本実施形態においては、外国人旅行者等の非居住者に対して通常生活の用に供する物品を一定の方法で販売する輸出物品販売場(免税店)で用いられるPOS(Point Of Sales)システムについて説明する。本実施形態は、商品販売データ処理装置として免税店の店舗に設置されたPOS端末へ適用した例である。
図1は、実施形態にかかるPOSシステム1の概略構成図である。POSシステム1は、図1に示すように、複数台(図では2台)のPOS端末2と、これらのPOS端末2をLAN(Local Area Network)等のネットワーク3で接続して集中管理する情報処理装置であるストアサーバ4とを備える。
ストアサーバ4は、POSシステム1全体の制御を受け持つものである。図2は、ストアサーバ4のハードウェア構成を示すブロック図である。ストアサーバ4は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成されるコンピュータ構成の制御部41を備える。
制御部41は、通信I/F(インタフェース)43と、I/O機器制御部44とがバス42によって接続される。ストアサーバ4は、通信I/F43及びネットワーク3(図1参照)を介して複数台のPOS端末2との間で相互にオンライン通信する。また、制御部41にはバス42及びI/O機器制御部44を介して、キーボード45、表示器46、プリンタ47及びHDD(Hard Disk Drive)48が接続されている。HDD48は、制御部41のCPUを動作させる各種制御プログラムを格納している。また、HDD48は、商品マスタファイルF1、免税区分ファイルF2及び免税設定値ファイルF3を格納している。また、HDD48は、POS端末2で販売登録処理された取引に関する情報を蓄積するためのデータベースとして取引履歴DB1を保持する。
なお、本実施形態のストアサーバ4で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルであり、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。そのような記録媒体は、CD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等である。
さらに、本実施形態のストアサーバ4で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態のストアサーバ4で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
次に、商品マスタファイルF1と、商品マスタファイルF1に設定される商品分類(分類)について説明する。図3は、商品マスタファイルF1のデータ構成の一例を示す図である。図3に示すように、商品マスタファイルF1には、販売登録対象の各商品の商品コード(商品識別情報)に対応付けて、商品名や商品の価格(単価)、分類コード(分類1コード、分類2コード)、免税区分コード、危険物区分コード等の商品情報が設定される。危険物区分コードは、航空機への持ち込みが禁止されているスプレー類等の取扱いに注意を要する商品に付与される。
商品は複数の分類コードによって分類分けされており、それら複数の分類は階層的に構築されている。
即ち、図3に示すように、商品は、大まかな分類である分類1(上位の分類)によって複数に分類分けされている。また、各分類1はより細かな分類である分類2(下位の分類)によってさらに詳細に分類されている。即ち、上位の分類1は、分類1より下位の分類2によって複数に分類分けされており、下位の分類2を少なくとも1つ含んでいる。
なお、階層的に構築されているという点では、各商品に付される商品コードを分類2より下位の分類とみなすことができる。商品コードは、最も詳細な分類、即ち、最下位の分類とみなすことができる。
次に、免税区分ファイルF2について説明する。図4は、免税区分ファイルF2のデータ構成の一例を示す図である。図4に示すように、免税区分ファイルF2には、免税区分コードに対応付けて、免税区分名称が設定される。免税区分名称は、「消耗品」、「一般物品」、「免税対象外」である。「消耗品」は、外国人旅行者等の非居住者に対して販売する物品にかかる税金を免除する免税対象品であって、食料品、飲料類、薬品類、化粧品類等の物品である。「一般物品」も免税対象品であって、消耗品以外の通常生活の用に供する物品である。
次に、免税設定値ファイルF3について説明する。図5は、免税設定値ファイルF3のデータ構成の一例を示す図である。図5に示すように、免税設定値ファイルF3には、免税区分コードに対応付けて、設定値が設定される。設定値は、各区分において免税として販売登録を行う目安となる。図5に示す例では、免税区分コード“01”の消耗品についての設定値は、5千円~50万円である。また、免税区分コード“02”の一般物品(消耗品以外の通常生活の用に供する物品)についての設定値は、1万円を超える額である。
次に、取引履歴DB1について説明する。図6は、取引履歴DB1のデータ構成の一例を示す図である。図6に示すように、取引履歴DB1には、POS端末2の各々で処理された取引の販売データが、取引履歴として格納される。取引履歴は、各取引を識別するための取引番号、取引が行われた取引日時、取引が行われたPOS端末2を識別するレジ番号を含む。また、取引履歴は、販売登録された各商品の商品コード、単価、点数等を含む。また、取引履歴DB1には、取引番号に対応付けて、フラグが設定される。フラグは、その取引を後述する免税処理の対象としたか否かを判定する際の目安となる。なお、図6に示す例では、フラグ“0”の取引は、免税処理の対象としていないことを意味し、フラグ“1”の取引は、免税処理の対象としたことを意味する。
本実施形態にかかるストアサーバ4の制御部41は制御プログラムに従うことにより、商品マスタファイルF1、免税区分ファイルF2及び免税設定値ファイルF3を所定のタイミングでPOS端末2に対して配信する。
次に、POS端末2について説明する。POS端末2は、ユニークなレジ番号を割り振られて精算場所に配置されている。POS端末2は、オペレータ(キャッシャ)が販売登録処理を行うための端末である。
図7は、POS端末2のハードウェア構成を示すブロック図である。図7に示すように、POS端末2は、キーボード21、表示面上にタッチパネルが設けられた液晶ディスプレイ装置である表示器22、プリンタ23、カードリーダ/ライタ(R/W)24、商品に付されたバーコードや二次元コード等を光学的に読み取るコードスキャナ25、ストレージデバイスであるHDD26、パスポートリーダ27等を接続する。
キーボード21は、各種のキーをブロック毎に配列した外観構造を有している。各種のキーは、例えば、商品コードや金額等を入力するための置数キー、販売合計金額の算出を宣言するための小計キー、販売処理において現金による締めを宣言するための預/現計キー、各種商品を指定するためのPLUキー、置数キーによる置数入力を確定する確定キー、クリアキー等である。また、キーボード21は、免税宣言キーK1と、品名リスト出力キーK2と、免税再集計キーK3とを備える。免税宣言キーK1は、免税取引の宣言を行うための操作子である。品名リスト出力キーK2は、免税の対象となった商品のリスト(品名リスト)の出力を指示するための操作子である。免税再集計キーK3は、後述する免税再集計の宣言を行うための操作子である。
パスポートリーダ27は、パスポート(旅券)が保持する情報を読み取るリーダ装置である。本実施形態では、パスポートリーダ27は、パスポートに記載された文字列を光学的に読み取る光学文字認識(OCR:Optical Character Recognition)機能を有する。
図7に示すように、POS端末2は、マイクロコンピュータ30を有している。マイクロコンピュータ30は、各種演算処理を実行し各部を制御するCPU31に、固定データを固定的に記憶保存するROM32と、可変データを書き換え自在に記憶してワークエリアとして使用されるRAM33とがバスライン34を介して接続されて構成されている。マイクロコンピュータ30は、情報処理を実行する情報処理部を構成する。
RAM33には、後述する免税対象金額を集計する免税対象金額テーブルTが形成される。
また、マイクロコンピュータ30には、前述したキーボード21、表示器22、プリンタ23、カードリーダ/ライタ24、コードスキャナ25、HDD26、パスポートリーダ27が、バスライン34を介して接続されている。キーボード21、表示器22、プリンタ23、カードリーダ/ライタ24、コードスキャナ25、HDD26、パスポートリーダ27は、マイクロコンピュータ30によって動作制御等される。
さらに、POS端末2は、店舗内に設けられたネットワーク3を介して上位装置であるストアサーバ4とデータ通信をするための通信インタフェース(I/F)28を備えている。この通信インタフェース28もバスライン34に接続されている。
ところで、POS端末2が備えるHDD26には、オペレーティングシステム、各種コンピュータプログラム、及び、各種データファイルが記憶されている。データファイルとしては、ストアサーバ4から配信される商品マスタファイルF1、免税区分ファイルF2及び免税設定値ファイルF3等がある。
本実施形態のPOS端末2で実行されるオペレーティングシステムやコンピュータプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
また、本実施形態のPOS端末2で実行されるオペレーティングシステムやコンピュータプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態のPOS端末2で実行されるオペレーティングシステムやコンピュータプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
また、本実施形態のPOS端末2で実行されるオペレーティングシステムやコンピュータプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
本実施形態にかかるPOS端末2のマイクロコンピュータ30(以下においては、POS端末2という)がコンピュータプログラムに従うことにより実行する処理について説明する。
図8は、POS端末2の機能構成を示す機能ブロック図である。図8に示すように、本実施形態にかかるPOS端末2で実行されるコンピュータプログラムは、後述する各部(入力手段301、販売登録手段302、免税宣言手段303、判定手段304、読取手段305、表示手段306、加算手段307、基準金額判定手段308、免税手段309、印字手段310)を含むモジュール構成となっている。実際のハードウェアとしてはCPU31がHDD26からコンピュータプログラムを読み出して実行することにより、上記各部がRAM33上に生成されるようになっている。
入力手段301は、商品コード及び販売数量を入力する。販売登録手段302は、入力手段301により入力された商品コードに応じて商品マスタファイルF1を検索して得られる単価及び販売数量に基づき、販売対象の商品の登録金額を算出する販売登録処理を実行する。
免税宣言手段303は、免税宣言キーK1や免税再集計キーK3の操作に応じて、免税取引の宣言を行う。判定手段304は、免税宣言手段303による免税取引の宣言があった場合、販売対象の商品について、商品マスタファイルF1の免税区分を参照することによって免税対象商品であるか否かを判定する。具体的に、判定手段304は、免税宣言の前に販売登録手段302によって販売登録処理を実行された商品及び当該宣言後に商品コードが入力された商品について、免税対象商品であるか否かを判定する。また、取引履歴に含まれた商品について、免税対象商品であるか否かを判定する。
読取手段305は、免税宣言手段303による免税取引の宣言があった場合、パスポートリーダ27と協働することで、パスポートに記載された文字列から所定の文字列を読み取る。ここで、読み取り対象の文字列は、免税制度にかかる法令に定められた記載すべき事項(記載事項)の一部又は全てに対応する情報である。かかる文字列としては、例えば、旅券番号、氏名、国籍、生年月日等が挙げられる。具体的に、読取手段305は、パスポートリーダ27で取得された文字列(情報)から、記載事項の項目名を検出し、この項目名に対応付けて記載された文字列をそれぞれ読み取る。なお、記載事項に対応する文字列がコード化(数値化)された状態でパスポートに記載されている場合、読取手段305は、読み取ったコードから文字列の復号を行うものとする。
表示手段306は、表示器22を制御することで、当該表示器22に各種の情報(画面)を表示させる。例えば、表示手段306は、販売登録処理にかかる操作画面を表示させる。また、表示手段306は、読取手段305がパスポートから所定の文字列を読み取った場合、当該文字列をオペレータに確認させるための確認画面を表示させる。また、表示手段306は、免税対象商品が危険物区分の商品である場合、ワーニング表示を行う。
加算手段307は、判定手段304により免税対象商品であると判定した場合に、当該免税対象商品の登録金額を免税対象金額として加算する。基準金額判定手段308は、加算手段307により加算された免税対象金額が予め決められた基準金額を満たしているか否かを判定する。免税手段309は、基準金額判定手段308により基準金額を満たしていると判定した場合、免税対象金額にかかる税金を免除する免税処理を行う。
印字手段310は、プリンタ23を制御することで、当該プリンタ23に各種の情報を印字させる。例えば、印字手段310は、販売登録処理にかかる商品の明細を含み、その取引の取引番号等が記載された書類(レシート)を印字させる。また、印字手段310は、免税手段309による免税処理を実行した場合に、当該免税処理にかかる商品の明細を含み、免税制度にかかる法令に定められた記載すべき事項の全部又は一部が記載された書類を印字させる。また、印字手段310は、免税手段309による免税処理の実行時に、品名リスト出力キーK2の操作を受け付けると、名税の対象となった商品の商品名とその数量とを記載した品名リストを印字させる。
本実施形態にかかるPOS端末2は、概略的には、以下のような処理を実行する。
POS端末2(入力手段301)は、コードスキャナ25によりバーコードや二次元コード等の形態で各商品に付加された商品コードを読み取る。そして、POS端末2(販売登録手段302)は、読み取った商品コードに応じて商品マスタファイルF1を検索し、該当する商品コードに対応した商品情報を読み出して商品の単価等を取得する。また、POS端末2(販売登録手段302)は、購入対象となった商品の単価及び販売個数に基づき、これら商品の総額を算出する販売登録処理を実行する。
その後、POS端末2(販売登録手段302)は、預/現計キー等の操作に応じて販売登録処理を終了すると、その取引での取引内容を取引履歴としてストアサーバ4に送信する。ストアサーバ4では、POS端末2から送信された取引履歴を受信すると、取引履歴DB1に格納する。また、POS端末2(印字手段310)は、預/現計キー等の操作に応じて販売登録処理を終了すると、その取引での取引内容を印字する印字処理を実行する。
以下、POS端末2の動作について説明する。
[通常免税処理]
まず、上記した販売登録処理の際に、免税宣言キーK1が操作された場合の動作を、通常免税処理として説明する。
図9は、通常免税処理の流れを概略的に示すフローチャートである。なお、本処理の前提として、販売登録処理にかかる図10の商品登録画面G1が、表示器22に表示されているものとする。
まず、POS端末2(免税宣言手段303)は、販売登録処理の際に免税宣言キーK1の操作を待機する(ステップS1;No)。POS端末2(免税宣言手段303)は、免税宣言キーK1の操作を受け付けると(ステップS1;Yes)、免税取引の宣言があったと判断する。次いで、POS端末2(読取手段305)は、パスポートリーダ27を動作させ、パスポートから所定の文字列を読み取るまで待機する(ステップS2;No)。また、POS端末2(表示手段306)は、パスポートから所定の文字列を読み取るまでの間、表示器22の表示画面を商品登録画面G1(図10)から、ガイド画面G2(図11)に切り替える。
ここで、図11はガイド画面G2の一例を示す図である。図11に示すように、POS端末2(表示手段306)は、パスポートの読み取りを促すガイド画面G2を表示器22に表示させる。POS端末2のオペレータは、客(非居住者)から提示されたパスポートにおいて、免税制度にかかる事項が記載されたページを開き、当該ページをパスポートリーダ27に翳す。この動作に応じ、POS端末2(読取手段305)は、パスポートから所定の文字列を読み取る(ステップS2;Yes)。
続いて、POS端末2(表示手段306)は、ステップS2で読み取られた文字列を確認させるために、表示器22の表示画面を確認画面G3(図12)に切り替える(ステップS3)。
図12に示すように、確認画面G3には、ステップS2で読み取られた文字列が項目(事項)毎に表示される。図12では、パスポートに記載された項目のうち、旅券番号、氏名、国籍、生年月日の項目の文字列を読み取る場合の例を示している。
ここで、確認画面G3の各項目には、削除ボタンB1が対応付けて設けられている。POS端末2は、この削除ボタンB1の操作を受け付けると(ステップS4;Yes)、対応する項目について読み取られた文字列を削除し(ステップS5)、ステップS3に戻る。例えば、ステップS2で読み取られた各項目の文字列のうち、何れかの項目の文字列に誤りがあるような場合、削除ボタンB1を操作することで誤りのある文字列を削除することができる。なお、POS端末2(表示手段306)は、ステップS5で削除された項目の文字列を空とした確認画面G3を表示する。
また、確認画面G3には、本実施形態の確認受付手段に対応する確定ボタンB2、再読取ボタンB3、キャンセルボタンB4が表示される。POS端末2は、再読取ボタンB3の操作を受け付けると(ステップS4;No→ステップS6;Yes)、ステップS2に処理を戻すことで、パスポートから文字列の読み取りを再度行う。なお、前回読み取られた文字列は、再読取ボタンB3の操作に伴い削除されるものとする。
また、POS端末2は、キャンセルボタンB4の操作を受け付けると(ステップS4;No→ステップS6;No→ステップS7;Yes)、読み取られた文字列を全て削除し(ステップS8)、販売登録処理に戻る。なお、キャンセルボタンB4の操作に伴い、POS端末2(表示手段306)は、表示器22の表示画面を確認画面G3から商品登録画面G1に戻すものとする。
また、POS端末2は、確定ボタンB2の操作を受け付けると(ステップS4;No→ステップS6;No→ステップS7;No→ステップS9;Yes)、読み取られた文字列を保持したまま、ステップS10に移行する。なお、POS端末2は、確認画面G3において、何れかのボタンが操作されるまで待機を行うものとする(ステップS4;No→ステップS6;No→ステップS7;No→ステップS9;No)。
ステップS10において、POS端末2は、表示器22の表示画面を商品登録画面G4(図13)に切り替え(ステップS10)、免税処理を実行する(ステップS11)。
図13に示すように、確認画面G3表示(免税宣言)後の商品登録画面G4には、免税インジケータIが表示されている。POS端末2は、このように商品登録画面G4に免税インジケータIを表示することにより、免税宣言取引であることを操作者に報知する。なお、国籍選択後(免税宣言後)の商品登録画面G4に表示される登録商品は、免税宣言前の表示のままである。
ここで、ステップS11の免税処理について説明する。
まず、POS端末2(判定手段304)は、既に登録済みの登録商品について、商品マスタファイルF1の免税区分コードを参照することによって、免税対象となる免税対象商品を判定する。免税対象商品が存在する場合、POS端末2(加算手段307)は、免税対象となる登録商品グループ(一般物品グループ・消耗品グループ)毎の免税対象金額の免税対象金額テーブルTへの加算処理を行う。
免税対象商品の税種別による対応は、以下の様に行う。
免税対象となる登録商品が内税の場合、POS端末2は、登録金額の内税抜金額を免税対象金額として免税対象金額テーブルTへ加算する。より詳細には、POS端末2は、内税商品の場合、免税前登録金額と免税後登録金額との差額を免税額とする。
・免税前単価1080円-免税後単価1000円→免税額80円
免税対象となる登録商品が外税の場合、POS端末2は、登録金額を免税対象金額として免税対象金額テーブルTへ加算する。より詳細には、POS端末2は、外税商品の場合、登録金額に対する外税額を免税額とする。
なお、免税対象となる登録商品が非課税の場合、POS端末2は、登録金額を免税対象金額として免税対象金額テーブルTへは加算しない。
次に、POS端末2(基準金額判定手段308)は、免税対象金額テーブルTの免税対象金額が免税設定値ファイルF3の設定値(基準金額)を満たしているか否かを判定する。本実施形態の免税設定値ファイルF3においては、食料品、飲料類、薬品類、化粧品類、その他の消耗品についての設定値は、5千円~50万円である。また、一般物品(消耗品以外の通常生活の用に供する物品)についての設定値は、1万円を超える額である。
POS端末2は、消耗品についての免税対象金額が設定値(5千円~50万円)を満たしていると判定した場合、免税対象金額にかかる税金を免除する免税処理を行う。また、POS端末2(免税手段309)は、一般物品(消耗品以外の通常生活の用に供する物品)についての免税対象金額が設定値(1万円を超える額)を満たしていると判定した場合、免税対象金額にかかる税金を免除する免税処理を行う。
なお、POS端末2は、免税対象金額テーブルTの消耗品についての免税対象金額が設定値の上限値(50万円)を超えている場合には、表示器22にエラー表示を行う。
ここで、図14、図15はエラー画面の一例を示す図である。図14に示すように、免税宣言キーK1の操作による免税宣言時においては、POS端末2は、エラー画面G5として、「免税上限値をオーバーしています。商品の取消をして下さい。オーバー金額 XX,XXX円」と表示する。また、図15に示すように、免税宣言キーK1の操作による免税宣言後の販売登録処理の際においては、POS端末2は、エラー画面G6として、「免税上限値をオーバーしています。この商品は登録出来ません。オーバー金額 XX,XXX円」と表示する。なお、POS端末2は、キーボード21のクリアキーの操作があった場合には、エラー画面を消去する。
免税処理の実行後(ステップS11)、POS端末2は、商品登録画面の再表示を行う(ステップS12)。ここで、図16は再表示後の商品登録画面G7の一例を示す図である。図16に示すように、再表示後の商品登録画面G7は、税額を免税処理による税金の免除により「0円」とする。また、図16に示すように、再表示後の商品登録画面G7は、合計表示金額を免税処理後の金額とする。さらに、再表示後の商品登録画面G7は、免税対象済商品、つまり免税処理を施した商品に「免」という文字を表示する。
加えて、POS端末2(表示手段306)は、商品マスタファイルF1を参照して免税対象商品に危険物区分の商品がある場合には(ステップS13;Yes)、表示器22にワーニング画面をポップアップ表示する(ステップS14)。ここで、図17はワーニング画面G8の一例を示す図である。図17に示すように、POS端末2は、ワーニング画面G8として、例えば「スプレー類は、航空機への持ち込みが禁止されております。」と表示する。なお、POS端末2は、キーボード21のクリアキーの操作があった場合には、ワーニング画面G8を消去する。
上述のようにして販売登録処理の際にキーボード21の免税宣言キーK1の操作があった場合、以後の販売登録処理において販売登録された登録商品についてもステップS11の免税処理以降の処理が実行される。
その後、POS端末2は、販売登録処理において預/現計キーの操作を受け付けると、取引内容を示す販売データを生成し、ストアサーバ4に送信することで取引履歴として取引履歴DB1に格納する。また、POS端末2(印字手段310)は、印字処理を実行する。なお、販売登録処理において免税処理を実行した場合、POS端末2は、送信する取引履歴のフラグの値を、免税処理済を示す“1”に設定する。また、販売登録処理において免税処理を実行しなかった場合、POS端末2は、取引履歴(販売データ)のフラグの値を、免税処理の未実行を表す“0”に設定する。
本実施形態の印字処理においては、免税処理を行った取引の場合、例えば購入誓約書を1枚、購入記録票を2枚、レシートを1枚印字する。また、POS端末2は、ジャーナル印字も実行する。
まず、購入誓約書について説明する。ここで、図18は購入誓約書R1の一例を示す図である。購入誓約書R1は、免税物品の購入の事実を記載した書類である。購入誓約書R1は、免税店を経営する事業者に対し、店舗控えとして書類(購入者誓約書)に添付されて提出される。
図18に示すように、購入誓約書R1は、免税店を経営する事業者の氏名又は名称a、所轄税務署名b、免税店の店舗所在地c、取引年月日d、取引番号e、レジ番号f、商品の明細(品名g、品名ごとの数量及び価格h)、全物品の合計額i、一般物品と消耗品とのそれぞれの合計額j、免税額kを含む。
また、購入誓約書R1は、確認画面G3で確認された各項目の文字列を印字するための欄を有する。具体的に、購入誓約書R1には、下記の項目について確認画面G3で確認された文字列が印字される。
・旅券番号 …l
・購入者の国籍 …m
・購入者の氏名 …n
・購入者の生年月日 …o
なお、確認画面G3で削除ボタンB1の操作により削除された項目(文字列)については、その項目名のみを印字し、書類(購入誓約書)上において直接記入するものとする。また、購入誓約書R1のレイアウトは、図18の例に限らないものとする。例えば、購入後において輸出することを誓約する旨(消耗品の場合、購入した日から30日以内に輸出することを誓約する旨)や、購入者の署名欄等を印字してもよい。
次に、購入記録票について説明する。ここで、図19は購入記録票R2の一例を示す図である。購入記録票R2は、免税物品の購入の事実を記載した書類である。図19に示す購入記録票R2は、書類(購入記録票)に対する添付用及び店舗控え用として2枚印字される。添付用の購入記録票R2は、書類(購入記録票)に貼り付けられる。この書類(購入記録票)は、旅券に貼り付けて割印される。
図19に示すように、購入記録票R2は、免税店を経営する事業者の氏名又は名称a、所轄税務署名b、免税店の店舗所在地c、取引年月日d、取引番号e、レジ番号f、商品の明細(品名g、品名ごとの数量及び価格h)、全物品の合計額i、一般物品と消耗品とのそれぞれの合計額j、免税額kを含む。
また、購入記録票R2は、確認画面G3で確認された各項目の文字列を印字するための欄を有する。具体的に、購入記録票R2には、下記の項目について確認画面G3で確認された文字列が印字される。
・旅券番号 …l
・購入者の国籍 …m
・購入者の氏名 …n
・購入者の生年月日 …o
なお、確認画面G3で削除ボタンB1の操作により削除された項目(文字列)については、購入誓約書R1と同様、その項目名のみを印字し、書類(購入記録票)上において直接記入するものとする。また、購入記録票R2のレイアウトは、図19の例に限らないものとする。
次に、レシートについて説明する。ここで、図20はレシートR3の一例を示す図である。レシートR3は、取引後に購入者に渡される。
図20に示すように、レシートR3は、免税店を経営する事業者の氏名又は名称a、取引年月日d、取引番号e、レジ番号f、商品の明細(品名g、品名ごとの数量及び価格h)、全物品の合計額iを含む。なお、図20に示すように、免税対象済商品の場合には、税印字として「免」pが印字される。また、図20に示すように、免税取引の場合には、免税メッセージ「免税取引が行われました。」qがレシートR3に印字される。
なお、本実施形態のPOS端末2は、購入記録票R2及びレシートR3に対応するジャーナル印字を実行する。このとき、POS端末2は、レシートR3に対応するジャーナルに、確認画面G3で確認された項目の全て又は一部の文字列を印字する。
このように、POS端末2は、パスポートリーダ27を用いてパスポートから所定の文字列を読み取り、この読み取った文字列をオペレータに確認させるため、確認画面G3に表示する。そして、POS端末2は、オペレータによる確認後、確認画面G3に表示された文字列を購入誓約書等の書類に印字する。これにより、本実施形態のPOS端末2によれば、商品購入毎の購入者誓約書や購入記録票に対する記入等の煩雑な手続きが不要となるため、免税にかかる手続きを効率的に行うことができる。
また、POS端末2は、免税区分単位(消耗品、一般物品)に免税基準金額(消耗品:5000円、一般物品:10000円)を超えた場合に免税処理を自動的に行う。これにより、本実施形態のPOS端末2によれば、オペレータ判断での免税登録操作が不要となるとともに、免税制度の改正に対応した商品の販売登録処理を実行することができる。
また、POS端末2(印字手段310)は、品名リスト出力キーK2の操作を受け付けると、免税の対象とした商品の品名リストを出力するための印字処理(リスト印字処理)を実行する。ここで、品名リスト出力キーK2の操作を受け付けるタイミングは特に問わないものとする。例えば、販売登録処理の最中に品名リスト出力キーK2の操作を受け付けた場合、POS端末2(印字手段310)は、上述した印字処理とともにリスト印字処理を実行する。また、販売登録処理の処理外で品名リスト出力キーK2の操作を受け付けた場合、POS端末2(印字手段310)は、リスト印字処理の対象となる取引の取引番号等を入力させた後、リスト印字処理を実行する。
本実施形態のリスト印字処理では、品名リストを1枚印字する。ここで、図21は品名リストR4の一例を示す図である。品名リストR4は、免税処理の対象となった商品を列挙した書類である。品名リストR4は、免税処理の対象となった商品を包装する袋又は箱に添付される。
図21に示すように、品名リストR4は、免税店を経営する事業者の氏名又は名称a、免税処理の対象となった商品の品名g、品名ごとの数量及び価格hを含む。なお、免税処理の対象となった商品のうち、消耗品のみを品名リストR4に印字する形態としてもよい。この場合、商品が消耗品か否かの判別は、商品マスタファイルF1や免税区分ファイルF2の免税区分コードに基づいて行うものとする。また、POS端末2がラベルプリンタを別途備える場合、POS端末2(印字手段310)は、当該ラベルプリンタを用いて品名リストR4を印字する形態としてもよい。
このように、POS端末2によれば、品名リスト出力キーK2の操作に応じて、免税の対象となった商品の品名リストを出力することができる。これにより、本実施形態のPOS端末2によれば、免税の対象となった商品の包装に品名を示すことが法令により定められている場合に、品名リストを容易に発行することができるため、免税にかかる手続きを効率的に行うことができる。
[免税再集計処理]
次に、免税再集計キーK3が操作された場合の動作を、免税再集計処理として説明する。
図22は、免税再集計処理の流れを概略的に示すフローチャートである。まず、POS端末2(免税宣言手段303)は、販売登録処理の非実行時において、免税再集計キーK3の操作を待機する(ステップS21;No)。POS端末2(免税宣言手段303)は、免税再集計キーK3の操作を受け付けると(ステップS21;Yes)、免税取引の宣言があったと判断する。次いで、POS端末2は、ステップS22~S29の処理を行うことで、記載事項に対応する文字列をパスポートから読み取る。ステップS22~S29の処理は、上述したステップS2~S9と同様の処理であるため説明を省略する。なお、確認画面G3においてキャンセルボタンB4が操作された場合(ステップS27;Yes)、POS端末2は、パスポートから読み取った全ての文字列を削除した後(ステップS28)、本処理を終了する。
続くステップS30において、POS端末2(表示手段306)は、免税再集計画面G9を表示器22に表示する(ステップS30)。
ここで、図23、図24は免税再集計画面の一例を示す図である。図23に示すように、POS端末2(表示手段306)は、処理の対象となる取引の指定を促すメッセージを含んだ免税再集計画面G9を表示器22に表示させる。
POS端末2は、免税再集計画面G9のバックグラウンドにおいて、処理の対象となる取引(取引番号)が指定されるまで待機する(ステップS31;No→ステップS35;No)。ここで、取引の指定方法は特に問わないものとする。例えば、POS端末2は、コードスキャナ25やパスポートリーダ27等を介して、レシートR3等から取引番号を読み取ることで、取引の指定を受け付ける形態としてもよい。また、POS端末2は、キーボード21を介して入力される取引番号に基づき、取引の指定を受け付ける形態としてもよい。
POS端末2は、取引番号の指定を受け付けると(ステップS31;Yes)、その取引番号に対応する取引履歴をストアサーバ4の取引履歴DB1から読み出す(ステップS32)。次いで、POS端末2は、取引履歴DB1から読み出した取引履歴に基づき、免税の適用にかかる条件を満たすか否かを判定する(ステップS33)。
ステップS33の条件判定では、例えば、以下に示す各条件について判定を行う。第1の条件としては、取引履歴DB1から読み出した取引履歴のフラグが“0”であることが挙げられる。第2の条件としては、取引履歴に免税対象の商品が含まれることが挙げられる。第3の条件としては、先に読み出した取引履歴の取引年月日と同一の取引年月日であることが挙げられる。第4の条件としては、指定された全取引に含まれる免税対象の商品の合計金額(免税対象金額)が、免税設定値ファイルF3の設定値を満たすことが挙げられる。
続いて、POS端末2(表示手段306)は、ステップS32で読み出した取引履歴に基づき、その取引履歴の内容を追加した免税再集計画面を再表示する(ステップS34)。例えば、取引番号“0422”の取引履歴を読み出した場合、POS端末2(表示手段306)は、図23に示した免税再集計画面G9の領域A1に、その取引内容を追加して表示する。また、POS端末2(表示手段306)は、新たな取引履歴を読み出す毎に、その取引内容を領域A1に追加して表示する。その結果、図24に示すように、領域A1に、取引履歴がリスト表示された免税再集計画面G10が表示される。なお、領域A1では、取引内容として、取引日時(日付、時刻)、レジ番号、取引番号、免税対象金額(取引金額)を表示する構成としている。
また、POS端末2(表示手段306)は、ステップS33の条件判定において、条件を満たさないと判定した取引履歴については、その旨を示すメッセージ等を表示する。例えば、POS端末2(表示手段306)は、第1の条件を満たさない取引履歴について、免税対象済であることを示すメッセージを表示し、取引内容の表示を非実行とする。また、POS端末2(表示手段306)は、第2の条件を満たさない取引履歴について、免税の対象外であることを示すメッセージを表示し、取引内容の表示を非実行とする。また、POS端末2(表示手段306)は、第3の条件を満たさない取引履歴について、他の取引履歴の取引日と異なることを示すメッセージを表示したり、色分け等による強調表示を行う。また、POS端末2(表示手段306)は、第4の条件を満たさない取引履歴について、免税対象金額が設定値の範囲外にあることを示すメッセージを表示したり、色分け等による強調表示を行う。
なお、免税再集計画面に表示された取引は、キーボード21やタッチパネルを介した操作により、処理の対象から除外(削除)することが可能であるとする。また、免税再集計画面に表示された取引を選択することで、その取引に含まれる免税対象の商品をリスト表示する構成としてもよい。
続いて、POS端末2は、取引の指定を終了するか否かを判定する(ステップS35)。ここで、新たな取引番号が指定された場合(ステップS35;No→ステップS31;Yes)、POS端末2は、ステップS32に移行する。また、POS端末2は、キーボード等から確定を指示する操作を受け付けると取引の指定を終了し(ステップS35;Yes)、ステップS36に移行する。
ステップS36において、POS端末2は、免税再集計画面に表示された各取引の免税対象商品に対し免税処理を実行する(ステップS36)。この免税処理により免税された金額は、該当する客(非居住者)に返金される。
なお、ステップS36の免税処理は、上記したステップS11の免税処理と同様であるため説明を省略する。また、ステップS36の免税処理は、ステップS33の条件を全て満たすまで実行を抑制する構成としてもよい。また、POS端末2は、ステップS36の免税処理の後、上述したステップS13、S14の処理を行う構成としてもよい。
その後、POS端末2は、本処理の取引内容を示す販売データを生成し、ストアサーバ4に送信することで取引履歴として取引履歴DB1に格納する。なお、POS端末2は、送信する取引履歴のフラグの値を、免税処理済を示す“1”に設定する。また、POS端末2は、本処理で免税の対象とした取引の取引履歴のフラグの値を、免税処理済を示す“1”に設定する。また、POS端末2(印字手段310)は、印字処理を実行する。
免税再集計処理後の印字処理においては、例えば上記した購入誓約書を1枚、購入記録票を2枚、レシートを1枚に加え、返金レシートを1枚印字する。また、POS端末2は、ジャーナル印字も実行する。
ここで、返金レシートについて説明する。図25は返金レシートR5の一例を示す図である。返金レシートR5は、免税集計処理の対象となった取引と、返金された金額(免税額)とを記載した書類である。返金レシートR5は、非居住者である客に渡される。
図25に示すように、返金レシートR5は、免税店を経営する事業者の氏名又は名称a、免税再集計処理が行われた取引年月日d、取引番号e、レジ番号fを含む。また、返金レシートR5は、免税再集計処理の対象となった各取引の取引番号r、レジ番号s、返金額tを含む。また、図25に示すように、免税再集計が行われたことを示すメッセージ「免税再集計が行われました。」uが返金レシートR5に印字される。
このように、本実施形態のPOS端末2によれば、処理対象として指定された一又は複数の取引について、当該取引に含まれる免税対象商品の免税処理を一度に行うことができるため、免税にかかる手続きを効率的に行うことができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、上記実施形態では、パスポートが保持する情報を、パスポートリーダ27が有する光学文字認識機能を用いることで文字列として読み取る構成としたが、読み取り方法はこれに限らないものとする。具体的には、パスポートにICタグ等の記憶媒体が埋め込まれている場合、パスポートリーダ27としてRFIDリーダを用いることで、当該記憶媒体から記載事項に対応する情報を読み取る構成としてもよい。