JP6589080B1 - 蓄電素子の劣化度及び蓄電残量検出装置 - Google Patents

蓄電素子の劣化度及び蓄電残量検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】蓄電素子の劣化度SOH及び蓄電残量SOCを精度よく瞬時に検出し、電池状態の認識を可能とする蓄電素子の劣化度及び蓄電残量検出装置を提供する。
【解決手段】二次電池10の劣化度SOHおよび蓄電残量SOCを検出する二次電池10の劣化度及び蓄電残量検出装置1であって、前記二次電池10の電圧および電流を計測する計測手段と、所定の演算を実行する演算手段を有する制御部と、を備え、前記制御部14は、前記二次電池の充電開始時の立ち上がり電圧および電流の計測値をもとに、以下の[数1]に示す電池方程式を用いて前記二次電池の動作時の過電圧δを演算により求める。
【数1】

Description

本発明は、二次電池等の蓄電素子のエネルギー残量を示す蓄電残量(SOC)、及び蓄電性能が初期に比べて、どの程度劣化あるいは熟成しているかを示す蓄電性能の劣化度(SOH)を検出する蓄電素子の劣化度及び蓄電残量検出装置に関する。
二次電池は、電子機器、電動機器や車両などに広く用いられている。二次電池としては鉛電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等が挙げられる。二次電池は、放電と充電を繰り返して使用できる電池である。このような二次電池を利用するにあたり、二次電池の劣化度(SOH;State Of Health、初期を100%としたときの現在性能)、二次電池の蓄電残量(SOC;State Of Charge、充電深度とも呼ばれる。“空”を0%、“満”を100%とする。)を知って初めて二次電池の適切な利用は可能となる。
二次電池のSOHやSOCを推定する技術としては、従来から種々提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
また、二次電池が各分野で、幅広く実用されながら二次電池の蓄電残量を精度良く検知する手段がなく、二次電池を電源として機能させる機器の使用者にとって、突然、機器が電気エネルギーの枯渇となって機能不能に陥るトラブルと不安感に付きまとわれているのが現状である。
この理由としては、二次電池の端子電圧を計測して、当該端子電圧に関連づけて蓄電残量の推察を行う手法がとられている場合は、図1に示すように、リチウムイオン電池のような高性能な二次電池になるほど残量に対する端子電圧Vが“空(EMPTY)”か“満タン(FULL)”の極限の場合を除きほとんど変化しないため、端子電圧では残量確定が困難であり、必要な検出精度が実用の域を超えているという問題があった。
また、上記以外の二次電池の蓄電残量の検出方法としては、電流の出入を時間積分して、電池からの電気量増減を基準値から加減算して残量の推察を行う方法がとられている。この場合は、基準値の設定、例えば基準値を満充電とするか残量ゼロにするか等の設定上の困難な課題を伴い、さらに、充電時、放電時の電池内部の損失が蓄電量に反映されないという問題があり、総じて甘い残量認識となってしまう。
二次電池の蓄電残量を正確に検出する技術は、将来さらに普及するであろう電気自動車はもとより、電池に蓄えられた電気エネルギーで駆動する機器には必要不可欠であり、その技術の確立が急がれている。
二次電池は負極と正極の二つの極を有し、負極の化学的ポテンシャルが正極のそれよりも高いように極を構成する材料が選択されている。さらに、負極に堆積している作動媒体、例えば、リチウムイオン電池ではリチウムイオンが正極に滑り落ちるとき、その化学的ポテンシャルの差とリチウムイオンの数に比例するエネルギーを外部電気回路に放出しエネルギーを与える。これが二次電池の放電過程である。
また、二次電池の充電過程は正極のポテンシャルを負極よりも高くし正極に堆積する作動媒体を負極に落し込む過程となるが、この過程には外部にポテンシャルを高める電源を必要とする。
このように二次電池内部での動作は、単に正極と負極の作動媒体の移し替えに過ぎない動作とも云えるが、電極内あるいは、電極界面では酸化/還元の電気化学反応が伴い例えば、時間あたりの反応量の定量化あるいは量変化制御等は極めて複雑かつ重要なデバイス構成となる。
しかし、二次電池による電気エネルギーの利用に関しては機器回路あるいは電子デバイスは電子の流れだけで構成されているだけであるから、効率よく、しかも即応的な電気化学反応の把握が可能となれば、適切な電池状態の認識と対処法が確立できるはずである。そのため、そのような二次電池における電気化学反応に基づいた電池状態の把握が望まれている。
具体的には、蓄電された二次電池から電気エネルギーを取り出し、例えば電気自動車やハイブリット車等の電動車のように電気エネルギーを動力に変え仕事をさせるシステムにおいて、その過程の途上に蓄電残量を正確かつ短時間に計量化し確認できることが基本性能として望まれる。しかし、現状技術では、極めて曖昧にしか蓄電残量を認識できずユーザにとっては予想に反して想わぬトラブルに巻き込まれたり、あるいは予想通りに電動車の稼動ができなかったりした事例が多々散見される。
これらの電動機器・電動車等に使用される電池は鉛電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等のいわゆる二次電池であり、放電と充電を繰り返し使用できる電池である。例えば、リチウムイオン電池の充放電は、二次電池中のリチウムイオンが非水電解液を介して正極−負極間を移動し、正極または負極の活物質にリチウムイオンが挿入脱離することにより行われる。
これらの二次電池は、多数回の充電/放電の繰り返し、又は、過充電/過放電に伴い、二次電池の電解液に添加される内部構造体である電解質の劣化や電極板の損傷、状態変化等により蓄電容量が初期に比べて変化し、性能劣化が進行する。最終的にはこの二次電池を使用することができなくなってしまう。
以上のことから、二次電池等の蓄電素子のSOH及びSOCを精度よく、かつ瞬時に検出可能な技術が求められている。
特許第3752249号公報 米国特許第7075269号明細書 中国特許第100395939号明細書
松田他「電気化学概論」(丸善出版) 春山志郎、「表面技術者のための電気化学」(丸善出版)
本発明の目的は、二次電池等の蓄電素子の劣化度SOH及び蓄電残量SOCを精度よく瞬時に検出し、電池状態の認識を可能とする蓄電素子の劣化度及び蓄電残量検出装置を提供することである。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、
蓄電素子の劣化度SOHおよび蓄電残量SOCを検出する蓄電素子の劣化度及び蓄電残量検出装置であって、
所定の演算を実行する演算手段を有する制御部と、
前記蓄電素子の電圧および電流を計測する計測手段と、を備え、
前記制御部は、
前記蓄電素子の充電開始時の立ち上がり電圧および電流の計測値をもとに、以下の[数1]に示す電池方程式を用いて前記蓄電素子の動作時の過電圧δを演算により求めるものである。
Figure 0006589080
但し、[数1]においてΔνは前記蓄電素子の端子電圧v、と起電力ηeq*の差電圧であり、Δνは動作時に電極面での酸化/還元反応に伴い発生する電位差となる。また、定数fはファラディ定数、ボルツマン定数、及び絶対温度からなる物理定数である。
すなわち、請求項1に係る蓄電素子の劣化度及び蓄電残量検出装置は、前記制御部が前記蓄電素子の充電開始時の立ち上がり電圧を計測し、平衡電圧との差から「過電圧δ」と「内部抵抗に伴う電位差」を[数1]で示す「電池方程式」を使用し分離演算し、同時に計測する電流値から電極反応に伴う「動的内部抵抗」を検出するものである。
なお、「電池方程式」の詳細に関しては後述する。
請求項2においては、
前記制御部は、
前記[数1]に記載の2式が等しい条件から前記動作時の過電圧δを確定するものである。
請求項3においては、
前記制御部は、
前記蓄電素子の充電を遮断した時の立下がり電圧の時間経過を計測し前記蓄電素子の電解質特性を演算算出するものである。
これにより、電極間に充填されている電解質中の作動媒体(例えばリチウムイオン)の動作を正確・緻密に確定することができる。ひいては、電池特性を左右する電池構成部材である電解質の特性の良否を判定するものともなる。
また、電解質特性とは、電解質の電気的特性値として示される拡散抵抗、電気泳動抵抗、イオン間の反発によって形成されるキャパシター成分のそれぞれの数値のことであり、これらの数値が確定されると電気等価回路が作成可能となり、充電中または放電中でも、上記電解質特性を考慮した補正を加えることより、SOC,SOHの正確な同定が可能となる。
請求項4においては、
前記制御部は、
前記電圧の計測値と前記[数1]に示す電池方程式を用いて充電時の動的内部抵抗Dirを求めて、Dirから劣化度SOHを算出するものである。
具体的には、請求項4に係る蓄電素子の劣化度及び蓄電残量検出装置においては、
前記制御部は、
前記電圧の計測値と前記[数1]に示す電池方程式を用いて充電時の動的内部抵抗Dirを求めて、前記蓄電残量SOCを参照してDir最小値を割り出した最小Dirから該電池の容量を算出するものである。
請求項5においては、
前記制御部は、
前記電圧の計測値と前記[数1]に示す電池方程式を用いて前記過電圧δに対する電圧−電流特性式である[数2]の電池固有の係数を確定することによって、電池容量を導出するものである。
Figure 0006589080
請求項6においては、
蓄電素子の劣化度SOHおよび蓄電残量SOCを検出する蓄電素子の劣化度及び蓄電残量検出装置であって、
前記蓄電素子の電圧および電流を計測する計測手段と、
所定の演算を実行する演算手段を有する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記蓄電素子の充電または放電に関する所定の条件をもとに、以下の[数1]に示す電池方程式を用いて前記二次電池の動作時の過電圧δを演算により求めるものである。
Figure 0006589080
但し、[数1]においてΔνは前記蓄電素子の端子電圧v、と起電力ηeq*の差電圧であり、Δνは動作時に電極面での酸化/還元反応に伴い発生する電位差となる。また、定数fはファラディ定数、ボルツマン定数、及び絶対温度からなる物理定数である。
請求項7においては、
前記所定の条件は、放電開始時の立下り電圧の時間経過であるものである。
請求項8においては、
前記所定の条件は、放電遮断時の立ち上がり電圧の計測値であるものである。
請求項9においては、
前記所定の条件は、充電電流を増加させた時または放電電流を減少させた時の立ち上がり電圧の計測値であるものである。
請求項10においては、
前記所定の条件は、充電電流を減少させた時または放電電流を増加させた時の立下り電圧の時間経過であるものである。
請求項11においては、
前記所定の条件は、充電から放電へ移行させた時の立下り電圧の時間経過であるものである。
請求項12においては、
前記所定の条件は、放電から充電へ移行させた時の立ち上がり電圧の計測値であるものである。
本発明によれば、二次電池等の蓄電素子の劣化度SOH及び蓄電残量SOCを精度良くかつ瞬時に検出することができる。
電池種の違いによるSOCに対する起電力の変化を示す図。 本発明の一実施形態に係る二次電池の劣化度及び蓄電残量検出装置の基本的構成を示すブロック図。 充電時の電池動作を示す電池方程式の解を求める特性図。 充電時の電池内部の電気回路等価回路を示す図。 長期静止状態から電流印加直後の特性図。 電池方程式と電流−電圧特性を複合した線図。 電圧-電流の立ち上がり/立下りの時間特性を示す図。
次に、本発明に係る二次電池等の蓄電素子の劣化度SOH及び蓄電残量SOCを計測するための計測原理について図面を参照しながら説明する。以下においては、蓄電素子の一例として二次電池を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、以下においては、二次電池のことを単に電池と呼ぶ場合もある。
[計測原理]
二次電池の正確な蓄電残量の検出のためには、起電力(Electro Motive Force)の増減と蓄電残量の増減の関係を正確に計量化しておき、起電力を計測し蓄電残量を計数化することが一つの手法となる。しかし、元の蓄電残量が正確に分かっていれば、計量しながら元の蓄電残量から使用分を抜き取り、その差し引き勘定から現在の蓄電残量は得られるが、元の蓄電残量を正確に計測することが出来なければ、その後の残量数値は信頼性の乏しいものとなる。特に、充電時の電気量の注入、放電時の電気量の取り出しは電池内部の電気的抵抗(内部抵抗)による熱損失が伴い差し引き勘定に誤差が伴うため正確な蓄電残量の計測は不可能に近い。
二次電池の蓄電残量を正確に計量する他の手法として、電池の起電力の計測がある。しかし、動作中の電圧は起電力を示すものでなく、動作を止めると非常に緩慢に計測値は変動する。例えば、充電を遮断した場合は、電圧値は徐々に低下し長時間かけ一定値に落ち着く。また放電を遮断すれば電圧は徐々に上昇し、これも長時間かけ一定値に収斂する。
この収斂した電圧が電池の起電力であり、電池の蓄電残量(SOC)の指標となる。すなわち起電力の計測は極めて長時間を要し、いったん充電なり放電するとその後何時間も放置しておかないと起電力は計測不可能であり、電池に存在する蓄電残量、即ち引出し得る電気量(パワー)は時々刻々には計測計量することはできず、したがって電池を適用した機器の制御を難しくし、また電池使用の扱いを厄介なものとしていた。
図1は、二次電池の蓄電残量に対する電池電圧の変化を示す図である。すなわち、図1は、電池の種類(リチウムイオン電池、鉛電池)による蓄電残量x(SOC)と起電力Vの関係を示したものである。図1において収斂した電圧が電池の起電力であり、電池の蓄電残量(SOC)の指標となる。
図1に示すように、鉛電池は蓄電残量x(SOC)に対する起電力Vの変化幅は大きいが、リチウムイオン電池では微小な変化であることから、リチウムイオン電池の起電力Vから残量x(SOC)を同定することは困難となる。
本発明の二次電池の劣化度及び蓄電残量検出装置に係る計測原理は、二次電池における、瞬時且つ正確な残量等の計量を目的に、電池反応論の帰結により得られた「電池方程式」を応用するものである。
なお、「電池方程式」とは、具体的には二次電池に関する電池反応の理論から導かれる方程式であり、酸化/還元反応に伴う過電圧と反応抵抗による回路方程式のことである。
本発明は、二次電池の電池容量を特定する際に同じく電池方程式から動的内部抵抗Dir(Dynamic Internal Resistance)を瞬時に計量し、電池種による固有の定数を使用して、二次電池の現在容量である蓄電残量(SOC)あるいは劣化度(SOH、健全度とも呼ばれる)を算出するものである。
また、本発明は、上記とは異なる他の手法として、電池方程式と電圧−電流式を併用し電流特性係数を瞬時に計量し、この係数に比例する容量を即座に計量化して、電池の現在容量である蓄電残量(SOC)あるいは劣化度(SOH)を算出するものである。
ここで、電池反応に関する論理の概要を述べ、本願発明者らが確立した「電池方程式」に関し説明を加えておく。
なお、以下では、便宜上リチウムイオン電池の構成に基づいて説明するが、特に電池種を限定するものではない。
まず、負極の電池反応を反応速度の律速とし過電圧と電流に関し考察する。尚、ここで律速に関し説明を加えておく。電池は正極、負極、その間のイオン電導を司る電解質が主たる構成部材であるが、それぞれを通過する時間当たりの電子の量、あるいは、イオンの量は連続の論理から等しい。従って、一番流れ難い部材を流れる量が全体の流れを律することから律速と称す。
酸化/還元反応はアレニウスの理論に基づき、次のように数式化され、式中の各符号を定義したとき、電流密度は次式で与えられる。
Figure 0006589080
平衡時は電流がゼロであるから、[数1]から平衡電圧ηeqは容易に算出される。
Figure 0006589080
即ち、平衡電圧ηeqは、濃度比c(0,t)/cr(0,t)によって異なった数値をとる。
反応界面の濃度は時間tが無限に経過したとき、ある一定値をとる。これを次式で表現する。
Figure 0006589080
従って、これらを[数2]に代入すると次のネルンスト(Nernst)の式が得られる。
Figure 0006589080
ここで、上記Ec´は次のように表される。
Figure 0006589080
時間を十分にとったときの平衡状態の電圧を基準に、過度状態の平衡電圧を表現する。時間t0−までは、充電電流は流れており、したがって、界面での酸化材濃度は、時刻t0+で電流が遮断された直後はこの濃度を保っていると考える(図7参照)。
この時の平衡電圧は[数3]で示され、長期放置後の平衡過電圧は、[数4]で表される。その差をとると次式となる。
Figure 0006589080
このΔηeq(t)は、電極から遠い沖合での溶融和形態での電解質中のリチウムイオン、及び、電極の極近辺での、酸化/還元場でのリチウムイオンの拡散、あるいは、電界場での電気泳動によって電気等価回路的にコンデンサーと抵抗のタンク回路を形成することによって現れる電位であり(図4参照)、定常充電中に、ある時点で充電遮断し、その後の時々刻々の電圧の変化を計測することによって、電解質中のリチウムイオンの導電率、電気二重層としてのキャパシター成分が同定できることを以下に示す手順で解明した。
なお、電気二重層とは、電極と電解液の界面で正の電荷及び負の電荷が非常に短い間隔を隔てて対向し、配列する層のことである。
[Δηeq(t)の形成過程に関して]
長期静止状態から充電電流Iの立ち上げに際し、たとえば負極の還元反応は反応面に存在する酸化材濃度c(0,t)でt=0に相当し、長期静止状態であるからこの値はc*に等しい。負極反応によって、この濃度は消費され還元されてc*に変わり格納される。
前記消費分を補充するためには沖合からの酸化材の補充流入を要し、初期のc*と補充中のc(0,t)の比の自然対数に物理定数を掛けたものがΔηeq(t)となる。
このΔηeq(t)は、勇み反応面に到達したイオンが先客イオンに反発されイオン対抗ゾーンが、所謂、電気二重層として形成され、同時に拡散によって安定したタンク回路となる。この形成過程は次式で表現される。
Figure 0006589080
時間(τ=t)充電後、遮断したとすると遮断直後のタンク回路の電位差は次式となる。
Figure 0006589080
遮断以降の電圧ν(t)は、次式の一般式で与えられる。
Figure 0006589080
この式は、未知数としてΔηeq(0)、T、ηeq*,があり、3つの、連立方程式からこの未知定数が固定される。
Figure 0006589080
ここで、t=2tと置き、時間等間隔で3点電圧計測し、さらに、e−t1/T=xと置くと、上記3式は次の代数方程式になる。
Figure 0006589080
この方程式の解は次のように求まる。
Figure 0006589080
この関係を使えば、遮断後の電圧ν(0)、ν(t)、ν(2t)を計測すれば、充電電流に応じタンク回路電圧Δηeq(0)、該タンク回路が完全放電した時に相当する起電力ηeq*,、それにタンク回路時定数Tが確定し、電解質の特性が定量化される。
図7に示すように、充電遮断した時点でΔηeq(0)が存在し、その後、タンク回路中の荷電量は並列抵抗で時間とともに消失、時間経過後Δηeq(∞)=0となる。
[電極反応による電荷移動過程に関して]
次に、負極の電池反応を反応速度の律速とし過電圧と電流に関し考察する。
電流は、平衡電圧(Δηeq+η*eq)を超えた過電圧δが加算されて、初めて流れる。[数1]でη=δ+Δηeq+η*eqの関係を導入して変形すると次式となる。
Figure 0006589080
ここで、[数1]、[数2]、[数3]、[数4]の関係式、及び、移動度α=1/2、荷電子数n=1と置いて演算した。
[数13]は任意の平衡電圧からの変位δに関し成立する電流密度を与える関係式である。電流Iに関しては、この式に有効電極面積Sを乗じたもの、になるから電流−電位関係式は次式となる。
Figure 0006589080
ここで、[数14]のKxは以下のように表せる。
Figure 0006589080
δは、仮想平衡(平衡電圧;η*eq+Δηeq)を超えた過電圧値となる。ただし、電流値は、平衡電圧η*eqを超えたδ+Δηeqによって決まる。
η*eqは、安定期の電極界面での酸化材と還元材の濃度比によって決まる電位で、Δηeqは動作反応時、動作電流に応じて必要となる反応界面での濃度の過剰分に相当し平衡電位に変化を与える(図3参照)。
電流Iの微小な過電圧δに対する依存性は動作点でのコンダクタンスとなり、その逆数は動作点での抵抗すなわち動的内部抵抗Dirとなる。これを表記すると以下の式となる。
Figure 0006589080
また、Kは、[数6]を使い、次のように変形される。
Figure 0006589080
[数16]により導出される動的内部抵抗Dirと[数14]による電流Iの積は次式[数18]に示すように電池に関わらず動作過電圧δだけに従属する関数となる。
Figure 0006589080
電圧−電流特性を確定する諸要素(δ,Δηeq,Dir,I)が上記で確定できたので特性の概略図(図3参照)及び電池の等価回路(図4参照)が描ける。
[電池方程式(一般式)]
動作中には電解質中のイオンの流れにより、電極界面に上述した電気二重層が形成されて、図3、図4で示すΔηeqの平衡電位の加算が起きる。
図3は、充電時の電圧−電流の特性図である。
図3より、起動時の端子電圧Δvは次式を満たす。
Figure 0006589080
ここで、電流式は次式となる。
Figure 0006589080
また、動作点でのDirは次式で求まる。
Figure 0006589080
従って、次式が導ける。
Figure 0006589080
これを、[数19]に代入して、次式“電池方程式”が樹立される。
Figure 0006589080
過電圧δに関する図表示をすると図3となる。
[電池方程式(特殊解)]
静止状態からの立ち上がり時には電流式は次式となる。電極表面には、電界質中の電気二重層がまだ形成されていないから一般式でΔηeq=0と置いた式となる。
Figure 0006589080
図5は、静止状態からの立ち上がり充電時の電圧−電流の特性図である。
図5より、起動時の端子電圧Δvは次式を満たす。
Figure 0006589080
静止状態からの動的内部抵抗Dirは次式のように表せる。
Figure 0006589080
Figure 0006589080
DirとIの積は、次のように示すことができる。
Figure 0006589080
以上、纏めると、次の3つの式になる。
Figure 0006589080
[数29]を使用して、過電圧δを変数として、過電圧δに関する数値計算を行いグラフに描くと図6となる。なお、図6のグラフは、電池の種類、大きさ等にかかわらず成立する。
ここで、図6における横軸は過電圧δである。図6における上段グラフの縦軸はΔvであり、下段グラフの縦軸は後述するI/Kである。
具体的には、図6のグラフは、電池の電圧(起電力)すなわち、その時点の平衡電圧(ηeq*)より高い電圧を電池に印加すると、電池は電池の種類にかかわらず、このΔv(=ν−ηeq*)だけで動作点δを決定することを意味している。即ち、電池反応は、どんな電池でもその動作が同一の式によって表現され、電池の種類、性能の違いは、この動作点δによって、電流、および電池内部抵抗が決定されることを示唆するものである。
なお、図6のようなグラフデータ(マップデータ)は、後述する検出装置1の計測制御器14に記憶される。
[解の誘導例(図6の適用例)]
実際には、検出装置1(計測制御器14)の内部に装着しているマイコンがすべて演算することになるが、マイコンがどのような演算過程を踏まえ演算結果を提示するのかを以下説明を加えておく。
二次電池の充電時において、
1)電流印加する。
2)Δvを実測し、図6を用いてΔvの曲線グラフとの交点を求める。この交点に対応するδ値が確定する。
3)δに関する電流関数はSOCよって異なる係数を持ち図6に示すようにSOCに対応した特性曲線となる。何故なら、係数式を変形して次のように表せる。
Figure 0006589080
この式から以下の式が導かれる。
Figure 0006589080
この式が図6の電流式である。
従って、動作時のSOCが既知であれば、その交点から電極の種類による(I/K00Sc)の交点を通る点(δ,I/K00Sc)が決定し、この点はSOCに対応した動作点となる。
[数31]の式で、その右辺が確定すれば、左辺の計測電流Iを導入すれば、電池種固有の特性値K00及び有効電極面積Scが確定する。
図6に示す特性図で、過電圧δに対する電流値Iはチャージング状態(即ちSOC)によって大きく異なる。すなわち、SOCの小さいときには一定の電流値を得るには、大きなδ値が、また充電が進み、SOC;50%近辺で、過電圧δは最小となり、さらに、充電が進むと再びδは大きくなる。電池が"空"から"満"までの充電過程は図6に示す矢印に沿って動作点が変わる。SOC;50%を何らかの手法で固定でき、図6でSOC=0.5曲線から電流I及びδが固定されると[数12]は次式となる。
Figure 0006589080
この式から電池の現在の性能を示す電池性能指数となるSOHが確定し、図6に示す線図から電池性能指数であるSOHが確定される。
以上が上記「電池方程式」に基づいて二次電池の劣化度及び蓄電残量を検出するための原理である。
ここで、前記数式解析と定性的現象論との連関に関し、説明を加えておく。
[電池起電力と動的内部抵抗について]
図4には、充電の概念を示す電気等価回路を示す。
次に、図4に示す電池(本実施形態では二次電池10)の等価回路を用いて、電池起電力Vemfと動的内部抵抗Dirについて説明する。
電池を等価回路で表すと単純な電気回路となる。すなわち、電気エネルギーであるチャージ量(蓄電容量)Q(単位はクーロン)を持つ電池素子と、この電池に直結した純抵抗(コンダクタンス)の直列接続で表される。具体的には、以下に示すように、電池端子間(A−B)の電圧をV、電池端子間(A−B)に流れる電流をI、動的内部抵抗をDir、電池起電力をVemfとすると、図4に示すように、電池を等価回路で表すことができる。
V;電池端子間(A−B)の電圧
I;電池端子間(A−B)に流れる電流
Dir;動的内部抵抗(Dynamic Internal Resistance)
Vemf(=ηeq*);電池起電力(静止時の正極・負極間電位差)
電池起電力Vemfとは電池が外部の回路と接続しておらず、電流が流れていない状態(静止時)での電池端子間(A−B)の電圧を意味する。例えば二次電池の一例であるリチウムイオン電池の場合、前記電池起電力Vemfは、リチウムイオンLiや電子eの流れではなく、陰極と陽極のイオンポテンシャル差となる。したがって、イオンポテンシャル差は陰極と陽極の間のリチウムイオンLiのサイトの占有率の差によって表される。
蓄電容量Qとは、例えばリチウムイオン電池の場合、リチウムイオンLiが陰極に蓄えられる空間の大きさを意味する。すなわち、蓄電容量Qが大きいとは、陰極及び陽極の体積が大きい(サイト数が大きい)ことであり([数32]のK値が大きい)、また、作用面が大きく([数32]のSc値が大きい)、両極へのリチウムイオンLiの浸透が早く、多いことを意味する。
蓄電容量Qは、二次電池10の劣化に伴い減少する。前記二次電池10の劣化とは、動的内部抵抗Dirが増加して、リチウムイオンが電池電極に接触せず機能しないことを意味する。動的内部抵抗Dirが増加する原因としては、リチウムイオンの電気泳動における抵抗の増加、反応速度の低下、拡散速度の低下、陽極及び陰極におけるリチウムイオンのサイト数の低下などが考えられる。前記動的内部抵抗Dirは充電及び放電を重ねることにより増加し、その結果二次電池10の劣化が進行する。
動的内部抵抗Dirは電池反応に起因するが、反応面積が大きいほど小さくなる。また、電池容量Qは、反応面積が大きいほど大きくなる。以下に蓄電容量Qと動的内部抵抗Dirの関係について具体的に説明する。
<蓄電容量と動的内部抵抗の関係>
次に蓄電容量Qと動的内部抵抗Dirの関係について単純モデル化した概念を説明しておく。
負極と正極の対となる微小作用面要素をdSとすると、このdSによって電池素子を等価回路で表すことができる。
ここで単位作用面積あたりの回路における電流の流れやすさを意味するコンダクタンスρは、単位面積あたりの抵抗をrとすると、
ρ=1/r
で表され、有効作用面積(反応面積)をSとすると動的内部抵抗Dirは、
Dir=1/∫ρdS=1/ρS=r/S・・・(a)
で表される。また、全面積の蓄電容量Qは単位面積あたりの電気容量をqとすると、
Q=∫qdS=qS・・・(b)
で表される。以上(a)(b)の式より、
Dir×Q=qr=K・・・(c)
の関係が得られる。ここでKは二次電池の種類によって決定される定数(一定値)である。
すなわち、蓄電容量Qの異なる同一種類の二次電池では、その蓄電容量Qと動的内部抵抗Dirを掛け合わせた数値は上記(c)式の如く一定だから、蓄電容量Qが大きな電池は動的内部抵抗Dirが反比例して小さく、また、動的内部抵抗Dirが増すと蓄電容量Qはそれに反比例して減少することとなる。また、有効作用面積Sが小さくなると蓄電容量Qは減少し、一方動的内部抵抗Dirは増大する。よって、動的内部抵抗Dirを算出することにより、Kの値を用いて蓄電容量Qを算出することができる。
ここで、動的内部抵抗は本実施形態に係る電池方程式から得られるDirを指す。
[二次電池の劣化度及び蓄電残量検出装置の具体的態様]
次に、本発明の一実施形態である二次電池10の劣化度及び蓄電残量検出装置1(以下、単に検出装置1ともいう)について図面を参照しながら説明する。ここで、二次電池10とは、充放電を繰り返し行うことができる電池をいい、電気エネルギーを化学エネルギーに変換して蓄え、また逆に、蓄えた化学エネルギーを電気エネルギーに変換して使用することができる電池をいう。例えば、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−水素金属電池、リチウムイオン電池等がある。
図2に検出装置1の基本的構成を示す。検出装置1は、二次電池10に充電電圧を供給する電源部11と、充電電流計測手段である電流検知器12と、電圧計測手段である電圧検知器13と、計測制御器14と、表示手段15と、操作スイッチ16等を主に備える。計測制御器14は、電源部11、電流検知回路12、電圧検知器13、表示手段15、操作手段16等と電気的に接続されている。
なお、本実施形態で説明する検出装置1の構成は、本実施形態で説明する機能を実現可能な構成であれば良く、適宜変更可能であるものとする。二次電池10は、電流検知器12を介して電源部11に接続される。
電源部11は、商用交流電力を直流に変換する変圧、整流回路を有している。電源部11は、二次電池10の定格電圧に対し、例えば1.2倍程度の出力電圧であって電池容量の0.1C程度以上の電流が得られる電源である。電源部11は、外部電圧制御端子(図示せず)を有し、該外部電圧制御端子を介して二次電池10に接続される。
電圧検知器13は、二次電池10の電圧計測するものであり、二次電池10の正極(+)と負極(−)の端子間電圧(端子電圧ともいう)を検知する。
電流検知器12と電圧検知器13は、二次電池の電圧および電流を計測する計測手段を構成する。
計測制御器14は、中央演算装置、記憶手段(ROM、RAM、HDD等)、各種I/Fなどで構成されるPC(パーソナルコンピュータ)もしくはマイクロコンピュータを有し、本実施形態で説明する計測原理や演算をプログラムとして格納し、かつ該プログラムを実行することができる。すなわち、計測制御器14は、所定の演算を実行する演算手段を有している。具体的には、計測制御器14は、二次電池10に通電されている電流値を電流検知器12を介して検出する電流検出部と、二次電池10の端子間の電圧値を電圧検知器13を介して検出する電圧検出部と、電流検出部及び電圧検出部により検出されたアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換部等を備えている。ROM等の記憶手段には、検出装置1内で処理される各種処理プログラム(例えば、本実施形態で説明するSOH及びSOCの検出方法の計測原理に基づくとともに、検知された電圧・電流データを用いて所定の演算を行うプログラム)等が格納される。
表示手段15は、二次電池10の充電状態を示す情報(例えば、劣化状態等)を表示するものである。表示手段15は、LCD等で構成される。表示手段15は、二次電池10の充電状態を示す情報としては、例えば、電池起電力Vemf、動的内部抵抗Dir、劣化度SOH(State Of Health)、蓄電残量SOC(State Of Charge)などを表示することができる。
操作手段16は、ユーザがSOH及びSOCの検出を実行するために操作等を行う手段である。操作手段16は、例えば、操作スイッチ、液晶等のタッチパネル、キーボート等である。
図2に示すように、二次電池10を電源11に電流検知器12を介して接続する。二次電池10の電圧計測のための電圧検知器13及び充電電流計測のための電流検知器12のそれぞれで計測された電圧及び電流信号を計測制御器14に送信する。計測制御器14は、該信号を受け演算し、電源11の出力電圧および電流を適正値に制御すると同時に演算結果としてSOCおよびSOHの数値を出力、すなわち表示手段15により表示を行う。
図7は、電圧−電流の立ち上がり/立下りの時間特性を示す図である。
図7は定電流制御としたとき、t=0に充電動作開始した後の電圧−電流の時間変化を描いた図である。起電力(平衡電圧)より高い過電圧δを印加すれば一定値の電流はIとなり、電池端子電圧はvとなる。
電流の設定値Iに対して得られる計測値Δvから、[数23]の式、あるいは[数25]の式を使い、過電圧δ、動的内部抵抗Dirが算出され、あらかじめ“空”から“満”まで計測した動的内部抵抗Dirと容量Q、SOCとηeq*(=Vemf)のデータを使用しDir比から、同種新規電池セルの容量を確定する。この所要時間は、上述した計測原理に基づいて演算される時間であるため、僅か1秒もかからずに、即刻、電池の性能判定を下すことができる。
[SOH(劣化度)の算出]
次に二次電池10の劣化の進行状況を示す指標である劣化度SOHについて説明する。
本実施形態の検出装置1は、計測制御器14にて二次電池1の充放電サイクルに対する劣化状態を示す劣化度であるSOHが算出される。前記SOHは、電池の劣化の進行状況を示す指標であり、現在の蓄電容量の初期蓄電容量に対する比で表され、初期蓄電容量をQとすると、SOH=(Q/Q)×100で算出することができる。
蓄電残量SOCについては、上述した計測原理等により電池起電力Vemfを正確に取得することができれば、該取得された電池起電力を二次電池10の充電率が100%となる電圧と定義すればよい。
検出装置1は、前記計測制御器14において、二次電池10の現在の蓄電容量Q、SOH及びSOCを算出して、これらを表示手段15に出力して表示することができる。
[手法1]
以上のように、本実施形態の検出装置1によれば、制御部の一例である計測制御器14は、二次電池10の充電開始時の立ち上がり電圧および電流の計測値をもとに[数25]に記載の電池方程式及び[数28]に記載の式を使って、二次電池10の動作時の過電圧δと、Dirを演算により求めることができる。さらに、このDirと、新品の二次電池のDirとの対比によって前記劣化度SOHを検出することができる。これにより、二次電池10のSOHが精度良くかつ瞬時に検出することができる。したがって、二次電池10の電池状態(例えば充電状態)の認識がいつでも可能となる。
[手法2]
また、本実施形態の検出装置1によれば、計測制御器14は、二次電池10の充電を遮断した時の立下がり電圧の計測値と[数9]〜[数11]とから求められるΔηeq及びηeq*と「電池方程式」を用いて静止時の正確な起電力の変化を求め、その起電力があらかじめ計測された対比テーブルとの照合により蓄電残量SOCを確定する。これにより、二次電池10が長期間使用により容量低下となっても、その時点の蓄電残量が比率としても、絶対値としても取得され、ユーザのエネルギー枯渇による不安感が払拭される。
また、本実施形態の検出装置1によれば、計測制御器14は、電圧検知器13による電圧の計測値と前記[数23]に示す電池方程式を用いて充電時の動的内部抵抗Dirを求めて、前記蓄電残量SOCを参照してDir最小値を割り出した最小Dirから劣化度SOHを算出する。これにより、二次電池10のSOHを精度良くかつ瞬時に検出することができる。したがって、二次電池10の電池状態(例えば劣化状態)の認識がいつでも可能となる。
また、本実施形態の検出装置1によれば、計測制御器14は、電圧検知器13による電圧の計測値と[数23]に示す電池方程式を用いて過電圧δに対する電圧−電流特性を決定する電池固有の係数([数31]参照)を確定することによって、二次電池10の電池容量を導出する。
すなわち、このように導出する具体策として、図6を応用して、電流−電圧カーブの係数Kを確定し、酸化還元の化学反応を原理とする電池反応の蓄電素子容量Q=0.55(当該数値は、電気化学反応論から最適充電条件で算出される)をこのK値に乗じた値を容量Qとして決定することができる。すなわち、上述した検出装置1では、これらを演算処理するため、その所要時間は、僅か1秒もかからない即刻性能判定が下せる。なお、蓄電素子容量は±10%程度の誤差がある欠点を持つが、上記の[手法1]でこの誤差を極小化することは可能である。
[本発明の実用的展開に関して]
また、本発明の二次電池の劣化度及び蓄電残量検出装置は、以下のような効用が期待される。
1)電池の性能は、酸化・還元反応を司る電極(負極及び正極)の性能によって決まる。この電極性能を本発明により電池外部から印加する電圧、電流値を計測し、その演算によって短時間で確定することで電池使用の安全・信頼の確信となる。
2)電池内部は一般に作動媒体(例えばリチウムイオン電池ではリチウムイオン)がその媒体を高分子誘電体中に溶融和形態で存在し、充電/放電過程で流れが形成される。この流れの度合いも電池性能に大きく関わる。これも上記1)と同様に外部電圧・電流の計測から数値化し、その良否の判断を可能とする。
3)電池には劣化を伴う寿命をもつ。本発明の二次電池の劣化度及び蓄電残量検出装置により、計測結果の経年データ分析からその予測が可能となる。これは迅速かつ正確に本発明によってデータ取得が可能となったことによる。
二次電池を使用するうえで、現在の蓄電残量(SOC)、劣化度(SOH、蓄電性能)が常に把握できることが必要不可欠である。しかし、従来技術では、即座にこれら電池状態の検知が不可能であり、思わぬ“電気枯渇”あるいは“過充電”を招き、種々のトラブルあるいはハザードを惹起する事例が多々見られる。
本発明の二次電池の劣化度及び蓄電残量検出装置は、複雑な機構を持つ電池内部の化学的反応と外部回路を流れる電子の流れの連続性に関し、電極での酸化/還元時の電子の流れを化学反応論のむしろ古典的手法に基づき解析し、上述した普遍的な「電池方程式」に集約し、その応用・適応の開発をもとに電池の良否、性能が1秒足らずで正確に計測可能の"電池分析器"として創出したものである。
本発明による技術の応用によって、電池開発時の迅速な評価、電池生産時の品質管理、組電池生産時の個々のセル性能調整、電池システムの稼働状況把握、リユース時の性能分類、等々、電池利用・応用のすべてのステージにおいて利用可能である。
上述した手法1では、検出装置1が二次電池10の「充電開始時の立ち上がり電圧および電流の計測値」をもとに[数25]に記載の電池方程式及び[数28]に記載の式を使って、二次電池10の動作時の過電圧δと、Dirを演算により求めている。ここで、上記「充電開始時の立ち上がり電圧および電流の計測値」は、計測制御器14が各種計測手段を介して取得する二次電池の「充電または放電に関する所定の条件」の一例である。
上記「充電または放電に関する所定の条件」としては、例えば、以下のものが挙げられる。
(1)放電開始時の立下り電圧の時間経過
(2)放電遮断時の立ち上がり電圧の計測値
(3)充電電流を増加させた時または放電電流を減少させた時の立ち上がり電圧の計測値
(4)充電電流を減少させた時または放電電流を増加させた時の立下り電圧の時間経過
(5)充電から放電へ移行させた時の立下り電圧の時間経過
(6)放電から充電へ移行させた時の立ち上がり電圧の計測値
検出装置1は、これらの各条件に基づいて、[数25]に記載の電池方程式及び[数28]に記載の式を使って、二次電池10の動作時の過電圧δと、Dirを演算により求めることができる。よって、本発明と同様の効果を奏する。
本実施形態では、二次電池を用いた場合の充放電について説明したが、本発明は二次電池に限定するものではなく、蓄電素子に広く適用することができる。
ここで、蓄電素子とは、蓄電機能を有する素子全般を指し、例えば、一対の電極と、電解質を少なくとも有し、蓄電することができる機能を有する素子のことである。なお、蓄電素子を蓄電装置としてもよい。
蓄電素子としては、例えばリチウムイオン二次電池、鉛蓄電池、リチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル水素蓄電池、ニッケルカドミウム蓄電池、ニッケル鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池等の二次電池、レドックス・フロー電池、亜鉛・塩素電池、亜鉛臭素電池等の液循環型の二次電池、アルミニウム・空気電池、空気亜鉛電池、ナトリウム・硫黄電池、リチウム・硫化鉄電池等の高温動作型の二次電池などを用いることができる。なお、これらに限定されず、例えばリチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタなどを用いて蓄電素子を構成してもよい。
1 検出装置
10 二次電池(蓄電素子)
12 電流検知器(電流計測手段)
13 電圧検知器(電圧計測手段)
14 計測制御器(制御部)

Claims (12)

  1. 蓄電素子の劣化度SOHおよび蓄電残量SOCを検出する蓄電素子の劣化度及び蓄電残量検出装置であって、
    前記蓄電素子の電圧および電流を計測する計測手段と、
    所定の演算を実行する演算手段を有する制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記蓄電素子の充電開始時の立ち上がり電圧および電流の計測値をもとに、以下の[数1]に示す電池方程式を用いて前記蓄電素子の動作時の過電圧δを演算により求めることを特徴とする蓄電素子の劣化度及び蓄電残量検出装置。
    Figure 0006589080
    但し、[数1]においてΔνは前記蓄電素子の端子電圧v、と起電力ηeq*の差電圧であり、Δνは動作時に電極面での酸化/還元反応に伴い発生する電位差となる。また、定数fはファラディ定数、ボルツマン定数、及び絶対温度からなる物理定数である。
  2. 前記制御部は、
    前記[数1]に記載の2式が等しい条件から前記動作時の過電圧δを確定する、請求項1に記載の蓄電素子の劣化度及び蓄電残量検出装置。
  3. 前記制御部は、
    前記蓄電素子の充電を遮断した時の立下がり電圧の時間経過を計測し前記蓄電素子の電解質特性を演算算出する、請求項1または請求項2に記載の蓄電素子の劣化度及び蓄電残量検出装置。
  4. 前記制御部は、
    前記電圧の計測値と前記[数1]に示す電池方程式を用いて充電時の動的内部抵抗Dirを求めて、Dirから劣化度SOHを算出する、請求項1から請求項3の何れか一項に記載の蓄電素子の劣化度及び蓄電残量検出装置。
  5. 前記制御部は、
    前記電圧の計測値と前記[数1]に示す電池方程式を用いて前記過電圧δに対する電圧−電流特性式である[数2]の電池固有の係数を確定することによって、電池容量を導出する、請求項1から請求項4の何れか一項に記載の蓄電素子の劣化度及び蓄電残量検出装置。
    Figure 0006589080
  6. 蓄電素子の劣化度SOHおよび蓄電残量SOCを検出する蓄電素子の劣化度及び蓄電残量検出装置であって、
    前記蓄電素子の電圧および電流を計測する計測手段と、
    所定の演算を実行する演算手段を有する制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記蓄電素子の充電または放電に関する所定の条件をもとに、以下の[数1]に示す電池方程式を用いて前記蓄電素子の動作時の過電圧δを演算により求めることを特徴とする蓄電素子の劣化度及び蓄電残量検出装置。
    Figure 0006589080
    但し、[数1]においてΔνは前記蓄電素子の端子電圧v、と起電力ηeq*の差電圧であり、Δνは動作時に電極面での酸化/還元反応に伴い発生する電位差となる。また、定数fはファラディ定数、ボルツマン定数、及び絶対温度からなる物理定数である。
  7. 前記所定の条件は、放電開始時の立下り電圧の時間経過であることを特徴とする請求項6に記載の蓄電素子の劣化度及び蓄電残量検出装置。
  8. 前記所定の条件は、放電遮断時の立ち上がり電圧の計測値であることを特徴とする請求項6に記載の蓄電素子の劣化度及び蓄電残量検出装置。
  9. 前記所定の条件は、充電電流を増加させた時または放電電流を減少させた時の立ち上がり電圧の計測値であることを特徴とする請求項6に記載の蓄電素子の劣化度及び蓄電残量検出装置。
  10. 前記所定の条件は、充電電流を減少させた時または放電電流を増加させた時の立下り電圧の時間経過であることを特徴とする請求項6に記載の蓄電素子の劣化度及び蓄電残量検出装置。
  11. 前記所定の条件は、充電から放電へ移行させた時の立下り電圧の時間経過であることを特徴とする請求項6に記載の蓄電素子の劣化度及び蓄電残量検出装置。
  12. 前記所定の条件は、放電から充電へ移行させた時の立ち上がり電圧の計測値であることを特徴とする請求項6に記載の蓄電素子の劣化度及び蓄電残量検出装置。
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