JP6587640B2 - カルボン酸のα−オレフィンへの変換 - Google Patents

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Description

本願は、2014年6月13日付で出願された米国仮特許出願62/012,053号(発明の名称:バイオマスのα−オレフィンへの変換)の優先権に基づく出願であり、参照により本願発明に引用される。
本発明は米国農業食糧省農業部による研究費No.2012−10008−20263の政府援助に基づいてなされた。従って、米国政府が本発明の一部の権利を有している。
本発明は、特に電解技術を使用したカルボン酸からオレフィンを製造する方法に関する。
10年以上の間、米国エネルギー省のような政府機関は、バイオマスをバイオ燃料、バイオ生成物およびバイオマス電力に変換する研究を行い、研究における進歩、発展、異なるバイオエネルギー技術への展開につながっている。これらの研究努力の大部分は、再生可能ガソリン、バイオディーゼル、バイオジェット燃料市場において成功している輸送燃料市場のためのバイオ燃料を製造することに焦点が当てられている。しかしながら、未だにクラッキング技術から天然ガスおよび石油を大きなスケールで供給できることが、これらの大きな供給スケールで薄利な市場において、バイオ燃料が完全に経済的に供給できることを困難にしている。
バイオ燃料および他のバイオ生成物の発展が、これらの燃料や滑剤などの特殊化学製品のための他のバイオ生成物などを変換し、改質するための技術の発展ももたらしている。高品質合成オイルは、主としてポリα−オレフィン(PAOs)から成り、市場の需要が供給を上回っている。PAOsの需要と供給の格差は、出発物質がケロシン及びディーゼルの生成物に使用される石油の留分を使用している理由による。ほとんどの原油精製所において、後の生成物はPAOsに優先するし、そのためこれらの留分の限られた量しかPAOsの製造に流用できない。PAOsの製造することは、ディーゼル及びケロシンの量を減らすだけでなく、精製所が、これらの留分からの炭化水素をα−オレフィンに変換するための更なる資金とエネルギーを必要とする。このプロセスで、商業価値として重要なわずかな範囲のα−オレフィンを製造する。その中でも価値のあるα−オレフィンの1−ドデセン(C12のα−オレフィン)が、合成滑剤のためのPAOの製造のために選択的に使用される。
オレフィンの製造として現在使用される他の方法は、炭化水素のスチームクラッキングを必要と、超高純度エチレンを製造し、次いでエチレンのオリゴマー化により、1−デセン(C10のα−オレフィン)及び1−ドデセンを製造する。製造コストが高い理由から、この高性能オイルの大きな市場があるにもかかわらず、PAOs合成オイルを製造して得られるC12α−オレフィンの供給が限られている。市場におけるPAO合成オイルの高い需要は、高い粘度指数、低温流動性、低い揮発性、良好な酸化安定性、優れた熱安定性および低いけん引力などの、改良された滑剤性質から生じるものである。
それ故、バイオマスから誘導される炭化水素原料を使用するα−オレフィンの製造のための代替方法の必要性が残っている。
本発明の目的は、カルボン酸のアルカリ金属塩からオレフィンを製造する電気化学的方法を提供することである。
本発明の他の目的は、オレフィンを製造する電気化学的セル又は反応器を提供することである。
本発明の他の目的は、1つ以上のオレフィンをオリゴマー化して合成滑剤を得る方法を提供することである。
本発明の方法は、陽極液室と、陰極液と、陰極液室から陽極液室を分離するアルカリイオン伝導性膜とから成る電気化学的セルを提供する。本発明の方法は、更に、カルボン酸のアルカリ金属塩から成る陽極液溶液を陽極液室に供給する。陽極液溶液のpHは約8〜14である。電位差をアノード及びカソードに印加し、カルボン酸のアルカリ金属塩を電気化学的脱炭酸して1つ以上のオレフィンを製造する。
陽極液室は、カルボン酸のアルカリ金属塩の2電子脱炭酸反応を遂行できるように選択される電気化学的活性アノードを含み、アノードは炭素質表面から成る。陰極液室は、還元反応を生じる電気化学的活性カソードを含む。アルカリイオン伝導性膜は、電位差の影響により、陽極液室と陰極液室との間でアルカリイオンを選択的に透過できる。
ある実施態様において、その電流は2〜20Vの電位を有する。他の実施態様において、その電流は4〜12Vの電位を有する。ある実施態様において、その電流は、5〜100mA/cmの電流密度を有する。他の実施態様において、電流密度は5〜50mA/cmである。ある実施態様において、カルボン酸は約8〜14のpHに中和させられる。他の実施態様において、そのpHは9〜13である。更に他の実施態様において、そのpHは10〜12である。
ある実施態様において、これに限定されないが、本発明の方法は、カルボン酸のアルカリ金属塩と有機溶媒とを混合する工程を含む。ある実施態様において、有機溶媒は、一つ以上の有機アルコール又はそれらの混合物から成る。ある実施態様において一つ以上の有機アルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール及びこれらの混合物から成る群より選択される。他の実施態様において、有機溶媒が、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、スルホラン、ピリジン、2,6−ピリジン及びこれらの混合物から成る群より選択される。
ある実施態様において、これに限定されないが、カルボン酸のアルカリ金属塩のpHを塩基によって調節する。ある実施態様において、この塩基はアルカリ金属水酸化物である。ある実施態様において、塩基が水酸化ナトリウムである。
ある実施態様において、これに限定されないが、本発明の方法は、金属ハロゲン化物、金属硝酸塩、金属硫酸塩、金属過塩素酸塩および金属テトラフルオロホウ酸塩から成る群より選択される電解質とカルボン酸のアルカリ金属塩とを混合する工程を含む。
ある実施態様において、これに限定されないが、アルカリイオン伝導性膜がNaSICON膜である。
ある実施態様において、これに限定されないが、バイオマス発酵でカルボン酸を製造する工程と、アルカリ金属水酸化物を用いてカルボン酸を中和してカルボン酸のアルカリ金属塩を形成する工程とを含む。カルボン酸は、偶数の炭素原子数を有する。ある実施態様において、カルボン酸は、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸およびオクタデカン酸から成る群より選択される。ある実施態様において、カルボン酸がドデカン酸である。
ある実施態様において、1つ以上のオレフィンがα−オレフィンである。ある実施態様において、1つ以上のオレフィンが1−ウンデセンである。
本発明のオレフィンを製造する電気化学的セル又は反応器は、陽極液室と、陰極液室と、アルカリイオン伝導性膜と、電気化学的反応器を作動させる電源とから成る。
陽極液室は、カルボン酸のアルカリ金属塩の溶液を含む。この溶液のpHは、約8〜14、好ましくは約9〜13、更に好ましくは約10〜12である。陽極液室は、カルボン酸のアルカリ金属塩の2電子脱炭酸反応を遂行できるように選択された電気化学的活性アノードを含む。ある実施態様において、そのアノードは炭素質表面から成る。
陰極液室は、還元反応を生じる電気化学的活性カソードを収納する
アルカリイオン伝導性膜は陰極液室から陽極液室を分離し、アルカリイオンを陽極液室と陰極液室との間で選択的に透過できる。
電源は、アノードとカソードとに電気的に接続している。
ここに記載される技術革新の実施態様を添付の図面を用いることにより最適に理解できる。本発明の一般的に記載される構成要素は、種々多用の形態に配置、設計できることは容易に理解できるであろう。それ故、本発明の方法およびセルの実施態様の具体的記載は、本発明の請求の範囲としての要旨を限定するものではなく、ここに記載される実施態様の単なる代表例である。
本発明により、カルボン酸のアルカリ金属塩からオレフィンを製造することができる。
図1は、本発明のカルボン酸からオレフィンを製造する方法に使用される電気化学的反応器概略図である。 図2Aは、1電子脱炭酸反応によるオクタン酸ナトリウムの炭化水素ダイマーカップリング生成物と比較した、電圧および電流密度対時間でプロットしたグラフである。 図2Aは、図2Aの脱炭酸プロセスにおいて電圧および電流を印加することにより生じる生成物のクロマトグラフである。 図3Aは、ドデカン酸ナトリウムの2電子脱炭酸反応によるオレフィンへの変換を、電圧および電流密度対時間でプロットしたグラフである。 図3Bは、図3Aの脱炭酸プロセスにおいて電圧および電流を印加することにより生じる生成物のクロマトグラフである。
この明細書を通じて参照される「ある実施態様」、「1つの実施態様」または類似の語は、実施態様に関連して記載される具体的な要旨、構成および性能が本発明の少なくとも1つの実施態様に含まれることを意味する。それ故、本明細書を通じて「ある実施態様において」、「1つの実施態様において」及び類似の語は、必ずしも全て同じ実施態様を参照しなくてもよい。更に、以下の記載は本発明に記載の種々の構成要素および要旨の幾つかの実施態様および実施例を参照するが、記載された実施態様および実施例の全ては、あらゆる点において単なる例示であり、如何なる方法においても本発明がこれらに限定されているわけではないと理解すべきである。
更に、記載される本発明の要旨、構造または性質は、一つ以上の実施態様をいかなる好適な方法で組合せてもよい。以下の記載において、数多くの具体例が記載され、本発明の実施態様の理解を詳細に提供する。本発明は、一つ以上の具体的な詳細なしで、又は他の方法、構成要素、材料などを伴って実施できることは当業者に理解できるであろう。他の実施態様において、よく知られた構造、材料および操作は、本発明の要旨を曖昧にすることを避けるために詳細を示したり記載したりしていない。
オレフィン,オレフィンを効率的に製造するための上記の要求および代替技術に取り組むため、本発明は、水素ガスまたは高価な触媒を使用しないで、バイオマスを含むカルボン酸からオレフィンを製造するための経済的で新規な改質プロセスを開示する。ある実施態様において、本方法は、α−オレフィンの製造に使用される。製造されるオレフィンは、これに限定されないが、共重合モノマー、PAO合成滑剤、掘削潤滑剤および界面活性剤を含む広い分野のための原油から合成されるオレフィンの直接的な代替品である。石油からオレフィンを製造する経路とは異なり、開示される方法は、温和な温度と圧力で、触媒を使用せずに50%を超える収率で特定のオレフィンを選択的に製造できる。更に、2室セル等の電解反応器内で水素ガスも共に製造できる。この水素は、回収でき、水素供給が必要な他のプロセスに使用することが出来る。それ故、本発明は、石油系オレフィンのまさに代替品であるバイオマス由来オレフィンを、経済的に有利に製造できる。
本発明の方法は、他に、従来のオレフィンの製造技術と比較して、温室効果ガス(GHG)の発生を減少できるという利点を有する。そのようなGHGの発生の減少は、開示される製造方法の3つの要旨に基づくものである。(1)電解反応器は、化学的還元のための水素ガスを必要としないでオレフィンを製造できる。(2)オレフィンの原料源は再生可能である。(3)ポリα−オレフィン製造におけるコスト削減が、燃料節約および燃焼機関からのGHG発生の減少の要求が高まる輸送燃料市場において、より大量の合成オイルの供給および使用を可能とする。
ある実施態様において、本発明の製造方法は、ラウリル酸アルカリ金属塩(炭素数12(C12)カルボン酸、任意にリグノセルロース糖から発酵されて製造されたもの)を対応するα−オレフィン、例えば1−ウンデセン(ウンデカ−1−エンとしても知られる)に変換する電解反応器を使用する。
Figure 0006587640
酸化反応は、分散型スケール上で使用される単一電解反応器を使用し、以下の2電子酸化反応で行われる。
1123COM → C1122+CO+2e+M+H
ここで、金属(M)が例えばナトリウムであれば以下の式となる。
1123CONa → C1122+CO+2e+Na+H
本発明の製造方法は2電子脱炭酸プロセスである。対照的に、1電子脱炭酸プロセスはKolbe電解反応として知られており、本発明では好ましくないラジカルカップリング生成物が最終的に製造される。それ故、オレフィンを製造する2電子脱炭酸が、本発明において好ましく、ジカルカップリング生成物を製造する1電子脱炭酸は好ましくない。
任意の膜を介して拡散させる場合、例えばナトリウムイオン等のアルカリ金属イオンは水酸化物アニオンと反応して、以下のような水の還元を行う。
2Na+2HO+2e → 2NaOH+H
それ故、水素とアルカリ水酸化物がカソードで製造されるアルカリ水酸化物は、任意に原料カルボン酸に鹸化に使われ、カルボン酸のアルカリ金属塩を以下のように製造する。
R−COOH+NaOH → R−COONa+H
アルカリ水酸化物は、陰極液室において上記のように再生される。
図1は、本発明のオレフィンを製造する電解プロセスに使用される電気化学的セルまたは反応器100の1つの概略図である。電解セル100は、陽極液室110、陰極液室112及び陽極液室110陰極液室112から陽極液室110を分離するアルカリイオン伝導性膜114から成る。
陽極液室110は、カルボン酸のアルカリ金属塩の2電子脱炭酸反応を遂行するように選択される電気化学的活性アノード116を含む。アノード116は、好ましくは炭素質表面から成る。陰極液室112は、還元反応が生じる電気化学的活性カソード118を含む。アルカリイオン伝導性膜114は、アルカリイオン(M)120を電位差122の影響下で陽極液室110と陰極液室112との間で選択的に透過することが出来、一方、溶媒またはアニオンは陽極液室と陰極液室との間を透過させない。アルカリイオン120は、これに限定されないが、ナトリウムイオン、リチウムイオン、カリウムイオン及びこれらの混合物である。
アルカリイオン伝導性膜114は、アルカリイオンを選択的に伝導させ、水、水酸化物イオン又は他の反応生成物などを透過させない好適なアルカリイオン伝導性膜である。アルカリイオン伝導性膜114は、セラミック、ポリマー又はそれらの組合せから成る。ある実施態様において、アルカリイオン伝導性膜がアルカリイオン超イオン伝導(MSICON)膜である。そのような膜は、これに限定されないが、NaSICON(sodium super ionic conductor membrane)及びNaSICON型膜が挙げられる。アルカリイオン伝導性膜は、ナトリウム超イオン伝導材料の幾つかの種類があり、これに限定されないが、米国特許出願公開第2010/0331170号および第2008/0245671号明細書ならびに米国特許第5,580,430公報に記載されている。これらの特許出願に記載も本出願に参照により引用される。ある実施態様において、ナトリウム選択性膜であるNaSelect(登録商標、セラマテック社、米国ユタ州ソルトレークシティ)が使用できる。
ナトリウム以外の他のアルカリ金属を使用する場合、LiSICON膜、LiSICON型膜、KSICON膜、KSICON型膜などの類似のアルカリイオン伝導性膜を使用することは理解できるであろう。ある実施態様において、アルカリイオン伝導性イオン交換ポリマー膜が使用できる。ある実施態様において、アルカリイオン伝導性膜はアルカリイオン伝導性ガラス又はβアルミナから成る。
電気化学的セル100は、平板電極および膜が使用されている平行板形状であってもよい。アノード116は、電位差122がアノード116及びカソード118間に印加された時に、陽極液室110内で2電子酸化(脱炭酸)反応が生じるようないかなる好適なアノード材料から成っていてもよい。好適なアノード材料の例としては、これに限定されないが、炭素質電極、あるいは、天然または人造黒鉛、グラファイトナノパウダー、アセチレンブラック、Super P(登録商標、Westlake Chemical、Westlake、Ohio社より入手可能)、MesoCarbon、高表面活性炭素、ガラス状炭素、カーボンナノチューブ及びグラフェン等の炭素質表面を有する電極が挙げられる。
カソード118は、セルにおいて、水、メタノール又は他の好適な電解質含有溶媒を陰極液室112中で還元し、水酸化物イオン、メトキシドイオン又は他の対応する有機酸化物イオン及び水素ガスを生成する好適なカソードである。好適なカソード材料の例としては、これに限定されないが、ニッケル、ステンレススチール、グラファイト及び他の新規または公知の好適なカソード材料が挙げられる。
ある実施態様において、陽極液溶液124を陽極液室110に供給することにより電解セル100を作動させる。陽極液溶液124は、溶媒およびカルボン酸またはカルボン酸のアルカリ金属塩を含む。カルボン酸のアルカリ金属塩は、カルボン酸にアルカリ金属水酸化物を反応させることによって得られ、アルカリ金属水酸化物としては水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化リチウム(LiOH)及び水酸化カリウム(KOH)が挙げられる。
カルボン酸は、バイオマスを含む種々の供給源より得られる。好適なカルボン酸の例としては、これに限定されないが、下記表1に示される脂肪酸が挙げられる。ある実施態様において、カルボン酸の炭素数は6〜20である。ある実施態様において、カルボン酸の炭素数は6〜12である。ある実施態様において、カルボン酸の炭素数は16〜18である。ある実施態様において、カルボン酸の炭素数は12〜18である。
Figure 0006587640
当業者ならば明らかなように、本発明の方法を使用する脱炭酸は、表1に示される脂肪酸から炭素原子1つを失うことになる。それ故、ある実施態様において、得られるオレフィンの炭素原子数は5〜19となる。ある実施態様において、オレフィンの炭素原子数は5〜11である。ある実施態様において、オレフィンの炭素原子数は15〜17である。ある実施態様において、オレフィンの炭素原子数は11〜17である。
陽極液溶液124は、1つ以上の溶媒を含む。ある実施態様において、溶媒はメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール又はこれらの混合物などの低級有機アルコールである。ある実施態様において、溶媒は、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、スルホラン、ピリジン、2,6−ピリジン及びこれらの混合物である。ある実施態様において、溶媒はイオン液体から成る。他の実施態様において、溶媒は溶融塩から成る。陽極液のための溶媒の選択は、1つにはカルボン酸またはアルカリカルボン酸塩の溶解性、溶媒の電気化学的安定性、求核性が無いこと、2電子酸および引き続くEl脱離反応を改良できる他の性質によって決定されることは、当業者には明らかであろう。
陽極液溶液124は、溶媒に可溶で、陽極液溶液中で高い電解質伝導性を付与できる支持電解質を任意に含んでいてもよい。支持電解質の例としては、これに限定されないが、アルカリ金属テトラフルオロホウ酸塩が挙げられる。他の例としては、ヘキサフルオロリン酸テトラエチルアンモニウムが挙げられる。金属ハロゲン化物、金属硝酸塩、金属硫酸塩、金属過塩素酸塩およびこれらの混合物の他のイオン性固体も使用できる。ある実施態様において、ブレンステッド塩基として作用する支持電解質が使用される。そのような場合、支持電解質は陽極液溶液の伝導性を高めるだけでなく、El脱離反応を促進させてオレフィン形成速度も高める。
電位差122がアノード116とカソード118との間に印加され、カルボン酸のアルカリ金属塩の電気化学的脱炭酸が行われ、1つ以上のオレフィン126及び二酸化炭素(CO)128が製造される。製造されるオレフィンは、α−オレフィン及び内部直鎖オレフィン(分岐型)を含む。製造されるオレフィンの炭素原子数は、脱炭酸に使用されるカルボン酸またはアルカリカルボン酸塩による。ある実施態様において、ラウリン酸塩(C12)の脱炭酸は、C11α−オレフィン、1−ウンデセン及び、2−ウンデセン、3−ウンデセン、4−ウンデセン、5−ウンデセン等の内部直鎖オレフィンならびにこれらの混合物を製造する。
電位差122は2〜30Vの電圧を印加する。ある実施態様において、電圧は4〜18Vである。ある実施態様において、電圧は4〜12Vである。電圧は5〜100mA/cmの電流密度で印加される。ある実施態様において、電流密度は5〜50mA/cmである。ある実施態様において、陽極液溶液110のpHは約8〜14である。他の実施態様において、陽極液溶液110のpHは約9〜13である。更に他の実施態様において、陽極液溶液110のpHは約10〜12である。電圧(電位差)、電流密度およびpHは、電気化学的脱炭酸により製造されるオレフィンの比率を変更するように制御できることを当業者は理解すべきである。
ある実施態様において、これに限定されないが、陽極液室が20℃〜150℃の範囲の作動温度を有する。他の実施態様において、陽極液室が50℃〜150℃の範囲の作動温度を有する。常温よりも高い(>20℃)と、オレフィンを製造する脱炭酸反応が容易となる。
ある実施態様において、陰極液室溶液130は陰極液室112に供給される。陰極液室溶液130は、陽極液溶媒と同じ又は異なる溶媒を含んでもよい。陽極液質および陰極液室の溶媒は異なっていてもよく、これはアルカリ伝導性膜114が両室を互いに分離しているからである。陰極液室溶媒は、水を含むまたは含まない混合溶媒であってもよい。図1に示す実施態様において、陰極液室溶液は水から成る。少なくとも最初の段階において、陰極液室溶液は、アルカリ水酸化物の非飽和溶液の形状であるアルカリイオンを含む。アルカリ水酸化物濃度は、溶液の重量を基準として0.1〜50重量%である。ある実施態様において、陰極液室溶液は、アルカリ水酸化物の希釈溶液を含む。作動中、アルカリイオン源は、陽極液室から陰極液室にアルカリイオン伝導性膜を通過して移送されるアルカリイオンによって供給される。図1に示す態様では、アルカリ水酸化物が以下の記載のように使用されるが、当業者ならば、メタノールを用いる態様ならアルカリ水酸化物の代わりにアルカリメチラートを製造する装置に置換えられることは明らかであろう。従って、陰極液室溶液はメタノールを含んでもよい。
カソード118において、水の還元により水素ガス132と水酸化物イオンの形成が生じる(以下の反応式(1)参照))。水酸化物イオンは、アノード質110からアルカリ伝導性膜114を介して移送されて使用されるアルカリイオン(M)120と反応し、以下の反応式(2)に従ってアルカリ水酸化物を形成する。アルカリ水酸化物134は陰極液室112から回収される。
2HO+2e → H+2OH (1)
+2HO+2e → 2MOH+H (2)
陰極液室溶液130がメタノールを有する場合、メトキシドイオンは使用されるアルカリイオンと反応し、以下の反応(3)に示すようにアルカリメトキシドを生成する。アルカリメトキシドは陰極液室112から回収されてもよい。
2M+2CHOH+2e → 2MOCH+H (3)
陰極液室溶液は、カルボン酸を中和してカルボン酸のアルカリ金属塩を製造するのに使用される塩基を含むことが好ましい。それ故、酸中和工程で消費される塩基が、陰極液室内で製造され、回収され、酸中和または他の化学プロセスにおいて再利用されてもよい。
ある実施態様において、電解セルは連続式で作動させてもよい。連続モードの場合、セルは、最初に陽極液溶液および陰極液室溶液で満たされ、次いで作動中に、追加の溶液をセルに供給しながら、生成物、副生物および/または希釈された溶液をセルの作動を中断することなくセルから除去する。陽極液溶液および陰極液室溶液の供給は連続的に行ってもよく、また断続的に行ってもよく、すなわち、これは、個々の室あるいは2室の組合せで溶液が空になることのないように、必要とされる溶液流に従って、溶液流供給が開始され、停止され、セルの室中の所望の溶液濃度を維持されることを意味する。同様に、陽極液室および陰極液室から溶液の除去もまた、連続的または断続的に行われる。セルへの溶液の供給および/またはセルからの除去の制御は、いかなる好適な手段で行ってもよい。そのような手段としては、一人以上のオペレーターによる手動操作、あるいは、センサー、電気バルブ、ロボット等を使用してコンピューター又はアナログで操作する自動操作が挙げられる。自動操作において、バルブや栓は、タイマー、生産量センサー又は他の手段を基にコンピューター又は電子制御器から受けた信号に従って開閉してもよい。自動化システムの例は、本分野の公知のシステムが挙げられる。手動操作と自動操作の何らかの組合せも使用できる。別の方法として、定常状態を維持するための単位時間当たりの添加すべきあるいは除去すべき溶液量は、与えられたセルに関する経験を基にして決定し、定常状態の流量条件を達成するようにシステムの溶液の供給および除去を設定する。
他の実施態様において、電解セルはバッチ式で作動させてもよい。バッチ式において、最初に陽極液溶液および陰極液室溶液をセルに充填し、次いでセルを作動させ、陽極液室および陰極液室中に生成物が所望の生成物濃度に達するまで製造する。次いで、セルを空にして生成物を回収する。そして、再度セルに溶液を充填して同じプロセスを行う。また、バッチ式と連続式の両モードによる製造を組合せてもよい。更にそれぞれのモードにおいて、溶液の供給が、予め調製した溶液を用いて行われても、その場で形成される構成要素を使用して行われてもよい。
バッチ式と連続式の両モードにおいて、溶液の流動があってもよい。連続式のある実施態様において、電解セルの作動中に、ナトリウム濃度が所定濃度または所定濃度範囲に維持されるように陽極液溶液が陽極液室に添加される。バッチ式のある実施態様において、アルカリイオンの所定量がアルカリイオン伝導性膜を通じて陰極液室に移送され、再補充されず、陽極液室のアルカリイオン濃度が所定量まで減少するか、陰極液室内の生成物濃度が所定濃度に達した時にセルの作動を停止する。
ある実施態様において、得られるα−オレフィンは、合成油のための公知の方法によるオリゴマー化されたポリα−オレフィン(PAOs)であってもよい。ある実施態様において、C11オレフィンが、公知の方法および合成油を製造する方法によりオリゴマー化し、内部重合のポリオレフィン(PIOs)が製造される。
ある実施態様において、総プロセスが水素独立系である。ある実施態様において、プロセスが少量の電力を必要とする。ある実施態様において、電気化学的反応器がオレフィンの分散製造用として商品化される。ある実施態様において、バイオマス発酵から得られたラウリル酸のナトリウム塩が、直接膜反応器に供給され、分離や精製の必要性を除去する。ある実施態様において、電気化学的反応器は、消費電力の小さい安価な電極材料を使用する。ある実施態様において、得られるα−オレフィンはオリゴマー化して、合成バイオ滑剤を製造する
カルボン酸またはカルボン酸のアルカリ塩の脱炭酸を介したオレフィン製造の技術的実現可能性を示すために、いくつかの実施例を以下に示す。以下の実施例は、Ceramatec,Inc.(セラマテック・インク社、米国ユタ州ソルトレークシティ)社製NaSelect(米国登録商標)NaSICON膜を搭載する電解セルを使用して、カルボン酸のナトリウム塩の脱炭酸を実証するものである。
ここに記載する実施例では、電極と膜との距離を最小にしながら、陽極液および陰極液の両方がセルを通じて注入されるような、ミクロフローセルから成る実験配置構成を使用した。実施例で使用した膜は、セルの中心のスカッフホールドに収納される、2.54cm径で厚さ1mmのNaSICONディスクであった。スカッフホールド及び膜は、アノード室およびカソード室を物理的に分離するので、陽極液および陰極液のために別々にリザーバー及び温度制御用ホットプレートを準備した。これらは、それぞれの電極反応でのそれぞれの電解液の化学物質および条件を最適化する。電解セルに両方の電解液を供給するために複数のヘッドを有する蠕動ポンプが使用された。温度感性の電解質のため、セル、ポンプ及びリザーバー間の接続チューブは断熱された。
カルボン酸のナトリウム塩を含む陽極液溶液は、10%以上の塩濃度で水、メタノール、エタノール、ブタノールを含む異なる混合物から成る溶媒系に溶解させる。ナトリウム塩は従来の鹸化反応に従って別に溶液を調製した後、電解質溶液中に溶解させる。この方法に関し、カルボン酸を中和するために、カルボン酸のナトリウム塩が生じる間、従来の鹸化生成物が使用された。電解液調製の詳細は、それぞれの実施例に記載する。陰極液は水酸化ナトリウム水溶液から成る。低い溶液抵抗を得るために、電解液の温度を50℃まで増加させ、溶解製および伝導性の両方を改善した。
リザーバーが所望の温度に到達したら、電源を接続し、10〜100mA/cmの電流密度を印加した。電解中、Lab VIEW softwareによって制御されたData Acquisition Unit(Agilent 3490A)を使用して電圧および電流を測定した。電流密度の印加により、アノード(平滑白金またはグラファイト)において酸化反応が生じ、カソード(ニッケル)において還元反応が生じた(それぞれの電極の表面積は11cmであった)。電源はアノードからカソードに電子を移送するため、電荷バランスは、拡散イオン又は正電荷イオンのセルの通過で維持されなければならない。NaSICON膜のNaイオンの高い選択性によって、ナトリウムイオンはこのバランスを保てる唯一の化学種となる。高濃度のナトリウム塩が望ましく、使用された。
電解液からオレフィンを分離するために、ヘキサンを使用して液−液抽出を行った。抽出後、オレフィンはヘキサンを使用して、IR(Bruker,Tensor 37)、GC(Bruker,SICON 465)及びGC−MS (Bruker,SCION 465 GC−SQ)分析を行った。オレフィンは、回収されたオレフィンの純度が98%となるように、わずかに減圧および加熱してヘキサンを除去することにより分離精製した。
比較例1:
1電子コルベ(Kolbe)電解反応の従来の生成物の選択性を示すために、10%オクタン酸ナトリウムの水−メタノール溶液(pH8)を陽極液とし、10%水酸化ナトリウム水溶液を陰極液として反応を行った。陰極液室を50℃に加熱し、陽極液は室温に維持した。電解反応は、陽極液および陰極液をセルの対応するアノード室およびカソードに循環させながらバッチ式で行った。セルは、電荷を通じてオクタン酸ナトリウムの理論変換率80%に達するまで作動させた。図2Aに示すように、65mA/cmの定電流密度で、セル電位8Vで電解反応を行った。
電解中にアノード室およびカソード室で生じる反応は以下の通りである。
15CONa → C15・+CO+Na+e
O+e → H+OH
この実施例で使用される条件は、ラジカル−ラジカルカップリングを促進し、以下の反応式に従ってテトラデカンを製造した。
2C15・ → C1430
電解反応が終了した後、ヘキサンを用いて電解液から液−液抽出により生成物を抽出/除去した。次いで、GC−MSを使用して電解性生成物を分析し、その結果を図2Bに示す。これから、生成物の組成は、テトラデカンが80%、ヘプタノールが5%、エステルが10%未満及びヘプテンが5%であった。
実施例2:
ここに記載された方法を使用するパラフィンの代わりに、オレフィンの選択的製造を示すために、実施例1における電解条件変更した。生成物の選択性における変化が生じる2つの実施例の一つの違いは、実施例1では白金電極が使用されたが、本実施例ではグラファイト電極を使用したことである。この実施例において、メタノール、ブタノール及び水の混合物から成るpH10.5の電解質に、ラウリン酸ナトリウム(10%を濃度)を溶解させた。陰極液室は10%水酸化ナトリウム水溶液を含んでいた。陰極液および陽極液は50℃に加熱した。電解は、対応するセルのアノード室およびカソード室を通じて陽極液および陰極液室を循環させるバッチ式で行われた。理論的にラウリン酸ナトリウムを80%変換するように十分電流を通じるまでセルを作動させた。図3Aに示すように、電解は、一定の4Vのセル電圧および20mA/cmの電流密度で行った。
電解中にアノード室およびカソード室に生じる反応を以下に示す。
1123CONa → C1123 +CO+Na+2e+H
O+e → H+OH
この実施例における条件は2電子酸化を促進し、その後カルボカチオンは、以下の反応式に示すように、S1置換反応でアルコールを生成するか、El脱離反応でオレフィンを生成するかの何れかが進行する。
1123 +HO → C1123OH+H
1123 +OH → C1122+H
電解反応が終了した後、ヘキサンを用いて電解液から液−液抽出により生成物を抽出/除去した。次いで、GC−MSを使用して電解性生成物を分析し、その結果を図3Bに示す。これから、生成物の組成は、ドコサンが5%未満、ウンデカノールが40%、エステルが5%未満及びウンデセンが50%を超えた。ウンデセンについては、α−オレフィンに相当する1−ウンデセンが50%であった。
記載された本発明は、カルボン酸のアルカリ金属塩からオレフィンを製造する電気化学的方法を提供するものである。低コストの再生可能バイオマスからカルボン酸のアルカリ金属塩の供給源を提供してもよい。

Claims (19)

  1. 陽極液室と陰極液室と陽極液室から陰極液室を分離するアルカリイオン伝導性膜とから成る電気化学的セルを供給する工程と、pH10〜14の陽極液を陽極液室に供給する工程と、カルボン酸塩の電気化学的脱炭酸を行って1つ以上のオレフィンを製造する工程とから成るカルボン酸のアルカリ金属塩からオレフィンを製造する電気化学的方法であって、陽極液室はカルボン酸のアルカリ金属塩の2電子脱炭酸反応を遂行する電気化学的活性アノードから成り、当該アノードは炭素質電極または炭素質表面を有する電極から成り、陰極液室は還元反応が生じる電気化学的活性カソードから成り、陽極液はカルボン酸のアルカリ金属塩と水および有機溶媒の混合溶媒とから成り、アルカリイオン伝導性膜は陽極液室と陰極液室との間でアルカリイオンを選択的に透過させることが出来、カルボン酸のアルカリ金属塩が、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸から成る群より選択されることを特徴とするカルボン酸のアルカリ金属塩からオレフィンを製造する電気化学的方法。
  2. 印加する電位差が2〜20Vである請求項1に記載の方法。
  3. アノードに印加される電流密度が5〜100mA/cmである請求項1に記載の方法。
  4. カルボン酸のアルカリ金属塩溶液のpHが10〜12である請求項1に記載の方法。
  5. 更に、カルボン酸のアルカリ金属塩と有機溶媒とを混合する工程を含む請求項1に記載の方法。
  6. 有機溶媒が、一つ以上の有機アルコール又はそれらの混合物から成る請求項5に記載の方法。
  7. 一つ以上の有機アルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール及びこれらの混合物から成る群より選択される請求項6に記載の方法。
  8. 有機溶媒が、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、スルホラン、ピリジン、2,6?ピリジン及びこれらの混合物から成る群より選択される請求項5に記載の方法。
  9. カルボン酸のアルカリ金属塩のpHを塩基によって調節する工程を含む請求項1に記載の方法。
  10. 塩基がアルカリ金属水酸化物である請求項9に記載の方法。
  11. 更に、金属ハロゲン化物、金属硝酸塩、金属硫酸塩、金属過塩素酸塩および金属テトラフルオロホウ酸塩から成る群より選択される電解質とカルボン酸のアルカリ金属塩とを混合する工程を含む請求項1に記載の方法。
  12. アルカリイオン伝導性膜がNaSICON膜である請求項1に記載の方法。
  13. 更に、バイオマス発酵でカルボン酸を製造する工程と、カルボン酸をアルカリ金属水酸化物で中和してカルボン酸のアルカリ金属塩を形成する工程とを含む請求項1に記載の方法。
  14. カルボン酸のアルカリ金属塩が偶数の炭素原子数を有する請求項1に記載の方法。
  15. カルボン酸のアルカリ金属塩が、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸およびオクタデカン酸から成る群より選択されるカルボン酸から誘導される請求項1に記載の方法。
  16. 1つ以上のオレフィンがα−オレフィンから成る請求項1に記載の方法。
  17. オレフィンが1−ウンデセンから成る請求項1に記載の方法。
  18. 更に、1つ以上のオレフィンをオリゴマー化して合成滑剤を製造する工程を含む請求項1に記載の方法。
  19. 陽極液を50℃の温度に加熱する請求項1に記載の方法。
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