JP6595501B2 - 懸濁ナノ粒子を用いた超音波洗浄方法 - Google Patents

懸濁ナノ粒子を用いた超音波洗浄方法 Download PDF

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Description

本発明は、対象物の処理のための超音波技術の使用、及び、特に様々な対象物及び製品から汚染物質を除去するための超音波ベースの方法に関する。
先行技術
ここで開示された主題の背景として関連すると考えられる参考文献は、以下に一覧にされる:
−Jan C.J. Bart, Additives in Polymers: Industrial Analysis and Applications, Wiley 2005年,76頁
−WO06/001293
−US2003115794。
本明細書中で上記参考文献のアクノリッジメントは、それらがここで開示された主題の特許性にいかなる方法でも関連することを意味するとして推察されるべきではない。
背景
超音波システムは、様々な目的のために使用される。例えば、Bart Jan C.J.は、超音波処理中に作成された気泡の内破の効果によって、手術器具を洗浄するための超音波システムの利用を記載する[Jan C.J. Bart, Additives in Polymers: Industrial Analysis and Applications, Wiley 2005年, 76頁]。
国際特許出願第WO06/001293は、医療器具を滅菌するための及び滅菌液中で消毒の目的で手を洗うための超音波洗浄方法及び装置を記載する。超音波洗浄装置は、放電オゾン滅菌及び滅菌液中で滅菌される対象物上での銀イオンによる銀電解滅菌を行うように構成されている。
最後に、US2003115794は、植物病原体に感染した種子の超音波洗浄効果を改善し、及び種子の発芽率の加速することを目的として、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ビグアナイド化合物、ヨウ素化合物、及びアルコール化合物からなる群から選択される少なくとも1つの薬剤を含む溶液で種子を処理する方法を記載する。
概要
本発明は、液体媒体中にナノサイズ粒子を有する市販の超音波浴を操作する場合、粒子なしに操作される場合に得られるものと比較して、超音波によって得られる洗浄効果は、予想外に良いという知見に基づく。これは、様々な特徴の、様々な異なる対象物に対して効果的であることが見出された。
したがって、本発明は、その広い態様に従って、対象物から汚染物質のレベルを低減する方法を提供し、該方法は、不溶性ナノ粒子をその中に懸濁させて保持する水性媒体を有する超音波(US)浴中に前記対象物を導入し、及び、前記浴を活性化して前記対象物上にUS波を適用することを含む一方、植物部分は、前記水性媒体内で少なくとも部分的に浸漬される。
本発明により、さらに、植物部分から汚染物質のレベルを低減する方法であり、該方法は、不溶性ナノ粒子をその中に懸濁させて保持する水性媒体を有する超音波(US)浴中に前記植物部分を導入し、及び前記浴を活性化して前記植物部分上にUS波を適用することを含む一方、植物部分は、前記水性媒体内で少なくとも部分的に浸漬される、上記方法が提供される。
いくつかの例において、規則396/2005の下で、収穫作物に対して許容可能な最大残留レベル(MRL)から20%未満のMRLを含む対象物は、特に、植物部分が、本発明によって提供され、収穫作物は、上記方法によって得られる。
本明細書中に開示される主題をより良く理解するために、及び実際に行うことができる方法を例示するために、態様を、添付図面を参照して、非限定的な例のみの目的で説明する。
図1A〜1Bは、浴の水性媒体中に存在するナノサイズのダイアモンド粉末と一緒の(図1A)及びなしの(図1B)、いずれも同じ作用時間での超音波浴での処理後のチェリートマトサンプルの画像である。
図2A〜2Bは、浴の水性媒体中に存在するナノサイズのアルミナ粒子と一緒の(図2A)及びなしの(図2B)、超音波浴中での処理後のステンレス鋼のキャンドルホルダーの画像である。
図3A〜3Bは、浴の水性媒体中に存在するナノサイズのダイアモンド粉末と一緒の(図3A)及びなしの(図3B)、超音波浴中での処理後のアルミニウム箔サンプルの画像である。
図4A〜4Bは、ナノサイズのアルミナ粒子の添加なしの(図4A)及びナノサイズのアルミナ粒子と一緒の(図4B)、超音波浴中での処理後のアルミニウム箔サンプルの画像である。
本発明の態様
本発明は、前記方法を適用することなしでの、対象物の状態と比較して、対象物自体の損傷、崩壊又は加速劣化を引き起こすことなく、対象物を「洗浄すること」を目的とする。
本発明の文脈において、洗浄は、対象物の少なくとも表面から望ましくない物質を除去する任意の作用として理解されるべきである。洗浄は、それに限定されることなく、消毒、研磨、洗浄除去等を含む。いくつかの実施例において、本明細書中で開示される方法はまた、粗さを減少させ、又は処理されている対象物の少なくとも表面を平滑化する効果をもたらすことができる。望ましくない汚染物質は、対象物に付着され、埋め込まれ、又は結合されている可能性がある。
本発明の一般的な原理は、「洗浄」効果を達成するための、ナノ粒子とUS波の組み合わせである。
従来の超音波浴は、浴/チャンバ内で液体を活性化するための高周波数の音波によって誘導されるキャビテーション気泡を使用する。このキャビテーション活性化は、金属、プラスチック、ガラス、ゴム及びセラミックスなどの処理される対象物の表面上に強力なマイクロサイズの液体ジェットを介する内破によって、高い力を生み出し、表面又は処理される対象物内に付着する、又はそうでなければ処理される対象物に結合する固体物質又は汚染物質の除去につながる。
いくつかの側面において、本発明は、不溶性硬化ナノ粒子の存在下で、対象物に対してキャビテーション気泡の効果を適用することは、超音波単独によって、又は消毒溶液中で対象物を浸漬することによって、同じ対象物を処理した場合と比較して、対象物の表面を洗浄することについてより良い効果を有したという知見に基づく。理論によって拘束されるものではないが、液体のミクロジェットは、ナノ粒子なしに超音波洗浄での純粋な液体と比較して、「銃弾」で表面を爆破する強力な発射としてナノ粒子を運ぶ。対象物のこの処理は、純粋な液体の超音波洗浄よりもより効率的に材料を除去する流体相ナノブラスト作用によって、また処理溶液中で対象物を浸漬することによって行われる。
この改善された効果は、種子、果実及び野菜(トマトなど)などの植物又は植物部分からアルミニウム箔シート及びステンレス鋼キャンドルホルダーなどの金属表面まで様々な表面特性を有する対象物の様々なタイプの対象物に対して示された。
したがって、本発明は、その最も広い側面において、対象物から汚染物質のレベルを低減する方法を提供し、該方法は、不溶性ナノ粒子をその中に懸濁させて保持する水性媒体を有する超音波(US)浴中に前記対象物を導入し、及び前記浴を活性化して浴内でUS波の形成を引き起こすことを含む一方、対象物は、前記水性媒体内で少なくとも部分的に浸される。US波は、次に「スクラバー」として作用するであろう浴中でのナノ粒子の移動を引き起こす。
本発明の文脈において、「対象物」は、液体媒体中で、及び/又は超音波振動の下で、崩壊しない任意の固体対象物である。対象物は、任意の物質であってもよい。
いくつかの他の例において、対象物は、本質的に有機物である。いくつかの例において、有機物対象物は、植物部分である。
いくつかの例において、「汚染物質」は、汚れ、グリース、油、顔料、さび、藻類、病原体、真菌、細菌、ウイルス、石灰のかす、化学物質(例えば、殺生物剤)、フラックス剤、指紋、すすワックス、離型剤、土、又は対象物に結合する、若しくは付着する任意の他の物質及び除去することが望ましい任意の他の物質の任意の1つ又は組み合わせであることができる。
いくつかの例において、対象物は、定義される範囲内で、ヤング率を有する固体対象物として定義されることができる。理解されるように、ヤング率は、力が対象物に印加されるときに、弾性的に(すなわち、永久ではなく)変形される対象物の傾向を定義する。ヤング率が非常に高い対象物(例えば10psi)は、固い対象物としてみなされ、ヤング率が低い対象物(例えば10psi以下)は、やわらかいとみなされる。したがって、いくつかの例において、対象物は、本質的に無機物である。いくつかの例において、無機物対象物は、金属又は金属合金を含む。例えば、金、アルミニウム及び銀などの金属は、それぞれ、10.8×10psi、10.0×10psi及び10.5×10psiのヤング率を有することが知られている。いくつかの金属は、タングステンのように、59.5×10psiのさらにより高いヤング率を有することが知られている。
時には、対象物が、果実又は野菜などの収穫作物である場合、ヤング率は、ゴム、すなわち、1450psi〜14,500psiのものとほぼ類似する。
本発明の文脈において、用語「植物部分」は、任意の有機植物部分を意味する。植物部分は、新鮮(すなわち、ピッキング又は収穫後すぐ)であってもよく、又は保存されてもいい(すなわち、ピッキング又は収穫後のいくつかの時間及び適切な貯蔵条件下で維持されている)。植物部分は、その開発のために必要な土壌又は他の媒体から抽出される根、茎、葉等を含む全体の植物であり得る。いくつかの態様において、植物部分は、植物自体の一部である。
1つの例において、植物部分は、例えば、果実、果実本体(子実体)又は野菜の少なくとも収穫作物を含む。
1つの他の例において、植物部分は、少なくとも葉を含む。
いくつかの他の例において、植物部分は、少なくとも種子を含む。
植物は、その一部が例えば、工業(例えば、化粧品、医薬品)のために、研究のために等、商業商品として関心があり得る任意の種類のものであってもよい。
いくつかの例において、植物は、ホウレンソウの種子、コーンサラダの種子、ニンジン、スイカ、メロン、トマト、レタス、キャベツ、タマネギ、キュウリ、パプリカ、唐辛子、カボチャの実(スクワッシュ)、ナス、カボチャ(パンプキン)、ダイコン、根用セロリ、ウイキョウ、バジル、エゾネギ、コリアンダー、ディル、パセリ、テンサイ及びカンナビスからなる群の任意のメンバーである。
1つの例において、植物は、ホウレンソウであり、植物部分は、ホウレンソウの葉及び/又はホウレンソウの種子である。
1つの例において、植物は、トウモロコシであり、植物部分は、トウモロコシの種子である。
1つの例において、植物は、ニンジンであり、植物部分は、ニンジンの根及び/又はニンジンンの種子である。
1つの例において、植物は、スイカであり、植物部分は、スイカの果実及び/又はスイカの種子である。
1つの例において、植物は、メロンであり、植物部分は、メロンの果実及び/又はメロンの種子である。
1つの例において、植物は、トマトであり、植物部分は、トマトの野菜及び/又はトマトの種子である。
1つの例において、植物は、レタスであり、植物部分は、レタスの葉の野菜及び/又はレタスの種子である。
1つの例において、植物は、キャベツであり、植物部分は、その葉の果実及び/又はキャベツの種子である。
1つの例において、植物は、タマネギであり、植物部分は、タマネギの球根である。
1つの例において、植物は、キュウリであり、植物部分は、キュウリの野菜及び/又はキュウリの種子である。
1つの例において、植物は、パプリカであり、植物部分は、パプリカの野菜及び/又はその種子である。
1つの例において、植物は、唐辛子であり、植物部分は、唐辛子の野菜及び/又はその種子である。
1つの例において、植物は、カボチャの実(スクワッシュ)であり、植物部分は、カボチャの実(スクワッシュ)の野菜及び/又はカボチャの実(スクワッシュ)の種子である。
1つの例において、植物は、ナスであり、植物部分は、ナスの野菜及び/又はナスの種子である
1つの例において、植物は、カボチャ(パンプキン)であり、植物部分は、カボチャ(パンプキン)の果実及び/又はカボチャ(パンプキン)の種子である
1つの例において、植物は、ダイコンであり、植物部分は、ダイコンの根菜及び/又はダイコンの葉である。
1つの例において、植物は、根用セロリであり、植物部分は、根菜及び/又は根用セロリの葉である。
1つの例において、植物は、ウイキョウであり、植物部分は、球根及び/又は種子である。
1つの例において、植物は、バジルであり、植物部分は、バジルの葉及び/又はその種子である。
1つの例において、植物は、エゾネギであり、植物部分は、エゾネギの葉及び/又はその種子である。
1つの例において、植物は、コリアンダーであり、植物部分は、コリアンダーの葉及び/又はその種子である。
1つの例において、植物は、ディルであり、植物部分は、ディルの葉及び/又はその種子である。
1つの例において、植物は、パセリであり、植物部分は、パセリの葉及び/又はその種子である。
1つの例において、植物は、テンサイであり、植物部分は、根及び/又はその葉及び/又はテンサイの種子である。
1つの例において、植物は、カンナビスであり、植物部分は、カンナビスの葉及び/又はカンナビスの種子である。
いくつかの例において、植物部分は、収穫作物である。この文脈において、収穫作物は、商業的及び/又は工業的価値のある植物の任意の部分であってもよく、それは、生物(leaving being)(ヒトならびに動物)等によって、消耗できる。
植物部分が、果実を含む場合、植物は、リンゴ、バナナ、ブドウ、イチゴ、トウモロコシ、コメ、ナッツ、西洋ナシ、ベリー、プラム、アプリコット、オリーブ、サクランボ、桃、パイナップル、キウイ、ザクロ、トマト、プラム、ナスの任意のものであってもよい。いくつかの例において、植物は、レモン、ライム、グレープフルーツ、タンジェリン、マンダリン、ザボン及びオレンジのような柑橘果実群から選択されるが、それらに限定されない。
植物部分が、野菜を含む場合、植物は、キュウリ、カボチャの実(スクワッシュ)、ズッキーニ、ハーブ、ルバーブ(ショクヨウダイオウ)、ニンジン、ダイコン、豆、コショウ及びエンドウの任意の1つであってもよい。
いくつかの他の例において、植物部分は、植物の葉を含む。
またいくつかの他の例において、植物部分は、植物の種子を含む。
いくつかの例において、植物部分は、植物、例えば、葉を付着させた根の様々な部分を含む。
対象物、例えば、植物部分は、汚染物質からその洗浄の目的のために、超音波(US)浴中に導入される。洗浄に言及する場合、本発明の文脈において、対象物の表面からだけではなく、少なくともその表面からの汚染物質を除去する任意のレベルとして理解されるべきである。
処理される対象物に応じて、汚染物質は、本明細書中で開示される方法を実施する方法と同様に、変化してもよい。しかしながら、一般的に、その広い側面に応じて、その方法は、対象物上でUS波の適用前に汚染物質のレベルと比較して、対象物から汚染物質のレベルを低減するのに十分な時間の間、US浴を活性化することを含む。汚染物質のレベルは、当該分野で公知の任意の方法によって決定されることができ、以下でさらに説明されるように、処理されるべき対象物上で予測される汚染物質に依存する。
いくつかの例において、本明細書中で開示される方法は、US波の前記適用前に汚染物質のレベルと比較して、汚染物質のレベルを少なくとも50%低減することを可能にする。いくつかの例において、汚染物質のレベルは、US浴処理を行う前の同じ汚染物質のレベルと比較して、少なくとも60%、時には、少なくとも70%、又はさらに時には、少なくとも80%、又は90%又はさらに95%又は99%低減される。
いくつかの例において、汚染物質のレベルは、以下でさらに説明されるように、最大残留レベル(MRL)基準と比較して、決定される。
いくつかの他の例において、汚染物質のレベルは、対象物の表面の粗さのレベル(汚染物質が対象物の表面に付着され、したがって、その表面の粗さに寄与することを仮定して、質感の不規則性)によって決定される。本明細書中で開示される方法を実施する結果として、粗さ又は粗さの変化は、表面粗さ平均(Ra)単位によって決定されることができる。粗さは、典型的には、その理想形から実際の表面の垂直方向の偏差によって定量化される。これらの偏差が大きい場合には、表面は、粗く;それらが、小さい場合には、表面は平滑である。
本明細書中に記載されるように、ナノサイズの粒子は、本明細書中で開示される方法の不可欠な特徴である。ナノサイズの粒子なしでは、US浴の洗浄効果は、明らかでないか、粒子と一緒に得られたものと比較して、はるかに低い程度である。
水性媒体に、水不溶性ナノ粒子を加える。本発明の文脈において、水不溶性ナノ粒子とは、少なくとも1つの大きさを有し、水に溶解しないナノメートルスケールでの個々のナノスケール粒子として理解されるべきである。
いくつかの例において、ナノ粒子は、化学的に不活性な粒子である。本明細書中で開示される文脈において、「化学的に不活性な」粒子は、化学反応において、反応又は関与せず、その唯一の機能又は効果は、浴内で対象物の洗浄、すなわち、対象物からの汚染物質の除去と一緒であることが、理解されるべきである。ナノサイズである粒子は、1nm〜1,000nmの範囲内の平均直径を有する。いくつかの例において、粒子は、2nm〜500nmの範囲の平均直径を有する。いくつかの例において、粒子は、10nm〜100nmの範囲の平均直径を有する。いくつかの例において、粒子は、30nm〜80nmの範囲の平均直径を有する。いくつかの例において、粒子は、約50nm±10nmの平均範囲を有する。
いくつかの例において、水不溶性粒子は、ダイアモンド粉末である。
いくつかの例において、水不溶性粒子は、金属酸化物ナノ粒子である。金属酸化物ナノ粒子の非限定的な例としては、酸化アルミニウムナノ粒子、酸化ジルコニウムナノ粒子、酸化チタンナノ粒子、酸化セリウムナノ粒及びそれらの混合物からなる群から選択される任意の部材が挙げられる。
いくつかの例において、水不溶性粒子は、遷移金属炭化物ナノ粒子である。遷移金属炭化物の非限定的な例としては、炭化珪素、炭化チタン、炭化カルシウム、炭化タングステン及びそれらの混合物からなる群から選択される任意の部材が挙げられる。
いくつかの例において、水不溶性粒子は、酸化珪素ナノ粒子である。
いくつかの例において、水不溶性粒子は、酸化アルミニウムナノ粒子である。
いくつかの例において、水不溶性粒子は、金属窒化物ナノ粒子である。非限定的な例は、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、窒化インジウム及びそれらの混合物からなる群から選択される。
いくつかの例において、水不溶性粒子は、上記の任意の混合物である。
1つの好ましい例において、ナノ粒子は、ダイアモンド粉末を含む。
ナノ粒子が形成される物質のいかんにかかわらず、ナノ粒子は、それらの硬度(すなわち、塑性変形(通常、貫通による)に抵抗することができる材料の特性及び/又は曲げ、ひっかき、磨耗又は切断)により特徴付けることができる。いくつかの例において、ナノ粒子は、モーススケール(Mohs scale)(典型的に、鉱物学で使用される)に従って、7〜11の範囲の硬度によって特徴付けられる。またいくつかの追加の又は代替の例において、粒子は、ビッカーススケール(Vickers scale)に従って、700〜1100の範囲の硬度によって特徴付けられる
本明細書中で開示される方法は、ナノ粒子の様々な量(濃度)を使用することができる。いくつかの例にいて、US浴中のナノ粒子は、0.0001%w/v〜1.0%w/vの間の濃度である。
いくつかの例において、US浴中のナノ粒子は、0.0001%w/v〜0.1%w/vの間の濃度である。
いくつかの例において、US浴中のナノ粒子は、0.001%w/v〜0.05%w/vの間の濃度である。
いくつかの例において、US浴中のナノ粒子は、少なくとも0.0001%w/v、時には、0.001%w/v、時には、0.005%w/v、時には、0.01%w/v、及びさらに時には、0.1%w/vの濃度である。
いくつかの例において、US浴中のナノ粒子は、最大で1%w/v、時には、最大で0.5%w/v、時には、最大で0.1%w/v、時には、最大で0.05%w/v、及びさらに時には、最大で0.01%w/vの濃度である。
粒子密度/量の最適化は、ナノ粒子によって超音波の吸収の量によって決定されることによって達成され得る。理論によって拘束されないが、ナノ粒子の高い密度は、処理力の一部が固体ナノ粒子による吸収により失われるため、より少ない処理(洗浄/平滑化等)効率の結果となることが想定される。
洗浄浴のチャンバ内に対象物を設置する場合、浴の底に置くと、浴の底に置いている(すなわち、水と接触しない)対象物の部分でキャビテーションが起こるのを妨げるので、対象物は、処理プロセス中、浴の底に置かないようにすることが好ましい。したがって、洗浄チャンバ内に対象物を設置する場合、水性媒体と、処理される必要がある表面との間に接触を提供するものとして理解されるべきである。いくつかの態様において、対象物の表面の少なくとも80%が、時には、少なくとも90%が、さらに時には、水性媒体との表面の約100%の被覆が媒体と接触し、この場合すなわち対象物が媒体中で完全に浸漬され、媒体を保持する超音波浴のチャンバ内でつるされていることになる。
超音波洗浄機の操作方法により、超音波浴の活性化の際に、ナノ粒子は、水性媒体内で分散される。媒体内でのキャビテーション気泡及びナノ粒子の高エネルギー移動(処理されるべき対象物の表面上で内破するキャビテーション気泡に起因する力による)の作用の組み合わせにより、対象物の表面の「洗浄」又は「平滑化」に至る。
水性媒体は、超音波洗浄技術で従来から使用される任意の媒体であってもよい。いくつかの態様において、水性媒体は、水又は水ベースの媒体である。水ベースの媒体は、洗浄作用を補助しうる任意の成分を含んでもよく、これは、洗剤、湿潤剤(洗濯洗剤などの表面活性剤)及び他の成分が挙げられるが、それらに限定されず、洗浄プロセスに対して影響を有する。超音波洗浄で使用される公知の様々な洗剤及び湿潤剤がある。
いくつかの態様において、水性媒体は、1つ以上の殺菌剤を含む。殺菌剤は、塩化物系薬剤及び無水リン酸二ナトリウム(DSP)などの、当業者で公知の任意のものであってもよく、それらに限定されない。これらの殺菌剤は、対象物の表面上で成長する任意の微生物を殺菌(根絶)するために使用され得る。
いくつかの態様において、殺菌剤は、酸化剤である。酸化剤は、公知技術であり、酸化剤を開始する銀原子を放出する銀ナノ粒子が挙げられるが、それらに限定されない。
US浴は、対象物が、浴内で液体媒体中に少なくとも部分的に浸漬される条件下で操作される。本明細書中に開示される文脈において、対象物が、浴の液体中に全体として浸漬される必要がないことが理解されるべきである。いくつかの例において、少なくとも洗浄効果を必要とする部分は、US波の操作の少なくとも一部の間、浸漬される。これは、US浴の操作の間、対象物の全体表面がUS波及びナノ粒子に暴露されるように対象物を浴内で回転させ、又はそうでなければ、ひっくり返らせることによって、達成されることができる。
US浴は、対象物を浴中に誘導する前、又は前記誘導後のいずれか一方で活性化される。
いくつかの例において、浴は、20kHz〜1,500kHzの間の周波数範囲で活性化される。いくつかの例において、超音波浴の活性化は、20kHz〜150kHzの間、時には、40kHz〜90kHzの間の周波数範囲である。
いくつかの例において、浴は、少なくとも10kHz、時には、少なくとも20kHz、時には、少なくとも30kHz、時には、少なくとも40kHzの周波数で活性化される。
いくつかの例において、浴は、最大で1,500kHzの周波数で、時には、最大で1,000kHz、時には、最大で900kHzで、時には、最大で800kHzで、時には、最大で700kHz、時には、最大で600kHz、時には、最大で500kHz、時には、最大で400kHz、時には、最大で300kHz、時には、最大で200kHz、時には、最大で150kHz、時には、最大で100kHzの周波数で、活性化される。
いくつかの例において、浴は、6W/リットル〜1,500W/リットルの範囲での音響出力密度で活性化される。いくつかの例において、浴は、15W/リットル〜150W/リットルの範囲での音響出力密度で活性化される。また、時には、浴は、4W/リットル〜65W/リットルの範囲で、又は時には、10W/リットル〜120W/リットルの範囲での音響出力密度で活性化される。
USは、対象物に対する著しい損傷(すなわち、対象物の価値をなくす、又は価値を少なくさせるであろう損傷)を引き起こすことなく、特定の対象物から汚染物質を除去するために効果的であると決定される任意の時間の長さの間、操作されることができる。これは、それぞれの対象物及び/又は汚染物質、又は一群の対象物及び/又は汚染物質について標準化試験に先行することによって決定されることができる。
一般的に、いくつかの例により、本明細書中に開示される方法による処理は、秒から少なくとも10分までの時間の間、ナノサイズの粒子を用いたUS浴の操作を必要とする。
いくつかの例において、USは、活性化され、すなわち、US波は、少なくとも10秒、時には、30秒、時には、1分の時間、時には、少なくとも、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50又は60分もの間、又は1〜60分の間の任意の時間の間、対象物上に(粒子と一緒に)適用される。
時には、超音波浴の操作時間は、30秒〜10分の間、時には、20秒〜5分の間、又は1秒〜10分の間である。
いくつかの例において、US波は、120分以下、時には、60分以下、時には、30分以下、時には、20分以下、時には、10分以下の時間の間、適用される。
その操作中の浴の温度は、変化させることができ、とりわけ対象物のタイプ、例えば、温度が、その処理後の品質、汚染物質のタイプ、処理前の汚染物質のレベル、ナノ粒子の量、ナノ粒子のタイプ、及び浴の操作パラメータ(例えは、周波数、音響出力密度等)に影響を与え得るか否かに依存するだろう。
いくつかの例において、浴中の水性媒体の温度は、1℃超え、時には、10℃超え、時には、20℃超え、時には、30℃超え、及びまた時には、40℃超えであるように維持するように制御される。
いくつかの例において、浴中の水性媒体の温度は、60℃未満、時には、50℃未満、又は時には、40℃未満、又は30℃未満にさえ維持されるように制御される。
いくつかの例において、水性浴の温度は、室温と本質的に同じである。これは、20℃±5℃の範囲内の任意の温度として定義されることができる
いくつかの例において、浴中の水性媒体の温度は、1℃と60℃の範囲であるように制御される。
超音波浴は、任意のサイズ及び形状のものであってもよい。いくつかの態様において、超音波浴は、10L〜15,000Lの範囲で水性媒体の量を有するように選択される。このように、本発明の方法は、対象物の小規模な処理だけでなく大規模な処理にも適し得る。
対象物が、植物部分である場合、本発明の方法の品質又は性能は、汚染物質の最大残留レベル(MRL)を使用して決定されうる。
植物部分、及び、特に作物について、本明細書中に開示される方法の有効性は、汚染物質、特に、処理後の植物部分の表皮上の農薬の最大残留レベル(最大残留基準値、MRL)によって定義されることができる。
いくつかの例において、この方法は、規則396/2005の下で、前記植物部分に対して許容可能な最大残留レベル(MRL)から30%未満の汚染物質のMRLを有する植物部分を提供する。時には、この方法は、規則396/2005の下で、前記植物部分に対して許容可能な最大残留レベル(MRL)から20%未満の汚染物質のMRLを有する植物部分を提供する。さらに、時には、この方法は、規則396/2005の下で、前記植物部分に対して許容可能な最大残留レベル(MRL)から10%未満の汚染物質のMRLを有する植物部分を提供する。
いくつかの例において、汚染物質は、病原体である。
病原体は、対象物に損傷を引き起こしうる任意の作用因子であることができる。
いくつかの例において、病原体は、真菌であるか、又は真菌を含む。
いくつかの例において、病原体は、ウイルスであるか、又はウイルスを含む。
またいくつかの例において、病原体は、細菌であるか、又は細菌を含む。
対象物が植物又は植物部分である場合、汚染物質は、少なくとも1つの植物病原体を含む。
いくつかの例において、植物部分は、種子を含み、病原体は、種子病原体である。またいくつかの他の例において、病原体は、果実又は野菜及び/又は植物の葉(ハーブ)に関連するものである。
時には、汚染物質は、病原体自体のほかに、あるいはそれに代わり、農業で使用されるような少なくとも1つの殺生物剤を含むことができる。殺生物剤は、殺虫剤、農薬及び/又は抗線虫剤の任意の1つ又は組み合わせであることができる。
この関係で、特に、収穫作物を処理した場合、多くの農作物は、その外皮上に、殺生物性(殺虫)物質、ホコリ、汚れ等などの堆積汚染物質を有することが理解される。そのような汚染物質は、時には、水で単に洗浄することによって、容易に除去されず、そのような汚染物質のない収穫作物を消費者に提供することが望まれる。本明細書中で開示される方法は、そのような汚染物質を除去すること、及び作物の外皮を損傷することなく、そのままで、及び作物の品質を劣化させることなく、収穫作物の表面をなめらかにすることに有効であることが見出された。
本明細書中で開示される超音波法は、Cl、F、P、Sを含む汚染物質のような、有害物質を含む汚染物質の除去に効果的であることが見出された。本明細書中で開示される方法によって除去されうる有害な殺虫剤の例は、ジクロルボス、ダイアジノン、クロルピリホス、ボスカリド、シプロジニル、フルジオキソニル(スイッチとして一緒に知られる)、メトキシフェノジド、プロクロラズ及び(sportex)ラムダ−シハロトリンが挙げられるが、それらに限定されない。
特に、汚染物質は、植物部分の表面にあってもいいが、また時には、植物部分のより深く、例えば、表面下にあってもいい。
したがって、いくつかの例に従って、本明細書中に開示される方法の洗浄効果は、表面汚染物質から少なくとも植物及び植物部分をきれいにするために使用される。いくつかの態様において、処理は、化学的及び生物学的残留物質、例えば、果実又は植物の表皮のような植物部分の表皮に堆積される殺虫材料を除去するためである。
上記のように、対象物は、植物部分以外であってもよい。いくつかの例において、対象物は、無機対象物である。いくつかの例において、対象物は、金属又は金属合金の外表面からなる、又は少なくとも含む。
いくつかの例において、金属は、アルミニウム、金、白金、ロジウウ、銀及びその任意の組み合わせからなる群から選択される。
いくつかの例において、金属合金は、ステンレス鋼及び金属マトリクス複合材料からなる群から選択される。
いくつかの例において、対象物は、半導体からなる、又は含む。いくつかの例において、半導体は、珪素、ゲルマニウム及びガリウムからなる群から選択される材料である、又は含む。
時には、例えば、平滑な面に従って、無機対象物の表面を単に平滑にすることが望まれる。あるいは、又は加えて、例えば、洗浄面に従って、金属及び金属合金のような、対象物の表面から汚染物質(上記のような)を除去することが望まれる。
それらに制限されることなく、金属又は金属合金は、アルミニウム、貴金属の任意のタイプ及びそれらの合金、ステンレス鋼、コバルト系合金、ニッケル系合金、クロム系合金、モリブデン系合金、タンタル系合金、銅系合金、チタン系合金、マグネシウム系合金、ジルコニウム系合金、タングステン系合金又はそれらの組み合わせからなる群から選択されうる。
貴金属は、金、白金、ロジウム、銀、イリジウム及びそれらの合金からなる群から選択されうる。
対象物が、その表面で、金属、金属合金又は半導体を少なくとも含む場合、本発明の方法は、対象物の表面から固体物/汚染物質を少なくとも除去するために適用される。
本明細書中で開示される方法を実施すると、前記対象物上の表面に対する研磨効果を提供する。対象物が、金属、金属合金又は半導体などの無機材料である場合、この方法は、対象物の表面を光らせ、又はその上に輝く効果を提供する。
驚くべきことに、ナノ粒子を用いて超音波浴を操作することは、ナノ粒子の非存在下では、より低い程度(より低い効率)でしか除去されていなかった可能性がある、又は除去されなかった固体物を除去するのに効果的であった。本明細書中に記載される非限定的な例において、効果的な処理は、ステンレス鋼製キャンドルホルダーの表面上に示され、これは、キャンドルホルダーの表面上で研磨効果をもたらした。
さらに、驚くべきことに、ナノ粒子を用いて超音波浴を操作することは、ナノ粒子の非存在下で必要な時間と比較して、固体物の量を除去するために必要な時間を著しく減少させたことが見出された。
いくつかの非限定的な実施例
実施例1:50nmサイズの粒子のナノサイズのアルミナ粉末を含む超音波浴を用いる汚染された種子の処理
種子からの汚染物質の除去について本明細書中で開示される方法の有効性を決定するために、種子の損傷なしに、汚染された種子の2つのソース、ホウレンソウの種子及びコーンサラダの種子が発芽レベルの保持及び種子の外皮上に位置する病原体の減少を目的として試験された。
病原体減少
汚染された種子の各ソースの2つのバッチを処理した(すなわち、ホウレンソウの種子の2つのバッチ及びコーンサラダの種子の2つのバッチ)。ナノサイズのアルミナ粉末(0.01%w/vの濃度で直径50nm)を含むUSAのUltra Sonic Power Corporationによる機械を使用して、各種子ソースの第1のバッチは、新鮮な水で処理され、第2のバッチは、100リットルの超音波水浴中で処理された。浴は、以下の表1に従って、2つの異なる温度で操作された。
処理プロセス後、種子のロットは、種子の健康な貯蔵に要求される適切なレベルまで乾燥された。
汚染されたホウレンソウの種子
ホウレンソウの種子を標的病原体バーティシリウム(Verticillium)属菌で感染させた。感染したホウレンソウの種子は、種子の外皮上でよく発達した菌糸体ウェブを含む典型的なバーティシリウム症状を生じた。
汚染されたホウレンソウの種子の高温処理
感染した種子の第1のバッチを、水及びナノサイズのアルミナ粉末(約0.01%w/vの濃度で直径50nm)を含むUSAのUPCによって作られた超音波処理浴の100リットル浴体積中に置いた。また、感染したホウレンソウの種子の第2のバッチを、通常の湯浴(超音波の適用なし)中に浸漬した。両方の浴の温度は、50℃だった。
浴中で30分後、ナノサイズの粉末を含む超音波浴中の種子のバッチの処理及び通常の湯浴中の種子のバッチの処理(超音波の適用なし)の両方は、バーティシリウム属菌の根絶をもたらした。
汚染されたホウレンソウの種子の低温(20℃)処理
感染された種子の第1のバッチを、水及びナノサイズのアルミナ粉末(約0.01%w/vの濃度で直径50nm)を含む100リットル浴体積の冷超音波処理浴中に置いた。また、感染させた種子の第2のバッチは、比較のために、通常の冷水浴(超音波適用なし)中に浸漬した。両方の浴の温度は、20℃であった。
ナノサイズのアルミナ粉末を含む冷超音波処理浴中で種子の第1のバッチを処理した30分後、バーティシリウム属の存在は、そのままの種子の7.5%感染の存在から2%に減少した(ペトリ皿内のコロニー形成単位をカウントすることによって)。結果として、真菌胞子は根絶し、外皮がうねった種子の種子伝染病原体の大部分も、同様であった。
対照的に、通常の冷水浴(超音波適用なし)中で種子の第2のバッチを浸漬した30分後、バーティシリウム属菌の存在は、ペトリ皿中でコロニー形成単位をカウントすることによって、7.5%から21%に増加したが、これは水生環境でのバーティシリウム属菌の広がりに起因する。
汚染されたコーンサラダの種子
コーンサラダの種子は、標的病原体フォーマ属(Phoma)真菌で感染された。新たに発生した実生は、症状(黒い葉の染み、黒い茎及び根)を示し、最終的に崩壊し、また、フォーマ属に典型的である結実構造(柄子殻)の発生が、種子で観察されることができる。
発芽減少
処理されたサンプルから採取したホウレンソウ&コーンサラダの種子のサンプルをまた、それらの発芽能力について試験した。
わずかなプライミング効果を除き、発芽の数は、そのままのロットと比較して低温処理後に有意に異ならなかった。より高い温度及びより長い暴露時間で、発芽エネルギーは、非超音波実験に対して大幅に減少した。
環境は、標準ISTA規則に従っていた。
ホウレンソウの発芽 15℃でひだのある紙(Pleated Paper)(PP)。
コーンサラダの発芽 15℃で紙の先端(Top of Paper)(TP)。
低温で超音波及びナノ粉末で処理されたサンプルは、一切、超音波処理に起因する負の副作用を示さなかった。
実施例2:50nmサイズの粒子のナノサイズのアルミナ粉末なしの超音波浴を用いた汚染された種子の処理
種子からの汚染物質の除去について本明細書中で開示される方法の有効性をさらに決定するために、実施例1で記載される汚染された種子は、本明細書中に記載される方法に従って、ナノ粒子を用いた超音波処理浴中、そして比較のために、ナノ粒子の添加なしの本来の超音波浴中で試験される。発芽率及び種子の外皮上に位置する病原体減少は、両方の浴中での種子の処理後に試験される。
実施例1の種子のソースの第1のバッチは、超音波水浴中で試験され、第2のバッチは、0.01%w/vの濃度で、ナノサイズのアルミナ粉末直径50nmを含む超音波水浴中で処理される。浴は、以下の表2に従って、2つの異なる温度で操作される。
処理プロセス後、種子のロットは、種子の健全な保存のために必要な適切なレベルに乾燥される。
ナノサイズのアルミナ粉末を含む超音波処理浴中で種子の第1のバッチを処理した後、真菌の胞子及び同様にうねった種子の外皮で種子伝染病原体の大部分の根絶の結果として、病原体の存在は減少する。しかしながら、ナノ粒子の添加なしの水性超音波浴中で種子の第2の浴の処理は、種子から病原体の存在を減少させ、発芽率を促進するために有効ではない。
実施例3:ナノサイズのダイアモンド粉末を含む超音波浴を用いたトマトの処理
トマトの果実自体を損傷することなく、トマトの果実から汚染物質を除去することについて、本明細書中に開示される方法の有効性を決定するために、2つのトマトは、汚染物質として使用される黄色蛍光材料で被覆した。蛍光材料は、水性溶液中に浸漬することによって表面に適用される約5μmのサイズのフレークから作られる。各トマトの果実は、次に、超音波洗浄機(9リットル浴体積、MRC作成、イスラエル)に置いた。第1のトマトは、新鮮な水浴中に、そして第2のトマトは、約0.004%w/vの濃度で、純粋なナノサイズのダイアモンド粉末(直径50nm)を含む水浴中に置いた。
超音波洗浄機は、以下のパラメータを使用して操作された:
−40kHzの周波数;
−20W/Lの音響出力密度(APD);
−温度30℃。
超音波洗浄機の操作の間、トマトの果実は、青色LED光を使用して観察された。浴中で6分後、ナノサイズのダイアモンド粉末を含む浴中のトマトは、黄色がかった蛍光コーティングを失い、これはコーティングの除去を意味する。他のトマトが、追加の6.5分後、すなわち12.5分後、その黄色がかった蛍光コーティグを失うまで、処理は継続される。
ナノサイズのダイアモンド粉末を用いた超音波洗浄後(図1A)及びナノサイズのダイアモンド粉末なしの超音波処理後(図1B)のトマトの画像。示されるように(図1A)、ナノ粒子処理されたトマトの表面は、より輝き、高い反射性を有し、これは表面からの汚染物質の除去を示す。
実施例4:ナノサイズのアルミナ粉末を含む超音波浴を用いたステンレス鋼キャンドルホオルダーの処理
2つのステンレス鋼キャンドルホルダーを超音波洗浄機(9リットル浴体積、MRC製、イスラエル)に置いた。第1のキャンドルホルダーを新鮮な水の浴中に、及び第2のキャンドルホルダーを約0.004%w/vの濃度で、ナノアルミナ(Al)粉末(粒子サイズ50nm、Sky Spring Nanomaterials, Inc.)を含む水浴中に置いた。
超音波洗浄機は、以下のパラメータを使用して操作された:
−40kHzの周波数;
−20W/Lの音響出力密度(APD);
−温度30℃。
超音波浴は、300分間、処理された。超音波洗浄浴中でナノアルミナ粉末を有する及び有さない2つのキャンドルホルダー(ホルダーA及びホルダーB)の画像を、それぞれ、図2A(ホルダーA)及び図2B(ホルダーB)に示す。ナノアルミナ粉末を用いる処理は、非ナノ粒子処理対象物と比較して、より広い面積にわたって研磨効果を引き起こした(図2A)ことがこの画像からわかり、これは、ナノ粒子なしでは実行できなかったホルダーの表面からの物質の除去の大きい程度を示す(図2B)。
実施例5:ナノサイズのダイアモンド粉末を含む超音波浴を用いたアルミニウム箔の処理
アルミニウム箔のシートを、超音波洗浄機中で、一つは水のみで、他方は0.004%w/vの濃度で、ナノダイアモンド粉末(50nm)で処理した。超音波洗浄機は、実施例3で記載されるように操作された。
ナノ粒子を用いた及びナノ粒子なしの処理の結果を図3に示す(それぞれ、カラムA及びカラムB)。図3Aは、ナノ粒子で処理した実験において、ホイル箔の処理は、図3Bで示されるように、ナノ粒子なしの処理と比較して、より顕著であった。アルミニウム箔のサンプル片は、ナノ粒子処理溶液のサンプルに対してより顕著なサンプルの縁にエッチングされた。
実施例6:ナノサイズの粒子粉末を含む超音波浴を用いたアルミニウム箔の処理
アルミニウム箔の2つのシートを、超音波洗浄機中で、一つは水のみで、他方はナノアルミナ粉末(0.01%w/vの濃度で50nm)で処理した。超音波洗浄機を、表3で記載されるように操作した。
ナノ粒子なし(図4A)及びナノ粒子あり(図4B)の処理の結果。図4Bは、ナノ粒子実験で処理されたアルミニウム箔の穿孔の量が、ナノ粒子なしの処理(図4A)と比較してより大きい一方、図4Bで示される穿孔のサイズは、図4Aで示される穿孔より非常に小さいことを示す。
以下、特願2016−563118の出願当初の特許請求の範囲の内容を記載する。
[請求項1]
対象物から汚染物質のレベルを低減する方法であって、該方法は、
不溶性ナノ粒子をその中に懸濁させて保持する水性媒体を有する超音波(US)浴中に前記対象物を導入する工程、及び
該対象物が前記水性媒体内で少なくとも部分的に浸漬している一方、該媒体中にUS波を生じさせるために前記浴を活性化する工程、を含む、上記方法。
[請求項2]
前記対象物が、植物部分である、請求項1に記載の方法。
[請求項3]
植物部分が、収穫作物、葉及び種子からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
[請求項4]
植物部分が、種子を含む、請求項3に記載の方法。
[請求項5]
収穫作物が、果実、野菜及びそれらの部分からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
[請求項6]
前記のUS波の適用前の汚染物質のレベルと比較して、対象物から汚染物質のレベルを低減するのに十分な時間の間、超音波浴を活性化する工程を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
[請求項7]
前記のUS波の適用前の汚染物質のレベルと比較して、前記の汚染物質のレベルが少なくとも50%低減される、請求項6に記載の方法。
[請求項8]
植物から汚染物質のレベルを少なくとも80%低減するのに十分な時間の間、超音波浴を活性化する工程を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
[請求項9]
水不溶性ナノ粒子が、化学的に不活性なナノ粒子である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
[請求項10]
ナノ粒子が、1nm〜1,000nmの範囲の平均直径を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
[請求項11]
ナノ粒子が、10nm〜100nmの範囲の平均直径を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
[請求項12]
水不溶性ナノ粒子が、ダイアモンド粉末、金属酸化物ナノ粒子、酸化珪素ナノ粒子、遷移金属炭化物ナノ粒子、金属窒化物及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
[請求項13]
水不溶性ナノ粒子が、ダイアモンド粉末である、請求項12に記載の方法。
[請求項14]
水不溶性ナノ粒子が、酸化アルミニウムナノ粒子、酸化ジルコニウムナノ粒子、酸化チタンナノ粒子、酸化セリウムナノ粒子及びそれらの混合物からなる群から選択される金属酸化物ナノ粒子である、請求項12に記載の方法。
[請求項15]
水不溶性ナノ粒子が、炭化珪素、炭化チタン、炭化カルシウム、炭化タングステン及びそれらの混合物からなる群から選択される遷移金属炭化物である、請求項12に記載の方法。
[請求項16]
水不溶性ナノ粒子が、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、窒化インジウム及びそれらの混合物からなる群から選択される金属窒化物である、請求項12に記載の方法。
[請求項17]
ナノ粒子が、モーススケールに従って、7〜11の範囲の硬度によって特徴付けられる、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
[請求項18]
ナノ粒子が、ビッカーススケールに従って、700〜1100の範囲の硬度によって特徴付けられる、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
[請求項19]
US浴中のナノ粒子が、0.0001%w/v〜0.1%w/vの間の濃度である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
[請求項20]
20kHz〜1,500kHzの間の周波数範囲で、US浴を活性化する工程を含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
[請求項21]
20kHz〜150kHzの間の周波数範囲で、超音波浴を活性化する工程を含む、請求項20に記載の方法。
[請求項22]
6W/リットル〜1,500W/リットルの範囲の音響出力密度で、US浴を活性化する工程を含む、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
[請求項23]
前記音響出力密度が、10ワット/リットル〜120ワット/リットルの範囲である、請求項22に記載の方法。
[請求項24]
前記のUS浴の活性化が、少なくとも1分の時間である、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
[請求項25]
前記のUS浴の活性化が、1分〜60分の時間である、請求項24に記載の方法。
[請求項26]
US浴中の水性媒体の温度を、室温の温度に制御する工程を含む、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
[請求項27]
前記温度が、1℃〜60℃の間の範囲であるように制御される、請求項26に記載の方法。
[請求項28]
前記温度が、最大で20℃±5℃であるように制御される、請求項27に記載の方法。
[請求項29]
前記対象物が、植物部分であり、前記方法が、規則396/2005の下で、前記植物部分に対して許容可能な最大残留レベル(MRL)から20%未満の汚染物質のMRLを有する植物部分を提供する、請求項1〜28のいずれか一項に記載の方法。
[請求項30]
前記対象物が、植物部分であり、前記汚染物質が、少なくとも1つの病原体を含む、請求項1〜29のいずれか一項に記載の方法。
[請求項31]
前記植物部分が、種子を含み、前記病原体が、種子病原体である、請求項30に記載の方法。
[請求項32]
前記種子が、ホウレンソウの種子、トウモロコシの種子、ニンジン、スイカ、メロン、トマト、レタス、キャベツ、タマネギ、キュウリ、パプリカ、唐辛子、カボチャの実(スクワッシュ)、ナス、カボチャ(パンプキン)、ダイコン、根用セロリ、ウイキョウ、バジル、エゾネギ、コリアンダー、ディル、パセリ、テンサイ及びカンナビスからなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
[請求項33]
前記対象物が、植物部分であり、前記汚染物質が、少なくとも1つの殺生物剤を含む、請求項1〜29のいずれか一項に記載の方法。
[請求項34]
前記対象物が、半導体、金属又は金属合金表面を含む、請求項1、及び請求項6〜28のいずれか一項に記載の方法。
[請求項35]
金属が、アルミニウム、金、白金、ロジウム及び銀からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
[請求項36]
金属合金が、ステンレス鋼及び金属マトリクス複合材からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
[請求項37]
前記の浴の活性化工程が、前記対象物の表面上での研磨効果を提供するのに十分な時間である、請求項1〜36のいずれか一項に記載の方法。

Claims (21)

  1. 対象物から汚染物質のレベルを低減する方法であって、該方法は、
    水不溶性ナノ粒子をその中に懸濁させて保持する液体媒体を有する超音波(US)浴中に前記対象物を導入する工程、及び
    該対象物が前記液体媒体内で少なくとも部分的に浸漬している一方、前記浴を活性化して該媒体中にUS波を生じさせ、それにより前記対象物によって運ばれる汚染物質のレベルが低減される、前記浴を活性化する工程、を含み;
    前記浴は、最大で150kHzの周波数で活性化され;
    前記ナノ粒子は、決定される密度であり;
    前記ナノ粒子は、化学的に不活性であり;及び
    前記対象物が、植物部分である、上記方法。
  2. 植物部分から汚染物質のレベルを低減する方法であって、該方法は、
    水不溶性ナノ粒子をその中に懸濁させて保持する液体媒体を有する超音波(US)浴中に前記植物部分を導入する工程、及び
    該植物部分が前記液体媒体内で少なくとも部分的に浸漬している一方、前記浴を活性化して該媒体中にUS波を生じさせ、それにより前記植物部分によって運ばれる汚染物質のレベルが低減される、前記浴を活性化する工程、を含み;
    前記浴は、最大で150kHzの周波数で活性化され;
    前記ナノ粒子は、決定される密度であり;及び
    前記ナノ粒子は、ダイアモンド粉末、金属酸化物ナノ粒子、酸化珪素ナノ粒子、遷移金属炭化物ナノ粒子、金属窒化物及びそれらの混合物からなる群から選択される、上記方法。
  3. 前記のUS波の適用前の汚染物質のレベルと比較して、前記植物部分から汚染物質のレベルを低減するのに十分な時間の間、超音波浴を活性化する工程を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記のUS波の適用前の汚染物質のレベルと比較して、前記の汚染物質のレベルが少なくとも50%低減される、請求項3に記載の方法。
  5. 植物から汚染物質のレベルを少なくとも80%低減するのに十分な時間の間、超音波浴を活性化する工程を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. ナノ粒子が、1nm〜1,000nmの範囲の平均直径を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. ナノ粒子が、10nm〜100nmの範囲の平均直径を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 水不溶性ナノ粒子が、ダイアモンド粉末、金属酸化物ナノ粒子、酸化珪素ナノ粒子、遷移金属炭化物ナノ粒子、金属窒化物及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1及び3〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 水不溶性ナノ粒子が、ダイアモンド粉末である、請求項2又は8に記載の方法。
  10. 水不溶性ナノ粒子が、酸化アルミニウムナノ粒子、酸化ジルコニウムナノ粒子、酸化チタンナノ粒子、酸化セリウムナノ粒子及びそれらの混合物からなる群から選択される金属酸化物ナノ粒子である、又は、炭化珪素、炭化チタン、炭化カルシウム、炭化タングステン及びそれらの混合物からなる群から選択される遷移金属炭化物である、又は、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、窒化インジウム及びそれらの混合物からなる群から選択される金属窒化物である、請求項2又は8に記載の方法。
  11. ナノ粒子が、モーススケールに従って、7〜11の範囲の硬度によって特徴付けられる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. ナノ粒子が、ビッカーススケールに従って、700〜1100の範囲の硬度によって特徴付けられる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. US浴中のナノ粒子が、0.0001%w/v〜0.1%w/vの間の濃度である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 20kHz〜150kHzの間の周波数範囲で、US浴を活性化する工程を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 10kHz〜90kHzの間の周波数範囲で、超音波浴を活性化する工程を含む、請求項14に記載の方法。
  16. 6W/リットル〜1,500W/リットルの範囲の音響出力密度で、US浴を活性化する工程を含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記音響出力密度が、10ワット/リットル〜120ワット/リットルの範囲である、請求項16に記載の方法。
  18. 前記のUS浴の活性化が、少なくとも1分の時間である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 記方法が、MRLに関するEU法の規則396/2005の下で、前記植物部分に対して許容可能な最大残留レベル(MRL)から20%未満の汚染物質のMRLを有する植物部分を提供する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 記汚染物質が、少なくとも1つの病原体を含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記植物部分が、種子を含み、前記病原体が、種子病原体である、請求項20に記載の方法。
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