JP6591951B2 - 光波長変換部材及び発光装置 - Google Patents

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本発明は、光の波長の変換が可能な光波長変換部材及びその光波長変換部材を備えた発光装置に関するものである。
ヘッドランプや各種照明機器などでは、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)や半導体レーザー(LD:Laser Diode)の青色光を、蛍光体によって波長変換することにより白色を得ている装置が主流となっている。
蛍光体としては、樹脂系やガラス系などが知られているが、近年、光源の高出力化が進められており、蛍光体には、より高い耐久性が求められるようになったことから、セラミックス蛍光体に注目が集まっている。
このセラミックス蛍光体としては、YAl12:Ce(即ちYAG:Ce)に代表されるガーネット構造(即ちA12の構造)の成分にCeが賦活された蛍光体が知られている。また、透明セラミックスと前記ガーネット構造の蛍光体を蛍光成分として複合化した蛍光体が知られている。
例えば特許文献1には、Alで構成されるマトリックス相と、一般式A12:Ceで表される物質で構成される主蛍光体相(なお、AはY、Gd、Tb、Yb及びLuのうちから選ばれる少なくとも1種であり、BはAl、Ga及びScのうちから選ばれる少なくとも1種)と、CeAl1118相とを備えた焼成体が開示されている。
また、特許文献2には、単一の無機材料のみで構成されたセラミックス焼結体からなり、蛍光のピーク波長に対する直線透過率が73%以上であり、光出射面における表面粗さ(Ra)が0.6〜2.7μmである技術が開示されている。
さらに、特許文献3には、結晶化ガラス中に、Ce3+を含有したガーネット結晶を析出してなる塊状蛍光体のみから構成され、その表面粗さ(Ra)が0.05〜3μmの範囲内にある技術が開示されている。
特許第5740017号公報 特許第4916469号公報 特開2007−161944号公報
しかしながら、これら先行技術では十分ではなく、一層の改善が求められていた。
具体的には、特許文献1の技術では、焼成中のCe揮発に伴う色ムラ(即ち色バラツキ)防止のために、CeAl1118を組織中に分散させているが、第三成分であるCeAl1118は光を吸収し、発光強度を減じる要因となる。
このため、蛍光体の厚みを極端に薄くするなどして対処する必要があるが、薄片化は構造体としての蛍光体の耐久性を損なう。また、入射光を焼結体の内部で十分に拡散するための工夫がされていない状態で薄片化すると、色バラツキ、特に透過した光を角度を変えて観察した際の色バラツキが発生する。
さらに、上記化合物は、Ce:YAG系の生成物であるが、他の材料系においても同様の第三成分(例えばCeAlO、NdAl1118など)の存在が、発光強度の低下の要因となり得る。
また、特許文献2の技術は、光を放出する面(出射面)のみの表面状態に着目した規定のみであることから、入射光を効率よく焼結体の内部に拡散することは考慮されていない。そのため、輝度を均一化したり、色バラツキを抑制すること、即ち色均質性を高めることは困難であった。
しかも、単一相(YAG)からなる単一の無機材料のみで構成されたセラミックス焼結体であるので、結晶粒界などの不連続界面において生ずる、反射、屈折(複屈折)による光の散乱が生じにくく、入射光を焼結体内で適度に散乱させることが困難であった。そのため、この点からも、色バラツキを抑制することは困難であった。
さらに、特許文献3の技術は、結晶化ガラス中に、Ce3+を含有したガーネット結晶が析出した構成であることから、結晶粒界などの不連続界面において生ずる、反射、屈折(複屈折)による光の散乱は、結晶化ガラスとガーネット結晶と界面のみである。そのため、入射光を焼結体内で適度に散乱させることが困難であり、色バラツキを抑制することは容易ではなかった。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高い蛍光強度と高い色均質性とを両立できる光波長変換部材及び発光装置を提供することにある。
(1)本発明の第1局面は、光学的異方性を有する多結晶透明セラミックスと、蛍光性を有する多結晶セラミックス(以下蛍光セラミックスと記すこともある)と、を主成分とする多結晶組織を有するセラミックス焼結体から構成された光波長変換部材に関するものである。
この光波長変換部材を構成するセラミックス焼結体では、その光入射面における表面粗さ(Ra)が、0.05〜10μmである。
このように、本第1局面の光波長変換部材は、光入射面における表面粗さ(Ra)が、0.05〜10μmであるので、後述する実験例からも明らかなように、高い蛍光強度と高い色均質性(即ち色バラツキが少ないこと)とを実現することができる。
具体的には、セラミックス焼結体の光入射面に光が入射する場合、例えば直進性の高いLD等による光がセラミックス焼結体中に入射する場合、その入射光は光入射面の適度な表面粗さによってセラミックス焼結体中で十分に拡散し、蛍光セラミックスである蛍光成分に対して効率よく入射光が照射される。それによって、発光強度が高くなり、色バラツキを効果的に抑制することができる。また、輝度の均一化も図ることができる。
つまり、入射光は、入射時に適度に散乱することで、蛍光成分との接触確率が高くなり、発光強度が増す。また、入射光が十分に分散することで、発光する際の光の状態(例えば色度)が均一化されるので、色バラツキが抑制される。
また、本第1局面の光波長変換部材は、上述した構成によって、高い熱伝導性を有しているので、光源が高出力化された場合でも、熱による影響を抑制すること、例えば光の消失を抑制することができる。
さらに、この光波長変換部材は、セラミックス焼結体であるので、強度が高く、しかも、光源から光が繰り返して照射された場合でも性能が劣化しにくく、その上、耐候性にも優れているという利点がある。
(2)本発明の第2局面では、蛍光セラミックスが、下記A、Bの元素群から選ばれる少なくとも1種以上の元素から構成されるA12:Ceで表されるガーネット構造を有するとともに、蛍光セラミックスの割合が、15〜50vol%、A12:Ce中のCe濃度が、元素Aに対して10mol%以下(0を含まず)である。
A:Sc、Y、ランタノイド(Ceを除く)
B:Al、Ga
本第2局面では、上述した構成によって、後述する実験例からも明らかなように、高い蛍光強度と高い色均質性とを実現することができる。また、上記の組成であることにより、効率よく青色光を可視光に変換することができる。
ここで、蛍光セラミックスが15vol%未満の場合、蛍光セラミックスが不足するため十分な蛍光強度が得られにくくなる。一方、蛍光セラミックスが50vol%より多い場合、異種界面(即ち透光性セラミックスと蛍光セラミックスとの界面)における粒界散乱が増加し、十分な透光性が得られにくくなり、蛍光強度が低下する恐れがある。
従って、本第2局面のように、蛍光セラミックスが15〜50vol%である場合には、入射光の散乱光が効率よく蛍光成分に照射されるので、発光強度が高くなり、色バラツキが抑制されるとともに、輝度の均一化を図ることができる。
また、A12:Ce中のCe濃度が、元素Aに対し0mol%であると、十分な蛍光強度が得られない。一方、前記Ce濃度が10mol%よりも多いと、濃度消光を起こしやすくなり、蛍光強度の低下を招く。
従って、本第2局面のように、A12:Ce中のCe濃度が、元素Aに対し10mol%以下(0を含まず)である場合には、高い蛍光強度を実現できるので、好適である。なお、前記Ce濃度に関しては、好ましくは、5mol%以下(0を含まず)、より好ましくは、3mol%以下(0を含まず)である。
(3)本発明の第3局面では、多結晶透明セラミックスが、平均結晶粒径が0.5〜30μmのアルミナである。
アルミナ(Al)は、自身に光学的異方性があり、しかも、A12:Ceとの屈折率に違いがあることから、入射光をセラミックス焼結体内で適度に散乱させることに適した材料である。
ここで、アルミナの平均結晶粒径は、0.5μm未満であると、結晶粒子形状の異方性が抑制されるため、光学的異方性が小さくなってしまい、適度な散乱が得られなくなる。一方、アルミナの平均結晶粒径が、30μmより大きいと、機械的特性が低くなる。
従って、本第3局面のように、アルミナの平均結晶粒径が上記範囲内にあると、十分な蛍光性と適度な透光性が得られるようになる。さらに、この構成によれば、上述した表面粗さ(Ra)0.05〜10μmの形成に対して、適した焼結体組織が得られるという利点がある。
(4)本発明の第4局面では、光入射面における凹凸の平均間隔(Sm)が0.3〜1000μmである。
凹凸の平均間隔(Sm)が0.3μm未満、または、1000μmを超える場合には、光入射面における光の散乱が不足する傾向にある。
従って、本第4局面のように、凹凸の平均間隔(Sm)が0.3〜1000μmの場合には、十分に光を散乱させることができる。
(5)本発明の第5局面は、第1〜4局面のいずれかの光波長変換部材を備えた発光装置である。
本第5局面の発光装置(詳しくは光波長変換部材)にて波長が変換された光(即ち蛍光)は、高い蛍光強度と高い色均質性とを有する。
なお、発光装置の発光素子としては、例えばLEDやLDなどの公知の素子を用いることができる。
<以下に、本発明の各構成について説明する>
・前記「光波長変換部材」は、上述した構成を有するセラミックス焼結体であり、各結晶粒子の粒界には、各結晶粒子を構成する成分の一部等や不可避不純物が含まれていてもよい。
・前記「主成分」とは、前記光波長変換部材中において、最も多い量(体積)存在することを示している。
・前記「多結晶透明セラミックス」とは、多結晶の構造を有するとともに透光性を有するセラミックスであり、例えばAl、AlN、Y等が挙げられる。
・前記「蛍光性を有する多結晶セラミックス」とは、多結晶の構造を有するとともに光の受けると蛍光を発する(即ち発光する)セラミックスであり、例えば前記「A12:Ce」が挙げられる。また、「A12」としては、LuAl12、Y1.5Lu1.5Al12、YbAl12、Y1.5Gd1.5Al12、Y1.5Yb1.5Al12、Y1.5Tb1.5Al12、YAlGa12等が挙げられる。
・前記「A12:Ce」とは、A12中のAの一部にCeが固溶置換していることを示しており、このような構造を有することにより、同化合物は蛍光特性を示すようになる。
・前記「表面粗さ(Ra)」とは、JIS B 0601−1994で規定される算術平均粗さのことである。また、「凹凸の平均間隔(Sm)」も、JIS B 0601−1994で規定される値である。
光波長変換部材を備えた発光装置を厚み方向に破断した断面を示す断面図である。 (a)は本実施形態の光波長変換部材における光の分散の状態を模式的に示す説明図、(b)は表面が平坦な光波長変換部材における光の分散の状態を模式的に示す説明図である。 色バラツキを測定する方法を示す説明図である。
次に、本発明の光波長変換部材及び発光装置の実施形態
について説明する。
[1.実施形態]
[1−1.発光装置]
まず、光波長変換部材を備えた発光装置について説明する。
図1に示すように、本実施形態の発光装置1は、例えばアルミナ等の箱状のセラミック製のパッケージ(容器)3と、容器3の内部に配置された例えばLD等の発光素子5と、容器3の開口部7を覆うように配置された板状の光波長変換部材9とを備えている。
この発光装置1では、発光素子5から放射された光は、透光性を有する光波長変換部材9を透過するとともに、その光の一部は光波長変換部材9の内部で波長変換されて発光する。つまり、光波長変換部材9では、発光素子5から放射される光の波長とは異なる波長の蛍光を発する。
例えば、LDから照射される青色光が、光波長変換部材9によって波長変換されることにより、全体として白色光が光波長変換部材9から外部(例えば図1の上方)に照射される。
[1−2.光波長変換部材]
次に、光波長変換部材9について説明する。
本実施形態の光波長変換部材9は、光学的異方性を有する多結晶透明セラミックス(例えばアルミナからなるセラミックス)と、蛍光性を有する多結晶セラミックスである蛍光セラミックス(例えばA12:Ceからなるセラミックス)と、を主成分とする多結晶組織を有するセラミックス焼結体からなる。
この光波長変換部材9を構成するセラミックス焼結体では、その一方の主面(図1の下方)である光入射面9a(図1参照)における表面粗さ(Ra)が、0.05〜10μmである。
また、本実施形態の光波長変換部材9では、蛍光セラミックスの割合が、15〜50vol%、A12:Ce中のCe濃度が、下記元素Aに対して10mol%以下(0を含まず)の構成を採用できる。なお、A12:Ceの元素A、Bは、下記の元素群から選ばれる少なくとも1種以上の元素から構成される。
A:Sc、Y、ランタノイド(Ceを除く)
B:Al、Ga
さらに、本実施形態の光波長変換部材9では、多結晶透明セラミックスとして、平均結晶粒径が0.5〜30μmのアルミナを採用できる。
しかも、本実施形態の光波長変換部材9では、光入射面9aにおける凹凸の平均間隔(Sm)として、0.3〜1000μmを採用できる。
[1−3.効果]
次に、実施形態の効果を説明する。
本実施形態の光波長変換部材9は、図2に模式的に示すように、その光入射面9aにおける表面粗さ(Ra)が、0.05〜10μmであるので、光入射面9aから入射した光(即ち入射光)は、表面が平坦な場合に比べて(図2(b)参照)、セラミックス焼結体の内部で十分に分散する(図2(a)参照)。そのため、高い蛍光強度と高い色均質性とを実現することができる。さらに、輝度を均一化できるという効果もある。
また、本実施形態の光波長変換部材9は、高い熱伝導性を有しているので、光源が高出力化された場合でも、熱による影響を抑制すること、例えば光の消失を抑制することができる。
さらに、本実施形態の光波長変換部材9は、セラミックス焼結体であるので、強度が高く、しかも、光源から光が繰り返して照射された場合でも性能が劣化しにくく、その上、耐候性にも優れているという利点がある。
また、蛍光セラミックスの割合が、15〜50vol%、A12:Ce中のCe濃度が、前記元素Aに対して10mol%以下(0を含まず)の場合には、発光強度が高くなり、色バラツキが抑制されるとともに、輝度を均一化できるという利点がある。
さらに、多結晶透明セラミックスが、平均結晶粒径が0.5〜30μmのアルミナの場合には、十分な蛍光性と適度な透光性が得られるという利点がある。さらに、この構成によれば、上述した表面粗さ(Ra)0.05〜10μmの形成に対して、適した焼結体組織が得られるという利点がある。
しかも、光入射面9aにおける凹凸の平均間隔(Sm)が、0.3〜1000μmの場合には、十分に光を散乱させることができるという利点がある。
従って、前記光波長変換部材9を備えた発光装置1では、高い蛍光強度と高い色均質性とを有する蛍光を発生することができるという効果を奏する。
[2.実施例]
次に、具体的な各実施例について説明する。
<実施例1>
下記表1に示す条件により、No.1〜8のセラミックス焼結体の試料を作製した。なお、各試料のうち、No.2〜6が本発明の範囲内の試料であり、No.1、7、8が本発明の範囲外(比較例)の試料である。
具体的には、各試料に対して、セラミックス焼結体(即ち光波長変換部材を構成するセラミックス焼結体)中のYAG(YAl12)の割合が1〜60vol%になるように、また、Ce濃度がYAG中のYに対して0.1〜10mol%になるように、Al(平均粒径1.2μm)とY(平均粒径1.5μm)、CeO(平均粒径1.5μm)を秤量した。
これを、有機溶媒と所定量の分散剤(原料粉末に対し固形物換算で2wt%)と共にボールミル中に投入し、12hr粉砕混合を行った。得られたスラリーを用いて、ドクターブレード法によりシート成形体を作製した。そのシート成形体の脱脂後、大気雰囲気下で、焼成温度1450℃〜1750℃、保持時間3〜20時間で焼成を行った。これによって、No.1〜8のセラミックス焼結体の試料を得た。なお、セラミックス焼結体の寸法は、20mm角×厚み0.5mmである。
なお、分散剤としては、例えば、ポリカルボン酸系分散剤のサンノプコ社製SNディスパーサント5468や、日本油脂株式会社製マリアリムAKM−0531を用いることができる。
次に、得られたセラミックス焼結体について、後述する他の実施例と同様に、下記の特性(a)〜(e)を調査した。その結果を下記表1に記す。
(a)相対密度
得られたセラミックス焼結体の相対密度は、アルキメデス法で密度を測定し、測定した密度を相対密度に換算する方法で算出した。
(b)平均結晶粒径
試料(サンプル)を鏡面研磨後、1300℃で熱エッチングを行った。エッチング面を走査型電子顕微鏡で観察し(即ちSEM観察し)、セラミックス焼結体中の任意の箇所の5000倍の画像を得た。なお、任意の箇所としては、試料が例えば矩形状の板状の場合には、光が透過する部分である厚み方向から見た(平面視で)中心の位置が挙げられる。
そして、前記位置における画像中の20μm角の中で任意の線を引き、インターセプト法によってAl結晶粒子とA12:Ce結晶粒子の平均結晶粒径(表1では、アルミナ粒径、YAG粒径と記載)を求めた。
(c)表面粗さ(Ra)
セラミック焼結体の表面粗さ(面粗度)は、バフ研磨、平面研削、ブラスト処理などの方法で、周知のように、処理時間、砥粒径を変化させることで調整することができる。
例えばバフ研磨の場合、処理時間が長いほど、また、使用する研磨剤の砥粒径が小さいほど、表面粗さを小さくすることができる。また、平面研削よりバフ研磨の方が、表面粗さを小さくすることができる。
そして、表面粗さ(Ra)を調整した板状のセラミック焼結体の一方の主面の表面(即ち光の入射側である光入射面)と、他方の主面の表面(即ち光の出射側である光出射面)に対して、JIS B 0601−1994の規定に従って、表面粗さRa(即ち算術平均粗さ)を求めた。
なお、これとは別に一部の試料(No.34、35の光入射面)に対して、JIS B 0601−01994の規定に従って、凹凸の平均間隔(Sm)も求めた。
(d)蛍光強度
13mm角×厚み0.5mmに加工したサンプルに対し、465nmの波長を有する青色LD光をレンズで0.5mm幅まで集光させて照射し、透過した光をレンズによって集光させ、パワーセンサーによりその発光強度を測定した。この時、照射される出力密度は40W/mmとなるようにした。なお、その強度はYAG:Ce単結晶体の強度を100としたときの相対値で評価した。
(e)色バラツキ
色バラツキは、色彩照度計による色度バラツキ測定によって評価した。
具体的には、図3に示すように、20mm角×厚み0.5mmに加工したセラミックス焼結体のサンプル11に対し、LD13から465nmの波長を有する青色LD光(レーザー光)を、レンズで集光させて0.5mm幅として照射した。なお、LD13のレーザ光の出力密度は40W/mmである。
そして、入射光方向に対し0°および45°の出射方向の光の色度(X方向)を、色彩照度計によって測定し、その色度のバラツキ(即ち色バラツキΔX)を求めた。なお、この色バラツキ(ΔX)とは、0°における色度と45°における色度との偏差である。
なお、色バラツキが小さい場合には、白色の光が観察されるが、色バラツキが大きな場合には、例えば0°において青白色が観察されたり、例えば45°において黄色がかった色が観察されることがある。
そして、上述のようにして各試料毎に得られた結果のうち、蛍光強度、色バラツキに関しては、下記のような評価基準により評価できる。なお、他の実施例も同様に評価できる。
蛍光強度については、110以上が好ましく、100以上110未満はやや好ましく、100未満は好ましくないと考えられる。
色バラツキについては、ΔX<0.070が好ましく、0.070≦ΔX<0.080はやや好ましく、0.080≦ΔXは好ましくないと考えられる。
以下では、本実施例1について、前記評価基準に基づいた評価などについて説明する。
実施例1のいずれの試料においても、相対密度は99%以上で十分に緻密化されていた。また、Alの平均結晶粒径は0.3〜33.1μm、A12:Ce(YAG:Ce)の平均結晶粒径は0.3〜5.5μmにあることが分かった。
そして、光入射面の表面粗さ(Ra)が本発明の範囲内にあるNo.2〜6は、蛍光強度が高く、且つ、色バラツキが小さく(即ちΔXが小さく)、いずれも良好な結果となった。一方、表面粗さ(Ra)が本発明の範囲より小さなNo.1は、色バラツキが大きくなった。また、表面粗さ(Ra)が本発明の範囲より大きなNo.7、8は、蛍光強度が低かった。
<実施例2>
実施例1と同様な製造方法で、下記表1に示すように、セラミックス焼結体の試料(No.9〜22の試料)を作製して、同様に評価を行った。
ここでは、セラミックス焼結体中のYAGの割合が1〜60vol%、Ce濃度がYAG中のYに対して0〜15mol%になるように作製したセラミックス焼結体に対して、表面粗さを調製して、同様に特性を評価した。
その結果、いずれの試料においても、相対密度は99%以上で十分に緻密化されていた。
また、セラミックス焼結体中のYAGの割合が、15〜50vol%の範囲内であるNo.11〜14は、蛍光強度が高く、且つ、色バラツキが小さく、ともに良好な結果となった。
一方、No.9は、色バラツキは抑制されるが、蛍光強度が低くなっていた。No.10は、色バラツキは抑制されるが、蛍光強度がやや低くなっていた。No.15は、色バラツキは抑制されるが、蛍光強度がやや低くなっていた。
セラミックス焼結体中のYAGの割合が21vol%、Ce濃度がYAG中のYに対して10mol%以下(0を含まず)の範囲内であるNo.17〜21は、蛍光強度、色バラツキともに良好な結果であった。
一方、No.16は、Ceが添加されていないので、発光がみられなかった。No.22は、色バラツキは抑制されるが、蛍光強度がやや低くなっていた。
<実施例3>
実施例1と同様な製造方法で、下記表1に示すように、セラミックス焼結体の試料(No.23〜35の試料)を作製して、同様に評価を行った。
ただし、セラミックス焼結体中のYAGの割合が20vol%、Ce濃度がYAG中のYに対して1mol%になるように、焼結体を作製した。
また、焼成条件の制御により、アルミナとYAGの粒子径も制御したセラミックス焼結体に対して、表面粗さを調製し、特性を評価した。
その結果、アルミナ粒径が、0.5〜30μmの範囲内であるNo.24〜26は、蛍光強度、色バラツキともに良好な結果となった。
一方、No.23は、蛍光強度は高いが、色バラツキがやや大きくなっていた。No.27は、蛍光強度がやや低くなっていた。No.28は、蛍光強度がやや低く、色バラツキが大きくなっていた。No.29〜35は、蛍光強度、色バラツキともに良好な結果となった。
なお、光入射面の凹凸の平均間隔(Sm)が0.3μm、1000μmであるNo.34、35は、蛍光強度、色バラツキともに良好な結果となった。
[3.他の実施形態]
本発明は前記実施形態になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
(1)例えば、前記実施例では、焼成方法として大気中での常圧焼成法を用いたが、その他に、真空雰囲気焼成法、還元雰囲気焼成法、ホットプレス(HP)法、熱間等方圧加圧(HIP)法またはこれらを組み合わせた焼成方法によっても、同等の性能を有したサンプルを作製することができる。
(2)前記光波長変換部材や発光装置の用途としては、蛍光体、光波長変換機器、ヘッドランプ、照明、プロジェクター等の光学機器など、各種の用途が挙げられる。
(3)前記実施形態の構成を適宜組み合わせることができる。
1…発光装置
5…発光素子
9…光波長変換部材

Claims (4)

  1. 光学的異方性を有する多結晶透明セラミックスと、蛍光性を有する多結晶セラミックスと、を主成分とする多結晶組織を有するセラミックス焼結体からなり、
    該セラミックス焼結体は、光が入射する光入射面における表面粗さ(Ra)が、0.05〜10μmであり、
    前記光入射面における凹凸の平均間隔(Sm)が0.3〜1000μmであることを特徴とする光波長変換部材。
  2. 前記蛍光性を有する多結晶セラミックスが、下記A、Bの元素群から選ばれる少なくとも1種以上の元素から構成されるA12:Ceで表されるガーネット構造を有するとともに、
    前記蛍光性を有する多結晶セラミックスの割合が、15〜50vol%、A12:Ce中のCe濃度が、元素Aに対して10mol%以下(0を含まず)であることを特徴とする請求項1に記載の光波長変換部材。
    A:Sc、Y、ランタノイド(Ceを除く)
    B:Al、Ga
  3. 前記多結晶透明セラミックスが、平均結晶粒径が0.5〜30μmのアルミナであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光波長変換部材。
  4. 前記請求項1〜のいずれか1項に記載の光波長変換部材を備えたことを特徴とする発光装置。
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