 フレーム受信情報取得部
102 遅延変動検出処理
104、105、107、108 無線ステーションデータベース
106 設定変更処理
200 コンピュータ装置
201 プロセッサ
202 記憶装置
203 表示装置
204 ネットワークインタフェース
1040 無線ステーションIDフィールド
1041 接続先アクセスポイントIDフィールド
1042 データ取得レートフィールド
1044 アプリケーションデータサイズフィールド
1045 遅延変動値フィールド
1046 アプリケーションデータ送信間隔フィールド
1047 変調方式フィールド
1048 最終受信時刻フィールド
1049 ビーコン送信間隔フィールド
1050 ビーコン最終受信時刻フィールド
1051 ビーコンフレーム送信端末フラグフィールド

Claims (10)

  1. データをフレームに含めて一度に送信する端末から送信されたフレームの受信時刻を取得するフレーム受信時刻取得部と、
    前記端末と関連付けて、前記端末から送信されたフレームの受信時刻、前記端末がフレームに含めて一度に送信するデータサイズ、及びフレーム送信間隔を少なくとも記憶する記憶部と、
    前記端末から今回受信したフレームの受信時刻と、前回受信したフレームの受信時刻との差と、前記端末のフレーム送信間隔に基づき、前記フレームの遅延の変動を検出する遅延変動検出部と、
    前記遅延変動検出部で検出された前記フレームの遅延の変動と、予め定められた遅延変動許容値との比較結果に応じて、前記端末がフレームに含めて一度に送信するデータサイズとフレーム送信間隔を求め、求めた値で前記記憶部における該当する端末のエントリを更新するとともに、該当する端末に、前記データサイズとフレーム送信間隔の変更を通知する設定変更部と、
    を備えた、ことを特徴とする制御装置。
  2. 前記設定変更部は、前記端末が前記フレームに含めて一度に送信するデータサイズを増加させ、前記フレーム送信間隔を長くする場合、
    前記フレームを送信するのに要する遅延を、
    使用する変調方式と、
    シンボル当たりのデータサイズと、
    シンボル当たりの送信遅延と、
    前記フレームの送信に対する応答を受信するまでの遅延と、
    に基づき算出し、
    前記遅延を、前記フレーム送信間隔で除することで、通信媒体の帯域占有率を求め、
    前記帯域占有率が、予め定められた値を超えないように、前記データサイズと前記フレーム送信間隔を決定する、ことを特徴とする、請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記遅延変動検出部は、前記端末から今回受信したフレームが再送でない場合には、
    前記記憶部に記憶されている、前記端末から前回受信したフレームの受信時刻と、
    前記今回受信したフレームの受信時刻と、
    の差分をとり、
    前記差分と、
    前記記憶部に記憶されている前記端末の前記フレーム送信間隔に前記遅延変動許容値を加えた値と、
    の比較結果に基づき、前記端末が前記フレームに含めて一度に送信するデータサイズとフレーム送信間隔の変更要求を、前記設定変更部に出力する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。
  4. 前記遅延変動検出部は、前記端末から今回受信したフレームが再送である場合には、
    前記記憶部に記憶されている、前記端末から前回受信したフレームの受信時刻と、
    前記今回受信したフレームの受信時刻と、
    の差分をとり、
    前記差分を、前記記憶部に前記端末に関連付けて記憶された遅延変動値に加えた値で、前記遅延変動値を更新し、
    更新された前記遅延変動値と、
    前記フレーム送信間隔に前記遅延許容値を加えた値と、
    の大小の比較結果に基づき、前記端末が前記フレームに含めて一度に送信するデータサイズと前記フレーム送信間隔の変更要求を、前記設定変更部に出力する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。
  5. 前記遅延変動検出部は、前記フレームの遅延変動が、前記遅延変動許容値に関する予め定められた第1の閾値を超える場合、
    前記第1の閾値を超えた前記端末が前記フレームに含めて一度に送信するデータサイズを増加させ、前記フレーム送信間隔を長くするための変更要求を前記設定変更部に出し、
    前記フレームの遅延変動が、前記遅延変動許容値に関する第2の閾値を下回る場合、
    前記第2の閾値を下回った端末が送信するデータサイズを減少させ、フレーム送信間隔を短くするための変更要求を前記設定変更部に出し、
    前記設定変更部は、前記変更要求に従って、前記端末のデータサイズとフレーム送信間隔を決定する、ことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の制御装置。
  6. 前記遅延変動検出部は、前記フレームの遅延変動が前記遅延許容変動値を超えた回数、又は、前記フレームの遅延変動が前記遅延許容変動値を超えた回数と超えなかった回数の差が、予め定められた値を超えた場合に、前記設定変更部に対して、前記端末がフレームに含めて一度に送信するデータのサイズとフレーム送信間隔を変更するように要求する、ことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の制御装置。
  7. 前記設定変更部は、無線アクセスポイントと通信する端末が追加された際、又は、前記端末が他の無線アクセスポイントに移動した際に、
    前記端末とネットワークリソースを共有する端末がフレームに含めて一度に送信するデータサイズとそのフレーム送信間隔を再計算する、ことを特徴する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の制御装置。
  8. 前記端末は、ビーコンフレームを送信し、
    前記遅延変動検出部は、前記ビーコンフレームの受信時刻に基づいて遅延の変動を検出する、ことを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の制御装置。
  9. データをフレームに含めて一度に送信する端末と関連付けて、前記端末から送信されたフレームを受信した時刻、前記端末が送信するデータサイズ及びフレーム送信間隔を少なくとも記憶する記憶部を有するコンピュータによるネットワーク制御方法であって、
    前記端末が送信したフレームの受信時刻を取得し、
    前記端末から今回受信したフレームの受信時刻と、前記記憶部に記憶されている、前記端末から前回受信したフレームの受信時刻との差と、前記端末のフレーム送信間隔と、に基づき、前記フレームの遅延の変動を検出し、
    前記フレームの遅延の変動と、予め定められた遅延変動許容値との比較結果に応じて、前記端末がフレームに含めて一度に送信するデータサイズとフレームの送信間隔を求め、求めた値で前記記憶部における該当する端末のエントリを更新するとともに、該当する端末に、前記データサイズと前記フレームの送信間隔の変更を通知する、ことを特徴とするネットワーク制御方法。
  10. データをフレームに含めて一度に送信する端末と関連付けて、前記端末から送信されたフレームの受信時刻、前記端末が送信するフレームのサイズ及びフレーム送信間隔を少なくとも記憶する記憶部を有するコンピュータに、
    前記端末が送信したフレームの受信時刻を取得する処理と、
    前記端末から今回受信したフレームの受信時刻と、前記記憶部に記憶されている、前記端末から前回受信したフレームの受信時刻と、の差と、前記端末のフレーム送信間隔と、に基づき、前記フレームの遅延の変動を検出する処理と、
    前記フレームの遅延の変動と、予め定められた遅延変動許容値との比較結果に応じて、前記端末がフレームに含めて一度に送信するデータサイズとフレームの送信間隔を求め、求めた値で前記記憶部における該当する端末のエントリを更新するとともに、該当する端末に、前記データサイズと前記フレームの送信間隔の変更を通知する処理と、
    を実行させるプログラム。
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