[好ましい実施形態の説明]
これらの非限定的な例において説明される特定の数値や構成は、変更することができ、単に少なくとも1つの実施形態を例示するために記載されているものであり、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
以下の説明においては、本発明の詳細な理解を提供するために、多数の特定の詳細について記載している。当業者であれば、本発明はこのような特定の詳細がなくても実施可能であることが理解されよう。別の例においては、不必要な詳細により本発明を不明瞭にしないため、公知の要素は概略図又はブロック図の形態で示されている。さらに、大部分において、光源、ファイバー結合技術、光走査技術等の日常的に決まっている作業又は装置の詳細については、その詳細が本発明の完全な理解に必要でないと考えられるため省略されており、関連する技術分野の当業者の理解の範囲内にあるものとみなす。
概して、本願に記載される様々な実施形態は、従来のシステム及び方法に対して技術的な利点を有する。例えば、本発明の例示的な実施形態によれば、マルチビーム光コヒーレンストモグラフィ(OCT)装置は、モーションイメージングコントラストを高めるために、かつ/あるいは、調査対象の試料の内部の運動の絶対速度を測定するために、異なる波長内容を有する入射ビームを提供することができる。開示される実施形態は、例えばスペクトルドメインOCT又は波長掃引光源を利用するOCTに適用することができる。いくつかの実施形態では、各ビームがその波長帯域幅に従って符号化されているため、結果として生じる干渉信号は、単一の検出モジュールで検出することが可能である。一部のスペクトルドメインOCTの実施形態では、各ビームは同時に検出される。波長掃引源を利用するOCTの一部の実施形態では、検出は時間依存性であり、よって、光源の波長掃引速度は、調査対象の試料の内部の運動速度よりも小さくなるようにされなければならない。このような特定の例示的な構成に関し、より狭い波長帯域幅とは、より高い軸方向分解能を意味する。
しかしながら、いくつかの実施形態では、より狭い波長帯域幅は、モーションコントラスト及び速度測定のためにのみ用いられる。このような実施形態においては、これらの測定が通常は表示前に深度平均化を行うことを含むため、より高い軸方向分解能は、通常は問題にならない。OCT構造イメージングに関し、所与のAラインについて、組み合わされると全波長帯域幅を再構成する複数のビームすべてによって対象箇所が走査される限りにおいて、軸方向分解能は、通常は影響を受けない。
本発明の例示的な一実施形態によれば、光コヒーレンストモグラフィシステムは、調査対象の試料の内部の絶対速度測定値を測定するための方法を実施するように構成することができる。一実施形態において、マルチビーム生成ユニットは、異なる波長帯域幅を有する3つのビームを生成するように構成される。一実施形態においては、ビームは、2つのダイクロイックミラーを直列に配置することによって生成される。一実施形態においては、2つのダイクロイックミラーは、もともとの波長帯域幅が異なるサブ帯域幅を有する3つのビームに分割されるように、異なる反射特性及び透過特性を有する。一実施形態においては、これら3つのビームは、同一平面上になく、同じ方向に沿って走査システム上へ案内される。一実施形態においては、マルチビーム生成ユニット及び走査システムに続く光学系は、これらのビームを試料上に集光することを可能にする。概して、試料からの後方反射光は参照光と干渉し、干渉信号が検出モジュールによって検出される。一実施形態において、3つの検出された干渉信号間で複合OCT信号を比較し、基準座標系におけるこれら3つのビームの方向を知ることは、試料内部の運動の絶対速度の測定を可能にする。
本発明の別の例示的な実施形態によれば、光コヒーレンストモグラフィシステムは、調査対象の試料の内部の絶対速度測定値を測定するための方法を実施するように構成される。一実施形態においては、マルチビーム生成ユニットは、異なる波長帯域幅を有する3つのビームを生成するように構成される。一実施形態においては、3つのダイクロイックミラーが、入射するビームに対して垂直に、かつ異なる位置に配置されることにより、出力される透過ビームが互いに重なり合わない。一実施形態においては、3つのダイクロイックミラーは、異なる反射特性及び透過特性を有しており、元々の波長帯域幅は異なるサブ帯域幅を有する3つのビームに分割される。一実施形態においては、これらの3つのビームは同じ方向に沿って走査システム上に案内され、同一平面上にない。一実施形態では、マルチビーム生成ユニット及び走査システムに続く光学系が、これらのビームを試料上に集光することを可能にする。概して、試料からの後方反射光は参照光と干渉し、干渉信号が検出モジュールにより検出される。一実施形態においては、3つの検出された干渉信号間で複合OCT信号を比較し、基準座標系におけるこれら3つのビームの方向を知ることにより、試料内部の運動の絶対速度の測定が可能になる。
本発明の例示的な一実施形態によれば、光コヒーレンストモグラフィシステムは、調査対象の試料の内部のモーションコントラストイメージングを向上させるための方法を実施するように構成することができる。一実施形態では、マルチビーム生成ユニットは、異なる波長帯域幅を有する2つのビームを生成するように構成される。一実施形態では、これらビームはダイクロイックミラーによって生成される。一実施形態では、光学素子を用いることにより、これら2つのビームが、マルチビーム生成ユニットに続く走査システムのピボットポイントにおいて交差する。一実施形態においては、マルチビーム生成ユニットは、2つのビームを平行移動させることによって、走査システム上におけるこれらのビーム間の角度を変更できるように構成される。一実施形態では、マルチビーム生成ユニット及び走査システムに続く光学系は、これらのビームを試料上に集光することを可能にする。一実施形態では、マルチビーム生成ユニットが走査システムへの入射角を変更するため、試料上におけるビーム間の距離が変更される。一実施形態においては、試料上の所与の走査位置に関し、これらのビームは同様の入射角で当たるが、当たる瞬間が異なる。一実施形態では、試料からの後方反射光が参照光と干渉し、干渉信号が検出モジュールによって検出される。一実施形態においては、2つの検出された干渉信号間で複合OCT信号を比較することにより、モーションコントラストを向上させることを可能にする。
本発明の例示的な一実施形態によれば、光コヒーレンストモグラフィシステムは、調査対象の試料内部のモーションコントラストイメージングを向上させるための方法を実施するように構成される。一実施形態では、マルチビーム生成ユニットは、異なる波長帯域幅を有する2つのビームを生成するように構成される。一実施形態においては、これらビームはダイクロイックミラーにより生成される。一実施形態では、光学素子を用いることにより、これら2つのビームは、マルチビーム生成ユニットに続く走査システムのピボットポイントにおいて交差する。一実施形態においては、マルチビーム生成ユニットは、2つのビームを回転させることにより、走査システム上のこれらのビーム間の角度を変更できるように構成される。一実施形態では、マルチビーム生成ユニット及び走査システムに続く光学系が、これらのビームを試料上に集光することを可能にする。一実施形態においては、マルチビーム生成ユニットが走査システム上への入射角を変更するため、試料上におけるビーム間の距離が変更される。一実施形態においては、試料上の所与の走査位置に関し、これらのビームは同様の入射角で当たるが、当たる瞬間は異なる。一実施形態では、試料からの後方反射光が参照光と干渉し、干渉信号が検出モジュールにより検出される。一実施形態では、2つの検出された干渉信号間で複合OCT信号を比較することにより、モーションコントラストを向上させることを可能にする。
本発明の例示的な一実施形態によれば、光コヒーレンストモグラフィシステムは、調査対象の試料の内部のモーションコントラストイメージングを向上させるための方法を実施するように構成することができる。一実施形態においては、マルチビーム生成ユニットは、異なる波長帯域幅を有する2つのビームを生成するように構成される。一実施形態においては、これらビームはダイクロイックミラーにより生成される。一実施形態においては、光学素子を用いることにより、これらの2つのビームが、マルチビーム生成ユニットに続く走査システムのピボットポイントにおいて交差する。一実施形態においては、マルチビーム生成ユニットは、一方のビームを回転させ、他方のビームを固定した状態に保つことにより、走査システム上のこれらのビーム間の角度を変更することができるように構成される。一実施形態においては、マルチビーム生成ユニット及び走査システムに続く光学系が、これらのビームを試料上に集光することを可能にする。一実施形態においては、マルチビーム生成ユニットが走査システム上への入射角を変更するため、試料上におけるビーム間の距離が変更される。一実施形態においては、試料上における所与の走査位置について、これらのビームが同様の入射角で当たるが、当たる瞬間は異なる。一実施形態においては、試料からの後方反射光が参照光と干渉し、干渉信号が検出モジュールによって検出される。一実施形態においては、2つの検出された干渉信号間で複合OCT信号を比較することにより、モーションコントラストを向上させることを可能にする。
様々な特定の実施形態に目を向けると、図1は、一実施形態によるマルチチャネル光コヒーレンストモグラフィ装置を示すブロック図である。より詳細には、図1a及び図1bは、本発明の好ましい実施形態による、マルチチャネル光コヒーレンストモグラフィ用システム100の特定の構成要素を示す高レベルブロック図である。概して、例示される実施形態においては、システム100は、1つの検出ユニットを用いてマルチビームOCTを実施するように構成され、複数の電磁放射(EMR)ビームを試料上に提供し、各EMRビームは異なる波長内容を有する。以下の説明において、当業者であれば、光源、走査システム、光スイッチ、及び検出部間の同期を可能にするシステムが、説明を容易にするために省略されていることが理解されよう。
当業者であれば、光がEMRの一形態であり、OCT技術が通常は光のビームを使用することが理解されよう。説明を容易にするために、EMRは、本明細書において「光」又は「ビーム」、また時には「光ビーム」とも称される。当業者であれば、EMRの性質が複雑であり、「光」「ビーム」「光ビーム」といった用語の使用が、いかなる意味でも、例えば量、強度、波長等の点から、開示される電磁放射を限定することを意図するものではないことが理解されよう。
一実施形態では、第1EMRビームは、第1EMRビームの波長範囲が第2EMRビームの波長範囲と重なり合わない場合には、第2EMRビームとは「異なる波長内容」を有する。一実施形態においては、第1EMRビームは、第1EMRビームが第2EMRビームの波長の全部ではないが一部を含む波長を有する場合には、第2EMRビームとは「異なる波長内容」を有する。
図1aは、一実施形態によるマルチチャネルOCTシステム100を示すブロック図である。例示される実施形態においては、システム100はEMR源101を備える。例示される実施形態においては、EMR源101は、波長帯域幅Δλを有する光を生成するように構成される。別の実施形態においては、EMR源101は、帯域幅Δλにわたって時間的に波長掃引するように構成される。
例示される実施形態では、他の点では従来のものである光ファイバー102がEMR源101及びファイバーカプラ103に結合される。例示される実施形態においては、ファイバーカプラ103は、他の点では従来のものであるファイバーカプラであり、EMR源101からの光を2つの光路、すなわち試料アーム(ファイバー104から始まる)及び参照アーム(ファイバー105から始まる)に分割する。当業者であれば、試料アーム及び参照アームが干渉計の典型的な構成要素であること、及び、OCT技術を実施するために様々な干渉計タイプ、例えば、マイケルソン干渉計、マッハ−ツェンダー干渉計、又はフィゾー干渉計等の干渉計タイプを用いることができることは理解されよう。
例示される実施形態において、参照アームの光は遅延ライン106を通過する。当業者であれば、遅延ラインを生じさせるために利用可能な様々な技術、例えば巻回されたファイバーの単純な長さ等、が存在することが理解されよう。一般的に、単一の遅延ラインを有する単一の参照アームは、通常、単一の参照信号を生成する。一実施形態においては、システム100は、2つの参照信号を生成するように構成される。
例えば、図1bに示されるように、一実施形態においては、システム100は、2つの異なる光路長を有する2つの参照信号を生成するように構成される。当業者であれば、異なる光路長を有する2つの参照信号を生成することが、参照信号光路長差が光のコヒーレンス長よりも大きい場合に複数のビーム間でクロストークを減じる又は回避する助けとなり得ることが理解されよう。例示される実施形態においては、他の点では従来のものであるファイバー116が遅延ライン106から出射される光を、他の点では従来のものであるファイバーカプラ117に導く。ファイバーカプラ117は、受け取った光を2つの光路、すなわちファイバー118及びファイバー119に分割する。例示される実施形態に示されるように、ファイバー118及びファイバー119は異なる長さを有するように構成される。ファイバー118及びファイバー119の両方がファイバーカプラ120に結合される。図1bに示されるように、ファイバーカプラ120はファイバー113に結合される。ファイバー113からの光は、他の点では従来のものであるファイバーカプラ112に結合され、ファイバーカプラ112はまた、より詳細には後述するように、試料から戻ってきた光も受け取る。
試料アームにおいては、図1aに示すように、ファイバー104がファイバーカプラ103をマルチビーム生成ユニット(MBGU)107に接続する。概して、例示される実施形態においては、MBGU107は、ファイバー104から受け取った光から、波長内容によって互いに区別可能な複数のビームを生成する。つまり、一実施形態においては、生成されたそれぞれのビームは、複数の波長を有する光を含むことになり、よって、ビームの「波長内容」を有することになる。一実施形態においては、生成された複数のビームの波長内容は重なり合わない。一実施形態においては、MBGU107はバンドパスフィルタを備え、生成された複数のビームの波長内容は一部重複する帯域幅を含む。一実施形態では、波長内容は、重複する帯域幅の数がOCTの精度を大きく損ねないように十分に異なる。
例示される実施形態においては、生成されたMBGU107からのビームは、走査ユニット108へ案内される。概して、走査ユニット108は、試料を照射し、試料から戻ってきた光を集める。例示される実施形態に示されるように、走査ユニット108は、複数のビーム109を集光して試料110を走査する。以下により詳細に説明するように、MBGU107の構成に応じて、試料110を照射するビーム109の方向及び位置は調整することができる。
当業者であれば、ビーム109からの光が試料110によって後方反射されることが理解されよう。走査ユニット108は、試料110から戻ってきた後方反射光を受け取り、その戻ってきた光をMBGU107へと導く。例示される実施形態に示されるように、MBGU107は、戻ってきた光を、ファイバー104を介してカプラ103へ送る。ファイバーカプラ103は、戻ってきた光を、ファイバー111を介してファイバーカプラ112に導く。
上述したように、ファイバーカプラ112は、参照アームからの光も受け取る。したがって、例示される実施形態においては、参照アームからの光及び試料から戻ってきた光がカプラ112において干渉し、それによって干渉信号が生成される。概して、例示される実施形態においては、干渉信号は波長の関数として得られ、異なる波長帯域幅が異なるビームに対応する。カプラ112に結合される検出モジュール114は干渉信号を検出し、検出信号を生成する。検出モジュール114に結合される処理ユニット115は、受け取った検出信号を処理し、それによりOCTデータを生成する(又は処理された検出信号を更なる処理のためにOCTデータにする)。OCTデータは続いて、多くの場合は画像としてユーザへ提示するために、編成、変換等がなされ得る。当業者であれば、干渉信号、検出信号、及び処理が様々な方法で実現され得ること、所望の用途、一般的な試料特性、使用環境等に応じてカスタマイズ可能であることが理解されよう。
概して、本明細書において使用される場合、「処理ユニット」又は「処理システム」とは、受け取った入力に基づいてOCT解析を行うように構成される1つ又は複数の構成要素の総称である。一実施形態においては、処理システムはOCT運動解析を行うように構成されており、OCT運動解析とは、当業者であれば理解されるであろうが、試料内部の粒子の速度(相対速度又は絶対速度)の解析である。一実施形態においては、処理システムはさらに、体積又は構造の解析を行うように構成され、これは、当業者であれば理解されるであろうが、試料の物理的構造及び/又は体積の解析である。
図1a及び図1bに示される実施形態は、単一の検出器を備える。別の実施形態では、複数の検出器を使用してもよい。例えば、図2は、2つの検出器の実施形態によるマルチチャネルOCT装置を示すブロック図である。具体的には、図2は、複数の検出器を備えるマルチチャネルOCTシステム200を示す。具体的には、システム200は、2つの検出ユニットを有して、マルチビームOCT用に構成することができ、異なる波長内容を有する複数のビームを試料上に提供する。当業者であれば、2つの干渉計及び異なるファイバー長を使用することが、測定されたOCT信号間のクロストークノイズの影響を低減させることが理解されよう。
例示される実施形態に示されるように、システム200はEMR源201を備える。EMR源101に関していえば、EMR源201は、波長帯域幅Δλを有する光を、又は時間的に波長帯域幅Δλを掃引する光を生成することを含め、様々な実施形態に合わせて構成することができる。例示される実施形態では、ファイバー202は、他の点では従来のものであるファイバーカプラ203に光を伝送する。ファイバーカプラ203は、受け取った光を干渉計204及び干渉計205へ案内する。先の実施形態と同様に、当業者であれば、様々な干渉計タイプ(例えば、マイケルソン干渉計、マッハ−ツェンダー干渉計、又はフィゾー干渉計等)を用いてOCT技術を実施することができることが理解されよう。
例示される実施形態において、干渉計204及び205は実質的に同様のものである。別の実施形態では、干渉計204及び205は、例えば光学素子、干渉/検出/処理技術、作動パラメータ等が異なるように構成してもよい。説明を容易にするために、干渉計204及び205は、同様の特徴を有するものとして説明する。
例示される実施形態においては、干渉計204(205)のファイバー206(207)は、光をファイバーカプラ208(209)に伝送する。ファイバーカプラ208(209)は、光を試料アーム(ファイバー210(211))及び参照アーム(ファイバー(212(213))に分割する。例示される実施形態においては、参照アーム212(213)の光は遅延ライン214(215)を通る。遅延ライン214(215)を出た参照光は、ファイバー216(217)を介してファイバーカプラ220(221)へ案内される。
例示される実施形態では、試料アームファイバー210(211)は、ファイバーカプラ208(209)から受け取った光を結合マルチビーム生成ユニット(MBGU)226へ案内する。MBGU226は、ファイバー210及び211から受け取った光から、波長内容によって互いに区別可能な複数のビームを生成する。例示される実施形態においては、生成されたMBGU226からのビームは走査ユニット227に案内される。概して、走査ユニット227は、試料を照射し、試料から戻ってきた光を集める。例示される実施形態に示されるように、走査ユニット227は複数のビーム228を集光して試料229を走査する。以下により詳細に説明されるように、MBGU226の構成に応じて、試料229を照射するビーム228の方向及び位置を調整することができる。
当業者であれば、ビーム228からの光が試料229により後方反射されることが理解されよう。走査ユニット227は、試料229から戻ってきた後方反射光を受け取り、その戻ってきた光をMBGU226に、次いで干渉計204(205)に向かわせる。例示される実施形態に示されるように、MBGU226は、戻ってきた光を、ファイバー210(211)を介してカプラ208(209)へ送る。ファイバーカプラ208(209)は、戻ってきた光を、ファイバー218(219)を介してファイバーカプラ220(221)に案内する。
上述したように、ファイバーカプラ220(221)は、対応する参照アームからの光も受け取る。したがって、例示される実施形態においては、対応する参照アームからの光と試料から戻ってきた光がカプラ220(221)で干渉し、それにより干渉信号が生成される。概して、例示される実施形態では、干渉信号は波長の関数として得られ、異なる波長帯域幅が異なるビームに対応する。カプラ220(221)に結合される検出モジュール222(223)は干渉信号を検出し、検出信号を生成する。検出モジュール222(223)に結合される処理ユニット224(225)は、受け取った検出信号を処理し、それによりOCTデータが生成される。
上述したように、システム100及び200は、様々な構成で試料を照射するように構成することができる。図3a及び3bは、2つのこのような構成を示し、いずれも複数のビームを使用している。
図3aは、一実施形態によるMBGU/走査ユニットを示すブロック図である。より詳細には、図3aは、試料の同一位置を走査するときに同じ入射角を有する複数の光ビームを送出するように構成されるシステム300を示す。図3aでは、関連するMBGUからの光ビームは界面301において走査ユニット302に進入する。例示される実施形態においては、2つのビーム(303,304)が走査ユニット302に進入する。
例示される実施形態において、走査ユニット302は、走査ミラー305とレンズ306とを備える。当業者であれば、より複雑なシステムを含め、他の構成も使用可能であることが理解されよう。例示される実施形態においては、ビーム303及び304は走査ミラー305上で交差し、レンズ306に向かって反射される。レンズ306は試料307上にビームを集光する。
例示される実施形態においては、ビーム303、304間の交角308を変更することにより、(試料307上におけるビームの焦点位置における)ビーム間の距離309を調整することができる。ビーム303及び304が試料307上を横方向に走査するときに、試料上の同じ位置を走査するビーム間の遅延は走査速度及び距離309に依存する。当業者であれば、この調節可能な遅延が、試料内部の運動を対比するためにドップラーOCTにおいて使用できることが理解されよう。例えば、遅延を増加させることは、一般的に、試料内のより速度の遅い運動の観察を改善する。
図3bは、一実施形態によるMBGU/走査ユニットを示すブロック図である。より詳細には、図3bは、同一位置において異なる入射角で試料に当たる複数のビームを送出するように構成されるシステム350を示す。図3bでは、関連するMBGUからの光ビームは界面310において走査ユニット311に進入する。例示される実施形態においては、3つのビーム(312,313,314)が走査ユニット311に進入する。
例示される実施形態において、走査ユニット311は、走査ミラー315とレンズ316とを備える。当業者であれば、より複雑なシステムを含め、他の構成も使用可能であることが理解されよう。例示される実施形態においては、ビーム312、313、及び314は平行な方向で走査ミラー315に当たり、レンズ316に向けて反射される。レンズ316は試料318上の所与の位置317にビームを集光する。
例示される実施形態においては、ビーム312、313、及び314間の距離を変更することにより、試料318上の焦点位置317におけるビーム間の入射角320を調整することができる。当業者であれば、ビーム312、313、及び314から生じるOCT信号を組み合わせ、入射ビームのジオメトリを知ることにより、試料内部の運動の絶対速度が提供されることが理解されよう。
図4は、別の実施形態のマルチビーム構成ユニットを示すブロック図である。より詳細には、図4は、例えば図1aのMBGU107として使用するのに適したMBGU4000を示す。
例示される実施形態においては、ファイバー401は、例えば図1aのファイバー104に対応する。例示される実施形態に示されるように、ファイバー401は、ビーム403を生成するコリメータ402に光を案内する。例示される実施形態においては、ビーム403の波長内容は波長帯域幅Δλを含む。以下において、波長帯域幅Δλは、3つのサブ帯域幅Δλ1、Δλ2、及びΔλ3に分解することができ、例えばΔλ1≦Δλ2≦Δλ3であると仮定する。
例示される実施形態において、ビーム403はダイクロイックミラー404に到達する。例示される実施形態においては、ダイクロイックミラー404は、(波長帯域幅Δλ1を有する)ビーム405を反射し、(波長帯域幅Δλ2及びΔλ3を有する)ビーム406を透過させる。コリメータ407はビーム405を集光し、ビーム405からの光をファイバー413に沿ってコリメータ416へ向かわせる。
例示される実施形態においては、ビーム406はダイクロイックミラー408に到達する。例示される実施形態においては、ダイクロイックミラー408は(波長帯域幅Δλ2を有する)ビーム409を反射し、(波長帯域幅Δλ3を有する)ビーム410を透過させる。コリメータ411はビーム409を集光し、ビーム409からの光をファイバー414に沿ってコリメータ418へ向かわせる。コリメータ412はビーム410を集光し、ビーム410からの光をファイバー415に沿ってコリメータ420へ向かわせる。当業者であれば、ビーム405、409、及び410を生成するために他の方法を用いること、例えば追加の光学素子を用いて出力ビーム405及び、409、及び410を直接使用すること、もできることが理解されよう。
例示される実施形態においては、各々が異なる波長内容を有する出力ビーム417、419、421は、走査ユニット(図示しない)、例えば図1aの走査ユニット108等、上へ案内される。当業者であれば、これら3つのビームが通常は、例えば図3bに示されるように、走査ユニットの異なる3つの位置に当たる前には平行な方向を有していることが理解されよう。さらに、例示される実施形態においては、3つのビームは、試料に当たる前においては線型独立である。例示される実施形態においては、ファイバー413、414、及び415の長さを調整することにより、ユーザは、各出力ビームの光路を変更することができる。当業者であれば、この構成を、ビーム417、419、及び421間のクロストークを減じる又は回避する助けとなるように使用できることが理解されよう。
例えば、ダイクロイックミラー(404,408)を使用すると仮定すると、Δλ1とΔλ2の間、及びΔλ2とΔλ3の間で重複する波長が存在するが、Δλ1とΔλ3の間では重複が存在しない。当業者であれば、これらの関係がダイクロイックミラーの透過と反射の間の遷移スロープに依存することが理解されよう。結果として、ビーム417及び419間、又はビーム419及び421間のクロストークは存在するかもしれないが、ビーム417及び421間のクロストークは無視できることが期待され得る。
したがって、ビーム417及び421の光路長を互いに同等となるように(あるいは、コヒーレンス長よりも小さい光路長差を少なくとも有するように)調節する(例えばファイバー413及び415のファイバー長を変更する)ことができ、かつ、ビーム419(ファイバー414)の光路長とは異なるように調整することができる。当業者であれば、2つの異なる光路長を試料ビームについて用いると、参照光について2つの光路長を要することが理解されよう。このような実施形態の一つについては、例えば図1bに関して上述した。さらに、当業者であれば、これらの実施形態は3以上の異なる光路長を提供するように拡張されてもよいことが理解されよう。
図5a及び図5bは、別の実施形態におけるMBGUを示すブロック図である。図5a及び図5bに示される実施形態は、例えば図1aのMGBU107として機能するように構成することができる。図5aに示す実施形態では、MBGU500はファイバー501を備える。ファイバー501は、例えば図1aのファイバー104に対応する。例示される実施形態に示されるように、ファイバー501は、ビーム503を生成するコリメータ502に結合される。例示される実施形態においては、ビーム503は波長帯域幅Δλを有するように構成される。
例示される実施形態においては、ビーム503がユニット504に到達する。例示される実施形態においては、ユニット504は、出力ビーム505、506、及び507が異なる波長内容及び異なる空間上の位置を有するよう、出力ビーム505、506、及び507を透過させるように構成される。例えば、一実施形態においては、出力ビーム505、506、及び507の波長帯域幅はそれぞれ、Δλ1、Δλ2、及びΔλ3である。
概して、出力ビーム505、506、及び507は、例えば図1aの走査ユニット108のような、走査システムに案内されるように構成される。当業者であれば、これら3つの出力ビームが、(例えば図3bに示されるように)走査システムの3つの異なる位置に当たる前には、通常は線型独立であり、通常は平行な方向を有していることが理解されよう。一実施形態における付加的なジオメトリが図5bに示されている。
図5bは、一実施形態の、伝搬方向に垂直な平面におけるユニット504を示す図示550を示している。例示される実施形態においては、ユニット504は3つのバンドパスフィルタ508、509、及び510を備える。上述したように、一実施形態においては、ユニット504への入力往路はビーム503であり、ビーム503は波長帯域幅Δλを有する光を含む。例示される実施形態においては、バンドパスフィルタ508、509、及び510は、それぞれ波長帯域幅Δλ1、Δλ2、及びΔλ3を透過させる。したがって、出力ビーム505、506、及び507は、例示される実施形態におけるバンドパスフィルタのジオメトリに従って空間的に配置される、波長帯域幅Δλ1、Δλ2、及びΔλ3をそれぞれ有する光を含む。
当業者であれば、この実施形態が、EMR/光源(例えばEMR源101)の入射パワーが試料に向かう往路における損失を許容する程度に十分に高いことを前提としていることが理解されよう。例えば、例示される実施形態においては、ビーム503が表面積511によって与えられる表面積を有する円形であると仮定した場合に、往路における損失は、バンドパスフィルタの表面積と表面積511との比率に等しくなる。したがって、EMR源は、このような損失を許容するのに十分な入射パワーを提供するように構成することができる。さらに、当業者であれば、復路(試料から戻る光)がこのような損失による影響を受けないことが理解されよう。
図6a及び図6bは、別の実施形態におけるMBGUを示すブロック図である。図6a及び6bに示される実施形態は、例えば図1aのMGBU107として機能するように構成することができる。図6aに示す実施形態では、MBGU600はファイバー601を備える。ファイバー601は、例えば図1aのファイバー104に対応する。例示される実施形態に示されるように、ファイバー601は、ビーム603を生成するコリメータ602に結合される。例示される実施形態においては、ビーム603は波長帯域幅Δλを有するように構成される。例示される実施形態においては、帯域幅Δλは、Δλ1、Δλ2、及びΔλ3として示される3つのサブ帯域幅に分割されるように構成される。一実施形態においては、3つのサブ帯域幅の波長内容は重なり合わない。
例示される実施形態においては、ビーム603がユニット604に到達する。例示される実施形態においては、ユニット604は、ビーム波長に従ってビーム分割を実現するように構成された異なるコーティングを有する面を備えた立方体として示されている。例えば、例示される実施形態において、ユニット604の面605は、Δλ1を反射し、Δλ2及びΔλ3を透過させる。例示される実施形態において、面610は、Δλ2を反射し、Δλ1及びΔλ3を透過させる。例示される実施形態において、面613は、Δλ3を反射し、Δλ1及びΔλ2を透過させる。当業者であれば、同様の分割を実現するために異なる方法を用いることができることが理解されよう。
例示される実施形態においては、面605は、Δλ1をビーム606として反射し、Δλ2及びΔλ3をビーム609として透過させる。例示されるように、ビーム606はミラー607及び608に到達する。例示される実施形態では、ミラー607及び608は鏡であり、方向619に沿って移動可能なマウント618に固定される。このように構成されることにより、マウント618は、ビーム606の光路長を調整するために使用することができる。さらに、例示される実施形態においては、ミラー608は、マウント618に対して方向621に沿って移動可能なマウント620に固定される。例示されるように、ミラー608上での反射後に、ビーム606は面610及び面613を透過して位置614へ向かう。
上述したように、例示される実施形態では、透過したビーム609は2つのサブ帯域幅Δλ2及びΔλ3を含む。例示される実施形態において、ビーム609のサブ帯域幅Δλ2は、面610により反射されて、ビーム611を生成する。同様に、ビーム609は面610を透過して、ビーム612を生成する。図示されるように、ビーム611(サブ帯域幅Δλ2を有する)は、面613を透過して位置614へ向かう。
例示される実施形態においては、ビーム612はミラー615及び616に到達する。例示される実施形態においては、ミラー615及び616は、方向623に沿って移動可能なマウント622に固定される。同様に、ミラー616は、マウント622に対して方向625に沿って移動可能なマウント624に固定される。当業者であれば、これらの移動は、ビーム612の光路長を調節するように構成され得ることが理解されよう。
ミラー616に反射された後、ビーム612はプレート617に当たり、面613によって反射されて位置614へ向かう。例示される実施形態においては、プレート617は、ビーム612の伝搬方向に対して45度の角度をなすように構成される。したがって、当業者であれば、例示される実施形態において、図6bの図示650に示されているように、厚さに応じて、プレート617がビーム612を方向626に移動させることが理解されよう。
例示される実施形態において、サブ帯域幅Δλ1、Δλ2、及びΔλ3をそれぞれ有する3つのビーム606、611、及び612は、MBGUから出射されて、例えば図1aの走査ユニット108のような走査システム上へ案内される。当業者であれば、これらの3つのビームが、(例えば図3bに示されるように)走査システムの3つの異なる位置に到達する前には、通常は線型独立であり、通常は平行な方向を有することが理解されよう。
図6bは、図6aの位置614において、ビームの伝搬方向に対して垂直な平面における3つの出力ビーム位置を示す図示650を示す。一実施形態においては、これらの位置は、例えばマウント620及びミラー608を移動させてビーム606をビーム611に対して方向621へ移動させることにより変更することができる。同様に、一実施形態においては、マウント624及びミラー616を移動させることにより、ビーム612がビーム611に対して方向625へ移動される。上述したように、プレート617の厚さを変更すると、ビーム612のビーム611に対する方向625に沿った移動を変更する。したがって、例示される実施形態は、同じ参照光と干渉するサブ帯域幅Δλ1及びΔλ3間のクロストークを減じる助けとなるように構成することができる。同様に、一実施形態においては、サブ帯域幅Δλ2は、異なる(例えば異なる参照光路長の)参照光を用いて検出することができ、他のサブ帯域幅とのクロストークは最小限になるものと予想され得る。
図7a及び7bは、別の実施形態におけるMBGUを示すブロック図である。図7a及び7bに示される実施形態は、例えば図2のMGBU226として機能するように構成されてもよい。図7aの実施形態においては、MBGU700はファイバー701を備える。ファイバー701は、例えば図2のファイバー210に対応し、ファイバー705は、例えば図2のファイバー211に対応する。例示される実施形態に示されるように、ファイバー701は、ビーム703を生成するコリメータ702に結合される。同様に、ファイバー705は、ビーム707を生成するコリメータ706に結合される。例示される実施形態においては、ビーム703及び707は、波長帯域幅Δλを有するように構成される。一実施形態においては、帯域幅Δλは、Δλ1、Δλ2、及びΔλ3として示される3つのサブ帯域幅に分割されるように構成される。一実施形態においては、3つのサブ帯域幅の波長内容は重なり合わない。
例示される実施形態においては、ビーム703はユニット704に到達する。例示される実施形態においては、ユニット704は、波長Δλ2を反射し、波長Δλ1及びΔλ3を透過させるように構成される。したがって、例示される実施形態においては、ユニット709へ向かう透過したビーム708は、2つのサブ帯域幅Δλ1及びΔλ3で構成される。同様に、ビーム707のサブ帯域幅Δλ2のみが、ユニット704により反射されてユニット709へ向かう。例示される実施形態においては、ビーム707及び703は、ユニット704の同じ場所には当たらず、よって、透過したビームと反射されたビームは概して、空間的に重なり合わず、同一平面上にない。
例示される実施形態においては、ユニット709はサブ帯域幅Δλ1及びΔλ2を反射し、サブ帯域幅Δλ3を透過させる。したがって、例示される実施形態においては、ビーム707はユニット709により反射されてミラー713へ向かう。図示されるように、ミラー713はビーム707を反射してユニット709の別の位置へ戻す。例示される実施形態においては、ユニット709は単一のユニットとして図示されている。別の実施形態においては、ユニット709は、同様の又は異なる反射特性を有する2つの別個のユニットとして構成されてもよい。例示される実施形態においては、ユニット709はここでも、ビーム707を反射して、位置714へ向かわせる。
例示される実施形態においては、ビーム708は、サブ帯域幅Δλ1及びΔλ3で構成される。したがって、ビーム708がユニット709に到達すると、サブ帯域幅Δλ1は反射されてビーム710としてミラー713に向かい、サブ帯域幅Δλ3は透過されてビーム711としてミラー712に向かう。例示される実施形態においては、ミラー713による反射後、ビーム710はユニット709へ向かい、ユニット709はビーム710を位置714へ反射する。同様に、例示される実施形態においては、ビーム711は、ミラー712によってユニット709の方へ反射され、ユニット709はビーム711を透過させて位置714へ向かわせる。
例示される実施形態においては、サブ帯域幅Δλ1、Δλ2、及びΔλ3をそれぞれ有する3つのビーム710、707、及び711は、MBGU700(位置714)から出射され、例えば図2の走査ユニット227のような走査システム上へ案内される。当業者であれば、これら3つのビームが、(例えば図3bに示されるように)走査システムの3つの異なる位置に到達する前においては、通常は同一平面上にはなく、通常は平行な方向を有していることが理解されよう。
図7bは、図7aの位置714において、ビームの伝搬方向に垂直な平面における3つの出力ビーム位置を示す図示750を示す。一実施形態においては、これらの位置は、例えばコリメータ706を動かしてビーム707を動かし、かつ、ミラー712を動かしてビーム711を動かすことにより、変更することができる。したがって、例示される実施形態は、重複するサブ帯域幅間のクロストークを減じる助けとなるように構成される。一実施形態においては、ファイバー長701及び705を調節することにより、サブ帯域幅Δλ2及びΔλ1間、ならびにサブ帯域幅Δλ2及びΔλ3間のクロストークを低減することができる。
このように構成されるため、本明細書に記載される実施形態は、従来のシステム及び方法に関連する不利な点の少なくともいくつかを克服するOCT実施用に構成することができる。例えば、図8は、例えば図1a/1b、及び図2の実施形態により得られた信号から、試料内部の運動の絶対速度を取得するためのプロセスを示すブロック図である。上述したように、これらの実施形態は、試料上の同一の位置上の、各取得位置に関して3つの異なる方向を有する3つの入射ビームにより、試料を横方向に走査することを可能にする。
図8に示されるように、2つの位置、すなわちP(801)及びQ(808)、が考慮される。試料上の入射走査ビームは図8においてA、B、及びCとして示されている。ビームA、B、及びCの方向は、それぞれ
である。例示される実施形態においては、これらの方向は線型独立である。さらに、例示される実施形態においては、試料上の位置P及びQにおける測定値は、時刻t及び時刻t+Tにそれぞれ取得されることを前提とする。さらに、位置Qは、Pに近接する又は「近い」ことを前提とする。当業者であれば、「Pに近いQ」とは、2つの位置が走査ビーム間で重なり合うことができる程度に十分に近く、OCT信号間の有意な相関関係を可能にすることを意味することが理解されよう。
例示される実施形態においては、位置P及びQに関して取得された干渉信号は、波長(802及び809)に符号化される。波長帯域幅Δλ1、Δλ2、及びΔλ3は、ビームA、B、及びCにそれぞれ対応する。例示される実施形態においては、第1のステップは、バンドパスフィルタを干渉信号に適用して、各ビーム(803及び810)に対応する3つの帯域を分離等することである。当業者であれば、異なる形状のバンドパスフィルタをこのフィルタリングを行うために適用可能であることが理解されよう。次に、各バンドパスフィルタで処理された信号について、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)プロセスが適用され、振幅と深さz(804及び811)の関数としての位相情報とで構成される複合OCT信号を取得する。したがって、位相φA(P,z,t)、φB(P,z,t)、及びφC(P,z,t)は、ビームA、B、及びCに関してそれぞれ取得される。したがって、位置Qにおいて、位相φA(Q,z,t+T)、φB(Q,z,t+T)、及びφC(Q,z,t+T)が、ビームA、B、及びCに関してそれぞれ取得される。各ビームについて、以下の位相差が計算される(805)。
ΔφA=φA(P,z,t)−φA(Q,z,t+T)、ΔφB=φB(P,z,t)−φB(Q,z,t+T)、及びΔφC=φC(Q,z,t+T)−φC(Q,z,t+T)
試料のモーションアーチファクト(806)の補正後、以前の位相差ΔφA、ΔφB、及びΔφCがΔ'ΦA、Δ'ΦB、及びΔ'ΦCに変換される。次いで、ビーム方向
にそれぞれ沿った速度VA、VB、及びVCが以下のように算出される。
ここで、λは光源の中心波長であり、nは試料の屈折率(807)である。方向
が所与の基準座標系において分かっていることを前提として、試料内部における運動の速度を得ることができる。
上述したように、開示される実施形態は様々なOCT技術用に構成することができる。例えば、図9は、別の実施形態のMBGU900を示すブロック図であり、例えば図1aのMBGU107のように構成することができる。例示される実施形態においては、MBGU900は、試料上の所与の位置に関して入射角が同じであり、かつ、ビーム間の可変の遅延を用いて試料を走査する、2つのビームを提供するように構成することができ、OCTを用いた、異なる速度を有する試料内部の複数の運動のイメージングを可能にする。
例示される実施形態においては、ファイバー901は、図1のファイバー104に対応するように構成される。例示される実施形態においては、ファイバー901は、波長帯域幅Δλを有する光をコリメータ902へ案内する。例示される実施形態に示されるように、コリメータ902は、ダイクロイックミラー904へ向かうビーム903を生成する。例示される実施形態においては、ダイクロイックミラー904は、ビーム903を2つの帯域幅に分割する。すなわち、Δλ1は透過されてビーム905を形成し、Δλ2は反射されてビーム906を形成する。
ビーム905は、コリメータ907によって集光され、コリメータ907はビーム905をファイバー909を介してコリメータ911へ送り、コリメータ911はビーム912として出射する。例示される実施形態においては、ビーム912はコリメータ911から出射されて、レンズ913に当たり、ダイクロイックミラー904を透過して、レンズ919に到達する。例示される実施形態においては、コリメータ911及びレンズ913は、所望に応じて方向921に沿ってビーム912を前後させることを可能にする移動プレート914に取り付けられる。
例示される実施形態においては、ビーム906は、コリメータ908によって集光され、コリメータ908はビーム906をファイバー910を介してコリメータ915へ送り、コリメータ915はビーム916として出射する。例示される実施形態においては、ビーム916はコリメータ915から出射されてレンズ917に当たり、ダイクロイックミラー904により反射され、レンズ919に到達する。例示される実施形態において、コリメータ及びレンズ917は、方向922に沿ってビーム916を前後させることを可能にする移動プレート918に取り付けられる。
例示される実施形態においては、レンズ919を通過した後、ビーム912及び916は、レンズ919の焦点920において交差する。一実施形態においては、焦点920は、例えば図1aの走査システム108のような走査システムのピボットポイントに対応する。しかしながら、当業者であれば、例えばフルレンジイメージングの場合には、ピボットポイントから外れた位置を使用することができることが理解されよう。同様に、プレート914及び918をそれぞれ方向921及び922に沿って移動させることは、走査システム上のビーム912及び916の交角を変更することを可能にする。
図10は、別の実施形態のMBGU1000を示すブロック図であり、例えば図1aのMBGU107のように構成することができる。例示される実施形態においては、MBGU1000は、ビーム間の可変の遅延を用いて試料を走査する2つのビームを提供するように構成することができ、OCT法を用いて、異なる速度を有する試料内部の複数の運動のイメージングを可能にする。
例示される実施形態において、ファイバー1001は、図1aのファイバー104に対応するように構成することができる。例示される実施形態において、ファイバー1001は、波長帯域幅Δλを有する光をコリメータ1002へ案内する。例示される実施形態に示されるように、コリメータ1002は、ダイクロイックミラー1004へ案内されるビーム1003を生成する。例示される実施形態においては、ダイクロイックミラー1004は、ビーム1003を2つの帯域幅に分割する。すなわち、Δλ1は透過されてビーム1005を形成し、Δλ2は反射されてビーム1006を形成する。
例示される実施形態において、ビーム1005は、ミラー1007によってミラー1009へ反射される。例示される実施形態においては、ミラー1009は、反射された光の方向を変更するように回動するように構成される。例示される実施形態においては、ミラー1009は、ビーム1005をミラー1008へ反射する。図示されるように、ミラー1008は、ビーム1005をダイクロイックミラー1004へ送る。例示される実施形態においては、ダイクロイックミラー1004は、ビーム1005を透過させてレンズ1011へ向かわせる。
例示される実施形態においては、ビーム1006は反射されてダイクロイックミラー1004からミラー1008へ向かう。同様に、ミラー1008は、ビーム1006をミラー1009へ反射する。図示されるように、ミラー1009は、ビーム1006をミラー1007へ送る。ミラー1007は、ビーム1006をダイクロイックミラー1004へ反射し、ダイクロイックミラー1004は、ビーム1006をレンズ1011へ反射する。
往路でレンズ1011に入射する前において、角度1010は、ビーム1005の方向とビーム1006の方向との間の角度を表す。例示される実施形態においては、ミラー1009のピボットポイントは、レンズ1011の焦点に位置しており、ミラー1009が回動されると、レンズ1012を通った後のビーム1005及び1006の方向がレンズ1012の焦点位置1013において交差する。一実施形態においては、焦点位置1013は、例えば図1aの走査システム108のような走査システムのピボットポイントに対応する。しかしながら、当業者であれば、例えばフルレンジイメージングの場合には、ピボットポイントからずれた位置も使用可能であることが理解されよう。さらに、例示される実施形態においては、ミラー1009を回動させることにより、走査システム上のビーム1005及び1006の交角を変化させることを可能にする。結果として、一実施形態においては、この交角を変化させることで、試料上のビーム間の距離を変更する。
図11は、例えば図2のMBGU226のように構成することができる、別の実施形態のMBGU1100を示すブロック図である。例示される実施形態においては、MBGU1100は、ビーム間の可変の遅延を用いて試料を走査する2つのビームを提供するように構成することができ、OCT法を用いて、異なる速度を有する試料内部の複数の運動をイメージングすることを可能にする。
例示される実施形態においては、EMR源は、Δλ1及びΔλ2として示される2つのサブ帯域幅に分割可能な波長帯域幅Δλを有する光を提供するように構成される。例示される実施形態においては、ファイバー1101は、図2のファイバー210に対応するように構成することができる。例示される実施形態においては、ファイバー1105は、図2のファイバー211に対応するように構成することができる。
例示される実施形態においては、コリメータ1102(1106)は、ダイクロイックミラー1104へ案内されるビーム1103(1107)を出射する。例示される実施形態においては、ダイクロイックミラー1104は、波長帯域幅Δλ1を透過させ、波長帯域幅Δλ2を反射する。したがって、図示されるように、ダイクロイックミラー1104は、ビーム1103の帯域幅Δλ1を透過させ、これがビーム1108として示されている。ダイクロイックミラー1104は、ビーム1107の帯域幅Δλ2を反射する。両ビーム1108及び1107は、ダイクロイックミラー1109に到達する。
例示される実施形態においては、ダイクロイックミラー1109は、例えばダイクロイックミラー1104と同様の反射特性を有するように構成され、したがって、ビーム1108は、ダイクロイックミラー1109を透過して、ミラー1110へ向かう。図示されるように、ビーム1107は、ダイクロイックミラー1109によってミラー1112の方へ反射される。
例示される実施形態においては、ビーム1108は、連続してミラー1110、1111、及び1112により反射されて、ダイクロイックミラー1109に到達し、レンズ1114及び1115へ送られる。同様に、ビーム1107は、連続してミラー1112、1111、及び1110により反射されて、ダイクロイックミラー1109に到達し、レンズ1114及び1115へ反射される。
往路でレンズ1114に入射する前において、角度1113は、ビーム1107の方向とビーム1108の方向との間の角度を表す。例示される実施形態においては、ミラー1111のピボットポイントは、ミラー1011が回動されるときなどにレンズ1114の焦点に位置しており、ビーム1107及び1108の方向がレンズ1115の焦点位置1116において交差する。一実施形態においては、焦点位置1116は、例えば図2の走査システム227のような走査システムのピボットポイントに対応する。しかしながら、当業者であれば、例えばフルレンジイメージングの場合には、ピボットポイントからずれた位置を使用可能であることが理解されよう。
例示される実施形態においては、ミラー1111を回動させることにより、走査システム上のビーム1107及び1108の交角を変化させることができる。したがって、例示される実施形態においては、この交角を変化させることにより、試料上のビーム間の距離を変更する。図10に関して説明した実施形態と比較すると、図11に関して説明する実施形態では、ファイバー1101及び1105のファイバー長の差の半分が光源のコヒーレンス長よりも長くなるように、ファイバー1101及び1105の長さを調整することによりクロストークを低減することが可能である。
図12は、例えば図1aのMBGU107のように構成することができる、別の実施形態のMBGU1200を示すブロック図である。例示される実施形態においては、MBGU1200は、ビーム間の可変の遅延を用いて試料を走査する2つのビームを提供するように構成することができ、OCT法を用いて、異なる速度を有する試料内部の複数の運動をイメージングすることを可能にする。
例示される実施形態において、ファイバー1201は、図1のファイバー104に対応するように構成することができる。例示される実施形態において、ファイバー1201は、波長帯域幅Δλを有する光をコリメータ1202へ案内する。例示される実施形態に示されるように、コリメータ1202は、ダイクロイックミラー1204へ向かうビーム1203を生成する。例示される実施形態においては、ダイクロイックミラー1204は、ビーム1203を2つの帯域幅に分割する。すなわち、Δλ1は透過されてビーム1205を形成し、Δλ2は反射されてビーム1206を形成する。
例示される実施形態においては、ビーム1205はコリメータ1207によって集光され、コリメータ1207は、ファイバー1209を介してビーム1205をコリメータ1211へ送り、コリメータ1211はビーム1213として出射する。例示される実施形態においては、ビーム1213はコリメータ1211から出射されて、ミラー1215に当たる。例示される実施形態においては、ミラー1215がビーム1213をダイクロイックミラー1216へ反射する。例示される実施形態において、ビーム1213は、ダイクロイックミラー1216を透過してレンズ1217に到達する。図示されるように、レンズ1217は、ビーム1213をレンズ1218へ屈折させる。同様に、レンズ1218は、ビーム1213をその像焦点1219へ出力する。
例示される実施形態においては、ビーム1206はコリメータ1208によって集光され、コリメータ1208は、ファイバー1210を介してビーム1206をコリメータ1212へ送る。当業者であれば、一実施形態においては、コリメータ1211及び1212ならびにファイバー1209及び1210を、バルク光学素子に置換可能であることが理解されよう。当業者であれば、別の実施形態において、コリメータ1202からコリメータ1212及び1211に至る構成要素を、単一のファイバーカプラや波長分割多重化装置に置換可能であることが理解されよう。さらに別の実施形態においては、単一のダイクロイックミラーを2つのダイクロイックミラーに代えて使用してもよい。
例示される実施形態において、ビーム1214は、コリメータ1212から出射され、ダイクロイックミラー1216に到達する。図示されるように、ビーム1214は、ダイクロイックミラー1216により反射されて、レンズ1217へ向かう。同様に、ビーム1214は、レンズ1218を透過して、レンズ1218の像焦点1219に到達する。例示される実施形態においては、ミラー1215のピボットポイントは、レンズ1217の物体焦点に対応する。一実施形態においては、ミラー1215のピボットポイントは焦点1219と共役関係にある。したがって、一実施形態においては、ミラー1215が回動されると、焦点1219におけるビーム間の角度が、交点は維持したままで変化する。一実施形態においては、焦点1219は、例えば図1aの走査システム1408のような走査システムのピボットポイントに対応する。したがって、当業者であれば、一実施形態において、この交角を変化させることにより試料上のビーム間の距離を変更することが理解されよう。
このように構成されているため、本明細書に記載される実施形態は、従来のシステム及び方法に関連する不利な点の少なくともいくつかを克服するOCT実施用に構成することができる。例えば、図13は、例えば図1a/1b、及び図2の実施形態により得られた信号から、試料内部の運動の絶対速度を取得するためのプロセスを示すブロック図である。上述したように、これらの実施形態は、試料上の2つの異なる位置における2つの入射ビームにより試料を横方向に走査することを可能にする。したがって、試料を走査することにより、これら2つのビームの位置の間に重複部分が存在し、モーションコントラストイメージングを改善することができる。
図13(1301)に示されるように、2つのビームはA及びBにより示される。時刻tにおいて(1301)、測定が行われ、ビームA及びBがそれぞれ位置P及びQにある。時刻t+Tにおいて(1308)、測定が行われ、ビームA及びBは位置Q'及びRにある。例示される実施形態においては、サンプル上の位置Q及びQ'が互いに「近接する」又は「近い」位置であることを前提とする。当業者であれば、「近い」という語が、2つの位置が走査ビーム間で重複が生じ得る程度に十分に近いことを意味し、OCT信号間の有意な相関関係を可能にすることが理解されよう。
例示される実施形態においては、位置P(ビームA)及びQ(ビームB)について時刻tにおいて得られた干渉信号が波長に符号化され(1302)、ビームA及びビームBはそれぞれ波長帯域幅Δλ1及びΔλ2に対応する。同様に、位置Q'(ビームA)及びR(ビームB)について時刻t+Tにおいて得られた干渉信号が波長に符号化され(1309)、ビームA及びビームBはそれぞれ波長帯域幅Δλ1及びΔλ2に対応する。
例示される実施形態においては、第1のステップは、干渉信号にバンドパスフィルタを適用して、例えば各ビーム(1303及び1310)に対応する2つの帯域を分離することである。当業者であれば、異なる形状のバンドパスフィルタをこのフィルタリングを行うために適用可能であることが理解されよう。次に、バンドパスフィルタで処理された各信号について、光コヒーレンストモグラフィー(OCT)プロセスが適用され、振幅と深さzの関数としての位相情報(1304及び1311)とで構成される複合OCT信号を取得する。
例示される実施形態においては、位置Q及びQ'が近いため、これらのOCT信号は相関しており、比較が可能である。以下のようにOCT位相が比較されるが、当業者であれば、強度情報を用いた異なる方法、例えばスペックル非相関の振幅非相関、でも実現可能であることが理解されよう。例示される実施形態においては、位置Qについて、時刻tにおいて取得されるビームBの位相が、φB(Q,z,t)(ここで、zは深さに対応する)であり、位置Q'について、時刻t+Tにおいて取得されるビームAの位相が、φA(Q',z,t+T)である。一実施形態においては、位相差は以下のように算出される(1305)。
Δφ=φB(Q,z,t)−φA(Q',z,t+T)
モーションアーチファクトについて位相差を補正した後に、ΔφはΔ'φと記述される(1306)。最後に、例えば絶対値│Δ'Φ│又は二乗Δ'Φ2を計算し、モーションコントラストイメージングが得られる。さらに、当業者であれば、(1307)から、
であり、ここで、nは試料の屈折率、λは光源の中心波長、Vzは試料内部の運動の軸方向速度であることが理解されよう。例示される実施形態においては、速度Vzが遅い場合、測定ノイズを上回るように│Δ'Φ│を増加させるために、大きな遅延Tが必要である。
当業者であれば、上記に開示したものの変形例及び他の特徴及び機能、又はその代替例が、所望に応じて組み合わされて、他の多くの異なるシステムや応用とされ得ることが理解されよう。さらに、当業者により、以下の特許請求の範囲に包含されることを意図される、現在予見される又は予見されない様々な代替例、改変、変形例、又は改良がなされ得る。