この発明を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一又は相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
実施の形態1.
図1から図11は、この発明の実施の形態1に係るもので、図1はエレベーターシステムの全体構成を説明する図、図2はエレベーターシステムが備える振分装置の構成を示すブロック図、図3はエレベーターシステムが備える第1のSMS送受信装置の構成を示すブロック図、図4はエレベーターシステムが備えるサーバの構成を示すブロック図、図5はエレベーターシステムが備える第2のSMS送受信装置の構成を示すブロック図、図6は振分装置のモード変更動作を示すフロー図、図7は振分装置の通報動作を示すフロー図、図8はデータセンターのSMS送受信装置(第1のSMS送受信装置)のSMS受信時の動作を示すフロー図、図9はデータセンターのSMS送受信装置(第1のSMS送受信装置)のSMS送信時の動作を示すフロー図、図10は情報センターのSMS送受信装置(第2のSMS送受信装置)のSMS受信時の動作を示すフロー図、図11は情報センターのSMS送受信装置(第2のSMS送受信装置)のSMS送信時の動作を示すフロー図である。
この発明の実施の形態1に係るエレベーターシステムは、図1に示すように、建物100に設置されたエレベーター110を備えている。そして、当該エレベーターシステムは、建物100に設置されているエレベーター110を遠隔監視するものである。建物100には1台以上のエレベーター110、ここでは例えば3台のエレベーター110が設置されている。
それぞれのエレベーター110は、エレベーター制御装置111及び情報収集装置112を備えている。エレベーター制御装置111は、当該エレベーター110の運転を制御する。エレベーター制御装置111は、エレベーター110の運転を制御する際に当該エレベーター110の状態に関する情報を用いる。エレベーター110の状態に関する情報には、具体的に例えば、当該エレベーター110が走行中か停止中か、当該エレベーター110の位置、運転方向及び呼び登録の状況、並びに、当該エレベーター110についての異常の有無及び(異常がある場合の)異常の内容等が含まれる。
情報収集装置112は、エレベーター制御装置111からエレベーター110の情報を収集する。情報収集装置112が収集するエレベーター110の情報には、前述したエレベーター110の状態に関する情報が含まれる。また、情報収集装置112が収集するエレベーター110の情報には、当該エレベーター110の号機情報も含まれる。エレベーター110の号機情報とは、建物100に設置された複数のエレベーター110のうちから当該エレベーター110を一意に特定可能な情報のことである。エレベーター110の号機情報として、具体的に例えば、建物100のそれぞれにおいてエレベーター110毎に振られた通し番号等を用いることができる。
情報収集装置112が収集したエレベーター110の情報は、例えば、当該情報収集装置112が備える図示しない記憶装置等に一時的に保存される。なお、図1には、情報収集装置112をエレベーター110のそれぞれに設けた場合を例示している。しかし、この例に限られず、情報収集装置112をエレベーター110毎に設けずに建物100毎に設けるようにしてもよい。その場合には、情報収集装置112が建物100に設置されている全てのエレベーター110の情報を収集するようにすればよい。
エレベーター110が設置された建物100は、データセンター200と相互通信可能に接続されている。具体的には、建物100とデータセンター200とは、アナログ公衆電話網400及び第1のIPネットワーク501のそれぞれにより通信可能に接続されている。第1のIPネットワーク501は、通信プロトコルとしてIP(Internet Protocol)を用いた通信ネットワークである。第1のIPネットワーク501を用いて通信されるのは、基本的にデジタルデータである。
アナログ公衆電話網400は、固定電話の回線網とPHS(Personal Handy−phone System)及び携帯電話等の移動体通信網とを含む通信ネットワークである。アナログ公衆電話網400を用いて通信されるのは、基本的にアナログデータである。
建物100とデータセンター200との間でのアナログ公衆電話網400を用いた通信と、建物100とデータセンター200との間での第1のIPネットワーク501を用いた通信とは、一方が他方に影響を与えることなく互いに独立して行うことができる。すなわち、建物100とデータセンター200とは、第1のネットワークである第1のIPネットワーク501及び第2のネットワークであるアナログ公衆電話網400のそれぞれにより別々に通信可能に接続されている。
また、エレベーター110が設置された建物100は、情報センター300とも相互通信可能に接続されている。具体的には、建物100と情報センター300とは、前述した第2のネットワークであるアナログ公衆電話網400により通信可能に接続されている。
建物100には、通信装置120が備えられている。通信装置120は、建物100が、第1のIPネットワーク501(第1のネットワーク)及びアナログ公衆電話網400(第2のネットワーク)を介して、情報センター300又はデータセンター200と通信するための通信インターフェースである。通信装置120は、第1のIPネットワーク501を用いて通信するためのルーター機能と、アナログ公衆電話網400を用いて通信するためのモデム機能とを少なくとも備えている。
ここで、第1のIPネットワーク501に接続された各ノードはIPアドレスにより一意に識別することができる。すなわち、データセンター200と接続された各建物100については、例えばそれぞれの建物100の通信装置120に割り振られたIPアドレスを用いて一意に識別することができる。また、第1のIPネットワーク501を用いた通信においては、各建物100のエレベーター110の号機のそれぞれについても、例えば、ネットワークアドレス変換(NAT:Network Address Translation)又はIPマスカレード等を用いて一意に識別できるようにすることができる。
データセンター200は、エレベーター110の保守及び管理に必要な情報を、例えば多地域に跨り統括して管理する。データセンター200には、サーバ210が設置されている。サーバ210は、それぞれの建物100に設置されているそれぞれのエレベーター110の情報を保存する。また、データセンター200には、第1のSMS送受信装置220が設置されている。第1のSMS送受信装置220は、アナログ公衆電話網400を介して、建物100の通信装置120又は情報センター300の後述する第2のSMS送受信装置320との間で、SMS(Short Message Service)の送信及び受信を行う。
サーバ210は、第1のIPネットワーク501に接続されている。また、サーバ210は、第1のSMS送受信装置220を介してアナログ公衆電話網400とも接続されている。
情報センター300は、例えば、エレベーター110が設置された建物100が所在する地域毎に設置される。情報センター300は、当該情報センター300が管轄する地域中の建物100について監視を行う。情報センター300には、エレベーター110の監視員及び保守員等が常駐している。そして、当該情報センター300が管轄する地域中の建物100のエレベーター110に異常が発生した等の緊急時には、異常が発生した建物100に当該情報センター300から保守員等の必要な人員を派遣することができる。
情報センター300には、監視端末310が設置されている。監視端末310は、情報センター300内の監視員が、当該情報センター300が管轄する建物100のエレベーター110の状態を監視するためのものである。データセンター200と情報センター300とは、第3のネットワークである第2のIPネットワーク502により通信可能に接続されている。そして、監視端末310は、第2のIPネットワーク502(第3のネットワーク)を介してサーバ210に保存されたエレベーター110の情報を取得して表示可能である。
また、情報センター300には、第2のSMS送受信装置320が設置されている。第2のSMS送受信装置320は、アナログ公衆電話網400に接続されている。そして、第2のSMS送受信装置320は、アナログ公衆電話網400を介して、建物100の通信装置120又はデータセンター200の第1のSMS送受信装置220との間で、SMSの送信及び受信を行う。なお、監視端末310は、第2のIPネットワーク502とだけでなく、第2のSMS送受信装置320を介してアナログ公衆電話網400とも接続されている。
以上のように、この発明の実施の形態1に係るエレベーターシステムは、サーバ210が設置されたデータセンター200と第1のネットワークである第1のIPネットワーク501及び第2のネットワークであるアナログ公衆電話網400のそれぞれにより別々に通信可能に接続される建物100に設置されたエレベーター110の情報を、サーバ210に保存するシステムである。
そして、建物100には、振分装置130が設置されている。この振分装置130は、エレベーター110の情報をサーバ210に保存するために、エレベーター110の情報をデータセンター200へと送信する送信経路を決定する。より詳しくは、振分装置130は、情報収集装置112により収集されたエレベーター110の情報をデータセンター200に送信する送信経路を第1のネットワーク(第1のIPネットワーク501)及び第2のネットワーク(アナログ公衆電話網400)のどちらにするかを決定する。
建物100の通信装置120は、振分装置130により決定された送信経路で情報収集装置112により収集されたエレベーター110の情報をデータセンター200へと送信する。この際、通信装置120は、送信経路が第2のネットワーク(アナログ公衆電話網400)である場合、SMSを用いて情報収集装置112により収集されたエレベーター110の情報を送信する。
なお、建物100から第1のIPネットワーク501を用いてデータセンター200に情報を送信する場合、セキュリティ性確保の観点等から、次のような手順を踏むようにしてもよい。すなわち、まず、データセンター200からアナログ公衆電話網400を用いてSMS等により接続要求コマンドを建物100に送信する。そして、アナログ公衆電話網400を介して接続要求コマンドを受信した通信装置120が、第1のIPネットワーク501を介してデータセンター200へと接続する。
データセンター200は、振分装置130により決定された送信経路で送信されてきたエレベーター110の情報を受信する。そして、サーバ210は、データセンター200で受信したエレベーター110の情報を保存する。
また、振分装置130は、決定した送信経路の情報もデータセンター200へと送信する。さらに、振分装置130は、決定した送信経路に応じてエレベーター110の情報を送信する際のデータ形式を変更する。すなわち、前述したように、第1のIPネットワーク501を介した通信はデジタルデータ通信である。このため、送信経路を第1のIPネットワーク501に決定した場合には、振分装置130は、送信するエレベーター110の情報をデジタルデータでの送信に適したデータ形式にする。
また、前述したように、送信経路がアナログ公衆電話網400である場合はSMSを用いてエレベーター110の情報を送信する。そこで、送信経路をアナログ公衆電話網400に決定した場合には、振分装置130は、送信するエレベーター110の情報をSMSでの送信に適した形式にする。具体的に例えば、振分装置130は、エレベーター110の情報をテキストデータ化する。また、1通のSMSで送信できるデータ量に限りがあるため、エレベーター110の情報を分割して複数通のSMSで送信できるようにする。さらに、送信データ量を削減するために、送信するエレベーター110の情報の項目等を重要度の高い必要最小限のものに絞る。
サーバ210は、振分装置130から送信された送信経路の情報に基づいて、エレベーター110の情報のログ保存方法を変更する。具体的には、サーバ210は、送信経路が第1のIPネットワーク501である場合には、例えば、送信されてきたエレベーター110の情報を随時にそのまま保存する。一方で、送信経路がアナログ公衆電話網400である場合には、サーバ210は、例えば、受信した情報を一時的に保持し、複数通のSMSに含まれる情報をまとめて保存する。また、例えば、サーバ210は、送信されてきたエレベーター110の情報の必要最小限の項目のみを保存する。
通常時においては、振分装置130は、送信経路を第1のネットワーク(第1のIPネットワーク501)に決定する。そして、振分装置130は、建物100の外部から第1のネットワーク(第1のIPネットワーク501)の異常情報を受け取った場合に、送信経路を第2のネットワーク(アナログ公衆電話網400)に決定する。
この第1のネットワーク(第1のIPネットワーク501)の異常を監視するために、エレベーターシステムには、後述するネットワーク監視部213が備えられている。ネットワーク監視部213は、第1のネットワークである第1のIPネットワーク501の異常を検知した場合に、建物100へと第1のネットワークの異常情報を送信する。ネットワーク監視部213はここでは例えば、データセンター200のサーバ210に設けられている。第1のネットワークの異常情報は、例えば、第1のSMS送受信装置220を介して第2のネットワーク(アナログ公衆電話網400)によりSMSで建物100へと送信される。
次に、以上のような機能を備えた振分装置130の構成例について、図2を参照しながら説明する。振分装置130は、モード変更制御部131を備えている。モード変更制御部131は、建物100からデータセンター200又は情報センター300へと通報を行う際のモード(以下において「通報モード」という)の変更を制御する。
通報モードが変更されると、具体的には、通報を行う際の前述した送信経路(以下において「通報経路」という)、並びに、通報を行う際のエレベーター110の情報のデータ形式及び通報を行う前のエレベーター110の情報の振分装置130での一時的な保存方法が変更される。
モード変更制御部131は、情報判断部132、経路変更部133、データ形式変更部134及び通知部135を備えている。
情報判断部132は、建物100の外部、ここでは特にデータセンター200又は情報センター300から、アナログ公衆電話網400を介して建物100にSMSが送信されてきた場合に、このSMSの内容が第1のネットワークである第1のIPネットワーク501の異常情報であるか否かを判断する。
第1のIPネットワーク501の異常情報には、第1のIPネットワーク501に障害が発生した旨のものと、第1のIPネットワーク501に発生していた障害が復旧した旨のものとがある。情報判断部132は、SMSの内容が第1のIPネットワーク501の異常情報であった場合には、それが第1のIPネットワーク501に障害が発生した旨のものであるのか、第1のIPネットワーク501に発生していた障害が復旧した旨のものであるのかについても判断する。
経路変更部133は、情報判断部132によりSMSの内容が第1のIPネットワーク501の異常情報であると判断された場合に、それ以後に通報を行う際の通報経路を変更する。より詳しくは、情報判断部132によりSMSの内容が第1のIPネットワーク501に障害が発生した旨の情報であると判断された場合は、経路変更部133は、通報経路をアナログ公衆電話網400に変更する。また、情報判断部132によりSMSの内容が第1のIPネットワーク501が復旧した旨の情報であると判断された場合は、経路変更部133は、通報経路を第1のIPネットワーク501に変更する。
データ形式変更部134は、情報判断部132によりSMSの内容が第1のIPネットワーク501の異常情報であると判断された場合に、それ以後に行う通報のデータ形式を変更する。より詳しくは、情報判断部132によりSMSの内容が第1のIPネットワーク501に障害が発生した旨の情報であると判断された場合は、データ形式変更部134は、通報のデータ形式をアナログ公衆電話網400用に変更する。また、情報判断部132によりSMSの内容が第1のIPネットワーク501が復旧した旨の情報であると判断された場合は、データ形式変更部134は、通報のデータ形式を第1のIPネットワーク501用に変更する。
通知部135は、モード変更制御部131が以後の通報モードを変更した場合に、通報モードを変更した旨をデータセンター200及び情報センター300に通知するためのものである。通知部135は、情報判断部132によりSMSの内容が第1のIPネットワーク501の異常情報であると判断されてモード変更制御部131により通報モードが変更された場合に、通報モードを変更した旨のSMSをデータセンター200及び情報センター300へと通信装置120に送信させる。
ここで、通報モードが変更されると、前述したように、以後の通報における通報経路が変更される。したがって、通知部135によりデータセンター200にモード変更の旨を通知することは、以後の通報における通報経路の情報、すなわち、前述したエレベーター110の情報の送信経路の情報をデータセンター200に送信するということである。
また、振分装置130は、通報制御部136及び記憶部137を備えている。通報制御部136は、建物100からデータセンター200又は情報センター300に行う通報を制御している。より詳しくは、通報制御部136は、情報収集装置112により収集されたエレベーター110の情報に基づいて、予め設定された通報条件が成立したか否かを判断する。この通報条件は、具体的に例えば、エレベーター110においてデータセンター200又は情報センター300に通報が必要な異常が発生した場合等が設定される。
通報条件が成立した場合には、通報制御部136は、まず、情報収集装置112により収集されたエレベーター110の情報から、通報用データを作成する。この通報用データのデータ形式は、モード変更制御部131により変更された通報モードに応じて変更される。すなわち、通報制御部136は、データ形式変更部134により変更された現在の通報モードのデータ形式で、エレベーター110の情報から通報用データを作成する。通報制御部136により作成された通報用データは、振分装置130の記憶部137に記憶される。
この際、通報制御部136は、現在の通報モードにかかわらず、まず、第1のIPネットワーク501向けの通報用データを作成する。そして、通報モードの通報経路が第1のIPネットワーク501であれば、第1のIPネットワーク501向けの通報用データを記憶部137に記憶して、通報用データの作成及び保存は完了となる。
また、通報モードの通報経路がアナログ公衆電話網400であれば、通報制御部136は、第1のIPネットワーク501向けの通報用データをもとにして、アナログ公衆電話網400向けの通報用データを作成する。具体的には、通報制御部136は、第1のIPネットワーク501向けの通報用データについて、前述したテキストデータ化、分割及び重要度の高い必要最小限の項目の抽出等を行うことで、アナログ公衆電話網400向けの通報用データを作成する。そして、第1のIPネットワーク501向けの通報用データと、アナログ公衆電話網400向けの通報用データの両方を記憶部137に記憶して、通報用データの作成及び保存は完了となる。
通報制御部136は、モード変更制御部131により変更された現在の通報モードに従って、データセンター200又は情報センター300に通報を行うように通信装置120を制御する。この通報は、建物100の通信装置120が、現在の通報モードの通報経路、すなわち、振分装置130により決定された送信経路を用いて、振分装置130の記憶部137に記憶されている通報用データを送信することにより行われる。そして、この通報により、通信装置120は、通報経路すなわち振分装置130により決定された送信経路で、エレベーター110の情報をデータセンター200へと送信する。
また、振分装置130は、建物100の外部から第1のIPネットワーク501の復旧情報を受け取った場合に、通報経路がアナログ公衆電話網400であった間に情報収集装置112により収集されたエレベーター110の情報を第1のIPネットワーク501で再送する。すなわち、ここでは、通報制御部136は、情報判断部132によりSMSの内容が第1のIPネットワーク501が復旧した旨の情報であると判断された場合に、未送信の第1のIPネットワーク501向けの通報用データをデータセンター200へと送信する。
前述したように、通報制御部136は、現在の通報モードにかかわらず、第1のIPネットワーク501向けの通報用データを作成し、作成された通報用データは記憶部137に記憶される。そして、通報経路がアナログ公衆電話網400の場合には、アナログ公衆電話網400向けの通報用データが作成されて、この作成されたアナログ公衆電話網400向けの通報用データがサーバ210に送信される。この場合、第1のIPネットワーク501向けの通報用データは未送信の状態のまま記憶部137に残される。
そこで、第1のIPネットワーク501が復旧したときに、通報制御部136は、未送信の第1のIPネットワーク501向けの通報用データが記憶部137に残っていれば、この未送信のデータをデータセンター200へと送信する。
アナログ公衆電話網400向けの通報用データは、データ容量等の観点から含まれるエレベーター110の情報の項目等が絞られている。そこで、第1のIPネットワーク501の復旧時に第1のIPネットワーク501の障害中に作成された第1のIPネットワーク501向けの通報用データを送信するようにすることで、データセンター200側でアナログ公衆電話網400で送信した通報用データを補充することができる。
なお、ここでは、第1のIPネットワーク501の復旧時に建物100側から自発的に未送信の第1のIPネットワーク501向けの通報用データをデータセンター200へと送信する場合について説明した。この点については、建物100側から自発的に送信するのではなく、データセンター200からのリクエストがあった時に、建物100から未送信の第1のIPネットワーク501向けの通報用データをデータセンター200へと送信するようにしてもよい。
なお、ここでは、記憶部137を振分装置130に設けているが、通報用データを一時的に記憶しておくための記憶部137を情報収集装置112に設けるようにしてもよい。
次に、図3を参照しながら、データセンター200に設置された第1のSMS送受信装置220の構成例について説明する。第1のSMS送受信装置220は、第1の送受信制御部221及びログ形式変更部222を備えている。第1の送受信制御部221は、データセンター200からのSMSの送信処理、及び、データセンター200へのSMSの受信処理を制御する。
ログ形式変更部222は、第1の送受信制御部221によるSMS受信処理で受信したデータセンター200へのSMSの内容を確認する。そして、ログ形式変更部222は、建物100から送信された通報モード変更通知のSMSをデータセンター200で受信した場合に、サーバ210で保存するログ形式を変更する。
ここでいうサーバ210で保存するログ形式とは、サーバ210におけるエレベーター110の情報の保存方法のことである。そして、サーバ210におけるエレベーター110の情報の保存方法には、情報保存時におけるデータ形式変換の有無、保存するエレベーター110の情報の項目、及び、保存を行う頻度等が含まれる。
図4に示すのは、データセンター200に設置されたサーバ210の構成例である。この図4に示す構成例では、サーバ210は、サーバ制御部211、サーバ記憶部212及びネットワーク監視部213を備えている。サーバ制御部211は、サーバ210が行う処理全般を制御する。サーバ記憶部212は、各建物100から送信されてきたそれぞれのエレベーター110の情報を、ログとして保存するための記憶部である。
前述したように、サーバ210で保存するログ形式すなわちサーバ210におけるエレベーター110の情報の保存方法は、第1のSMS送受信装置220のログ形式変更部222により変更される。そして、サーバ制御部211は、ログ形式変更部222が変更した現在のログ形式に従って、建物100から送信されたエレベーター110の情報をサーバ記憶部212に保存する。
前述したように、情報センター300の監視端末310は、第2のIPネットワーク502(第3のネットワーク)を介してサーバ210に保存されたエレベーター110の情報を取得して表示可能である。データセンター200において、情報センター300の監視端末310から、ある特定のエレベーター110の情報の要求を受けた場合、まず、サーバ制御部211は、要求された特定のエレベーター110の情報をサーバ記憶部212から取得する。そして、サーバ制御部211は、取得したエレベーター110の情報を、第2のIPネットワーク502を介して、要求のあった監視端末310へと送信する。
ネットワーク監視部213は、第1のネットワークである第1のIPネットワーク501の状態を監視している。ネットワーク監視部213は、具体的に例えば、ping等の各種のネットワーク管理コマンド等を用いて、第1のIPネットワーク501により建物100とデータセンター200との間で正常に通信することが可能であるか否かを定期的に確認している。
そして、ネットワーク監視部213は、第1のIPネットワーク501の異常(障害)を検知した場合に、建物100へと第1のIPネットワーク501の異常情報を送信する。また、ネットワーク監視部213は、第1のIPネットワーク501の異常(障害)を検知した後に、第1のIPネットワーク501の復旧を検知した場合には、建物100へと第1のIPネットワーク501が復旧した旨の情報を送信する。なお、ここでは、ネットワーク監視部213が第1のIPネットワーク501の異常情報を送信する際には、第1のSMS送受信装置220を介して、アナログ公衆電話網400でSMSを用いて建物100へと送信する。
次に、図5を参照しながら、情報センター300に設置された第2のSMS送受信装置320の構成例について説明する。第2のSMS送受信装置320は、第2の送受信制御部321及び対応変更部322を備えている。第2の送受信制御部321は、情報センター300からのSMSの送信処理、及び、情報センター300へのSMSの受信処理を制御する。
対応変更部322は、第2の送受信制御部321によるSMS受信処理で受信した情報センター300へのSMSの内容を確認する。そして、対応変更部322は、建物100から送信された通報モード変更通知のSMSを情報センター300で受信した場合に、以後において建物100からの通報を受けた際に情報センター300で行う対応の内容を変更する。
建物100からの通報を受けた際に情報センター300で行う対応の内容には、例えば、情報センター300における通報時の業務フロー、及び、この業務フローを円滑に遂行するために監視端末310を含む情報センター300の設備が行う補佐の動作、具体的に例えば、作業手順の指示及び作業に必要な情報の表示等が含まれる。
以上のように構成されたエレベーターシステムの建物100に設置された振分装置130が行う処理の流れについて、図6及び図7を参照しながら説明する。まず、図6に示すのは、振分装置130のSMS受信時における動作である。この図6のステップS10において、振分装置130は、建物100の通信装置120がデータセンター200又は情報センター300から送信されたSMSを受信したか否かを確認する。そして、データセンター200又は情報センター300から送信されたSMSを受信すれば、ステップS11へと進む。
ステップS11においては、情報判断部132は、ステップS10で受信したSMSの内容が、第1のIPネットワーク501に障害が発生した旨の異常情報であるか否かを確認する。受信したSMSの内容が第1のIPネットワーク501に障害が発生した旨の異常情報である場合には、ステップS12へと進む。
ステップS12においては、経路変更部133は、通報経路を第1のIPネットワーク501からアナログ公衆電話網400へと変更する。続くステップS13において、データ形式変更部134は、エレベーター110の故障情報を保存する形態をアナログ公衆電話網400用に変更する。ステップS13の後はステップS14へと進む。
ステップS14においては、通知部135は、通信装置120からデータセンター200及び情報センター300へと、通報モードを変更した旨の通知を送信させる。この際、通信装置120は、通報モード変更通知をアナログ公衆電話網400を用いてSMSで送信する。ステップS14の後はステップS10へと戻る。
一方、ステップS11において、受信したSMSの内容が第1のIPネットワーク501に障害が発生した旨の異常情報でない場合には、ステップS15へと進む。ステップS15においては、情報判断部132は、ステップS10で受信したSMSの内容が、第1のIPネットワーク501が障害から復旧した旨の情報であるか否かを確認する。そして、受信したSMSの内容が第1のIPネットワーク501が障害から復旧した旨の情報である場合には、ステップS16へと進む。
ステップS16においては、経路変更部133は、通報経路をアナログ公衆電話網400から第1のIPネットワーク501へと変更する。続くステップS17においては、データ形式変更部134は、エレベーター110の故障情報を保存する形態を第1のIPネットワーク501用に変更する。ステップS17の後はステップS18へと進む。
ステップS18においては、通報制御部136は、未送信の第1のIPネットワーク501向けの通報用データが記憶部137に記憶された状態で残っているか否かを確認する。そして、記憶部137に未送信の第1のIPネットワーク501向けの通報用データが残っていなければ、ステップS14へと進む。
一方、記憶部137に未送信の第1のIPネットワーク501向けの通報用データが残っている場合には、ステップS19へと進む。ステップS19においては、通報制御部136は、記憶部137に記憶されている未送信の第1のIPネットワーク501向けの通報用データを、第1のIPネットワーク501でデータセンター200へと送信する。ステップS19の後はステップS14へと進む。
一方、ステップS15において、受信したSMSの内容が第1のIPネットワーク501が障害から復旧した旨の情報でない場合には、ステップS20へと進む。ステップS20においては、受信したSMSの内容に従って操作を実施する。ここでのSMSの内容は、データセンター200又は情報センター300から建物100に対して特定の動作を行わせるための操作コマンド等である。この操作コマンドには、具体的に例えば、現時点でのエレベーター110の状態に関する情報を送信させるという操作を指定するコマンド等が含まれている。
振分装置130は、受信したSMSに含まれている操作コマンドに従って処理を実行する。この際、前述の例のようにデータセンター200又は情報センター300に情報を送信する必要がある場合には、現在の通報モードの通報経路を用いて当該情報の送信を行う。ステップS20の後はステップS10へと戻る。
次に、図7に示すのは、振分装置130の通報時における動作である。この図7のステップS21において、振分装置130の通報制御部136は、情報収集装置112により収集されたエレベーター110の情報に基づいて、予め設定された通報条件が成立したか否かを確認する。通報条件が成立していなければ、一連の動作フローは終了する。
一方、通報条件が成立した場合には、ステップS22へと進む。ステップS22においては、通報制御部136は、通報経路に第1のIPネットワーク501を用いた場合向けの通報用データ(通報内容)を作成する。そして、作成した通報用データを、振分装置130の記憶部137に保存する。ステップS22の次はステップS23へと進む。
ステップS23においては、通報制御部136は、現在の通報モードの通報経路が第1のIPネットワーク501であるのかアナログ公衆電話網400であるのかを確認する。通報経路が第1のIPネットワーク501である場合には、ステップS24へと進む。
ステップS24においては、通報制御部136は、ステップS22で記憶部137に保存した通報用データを、通信装置120から第1のIPネットワーク501を経由してデータセンター200へと送信させる。ステップS24の処理を完了すると一連の動作フローは終了となる。
一方、ステップS23で、通報経路がアナログ公衆電話網400である場合には、ステップS25へと進む。ステップS25においては、通報制御部136は、通報経路にアナログ公衆電話網400を用いた場合向けの通報用データ(通報内容)を作成する。この通報経路にアナログ公衆電話網400を用いた場合向けの通報用データは、ステップS22で作成した通報経路に第1のIPネットワーク501を用いた場合向けの通報用データをもとにして作成する。そして、作成した通報用データを、振分装置130の記憶部137に一時的に保存する。
続くステップS26において、通報制御部136は、ステップS25で一時的に記憶部137に保存した通報用データを、通信装置120からアナログ公衆電話網400を経由して情報センター300へと送信させる。
この際、建物100からアナログ公衆電話網400経由で直接にデータセンター200へも通報を行うようにしてもよいし、行わないようにしてもよい。ただし、建物100から直接にデータセンター200に通報を行わない場合には、今回通報したエレベーター110の情報をデータセンター200のサーバ210で保存するため、情報センター300からデータセンター200へと第2のIPネットワーク502を経由して通報されたエレベーター110の情報を送信するようにする。ステップS26の処理を完了すると一連の動作フローは終了となる。
次に、エレベーターシステムのデータセンター200に設置された第1のSMS送受信装置220の処理の流れについて、図8及び図9を参照しながら説明する。まず、図8に示すのは、第1のSMS送受信装置220のSMS受信時における動作である。この図8のステップS30において、第1のSMS送受信装置220は、建物100から送信されたSMSを受信したか否かを確認する。そして、建物100から送信されたSMSを受信すれば、ステップS31へと進む。
ステップS31においては、第1のSMS送受信装置220は、ステップS30で受信したSMSの内容が通報モード変更の通知であるか否かを確認する。受信したSMSの内容が通報モード変更の通知である場合は、ステップS32へと進む。ステップS32においては、ログ形式変更部222は、エレベーター110の異常発生時、すなわち、建物100からの通報があった時におけるサーバ210でのエレベーター110の情報のログ保存方法を変更する。ステップS32の処理を完了すると一連の動作フローは終了となる。
一方、ステップS31で、受信したSMSの内容が通報モード変更の通知でない場合は、ステップS33へと進む。ステップS33においては、第1のSMS送受信装置220は、ステップS30で受信したSMSの内容が異常通報であるか否かを確認する。受信したSMSの内容が異常通報である場合には、ステップS34へと進む。
ステップS34においては、第1のSMS送受信装置220で受信した異常通報のデータは、サーバ210へと送られる。そして、サーバ210は、サーバ記憶部212に異常通報の情報を記憶する。また、第1のSMS送受信装置220は、建物100から通報があった状況であることを情報センター300へとアナログ公衆電話網400を経由してSMSで通知する。なお、この状況通知は、第2のIPネットワーク502を経由して行ってもよい。ステップS34の処理を完了すると一連の動作フローは終了となる。
一方、ステップS33で、受信したSMSの内容が異常通報でない場合には、ステップS35へと進む。ステップS35においては、第1のSMS送受信装置220は、受信したSMSの内容に従って操作を実施する。ここでのSMSの内容は、建物100からデータセンター200に対して特定の動作を行わせるための操作コマンド等である。この操作コマンドには、具体的に例えば、サーバ210に保存されている特定のエレベーター110の状態に関する情報を送信させるという操作を指定するコマンド等が含まれている。
第1のSMS送受信装置220は、受信したSMSに含まれている操作コマンドに従って処理を実行する。この際、前述の例のように建物100に情報を送信する必要がある場合には、現在の通報モードの通報経路を用いて当該情報の送信を行う。ステップS35の処理を完了すると一連の動作フローは終了となる。
一方、ステップS30で建物100から送信されたSMSを受信しない場合には、ステップS36へと進む。ステップS36においては、第1のSMS送受信装置220は、情報センター300から送信されたSMSを受信したか否かを確認する。そして、情報センター300から送信されたSMSを受信すれば、ステップS37へと進む。情報センター300から送信されたSMSを受信しなければ、一連の動作フローは終了となる。
ステップS37においては、第1のSMS送受信装置220は、ステップS30で受信したSMSの内容が第1のIPネットワーク501の異常情報、すなわち、第1のIPネットワーク501に障害が発生した旨又は第1のIPネットワーク501が障害から復旧した旨の情報であるか否かを確認する。受信したSMSの内容が第1のIPネットワーク501の異常情報である場合は、ステップS38へと進む。
ステップS38においては、ログ形式変更部222は、エレベーター110の異常発生時、すなわち、建物100からの通報があった時におけるサーバ210でのエレベーター110の情報のログ保存方法を変更する。ステップS38の処理を完了すると一連の動作フローは終了となる。
一方、ステップS37で、受信したSMSの内容が第1のIPネットワーク501の異常情報でない場合は、ステップS39へと進む。ステップS39においては、第1のSMS送受信装置220は、受信したSMSの内容に従って操作を実施する。ここでのSMSの内容は、情報センター300からデータセンター200に対して特定の動作を行わせるための操作コマンド等である。この操作コマンドには、具体的に例えば、サーバ210に保存されている特定のエレベーター110の状態に関する情報を送信させるという操作を指定するコマンド等が含まれている。
第1のSMS送受信装置220は、受信したSMSに含まれている操作コマンドに従って処理を実行する。この際、建物100に情報を送信する必要がある場合には、現在の通報モードの通報経路を用いて当該情報の送信を行う。ステップS39の処理を完了すると一連の動作フローは終了となる。
次に、図9に示すのは、第1のSMS送受信装置220のSMS送信時の動作である。この図9のステップS40において、第1のSMS送受信装置220は、ネットワーク監視部213が、第1のIPネットワーク501の異常(障害)の発生、又は、第1のIPネットワーク501の復旧を検知したか否かを確認する。ネットワーク監視部213が第1のIPネットワーク501の異常又は復旧を検知していない場合には、一連の動作フローは終了する。一方、第1のIPネットワーク501の異常又は復旧を検知した場合には、ステップS41へと進む。
ステップS41においては、ログ形式変更部222は、エレベーター110の異常発生時、すなわち、建物100からの通報があった時におけるサーバ210でのエレベーター110の情報のログ保存方法を変更する。ステップS41の後はステップS42へと進む。
ステップS42においては、第1のSMS送受信装置220は、建物100及び情報センター300に、ステップS40で検知した第1のIPネットワーク501の状態(異常が発生したか復旧したか)について通知する。この通知は、アナログ公衆電話網400を用いてSMSで行う。ステップS42の処理が完了すると一連の動作フローは終了となる。
次に、エレベーターシステムの情報センター300に設置された第2のSMS送受信装置320の処理の流れについて、図10及び図11を参照しながら説明する。まず、図10に示すのは、第2のSMS送受信装置320のSMS受信時における動作である。この図10のステップS50において、第2のSMS送受信装置320は、建物100から送信されたSMSを受信したか否かを確認する。そして、建物100から送信されたSMSを受信すれば、ステップS51へと進む。
ステップS51においては、第2のSMS送受信装置320は、ステップS50で受信したSMSの内容が通報モード変更の通知であるか否かを確認する。受信したSMSの内容が通報モード変更の通知である場合は、ステップS52へと進む。ステップS52においては、対応変更部322は、以後において建物100からの通報を受けた際に情報センター300で行う対応の内容を変更する。ステップS52の処理を完了すると一連の動作フローは終了となる。
一方、ステップS51で、受信したSMSの内容が通報モード変更の通知でない場合は、ステップS53へと進む。ステップS53においては、第2のSMS送受信装置320は、ステップS50で受信したSMSの内容が異常通報であるか否かを確認する。受信したSMSの内容が異常通報である場合には、ステップS54へと進む。
ステップS54においては、第2のSMS送受信装置320は、受信した異常通報の内容を確認し、通報があった建物100へと情報センター300から保守員を派遣させるよう情報センター300の監視員等に報知する。具体的に例えば、監視端末310に通報があった建物100への保守員の派遣指示を表示させる。また、通報があったエレベーター110の情報をデータセンター200のサーバ210から取得して監視端末310に表示してもよい。なお、通報があったエレベーター110の異常(故障)の詳細については、現地に派遣された保守員が確認する。ステップS54の処理を完了すると一連の動作フローは終了となる。
一方、ステップS53で、受信したSMSの内容が異常通報でない場合には、ステップS55へと進む。ステップS55においては、第2のSMS送受信装置320は、受信したSMSの内容に従って操作を実施する。ここでのSMSの内容は、建物100から情報センター300に対して特定の動作を行わせるための操作コマンド等である。
第2のSMS送受信装置320は、受信したSMSに含まれている操作コマンドに従って処理を実行する。この際、建物100に情報を送信する必要がある場合には、現在の通報モードの通報経路を用いて当該情報の送信を行う。通報経路が第1のIPネットワーク501であれば、第2のIPネットワーク502及びデータセンター200を経由して、第1のIPネットワーク501から当該情報の送信を行う。ステップS55の処理を完了すると一連の動作フローは終了となる。
一方、ステップS50で建物100から送信されたSMSを受信しない場合には、ステップS56へと進む。ステップS56においては、第2のSMS送受信装置320は、データセンター200から送信されたSMSを受信したか否かを確認する。そして、データセンター200から送信されたSMSを受信すれば、ステップS57へと進む。データセンター200から送信されたSMSを受信しなければ、一連の動作フローは終了となる。
ステップS57においては、第2のSMS送受信装置320は、ステップS50で受信したSMSの内容が第1のIPネットワーク501の異常情報、すなわち、第1のIPネットワーク501に障害が発生した旨又は第1のIPネットワーク501が障害から復旧した旨の情報であるか否かを確認する。受信したSMSの内容が第1のIPネットワーク501の異常情報である場合は、ステップS58へと進む。
ステップS58においては、対応変更部322は、以後において建物100からの通報を受けた際に情報センター300で行う対応の内容を変更する。ステップS58の処理を完了すると一連の動作フローは終了となる。
一方、ステップS57で、受信したSMSの内容が第1のIPネットワーク501の異常情報でない場合は、ステップS59へと進む。ステップS59においては、第2のSMS送受信装置320は、受信したSMSの内容に従って操作を実施する。ここでのSMSの内容は、データセンター200から情報センター300に対して特定の動作を行わせるための操作コマンド等である。
第2のSMS送受信装置320は、受信したSMSに含まれている操作コマンドに従って処理を実行する。この際、建物100に情報を送信する必要がある場合には、現在の通報モードの通報経路を用いて当該情報の送信を行う。通報経路が第1のIPネットワーク501であれば、第2のIPネットワーク502及びデータセンター200を経由して、第1のIPネットワーク501から当該情報の送信を行う。ステップS59の処理を完了すると一連の動作フローは終了となる。
次に、図11に示すのは、第2のSMS送受信装置320のSMS送信時の動作である。なお、この図11のフロー図は、ネットワーク監視部213と同等のネットワーク監視部が情報センター300にも設置されている場合を想定したものである。
図11のステップS60において、第2のSMS送受信装置320は、情報センター300のネットワーク監視部が、第1のIPネットワーク501の異常(障害)の発生、又は、第1のIPネットワーク501の復旧を検知したか否かを確認する。情報センター300ネットワーク監視部が第1のIPネットワーク501の異常又は復旧を検知していない場合には、一連の動作フローは終了する。一方、第1のIPネットワーク501の異常又は復旧を検知した場合には、ステップS61へと進む。
ステップS61においては、対応変更部322は、以後において建物100からの通報を受けた際に情報センター300で行う対応の内容を変更する。ステップS61の後はステップS62へと進む。
ステップS62においては、第2のSMS送受信装置320は、建物100及びデータセンター200に、ステップS60で検知した第1のIPネットワーク501の状態(異常が発生したか復旧したか)について通知する。この通知は、アナログ公衆電話網400を用いてSMSで行う。ステップS62の処理が完了すると一連の動作フローは終了となる。
なお、前述したように、情報センター300は、エレベーター110が設置された建物100が所在する地域毎に設置される。そして、情報センター300は、当該情報センター300が管轄する地域中の建物100と、基本的に同じ国内に設置される場合が多い。
一方、データセンター200は、エレベーター110の保守及び管理に必要な情報を、例えば多地域に跨り統括して管理している。このため、データセンター200が所在する国と、情報センター300及び建物100が所在する国とは異なっていてもよい。データセンター200が、建物100とは異なる国に所在する場合、データセンター200は、外国にある建物100に向けてSMSを送信することになる。また、この場合、建物100は、外国にあるデータセンター200に向けてSMSを送信することになる。
また、アナログ公衆電話網400の中継局及び回線設備等(以下「中継局等」という)の設置国は、データセンター200が所在する国、並びに、情報センター300及び建物100が所在する国のいずれかと同じ国の場合もあるし、いずれとも異なる国の場合もある。同様に、第1のIPネットワーク501及び第2のIPネットワーク502のそれぞれのノード及び回線設備等(以下「ノード等」という)の設置国は、データセンター200が所在する国、並びに、情報センター300及び建物100が所在する国のいずれかと同じ国の場合もあるし、いずれとも異なる国の場合もある。また、アナログ公衆電話網400の中継局等の設置国と、第1のIPネットワーク501及び第2のIPネットワーク502のそれぞれのノード等の設置国とについても、同じ国である場合も異なる国である場合も考えられる。
さらに、1回の通信で経由するアナログ公衆電話網400の中継局等の設置国は1か国だけであるとは限らず、複数の国の中継局等を経由する場合もある。同様に、1回の通信で経由する第1のIPネットワーク501又は第2のIPネットワーク502のノード等の設置国は1か国だけであるとは限らず、複数の国のノード等を経由する場合もある。
したがって、例えば、同じ国内に所在する情報センター300と建物100との間の通信が、情報センター300及び建物100の所在国とは異なる国に設置されたアナログ公衆電話網400の中継局等、又は、情報センター300及び建物100の所在国とは異なる国に設置された第1のIPネットワーク501のノード等を経由して行われる場合もあり得る。この際、前述したように、経由する中継局等又はノード等の設置国が複数の国になる場合もあり得る。
また、例えば、異なる国に所在する建物100とデータセンター200との間の通信が、建物100の所在国(第1国)ともデータセンター200の所在国(第2国)とも異なる第3国に設置されたアナログ公衆電話網400の中継局等、又は、第3国に設置された第1のIPネットワーク501のノード等を経由して行われる場合もあり得る。この際、前述したように、経由する中継局等又はノード等の設置国(第3国)が複数の国になる場合もあり得る。
このように、建物100、データセンター200及び情報センター300の間での、アナログ公衆電話網400、第1のIPネットワーク501又は第2のIPネットワーク502を介した通信が複数の国に跨って行われる場合についても、この発明に係るエレベーターシステムでは想定されている。
以上のように構成されたエレベーターシステムは、サーバ210が設置されたデータセンター200と第1のネットワークである第1のIPネットワーク501及び第2のネットワークであるアナログ公衆電話網400のそれぞれにより別々に通信可能に接続される建物100に設置されたエレベーター110の情報を、サーバ210に保存するエレベーターシステムである。そして、建物100には、エレベーター110の情報を収集する情報収集装置112と、情報収集装置112により収集されたエレベーター110の情報をデータセンター200に送信する送信経路を第1のネットワーク及び第2のネットワークのどちらにするか決定する振分装置130と、振分装置130により決定された送信経路で情報収集装置112により収集されたエレベーター110の情報をデータセンター200へと送信する通信装置120と、が設けられている。
このため、エレベーター110とサーバ210との間の第1のネットワーク及び第2のネットワークのいずれかに障害が発生した場合であっても、エレベーター110の情報をサーバ210に保存することができ、エレベーター110に異常が発生したことを遠隔のデータセンター200から把握することが可能である。
また、データセンター200のネットワーク監視部213は、第1のIPネットワーク501の異常を検知した場合に建物100へと第1のIPネットワーク501の異常情報を送信する。このため、建物100側では、データセンター200へのデータ送信を試みる前に、第1のIPネットワーク501に異常が発生していることを把握することができるため、無用なデータ送信試行の実施を抑制できるとともに、建物100側で第1のIPネットワーク501の異常を事前に知ることで適切な対応が可能となる。
また、ネットワーク監視部213は、第1のIPネットワーク501の異常情報をアナログ公衆電話網400でSMSを用いて建物100へと送信する。このため、既存のアナログ公衆電話網400を活用して低コストで確実に異常情報を建物100に伝えることができる。