JP6595498B2 - カニューレシールアセンブリ - Google Patents

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Description

発明の態様は、概して、医療装置に関し、より具体的には、低侵襲手術システムのためのカニューレシールに関する。
[著作権表示]
この特許文献の開示の一部は、著作権保護の対象となる内容を含む。著作権の所有者は、特許商標庁の包袋又は記録に記載されている通りに本特許文献又は特許開示内容を複写することに異存はないが、そうでなければ、どのようなものであれ、全ての著作権を留保する。
[関連出願の相互参照]
この出願は、参照により本書に援用される(2014年3月17日に出願された)米国仮出願第61/954227号の利益を主張する。
[連邦支援の研究又は開発に関する声明]
該当なし。
低侵襲手術では、手術部位での追加的な作業空間をもたらすために、体腔はしばしば送気(insufflated)される。低侵襲手術器具を体内にガイドするカニューレを通って送気ガスが漏れ出てしまうのを防止するため、通常、1又は複数の気密性シールがカニューレに結合されている。これらの気密性シールは、手術器具がカニューレに挿入されていない場合に、開いたカニューレを通って送気ガスが漏れ出てしまうのを防止する。また、それらは、手術器具がカニューレに挿入されている場合に、カニューレと器具シャフトとの間の隙間を通ってガスが漏れ出てしまうのも防止する。
(1997年3月28日に出願された)米国特許第6123689号は、低侵襲手術用カニューレのシールアセンブリが必要とする基本的な機能を実行する装置の例である“Reusable Cannula with Disposable Seal”を開示する。2つの環状フランジは、そのシールアセンブリを通じて挿入される様々な径の器具シャフトに対する気密性シールを提供する。また、トラップドアは、そのシールアセンブリから器具が取り外される場合に気密性シールを提供するために閉じる。アダプタ部分は、環状フランジによって密封されるシャフト径よりも小さい径を有する器具シャフトと接して密封するためにシールアセンブリの上に結合され得る。器具シャフトは、内視鏡、及び、閉鎖具のような他の手術用アクセサリのために用いられるシャフトを含む。
米国仮出願第61/954227号明細書 米国特許第6123689号明細書
低侵襲手術のための現在のカニューレシールは概して効果的であるが、改善が望まれる。それら改善は、(特に薄膜の隔壁型ワイパーシールに関して)手術器具がシールを通して挿入されたときに発生し得、効果的な密封を破壊し或いは妨げる破裂及び引き裂きに対するより大きな耐久性、2以上のシールの必要性を最小限に抑えその結果として作業コストを抑えるための広範囲のシャフト径にわたる器具シャフトの効果的な受け入れ、器具シャフトがシールを通じて挿入され或いは引き抜かれるときの器具シャフトに対するより小さい摩擦(その結果としてより高い精度で器具が遠隔操作で制御されるのを可能にし、挿入/引き抜き軸に沿った他の全ての力を弱めることによって遠隔操作する外科医に対するより正確な挿入/引き抜き軸の力フィードバックを可能にし、且つ、器具シャフトが往復動するときにシールが反転する傾向を低減させること)、より低い部品コスト、簡単で且つ経済的な製造可能性、並びに、製造時及び手術中の使用時の双方での簡単な組み立てを含む。
以下の概要は、基本的な理解をもたらすために、発明の要旨の特定の態様を紹介する。この概要は、発明の要旨の広範な概説ではなく、また、キーとなる或いは決定的な要素を特定すること、或いは、発明の要旨の範囲を詳しく説明することを目的とするものではない。この概要は、発明の要旨の様々な態様及び実施例に関する情報を含むが、その目的は、以下のより詳細な説明に対する序章として大まかな形でいくつかの態様及び実施例を提示することである。
一態様では、ワイパーシールは、手術器具がそのシールを通過するときにそのシールが反転してしまうのを防止する特徴を含む。
一態様では、ワイパーシールは、そのシールを通じて挿入される手術器具シャフトに対して比較的大きい摩擦をもたらし、且つ、そのシールを通じて引き抜かれる手術器具シャフトに対して比較的小さい摩擦をもたらす特徴を含む。
一態様では、器具挿入ガイドは、そのシールを損傷することなく、そのシールを通じて手術器具の先端をガイドするのを支援するために、シールアセンブリハウジングの頂部から遠位方向に下にあるワイパーシールまで延びる。
一態様では、器具挿入ガイドは、そのシールを損傷することなく、そのシールを通じて手術器具の先端をガイドするのを支援するために、ワイパーシールの頂部に結合される。
一態様では、シールアセンブリは、取り外し可能にシールアセンブリをカニューレボウルに固定する単一のラッチ部品を含む。
一態様では、シールアセンブリは、手術器具がそのシールを通じて引き抜かれるときに、シールが近位方向に引っ張られてしまうのを防止する反転防止機構を含む。
一態様では、シールは、シールアセンブリがカニューレボウル内で回転するときに、シールアセンブリとカニューレとの間に維持される。
これらの及び他の態様は、以下でより詳細に説明される。
シールアセンブリの概略断面図である。 図1に示されるシールアセンブリの一部の概略断面図である。 例示的な手術器具シールアセンブリの立断面図である。 例示的なワイパーシールの実施例の上面斜視図である。 図3で示されたワイパーシールの実施例の断面上面斜視図である。 図3で示されたワイパーシールの実施例の上面図である。 ワイパーシールの支持リブの構成の上面図である。 ワイパーシールの支持リブの構成の斜視図である。 ワイパーシールの支持リブの構成の上面図である。 ワイパーシールの支持リブの構成の斜視図である。 ワイパーシールの支持リブの構成の上面図である。 ワイパーシールの支持リブの構成の斜視図である。 ワイパーシールの支持リブの構成の上面図である。 ワイパーシールの支持リブの構成の斜視図である。 ワイパーシールの支持リブの構成の上面図である。 ワイパーシールの支持リブの構成の斜視図である。 ワイパーシールの支持リブの構成の上面図である。 ワイパーシールの支持リブの構成の斜視図である。 ワイパーシールの支持リブの構成の上面図である。 ワイパーシールの支持リブの構成の斜視図である。 ワイパーシールの支持リブの構成の上面図である。 ワイパーシールの支持リブの構成の斜視図である。 ワイパーシールの支持リブの構成の上面図である。 ワイパーシールの支持リブの構成の斜視図である。 ワイパーシールの支持リブの構成の上面図である。 ワイパーシールの支持リブの構成の斜視図である。 ワイパーシールの支持リブの構成の上面図である。 ワイパーシールの支持リブの構成の斜視図である。 ワイパーシールの支持リブの構成の上面図である。 ワイパーシールの支持リブの構成の斜視図である。 ワイパーシールの支持リブの構成の上面図である。 ワイパーシールの支持リブの構成の斜視図である。 図3に示されたワイパーシールの実施例の下面斜視図である。 図3で示されたシールの実施例の断面下面斜視図である。 図3で示された実施例の底面図である。 別の例示的なシールアセンブリの実施例の一部の立断面図である。 別の例示的なシールアセンブリの実施例の一部の立断面図である。 別の例示的なシールアセンブリの実施例の一部の立断面図である。 別の例示的なシールアセンブリの実施例の一部の立断面図である。 別の例示的なシールアセンブリの実施例の一部の立断面図である。 別の例示的なシールアセンブリの実施例の一部の立断面図である。 シールアセンブリのためのスペーサとラッチ部品の例示的な組みあわせの斜視図である。 シールアセンブリのカニューレへの例示的な結合を伴う、図11に示されたスペーサとラッチ部品の例示的なラッチ部分の断面図である。 オプションの反転防止部品の例示的な実施例を示すためにそのハウジングの頂部が取り除かれた例示的なシールアセンブリの上面斜視図である。 そのハウジングの頂部が定位置にあるシールアセンブリの上面斜視図である。 反転防止部品の構成の平面図である。 反転防止部品の構成の平面図である。 反転防止部品の構成の平面図である。 反転防止部品の構成の平面図である。 反転防止部品の構成の平面図である。 反転防止部品の構成の平面図である。 反転防止部品の構成の平面図である。 例示的な閉鎖具の斜視図である。 シールアセンブリの頂部に結合された例示的な閉鎖具の近位部分の断面図である。 図15Aの図に対して垂直な断面図である。 カニューレ、カニューレに留められたシールアセンブリ、及び、シールアセンブリに留められた閉鎖具を含む医療装置アセンブリの斜視図である。 一緒に連結され且つ遠隔操作マニピュレータの遠位端に取り付けられたカニューレ及びシールアセンブリの斜視図である。 カニューレ及びシールアセンブリを包含する遠隔操作医療装置178の斜視図である。
この明細書と独創的な態様、実施例、実施形態、又は応用を示す添付図面は限定的なものとして解釈されてはならない。請求項が保護される発明を定める。この明細書及び請求項の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の機械的、合成的、構造的、電気的、及び動作的な変更が行われてもよい。いくつかの例では、よく知られた回路、構造、又は技術は、発明を曖昧にしないよう、詳細には図示されておらず或いは説明されていない。2以上の図面における同様の番号は、同一の或いは同様の要素を表す。表題は読者を支援するためのものであり、明細書の一部を形成しない。
更に、この明細書における専門用語は発明を限定することを目的としていない。例えば、“真下の”、“下の”、“より下の”、“上の”、“より上の”、“近位の”、“遠位の”等のような空間的に相対的な語は、図面で示すような、1つの要素又は特徴の別の要素又は特徴との関係を説明するために用いられ得る。これらの空間的に相対的な語の使用は、図面で示された位置(すなわち空間における場所)及び向き(すなわち空間における回転配置)に加え、使用中又は動作中の装置の別の位置及び向きを包含することを目的としている。例えば、別の要素又は特徴の“下に”或いは“真下に”あると説明されていた要素は、図面における装置がひっくり返された場合、その別の要素又は特徴の“上に”或いは“真上に”あることとなるであろう。このように、典型的な用語“下に”は、“上に”及び“下に”の双方の位置及び向きを包含し得る。装置は、別の方法で方向付けられてもよく(90度又は他の方向に回転させられてもよく)、本書で用いられる空間的に相対的な記述は状況に応じて適切に解釈されてもよい。同様に、種々の軸に沿った或いはそれらの回りの運動の記述は、種々の特別な装置の位置及び方向を含む。また、“平行な”、“垂直な”、“丸い”、又は“四角い”のような幾何学的用語は、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、絶対的な数学的正確さを必要とすることを目的としていない。その代わりに、それらの幾何学的用語は、製造又は均等な機能に起因する変形を許容する。例えば、ある要素が“丸い”或いは“ほぼ丸い”と説明される場合、正確には円形ではない構成要素(例えば、僅かに楕円形のもの又は多辺の多角形)は、それでもなお、この説明によって包含される。
また、単数形の冠詞は、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、複数形も含むことを意図されている。また、用語“有し”、“有する”、“含む”等は、述べられた特徴、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を明確にするが、1又は複数の多の特徴、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はグループの存在又は追加を排除しない。結合されたとして説明された構成要素は、電気的に或いは機械的に直接的に結合されていてもよく、或いは、それらは、1又は複数の中間の構成要素を介して間接的に結合されていてもよい。
1つの実施例、実施形態、又は応用を参照して詳細に説明された要素は、実際的であればいつでも、それらが具体的に示されておらず或いは説明されていないところの他の実施例、実施形態、又は応用に含まれ得る。例えば、1つの実施例を参照してある要素が詳細に説明され、第2の実施例を参照しては説明されていない場合、その要素は、それにもかかわらず、その第2の実施例に含まれるものとしてクレームされ得る。それ故に、以下の説明で不必要な繰り返しを避けるために、1つの実施例、実施形態、又は応用との関連で図示され且つ説明された1又は複数の要素は、別の方法が明確に記載されていない限り、或いは、その1又は複数の要素が実施例又は実施形態を非機能的なものとしない限り、或いは、それらの要素の2以上のものが相反する機能をもたらさない限り、他の実施例、実施形態、又は態様に組み込まれ得る。
機械的構造、構成要素、構成要素アセンブリ等の部品に関連する用語“可撓性”は、広い意味に解釈されるべきである。本質的には、その用語は、その部品が、損傷を受けることなく、繰り返し曲げられ且つ元の形状に戻され得ることを意味する。多くの“硬い”物は、材料の特性に起因する、本来的に備わっている僅かな弾力的な“柔軟性”を有するが、それらの物は、本書で使用される用語としての“可撓性”があるとは見なされない。可撓性の部品は、無限の自由度(DOF)を有し得る。そのような部品の例は、しばしば顕著な断面変形無しで種々の単純な或いは複合的なカーブに曲げられ得る、(例えば、NITINOL、ポリマー、軟質ゴム等で作られた)閉塞された曲げられるチューブ、及び、螺旋コイルばね等を含む。他の可撓性の部品は、連続する“椎骨”の蛇のような配置に類似する一連の密集した構成要素を用いることによって、そのような無限のDOFの部品を近似し得る。そのような椎骨配置では、各構成要素は、運動学的連鎖における短いリンクであり、各リンク間の可動の機械的拘束(例えば、ピン蝶番、カップ・アンド・ボール、ライブ・ヒンジ等)は、リンク間の相対運動の1つ(例えばピッチ)又は2つ(例えばピッチ及びヨー)のDOFを許容する。短い可撓性の部品は、その可撓性の部品自身が複数の結合されたリンクでできた運動学的連鎖であったとしても、運動学的連鎖における2つのリンクの間の1又は複数のDOFをもたらす単一の機械的拘束(ジョイント)としての機能を果たしてもよく、且つ、単一の機械的拘束(ジョイント)としてモデル化されてもよい。有識者は、部品の可撓性がその剛性を用いて表されてもよいことを理解するであろう。
発明の態様は、主として、カリフォルニア州サニーベイルのIntuitive Surgical社によって市販されているda Vinci (登録商標) Surgical Systemを用いた実施形態との関係で説明される。しかしながら、有識者は、本書で開示される発明の態様が、遠隔操作の、また適用可能な場合には非遠隔操作の実施例及び実施形態を含め、様々な方法で具体化され且つ実施され得ることを理解するであろう。da Vinci(登録商標) Surgical Systemでの実施形態は、単に典型的なものであり、本書で開示される発明の態様の範囲を制限するものとして考えられてはならない。
[シールアセンブリ]
図1は、低侵襲手術器具のシールアセンブリ1の概略断面図である。近位及び遠位の方位方向は矢印で示されるように表され、且つ、これらの方位は、概して、この明細書及び関連図面を通じて適用される。図1で示されるように、シールアセンブリ1は、カニューレ2の近位端に(典型的には、カニューレの近位端にあるカニューレボウル内に)位置付けられ、シールアセンブリ1及びカニューレ2を通って患者の体内の手術部位4まで延びる低侵襲手術器具3の一部が示されている。手術器具3は、1又は複数の機械的DOFを有する手術用エンドエフェクタ3a、及び、外科医がエンドエフェクタ3aの姿勢を変更できるようにする1又は複数の機械的DOFを有するリスト(手首)機構3bのような、種々の遠位端コンポーネントをオプション的に含む。手術器具3は、通常、外科的処置の際に外科医がその器具を操作するときに何回もシールアセンブリ1及びカニューレ2を通じて遠位方向に挿入され且つ近位方向に引き抜かれる(すなわち往復運動する)。ラッチ部品(図示せず。)は、以下で詳細に説明されるように、カニューレ2に関してシールアセンブリ1を適当な位置で保持する。
図示されるように、シールアセンブリ1は、組み立てられたときに一緒になってシールアセンブリハウジングを形成する下部ハウジング5及び上部ハウジング6を含む。下部ハウジング5及び上部ハウジング6は、完全な単一のハウジングを作るために接合される2つの別々の部品として示されているが、オプション的に、完全なシールアセンブリハウジングは、単一の部品として形成される。シールアセンブリ1は、ワイパーシール7と、流体(例えば、気体、液体)逆流防止シール8を更に含む。いくつかのワイパーシール7の実施例は、以下で詳細に説明される。逆流防止シール8は、オプション的に、シールを通じた流体の逆流を防止するために1又は複数のスリットが(エラストマー材料の固有の特性によって且つそのシールの遠位側に対する流体圧によって)閉じた状態で保持されるが、流体又は物体がそのシールを通過できるように開かれるところのいくつかのシールの形態のうちの1つであってもよい。そのようなシールは、単一スリットの“カモノハシ(duckbill)”形態、交差する3スリットの3重(trifold)形態、交差する2スリットの(“クロススリット”又は“十字形(cruciform)”の別名でも知られる)形態、及び、S字カーブの形態を含む。他の逆流防止タイプのシール(例えば、トラップドア、チェック弁等)が用いられてもよい。
使用中、逆流防止シール8は、破線の代替位置9で示されるように閉じる。そして、手術器具がカニューレに挿入されていない場合に外科的送気ガス又は他の流体がカニューレを通じて漏れ出るのを防止する。手術器具がカニューレに挿入されると、逆流防止シール8が開き、且つ、ワイパーシール7が手術器具のシャフトと接して密封する。送気ガス又は他の流体がカニューレを通じて漏れ出るのを同じように防止するためである。このように、ワイパーシール7及び逆流防止シール8は、手術器具がカニューレに挿入されているか否かにかかわらず、外科的処置の際にカニューレを通じて送気ガス又は他の流体が漏れ出るのを防止するために協働する。
図1に示されるように、ワイパーシール7及び逆流防止シール8は、下部ハウジング5と上部ハウジング6の間に挟まれるが、接着剤、又は、シールアセンブリハウジング内にそれらのシールを固定する他の手段の使用による等、シールアセンブリハウジング内にそれらのシールを保持するための他の構成も実現可能である。以下で説明されるように、1又は複数のオプションのスペーサ(図示せず。)が上部ハウジングと下部ハウジングの間に挟まれていてもよい。
図1は更に、手術器具がシールアセンブリを通じて挿入されているか否かにかかわらず、送気ガスが患者内に入るのを可能にするように、且つ、ガス及び浮遊粒子状物質(例えば煙)が患者から排出されるのを可能にするようにシールアセンブリ1が構成され得ることを示す。図示されるように、送気/排出ガス10はシールアセンブリ1のポート11で出入りする。ポート11は、シールアセンブリハウジングにあり、図示されているように下部ハウジング5を通る。そして、入ってくるガスは、カニューレを通過し或いは手術器具3とカニューレの内壁との間の隙間を通過して患者内に至るために、下部ハウジング5の内側壁と逆流防止シール8の外側壁との間を流れる。排出ガスは逆の経路を辿る。送気/排出ガスがシールアセンブリ1を通過するのを可能にする構成例の詳細は後述される。ガスがシールアセンブリを通過するのを可能にするためのはっきりした経路の存在を確実にするために2以上のポート11がオプション的に用いられてもよい。
いくつかの実施例では、シールアセンブリ1は、ワイパーシール7の近位側に位置付けられた器具挿入ガイド12を含む。器具挿入ガイド12は、手術器具の遠位端をワイパーシール7内にガイドするのに役立つ。例えば、器具が挿入されるときに、器具のエンドエフェクタ3aの遠位端が、ワイパーシール7を刺し、引き裂き、引っ掻き、或いは、それ以外の方法で損傷を与えることから遠ざけられるようにするためである。以下で詳細に説明されるように、いくつかの実施例では、器具ガイド12は、シールアセンブリハウジングに関して固定される(例えば、オプション的に、単一部品としての上部ハウジング6と共に形成される。)。また、他の実施例では、器具ガイドは、シールアセンブリハウジングとは別の部品として形成され、且つ、別の部品としてシールアセンブリハウジングに関して固定されてもよく、或いは、シールアセンブリハウジングに関して動いてもよい。
1つの独創的な態様では、シールアセンブリ1とシールアセンブリ1を通じて挿入された手術器具との組み合わせがアセンブリと見なされる。別の態様では、シールアセンブリ1とカニューレ2との組み合わせがアセンブリと見なされる。更に別の態様では、シールアセンブリ1と、カニューレ2と、シールアセンブリ1及びカニューレ2の双方を通じて挿入された手術器具とがアセンブリと見なされる。2つの追加的な態様では、シールアセンブリ1とカニューレ2との組み合わせ、及び、シールアセンブリ1とカニューレ2とシールアセンブリ1及びカニューレ2の双方を通じて挿入された手術器具との組み合わせが、手術器具の動きを制御する遠隔操作医療装置を含むように拡張される。カリフォルニア州サニーベイルのIntuitive Surgical社によって市販されているda Vinci Xi(登録商標) Surgical Systemのような遠隔操作医療装置が知られており、そのような医療装置は、“手術システム”又は“手術ロボット”のような用語によっても参照される。上述のように且つ以下で説明されるように、シールアセンブリは、手術器具に対する適切な気密性シールを維持することによって、遠隔操作される医療装置が手術を実行できるようにする構成要素である。
図1Aは、シールアセンブリ1の一部の概略断面図であり、図1と同様であるが明確にするためにいくつかの構成要素が省略されている。縦方向及び横方向がラベル付きの矢印で示されており、縦は、器具の挿入及び引き抜きの軸にほぼ平行な方向を意味し、横は、その挿入及び引き抜きの軸にほぼ垂直な方向を意味する。図1Aは、ワイパーシール7を通じて挿入された手術器具3のシャフトを示す。ワイパーシール7は、内部密封部13と密封部13を取り囲む外部屈曲部14とを含む。屈曲部14は、手術器具3がワイパーシール7を通じて挿入され或いは引き抜かれるときに、密封部13が縦軸Aに沿って遠位方向及び近位方向に動くのを可能にする。また、屈曲部14は、手術器具ハウジング内で密封部13が(左右交互に)横に動くのを可能にする。密封部13は、上部環状面15と上部面15の反対側にある下部環状面16とを含む。上部面15及び下部面16は、円形開口部を形成するために環状ワイパーシールリップ17のところで交差する。リップ17は、手術器具3のシャフトの外面18と接して密封する。それ故に、密封部13は、屈曲部14に比べて比較的厚く、そのため、屈曲部14よりも硬い。しかし、密封部13は、十分に横方向に可撓性がある。そのため、器具のシャフトの種々の径を受け入れることができる。1つの実施例では、例えば、ワイパーシール7は、(5−8mmの範囲と称される)4.7〜9.4mmの範囲内の径の手術器具のシャフトと接して効果的に密封する。別の実施例では、ワイパーシール7は、(10−12mmの範囲と称される)9.7〜14.2mmの範囲内の径の手術器具のシャフトと接して効果的に密封する。ワイパーシールは、他の種々の径範囲を受け入れるようにサイズが決定されてもよく、或いは、単一の特定の器具シャフト径と協働するのに最も適した材料で作られていてもよい。
図示されるように、上部面15は、器具3のシャフトに関して角度αであり、また、下部面16は、器具3のシャフトに関して角度βである。これを別の方法で記述すると、角度α及び角度βは、シールアセンブリの頂部と底部の間に定められた縦軸Aに関して形成され、手術器具が縦軸Aに沿って挿入され且つ引き抜かれるようにする。角度αは、角度βよりも小さい(より鋭角)。したがって、上部面15の半径方向幅は、下部面16の半径方向幅より大きい。手術器具3がワイパーシール7を通じて遠位方向に挿入されるとき、シールリップ17及び上部面15とシャフト外面18との接触は、密封部13を遠位方向に動かす傾向にある。同様に、手術器具3がワイパーシール7を通じて引き抜かれるとき、シールリップ17及び下部面16とシャフト外面18との接触は、密封部13を近位方向に動かす傾向にある。
比較的厚い密封部13、並びに、上部面15及び下部面16の角度及び/又は半径方向幅は、いくつかの利点をもたらす。典型的な薄膜の隔膜シール(thin-membrane septum seal)は、均一の或いはほぼ均一の厚みを有する。そのため、器具が挿入されたときに器具の先端による破裂及び引き裂きにさらされる。屈曲部14に関する密封部13のより大きな厚みは、器具が最初に挿入されるときの破裂及び引き裂きを防ぐのに役立ち、更に、屈曲部14は、シール全体としては、薄い隔膜シールの可撓性と同様の縦方向及び横方向の可撓性をもたらす。以下で説明されるように、いくつかの構成では、屈曲部14は、典型的な薄膜の隔膜シールに比べ、ワイパーシール7に関する優れた可撓性の特性をもたらす。屈曲部14が器具と接触しないため、屈曲部14がより薄く作られ得るためである。
この全体としての可撓性は、初期挿入、取り除き、及び使用の際の、シールアセンブリ内の器具シャフトの縦方向及び横方向の動きを受け入れる。上部面15の比較的急勾配の角度αは、シールリップ17によって形成される穴へ器具先端をガイドするのに役立ち、更には、破裂又は引き裂きのリスクを低減させる。また、器具シャフトとのより厚い接触を形成するために器具シャフトに押し付けられるリップ17によってもたらされる密封部13の厚みは、密封部13のより大きな外側の厚みと共に、シールリップ17の一部の問題を低減させ或いは除去するのに役立つ。シールリップ17の一部は、シールアセンブリ内で器具シャフトが横方向に動かされた場合にシールリップ17が楕円形状に引き延ばされて器具シャフト面18から離れる。そして、リップ17と面18との間に開口を形成することによってシールを破る。この状況は、結果としてもたらされるシール開口の形状に起因して“キャット・アイ”状態とも呼ばれ、薄膜の隔膜シールが受け入れることのできる径の範囲の下端にある器具シャフト径でより大きな問題となる。リップ17における頂点を有する密封部13のほぼ三角形の断面形状のため、円形開口部は、種々の器具シャフト径を受け入れるために容易に拡張される。その一方で、ワイパーシールの機能が保たれ、且つ、密封部13の縦方向の屈曲が顕著に低減される。円形開口部に近いところの全体的に小さい量の材料は、密封部13が比較的小さい抵抗で横方向に外方に押し付けられるのを可能にし、且つ、円形開口部から遠いところの全体的に大きい量の材料は、円形開口部が更に拡張するにつれて横方向の外方への押し付けに対して密封部13がますます抵抗するようにさせる傾向を有する。
下部面16の半径方向幅に比べて上部面15の比較的大きな半径方向幅のために、器具が挿入され或いは引き抜かれるときに、下部面16に比べて上部面15の比較的大きな部分が器具シャフト面18と接触することが分かる。別の言い方をすれば、上部面15と器具シャフトとの間の接触面積は、下部面16と器具シャフトとの間の接触面積より大きい。この接触は、器具が挿入されるときに比較的大きく、器具が引き抜かれるときに比較的小さい、ワイパーシール7と器具シャフト面18との間の摩擦をもたらす。器具が引き抜かれる際のより低い摩擦は、器具が完全に引き抜かれるときにワイパーシール7が近位方向に引っ張られてしまうのを防止するのに役立ち、そのため、シールハウジングにおける上部開口を通じてワイパーシールが近位方向にひっくり返ってしまうのを防止するのに役立つ。図面に示され且つ以下で説明される例示的なワイパーシールの実施例を考慮して、当業者は、角度αと角度βが等しい場合であっても、或いは、角度αが角度βより大きい場合であっても、比較的大きい器具挿入摩擦をもたらすために、上部面15の半径方向幅(すなわち接触面積)が下部面16の半径方向幅よりも大きくなるように密封部13がオプション的に構成され得ることを理解するであろう。当業者は、特に、器具シャフトがシールを通って常に前後に動く場合の円滑な制御が望まれる遠隔操作アプリケーションにおいて、(例えばスティック・スリップ状態を避けるのに十分に低い)低摩擦で良好な密封機能をもたらすことが望ましいことを理解するであろう。しかし、当業者は、何かの事情で(例えば、手作業の腹腔鏡処置の際に器具自身の重量によって)器具がシールを通ってスリップして患者に怪我をさせてしまうことがないよう、器具挿入に対する適度な抵抗をもたらすことが望ましいことも理解するであろう。ワイパーシールにおける説明された密封部は、容認可能な挿入/引き抜き摩擦に加え、そのような増大された挿入抵抗摩擦を提供する。ワイパーシール7の他の特徴ばかりでなく、追加的な非対称の挿入/引き抜き抵抗の特徴も、以下で詳細に説明される。
図1Aで示されるように、屈曲部14は、上部面15と下部面16との縦方向の中間で密封部13の外周に取り付けられる。また、屈曲部14は、リップ17と縦方向で一致するものとして示されている。しかしながら、オプション的に、屈曲部14は、最近位位置及び最遠位位置を含め、種々の縦方向位置で密封部13の周囲に取り付けられる。同様に、屈曲部14は、オプション的に、リップ17との種々の縦方向関係で位置付けられる。そのような縦方向の取り付け及びリップ位置合わせの例は、以下で詳細に示される。
[第1の例]
図2は、例示的な手術器具シールアセンブリ20の立断面図である。シールアセンブリ20は、下部ハウジング21a及び上部ハウジング21bを含む。下部ハウジング21a及び上部ハウジング21bは、一緒に組み立てられたときにほぼ円筒形のアセンブリハウジング21を形成する。図示されるように、製造の際に、下部ハウジング21a及び上部ハウジング21bは、最初に六角形の穴及び干渉ピンと合わせられる。そして、下部ハウジング21aと上部ハウジング21bを一緒に固定するために超音波溶接が用いられる。恒久的圧入(permanent press fitting)又は接着剤の使用等、他のよく知られた恒久的接合技術が用いられてもよい。1つの実施例では、下部ハウジング21aの部品及び上部ハウジング21bの部品が硬質ポリカーボネートで作られている。オプション的に、プラスチック又は金属等の他の硬い材料が用いられてもよい。
下部ハウジング21aは、手術用カニューレ(図示せず。)の近位端のところにあるカニューレボウルに挿入される遠位端22と、そのカニューレの外側に留まる近位端23とを含む。オプション的に、近位端23は、ほとんどの場合、遠位端22よりも大きく、また、近位端23の下にあるレリーフ面24は、カニューレの近位端の上に載り且つ押し付けられる。下部ハウジング21aは、その外壁面26に環状溝25を更に含む。Oリング27が溝25に挿入され、また、シールアセンブリ20がカニューレボウルに挿入されたときに、Oリング27は、カニューレボウルの内側壁と下部ハウジング21aの外側壁との間から送気ガスが漏れ出るのを防止するためにカニューレボウルの内壁面と接して密封する。また、Oリング27は、以下でより詳細に説明されるように、シールアセンブリとカニューレボウルとの間の密封を維持しながら、カニューレボウル内でシールアセンブリが回転するのを可能にする。当業者は、その密封を維持しながらカニューレボウル内でシールアセンブリが回転するのを可能にするいくつかの実施形態において、Oリング27が、一般的にカニューレシールと呼ばれ且つシールアセンブリの外側壁とカニューレボウルの内側壁との間を密封するように機能する種々のパッキン型又はガスケット型のシールの代表であることを理解するであろう。
下部ハウジング21aは、逆流防止シール(例えば、延長された逆流防止シールが示されている図7も参照。)のより大きな横方向の動きを可能にするために、遠位端22に向かって横方向外側に僅かに先細になる内壁面28を更に含む。図2に示されるように、内壁面28は、オプション的に、上部ハウジング部21bの近くで僅かにネックダウン(neck down)される。ネックダウンは、下部ハウジング部における構造強度を増大させる。また、図2に示されるように、いくつかのオプションの半径方向内側に突出するリブ29がこのネックダウン領域にある。リブ29は、シールアセンブリにおけるポートを介して手術部位に気体が出入りするためにハウジングの内側壁と逆流シールの外面側壁との間を通るときに逆流シールの外側壁面が気体流をブロックしてしまうのを防止するのに役立つ。
図2に示されるように、下部ハウジング21aはオプションの気体弁30も含む。気体弁30は、弁体31、回転弁部材32、外側接続具33(例えば、図示されるようなねじ式ルアーロック)、内側接続具34(例えば、図示されるようなルアーテーパ接続具)、及び、気体チャネル30aを含む。図示されるように、弁部材32は、環状保持フランジ35を用いることで、弁体31にスナップフィットされて回転可能に固定される。いくつかの実施例では、弁30がハウジング21からちぎれるのを防止するのに役立つ追加的な構造強度をもたらすために弁体31とシールアセンブリハウジング21との間に1又は複数のオプションの支持リブ30bが配置される。図示されるように、下部ハウジング21a、弁体31、外側接続具33、及び支持リブ30bは、一体的な単一の部品として形成され、また、オプション的に、それらは、一緒に接合される2以上の部品として形成されてもよい。外科的処置の際に、送気ガス供給部(図示せず。)は、接続具33、34に結合されてもよく、また、弁体32は、チャネル30aを通じてシールアセンブリ内に気体が流れるのを可能にするために回転させられる。或いは、排出ガス槽(図示せず。例えば、真空源)が接続具33、34に結合されてもよく、また、弁体32は、チャネル30aを通じてシールアセンブリから外部に気体が流れるのを可能にするために回転させられる。
上部ハウジング21bは、下に位置するワイパーシールに向かって遠位方向に延びるオプションの環状の器具挿入ガイド37につながるオプションの遠位方向に先細になる環状漏斗部36を含む。漏斗部36及び器具挿入ガイド37は、一緒になって、上部ハウジング21bにある円形穴38を定める。円形穴38は、シールアセンブリの縦方向の中心線上に中心が置かれ、器具はその円形穴38を通じて挿入される。穴38の径は、下に位置するワイパーシールにおける穴よりも大きい。また、穴38の径とワイパーシールの上部面の表面の寸法との関係は以下で詳細に検討される。漏斗部36は、手術器具の先端を穴38にガイドするのに役立つ。また、器具ガイド37は、下に位置するワイパーシールを通じた挿入のために器具の先端を位置合わせしてガイドするのに役立つ。
上部ハウジング21bは、オプション的に、対象物が取り外し可能にハウジング21に結合されるのを可能にする1又は複数のラッチ受け入れ機構39を含む。図示されるように、ラッチ受け入れ機構39は、シール内に完全に挿入された閉鎖具(obturator)を保持するために(図15及び以下の関連する文章を参照。)、閉鎖具ラッチ(図示せず。)が上部ハウジング21bの内表面を通って延び且つ上部ハウジング21bの内表面とかみ合うのを可能にするウィンドウである。閉鎖具ラッチは、ウィンドウを定める外周の下でかみ合う。カニューレ、シール、及び閉鎖具は、外科医が患者の体壁を通してカニューレを挿入できるようにするアセンブリを一緒になって形成する。図示されるようなラッチ受け入れ機構39は、閉鎖具又は他の対象物がハウジング21の頂部に取り外し可能に結合されるのを可能にする多くのよく知られたラッチ機構の代表であると理解されるべきである。別の例では、第2シールアセンブリ(図示せず。)上のラッチが、ハウジング21の頂部に対して第2シールアセンブリを押し付ける。例えば、(メインシールアセンブリの頂部に取り外し可能に結合され得る“reducer”シールを示す)米国特許第6123689号を参照。第2シールアセンブリは、ハウジング21におけるワイパーシールの穴の径よりも小さい径を有するワイパーシール穴を含む。第2シールアセンブリは、ハウジング21に結合されると、この文書内の他の場所に記載されている組み合わせと同様の追加的な種々の組み合わせを形成する。
図2で示されるように、逆流防止シール40は、下部ハウジング21aと上部ハウジング21bの間に挟まれている。この実施例で表されるように、逆流防止シール40は、クロススリットのシールである。逆流防止シール40の折り畳まれた側壁41のそれぞれの厚みは、シール40の遠位端42に向かって僅かに先細になる。シール40の近位端のところにある折り畳まれた側壁41のより厚い部分は、器具が取り外されたときに、逆流防止シールがその閉位置に戻るのを促進する。シール40の遠位端のところにある折り畳まれた側壁41のより薄い部分は、側壁のより大きな可撓性をもたらし、且つ、器具がシール40を通じて挿入されたときのシール40と器具との間のより低い摩擦をもたらす。また、比較的薄い遠位側の壁41は、器具が取り除かれるときに、側壁の外表面に対する流体背圧がシールを閉状態で維持するのを促進する。逆流防止シール40は、逆流防止シール40を通じて器具が挿入されるときにリブ29に押し付けられる折り畳まれた側壁41を通り過ぎる十分な気体流を確保するため、側壁41の内側の折り目(fold)の1つが気体チャネル30aと合致するように(すなわち、図示されるように、隣接する側壁41の外側の折り目が気体チャネル30aから45度オフセットされるように)、下部ハウジング21a内で方向付けられる。上にあるワイパーシールが縦方向及び横方向に動くときに、ワイパーシールの動きと逆流防止シール40とが干渉しないように、逆流防止シール40の内部は、縦方向に十分深く且つ横方向に十分広く作られる。例示的な実施例では、逆流防止シール40は、塩素化ポリイソプレン等の医療グレードのエラストマー材料、又は、シリコーン、ウレタン等の他のゴム材料等で作られている。他の適切な材料が使用されてもよい。
図2は、逆流防止シール40の上に位置付けられ且つ下部ハウジング部21aと上部ハウジング部21bとの間に挟まれたオプションの環状スペーサ43を示す。以下でより詳細に説明されるように、いくつかの実施例では、環状スペーサ43は、一体的に形成された単一の部品として、ハウジング21をカニューレに取り外し可能に締め付けるラッチに組み合わされる。いくつかの実施例では、スペーサ43は、ワイパーシールの外周と逆流防止シールの外周とが接触するように、ワイパーシール及び逆流防止シールの双方の上に位置付けられる。しかしながら、図示されるように、スペーサ43は、ワイパーシールと逆流防止シールとの間に位置付けられ、ワイパーシールと逆流防止シールの近位端との間により大きな縦方向の空間をもたらし、そのため、逆流防止シールによる接触干渉無しに、ワイパーシールが適切に動作できるようにする。各シールとハウジングとの間の気密性シールを確保するため、且つ、各シールがハウジング内で回転するのを防止するために、上部ハウジング部品と下部ハウジング部品とが一緒に締め付けられる場合、スペーサ43は、逆流防止シール及びワイパーシールの一方又は双方を圧縮する1又は複数の環状ボスをオプション的に含み得る。
図示されるように、ワイパーシール44は、ワイパーシールが逆流防止シール40の上になるように(近位に位置するように)、環状スペーサ43の上に位置付けられる。ワイパーシール44における器具穴は、ワイパーシール及び逆流防止シールの双方の中心を器具が貫通するように、逆流防止シール40におけるクロススリットの交差点の上に位置合わせされる。ワイパーシールの詳細は以下でより詳細に検討される。
図示されるように、オプションの環状スペーサ45は、ワイパーシール44の外周の上に(近位に)位置付けられる。使用されると、環状スペーサ45は、ワイパーシール44に対する上部ハウジング21bの圧力を分散させるのに役立つ。また、環状スペーサ45は、以下でより詳細に説明されるワイパーシール反転防止機構をオプション的に含み得る。
このように、図2は、シールハウジング21において逆流防止シール40の上に位置付けられ且つオプションのスペーサ43及び45と共に下部ハウジング21aと上部ハウジング21bとの間に挟まれたワイパーシール44を示す。
[ワイパーシール]
図3は、例示的なワイパーシールの実施例の上面斜視図であり、図3Aは図3に示されたワイパーシールの実施例の断面上面斜視図であり、図3Bは図3に示されたワイパーシールの実施例の上面図である。図4は、図3に示されたワイパーシールの実施例の下面斜視図であり、図4Aは、図3に示されたシールの実施例の断面下面斜視図であり、図4Bは図3に示された実施例の底面図である。冗長な説明を避けるため、上述のワイパーシールの特徴ばかりでなく、このワイパーシールの実施例を参照して説明される種々の特徴は、既に説明された或いは以下で説明されるワイパーシールの他の実施例にも適用される。
図2、図3、図3A、図3B、図4、図4A、及び図4Bを参照すると、ワイパーシール44は、ほぼ環状であり、且つ、環状外周部45、環状内側密封部46、及び、外周部45と密封部46との間の環状屈曲部47を含む。外周部45は、ワイパーシール44を貫通する器具シャフトがハウジング21の内側に移動するときに、密封部46が縦方向及び横方向に動くことができるように、ハウジング21内でワイパーシール44を支持する。図示されるように、外周部45は、その遠位側にオプションの小さい環状ボスを有する。また、種々の他のオプションの構成(例えば、近位側の環状ボス、断続的な環状ボス又は突起等)が、シールアセンブリハウジング内にワイパーシール44を取り付けるために使用され得る。密封部46は、図1及び図1Aを参照して大まかに説明されたように機能する。それは、円形シールリップ50で出会う環状の上部面48と環状の下部面49を含む。シールリップ50は、手術器具シャフトが挿入され且つ引き抜かれる穴を定める。シールリップ50は、手術器具シャフトの外表面と接して密封する。シールリップ50は、単一の丸い面として形成されてもよい。或いは、オプション的に、シールリップ50は、平面、波形等の他の表面形状として形成されてもよい。オプション的に、器具シャフトと接して密封するために、1又は複数の小さい個別の環状リングがリップ50に配置される。密封部46は可撓性である。そのため、種々の器具シャフトの径(例えば、約5−8.5mm又は約10−12mm)を受け入れる。密封部46の寸法は、他の径範囲を適切に受け入れるように変更され得る。上部面48の半径方向幅が、下部面49の半径方向幅よりも大きく、また、上部面48と挿入された器具のシャフトとの間の角度が、下部面49と挿入された器具のシャフトとの間の角度よりも鋭角であることが分かる。
屈曲部47は、密封部46を取り囲む。また、屈曲部47は、(i)シールアセンブリ内で密封部46が遠位方向及び近位方向に(縦方向に)動くのを可能にし、(ii)シールアセンブリ内で密封部46がほとんどゆがみ無く左右交互に(横方向に)動くのを可能にし(それ故に上述の“キャット・アイ”問題を低減させ)、且つ、(iii)大きな径の器具シャフトが挿入されたときに半径方向外側に広がる密封部46を受け入れる。このようにして、密封部46の種々の態様の利点は、屈曲部47の利点と組み合わされる。図示されるように、屈曲部47は、ほぼ環状の折り畳まれた蛇腹構造を有する。それは、代わりに、1若しくは複数の(近位に方向付けられた)上部の環状の折り目、及び/又は、1若しくは複数の(遠位に方向付けられた)下部の環状の折り目を、隣接する上部の折り目及び隣接する下部の折り目を分離する環状溝(すなわち、溝は、折り目の裏面で形成される)と共に含む環状コルゲーション(襞)構造(波形構造)として説明される。折り目はヒンジとしての役割を果たすが、折り目間の屈曲部47の材料は延びもする。他の実施例では、例えば、一定の或いは変化する厚みを有する平坦な(平面の)環状ダイアフラムを含め、他の適切な屈曲部47の構造が使用され得る。
図示された実施例では、屈曲部47は、内側上部環状折り目51のところで密封部46とつながり、且つ、外側上部環状折り目52のところで外周部45につながる。上部環状折り目51と52の間には下部環状折り目53がある。その結果、下部環状溝54は、密封部46と下部環状折り目53との間に形成され、また、上部環状溝55は、上部環状折り目51と52との間に形成される。支持リブ56は、下部環状溝54内に位置付けられ、また、支持リブ57は、上部環状溝55内に位置付けられる。図示されるように、支持リブ56及び57はそれぞれ5つずつ存在する。他の数(例えば3つ、4つ、6つ、又はそれ以上)の支持リブが用いられてもよい。個々の支持リブ56及び57は、ワイパーシール44の表と裏で互いにほぼ向かい合うように位置付けられるが、オプション的に、それらは、相互に相対的な他の幾何学的配置で置かれてもよい。また、いくつかの実施形態では、支持リブ56の数は、支持リブ57の数と異なっていてもよい。そして、支持リブ56及び支持リブ57は、オプション的に、環状溝内で対称的に或いは非対称的に間隔を空けられていてもよい。3つ以上の支持リブの対称的な間隔は、全ての横方向において、動きに対する抵抗を一定に維持する傾向を有し、また、非対称的な間隔(又は、互いに反対側に配置された2つの支持リブのみの使用)は、1又は複数の横方向における動きを特別扱い(favor)する傾向を有する。
図4、図4A、及び図4Bに示されるように、支持リブ56は、下部環状溝54内で等間隔に置かれている。支持リブ56のそれぞれは、両端が密封部46に接合された切頭半円筒部58、及び、半円筒部58と下部環状溝54の外側壁との間に延びるウェブ部59の、2つの部分を有する。支持リブ56の半円筒部58は、大まかには、密封部46の周りで、ホタテガイの縁のように波を打った模様(scalloped pattern)を形成するように配置される。図示されるように、半円筒部58は、密封部46のところで互いから僅かに離れている。また、それらは、オプション的に、密封部46のところで互いに接触していてもよい。
図3、図3A、及び図3Bを参照すると、支持リブ57は、上部環状溝55内で等間隔に置かれている。支持リブ57のそれぞれは、一方の側で上部環状溝55の外側壁に接合された切頭四半円筒部60、及び、切頭四半円筒部60の他方の側と上部環状溝の内側壁との間に延びるウェブ部61の、2つの部分を有する。支持リブ57が支持リブ56の半円筒部の約半分のみを有することを除き、支持リブ57の形状は支持リブ56の形状と同様であることが分かる。
支持リブ56及び支持リブ57の双方は他の形状を有していてもよい。例えば、支持リブ57が半円筒部を有していてもよく、或いは、支持リブ56が四半円筒部を有していてもよい。他の支持リブの形状は、溝の側壁間における、単一の、滑らかな(例えばS字形状の)或いは鋭角(例えばジグザグ)の折り畳み要素を含む。支持リブ57の頂部と支持リブ56の底部は、図示され且つ説明されたように、先端が切断されていてもよく、或いは、シール44の横の配置(lateral orientation)にほぼ平行であってもよい。
下部環状溝54の外側壁への支持リブ56の取り付け部は、密封部46のレベルの下に(遠位側に)延びていることが図2、図4、図4A及び図4Bから分かる。この構成は、器具引き抜きの際に密封部46が近位方向に引っ張られ且つ上部環状折り目51を広げてしまう(すなわちシールを裏返してしまう)のを防止するのを支援するための反転防止機構の機能を果たす。支持リブ56の構成は、圧縮に対する比較的小さい抵抗と、伸張に対する比較的大きな抵抗をもたらす。したがって、支持リブ56の半円筒部58は、下部環状溝54を対称的に圧縮する、より大きな径の器具シャフト径を受け入れるために密封部46が延びて開くのを可能にする。また、半円筒部58は、屈曲部47内で密封部46が横方向に動くときに、下部環状溝54が非対称的に圧縮されるのを可能にする。
それ故に、反転防止のメリット、及び、環状溝の圧縮に対する小さい抵抗の双方がもたらされる。半円筒形状は、V字形状に真っ直ぐとなるように半円筒の壁が引っ張られたときに比較的小さい抵抗で比較的短い距離だけ支持リブ56が延びるのを可能にし、その後に、支持リブの材料自体が伸びるのを必要とする更なる伸張に対する比較的大きい抵抗をもたらす。また、半円筒形状は、ほとんど抵抗無しに支持リブ56がほぼ完全に自身に対して倒れ込むのを可能にする。半円筒形状の垂直壁が容易な成形を可能にし、単一の均一な部品として完全なワイパーシールが形成されるようになることも当業者は理解するであろう。以下で説明されるような支持リブ57の構成ばかりでなく、既に説明された或いは以下で説明される他の支持リブ56の構成においても同様の特徴及び有利点が存在することが理解され得る。
さらに、具体的な実施例が説明されたが、(溝の構成にもよるが)ウェブが密封部に近づくようにウェブと半円筒の配置を反転させること、他の湾曲した或いは真っ直ぐな側部を含むように半円筒形状を変更すること等の多くの変形例が実現可能である。したがって、大まかに言えば、図示された支持リブ56は、2つの壁を有するものとして説明され得る。各壁の第1の側は、溝54の側壁の一方に固着され、また、各壁の第2の側は、一緒になって溝54の側壁の他方に固着される。また、さらに、支持リブ56の2つの壁が溝54の外側壁とつながるところのレベルは、支持リブ56の2つの壁が溝54の内側壁とつながるところのレベルの下(遠位側)に及ぶ。また、さらに、溝54の内側壁は密封部46によって定められるものとして示されているが、支持リブ56は、オプション的に、屈曲部47における何れかの溝内に配置されていてもよい。
ワイパーシール44のいくつかの実施例では、医療グレードのシリコーン潤滑剤のような潤滑剤62が、支持リブ56の半円筒部58と密封部46との間に形成された1又は複数のポケット内に置かれる。密封部46を通じて手術器具が挿入され或いは引き抜かれると、密封部46の屈曲及び屈曲部47の屈曲は、いくらかの潤滑剤62をポケットの外に押し出させる。そして、潤滑剤62は、手術器具シャフトと密封部46との間の接点を潤滑するために下部面49を横切って移動する。適当な潤滑剤の1つは、NuSil Technology LLCのMED-420(at~5,000cP)である。別の適当な潤滑剤は、NuSilのMED-361(at~125,000cP)であり、種々の粘度を有する他の適当な潤滑剤が用いられてもよい。
ここで図2、図3、図3A及び図3Bを参照すると、縦軸に関する上部環状溝55の側壁の角度のために、上部環状溝55内の支持リブ57の配置は、下部環状溝54内の支持リブ56の配置とはほぼ反対とされることが見て取れる。各支持リブ57が上部環状溝55の外側壁に付着するところのレベルは、各支持リブ57が上部環状溝55の内側壁に付着するところのレベルの上に(近位側に)及ぶ(内側壁の頂部は屈曲部47が密封部46につながるところである。)。この構成は、器具挿入の際に密封部46が遠位方向に押されて下部環状折り目53を場合によっては広げてしまうのを防止するのに役立つ。支持リブ57の四半円筒部60及びウェブ61の組みあわせは、支持リブ56の半円筒部58及びウェブ59の組みあわせと同様に機能する。また、既に説明された同様の構成の変形も実現可能である。各支持リブ57は、各支持リブ56よりもいくらか大きいことが見て取れる。四半円筒部60は、半円筒部58に比べ、倒れ込みに対する抵抗を更に低減させるように機能し、比較的大きい器具シャフト径を受け入れるために密封部46が拡張すると上部環状溝55が対称的に容易に倒れ込むようにし、且つ、密封部46が横方向に動くと溝55が非対称的に容易に倒れ込むようにする。しかしながら、いくつかの実施例では、支持リブ57は、支持リブ56と同様の半円筒部(又はその変形)を含む。また、複数の下部環状溝内の支持リブ56と同様に、屈曲部47が複数の上部環状溝を含む場合には、支持リブ57は、それらの上部環状溝内の任意の数のところに置かれていてもよい。
上述のように、ワイパーシールの屈曲部内の環状の折り目で形成された上部又は下部の溝の何れかで他の様々な支持リブの構成が使用され得る。図3C及び図3Dは、ワイパーシール46aの上面図及び斜視図であり、等間隔の支持リブ57aが屈曲部の溝内に置かれている。支持リブ57aのそれぞれは、縦方向に向けられた円錐台セクションを含む。円錐台セクションは、溝の底に向かう頂点を有し、且つ、小さいウェブ部によって溝の内側壁及び外側壁に結合される円錐セクション壁を有する。円錐台は、オプション的に、真っ直ぐであってもよく、図示されるように傾いていてもよく、オプション的に、図示されるように円形であってもよく、他の形状であってもよい。
図3E及び図3Fは、ワイパーシール46bの上面図及び斜視図であり、等間隔の支持リブ57bが屈曲部の溝内に置かれている。支持リブ57bのそれぞれは、溝内で縦方向に向けられた円筒を含む。円筒壁は、小さいウェブ部によって溝の内側壁及び外側壁に結合されている。支持リブ57bにおけるそれらの円筒の径は、溝の頂部における溝の幅よりいくらか小さい。
図3G及び図3Hは、ワイパーシール46cの上面図及び斜視図であり、等間隔の支持リブ57cがそのような溝内に置かれている。支持リブ57bと同様に、支持リブ57cのそれぞれは、溝内で縦方向に向けられた円筒を含む。円筒壁は、小さいウェブ部によって溝の内側壁及び外側壁に結合されている。支持リブ57cにおけるそれらの円筒の径は、支持リブ57bにおける円筒の径より大きく、その径は溝の頂部における溝の幅程度である。
図3I及び図3Jは、ワイパーシール46dの上面図及び斜視図であり、等間隔の支持リブ57dが屈曲部の溝内に置かれている。支持リブ57a(図3C及び図3D)とは対照的に、支持リブ57dは、半円錐台セクションであり、そのセクションの一方の側端が溝の内側壁に結合され、そのセクションの他方の側端が溝の外側壁に結合されている。
図3K及び図3Lは、ワイパーシール46eの上面図及び斜視図であり、等間隔の支持リブ57eが屈曲部の溝内に置かれている。切頭半円筒の構成が頂部溝内に置かれ得ること、及び、切頭半円筒がそれらの開口を半径方向外側に向け得ることを図3K及び図3Lが図示している点を除き、支持リブ57eのそれぞれの構成は、支持リブ56(図4、図4A及び図4B)の構成と同様である。
図3M及び図3Nは、ワイパーシール46fの上面図及び斜視図であり、等間隔の支持リブ57fが屈曲部の上部溝内に置かれている。支持リブ57fのそれぞれの構成は、支持リブ57(図3、図3A及び図3B)の構成と同様である。
図3O及び図3Pは、ワイパーシール46gの上面図及び斜視図であり、等間隔の支持リブ57gのそれぞれが屈曲部の溝内に置かれている。支持リブ57gのそれぞれの構成は、蛇行S字カーブであり、支持リブの一方の側端が溝の内側壁に結合され、支持リブの他方の側端が溝の外側壁に結合されている。図示されるように、支持リブが付着するところである溝の内側壁の位置及び外側壁の位置は、ワイパーシールを中心とする同じ時計位置(12時、4時及び8時の時計位置が示されている。)のところにあり、且つ、そのリブにおける蛇行する折り目は、この時計位置の両側に伸びる。
図3Q及び図3Rは、ワイパーシール46hの上面図及び斜視図であり、等間隔の支持リブ57hのそれぞれが屈曲部の溝内に置かれている。支持リブ57hのそれぞれの構成は、支持リブ57hにおける蛇行する折り目が、支持リブ57g(図3O及び図3P)における蛇行する折り目よりも、時計面に沿って遠くまで伸びる(すなわちより大きな大きさを有する)ことを除き、支持リブ57gと同様の蛇行S字カーブである。
図3S及び図3Tは、ワイパーシール46iの上面図及び斜視図であり、等間隔の支持リブ57iのそれぞれが屈曲部の溝内に置かれている。支持リブ57iのそれぞれの構成は、蛇行S字カーブであり、支持リブの一方の側端はワイパーシールを中心とする時計位置の1つで溝の内側壁に結合され、且つ、支持リブの他方の側端は(例えば図示されるように時計回りに変位させられた)時計位置の別の1つで溝の外側壁に結合される。図3S及び図3Tで示されるように、蛇行する折り目は、支持リブが側壁に付着するところの時計位置を超えて伸びることはない。また、各支持リブが溝の内側壁に付着するところの時計位置は、各支持リブが溝の外側壁に付着するところの時計位置とは異なる。図示されるように、例えば、1つのリブは、12時の時計位置で内側壁に取り付けられ、且つ、1時の時計位置で外側壁に取り付けられる。
図3U及び図3Vは、ワイパーシール46jの上面図及び斜視図であり、等間隔の支持リブ57jのそれぞれが屈曲部の溝内に置かれている。支持リブ57jのそれぞれの構成は、支持リブにおける蛇行する折り目の1つ(例えば、図示されるように密封部により近い折り目)が、その支持リブが側壁に付着するところの時計位置を超えて伸びることを除き、支持リブ57i(図3S及び図3T)の構成と同様である。
図3W及び図3Xは、ワイパーシール46kの上面図及び斜視図であり、等間隔の支持リブ57kのそれぞれが屈曲部の溝内に置かれている。支持リブ57kのそれぞれの構成は、支持リブにおける蛇行する折り目の双方が、その支持リブが側壁に付着するところの時計位置を超えて伸びることを除き、支持リブ57i(図3S及び図3T)の構成と同様である。この実施形態は、図3U及び図3Vに示された実施形態と共に、支持リブにおける蛇行する折り目が必ずしも対称的である必要がないことを示す。
図3Y及び図3Zは、ワイパーシール46mの上面図及び斜視図であり、等間隔の支持リブ57mのそれぞれが屈曲部の溝内に置かれている。支持リブ57mは、図3Sから図3Xで大まかに説明された支持リブの複合変形である。図示されるように、縦方向に向けられた環状壁(すなわち円筒)57m−iは、溝の2つの側壁の間に位置付けられ、そして、蛇行する支持リブは、溝の内側壁と環状壁との間、及び、環状壁と溝の外側壁との間に結合される。図示されるように、例えば、支持リブ部分57m−iiは、溝の内側壁と環状壁57m−iとの間に結合され、且つ、支持リブ部分57m−iiiは、環状壁57m−iと溝の外側壁との間に結合される。支持リブ部分57m−ii及び57m−iiiのそれぞれは、支持リブ57i(図3S及び図3T)と同様に構成されるが、他の構成が利用されてもよい。図3Y及び図3Zで示されている支持リブの構成は、相互接続された支持リブのウェブが、ワイパーシールの屈曲部における1又は複数の溝内に位置付けられ得ることを示す。実施形態は、任意の支持リブの構成を含む。
図3AA及び図3ABは、ワイパーシール46nの上面図及び斜視図であり、等間隔の支持リブ57nのそれぞれがそのような溝内に置かれている。図示されるように、支持リブ57nのそれぞれは、溝の内側壁と外側壁との間の真っ直ぐな半径方向リブである。リブ57nは、伸張に対する強い抵抗をもたらす。そのため、例えば、図示されるようにワイパーシールの屈曲部の最も内側の下部溝内に位置付けられる場合、良好なシール反転防止機構をもたらす。ワイパーシールの密封部の比較的小さい半径方向運動(例えば、器具シャフト径の微増又は小さい横方向運動)に関しては、リブ57nは、それらの材料の弾性圧縮性に依存する。また、ワイパーシールの密封部の比較的大きい半径方向運動に関しては、リブ57nは、それらの材料の弾性的な座屈に依存する。
図2を参照すると、器具挿入ガイド37の環状遠位端のほぼ下に(遠位側に)上部環状折り目51がくるように、ワイパーシール44がオプション的に寸法決めされていることが見て取れる。この構成は、器具が引き抜かれるときのワイパーシール44の反転の防止にも役立つ。器具挿入ガイド37は、器具が引き抜かれるときに、比較的厚く且つ可撓性に劣る密封部46が近位方向に動くのを防止するのに役立つためである。さらに、器具挿入穴38の径は、密封部46の外周に内側に覆い被さるようにサイズが決められる。挿入される器具の先端が、密封部46の角度付きの上部面48と接触し易くし、そして、ワイパーシール44を通過し、且つ、ワイパーシール44を破裂させないよう或いは引き裂かないように促されるためである。図示されるように、例えば、挿入された器具の先端が最初に厚い密封部46の上部面48と接触するように、器具挿入穴38の径は、上部面48の外周の径より小さい。この構成では、器具の先端は、比較的薄い屈曲部47と接触しないよう、且つ、潜在的に損傷を与えてしまうことがないよう、離れるようにガイドされる。
下部環状折り目53と逆流防止シール40の内側の折り畳まれた側壁との間に、密封部46が逆流防止シールと接触することなく遠位方向及び横方向に動くことができるようにする十分な空間があることも図2を見て理解され得る。スペーサ43が比較的薄く作られ或いは省略されているようないくつかの実施形態では、屈曲部47は、逆流防止シール40の内側壁と接触する場合があるが、接触場所又はその近くにある屈曲部47の外側壁の角度は、それでもなお、密封部46が遠位方向及び横方向に動くことができるようにする。
例示的な実施例では、ワイパーシール44は、塩素化ポリイソプレン等の医療グレードのエラストマー材料、又は、シリコーン、ウレタン等の他のゴム材料等で作られている。他の適切な材料が使用されてもよい。
[第2の例]
図5は、別のシールアセンブリ63の実施例の一部の立断面図である。シールアセンブリ63の構造、構成要素、特徴、及び変形は、この明細書における他の例示的なシールアセンブリの実施例とほぼ同様である。図5で示されるように、シールアセンブリ63は、(密封部65を含む)ワイパーシール64及び逆流防止シール66を含む。ワイパーシールと上部ハウジングとの間にあるオプションのスペーサ(例えば図2の要素45)は、ワイパーシール64の複数の頂面が成形のために同一平面上となるように、図示された実施例から省略されている。
図示されているように、密封部65は、下部(遠位)の真っ直ぐな面部分69に滑らかに推移する上部(近位)の凹面部分68を含む環状上部面67を含む。上部環状面67は、上部環状面48(図2)と同様に形成される。ハウジング71の器具挿入穴70は、既に説明されたように、器具挿入ガイド72が上部凹面部分68に僅かに内側に覆い被さるように、サイズが決められる。また、ワイパーシール64の屈曲部の上部環状折り目73は、器具挿入ガイド72の遠位端と接触し、或いは、ほぼ接触した状態にある。環状折り目73の頂面は、オプション的に平坦なものとして示されているが、挿入ガイド72の遠位端の下で密封部65が横方向に滑らかに動くことができるように、他の頂面の形状がオプション的に用いられてもよい。
図2を参照すると、挿入ガイド37の遠位端と密封部46との間の関係の有利点にもかかわらず、縦軸から極端にずれた姿勢で器具が最初に挿入された場合(例えば、手術室職員はその先端を器具挿入穴内に置き、その後に、挿入のためにその器具を位置合わせすべく上に傾ける場合がある。図7参照。)、その先端は、上部環状折り目51と器具ガイド37の底部との間の小さな隙間に入る場合がある。図2のワイパーシール44及びその密封部46とは対照的に、図5のワイパーシール64では、上部凹面部分68(及び上部環状折り目73)が、上部ハウジング71及びその挿入ガイド72に近づくように或いは接触するように近位方向に延ばされていることが見て取れる。この接触又は準接触は、軸からずれて挿入された器具の先端が密封部65の外側の屈曲部に接触するのを防止するのに役立つ。また、その軸からずれて挿入された器具の先端がワイパーシールを通るように促すのに役立つ。また、シールアセンブリの縦軸に関する凹面部分68の比較的鋭い鋭角は、器具の先端が密封部に引っ掛かるのを防止するのに役立ち、そして、ワイパーシールに損傷を与えることなくその先端がワイパーシールを通過するのを促す。
[第3の例]
図6は、別のシールアセンブリ74の実施例の一部の立断面図である。シールアセンブリ74の構造、構成要素、特徴、及び変形は、この明細書における他の例示的なシールアセンブリの実施例とほぼ同様である。図6で示されるように、シールアセンブリ74は、(密封部76を含む)ワイパーシール75及び逆流防止シール77を含む。ワイパーシール64(図5参照。)及びその密封部65とは対照的に、ワイパーシール75及びその密封部76は比較的深い(すなわち縦方向に延長されている)ことが見て取れる。逆流防止シール77は逆流防止シール40(図2)と同じ深さであるが、いくつかの実施例では、オプション的に、ワイパーシール75及びその縦方向の運動を受け入れるために、より深く形成されていてもよい。ワイパーシールと上部ハウジングとの間のオプションのスペーサ(例えば図2の要素45)は、図示されている実施例から省略されている。
密封部65(図5)と同様に、密封部76は、環状の下部の真っ直ぐな面部分80に滑らかに推移する上部凹面部分79を含む環状上部面78を含む。下部の真っ直ぐな面部分80は、真っ直ぐな面部分69(図5)よりも、挿入された手術器具に関して急な角度を有し(すなわち、面角は、シールアセンブリの縦軸に関してより鋭角であり)、そのため、真っ直ぐな面部分69(図5)よりも大きい半径方向幅(表面積)を有するように形成されている。それ故に、上部環状面78は、上部環状面67(図5)よりも比較的半径方向に広い。環状の下部の真っ直ぐな面部分80の急な角度は更に、ワイパーシールを形成するために用いられた比較的柔らかい材料を破裂させ或いは引き裂くことなく、器具の先端がワイパーシールを通るように促すのにも役立つ。図6に示されるように、器具挿入ガイドとワイパーシールの相互に相対的な構造は、図5に示され且つ図5を参照して説明された実施例と同様である。
図2、図5及び図6を参照すると、ワイパーシールの中心のところで、厚い密封部の上面が、平坦面、凹面、及び、場合によっては凸状環状表面、そして、それらを互いに混合させた様々な組みあわせを含む、多くの表面のバリエーションを有することが見て取れる。図示されてはいないが、密封部の下部面が同様のバリエーションを有し得ることが予期される。
[第4の例]
図7は、別のシールアセンブリ81の実施例の一部の立断面図である。シールアセンブリ81の構造、構成要素、特徴及び変形は、この明細書における他の例示的なシールアセンブリの実施例とほぼ同様である。シールアセンブリ81は、シールアセンブリハウジング82、逆流防止シール83、逆流防止シール83の近位にあるワイパーシール84、及び、ワイパーシール84の上に(近位に)置かれる器具挿入ガイド85を含む。器具挿入ガイド85は、シールアセンブリハウジングに固定され、且つ、ハウジング82内に器具挿入穴86を定める。挿入ガイドは、図示されるように、シールアセンブリハウジングの上部の一体的な部品として形成されていてもよく、或いは、オプション的に、機械的に或いは接着によって上部ハウジングに接合される別個の部品として形成されていてもよい。
図7に示されるように、器具挿入ガイド85は、例えば、器具挿入ガイド37がシールアセンブリハウジング21(図2)内に延びるよりもずっと深く(より遠位に)、シールアセンブリハウジング82内に遠位方向に延びる。器具挿入ガイドの遠位端は、ワイパーシールがシールアセンブリハウジングに結合されるところの位置の遠位にある深さまで延びる。図示されるように、器具挿入ガイド85は、シールアセンブリハウジング82の近位端87と遠位端88との間の距離の約10分の4(10分の3又は10分の5のようにより大きくてもより小さくてもよい。)である深さまで延びる。別の言い方をすれば、器具挿入ガイド85は、ワイパーシールの最も近位の部分の平面を超えて遠位方向に延びる。更に別の言い方をすれば、ワイパーシールの屈曲部の上部溝において、ワイパーシールの密封部がシーリングアセンブリの縦方向の中心の近くになるように、その溝の外側壁はその内側壁よりも長い(例えば、約2倍或いはそれ以上に長い。)。器具挿入ガイド85の延長された長さは更に、シールアセンブリ81に挿入された器具の遠位端が、図5及び図6で図示されているように器具挿入ガイドがより短い長さを有する場合にその先端が上部環状面と接触するときの角度よりも比較的鋭い角度で、ワイパーシール84の密封部89の上部環状面88と接触するのを確かなものとする。この改善された器具ガイドの特徴は、図7に示されるように1つの手術器具90の挿入姿勢を検討することによって図解されている。挿入姿勢90aの手術器具は、器具挿入ガイドの長さが例えば図2で示されるようなものであればどうなるかに関するものである。このように、姿勢90aの場合の手術器具90の遠位端91は、急な角度でワイパーシールの上部環状面に接触し得る。そして、先端91がワイパーシールを破裂させ或いは引き裂くリスクを増大させる。また、いくつかの例では、先端91と環状面との接触角度のために、先端91がワイパーシールを貫通するのを遠ざけてさえしてしまう場合がある。対照的に、手術器具の姿勢90bは、手術器具90の遠位端91がワイパーシールの上部環状面と比較的鋭い鋭角で接触するように、器具挿入ガイド85の長さによって制限され、結果として、先端91がワイパーシールを破裂させ或いは引き裂いてしまうリスクを低減させ、且つ、その環状面が、更に一層効果的に、先端91がワイパーシールを貫通する方向に先端91を促すことを確かなものとしている。図示されるように、密封部89は、密封部65(図5)と同様の構成を有するが、密封部の種々の構成が使用され得ることが理解されるべきである。
図7に示されるように、逆流防止シール83の長さ、及び、ワイパーシール84の長さは、器具挿入ガイド85の増大した長さを受け入れるように延長されている。シールアセンブリハウジング81の全体の長さは、大抵、それが挿入されるカニューレボウル(図示せず。図2参照。)の深さによって制限される。通常の取り扱いの際の逆流防止シール83の損傷を防止するために、また、器具が挿入されるときにカニューレボウルの内表面が逆流防止シール83の機能と干渉するのを防止するために、逆流防止シール83の長さは、逆流防止シール83が閉(密封)位置にあるときにその遠位端92がシールアセンブリ81の遠位端88を超えて延びないように構成される。ワイパーシール84の密封部89は、オプション的に、密封部89及びそれに隣接する屈曲部の近位−遠位方向及び横方向の運動と逆流防止シール83とが干渉しないように、逆流防止シール83内にできるだけ延長されてもよい。図7及び図3Bに示されるように、屈曲部の上部環状溝93の外表面は、オプション的に、厚い縦方向の補強リブ94と共に構成されてもよい。ワイパーシール84の屈曲部のための追加的な支持を提供するため、且つ、ワイパーシールがその外壁のところで近位方向に反転してしまうのを防止するためである。例示的な実施例の1つでは、補強リブ94のそれぞれは、隣接する2つの上部支持リブ95の間に、それら2つの支持リブ間の距離の約半分の幅で、位置付けられる。より多くの或いはより少ない補強リブ94が様々な位置で用いられてもよい。
また、オプションの支持リブ96が、器具挿入ガイド85の外表面の周りに半径方向外方に延びるように置かれてもよい。器具挿入ガイド85のための更なる支持を提供するためである。半径方向の支持リブ96の遠位端97は、オプション的に、器具挿入ガイド85と同じ長さを有するように構成されてもよい。ワイパーシール84を通じて器具が引き抜かれるときに、屈曲部の内側環状折り目が、器具挿入ガイド85の遠位端98及び支持リブ96の遠位端97の双方と接触するようにするためである。遠位端97は、縦方向運動の近位側の制限止め部(proximal longitudinal motion limit stop)、及び、横方向運動のガイド表面(lateral motion guide surface)の双方の機能を果たす。それ故に、密封部89の近位側の可動域は、シールアセンブリハウジング内のその横方向位置にかかわらず制限される。この近位側の運動の制限は、器具が取り除かれるときに、特に縦軸からずれた方向に器具が取り除かれるときに、ワイパーシールが一時的に或いは恒久的に挿入ガイドに引っ掛かるのを防止する。
追加的な構造的支持を提供するために、オプションの半径方向の支持リブ99が、シールアセンブリ81の近位端87の下に置かれてもよい。支持リブ96及び99は、オプション的に、上部ハウジングの頂面の下に延び、そして、器具ガイド85の外側に沿って遠位方向に延びるほぼL字形状の支持ブラケットを形成するように渾然一体となってもよい。
[第5の例]
図8は、別のシールアセンブリ100の実施例の一部の立断面図である。シールアセンブリ100の構造、構成要素、特徴、及び変形は、この明細書における他の例示的なシールアセンブリの実施例とほぼ同様である。図8は、シールアセンブリ100が、(下部ハウジング101a及び上部ハウジング101bを含む)シールアセンブリハウジング101、下部ハウジング101a内で遠位方向に位置付けられる逆流防止シール102、逆流防止シール102の上に(近位に)位置付けられるスペーサ(及びオプションのラッチ機構)103、スペーサ103の上に(近位に)位置付けられるワイパーシール104、及び、ワイパーシール104の上に(近位に)位置付けられる上部ハウジング101bを含むことを示す。図2に示されるシールアセンブリ20の構成と同様に、上部ハウジング101bは、一体的に形成された、短い、固定の器具挿入ガイド105と、近位ハウジング101bの頂部の下で挿入ガイド105から半径方向外側に延びる支持リブ106とを含む。
ワイパーシール104は、図7に示されるようなワイパーシール84の構成とほぼ同様に構成される。しかしながら、図7に示されるシールアセンブリとは対照的に、シールアセンブリ100は、ワイパーシール104の密封部108に取り付けられた第2の浮遊式器具挿入ガイド107を含む。密封部108が動くときに、器具挿入ガイド107が近位−遠位方向(縦方向)及び横方向に動けるようにするためである。
図8に示されるように、浮遊式器具挿入ガイド107は、ほぼ円筒形状であり、近位端109、遠位端110、内側壁面111及び外側壁面112を有する。実施例の1つでは、器具挿入ガイド107の近位端109は、オプション的に、半径方向支持リブ106の底部と接触し或いはほぼ接触した状態となり、その構成は、器具挿入ガイド107の近位方向への更なる運動を防止し(且つ、上述のように、ワイパーシール104が反転してしまうのを防止し)、且つ、挿入ガイド107のための横方向運動のガイド面を提供する。それ故に、近位端109は、半径方向支持リブ106の底部によるその近位側の可動域の限界のところで維持された状態で横方向に滑らかにスライドし得る。固定式器具挿入ガイド105の遠位端は、オプション的に、支持リブ106の底部と同一平面となるようにされてもよく、或いは、支持リブ106の底部を超えて延びてもよい。或いは、オプションのスペーサは、浮遊式器具挿入ガイド107の近位側の移動をそのスペーサが制限するように、上部ハウジング101bと近位端109との間に位置付けられてもよい(例えば図13A参照。反転防止部品152、又は、可撓性フィンガー154無しの同様のリングが例示的なスペーサである。)。器具挿入ガイド105は、浮遊式器具挿入ガイド107の近位端109の内側に覆い被さる。近位ハウジング101bにおける器具挿入穴114の径が、近位端109のところで浮遊式器具挿入ガイド107の内側壁面111によって定められる径よりも小さくなるようにするためである。それ故に、浮遊式器具挿入ガイド107は、穴114を通じて近位端109を露出させることなく、その可動域の限界まで横方向に移動し得る。器具挿入の際に、挿入される器具の一部が近位端109の一部に引っ掛かることがないようにするためである。
浮遊式器具挿入ガイド107の遠位端110は、ワイパーシール104の密封部108の外周に接触している。図示されるように、遠位端110は、密封部108がワイパーシール104の屈曲部につながるところである上部環状折り目115と接触しているか或いはその近くにある。図8は、ワイパーシール104と浮遊式器具挿入ガイド107との間の接触のための更なる支持(屈曲部における支持リブの構成にもよるが、その支持リブを受け入れるための切り欠き、又は、他の遠位端110の構成が含まれ得る。)を提供するために、浮遊式器具挿入ガイド107の外側壁112がオプション的に環状折り目115の頂部の下まで延び得ることを示す。同様に、図8は、側壁111と密封部108の上部面116との間の滑らかな推移を提供するために、浮遊式器具挿入ガイド107の内側壁111が、オプション的に、環状折り目115の頂部の下まで延び得ることを示す。図示されるように、密封部108の上部面116の外側部分は、既に説明されたように凹状である。側壁111と上部面116との間の滑らかな表面の推移を更に提供するためである。いくつかの実施例では、浮遊式器具挿入ガイド107は、ワイパーシール104に単に寄り掛かっているだけであり、アセンブリの構造によって適当な位置で保持される。他の実施例では、浮遊式器具挿入ガイド107は、例えば、接着剤又は(例えばLoctite(登録商標)4011(商標)を用いた)接合プロセスによって、或いは、機械的連結によってワイパーシール104に固定されていてもよい。また、当業者は、シールアセンブリハウジング内で挿入ガイドが横方向に移動できるようにするワイパーシールの上の様々な場所に器具挿入ガイドが取り付けられてもよいことを理解するであろう。
図8に示されるように、浮遊式器具挿入ガイド107の内側壁111は、オプション的に、ワイパーシール104の密封部108の上部表面の方に器具の先端をガイドするのを支援するために、且つ、その上部表面への滑らかな推移を提供するために、僅かに凹状に形成される。しかしながら、他の実施例では、他の浮遊式器具挿入ガイドの内側壁の構成(例えば、平坦、凸状、複合等)が、以下で説明されるように用いられてもよい。
[第6の例]
図9は、別のシールアセンブリ117の実施例の一部の立断面図である。シールアセンブリ117の構造、構成要素、及び変形は、この明細書における他の例示的なシールアセンブリの実施例とほぼ同様である。図9は、シールアセンブリ117が、(下部ハウジング118a及び上部ハウジング118bを含む)シールアセンブリハウジング118、遠位ハウジング118a内で遠位方向に位置付けられる逆流防止シール119、逆流防止シール119の上に(近位に)位置付けられるスペーサ(及びオプションのラッチ機構)120、スペーサ120の上に(近位に)位置付けられるワイパーシール121、及び、ワイパーシール121の上に(近位に)位置付けられる近位ハウジング118bを含むことを示す。また、シールアセンブリ117は、浮遊式器具挿入ガイド122を含む。浮遊式器具挿入ガイド122は、大まかには、シールアセンブリ117における他の様々な関連する構成要素と共に、シールアセンブリ100(図8)を参照して説明されたように構成される。図9は、浮遊式器具挿入ガイドの内側壁の代替的な構成を示す。
図9に示されるように、浮遊式器具挿入ガイド122の内側壁123は、その近位端125に隣接する上部分124を含み、上部分124は、その遠位端127に隣接する下部分126に滑らかに推移する。上部分124は、僅かに凹状(或いはオプション的に真っ直ぐ若しくは凸状)であり、また、下部分126は、平坦(或いはオプション的に凹状若しくは凸状)である。下部分126の円筒形の鉛直側壁は、例えば図8で示される推移に比べ、ワイパーシール121の密封部の上部面128に対して比較的鋭くない鋭角での推移を形成する。それにもかかわらず、下部分126の鉛直側壁が器具自身の挿入方向角度を制限し、その結果、器具先端が上部面128に引っ掛かり難い傾向を示す、ワイパーシール121を通じた器具先端の改善された挿入がもたらされることが判明した。それ故に、浮遊式器具挿入ガイドの内側壁の多くの構成が存在することが理解され得る。また、オプション的に、シールアセンブリハウジングにおける固定式器具挿入ガイド(例えば、図7の器具挿入ガイド85を参照。)の内側壁を同じように構成することも可能である。
[第7の例]
図10は、別のシールアセンブリ129の実施例の一部の立断面図である。シールアセンブリ129の構造、構成要素、特徴及び変形は、この明細書における他の例示的なシールアセンブリの実施例とほぼ同様である。図10は、シールアセンブリ129が、(下部ハウジング130a及び上部ハウジング130bを含む)シールアセンブリハウジング130、下部ハウジング130a内で遠位方向に位置付けられる逆流防止シール131、逆流防止シール131の上に(近位に)位置付けられるスペーサ(及びオプションのラッチ機構)132、スペーサ132の上に(近位に)位置付けられるワイパーシール133、及び、ワイパーシール133の上に(近位に)位置付けられる上部ハウジング130bを含むことを示す。また、シールアセンブリ129は、浮遊式器具挿入ガイド134を含む。浮遊式器具挿入ガイド134は、大まかには、シールアセンブリ129における他の様々な関連する構成要素と共に、シールアセンブリ100(図8)及び117(図9)を参照して説明されたように構成される。図10は、浮遊式器具挿入ガイドの遠位端135及び対応するワイパーシール部分の代替的な構成を示す。
図10に示されるように、浮遊式器具挿入ガイド134の遠位端135は、挿入ガイドの内側壁面と外側壁面との間に環状溝136を含む。ワイパーシール133は、ワイパーシール133の密封部が屈曲部とつながるところから上に(近位方向に)延びる環状ボス137を含む。環状ボス137は、浮遊式器具挿入ガイド134のワイパーシール133への固定を支援するために環状溝136内に収まる。図示された実施例では、環状溝136の最も深い(組み立てられたときに最も近位側に配置される)部分は、溝の側壁と挿入ガイドの内側壁との間に十分な材料厚さが存在するように先細になっており、また、環状ボス137の対応する近位部の内側は、その先細形状に合うように斜角を付けられている。器具挿入ガイド134の遠位端134aとワイパーシール133の密封部133aの上部環状面133bとの間で滑らかな表面の推移を形成するために、それら2つの構成要素が接触するのを確かなものとするために、環状溝136と環状ボス137との間には小さな隙間が存在する。また、その隙間は、環状ボス137と挿入ガイド134とを接合するために接合用の接着剤が使用されるのに十分な空間を確保する。オプションの機械的連結が用いられてもよい。ワイパーシール133と浮遊式器具挿入ガイド134との間のこの嵌め合い構造は、シールアセンブリ129を通じてシールアセンブリ129内に器具が挿入されるときにワイパーシール133と器具挿入ガイド134とを分離し得る器具先端からの横方向力に抵抗するのに役立つ。
[シールアセンブリラッチ]
図11は、シールアセンブリのためのスペーサとラッチ部品の組みあわせ138の上面斜視図である。組みあわせ138は、リング形状のスペーサ部139と、スペーサ部139の外周で互いに向き合うように配置された2つのラッチ140とを含む。スペーサ部139の内周では、隆起した環状ボス141が近位方向に延びている。図示されるように、スペーサ部139及びラッチ140は、単一の部品として一体的に形成される。例示的な実施例の1つでは、スペーサとラッチ部品の組みあわせ138は、可撓性のポリカーボネートで作られているが、以下で説明されるようなU字状の曲げ部のための適当な可撓性を提供するのであれば、他の材料が用いられてもよい。また、2つのラッチ140が示されているが、他の実施例は、単一のラッチ、或いは、3つ以上のラッチを含む。以下で説明されるように、開示された態様に従う単一のラッチは、シールアセンブリをカニューレに効果的にラッチする(留める)。
スペーサ部139は、大まかに図示され且つ説明されたように機能する(図2の43、図8の103、図9の120、図10の132)。スペーサとラッチ部品の組みあわせ138がシールアセンブリに組み込まれる場合、上部ハウジング部品と環状スペーサ部139との間にワイパーシールの周辺部が挟まれ且つ圧縮されるように、且つ、下部ハウジング部品と環状スペーサ部139との間に逆流防止シールの周辺部が挟まれ且つ圧縮されるように、環状ボス141は、上部シールアセンブリハウジングの一部と下部シールアセンブリハウジングの一部との間で位置あわせされる。その僅かな圧縮は、気密性シールを形成する。環状ボス141は、オプション的に、スペーサ部139の外周に或いはその近くに位置付けられてもよく、或いは、内周と外周の間に位置付けられてもよい。いくつかの実施形態では、環状ボスは遠位方向に延びてもよい。2以上の環状ボスが種々の組みあわせで用いられてもよい。
図12は、カニューレに結合されたシールアセンブリ内におけるスペーサとラッチ部品の組みあわせ138におけるラッチ部分140の断面図である。ラッチ部分140は、一端でスペーサ部139につながるU字形の弾性曲げ部142を含む。その他端では、曲げ部142は、ラッチ部品143の中央領域につながる。曲げ部142がラッチ部品143につながるところである中央領域の上には(近位側には)、グリップ(例えば、手術用グローブで覆われた指によるグリップ)を支援するようにパターンが付けられたフィンガータブ144がある。中央領域の下には(遠位側には)、スペーサ部139に向かって横方向内側に延びるフィンガー146を含むラッチタブ145がある。そして、フィンガー146の下には、スペーサ部139に向かって内側に方向付けられたキャッチ147がある。キャッチ147は、オプション的に、内側に方向付けられた遠位傾斜リードイン表面148を含む。シールアセンブリがカニューレボウルに押し込まれたときに、キャッチ147が半径方向外方に撓み、その後に、カニューレにラッチする(留まる)のを促すためである。
使用の際、ラッチ部品143は、曲げ部142によって定められる支点の周りを旋回する。フィンガータブ144が半径方向内側に動くときにラッチタブ145が半径方向外側に動くようにするためである。シールアセンブリがカニューレの近位端にあるカニューレボウルに挿入される場合、リードイン表面148は、ラッチタブ145を外方に移動させるカニューレボウルフランジ149aと接触する。キャッチ147がカニューレボウルフランジ149aの遠位に達すると、曲げ部142は、ラッチタブ145を元の位置に戻し、キャッチ147をカニューレボウルフランジ149aの下に位置付け、その結果、シールアセンブリをカニューレ149に取り外し可能に留める。ラッチ部140は、シールアセンブリがカニューレボウル内に押し込まれるときにフィンガータブ144を押し込むことなくカニューレボウルを留めるのに十分な弾力性があり、また、フィンガータブ144が押し込まれるまではシールアセンブリがカニューレボウルから係合解除されてしまうのを防止するのに十分に硬い。
図12に示されるように、シールアセンブリがカニューレボウルに留められる場合、カニューレボウルフランジ149aとシールアセンブリハウジングのレリーフ面(肩部)150とは、キャッチ147とフィンガー146の底面(遠位面)との間に位置付けられる。結果として、シールアセンブリをカニューレボウルから取り外す試みが行われると、キャッチ147は、カニューレボウルフランジ149aの底部と接触し、且つ、シールアセンブリハウジングのレリーフ面(肩部)150の頂面(近位面)は、フィンガー146の底面と接触する。そして、シールアセンブリがカニューレボウルから取り外されてしまうのを防止する。このラッチ構成の有利点は、保持力が、曲げ部142に伝えられることなく、キャッチ147とフィンガー146との間で維持されることにある。また、追加的に、ラッチタブ145のデザインは、以下でより詳細に説明されるように、カニューレボウル内で制限無しにシールアセンブリが縦軸回りに回転できるようにする。さらに、2つのラッチ部のただ1つがカニューレボウルフランジとかみ合わされているだけでも、シールアセンブリに作用する近位方向に引っ張る力は、かみ合わされたラッチ部の回りでシールアセンブリを回転させる傾向がある。その結果、シールアセンブリハウジングの底部(例えば、図2の22を参照。)は、カニューレボウルの内側壁と接触し、シールアセンブリは、カニューレから取り外されてしまうことが妨げられる。それ故に、シールアセンブリをカニューレから取り外すためには、フィンガータブ144を押し込むことによってラッチ部140の双方が解放されなければならない。以下で説明するように(例えば、図13Bの要素157参照。)、物理的なガードをフィンガータブ144の近くに位置付けることで不注意によるラッチの解放は更に防止され得る。
[反転防止部品]
図13Aは、例示的なシールアセンブリ151の上面斜視図であり、そのハウジングの頂部は、ワイパーシールの上に(近位に)置かれたオプションのシール反転防止部品152の例示的な実施例を見せるために取り除かれている。また、図13Bは、シールアセンブリ151の上面概略図であり、そのハウジングの頂部は定位置にある。図13A及び図13Bに示されるように、反転防止部品152の外周領域153は、ワイパーシールの頂部周囲面とシールアセンブリハウジングの頂部の底面との間のスペーサとして機能する(例えば、図2のスペーサ45を参照。)。反転防止部品152は、外周領域153から半径方向内側に延びる複数(16個が示されている。)の反転防止フィンガー154を含む。そして、フィンガー154の先端155は、手術器具が挿入される中心穴156を定める。穴156の径は、オプション的に、シールアセンブリ151が受け入れるように設計されているところの手術器具シャフトの最も小さい径より大きくてもよく、同じでもよく、或いは、小さくてもよい。図示されるように、フィンガー154は、オプション的に、渦パターンで形成されているが、他のパターン(例えば、内側に真っ直ぐに延びる、ある角度で内側に延びる等)が用いられてもよい。したがって、より一般的な意味では、それらのフィンガーは、オプション的に、2つの方法で構成されていてもよい。一方のタイプではフィンガーの先端が外周の近くにあるフィンガーヒンジ点と半径方向で一致し、他方のタイプではフィンガーの先端が外周の近くにあるフィンガーヒンジ点から半径方向に(時計回りに或いは反時計回りに)オフセットされている。
反転防止部品152は平坦であり、且つ、硬いが弾力性のある材料で作られている。器具が挿入される場合にフィンガー154が下方に(遠位方向に)曲げられても、器具が引き抜かれるときに反転防止部品152がその平坦な形態に戻るようにするためである。半径方向に真っ直ぐなフィンガーとは違い、渦パターンのフィンガーは、引き抜かれる器具の一部に引っ掛かるのを避けるために、半径方向外側に移動して重なり合うことができる。以下で説明されるように、真っ直ぐな放射状のフィンガーを含め、他のフィンガーパターンが用いられてもよい。
図13Bに示されるように、シールアセンブリハウジングの上部は、フィンガーの上で半径方向内側に途中まで延びる。シールアセンブリハウジングの頂部にある器具挿入穴を通じて先端155のみが見えるようにするためである。動作中、フィンガー154は、シールアセンブリに手術器具が挿入されたときに、容易に下方に曲がるように十分に長い。器具が引き抜かれる場合、フィンガーは、下にあるワイパーシールがシールアセンブリハウジングの頂部で器具挿入穴を通って反転してしまうのを防止する。ハウジングの器具挿入穴によって定められる縦方向の円筒内に先端155が僅かに延びるのを可能にすることで、1又は複数の先端155が器具の一部(例えば、リストアセンブリ又は手術用エンドエフェクタ)に引っ掛かった場合、その先端は、器具が引き抜かれるのを可能にするためにその穴を通じて僅かに上方に(近位方向に)曲がり得る。その穴を定める上部ハウジングの内周は、器具が先端155を上方に曲げるときに、先端155のための支点として機能する。先端155は、オプション的に、通常使用時におけるそれら先端と手術器具シャフトとの間の摩擦を低減させるために、丸められ、且つ/或いは、潤滑剤が塗られる。実施例の1つでは、反転防止部品152は、2%のシロキサンを含む高密度ポリエチレン(すなわち、潤滑性のためにシリコンが注入されたHDPE)で作られている。他の曲げやすい耐久性のあるプラスチックが用いられてもよい。
図13Cは、反転防止部品152の平面図である。図示されるように、16個の等しい長さの渦パターンのフィンガー154は、16個の対応する渦パターンの切り欠き154aによって定められる。割れ止め穴154bは、切り欠き154aのそれぞれの半径方向外側端に定められ、フィンガーが遠位方向に曲がり且つ半径方向外側に変位させられたときの材料破壊を防止するのに役立つ。そのような割れ止め穴は、オプション的に、反転防止部品の全ての実施例で使用され得る。図示されるように、フィンガー154のそれぞれの先端155は概して角張っているが、手術器具の構成要素に引っ掛かってしまうのを防止し且つ器具シャフトに対する摩擦を低減させるのに役立つよう、それらはオプション的に丸められていてもよい。
図13Dは、反転防止部品152aの平面図である。図示されるように、反転防止部品152aは、外周153aから半径方向内側に延びる複数の渦パターンのフィンガー154cを含み、渦パターンのフィンガー154cのそれぞれは、より短い渦パターンのサブフィンガー154dに分割される。図13Dに示されるように、4つの渦パターンのフィンガー154cがあり、それぞれが4つのサブフィンガー154dに分割されている。渦パターンのフィンガー154cを定める切り欠きは、反転防止部品152aの半径の約80%まで半径方向外側に延びる。また、渦パターンのサブフィンガー154dを定める切り欠きは、反転防止部品152aの半径の約55%まで半径方向外側に延びる。フィンガーとサブフィンガーとの間の他の相対的な長さが用いられてもよい。例えば、図13Eは、反転防止部品152bの平面図である。図13Eに示されるように、渦パターンのフィンガー154eを定める切り欠きは、反転防止部品152bの半径の約80%まで半径方向外側に延び、また、渦パターンのサブフィンガー154fを定める切り欠きは、反転防止部品152bの半径の約40%まで半径方向外側に延びる。このように、一態様では、サブフィンガーを定める切り欠きの長さは、その半径の約40〜55%であるが、フィンガー及びサブフィンガーを定めるために他の切り欠き長さが用いられてもよい。渦パターンのフィンガー及びサブフィンガーは、器具が挿入され或いは引き抜かれるときに、邪魔にならないように外に広がってねじれるように動き、また、そのような広がり及びねじれの際のサブフィンガーのより短い可動域は、曲げられたサブフィンガーをワイパーシールの密封部の上部環状面の上で維持する。それは、鋭い器具先端からその環状面を保護する。
反転防止部品における渦パターンの特徴は所望の特性を有するが、他の反転防止部品の実施例では、真っ直ぐに半径方向内側に延びるフィンガーがオプション的に用いられてもよい。例えば、図13Fは、外周領域153bから半径方向内側に延びる複数の等しい長さの真っ直ぐなフィンガー154gを備えた反転防止部品152cの平面図である。図13Fは、18個のフィンガー154gを示すが、他の数のフィンガーがオプション的に用いられてもよい。例えば、図13Gは、半径方向に真っ直ぐに延びる12個のフィンガーが用いられている実施形態を示し、図13Hは、半径方向に真っ直ぐに延びる6個のフィンガーが用いられている実施形態を示す。図13F、図13G及び図13Hで示されるように、フィンガーを定める半径方向に延びる切り欠きは、半径方向のフィンガーの数が減少するにつれて、個々のフィンガーの幅がそれに対応して増大するように、比較的細い。また、図13G及び図13Hは、器具の構成要素が反転防止部品を通って挿入され或いは引き抜かれるときに器具の構成要素に引っ掛かってしまうのを防止するのに役立つよう、且つ、器具シャフトに対する摩擦を低減させるよう、内側の先端155a(図13G)及び155b(図13H)が丸められ得ることを示す。
また、図13D及び図13Eにおける渦パターンのフィンガーを参照して説明されたようなフィンガー及びサブフィンガーの構成は、オプション的に、半径方向に真っ直ぐに延びるフィンガーのために用いられてもよい。例えば、図13Iは、反転防止部品152dが、外周領域153bから内側に延びる複数の真っ直ぐなフィンガー154hを含み、且つ、フィンガー154hのそれぞれがサブフィンガー154iに分割されることを示す。図示されるように、反転防止部品152dは4つのフィンガー154hを含み、また、フィンガー154hはそれぞれ、3つのサブフィンガー154iを含む。フィンガー154hを定める切り欠きは、反転防止部品152dの半径の約80%まで延び、また、サブフィンガー154iを定める切り欠きは、反転防止部品152dの半径の約55%まで延びる。ここでも同様に、フィンガー及びサブフィンガーを定めるために、切り欠きの他の様々な長さが用いられてもよい。
[他のハウジング特徴]
図13Bは、シールアセンブリハウジングの2つの追加的な特徴も示す。図示されるように、シールアセンブリ151のハウジングは、オプション的に、ラッチフィンガータブ144のそれぞれの両側でハウジングから半径方向外側に延びるガード157を含む。ガード157は、関連するフィンガータブ144が不注意で内側に押されてシールアセンブリをカニューレから解放してしまうのを防止するのに役立つ。
また、図13Bに示されるように、シールアセンブリ151のハウジングは、オプション的に、その頂面に2つのラッチウィンドウ158を含む。これらのウィンドウは、オプション的に、図2を参照して既に説明され且つ以下でより詳細に説明されるように、以下で説明される閉鎖具のような別の医療装置をハウジングの頂面に留めるために使用される。また、ハウジング151の頂面151aは、2つのウィンドウ158の間の弧に沿って滑らかで且つ平坦である。この頂面の構成は、ハウジングを中心として構成要素が放射状に配置され、且つ、構成要素のラッチがウィンドウ158に嵌るまで時計回りに或いは反時計回りに回転させられるのを可能にする。
[閉鎖具]
図14は、例示的な閉鎖具159の斜視図である。閉鎖具159は、シャフト160、シャフト160の遠位端にある先端161、及び、シャフト160の近位端にある近位部162を含む。2つのラッチ163は、近位部162の互いに対向する側に位置付けられ、これらのラッチ163は、閉鎖具159をシールアセンブリの頂部に固定するために用いられる。閉鎖具のために用いられる材料は、シールアセンブリのために用いられる材料と同様である。
図15Aは、シールアセンブリ165の頂部に結合される例示的な閉鎖具の近位部164の断面図である。図15Aに示されるように、閉鎖具シャフト166は、シールアセンブリ165を通って延びる。2つの弾性ラッチ曲げ部167は、閉鎖具シャフト166の近位端で互いに対向する側に位置付けられている。曲げ部167の遠端にはキャッチ168があり、キャッチ168は、シールアセンブリ165の頂面にあるウィンドウ169を通って延び、各ウィンドウ169を定めるシールアセンブリハウジングの頂部におけるリップの下に引っ掛かる。ラッチは、閉鎖具をシールアセンブリにしっかりと押さえ付ける。キャッチ168がウィンドウ169に嵌るように閉鎖具が回転させられた後で閉鎖具を遠位方向に押し込むことによって閉鎖具がシールアセンブリに留められるように、キャッチ168は、オプション的に、斜角が付けられている。また、ラッチ曲げ部167はフィンガータブ170を含み、フィンガータブ170を半径方向内側に押し付けることによって、キャッチ168は、シールアセンブリから閉鎖具が取り外され得るように、半径方向内側に移動する。
図15Bは、図15Aの図に対して垂直な、シールアセンブリ165の頂部に結合される例示的な閉鎖具の近位部164の断面図である。図示されたシールアセンブリの断面は、図12に示されたものと同様である。図15Bは、閉鎖具の近位部164が遠位方向に突出する2つの干渉タブ164aを含むことを示す。シールアセンブリの頂面に閉鎖具が完全に設置されると、これらの干渉タブ164aのそれぞれは、シールアセンブリハウジングの上部分165aとフィンガータブ144との間に来る。それ故に、フィンガータブ144が半径方向内側に押されてしまうのを防止し、結果として、シールアセンブリと閉鎖具の組みあわせがカニューレフランジ149aからアンラッチされて(外されて)しまうのを防止する。
図12及び図15Bを参照すると、ラッチ部品143の特徴が、シールアセンブリがカニューレ149にしっかりと留められるのを可能にし、また、シールアセンブリ及びそれに結合される任意の構成要素が制限無しでカニューレ149の内側で縦軸A回りに回転するのを可能にすることが見て取れる。カニューレボウルフランジ149aとシールアセンブリハウジングのレリーフ面(肩部)150は、ラッチ部品143のフィンガー146とキャッチ147との間で保持され、また、カニューレフランジ149aの滑らかな下面は、キャッチ147が干渉無しで動くのを可能にする。その一方で、Oリング165bは、シールアセンブリとカニューレボウルの内壁との間の気密性シールを維持する。シールアセンブリがカニューレボウル内で縦軸回りに回転できる量を制限するために、1又は複数のオプションの止め具(図示せず。)がカニューレフランジ149aの下面に置かれてもよい。カニューレボウル内で回転するシールアセンブリの能力は、以下で示されるように、使用中に必要に応じて、シールアセンブリの流体入口/出口弁を任意の所望の方向に方向付け、或いは、その弁を再配置する能力をもたらす。また、カニューレボウル内でシールを回転させる能力は、そのシールが最初に様々な方向付けでカニューレに留められ、その後に、使用のために必要に応じて回転させられるのを可能にする。そして、最初の留めに関しては、完璧なシールの方向合わせが要求されないようにする。
一態様では、カニューレ、シールアセンブリ及び閉鎖具の組みあわせがアセンブリを構成する。シールアセンブリは、閉鎖具がカニューレに結合されるのを可能にする。図16は、カニューレ172、カニューレ172に留められたシールアセンブリ173、並びに、シールアセンブリ173に留められ且つカニューレ172及びシールアセンブリ173を通って延びる閉鎖具174を含む医療装置アセンブリ171の斜視図である。閉鎖具174の頂部(近位端)は、手のひらに適応するように丸められている。使用の際、外科医は、医療装置アセンブリ171の遠位端を患者の体壁を通じて挿入し、医療装置アセンブリ171が挿入されると、外科医は、内視鏡又は治療用手術器具等の他の医療装置がシールアセンブリ173及びカニューレ172を通って手術部位に達するまで挿入され得るように、シールアセンブリ173及びカニューレ172から閉鎖具174を外して引き抜く。
別の態様では、半径方向中心穴(図示せず。)が閉鎖具の近位部164に置かれ、且つ、少なくとも閉鎖具の先端161が透明に形成される。そのような透明の閉鎖具の先端は知られている。内視鏡は、その半径方向中心穴及び閉鎖具シャフト160を通じて閉鎖具の先端161まで挿入される。透明な閉鎖具の先端は、体壁を通じた挿入を外科医が見られるようにする。それ故に、一態様では、カニューレ、シールアセンブリ、透明な遠位端を有する閉鎖具、及び、閉鎖具内に挿入された内視鏡の組みあわせがアセンブリを構成する。シールアセンブリは、閉鎖具がカニューレに結合されるのを可能にする。
図示されるように、カニューレ172は、カリフォルニア州サニーベイルのIntuitive Surgical社によって市販されているシステムのような遠隔操作手術システムの一部である遠隔操作医療装置マニピュレータに取り付けられるように構成される。しかしながら、他の実施形態では、医療装置アセンブリ171、又は、その構成要素の任意のものが、手作業の腹腔鏡処置のような非遠隔操作の外科的処置に用いられてもよい。
[遠隔操作医療装置]
図17は、一緒に連結され且つ遠隔操作手術システムの一部である遠隔操作マニピュレータ177の遠位端に取り付けられたカニューレ175及びシールアセンブリ176の斜視図である。シールアセンブリ176は、この文書で説明された種々のシールアセンブリの構成の代表である。双方向矢印で示されるように、シールアセンブリ176の弁176aがカニューレ175内で時計回りに或いは反時計回りに回転できることが見て取れる。対応するマニピュレータ177にドッキングされている複数のカニューレ175及びシールアセンブリ176の組みあわせのそれぞれが接近して患者に挿入される場合、1又は複数の弁176aを方向付ける能力は、関連するチューブがより容易に弁176aに結合されるのを可能にし、また、患者への種々の他のカニューレ入口ポートの周りにある無菌領域内でより効率的に経路が決定されるのを可能にする。さらに、弁の方向付けは、器具がシールアセンブリ及びカニューレを通じて挿入されている間にも変更され得る。
図18は、少なくとも1つのカニューレ175及びシールアセンブリ176を包含する、(da Vinci Xi(登録商標) Surgical Systemの患者側コンポーネントの一部である)遠隔操作手術システムである、例示的な遠隔操作医療装置178の斜視図である。図18に示されるように、例示的な手術器具179は、マニピュレータ177の遠位端に取り付けられ、また、手術器具179のシャフト180は、シールアセンブリ176及びカニューレ175を通って延びる。いくつかの例では、器具のシャフトのサイズの説明されたような1つの範囲(例えば5〜8mm)を受け入れる1又は複数のシールアセンブリのそれぞれは、1又は複数の対応する器具マニピュレータと共に用いられ、また、器具のシャフトのサイズの説明されたような別の範囲(例えば10〜12mm)を受け入れる1又は複数の他のシールアセンブリは、1又は複数の他の対応する器具マニピュレータと共に用いられる。
したがって、低侵襲手術での応用のためだけでなく、遠隔操作手術システムが効率的に動作するのを可能にするためにも、シールアセンブリが重要な構成要素であることが理解され得る。使用の例として、シールアセンブリ及びカニューレの組みあわせは、手術部位に到達するように患者における1又は複数のポートを通じて様々な手術器具が挿入されるよう、遠隔操作医療装置178の図示された4つのマニピュレータのそれぞれの遠位端に取り付けられる。様々な器具シャフトの径を受け入れる単一のシールアセンブリは、シャフト径が異なる様々な器具を遠隔操作医療装置178が同時に使用するのを可能にする。また、各カニューレに関して同じシール構成を用いることは作業を単純化する。1つの手術器具シャフト径のみとの使用に特化した複数の異なるシールアセンブリが必要とされないためである。したがって、必要であれば、各カニューレに関するシールアセンブリを変更する必要なく、2つのマニピュレータ間で様々な径の手術器具が交換されてもよい。

Claims (10)

  1. 医療装置であって、
    シールアセンブリハウジング、及び、
    ワイパーシールを有し、
    前記ワイパーシールは、前記ワイパーシールが前記シールアセンブリハウジングに結合されるところの外周部、内側の密封部、及び、前記外周部と前記内側の密封部との間の屈曲部を含み、
    前記屈曲部は、環状のコルゲーション、及び、前記環状のコルゲーションによって定められる環状溝内に位置付けられる支持リブを含み、
    前記内側の密封部は、環状シールリップを形成するように交わる、角度の付いた環状の上部面、及び、角度の付いた環状の下部面を含む、
    医療装置。
  2. 前記上部面は、縦軸に関して第1角度であり、
    前記下部面は、前記縦軸に関して第2角度であり、
    前記第1角度は、前記第2角度より小さく、
    前記縦軸は、前記シールアセンブリハウジングの頂部と底部との間に定められている、
    請求項1の医療装置。
  3. 前記環状溝は外側壁を有し、
    前記支持リブは、前記内側の密封部と前記環状溝の前記外側壁との間に位置付けられ
    請求項の医療装置。
  4. 前記支持リブは、第1壁及び第2壁を有し、
    前記第1壁及び前記第2壁のそれぞれは、第1側と、前記第1側の反対側である第2側とを含み、
    前記第1壁の前記第1側、及び、前記第2壁の前記第1側はそれぞれ、前記密封部に結合され、
    前記第1壁の前記第2側、及び、前記第2壁の前記第2側はそれぞれ、一緒に連結され、且つ、前記環状溝の外壁に結合される、
    請求項の医療装置。
  5. 前記支持リブは、第1壁及び第2壁を有し、
    前記第1壁及び前記第2壁のそれぞれは、第1側と、前記第1側の反対側である第2側とを含み、
    前記第1壁の前記第1側、及び、前記第2壁の前記第1側はそれぞれ、前記環状溝の外壁に結合され、
    前記第1壁の前記第2側、及び、前記第2壁の前記第2側はそれぞれ、一緒に連結され、且つ、前記密封部に結合される、
    請求項の医療装置。
  6. 前記支持リブが前記環状溝の前記外側壁に結合される場所は、前記支持リブが前記密封部に結合される場所の遠位に及ぶ、
    請求項3の医療装置。
  7. 前記環状溝は内側壁及び外側壁を有し、
    前記支持リブは、前記内側壁と前記外側壁との間に結合される、
    請求項の医療装置。
  8. 前記支持リブは、第1側と、前記第1側の反対側である第2側とを含み、
    前記支持リブが前記環状溝の前記外側壁に結合される場所は、前記支持リブが前記環状溝の前記内側壁に結合される場所の近位に及ぶ、
    請求項の医療装置。
  9. カニューレと、頂部及びシャフトを含む閉鎖具と、を更に有し、
    前記シールアセンブリハウジングは、前記カニューレの近位端に結合され、
    前記閉鎖具は、前記シールアセンブリハウジングの近位部分に結合され、且つ、
    前記閉鎖具の前記シャフトは、前記シールアセンブリハウジング及び前記カニューレを通って延びる、
    請求項1の医療装置。
  10. マニピュレータを含む手術システムを更に有し、
    前記カニューレは、前記マニピュレータに結合される、
    請求項の医療装置。
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