JP6589935B2 - 空調システム - Google Patents
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Description
本実施形態の空調システム(10)は、複数の空気調和機(20,40)を備えている。複数の空気調和機(20,40)は、同一の室内空間(11)を空調の対象としている。本実施形態の空調システム(10)には、2台の空気調和機(第1空気調和機(20)と第2空気調和機(40))が設けられる。空調システム(10)は、3台以上の空気調和機を備えてもよい。第1空気調和機(20)と第2空気調和機(40)とは、基本的な構成は同じである。また、空調システム(10)は、各空気調和機(20,40)を制御するための制御装置(60)を備えている。
図1及び図2に示すように、第1空気調和機(20)は、室外に設置される第1室外ユニット(21)と、室内に設置される複数の第1室内ユニット(30)とを備えている。複数の第1室内ユニット(30)は、2本の連絡配管を介して第1室外ユニット(21)に並列に接続される。なお、第1室内ユニット(30)は、1台、2台、又は3台以上であってもよい。
図2に示すように、第2空気調和機(40)は、第1空気調和機(20)と同様の構成機器を備えている。つまり、第2空気調和機(40)は、第2室外ユニット(41)と複数の第2室内ユニット(50)とが接続され、冷媒が循環する第2冷媒回路(42)が構成される。
図1に示すように、第1空気調和機(20)には、第1リモコン(36)が設けられる。第2空気調和機(40)には、第2リモコン(56)が設けられる。各リモコン(36,56)は、例えば室内の壁に設けられ、ユーザが操作可能に構成される。各リモコン(36,56)には、対応する空気調和機(20,40)の電源のON/OFF、運転モードの切り換え、吹出空気の風向の切り換え等を行うための操作部が設けられる。また、各リモコン(36,56)には、対応する空気調和機(20,40)の現在の運転モード、設定温度、設定湿度等を表示する表示部が設けられる。
図1及び図3に示すように、空調システム(10)は、各空気調和機(20,40)を制御するための制御装置(60)(制御システム)を備えている。本実施形態の制御装置(60)は、第1ローカルコントローラ(61)、第2ローカルコントローラ(71)、通信端末(80)、ルータ(85)、及びクラウドサーバ(90)を含んでいる。
空調システム(10)の運転動作について詳細に説明する。
温度制御モードの冷房運転について説明する。冷房運転では、各空気調和機(20,40)で上述した第1冷凍サイクルが行われる。つまり、圧縮機(23,43)で圧縮された冷媒は、各室外熱交換器(24,44)で凝縮し、室外空気へ放熱する。凝縮した冷媒は、各室外膨張弁(25,45)で減圧された後、各室内熱交換器(32,52)を流れる。各室内熱交換器(32,52)では、冷媒が室内空気から吸熱して蒸発する。これにより、各室内ユニット(30,50)では、吸込空気が冷却される。蒸発した冷媒は、各圧縮機(23,43)に吸入され、再び圧縮される。各室内熱交換器(32,52)で冷却された空気は、室内空間(11)へ吹出空気として供給される。
温湿度制御モードの運転は、室内の温度を目標温度(Ts)に近づけるともに、室内の湿度を目標湿度(Rs)に近づける運転である。温湿度制御モードでは、現在の室内の温湿度を目標点(S)(図6を参照)に近づけるように、現在の空気の状態点(C)に応じて、各種の運転を切り換える。温湿度制御モードは、各ローカルコントローラ(61,71)、クラウドサーバ(90)、及び通信端末(80)間の相互の信号の授受によって実現される。これらの端末間の信号の送受信は所定時間(例えば20秒)毎に行われる。
温湿度制御モードへ移行するまでの制御について、図4を参照しながら説明する。ユーザが通信端末(80)のアプリケーションを起動させ、タッチパネル(81)上において「温湿度制御モード」の「ON」を選択すると、この信号がクラウドサーバ(90)へ出力される。同時に、クラウドサーバ(90)には、通信端末(80)に設定された目標温度(Ts)及び目標湿度(Rs)が入力される。以上のようにして、温湿度制御モードの開始の指示があると、ステップSt1からステップSt2へ移行する。
図5に示すように、温湿度制御モードへ移行すると、初回の判定動作が行われる(ステップSt51)。初回の判定動作では、運転判定部(91)が、1)除湿運転、3)顕熱運転、4)顕熱運転、5)潜熱運転のいずれを実行するかの判定を行う。つまり、初回の判定動作では、2)非分離運転が選択されることはない。判定動作では、通信端末(80)に設定された目標温度(Ts)と、通信端末(80)に設定された目標湿度(Rs)と、室内空間(11)の現在の空気状態とが用いられる。ここで、現在の空気状態を示す指標としては、室内空間(11)の現在の空気温度(T)と、室内空間(11)の現在の空気湿度(R)と、室内空間(11)の現在の不快指数(DI)とが用いられる。
温湿度制御モードに移行した後の2回目以降の判定動作(ステップSt58)では、運転判定部(91)が、除湿運転を除く他の運転( 2)非分離運転、3)顕熱運転、4)顕熱運転、5)潜熱運転)のいずれを実行するかの判定を行う。つまり、温湿度制御モードでは、該温湿度制御モードの開始直後の初回の判定動作において、現在の空気がE4の領域内にある場合のみ、除湿運転が実行される。
除湿運転及び非分離運転中の判定動作の閾値は、図7のようになる。詳細の説明は省略するが、これらの運転では、潜顕分離運転に対応する領域E1の湿度の範囲が、他の判定動作よりも下側(低湿側)に拡大されている。また、これらの運転では、潜顕分離運転に対応する領域E1において、第1湿度閾値(Rs1)以上の範囲での不快指数の閾値が存在しない。
潜顕分離運転中の判定動作の閾値は、図8のようになる。詳細の説明は省略するが、潜顕分離運転では、顕熱運転に対応する領域E2、及び潜熱運転に対応する領域E3が、初回の判定動作よりも小さくなっている。また、潜顕分離運転において、現在の空気の状態点(C)が領域E5内にある場合、非分離運転への移行が決定される。潜顕分離運転における領域E5の範囲は、初回の判定動作の領域E4(除湿運転への移行範囲)よりも小さい。このように、潜顕分離運転中の判定動作では、継続して潜顕分離運転を行うための領域E1が、初回の判定動作の領域E1よりも大きくなっている。従って、ある運転から潜顕分離運転に移行した後、空気温度(T)や空気湿度(R)が僅かに高くなることで、他の運転が再び戻ること(いわゆるハンチング)を回避できる。
顕熱運転中の判定動作の閾値は、図9のようになる。詳細の説明は省略するが、顕熱運転では、他の判定動作にはない領域E6(ハッチングを付した領域)が存在する。領域E6は、領域E5と同様、非分離運転への移行を決定するための領域である。ただし、顕熱運転中の判定動作において、空気の状態点(C)が領域E5にある場合、速やかに非分離運転へ移行するのに対し、空気の状態点(C)が領域E6にある場合、この状態が所定時間(例えば180秒)継続することで、非分離運転に移行する。このように、顕熱運転から非分離運転への境界付近の領域において、時間の制約を加えることで、顕熱運転と非分離運転との間のハンチングを回避できる。
潜熱運転中の判定動作の閾値は、図10のようになる。詳細の説明は省略するが、潜熱運転では、潜顕分離運転に対応する領域E1の湿度の範囲が、初回の判定動作よりも下側(低湿側)に拡大されている。
次いで、温湿度制御モードで実行される各運転について説明する。温湿度制御モードの運転は、複数の空気調和機(20,40)の全てが潜熱機となる第1運転と、複数の空気調和機のうちの一部(本例では第1空気調和機(20))が潜熱機となり、他の空気調和機(本例では第2空気調和機(40))が顕熱機となる第2運転と、複数の空気調和機(20,40)(本例では第1空気調和機(20)及び第2空気調和機(40))の全てが顕熱機となる第3運転とに大別される。除湿運転、非分離運転、及び潜熱運転は第1運転に含まれる。潜顕分離運転は、第2運転に該当し、顕熱運転は、第3運転に該当する。
除湿運転は、室内の湿度及び温度が高い条件下において、室内の絶対湿度を急激に低下させる運転である。除湿運転では、第1空気調和機(20)と第2空気調和機(40)との双方が潜熱機となる。
1−B:|(現在|Te−TeS|−前回|Te−TeS|)|≦E2
ここで、現在|Te−TeS|は、現在の蒸発温度(Te)と現在の目標蒸発温度(TeS)との差分の絶対値である。前回|Te−TeS|は、今回の更新判定より1つ前の更新判定で算出された|Te−TeS|に相当する。E1及びE2は、予め設定された判定閾値である。
非分離運転は、除湿運転と同様、室内の湿度及び温度が高い条件下において、室内の絶対湿度を低下させる運転である。非分離運転では、第1空気調和機(20)と第2空気調和機(40)との双方が潜熱機となる。ただし、上述したように、非分離運転は、初回の判定動作においては実行されない(図5を参照)。非分離運転では、第1空気調和機(20)と第2空気調和機(40)との双方が潜熱機となる。
潜熱運転は、特に室内の湿度が高い条件下において、室内の絶対湿度を低下させる運転である。潜熱運転では、第1空気調和機(20)と第2空気調和機(40)との双方が潜熱機となる。潜熱運転は、基本的には除湿運転と同じ制御が行われる。
潜顕分離運転(同時運転)は、室内の温度及び湿度が目標点(S)に近い範囲にあるときに、各空気調和機(20,40)で室内の潜熱と顕熱とを個別に処理する運転である。本実施形態の潜顕分離運転では、第1空気調和機(20)が潜熱機となり、第2空気調和機(40)が顕熱機となる。従って、潜顕分離運転では、第1空気調和機(20)の室内ユニット(30,50)によって空気が冷却及び除湿されると同時に、第2空気調和機(40)の室内ユニット(30,50)によって空気の冷却のみが行われる。このように、潜熱機と顕熱機とを同時に運転することで、室内の温度が過剰に低下することを回避しつつ、室内の温湿度を目標の範囲に近づけることができる。
潜顕分離運転において、クラウドサーバ(90)は、潜熱機である第1空気調和機(20)に対応する第1ローカルコントローラ(61)に、第1室内ファン(33)の風量を制御するための信号を送信する。潜顕分離運転では、第1空気調和機(20)の第1室内ファン(33)の風量が2段階(例えばLタップとMタップの2段階)の間で切り換えられる。なお、第1室内ファン(33)は、MタップとHタップの2段階の間で切り換えられてもよい。
潜顕分離運転において、クラウドサーバ(90)は、顕熱機である第2空気調和機(40)に対応する第2ローカルコントローラ(71)に、第2室内ファン(53)の風量を制御するための信号を送信する。潜顕分離運転では、第2空気調和機(40)の第2室内ファン(53)の風量が、例えばMタップ、あるいはHタップに制御される。
顕熱運転は、特に室内の温度が高い条件下において、室内の温度を低下させる運転である。顕熱運転では、第1空気調和機(20)と第2空気調和機(40)との双方が顕熱機となる。
上述した各運転では、原則として、各空気調和機(20,40)の各吸込温度センサ(34,54)の検出温度が、サーモオフ判定温度(Toff)以下になると、対応する室内ユニット(30,50)がサーモオフする。
潜顕分離運転では、上述したように、潜熱機である第1空気調和機(20)の第1目標蒸発温度(TeS1)と、顕熱機である第2空気調和機(40)の第2目標蒸発温度(TeS2)とがそれぞれ求められる。更に、潜顕分離運転では、このようにして求められた各目標蒸発温度(TeS)を基準として、これらの目標蒸発温度(TeS)を段階的に増減させる制御が行われる。この制御動作(ステップ制御)について図12〜図14を参照しながら説明する。
上述したステップ制御における目標蒸発温度(TeS)の変更幅について更に詳細に説明する。図15に示すように、潜顕分離運転では、潜熱機である第1空気調和機(20)の第1目標蒸発温度(TeS1)が露点温度以下の温度となり、顕熱機である第2空気調和機(40)の第2目標蒸発温度(TeS2)が露点温度より高くなる。従って、第1室内ユニット(30)の吸込空気温度と第1目標蒸発温度(TeS1)との温度差は、第2室内ユニット(50)の吸込空気温度と第2目標蒸発温度(TeS2)との温度差よりも大きくなる。つまり、潜顕分離運転では、第1室内ユニット(30)の空気の冷却能力の方が、第2室内ユニット(50)の空気の冷却能力よりも大きくなる。
上記実施形態では、制御装置(60)により、現在の室内の温湿度が室内の温湿度の目標値に近づくように、潜熱機である空気調和機(20,40)の室内ユニット(30,50)の冷却能力と、顕熱機である空気調和機(20,40)の室内ユニット(30,50)の冷却能力とをそれぞれ調節する制御動作(ステップ制御)が実行される。より詳細には、制御装置(60)は、目標点(S)と、現在の空気の状態点(C)と、前回の空気の状態点(C)とに基づいて、各空気調和機(20,40)の室内ユニット(30,50)の冷却能力をそれぞれ決定する。
上記実施形態のステップ制御では、目標点(S)と、現在の空気の状態点(C)と、前回の空気の状態点(C)とを考慮し、各空気調和機(20,40)の冷却能力を決定している。しかしながら、前回の空気の状態点(C)は考慮せず、目標点(S)と現在の空気の状態点(C)だけを考慮し、各空気調和機(20,40)の冷却能力を決定してもよい。
20 第1空気調和機
21 第1室外ユニット
30 第1室内ユニット
40 第2空気調和機
41 第2室外ユニット
50 第2室内ユニット
60 制御装置
Claims (5)
- 室内ユニット(30,50)及び室外ユニット(21,41)をそれぞれ有し、各々が個別に冷凍サイクルを行うとともに互いに同一の室内を対象とする複数の空気調和機(20,40)と、
前記複数の空気調和機(20,40)を制御する制御装置(60)とを備え、
前記制御装置(60)は、
少なくとも1つの空気調和機(20)の室内ユニット(30)が空気を露点温度以下まで冷却するように該空気調和機(20)を潜熱機として制御すると同時に、他の空気調和機(40)の室内ユニット(50)が空気を露点温度より高い温度で冷却するように該空気調和機(40)を顕熱機として制御する同時運転を実行させるように構成されるとともに、
現在の室内の温湿度が室内の温湿度の目標値に近づくように、潜熱機である空気調和機(20)の室内ユニット(30)の冷却能力と、顕熱機である空気調和機(40)の室内ユニット(50)の冷却能力とをそれぞれ調節する制御動作を行い、
前記制御装置(60)は、前記制御動作において、前記潜熱機である空気調和機(20)を該潜熱機の状態に維持させながら、室内の温度及び湿度と、室内の目標温度及び目標湿度に基づいて、前記潜熱機である空気調和機(20)の蒸発温度を調節することを特徴とする空調システム。 - 請求項1において、
前記制御装置(60)は、前記制御動作において、少なくとも、前記目標値と、前記現在の室内の温湿度とに基づいて、前記各空気調和機(20,40)の室内ユニット(30,50)の冷却能力をそれぞれ決定することを特徴とする空調システム。 - 請求項2において、
前記制御装置(60)は、前記制御動作において、前記目標値と、前記現在の室内の温湿度と、現在よりも所定時間前の室内の温湿度とに基づいて、前記各空気調和機(20,40)の室内ユニット(30,50)の冷却能力をそれぞれ決定することを特徴とする空調システム。 - 請求項1乃至3のいずれか1つにおいて、
前記制御装置(60)は、
前記室内の温度及び湿度が前記目標値を含む所定の温湿度範囲内にあると前記同時運転を実行させる一方、前記室内の湿度が前記温湿度範囲以上の所定湿度を超えると、全ての空気調和機(20)の室内ユニット(30)が空気を露点温度以下まで冷却するように該空気調和機(20)を制御する除湿運転を実行させることを特徴とする空調システム。 - 請求項1乃至4のいずれか1つにおいて、
前記制御装置(60)は、前記制御動作において、潜熱機である空気調和機(20)の室内ユニット(30)の冷却能力と、顕熱機である空気調和機(40)の室内ユニット(50)の冷却能力とを同じタイミングで制御することを特徴とする空調システム。
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