ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ナビゲーション端末の構成:
(2)車両制御処理:
(2−1)フラグ設定処理:
(3)他の実施形態:
(1)ナビゲーション端末の構成:
図1は、本発明にかかる位置関係取得システムを含むナビゲーション端末10の構成を示すブロック図である。ナビゲーション端末10は、車両に備えられており、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20、記録媒体30を備えている。ナビゲーション端末10は、記録媒体30やROMに記憶されたプログラムを制御部20で実行することができる。記録媒体30には、予め地図情報30aが記録されている。地図情報30aは、車両の位置や制御対象地点の特定等に利用される情報であり、車両が走行する道路上に設定されたノードの位置等を示すノードデータ,ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点の位置等を示す形状補間点データ,ノード同士の連結を示すリンクデータ,道路やその周辺に存在する地物の位置等を示す地物データ等を含んでいる。
また、本実施形態における地図情報30aにおいては、ノードデータに信号交差点に関する情報が対応づけられている。すなわち、ノードが示す交差点に信号機が存在する場合、当該交差点は信号交差点として定義され、ノードデータには交差点が信号交差点であるか否かを示す情報が対応づけられている。信号交差点の少なくとも一部においては、交差点が信号交差点であることを示す情報に対して、信号機の現示が変化するタイミングを示す周期情報が対応づけられている。なお、当該周期情報は、種々の態様で取得可能であり、本実施形態のように予め地図情報30aに含まれていても良いし、各種の通信等によって外部の装置から取得されてもよい。
さらに、本実施形態における車両は、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43とビーコン通信部44とユーザI/F部45とを備えている。GPS受信部41は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の現在位置を算出するための信号を示す信号を出力する。制御部20は、この信号を取得して車両の現在位置を取得する。車速センサ42は、車両が備える車輪の回転に対応したパルス信号を出力する。
制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、時間当たりのパルス数に基づいて車速を取得する。ジャイロセンサ43は、車両の水平面内の旋回についての角加速度を検出し、車両の向きに対応した信号を出力する。制御部20は、この信号を取得して車両の進行方向を取得する。車速センサ42およびジャイロセンサ43等は、車両の走行軌跡を特定するために利用され、本実施形態においては、車両の出発位置と走行軌跡とに基づいて現在位置が特定され、当該出発位置と走行軌跡とに基づいて特定された車両の現在位置がGPS受信部41の出力信号に基づいて補正される。以上のように、GPS受信部41、車速センサ42、ジャイロセンサ43の出力信号に基づいて車両の現在位置を特定する手法は、第2手法である。
ビーコン通信部44は、道路に設置された通信装置と双方向通信を行う装置であり、通信装置から送信される信号を受信し、また、任意の情報が含まれる信号を通信装置に対して出力することができる。なお、本実施形態においては、光学式(光ビーコン方式)の通信装置が採用されているが、むろん、他の方式であっても良い。
ユーザI/F部45は、運転者に各種の情報を提供するためのインタフェース部であり、図示しない表示部や音声出力部、入力部等を備えている。制御部20は、図示しないナビゲーションプログラムの機能により、当該車両の現在位置および地図情報30aを利用して車両の運転者に対して走行予定経路に沿って走行するための経路案内を行うことが可能である。
本実施形態においては、当該ナビゲーションプログラムの機能により、信号交差点での停車頻度を低減することを目的として運転者を支援するための車両制御を行うことができる。具体的には、車両の前方に存在する信号交差点についての地図情報30aに信号機の周期情報が対応づけられている場合、制御部20は、当該信号交差点の信号機によって停止することなく通過できるように車速を変化させるための支援を行う。当該車両制御は、ナビゲーションプログラムが備える車両制御プログラム21によって実現される。車両制御プログラム21は、起算地点取得部21aと制御対象地点取得部21bと位置関係取得部21cと車両制御部21dとを備えている。
起算地点取得部21aは、車両制御における距離の起算地点を取得する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。本実施形態において制御部20は、道路に設置された通信装置の位置と見なされる道路上の位置を起算地点として取得する。当該道路上の位置は種々の手法で特定可能であり、本実施形態において制御部20は、ビーコン通信部44が通信装置と通信を行ったタイミングにおいて、GPS受信部41,車速センサ42,ジャイロセンサ43の出力信号に基づいて車両の現在位置を特定し、当該現在位置に対して予め統計等によって決められたマージンを設けることによって起算地点を取得する。
制御対象地点取得部21bは、車両制御における制御対象地点を取得する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。すなわち、制御部20は、地図情報30aを参照し、周期情報が対応づけられた信号交差点であって、車両の前方に存在する信号交差点を制御対象地点として取得する。
位置関係取得部21cは、起算地点からの距離が閾値以下である場合、GPSを利用しない第1手法によって車両と制御対象地点との位置関係を取得し、起算地点からの距離が閾値より大きい場合、GPSを利用する第2手法によって車両と制御対象地点との位置関係を取得する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。
本実施形態において、車速センサ42が出力するパルス毎の走行距離は予め特定されている。従って、制御部20が、起算地点以後にて車速センサ42が出力するパルスをカウントすれば、制御部20は、起算地点以後の車両の走行距離を取得することができる。そして、制御対象地点の位置を特定すれば当該制御対象地点と起算地点との関係は明らかになるため、制御部20は、起算地点からの距離を特定することで車両の位置と制御対象地点との位置関係を明らかにすることができる。制御対象地点の位置は、種々の手法で特定されて良く、例えば、地図情報30aに基づいて制御対象地点としての信号交差点や停止線の位置が特定されても良いし、ビーコン通信部44から信号交差点や停止線までの距離が取得されることによって特定されてもよい。以上の手法は、光ビーコン方式の通信(路車間通信)によって特定された車両の位置である起算地点を基準にして位置関係を取得する手法であり、本実施形態においてはこの手法が第1手法である。
一方、本実施形態においては、上述のように、GPS受信部41、車速センサ42、ジャイロセンサ43の出力信号に基づいて車両の現在位置を取得することができる。従って、制御部20が、地図情報30aによって制御対象地点(信号交差点)の位置を特定すれば、車両と制御対象地点との位置関係との位置関係を取得することが可能である。本実施形態においては、この手法が第2手法である。以上の手法は、車速センサ42およびジャイロセンサ43の出力信号に基づいて取得された相対位置をGPS受信部41の出力信号に基づいて取得された絶対位置で補正することで車両の現在位置を特定しており、絶対位置を基準とした相対位置によって車両の位置を特定している。この手法においてはGPS受信部41の出力信号に基づいて絶対位置が取得されることになり、当該手法はGPS信号によって特定された車両の位置を基準にして位置関係を取得する手法である。本実施形態においてはこの手法が第2手法である。
以上の第1手法と第2手法とを比較すると、誤差の距離依存性が異なる。すなわち、GPSを利用しない第1手法においては、走行距離の増加とともに誤差要因が増加し得るため、起算地点からの距離の増大とともに累積誤差も増加する。従って、起算地点からの距離が短い場合は誤差が少なく、第1手法を利用すると極めて正確に車両と制御対象地点との位置関係を取得することができる。
一方、GPSを利用する第2手法においては、マルチパス等の影響で位置特定の精度が変動し得るものの、GPS信号が取得できる限りにおいては、誤差が距離とともに累積的に増大し続けることはない。従って、第2手法を利用すると、起算地点からの距離が短い場合であっても、長い場合であっても、上限の誤差以内の精度で車両と制御対象地点との位置関係を取得することができる。従って、起算地点からの距離が短い場合は第1手法の方が第2手法よりも正確であり、起算地点からの距離が長い場合は第2手法の方が第1手法よりも正確であると見なすことができる。
そこで、本実施形態において制御部20は、起算地点からの距離が短いか否かを、当該距離と閾値との比較によって特定する。すなわち、本実施形態においては、第1手法において生じる単位距離当たりの誤差が統計によって予め特定され、第2手法において生じる最大誤差(誤差円の半径)が統計によって予め特定される。そして、第1手法における誤差が第2手法における誤差よりも悪化する距離の値が予め閾値として特定され、記録媒体30に記録されている(図示せず)。
そして、制御部20は、起算地点からの距離と閾値とを比較し、起算地点からの距離が閾値以下である場合、GPSを利用しない第1手法によって車両と制御対象地点との位置関係を取得し、起算地点からの距離が閾値より大きい場合、GPSを利用する第2手法によって車両と制御対象地点との位置関係を取得する。以上の構成によれば、起算地点からの距離が閾値以下である場合と、閾値よりも大きい場合との双方において、第1手法と第2手法とで相対的に誤差の小さい手法によって車両と制御対象地点との位置関係が取得される。この結果、長距離の区間に渡って高精度に車両と制御対象地点との位置関係を取得することが可能になる。
車両制御部21dは、車両と制御対象地点との位置関係に基づいて車両制御を実行する機能を制御部20に実行させるプログラムモジュールである。すなわち、制御部20は、位置関係取得部21cの処理によって車両と制御対象地点との位置関係が取得されると、地図情報30aを参照し、制御対象地点としての信号交差点における信号機の現示が変化するタイミングを特定する。また、制御部20は、車速センサ42の出力信号等に基づいて車両の現在車速を取得し、現在車速で走行した場合に制御対象地点としての信号交差点に到達するタイミングを特定する。そして、制御部20は、当該タイミングにおける現示が信号交差点を通過可能な現示である場合、制御部20は、ユーザI/F部45に対して制御信号を出力し、速度を維持すると制御対象地点としての信号交差点で停止することなく通過できることを示す案内を出力させる。
一方、信号交差点に到達するタイミングにおける現示が信号交差点を通過不可能な現示である場合、制御部20は、規定の範囲内の減速を行うことで信号交差点を通過可能なタイミングで信号交差点に到達できるか否かを判定する。当該判定は、例えば、制御部20がユーザI/F部45等を制御して車両に減速を促し、減速された場合に、減速後の車速を維持することによって制御対象地点としての信号交差点で停止することなく通過できる状況になったか否かを一定期間毎に判定する等して実現可能である。また、制御対象地点としての信号交差点まで既定距離以内の地点に到達する以前に、制御対象地点としての信号交差点で停止することなく通過できる状況になったと判定されない場合には、制御対象地点としての信号交差点で停止せざるを得ないと判定することができる。制御部20は、ユーザI/F部45に制御信号を出力し、各判定結果に対応した案内を出力させる。この結果、停止回数ができるだけ小さくなるような運転を行わせるように運転者に促すことができる。
(2)車両制御処理:
次に、図3Bに示す例に沿って車両制御プログラム21による車両制御処理を説明する。図2は、車両制御プログラム21が実行する位置関係取得処理を示すフローチャートである。図3Bは、実線によって道路を模式的に示しており、車両の現在地Cの前方に通信装置Pb、信号交差点I1,I2,I3が存在する例を示している。なお、ここでは、信号交差点I1,I2,I3の全てにおいて地図情報30aに信号機の周期を示す周期情報が含まれていることとする。むろん、上述のように、周期情報はビーコン通信部44の送信情報に含まれていてもよい。
車両の走行が開始されると、制御部20は、予め決められた期間(例えば100ms)毎に図2に示す車両制御処理を実行する。車両制御処理が開始されると、制御部20は、起算地点取得部21aの処理により、ビーコン通信部44を制御し、ビーコン信号を受信するための処理を実行する(ステップS100)。すなわち、制御部20は、ビーコン通信部44を制御し、道路に設置された通信装置との通信を試みる。通信可能範囲に通信装置が存在する場合、制御部20は、通信装置が出力したビーコン信号を受信する。図3に示す例において、車両が通信装置Pbの通信可能範囲に達した場合、制御部20は、ステップS100にてビーコン信号を受信することになる。
次に、制御部20は、起算地点取得部21aの処理により、適正に信号を受信できたか否かを判定する(ステップS105)。すなわち、制御部20は、ステップS100において通信エラーが発生することなくビーコン信号を受信できたか否かを判定し、通信エラーが発生していた場合、適正に信号を受信できなかったと判定する。通信エラーが発生することなくビーコン信号を受信できた場合、制御部20は、ビーコン信号に車両制御に関する情報が含まれているか否かを判定し、含まれている場合には適正に信号を受信できたと判定する。ステップS105において、適正に信号を受信できたと判定されない場合、制御部20は、車両制御処理を終了する。
一方、ステップS105において、適正に信号を受信できたと判定された場合、制御部20は、起算地点取得部21aおよび制御対象地点取得部21bの処理により、ビーコン信号を解析する(ステップS110)。具体的には、まず、制御部20は、ビーコン信号に含まれる情報を取得する。本実施形態において、通信装置Pbの前方の区間が車両制御の対象となる制御区間である場合、ビーコン信号には制御対象地点としての信号交差点を示す情報や通信装置の位置を示す情報等が含まれており、通信装置の位置と最も前方の信号交差点との間が制御区間になる。図3に示す例においては区間Zが制御区間である。従って、車両が通信装置Pbに接近して適正にビーコン信号が受信されると、制御部20は、起算地点取得部21aの処理により、ビーコン信号に含まれる情報に基づいて通信装置Pbの位置を特定して起算地点として取得する。また、制御部20は、制御対象地点取得部21bの処理により、ビーコン信号に含まれる情報に基づいて信号交差点I1,I2,I3が制御対象地点であることを特定する。なお、この場合、通信装置Pbの位置から信号交差点I3の位置までの区間が制御区間であると特定されたことになる。
次に、制御部20は、位置関係取得部21cの処理により、制御区間に進入したか否かを判定する(ステップS115)。すなわち、制御部20は、GPS受信部41、車速センサ42、ジャイロセンサ43の出力信号に基づいて車両の現在位置を特定し、ステップS110において取得された制御区間の開始地点である通信装置の位置を車両が通過した場合に制御区間に進入したと判定する。ステップS115において、制御区間に進入したと判定されない場合、制御部20は、車両制御処理を終了する(この場合、次に車両制御処理が実行された場合に制御区間に進入したと判定されることはあり得る)。
一方、ステップS115において、制御区間に進入したと判定された場合、制御部20は、車両制御部21dの処理により、制御中アイコンを出力させる(ステップS120)。すなわち、制御部20は、ユーザI/F部45に制御信号を出力し、現在、車両制御中であることを示すアイコンをディスプレイ上に出力させる。
次に、制御部20は、位置関係取得部21cの処理により、車両と制御対象地点との位置関係を取得する(ステップS125)。具体的には、ステップS115において、制御区間に進入したと判定された場合、制御部20は、位置関係取得部21cにより、起算地点からの距離の計測を開始する。すなわち、制御部20は、車速センサ42の出力信号に基づいて起算地点である通信装置の位置以後の累積走行距離を取得する処理を開始する。次に、制御部20は、位置関係取得部21cの処理により、起算地点からの距離に基づいて位置関係を特定するための手法を切り替えるために、図3Aに示すフラグ設定処理を開始する。
(2−1)フラグ設定処理:
フラグ設定処理においては、起算地点からの距離と比較される閾値を設定するとともに当該閾値に基づく比較を行う。上述のように、第1手法における誤差が第2手法における誤差よりも悪化する距離の値が閾値として地図情報30aに設定されており、当該値が閾値の初期値となる。フラグ設定処理が開始されると、制御部20は、フラグを0に設定する(ステップS200)。なお、フラグ0は第1手法を使用すべき状態であることを示し、フラグ1は第2手法を使用すべき状態であることを示しているため、初期においては第1手法を使用すべき状態に設定される。
フラグが0に設定されると、制御部20は、車両が停止したか否かを判定する(ステップS205)。本実施形態においては、車両が停止したと見なすことができる既定の値よりも車速が小さくなり、再度当該値を超えるまでの間を一回の停止と見なすように構成されている。そこで、制御部20は、車速センサ42の出力信号に基づいて車速を特定し、当該停止と見なされる状態になったか否かを判定する。
ステップS205において車両が停止したと判定された場合、制御部20は、停止回数を示す変数(初期値は0)をインクリメントし(ステップS210)、閾値を修正する(ステップS215)。本実施形態においては、起算地点と制御対象地点との間における車両の停止回数に応じて閾値が小さくなるように修正が行われる。すなわち、GPSを利用しない第1手法においては、車両の走行距離の増大に伴って車両の停止回数が増加すると、当該停止回数の増大に伴って誤差が増大する。従って、第1手法の誤差は、停止回数が増加するとともに増加すると推定され、本実施形態においては、1回の停止毎の誤差の増加分が予め定義されている。
そこで、制御部20は、車両が停止するたびに、1回の停止毎の誤差の増加分を閾値から減じる処理を行う。この構成によれば、停止による誤差の変化も加味した状態で、第1手法における誤差が第2手法における誤差よりも悪化する距離の値を閾値として設定することが可能になる。なお、ステップS205において車両が停止したと判定されない場合、制御部20はステップS210,215をスキップする。
ステップS205において車両が停止したと判定されない場合、または、ステップS215が実行された場合、制御部20は、起算地点からの距離が閾値より大きいか否かを判定する(ステップS220)。ステップS220において、起算地点からの距離が閾値より大きいと判定されない場合、制御部20は、ステップS200以降の処理を繰り返す。すなわち、第1手法を使用すべき状態に設定される。一方、ステップS220において、起算地点からの距離が閾値より大きいと判定された場合、制御部20は、フラグを1に設定する(ステップS225)。すなわち、第2手法を使用すべき状態に設定される。
ステップS115において、制御区間に進入したと判定された場合には、以上のフラグ設定処理によって車両と制御対象地点との位置関係を取得する手法が決定されている状態となる。そこで、ステップS125において制御部20は、決定された手法で車両と制御対象地点との位置関係を取得する。
具体的には、第1手法を使用すべき状態である場合、制御部20は、地図情報30aやビーコン通信部44の出力情報等に基づいて、制御区間の開始地点から各制御対象地点までの距離(図3に示す例においては、L1,L2,L3)を取得する。そして、各距離から車速センサ42の出力信号に基づいて取得した起算地点からの距離を減じることにより、車両と各制御対象地点(図3に示す例においては、I1,I2,I3)との距離を位置関係として取得する。
一方、第2手法を使用すべき状態である場合、制御部20は、GPS受信部41,車速センサ42,ジャイロセンサ43の出力信号に基づいて、車両の現在位置を取得する。また、制御部20は、地図情報30aを参照して各制御対象地点の位置を取得する。そして、車両の現在位置と各制御対象地点との距離を位置関係として取得する。
次に、制御部20は、車両制御部21dの処理により、各制御対象地点についての制御を開始すべきか否かを判定する(ステップS130)。制御を開始するためのトリガは種々の態様によって定義することができ、本実施形態においては、制御対象地点まで予め決められた距離以下となったことをトリガとしている。従って、制御部20は、ステップS125で取得された位置関係、すなわち、車両と各制御対象地点との距離が当該予め決められた距離以下となったか否かを判定する。そして、いずれかの制御対象地点について車両と各制御対象地点との距離が予め決められた距離以下となったと判定された場合、制御を開始すべきであると判定する。
例えば、図3に示す例において、予め決められた距離がL0である場合、車両が位置P1を通過した場合に、制御部20は、信号交差点I1についての制御を開始すべきであると判定する。また、車両が位置P2を通過した場合に、制御部20は、信号交差点I2についての制御を開始すべきであると判定し、車両が位置P3を通過した場合に、制御部20は、信号交差点I3についての制御を開始すべきであると判定する。なお、距離L0は予め決められていれば良く、固定値であっても良いし各種の条件によって変動する値であっても良い。後者としては、例えば、車両の現在車速に応じて距離L0が変動する構成等が挙げられる。
ステップS130において、制御を開始すべきであると判定された場合、制御部20は、車両制御部21dの処理により、案内情報を出力する(ステップS135)。すなわち、制御部20は、地図情報30aを参照し、ステップS130で制御を開始すると判定された制御対象地点としての信号交差点の周期情報を取得し、当該信号交差点における信号機の現示が変化するタイミングを特定する。
さらに、制御部20は、車両の現在車速に基づいて、車速の維持または減速をすることによって信号交差点で停止することなく通過することが可能であるか否かを判定する。可能である場合、制御部20は、ユーザI/F部45に制御信号を出力し、車速の維持または減速を促すためのアイコンを出力させる。車速の維持または減速をすることによって信号交差点で停止することなく通過することが可能であると判定されない場合、制御部20は、ユーザI/F部45に制御信号を出力し、当該信号交差点の現示が赤となることを示すアイコンを出力させる。
次に、制御部20は、車両制御部21dの処理により、車両と制御対象地点との位置関係を取得する(ステップS140)。ここで、制御部20は、ステップS130の判定を経て開始された車両制御の対象地点としての信号交差点と車両との距離を取得することにより、位置関係を取得する。むろん、当該位置関係を取得する際に利用する手法は、図3Aに示す処理で設定されたフラグが示す手法である。
次に、制御部20は、車両制御部21dの処理により、いずれかの制御対象地点についての制御を終了すべきか否かを判定する(ステップS145)。すなわち、制御部20は、ステップS140にて取得された位置関係によって、車両がいずれかの制御対象地点としての信号交差点を通過したと判定される場合(車両と制御対象地点との距離が0以下になった場合)、当該制御対象地点についての制御を終了すべきであると判定する。例えば、図3に示す例において、車両が信号交差点I1を通過した場合に、制御部20は、信号交差点I1についての制御を終了すべきであると判定する。
ステップS145において、いずれかの制御対象地点についての制御を終了すべきと判定された場合、制御部20は、車両制御部21dの処理により、案内情報を消去する(ステップS150)。すなわち、制御部20は、ユーザI/F部45に制御信号を出力し、制御を終了すべきとされた制御対象地点に関するアイコンを消去する。
ステップS150が実行された場合、または、ステップS145においていずれかの制御対象地点についての制御を終了すべきと判定されなかった場合、または、ステップS130においていずれかの制御対象地点についての制御を開始すべきと判定されなかった場合、制御部20は、車両制御部21dの処理により、車両が制御区間を退出したか否かを判定する(ステップS155)。すなわち、制御部20は、図3Aに示す処理によって決定された手法によって車両と制御区間の終了地点(最も前方の制御対象地点)との位置関係を特定し、当該制御区間の終了地点を車両が通過した場合に制御区間から退出したと判定する。例えば、図3に示す例において、車両が信号交差点I3を通過した場合に、制御部20は、車両が制御区間から退出したと判定する。
ステップS155において、車両が制御区間から退出したと判定されない場合、制御部20は、車両制御部21dの処理により、いずれかの制御対象地点についての制御を実行中であるか否かを判定する(ステップS165)。そして、ステップS165において、いずれかの制御対象地点についての制御を実行中であるであると判定された場合、制御部20はステップS140以降の処理を繰り返す。一方、ステップS165において、いずれかの制御対象地点についての制御を実行中であるであると判定されない場合、制御部20はステップS130以降の処理を繰り返す。
ステップS155において、車両が制御区間から退出したと判定された場合、制御部20は、制御中アイコンを消去する(ステップS160)。すなわち、制御部20は、ユーザI/F部45に制御信号を出力し、車両制御中であることを示すアイコンをディスプレイ上から消去させる。以上のように、本実施形態においては、ステップS125,S140等において、車両と制御対象地点との位置関係を取得する処理を行っているが、この際に利用される手法は、起算地点からの距離と閾値との大小関係によって切り替えられる。従って、起算地点からの距離が短い場合であっても、長い場合であっても、正確に車両と制御対象地点との位置関係が取得され、信号交差点において停止せずに通過できるか否か等の判定が誤判定となることを低減することが可能である。
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、起算地点からの距離に基づいて車両と制御対象地点との位置関係を取得する手法を切り替える限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、ナビゲーション端末10は、車両に固定的に搭載されていても良いし、持ち運び可能なナビゲーション端末10が車両内に持ち込まれて利用される態様であっても良い。
また、起算地点取得部、制御対象地点取得部、位置関係取得部、車両制御部の一部または全部が他の端末、例えば、車両制御ECU等によって実行されても良い。さらに、停止回数による閾値の修正が省略された構成が採用されてもよい。
起算地点取得部は、車両制御における距離の起算地点を取得することができればよく、距離は、車両と制御対象地点との位置関係に基づいて車両制御が行われる構成において、少なくとも、当該位置関係を取得するための手法を決定するために利用されればよい。むろん、当該距離が位置関係を取得するために利用されてもよい。起算地点は、車両が走行した任意の地点であって良く、種々の手法で特定されてよい。例えば、路車間通信において特定の情報を取得した場合に、取得タイミングにおける車両の位置や当該位置にマージンを設けた位置等が起算地点とされても良い。また、道路上または道路周辺の地物の位置に基づいて起算地点が特定されても良く、種々の構成を採用可能である。
車両制御は、車両の状態を変化させるために行う任意の装置の制御であり、車両の状態を変化させることを目的として、車両が備える装置または車両内で使用される装置(携帯端末等)が制御される。車両の状態を変化させる際には、自動で車両の状態を変化させても良いし、運転者等を促すことによって運転者の運転操作を通じて車両の状態を変化させてもよい。
自動で車両の状態を変化させるための制御としては、例えば、スロットルバルブや燃料噴射量の制御によって車両を加減速させる制御が挙げられる。このような制御は、信号交差点の手前で実行されても良いし、他の制御対象地点、例えば、カーブ区間の開始地点や停止線の位置等に関連して実行されてもよい。より具体的には、減速制御としては、制御対象地点での停止が必要になる場合(信号交差点の現示が赤になると推定される場合等)や、減速によって制御対象地点で停止することなく信号交差点を通過できる場合等において、制御対象地点以前において既定の速度まで減速させる制御等が挙げられる。
運転者の運転操作を通じて車両の状態を変化させるための制御としては、例えば、運転者の操作を介して車両を加減速させることを目的とし、ディスプレイに加減速を支援する情報を出力させるようにナビゲーションシステムを制御する構成等が挙げられる。このような構成の具体例は、上述の実施形態の他にも種々の構成を採用可能である。例えば、信号交差点の手前で赤信号によって停止している状態において、青信号に変わるまでの時間等の案内を行うことで発進準備(加速準備)の案内を行う構成等であってもよい。
制御対象地点取得部は、車両制御における制御対象地点を取得することができればよい。すなわち、車両制御は、制御対象地点を利用して行われる制御であり、制御対象地点取得部は車両制御を行うために制御対象地点を取得する。車両制御に関する制御対象地点は、種々の地点が想定可能である。例えば、制御開始地点や制御終了地点が制御対象地点であっても良いし、車速などの制御に関するパラメータを決定するための地点が制御対象地点であっても良い。後者としては、例えば、制御対象地点の信号機の現示に基づいて当該制御対象地点の手前における車速を決定する車両制御等が挙げられる。
位置関係取得部は、起算地点からの距離が閾値以下である場合、GPSを利用しない第1手法によって車両と制御対象地点との位置関係を取得し、起算地点からの距離が閾値より大きい場合、GPSを利用する第2手法によって車両と制御対象地点との位置関係を取得することができればよい。すなわち、位置関係取得部は、起算地点からの距離を取得し、当該距離と閾値との比較に基づいて位置関係を取得する手法を第1手法と第2手法とで切り替えることができればよい。
起算地点からの距離は、種々の手法で取得されて良く、例えば、起算地点からの車両の走行距離をセンサ等に基づいて特定する構成等が挙げられる。なお、距離の取得と地点間の位置関係の取得とはほぼ同等の技術で実現可能であるため、第1手法と第2手法とのいずれかまたは他の手法を利用して起算地点からの距離が取得されてもよい。
車両と制御対象地点との位置関係は、直接的または間接的に規定されてよい。前者としては、例えば、車両の位置と制御対象地点との距離によって規定される構成等が挙げられる。後者としては、例えば、起算地点からの距離によって規定される構成等が挙げられる。すなわち、起算地点と制御対象地点が明らかである状態において、起算地点からの距離が特定されると、当該距離を起算地点と制御対象地点との距離から減じることで車両の位置と制御対象地点との距離を特定することが可能である。なお、位置関係は位置や距離の他、地点間の所要時間等によって規定されていてもよい。
位置関係を取得する手法は種々の手法を採用可能であり、GPS利用の有無によって少なくとも2種類の手法に分類される。GPSを利用しない第1手法としては、例えば、車両や車両内で利用される端末が備えるセンサの出力に基づいて起算地点からの距離や車両の位置を特定する手法が挙げられる。センサは、1以上の種々のセンサを想定可能であり、例えば、車輪に取り付けられる車速センサ(車輪の回転に伴ってパルスを出力するセンサ等)が挙げられる。むろん、車速センサと他のセンサ、例えば、ジャイロセンサ等を併用する手法であっても良い。
GPSを利用する第2手法は、GPS信号に基づいて車両の位置を特定する手法であり、位置関係取得部が複数のGPS衛星が出力するGPS信号を取得して車両の位置を特定可能であれば良い。第1手法と第2手法は、起算地点からの距離によって最大誤差の値が変化し、起算地点からの距離が閾値以下であれば第1手法の方が高精度であり、起算地点からの距離が閾値より大きければ第1手法の方が低精度であるような手法であれば良い。GPSの利用有無が異なると、以上のように起算点からの距離によって精度が変化するため、GPSを利用しない手法を第1手法、GPSを利用する手法を第2手法とすることにより、位置関係取得システムの一実施形態を構成することができる。
さらに、第1手法が路車間通信によって特定された車両の位置を基準にして位置関係を取得する手法であり、第2手法がGPS信号によって特定された車両の位置を基準にして位置関係を取得する手法である構成であっても良い。すなわち、GPSによって基準の位置が決められる場合と基準の位置を決める際にGPSが利用されない場合とで第1手法と第2手法とが区別される構成であっても良い。
路車間通信によって特定される基準は、路車間通信が行われた場合における車両の位置と見なすことができればよく、例えば、路車間通信が行われた場合における車両の位置が路車間通信を行う通信機(ビーコン等)の位置と同等と見なされる場合や、通信機の位置にマージンを設けた位置と見なされる場合等が挙げられる。このように、基準が特定されると、当該基準を起算地点とし、その後の車両の走行距離を取得することで起算点からの距離を取得するなどして車両と制御対象地点との位置関係を特定することが可能になる。GPS信号によって特定された車両の位置は、GPS信号が示す車両(GPSシステムを含むシステム(ナビゲーションシステム))の位置であっても良いし、GPS信号と他のセンサの出力信号が示す車両の位置であっても良い。
さらに、第1手法における誤差が第2手法における誤差よりも悪化する距離の値が閾値である構成が採用されていてもよい。すなわち、起算地点からの距離が増加すると、第1手法においては誤差が逓増するが、第2手法における誤差には上限がある。従って、起算地点からの距離に対応した誤差の振る舞いを第1手法、第2手法で評価すると、第1手法における誤差が第2手法における誤差よりも悪化するような距離を定義することができ、この距離を閾値とすることができる。この構成によれば、起算地点からの距離が閾値以下である場合と、閾値よりも大きい場合との双方において、第1手法と第2手法とで相対的に誤差の小さい手法によって車両と制御対象地点との位置関係が取得される。第1手法における誤差が第2手法における誤差よりも悪化する距離の値は、予め定義されていれば良く、例えば、第1手法において生じる単位距離当たりの誤差を統計等によって特定しておき、第2手法において生じる最大誤差(誤差円の半径等)を統計等によって特定しておき、比較すれば閾値を特定することができる。
さらに、起算地点と制御対象地点との間における車両の停止回数に応じて閾値が小さくなる構成であっても良い。すなわち、第1手法において車両の走行距離を計測する場合、車両の走行距離の増大に伴って車両の停止回数が統計的に増加すると、当該停止回数の増大に伴って誤差が増大する場合がある。例えば、車輪に車輪の回転を検出するセンサが取り付けられている場合、車両が停止した場合や停止している状態と同等の低速度で車両が走行した場合に、センサによる検出の精度が低下する場合がある。
そこで、第1手法の誤差は、停止回数が増加するとともに増加すると推定することができ、予め停止回数毎の誤差の増加分を定義しておけば、第1手法における誤差が第2手法における誤差よりも悪化する距離と停止回数との関係を特定することができる。そして、当該関係に基づいて、起算地点と制御対象地点との間における車両の停止回数に応じて閾値が小さくなる度合いを特定する構成とすれば、停止による誤差の変化も加味した閾値を設定することが可能になる。
さらに、本発明のように、起算地点からの距離に基づいて車両と制御対象地点との位置関係を取得する手法を切り替える構成は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のような装置、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような装置を備えたナビゲーション端末や方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。