実施の形態1.
図1(a)と図1(b)は本発明の実施の形態1に係る液量検出装置及び冷却装置の設置構成を示す図である。図1(a)には負荷装置の一例である圧縮機50とこれを駆動するインバータ36および液量検出装置1が図示されており、これらは冷却装置500を構成している。
図1(a)において三相交流電源31は整流回路33に接続されている。整流回路33と昇圧回路34と平滑コンデンサ35はコンバータ回路32を構成している。コンバータ回路32の両端はインバータ36のN母線LBnとP母線LBpに接続され、インバータ回路からは三相の動力線LPv、LPu、LPwが圧縮機50に接続されている。ここでインバータはインバータ回路とも呼ぶ。
圧縮機50はシェル筐体51、シェル内壁51aを備えており、また、固定子57、回転子58からなるモータ54を備えている。モータ54は容積圧縮機55を駆動しており、冷凍機油56が圧縮機に使用されている。冷凍機油の油面59には適正範囲200があり、圧縮機は冷媒の吸入口52と吐出口53を備えている。コンバータ回路、インバータ回路、圧縮機50、液量検出装置等が冷却装置500を構成している。
図1(a)と図1(b)において液量検出装置1は電極対2bと電極対2cを備えた直列回路7を有しており、電極対2bと電極対2cはそれぞれ、電圧測定装置15に接続されている。電圧測定装置15の出力は比較回路16に接続されており、比較回路16と電圧測定装置15は検出回路部6を構成している。電極対2bと電極対2cはそれぞれ、電極Hと電極I、電極Jと電極Kから構成される。また、電極Iと電極Jは導体401で接続されている。電極Iは電極対2bを構成しており電極Jは電極対2cを構成しており異なる電極対を構成する二つの電極と電極の間が導体401である接続線で接続されている。
ここで、インバータは負荷装置である圧縮機50を駆動しており、同時に負荷であるモータ54を駆動している。以下で負荷とは、インバータによって駆動される装置の一部を意味するものとし、負荷装置はインバータによって駆動される装置全体を意味するものとするが、どこまでが装置でどこからが装置の一部かは判断が難しい場合があり、厳密に区別しないものとする。
インバータ36の動作について説明する。三相交流電源31から電力を受電し、整流回路33、昇圧回路34、平滑コンデンサ35などからなるコンバータ回路32によって、図1(a)中のLBpとLBnの間にDC電圧が生成される。DC電圧のプラス側の線をP母線LBp、マイナス側の線をN母線LBnと呼ぶ。
また、インバータの出力線つまり圧縮機50への入力線のケーブルを動力線と呼ぶ。実施の形態1の場合、モータ54は3相であり、動力線はLPu,LPv,LPwの3本である。このDC電圧(以下、母線電圧と呼ぶ)はインバータ36によって交流に変換され、圧縮機50内のモータ54に印加される。
インバータ36の動作について説明する。インバータ36はIGBT(Insurated Gate Bipolar Transistor)又はMOSFET(Metal Oxide Semiconducotor Field Effect Transistor)などのスイッチング素子が時間的に接続状態と非接続状態(ON/OFF)を切り替える動作をすることによって、N母線とP母線の間のDC電圧から各動力線の電圧時間波形が形成される。
図2はインバータ36からモータ54に印加される電圧であるインバータ出力波形301と指令値となる電流の波形300の一例を示したものである。電圧波形は、数kHzの周波数でスイッチングを繰り返し、パルス幅も変化している。
この電圧波形が印加されているとき、モータに流れる電流波形は30Hzから120Hzの正弦波に近い波形となっている。このような駆動方法をPWM(Pulse Width Modulation)制御という。モータが駆動される電流周波数に対し、電圧のスイッチング周波数が高いことが特徴である。インバータ36はインバータ制御部(図示せず)によって制御されている。
このとき、モータには正弦波に近い波形の電流が流れているが、インバータからモータに印加される電圧は高周波パルスの連続である。したがって、インバータの動力線にはこのPWMの周波数の交流が出力されている。同時に、モータの回転の周波数成分も存在する。
図1(a)のように電極に接地電位点と動力線の間の電位差を検出対象に印加する場合は、PWMの周波数以外に、受電した交流電圧に起因する周波数成分の電圧変動が存在する。これらの周波数成分の中ではPWMのスイッチング周波数がもっとも周波数が高い。
圧縮機50は主にモータ54とそれによって回転駆動される容積圧縮機55で構成される。図1(a)では容積圧縮機55としてスクロール型圧縮機が示されているが、ロータリー型またはレシプロ型など、他の方式の容積圧縮機でもよい。圧縮機50は、吸入口52から冷媒を吸い込み、これを圧縮機50で圧縮して、吐出口53から排出する。
モータは圧縮機50のシェル筐体51に固定された固定子57と固定子に囲まれるように中心にある回転子58からなる。冷却装置500は用途に応じて冷媒回路(図示せず)、熱交換器(図示せず)などを備えている。
構造を理解しやすくするため、固定子57については、回転子58の回転軸を含む面による切断面が図示されている。回転子58の下部には冷凍機油56を吸入して容積圧縮機など圧縮機50の各部に循環させるための油吸入口がある(油面59より下であるため図示せず)。
圧縮機50のシェル筐体51は図1(a)のようにモータ54の回転面となる水平方向にくらべて、モータの回転軸方向となる上下方向が長い形状であり、その下部に冷凍機油56が蓄積されている。実施の形態1では圧縮機の形状が縦長でモータの回転軸が縦、回転面が横の構造としたがこの形状に限定されるものではない。横長の圧縮機であっても、回転面が縦の構造であっても、回転軸が横の構造においても本発明は適用できる。
実施の形態1ではシェル筐体51が液体収納容器に相当する。冷凍機油56は回転子58の下部に設けられた油吸入口から吸い込まれて圧縮機50の内部を循環する。この冷凍機油56の油面59は圧縮機による冷凍機油の消費と冷凍機油の量を回復させる回復運転などに応じて上下する。
実施の形態1においては、以下に説明するように、この油面59の位置の上限と下限を設け、上限と下限の間を適正範囲200とし、油面59が適正範囲内に保たれるように管理する。
冷凍機油の上限と下限は図中に破線で示した。油面の位置の下限は油吸入口(冷凍機油56内)とした。油吸入口よりも油面59が下になるまで冷凍機油の量が減ってしまった場合、冷凍機油を吸入し圧縮機内を循環させることができなくなる。
また、油面位置の上限はモータの回転子58の上部の径が大きくなっている部分である突起部分より下の位置とした。油面の位置が上限を超えてモータの回転子の上部にある突起部分が冷凍機油に浸かった状態となると、冷凍機油の抵抗がモータのトルクに影響を与え、圧縮機の効率が低下する可能性があるためである。
以上説明したように、実施の形態1における冷凍機油の量の適正範囲すなわち油面59の位置の適正範囲は、油吸入口より上でモータの回転子58の上部の突起部分より下である。この上限、下限の位置の近くに電極対をそれぞれ配置する。2つの電極対は鉛直方向において位置を変えて配置されている。
より具体的に設置位置の一例を挙げると、電極Hと電極Iで構成される一つ目の電極対2bを上限値つまりモータの回転子の下端よりも少し下の位置に配置することが好ましい。符号を明示するため、図1(b)に直列回路7を図示した。電極Jと電極Kで構成される二つ目の電極対2cを下限、すなわち油吸入口の少し上の位置に配置することが好ましい。この場合、電極対2bと電極対2cは、それぞれが圧縮機内部または筐体シェル内部の鉛直方向において異なる位置に配置されている。
実施の形態1において、電極対2b、電極対2cは2枚の金属板を離間して平行に上下に配置したものを示した。コンデンサの電気的な性質として、電極間の距離が短いほど静電容量が大きくなり、検出器のSN比(信号とノイズの比率)を高めることができる。そのため、電極間距離は短いほどよいが、あまりに短いと電極間に油が入りにくくなったり、電極間の油が排出されにくくなったりするため、0.5mmから5mmの間が望ましい。
また、実施の形態1においては離間した金属板を配置したものを示したが、電極間の一部に絶縁物をはさんで一部に油が流入、流出するようにしてもよい。例えば、両面が平行な部材を間に挟むことによって、挟んだものが位置決めの基準となるため、電極間の距離、と平行度など、配置の精度をよくすることができる効果がある。中空部を設け、端部のみある部材であれば、内部に十分な量の油が流入できるため静電容量の差異の検出に好適である。
また、電極の面積が大きい方が静電容量が高くなり、SN比の高い検出信号を得ることができるため望ましいが、圧縮機のシェル筐体51の内部に配置するという制約が存在する。そのため、電極形状を細長くする、電極をシェル内壁51aの形状に沿う形状の曲面とするなど、他の部品の動作または配置の妨げとならないようにシェル筐体51の内部に配置しても良い。
電極H、電極I、電極J、電極Kからの接続線は、ガラス端子T2を介してシェル筐体51の内部から外部に引き出される。実施の形態1では電極H、電極I、電極J、電極Kを別々に引き出しているので、合計4本の接続線が引き出されている。内部に配線を設け、2つの電極対を圧縮機内部で直列に接続し、ガラス端子を介して引き出す接続線を3本としても良い。電極Iと電極Jは導体401で接続されている。この場合、電極Hと、電極Iと電極Jを導体401で接続したものと、電極Kの3か所から接続線が引き出される。
実施の形態1では、この電極対2bと電極対2cおよびこれらを結ぶ接続線で構成される部分が直列回路7である。液量検出装置1は電極対と接続線を含む直列回路7と、電極対の電圧または電圧の差異を検出する検出回路部6、筐体との接続線で構成されている。検出回路部6は電圧測定装置15と比較回路16で構成されている。
直列に接続された電極対2bと電極対2cの一端である電極Hは、インバータ36と圧縮機を結ぶ3相の動力線のうちのU相に接続されている。三相のモータの場合、動力線はU相、V相、W相の3相あり、そのうちのどれに接続してもよい。一方、直列に接続された電極対の他端である電極Kは接地電位点に接続されている。
圧縮機50のシェル筐体51が接地されている場合は電極Kとシェル筐体51を接続しても良い。図1(a)と図1(b)においては圧縮機外部で電極Hと動力線が接続されているが、動力線と電極Hが接続されるのであれば、圧縮機内部で接続してもよい。このように接続すれば、圧縮機内部から引き出す接続線を少なくする効果がある。
図1(a)と図1(b)では、電極Kからの接続線をシェル筐体51の外部で接地電位点に接続しているが、圧縮機50のシェル筐体が接地されている場合は圧縮機内部にある電極Kからシェル筐体51に接続することもできる。このような構成においてはガラス端子を介して引き出される配線の数をさらに少なくできる効果がある。
以上が実施の形態1の構成である。電圧検出測定装置と電極対の接続、そのほか、回路の間の接続はノイズの影響を低減するためツイストペアケーブルまたは同軸ケーブルを用いてもよい。
インバータ36の動力線には図2に示したPWM制御のスイッチング周波数でスイッチされる電圧が印加され、モータの駆動周波数で振動する電流が流れている。さらに、インバータが受電している三相交流電源31は交流電源の周波数で振動している。
そのため、電極対2bと電極対2cを直列接続したものの両端に印加される、U相と接地電位の間の電圧には、モータ54の交流周波数、三相交流電源31の周波数、インバータのPWM制御の周波数など、複数の周波数成分が含まれている可能性がある。これらのうち、PWM制御のスイッチングの周波数が最も周波数が高い。
正確な測定のためには測定系を接続した影響によって測定結果が変化することを避ける必要がある。そのため、測定系のインピーダンスを測定対象のインピーダンスに対して高くする必要がある。実施の形態1で測定系は検出回路部6であり、測定対象は直列回路7である。
直列回路7の電極対は高周波でインピーダンスが低くなるという性質がある。実施の形態1においては、インバータの動力線のうちの一相のみを直列回路7に接続し、検出回路部6によって電極間電圧を検出している。そのため、高速にスイッチングされる電圧波形が印加されることによって、検出回路部6のインピーダンスをより低くすることができる。
以下に実施の形態1の構成によって電極対の静電容量値を検出し、冷凍機油56の油面59の位置を検出する測定方法について説明する。
2つの電極対2b、2cはそれぞれコンデンサを形成している。交流電圧が直列に接続された2つのコンデンサに印加された場合、コンデンサの静電容量の逆数に比例して分圧される。
電極対2b、電極対2cの静電容量をそれぞれ、C2b、C2c電極間電圧をそれぞれ、V2b、V2cとして、電極対2bと電極対2cの直列接続されたものの両端にV0が印加されている場合、(1)(2)のような関係となり、V2b,V2cは(3)(4)のようになる。
電極間電圧V2b、電極間電圧V2cの値(交流の振幅)を計測すれば、C2bとC2cの値を知ることができる。実際には、電極対2b、および電極対2cの静電容量測定値には浮遊容量Csが含まれているが、浮遊容量Csは装置の構造に起因するものなので、静電容量を検出する前に評価し、換算することによって、C2bとC2cの値を求めることができる。
実施の形態1の液量検出装置1では、電極間電圧V2bと電極間電圧V2cを電圧測定装置15で計測し比較回路16で比較する。比較回路16は比較した結果を出力する。具体的には電極間電圧V2bと電極間電圧V2cの差異または両者の比等を出力する。電圧測定装置15の構造についてより詳しく説明する。図3、および図4に実施の形態1にかかる電圧測定装置15の構成例を2例示す。
図3に示す電圧測定装置には、信号の入力される検出側整流回路23、分圧回路22、フィルタコンデンサ28、絶縁アンプ24、アンプ25、低周波フィルタ21a、電圧検出回路20を備えている。低周波フィルタ21aと電圧検出回路20は電圧検出部21を構成している。
図4に示す電圧測定装置には、分圧回路22、検出側整流回路23、フィルタコンデンサ28、絶縁アンプ24、アンプ25、低周波フィルタ21a、電圧検出回路20を備えている。低周波フィルタ21aと電圧検出回路20は電圧検出部21を構成している。
図1(a)と図1(b)において電圧測定装置15は1つの電極対に対し各1個設けられている。
まず、図3に示した実施の形態1の電圧測定装置15の構成について説明する。図3の検出側整流回路23に、電極間電圧V2bと電極間電圧V2cが入力される。電極間電圧V2b、電極間電圧V2cは交流電圧である。交流信号は検出側整流回路23を通過し、両極性の信号が片極性の信号、つまり、正極性または負極性だけの信号に変換される。
次に分圧回路22を通過し電圧が降下する。その後段でさらにフィルタコンデンサ28と絶縁アンプ24を通過する。電極対の基準電位と制御系の基準電位が等しい場合、絶縁アンプ24は省略できる。
絶縁アンプ24を通過した信号は、アンプ25で増幅を行い、電圧検出部21に入力する。電圧検出部21には電圧検出回路20と高周波成分を取り除くための低周波フィルタ21aが備えられている。低周波フィルタ21aは信号の細かい振動を平均化するものである。
ここで、検出対象が油面位置などであって、その変化の時定数が電流と電圧の周波数に対して十分に長い場合は、この低周波フィルタ21aの遮断周波数を数Hz程度に低く設定するのが好適である。このように設定すれば、検出時間を1秒程度に長くして平均化処理を行うことで検出精度を向上させることもできる。
図4に示す電圧測定装置は、図3に対し、検出側整流回路23と分圧回路22の順番が逆となっている。そのため、整流回路に直接インバータの動力線に印加されている高電圧が印加されないという利点がある。
具体的な数値の一例をあげると、図3、および図4の検出側整流回路23の両端に100Vの電圧がかかった場合、図3の構成では検出側整流回路23に少なくとも100V以上の耐電圧が必要である。検出側整流回路23にオペアンプなどのアナログ信号処理を用いたり、あるいはデジタル信号処理を用いたりする場合は図4のように分圧回路22の後段に検出側整流回路23を設ける方が望ましい。
図4に示す回路の信号の流れを簡単に説明する。分圧回路22の両端に入力された電極間電圧は分圧回路22によって分圧され、次に、検出側整流回路23を通過し整流される。そのあとは、図3と同じ構造で、フィルタコンデンサ28および絶縁アンプ24を通過した後、アンプ25を通過して、電圧検出部21に入力される。電圧検出部21は電圧検出回路20と低周波フィルタ21aを備えている。
図3、図4の電圧測定装置は検出側整流回路23を備えているため、電極間電圧がそれぞれDC値として比較回路16に出力される。そのため、計測された電極間電圧を比較することが可能である。実施の形態1においては電極対2bと電極対2cの電極間電圧の差異を検出するのに比較回路16を用いたが、減算回路によって一方の電極間電圧から他方の電極間電圧を引き算してもよい。また、一方の信号の符号が逆となる回路を使用して加算回路を用いてもよい。
実施の形態1においては電極対2b、電極対2cの電極間電圧の絶対値を測定し、その後段で、電圧値を比較しているが、以下に示す方法によれば、電圧の絶対値の測定せずに、両者の差異の有無を検知し、油面の位置を検知することができる。
実施の形態1において、鉛直方向において電極対2bと電極対2cの間の位置に油面59があるときが適正範囲であり、それ以外の場合は適正範囲ではない。すなわち油面59が電極対2cより鉛直方向において下方にあるときと電極対2bより鉛直方向において上方にあるときは適正範囲外である。実用上は、油面が適正範囲にあるか適正範囲でないかを検知することが最低限必要である。
油面59が電極対2cより鉛直方向において下方にある場合2対の電極対の間はどちらも気体で満たされている。また、油面59が電極対2bより鉛直方向において上方にある場合、2対の電極間はどちらも冷凍機油で満たされている。この2つの場合、電極対2bと電極対2cの静電容量は変わらず、電極対2bの電極間電圧と電極対2cの電極間電圧を計測すると、ほぼ等しい値が検出される。
一方、油面が適正範囲内の位置である鉛直方向において電極対2bと電極対2cの間の位置にある場合、電極対2cの電極間は冷凍機油で満たされ、電極対2bの電極間は気体で満たされている。この場合、電極対2bと電極対2cの静電容量は異なり、電極対2bと電極対2cの電極間電圧を比較すると有意な差が検出される。
ここで有意な差が検出されたかどうかは、例えば、しきい値をあらかじめ設けておき、検出された差の大きさがそのしきい値をこえるかどうかによって判定することができる。また、判定結果を出力することが好適である。
以上から、電極対2b、電極対2cの電極間電圧V2bと電極間電圧V2cを比較し、両者が異なれば適正範囲内に油面がある、両者が等しければ適正範囲外にあると判断することができる。このように、電極対2bと、電極対2cの電極間電圧を比較するだけで、電極間電圧の絶対値を知る必要なく、油面59、すなわち冷凍機油56の量が適正範囲であるかどうかを判断することができる。
実施の形態1に説明した、電極間の電圧値を測定せず、電極間の電圧値の差異を検出する方法は、電圧測定装置15の数を減じる効果がある。また、リレースイッチによって測定する電極対を切り替える装置を省くことができる効果がある。ここで、リレースイッチは外部からの信号、指令、入力等によって接点間の接続と非接続を切り替える機能を有するものを意味する。リレースイッチは、リレー、リレイスイッチ、リレイ等と呼ばれることもあるが以下ではリレースイッチを使用する。
圧縮機を含む冷凍機、冷却装置、冷房装置の運用における冷凍機油の管理方法の一例について説明する。冷凍機油の量が適切な範囲内にあるかどうかを一定時間、好ましくは数秒から数分の間の時間間隔でモニタし、冷凍機油の量が適正範囲外であることを検出した際に、装置の運転を停止する。
あるいは、運転停止を行うのに加えて油面が電極対2bの位置から電極対2cの位置の少し下に上がるように、冷却装置を制御して冷凍機油の油面の位置が適正範囲内となるように油回収運転を行う等の動作を行ってもよい。
本発明の液量検出装置によれば、電極対にインバータの動力線を接続したため、周囲に発生する圧縮機駆動電源による雑音よりも、信号を発生させるインバータの動力線の方が電圧が高く、SN比の高い精度のよい油面検出を行うことができる。そのため、冷凍機油の量の適正範囲を下回ったことを大きな時間遅れなく知ることができ、圧縮機を遅滞なく停止し装置を保全することができる。又、冷凍機油の回復運転時間を調整し、油面を適正な範囲に保つことができるという効果がある。
また、冷凍機油の回復運転中、もしくは回復運転直後に本発明の検出装置を使用すれば、油面59が冷凍機油の回復運転前に適正範囲外、回復運転後に適正範囲内になったことを高い信頼性をもって確認することができる。
その結果、誤って必要な時間より長く冷凍機油の回復運転をしてしまう、必要な時間の冷凍機油の回復運転が行われなかった状態で圧縮機の運転を行う等の事態を防ぐことができ、より確実に圧縮機の運用を行うことが可能であるという効果がある。
以上、説明した構成によれば、電極対に、高電圧のインバータの動力線を接続して、電極対の両端の電極の電位差を計測するため、雑音に比べて大きな信号を検出することができる。そのため、圧縮機駆動電流等のノイズ源に対し、SN比の高い信号を検出可能で、より精度の高い計測が可能であるという効果がある。
また、本実施の形態に示したように、信号を発生するための電源として負荷装置を駆動するインバータを使用している。そのため、信号発生のための電源を別途用意しなくても装置を駆動するインバータから配線することによって簡易で低コストに、高精度かつ信頼性の高い液量検出装置を構成することができるという効果がある。
実施の形態2.
図5(a)と図5(b)は本発明の実施の形態2の構成図である。圧縮機50、インバータ36の構成および動作については実施の形態1と同様であるため詳しい説明は省略する。実施の形態2においてもコンバータ回路、インバータ回路、圧縮機、液量検出装置等が冷却装置500を構成している。冷却装置500は用途に応じて冷媒回路(図示せず)、熱交換器(図示せず)などを備えている。
図5(a)と図5(b)においてインバータ36と圧縮機50は三相の動力線LPv、LPu、LPwによって接続されており、圧縮機50はシェル筐体51、シェル内壁51aを備えている。また、固定子57と回転子58で構成されるモータ54および、モータ54によって駆動される容積圧縮機55を備えている。ここでインバータはインバータ回路とも呼ぶ。
また、冷媒の吸入口52、冷媒の吐出口53を有している。圧縮機内部の油面59より下に冷凍機油56は貯留されている。実施の形態2ではシェル筐体51が液体収納容器に相当する。
インバータ36は実施の形態1と同様に三相交流電源(図示せず)から電力の供給を受け、圧縮機50内部のモータ54を駆動し、モータ54の駆動によって容積圧縮機55が動作している。液量検出装置1は分圧回路22a、絶縁アンプ24a、加算回路29、検出側整流回路23a、低周波フィルタ21a、絶縁アンプ24b、制御回路61を備えている。
分圧回路22a、絶縁アンプ24a、加算回路29、検出側整流回路23a、低周波フィルタ21a、絶縁アンプ24b、制御回路61は検出回路部6aを構成している。直列回路7は、電極対2b、電極対2cを備えている。電極対2bは電極Hと電極Iを備えている。電極対2cは電極Jと電極Kを備えている。
符号をわかりやすく示すため、直列回路7を図5(b)に図示した。圧縮機内部に配置された電極対2bは電極Hと電極Iから構成され、電極対2cは電極Jと電極Kから構成されている。
電極対2bと電極対2cは電極Iと電極Jを導体401aで接続することによって直列接続されており、2つの電極対が直列接続されたものが直列回路を構成している。直列回路の両端は電極Hと電極Kである。この場合において電極対2bと電極対2cは圧縮機またはシェル筐体の内部の鉛直方向において異なる位置にそれぞれが配置されている。
直列接続された複数の電極対である直列回路7の一端となる電極Hにインバータ36の動力線のうちの1相であるW相が接続され、直列回路7の他端となる電極Kは接地電位点に接続されている。電極HにはU相、V相を接続してもよい。電極Iと電極Jの接続部から圧縮機のシェル筐体51の外に信号線が引き出され測定系の基準電位となっている。
言い換えると電極対2bと電極対2cの間の接続線の電位が検出回路部の基準電位となっている。この場合、電極Iと電極Jは導体401aで接続されている。電極Iと電極Jを接続する導体401aの電位が測定系の基準電位となっている。
電極Iは電極対2bを構成している。電極Jは電極対2cを構成している。すなわち、電極Iと電極Jは異なる電極対を構成している。互いに異なる電極対を構成する二つの電極と電極との間が導体401aで接続されることにより電極対2bと電極対2cは直列接続されている。
この測定系の基準電位は圧縮機50のシェル筐体51が接続されている接地電位点とは必ずしも一致しない。3つ以上電極対を含む場合でも異なる電極対を構成する二つの電極と電極の間を接続する導体のうちのいずれか一つの電位を検出回路部の基準電位とすれば同様の効果を奏する。
実施の形態2では、電極対2bと電極対2cの間を接続する接続線である導体401aの電位を測定系の基準電位としている。このように電極と電極が接続線で接続されていない場合の一例を挙げる。
例えば、導体でできたシェル筐体を電極として使用する場合などに、シェル筐体の一部に対向する第一の電極を設け第一の電極対とし、シェル筐体の別の部分に対向する第二の電極を設け、第二の電極対とすることができる。
この場合、第一の電極と対向している部分がシェル筐体の中の第一の電極対の部分であり、第二の電極対と対向している部分がシェル筐体の中の第二の電極対の部分である。そのため、シェル筐体はシェル筐体自体によって第一の電極対と第二の電極対を接続している。
この場合、シェル筐体の第一の電極対の部分とシェル筐体の第二の電極対の部分の間をつないでいる箇所が電極対と電極対の間を接続する導体である。2つの電極対は鉛直方向に離間していない場合があり得るが鉛直方向において異なる位置に設置されている。
実施の形態2では、電極対2bと電極対2cおよびその間の導体401aが直列回路7を構成しており、その後段に接続されている部分が検出回路部6aである。具体的には分圧回路22a、絶縁アンプ24a、加算回路29、検出側整流回路23a、低周波フィルタ21a、絶縁アンプ24b、制御回路61で検出回路部6aが構成されている。
実施の形態2では直列回路7に含まれる電極対2bおよび電極対2cの電極間電圧の差異を検出回路部で検出する。また、電極間電圧を比較する。電極Hおよび電極K、電極Iと電極Jの接続部は、それぞれ、分圧回路22aに接続されている。分圧回路22aは、電極対2bと電極対2cの両端電圧をそれぞれ、4つの抵抗R4とR3、R2とR1で分圧する。式(5)、式(6)の値が分圧回路から出力される。
分圧後の2つの信号は、2つの絶縁アンプ24aによってそれぞれ増幅される。そのあと加算回路29の回路構成によって、電極間電圧V2bを分圧した電圧値と電極間電圧V2cを分圧し正負の符号を逆にした電圧値が加算される。さらに検出側整流回路23aおよび低周波フィルタ21aを通過した後、絶縁アンプ24bを通過し制御回路61に入力される。加算回路の出力は、
電極対が全く同様に構成され、電極対2bと電極対2cの静電容量が同じであれば2つの増幅器へ入力される電圧波形は、正負が反転した同じ振幅の交流波形となる。従って、電圧波形を足し合わせれば、電極対2bと電極対2cの静電容量が同じであればゼロとなり、異なっていればゼロでない有意な値が出力される。このようにして電極間電圧を比較する。または電極間電圧の差異を検出することができる。
具体的な実施方法としては、例えば、しきい値をあらかじめ設けておき、そのしきい値を越えたかどうかによって検出値が有意な値であるか否かを判断することができる。
分圧回路は素子にかかる電圧を降下させ、耐電圧の低い素子を保護する効果がある。
制御回路61では、有意な値が検出された場合に、電極対2bと電極対2cの静電容量に差が生じている、すなわち、油面が鉛直方向において電極対2bと電極対2cの間の位置にあり適正範囲にあるという判断を行う。有意な差がなかった場合、制御回路は油面が鉛直方向において電極対2bと電極対2cの間の位置にないという判断をする。
すなわち、適正範囲外に油面があるという判断をし、装置の保護のために圧縮機を停止させる。あるいは、冷凍機油56の量を回復させるための油面の回復運転を行うなどの制御を行う。
実施の形態2の構成の効果をより詳しく説明する。図5(a)と図5(b)に示した実施の形態においては、検出側整流回路23a(半波整流)、および低周波フィルタ21aを通過した後、制御回路61が信号を受けとるため、制御回路61は直流に近い信号を受け取ることができ、判断と信号の交換が容易である。
実施の形態2のように電圧検出回路を構成すれば、電圧の絶対値、すなわち静電容量の値を計測する必要なく、2つの電極対の静電容量の間に差異があるかどうかを検出することができる。また、正負が逆転したほぼ同量の電圧が検出されるため、検出側整流回路23aを用いなくともSN比の高い油面の検出を行うことが可能である。
次に、実施の形態2の構成において、電極対2bと電極対2cの間の設置誤差と形状誤差が測定におよぼす影響を緩和する方法について説明する。2つの電極対2b、電極対2cについて、その形状、具体的には、電極の面積および電極対のギャップ長は同じであることが望ましい。これは、電極間の静電容量の値が同じか異なるかによって、油面の位置を判定するためである。
実際には、製作上の設置誤差または形状誤差等または、ばらつきなどで微妙に2つの電極対の静電容量の値が異なるものになる可能性がある。具体的には、対向する電極を互いにずらして配置した場合、電極間の距離または、電極の面積が電極対2bと電極対2cで異なる場合等が例として挙げられる。
また、より精度の高い検知が必要とされる場合、求められる接地誤差または形状誤差の許容範囲は狭くなり、公差を小さくするなど、精度を向上して電極対間の差異を減じた場合、コスト、製造時間の増大、歩留りの低下の原因となる。
実施の形態2の構成においては検出器の較正をすることで設置誤差または形状誤差の影響を低減、緩和することが可能である。たとえば図5(a)と図5(b)の場合では、加算回路29のR5、R6の値を可変抵抗とするなど、R5、R6を調整する手段を設け、抵抗値を調整することによって目的を達成できる。また、R2とR1の比およびR3とR4の比を調整しても同様の効果が得られる。この場合、可変抵抗となっているR5、R6が較正部である。または、R1、R2、R3、R4、R1とR2の比を調整する手段およびR3とR4の比を調整する手段が較正部である。
具体的に一例を挙げる。たとえば、電極対2b、電極対2cの形状と材質等が同じで、どちらも電極対の間が気体で満たされており、そのときの静電容量が同じである場合を仮定する。この場合、例えば、R2/(R1+R2)=R3/(R3+R4)かつR7/R5=R7/R6とするなど(7)式が有意な値とならないように、または電極間電圧に有意な差異が検出されないように設定する。
実際の運用にあたっては、装置に電極対を設置する前に、2つの電極対がどちらも気体で満たされている状態、もしくは2つの電極対のどちらもが液体で満たされている状態において、2つの電極対の電極間電圧を比較する。その比較結果を見ながら(7)式が有意な値とならないようにR2/(R1+R2)とR3/(R3+R4)またはR7/R5、R7/R6を調整する。その後、装置の運転を開始するのが好適である。
一般に、検出回路が接続されることによって検出結果が変わってしまうことを避けるためには検出回路の入力インピーダンスを検出対象のインピーダンスに対して十分高くする必要がある。従来の液量検出装置においては、電極対に接続される回路部分のインピーダンスを、電極対の静電容量に対し、高くしなければならないという課題があった。
電極対の静電容量について、一例として典型的な数値を挙げる。電極対を圧縮機内に構成した場合、内部に油が滞りなく流入し、滞りなく流出される程度の隙間(たとえば1mm)を設けて2枚の平板状の電極の面積が10cm2のコンデンサを構成した場合、その静電容量は8pFと9pFの間である。静電容量を10pFから数10pFの値とする。インバータのPWMの周波数は数kHzに設定されることが多い。
電極対のインピーダンスは周波数に反比例するため、10MΩから数十MΩになる。したがって従来の液量検出装置では、分圧回路のインピーダンスは少なくともこれ以上、少なくとも100MΩ以上の値が必要となる。
また、分圧回路または加算回路に設けられた抵抗の調整、すなわち較正部を設けることによって、製作の際の電極のサイズの公差、電極の配置精度の公差を大きくすることが可能である。
以上から、複数の電極対の電極間電圧の差異を検出する液量検出装置において、液量検出装置内部に、2つの電極間電圧の間の較正手段を設けることによって、電極の形状や大きさなどの仕様や配置の精度に対して、求められる精度を緩和することができる。もしくは配置や形状、大きさに対しての要求が少なくなる。という効果がある。
さらに、インバータの動力線を直列回路の一端に接続したため、周囲に発生する例えば、圧縮機駆動電源等による雑音に比べて、信号の出力を大きいものとすることができ、SN比の高い計測を行うことができる。これにより、精度が高く信頼性の高い静電容量の比較、差異の検出を行うことができ、精度が高く信頼性の高い油面の検出を行うことができる。
実施の形態3.
実施の形態3は、直列回路7に電極対を3個備えている。図6(a)と図6(b)に実施の形態3にかかる構成を示す。インバータ36およびインバータ36によって駆動されるモータ54および圧縮機50の動作については実施の形態1と同じであるため説明を省略する。実施の形態3ではシェル筐体51が液体収納容器に相当する。
ここでインバータはインバータ回路とも呼ぶ。実施の形態3においてもコンバータ回路、インバータ回路、圧縮機、液量検出装置等が冷却装置500を構成している。冷却装置500は用途に応じて冷媒回路(図示せず)、熱交換器(図示せず)などを備えている。
図6(a)と図6(b)において三相交流電源31は整流回路33に接続されている。整流回路33と昇圧回路34と平滑コンデンサ35はコンバータ回路32を構成している。コンバータ回路32の両端はインバータ36のN母線LBnとP母線LBpに接続され、インバータ回路からは三相の動力線LPv、LPu、LPwが圧縮機50に接続されている。
圧縮機50はシェル筐体51、シェル内壁51aを備えており、また、固定子57、回転子58からなるモータ54を備えている。モータ54は容積圧縮機55を駆動しており、冷凍機油56が圧縮機に使用されている。冷凍機油は油面59より下の圧縮機内部に貯留されている。圧縮機は冷媒の吸入口52と吐出口53を備えている。
液量検出装置1bは直列回路7と検出回路部6bを備えている。直列回路7は図6(b)に示すように電極Hと電極Iからなる電極対2b、電極Jと電極Kからなる電極対2c、電極Lと電極Mからなる電極対2dで構成されている。検出回路部6bはリレースイッチ4a、電圧測定装置15、リレースイッチ制御部63、判断部64、記憶部65を備えている。
符号を明示するため図6(b)に直列回路を別途図示した。実施の形態3では電極対2b、電極対2c、電極対2dの3つとその間を結ぶ導体401bと導体401cが直列回路7を構成している。電極対2bを構成する電極Iと電極対2cを構成する電極Jの間は導体401bとなる接続線で接続されている。電極対2cを構成する電極Kと電極対2dを構成する電極Lの間は導体401cとなる接続線で接続されている。
すなわち、異なる電極対を構成する2つの電極と電極の間がそれぞれ導体で接続されている。この接続によって電極対2b、電極対2cおよび電極対2dの3つは直列に接続されている。
また、直列回路7に接続された後段の部分が検出回路部である。具体的にはリレースイッチ4a、リレースイッチ制御部63、電圧測定装置15、判断部64、記憶部65が検出回路部6bを構成している。液量検出装置は直列回路7と検出回路部6b、接地電位点との接続線などで構成されている。
電極対2b、電極対2c、および電極対2dは、平行平板の形状を有しており、電極の面が液面と平行になるように、そして、圧縮機内部のそれぞれ鉛直方向において異なる位置に配置されている。電極対2bは冷凍機油56の適正範囲の上限に配置されている。電極対2cは油面59の適正範囲の下限より少し上に配置されている。
また、電極対2dは冷凍機油56の油面59の適正範囲の下限に配置されている。この場合において電極対2bと電極対2cと電極対2dは圧縮機の内部またはシェル筐体の内部の鉛直方向において異なる位置にそれぞれが配置されている。ここで、必ずしも鉛直方向において電気的な接続の順に電極対が並んでいる必要はない。例えば、電極対2b、電極対2d、電極対2cの順に鉛直方向に上方から下方に配置されたとしても、順番を変えて電極間電圧の比較を行えば本発明の効果を奏する。
各電極対から引き出された配線は、電極対2b、電極対2c、電極対2dの順に直列に接続されている。電極Iと電極J、電極Kと電極Lがシェル筐体51の外部で接続されている。3個の電極対の直列接続の一端となる電極Hには動力線のうちの一相であるV相が接続されている。
また、直列接続の他端である電極Mは圧縮機50のシェル筐体51に接続されており、シェル筐体51は接地電位点に接続されている。電極Hにはインバータ36の動力線のU相またはW相を接続してもよい。電極対2b、電極対2c、電極対2dの電極間電圧をそれぞれ、V2b、V2c、V2dとする。
さらに、各電極対から引き出された配線はリレースイッチ4aに接続されている。リレースイッチ4aはリレースイッチ制御部63からの信号によって計測する電極対を切り替えることができ、電極対2b、2c、2dのうちのいずれかの電極対を選択して電圧測定装置15に接続する。図6(a)と図6(b)においては、電極対2bの電極Hと電極Iが電圧測定装置15に接続された状態が図示されている。判断部64はリレースイッチ4aの切り替えと計測結果の記憶部65への記憶、計測結果の比較等を行い、電極間電圧の比較と電極間電圧の間の差異の検出を行う。
以下に実施の形態3において、静電容量、すなわち電極対の電極間電圧の比較によって、油面位置を検知する手順について説明する。図7は手順を示したフローチャートである。フローチャートにおいて、ステップS0は電極間電圧V2bと電極間電圧V2cを比較するステップである。
ステップS0から電極間電圧V2bと電極間電圧V2cの間に有意差がある場合、ステップS1へと進み、有意差がない場合、ステップS2へと進む。ステップS1は液面が2bと2cの間にあると判断された場合、時間計測を開始し、計測時間間隔経過後、ステップS0の計測を再度開始するステップである。
また、ステップS2は電極間電圧V2cと電極間電圧V2dを比較するステップであり有意差がある場合ステップS3へと進み有意差がない場合ステップS4へと進む。ステップS3は液面が2cと2dの間にあると判断されるステップであり、ステップS5へと進。ステップS4は液面が2dより下にあると判断されるステップであり、ステップS6へと進む。
ステップS5は冷凍機油量を回復する運転を行うステップであり、ステップS5の後は、時間計測を開始し、計測時間間隔経過後に再び、ステップS0に戻って計測を開始する。ステップS6は装置の停止を行う。そのあと、点検と冷凍機油量を回復する運転を行うステップである。ステップS6において、装置が正常に運転できる状態となった後は、時間計測を開始し、計測時間間隔経過後、ステップS0に戻って再び計測を開始する。
以下に装置の動作について説明する。まず、判断部64からリレースイッチ制御部63に信号が送られ、リレースイッチ4aを操作して電圧測定装置15を電極対2bに接続する。電極対2bの電極間電圧V2bが電圧測定装置15によって検出され、一旦、記憶部65に記憶される。検出が終了するとリレースイッチ制御部63はリレースイッチ4aを操作して電極対2bとの接続を切り離す。
続いて、判断部64からの信号を受けリレースイッチ制御部63は電圧測定装置15を電極対2cに接続する。電圧測定装置15によって検出された電極間電圧V2cは、判断部64によって、記憶部65に格納された電極間電圧V2bと比較される。ここまでがステップS0である。電極間電圧V2bと電極間電圧V2cの間に有意な差がある場合、実施の形態1と同様に、油面が電極対2bと電極対2cの間にあると判断される。
この場合、油面は適正範囲内にあると判断されステップS1に進み油面の計測はここで終了する。有意な差があるかどうかは、例えばしきい値をあらかじめ設けておき、電極間電圧の差異がしきい値を越える場合に有意な差があると判断することができる。
リレースイッチ制御部63はリレースイッチ4aを操作して電極対2cとの接続を切り離す。この場合、油面は正常範囲にあるので、油面を回復させる運転等を行わない。そのあと時間計測を開始し、計測時間間隔経過後ステップS0に戻りステップS0の計測を開始する。
電極間電圧V2bと電極間電圧V2cの間に有意な差がないと判断された場合、ステップS2に進む。まず電極間電圧V2cが記憶部65に記憶される。続いて判断部64からの信号を受け、リレースイッチ制御部63によってリレースイッチ4aの切り替えが行われ電極対2dの電極間電圧を計測する。
判断部64は電極対2dの電極間電圧V2dと、電極間電圧V2cとの比較を行う。ここまでがステップS2である。電極間電圧V2cと電極間電圧V2dの間に有意な差がある場合、ステップS3に進み、油面は電極対2cと電極対2dの間にあると判断され油面計測は終了する。この場合、ステップS5へ進み冷却装置の制御を行う等により油面を回復させる運転が行われる。
油面は電極対2bの少し下まで回復するのが好適である。油面が適正量回復された後、時間計測が開始される。その後計測時間間隔経過後ステップS0に戻りステップS0の計測を開始する。
ステップS2において、電極間電圧V2cと電極間電圧V2dの間に有意な差がない場合、油面は電極対2dより下にあると判断されステップS4に進み、さらにステップS6に進む。
図7に示したパターンのいくつかにおいて、時間の計測を開始する場合、一定の時間が経過した後、ステップS0において電極対2bと電極対2cの電極間電圧を比較するステップに戻る。ここで、一定の時間とは図7の計測時間間隔のことであり、その間に大幅に冷凍機油の量や状態が変化することのないと考えられる1秒から数分が好適である。
ステップS4において油面が電極対2dより下にある場合、油面59は適正範囲ではない状態で運転されたことが確認された。この場合の対応の一例として、ステップS6に示すように冷凍機油56の油量を回復させる運転を行う前に装置を停止し点検を行う。
その後、冷凍機油56の油量を回復させる運転を行い、運転を再開しても良い。ステップS6の油量を回復させる運転を行った後、時間計測を開始し計測時間間隔経過後、ステップS0に戻り、ステップS0の計測を開始する。
また、必要に応じて冷凍機油が圧縮機内部に十分供給されるまで油面を回復させる運転を行う等の整備運転を行っても良い。この場合、実施の形態3に説明した油面の検出を行って、冷凍機油56の回復量を管理し、油面が電極対2bを越えて適正範囲外とならないようにしてもよい。
具体的な管理の一例としては、S3に示すように電極対2cと電極対2dの間にあると判断された場合には、S5のステップにおいて油面を回復する運転を行う。S5のステップの冷凍機油の回復量は電極対2bを越えない範囲である。
また、S4のように油面が電極対2dより下にあると判断された場合には、S6のステップにおいてステップS5より多い量、冷凍機油を回復させる運転を行う。この場合も、冷凍機油の回復量は電極対2bを越えない範囲である。このように、検出された油面の位置に応じて冷凍機油の量を回復させる運転の時間を変える、等の管理を行うのが好適である。
実施の形態3においては、電極対を適正範囲の上限付近に1つ、下限付近に一つ、下限付近より少し上に1つの計3個配置した場合について示した。別の配置例を挙げると、上限より少し下に1つ設け、冷凍機油の量を回復させる運転を行う際に計測を行いつつ、冷凍機油の量が上限と上限より少し下の間に至るまで油量の回復運転を行ってもよい。
実施の形態3のように、計測したデータを一旦記憶させておき、次の計測値と比較する方法は電極対が多数になった場合に有効である。実施の形態3においては電極対の数を3とした場合について記載したが、電極対の数を4以上としてより細かく油面の計測を行ってもよい。
実施の形態3を示す図6(a)には分圧回路がないが、実施の形態2のように、計測した電極間電圧が分圧回路を通過し、その後、リレースイッチに接続しても良い。このように分圧回路を設ければ、電極間電圧が分圧回路によって降圧された後に電圧測定装置15に入力するため、電圧測定装置の耐電圧を下げることができる。また、例えば、図5(a)の分圧回路22aのような構成を設け、分圧回路の抵抗値を可変とすれば、電極対の間の較正を行うことができるという効果がある。
3つの電極対を直列に接続し、インバータの動力線をその直列接続したものの一端に接続し、他端を接地電位点に接続した。そのため、電極対の電極間電圧を、周囲に存在する雑音、例えば、圧縮機の駆動電源、交流電源等に起因する雑音に比べて大きいものとすることができる。これにより、SN比が高く、高精度、高信頼の電極間電圧の計測と液面位置の検出を行うことができる。
実施の形態4.
実施の形態4は、直列接続した複数の電極対の一端にインバータの動力線のうちの1相を接続し、他端にインバータの動力線の別の1相を接続している。ここでインバータはインバータ回路とも呼ぶ。
図8(a)と図8(b)は実施の形態4の構成を示す図である。インバータの構成と圧縮機の動作については図1と同じなので説明は省略する。図8(a)と図8(b)において、三相交流電源31は整流回路33に接続されている。
整流回路33と昇圧回路34と平滑コンデンサ35はコンバータ回路32を構成している。コンバータ回路32の両端はインバータ36のN母線LBnとP母線LBpに接続され、インバータ36からは三相の動力線LPv、LPu、LPwが圧縮機50に接続されている。
圧縮機50はシェル筐体51、シェル内壁51aを備えており、また、固定子57、回転子58からなるモータ54を備えている。モータ54は容積圧縮機55を駆動しており、冷凍機油56が圧縮機に使用されている。冷凍機油は油面59より下の圧縮機内部に貯留されており、油面59には適正範囲200がある。圧縮機は冷媒の吸入口52と吐出口53を備えている。実施の形態4ではシェル筐体51が液体収納容器に相当する。
実施の形態4においてもコンバータ回路、インバータ回路、圧縮機、液量検出装置等が冷却装置500を構成している。冷却装置500は用途に応じて冷媒回路(図示せず)、熱交換器(図示せず)などを備えている。
液量検出装置1は直列回路7と検出回路部6を備えている。検出回路部6は電圧測定装置15と比較回路16で構成されている。比較回路16は電極間電圧を比較した結果を出力する。具体的には電極間電圧V2bと電極間電圧V2cの差異または両者の比等を出力する。直列回路7は電極対2bと電極対2c、導体401dで構成されている。電極対2bは電極Hと電極Iで構成されている。
電極対2cは電極Jと電極Kで構成されている。この場合において電極対2bと電極対2cは圧縮機の内部またはシェル筐体の内部の鉛直方向においてそれぞれ異なる位置となるように配置されている。
また、電極対2bを構成する電極Iと電極対2cを構成する電極Jは導体401dである接続線で接続されている。すなわち異なる電極対を構成する二つの電極と電極との間が導体で接続されることにより直列接続されている。
符号を明示するため、図8(b)に直列回路を別途図示した。実施の形態4においては電極対2bと電極対2cを直列接続したものの一端となる電極Hに、インバータの3相の動力線のうちの1相であるU相を接続した。また、電極対を直列接続したものの他端となる電極Kに、インバータの動力線のうちU相と異なる1相となるW相を接続した。電極Kは接地電位点に接続されておらず、シェル筐体51は接地電位点に接続されている。
電極対2bと電極対2cの直列接続されたものの両端には、インバータの動力線のうちの一相であるU相とインバータの動力線の一相であるW相が接続されている。そのため、周囲に発生する圧縮機の駆動電源による電気雑音に比べて、設置されたそれぞれの電極対の電極間電圧を比較し電極間電圧の差異を検出する際、信号となる電極間電圧を大きいものとすることができる。これにより、SN比の高い液量の検出を行うことができる。また、液面の検出を精度の高いものとすることができる。
実施の形態1の構成では、インバータの動力線の出力電圧にインバータの中心電位の変動成分が重畳される。インバータの中心電位とは、インバータのN母線あるいはP母線と接地電位点の間の電位差の変動であり交流電源の周波数で変動している場合が多い。
したがって、実施の形態1の場合、動力線の電位はインバータのスイッチングによる変動に、交流電源の周波数の中心電位の変動成分が重畳したものとなり、この変動が測定に影響を与える可能性がある。
これに対して図8(a)と図8(b)のようにインバータ動力線の線間電位を直列接続された複数の電極対である直列回路7の両端に印加すると、その電圧はインバータの中心電位の変動に影響されることがないため、高精度な計測が可能になるという効果がある。本実施の形態においては電極対が2個の場合について示したが、電極対を3以上としても同様に中心電位の影響を受けにくい精度の高い計測が行うことができる。
実施の形態5.
実施の形態5では直列接続された複数の電極対である直列回路の1方の端にインバータの動力線を接続し、他端にインバータの母線を接続している。図9(a)と図9(b)は実施の形態5の構成を示す図である。インバータ36の動作と圧縮機50の動作については、実施の形態1と同様であるため省略する。実施の形態5ではシェル筐体51が液体収納容器に相当する。
図9(a)と図9(b)において、三相交流電源31は整流回路33に接続されている。整流回路33と昇圧回路34と平滑コンデンサ35はコンバータ回路32を構成している。コンバータ回路32の両端はインバータ36のN母線LBnとP母線LBpに接続され、インバータ36からは三相の動力線LPv、LPu、LPwが圧縮機50に接続されている。ここでインバータはインバータ回路とも呼ぶ。
実施の形態5においてもコンバータ回路、インバータ回路、圧縮機、液量検出装置等が冷却装置500を構成している。冷却装置500は用途に応じて冷媒回路(図示せず)、熱交換器(図示せず)などを備えている。
圧縮機50はシェル筐体51、シェル内壁51aを備えており、また、固定子57、回転子58からなるモータ54を備えている。モータ54は容積圧縮機55を駆動しており、冷凍機油56が圧縮機に使用されている。冷凍機油は圧縮機内部の油面59より下に貯留されており、油面59には適正範囲200がある。圧縮機は冷媒の吸入口52と吐出口53を備えている。
液量検出装置1は直列回路7と検出回路部6を備えている。検出回路部6は電圧測定装置15と比較回路16で構成されている。比較回路16は電極間電圧を比較した結果を出力する。具体的には電極間電圧V2bと電極間電圧V2cの差異または両者の比等を出力する。直列回路7は電極対2bと電極対2cで構成されている。
電極対2bは電極Hと電極Iで構成されている。電極対2cは電極Jと電極Kで構成されている。この場合において電極対2bと電極対2cはシェル筐体または圧縮機内部に配置されておりそれぞれの鉛直方向において位置が異なる。また、互いに離間して配置されている。
符号を明示するため図9(b)に直列回路7を図示した。圧縮機内部に配置された電極対2bと電極対2cは直列に接続されている。電極対2bと電極対2cおよびその間の接続線である導体401eが直列回路7を構成している。電極Iは電極対2bを構成しており電極Jは電極対2cを構成しており、電極Iと電極Jは異なる電極対を構成している。
すなわち、異なる電極対を構成する二つの電極の間を導体401eが接続することにより直列接続がされ、直列接続された複数の電極対である直列回路7を構成している。検出回路部6の動作については、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
直列回路7の1端である電極Hはインバータの動力線のうちの1相であるU相に接続されている。また、直列回路7の他端となる電極KはインバータのN母線に接続されている。電極Hに接続する動力線はV相でもよく、また、W相でもよい。電極Kに接続する母線はP母線LBpでもよい。
実施の形態5においては、電極対2b、電極対2cの直列接続したものの両端のそれぞれにインバータの動力線のうちの1相であるU相とインバータのN母線を接続している。周囲に発生することが予想される圧縮機の駆動による電気的雑音に比べて、信号出力となる電極間電圧を大きいものとすることができるため、設置された電極対の電極間電圧を比較し電極間電圧の差異を検出する際雑音の影響を低減できる。
なおかつ、PWM制御を行った場合は、周波数が比較的高いため、検出回路のインピーダンスを特別に高いものとする必要がないという利点がある。以上から、高精度かつ信頼性の高い電極間電圧の計測を行うことができ、精度の高い油面検出を行うことができる。
実施の形態5においては動力線のうち一相が複数の電極対の一端に接続されている。また、インバータのN母線が複数の電極対の他端に接続されている。そのため、直列接続された電極対2bと電極対2cの両端に電圧を印加する交流電源は、N母線に対するインバータ動力線(実施の形態5の場合U相)の電位であり、三相のインバータのU相N側の素子の両端電圧(コレクターエミッタ電圧)となる。
インバータのU相N側の素子の両端電圧は、インバータの中心電位の変動の影響を受けないためSN比を高めることができる。そのため、実施の形態4と同様に信頼性が高く、高精度な検出が可能であるという効果がある。
また、インバータの制御系の電位がN母線電位である場合、制御系と電極対の基準電位が変動しないため、検出回路に絶縁アンプが不要になり、回路構成が簡略化できるという効果がある。
実施の形態6.
実施の形態6においては、圧縮機に冷媒を供給するアキュムレータに直列回路が設けられている。図10(a)と図10(b)は実施の形態6の構成を示した図である。実施の形態6ではアキュムレータ70が液体収納容器に相当する。
実施の形態6においてもコンバータ回路、インバータ回路、圧縮機、液量検出装置等が冷却装置500を構成している。冷却装置500は用途に応じて冷媒回路(図示せず)、熱交換器(図示せず)などを備えている。
図10(a)と図10(b)においてインバータ36と圧縮機50は三相の動力線LPv、LPu、LPwによって接続されており、圧縮機50はシェル筐体51、シェル内壁51aを備えている。また、固定子57と回転子58で構成されるモータ54および、モータ54によって駆動される容積圧縮機55を備えている。また、冷媒の吸入口52、冷媒の吐出口53を有している。圧縮機内部に冷凍機油56は貯留されている。ここでインバータはインバータ回路とも呼ぶ。
アキュムレータ70は冷媒71を、アキュムレータ70の内部の冷媒液面72より下に貯留しており、ガラス端子T2を備えている。また、アキュムレータ70の内部には液量検出装置1aの直列回路7が備えられており、直列回路7は図10(b)に示すように電極対2bと電極対2cを備えている。電極対2bは電極Hと電極Iを備えている。電極対2cは電極Jと電極Kを備えている。
電極Iと電極Jは導体401fで接続されている。すなわち、電極対2bを構成する電極Iと電極対2cを構成する電極Jが導体401fで接続されている。液量検出装置1aは検出回路部6aを備えており、検出回路部6aは分圧回路22a、絶縁アンプ24a、加算回路29、電圧検出回路20cを備えている。
図10(a)において圧縮機50はインバータ36によって駆動されるモータ54によって動作している。圧縮機50およびインバータ36の動作については実施の形態1と同様であるため説明を省略する。圧縮機に冷媒を供給する吸入口52には配管を介してアキュムレータ70が接続されている。
アキュムレータ70の内部には、気体状態の冷媒と液体状態の冷媒の両方が蓄えられている。このうち、気体状態の冷媒が圧縮機に供給される。冷媒の中に少量の冷凍機油が混在している場合でも、冷媒液面72の鉛直方向において上方にある電極対と冷媒液面72より鉛直方向において下方にある電極対の電極間電圧を比較し、両者の差異を検出することができる。
直列回路7の構成について説明する。直列接続された2対の電極対2bと電極対2cがアキュムレータの内部の異なる高さに備えられている。すなわち、電極対2bと電極対2cはアキュムレータの内部に配置されており、かつ鉛直方向において異なる位置に設置されている。
電極対2bと電極対2cを直列接続したものが直列回路7である。電極対2bの位置が冷媒液面の上限より少し下であり、電極対2cの位置が冷媒液面の下限より少し上となっている。電極対の形状は平行平板で平板の部分が液面と平行に配置されている。
圧縮機50およびアキュムレータ70の筐体は接地電位点に接続されている。インバータの動力線の一つであるU相の動力線が直列接続された電極対の一端となる電極Hに接続されている。直列接続された電極対の他端となる電極Kはアキュムレータ70の筐体に接続されることによって接地電位点に接続されている。
実施の形態2の油面の位置を検出した場合と同様の方法で冷媒液面72を検出することができる。
図10(a)と図10(b)の液量検出装置1aの検出回路部6aは分圧回路22a、絶縁アンプ24a、加算回路29、電圧検出回路20cで構成されている。液量検出装置1aは、直列回路7と検出回路部6aと、接地電位点との接続線等で構成されている。図10(a)と図10(b)の検出回路部は、図5(a)と図5(b)の回路構成と同じように構成されており、含まれる構成要素、動作は同様である。
実施の形態2の回路構成と同様に電極対2bと電極対2cの電極間電圧の分圧や、一方の符号を逆転して加算することによって差異の有無の検出を行い、冷媒液面72が適正範囲にあるかどうかの判定を行う。
電極間電圧V2bと電極間電圧V2cは分圧回路22aによって、検出に適した電圧に降下され、絶縁アンプ24aを経て、加算回路29に入力される。加算された値は電圧検出回路20cによって差異の有無が判断され、冷媒の液面が適正範囲にあるかどうかの判断がなされる。
本発明の構成は実施の形態6において後述するように、インバータによって駆動される負荷装置である圧縮機に限らず、冷凍機、冷却装置に使用されるアキュムレータ、リザーバタンク等の液体の状態の検出に使用することができる。この場合液体収納容器はアキュムレータやリザーバタンク等でありインバータによって駆動される負荷装置は圧縮機である。
また、アキュムレータ、リザーバタンクは、圧縮機の近くに設けられることが多く、圧縮機の駆動によって発生する電気的雑音が液量検出におけるノイズとなる可能性が高い。また、共通の交流電源から電気の供給を受ける場合が多いため、共通の交流電源の交流周波数よりインバータのPWM制御のスイッチング周波数の方が高くなる場合が多い。また、圧縮機を駆動するインバータから配線を引くことも容易である場合が多い。
すなわち、インバータの動力線を接続して行う液面位置、液体状態の計測は、インバータにより駆動される負荷装置が搭載された設備に限られるものではない。例えば、インバータで駆動される負荷装置が搭載された設備に液体を供給するためにその液体を蓄積している液体収納容器にも適用できる。
本実施の形態の場合、液体収納容器がインバータの近くにあるため、インバータによる負荷装置の駆動によって電気雑音が発生する場合が多い。このような場合、インバータの動力線の電圧を電極対の電極間に印加しているため、雑音に比べて電圧値の大きな信号を検出することが可能である。
また、PWM制御によるインバータを使用した場合には高周波数の信号であるため、電極対のインピーダンスを低くすることができる。その結果、誤差が少なく信頼性の高い電極間電圧の測定や電極間電圧の比較、差異の検出が行えるという利点がある。
実施の形態7.
実施の形態7は単相のインバータを使用したものである。さらに、本発明は、フルブリッジのインバータだけでなく、ハーフブリッジインバータなどの他の形のインバータにも適用できる。
三相交流電源31とフルブリッジインバータ37の間の回路構成、液量検出装置1の構成については、実施の形態1と同様の構成であり詳しい説明を省略する。
図11(a)と図11(b)において、三相交流電源31は整流回路33に接続されている。整流回路33、昇圧回路34、平滑コンデンサ35はコンバータ回路32を構成している。コンバータ回路32の両端はフルブリッジインバータ37のN母線LBnとP母線LBpに接続され、フルブリッジインバータ37の2相の動力線LPuとLPvが負荷154に接続されている。ここでインバータはインバータ回路とも呼ぶ。
負荷装置150は負荷154、液体収納容器151を備えており、液体収納容器151の内部の液面155より下部に液体158が貯留されている。液体収納容器151にはガラス端子T2が備えられており、さらに、液量検出装置1を構成する直列回路7が内部に備えられている。
直列回路7は図11(b)のように電極対2bと電極対2cを備えている。電極対2bは電極Hと電極Iを有している。電極対2cは電極Jと電極Kを有している。電極対2bを構成する電極Iと電極対2cを構成する電極Jは導体401gで接続されて電極対2bと電極対2cが直列接続され、複数の電極対が直列接続されている。
液量検出装置1を構成する検出回路部6は電圧測定装置15と比較回路16で構成されている。比較回路16は電極対2bの電極間電圧V2bと電極対2cの電極間電圧V2cを比較して比較結果を出力する。具体的には電極間電圧V2bと電極間電圧V2cの比または差異等を出力する。
フルブリッジインバータ37から2相の動力線であるU相のLPuとV相のLPvが負荷154に接続され、負荷装置150が駆動されている。三相インバータの場合、動力線はU相、V相、W相の3本であるが、図11(a)の単相インバータの場合動力線はU相、V相の2本になる。モータは三相で駆動される場合が多い。負荷装置150はモータでもよいが、たとえば誘導加熱器またはオゾナイザなどでもよい。
図11(a)と図11(b)ではフルブリッジインバータ37で負荷装置を駆動している場合について図示している。しかしながら、必ずしも負荷装置を駆動する動力線を液量の検出に用いる必要はなく、電力変換回路内で昇圧または降圧のために生成された交流電圧を液量の検出に用いてもよい。この場合、液量検出装置はインバータの駆動する負荷装置の内部に設けられている必要はなく外部にあっても本発明を適用することができる。
実施の形態1と同様、2個の電極対の電極間電圧をそれぞれ設けられた電圧測定装置15で測定し、比較回路16で比較して静電容量の差異、静電容量の値を知ることができる。また、図5に示した分圧回路を用いた液量検出装置を、単相のフルブリッジインバータに適用することもできる。
また、単相のフルブリッジインバータの動力線のうちの1相を、図9(a)と図9(b)と同様に直列回路の一端に接続し、他端を単相のフルブリッジインバータの母線に接続することもできる。さらに設置された電極対の電極間電圧を比較しその差異を検出することによって液面の位置を検出する液量検出装置を構成することもできる。この場合、三相交流電源の変動の影響を軽減でき好適である。
符号を明示するため、図11(b)に直列回路7を図示した。液体収納容器151の内部には、電極対2bと電極対2cが液面に対して平行に異なる高さに設置されている。
本実施の形態においては、液体に浸されている電極対と液体に浸されていない電極対の電極間電圧を比較し、両者の差異を検出することによって液面の鉛直方向における位置を検知する。
インバータの動力線を直列回路の一端に接続しているため、周囲に発生する負荷装置を駆動する電源が発生させる雑音より高い電圧を電極対に印加することができる。そのため、雑音に比較してより大きい信号を検出することができ、雑音の影響を受けず、精度の高い検出を行うことができる。
実施の形態8.
実施の形態8では圧縮機50が停止している状態で検出を行っている。実施の形態8の動作、効果を理解するための背景について説明する。空気調和機の室外機など、圧縮機が低温状態におかれると、圧縮機に冷媒が集まって冷凍機油中の冷媒の濃度が高くなるという現象がおきる場合がある。この現象は冷媒の寝込み現象として知られている。外気が低温なので空気調和機は暖房機として使用されている場合が多い。
寝込み現象がおきた状態で空調機、冷凍機などを運転すると、冷凍機油内の冷媒濃度の異常が圧縮機の動作に悪影響を及ぼすことが知られている。そのため、圧縮機が一定温度以下の環境で一定時間運転停止した後に装置の運転を開始する前に、冷媒の寝込み現象を解消するため、一定時間通電を行う。あるいは、常に装置の温度を一定温度以上に保温するための設備を設ける等が行われてきた。実施の形態8の場合、これらの空調機、冷凍機等も冷却装置と呼んでいる。
本発明の実施の形態8においては、寝込み現象がおきる可能性が高い状態において、圧縮機に悪影響をおよぼすことなく冷凍機油中の冷媒の濃度を検知することができる。すなわち、圧縮機が停止した状態で圧縮機シェル内部の冷凍機油に浸された電極対の電極間電圧の検出を行うことができる。その電極間電圧から静電容量の値を求め、冷凍機油中の冷媒の濃度を検知することができる。
また、検知した濃度により、寝込み現象がおきているかどうかを判定し、上記に記載した寝込み現象を解消する措置をとることができる。実施の形態8の具体的な構成の一例、動作、効果について以下に説明する。
実施の形態8の構成は図6(a)と図6(b)に示した実施の形態3の液量検出装置と同じ構成である。すなわち、液量検出装置を利用して静電容量もしくは静電容量の変化を計測することにより冷凍機油中の冷媒濃度を計測する。
図6(a)と図6(b)に示した実施の形態3の液量検出装置は寝込み現象がおきる可能性がある状況で装置が停止している。圧縮機が圧縮動作を停止した状態で、インバータ36の動力線に電圧が印加されなければ、液量検出装置1bの信号を取得できない。測定を行うためには、インバータ36が動力線に電圧を印加しつつも、圧縮機が停止していなければならない。実施の形態8ではシェル筐体51が液体収納容器に相当する。ここでインバータはインバータ回路とも呼ぶ。
そこで、圧縮機50が圧縮動作を停止している状態で、圧縮動作中よりもスイッチング周波数の高い電圧をインバータ36が圧縮機50に印加し、拘束通電を行う。拘束通電とは、圧縮機のモータ54の巻き線に、圧縮機50が動かない条件で通電を行う方法である。たとえばWO2014/188566号公報に具体的な方法として、インバータ36のキャリア周波数を通常よりも高い周波数とする方法が記載されている。
拘束通電により高周波電圧を印加しつつ、電極対2dの電極間電圧V2dと電極対2bの電極間電圧V2bを電圧測定装置15が計測し、両者を比較しV2dの静電容量を算出する。あらかじめ記憶部65に記憶させておいた冷凍機油の濃度と静電容量との間を対応づける変換テーブルに基づいて冷媒濃度を検知する。
また、電極対2dの電極間電圧V2dと電極対2bの電極間電圧V2bの比に一定のしきい値を設けておき、そのしきい値との上下によって正常時(寝込み現象がおきていないとき)と非正常時(寝込み現象のおきているとき)を判断してもよい。
ここで、モータへの拘束通電を行うと、通電によってモータ54の巻き線を加熱することで寝込み現象の起きた圧縮機50内の冷凍機油56を加熱し、冷凍機油内の冷媒を蒸発させて冷凍機油の状態を正常に近づけることができ、寝込み現象を解消できる利点もある。
圧縮機が停止した状態で拘束通電を行いつつ、静電容量と冷媒濃度の検出を続け、冷媒濃度が圧縮機の稼働に適した値に下がるまで拘束通電を行い、その後運転を開始すると、冷媒濃度が高い状態での運転を回避できる効果があり好適である。
ここでは、冷凍機油中の冷媒濃度の検出について一例を示したが、圧縮機停止中に冷凍機油の量、冷凍機油の液面位置を検出することもできる。冷媒濃度を検出する場合は、冷凍機油の量が適正範囲に保たれている場合に電極対全体が油面より下にあり、冷凍機油に完全に浸されている電極対と完全に冷凍機油から出ていて空気中にある電極対との比較によって誘電率の計測を行うのが好適である。
以下に一例を挙げる。図6(a)と図6(b)で電極対2bが油面の上にあって電極間は冷凍機油で満たされていないとする。さらに、電極対2dが完全に冷凍機油に浸されているとする。このような状況で、電極対2bと電極対2dの静電容量を比較する。
上記比較に基づき、両者の比が一定の範囲内にある場合寝込み現象が発生していないと判断する。また、両者の比が一定の範囲の外である場合寝込み現象が発生していると判断する。このような電極対の電極間電圧の比較による寝込み現象発生の判断を行うためには、静電容量の比と寝込み現象の発生の有無の間に判断の基準をあらかじめ設けておくことが好適である。
ここでは図6(a)と図6(b)の構成を例として寝込み現象の検出方法を説明したが、実施の形態1の構成であっても下記のような準備をすれば寝込み現象を検出できる。
寝込み現象を検出する準備とは、電極対の一方が完全に冷凍機油の中に浸されていて他方が冷凍機油から出ていることが確認する。さらに、冷凍機油の外にある電極と冷凍機油中の電極の電極間電圧の比較によって、冷媒濃度を検知して寝込み現象の有無を検出、判断できるように、電極間電圧の比と寝込み現象の有無について、あらかじめ基準を設ける。の2つである。
以上、実施の形態8によれば、冷凍機油中の冷媒濃度が上昇する寝込み現象を、圧縮機稼働中より高周波数のスイッチング周波数の電圧を印加して従来方式より雑音の影響の小さい、高精度な検出を行うことができる。
また、検出を行うときに圧縮機が動作しないため、圧縮機に悪影響を与えることがなく、圧縮機の保全を図ることができる。さらに、冷凍機油の量についても液面位置を高精度に検知することができるため、総合的に圧縮機の動作を健全に保つことができるという効果がある。
従来の装置においては、SN比が低く、高精度に静電容量を検出することができなかったため、運転開始前の寝込み現象を十分な精度で検知できなかった。そのため、圧縮機50が一定温度以下の環境で一定時間運転停止した後に装置の運転を開始する前に、冷媒の寝込み現象を解消するため、一定時間、例えば拘束通電を行う。あるいは、常に装置の温度を一定温度以上に保温するための設備を設ける等が行われてきた。
そのため、装置に電源を入れてから運転を開始するまでに時間がかかったり、保温のためにコストがかかったりするという課題があった。また、寝込み現象をおこしていない圧縮機に対しても暖気運転や保温が必要であるという課題があった。
本発明を適用すれば、直列回路の一端にインバータの動力線を接続しているため、圧縮機の駆動による電気的な雑音よりも、電圧の高い信号を検出することが可能である。また、実施の形態9によれば、通常の圧縮機を駆動している状態よりもさらに高い周波数でインバータを駆動しているため、電極対のインピーダンスを低いものとすることができ、精度が高く、信頼性の高い冷媒濃度の検出を行うことが可能である。
以上から、本発明の液量検出装置を利用して静電容量または静電容量の変化を検出することにより、寝込み現象がおきているか否かを高精度に検出でき、運転開始までの時間を短縮できる。暖気運転、保温に要する設備、エネルギーを省くことができるといった効果がある。さらに、暖気運転または保温が不十分で圧縮機を寝込み現象がおきた状態で運転してしまうことを避けることができるという効果がある。
実施の形態9.
実施の形態9では、負荷装置を駆動するインバータと負荷装置に備えられた液体収納容器内部に設置された直列回路に接続されるインバータが異なっている。ここでインバータはインバータ回路とも呼ぶ。
潤滑油であるオイルの供給を受け、交流電源と接続される装置の具体的な例としては三相交流電源を接続される機械設備、交流電源停止時に使用する発電機を有する設備などがある。
図12(a)と図12(b)は実施の形態9の構成を示す図である。図12(a)において三相交流電源31は整流回路33に接続されている。整流回路33と昇圧回路34と平滑コンデンサ35はコンバータ回路32を構成している。
コンバータ回路32の両端はインバータ36のN母線LBnとP母線LBpに接続され、インバータ回路からは三相の動力線LPv、LPu、LPwが負荷装置150aに接続されている。コンバータ回路32aとインバータ36bが接続されている。
インバータ36bの動力線LPv、LPu、LPwは負荷装置150bに接続されている。負荷装置150bは配管157を介してオイルタンク152に接続されており、オイルタンク152の内部には液量検出装置1の一部である直列回路7が備えられている。実施の形態9ではオイルタンク152が液体収納容器に相当する。
直列回路7は図12(b)に示すように電極対2bと電極対2cを備えている。さらに、電極対2bは電極Hと電極Iを有しており、電極対2cは電極Jと電極Kを有している。電極対2bと電極対2cからの信号はガラス端子T2からオイルタンク152の外部に引き出される。検出回路部6は電圧測定装置15と比較回路16で構成されている。
図12(a)と図12(b)において、3相のインバータ36は三相交流電源31から受電し、動力線を介して負荷装置150aに電圧を印加し負荷装置150aを駆動している。一方、インバータ36bは三相交流電源31から受電し動力線を介して負荷装置150bを駆動している。
オイルタンク152には潤滑油となるオイル156が蓄えられており、オイル156は配管157を介して、負荷装置150bに供給される。また、オイル156の液量を検出するため、オイルタンク152には直列接続された電極対2bおよび電極対2cが備えられている。電極Hにはインバータ36の動力線のうちの一相であるU相が接続されている。
また、電極Kにはインバータ36のN母線が接続されている。電極対2bはオイル面の適正範囲の上限の少し下に位置し、電極対2cはオイル面の適正範囲の下限より少し上に位置しており、電極対2bと電極対2cは相互に鉛直方向に離間して配置されている。電極対2bと電極対2cはこのように離間して配置される場合もあるが互いに鉛直方向に異なる位置に配置されていればよく離間しない場合もある。
電極対2bと電極対2cの電極間電圧は、それぞれの電極対に設けられた電圧測定装置15で測定され、比較回路16で比較される。比較回路16は電極対2bの電極間電圧V2bと電極対2cの電極間電圧V2cを比較して比較結果を出力する。具体的には電極間電圧V2bと電極間電圧V2cの比または差異等を出力する。導体401hによって間を直列接続された電極対2bと電極対2cが直列回路を構成している。
図12(a)と図12(b)においてインバータ36bの動力線を電極対2b、電極対2cの直列接続されたものの一端へつなぐことによって計測を行うことも可能である。しかし、インバータ36bの電圧が低く周囲にある雑音源に対して十分にSN比を高くすることができない場合が考えられる。または、周波数が低く電極対2b、電極対2cのインピーダンスを十分低くできない場合があり得る。このようなときにはインバータ36の動力線を接続した場合の方がより良い計測ができる。
このように、測定対象の液体がインバータの駆動する装置に供給されていなくとも、周囲に接続可能なインバータ装置があれば、その動力線を接続することによって信号を発生させるために利用できる。
図12(a)と図12(b)の場合、インバータ36の動力線のうちの一相を電極対2bと電極対2cの直列接続し、電極Kにインバータ36の母線を接続している。この場合、オイルタンク152の接地電位点との間の電位差の変動の影響を低減することができ好適である。
また、電極Hに対して動力線のうちの一相を接続し、電極Kにインバータ36の別の動力線のうちの一相と接続することもできる。また、電極Kに接地電位点を接続することも可能である。電極Kに接地電位点を接続した場合は、検出回路部6の基準電位とインバータ36の母線電位の間の変動をモニタすることによって、オイルタンク152のオイル面の検出ができる。
計測する液体は実施の形態9で挙げたオイル、その他の実施の形態で挙げた冷媒、冷凍機油に限られるものではない。冷却水(純水)などその他の液体についても本発明は適用可能である。
図12(a)と図12(b)の装置においては、インバータ36b、負荷装置150a、インバータ36および負荷装置150aから発生する雑音の中で計測を行う。インバータ36を接続しているため、電極対2bと電極対2cの電極間電圧を比較し電極間電圧の差異を検出する際に得られる信号を大きくすることができ、SN比の高い計測を行うことができ、液量の検出をより高精度に行うことができる。
実施の形態8においては、冷凍機油が装置の動作に不可欠であり、なおかつ、寝込み現象が起きている可能性があるため、装置が動作していない状態で検出を行う必要がある。そのため、寝込み現象の検出の際拘束通電を行っている。
一方、図12(a)と図12(b)では検出に用いるインバータが駆動する装置は、検出対象の液体の状態とは関係なく動作できるため、実施の形態8の拘束通電のような特別な工夫を行う必要がないという利点がある。
従って、装置を駆動するインバータが電極間電圧の測定に適しない場合に限らず、他の装置のインバータの動力線を電極につなぎ、装置が動作していない状態で計測を行ってもよい。
以上より、実施の形態9によれば、負荷装置を駆動する電源装置が計測に不適である場合においても、電極間電圧を計測するのに適し、接続可能なインバータ装置があれば、SN比が高く、信頼性と精度が高い測定を実施することができる。
この場合、特に交流電源を共有していなくても計測を行うことは可能であるが、図12(a)と図12(b)に示すように、三相交流電源31を共有する装置の間で配線を行った場合、三相交流電源31の変動成分の影響を低減することが可能なので好適である。
以上、説明してきた実施の形態の構成は、必要に応じて、組み合わせて使用することもできる。