JP6591685B2 - コーティング付き眼鏡レンズ、眼鏡レンズを製造する方法、眼鏡レンズを設計するためのコンピュータ実装方法、及び眼鏡レンズを設計するための実験的方法 - Google Patents

コーティング付き眼鏡レンズ、眼鏡レンズを製造する方法、眼鏡レンズを設計するためのコンピュータ実装方法、及び眼鏡レンズを設計するための実験的方法 Download PDF

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Description

本発明は、レンズ基板とレンズ基板上のコーティングを有する眼鏡レンズに関する。本発明はさらに、かかる眼鏡レンズを設計するためのコンピュータ実装又は実験的方法及び眼鏡レンズを製造するためのそれに対応する方法に関する。
特定のスペクトル範囲は人間の眼に対し、それが強い強度で、又は比較的長い曝露時間で眼に照射されるとダメージを与える可能性があることが知られている。角膜、水晶体、及び網膜は特に影響を受けやすい。UVスペクトル範囲の保護効果は、高品質の眼鏡レンズにおいて先行技術である。
特許文献1は、冒頭に記載の種類の眼鏡レンズを開示している。眼を保護するために、UV−B範囲からIR−A範囲までのスペクトル範囲全体にわたる反射防止効果を持つ反射防止コーティングが提供される。眼の保護は、反射防止効果又は反射防止コーティングによって、後方から入射した光が反射により眼鏡装用者の眼の中へと戻ることなく、眼鏡を通過できることで実現される。本明細書において、示されているすべての実施形態は、入射角が30°又は45°より大きい場合より、入射角が0°の場合により低い反射率を有する。
しかしながら、前方から入射する放射が眼の中に入ることがあり得るという問題が依然としてある。そのように入る中で、反射防止効果の結果として、放射の量が増えることさえある。
特許文献2は、冒頭に記載の種類の眼鏡レンズを開示しており、これは赤外スペクトル範囲の赤外ミラーとして機能し、前方から入射する赤外放射を有効に減少させるコーティングを含む。その結果、眼を前方から入射する放射から保護できる。
米国特許第9,291,746 B2号明細書 米国特許出願公開第2015/0146161 A1号明細書 米国特許出願第2015/0241602号明細書
上記の背景により、本発明の目的は、改善された保護効果を実現しやすくする眼鏡レンズを提供することである。
したがって、本発明の第一の態様によれば、眼鏡レンズの提供が提案され、前記眼鏡レンズはレンズ基板を含み、レンズ基板に塗布されるコーティングを含み、コーティング(22)は、入射角0°でコーティングに衝突する第一の波長λNIRの近赤外光について少なくとも20%の反射率を有し、コーティングは入射角35°でコーティングに衝突する第一の波長λNIRの近赤外光について第二の反射率を有し、前記第二の反射率は第一の反射率に関して少なくとも10%低減されていることを特徴とする。
薄い(subtle)照明のためのIRエミッタを備えるIRカメラの使用の普及は、とりわけ、道路交通中に比較的強力なIRエミッタに関する人間の曝露の増大につながる。赤外線ベースの照明システムは、特に380nm〜780nmの可視スペクトル範囲内の視野がますます限定される夜間において、見当識を支援する。このようなシステムはまた、ナイトビジョンアシスタント又はナイトビジョンデバイスとも呼ばれる。ナイトビジョンアシスタントの利点は、赤外線ヘッドランプによって広い視野を照明することができ、その際、他の道路使用者がグレアを認識しないことにある。
しかしながら、暗がり、又は薄暮の弱い明りの中では瞳孔が広がっているため、ナイトビジョン技術を備えた車両のIR放射は網膜に直接入射する可能性がある。ここで、赤外放射は瞳孔の収縮又は瞼を閉じるという眼の保護的反射を起こさせない。眼をこのような環境条件の範囲内のリスクにさらすことは避けられない。従来の眼鏡レンズ材料は、特に800nm〜1500nmの範囲において吸収率が低いため、従来の眼鏡レンズによる保護効果はない。
道路交通中、赤外線曝露が増大する実質的に2つのシナリオが生じるかもしれない。すなわち、(a)例えば、赤外線ナイトビジョンアシスタントを備える車両が平行な車線上をわずかに後方にずれて同じ方向に走行していることによって発生するかもしれない、後方から斜めに入射する赤外放射の後面反射と、(b)赤外線ナイトビジョンアシスタントを備える対向車の場合に発生するかもしれない、前方から入射する赤外放射からの保護。
冒頭に記した特許文献1及び特許文献2はそれぞれ、部分的な問題(a)又は(b)をそれ自体で解決する。しかしながら、2つの文献の教示と眼鏡レンズの裏面のIR反射防止コーティング及び前面のIRミラーとの組合せでは、両方のシナリオで十分な保護効果の所望の結果が得られない。前方からの放射の入射の場合だけでなく、後方からの放射の入射の場合に生じる(coming to bear)赤外スペクトル範囲でのミラーリング効果によって、眼鏡レンズの裏面での戻り反射は減少するが、この効果は、前面上の誘電体ミラーによって無効となり、放射はやはり使用者の眼の中に到達してしまうであろう。
したがって、コーティングの提供が提案され、前記コーティングは、コーティングに入射角0°で衝突する第一の波長λNIRの近赤外光について少なくとも20%の反射率を有し、さらに、入射角35°でコーティングに衝突する第一の波長λNIRの近赤外光について第二の反射率をさらに有し、前記第二の反射率は第一の反射率に関して少なくとも10%低減される。好ましいことに、それによって自動車分野における、又は道路交通における赤外線エミッタに対する改善された保護効果が実現可能である。
近赤外範囲内の波長λNIRでの提案されている角度依存性の結果、前方から入射する光成分は、それによってより大きく削減され、他方で、後方から斜めに入射する光成分は、反射率が低減されていることから、通過できる。入射角0°の場合に反射率が少なくとも20%であることによって、特許文献1と異なり、これが特に反射防止コーティング又は反射防止効果に関係していないことが明らかとなる。好ましくは、反射率は30%、40%、50%、60%、又はそのほかに70%、あるいはそれ以上である。好ましくは、入射角35°と入射角0°での反射率間にそれよりずっと大きな差を設けることもできる。
眼鏡の装用位置を考えると、赤外放射は、放射源を見たときに(最も危険な瞬間)、可視光と共に眼鏡レンズに約0°(通常、±15°)の角度で入射するため、眼鏡レンズのミラーリング効果は0°で最大となる。これに対して、0°周辺の角度範囲は、後方からの放射にとってはそれほど重要でなく、それは、この場合に反射されるのは実質的に、生来の人間の熱放射だけであるからである。しかしながら、生来の熱放射のリスクの可能性は低いと評価できる。これに対して、後面にとっては、放射が人間の眼の中に全内反射として反射可能な、レンズ表面の垂線に関して35°〜60°の入射光の角度範囲が決定的である。
本発明のある態様によれば、入射角0°での反射率と入射角35°での反射率との間の相互作用をさらに考慮に入れることができる。入射角0°での反射率を高めることによって、入射角35°での反射率も高くなるかもしれない。入射角0°での反射率を高くしすぎないように、例えば少なくとも20%であるが70%以下、好ましくは60%、50%、又は40%以下とすることにより、それほど複雑でない層構造の場合に、後方から斜めに入射する放射に関して、近赤外範囲内の波長λNIRについて十分に低減された反射率又は十分に低い反射率を得ることが可能である。
自動車分野においてナイトアシスタンスシステムで使用されるとき、交通の流れが中程度である場合に使用者が対向車の赤外放射に曝露されるのは比較的短い時間間隔のみでありこれは、前記対向車が使用者の車両を反対方向に通過するからである。これに対して、曝露は、例えば車両が平行な車線上でわずかにずれて同程度の速度で走行している場合、後方から斜めに入射する赤外放射の場合は継続的期間にわたり存在するかもしれない。この点について、少なくとも20%の反射率は、入射角0°の場合に十分であるかもしれない。その結果、限定的な複雑さの層構造で、後方から斜めに入射する放射の近赤外範囲の波長λNIRについての十分に低減された反射率又は十分に低い反射率を得ることが可能である。
さらに、提案される眼鏡レンズはまた、前方及び後方から斜めの両方から入射する太陽放射の場合に、改善された保護効果を提供できる。入射角0°でのミラーリング効果の結果として、例えば表面での反射の結果として、前方から入射する光線、例えば水面の反射を減少させることができ、それと同時に、入射角35°での反射率が低減されているために、後方から斜めに入射する放射のより大きい部分が眼鏡レンズを透過し、その結果、これは再び眼へと反射しない。ここで、考えられる応用例は、屋外、特に砂浜での読書である。
好ましくは、眼鏡レンズはゼロ以外の光学パワーを有する。レンズ基板は好ましくはUV吸収剤を有する。
本発明の第二の態様によれば、レンズ基板を含み、レンズ基板に塗布されるコーティングを含む眼鏡レンズを設計するためのコンピュータ実装又は実験的方法が提案され、この方法は、
−積層配列を決定するステップを含み、積層配列は、コーティングが、入射角0°でコーティングに衝突する第一の波長λNIRの近赤外光について少なくとも20%の第一の反射率と、入射角35°でコーティングに衝突する第一の波長λNIRの近赤外光について第二の反射率を有し、前記第二の反射率は第一の反射率に関して少なくとも10%だけ低減されるという条件が適用される。
本発明の第三の態様によれば、レンズ基板を含み、レンズ基板に塗布されるコーティングを含む眼鏡レンズを製造する方法が提案され、この方法は、
−レンズ基板を提供するステップと、
−コーティングを形成する積層配列をレンズ基板上に形成するステップと、を含み、コーティングは、入射角0°でコーティングに衝突する第一の波長λNIRの近赤外光について少なくとも20%の第一の反射率と、入射角35°でコーティングに衝突する第一の波長λNIRの近赤外光について第二の反射率とを有し、前記第二の反射率は第一の反射率に関して少なくとも10%だけ低減されるという条件が適用される。
本発明の第四の態様によれば、フレームのほか、第一の態様による第一の眼鏡レンズと第二の眼鏡レンズを含む眼鏡が提案される。
別段のことわりがないかぎり、本明細書で使用されている用語は、Deutsches Institut fuer Normung e.V.[ドイツ規格協会]による規格DIN EN ISO 13666:2012の意味で理解されるべきである。
入射角は、眼鏡レンズの表面に鉛直又は垂直な表面に関する角度に関する。特に、入射角は、DIN EN ISO 13666:2012規格4.9項により眼鏡レンズの頂点で特定できる。
DIN EN ISO 13666:2012規格4.2項によれば、可視光、可視放射、又は可視波長範囲という用語は、人間の視覚に直接作用することのできる光学放射に関する。可視放射は、400nm〜780nmの波長範囲に関していてもよい。しかしながら、本開示の範囲内で、可視放射は好ましくは、400nm又は460nm〜700nmの波長範囲に関していてもよい。特に、これは眼の最大感度をカバーし、それと同時に、フィルタ特性及びエッジ急峻度の設計に関する設計の柔軟性を増大させる。
DIN EN ISO 13666:2012規格4.3項によれば、紫外放射はその波長が可視放射に関するものより短い光学放射と理解される。100nm〜400nmの紫外線放射範囲は通常、UV−A(315nm〜400nm)、UV−B(280nm〜315nm)、及びUV−C(100nm〜280nm)に細分される。代替として、380nmをUV−Aの上限として使用できる。UV−Cのスペクトル範囲は、大気が200nmより短い波長の放射を十分に吸収するため、実際上、200nm〜280nmである。
DIN EN ISO 13666:2012規格4.3項によれば、赤外放射はその波長が可視放射に関するものより長い光学放射と理解すべきである。780nm〜3μmの範囲はまた、近赤外範囲とも呼ばれる。ここで、IR−A(780nm〜1400nm)とIR−B(1.4μm〜3μm)とが区別される。海抜ゼロメートルでは、考慮すべき赤外スペクトルは約2μmまで拡張される。さらに、従来の眼鏡レンズ材料はすでに、その材料特性を考慮して、約1.7μm超〜2μmの波長の赤外放射の十分な吸収を提供する。
DIN EN ISO 13666:2012規格5.8項によれば、前面又は物体側面という用語は、眼鏡レンズの、眼から遠い方に嵌め込まれることが意図される表面を指す。DIN EN ISO 13666:2012規格5.19項によれば、裏面又は眼側表面という用語は、眼鏡レンズの、眼により近い方に嵌め込まれることが意図される表面を指す。前面及び後面という用語は、本明細書において、レンズ基板についても相応に使用される。
本開示の範囲内で、眼鏡レンズという用語は、特に、DIN EN ISO 13666:2012規格8.1.13項によるコーティング付き眼鏡レンズ、すなわち、特にその特性の1つ又は複数を変化させるために1つ又は複数の表面コーティングがそこに塗布されている眼鏡レンズを指す。本明細書において開示される眼鏡レンズは、有利な点として、特に以下の分野、すなわち、眼鏡(矯正力のあるものとないもの)、サングラス、スキーゴーグル、職業用眼鏡、及びヘッドマウントディスプレイデバイス(ヘッドマウントディスプレイ)と組み合わせられる眼鏡で使用できる。
本開示の範囲内で、眼鏡レンズという用語はさらに、眼鏡レンズ半完成品、特に、DIN EN ISO 13666:2012規格8.4.2号による眼鏡レンズブランク又はセミフィニッシュト眼鏡レンズ、すなわち、レンズブランク又は、一方の表面のみが光学的に仕上げられたレンズブランクをさらに含んでいてもよい。これに対して、レンズ基板という用語は、本発明によるコーティングを持たない眼鏡レンズ(半完成品を含む)に関する。
DIN EN ISO 13666:2012規格15.1項によれば、分光反射率又は反射率(reflectnace, reflectivity)という用語は、特定の波長(λ)での入射放射強度に対するそれぞれの材料又は表面もしくはコーティングにより反射されるスぺクトル放射強度の比を指す。本願の場合、反射率はその複数の高屈折率層及び低屈折率層を持つコーティング全体の反射率に関しており、個々の層の反射率に関するものではない。
DIN EN ISO 13666:2012規格15.2項によれば、分光透過率又は透過率という用語は、特定の波長(λ)での入射放射強度に対するそれぞれの材料により透過させられるスペクトル放射強度の比を指す。
DIN EN ISO 13666:2012規格15.4項によれば、視感透過率という用語は、入射光束に対するスペクトルレンズもしくはフィルタによって、又は、この場合ではコーティングによって透過させられる光束の比を指す。ここでは、昼間視野のための人間の眼の感度関数及びCIE標準照明D65のスペクトル放射分布で重み付けされる。上述の規格から外れて、ここでは、400nm又は460nm〜700nm又は780nmの波長範囲を考慮することができる。
例えば傷に対する保護層又は静電防止効果を得るための導電性静電防止層の形成といったコーティングの追加の層の形成等、さらにより多くの製造ステップを行うことができると理解されたい。特に、追加の層はまた、追加の機能を得るために、以下の説明の中で明示される実施形態の積層配列の中に挿入されてもよい。例えば、以下の説明の中で明示される積層配列の中に厚さ約3nmのITO層を挿入することにより、分光反射率に実質的に影響を与えずに、静電防止効果を得ることができるかもしれない。ここで、ITO層を終止層としてではなく、積層配列の中に挿入することが有利であるかもしれない。コーティングの層間に相互作用があり、そのため区切ることはできず、その代わりにコーティングの全体的な効果を、光学特性、特に角度依存反射率に関して考慮に入れるべきであると理解されたい。
ここで、特に、コーティングという用語は、高屈折率の層と低屈折率の層の積層配列を有する誘電体コーティングに関していてもよい。このような誘電ミラー又はフィルタは、ブラッグ反射器とも呼ぶことができる。任意選択により、このようなコーティングはまた、高屈折率層の屈折率と低屈折率層の屈折率との間にある屈折率を持つ中間屈折率層も有していてよい。このようなコーティングは、真空コーティング法、例えば気化もしくは蒸着、スパッタリングもしくは陰極スパッタリング、又は化学気相成長法により塗布されてもよい。
本願の場合、条件とは、機能的特徴の定義の意味内で満足させるべき境界条件を意味すると理解すべきである。特に、これは逐次近似又は最適化法のための特性又は境界条件であってもよく、これはこのような方法のための根拠を表す。
ある構成において、可視波長範囲400nm〜700nmで、入射角0°の場合の眼鏡レンズの平均透過率又は視感透過率が少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%となるようにすることができる。ここで、これは眼の感度関数を考慮した、可視範囲での重み付け透過率である。ここで、透過率は、DIN EN ISO 13666:2012規格15.4項による視認透過率、すなわち、特定のスペクトル範囲での入射光束に対する眼鏡レンズにより透過される光束の比を意味すると理解すべきである。また、400nm〜780nm、460nm〜700nm、及び460nm〜780nmの波長範囲を考慮することも可能である。別の表現をすれば、これは使用者にとって可視光を透過させる眼鏡レンズである。あるいは、例えばサングラスとして使用される場合、さらに着色を提供してもよい。
ある構成において、近赤外線の波長λNIRは、780nm〜1500nm、800nm〜1200nm、及び850nm〜1100nmの波長範囲の群の中の波長範囲内にあってもよい。例えば、波長は、λNIR=1000nmであってもよい。好ましくは、赤外波長は所定の放射源に、例えば自動車分野のナイトビジョンアシスタントの赤外線ヘッドランプの最大放出にマッチする。
別の構成では、コーティングは、波長λNIRを含む波長範囲にわたり、入射角0°に関して少なくとも10%だけ低くされた反射率を有することができる。この構成の利点は、これが広帯域放射源も考慮に入れることができることにある。赤外放射源は通常、単色光源ではなく、例えば比較的広い発光スペクトルを持つ赤外線LEDヘッドランプである。この範囲の保護効果は、波長範囲を考慮したコーティングによって確保できる。
別の構成では、入射角0°で、コーティングは近赤外範囲の波長λNIRについて少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、及び少なくとも50%の反射率の群の中の反射率を有する。特に、コーティングは入射角0°で少なくとも60%、70%、又は80%の反射率を有していてもよい。それゆえ、提案されているコーティングは正確には、波長λNIRでは反射防止コーティングとしてではなく、反射効果を持つコーティングとして機能すると理解されたい。
ある構成では、入射角35°で、コーティングは近赤外範囲の波長λNIRについて、入射角0°に関して少なくとも15%、20%、25%、及び30%の群の中の係数だけ低減された反射率を有する。特に、コーティングは、入射角35°で、入射角0°に関して少なくとも40%、50%、60%、又は70%だけ低減された反射率を有していてもよい。その結果、前方から(例えば、入射角0°±15°で)入射する放射と後方から斜めに入射する放射のミラーリング効果との間に、より大きな差が実現される。反射率はマイナスの値をとらないと理解されたい。例えば、コーティングは、入射角0°での反射率50%と、入射角35°での反射率25%、すなわち入射角0°に関する入射角35°の絶対的には25%、また相対的には50%だけ低減された反射率を有していてもよい。本開示の範囲内で、低減された反射率に関するパーセンテージの数字は、反射率の絶対的低減にも反射率の相対的低減に関していてよい。
ある構成において、入射角30°〜45°にわたり、コーティングは近赤外範囲の波長λNIRについて、入射角0°に関して少なくとも10%だけ低減された反射率を有する。この構成の利点は、広い角度範囲にわたって保護効果が確保されることにある。好ましくは、入射角範囲及び、波長λNIRを含む波長範囲を組み合わせることができる。
別の構成では、レンズ基板は前面及び後面を有し、コーティングはレンズ基板の前面に塗布される。この構成の利点は、製造工程中に前面にすでにコーティングを提供できることにある。特に、前面は、例えばフリーフォームジェネレータを使って裏面の処理が完了する前に被覆できる。好ましくは、したがって、その前面の処理がすでに終わっている眼鏡レンズ半完成品及び/又は眼鏡レンズブランクを提供することが可能である。
ある構成において、レンズ基板はIR吸収剤をさらに有していてもよい。この構成の利点は、赤外放射を更に削減できる点にある。IR吸収剤(赤外線吸収剤)の効果は、コーティングが前面に塗布されたときに特に有利となり得る。当然のことながら、誘電体コーティングは両方向に同じ効果を有する。光が後方から入ったときに残り、前面に到達し、そこで前面のコーティングにより反射されて戻る残留放射成分は、この場合、IR吸収剤を有する基板を通る2つの通路をたどり、それによって赤外放射は2回減衰させられる。
さらに、IR吸収剤とレンズ基板前面のコーティングの組合せから相乗効果が生じるかもしれない。IR吸収剤を含む基板の使用可能寿命は、前面のコーティングの少なくとも部分的な反射効果により延長されるかもしれず、それは、IR吸収剤に作用する赤外放射がより少なくなるからである。その結果、IR吸収剤の経年変化が可視スペクトル範囲での影響を生じさせるかもしれないため、使用可能寿命にわたる可視範囲内の透過率が改善するかもしれない。
例えば赤外光吸収染料の形態のIR吸収剤は、様々な方法で導入されてよい。例えば、これらは吸収剤のモノマ混合物の中に混ぜることができ、そのため、これらを例えばUV吸収剤と共に添加して、それと一緒に硬化させるか、又は特に熱可塑性ポリマと共に射出成型により加工できる。ここで、これはその中に染料が均一に分散されたポリマ製品か、又はその中に1種又は複数種の染料が表面上の厚さ例えば500μm以下の層内に配置されたポリマ製品であってもよい。
あるいは、IR吸収剤の、基板に塗布される(例えば、UV又は熱硬化)ラッカとの混和材が提供されてもよい。好ましくは、これは同時にプライマ又はハードコートとしての役割を果たしてもよい。ここで、基板材料に混和する場合と同じ効果を得るために、吸収剤の濃度をより高く、例えば0.02〜4質量パーセント、好ましくは0.1〜1質量パーセント、好ましくは0.2〜0.75質量パーセントとしてもよい。任意選択によりプライマ又はプライマ層をレンズ基板に形成してもよく、それによって機能コーティングがより接着しやすくなる。任意選択によるハードコートは、眼鏡レンズを傷から保護できる。
さらに、IR吸収剤は基板材料又はコーティング、特にハードコートの中に、ガラスを着色する場合と同様の方法で、又は熱転写もしくは吸入を通じて拡散させることにより導入できる。ここで、好ましくは、量子収率の高い材料を利用することが好ましく、それによって通常のように薄い層厚のコーティングで透過率を十分に低減できる。IR吸収剤は、とりわけ、(クオタ)リレン、フェニレンジアミン、又は適当な電荷移動遷移の金属錯体の物質クラスから収集できる。例には、(ビス(4,4’−ジメトキシジチオベンジル)ニッケル(CAS 38465−55−3)、ビス(4−ジメチルアミノジチオベンジル)ニッケル)(CAS 38951−97−2);N,N,N’,N’−テトラキス(4−ジブチルアミノフェニル)−p−フェニレンジアミニウムヘキサフルオロフォスフェート(CAS 152340−26−6)、アントラ[9”,1”,2”:6,5,10;10”,5”,6”:6’,5’,10’]ジアントラ[2,1,9−def:2’,1’,9’−d’e’f’]ジイソキノリン−1,3,12,14(2H,13H)(CAS 165550−64−1),アントラ(9”,1”,2”:6,5,10;10”,5”,6”:6’,5’,10’]ジアントラ[2,1,9−def:2’,1’,9’−d’e’f’]ジイソキノリン−1,3,12,14(2H,13H)−テトロン、2,13−ビス[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−5,10,16,21−テトラキス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノキシ](CAS 333304−54−4)等が含まれる。
ある構成では、本開示によるコーティングはさらに、レンズ基板の後面に塗布されてもよい。例えば、同じコーティングが前面及び後面に提供されてもよい。しかしながら、代替的に、後面については、本開示によるコーティングの異なる構成が提供されてもよい。このようなコーティングを前面及び後面の両方に提供することの利点は、IR透過率がはるかに大幅に低減されることと、その結果、より改善された保護効果が実現されることにある。その代わりに、又はそれに加えて、同様の層構造でも所望の効果を実現するのに十分であるかもしれない。この結果として、コーティングはより費用対効果の高い方法で製造できる。好ましくは、前面及び後面のコーティングは、レンズ基板のIR吸収剤と組み合わせられる。裏面コーティングにより、後方から斜めに入射する放射に関する反射率が低減し、それによってレンズ基板中のIR吸収剤と共に、眼のIR光線曝露が減衰し、保護効果をさらに改善できる。
ある構成では、レンズ基板は前面及び後面を有し、後面は、可視光、IR光、及びUV光の群の中の少なくとも1つの範囲についての反射防止コーティングを有する。ここで、冒頭で提案されたコーティングは前面に提供できる。このような反射防止コーティングを使用する結果として、例えば特許文献1から知られているように、追加の保護機能を得ることができる。特に、赤外線反射防止(IR−AR)コーティングは前面及び/又は後面に提供されてよい。有利な保護効果は、前面及び後面コーティングにより、特にレンズ基板中のIR吸収剤と組み合わせて開発できる。ここで、これは例えば、セラミック又はハイブリッドコーティング(例えば、ゾル−ゲルプロセスに基づく有機−無機ハイブリッド層)であってもよく、これは好ましくは、可視範囲内の反射防止層としての効果のほかに、赤外スペクトル内の反射に対する低減作用も有する。
別の構成では、レンズ基板は前面及び後面を有し、前面はUV光及び短波長青色光の群の中の少なくとも1つの範囲に関する反射コーティングを有する。換言すれば、前面のコーティングはUV光及び/又は短波長青色光に対する反射効果を有する。コーティングは、第一の態様によるコーティングとすることができ、これはさらに、対応する反射効果を提供する。この実施形態の利点は、別のスペクトル範囲における保護効果が更に改善されることにある。前面の代わりに、又はそれに加えて、後面のコーティングもまた、このような特性を有するように構成してもよいと理解されたい。短波長青色光に対する保護効果は、ブルーカットとも呼ばれる。フルーカットは好ましくは、(セラミック又はハイブリッド)反射防止コーティングを意味すると理解されるべきであり、これは特に、高い有効性で、例えば400nm〜460nm(高エネルギー可視(HEV)等のUV範囲のエッジにおける短波長青色光に対する高い反射率を有する。さらに、眼鏡レンズの、少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%という透過率が460nm〜700nmの可視波長範囲で提供されてもよい。
別の構成では、コーティングは高屈折率の材料、中程度の屈折率の材料、及び低屈折率の材料を有する。この構成の利点は、中程度の屈折率(高屈折率と低屈折率との間にある)の第三の成分を追加することによって、コーティングの層系の効果がより柔軟に提供されるという点である。好ましくは、所望の効果に必要な層の数を減らすことができる。例えばTiO等、基板材料のそれより高い屈折率を有する材料が、高屈折率の材料として使用されてもよい。例えば、Zr、Ti、Al、Y、Ta、Nd、La、Nb、及びPrTiから選択される金属酸化物又はそれらの組合せは、高屈折率の材料、すなわちいわゆる高屈折率材料として使用できる。基板材料のそれより低い屈折率を有する材料は、低屈折率の材料として使用されてもよい。例えば、SiOをこのために使用できる。あるいは、SiOとアルミニウムとの混合物を使用することも可能である。ZrOは、中程度の屈折率の材料例として使用できる。例えば、高屈折率の材料の屈折率はn>2.0であってもよく、中程度の屈折率の材料の屈折率はn=1.5〜n=2.0であってもよく、低屈折率の材料の屈折率は、n<1.5であってもよい。用途と利用されるレンズ基板材料に応じて、上記と異なる範囲、例えば相互に関する、又はレンズ基板材料の屈折率に関する材料の相対的仕様等を利用することもできる。
ある構成では、コーティングは以下の積層配列、すなわち、TiOの第一の層、それに続くSiOの第一の層、それに続くTiOの第二の層、それに続くSiOの第二の層、それに続くTiOの第三の層、それに続くSiOの第三の層、それに続くZrOの第一の層、それに続くTiOの第四の層、それに続くZrOの第二の層、それに続くTiOの第五の層を有していてもよい。ハードコート層(ハードコート)はレンズ基板とTiOの第一の層との間に提供されてもよい。任意選択により、別の終止層が提供されてもよい。
ある実施形態において、コーティングは高屈折率の終止層を有していてもよい。この構成の利点は、高屈折率の終止層と周囲の空気との間の屈折率の差が大きいことによって、赤外範囲で有利なミラーリング効果を実現できることにある。
ある構成では、コーティングは誘電体層をさらに有する。例えば、このために、インジウム錫酸化物((In0.9(SnO0.1;ITO)、フッ素ドープ錫酸化物(SnO:F;FTO)、アルミニウムドープ亜鉛酸化物(ZnO:Al;AZO)、又はアンチモンドープ錫酸化物(SnO:Sb;ATO)等の透明な導電性酸化物を利用してもよい。この構成の利点は、静電帯電を回避できることにある。その結果、眼鏡レンズのクリーニングを改善できる。さらに、例えば層系の機械的安定性を改善するために、追加の層を取り付けてもよい。このために、厚さ≧100nmの層を利用できる。
別の構成では、コーティングは少なくとも5層、特に少なくとも6層、特に少なくとも7層、特に少なくとも8層、特に好ましくは9層、特に少なくとも10層を有する。この構成の利点は、所望の角度依存性を有する明確に定義された透過効果と反射効果を実現できることにある。
コンピュータ実装方法としての本発明の第二の態様による方法の構成では、積層配列を決定するステップは、
a)コーティングの第一の積層配列を説明するパラメータを提供するステップと、
b)第一の反射率を表す少なくとも20%の第一の限度を提供するステップと、
c)入射角0°でコーティングに入射する第一の波長λNIRの近赤外光についてのコーティングの反射率を決定するステップと、
d)ステップc)で決定された反射率を第一の限度と比較するステップと、
e1)ステップd)で行われた比較の結果、第一の限度がステップc)で決定された反射率を超えないと判断された場合、
f1)第一の積層配列を説明するパラメータを変更するステップと、
g1)ステップc)〜d)を実行するステップと、
e2)ステップd)で行われた比較の結果、第一の限度が超過されたと判断された場合、
f2)入射角35°でコーティングに入射する第一の波長λNIRの近赤外光についてのコーティングの反射率を決定するステップと、
g2)ステップf2)で決定された反射率をc)で決定された反射率と比較するステップと、
h2.1)ステップg2)で行われた比較の結果、ステップf2)で決定された反射率がステップc)で決定された反射率を、10%を超えて下回らなかったと判断された場合、
i2.1)第一の積層配列を説明するパラメータを変更するステップと、
j2.1)ステップc)〜d)を実行するステップと、
h2.2)ステップg2)で行われた比較の結果、ステップf2)で決定された反射率がステップc)で決定された反射率を、10%を超えて下回ったと判断された場合、
k2.2)第一の積層配列を説明するパラメータをコーティングの積層配列を説明するパラメータとして出力するステップと、
を含んでいてもよい。その結果、積層配列は好ましくは、反復法、特に反復的近似又は最適化法で決定できる。このために、これらは商業的に入手可能なプログラム、例えばドイツのガルヒンクのOptiLayer GmbHによる、欧州ではドイツのハイデルブルクのLangbein Thelen Consultingにより販売されるソフトウェアから製作できる。その他の販路はhttp://www.optilayer.com/distributorsに掲載されている。
実験的方法としての本発明の第二の態様による方法の別の構成では、積層配列を決定するステップは、
a)コーティング(22)の第一の積層配列(25)を提供するステップと、
b)第一の反射率を表す少なくとも20%の第一の限度を提供するステップと、
c)入射角0°でコーティング(22)に入射する第一の波長λNIRの近赤外光についてのコーティング(22)の反射率を測定するステップと、
d)ステップc)で測定された反射率を第一の限度と比較するステップと、
e1)ステップd)で行われた比較の結果、第一の限度がステップc)で測定された反射率により超過されなかったと判断された場合、
f1)第一の積層配列(25)を変更するステップと、
g1)ステップc)〜d)を実行するステップと、
e2)ステップd)で行われた比較の結果、第一の限度が超過されたと判断された場合、
f2)入射角35°でコーティング(22)に入射する第一の波長λNIRの近赤外光についてのコーティング(22)の反射率を測定するステップと、
g2)ステップf2)で測定された反射率をステップc)で測定された反射率と比較するステップと、
h2.1)ステップg2)で行われた比較の結果、ステップf2)で測定された反射率がステップc)で測定された反射率を、10%を超えて下回らなかったと判断された場合、
i2.1)第一の積層配列(25)を変更するステップと、
j2.1)ステップc)〜d)を実行するステップと、
h2.2)ステップg2)で行われた比較の結果、ステップf2)で測定された反射率がステップc)で測定された反射率を、10%を超えて下回ったと判断された場合、
k2.2)第一の積層配列(25)を、コーティング(22)の、決定されるべき積層配列(25)として使用するステップと、
を含んでいてもよい。本明細書に記載の配列を例示的に使用すれば、その結果として、実験的な反復的方法により、特に反復的近似又は最適化法により積層配列を決定することが可能である。
コンピュータ実装方法としての本発明の第二の態様による方法のある構成では、積層配列を決定するステップは、
a)コーティングの第一の積層配列を説明するパラメータを提供するステップと、
b)第一の反射率を表す少なくとも20%の第一の限度を提供するステップと、
c)入射角0°でコーティングに入射する第一の波長λNIRの近赤外光についてのコーティングの反射率を決定するステップと、
d)入射角35°でコーティングに入射する第一の波長λNIRの近赤外光についてのコーティングの反射率を決定するステップと、
e)ステップc)で決定された反射率を第一の限度と比較するステップと、
f1)ステップe)で行われた比較の結果、第一の限度がステップc)で決定された反射率により超過されなかったと判断された場合、
g1)第一の積層配列を説明するパラメータを変更するステップと、
h1)ステップc)〜e)を実行するステップと、
f2)ステップe)で行われた比較の結果、第一の限度が超過されたと判断された場合、
g2)ステップd)で決定された反射率をステップc)で決定された反射率と比較するステップと、
h2.1)ステップg2)で行われた比較の結果、ステップd)で決定された反射率がステップc)で決定された反射率を、10%を超えて下回らないと判断された場合、
i2.1)第一の積層配列を説明するパラメータを変更するステップと、
j2.1)ステップc)〜e)を実行するステップと、
h2.2)ステップg2)で行われた比較の結果、ステップd)で決定された反射率がステップc)で決定された反射率を、10%を超えて下回ったと判断された場合、
k2.2)第一の積層配列を説明するパラメータを、コーティングの積層配列を説明するパラメータとして出力するステップと、
を含んでいてもよい。本明細書に記載されているコンピュータ実装方法の発展形は、眼鏡レンズを設計するための実験的方法に相応に応用されてもよい。
本発明の第一の態様について上で詳しく説明した利点は、本発明の他の態様により適用される。
言うまでもなく、上述の特徴及び後で説明されることになる特徴は、各々の場合で明示された組合せにおいてだけでなく、その他の組合せでも、又は個々にでも、本発明の範囲から逸脱せずに使用できる。特に、波長の範囲、入射角の範囲、0°での反射率、及び/又は35°での反射率に関する具体化は、相互に組み合わせることができる。
本発明の実施形態は図面に示され、以下の説明の中でより詳しく説明される。
前方から入射する赤外放射のある例示的シナリオを示す。 後方から斜めに入射する赤外放射のある例示的シナリオを示す。 本発明の例示的実施形態による眼鏡レンズの実施形態を示す。 眼鏡レンズの実施形態の概略図を示す。 図4Aの眼鏡レンズの反射曲線を示す。 眼鏡レンズの別の実施形態の概略図を示す。 図5Aの眼鏡レンズの反射曲線を示す。 眼鏡レンズの別の実施形態の概略図を示す。 図6Aの眼鏡レンズの反射曲線を示す。 眼鏡レンズの別の実施形態の概略図を示す。 図7Aの眼鏡レンズの反射曲線を示す。 眼鏡レンズの別の実施形態の概略図を示す。 図8Aの眼鏡レンズの反射曲線を示す。 眼鏡レンズの別の実施形態の概略図を示す。 図9Aの眼鏡レンズの反射曲線を示す。 青色又はUV光線範囲で反射する眼鏡レンズの反射曲線を示す。 眼鏡レンズの反射曲線の別の実施形態を示す。 眼鏡レンズを設計する方法のフローチャートを示す。 眼鏡レンズを製造する方法のフローチャートを示す。 積層配列を決定するための方法ステップのフローチャートを示す。 積層配列を決定するための方法ステップの別の構成のフローチャートを示す。
図1及び図2は、本発明による眼鏡レンズの有利な応用シナリオを示す。
図1に示されるシナリオでは、第一の車両11及び第二の車両12は道路に沿ってそれぞれ各方向の片側車線上を反対方向に走行している。対向車12はヘッドランプを有し、そのすれ違いビームコーン13は、車両11のドライバの目がくらむようになることを大きく回避するように変形されている。さらに、車両12はナイトビジョンアシスタントを含み、その赤外線ヘッドランプは実質的により広いIR照明領域14を有し、前記ナイトビジョンアシスタントはしたがって、車両12のドライバにとって改善された夜間視野を得やすくすることができる。このために、赤外線カメラにより記録されたIR照明領域14の画像は、車両12内のスクリーン上に再生できる。
しかしながら、車両11のドライバはここで、前方から入射する赤外線放射に曝露される。特に夜間、瞳孔は大きく広がっており、したがって、ナイトビジョン技術を備える対向車から発せられる放射は網膜に直接衝突するかもしれない。眼をこのような環境条件の範囲でのリスクにさらすことは避けられない。
例えば、赤外範囲(IR範囲)での少なくとも部分的なミラーリング又は反射効果を持つコーティングは、前方から入射するこのような赤外放射に対する保護として使用できる。IR範囲内のミラーリング効果を有する眼鏡レンズ20の実施形態の概略図が図4Aに例示的に示されている。図4Bは、それに対応する反射曲線52を示す。
第二の使用シナリオでは、第一の車両11と第二の車両12は、多車線道路10の平行な車線を同じ方向に走行している。この場合、車両11のドライバは、後方から斜めに入射する車両12の赤外放射14に曝露される。車両11及び12がほぼ同じ速度で相互にわずかにずれて走行している場合、車両11のドライバはまた、比較的長時間にわたり、後方から斜めに入射する赤外放射に曝露されるかもしれない。これに対して、交通状況に応じて、前方から入射する放射に関する曝露は、短い時間間隔に限定されるかもしれない。赤外放射は正確には可視範囲内にないため、その結果、例えば瞳孔内の収縮又は瞬目反射等の保護反射が発生しない。
図3は、レンズ基板21及び、レンズ基板21に塗布されたコーティング22を備える眼鏡レンズ20を示す。コーティング22は、高屈折率、低屈折率、及び任意選択により中程度の屈折率の材料の複数の層を有していてもよい。コーティング22は、入射角0°でコーティング22に入射する第一の波長λNIRの近赤外光について少なくとも20%の第一の反射率を有する。入射角35°でコーティング22に衝突する第一の波長λNIRの近赤外光について、コーティング22は第一の反射率に関して少なくとも10%だけ低減された第二の反射率を有する。コーティング22は、レンズ基板21又は眼鏡レンズ20の前面23及び/又は後面24に配置されてよい。この例において、コーティング22は前面23上に配置されている。
図1及び図3に示されるシナリオにおいて、入射光は前面23に、眼鏡レンズ20の垂線に関して0°(±15°)の入射角で衝突する。入射角0°で入射する光は、参照記号41で示されている。入射放射41の第一の部分42はコーティング22を備える眼鏡レンズ20を透過する。入射放射41の第二の部分43は眼鏡レンズ20のコーティング22で反射される。
入射角0°でコーティング22に入射する第一の波長λNIRの近赤外光に対して少なくとも20%の第一の反射率を有し、したがって少なくとも部分的なミラーリング効果を提供する提案されるコーティング22によって、前方から入射する赤外光のうち眼に到達する部分はより小さくなり、そのため、赤外範囲での保護効果が提供される。前述のように、交通状況に応じて、前方から入射する放射に関する曝露は短い時間間隔に限定されるかもしれず、それゆえ、≧20%の反射率はすでに保護効果を生じさせることができる。
図3はさらに、後方から斜めに入射する赤外放射45を示しており、前記赤外放射は眼鏡レンズ20の後面24又は前面23に後方から斜めに、例えば入射角35°で衝突する。後方から斜めに入射する放射45の第一の部分46は、コーティング22を備える眼鏡レンズ20を透過する。放射45の第二の部分47は、眼鏡レンズ20のコーティング22で反射される。
特許文献2に記載されている赤外線フィルタ又はミラーは、前方から入射角0°で入射する放射41だけが存在する場合に有効な保護効果を提供するであろう。したがって、特許文献3から知られる反射防止層は、放射45が後方から斜めにのみ入射する場合であれば、放射のほとんどすべてが眼鏡レンズを通過するため、有効な保護を提供するであろう。
しかしながら、これらの文献の教示の組合せは所望の効果を提供せず、それは、特許文献1から知られている反射防止効果が後面24に提供されて、特許文献2から知られているIRミラーリングが前面23に提供されている場合、後方から斜めに入射する放射45は後面24を妨害されずに透過するが、赤外線ミラーを備える前面23で反射され、使用者の眼30の中に入るからである。これは、特に2台の車両がほぼ同じ速度で相互に関してわずかにずれた状態で比較的長時間にわたり並走している図2に示される使用例では、光線曝露がそこでは比較的長時間にわたって発生し得るため、問題である。
通常、眼鏡レンズのコーティングは、複数の低屈折率及び高屈折率の、交互に重ね合わせた複数の層を有し、前記層は正確に事前決定された厚さを有する。このような広帯域反射防止効果は、特に不快な反射を低減させるための高屈折率の眼鏡レンズの場合に有利であり、さらに、非常に良好な透過を実現しやすい。通常、ここでは高屈折率の複数の層が提供され、前記層は、低屈折率の層と共に所望の反射防止効果を生じさせる。ここで、高屈折率の層の全体的な厚さは例えば約20nm〜500nm、特に100nm〜400nm、特に150nm〜300nmである。好ましくは、これはその結果、可視範囲で良好な反射防止特性を有する眼鏡レンズを提供し、前記眼鏡レンズはさらに、赤外スペクトル範囲内で改善された保護機能を実現しやすい。
図4Aは、赤外範囲においてミラーリング効果を有する眼鏡レンズ20の例を示す。眼鏡レンズ20は、可視スペクトル範囲で透過性のレンズ基板21を有し、例えばプラスチックで製作される。このレンズ基板21にはコーティング22が設けられ、コーティング22は、複数の層の積層配列25を有する。ここで、コーティング22はレンズ基板21上にある。
図4Bは、図4Aに概略的に示されている眼鏡レンズ20の反射曲線を示す。水平軸に沿ってnmを単位とする波長λが示され、縦軸はパーセントを単位とする屈折率Rを示す。
下の曲線51は、従来の反射防止コーティングの波長に関する反射率を示す。反対に、図4Aに示される眼鏡レンズ20の反射曲線52は近赤外波長範囲における有意に高いミラーリング又は反射効果を有し、840nm〜1300nmの範囲でR>40%、750nm〜1500nmの範囲でR>20%である。さらに、図4Aに示される眼鏡レンズ20は、この場合、青色残留反射を伴う可視波長範囲内での有効な広帯域反射防止効果を有する。
図5Aは、眼鏡レンズ20の実施形態を示す。眼鏡レンズ20は、可視スペクトル範囲で透過性のレンズ基板21を有し、例えばプラスチックで製作される。このレンズ基板21にはコーティング22が設けられ、コーティング22は複数の層の積層配列25を有する。ここで、コーティング22はレンズ基板21上にある。入射角0°で、コーティングは近赤外範囲の波長λNIRについて少なくとも20%の反射率を有し、入射角35°で、前記コーティングは近赤外範囲の波長λNIRについて、入射角0°に関して少なくとも10%だけ低減された反射率を有する。
さらに、積層配列25は高屈折率の層26及び低屈折率の層27の配列を有する。高屈折率の層26は高屈折率の材料からなっていてもよく、その屈折率は実質的に基板材料21のそれより実質的に高い。本願の例では、酸化チタンTiOがこのために使用された。低屈折率の層27は低屈折率の材料からなっていてもよく、その屈折率は基板材料のそれより低くてもよい。本願の例では、酸化シリコンSiOがこのために使用された。経験的に、層が多くあるほど、反射防止コーティング又はミラーリング効果は有効となり得る。しかしながら、生産プロセスの経費及び複雑さは、含まれる層の数に伴って増大する。
さらに、層系の効果には、例えば高屈折率の材料26のそれと低屈折率の材料27のそれとの間の中程度の屈折率の第三の成分を追加することにより、より柔軟性を提供することができる。この例において、ZrOを別の層28としてこのために提供できる。さらに、ハードコート(HC)が基板材料21上に提供されてもよい。
コーティング22の中で、ハードコート層29は、前記ハードコート層29が無機反射防止層26、27、28の間の張力を補償する役割を果たすという機能を有する。反射防止層26、27、28は通常、比較的低い熱膨張率を有するが、有機プラスチックから製造されたレンズ基板21には高い熱膨張率が割り当てられる。さらに、ハードコート層29の、レンズ基板21から遠い方の側は、別のコーティング層26、27、28のための良好な接着強度を持つ表面を形成してもよい。
図5Aに示される例示的実施形態において、厚さ1〜10μm、例えば3μmのハードコート層29がまずレンズ基板21上に提供される。第一に、厚さ15.6nmの酸化チタンで製作された層26’はハードコート層29の上に配置される。その上に、今度は厚さ22nmの酸化シリコンで製作された層27’が配置される。その上に、厚さ95.6nmの酸化チタンの第二の層が配置され、その上に今度は厚さ17.3nmの酸化シリコンの第二の層が配置される。続いて、その上に、厚さ16.8nmの酸化チタンの第三の層と厚さ204.2nmの酸化シリコンの別の層がある。この層の厚さの利点は、誘電体積層配列25の中に再び増大した機械的強度を提供できることである。それに、厚さ17.4nmの酸化ジルコニウムの層、厚さ194.8nmの酸化チタンの別の層、及び厚さ11.1nmの酸化ジルコニウムの別の層のほか、厚さ74.7nmの酸化チタンで製作された高屈折率の終止層が続く。
図5Bは、図5Aに示される眼鏡レンズ20の入射角0°での第一の反射曲線52と入射角35°での第二の反射曲線53を示す。ここで、図5Aに示される眼鏡レンズ20は、青色残留反射を伴う可視波長範囲での有効な広帯域反射防止効果を有し、青範囲の残留反射は任意選択による。コーティングはさらに、近赤外波長範囲での有意に増大した反射率又はミラーリング効果を提供し、860〜1050nmでR>30%である。
さらに、コーティングは、波長900nm〜1200nmについての0°及び35°での反射間にできるだけ大きな差(大きな相違)を提供し、これは図5Bの曲線52及び53の差からわかる。波長範囲54において、少なくとも20%の反射率が入射角0°で提供され、それに加えて、入射角35°での反射率は入射角0°での反射率より絶対的に少なくとも10%、又は相対的に少なくとも25%低い。ここで、この例において、入射角0°での少なくとも20%の反射率という基準は、範囲54の右側の限界で明確であり、入射角0°及び入射角35°での反射率間の最小の差は、範囲54の左側の端で決定的である。この例において、コーティング22を備える眼鏡レンズ20は、波長λNIRを含む波長範囲54にわたり、入射角0°に関して少なくとも10%低減された反射率を有する。
その結果、前方から入射する放射41の場合、範囲54において十分な保護効果が確保され、さらに、コーティングが後方から斜めに入射する放射45の十分な部分に眼鏡レンズ20を通過させ、その結果、眼への後方反射を減少させるように注意が払われる。
図6A及び図6Bによれば、眼鏡レンズ20の別の例示的実施形態が提供される。その中で提案される眼鏡レンズ20は、青色残留反射を伴う可視波長範囲内での有効な広帯域反射防止効果を提供する。さらに、近赤外波長範囲で反射率が有意に増大するようになされ、800nm〜1150nmでR>30%である。さらに、波長範囲1000nm〜1300nmについて、0°及び35°での反射率間にできるだけ大きい差(大きい相違)が提供される。再び、少なくとも20%の反射率は波長範囲54において提供される。眼鏡レンズ20は、異なる波長λNIRを有する異なる波長範囲54にわたり、入射角0°に関して相対的に少なくとも10%、絶対的に少なくとも20%低減された反射率を有する。
図6A及び図6Bに示される眼鏡レンズ20もまた、コーティング22を有し、前記コーティングは以下の積層配列25を有する:TiOの第一の層26’、次にSiOの第一の層27’、次にTiOの第二の層26’’、次にSiOの第二の層27’’、次にTiOの第三の層26’’’、次にSiOの第三の層267’’’、次にZrOの第一の層28’、次にTiOの第四の層26’’’’、次にZrOの第二の層28’’、次にTiOの第五の層26’’’’’。ここで、ハードコート層29をレンズ基板21とTiOの第一の層26’との間に提供してもよい。層厚は図6Aからわかる。
図7A及び図7Bは、別の波長範囲54のための眼鏡レンズ20の別の例示的実施形態を示す。その中で提案されている眼鏡レンズは、青色残留反射を伴う可視波長範囲での有効な広帯域反射防止効果を提供する。さらに、近赤外波長範囲において反射率が有意に増大され、850nm〜1250nmについてR>30%である。さらに、1100nm〜1400nmの波長範囲について、0°及び35°での反射率間にできるだけ大きい差(大きい相違)が提供される。
入射角0°での近赤外範囲内の波長λNIRにおける所望の波長範囲と所望の反射効果及び、入射角35°での近赤外範囲内の波長λNIRにおける反射率の、入射角0°に関する所望の低減は、層厚を変更することによって変化させることができる。ここで、必要な層厚及び/又は異なる屈折率の材料の積層配列は、コンピュータ実装シミュレーションにより確認できる。保護すべき範囲が狭いほど、差を有効に最大化できる。
層構造は、以下に概説するように設計できる。まず、基板材料及び考えられる層材料を選択できる。好ましくは、ここでは他の製品又はコーティングにおいてすでに使用されている材料が選択される。利点は、効率的な製造にある。屈折率n(λ)=nreal(λ)+ik(λ)は、眼鏡レンズにとって望ましい波長範囲にわたる波長λに応じて、基板材料及び層材料について規定される。例えばこれは、UV光から可視範囲を通じて(近)赤外範囲までにわたって、例えば280nm〜1500nmにわたって規定される。ここで、nreal(λ)は実際の屈折率であり、k(λ)は減衰係数である。さらに、1つ又は複数の特別要求事項が境界条件として規定され、例えば、(1)可視範囲内の有効な反射防止効果、例えば400nm〜700nmの波長範囲での透過率≧95%、(2)近赤外範囲内の波長λNIRでの、好ましくは所定の波長範囲にわたる入射角0°に関する反射率R≧20%(好ましくは≧30%、≧40)、(3)入射角35°での、入射角0°に関して少なくとも10%低減された、近赤外範囲内の波長λNIRの反射率、(4)任意選択による、UV又は短波長青色スペクトル範囲内での別の境界条件。これらに基づき、シミュレーションはできるだけ単純な層構造から始めることができ、前記層構造はおそらく、多面的要求事項を満たさない。その後、別の層を層構造に反復的に追加することができ、試験を実施して、スペクトル要求事項がどの程度満たされるかを特定できる。スペクトル要求事項と得られたシミュレーション結果との間の対応付けは、1つ又は複数の層を追加することによって、又は層構造の1つ又は複数の層厚を変化させることによって、例えば試行錯誤型シミュレーションによって行うことができる。例示的な手順は、図14を参照しながら後述する。最終的な層構造は、安定した製造条件のために複雑すぎないようにすべきであると理解されたい。多数の解決策がある場合、製造性が最も高い層構造を選択することが好ましい。
ここで、眼をそこから特に保護すべきである赤外スペクトル内の波長範囲は、様々に設定できる。これは、眼が特に入射IR光に敏感な波長範囲が特定される場合、又は特定の波長又は特定の波長範囲の光が特に大量に眼鏡レンズに入射する可能性がある場合、特に好都合である。例えば、900nm〜1200nmの範囲が特に重要であると考えられる場合、0°及び35°(30°〜45°)での反射間の差を、層設計を適切に調整することによってこの範囲内で正確に最大化することができる。図5A及びBによる応用例では、約50%の平均(相対)低減は、この範囲で、垂直反射に関して斜め反射について実現できた。図6A及びB並びに図7A及びBによる応用例では、最適化すべき範囲は900〜1200nm(図5A、B)から1000〜1300nm(図6A、B)、及び1100〜1400nm(図7A、B)へと移行した。
図8A及び図8Bは、別の波長範囲54に関する眼鏡レンズ20の別の例示的実施形態を示す。その中で提案されている眼鏡レンズは、可視波長範囲において有効な広帯域反射防止効果を提供する。ここで、コーティング22は8層及び任意選択によるハードコート層29からなる。これは、コーティングを製造中に、上述の例示的実施形態より容易に実装可能であるという点で有利である。さらに、低屈折率の終止層27’’’’、この場合、SiOが提供される。これは、例えば眼鏡レンズ20をよりよくクリーニングできるようにするための、任意選択による別の層がよりよく接着するという点で有利である。
図8Bは、図8Aに示される眼鏡レンズ20に関する入射角0°での第一の反射曲線52と、入射角35°での第二の反射曲線53を示す。1000nm〜1240nmの第一の範囲54において、眼鏡レンズ20の反射率は入射角0°で少なくとも20%であり、入射角0°に関する入射角35°での反射率の相対差又は低減は少なくとも10%である。1100nm〜1240nmの部分55では、眼鏡レンズ20の反射率は、入射角0°で少なくとも20%であり、入射角0°に関する入射角35°での反射率の相対差又は低減は少なくとも20%である。
図9A及び図9Bは、別の波長範囲54に関する眼鏡レンズ20の別の例示的実施形態を示す。ここで、コーティング22は9層及び任意選択によるハードコート層29からなる。さらに、再び、低屈折率の終止層27’’’’、この場合、SiOが提供される。
図9Bは、図9Aに示される眼鏡レンズ20に関する入射角0°での第一の反射曲線52と入射角35°での第二の反射曲線53を示す。840nm〜950nmの範囲54において、眼鏡レンズ20の反射率は入射角0°で少なくとも20%であり、入射角0°に関する入射角35°での反射率の相対差又は低減は少なくとも10%である。870nm〜950nmの部分55では、入射角0°に関する入射角35°での反射率の相対差又は低減は少なくとも20%である。
上述の例示的実施形態は、1つのパラメータ、ここではそれについて条件を満たす必要のある波長範囲の幅を限定することによって、他のパラメータ、この場合では角度依存反射性の相対低減を10%ではなく少なくとも20%広げることができることを示している。
好ましくは、ここで提案されている本開示による眼鏡レンズは、任意選択により前面23又は後面24に追加のコーティングをさらに有していてもよい。
これに関して、図10は高エネルギー又は単波長青色光に対してさらに保護力を提供するために、好ましくは後面24に提供できる有利な反射防止効果の反射曲線を示す。図10に示されるコーティングはまた、青色残留反射を伴う可視波長範囲での有効な広帯域反射防止効果を提供する。曲線52は、入射角0°での反射率を示し、曲線53は入射角35°での反射率を明示する。下表は、図10によるコーティングの層構造を示す。
図11は、青色残留反射を伴う可視波長範囲での有効な広帯域反射防止効果と、近赤外波長範囲での有意に増大した反射率、950nm〜1500nmについてR>30%を提供する別の有利な反射曲線を示す。400nm〜460nmの波長範囲での平均反射率は少なくとも14%である。このような少なくとも部分的なミラーリング効果は、特に、図1の応用シナリオに示されているように、前方から入射する赤外放射にとって好都合であり得る。
曲線52は、入射角0°での反射率を示し、曲線53は入射角35°での反射率を明示する。入射角0°で波長範囲54におけるコーティングの反射率は、近赤外範囲内の波長λNIRで少なくとも20%であり、それに加えて、入射角35°では、前記コーティングの反射率は入射角0°に関して少なくとも10%低減されている。上述の例の代替案として、反射におけるパーセンテージ低減はまた、0°及び35°での波長λNIRにおける反射率の相対的低減となって現れるかもしれない。例えば、入射角0°に関して入射角35°で少なくとも10%低減された反射率は、入射角0°で40%の反射率に関して、入射角35°で36%以下の反射率に対応するかもしれない。
下表は、図11によるコーティングの層構造を示す。
図12は、眼鏡レンズ20を設計するための方法60、特にコンピュータ実装又は実験的方法のフローチャートを示す。眼鏡レンズ20は、レンズ基板21とレンズ基板に塗布されたコーティング22を含み、積層配列25がコーティング22を形成する。
この例において、レンズ基板21は第一のステップS61で選択される。レンズ基板は所望の屈折率及び/又はプリズム光学パワーを提供してもよい。
積層配列25は第二のステップS62で決定され、積層配列25は、コーティング22が、入射角0°でコーティング22に衝突する第一の波長λNIRの近赤外光について少なくとも20%の第一の反射率と、入射角35°でコーティング22に衝突する第一の波長λNIRの近赤外光について第二の反射率を有し、前記第二の反射率が第一の反射率に関して少なくとも10%低減されるという条件が適用される。例示的な積層配列25は上述した。
図13は、眼鏡レンズ20を製造するための方法70のフローチャートを示す。眼鏡レンズ20は、レンズ基板21とレンズ基板に塗布されたコーティング22を含み、積層配列25がコーティング22を形成する。
レンズ基板21が第一のステップS71で提供される。レンズ基板は、所望の屈折力及び/又はプリズム光学パワーを提供してもよい。
積層配列25は第二のステップS72で形成され、積層配列25は、コーティング22が、入射角0°でコーティング22に衝突する第一の波長λNIRの近赤外光について少なくとも20%の第一の反射率と、入射角35°でコーティング22に衝突する第一の波長λNIRの近赤外光について第二の反射率を有し、前記第二の反射率が第一の反射率に関して少なくとも10%低減されるという条件が適用される。例示的な積層配列25は上述した。積層配列25の個々の層は、連続する部分ステップで形成される。例示的な積層配列25は、この条件を満たす上述の例示的実施形態の中で開示されている。代替的な積層配列は、特に、眼鏡レンズ20を設計するための上述のコンピュータ実装又は実験的方法により得ることができ、レンズ基板21に相応に適用できる。
図14は、図12に示されるような眼鏡レンズ20を設計するための方法60、特にコンピュータ実装又は実験的方法の中で例示的な方法で使用されてもよい、積層配列25を決定するための方法ステップの例示的フローチャート80を示す。反復を避けるために、例示的なコンピュータ実装方法と例示的な実験的方法の方法ステップの両方を図14のフローチャート80に基づいて一緒に説明する。
第一のステップS81で、コーティング22の第一の積層配列25を説明するパラメータが提供され(コンピュータ実装方法)、又はコーティング22の第一の積層配列25が提供される(実験的方法)。
第二のステップS82で、第一の反射率を表す第一の限度、例えば少なくとも20%が提供される。
第三のステップS83で、入射角0°でコーティング22に衝突する第一の波長λNIRの近赤外光についてのコーティング22の反射率が決定(コンピュータ実装方法)又は測定される(実験的方法)。
第四のステップS84で、ステップS83で決定又は測定された反射率が第一の限度と比較される。
ステップS84の比較の結果、ステップS83で決定された反射率が第一の限度を超えなかった場合、ステップS85で、第一の積層配列25を説明するパラメータが変更され(コンピュータ実装方法)、又は積層配列25が変更される(実験的方法)。その後、ステップS83及びS84が再び実行される。したがって、これは、所望の反射率を有する積層配列25を有するコーティング22を決定するための反復的手順である。
ステップS84の比較の結果、ステップS83で決定された反射率が第一の限度を超えた場合、ステップS86で、入射角35°でコーティング22に衝突する第一の波長λNIRの近赤外光についての反射率が決定(コンピュータ実装方法)、又は測定される(実験的方法)。
その後のステップS87で、ステップS86で決定された反射率はステップS83で決定された反射率と比較され(コンピュータ実装方法)、又はステップS86で測定された反射率はステップ83で測定された反射率と比較される(実験的方法)。
ステップS87の比較の結果、ステップS86で決定又は測定された反射率がステップS83で決定又は測定された反射率を、10%を超えて下回るまで低減していない場合、ステップS88で、第一の積層配列25を説明するパラメータが変更され(コンピュータ実装方法)、又は積層配列25が変更される(実験的方法)。
ステップS87の比較の結果、ステップ86で決定又は測定された反射率がステップS83で決定又は測定された反射率を、10%を超えて下回るまで低減した場合、ステップS89で、第一の積層配列を説明するパラメータがコーティング22の積層配列25を説明するパラメータとして出力され(コンピュータ実装方法)、又は積層配列25が決定されるべきコーティング22の積層配列25として使用される。
図15は、図14の積層配列25を決定するための方法ステップの例示的なフローチャート80の発展形を示す。方法ステップはまた、これらが相互に依存していないかぎり、異なる順序で、及び/又は並行して実行されてもよい。図15に示されるフローチャートにおいて、ステップS86による入射角35°でコーティング22に衝突する第一の波長λNIRの近赤外光についてのコーティング22の反射率を決定又は測定するステップは、今度はステップS84による比較の前に実行される。特に、ステップS83及びS86はまた、並行して実行することもできる。
結論として、特に赤外スペクトル範囲内での眼に対する改善された保護効果が、本明細書で提案される解決策を使って実現できる。
10 多車線道路
11 第一の車両
12 第二の車両
13 すれ違いビームコーン
14 IR照明領域
20 眼鏡レンズ
21 レンズ基板
22 コーティング
23 (レンズ基板の)前面
24 (レンズ基板の)後面
25 積層配列
26 高屈折率の層
27 低屈折率の層
28 層
29 ハードコート層
30 眼
41 入射放射
42 第一の部分
43 第二の部分
45 赤外放射
51 曲線
52 第一の反射曲線
53 第二の反射曲線
54 波長範囲
80 フローチャート

Claims (16)

  1. 前面(23)及び後面(24)を有するレンズ基板(21)を含み、前記レンズ基板の前記前面(23)及び前記後面(24)のいずれか一方に塗布されるコーティング(22)を含む眼鏡レンズ(20)において、前記コーティング(22)は、前記コーティング(22)が塗布されている一方の面に対して前方から入射角0°で前記コーティングに衝突する第一の波長λNIRの近赤外光について少なくとも20%の第一の反射率を有し、前記一方の面に対して前方又は後方から入射角35°で前記コーティングに衝突する前記第一の波長λNIRの近赤外光について第二の反射率を有し、前記第二の反射率は前記第一の反射率に関して少なくとも10%低減されていることを特徴とする眼鏡レンズ(20)。
  2. 400nm〜700nmの可視波長範囲で入射角0°の場合の少なくとも95%又は少なくとも98%の平均透過率を特徴とする、請求項1に記載の眼鏡レンズ。
  3. 近赤外線範囲内の前記波長λNIRは、780nm〜1500nm、800nm〜1200nm、又は850nm〜1100nmの波長範囲の群の中の波長範囲内にあることを特徴とする、請求項1または2に記載の眼鏡レンズ。
  4. 前記コーティング(22)は、近赤外範囲内の前記波長λNIRを含む波長範囲にわたり、入射角0°に関して少なくとも10%低減された反射率を有することを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の眼鏡レンズ。
  5. 入射角0°で、前記コーティング(22)は、近赤外範囲内の前記波長λNIRについて少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、及び少なくとも50%の反射率の群の中の反射率を有することを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の眼鏡レンズ。
  6. 入射角35°で、前記コーティング(22)は、近赤外範囲内の前記波長λNIRについて、入射角0°に関して少なくとも15%、20%、25%、及び30%の群の中の係数だけ低減された反射率を有することを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の眼鏡レンズ。
  7. 入射角30°〜45°にわたり、前記コーティング(22)は、近赤外範囲内の前記波長λNIRについて、入射角0°に関して少なくとも10%低減された反射率を有することを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の眼鏡レンズ。
  8. 前記コーティング(22)は、前記レンズ基板(21)の前記前面に塗布されることを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載の眼鏡レンズ。
  9. 前記レンズ基板(21)は、IR吸収剤をさらに有することを特徴とする、請求項8に記載の眼鏡レンズ。
  10. さらに、請求項1〜9の何れか1項に記載のコーティング(22)は前記レンズ基板(21)の前記後面(24)に塗布されることを特徴とする、請求項8又は9に記載の眼鏡レンズ。
  11. 前記後面は可視光、IR光、及びUV光の群の中の少なくとも1つの範囲に対する反射防止コーティングを有し、及び/又は前記前面はUV光及び短波長青色光の群の中の少なくとも1つの範囲に対する反射コーティングを有することを特徴とする、請求項1〜10の何れか1項に記載の眼鏡レンズ。
  12. 前面(23)及び後面(24)を有するレンズ基板(21)を含み、前記レンズ基板(21)の前記前面(23)及び前記後面(24)のいずれか一方に塗布されたコーティング(22)を含み、積層配列(25)が前記コーティング(22)を形成する眼鏡レンズ(20)を設計するためのコンピュータ実装方法(60)であって、
    −前記積層配列(25)を決定するステップであって、前記積層配列(25)は、前記コーティング(22)が、前記コーティング(22)が塗布されている一方の面に対して前方から入射角0°で前記コーティング(22)に衝突する第一の波長λNIRの近赤外光について少なくとも20%の第一の反射率及び、前記一方の面に対して前方又は後方から入射角35°で前記コーティング(22)に衝突する前記第一の波長λNIRの近赤外光について第二の反射率を有し、前記第二の反射率は前記第一の反射率に関して少なくとも10%低減されるという条件で決定されるステップ
    を含む方法。
  13. 請求項12に記載の眼鏡レンズ(20)を設計するためのコンピュータ実装方法において、前記積層配列(25)を決定するステップは、
    a)コーティング(22)の第一の積層配列(25)を説明するパラメータを提供するステップ(S81)と、
    b)前記第一の反射率を表す少なくとも20%の第一の限度を提供するステップ(S82)と、
    c)入射角0°で前記コーティング(22)に入射する前記第一の波長λNIRの近赤外光についての前記コーティング(22)の反射率を決定するステップ(S83)と、
    d)ステップc)で決定された反射率を前記第一の限度と比較するステップ(S84)と、
    e1)ステップd)で行われた比較の結果、前記第一の限度がステップc)で決定された反射率を超えないと判断された場合、
    f1)前記第一の積層配列(25)を説明するパラメータを変更するステップ(S85)と、
    g1)ステップc)〜d)を実行するステップと、
    e2)ステップd)で行われた比較の結果、前記第一の限度が超過されたと判断された場合、
    f2)入射角35°で前記コーティング(22)に入射する前記第一の波長λNIRの近赤外光についての前記コーティング(22)の反射率を決定するステップ(S86)と、
    g2)ステップf2)で決定された反射率をc)で決定された反射率と比較するステップ(S87)と、
    h2.1)ステップg2)で行われた前記比較の結果、ステップf2)で決定された反射率がステップc)で決定された反射率を、10%を超えて下回らなかったと判断された場合、
    i2.1)前記第一の積層配列(25)を説明する前記パラメータを変更するステップ(S88)と、
    j2.1)ステップc)〜d)を実行するステップと、
    h2.2)ステップg2)で行われた前記比較の結果、ステップf2)で決定された反射率がステップc)で決定された反射率を、10%を超えて下回ったと判断された場合、
    k2.2)前記第一の積層配列(25)を説明する前記パラメータを前記コーティング(22)の前記積層配列(25)を説明する前記パラメータとして出力するステップ(S89)と、
    を含むことを特徴とするコンピュータ実装方法。
  14. 前面(23)及び後面(24)を有するレンズ基板(21)を含み、前記レンズ基板(21)の前記前面(23)及び前記後面(24)のいずれか一方に塗布されたコーティング(22)を含み、積層配列(25)が前記コーティング(22)を形成する眼鏡レンズ(20)を設計するための実験的方法において、
    −前記積層配列(25)を決定するステップであって、前記積層配列は、前記コーティング(22)が、前記コーティング(22)が塗布されている一方の面に対して前方から入射角0°で前記コーティング(22)に衝突する第一の波長λNIRの近赤外光について少なくとも20%の第一の反射率と、前記一方の面に対して前方又は後方から入射角35°で前記コーティング(22)に衝突する前記第一の波長λNIRの近赤外光について第二の反射率を有し、前記第二の反射率は前記第一の反射率に関して少なくとも10%低減されるという条件で決定されるステップと、
    を含み、前記積層配列(25)を決定するステップは、
    a)コーティング(22)の第一の積層配列(25)を提供するステップ(S81)と、
    b)前記第一の反射率を表す少なくとも20%の第一の限度を提供するステップ(S82)と、
    c)入射角0°で前記コーティング(22)に入射する第一の波長λNIRの近赤外光についての前記コーティング(22)の反射率を測定するステップ(S83)と、
    d)ステップc)で測定された反射率を前記第一の限度と比較するステップ(S84)と、
    e1)ステップd)で行われた前記比較の結果、前記第一の限度がステップc)で測定された反射率により超過されなかったと判断された場合、
    f1)前記第一の積層配列(25)を変更するステップ(S85)と、
    g1)ステップc)〜d)を実行するステップと、
    e2)ステップd)で行われた前記比較の結果、第一の限度が超過されたと判断された場合、
    f2)入射角35°で前記コーティング(22)に入射する前記第一の波長λNIRの近赤外光についての前記コーティング(22)の反射率を測定するステップ(S86)と、
    g2)ステップf2)で測定された反射率をステップc)で測定された反射率と比較するステップ(S87)と、
    h2.1)ステップg2)で行われた前記比較の結果、ステップf2)で測定された反射率がステップc)で測定された反射率を、10%を超えて下回らなかったと判断された場合、
    i2.1)前記第一の積層配列(25)を変更するステップ(S88)と、
    j2.1)ステップc)〜d)を実行するステップと、
    h2.2)ステップg2)で行われた前記比較の結果、ステップf2)で測定された反射率がステップc)で測定された反射率を、10%を超えて下回ったと判断された場合、
    k2.2)前記第一の積層配列(25)を、前記コーティング(22)の、決定されるべき前記積層配列(25)として使用するステップ(S89)と、
    を含むことを特徴とする実験的方法。
  15. 請求項12に記載の眼鏡レンズ(20)を設計するためのコンピュータ実装方法において、前記積層配列(25)を決定するステップは、
    a)コーティング(22)の第一の積層配列(25)を説明するパラメータを提供するステップ(S81)と、
    b)前記第一の反射率を表す少なくとも20%の第一の限度を提供するステップ(S82)と、
    c)入射角0°で前記コーティング(22)に入射する第一の波長λNIRの近赤外光についての前記コーティング(22)の反射率を決定するステップ(S83)と、
    d)入射角35°で前記コーティング(22)に入射する前記第一の波長λNIRの近赤外光についての前記コーティング(22)の反射率を決定するステップ(S86)と、
    e)ステップc)で決定された反射率を前記第一の限度と比較するステップ(S84)と、
    f1)ステップe)で行われた前記比較の結果、前記第一の限度がステップc)で決定された反射率により超過されなかったと判断された場合、
    g1)前記第一の積層配列(25)を説明するパラメータを変更するステップ(S85)と、
    h1)ステップc)〜e)を実行するステップと、
    f2)ステップe)で行われた前記比較の結果、前記第一の限度が超過されたと判断された場合、
    g2)ステップd)で決定された反射率をステップc)で決定された反射率と比較するステップ(S87)と、
    h2.1)ステップg2)で行われた前記比較の結果、ステップd)で決定された反射率がステップc)で決定された反射率を、10%を超えて下回らなかったと判断された場合、
    i2.1)前記第一の積層配列(25)を説明する前記パラメータを変更するステップ(S88)と、
    j2.1)ステップc)〜e)を実行するステップと、
    h2.2)ステップg2)で行われた前記比較の結果、ステップd)で決定された反射率がステップc)で決定された反射率を、10%を超えて下回ったと判断された場合、
    k2.2)前記第一の積層配列(25)を説明する前記パラメータを、前記コーティング(22)の前記積層配列(25)を説明する前記パラメータとして出力するステップ(S89)と、
    を含むことを特徴とするコンピュータ実装方法。
  16. 前面(23)及び後面(24)を有するレンズ基板(21)を含み、前記レンズ基板の前記前面(23)及び前記後面(24)のいずれか一方に塗布されたコーティング(22)を含み、積層配列(25)が前記コーティング(22)を形成する眼鏡レンズ(20)を製造する方法(70)において、
    −レンズ基板(21)を提供するステップと、
    −前記積層配列(25)を前記レンズ基板(21)に形成するステップと、を含み、
    前記積層配列(25)は、前記コーティング(22)が、前記コーティング(22)が塗布されている一方の面に対して前方から入射角0°で前記コーティング(22)に衝突する第一の波長λNIRの近赤外光について少なくとも20%の第一の反射率と、前記一方の面に対して前方又は後方から入射角35°で前記コーティング(22)に衝突する前記第一の波長λNIRの近赤外光について第二の反射率を有し、前記第二の反射率は前記第一の反射率に関して少なくとも10%低減されるという条件が適用される方法。
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