実施形態において、顧客に商品を税込で販売した取引(税込販売取引)に対して行う免税処理(決済後免税適用処理)について、免税店で用いられるPOS(Point Of Sales)システムを例に説明する。なお、免税店は、外国人旅行者等の非居住者に対して通常生活の用に供する販売対象(商品)を一定の方法で販売する輸出物品販売場である。また、上記決済後免税適用処理は、過去の取引(すなわち決済済み取引)の履歴情報に基づいて行う。
図1は、実施形態にかかるPOSシステム1の概略構成図である。POSシステム1は、複数台(図では2台)のPOS端末2と、ネットワーク3と、サーバ4とを備えている。POS端末2は、販売データ処理装置の一例であって、免税店の店舗に設置されている。ネットワーク3は、LAN(Local Area Network)等であって、POS端末2とサーバ4とを接続する。サーバ4は、複数台のPOS端末2を、ネットワーク3を介して集中管理する。
サーバ4は、POSシステム1全体の制御を受け持つ。図2は、サーバ4のハードウェア構成を示すブロック図である。サーバ4は、例えば一般的なコンピュータ構成の情報処理装置であって、CPU(Central Processing Unit)41、ROM(Read Only Memory)42、RAM(Random Access Memory)43等で構成される制御部400を備えている。
また、サーバ4は、コントローラ44、キーボード45、表示部46、プリンタ47、HDD(Hard Disk Drive)48、バス49、および通信I/F(インタフェース)50を備えている。
バス49は、制御部400と、上記各部(コントローラ44、HDD48、および通信I/F50)と、を接続する。通信I/F50は、サーバ4をネットワーク3に接続する。当該接続により、制御部400と複数台のPOS端末2とは、相互にオンライン通信可能である。
キーボード45、表示部46、およびプリンタ47は、コントローラ44およびバス49を介して、制御部400に接続されている。キーボード45は、サーバ管理者の操作を受け付ける。表示部46は、サーバ管理者向けの情報を画像で表示する。プリンタ47は、印刷物を出力する。
HDD48は、制御部400を動作させる各種の制御プログラム481を格納している。また、HDD48は、商品マスタファイルF1、免税区分ファイルF2および免税設定値ファイルF3を格納している。
さらに、HDD48は、取引履歴DB1を保持する。取引履歴DB1は、上述した決済済み取引の履歴情報つまりPOS端末2で販売登録処理された取引に関する情報を蓄積するためのデータベースである。そして、HDD48は、保留履歴DB2を保持する。保留履歴DB2は、上述した決済後免税適用処理を中途で保留した場合の処理用データを保持する。決済後免税適用処理は、決済済み取引のうちの税込販売取引に対して免税を適用する処理である。
なお、実施形態のサーバ4で実行される制御プログラム481は、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルであり、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。そのような記録媒体は、CD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等である。
さらに、実施形態のサーバ4で実行される制御プログラム481を、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、実施形態のサーバ4で実行される制御プログラム481を、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
次に、商品マスタファイルF1と、商品マスタファイルF1に設定される商品分類(分類)について説明する。図3は、商品マスタファイルF1のデータ構成の一例を示す図である。図3に示すように、商品マスタファイルF1には、販売登録対象の各商品の商品コード(商品識別情報)に対応付けて、商品名や商品の価格(単価)、分類コード(分類1コード、分類2コード)、免税区分コード、危険物区分コード等の商品情報が設定される。危険物区分コードは、航空機への持ち込みが禁止されているスプレー類等の取扱いに注意を要する商品に付与される。
商品は複数の分類コードによって分類分けされており、それら複数の分類は階層的に構築されている。
即ち、図3に示すように、商品は、大まかな分類である分類1(上位の分類)によって複数に分類分けされている。また、各分類1はより細かな分類である分類2(下位の分類)によってさらに詳細に分類されている。即ち、上位の分類1は、分類1より下位の分類2によって複数に分類分けされており、下位の分類2を少なくとも1つ含んでいる。
なお、階層的に構築されているという点では、各商品に付される商品コードを分類2より下位の分類とみなすことができる。商品コードは、最も詳細な分類、即ち、最下位の分類とみなすことができる。
次に、免税区分ファイルF2について説明する。図4は、免税区分ファイルF2のデータ構成の一例を示す図である。図4に示すように、免税区分ファイルF2には、免税区分コードに対応付けて、免税区分名称が設定される。免税区分名称は、「消耗品」、「一般物品」、「免税対象外」である。「消耗品」は、外国人旅行者等の非居住者に対して販売する物品にかかる税金を免除する免税対象品であって、食料品、飲料類、薬品類、化粧品類等の物品である。「一般物品」も免税対象品であって、消耗品以外の通常生活の用に供する物品である。「免税対象外」は免税対象とはならない免税非対象品である。「消耗品」の免税区分コードは“01”である。「一般物品」の免税区分コードは“02”である。「免税対象外」の免税区分コードは“03”である。
次に、免税設定値ファイルF3について説明する。図5は、免税設定値ファイルF3のデータ構成の一例を示す図である。図5に示すように、免税設定値ファイルF3には、免税区分コードに対応付けて、設定値が設定される。設定値は、各区分において免税として販売登録を行う目安となる。図5に示す例では、免税区分コード“01”の消耗品についての設定値は、5千円〜50万円である。また、免税区分コード“02”の一般物品(消耗品以外の通常生活の用に供する物品)についての設定値は、1万円を超える額である。
次に、取引履歴DB1について説明する。図6は、取引履歴DB1のデータ構成の一例を示す図である。図6に示すように、取引履歴DB1には、POS端末2の各々で処理された取引の取引情報が、取引履歴として格納される。
取引履歴は、各取引を識別するための取引番号(取引番号部DB11に記憶される)、取引が行われた取引日時(取引日時部DB12に記憶される)、取引が行われたPOS端末2を識別するレジ番号(レジ番号部DB13に記憶される)を含む。また、取引履歴は、販売登録された各商品の商品コード、単価、点数(商品情報部DB15に記憶される)等を含む。さらに、取引履歴DB1には、取引番号に対応付けて、フラグ(フラグ部DB14に記憶される)が設定される。当該フラグは、その取引について後述する免税処理をしたか否かの判定に用いられる。
図6に示す例では、フラグが“0”の取引は、免税処理をしていない取引であることを意味し、フラグが“1”の取引は、免税処理をした取引であることを意味する。したがって、図6の場合、取引番号「0425」の取引は免税処理をしており、取引番号「0426」と取引番号「0427」の取引は免税処理をしていない。
なお、取引履歴DB1は、取引した履歴のデータを保存する電子ジャーナルとしての機能を果たす。
制御部400は、制御プログラム481に従うことにより、商品マスタファイルF1、免税区分ファイルF2および免税設定値ファイルF3を所定のタイミングでPOS端末2に対して配信する。
保留履歴DB2については後述する。
次に、POS端末2について説明する。POS端末2は、ユニークなレジ番号を割り振られて精算場所に配置されている。POS端末2は、オペレータ(キャッシャ)が入力した商品コードに基づいて取引処理を行うための端末である。
POS端末2は、店内で販売されている商品の販売に係る取引処理を行う。オペレータがPOS端末2を操作することで、POS端末2は、販売される商品の売上登録処理および決済処理を実行する。なお、売上登録処理と決済処理を合わせた処理を取引処理という。
売上登録処理とは、販売される商品に付されたバーコード等のコードを光学的に読み取って商品コードを入力し、入力した商品コードに基づいて読み出した、当該商品の商品名や価格(商品情報)を表示するとともに、商品情報をバッファに記憶する処理をいう。決済処理とは、売上登録処理に伴いバッファに記憶された商品情報に基づいて、取引に係る合計金額の表示、顧客から預かった預り金に基づいて釣銭を計算して表示する処理、釣銭の発行を釣銭機に指示する処理、商品情報や決済情報(合計金額、預り金額、釣銭額等)を印字したレシートを発行する処理等をいう。
図7は、POS端末2のハードウェア構成を示すブロック図である。図7に示すように、POS端末2は、CPU31、ROM32、RAM33等で構成されるコンピュータ構成の制御部300を備える。
CPU31は、各種演算処理を実行し各部を制御する。ROM32は、固定データを固定的に記憶保存する。RAM33は、可変データを書き換え自在に記憶してワークエリアとして使用される。CPU31とROM32とRAM33は、バス34を介して接続されて構成されている。
RAM33には、後述する免税対象金額を集計する免税対象金額テーブルTが形成される。
また、POS端末2は、さらに、コントローラ35、キーボード21、表示部22、プリンタ23、スキャナ24、パスポートリーダ25、通信I/F26、およびメモリ部27を備えている。
キーボード21、表示部22、プリンタ23、スキャナ24、およびパスポートリーダ25は、コントローラ35およびバス34を介して、制御部300に接続されている。制御部300は、上記各部(キーボード21、表示部22、プリンタ23、スキャナ24、およびパスポートリーダ25)を制御する。
表示部22は、表示装置の一例であって、表示面上にタッチパネルが設けられた液晶ディスプレイ装置であって、オペレータ向けの情報を画像で表示する。上記タッチパネルおよびキーボード21は、オペレータの操作を受け付ける。プリンタ23は、レシートやジャーナルを印刷する。スキャナ24は、商品に付されたバーコードや二次元コード等のコードを光学的に読み取る。
キーボード21は、各種のキーをブロック毎に配列している。各種のキーは、例えば、商品コードや金額等を入力するための置数キー、販売合計金額の算出を宣言するための小計キー、販売処理において現金による締めを宣言するための現計キー、各種商品を指定するためのPLUキー、置数キーによる置数入力を確定する確定キー、クリアキー等である。
また、キーボード21は、免税宣言キーK1と、品名リスト出力キーK2と、決済後免税適用キーK3と、レジマイナスキーK4を備える。免税宣言キーK1は、当該取引について免税処理を行うことを宣言する操作子である。品名リスト出力キーK2は、免税の対象となった商品のリスト(品名リスト)の出力を指示するための操作子である。決済後免税適用キーK3は、過去の取引について免税処理を行うために、決済後免税適用処理を行うことを宣言する操作子である。レジマイナスキーK4は、取引を取り消す宣言を行うための操作子である。
パスポートリーダ25は、パスポート(旅券)が保持する情報を読み取るリーダ装置である。実施形態では、パスポートリーダ25は、パスポートに記載された文字列を光学的に読み取る光学文字認識(OCR:Optical Character Recognition)機能を有する。
通信I/F26は、POS端末2を、店舗内に設けられたネットワーク3に接続する。当該接続により、上位装置であるサーバ4と制御部300とは、相互にオンライン通信可能である。
メモリ部27は、HDD(Hard Disc Drive)やフラッシュメモリ等で構成されており、電源を遮断しても記憶内容を維持する。
メモリ部27は、オペレーティングシステム、各種コンピュータプログラム等の制御プログラム271、および、各種データファイルを記憶している。データファイルとしては、サーバ4から配信される商品マスタファイルF1、免税区分ファイルF2および免税設定値ファイルF3等がある。
実施形態のPOS端末2で実行される制御プログラム271は、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
また、実施形態のPOS端末2で実行される制御プログラム271を、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、実施形態のPOS端末2で実行される制御プログラム271をインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
また、実施形態のPOS端末2で実行される制御プログラム271を、ROM32等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
次に、POS端末2の制御部300が、制御プログラム271に従うことにより実行する制御処理について説明する。
図8は、POS端末2の機能構成を示す機能ブロック図である。制御部300が、ROM32やメモリ部27に記憶された制御プログラム271を含む各種プログラムに従うことで、免税処理手段310、決済後免税適用手段320を機能させる。
免税処理手段310は、免税対象となる商品について税金の支払いを免除する免税処理を行う機能部である。当該免税処理手段310による免税処理は、決済時に行われる。
決済後免税適用手段320は、決済済みで税込販売の取引における免税対象の商品に支払われた代金の合計額から税金分を返金する決済後免税適用処理を行う機能部である。当該決済後免税適用手段320は、指定手段321、算出手段322、明細表示手段323、保留手段324、再開手段325、追加手段326、返金手段327、および領収書発行手段328の各機能部を含んでいる。
指定手段321は、免税未適用すなわち免税処理を不実施の取引を指定する。ここでの指定とは、具体的には、取引履歴DB1から、オペレータが入力する情報に基づき、免税対象であって免税未適用の商品を含む1または複数の取引を抽出することである。オペレータが入力する情報とは、例えば、オペレータがスキャナ24にレシートに付されたバーコードを読み取らせた場合にスキャナ24が出力する信号である。当該信号はバーコードに応じたもので、バーコードは、レシートに表示された過去の取引を特定する情報(例えば取引番号)を含んでいる。なお、ここでは一例としてバーコードとしたが、実施にあたっては二次元コードなどでもよい。
算出手段322は、指定手段321が抽出した1または複数の取引のデータに基づいて、免税対象であって免税未適用の商品(以下、処理対象商品と称する)の価格の合計額を算出する。これらの指定手段321と算出手段322とにより、決済済みの取引のデータに基づいて上記合計額を算出する集計手段が実現される。
明細表示手段323は、登録明細画面G8(図24参照、後述)を表示部22に表示させる。登録明細画面G8は、算出手段322が上記合計額に含めた上記処理対象商品の名称や価格などをまとめた一覧表を表示する。
保留手段324は、算出手段322が算出した合計額が所定値(免税制度で定められた基準金額)を下回る場合に、免税用情報を所定の記憶部に保存する。免税用情報は、決済後免税適用処理に用いるデータ(処理用データ)であって、上記処理対象商品の各種情報である。所定の記憶部とは、例えばサーバ4のHDD48である。処理用データは、HDD48が保持する保留履歴DB2に記憶される。
ここで、図9は、保留履歴DB2の記憶内容をテーブル形式で示した図である。保留履歴DB2は、例えば、取引番号、保留日、レジ番号、レシート金額、保留番号などを記憶する。これらはそれぞれ、取引番号部DB21、保留日部DB22、レジ番号部DB23、レシート金額部DB24、保留番号部DB25に、記憶される。
保留履歴DB2には、例えば、客がオペレータに手渡したレシート1枚ごとに、1レコードが作成される。取引番号は、レシートが示す取引を特定する番号である。当該取引番号は、取引履歴DB1の取引番号部DB11のものと同一である。つまり、取引番号部DB11に記録された取引番号で特定される取引と、取引番号部DB21に記録された取引番号で特定される取引とは、同一の取引である。また、レジ番号およびレシート金額は、上記取引番号で特定される取引の情報であって、取引履歴DB1に記録された情報に基づくものである。
保留日は、決済後免税適用処理を中途で保留した日、つまり当該レコードを登録する処理を行っている当日の日付である。そして、保留番号は、識別コードの一例であって、一つの保留にかかる全レコードに共通であり、保留回ごとにユニークである。
また、保留手段324は、保留履歴DB2への処理用データ保存とともに、保留レシートR5(図29参照、後述)をプリンタ23に発行させる。保留レシートR5は、保留伝票の一例であって、上記識別コードや、合計額、不足額などが印刷されている。ここでの不足額とは、免税適用の下限値から合計額を引いた金額である。また、識別コードは、スキャナ24で読み取り可能なバーコードや二次元コードによって示される。
再開手段325は、所定の操作を受けたことを条件として、保留履歴DB2から、該当の処理用データを読み出す。所定の操作は、例えば、オペレータが客から受け取った保留レシートの識別コードをスキャナ24に読み取らせることである。再開手段325は、識別コードで該当の処理用データを特定する。
追加手段326は、算出手段322が算出した上記合計額が所定の金額を下回る場合に、その場で免税対象の商品の追加購入を受け付け、当該追加購入にかかる商品の価格を上記合計額に合算する。
返金手段327は、客が商品購入時に支払った税込の代金と免税適用後の代金との差額(すなわち税額分)の返金を、管理する。言い換えると、返金手段327は、オペレータに対して客への所定金額の返金を指示し、また、取引履歴DB1および保留履歴DB2を適宜更新する。
領収書発行手段328は、決済後免税適用処理によって免税された商品の情報を含む領収書などを印字して発行する機能を有する。
図10は、POS端末2の制御処理の流れを示すフローチャートである。制御部300は、スキャナ24を使用して商品を特定する商品コードが入力されたか否かを判断する(ステップS11)。入力されたと判断した場合は(ステップS11のYes)、制御部300は、入力された商品コードに応じて商品マスタファイルF1を検索して得られる商品名や単価等の商品情報に基づき、商品の登録金額を算出する売上登録処理を実行する。次に、制御部300は、売上登録処理した商品の商品情報をRAM33に記憶する(ステップS12)。このとき、表示部22は、制御部300の制御に従って、商品登録画面G1を表示している。図11は、商品登録画面G1の一例を示す図である。
また、商品コードが入力されていないと判断した場合は(ステップS11のNo)、制御部300は、キーボード21に設けられた、取引を終了するための宣言をする現計キーが操作されたか否かを判断する(ステップS13)。操作されたと判断した場合は(ステップS13のYes)、制御部300は、当該取引について、商品の登録金額や商品情報に基づいて合計金額を算出する決済処理を実行する(ステップS14)。この決済処理において、制御部300は、顧客が購入した商品に対する消費税等の課税された税額を含む合計金額を算出する。
次に、制御部300は、購入明細xや精算記録yなどがレシート用紙に印字されたレシートR0を発行する(ステップS15)。図12は、通常のレシートR0の一例を示す図である。購入明細xは、購入した商品の明細(品名や購入点数、価格の記録)である。また、精算記録yは、代金、預り金額、釣銭など、金銭のやり取りの記録である。レシートR0には、上述の項目の他に、事業者名a、取引日付d、取引を特定する取引番号e、レジ番号f、バーコードwが表示されている。事業者名aの部分には、店舗を経営する事業者の氏名又は名称を示す文字あるいはロゴマークが表示される。バーコードwは、取引番号eをコード化したものである。
次に、制御部300は、取引処理した商品の商品情報等(取引番号、取引日時、レジ番号、商品コード、単価、点数等)をサーバ4に送信する(ステップS16)。サーバ4は、受信した情報を取引履歴DB1に記憶する。具体的には、サーバ4の制御部400は、取引番号を取引番号部DB11に記憶する。制御部400は、取引日時を取引日時部DB12に記憶する。制御部400は、取引処理をしたPOS端末2のレジ番号をレジ番号部DB13に記憶する。制御部400は、取引した商品の商品コードと単価と点数を商品情報部DB15に記憶する。また制御部400は、当該取引について免税処理をしていないことを示すフラグ“0”を、当該取引の取引番号に対応させてフラグ部DB14に記憶する。
また、現計キーは操作されていないと判断した場合は(ステップS13のNo)、制御部300は、免税宣言キーK1が操作されたか否かを判断する(ステップS21)。操作されたと判断した場合は(ステップS21のYes)、免税処理の宣言があったとして、制御部300は、図13に示す免税処理を実行する(ステップS22)。
[通常免税処理]
ここで、図13〜図19を用いて、免税宣言キーK1が操作された時のステップS22で実行される通常免税処理について詳細に説明する。図13は、通常の免税処理の流れを示すフローチャートである。制御部300は、パスポートリーダ25を動作させる。次に、制御部300は、パスポートリーダ25がパスポートから所定の文字列を読み取ったか否かを判断する(ステップS51)。かかる文字列としては、例えば、旅券番号、氏名、国籍、生年月日等が挙げられる。制御部300は、パスポートから所定の文字列を読み取るまでの間、表示部22にパスポートを読取中であることを示す表示を行う。
制御部300は、パスポートの読み取りを促すガイド画面(図示せず)を表示部22に表示させる。POS端末2のオペレータは、客(非居住者)から提示されたパスポートにおいて、免税制度にかかる事項が記載されたページを開き、当該ページをパスポートリーダ25に翳す。この動作に応じ、制御部300は、パスポートから所定の文字列を読み取る。
パスポートを読み取るまで待機し(ステップS51のNo)、読み取ったと判断した場合は(ステップS51のYes)、制御部300は、ステップS51で読み取られた文字列を確認させるために、表示部22に確認画面G2(図14参照)を表示する(ステップS52)。
図14に一例を示す確認画面G2は、パスポートに記載された項目のうち、旅券番号、氏名、国籍、生年月日の項目の文字列を読み取る場合の例である。確認画面G2には、ステップS51で読み取られた文字列が項目(事項)毎に表示される。
ここで、確認画面G2の各項目には、削除ボタンB1が対応付けて設けられている。制御部300は、この削除ボタンB1の操作の有無を判断する(ステップS53)。操作されたと判断すると(ステップS53のYes)、制御部300は、対応する項目について読み取られた文字列を削除し(ステップS54)、ステップS53に戻る。例えば、ステップS51で読み取られた各項目の文字列のうち、何れかの項目の文字列に誤りがあるような場合、削除ボタンB1を操作することで誤りのある文字列を削除することができる。なお、制御部300は、ステップS54で削除された項目の文字列を空とした確認画面G2を表示する。
また、制御部300は、確認画面G2において、実施形態の確認受付手段に対応する確定ボタンB2、再読取ボタンB3、キャンセルボタンB4を表示する。次に、制御部300は、削除ボタンB1が操作されていないと判断した場合は(ステップS53のNo)、再読取ボタンB3の操作の有無を判断する(ステップS55)。当該再読取ボタンB3が操作されたと判断すると(ステップS55のYes)、制御部300は、ステップS51に処理を戻すことで、パスポートから文字列の読み取りを再度行う。制御部300は、再読取ボタンB3の操作に伴って、前回読み取られた文字列を削除する。
また、再読取ボタンB3は操作されていないと判断した場合は(ステップS55のNo)、制御部300は、キャンセルボタンB4の操作の有無を判断する(ステップS56)。当該キャンセルボタンB4が操作されたと判断した場合は(ステップS56のYes)、制御部300は、読み取られた文字列を全て削除して(ステップS57)、ステップS51に戻る。キャンセルボタンB4の操作に伴い、制御部300は、表示部22の表示画面を確認画面G2から商品登録画面G1に戻す。
また、キャンセルボタンB4が操作されていないと判断した場合は(ステップS56のNo)、制御部300は、確定ボタンB2の操作の有無を判断する(ステップS58)。制御部300は、確定ボタンB2が操作されたと判断すると(ステップS58のYes)、免税処理手段310として、消費税等の税金の支払いを免除する免税処理を実行する(ステップS59)。また、確定ボタンB2が操作されていないと判断した場合(ステップS58のNo)、制御部300は、処理をステップS53に戻す。
次に、ステップS59の免税処理について説明する。
まず、制御部300は、既に登録済みの登録商品について、商品マスタファイルF1の免税区分コードを参照することによって、免税対象となる免税対象商品の存在を判定する。免税対象商品が存在する場合、制御部300は、免税対象となる登録商品グループ(一般物品グループ・消耗品グループ)毎の免税対象金額の免税対象金額テーブルT(RAM33)への加算処理を行う。
免税対象商品の税種別による対応は、以下の様に行う。
免税対象となる登録商品が内税の場合、制御部300は、登録金額の内税抜金額を免税対象金額として免税対象金額テーブルTへ加算する。より詳細には、制御部300は、内税商品の場合、免税前登録金額と免税後登録金額との差額を免税額とする。一例を式で示すと以下のようになる。
免税前単価1080円 − 免税後単価1000円 = 免税額80円
免税対象となる登録商品が外税の場合、制御部300は、登録金額を免税対象金額として免税対象金額テーブルTへ加算する。より詳細には、制御部300は、外税商品の場合、登録金額に対する外税額を免税額とする。
なお、登録商品が免税対象外の商品の場合、制御部300は、登録金額を免税対象金額として免税対象金額テーブルTへは加算しない。
次に、制御部300は、免税対象金額テーブルTの免税対象金額が免税設定値ファイルF3の設定値(基準金額)を満たしているか否かを判定する。実施形態の免税設定値ファイルF3においては、食料品、飲料類、薬品類、化粧品類、その他の消耗品についての設定値は、5千円〜50万円である。また、一般物品(消耗品以外の通常生活の用に供する物品)についての設定値は、1万円を超える額である。
制御部300は、消耗品についての免税対象金額が設定値(5千円〜50万円)を満たしていると判定した場合、免税対象金額にかかる税金を免除する免税処理を行う。また、制御部300は、一般物品(消耗品以外の通常生活の用に供する物品)についての免税対象金額が設定値(1万円を超える額)を満たしていると判定した場合、免税対象金額にかかる税金を免除する免税処理を行う。
また、制御部300は、免税対象金額テーブルTの消耗品についての免税対象金額が設定値の上限値(50万円)を超えている場合には、表示部22にエラー表示を行う。
図15はエラー画面G3の一例を示す図である。エラー画面G3において、制御部300は、文字により「免税上限値をオーバーしています。商品の取消をして下さい。オーバー金額 XX,XXX円」などと案内する。当該エラー画面G3の表示中に、キーボード21のクリアキーの操作があると、制御部300は、エラー画面G3を消去する。
一方、免税対象金額が基準金額を下回る場合、制御部300は、従来は、上述の免税上限値オーバー時と同様に、エラー表示(不図示)にて、基準金額を満たさないことを案内する。この場合、免税が適用されない取引として決済するか、あるいは、取引を中止する。
フローチャート(図13)に戻る。免税処理(ステップS59)に続いて、制御部300は、商品登録画面G4を表示する(ステップS60)。図16は、商品登録画面G4の一例を示す図である。商品登録画面G4には、「免税」と表示された免税インジケータIが表示されている。制御部300は、商品登録画面G4に免税インジケータIを表示することにより、免税宣言取引であることを操作者に報知する。商品登録画面G4において、税額は、免税処理(ステップS59)による税金の免除により「0円」と表示され、また、合計表示金額は、免税処理後の金額(免除された税金分を減額した額)が表示される。さらに、商品登録画面G4の商品情報一覧において、免税が適用された商品の行に「免」という文字が表示される。
制御部300は、現計キーが操作されたか否かを判断する(ステップS61)。ステップS61において制御部300は、操作されるまで待機する(ステップS61のNo)。操作されたと判断した場合は(ステップS61のYes)、制御部300は、当該取引について、商品の代金を精算する決済処理を実行する(ステップS62)。当該決済処理においては、販売された商品に対して消費税等の税金を加算せず税額を含まない免税適用後の金額で精算する。
次に、制御部300は、決済処理した商品の商品情報等(取引番号、取引日時、レジ番号、商品コード、単価、点数等)をサーバ4に送信する(ステップS63)。サーバ4は、商品情報等を受信すると、当該受信した情報を取引履歴DB1に記憶する。具体的には、サーバ4の制御部400は、取引番号を取引番号部DB11に記憶する。制御部400は、取引日時を取引日時部DB12に記憶する。制御部400は、取引処理をしたPOS端末2のレジ番号をレジ番号部DB13に記憶する。制御部400は、取引した商品の商品コードと単価と点数を商品情報部DB15に記憶する。そして、制御部400は、当該取引について免税処理をしたことを示すフラグ“1”を、当該取引の取引番号に対応させてフラグ部DB14に記憶する。
次に制御部300は、決済処理した商品の商品情報や決済情報や免税額等をレシート用紙に印字して発行する(ステップS64)。当該ステップにおいて、制御部300は、例えば購入誓約書を1枚、購入記録票を2枚、レシートを1枚印字する。
図17は購入誓約書R1の一例を示す図である。購入誓約書R1は、免税物品の購入の事実を証明する。購入誓約書R1は、免税店を経営する事業者に対し、店舗控えとして所定の書類(購入者誓約書(レシート形式の購入誓約書R1とは別))に添付されて提出される。
購入誓約書R1は、免税店を経営する事業者の氏名又は名称a、所轄税務署名b、免税店の店舗所在地c、取引年月日d、取引番号e、レジ番号f、商品の明細(品名g、品名ごとの数量および価格h)、全物品の合計額i、一般物品と消耗品とのそれぞれの合計額j、免税額kを含む。
また、購入誓約書R1は、確認画面G2で確認された各項目の文字列を印字するための欄を有する。具体的に、購入誓約書R1には、下記の項目について確認画面G2で確認された文字列が印字される。
・旅券番号 …l
・購入者の国籍 …m
・購入者の氏名 …n
・購入者の生年月日 …o
なお、確認画面G2で削除ボタンB1の操作により削除された項目(文字列)については、その項目名のみを印字する。この場合、当該項目の内容は、オペレータが、書類(購入者誓約書)上に直接記入する。
また、購入誓約書R1のレイアウトは、図17の例に限らない。例えば、購入後において輸出することを誓約する旨(消耗品の場合、購入した日から30日以内に輸出することを誓約する旨)や、購入者の署名欄等を印字してもよい。
次に、領収書である購入記録票について説明する。図18は購入記録票R2の一例を示す図である。購入記録票R2は、免税物品の購入の事実を証明する。当該購入記録票R2は、所定の書類(購入記録票(レシート形式の購入記録票R2とは別))に対する添付用および店舗控え用として2枚印字される。添付用の購入記録票R2は、上記所定の書類(購入記録票)に貼り付けられる。この書類(購入記録票)は、旅券に貼り付けて割印される。
購入記録票R2は、免税店を経営する事業者の氏名又は名称a、所轄税務署名b、免税店の店舗所在地c、取引年月日d、取引番号e、レジ番号f、商品の明細(品名g、品名ごとの数量および価格h)、全物品の合計額i、一般物品と消耗品とのそれぞれの合計額j、免税額kを含む。
また、購入記録票R2は、確認画面G2で確認された各項目の文字列を印字するための欄を有する。具体的に、購入記録票R2には、下記の項目について確認画面G2で確認された文字列が印字される。
・旅券番号 …l
・購入者の国籍 …m
・購入者の氏名 …n
・購入者の生年月日 …o
なお、確認画面G2で削除ボタンB1の操作により削除された項目(文字列)については、購入誓約書R1と同様、その項目名のみを印字し、書類(購入記録票)上において直接記入するものとする。また、購入記録票R2のレイアウトは、図18の例に限らないものとする。
次に、レシートについて説明する。図19は、免税取引のレシートR3の一例を示す図である。レシートR3は、取引後に購入者に渡される。
レシートR3は、免税店を経営する事業者の氏名又は名称a、取引年月日d、取引番号e、レジ番号f、商品の明細(品名g、品名ごとの数量および価格h)、全物品の合計額iを含む。当該レシートR3において、免税された商品の名称には、「免」の文字pが付加される。また、レシートR3には、免税取引であることを示す「免税取引が行われました。」のメッセージqが印字されている。また、レシートR3には、取引番号eをコード化したバーコードwが印字されている。
なお、取引履歴DB1に記憶された情報がジャーナルとして機能しない場合は、制御部300は、購入記録票R2およびレシートR3に対応するジャーナル印字を実行する。このとき、制御部300は、レシートR3に対応するジャーナルに、確認画面G2で確認された項目の全て又は一部の文字列を印字する。
このように、制御部300は、パスポートリーダ25を用いてパスポートから所定の文字列を読み取り、この読み取った文字列をオペレータに確認させるため、確認画面G2に表示する。次に、制御部300は、オペレータによる確認後、確認画面G2に表示された文字列を購入誓約書R1等に印字する。これにより、実施形態のPOS端末2によれば、商品購入毎の購入者誓約書や購入記録票への手書き記入等の煩雑な手続きが不要となるため、免税にかかる手続きを効率的に行うことができる。
また、制御部300は、免税区分単位(消耗品、一般物品)に免税基準金額(消耗品:5000円、一般物品:10000円)を超えた場合に免税処理を自動的に行う。これにより、実施形態のPOS端末2によれば、オペレータ判断での免税登録操作が不要となるとともに、免税制度の改正に対応した商品の販売登録処理を実行することができる。
また、制御部300は、品名リスト出力キーK2の操作を受け付けると、免税の対象とした商品の品名リスト(図示せず)を出力するための印字処理を実行する。ここで、品名リスト出力キーK2の操作を受け付けるタイミングは特に問わないものとする。例えば、販売登録処理の最中に品名リスト出力キーK2の操作を受け付けた場合、制御部300は、上述した印字処理とともにリスト印字処理を実行する。また、販売登録処理の処理外で品名リスト出力キーK2の操作を受け付けた場合、制御部300は、リスト印字処理の対象となる取引の取引番号等を入力させた後、リスト印字処理を実行する。
実施形態のリスト印字処理では、品名リストを1枚印字する。品名リストは、免税処理の対象となった商品を列挙した書類である。品名リストは、免税処理の対象となった商品を包装する袋又は箱に添付される。
品名リストは、免税店を経営する事業者の氏名又は名称、免税処理の対象となった商品の品名、品名ごとの数量および価格を含む。なお、免税処理の対象となった商品のうち、消耗品のみを品名リストに印字する形態としてもよい。この場合、商品が消耗品か否かの判別は、商品マスタファイルF1や免税区分ファイルF2の免税区分コードに基づいて行うものとする。また、POS端末2がラベルプリンタを別途備える場合、制御部300は、当該ラベルプリンタを用いて品名リストを印字する形態としてもよい。
このように、POS端末2によれば、品名リスト出力キーK2の操作に応じて、免税の対象となった商品の品名リストを出力することができる。これにより、実施形態のPOS端末2によれば、免税の対象となった商品の包装に品名を示すことが法令により定められている場合に、品名リストを容易に発行することができるため、免税にかかる手続きを効率的に行うことができる。
フローチャート(図10)に戻る。ステップS21において免税宣言キーK1は操作されていないと判断した場合は(ステップS21のNo)、制御部300は、過去の取引について免税処理を行うための決済後免税適用キーK3が操作されたか否かを判断する(ステップS31)。操作されたと判断した場合は(ステップS31のYes)、制御部300は、決済後免税適用手段320として、決済後免税適用処理を実行する(ステップS32)。
[決済後免税適用処理]
図20−1および図20−2は、決済後免税適用処理の流れを概略的に示すフローチャートである。まず、制御部300は、ステップS71〜S78の処理を実行する。ステップS71〜S78の処理は、上述したステップS51〜S58と同様の処理であるので、説明を省略する。なお、キャンセルボタンB4が操作された場合(ステップS76のYes)、制御部300は、パスポートから読み取った全ての文字列を削除した後(ステップS77)、ステップS71に戻る。
続いて、制御部300は、指定手段321として、取引指定処理(ステップS81)を行う。この処理では、制御部300は、まず、取引検索画面G5を表示部22に表示させる。
図21は取引検索画面G5の一例を示す図である。取引検索画面G5は、レジNo欄A51、日付欄A52、取引No欄A53、レシート金額欄A54、確定ボタンB51、および戻るボタンB52を有する。
レジNo欄A51は、決済後免税適用を行おうとする取引(以下、処理対象取引と称する)が行われたPOS端末2を識別するレジ番号を入力する欄である。当該欄A51には、初期値として、当該取引検索画面G5を表示中の表示部22を備えるPOS端末2に割り振られたレジ番号を表示する。日付欄A52は、処理対象取引が行われた日付(取引日付)を入力する欄であって、初期値として当日日付を表示する。取引No欄A53は、処理対象取引の取引番号を入力する欄である。レシート金額欄A54は、処理対象取引において決済された金額を入力する欄である。
確定ボタンB51は、上記各欄A51〜A54の入力内容を確定して次の処理へ移る宣言を行うためのボタンである。戻るボタンB52は、画面を戻すためのボタンである。つまり、戻るボタンB52が操作された場合、制御部300は、取引指定処理をやめ、表示部22の表示を確認画面G2に戻す。
次に、制御部300は、スキャナ24によってステップS15でレシートR0に印字したバーコードwを読み取ることで、当該バーコードwに含まれる取引番号eが入力されたか否かを判断する。取引番号eが入力されるまで待機し、入力されたと判断した場合は、制御部300は、サーバ4に問合せ、サーバ4の取引履歴DB1から該当する取引番号eに対応した過去の取引の履歴情報を受信する。次に、制御部300は、受信した履歴情報の取引について、次の3項目の条件を満たしているか否かを判断する。
第1の条件としては、取引履歴DB1から読み出した取引について、フラグ部DB14に記憶されているフラグが“0”であることが挙げられる。第2の条件としては、取引履歴DB1に免税対象の商品が含まれることが挙げられる。第3の条件としては、先に読み出した取引履歴DB1の取引年月日と同一の取引年月日であることが挙げられる。これら3項目のすべての条件を満たした場合、制御部300は、受信した取引の履歴情報に基づき、一覧画面G6(図22参照)を表示部22に表示させる。
なお、入力された取引番号の取引が、3項目の条件のいずれかまたは複数を満たしていない場合は、制御部300は、当該取引に免税適用できないことを示すエラーメッセージ(不図示)を表示部22に表示して、次の操作を待機する。
図22は、一覧画面G6の一例を示す図である。当該一覧画面G6は、一覧表L1、確定ボタンB61、取消ボタンB62、マニュアルボタンB63を有する。一覧画面G6は、取引検索画面G5の表示中に1件の取引が特定された時点で表示される。制御部300は、この一覧画面G6の表示中にも、取引検索画面G5の表示中と同様の操作での取引指定を受け付ける。取引指定があると、一覧表L1に表示される取引が増える。
一覧表L1は、各処理対象取引の識別情報(レジ番号、取引日付、取引番号、レシート金額)を一覧表示する。確定ボタンB61は、取引指定(ステップS81)を確定して次の処理(ステップS82)へ移る宣言を行うためのボタンである。取消ボタンB62は、画面を戻すためのボタンである。つまり、取消ボタンB62が操作された場合、制御部300は、指定された取引をクリアし、表示部22の表示を取引検索画面G5に戻す。マニュアルボタンB63は、手入力に用いる数値キーなどを表示あるいは使用可能にするためのボタンである。
なお、一覧画面G6に表示された取引は、キーボード21やタッチパネルを介した操作により、処理対象から除外(削除)可能である。また、一覧画面G6に表示された取引を選択することで、その取引に含まれる免税対象の商品をリスト表示する構成としてもよい。
ステップS82において、制御部300は、算出手段322として、ステップS81で指定した取引(処理対象取引)に含まれる処理対象商品の価格の合計額を算出する。次に、制御部300は、ステップS82で算出した合計額が、基準金額に到達しているかを判断する(ステップS83)。
ステップS83において、合計額が基準金額に到達していた場合(ステップS83のYes)、制御部300は、まず、確認画面G7を表示部22に表示させる。図23は、確認画面G7の一例を示す図である。ここで、図23に示した確認画面G7は、合計額が所定の金額に到達していた場合のものである。確認画面G7は、合計額を示すための画面であって、確定ボタンB71および一覧ボタンB72を有している。
確認画面G7において一覧ボタンB72が操作されると、制御部300は、明細表示手段323として、登録明細画面G8を表示する。図24は、登録明細画面G8の一例を示す図である。
登録明細画面G8は、ステップS82で算出した合計額の基になった処理対象商品の名称や価格などを一覧表示する。図24に示した例では、登録明細画面G8は、商品コード、商品名、数量、単価、割引または値引、金額、区分(消耗品または一般品)を各商品について表示している。当該登録明細画面G8の表示中、制御部300は、処理対象商品の削除や値の訂正などを受け付ける。
また、登録明細画面G8は、戻るボタンB81を有する。戻るボタンB81が操作されると、制御部300は、表示部22の表示を確認画面G7に戻す。
確認画面G7において確定ボタンB71が操作されると、制御部300は、返金処理(ステップS84)を行う。当該返金処理において、制御部300は、返金手段327として、合計額に基づいて定まる返金額を算出し、取引履歴DB1を更新する。つまり、制御部300は、処理対象取引について取引履歴DB1のフラグ部DB14が記憶するフラグを、“0”から“1”に変更する。さらに、制御部300は、当該返金の記録を所定の記憶部(例えば取引履歴DB1)に新たに登録する。この登録に際し、制御部300は、当該返金に、新たな取引番号を採番する。当該取引番号は、上記所定の記憶部において、上記返金の記録を識別可能とする。例えば取引履歴DB1が返金の記録を登録する記憶部を兼ねるならば、商品コード欄に返金処理を示すコードを記入し、単価欄に返金額を記入することで対応可能となる。
また、上述の確定ボタンB71への操作を受けて制御部300は、領収書発行手段328として、処理対象商品の情報を含む領収書などを、プリンタ23に印字・発行させる。このとき発行されるのは、購入誓約書R1(図17)、購入記録票R2(図18)、および返金レシートR4(図27、後述)である。
さらに、上述の確定ボタンB71への操作を受けて制御部300は、表示部22に、図25(a)に一例を示す集計中画面G9を表示させる。集計中画面G9は、処理中であることや処理の進行具合を、文字や画像によるインジケータによって、オペレータに示す。そして、DB更新および印字・発行を終えると、制御部300は、表示部22に、図25(b)に一例を示す完了画面G10を表示させる。
完了画面G10は、閉じるボタンB101を有する。閉じるボタンB101が操作されると、制御部300は、返金手段327として、オペレータに対して、客への所定金額の返金を指示する。つまり、制御部300は、表示部22に、支払画面G11を表示させる。
図26は、支払画面G11の一例を示す図である。支払画面G11は、返金額を示すとともに、「レシートも忘れずに渡してください。」のような文字やイラストによるオペレータへの案内を含んでいる。
ここで、POS端末2と連動する釣銭機(不図示)がある場合、完了画面G10の閉じるボタンB101が操作を受けると、返金額分の貨幣を釣銭機が払い出すので、オペレータは支払画面G11が示す金額と照らし合わせて返金レシートR4などとともに客に返す。
また、POS端末2と連動するのが釣銭機でなくドロワ(不図示)である場合、完了画面G10の閉じるボタンB101が操作を受けるとドロワが開くので、オペレータは支払画面G11が示す金額分の貨幣をドロワから取り出して返金レシートR4などとともに客に返す。
図27は、返金レシートR4の一例を示す図である。返金レシートR4は、処理対象取引と、返金額とを記載した書類である。返金レシートR4は、非居住者である客に渡される。
また、返金レシートR4は、免税店を経営する事業者の氏名又は名称a、決済後免税適用処理が行われた取引年月日d、取引番号e、およびレジ番号fを含む。また、返金レシートR4は、各処理対象取引の取引番号r、レジ番号s、および返金額tを含む。また、返金レシートR4は、決済後免税適用されたことを示すメッセージ「上記取引に免税を適用しました。」uを有する。また、返金レシートR4には、上述の決済後免税適用処理の取引番号eをコード化したバーコードwが印字されている。
なお、支払画面G11は、閉じるボタンB111を有する。閉じるボタンB111が操作されると、制御部300は、返金処理(ステップS84)を終え、決済後免税適用処理(ステップS32)を終了して、ステップS11に戻る。
次に、合計額が基準金額に到達していなかった場合(ステップS83のNo)について説明する。この場合、制御部300は、まず、図28に一例を示す状態の確認画面G7を、表示部22に表示させる。この場合の確認画面G7には、図23に示した状態に加え、保留ボタンB73、追加ボタンB74、メッセージM1が表示される。当該状態の確認画面G7の表示に際し、制御部300は、確定ボタンB71を操作不可とする。
メッセージM1は、合計額の不足を案内する。つまり、メッセージM1は、処理対象商品の価格の合計額が、基準金額に達していない旨と、基準金額との差額と、を示す。保留ボタンB73は、保留処理(ステップS85)の開始を指示する操作を受け付ける。追加ボタンB74は、追加処理(ステップS86)の開始を指示する操作を受け付ける。
保留処理(ステップS85)において、制御部300は、まず、保留履歴DB2に、上記処理用データを保存する。また、制御部300は、図29に一例を示す保留レシートR5を、プリンタ23に印字・発行させる。保留レシートR5は、保留伝票の一例であって、上記識別コードとしての上記保留番号e2や、当該保留番号e2をコード化したバーコードw、説明v1〜v3、当該保留レシートR5を発行したPOS端末2のレジ番号f2などを有する。
説明v1は、例えば「ご購入の総額が、適用可能金額に達していません。」など、免税を適用できない理由を示す。説明v2は、例えば「免税適用の手続きを保留しました。」など、現在のステータスを示す。説明v3は、免税適用までの不足額を案内する。ここでの不足額とは、免税適用の下限値から合計額を引いた金額である。なお、実施にあたっては、保留レシートR5には、少なくとも上記保留番号が、文字またはスキャナ読み取り可能なコード画像で印刷されていればよい。
保留処理を終えると、制御部300は、決済後免税適用処理(ステップS32)を終了して、ステップS11に戻る。
保留レシートR5は、当該レシートR5を受け取った客が、不足額分以上の金額の購入(追加購入)をして、改めて決済後免税適用処理を求める(つまり決済後免税適用処理を再開する)場合に、用いられる。この処理の再開に際し、取引指定(ステップS81)において、制御部300は、指定手段321としての他、再開手段325として機能する。ここでの指定手段321としての制御部300は、追加購入のレシートR0に表示されたバーコードwをスキャナ24に読み取らせる。
再開手段325としての制御部300は、保留レシートR5の読み取りによって、当該保留レシートR5が示す保留番号e2により識別されるレコードを保留履歴DB2から読み出し、各レコードに記録された保留レシートR5発行時の各処理対象取引を取引履歴DB1から読み出す。これにより、保留レシートR5発行時の各処理対象取引ごとのレシートR0を読み取り直す作業が不要となる。
次に、追加処理(ステップS86)について説明する。図28に示す状態の確認画面G7において、追加ボタンB74が操作されると、制御部300は、追加処理を行う。当該追加処理において、制御部300は、その場での追加購入を受け付ける。つまり、オペレータが不足額を客に伝え、客がその場で追加購入する商品を提示した場合、POS端末2は、その商品の販売データ登録を受け付け、さらに、当該商品の価格を合計額に合算する。
図30は、追加処理によって二種類の不足額のうち一種類が補填された状態の確認画面G7の一例を示す図である。このときの確認画面G7では、メッセージM2が表示される。メッセージM2は、追加購入により変更された不足額を案内する。また、この確認画面G7の表示に際し、制御部300は、確定ボタンB71を使用可能状態に変更する。
このように、実施形態によれば、取引処理後に処理対象として指定された一又は複数の取引について、当該取引に含まれる免税対象商品の免税処理を行うことができるため、販売対象の販売後に改めて免税の手続きをする場合であっても、当該取引を取り消すことなく免税処理が実行可能である。
図10の説明に戻る。ステップS31において、決済後免税適用キーK3は操作されていないと判断した場合は(ステップS31のNo)、制御部300は、レジマイナスキーK4が操作されたか否かを判断する(ステップS41)。操作されたと判断した場合は(ステップS41のYes)、制御部300は、続けて決済後免税適用キーK3が操作されたか否かを判断する(ステップS42)。操作されたと判断した場合は(ステップS42のYes)、制御部300は、決済後免税適用取消処理を実行する(ステップS43)。
一連の取引において決済後免税適用処理は1回しかできない。そのため、当該決済後免税適用した商品に間違いがある場合、また新たに免税処理をしたい商品がある等の理由で再度決済後免税適用をしたい場合は、すでに処理した決済後免税適用について当該決済後免税適用の処理を取り消す決済後免税適用取消処理を行ってから再度、決済後免税適用をする必要がある。決済後免税適用取消処理の詳細については割愛する。
ステップS42において、決済後免税適用キーK3は操作されていないと判断した場合は(ステップS42のNo)、制御部300は、例えば、ステップS14で決済処理をした取引やステップS22で免税処理した取引の取消処理を実行する(ステップS44)。取消処理の詳細については割愛する。
ステップS12の処理後、ステップS16の処理後、ステップS22の処理後、ステップS32の処理後、ステップS43の処理後およびステップS44の処理後に、制御部300はステップS11に戻る。また、ステップS41においてレジマイナスキーK4が操作されていないと判断した場合は(ステップS41のNo)、制御部300はステップS11に戻る。
このように、実施形態によれば、処理対象として指定された一又は複数の取引について、決済後免税適用した取引を取り消すことなく決済後免税適用取消処理が実行可能である。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、実施形態では、パスポートが保持する情報を、パスポートリーダ25が有する光学文字認識機能を用いることで文字列として読み取る構成としたが、読み取り方法はこれに限らないものとする。具体的には、パスポートにICタグ等の記憶媒体が埋め込まれている場合、パスポートリーダ25としてRFIDリーダを用いることで、当該記憶媒体から記載事項に対応する情報を読み取る構成としてもよい。
また、実施形態では、取引番号を入力する際にレシートに印字されたバーコードを読み取って入力するようにしたが、これに限らず、例えばレシートに印字された取引番号をオペレータがキーボード21から入力するようにしてもよい。この場合、レシートは、バーコードが印字されていないものでもよい。
また、実施形態では、取引履歴DB1をサーバ4に設けたが、それ以外の、例えばPOS端末2等に設けてもよい。
また、実施形態では、商品を販売対象の一例として説明したが、商品以外の販売対象(例えばサービス)であってもよい。
また、実施形態では、サーバ4を情報処理装置の一例として説明したが、これに限らず、例えばサービスカウンタ等に設置されたパーソナルコンピュータ等を情報処理装置としてもよい。