JP7103105B2 - 二次電池の寿命予測方法及びその装置 - Google Patents

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Description

本開示は、二次電池の寿命予測方法及びその装置に関するものである。
従来より、物理モデルを用いて二次電池の劣化特性を推定することが行われている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1では、充放電に伴う二次電池の内部抵抗の増加のモデル化に際し、負極における不動態皮膜の成長を考慮して負極SEI成長モデル(負極不動態成長モデル)を含む物理モデルを用いることが開示されている。
特開2014-167406号公報
特許文献1に開示された物理モデルでは、充放電に伴う内部抵抗の増加の要因の1つとして、負極活物質と電解液との界面における界面抵抗の増加が挙げられ、当該界面抵抗の増加は、負極活物質表面に生成する不動態皮膜の膜厚の増加に起因するという考え方を採用したものである。
しかしながら、本願発明者らは、充放電試験の結果から、サイクル回数の増加に伴い不動態皮膜の膜厚がほとんど増加しない一方、界面抵抗は増加する場合があることを見出した。すなわち、界面抵抗の増加は、必ずしも、不動態皮膜の膜厚の増加が主な原因ではないことを見出した。
そこで本開示では、電極の界面抵抗の増加を適切にモデル化し、二次電池の電池寿命を精度よく予測可能な方法及びその装置を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本開示では、界面抵抗の増加を、不動態皮膜を構成する低イオン伝導性分子の量の増加を考慮してモデル化するようにした。
すなわち、ここに開示する第1の技術に係る二次電池の電池寿命予測方法は、二次電池に対応する物理モデルを用いて二次電池の電池寿命を予測する方法であって、前記物理モデルは、充放電に応じた前記二次電池の劣化をモデル化したサイクル劣化モデルを含み、前記サイクル劣化モデルは、充放電に応じた前記二次電池の電極に含まれる活物質表面と電解液との界面における界面抵抗の増加をモデル化した界面抵抗増加モデルを含み、前記界面抵抗増加モデルは、前記活物質表面に形成される不動態皮膜を構成する分子中に含まれる低イオン伝導性分子の量の増加を考慮したものであることを特徴とする。
本技術によれば、界面抵抗増加モデルとして、不動態皮膜を構成する分子のうち低イオン伝導性分子の量の増加を考慮したものを用いるようにしたから、精度よく且つ短期間で二次電池の電池寿命を予測することができる。
第2の技術は、第1の技術において、前記二次電池は、リチウムイオン二次電池であり、前記電極は負極であり、前記低イオン伝導性分子は、リン酸リチウムであることを特徴とする。
本技術によれば、リチウムイオン二次電池の寿命予測をより精度よく行うことができる。
ここに開示する第3の技術に係る二次電池の電池寿命予測装置は、二次電池に対応する物理モデルに基づいて二次電池の電池寿命を予測する装置であって、前記物理モデルは、充放電に応じた前記二次電池の劣化をモデル化したサイクル劣化モデルを含み、前記サイクル劣化モデルは、充放電に応じた前記二次電池の電極に含まれる活物質表面と電解液との界面における界面抵抗の増加をモデル化した界面抵抗増加モデルを含み、前記界面抵抗増加モデルは、前記活物質表面に形成される不動態皮膜を構成する分子中に含まれる低イオン伝導性分子の量の増加を考慮したものであることを特徴とする。
本技術によれば、界面抵抗増加モデルとして、不動態皮膜を構成する低イオン伝導性分子の量の増加を考慮したものを用いるようにしたから、精度よく且つ短期間で二次電池の電池寿命を予測することができる装置をもたらすことができる。
第4の技術は、第3の技術において、第3の技術において、前記二次電池は、リチウムイオン二次電池であり、前記電極は負極であり、前記低イオン伝導性分子は、リン酸リチウムであることを特徴とする。
本技術によれば、リチウムイオン二次電池の寿命予測をより精度よく行うことができる。
以上述べたように、本開示によると、界面抵抗増加モデルとして、不動態皮膜を構成する分子のうち低イオン伝導性分子の量の増加を考慮したものを用いるようにしたから、精度よく且つ短期間で二次電池の電池寿命を予測することができる。
一実施形態に係る二次電池の寿命予測装置の一例を示すブロック図である。 図1の寿命予測装置が組み込まれた電源システムの一例を示すブロック図である。 一実施形態に係る二次電池の寿命予測方法を説明するためのフロー図である。 寿命予測方法に用いる物理モデルの概念図である。 電池の構成を模式的に示す図である。 サイクル回数に対する内部抵抗の変化を示すグラフである。 電池の負極においてリチウムイオンの伝導機構の一例を説明するための模式図である。 不動態皮膜厚みと負極の界面抵抗との関係を示すグラフである。 TOF-SIMS測定における各リチウム塩の検出強度と負極の界面抵抗との関係を示すグラフである。 サイクル回数0回の電池の負極表面についてTOF-SIMS測定を行った結果得られたリン酸イオンPO 検出強度のマッピング結果を示す図である。 サイクル回数400回の電池の負極表面についてTOF-SIMS測定を行った結果得られたリン酸イオンPO 検出強度のマッピング結果を示す図である。 Li移動阻害モデルの作成手順を示すフロー図である。 参考例の試験、実施例の電池モデル、及び比較例の統計モデルにより得られたサイクル回数に対する電池出力変化を示すグラフである。
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
(実施形態1)
<二次電池の寿命予測装置>
図1は、本実施形態に係る二次電池の寿命予測装置200の構成例を示している。寿命予測装置200は、二次電池としてのリチウムイオン電池(以下の説明において「電池」と称することがある。)に対応する物理モデルを用いて電池寿命を予測する装置である。
寿命予測装置200は、制御装置210、入力装置220、出力装置230、記憶装置240及び演算装置250を備えている。入力装置220、出力装置230、記憶装置240及び演算装置250は制御装置210に電気的に接続されている。入力装置220は、コンピュータに接続されるキーボードやマウスによって構成される。出力装置230は、コンピュータに接続されるディスプレイ等によって構成される。記憶装置240としては、コンピュータにおけるRAM、ROM、CD-ROM、ハードディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体からなる記憶部が用いられ、演算装置250としては、コンピュータのCPUからなる演算処理部等が用いられる。記憶装置240には、対象となる電池に関する情報、充放電条件に関する情報、充放電動作情報、演算装置250における演算に関する情報、並びに演算処理を実行するプログラム等が格納されており、特に、寿命予測に使用するための物理モデルとしての後述する電池モデルが格納されている。演算装置250は、記憶装置240に格納された情報に基づいて所定の演算を行い、対象となる電池の寿命予測を行う。
寿命予測装置200は、例えば図2に示すような電源システム400に組み込まれ、電池100の寿命予測を行うために用いられる。電源システム400は、電池100と、電池100により駆動される例えば電動機等の負荷300と、電流値を検出する電流センサ310と、電圧値を検出する電圧センサ320とを備えている。電池100の充放電動作により電流センサ310及び電圧センサ320により検出された電流値及び電圧値情報が上述の充放電動作情報として寿命予測装置200に送られる。電源システム400は、例えば二次電池によって駆動される電動機を駆動力源として備えたハイブリッド自動車や電気自動車等に搭載され得る。なお、図2には図示していないが、電源システム400には、電池100の温度を検出するための温度センサが搭載されており、当該温度センサにより電池100の温度情報を取得して、寿命予測に反映させることができる。また、図2の電源システム400は例示にすぎず、本実施形態に係る寿命予測装置200が適用される電源システムはその他の構成を含んでもよい。
<二次電池の寿命予測方法>
寿命予測装置200を用いた電池100の寿命予測方法の一例を図3に示す。図3に示す寿命予測方法は、初期条件設定工程S110と、充放電解析工程S120と、劣化特性算出工程S130と、サイクル回数判定工程S140と、結果出力工程S150とを備えている。
初期条件設定工程S110では、予め記憶装置240に格納されている電池100に関する電池構成、すなわち正極、負極、電解液を含むセパレータの仕様等のデータを読み出、当該データを初期条件として設定する。
充放電解析工程S120では、任意のサイクルにおける電池100の充電及び放電を行い、当該充放電動作により得られた電流値及び電圧値等の充放電動作情報と、後述する電池モデルに含まれる充放電動作モデルとに基づいて、電池100の充放電解析を行う。
劣化特性算出工程S130では、上記充放電動作情報と、上記充放電解析工程S120で得られた充放電解析結果と、後述する電池モデルに含まれる劣化モデルとに基づいて、電池100の劣化特性を算出する。
サイクル回数判定工程S140では、充放電サイクルのサイクル回数が、所定値に到達したか否かを判定する。サイクル回数が所定値に到達していないと判定された場合には、充放電解析工程S120に戻り、充放電解析工程S120~サイクル回数判定工程S140を繰り返す。一方、サイクル回数が所定値に到達したと判定された場合には、次の結果出力工程S150へ進む。
結果出力工程S150では、例えばサイクル回数に対する電池100の出力特性の変化等を劣化特性算出結果として出力する。
<電池モデル>
電池の寿命予測を行うための物理モデルとして、例えば図4に示す電池モデルを使用することができる。電池モデルは、電池の充放電動作モデルと、劣化モデルとにより構成されている。劣化モデルは、保存劣化モデルと、サイクル劣化モデルとにより構成されている。そして、サイクル劣化モデルは、負極側のLi移動阻害モデルと、正極側の構造転移相成長モデルとにより構成されている。
≪充放電動作モデル≫
充放電動作モデルは、例えば図5に示す電池100の構造をモデル化したものである。
電池100は、例えばNMC(Lithium Nichel Manganese Cobalt Oxide)系のリチウムイオン二次電池であり、図5に示すように、正極110と、負極120と、セパレータ130とを備えている。セパレータ130は、例えば正極110及び負極120間に配置された樹脂に電解液140を浸透させることで構成される。
正極110及び負極120は、それぞれ例えば球状の活物質の集合体で構成される。すなわち、図5に示すように、正極110は正極活物質112を含み、負極120は負極活物質122を含む(以下、正極活物質112及び負極活物質122をまとめて「活物質112,122」と称することがある)。セパレータ130に浸透させた電解液140は正極110及び負極120において正極活物質112間及び負極活物質122間にまで浸透し、活物質112,122表面と電解液140との界面が生じる。電池100の放電時には、負極活物質122の界面上においてリチウムイオンLi及び電子eを放出する化学反応が行われるとともに、正極活物質112の界面上においてリチウムイオンLi及び電子eを吸収する化学反応が行われる。一方、充電時には、逆の反応が進行する。電池100では、セパレータ130を介したリチウムイオンLiの授受によって、充放電が行われ、充放電電流Iが発生する。
充放電動作モデルは、例えば正極活物質112及び負極活物質122の粒径、電気伝導率、正極110及び負極120の開回路電位、電解液140中の塩拡散係数、塩濃度等の確定パラメータと、例えば正極活物質112及び負極活物質122のLi拡散係数、リチウムイオン濃度、正極110及び負極120における反応速度定数等の変動パラメータと決定し、公知の方法により構築することができる。
≪劣化モデル≫
二次電池は、経時的に、またサイクル回数の増加に伴い、内部抵抗が増加し、出力が低下、すなわち劣化していくことが知られている。
図6は、後述する<分析試験>において得られた、サイクル回数に対する内部抵抗の値を示したものである。図6に示すように、電池の内部抵抗は、サイクル回数の増加に伴い増加することが判る。そして、この内部抵抗の増加は、電極に含まれる活物質112,122と電解液140との界面において発生する界面抵抗の増加が主要因となっていることが判る。すなわち、界面抵抗の増加を適切にモデル化した界面抵抗増加モデルを採用することにより、電池100の寿命予測を精度よく行うことができると考えられる。
-保存劣化モデル-
保存劣化モデルは、充電状態の電池100の経時的な劣化をモデル化したものである。電池100は、充放電動作によらない電解液140の経時的な劣化等による界面抵抗の増加等に起因して内部抵抗が増加し、劣化していく。保存劣化モデルとしては、公知の不動態皮膜成長モデルを採用してもよいし、後述するサイクル劣化モデルと同様の界面抵抗増加モデルを採用してもよい。
-サイクル劣化モデル-
サイクル劣化モデルは、充放電に応じた電池100の劣化をモデル化したものである。サイクル劣化モデルは、正極110における界面抵抗の増加をモデル化した構造転移相成長モデルと、負極120における界面抵抗の増加をモデル化したLi移動阻害モデルとを含む。
-構造転移相成長モデル-
正極110では、正極活物質112表面に構造転移相が存在するが、充放電が繰り返されるのに応じて、この構造転移相が活物質内部に進行し、構造転移相の厚さが増加していく。構造転移相の厚さが増加することにより、正極における界面抵抗が増加し、電池100の劣化の原因となる。構造転移相成長モデルは、このような正極110における界面抵抗の増加を構造転移相の厚さの増加に起因するものとしてモデル化したものである。構造転移相成長モデルとしては、公知のモデルを採用することができる。
-Li移動阻害モデル-
ここに、本実施形態に係る寿命予測方法は、負極の界面抵抗増加モデルとして、Li移動阻害モデルを含むことを特徴とする。以下、Li移動阻害モデルについて説明する。
図7に示すように、負極活物質122表面と電解液140との界面には、不動態皮膜124が形成される。不動態皮膜は、負極活物質122表面で起こる化学反応の反応生成物が負極活物質122表面に堆積してなる層である。
図8は、後述する<分析試験>のXPS測定により得られた負極120の活物質122の表面に形成された不動態皮膜124の厚みと、負極120の界面抵抗との関係を示したものである。図8に示すように、サイクル回数の増加に伴い、負極120の界面抵抗が増加しても、不動態皮膜124の厚みは増加しないことが判る。
そして、上述のXPS測定と併せて、負極活物質122について後述する<分析試験>のTOF-SIMS測定を行ったところ、不動態皮膜124の主成分として、リン酸リチウム、炭酸リチウム、フッ化リチウム、酸化リチウムが含まれ得ることが判った。
負極120の界面抵抗の値と、TOF-SIMS測定により得られた各リチウム塩の検出強度との関係を図9に示す。界面抵抗が増加するにつれて、不動態皮膜124を構成する各リチウム塩のうち、炭酸リチウム、フッ化リチウム、酸化リチウムは、減少傾向又は部分的に僅かな上昇傾向が見られるのに対し、リン酸リチウムは、界面抵抗の増加に伴い大幅な増加傾向にあることが判った。
また、TOF-SIMS測定によるリン酸イオンPO3-のマッピング結果を図10及び図11に示す。なお、図10は、負極の界面抵抗が1mΩ(サイクル回数0回)の場合、図11は、負極の界面抵抗が14mΩ(サイクル回数400回)の場合のマッピング結果であり、明るい位置ほどPO3-の量が多くなる。図10及び図11を比較すると、界面抵抗が高くなると、PO3-の量が増加し、視野全面に亘って、リン酸リチウムが増加していることが判る。
図9~図11の結果から、以下のように考察することができる。すなわち、図7に示すように、不動態皮膜124を構成する分子には、炭酸リチウム、フッ化リチウム、酸化リチウム等の高イオン伝導性を有する分子126(以下、「高イオン伝導性分子126」と称することがある。)と、リン酸リチウム等の低イオン伝導性を有する分子128(以下、「低イオン伝導性分子128」と称することがある。)とが存在すると考えられる。そして、リチウムイオンLiは、高イオン伝導性分子126が存在する位置を通って負極活物質122に到達すると考えられる。そうして、不動態皮膜124中に含まれる低イオン伝導性分子128の割合が増加するにつれて、不動態皮膜124におけるリチウムイオンLiの伝導性が低下し、界面抵抗が増加すると考えられる。
Li移動阻害モデルは、充放電に応じて負極活物質122表面に形成される不動態皮膜124を構成する分子中に含まれる低イオン伝導性分子128の量の増加を考慮して、界面抵抗の増加をモデル化した界面抵抗増加モデルである。
具体的には、Li移動阻害モデルは、例えば図12に示すように、負極120の界面の過電圧η[V]を算出する工程S131と、低イオン伝導性分子128の生成電流J[A/m]を算出する工程S132と、リチウムイオンLiの移動距離L[m]を算出する工程S133と、負極の界面抵抗R[Ω]を算出する工程S134と、電池出力P[W]を算出する工程S135とを備えている。
工程S131では、下記式(1)に従い、負極活物質122表面と電解液140との界面の過電圧η[V]を算出する。
η=η-IR ・・・(1)
但し、式(1)中、η、I、Rは、それぞれ初期過電圧[V]、充放電電流[A]、界面抵抗[Ω]である。
そして、工程S132では、上記界面過電圧ηと下記式(2)に従い、低イオン伝導性分子128としてのリン酸リチウムの生成電流Jを算出する。
Figure 0007103105000001
但し、式(2)中、k、Cred、α、n、F、R、Tは、それぞれ反応速度定数[m/s]、リチウムイオン濃度[mol/m]、移動係数、反応電子数[1/mol]、ファラデー定数[C/mol]、気体定数[J/K・mol]、温度[K]である。
工程S133では、上記リン酸リチウムの生成電流Jと下記式(3)に従い、リチウムイオンLiの移動距離L[m](図7参照)の増加分を算出する。
Figure 0007103105000002
但し、式(3)中、L(t+dt)、L(t)、M、ρは、それぞれ時刻t+dtにおけるリチウムイオンLiの移動距離[m]、時刻tにおけるリチウムイオンLiの移動距離L[m]、リン酸リチウムの分子量[g/mol]、リン酸リチウムの密度[g/m]である。また、n、Fは、式(2)と同一である。
工程S134では、時刻t+dtにおけるリチウムイオンLiの移動距離L(t+dt)と下記式(4)に従い、界面抵抗R[Ω]を算出する。
R=L(t+dt)/(σ×S) ・・・(4)
但し、式(4)中、σ、Sは、それぞれ界面の導電率[g/mol]、界面の表面積[m](図7参照)である。
工程S135では、界面抵抗Rと下記式(5)に従い、電池出力P[W]を算出する。
P=V/R ・・・(5)
但し、式(5)中、Vは、電池電圧[V]である。
上記式(1)~(5)のパラメータのうち、Js、L(t+dt)、R、ηは変動パラメータ、その他のパラメータは確定パラメータである。
以上述べたように、充放電解析において得られた充放電電流Iの情報から、不動態皮膜124に含まれる低イオン伝導性分子128としてのリン酸リチウムの量の増加及びそれに伴うリチウムイオンLiの移動量の増加を上記式(1)~(3)で記述するとともに、式(4),(5)により負極の界面抵抗の増加、延いては電池出力の低下を記述し、Li移動阻害モデルを構築することができる。
このように、本実施形態に係る寿命予測方法・装置によれば、負極120の界面抵抗増加モデルとして、特に上記式(2),(3)を用いて、不動態皮膜124を構成する分子のうち、低イオン伝導性分子128の量の増加を考慮したLi移動阻害モデルを構築・採用することにより、電池100の寿命予測の精度を向上させることができるとともに、後述する比較例に示すような耐久試験に比べて極めて短期間・低コストで電池100の寿命予測を行うことができる。
(実施形態2)
以下、本開示に係る他の実施形態について詳述する。なお、これらの実施形態の説明において、実施形態1と同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
実施形態1では、負極120の界面抵抗増加モデルとして、Li移動阻害モデルを採用する例を説明したが、正極110の界面抵抗増加モデルとして、Li移動阻害モデルを採用してもよい。
例えばNMC系電池において、正極活物質112と電解液140の界面では、下記式(6)の反応により、低イオン伝導性分子としてのNiO、CoO、MnO、LiO等が生成する。
Li(Ni1/3Mn1/3Co1/3)O+Li
→1/3(NiO+CoO+yMnO)+(x+1)/2Li
+(1-y)Mn2++[(5-3x-2y)/6]O ・・・(6)
これらの低イオン伝導性分子の生成反応について式(2),(3)と同様の式を立式し、正極における界面抵抗増加モデルをLi移動阻害モデルとしてモデル化することができる。この正極におけるLi移動阻害モデルは、実施形態1の構造転移相成長モデルに代えて、又は、これと併せて採用することができる。
(その他の実施形態)
電池100は、NMC系のリチウムイオン二次電池に限られるものではなく、コバルト酸リチウム系、マンガン酸リチウム系、ニッケル(NCA)系等のリチウムイオン二次電池や、ニッケル水素電池、鉛蓄電池等であってもよい。電池の構成によって、低イオン伝導性分子及び高イオン伝導性分子は変化し得るから、想定する電池構成に応じて、Li伝導阻害モデルを構築することができる。
次に、具体的に実施した実施例について説明する。
<比較例>
表1に示すNMC系電池セル3個について、温度55℃、充電/放電電流5.8A(1C)/5.8A(1C)の条件で充放電動作を800回繰り返し、耐久試験を行った。耐久試験で得られた電池出力の値から最小二乗法により統計モデルを作成した。当該統計モデルにより得られたサイクル回数に対する電池出力の変化曲線を図13中破線で示す。なお、統計モデルのモデル開発期間、すなわち充放電解析の開始から統計モデルの完成までに要した期間は、約2年であった。
Figure 0007103105000003
<実施例>
表1に示すNMC系電池について、上記実施形態1の方法により、電池モデルを作成した。当該電池モデルにより得られたサイクル回数に対する電池出力の変化曲線を図13中実線で示す。なお、電池モデルのモデル開発期間、すなわち電池モデルの作成開始から完成までに要した期間は、約0.1年であった。
<参考例>
表1に示すNMC系電池について、温度55℃、充電/放電電流5.8A(1C)/5.8A(1C)の条件で実機試験を行った。サイクル回数が0回,50回,100回,150回,300回,400回,600回,800回のときの電池出力の値を図13中□で示す。
<考察>
図13に示すように、実施例の電池モデルは、比較例の統計モデルと同程度に実機試験結果と高い整合性を有していることが判る。実施例の電池モデルは、比較例の統計モデルに比べて、モデル開発期間が大幅に短期間であることから、本開示に係る二次電池の寿命予測方法によれば、二次電池の寿命予測を非常に短期間且つ低コストで行うことができる。
<分析試験>
表1の電池セルと同一構成の電池セルについて、サイクル回数以外は比較例の耐久試験と同一の条件により充放電動作を繰り返す充放電試験を行った。なお、サイクル回数は、0回、400回、800回であった。充放電試験後の電池セルについて、交流インピーダンス測定を行った。交流インピーダンス測定後、露点-60℃以下のグローブボックス中、不活性ガス下で、電池セルを解体し、負極を取り出した。そして、取り出した負極を、DECで洗浄、真空乾燥後、XPS測定及びTOF-SIMS測定に供した。
交流インピーダンス測定により得られたナイキストプロットについてフィッティング解析を行い、各電池セルの内部抵抗を算出した(図6,図8,図9)。なお、図6に示す界面抵抗の値は、当該交流インピーダンス測定及びそのフィッティング解析結果から算出される正極及び負極の各界面抵抗の合算値である。また、図8,図9において、負極の界面抵抗の値が1mΩ、14mΩ、及び21mΩのデータは、それぞれサイクル回数0回、400回及び800回の電池セルのデータである。このように、サイクル回数の増加に伴い、負極の界面抵抗の値は増加する。
また、表2に示す装置構成及び測定条件で、大気非開放XPS測定、及び深さ分析を用いて不動態皮膜の厚み測定を行った。
Figure 0007103105000004
さらに、表3に示す装置構成及び測定条件で、大気非開放TOF-SIMS測定、及びマッピングを用いて不動態皮膜の元素分布を評価した(図10,図11)。
Figure 0007103105000005
本開示は、電極の界面抵抗の増加を適切にモデル化し、二次電池の電池寿命を精度よく予測可能な方法及びその装置を提供することができるので、極めて有用である。
100 電池(二次電池)
110 正極
112 正極活物質
120 負極
122 負極活物質
124 不動態皮膜
126 高イオン伝導性分子
128 低イオン伝導性分子
130 セパレータ
140 電解液
200 寿命予測装置
210 制御装置
220 入力装置
230 出力装置
240 記憶装置
250 演算装置
300 負荷
310 電流センサ
320 電圧センサ
400 電源システム

Claims (4)

  1. 二次電池に対応する物理モデルを用いて二次電池の電池寿命を予測する方法であって、
    前記物理モデルは、充放電に応じた前記二次電池の劣化をモデル化したサイクル劣化モデルを含み、
    前記サイクル劣化モデルは、充放電に応じた前記二次電池の電極に含まれる活物質表面と電解液との界面における界面抵抗の増加をモデル化した界面抵抗増加モデルを含み、
    前記界面抵抗増加モデルは、前記活物質表面に形成される不動態皮膜を構成する分子中に含まれる低イオン伝導性分子の量の増加を考慮したものである
    ことを特徴とする二次電池の寿命予測方法。
  2. 請求項1において、
    前記二次電池は、リチウムイオン二次電池であり、
    前記電極は負極であり、
    前記低イオン伝導性分子は、リン酸リチウムである
    ことを特徴とする二次電池の寿命予測方法。
  3. 二次電池に対応する物理モデルに基づいて二次電池の電池寿命を予測する装置であって、
    前記物理モデルは、充放電に応じた前記二次電池の劣化をモデル化したサイクル劣化モデルを含み、
    前記サイクル劣化モデルは、充放電に応じた前記二次電池の電極に含まれる活物質表面と電解液との界面における界面抵抗の増加をモデル化した界面抵抗増加モデルを含み、
    前記界面抵抗増加モデルは、前記活物質表面に形成される不動態皮膜を構成する分子中に含まれる低イオン伝導性分子の量の増加を考慮したものである
    ことを特徴とする二次電池の寿命予測装置。
  4. 請求項3において、
    前記二次電池は、リチウムイオン二次電池であり、
    前記電極は負極であり、
    前記低イオン伝導性分子は、リン酸リチウムである
    ことを特徴とする二次電池の寿命予測装置。
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