以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1は、走行体の第1実施形態を示すもので、図1(a)は概略斜視図、図1(b)は走行面側から見た概略斜視図である。図2は本実施形態の走行体の概略切断正面図である。図3は、車輪接地機構の構成の一例を説明するための図で、図3(a)は車輪接地機構の構成部材を個別に分離して示す斜視図、図3(b)は構成部材を組み立てた状態の車輪接地機構を示す斜視図である。図4は、車輪接地機構のフレームに対して左右の車輪ユニットが傾斜した状態の一例を示すもので、図4(a)は概略斜視図、図4(b)は図4(a)における車輪接地機構の部分を拡大して示す図である。図5は、車輪接地機構のフレームに対して左右の車輪ユニットが傾斜した状態の別の例を示すもので、図5(a)は概略斜視図、図5(b)は図5(a)における車輪接地機構の部分を拡大して示す図である。図6は、本実施形態の走行体の使用状態の一例を示すもので、図6(a)は使用状態の概要図、図6(b)は図6(a)において走行体が配置された領域を拡大して示す図である。図7は本実施形態の走行体の使用状態の別の例を示す図である。
なお、本実施形態の走行体は、配置される走行面の角度に応じて角度や姿勢が変わるが、説明の便宜上、本明細書では、走行体が水平な平面に車輪を接して載置されている状態を基準として構成の説明を行う。この基準とした状態を、走行体の標準状態という。標準状態の走行体について、走行体が前記平面に接する側を下、その逆方向を上という。また、平面視で、走行体の前進時の進行方向を前、その逆方向を後といい、前向きを基準として時計回り方向に90度の方向を右、その逆方向を左という。後述する第2実施形態も同様である。
本実施形態の走行体は、図1(a)(b)、図2に符号1で示すもので、胴体2と、胴体2の左側に配置された左側車輪ユニット3と、胴体2の右側に配置された右側車輪ユニット4とを備えた構成とされている。胴体2に左右の車輪ユニット3,4が接続される個所には、車輪接地機構5が備えられている。
左側車輪ユニット3は、図1(a)(b)に示すように、前後方向に延びるフレーム部材6を備え、フレーム部材6の前端側と後端側の外側面(左側面)に、左前輪7と左後輪8がそれぞれ取り付けられている。
フレーム部材6の内側面(右側面)には、フレーム部材6の前端部から長手方向中間部寄りとなる位置に、左前輪7を駆動するためのモータ9が設置され、後端部から長手方向中間部寄りとなる位置に、左後輪8を駆動するためのモータ10が設置されている。このようにモータ9,10の設置位置をフレーム部材6の内側面における長手方向中間部寄りに設定したのは、モータ9,10が走行体1の外部に突出しないようにすると共に、モータ9,10が走行体1の走行面に存在する凹凸と干渉する虞を抑制するためである。
図示しないが、フレーム部材6の内部には、モータ9の回転駆動力を左前輪7に伝える動力伝達機構と、モータ10の回転駆動力を左後輪8に伝える動力伝達機構とが設けられている。
これらの動力伝達機構は、モータ9,10の運転に伴って対応する左前輪7、左後輪8を回転駆動することができれば、ギア形式、傘歯歯車とシャフトを用いる形式、チェーンとスプロケットを用いる形式、ベルトとプーリを用いる形式、その他、任意の形式の動力伝達機構を採用してよい。なお、動力伝達機構は、モータ9,10の回転方向と回転速度の変化に応じて対応する左前輪7、左後輪8の回転方向と回転速度を変化させることができるものであることが好ましい。
フレーム部材6は、長手方向中間部の内側面に、内方向(右方向)に突出する軸11の基端側が取り付けられている。軸11の先端側は、図2に示すように、車輪接地機構5に接続されている。この接続部分の具体的な構成は後述する。
なお、左側車輪ユニット3は、左前輪7と左後輪8がフレーム部材6の内側面(右側面)に取り付けられた構成や、左前輪7と左後輪8がフレーム部材6に組み込まれるように取り付けられた構成を備えていてもよい。また、左側車輪ユニット3におけるモータ9,10の配置は、前述した配置とすることが好ましいが、他の配置としてもよいことは勿論である。更に、左側車輪ユニット3は、1つのモータにより伝達機構を介して左前輪7と左後輪8を共に駆動する構成としてもよい。
右側車輪ユニット4は、前後方向に延びるフレーム部材12を備え、フレーム部材12の前端側と後端側の外側面(右側面)に、右前輪13と右後輪14がそれぞれ取り付けられている。
フレーム部材12の内側面(左側面)には、フレーム部材12の前端部から長手方向中間部寄りとなる位置に、右前輪13を駆動するためのモータ15が設置され、後端部から長手方向中間部寄りとなる位置に、右後輪14を駆動するためのモータ16が設置されている。このようにモータ15,16の設置位置をフレーム部材12の内側面における長手方向中間部寄りに設定した理由は、前記した左側車輪ユニット3のモータ9,10の設置位置の設定理由と同様である。
図示しないが、フレーム部材12の内部には、モータ15の回転駆動力を右前輪13に伝える動力伝達機構と、モータ16の回転駆動力を右後輪14に伝える動力伝達機構とが設けられている。
これらの動力伝達機構は、モータ15,16の運転に伴って対応する右前輪13、右後輪14を回転駆動することができるものとして、前記した左側車輪ユニット3における左前輪7用や左後輪8用の動力伝達機構と同様の形式のものを採用すればよい。
フレーム部材12は、長手方向中間部の内側面に、内方向(左方向)に突出する軸17の基端側が取り付けられている。軸17の先端側は、図2に示すように、車輪接地機構5に接続されている。この接続部分の具体的な構成は後述する。
なお、右側車輪ユニット4は、右前輪13と右後輪14がフレーム部材12の内側面(左側面)に取り付けられた構成や、フレーム部材12に組み込まれるように取り付けられた構成を備えていてもよい。また、右側車輪ユニット4におけるモータ15,16の配置は、前述した配置とすることが好ましいが、他の配置としてもよいことは勿論である。更に、右側車輪ユニット4は、1つのモータにより伝達機構を介して右前輪13と右後輪14を共に駆動する構成としてもよい。
車輪接地機構5は、図1(a)(b)、図2に示すように、左側車輪ユニット3と右側車輪ユニット4の間に配置されたフレーム18を備えている。
フレーム18は、左側車輪ユニット3の軸11を回転自在に保持する左側軸保持部19aと、右側車輪ユニット4の軸17を回転自在に保持する右側軸保持部19bと、左右の軸保持部19a,19b同士を繋ぐ連結部とを備えた構成とされている。更に、フレーム18には、軸11と軸17の間に各軸11,17と交差する方向に沿って配置された中央部の軸24が保持されている。
本実施形態では、フレーム18は、左側軸保持部19aとなる挿通孔20aを有する左側壁18aと、右側軸保持部19bとなる挿通孔20bを有する右側壁18bと、左右の側壁18a,18bの周縁部同士を繋ぐ連結部としての上端壁18c、下端壁18d、前側壁18eおよび後側壁18fとを備えた箱形構造とされている。これにより、本実施形態におけるフレーム18は、その内側に配置される部材を外部環境から保護する筐体として機能する。
左側壁18aの挿通孔20aには、左側車輪ユニット3の軸11の先端側がフレーム18の内側に突出する配置で挿入され、この状態で、挿通孔20aに軸11が軸受21aを介して回転自在に取り付けられている。これにより、左側車輪ユニット3は、フレーム18を基準として、左側車輪ユニット3の前端側が上下に動くように、軸11を中心に回動可能となっている。したがって、この回動の際、左側車輪ユニット3の後端側は、前端側とは逆の上下方向に動く。
右側壁18bの挿通孔20bには、右側車輪ユニット4の軸17の先端側がフレーム18の内側に突出する配置で挿入され、この状態で、挿通孔20bに軸17が軸受21bを介して回転自在に取り付けられている。これにより、右側車輪ユニット4は、フレーム18を基準として、右側車輪ユニット4の前端側が上下に動くように、軸17を中心に回動可能となっている。したがって、この回動の際、右側車輪ユニット4の後端側は、前端側とは逆の上下方向に動く。
なお、左側車輪ユニット3の軸11と、右側車輪ユニット4の軸17は、軸心が揃えられた状態でフレーム18に取り付けられている。
更に、車輪接地機構5は、左側軸保持部19aと右側軸保持部19bとの間となるフレーム18の内側に、図2、図3(a)(b)に示すように、軸11の先端側個所に取り付けられた突出部材22と、軸17の先端側個所に取り付けられた突出部材23と、前記した中央部の軸24と、軸24に揺動中心となる部分が保持された揺動部材25と、突出部材22,23の突出端側と揺動部材25の左右の両端側とを連動させるためのリンク部材26,27とを備えた構成とされている。
突出部材22は、軸11の径方向に沿って延びる棒状の部材とされ、長手方向の一端側が軸11に固定されている。これにより、突出部材22は、軸11が回動するときに一体に回動する。
突出部材22の長手方向の他端側は、軸11の径方向に突出するように配置されている。突出部材22の長手方向の他端側には、軸11と平行な方向の孔28が設けられている。
突出部材23は、突出部材22と同様の棒状の部材とされ、長手方向の一端側が軸17に固定されている。これにより、突出部材23は、軸17が回動するときに一緒に回動する。
突出部材23の長手方向の他端側は、軸17の径方向に突出するように配置されている。突出部材23の長手方向の他端側には、軸17と平行な方向の孔29が設けられている。
突出部材22と突出部材23は、走行体1が標準状態のときに、軸11,17を中心とする周方向の配置が互いに揃うように配置されている。本実施形態では、走行体1が標準状態のときに、図2に示すように、突出部材22と突出部材23は、軸11,17から上方に向かって延び、孔28,29が軸11,17の真上に配置されるように構成されている。これにより、フレーム18を基準として、左側車輪ユニット3が標準状態から軸11を中心に上下方向に回動する場合は、突出部材22の突出端側が前後に回動し、右側車輪ユニット4が標準状態から軸17を中心に上下方向に回動する場合は、突出部材23の突出端側が前後に回動する。
軸24は、フレーム18の中央部に、各軸11,17と直交する方向で、且つ走行体1が標準状態のときに各突出部材22,23に沿う方向(上下方向)に延びる姿勢で配置されている。軸24は、長手方向の少なくとも一端側が、フレーム18に固定されている。なお、図2では、軸24の長手方向の両端側が、フレーム18の上端壁18cと下端壁18dに固定されている構成が示してある。
揺動部材25は、たとえば、突出部材22の近傍位置から突出部材23の近傍位置まで左右方向に延びる棒状の部材とされている。揺動部材25の長手方向の中間部には、孔30が設けられている。この孔30は、軸24の外周に、軸受31を介して揺動自在(回動自在)に取り付けられている。これにより、揺動部材25は、揺動中心となる長手方向の中間部が軸24によって保持された状態で、軸24を中心として左右両端側が前後方向に揺動する。
更に、揺動部材25には、左端側の突出部材22の近傍となる個所と、右端側の突出部材23の近傍となる個所に、軸24と平行な方向の孔32,33が設けられている。孔32と孔33は、軸24を中心とする対称な位置に配置されている。
リンク部材26は、図2、図3(a)(b)に示すように、丸棒状の第1の腕部34と丸棒状の第2の腕部35とが直角な配置で互いの一端側同士が連結された構成とされている。第1の腕部34は、突出部材22の孔28に、回転と軸方向の摺動が可能な状態で挿入されている。第2の腕部35は、揺動部材25の左端側の孔32に、回転と軸方向の摺動が可能な状態で挿入されている。この際、孔28,32に挿入された腕部34,35の回転と軸方向の摺動の抵抗を低減させるために、孔28,32には、図2に示すように無給油ブッシュ36を取り付けるか、あるいは、摺動用コーティング(図示せず)などによる摩擦低減手段を備えることが好ましい。
リンク部材27は、図2、図3(a)(b)に示すように、丸棒状の第1の腕部37と丸棒状の第2の腕部38とが直角な配置で互いの一端側同士が連結された構成とされている。第1の腕部37は、突出部材23の孔29に、回転と軸方向の摺動が可能な状態で挿入されている。第2の腕部38は、揺動部材25の右端側の孔33に、回転と軸方向の摺動が可能な状態で挿入されている。この際、孔29,33に挿入された腕部37,38の回転と軸方向の摺動の抵抗を低減させるために、孔29,33には、図2に示すように無給油ブッシュ36を取り付けるか、あるいは、摺動用コーティング(図示せず)などによる摩擦低減手段を備えることが好ましい。
なお、前述した車輪接地機構5の構成において、各部材の構造や各部材の配置の説明に用いた角度や位置は、後述する車輪接地機構5の働き(動き)に支障が生じない範囲で誤差を含んでいてもよいことは勿論である。
本実施形態の走行体1を塵埃が生じる環境で使用する場合は、図2に示すように、フレーム18には、挿通孔20a内の軸受21aの外側に、軸11との隙間をシールする防塵用のシール手段39を備え、挿通孔20b内の軸受21bの外側に、軸17との隙間をシールする防塵用のシール手段39を備えることが好ましい。このようにすれば、筐体として機能するフレーム18の内部への塵埃の侵入は、シール手段39によって防がれる。更に、本実施形態の走行体1を水が存在する環境や、走行体1に水が掛かるような環境で使用する場合は、前記のように挿通孔20a,20bに設けるシール手段39を、防水用のものとすればよい。このようにすれば、フレーム18の内部への水の浸入は、シール手段39によって防がれる。
したがって、挿通孔20a,20bにシール手段39を備える構成では、フレーム18の内部に収納してある車輪接地機構5の各部材同士の回転部分や摺動部分に塵埃や水が入り込むことが防止されるため、車輪接地機構5のメンテナンスの頻度を低減させる効果や、車輪接地機構5の長寿命化を図る効果が生じる。
図示しないが、本実施形態の走行体1を塵埃が生じる環境で使用する場合は、シール手段39を軸受21a,21bと併用する構成に代えて、粉塵環境に強いブッシュ(すべり軸受け)等を介して軸11,17を挿通孔20a,20bに取り付けるようにしてもよい。このようにすれば、筐体として機能するフレーム18の内部への塵埃の侵入は、前記ブッシュによって防がれる。
なお、車輪接地機構5の各構成部材を組み立ててフレーム18の内部へ収納する作業を行う必要上、フレーム18は、上下前後左右の6面について、部分的な取り外しが可能な構成や、全面が分解可能な構成を備えるようにしてもよい。
ここで、図4(a)(b)、図5(a)(b)を用いて車輪接地機構5の働きについて説明する。なお、図4(a)、図5(a)では、説明の便宜上、フレーム18を仮想線(二点鎖線)で示してある。また、以下の説明では、各車輪ユニット3,4のフレーム18を基準とする回動動作に関して、各車輪ユニット3,4の前側が上がり後側が下がる方向の回動動作は、前上がりのピッチ動作といい、各車輪ユニット3,4の前側が下がり後側が上がる方向の回動動作は、前下がりのピッチ動作という。
本実施形態の走行体1において、標準状態から、図4(a)に示すように、左側車輪ユニット3が、前上がりのピッチ動作を生じた場合は、図4(b)に示すように、左側車輪ユニット3の軸11と一体に突出部材22が、突出端側が後方に移動する方向に回動する。このため、突出部材22の孔28の位置は、標準状態のときの位置から後方に変位する。
この孔28の位置が後方へ変位することに伴い、孔28に第1の腕部34が挿入されているリンク部材26は、後方に移動する。
このリンク部材26の後方移動に伴い、第2の腕部35が挿入されている揺動部材25の左端側の孔32の位置が後方に変位するため、揺動部材25は、軸24を中心に、左側が後方に、右側が前方に移動するように揺動する。
この際、突出部材22が軸11を中心に回動するときには、孔28の位置が円弧状の軌跡で変位する。このため、揺動部材25に対する孔28の上下方向位置が変化するので、孔28と揺動部材25との上下方向の距離は変化するが、この距離の変化は、リンク部材26の第2の腕部35が揺動部材25の孔32に対し軸心方向に摺動することによって吸収される。
同様に、揺動部材25が揺動するときには、孔32の位置が軸24を中心とする円弧状の軌跡で変位する。このため、突出部材22に対する孔32の左右方向位置が変化するので、孔32と突出部材22との左右方向の距離は変化するが、この距離の変化は、リンク部材26の第1の腕部34が突出部材22の孔28に対し軸心方向に摺動することによって吸収される。
このように揺動部材25が揺動した場合は、右端側の孔33の位置が軸24を中心にして前方に変位する。この孔33の位置の前方への変位に伴い、孔33に第2の腕部38が挿入されているリンク部材27は、前方に移動する。
このリンク部材27の前方移動に伴い、第1の腕部37が挿入されている突出部材23の孔29の位置は、標準状態の位置から前方に変位する。このため、突出部材23は、軸17を中心に、突出端側が前方に移動する方向に回動する。
この際、揺動部材25が揺動するときには、孔33の位置が軸24を中心とする円弧状の軌跡で変位する。このため、突出部材23に対する孔33の左右方向位置が変化するので、孔33と突出部材23との左右方向の距離は変化するが、この距離の変化は、リンク部材27の第1の腕部37が、突出部材23の孔29に対し軸心方向に摺動することによって吸収される。
同様に、突出部材23が軸17を中心に回動するときには、孔29の位置が円弧状の軌跡で変位する。このため、揺動部材25に対する孔29の上下方向位置が変化するので、孔29と揺動部材25との上下方向の距離は変化するが、この距離の変化は、リンク部材27の第2の腕部38が揺動部材25の孔33に対し軸心方向に摺動することによって吸収される。
このように突出部材23が回動した場合は、軸17が一緒に回動する。このため、図4(a)に示すように、右側車輪ユニット4は、前下がりのピッチ動作を生じる。
本実施形態の走行体1は、標準状態から、右側車輪ユニット4に前下がりのピッチ動作が生じた場合は、前記説明とは逆の手順によって左側車輪ユニット3に前上がりのピッチ動作が生じるようになる。よって、この場合も、本実施形態の走行体1は、図4(a)(b)に示す状態となる。
この図4(a)(b)に示す状態は、本実施形態の走行体1の対角に配置されている左前輪7および右後輪14の対に比して、左後輪8および右前輪13の対が、相対的に下方に位置した状態である。
よって、図4(a)(b)に示す状態は、たとえば、左前輪7が平坦な走行面に生じた凸部に乗り上げている状態、または、左後輪8が平坦な走行面に生じた凹部に落ち込んでいる状態、または、右前輪13が平坦な走行面に生じた凹部に落ち込んでいる状態、または、右後輪14が平坦な走行面に生じた凸部に乗り上げている状態である。また、図4(a)(b)に示す状態は、本実施形態の走行体1が、円筒形状の凹面を斜めに走行する場合や、円筒形状の凸面を斜めに走行する場合にも生じる。更に、本実施形態の走行体1は、円筒形状の凸面や凹面に形成されている溶接ビードのような凸部や凹部等を走行する場合にも、図4(a)(b)に示す状態となることがある。
次に、本実施形態の走行体1において、標準状態から、図5(a)に示すように、左側車輪ユニット3が、前下がりのピッチ動作を生じた場合は、図5(b)に示すように、左側車輪ユニット3の軸11と一体の突出部材22が、突出端側が前方に移動する方向に回動する。このため、突出部材22の孔28の位置は、標準状態のときの位置から前方に変位する。
この孔28の位置が前方へ変位することに伴い、孔28に第1の腕部34が挿入されているリンク部材26は、前方に移動する。
このリンク部材26の前方移動に伴い、第2の腕部35が挿入されている揺動部材25の左端側の孔32の位置が前方に変位するため、揺動部材25は、軸24を中心に、左側が前方に、右側が後方に移動するように揺動する。
この際、突出部材22が軸11を中心に回動することに伴う孔28と揺動部材25との上下方向の距離の変化は、図4(b)の場合と同様に、リンク部材26の第2の腕部35が揺動部材25の孔32に対し軸心方向に摺動することによって吸収される。
また、揺動部材25の揺動に伴う孔32と突出部材22との左右方向の距離の変化は、図4(b)の場合と同様に、リンク部材26の第1の腕部34が突出部材22の孔28に対し軸心方向に摺動することによって吸収される。
このように揺動部材25が揺動した場合は、右端側の孔33の位置が軸24を中心にして後方に変位する。この孔33の位置の後方への変位に伴い、孔33に第2の腕部38が挿入されているリンク部材27は、後方に移動する。
このリンク部材27の後方移動に伴い、第1の腕部37が挿入されている突出部材23の孔29の位置は、標準状態の位置から後方に変位する。このため、突出部材23は、軸17を中心に、突出端側が後方に移動する方向に回動する。
この際、揺動部材25の揺動に伴う孔33と突出部材23との左右方向の距離の変化は、図4(b)の場合と同様に、リンク部材27の第1の腕部37が、突出部材23の孔29に対し軸心方向に摺動することによって吸収される。
また、突出部材23が軸17を中心に回動することに伴う孔29と揺動部材25との上下方向の距離の変化は、図4(b)の場合と同様に、リンク部材27の第2の腕部38が、揺動部材25の孔33に対し軸心方向に摺動することで吸収される。
このように突出部材23が回動した場合は、軸17が一緒に回動するので、図5(a)に示すように、右側車輪ユニット4が、前上がりのピッチ動作を生じる。
本実施形態の走行体1は、標準状態から、右側車輪ユニット4に前上がりのピッチ動作を生じた場合は、前記説明とは逆の手順によって左側車輪ユニット3に前下がりのピッチ動作が生じるようになる。よって、この場合も、本実施形態の走行体1は、図5(a)(b)に示す状態となる。
この図5(a)(b)に示す状態は、本実施形態の走行体1の対角に配置されている左前輪7および右後輪14の対に比して、左後輪8および右前輪13の対が、相対的に上方に位置した状態である。
よって、図5(a)(b)に示す状態は、たとえば、左前輪7が平坦な走行面に生じた凹部に落ち込んでいる状態、または、左後輪8が平坦な走行面に生じた凸部に乗り上げている状態、または、右前輪13が平坦な走行面に生じた凸部に乗り上げている状態、または、右後輪14が平坦な走行面に生じた凹部に落ち込んでいる状態である。また、図5(a)(b)に示す状態は、本実施形態の走行体1が、円筒形状の凹面を斜めに走行する場合や、円筒形状の凸面を斜めに走行する場合にも生じる。更に、本実施形態の走行体1は、円筒形状の凸面や凹面に形成されている溶接ビードのような凸部や凹部等を走行する場合にも、図5(a)(b)に示す状態となることがある。
したがって、本実施形態の走行体1では、左側車輪ユニット3および右側車輪ユニット4は、車輪接地機構5によって、前上がりのピッチ動作と、前下がりのピッチ動作とを、互いに逆の方向に、同じ角度で生じることになる。このため、本実施形態の走行体1は、対角に配置されている左前輪7および右後輪14の対と、左後輪8および右前輪13の対とを、標準状態から互いに上下方向の逆方向に移動させることができるので、前記した各状態の走行面のみならず、様々な凹凸を有する走行面において、各前輪7,13および各後輪8,14をより確実に走行面に接地させることができる。
また、本実施形態の走行体1では、左側車輪ユニット3および右側車輪ユニット4の前上がりのピッチ動作と前下がりのピッチ動作とが、互いに逆の方向に同じ角度で生じるので、フレーム18の前後方向の角度は、左側車輪ユニット3の前後方向の角度と、右側車輪ユニット4の前後方向の角度を二分する角度になる。
本実施形態の走行体1は、たとえば、図1、図2に示すように、フレーム18の上端壁18cの上側に、フレーム18から前後方向に張り出す機器搭載フレーム40を取り付けて胴体2が構成されている。機器搭載フレーム40の前端側の下側には、前方の下方に向けた角度姿勢でカメラ41が取り付けられている。機器搭載フレーム40の後端側の下側には、回路ボックス42が取り付けられている。
なお、フレーム18に取り付けて胴体2を形成する機器搭載フレーム40は、搭載機器の種類や使用目的、形状、サイズ、搭載数等に応じて図示した以外の任意の形状のものを採用してもよいことは勿論である。更に、胴体2は、車輪接地機構5のフレーム18に任意の搭載機器や部材を直接取り付けた構成を備えていてもよい。また、機器搭載フレーム40は、フレーム18の上端壁18cと一体化されていてもよいことは勿論である。
更に、各前輪7,13と各後輪8,14は、磁石車輪とされている。
この構成によれば、本実施形態の走行体1は、図6(a)(b)に示すように、鋼製の球形LNGタンク43の表面に各前輪7,13と各後輪8,14を磁力により吸着させた状態で走行して、タンク表面をカメラで撮影することができる。更に、タンク表面に凹凸が存在していても、各前輪7,13および各後輪8,14を常にタンク表面に吸着させた状態で、安定した走行を行うことができる。
なお、本実施形態の走行体1は、左側車輪ユニット3による左前輪7および左後輪8の回転速度と、右側車輪ユニット4による右前輪13および右後輪14の回転速度とに差をつけることにより、左右方向への操舵を行うことができる。
したがって、本実施形態の走行体1は、球形LNGタンク43の外面の亀裂や劣化を観察するための外面検査ロボットとして使用することができる。
また、タンク表面の凹凸が存在する部分を走行するときに、左側車輪ユニット3および右側車輪ユニット4の前上がりのピッチ動作と前下がりのピッチ動作が生じるとしても、フレーム18の前後方向の角度は、前述したように各車輪ユニット3,4の前後方向の角度から一意に決まる。このため、フレーム18に機器搭載フレーム40を介して取り付けたカメラ41では、撮影を安定して行うことができる。また、本実施形態の走行体1は、たとえば、走行体1自身が球形LNGタンク43のどの位置にいるかという情報を得るための1つのデータとして、フレーム18や胴体2の角度姿勢を用いることが考えられるが、この場合にも、走行時のフレーム18や胴体2の角度姿勢を安定させることができるため、走行体1の位置情報をより安定して得ることができる。
なお、この構成の走行体1は、球体のタンクに代えて、円筒状の配管や円筒状容器の周壁外面の検査ロボットとしても使用することができる。また、溶接ビード等の凹凸が表面に存在する平面構造物の検査ロボットとしても使用することができる。
また、図1(a)(b)に示すようにカメラ41と回路ボックス42を備えた構成としてある本実施形態の走行体1は、各前輪7,13と各後輪8,14を、磁石車輪とするか、あるいは、配管44の材質によって形成された斜面でも横滑りしにくい材質のものとして、図7に示すように、配管44の内部を走行しながら、配管44の内部の亀裂や劣化を観察するための管内検査ロボットに適用してもよい。
このように、本実施形態の走行体1によれば、車輪接地機構5により、左側車輪ユニット3および右側車輪ユニット4は、フレーム18に対する前上がりのピッチ動作と前下がりのピッチ動作を互いに逆方向に連係して生じさせることができる。このため、本実施形態の走行体1は、様々な凹凸を有する走行面について、各前輪7,13および各後輪8,14を走行面に接地させて、安定した走行を行うことができる。
また、本実施形態の走行体1では、車輪接地機構5が、フレーム18の左側軸保持部19aに保持された左側車輪ユニット3の軸11と右側軸保持部19bに保持された右側車輪ユニット4の軸17との間に、突出部材22,23と、軸24に支持された揺動部材25と、リンク部材26,27とを備える構成としてあり、車輪接地機構5の構成部材を走行体1の中央部にまとめて配置することができる。このため、本実施形態の走行体1は、車輪接地機構5の構成部材が占有する空間の小型化を図ることができる。
車輪接地機構5は、自在継手を用いていないため、構成部材の数の削減化を図ることができる。また、車輪接地機構5は、構成部材の形状や構造を単純化することができ、そのため、車輪接地機構5の故障の虞を低減することができる。
更に、車輪接地機構5の構成部材は、本実施形態の走行体1の中央部にまとめて配置することができるため、本実施形態の走行体1は、胴体2の前部や後部における外部機器の取り付け領域についての制限を緩和させることができる。したがって、本実施形態の走行体1は、カメラ41のような観測機器やその他の機器を、胴体2に搭載しやすくすることができる。
また、本実施形態では、車輪接地機構5は、筐体として機能するフレーム18を採用し、更に、挿通孔20a,20bと軸11,17との隙間はシール手段39を用いた剛体シールが可能なため、車輪接地機構5が環境に存在する塵埃や水分の影響によって故障する虞を低減化させることができる。
よって、本実施形態の走行体1は、たとえば、車両やロボットとして使用する場合に、車両やロボットの全体のサイズの小型化を図ることができる。
そのため、本実施形態の走行体1は、たとえば、各前輪7,13と各後輪8,14を磁石車輪として各前輪7,13と各後輪8,14の磁力による吸着によって自重を支えることが必要とされるロボットや、配管内のような狭所を走行するロボットに適用するのに有利なものとすることができる。
なお、本実施形態の走行体1において、突出部材22,23は、軸11,17と一体物として製作してもよいが、突出部材22,23を軸11,17とは別に製作した後、突出部材22,23に、図示しないキーなどを用いて回転不能とした状態で取り付けるようにした組立構造としてもよい。更に、突出部材22,23は、軸11,17と別に製作した後、溶接により軸11,17に取り付けるようにしてもよい。
また、リンク部材26,27は、第1の腕部34,37と第2の腕部35,38とを備えた構成としてあれば、第1の腕部34,37と第2の腕部35,38とを一体物として製作してもよいが、丸棒状の第1の腕部34,37と第2の腕部35,38とを、直接接続する構成や、あるいは、たとえば図示しないブロック形状の部材に丸棒状としてある第1の腕部34,37と第2の腕部35,38とを取り付けるようにした組立構造としてもよい。
[第2実施形態]
図8は、走行体の第2実施形態を示す概略切断正面図である。
なお、図8において、第1実施形態に示したものと同一のものには同一符号を付して、その説明を省略する。
本実施形態の走行体1は、図8に示すように、第1実施形態と同様の構成において、車輪接地機構5aを別の構成例としたものである。
本実施形態における車輪接地機構5aは、左側車輪ユニット3の軸11の先端側が、突出部材22の取り付け位置よりもフレーム18の中央側へ延長された構成を備えている。軸11における突出部材22より突出する先端側は、フレーム18の内部に設けられたブラケット45に、軸受46を介して回転自在に支持されている。これにより、軸11は、突出部材22の取り付け位置の両側が、挿通孔20aに設けられた軸受21aと、ブラケット45の軸受46とによって保持される。
同様に、右側車輪ユニット4の軸17の先端側は、突出部材23の取り付け位置よりもフレーム18の中央側へ延長されている。軸17における突出部材23より突出する先端側は、フレーム18の内部に設けられたブラケット47に、軸受48を介して回転自在に支持されている。これにより、軸17は、突出部材23の取り付け位置の両側が、挿通孔20bに設けられた軸受21bと、ブラケット47の軸受48とによって保持される。
よって、本実施形態の車輪接地機構5aは、軸11,17の先端側が自由端とされた状態で軸11,17の先端側に突出部材22,23が取り付けられた構成に比して、突出部材22,23の先端側に力がかかるときの軸11,17の変形をより強固に押さえることができる。よって、前記した軸11,17の支持手段は、走行体1に備える左側車輪ユニット3と右側車輪ユニット4の重量がより大きい場合に適した構成となる。
本実施形態では、揺動部材25は、長手方向中間部の孔30が、軸24の外周に、揺動自在(回動自在)な状態に加えて、軸方向への摺動が可能な状態で取り付けられている。この際、孔30の内側には、軸24との揺動と軸方向の摺動の抵抗を低減させるために、図8に示すような無給油ブッシュ36を取り付けるか、あるいは、摺動用コーティング(図示せず)などによる摩擦低減手段を備えることが好ましい。
更に、揺動部材25は、長手方向の両端側に、ボールジョイント(球体関節)49のメス部50を備えた構成とされている。
本実施形態において、突出部材22,23の突出端側と揺動部材25の両端側とを連動させるためのリンク部材26a,27aは、第1実施形態のリンク部材26,27の第1の腕部34,37と同様の腕部34a,37aと、ボールジョイント49のオス部51とを一体に繋いだ構成とされている。リンク部材26a,27aの腕部34a,37aは、対応する突出部材22,23の孔28,29に回転と軸方向の摺動が可能な状態でそれぞれ挿入されている。また、リンク部材26a,27aのボールジョイント49のオス部51は、揺動部材25の対応する端部側のメス部50に嵌めた構成とされている。
これにより、車輪接地機構5aでは、突出部材22,23が軸11,17と一緒に回動するときに、突出部材22,23の孔28,29の位置の前後方向への変位に伴って、孔28,29に腕部34a,37aが挿入されているリンク部材26a,27aが、前後方向に移動する。このようにリンク部材26a,27aが前後に移動すると、ボールジョイント49により繋がれている揺動部材25が軸24を中心として揺動する。
この際、揺動部材25が揺動するときには、揺動部材25の両端部のメス部50の位置が円弧状の軌跡で変位するため、メス部50から突出部材22,23までの左右方向の距離が変化するが、この距離の変化は、リンク部材26a,27aの腕部34a,37aが、突出部材22,23の孔28,29に対し軸心方向に摺動することによって吸収される。
また、突出部材22,23が軸11,17を中心に回動するときには、孔28,29の位置が円弧状の軌跡で変位するため、孔28,29の上下方向の位置も変化するが、この上下方向の位置変化は、揺動部材25が軸24に対して軸方向に摺動することによって吸収される。
更に、揺動部材25が揺動するときには、揺動部材25の長手方向の角度が、突出部材22,23に対して角度変化するが、この角度変化は、ボールジョイント49のオス部51に対するメス部50の相対的な角度変化によって吸収される。
したがって、本実施形態の走行体1では、第1実施形態と同様に、車輪接地機構5により、左側車輪ユニット3および右側車輪ユニット4は、フレーム18に対する前上がりのピッチ動作と前下がりのピッチ動作を互いに逆方向に同じ角度で連係して生じさせることができる。
よって、本実施形態の走行体1によっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、第1実施形態および第2実施形態では、揺動部材25が揺動するときの揺動部材25の両端部の左右方向の位置の変化は、突出部材22,23に設けられた孔28,29に対するリンク部材26,26a,27,27aの腕部34,34a,37,37aの軸方向の摺動によって吸収されるものとして説明したが、軸11,17に対する突出部材22,23の摺動によって吸収させるようにしてもよい。この場合は、たとえば、軸11,17のフレーム18の内側に配置されている部分を部分的にスプライン軸部とし、突出部材22,23の基端側にスプライン孔を、軸11,17のスプライン軸部に対して軸方向に相対移動可能に、且つ相対的な回転は阻止した状態で取り付けた構成とすればよい。
また、この場合は、突出部材22,23の孔28,29に対しては、リンク部材26,26a,27,27aの腕部34,34a,37,37aを、軸受などを介して回転のみを許容した状態で取り付けるようにすればよい。
第1実施形態および第2実施形態では、軸24は、フレーム18に固定された構成を示したが、軸24の端部を、軸受を介してフレーム18に対して回転可能な状態で取り付けた構成としてもよい。この構成を採る際に、第1実施形態のように揺動部材25を軸24に対して軸方向に変位させる必要がない場合は、揺動部材25は軸24に対して固定してよい。一方、第2実施形態のように、揺動部材25に軸24の軸方向に対する摺動が所望される場合は、軸24のフレーム18に対する取り付け部分以外の一部または全部をスプライン軸部とし、揺動部材25の長手方向中間部の孔30をスプライン孔として、この孔30を軸24のスプライン軸部に嵌めるようにすればよい。
これらの構成によっても、第1実施形態、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
したがって、本発明の車輪接地機構5,5aの採り得る構成をまとめると、以下のようになる。
突出部材22の孔28と、リンク部材26,26aとの接続部は、軸11に平行な回転軸を中心に回動可能とされている。突出部材23の孔29と、リンク部材27,27aとの接続部は、軸17に平行な回転軸を中心に回動可能とされている。揺動部材25とリンク部材26,26aとの接続部、および、揺動部材25とリンク部材27,27aとの接続部は、軸24に平行な回転軸を中心に回動可能とされている。
更に、軸24と揺動部材25の孔30との接続部、または、軸24のフレーム18に対する取り付け部の少なくとも一方は、軸24の中心軸を中心に回動可能とされている。
また、軸11と突出部材22との接続部、または、突出部材22の孔28とリンク部材26,26aとの接続部の少なくとも一方は、軸11に平行な方向にスライド可能とされている。軸17と突出部材23との接続部、または、突出部材23の孔29とリンク部材27,27aとの接続部の少なくとも一方は、軸17と平行な方向にスライド可能とされている。
揺動部材25に対するリンク部材26,26aとリンク部材27,27aの接続部、または、軸24に対する揺動部材25の取り付け部の少なくとも一方は、軸24と平行な方向にスライド可能とされている。
また、本発明は前記各実施形態にのみ限定されるものではなく、車輪接地機構5,5aは、各実施形態に示した構成を、軸11,17を中心とする周方向の任意の角度に傾けて配置してもよい。
また、車輪接地機構5,5aを前記のように傾けた配置とする場合は、フレーム18も車輪接地機構5,5aの角度に合わせた配置とすればよい。
たとえば、車輪接地機構5,5aを第1実施形態に示した状態から前後方向に90度傾けて配置した場合は、車輪接地機構5,5aのフレーム18も図1(a)(b)に示したような縦長の姿勢から前後方向に90度倒した姿勢になるので、フレーム18の上下方向の高さ寸法を低減させることが可能になる。
フレーム18は、筐体として機能するよう箱形の構造を備えるものとして示したが、左側車輪ユニット3の軸11を保持する左側軸保持部19aと、右側車輪ユニット4の軸17を保持する右側軸保持部19bと、これらを繋ぐ連結部とを備え、各軸11,17の間に、突出部材22,23と、軸24に揺動中心が保持された揺動部材25と、リンク部材26,27とを配置できるようにしてあれば、図示した以外のいかなる形状であってもよい。
また、本発明の走行体1の使用環境が塵埃や水などの車輪接地機構5,5aに影響する虞のあるものがない環境となる場合は、フレーム18は、左側壁18a(左側軸保持部19a)と、右側壁18b(右側軸保持部19b)と、連結部であり且つ機器搭載フレーム40が取り付けられている上端壁18cとを除いて、下端壁18dや前側壁18eや後側壁18f等の一部が開放された形状とされていてもよい。更に、フレーム18は、たとえば、図9に示すように、左側壁18aと右側壁18bと上端壁18cとを備えて、下面側と前面側と後面側が開放された構成としてあってもよい。これらのフレーム18を用いる場合、車輪接地機構5,5aの構成部材は、必要に応じてフレーム18における取り付け位置を適宜変更してよい。
機器搭載フレーム40は、図示した以外の任意の形状のものを使用してもよい。機器搭載フレーム40には、カメラ41と回路ボックス42以外の任意の外部機器を搭載してもよい。
走行体1は、必要に応じて、機器搭載フレーム40の上側に外部機器を搭載した構成としてもよい。
走行体1は、左前輪7と左後輪8に図示しない履帯(無限軌道)を巻いてなるクローラ形式の左側車輪ユニット3と、右前輪13と右後輪14に図示しない履帯(無限軌道)を巻いてなるクローラ形式の右側車輪ユニット4とを備えた構成としてもよい。
車輪接地機構5,5aにおいて、突出部材22,23は、軸11,17の径方向の一方向に突出するものとして示したが、軸11,17に取り付ける部分と、軸11,17から径方向に突出した位置でリンク部材26,26a,27,27aを取り付ける部分とを備えていれば、任意の形状としてよい。たとえば、突出部材22,23は、軸11,17を中心とする扇形や半円状や円板状の部材であってもよい。
車輪接地機構5,5aは、揺動部材25の孔30の位置が、左端側の孔32と右端側の孔33の中間部に配置されていて、孔30の位置が軸11に取り付けられた突出部材22と、軸17に取り付けられた突出部材23との中間部に配置されていれば、突出部材22と突出部材23とを互いに逆方向に同じ角度で連係して傾動させることができる。よって、たとえば、走行体1に、車輪接地機構5,5aのフレーム18を走行体1の中心から左右方向にオフセットした配置で備える場合は、揺動部材25の孔30の位置、および、軸24の位置は、必ずしもフレーム18の左右方向の中央に配置されていなくてもよい。
揺動部材25は、左右方向に延びる棒状の部材として示したが、軸24に揺動可能に取り付ける孔30と、孔30を中心とする対称位置にリンク部材26,26a,27,27aの接続個所を備えていれば、任意の形状としてよい。更に、揺動部材25は、たとえば、軸24を中心とする円板状の部材であってもよい。
車輪接地機構5,5aの構成部材のうち、互いに固定される部材同士は、一体物として製作するようにしてもよいが、組立構造としてもよい。
本発明の車輪接地機構5,5aの応用例として、揺動部材25は、左右両端側に長手方向に伸縮する機能を備えた構成としてもよい。この場合は、突出部材22,23の孔28,29に対するリンク部材26,27の第1の腕部34,37やリンク部材26a,27aの腕部34a,37aの軸方向の摺動の機能が不要になる。
また、本発明の走行体1の応用例として、左側車輪ユニット3と右側車輪ユニット4は、3輪以上の車輪を備えた構成としてもよい。この場合であっても、車輪接地機構5,5aにより、左側車輪ユニット3および右側車輪ユニット4は、胴体2に対する前上がりのピッチ動作と前下がりのピッチ動作を互いに逆方向に同じ角度で連係して生じさせることができる。
更に、左側車輪ユニット3と右側車輪ユニット4は、車輪が固定されている必要はなく、たとえばロッカーボギー機構等で車輪が保持された構成とされていてもよい。
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。