(A)第1の実施形態
以下では、本発明に係る取引装置の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
第1の実施形態では、例えば金融機関等に設置されているATMに、本発明を適用する場合を例示する。
(A−1)第1の実施形態の構成
図2は、第1の実施形態に係るATM1の外観構成を示す外観斜視図である。図2において、第1の実施形態に係るATM1は、操作表示部11、紙幣入出金口12、硬貨入出金口13、通帳入出口14、カード入出口15、明細票排出口16を有する。
ATM1は、例えば金融機関、空港、駅、コンビニエンスストア等に設置されているものであり、各種取引処理を行なうものである。ATM1は、各種取引を行なう際に、必要に応じて、通帳やカード等の媒体の挿入を顧客に要求し、顧客により挿入された通帳やカード等の媒体に付与されている磁気ストライプから顧客情報を読み取り、この顧客情報を用いて現金(紙幣、硬貨)の入金取引や出金取引等の取引処理を行なう。また、ATM1は、必要に応じて、取引情報を媒体に書き込み、明細票を排出する。
操作表示部11は、取引を行なう顧客が操作したり、また取引に係る情報や入力された情報の確認画面等を表示したりするものである。操作表示部11は、例えば、取引種類の選択メニュー画面、各取引種類の操作画面、取引内容の確認画面等を表示する。操作表示部11は、例えば、タッチパネル方式の操作表示部を適用することができる。なお、操作表示部11は、操作部と表示部とが一体となったタッチパネル方式のものに限らず、操作部と表示部とがそれぞれ物理的に別の構成のものであってもよい。
紙幣入出金口12は、顧客により投入された紙幣を取り込んだり、又は、出金する紙幣を排出したりするものである。紙幣入出金口12は、例えば、開閉体(例えばシャッタ)と、紙幣を収納する収納部(バケット)とを有しており、紙幣投入の際又は紙幣排出の際に、シャッタが開き、紙幣の投入又は紙幣の排出を行なう。
硬貨入出金口13は、顧客により投入された硬貨を取り込んだり又は出金する硬貨を排出したりするものである。硬貨入出金口13も、紙幣入出金口12と同様に、バケットタイプを適用できる。
通帳入出口14は、顧客により挿入された通帳を取り込んだり又は通帳を排出したりするものである。
カード入出口15は、顧客により挿入されたカード(例えばキャッシュカード)を取り込んだり又はカードを排出したりするものである。
明細票排出口16は、取引終了後、取引に係る情報を印字した明細票を排出するものである。
図1は、第1の実施形態に係るATM1の制御系の構成を示す構成図である。図1において、第1の実施形態に係るATM1は、制御部20、記憶部21、操作表示制御部22、通帳駆動機構部23、カード駆動機構部24、紙幣駆動機構部25、硬貨駆動機構部26、明細票印刷部27、通信部28を有する。
制御部20は、ATM1が行なう各種機能を司るものである。例えば、制御部20は、ATM1における各種取引処理を制御したり、ATM1の操作表示部11に表示する画面の表示制御をしたりするものである。制御部20は、例えば、CPUが、ROMに格納される処理プログラムを実行することによりATM1の各種機能を実現する。処理プログラムがインストールされることで各種機能が構築されるようにしても良く、その場合、処理プログラムは図1に例示する機能ブロックとして示すことができる。
制御部20は、図1に示すように、取引処理部201、表示画面制御部202を有する。
取引処理部201は、ATM1における、振込取引や入金取引や出金取引等の各種取引の処理を行なうものである。振込取引は、入力された振込先に対して現金を振り込む取引である。入金取引は、顧客から受け取った現金を入金する取引であり、例えば、預け入れ取引等を含む取引である。出金取引は、顧客に対して現金を支払う取引であり、例えば、引き出し取引等を含む取引である。
取引処理部201は、操作表示部11に表示されている画面を通じて、顧客の希望する取引種別の入力情報を取得し、その取引種別に応じた手順で取引処理を行なう。取引処理部201は、操作表示部11の表示画面を通じて、取引情報を取得し、通信部28を介して金融機関ホストサーバとの間で取引情報を授受して取引を完了させる。また、取引処理部201は、完了した各種取引に関する取引情報を記憶部21に記憶するものである。
表示画面制御部202は、取引処理部201が実行する取引種別の手順に従って画面情報を記憶部21から読み出して、操作表示部11に表示する画面情報を操作表示制御部22に与えるものである。また、表示画面制御部202は、各種取引の画面情報の表示制御を行なうものであり、各種取引のうち振込取引を行う際に、振込先情報の出力(画面表示や明細票への印字等)の保護を行う振込先情報出力保護部203を有する。
振込先情報出力保護部203は、振込取引の際に、振込先確認画面に表示する振込先情報の全部又は一部の表示を保護したり、又は、振込取引終了後に明細票に印字する振込先情報の全部又は一部の印字を保護したりするものである。
振込先情報出力保護部203は、振込取引の手順において、振込先情報を表示するか又は保護するかを、顧客に選択させる振込先情報表示選択画面を表示する。そして、顧客により振込先情報を保護することが選択されたときに、振込先情報出力保護部203は、通信部28を介して、当該振込先情報を保護することを示す振込取引要求電文を金融機関ホストサーバに送信する。これにより、金融機関ホストサーバは、当該振込先情報を保護した内容の振込取引応答電文をATM1に返信することで、振込先情報を保護した内容の振込先確認画面を出力することができる。
ここで、振込先情報は、振込取引に関する情報であり、例えば、振込先の金融機関名、支店名、科目、口座番号、口座名義等を含む情報である。振込先情報出力保護部203は、上記振込先情報の振込先の金融機関名、支店名、科目、口座番号、口座名義等の全部の表示・印字の保護をしても良いし、上記振込先情報の一部の表示・印字を保護するようにしてもよい。
また、振込先情報の表示・印字の保護の仕方は、種々の方法を広く適用することができる。例えば、振込先確認画面において、振込先情報を表示する箇所を、ブランク(空白)等とするようにしても良い。また例えば、振込先確認画面に表示する口座名義人の名称の一部を「アスタリスク(*)」等に代えて表示する等のようにしても良い。
記憶部21は、制御部20により実行される処理プログラム、操作表示部11に表示する表示画面情報、取引情報や取引の際に取得する情報等を記憶するものである。
操作表示制御部22は、制御部20の制御の下、操作表示部11に表示する表示画面の表示動作や入力動作等を制御するものである。つまり、操作表示制御部22は、制御部20からの画面情報に基づいて、操作表示部11に画面表示させたり、又操作表示部11から入力された情報を制御部20に与えたりするものである。
通帳駆動機構部23は、制御部20の制御の下、通帳入出口14から通帳を取り込んだり又は排出したりするものである。また、通帳駆動機構部23は、通帳入出口14から挿入された通帳の磁気ストライプやICチップ等に格納されている通帳情報を読み取り、その通帳情報を制御部20に与える。また、通帳駆動機構部23は、取引内容を通帳に書き込み排出する。
カード駆動機構部24は、制御部20の制御の下、カード入出口15からカードを取り込んだり又は排出したりするものである。また、カード駆動機構部24は、カード入出口15から挿入されたキャッシュカードの磁気ストライプやICチップ等に格納されているカード情報を読み取り、そのカード情報を制御部20に与える。
紙幣駆動機構部25は、制御部20の制御の下、紙幣入出金口12のシャッタの開閉動作や、挿入された紙幣の吸入又は排出を行なう紙幣挿入排出機構や、紙幣を搬送する搬送機構等を制御するものである。
硬貨駆動機構部26は、制御部20の制御の下、硬貨入出金口13のシャッタの開閉動作や、投入された硬貨の取り込み又は排出を行なう硬貨投入排出機構や、硬貨を搬送する搬送機構等を制御する。
明細票印刷部27は、制御部20の制御の下、取引情報を媒体(明細票)に印字して、明細票排出口16に明細票を排出するものである。
通信部28は、通信回線を介して金融機関ホストサーバ等と情報の授受を行なうものである。ここで、通信部28は、例えば金融機関ホストサーバとの間で取引情報の授受を行なう際、ATM1が設置されている場所を特定する情報(例えば、金融機関名、金融機関コード、支店名、支店コード等を含む情報)や顧客情報や取引内容を示す情報などを含む情報を通知するようにしても良い。なお、金融機関ホストサーバに通知する情報は、上記に例示した情報に限定されるものではない。
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、第1の実施形態に係るATM1における振込取引における振込先情報の表示保護処理の動作を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図3は、第1の実施形態に係るATM1において振込先情報の表示保護の変更処理を示すフローチャートである。ここでは、振込先情報のうち口座名義の表示を保護する場合を例示する。つまり、他者から自身の口座に対して振込先の照会された場合、照会確認画面に自身の振込先情報(口座情報)が表示されないように表示の保護の設定をするものである。しかし、表示保護の対象は、特に限定されるものではなく、振込先情報のうち口座番号や金融機関名や支店名等としても良い。
図3において、ATM1の操作表示部11には、取引選択画面が表示されている。このとき、操作表示部11に表示される取引選択画面は、振込先情報表示変更ボタンを有しており、顧客操作により、振込先情報表示変更ボタンが選択される(S101)。
そして、顧客によりカードがカード入出口15に挿入され(S102)、操作表示部11において暗証番号が入力される(S103)。ここで挿入されるカードは、振込先情報を特定することができるものであれば良く、例えばキャッシュカードや振込カード等としても良い。
ATM1では、制御部20が、挿入されたカードから読み取ったカード情報及び暗証番号を含む振込先情報表示変更要求電文を、通信部28を介して、金融機関ホストサーバに送信する(S104)。これを受けて、金融機関ホストサーバは、振込先情報表示変更画面を含む応答電文をATM1に返信する。
ATM1では、受信した振込先情報表示選択画面が操作表示部11に表示される(S105)。
図3では、振込先情報表示選択画面の一例として名義表示選択画面500の画面例を示している。名義表示選択画面500は、例えば、「支店名:芝浦支店」、「科目:普通」、「口座番号:1234567」、「口座名義:オキ_タロウ」等の振込先情報504が表示され、「振込照会画面での口座名義表示方法を選択してください。現在は「口座名義をそのまま表示する」に設定されています。」などのガイダンス505が表示される。顧客が、振込照会画面(振込先確認画面)において、口座名義の表示を保護することを要求する場合、顧客操作により「保護して表示する」ボタン502が選択される。一方、口座名義の表示を保護しないで、現在の通り、口座名義を表示する場合、顧客操作により「そのまま表示する」ボタン501が選択される。このように、顧客の意思に応じて、振込先確認画面において振込先の照会がされた場合に自身の口座名義を表示するか又は口座名義の表示を保護するかを設定することができる。つまり、ここでは「オキ_タロウ」の口座に対して他者から振込先の照会がされた場合、「オキタロウ」の口座名義を表示するかしないかを設定することが出来る。なお、名義表示選択を取り消す場合、顧客操作により「取消」ボタン503が選択されて、処理は終了する。
なお、ここでは他者から自身の口座に対して振込先の照会がされた場合に自身の口座名義を表示するかしないかを設定するようにした。しかしながら、自身が振込取引をする際に、振込先の口座名義を表示するかしないかを設定するようにしてもよい。例えば、自身の口座に対して複数の振込先情報が登録されている場合、全ての振込先情報の表示保護を一括して行うようにしても良い。例えば、振込先情報表示選択画面において、一括して保護して表示する「一括」ボタンを表示し、この「一括」ボタンが選択されると、複数の振込先情報の全てについて表示保護を行うようにしても良い。また例えば、振込先情報表示選択画面上に複数の振込先情報の一覧を表示し、表示保護を行う振込先情報を選択できるようにし、選択した振込先情報を個別に表示保護できるようにしてもよい。このように、自身の口座に対して登録されている振込先情報を表示保護することにより、自身が振込先の照会を行った場合、振込先情報が保護されて表示されるので、振込先情報を十分に保護することが出来る。
制御部20の振込先情報出力保護部203は、名義表示選択画面500で選択された情報を含む電文を、金融機関ホストサーバに送信する(S106)。
これにより、「保護して表示する」ボタン502が選択された場合には、金融機関ホストサーバにおいて、振込先情報確認画面において当該振込先情報の口座名義の表示を保護することが設定される。つまり、当該振込先情報の口座名義の表示について、表示保護フラグが設定される。また、「そのまま表示する」ボタン501が選択された場合には、金融機関ホストサーバにおいて、当該振込先情報の口座名義を振込先情報確認画面に表示することが設定される。例えば、金融機関ホストサーバは、カード情報に含まれている依頼人情報と、振込先情報と、当該振込先情報に係る口座名義の表示を保護する場合には表示保護フラグとを対応付けて設定する。これにより、当該依頼人からの振込取引の依頼であって、指定された口座名義の振込取引のときには、振込先確認画面において口座名義の表示を保護することができる。
その後、挿入されたカードがカード入出口15から返却されて、処理は終了する(S107)。
図4は、第1の実施形態に係る振込先確認画面における振込先情報の表示保護の処理を示すフローチャートである。
ATM1の操作表示部11に表示される取引選択画面から、顧客操作により、振込取引が選択され(S201)、振込方法としてカード振込又は現金振り込みの方法種別が選択される(S202)。
S203において、カード振込が選択されると、顧客によりカードがカード入出口15に挿入され(S204)、操作表示部11において暗証番号が入力される(S205)。その後、操作表示部11において、顧客操作により、振込先情報として、振込金額入力(S206)、金融機関名入力(S207)、支店名入力(S208)、口座番号入力(S209)、科目入力(S210)、依頼人電話番号入力(S211)がなされる。制御部20は、入力された振込先情報と、依頼人情報としてのカード情報及び依頼人電話番号を含む振込取引要求電文を、金融機関ホストサーバに送信して振込先照会を行う(S212)。
金融機関ホストサーバは、口座番号が存在するか否かの確認と、振込先情報に口座名義の表示保護フラグが設定されているか否かと、を確認する。
そして、表示保護フラグが設定されており、口座名義の表示を保護する場合(S213)、金融機関ホストサーバは、受取人名と依頼人名と手数料等の情報と、口座名義の表示を保護するか否かの情報とを含む応答電文をATM1に送信する。ATM1において、振込先情報出力保護部203は、口座名義の表示を保護した振込先確認画面を操作表示部11に表示する(S214)。
一方、表示保護フラグが設定されておらず、口座名義の表示を保護しない場合(S213)、金融機関ホストサーバは口座名義を表示した振込先確認画面を含む応答電文をATM1に送信する。ATM1において、振込先情報出力保護部203は、口座名義を表示した振込先確認画面を操作表示部11に表示する(S215)。
図5は、第1の実施形態に係る口座名義の表示を保護した振込先確認画面の画面例を示す図である。また、図6は、口座名義を表示した振込先確認画面の画面例を示す図である。
図6に示すように、口座名義を表示した振込先確認画面520は、従来の振込先確認画面と同様に、振込先情報のうち、受取人(口座名義)の欄522に振込先である口座名義が表示される。
これに対して、図5に示すように、口座名義の表示を保護した振込先確認画面510は、振込先情報のうち、受取人(口座名義)の欄511には、口座名義が表示されていない。つまり、ここでは振込先である「オキ_タロウ」の振込先情報に表示保護フラグが設定されていたため、依頼人である「オキ_ハナコ」が振込先の照会を行っても、「オキ_タロウ」の振込先情報が保護されて表示されている。また、口座名義が表示されていないことを、顧客に注意喚起させるために、例えば「口座名義の受取人名で処理します」等の注意喚起情報が表示される。このように、振込先確認画面において、口座名義が表示されないことで、第三者による盗み見を防止でき、例えば「押し貸し」等の不正行為を防止できる。
その後、顧客操作により振込内容が確認されると、制御部20は、振込内容を含む振込取引要求電文を金融機関ホストサーバに送信して、取引を実行する(S216)。その後、振込取引の内容が明細票に印字され(S217)、カード及び明細票が返却されて処理が終了する(S218)。
S203において、現金振込が選択されると、操作表示部11において、顧客操作により、振込先情報として、振込金額入力(S219)、金融機関名入力(S220)、支店名入力(S221)、口座番号入力(S222)、科目入力(S223)、依頼人名入力(S224)、依頼人電話番号入力(S225)がなされる。制御部20は、入力された振込先情報と、依頼人情報としての依頼人名及び依頼人電話番号を含む振込取引要求電文を、金融機関ホストサーバに送信して振込先照会を行う(S226)。
金融機関ホストサーバでは、口座番号が存在するか否かの確認と、振込先情報に口座名義の表示保護フラグが設定されているか否かと、を確認する。
そして、表示保護フラグが設定されており、口座名義の表示を保護する場合(S227)、金融機関ホストサーバは、受取人名と依頼人名と手数料等の情報と、口座名義の表示を保護するか否かの情報とを含む応答電文をATM1に送信する。ATM1において、振込先情報出力保護部203は、口座名義の表示を保護した振込先確認画面を操作表示部11に表示する(S228)。
一方、表示保護フラグが設定されておらず、口座名義の表示を保護しない場合(S27)、金融機関ホストサーバは口座名義を表示した振込先確認画面を含む応答電文をATM1に送信する。そして、ATM1において、振込先情報出力保護部203は、口座名義を表示した振込先確認画面を操作表示部11に表示する(S229)。
S228及びS229で操作表示部11に表示する振込先確認画面は、S214及びS215で説明した図5及び図6の画面と同様の画面であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
そして、顧客による振込先確認画面で内容を確認した後、顧客操作により「確認」ボタンが押下されると、ATM1は、紙幣投入・計数を行い(S230)、画面上で金額確認を実施する(S231)。振込金額の確認後(S231)、ATM1は、金融機関ホストサーバとの間で通信(取引実行)を行い(S232)、必要に応じて釣銭の計数を実施し(S233)、振込取引の内容を明細票に印字し(S234)、必要に応じて現金(釣銭)と明細票を返却する(S235)。
(A−3)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、顧客に対して、口座名義をそのまま表示するか、又は、口座名義を保護して表示するかを確認し、顧客の判断による口座名義の表示変更が可能とし、顧客が指定した内容にて、振込先確認画面を表示することができる。これにより、振込先確認画面において、振込先受取人名を保護して表記することで、振込先情報を保護し、「押し貸し」などの犯罪に使われる事の低減が可能となる。
(B)第2の実施形態
次に、本発明に係る取引装置の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
第2の実施形態では、例えば金融機関等に設置されているATMに、本発明を適用する場合を例示する。
(B−1)第2の実施形態の構成及び動作
第2の実施形態は、振込先情報を明細票に印字する際に、振込先情報の印字形式の変更に関するものである。
なお、第2の実施形態では、明細票に印字する振込先情報を保護する場合を例示するが、第1の実施形態で説明した振込先情報確認画面において振込先情報の表示を保護する実施形態と組み合わせてもよい。つまり、振込先情報の振込先情報確認画面での表示の保護、及び、振込先情報の明細票への印字の保護の両方の機能を実行するようにしても良い。
第2の実施形態に係るATM1の制御系の構成及び外観構成は、第1の実施形態に係る図1及び図2と同様であるため、第2の実施形態においても図1及び図2を用いて説明する。
図7は、第2の実施形態に係るATM1において振込先情報の印字保護の変更処理を示すフローチャートである。ここでは、振込先情報のうち口座名義の印字を保護する場合を例示する。つまり、他者から自身の口座に対して振込取引がされた場合、明細票に自身の振込先情報(口座情報)が印字されないように保護の設定をするものである。しかし、印字保護の対象は、特に限定されるものではなく、振込先情報のうち口座番号や金融機関名や支店名等としても良い。
図7において、ATM1の操作表示部11に表示されている取引選択画面において、顧客操作により、振込先情報印字変更ボタンが選択される(S301)。顧客によりカードがカード入出口15に挿入され(S302)、操作表示部11において暗証番号が入力される(S303)。ATM1では、制御部20が、挿入されたカードから読み取ったカード情報及び暗証番号を含む振込先情報印字変更要求電文を、通信部28を介して、金融機関ホストサーバに送信する(S304)。これを受けて、金融機関ホストサーバは、振込先情報印字変更画面を含む応答電文をATM1に返信する。
ATM1では、受信した振込先情報印字選択画面が操作表示部11に表示される(S305)。
図7では、振込先情印字選択画面の一例として名義印字選択画面530の画面例を示している。名義印字選択画面530は、例えば、「支店名:芝浦支店」、「科目:普通」、「口座番号:1234567」、「口座名義:オキ_タロウ」等の振込先情報534が表示され、「振込明細での口座名義印字方法を選択してください。現在は「口座名義をそのまま印字する」に設定されております。」などのガイダンス535が表示される。顧客が、明細票において、口座名義の印字を保護することを要求する場合、顧客操作により「保護して印字する」ボタン532が選択される。一方、口座名義を保護しないで、現在の通り、口座名義を明細票に印字する場合、顧客操作により「そのまま印字する」ボタン531が選択される。このように、顧客の意思に応じて、他者から自身の口座に対して振込取引がされた場合、明細票に自身の口座名義を印字するか又は口座名義を保護するかを設定することができる。なお、名義印字変更を取り消す場合、顧客操作により「取消」ボタン533が選択されて、処理は終了する。
なお、ここでは他者から自身の口座に対して振込取引がされた場合に、明細票に自身の口座名義を印字するかしないかを設定するようにした。しかしながら、自身が振込取引をする際に、振込先の口座名義を印字するかしないかを設定するようにしてもよい。例えば、自身の口座に対して複数の振込先情報が登録されている場合、全ての振込先情報の印字保護を一括して行うようにしても良い。例えば、振込先情報印字選択画面において、一括して保護して表示する「一括」ボタンを表示し、この「一括」ボタンが選択されると、複数の振込先情報の全てについて印字保護を行うようにしても良い。また例えば、振込先情報印字選択画面上に複数の振込先情報の一覧を表示し、印字保護を行う振込先情報を選択できるようにし、選択した振込先情報を個別に印字保護できるようにしてもよい。このように、自身の口座に対して登録されている振込先情報を印字保護することにより、自身が振込取引を行った場合、振込先情報が保護されるので、振込先情報を十分に保護することが出来る。
制御部20の振込先情報出力保護部203は、名義印字選択画面530で選択された情報を含む電文を、金融機関ホストサーバに送信する(S306)。
これにより、「保護して印字する」ボタン532が選択された場合には、金融機関ホストサーバにおいて、当該振込先情報の口座名義の印字を保護することが設定される。つまり、当該振込先情報の口座名義の明細票への印字について、印字保護フラグが設定される。また、「そのまま印字する」ボタン531が選択された場合には、金融機関ホストサーバにおいて、当該振込先情報の口座名義を明細票に印字することが設定される。例えば、金融機関ホストサーバは、カード情報に含まれている依頼人情報と、振込先情報と、当該振込先情報に係る口座名義の明細票への印字を保護する場合には印字保護フラグとを対応付けて設定する。これにより、当該依頼人からの振込取引の依頼であって、指定された口座名義の振込取引のときには、明細票への口座名義の印字を保護することができる。
その後、挿入されたカードがカード入出口15から返却されて、処理は終了する(S307)。
図8は、第2の実施形態に係る明細票への振込先情報の印字保護の処理を示すフローチャートである。
ATM1の操作表示部11に表示される取引選択画面から、顧客操作により、振込取引が選択され(S401)、振込方法としてカード振込又は現金振り込みの方法種別が選択される(S402)。
S403において、カード振込が選択されると、顧客によりカードがカード入出口15に挿入され(S204)、操作表示部11において暗証番号が入力される(S405)。その後、操作表示部11において、顧客操作により、振込先情報として、振込金額入力(S406)、金融機関名入力(S407)、支店名入力(S408)、口座番号入力(S409)、科目入力(S410)、依頼人電話番号入力(S411)がなされる。制御部20は、入力された振込先情報と、依頼人情報としてのカード情報及び依頼人電話番号を含む振込取引要求電文を、金融機関ホストサーバに送信して振込先照会を行う(S412)。
金融機関ホストサーバは、口座番号が存在するか否かを確認し、受取人名と依頼人名と手数料等の情報を含む応答電文をATM1に送信する。
ATM1は、振込先確認画面を操作表示部11に表示する(S413)。顧客操作により振込内容が確認されると、制御部20は、振込内容を含む振込取引要求電文を金融機関ホストサーバに送信して、取引を実行する(S414)。
ここで、金融機関ホストサーバは、振込先情報に口座名義の印字保護フラグが設定されているか否かを確認する。
そして、印字保護フラグが設定されており、口座名義の印字保護をする場合、金融機関ホストサーバは、口座名義を印字保護するか否かの情報を含む応答電文をATM1に送信する。口座名義を印字保護する場合(S415)、振込先情報出力保護部203は、口座名義の印字を保護した明細票を印字し(S416)、明細票を返却する(S418)。
一方、印字保護フラグが設定されておらず、口座名義を印字保護しない場合、金融機関ホストサーバは口座名義を表示した振込先確認画面を含む応答電文をATM1に送信する。口座名義を印字保護しない場合、(S415)、ATM1において、振込先情報出力保護部203は、口座名義を印字した明細票を印字し(S417)、明細票を返却する(S418)。
図9は、第2の実施形態に係る口座名義を印字保護した明細票を示す図である。また、図10は、口座名義を印字した明細票を示す図である。
図10に示すように、口座名義を印字した明細票540は、従来の明細票と同様に、振込先情報としての振込先である口座名義の欄551に口座名義(オキ_タロウ)が印字される。
これに対して、図9に示すように、口座名義を印字保護した明細票540は、振込先情報として振込先である口座名義の欄541には、口座名義が印字されていない。また、口座名義が表示されていないことを、顧客に注意喚起させるために、例えば「口座名義の受取人名で処理しました」等の注意喚起情報が表示される。つまり、ここでは振込先である「オキ_タロウ」の振込先情報に印字保護フラグが設定されていたため、依頼人である「オキ_ハナコ」が「オキタロウ」に振込取引を行っても、明細票には「オキ_タロウ」の振込先情報が保護されて印字されている。このように、明細票に口座名義が印字されないことで、第三者が明細票を入手したとしても、振込先情報がマスクされているため、振込先情報を認識でないので、例えば「押し貸し」等の不正行為を防止できる。
S403において、現金振込が選択されると、顧操作表示部11において、顧客操作により、振込先情報として、振込金額入力(S419)、金融機関名入力(S420)、支店名入力(S421)、口座番号入力(S422)、科目入力(S423)、依頼人名入力(S424)、依頼人電話番号入力(S425)がなされる。制御部20は、入力された振込先情報と、依頼人情報としての依頼人名及び依頼人電話番号を含む振込取引要求電文を、金融機関ホストサーバに送信して振込先照会を行う(S426)。
金融機関ホストサーバは、口座番号が存在するか否かを確認し、受取人名と依頼人名と手数料等の情報を含む応答電文をATM1に送信する。
ATM1は、振込先確認画面を操作表示部11に表示する(S427)。顧客操作により振込内容が確認され、顧客による振込先確認画面で内容を確認した後、顧客操作により「確認」ボタンが押下されると、ATM1は、紙幣投入・計数を行い(S428)、画面上で金額確認を実施する(S429)。振込金額の確認後、ATM1は、金融機関ホストサーバとの間で通信(取引実行)を行う(S430)。
ここで、金融機関ホストサーバは、振込先情報に口座名義の印字保護フラグが設定されているか否かを確認する。そして、印字保護フラグが設定されており、口座名義の印字保護をする場合、金融機関ホストサーバは、口座名義を印字保護するか否かの情報を含む応答電文をATM1に送信する。
ATM1において、必要に応じて釣銭の計数を実施し(S431)、口座名義を印字保護する場合(S432)、振込先情報出力保護部203は、口座名義の印字を保護した明細票を印字し(S433)、明細票を返却する(S435)。
一方、印字保護フラグが設定されておらず、口座名義を印字保護しない場合、(S432)、ATM1において、振込先情報出力保護部203は、口座名義を印字した明細票を印字し(S434)、明細票を返却する(S435)。
S433及びS434における印字される明細票は、S416及びS417で説明した図9及び図10の明細票同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
(B−2)第2の実施形態の効果
以上のように、第2の実施形態によれば、顧客に対して口座名義をそのまま印字するか、又は保護して印字するかを確認し、顧客の判断にて明細票に印字する振込先情報を変更することができ、顧客が指定した内容で明細票を印字することが可能となった。これにより、明細票において、振込先情報を保護して表記(印字)することで、振込先情報を保護し、「押し貸し」などの不正行為に使用されることを防止できる。
(C)第3の実施形態
次に、本発明に係る取引装置の第3の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
第3の実施形態では、例えば金融機関等に設置されているATMに、本発明を適用する場合を例示する。
(C−1)第3の実施形態の構成及び動作
第3の実施形態は、キャッシュカードによる振込取引の際に、振込先確認画面に表示する振込先情報の保護するものである。
第3の実施形態に係るATM1の制御系の構成及び外観構成は、第1及び第2の実施形態に係る図1及び図2と同様であるため、第3の実施形態においても図1及び図2を用いて説明する。
図11は、第3の実施形態に係るATM1において振込先情報の表示保護の変更処理を示すフローチャートである。ここでは、振込先情報のうち口座名義の表示を保護する場合を例示する。しかし、表示保護の対象は、特に限定されるものではなく、振込先情報のうち口座番号や金融機関名や支店名等としても良い。
ATM1の操作表示部11に表示される取引選択画面から、顧客操作により、振込取引が選択され(S501)、振込方法としてカード振込又は現金振り込みの方法種別が選択される(S502)。
S503において、カード振込(キャッシュカードによる振込)が選択されると、顧客によりキャッシュカードがカード入出口15に挿入され(S504)、操作表示部11において暗証番号が入力される(S505)。その後、操作表示部11において、顧客操作により、振込先情報として、振込金額入力(S506)、金融機関名入力(S507)、支店名入力(S508)、口座番号入力(S509)、科目入力(S510)、依頼人電話番号入力(S511)がなされる。制御部20は、入力された振込先情報と、依頼人情報としてのカード情報及び依頼人電話番号を含む振込取引要求電文を、金融機関ホストサーバに送信して振込先照会を行う(S512)。
このとき、金融機関ホストサーバは、口座番号が存在するか否かの確認を行うと共に、過去にキャッシュカードを使って、指定した振込先への取引履歴があるか否かを確認する(S513)。そして、金融機関ホストサーバは、受取人名と依頼人名と手数料等の情報と、振込先への取引履歴の有無に関する情報とを含む応答電文をATM1に送信する。
そして、振込先への振込取引の履歴がある場合(S514)、ATM1において、振込先情報出力保護部203は、口座名義の表示を保護した振込先確認画面(例えば、図5参照)を操作表示部11に表示する(S515)。
一方、振込先への振込取引の履歴がない場合(S514)、ATM1において、振込先情報出力保護部203は、口座名義を表示した振込先確認画面(図6参照)を操作表示部11に表示する(S516)。
つまり、振込先情報出力保護部203は、振込先への振込取引の履歴がある場合には、口座名義の表示を保護した振込先確認画面を表示するようにする。振込取引を行なった実績がある場合には、今後も顧客がキャッシュカードを用いて振込取引を行う可能性があるため、第1の実施形態のように振込先情報表示選択画面を通じての表示保護の登録を行わずに、振込先情報の表示保護を行うことができる。
その後、顧客操作により振込内容が確認されると、制御部20は、振込内容を含む振込取引要求電文を金融機関ホストサーバに送信して、取引を実行する(S517)。その後、振込取引の内容が明細票に印字され(S518)、カード及び明細票が返却されて処理が終了する(S519)。
S503において、現金振込が選択されると、従来と同様に、現金による振込取引がなされる。現金による振込取引処理は、従来と同様であるため、以下に簡単に説明する。
顧操作表示部11において、顧客操作により、振込先情報として、振込金額入力(S520)、金融機関名入力(S521)、支店名入力(S522)、口座番号入力(S523)、科目入力(S524)、依頼人名入力(S525)、依頼人電話番号入力(S526)がなされる。制御部20は、入力された振込先情報と、依頼人情報としての依頼人名及び依頼人電話番号を含む振込取引要求電文を、金融機関ホストサーバに送信して振込先照会を行う(S527)。
ATM1において、従来と同様に、口座名義を表示した振込先確認画面(図6参照)を操作表示部11に表示する(S528)。顧客による振込先確認画面で内容を確認した後、顧客操作により「確認」ボタンが押下されると、ATM1は、紙幣投入・計数を行い(S529)、画面上で金額確認を実施する(S530)。振込金額の確認後、ATM1は、金融機関ホストサーバとの間で通信(取引実行)を行い(S531)、必要に応じて釣銭の計数を実施し(S532)、振込取引の内容を明細票に印字し(S533)、必要に応じて現金(釣銭)と明細票を返却する(S534)。
なお、第3の実施形態の変形実施形態として、過去の振込取引の履歴がある場合には、第2の実施形態で説明した処理と同様に、明細票に振込先情報の印字を保護するようにしても良い。つまり、S514で振込先への振込取引の履歴があると判断すると、S518において、振込先情報出力保護部203は、口座名義の印字をしない明細票(例えば、図9参照)を印字するようにしても良い。
(C−2)第3の実施形態の効果
以上のように、第3の実施形態によれば、キャッシュカードによる振込で、過去に振込取引の履歴のある振込先の場合は、口座名義の表示を保護して振込先確認画面に表示し、過去に振込取引の履歴がない振込先の場合は口座名義をそのまま振込先照会確認画面に表示することができる。これにより、過去に振込取引の履歴のある振込先の場合は、振込みの依頼人が振込先を把握しているので振込先情報を表示する必要が無く、一方で振込先情報の表示を保護することで、振込先情報を保護し、「押し貸し」などの不正行為に振込先情報が使用されることを防止できる。
(D)第4の実施形態
次に、本発明に係る取引装置の第4の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
第4の実施形態では、例えば金融機関等に設置されているATMに、本発明を適用する場合を例示する。
(D−1)第4の実施形態の構成及び動作
第4の実施形態は、現金による振込取引の際に、振込先確認画面に表示する振込先情報の保護するものである。
なお、第4の実施形態では、現金による振込取引の場合を例示するが、第3の実施形態で説明したキャッシュカードを用いた振込取引の場合に、振込先情報確認画面において振込先情報の表示を保護する実施形態と組み合わせてもよい。
第4の実施形態に係るATM1の制御系の構成及び外観構成は、第1〜第3の実施形態に係る図1及び図2と同様であるため、第4の実施形態においても図1及び図2を用いて説明する。
図12は、第4の実施形態に係る現金による振込取引の際の振込先情報の表示保護の変更処理を示すフローチャートである。ここでは、振込先情報のうち口座名義の表示を保護する場合を例示する。しかし、表示保護の対象は、特に限定されるものではなく、振込先情報のうち口座番号や金融機関名や支店名等としても良い。
ATM1の操作表示部11に表示される取引選択画面から、顧客操作により、振込取引が選択され(S601)、振込方法としてカード振込又は現金振り込みの方法種別が選択される(S602)。
S603において、現金振込が選択されると、顧操作表示部11において、顧客操作により、振込先情報として、振込金額入力(S617)、金融機関名入力(S618)、支店名入力(S619)、口座番号入力(S620)、科目入力(S621)、受取人名入力(S622)、依頼人名入力(S623)、依頼人電話番号入力(S624)がなされる。
制御部20は、入力された受取人名を含む振込先情報と、依頼人情報としての依頼人名及び依頼人電話番号を含む振込取引要求電文を、金融機関ホストサーバに送信して振込先照会を行う(S625)。
このとき、金融機関ホストサーバは、振込先の口座番号に基づく受取人名(口座名義)を含む応答電文をATM1に返信する。
そして、ATM1において、振込先情報出力保護部203は、S622で入力された受取人名を保持しておき、この入力された受取人名と、金融機関ホストサーバから取得した口座番号に基づく受取人名(口座名義)とが同じであるか否かを判定する(S626、S627)。
そして、入力された受取人名と、金融機関ホストサーバからの受取人名(口座名義)とが同じでない場合、処理はS628に移行する。ここでは、受取人名の再入力画面が操作表示部11に表示され、顧客に対して受取人名の再入力を要求する。
顧客操作により、操作表示部11において受取人名が再入力されると(S628)、処理はS626に移行し、振込先情報出力保護部203は、再入力された受取人名と、金融機関ホストサーバからの受取人名(口座名義)とが同じであるか否かを判定する(S626、S627)。この受取人名の判定処理は、受取人名が一致するまで繰り返し行われる。
入力された受取人名と、金融機関ホストサーバからの受取人名(口座名義)とが同じ場合、処理はS629に移行し、振込先情報出力保護部203は、口座名義を表示した振込先確認画面(例えば、図6参照)を操作表示部11に表示する(S629)。
つまり、入力された受取人名が金融機関ホストサーバからの受取人名(口座名義)と同じ場合、振込先の口座名義が正しいと把握できるので、口座名義を表示した振込先確認画面を表示する。一方、受取人名が一致しない場合には、振込先確認画面を表示しないようにするため、第三者による振込先情報の獲得を防止できる。例えば、振込先情報を入手した第三者が、「押し貸し」などの不正行為を行うために、入手した振込先に現金振込を行う場合がある。このような場合に、第4の実施形態を適用することにより、第三者は、口座番号のみを認識していても、口座名義を認識していなとときには、現金振込を実施することはできない。その結果、第三者による不正行為を未然に防止することができる。
顧客による振込先確認画面で内容を確認した後、顧客操作により「確認」ボタンが押下されると、ATM1は、紙幣投入・計数を行い(S630)、画面上で金額確認を実施する(S631)。振込金額の確認後、ATM1は、金融機関ホストサーバとの間で通信(取引実行)を行い(S632)、必要に応じて釣銭の計数を実施し(S633)、振込取引の内容を明細票に印字し(S634)、必要に応じて現金(釣銭)と明細票を返却する(S635)。
一方、S603において、キャッシュカードによる振込が選択されると、従来と同様の振込取引の処理がなされる。キャッシュカードによる振込取引処理は、従来と同様であるため、以下に簡単に説明する。
顧客によりキャッシュカードがカード入出口15に挿入され(S604)、操作表示部11において暗証番号が入力される(S605)。その後、操作表示部11において、顧客操作により、振込先情報として、振込金額入力(S606)、金融機関名入力(S607)、支店名入力(S608)、口座番号入力(S609)、科目入力(S610)、依頼人電話番号入力(S611)がなされる。制御部20は、入力された振込先情報と、依頼人情報としてのカード情報及び依頼人電話番号を含む振込取引要求電文を、金融機関ホストサーバに送信して振込先照会を行う(S612)。
制御部20は、口座名義の表示を保護した振込先確認画面(例えば、図5参照)を操作表示部11に表示する(S613)。
顧客操作により振込内容が確認されると、制御部20は、振込内容を含む振込取引要求電文を金融機関ホストサーバに送信して、取引を実行する(S614)。その後、振込取引の内容が明細票に印字され(S615)、カード及び明細票が返却されて(S616)、処理が終了する。
(D−2)第4の実施形態の効果
以上のように、第4の実施形態によれば、現金による振込取引の際、振込先の口座名義を正しく把握している場合は振込先確認画面に口座名義をそのまま表示し、振込先の口座名義を把握していない場合は、正しい受取人名を入力されるまで振込先確認画面に表示しないようにすることができる。これにより、振込先情報を保護し、「押し貸し」などの不正行為に振込先情報が使用されることを防止できる。
(E)第5の実施形態
次に、本発明に係る取引装置の第5の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
第5の実施形態では、例えば金融機関等に設置されているATMに、本発明を適用する場合を例示する。
(E−1)第5の実施形態の構成及び動作
第5の実施形態は、振込先情報を非表示にした振込先情報確認画面を表示し、顧客により表示ボタンの選択があったときに、非表示にしていた振込先情報を表示するものである。
第5の実施形態に係るATM1の制御系の構成及び外観構成は、第1〜第4の実施形態に係る図1及び図2と同様であるため、第5の実施形態においても図1及び図2を用いて説明する。
図13は、第5の実施形態に係る振込先情報の表示保護の処理を示すフローチャートである。ここでは、振込先情報のうち口座名義の表示を保護する場合を例示する。しかし、表示保護の対象は、特に限定されるものではなく、振込先情報のうち口座番号や金融機関名や支店名等としても良い。
ATM1の操作表示部11に表示される取引選択画面から、顧客操作により、振込取引が選択され(S701)、振込方法としてカード振込又は現金振り込みの方法種別が選択される(S702)。
S703において、カード振込(キャッシュカードによる振込)が選択されると、顧客によりキャッシュカードがカード入出口15に挿入され(S704)、操作表示部11において暗証番号が入力される(S705)。その後、操作表示部11において、顧客操作により、振込先情報として、振込金額入力(S706)、金融機関名入力(S707)、支店名入力(S708)、口座番号入力(S709)、科目入力(S710)、依頼人電話番号入力(S711)がなされる。制御部20は、入力された振込先情報と、依頼人情報としてのカード情報及び依頼人電話番号を含む振込取引要求電文を、金融機関ホストサーバに送信して振込先照会を行う(S712)。金融機関ホストサーバは、口座番号が存在するか否かの確認を行ない、受取人名と依頼人名と手数料等の情報と、振込先への取引履歴の有無に関する情報とを含む応答電文をATM1に送信する。
ATM1において、振込先情報出力保護部203は、口座名義の表示を保護した振込先確認画面を操作表示部11に表示する(S713)。ここで、振込作確認画面は、保護している口座名義を表示するための表示ボタンを有しており、顧客操作により、表示ボタンが選択されると(S714)、振込先情報出力保護部203は、振込先確認画面上に口座名義を表示する(S715)。なお、表示ボタンが選択されない場合、口座名義の表示保護のままである。
図14及び図15は、第5の実施形態に係る振込先確認画面の一例を示す画面図である。
図14に例示する振込先確認画面560は、受取人名の欄に口座名義の表示をアスタリスク(*)に代えて表示しており、振込先情報出力保護部203は、口座名義の表示を保護している。ここで、口座名義の欄(すなわち、出力保護領域)が表示ボタン561となっており、顧客操作により、表示ボタン561を押下すると、図15に例示するように、振込先情報出力保護部203は口座名義を表示する。これにより、表示保護している口座名義が表示されるため、顧客により口座名義の確認を行うことができる。ここで、振込先情報出力保護部203は、例えば、表示ボタン561が選択されている間のみ口座名義を表示するようにしても良いし、また例えば、表示ボタン561が選択されてから、所定時間のみ口座名義を表示するようにしても良い。さらに、振込先確認画面560が口座名義を表示した後に、非表示ボタンを出現させ、この非表示ボタンの選択により、振込先情報出力保護部203は、再度、口座名義の表示を保護するようにしても良い。
なお、図16に示すように、例えば口座番号及び受取人名(口座名義)などのように、複数の振込先情報の表示を保護するようにしてもよい。図16の場合、振込先確認画面560が「表示しますか」ボタン565を有しており、この「表示しますか」ボタン565が選択されることで、振込先情報出力保護部203は、複数の振込先情報(例えば、口座番号及び受取人名(口座名義))を一括表示するようにしても良い。
その後、顧客操作により振込内容が確認されると、制御部20は、振込内容を含む振込取引要求電文を金融機関ホストサーバに送信して、取引を実行する(S716)。その後、振込取引の内容が明細票に印字され(S717)、カード及び明細票が返却されて処理が終了する(S718)。
なお、S719〜S733の処理は、図11のS520〜S534の処理と同様に従来の現金処理であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
(E)第5の実施形態の効果
以上のように、第5の実施形態によれば、振込先情報の表示を保護した振込先確認画面を表示し、表示ボタンが選択されることで、保護されていた振込先情報を一時的に表示することができる。これにより、保護されている振込先情報を顧客は確認することができる。また、振込先情報を保護し、「押し貸し」などの不正行為に振込先情報が使用されることを防止できる。
(F)他の実施形態
上述した第1〜第5の実施形態においても種々の変形実施形態を言及したが、本発明は、以下の実施形態にも適用できる。
(F−1)上述した各実施形態では、振込先情報のうち口座名義の表示や印字を保護する場合を説明した。表示保護や印字保護の対象は、口座名義の全部を保護する場合を例示した。
しかし、図17に例示するように、振込先情報出力保護部は、振込先情報確認画面570において、受取人名(口座名義)の一部571を保護、例えば口座名義「オキ_タロウ」のうち「オ*_*ロ*」のように一部を保護して表示しても良い。
また、図18に例示するように、振込先情報出力保護部は、明細票580に、受取人名(口座名義)の一部581を保護、例えば口座名義「オキ_タロウ」のうち「オ*_*ロ*」のように一部を保護して印字しても良い。
(F−2)上述した各実施形態では、説明便宜上、振込先確認画面における口座名義の表示保護、又は、明細票への口座名義の印字保護に関する処理を別々に説明した。しかし、ATMは、上述した各実施形態で説明した、振込先確認画面における口座名義の表示保護の処理と、明細票への口座名義の印字保護の処理とを融合させるようにしても良い。
その場合、ATM1の係員や保守者等の操作により、振込先情報表示・印字動作設定画面を操作表示部に表示させて、当該ATM1における振込先確認画面における口座名義の表示保護の処理と、明細票への口座名義の印字保護の処理との動作設定を行うようにしても良い。
図19は、この変形実施形態に係る受取人名表示・印字動作設定画面の一例を示す画面図である。受取人名表示・印字動作設定画面600は、振込先情報確認画面(図19では確認画面)の表示の設定として、「通常表示する」ボタン601と、「保護表示する」ボタン602とを有している。また、受取人名表示・印字動作設定画面600は、明細票の表示の設定として、「通常印字する」ボタン603と、「保護印字する」ボタン604とを有している。係員等により、振込先情報確認画面の表示と明細票の印字とのそれぞれについて、いずれかの選択ボタンが選択されることで、振込先情報確認画面の表示および明細票の印字の保護に関するデフォルト設定が可能となる。
(F−3)上述した各実施形態では、金融機関等に設置されたATMに本発明を適用する場合を例示した。しかし、本発明に係る取引装置及び取引方法は、例えばネットワークを利用して顧客等の通信端末(例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、携帯電話機等)において振込取引を行う、いわゆるネットバンキングや、また例えば、券売機等にも適用できる。