JP6596642B2 - 表面にdlc膜をコーティングしたモスアイ構造を有する透明基材及びその製造方法 - Google Patents
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Description
すなわち、ブルーライトは一時的な眼精疲労症状を引き起こすのみならず、水晶体を通過してさらに網膜に達し、視神経を障害するおそれがあるとされている。またサーカディアンリズムと呼ばれる生活リズムをかく乱する作用について医学的見地から注意が喚起されている。
また、めがねによる対応は作業者自身がそれぞれ直接装着することを必要とすることから不便で限定的、受動的な防御方法にとどまる。
別にブルーライトカット効果があるとするシリカ・アルミナ系の複雑な組成の無機ガラスが提案されている(特許文献3)。しかしながらこの提案は重くて剛直ないわゆるガラス板であって通常湾曲している表面をもつ軽量の表示装置に適用できるものではない。
これに関してモスアイ構造は表示装置の表面において、入射光に対して屈折率が連続的に変化する構造であることからほぼ無反射の表面を得ることが可能で、同時に光源からの入射光を効率よく取り込んで放射することができる。たとえば透明性の支持材料の上に底部の径が約100nm、高さが約180〜220nm、ピッチが約100nm、アスペクト比(高さ/ピッチ)が1以上であるような周期性をもつナノサイズの紡錘形凸部を有する高分子フィルムは、支持体上にあっても可視光線の範囲において反射率が0.25%以下、透過率が99%以上であることが知られている。しかしながらその構造自体では紫外線カット、ブルーライトカット効果はない。
また透明性の支持材料として汎用されているポリエステル樹脂、あるいはアクリル樹脂は可視光線のほか紫外線、ブルーライトまでをよく透過する、すなわちそれら光線のカット効果はない。
他の光学用透明樹脂として用いられているセルロース系樹脂、ポリシクロオレフィン系樹脂についても同様にブルーライトカット効果はない。
DLC生成に当たり、炭素源としてエチレン、アセチレン、ベンゼンなどの炭化水素を用いた場合には通常は水素を含む基本的に三元系の構造となる。
本発明者らは、高い透過光量、ブルーカット、高い物理的強度を備え持つ表示装置に適した資材について鋭意検討するなかで、モスアイ構造物へのDLC被膜形成(図2)に着想した。背景技術に記載のとおりモスアイ構造物への被膜形成の事例はあるが、これらの被膜物質とモスアイ資材の屈折率は同等程度であり、コーティングによって光学値(屈折率に起因する反射率等)が影響しないことは明らかである。一方、屈折率の高いDLC被膜の形成における光学的影響については未知であり、モスアイ構造物及びモスアイ構造物ではない樹脂の表面に高屈折率のダイヤモンドライクカーボンをコーティングしたときの屈折率変化をBruggmanの有効媒質近似によって計算した(図10)。反射率は、屈折率差が大きいほど高くなる。モスアイ構造物では、表面に高屈折率の物質が存在しても、屈折率変化がなだらかであり、反射率増加を抑制できることを明らかにした。
図3に示す透明基材1は、その表面にモスアイ構造2を有し、モスアイ構造2の表面にはコーティングにより、ヨウ素含有DLC膜32が積層して形成されている。そして、この透明基材1は図1に示す構造の製造装置を使用して次のような方法で製造される。
図4に示す透明基材1は、その表面にモスアイ構造2を有し、モスアイ構造2の表面にはコーティングにより、フッ素・ヨウ素の混合含有DLC膜34が積層して形成されている。そして、この透明基材1は図1に示す構造の製造装置を使用して次のような方法で製造される。
図5に示す透明基材1は、その表面にモスアイ構造2を有し、モスアイ構造2の表面にはコーティングにより、ヨウ素・ケイ素の混合含有DLC膜35が積層して形成されている。そして、この透明基材1は図1に示す構造の製造装置を使用して次のような方法で製造される。
図6に示す透明基材1は、その表面にモスアイ構造2を有し、モスアイ構造2の表面にはコーティングにより、フッ素・ヨウ素・ケイ素の混合含有DLC膜36が積層して形成されている。そして、この透明基材1は図1に示す構造の製造装置を使用して次のような方法で製造される。
図7に示す透明基材1は、その表面にモスアイ構造2を有し、モスアイ構造2の表面にはコーティングにより、外側表面となる第一層にヨウ素含有DLC膜32が、その下層の第二層にケイ素含有DLC膜33が、積層して形成されている。そして、この透明基材1は図1に示す構造の製造装置を使用して次のような方法で製造される。
図8に示す透明基材1は、その表面にモスアイ構造2を有し、モスアイ構造2の表面にはコーティングにより、外側表面となる第一層にフッ素・ヨウ素の混合含有DLC膜34が、その下層の第二層にケイ素含有DLC膜33が、積層して形成されている。そして、この透明基材1は図1に示す構造の製造装置を使用して次のような方法で製造される。
図9に示す透明基材1は、その表面にモスアイ構造2を有し、モスアイ構造2の表面にはコーティングにより、外側表面となる第一層にフッ素含有DLC膜31が、その下層の第二層にヨウ素含有DLC膜32が、更にその下層の第三層にケイ素含有DLC膜33が、積層して形成されている。そして、この透明基材1は図1に示す構造の製造装置を使用して次のような方法で製造される。
2 モスアイ構造
3 DLC膜
31 フッ素含有DLC膜
32 ヨウ素含有DLC膜
33 ケイ素含有DLC膜
34 フッ素・ヨウ素の混合含有DLC膜
35 ヨウ素・ケイ素の混合含有DLC膜
36 フッ素・ヨウ素・ケイ素の混合含有DLC膜
5 真空容器
51 真空ポンプ
52 原料ガス導入路
52a 分岐枝導入路
52b マスフローコントローラー
53 導電板
53a 支持部材
54 パルス電源
55 アンテナ
6 原料ガス供給部
61 アセチレンガス封入容器
62 四フッ化メタンガス封入容器
63 トリフルオロヨードメタンガス封入容器
64 テトラメチルシランガス封入容器
Claims (14)
- 表面にモスアイ構造を有する透明基材のそのモスアイ構造表面に、ヨウ素含有DLC膜を形成したことを特徴とする表面にDLC膜をコーティングしたモスアイ構造を有する透明基材。
- 真空容器内で表面にモスアイ構造を有する透明基材を導電板上に載置し、真空容器内に炭化水素ガス及び有機ヨウ素化合物ガスの混合ガス、または、有機ヨウ素化合物ガス単体を導入すると同時に減圧状態に維持してプラズマを生成し、導電板に負電位のパルス電圧を繰り返し印加して、導電板上の透明基材のモスアイ構造表面に、ヨウ素含有DLC膜を形成したことを特徴とする表面にDLC膜をコーティングしたモスアイ構造を有する透明基材の製造方法。
- 表面にモスアイ構造を有する透明基材のそのモスアイ構造表面に、フッ素・ヨウ素の混合含有DLC膜を形成したことを特徴とする表面にDLC膜をコーティングしたモスアイ構造を有する透明基材。
- 真空容器内で表面にモスアイ構造を有する透明基材を導電板上に載置し、真空容器内に炭化水素ガス、フッ化化合物ガス及び有機ヨウ素化合物ガスの混合ガス、または、フッ化化合物ガス及び有機ヨウ素化合物ガスの混合ガスを導入すると同時に減圧状態に維持してプラズマを生成し、導電板に負電位のパルス電圧を繰り返し印加して、導電板上の透明基材のモスアイ構造表面に、フッ素・ヨウ素の混合含有DLC膜を形成したことを特徴とする表面にDLC膜をコーティングしたモスアイ構造を有する透明基材の製造方法。
- 表面にモスアイ構造を有する透明基材のそのモスアイ構造表面に、ヨウ素・ケイ素の混合含有DLC膜を形成したことを特徴とする表面にDLC膜をコーティングしたモスアイ構造を有する透明基材。
- 真空容器内で表面にモスアイ構造を有する透明基材を導電板上に載置し、真空容器内に炭化水素ガス、有機ヨウ素化合物ガス及び有機ケイ素化合物ガスの混合ガス、または、有機ヨウ素化合物ガス及び有機ケイ素化合物ガスの混合ガスを導入すると同時に減圧状態に維持してプラズマを生成し、導電板に負電位のパルス電圧を繰り返し印加して、導電板上の透明基材のモスアイ構造表面に、ヨウ素・ケイ素の混合含有DLC膜を形成したことを特徴とする表面にDLC膜をコーティングしたモスアイ構造を有する透明基材の製造方法。
- 表面にモスアイ構造を有する透明基材のそのモスアイ構造表面に、フッ素・ヨウ素・ケイ素の混合含有DLC膜を形成したことを特徴とする表面にDLC膜をコーティングしたモスアイ構造を有する透明基材。
- 真空容器内で表面にモスアイ構造を有する透明基材を導電板上に載置し、真空容器内に炭化水素ガス、有機フッ素化合物ガス、有機ヨウ素化合物ガス及び有機ケイ素化合物ガスの混合ガス、または、有機フッ素化合物ガス、有機ヨウ素化合物ガス及び有機ケイ素化合物ガスの混合ガスを導入すると同時に減圧状態に維持してプラズマを生成し、導電板に負電位のパルス電圧を繰り返し印加して、導電板上の透明基材のモスアイ構造表面に、フッ素・ヨウ素・ケイ素の混合含有DLC膜を形成したことを特徴とする表面にDLC膜をコーティングしたモスアイ構造を有する透明基材の製造方法。
- 表面にモスアイ構造を有する透明基材のそのモスアイ構造表面に、外側表面となる第一層にヨウ素含有DLC膜を、第二層にケイ素含有DLC膜を、積層形成したことを特徴とする表面にDLC膜をコーティングしたモスアイ構造を有する透明基材。
- 真空容器内で表面にモスアイ構造を有する透明基材を導電板上に載置し、真空容器内に炭化水素ガス及び有機ケイ素化合物ガスの混合ガス、または、有機ケイ素化合物ガス単体を導入すると同時に減圧状態に維持してプラズマを生成し、導電板に負電位のパルス電圧を繰り返し印加して、導電板上の透明基材のモスアイ構造表面に、第二層となるケイ素含有DLC膜を形成した後、真空容器内に炭化水素ガス及び有機ヨウ素化合物ガス、または、有機ヨウ素化合物ガス単体を導入すると同時に減圧状態に維持してプラズマを生成し、導電板に負電位のパルス電圧を繰り返し印加して、導電板上の透明基材のモスアイ構造表面に形成した第二層となるケイ素含有DLC膜の表面に、外側表面となる第一層のヨウ素含有DLC膜を、積層形成したことを特徴とする表面にDLC膜をコーティングしたモスアイ構造を有する透明基材の製造方法。
- 表面にモスアイ構造を有する透明基材のそのモスアイ構造表面に、外側表面となる第一層にフッ素・ヨウ素の混合含有DLC膜を、第二層にケイ素含有DLC膜を、積層形成したことを特徴とする表面にDLC膜をコーティングしたモスアイ構造を有する透明基材。
- 真空容器内で表面にモスアイ構造を有する透明基材を導電板上に載置し、真空容器内に炭化水素ガス及び有機ケイ素化合物ガスの混合ガス、または、有機ケイ素化合物ガス単体を導入すると同時に減圧状態に維持してプラズマを生成し、導電板に負電位のパルス電圧を繰り返し印加して、導電板上の透明基材のモスアイ構造表面に、第二層となるケイ素含有DLC膜を形成した後、真空容器内に炭化水素ガス、有機フッ素化合物ガス及び有機ヨウ素化合物ガスの混合ガス、または、有機フッ素化合物ガス及び有機ヨウ素化合物ガスの混合ガスを導入すると同時に減圧状態に維持してプラズマを生成し、導電板に負電位のパルス電圧を繰り返し印加して、導電板上の透明基材のモスアイ構造表面に形成した第二層となるケイ素含有DLC膜の表面に、外側表面となる第一層のフッ素・ヨウ素の混合含有DLC膜を、積層形成したことを特徴とする表面にDLC膜をコーティングしたモスアイ構造を有する透明基材の製造方法。
- 表面にモスアイ構造を有する透明基材のそのモスアイ構造表面に、外側表面となる第一層にフッ素含有DLC膜を、第二層にヨウ素含有DLC膜を、第三層にケイ素含有DLC膜を、積層形成したことを特徴とする表面にDLC膜をコーティングしたモスアイ構造を有する透明基材。
- 真空容器内で表面にモスアイ構造を有する透明基材を導電板上に載置し、真空容器内に炭化水素ガス及び有機ケイ素化合物ガスの混合ガス、および、有機ケイ素化合物ガス単体を導入すると同時に減圧状態に維持してプラズマを生成し、導電板に負電位のパルス電圧を繰り返し印加して、導電板上の透明基材のモスアイ構造表面に、第三層となるケイ素含有DLC膜を形成し、次に、真空容器内に炭化水素ガス及び有機ヨウ素化合物ガスの混合ガス、または、有機ヨウ素化合物ガス単体を導入すると同時に減圧状態に維持してプラズマを生成し、導電板に負電位のパルス電圧を繰り返し印加して、導電板上の透明基材のモスアイ構造表面に形成した第三層となるケイ素含有DLC膜の表面に、第二層となるヨウ素含有DLC膜を形成した後、真空容器内に炭化水素ガス及び有機フッ素化合物ガスの混合ガス、または、有機フッ素化合物ガス単体を導入すると同時に減圧状態に維持してプラズマを生成し、導電板に負電位のパルス電圧を繰り返し印加して、導電板上の透明基材のモスアイ構造表面に積層形成した第二層となるヨウ素含有DLC膜の表面に、外側表面となる第一層のフッ素含有DLC膜を、さらに積層形成したことを特徴とする表面にDLC膜をコーティングしたモスアイ構造を有する透明基材の製造方法。
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