JP6590596B2 - ロール製品パッケージ - Google Patents

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Description

この発明は、長巻のトイレットペーパーなどの薄葉紙のロール製品を複数個包装袋に収納したロール製品パッケージに関する。
トイレットペーパー等の包装袋として、ポリエチレン等の筒状フィルムにガゼット(ガセット)を対称的に折り込んで本体とし、その上部を平面状に折り畳んで把持部を構成したものが用いられている(特許文献1)。把持部には購入者が運搬するための指掛け穴が備えられている。又、上記した包装袋の本体と別体の帯状の把持部を、包装袋の上面を跨いで、両端部をそれぞれ本体の対向する側面に接合したものが用いられている(特許文献2)。
一方、近年、トイレットペーパー等のロール製品を従来に比べてより長く巻き取り、1個のロール当りの有効使用量を多くし、持ち運び時及び保管時のコンパクト化を図ったものが販売されている。
しかしながら、上記した長巻のロール製品は1個のロール当りの重量が大きいため、ロール製品を包装したパッケージを消費者が持ち運ぶ際、持ち手部や包装袋の底面に荷重がかかる。そこで、包装袋の本体や持ち手部等の強度を確保するために、包装袋を厚くすることが考えられる。ところが、包装袋を厚くして強度を高くすると、ロール製品を包装した際、ロール製品を締め付ける力が増してロールが潰れやすくなったり、フィルムがゴワゴワしてフィルムの触感が悪くなるという問題がある。また、ロールが潰れにくくなるようにロールを固く巻くと、ロールを持った時の柔らかさが劣るという問題がある。
このようなことから、本出願人は、ロール製品の巻長、質量、巻き硬さ、及び包装袋をなすフィルムの坪量を規定し、持ち運ぶ際にフィルムが破れにくく、かつロール製品が潰れ難いロール製品パッケージを開発した(特許文献3)。
特開2004−269010号公報 特開2005−153959号公報 特開2015−101388号公報(図2)
ところで、上記した特許文献3記載の技術は、包装袋と別体の帯状の把持部を接合したタイプに関するものであるが、包装袋の対向する上辺から上方に向かって切妻屋根型に延びて接合される把持部を設けたガゼットタイプに長巻のロール製品を包装すると、包装袋の上辺と把持部の間に荷重が掛かり、この部位のロール製品の端部が潰れる場合があった。
従って、本発明は、長巻のロール製品をガゼットタイプの包装袋に収納したロール製品パッケージにおいて、持ち運び易く、かつ適度な巻き硬さを有するロール製品を包装した場合にロール製品が潰れ難く、さらに持ち運ぶ際にフィルムが破れにくく包装袋内でロール製品を安定して保持できるロール製品パッケージの提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のロール製品パッケージは、フィルムからなる包装袋に、衛生薄葉紙の2plyのシートを巻いたロール製品を複数個収納してなるロール製品パッケージであって、前記ロール製品が軸方向を上下にして一列に2個並べた段を2段重ねて前記包装袋に包装してなり、前記包装袋は筒状のガゼット袋から構成され、前記ロール製品を囲む略直方体状の本体部と、前記本体部の上辺のうち、互いに対向する長辺から上方に向かってそれぞれ切妻屋根型に延びて接合された把持部と、を有し、前記把持部には指掛け穴が形成されており、前記ロール製品の巻長が63〜103m、コアを含む1個の前記ロール製品の質量が200〜370gであり、(前記包装袋内の4個の前記ロール製品の質量)/(前記フィルムの坪量)が25〜80(g/(g/m))であり、前記長辺から前記把持部までの前記包装袋の傾斜角θが25〜45度であり、前記長辺同士の間隔Wが105〜134mmである。
前記ロール製品の巻き硬さが1.0〜3.0mmであることが好ましい。
前記フィルムの坪量が13〜39g/mであることが好ましい。
(前記巻き硬さ(mm)/前記フィルムの坪量(g/m))が0.035〜0.13(mm/(g/m))であることが好ましい。
前記シートの1枚当たりの坪量が13g/mを超え17g/m以下であることが好ましい。
この発明によれば、長巻のロール製品をガゼットタイプの包装袋に収納したロール製品パッケージにおいて、持ち運び易く、かつ適度な巻き硬さを有するロール製品を包装した場合にロール製品が潰れ難く、包装袋内でロール製品を安定して保持できるロール製品パッケージが得られる。
本発明の実施形態に係るロール製品パッケージの斜視図である。 ロール製品を収納する前の包装袋の断面図である。 ロール製品パッケージを示す正面図である。 長辺に接するロール製品の端部にかかる力を示す図である。 ロール製品を二列で包装した場合の、長辺に接するロール製品の端部にかかる力を示す図である。 長辺同士の間隔W、及び傾斜角θを算出する方法を示す図である。 ガゼット折りする前の筒状の包装袋の寸法を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、包装袋100の把持部4側を「上端」側とし、その反対側を「下端」側とする。
図1は、本発明の実施形態に係るロール製品パッケージ200の斜視図を示す。ロール製品パッケージ200は、フィルムからなる包装袋100に、後述するロール製品50を軸方向を上下にして一列に2個並べた段を、2段重ねて収納してなる。なお、ロール製品50が2個並ぶ方向を長手方向Lとする。
包装袋100は、本体部6と、本体部6の上端側の把持部4を備えている。断面図2に示すように、包装袋100は、チューブ状(筒状)フィルムの左右両側をガゼット8として内側に対称的に折り込み、各ガゼット8の折り込み端縁8aが包装袋100の長手方向L(図1参照)中央付近で近接するように平面状に折り畳み、上端で折り畳み部分の適所をヒートシール等で接合して形成されている。このようにしてヒートシールで一体化され固定された矩形の扁平部分が把持部4をなしている。
本体部6は下端が開口し、下端側からロール製品を収納し、開口端をヒートシールして封止部201が形成されている。又、ロール製品を収納した際に本体部6のガゼットが展開され、本体部6は4つの側面6a〜6dを有する矩形断面で略直方体を構成するようになっている。
把持部4は、本体部6の上辺のうち、互いに対向する長辺45,55から上方に向かってそれぞれ切妻屋根型に延びて接合されてなり、長辺45,55と把持部4との間に、それぞれ切妻屋根状のパネル部41、51が傾斜して形成されている
パネル部41は、長辺45と、パネル部山折り稜線43とを有し、パネル部山折り稜線43は長手方向Lに垂直で、パネル部41の妻側の端縁を構成している。同様に、パネル部51は、長辺55と、パネル部山折り稜線53とを有し、パネル部山折り稜線53は長手方向Lに垂直で、パネル部51の妻側の端縁を構成している。なお、パネル部山折り稜線43、53は同じ向きに位置する。
又、把持部4のほぼ中央に、上向きに非切抜部を有するほぼ長円のスリット状の指掛け穴2が設けられている。そして、購入者がロール製品パッケージ200を運搬する際に指掛け穴2のスリットを切抜き、非切抜部を固定端とする片部を上方に折り返すと、折り返し部がU字形に屈曲するので鋭い端面が生じず、指が痛くならない。但し、指掛け穴2の形状はこれに限定されない。例えば、特許文献1のように、指掛け穴2を2個にするなど、公知の方法を採用できる。
ロール製品6は、衛生薄葉紙の2plyのシートを巻いてなり、例えばトイレットペーパーのロール体である。ロール製品6の巻長が63〜103m、コア(芯)を含む質量が200〜370gである。
ロール製品6の巻長が上記下限値未満であると、1ロール当りの巻長が短くなり、ロールの交換頻度が多くなったり、保管時の省スペース化が図れない。ロール製品6の巻長が上記上限値を超えるものは、巻直径(ロールの外径)が従来のロール製品より大きくなり過ぎ、トイレットペーパーホルダー等に収まり難くなる。巻長は70〜85mであることが好ましく、73〜78mであることがより好ましい。
ロール製品6のコアを含む質量が上記下限値未満のものは、1ロール当りの巻長が短くなり、ロールの交換頻度が多くなったり、保管時の省スペース化が図れない。ロール製品6のコアを含む質量が上記上限値を超えるものは、巻長が長すぎて巻直径(ロールの外径)が従来のロール製品より大きくなり過ぎ、トイレットペーパーホルダー等に収まり難くなる。ロール製品6のコアを含む質量が230〜330gであることが好ましく、250〜290gであることがより好ましい。
なお、コアの質量は、通常は4〜7g程度である。また、通常の2plyのトイレットペーパーの1ロール当りの巻長は25m程度、質量は90g程度である。
ロール製品の巻き硬さが1.0〜3.0mmであることが好ましい。ロール製品6の巻き硬さが上記下限値未満であると、トイレットロールが固すぎて、ロールの触感(柔らかさ)が劣る。ロール製品6の巻き硬さが上記上限値を超えるものは、ロールをフィルムで包装する際、ロールが潰れて見た目が悪くなる。
ロール製品の巻き硬さは、好ましくは1.1〜2.5mm、より好ましくは1.3〜2.2mmである。
なお、巻き硬さは圧縮試験機(カトーテック株式会社製のハンディー圧縮試験機KES−G5)を用いて、次のように測定する。まず、ロール製品6を軸心が水平になるよう硬い台上に横に置く。ロールの上面にアクリル板(幅4cm、長辺の長さ12cm、厚さ2mm)を、アクリル板の長辺が、ロール幅方向(一般的には110〜115mm程度)と平行になるように置く。この際、アクリル板の重量でロールが潰れないよう、アクリル板の重量は約11gとする。次に、アクリル板の中心に上記KES−G5の圧縮子(面積2.0cm)を、速度0.01cm/秒の条件で押し込む。圧縮子がアクリル板を押す圧力が0.5gf/cmのときの押し込み深さをT0、圧力が500gf/cmのときの押し込み深さをTmとして、TmとT0の差(Tm−T0)を巻き硬さとする。圧縮子で直接ロールを圧縮せず、アクリル板を使用することで、ロールの幅全体にわたって押し込むことができ、フィルムで包装した時のロールの潰れやすさを評価することができる。測定は、10個のロールを測定し、測定結果を平均する。
(包装袋100内の4個のロール製品6の質量)/(包装袋100を構成するフィルムの坪量)が25〜80(g/(g/m))である。
上記比が25(g/(g/m))未満であると、フィルムの強度が高くなり過ぎ、ロール製品を包装した際、ロール製品を締め付ける力が増してロール製品が潰れやすくなったり、フィルムがゴワゴワする。
上記比が80(g/(g/m))を超えると、フィルムの強度が低下し、パッケージの運搬時等に包装袋が破れる。
上記比は、好ましくは30〜65(g/(g/m))、より好ましくは36〜50(g/(g/m))である。
包装袋100を構成するフィルムの坪量が13〜39g/mであることが好ましい。
フィルムの坪量が13g/m未満であると、強度が低下し、パッケージの運搬時等に包装袋が破れる場合がある。フィルムの坪量が39g/mを超えると、強度が高くなり過ぎ、ロール製品を包装した際、ロール製品を締め付ける力が増してロール製品が潰れやすくなったり、フィルムがゴワゴワする場合がある。フィルムの坪量は、好ましくは18〜33g/m、より好ましくは22〜27g/mである。
フィルムの材質は制限されないが、破れにくい(伸びやすい)ポリエチレンを含む組成が好ましい。また、フィルムの片面が印刷されていても良く、印刷面(印刷層)は包装袋100の外面(消費者が手で触る面)側でもよく、内面(包装袋100内のトイレットロール等に接する面)側にあってもよい。但し、印刷層が包装袋100の外面側に位置すると、ロール製品パッケージの商品を陳列する場合、擦れ等により印刷層が傷ついたり剥がれるおそれがあることから、印刷層を包装袋100の内面に向けることが好ましい。なお、フィルムを積層(ラミ)構造とすると、印刷層の両面をフィルムで挟む構造となり、印刷層を内外面のどちらに向けても傷が付き難いが、コストアップになる。
上記した巻長、質量、巻き硬さを有する長巻のトイレットペーパーは、通常のトイレットペーパーに比べて1ロールの重量が重いため、通常のトイレットペーパー用のフィルムで包装すると、フィルムが破れやすい。一方、フィルムの坪量を高めて強度を高くすると、ロール製品を締め付ける力が強くなり、ロール製品が潰れやすくなる。そこで、本発明は、上記比として、包装袋100内のロール製品6の合計質量と、フィルムの強度(坪量)との相対値を適正な範囲に規定している。
さらに、ガゼットタイプの包装袋100に長巻のロール製品50を包装すると、包装袋100の長辺45,55と把持部4の間に荷重が掛かり、この部位の(長辺45,55に接する)ロール製品50の端部が潰れ易くなる。そこで、図3に示すように、本発明においては、長辺45,55から把持部4までのパネル部41,51の傾斜角θを25〜45度とし、長辺45,55同士の間隔Wを105〜134mmとする。これにより、長辺45,55に接するロール製品50の端部にかかる負荷が小さくなるので、ガゼットタイプの包装袋に収納したロール製品を潰れ難くすることができる。
なお、傾斜角θは、図3に示すように、パネル部41が水平面に対してなす角度である。
この理由について、図4を参照して説明する。図4において、ロール製品パッケージ200を把持部4で持ち上げるのに必要な力を2Fとする。この力2Fは、長辺45,55にそれぞれ接するロール製品50の端部では、その半分の力Fとなって作用する。力Fは、パネル部41、51方向にはそれぞれ(F/sinθ)の分力として作用するから、θが大きくなるほど(F/sinθ)が小さくなり、長辺45,55に接するロール製品50の端部にかかる負荷が小さくなる。そこで、θを25度以上に規定する。
このようなことからは、θが大きいほど好ましいが、θが大きくなり過ぎると、パネル部41、51が立ち上がり過ぎ、パネル部41、51とロール製品50の上端との隙間Gが大きくなる。その結果、包装袋100内でロール製品50が動いて安定性が劣ったり、θを過剰に大きくするために包装袋100のサイズが大きくなってコストが高くなるので好ましくない。そこで、θを45度以下に規定する。
次に、図5を参照し、ロール製品50を一列に並べて包装する理由について説明する。図5は、ロール製品50を二列に並べてガゼット折りで包装した態様を示す。
図5においても、図4と同様に、θが大きくなるほど(F/sinθ)が小さくなり、長辺45,55に接するロール製品50の端部にかかる負荷を小さくすることができる。ところが、ロール製品50を二列に並べると、長辺45,55同士の間隔が一列の場合の間隔Wの約2倍(2W)となり、それに比例してパネル部41、51とロール製品50の上端との隙間も2倍(2G)となってしまうので、包装袋100内でロール製品50が動き易くなってしまう。
このようなことから、パネル部41、51とロール製品50の上端との隙間を小さくするため、図5の鎖線で示すように、パネル部51x(パネル部41も同様)の傾斜角φをθよりも小さくしなければならず、その結果、パネル部41、51方向にそれぞれ作用する分力(F/sinφ)が大きくなり、ロール製品が潰れ易くなる。
なお、間隔Wの測定は次のように行う。まず、図6に示すように、包装した状態のまま、最上段の各ロール製品50の巻直径DR1,DR2を定規で測定し、この値(合計2カ所)を平均し、これを長辺45,55同士の間隔Wとする。ここで、ロール製品パッケージ200の短辺方向で、包装袋100は各ロール製品50の外周に密着するようになっているため、ロール製品パッケージ200の短辺方向で各ロール製品50の最大径となる部分を巻直径DR1,DR2とみなす。又、巻直径DR1,DR2としては、包装袋100の厚みを含めた値とする。
なお、巻直径DR1,DR2の測定箇所の包装袋100が印刷されていて、包装内部のロール製品50が明瞭に見えず、巻直径の測定が困難な場合は、フィルムを剥がしてから測定してもよい(但し、この場合、以下の傾斜角θを測定する際には、別のロール製品パッケージ200を使用する)。
次に、ロール製品パッケージ200の把持部4を静かに持ち上げる。この際、把持部4に指掛け穴2がある場合は、指掛け穴2を使用する。持ち上げてから10秒後に、図6に示すようにして、持ち上げたままパネル部41の長さPL1、PL2、及びパネル部51の長さPL3、PL4を定規で順次測定する。ここで、「パネル部の長さ」とは、各長辺45、55から把持部4までの長さ(距離)である。又、上述のように包装袋100は各ロール製品50の外周に密着するようになっているため、各長辺45、55の位置によってもパネル部の長さが変わる。そこで、各長辺45、55のうち巻直径DR1,DR2を測定した位置から把持部4までの長さ(距離)をパネル部の長さとする。なお、図6では、巻直径DR1,DR2を表す線分と区別するため、PL1、PL2、PL3、PL4は、幅方向に対して斜めに記載している。しかし、実際には、各長辺45、55のうち巻直径DR1,DR2を測定した位置を中心として把持部4までの長さを幾つか測定し、そのうち最短距離をパネル部の長さとする。
そして、各パネル部41、51の長さPL1〜PL4の4つの値を平均し、これをパネル部の長さPLとする。次に、cosθ=(W÷2)/PLから、傾斜角θを算出する。
上記した傾斜角θの算出を、5個のロール製品パッケージ200についてそれぞれ別個に行い、これら5つの値の平均値を傾斜角θとして採用する。
傾斜角θが28〜42度であると好ましく、31〜39度であるとより好ましい。間隔Wが108〜125mmであると好ましく、113〜119mmであるとより好ましい。
なお、間隔Wは、ロール製品50の巻直径と同一とみなすことができるので、巻直径は105〜134mmであることが好ましく、108〜125mmであることがより好ましく、113〜119mmであることが最も好ましい。
そして、間隔Wが105mm未満であるものは、ロール製品の巻長と質量を上述の範囲内にするために固く巻く必要が生じ、ロールが固すぎて、ロールの触感(柔らかさ)が劣る。間隔Wが134mmを超えるものは、ロール製品の巻長と質量を上述の範囲内にするために柔らかく巻く必要が生じ、ロールをフィルムで包装する際、ロールが潰れて見た目が悪くなると共に、ペーパーホルダーへの装着性も劣る。
又、長辺45,55方向に沿う把持部4の長さは、好ましくは巻直径×2の72%以上、より好ましくは巻直径×2の77%以上、更に好ましくは巻直径×2の82%以上、最も好ましくは巻直径×2の87%以上とする。なお、把持部4の長さの上限は、巻直径×2である。
把持部4の長さが巻直径×2の72%未満であると、長辺45,55方向に沿う把持部4の両端がロール製品50よりも著しく内側に位置するため、把持部4の両端と長辺45,55に挟まれる短辺側の包装袋100との間で長さに余裕がなく、短辺側の包装袋100が引っ張られる。このため、短辺側に接するロール製品50の端部にかかる負荷が大きくなり、ガゼットタイプの包装袋に収納したロール製品50が潰れることがある。
なお、図7に示すようにして、把持部4の長さを調整できる。図7において、ロール製品50の巻直径を118mmとすると、ロール製品50を一列に2個並べたときの外周長さは607mmと計算され、若干の余裕を持たせた筒状の包装袋100の周長の一例を610mmとする。この際、ロールの巻き硬さの値が大きいと、ロールが柔らかくて若干つぶれ、外周長さが610mmより短くなる。このため、ロールの巻き硬さと巻直径に合わせて、図7のように計算される包装袋11の周長を適宜調整するとよい。
図7(a)の包装袋100では、長手方向の長さ(=把持部の長さ)を215mmとし、ガゼット部の長さを45mmとするので、把持部4の長さは、(巻直径×2)の92%(=215mm÷234mm)となる。
一方、図7(a)の包装袋100では、長手方向の長さ(=把持部の長さ)を165mmと短くし、ガゼット部の長さを70mmとするので、把持部4の長さは、(巻直径×2)の71%(=165mm÷234mm)となる。
特に、ロール製品の巻き硬さ/フィルムの坪量をコントロールすると、ロール製品がさらに潰れにくく、かつ、フィルムの強度を適正にすることができる。
具体的には、(巻き硬さ(mm)/フィルムの坪量(g/m))を好ましくは0.035〜0.13(mm/(g/m))、より好ましくは0.043〜0.11(mm/(g/m))、最も好ましくは0.050〜0.090(mm/(g/m))とする。
巻き硬さを一定とした場合、フィルムの坪量を高くすると、(巻き硬さ/フィルムの坪量)の値は小さくなり、フィルムがロールを締め付ける強さが大きくなることを意味する。逆に、(巻き硬さ/フィルムの坪量)の値が大きくなると、フィルムの強度が弱くなることを意味する。
一方、フィルムの坪量を一定とした場合、ロールを柔らかくして巻き硬さの値が大きくなると、(巻き硬さ/フィルムの坪量)の値は大きくなり、ロールが潰れやすくなることを意味する。逆に、(巻き硬さ/フィルムの坪量)の値が小さくなると、フィルムの強度が弱くなることを意味する。
従って、(巻き硬さ/フィルムの坪量)の値を適正な範囲にすることで、ロール製品がさらに潰れにくく、かつ、フィルムの強度を適正にすることができる。
ロール製品のシートの1枚当たりの坪量を好ましくは13g/mを超え17g/m以下、より好ましくは13.5〜16.5g/m、最も好ましくは14.1〜16.0g/mとする。
シートの坪量が上記下限値未満であると、強度が低下すると共に使用感(嵩高さ)も低下することがある。シートの坪量が上記上限値を超えると、シートが固く感じて使用感が低下したり、これを長く巻いたときに巻直径が大きくなって、ペーパーホルダーに装着しにくくなることがある。
又、シートの紙厚は好ましくは0.60〜1.10mm/10枚、より好ましくは0.65〜0.90mm/10枚、最も好ましくは0.65〜0.83mm/10枚である。
シートの坪量及び紙厚を上記範囲に調整する方法としては、衛生薄葉紙の原紙ウェブのカレンダー条件(カレンダー処理後の紙厚及び比容積)及びエンボス条件(エンボス処理後の紙厚及び比容積)を規定する方法が挙げられる。
シートの強度として、JIS P8113に基づく乾燥時の縦方向の引張強さをDMDT(Dry Machine Direction Tensile strength)、乾燥時の横方向の引張強さをDCDT(Dry Cross Direction Tensile strength)を規定する。
シート(2ply)のDMDTが好ましくは2.2〜5.0N/25mm、より好ましくは2.5〜4.5N/25mm、最も好ましくは2.7〜4.0N/25mmである。シート(2ply)のDCDTが好ましくは0.8〜2.2N/25mm、より好ましくは0.9〜1.8N/25mm、最も好ましくは1.0〜1.5N/25mmである。
DMDT及びDCDTが上記値未満であると、やぶれ易くて実用に適さないことがある。DMDT及びDCDTが上記値より高いと硬くなり、柔らかさが損なわれることがある。
なお、衛生薄葉紙の抄紙の流れ方向を「縦方向」とし、流れ方向に直角な方向を「横方向」とする。
シートの比容積は好ましくは4.0〜6.5cm/g、より好ましくは4.3〜6.1cm/g、最も好ましくは4.7〜5.6cm/gである。
比容積が上記範囲未満であると、使用感が乏しくなったり、バルク(嵩高さ)が低下して水分の吸収能力に劣る場合がある。一方、比容積が上記範囲を超えると、バルク(嵩高さ)は高くなるが、滑らかさが劣ったり、触感が悪くなる場合がある。
包装袋100を構成するフィルムの厚さが15〜43μmであることが好ましい。フィルムの厚さが15μm未満であると、強度が低下し、パッケージの運搬時等に包装袋が破れることがある。フィルムの厚さが43μmを超えると、強度が高くなり過ぎ、ロール製品を包装した際、ロール製品を締め付ける力が増してロールが潰れやすくなることがある。フィルムの厚さはより好ましくは20〜36μm、さらに好ましくは25〜30μmである。
又、フィルムの密度は、0.5〜1.3g/cmが好ましく、より好ましくは0.6〜1.2g/cm、さらに好ましくは0.7〜1.1g/cmである。
包装袋100には開封用のミシン目を設けても良い。ミシン目は、ロール製品パッケージの上下方向、横方向のどちらに延びるように形成しても良いが、好ましくは上下方向に形成する。
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
パルプ組成の含有率(質量%)がNBKP10%、LBKP60%、牛乳パック由来の古紙パルプ30%となるように配合した衛生薄葉紙のシートを抄造し、シートを2plyに積層して巻回し、表1に示す特性のトイレットロール製品50を製造した。なお、ロール幅(ロールの軸方向の長さ)は114mmとした。一方、表1に示す物性のポリエチレンフィルムを包装袋100として用意し、図1に示す形態でトイレットロール製品を包装してロール製品パッケージ200を得た。
以下の評価を行った。
1)衛生薄葉紙シートの特性
乾燥時の縦方向引張り強さDMDTと乾燥時の横方向引張り強さDCDT:JIS P8113に基づいて、製品枚数(2ply)の衛生薄葉紙につき、破断までの最大荷重をN/25mmの単位で測定した。
坪量:JIS P8124に基づいて測定し、衛生薄葉紙のシート1枚当たりに換算した。
紙厚:シックネスゲージ(尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)を用いて測定した。測定条件は、測定荷重3.7kPa、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取った。なお、衛生薄葉紙を10枚重ねて行った。又、測定を10回繰り返して測定結果を平均した。
比容積:衛生薄葉紙のシート1枚当たりの厚さを1枚当たりの坪量で割り、単位gあたりの容積cm3で表した。
2)ロール製品の特性
巻長:実測した。測定は、10個のロールを測定し、測定結果を平均した。
巻直径:ムラテックKDS株式会社製ダイヤメータールールを用いて測定した。測定は、10個のロールについて、ロールの軸方向中央における直径を測定し、測定結果を平均した。
コアを含む1ロールの質量:コアを含む1ロールの質量を秤量した。また、ロールから全てのシートを取り除き、コアの質量を秤量した。測定は、10個のロールを測定し、測定結果を平均した。
巻き硬さ:上述の通り測定した。
傾斜角θ:上述の通り測定した。
3)フィルムの特性
坪量:JIS P8124に基づいて測定し、フィルム1枚当たりに換算した。
厚さと密度:JIS P 8118(1998)に準拠して測定した。なお、フィルム厚さと密度は、熊谷理機工業社製の測定機(製品名TM600)を用いて、加圧面の圧力50kPaとして測定した。
下記の官能評価を、モニター20人によって行った。
トイレットロールの潰れにくさ:包装後のトイレットロールについて、フィルムによるロールの潰れ度合を評価した。
トイレットロールの端部の潰れにくさ:ロール製品パッケージ200の把持部4を持った1分後に、図1の長辺45,55のフィルムに接するロールの潰れ度合を評価した。
トイレットロールの柔らかさ:包装後のトイレットロールについて、包装フィルムを取り除き、トイレットロールを手で持ち、柔らかさを評価した。
シートの使用感:トイレットロールをトイレで使用したときの使用感を評価した。
フィルムの強さ:トイレットロールを包装後のパッケージにおいて、フィルムの破れの有無を評価した。
フィルムのゴワゴワ感:トイレットロールを包装後、パッケージを手で触り、フィルムのゴワゴワ感を評価した。
ペーパーホルダーへの装着性:包装後のトイレットロールについて、包装フィルムを取り除き、トイレットロールをペーパーホルダーに装着して評価した。
ロールの交換頻度:トイレットロール1本を使いきるまでの期間を評価した。
包装袋内のトイレットロールの保持性:包装袋内のトイレットロールが動かずに安定して保持されているかを目視で評価した。
評価基準は5点満点で行った。5点:大変良好である、4点:良好である、3点:実用上問題ない、2点:劣る、1点:顕著に劣る。
なお、トイレットペーパーの坪量、引張り強さ、紙厚、比容積、巻長、巻直径、質量、巻き硬さ、傾斜角θ及びフィルムの坪量、厚さ、密度の測定は、JIS-P8111に規定する温湿度条件下(23±1℃、50±2%RH)で平衡状態に保持後に行った。
得られた結果を表1、表2に示す。なお、表1、表2の「包装袋内のロール製品(コアを含む)の合計質量」とは、市販品1を除いて4個のロール製品の合計質量であり、市販品1は12個のロール製品の合計質量である。
Figure 0006590596
Figure 0006590596
表1から明らかなように、ロール製品の巻長が63〜103m、コアを含む1ロールの質量が200〜370g、(包装袋内の4個のロール製品の質量)/(フィルムの坪量)が25〜80(g/(g/m))であり、包装袋の傾斜角θ及び間隔Wが所定の範囲である各実施例の場合、トイレットロールの使用感や柔らかさに優れると共に、1ロール当りの巻長を長くしてロールの交換頻度が少なくなった。さらに、ロール製品パッケージとしたときにフィルムの強度を保ってもロールが潰れ難く、包装袋内でロール製品を安定して保持できた。
一方、(包装袋内の4個のロール製品の質量)/(フィルムの坪量)が80(g/(g/m))を超えた比較例1の場合、フィルムの強度が低下した。
(包装袋内の4個のロール製品の質量)/(フィルムの坪量)が25(g/(g/m))未満の比較例2の場合、フィルムがゴワゴワすると共に、トイレットロールが潰れやすかった。
ロール製品の巻長が63m未満である比較例3の場合、ロールの交換頻度が多くなった。
ロール製品の巻長が103mを超えた比較例4の場合、ロールの巻き直径が134mmを超えたためにペーパーホルダーへの装着性に劣った。
包装袋の間隔Wが105mm未満である比較例5の場合、トイレットロールの柔らかさに劣った。
包装袋の間隔Wが134mmを超えた比較例6の場合、ロールが潰れやすかった。又、比較例6の場合、ロールの巻き直径が134mmを超えたためにペーパーホルダーへの装着性に劣った。
包装袋の傾斜角θが25度未満の比較例7の場合、パネル部41、51に係る荷重が大きくなったため、長辺45,55のフィルムに接するロールが潰れた。
包装袋の傾斜角θが45度を超えた比較例8の場合、包装袋内でトイレットロールが動いて安定性が劣った。
市販品1は、1ロール当りの巻長は25mであり、ロールの交換頻度が多くなった。また、ロールが潰れやすかった。
2 指掛け穴
4 把持部
6 本体部
45,55 本体部の長辺
50 ロール製品
100 包装袋
200 ロール製品パッケージ

Claims (5)

  1. フィルムからなる包装袋に、衛生薄葉紙の2plyのシートを巻いたロール製品を複数個収納してなるロール製品パッケージであって、
    前記ロール製品が軸方向を上下にして一列に2個並べた段を2段重ねて前記包装袋に包装してなり、
    前記包装袋は筒状のガゼット袋から構成され、前記ロール製品を囲む略直方体状の本体部と、前記本体部の上辺のうち、互いに対向する長辺から上方に向かってそれぞれ切妻屋根型に延びて接合された把持部と、を有し、
    前記把持部には指掛け穴が形成されており、
    前記ロール製品の巻長が63〜103m、コアを含む1個の前記ロール製品の質量が200〜370gであり、
    (前記包装袋内の4個の前記ロール製品の質量)/(前記フィルムの坪量)が25〜80(g/(g/m))であり、
    前記長辺から前記把持部までの前記包装袋の傾斜角θが25〜45度であり、
    前記長辺同士の間隔Wが105〜134mmであるロール製品パッケージ。
  2. 前記ロール製品の巻き硬さが1.0〜3.0mmである請求項1記載のロール製品パッケージ。
  3. 前記フィルムの坪量が13〜39g/mである請求項1又は2記載のロール製品パッケージ。
  4. (前記巻き硬さ(mm)/前記フィルムの坪量(g/m))が0.035〜0.13(mm/(g/m))である請求項1〜3のいずれか一項記載のロール製品パッケージ。
  5. 前記シートの1枚当たりの坪量が13g/mを超え17g/m以下である請求項1〜4のいずれか一項記載のロール製品パッケージ。
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