JP6587119B2 - シート体と、オーバーシート体とのセットおよびそれを用いた意匠シートの作成方法 - Google Patents

シート体と、オーバーシート体とのセットおよびそれを用いた意匠シートの作成方法 Download PDF

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Description

本発明はシート体と、オーバーシート体とのセットおよびそれを用いた意匠シートの作成方法に関する。
トンネル等のコンクリート構造物の内壁は意匠性を高める必要がないことから、一般的には、表面装飾等が施されていない。しかしながら、近年、リニア中央新幹線等のように長距離にわたってトンネル内を走行する車輌のために、トンネルの内壁を美装することが試みられている。例えば、トンネルの内壁に風景画像が印画されたシートを貼着しておくことにより、トンネル内を走行する車輌内から風景画像を見て楽しむことができる。
トンネル等のコンクリート構造物の内壁に画像形成されたシートを貼着したり意匠装飾のためにタイル等を貼り付ける場合、まず、コンクリート構造物の表面にモルタルや接着剤等を塗布した後、塗布面にシートやタイルを貼り合わせることが行われていた。しかしながら、内壁の側面や天井面での作業に労力を時間を要するものであった。また、長尺状の面積の大きいシートを内壁側面や天井面に貼り合わせる際には、シートが自重により垂れたり,シートに皺が発生したりする場合があった。さらに、複数のシートを貼り合わせる際には、シート間での目地合わせも必要となるため、熟練した作業者を必要としていた。
ところで、所望の画像等を印画した意匠シートを得るに際して、熱転写方式により受像層に画像形成できる被転写シートが知られている(例えば、特開平07−089226号公報等)。また、コンクリート構造物に接着させるシートとして、特開2014−65889号公報には、ガラス転移温度が15℃以下のアクリル系樹脂、液状エポキシ樹脂、固形エポキシ樹脂および硬化剤を含む粘接着シートが開示されている。
特開平07−089226号公報 特開2014−65889号公報
今般、本発明者らは、所望の画像等を形成した受容層を備える意匠シートを、コンクリート壁面に貼着してコンクリート構造物の表面に意匠装飾を施す際に、意匠シートの一方の面に粘接着層を設けておくことにより、襞面や天井面への意匠シートの貼り着けが容易に行うことができることを見出した。そして、粘接着層を特定の組成とすることにより、意匠シートの仮貼りによって、複数の意匠シートを貼り着ける場合であっても、意匠装飾のための絵柄の模様合わせ、目地合わせを等を容易に行うことができ、貼り付けが困難な箇所、広範囲であっても、高品質かつ短時間で貼り付けを行うことができることを見出した。本発明はかかる知見によるものである。
本発明は上記の背景技術等に鑑みてなされたものであり、その目的は、仮貼りによる位置合わせを行ってから本貼りを行うことができるため、目地、模様合わせが容易かつ簡便であり、貼り付けが困難な箇所や広範囲であっても、高品質かつ短時間で貼り付けを行うことが可能な意匠シートの作成に用いられる、シート体と、オーバーシート体とのセットを提供することである。また、目地、模様合わせが容易かつ簡便な意匠シートの作成方法を提供することである。
本発明によれば、シート体と、オーバーシート体とを重ね合わせて、意匠シートを作成するために用いられる、シート体と、オーバーシート体とのセットであって、前記シート体が、剥離フィルム、粘接着層およびシート体用基材をこの順に備え、前記オーバーシート体が、受容層およびオーバーシート体用基材を備え、前記粘接着層が、(メタ)アクリル樹脂、液状エポキシ樹脂、固形エポキシ樹脂および硬化剤を含んでなり、前記(メタ)アクリル樹脂のガラス転移温度が15℃以下であることを特徴とする、シート体と、オーバーシート体とのセットが提供される。
本発明の態様においては、前記(メタ)アクリル樹脂の含有量が、前記(メタ)アクリル樹脂、前記液状エポキシ樹脂および前記固形エポキシ樹脂の合計量に対して、4質量%以上、50質量%以下であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記液状エポキシ樹脂の含有量が、前記液状エポキシ樹脂および前記固形エポキシ樹脂の合計量に対して、20質量%以上、80質量%以下であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記液状エポキシ樹脂および前記固形エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記シート体が、前記粘接着層と前記基材との間に、補修用または補強用のシートを備えることが好ましい。
本発明の態様においては、前記オーバーシート体が、前記オーバーシート体基材と前記受容層との間に、保護層を備えることが好ましい。
本発明の他の態様によれば、上記シート体と、オーバーシート体とのセットを用いた意匠シートの作成方法であって、前記オーバーシート体が備える受容層上に印画物を形成する工程と、前記受容層と、前記シート体が備えるシート体用基材とをラミネートする工程と、を含んでなることを特徴とする、方法が提供される。
本発明の態様においては、前記オーバーシート体が備えるオーバーシート体用基材を剥離する工程を含んでなることが好ましい。
本発明のシート体と、オーバーシート体とのセットを用いて作成される意匠シートは、仮貼りによる位置合わせを行ってから本貼ができるため、目地、模様合わせが容易かつ簡便であり、貼り付けが困難な箇所や広範囲であっても、高品質かつ短時間で貼り付けを行うことができる。さらに、タイル等と比べ、本発明に係るは軽量であるため、作業者の安全を確保することもできる。
本発明の一実施形態によるシート体の断面模式図である。 本発明の一実施形態によるオーバーシート体の断面模式図である。 本発明のセットを用いて作製することができる意匠シートの一実施形態を表す断面模式図である。
<定義>
本明細書において、配合を示す「部」、「%」、「比」等は特に断らない限り質量基準である。また、活性光線硬化性樹脂とは活性光線を照射する前の前駆体または組成物を意味し、活性光線を照射して活性光線硬化性樹脂を硬化させたものを活性光線硬化樹脂というものとする。
また、本明細書において、活性光線とは、活性光線硬化性樹脂に対して化学的に作用させて重合を促進せしめる放射線を意味し、具体的には、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等を意味する。
<シート体>
本発明のシート体1は、剥離フィルム2、粘接着層3およびシート体用基材4をこの順に備えるものである(図1参照)。好ましい態様では、シート体1は、粘接着層3と、シート体用基材4との間に、補修用または補強用シートを備える(図示せず)。
<剥離フィルム>
剥離フィルムは、粘接着層の表面に剥離可能に設けられ、粘接着層を保護することができる程度の強度や柔軟性を有するものであれば特に限定されず、各種のフィルムを用いることができる。剥離フィルムの材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド系樹脂、フェノール系樹脂およびポリウレタン系樹脂等の公知の樹脂を挙げることができる。これらの中でも、透明性、耐熱性、寸法安定性、剛性、柔軟性、積層適性、コスト等の観点から、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリテトラメチレンテレフタレート等を挙げることができる。特に、ポリエチレンテレフタレートは、取り扱い易さ、コスト等の観点から好ましい。
なお、剥離フィルムは、上記樹脂を単独で用いた合成樹脂フィルムであってもよいし、2種以上の樹脂を組み合わせて用いた合成樹脂フィルムであってもよいし、単独又は組み合わせて用いた合成樹脂フィルムを積層した複合フィルムであってもよい。
また、剥離フィルムの粘接着層側の表面は、易剥離処理が施されていることが好ましい。易剥離処理としては、例えば、剥離フィルムと粘接着層との間に易剥離層(図示しない)を設けること等を挙げることができる。易剥離層は、剥離剤を塗布することにより形成させることができる。剥離剤は、特に限定されず、例えば、水溶性樹脂、親水性樹脂、ワックス類、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、アミノアルキド系樹脂、メラミン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂等を使用することができる。剥離剤の塗布方法は特に限定されず、例えば、ロールコート、グラビアコート、スプレーコート等の塗布方法を挙げることができる。
剥離フィルム表面は、易剥離層との接着性を高めるための易接着処理が予め施されていることが好ましい。易接着処理としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理等を挙げることができる。
剥離フィルムの厚さは、5μm以上、200μm以下であることが好ましい。
剥離フィルムの製造方法は特に限定されず、例えば、溶液流延法、溶融押出法、カレンダー法等の方法で剥離フィルムを製造できる。なお、剥離フィルムは市販品を用いてもよい。
<粘接着層>
粘接着層は、ガラス転移温度(Tg)が15℃以下のアクリル樹脂、液状エポキシ樹脂、固形エポキシ樹脂、および硬化剤を含んでなる。加熱や紫外線照射等の処理前の粘接着層は、シート体または後述する意匠シートを、コンクリート構造物等の対象へ、一時的に粘着させる粘着性能を有する。このため、仮貼りした後に、剥がして再び仮貼りすることが可能である。すなわち、垂直面または天井面のコンクリートのような、貼り付けが困難な場所であっても、容易に、正確な場所へ貼り直すことができ、結果として、施工作業が容易となる。また、粘接着層は、加熱や紫外線、電子線照射等の処理を施すことにより、接着性能を発現するため、仮貼り後、そのままコンクリート等に強固に接着(本貼り)させることもできる。このため、コンクリート構造物の表面に接着剤等を塗布する必要がなく、工程を減らすことが出来るため、作業効率を極めて向上させることができる。さらに、接着場所が、広範囲であっても、その作業効率を維持することができる。なお、本明細書において、「粘着」は一時的な接着現象を意味し、「接着」は永久的な接着現象を意味する。
粘接着層が、15℃以下のTgを有する(メタ)アクリル樹脂を含んでなることにより、粘接着層に実用に適した粘着性能が付与される。さらに、粘接着層が、このような(メタ)アクリル樹脂を含んでいることにより、粘接着層を形成する際、粘接着層を形成する塗工液の塗布性および成膜性を向上させることができる。また、粘接着層が液状エポキシ樹脂および固形エポキシ樹脂を含んでなることにより、粘接着層に高い接着性能および耐熱性能が付与される。
粘接着層が有する粘着性能、すなわち粘着力は、好ましくは0.4N/25mm以上、6.3N/25mm以下、より好ましくは4N/25mm以下である。粘接着層の粘着力が上記数値範囲内であれば、シート体または意匠シートをコンクリート構造物に十分な強度で仮貼りすることができ、実用に適している。粘着力の測定は、まず、粘着力測定用の意匠シートの試験片を作成する。試験片とした意匠シートが備える剥離フィルムを剥がし、露出した粘接着層をステンレス板(SUS304)にローラーを用いてラミネートする。ステンレス板にラミネートした意匠シートを引張試験機(例えば、エー・アンド・デイ(株)製、商品名:RTF−1150H)を用いて、JIS Z0237に準拠した条件(引張速度300mm/分、剥離距離:150mm、剥離角:180°)で、測定することができる。
粘接着層が有する接着性能、すなわち接着力は、好ましくは1.5N/mm以上、2.0N/mm以下である。接着力は、剥落防止性能照査試験(JIS 424 2004)により測定することができる。
((メタ)アクリル樹脂)
(メタ)アクリル樹脂は、15℃以下のTgを有し、粘接着層に実用に適した粘着性能を付与する。さらに、粘接着層が、このような(メタ)アクリル樹脂を含んでいることにより、粘接着層を形成する際、粘接着層を形成する塗工液の塗布性および成膜性を向上させることができる。また、好ましくは−45℃以上のTgを有する。なお、Tgは、例えば、固体粘弾性アナライザー(ティー・エイ・インスツルメンツ社製、商品名:RSA−III)を用い、JIS K7244−1に準拠した動的粘弾性測定法で測定できる。
(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、Tgが15℃以下の(メタ)アクリレート重合体または共重合体を用いることができる。Tgが15℃以下の(メタ)アクリリレート重合体または共重合体のモノマー成分としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートモノマー、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、n−ブトキシ−N−メチロール(メタ)アクリルアミド、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸ソーダ、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート等の官能基含有モノマー、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチルビニルエーテル等のモノマー等を挙げることができる。
また、(メタ)アクリル樹脂は、官能基としてエポキシ基、水酸基、カルボキシル基またはニトリル基等が導入されていることが好ましい。(メタ)アクリル樹脂がこのような官能基を有していることにより、粘接着層の粘着性能をより向上させることができる。
(メタ)アクリレート共重合体としては、粘接着層の粘着性能および耐熱性の観点から、ブロック共重合体が好ましく、中でも、メタクリレート−アクリレート−メタクリレートからなるトリブロック共重合体が好ましい。トリブロック共重合体を構成する(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。メタクリレート−アクリレート−メタクリレートからなるトリブロック共重合体の具体例としては、例えば、メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−メチルメタクリレートトリブロック共重合体を挙げることができる。
(メタ)アクリル樹脂の質量平均分子量(Mw)は15万以上、150万以下であることが好ましく、40万以上、120万以下であることがより好ましい。(メタ)アクリル樹脂のMwが上記数値範囲内であれば、粘接着層の初期粘着力の調整を容易に行うことができるとともに、粘接着層の凝集力を高くすることもできる。なお、Mwは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した際の、ポリスチレン換算の値である。
(メタ)アクリル樹脂の含有量は、(メタ)アクリル樹脂、液状エポキシ樹脂および固形エポキシ樹脂の合計量に対して、4質量%以上、50質量%以下であることが好ましい。含有量が上記数値範囲内であれば、粘接着層に、実用に適した粘着性能と高い接着性能を付与することができる。さらに、粘接着層を形成するための粘接着層塗工液の塗布性と成膜性の低下を防止することができる。より好ましくは、(メタ)アクリル樹脂の含有量は、5質量%以上、34質量%以下である。
(液状エポキシ樹脂)
液状エポキシ樹脂は、粘接着層に粘着性能と接着性能を付与する。液状エポキシ樹脂は、常温で液状であれば特に限定されず、各種のエポキシ樹脂を用いることができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂肪族型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、変性フェノール型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂およびグリシジルアミン型エポキシ樹脂等を挙げることができ、これらから選ばれる1種又は2種以上を使用することができる。
これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂は、粘接着層の機械的強度、硬化性、耐熱性、接着性等を向上させることができるため好ましく、特に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。ビスフェノールA型エポキシ樹脂の中でも、主鎖のビスフェノール骨格を1以上、3以下含むものは常温で液状であるので好ましい。なお、本願において、常温とは23℃±2℃を意味する。
液状エポキシ樹脂のMwは、300以上、2000以下であることが好ましい。液状エポキシ樹脂のMwが、上記数値範囲内であれば、液状エポキシ樹脂とアクリル系樹脂との相溶性を向上させることができる。また、液状エポキシ樹脂のエポキシ当量(g/eq.)は、100g/eq.以上、800g/eq.以下であることが好ましい。液状エポキシ樹脂のエポキシ当量が上記数値範囲内であれば、加熱や紫外線照射等して硬化させた後の粘接着層に高い耐久性を付与することができると共に、高い接着力を付与することができる。なお、エポキシ当量は、JIS K7236に準拠した方法により測定した1グラム当量のエポキシ基を含む樹脂のグラム数である。
液状エポキシ樹脂の含有量は、液状エポキシ樹脂および固形エポキシ樹脂の合計量に対して、20質量%以上、80質量%以下であることが好ましく、25質量%以上、75質量%以下であることがより好ましい。液状エポキシ樹脂の含有量が上記数値範囲内であれば、粘接着層に、実用に適した粘着性能と高い接着性能を付与することができる。
(固形エポキシ樹脂)
固形エポキシ樹脂は、加熱や活性光線照射等して硬化させた後の粘接着層に高い接着性能を付与するとともに、粘接着層に高い凝集力を付与する。固形エポキシ樹脂は、常温で固形状のエポキシ樹脂であれば特に限定されず、各種のエポキシ樹脂を用いることができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、変性フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂肪族型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂およびビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂等を挙げることができ、これらから選ばれる1種または2種以上を使用することができる。
これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂は、粘接着層の機械的強度、硬化性、耐熱性、接着性等の観点からより好ましく用いることができ、ビスフェノールA型エポキシ樹脂は特に好ましく用いることができる。ビスフェノールA型エポキシ樹脂の場合、通常、主鎖のビスフェノール骨格が2以上、10以下のものは、常温で固体である。
固形エポキシ樹脂のMwは、300以上、5000以下であることが好ましい。固形エポキシ樹脂のMwが上記数値範囲内であれば、固形エポキシ樹脂とアクリル系樹脂との相溶性が良い。また、加熱や紫外線照射等して硬化させた後の粘接着層に高い耐久性および接着性能を付与することもできる。より好ましくは、固形エポキシ樹脂のMwは、800以上、3000以下である。また、固形エポキシ樹脂のエポキシ当量は、100g/eq.以上、2200g/eq.以下であることが好ましい。固形エポキシ樹脂のエポキシ当量が上記数値範囲内であれば、粘接着層に高い耐久性および接着性能を付与することができる。
(硬化剤)
硬化剤は、液状エポキシ樹脂と固形エポキシ樹脂とを硬化させることができるものであれば特に限定されず、例えば、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、メタキシレリレンジアミン(MXDA)等の脂肪族ポリアミン、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、m−フェニレンジアミン(MPDA)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)等の芳香族ポリアミン、ジシアンアミド(DICY)、有機酸ジヒドララジド等を含むポリアミン化合物等のアミン系硬化剤、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)等の脂環族酸無水物(液状酸無水物)、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)等の芳香族酸無水物等の酸無水物系硬化剤、フェノール系樹脂等のフェノール系硬化剤を挙げることができる。これらの中でも、DICYは、潜在性の硬化剤であり、保存安定性に優れるため好ましい。また、硬化促進剤としてイミダゾール類を使用することもできる。
硬化剤の含有量は、その硬化剤の種類によっても異なる。イミダゾール系硬化剤等の触媒反応系の硬化剤を用いた場合の含有量は、液状エポキシ樹脂と固形エポキシ樹脂の合計量に対して、1質量%以上、20質量%以下であることが好ましい。また、フェノール系硬化剤や酸無水物系硬化剤等のエポキシ樹脂と当量反応系の硬化剤を用いた場合の含有量は、液状エポキシ樹脂と固形エポキシ樹脂のエポキシ当量に対して、0.8当量以上、1.2当量以下であることが好ましい。硬化剤の含有量が上記数値範囲内であれば、耐熱性、耐久性、接着性能に優れるため好ましい。
なお、粘接着層に含まれる構成原料の種類と含有量は、例えば、粘接着層をガスクロマトグラフィー質量分析法することにより特定することができる。
(その他)
粘接着層は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、各種添加剤を含んでなることができる。例えば、粘着層は、コンクリート構造物の表面と粘接着層との密着性を向上させるためのカップリング剤や、粘接着層塗工液の塗膜性を向上させるためのレベリング剤等を含んでなることができる。また、粘着性能を高めるための粘着付与剤や、せん断強度を向上させるためのフィラー等を含んでなることができる。
粘着付与剤としては、例えば、ロジン樹脂、変成ロジン樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変成テルペン樹脂、C5系又はC9系の石油系樹脂及びクマロン樹脂等が挙げられ、これらから選ばれる1種または2種以上を使用することができる。
フィラーとしては、例えば、シリカ、クレー、ガラスバルーン、アルミナバルーン、セラミックバルーン等の無機フィラー、ナイロンビーズ、アクリルビーズ、シリコンビーズ等の有機フィラー、ガラス、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、セルロース、アセテート等で形成される単繊維等が挙げられ、これらから選ばれる1種または2種以上を使用することができる。
粘接着層の厚さは、150μm以上、500μm以下が好ましく、150μm以上、300μm以下がより好ましい。粘接着層の厚さが上記数値範囲内であれば、高い粘着性能および接着性能を示すことができる。また、加熱や紫外線照射等による硬化が十分進行しなかったり、硬化時間が長くなったりすることことを防止することができる。
粘接着層は、粘接着層塗工液を基材上に塗布し、粘接着層塗工液を乾燥して形成することができる。粘接着層塗工液は、Tgが15℃以下のアクリル樹脂、液状エポキシ樹脂、固形エポキシ樹脂、および硬化剤を含んでなり、さらに必要に応じて上記した各種の添加剤や溶剤等を含む。溶剤は、粘度調整のために必要に応じて任意の配合量で含有させることができる。溶剤としては、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ハロゲン化炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、およびこれらの混合物を挙げることができる。
粘接着層塗工液の塗布方法も特に限定されず、例えば、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法等の印刷によるもの、ロールコート、リバースコート、コンマコート、ナイフコート、ダイコート、グラビアコート等のコーティングによるものを挙げることができる。
粘接着層塗工液の乾燥は、粘接着層塗工液中に含まれている溶剤を十分揮発させることができるとともに、液状エポキシ樹脂および固形エポキシ樹脂の硬化が過度に促進され、粘接着層の粘着性能が低下しない程度の条件で行うことが好ましい。乾燥条件としては、通常、50℃以上、100℃以下の温度で、2分以上、20分以下の間保持することにより行う。
シート体が、上記構成の粘接着層を備えることにより、シート体または後述する意匠シートを貼り付けたい場所に正確に貼り付けることができ、また、作業を行う場所で接着剤を塗布する必要がないため、作業効率を極めて向上させることができる。
<シート体用基材>
シート体用基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体、テレフタル酸− シクロヘキサンジメタノール− エチレングリコール共重合体、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンナフタレートの共押し出しフィルム等のポリエステル系樹脂、ナイロン−6 、ナイロン−6,6等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のポリビニル系樹脂、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、ポリメチルメタアクリレート等のポリアクリル系樹脂、ポリイミド、ポリエーテルイミド等のポリイミド系樹脂、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアラミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルファイト等のエンジニアリング系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のポリスチレン系樹脂、セロファン、セルロースアセテート、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂を用いて作成したフィルム、等を用いることができる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂からなるフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂からなるフィルムは、耐熱性、機械的強度に優れるため好ましく、さらにポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルムがより好ましい。なお、シート体用基材は上記したようなフィルムに限られず、上質紙、コート紙、レジンコート紙、アート紙、キャストコート紙、板紙等を使用することができる。また、これらを2以上積層した複合シートも使用することができる。
また、一実施形態において、シート体用基材は、微細空隙(ミクロボイド)を有する多孔質フィルムとすることが好ましい。シート体用基材を多孔質フィルムとすることにより、後述する意匠フィルムとした場合に、受容層上の印画物の視認性がより向上する。
シート体用基材は、上記した樹脂を主成分とする共重合樹脂若しくは混合体(アロイを含む)、または複数層からなる積層体であっても良い。また、シート体用基材は、延伸フィルムであっても、未延伸フィルムであってもよいが、強度を向上させる目的で、一軸方向または二軸方向に延伸されたフィルムが好ましい。また、シート体用基材と粘着層との密着力、またはシート体用基材とオーバーシート体の受容層との密着力を向上させるため、シート体用基材の表面に、コロナ処理、プライマー処理等の表面処理が施されることが好ましい。
シート体用基材の厚さは、その強度および耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜選択することができるが、通常1μm以上、300μm以下であり、好ましくは60μm以上、200μm以下である。
<補修用、補強用シート>
シート体は、所望により、粘接着層と、シート体用基材との間に補修用または補強用シートを備えていてもよい。補修用または補強用シートとしては、コンクリート構造物を補修または補強することができるシートであれば特に限定されない。例えば、コンクリート構造物を劣化させる因子(劣化因子)の侵入を防ぐことができるシートであってもよいし、強度が低下している対象を補強することができるシートであってもよい。さらにこれら以外の機能を有し、対象を補修または補強することができるシートであってもよく、これら全てを満たすシートであってもよい。
補修用または補強用シートとしては、より具体的には、例えば、合成樹脂フィルムを基材とし、その基材の一方の面に樹脂材料層を設け、基材の他方の面に繊維材料層を設けたものを挙げることができる。
合成樹脂フィルムの材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド系樹脂、フェノール系樹脂およびポリウレタン系樹脂等を挙げることができる。
樹脂材料層は、コンクリート構造物および、コンクリート構造物の表面と粘接着層との接着部分を、外部からの劣化因子による損傷から防ぐように作用する。劣化因子としては、水、酸素、炭酸ガスおよび塩化物イオン等が挙げられる。樹脂材料層の構成樹脂としては、例えば、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂、アクリルフッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素系樹脂等を挙げることができ、これらから選ばれる1種または2種以上を用いることができる。
繊維材料層としては、例えば、織布、編布、不織布、積層布、合成樹脂発泡体および紙等から選ばれる1種または2種以上を挙げることができる。また、繊維材料層の光性材料としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、カーボン繊維、ガラス繊維、およびポリオレフィン繊維等を挙げることができ、これらから選ばれる1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリオレフィン繊維は、軽くて強度に優れるため好ましい。これらの繊維は、混紡されていてもよく、縦糸や横糸に使い分けられていてもよく、多層に積層されていてもよい。
補修用、補強用シートの厚さは、補修用として用いるか、補強用として用いるかによっても異なるが、通常0.01mm以上、1.0mm以下の範囲である。
補修用、補強用シートは、例えば、基材の一方の面に樹脂材料層を設ける工程と、基材の他方の面に繊維材料層を設ける工程と、を備える方法により製造することができる。樹脂材料層は、例えば、基材上に、上記した構成樹脂を塗布し、その後硬化させることにより形成させることができる。繊維材料層は、繊維材料と、ポリエステル系樹脂等の樹脂とを含む複合材料を基材上に塗布し、樹脂を硬化させることにより形成させることができる。
<オーバーシート体>
本発明のオーバーシート体5は、受容層6およびオーバーシート体用基材7を備えるものである(図2参照)。好ましい態様では、オーバーシート体5は、受容層6と、オーバーシート体用基材7との間に、保護層を備えていてもよく、断熱層を備えていてもよい(図示せず)。また、さらに好ましい態様において、オーバーシート体5は、保護層に代え、または保護層上にパッチを備える(図示せず)。また、さらに好ましい態様において、オーバーシート体5は、保護層6とオーバーシート体用基材との間に、離型層を備える(図示せず)。
<受容層>
受容層を形成するための材料としては、昇華性染料または熱溶融性インキ等の熱移行性の色材を受容し易い従来公知の樹脂材料を使用することができる。例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体もしくはポリアクリルレート等のポリビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンもしくはプロピレン等のオレフィンと他のビニルポリマーとの共重合体樹脂、アイオノマーもしくはセルロースジアスターゼ等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等を使用することができ、これらの中でも、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、またはポリ塩化ビニルが好ましく、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が特に好ましい。
受容層の厚みは、特に限定はされないが、受容層の形成に際し、受容層用塗工液の塗工量が乾燥状態で0.5g/m以上、10g/m以下であることが好ましい。
受容層は、上述の材料の中から選択された単独または複数の材料および必要に応じて各種添加剤等を加え、水または有機溶剤等の適当な溶剤に溶解または分散させて受容層塗工液を調製し、これをグラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の手段により、塗布、乾燥して形成することができる。
<オーバーシート体用基材>
オーバーシート体用基材としては、転写シート等から受容層へ印画物を転写する際の熱エネルギー(例えば、サーマルヘッドの熱)に耐え得る耐熱性を有しているものであれば、特に制限なく使用することができ、シート体用基材として用いられるフィルム等を同様に使用することができる。なお、これらフィルム等に限られず、オーバーシート体用基材として、パッチを使用することもできる。オーバーシート体用基材がパッチであることにより、耐久性がさらに向上する。パッチとしては、透明であり、受容層上の印画物の視認性に悪影響を与えないものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート製やポリエステル製のものを用いることができる。
<保護層>
次に、オーバーシート体が所望により備える保護層について説明する。保護層は、シート体と、オーバーシート体とを重ね合わせて作成した意匠フィルムが備える受容層上の印画物の保護を担うものである。
保護層は、その構成要素として、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニル系樹脂、これら樹脂をシリコーン変性させた樹脂、活性光線硬化性樹脂、紫外線吸収性樹脂およびこれらの混合物等を含んでなる。
一実施形態において、保護層は、数平均分子量(Mn)の異なる2種以上の樹脂を含んでなることが好ましい。より好ましくは、保護層に含まれる樹脂のMnを各樹脂の含有比率(質量基準)で積算した値を加算したときの総和(Σ)が、3000以上、17000以下であることが好ましい。総和(Σ)が上記数値範囲内であれば、保護層の耐久性を向上させることができる。
また、保護層は、総和(Σ)が上記数値範囲内であり、かつMnが2000以上、10000以下のポリエステル系樹脂AおよびMnが10000より大きく、25000以下のポリエステル系樹脂Bを含んでなることが好ましい。保護層が上記樹脂を含んでなることにより、保護層の耐久性をさらに向上することができる。保護層におけるポリエステル系樹脂Aの含有量は、ポリエステル系樹脂Aとポリエステル系樹脂Bとの合計量に対して、10質量%以上、70質量%以下であることが好ましく、30質量%以上、70質量%以下であることがより好ましい。
また、保護層は、上記ポリエステル系樹脂Aとして、Mnが2000以上、4000以下のポリエステル系樹脂A1およびMnが4000より大きく、10000以下のポリエステル系樹脂A2を含んでなることが好ましい。保護層におけるポリエステル系樹脂A1の含有量は、ポリエステル系樹脂A1と、ポリエステル系樹脂A2と、ポリエステル系樹脂Bとの合計量に対して5質量%以上、65質量%以下が好ましい。また、保護層におけるポリエステル系樹脂A2の含有量は、ポリエステル系樹脂A1と、ポリエステル系樹脂A2と、ポリエステル系樹脂Bとの合計量に対して5質量%以上、65質量%以下が好ましい。
一実施形態において、保護層は、耐久性の観点から、活性光線硬化性樹脂を含んでなることが好ましい。活性光線硬化性樹脂は、重合成分として、分子中に(メタ)アクリロイル基および(メタ)アクリロイルオキシ基等の重合性不飽和結合、またはエポキシ基を有するポリマー、プレポリマー、オリゴマーおよび/またはモノマーを適宜混合した組成物等を含んでなる。
プレポリマー、としては、例えば、アジピン酸、トリメリット酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、ハイミック酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、イタコン酸、ピロメリット酸、フマル酸、グルタール酸、ピメリン酸、セバシン酸、ドデカン酸、テトラヒドロフタル酸等の多塩基酸と、エチレングリコール、プロピレングルコール、ジエチレングリコール、プロピレンオキサイド、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール等の多価のアルコールの結合で得られるポリエステルに(メタ)アクリル酸を導入したポリエステル(メタ)アクリレート類、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸、フェノールノボラック・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸のようにエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したエポキシ(メタ)アクリレート類、例えば、エチレングリコール・アジピン酸・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルフタリルメタクリレート・キシレンジイソシアネート、1,2−ポリブタジエングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパン・プロピレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレートのように、ウレタン樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したウレタン(メタ)アクリレート、例えば、ポリシロキサン(メタ)アクリレート、ポリシロキサン・ジイソシアネート・2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のシリコーン樹脂アクリレート類、その他、油変性アルキッド樹脂に(メタ)アクリロイル基を導入したアルキッド変性(メタ)アクリレート類、スピラン樹脂アクリレート類等が挙げられる。
モノマーまたはオリゴマーとしては、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシヘキサノリド(メタ)アクリレート、1,3−ジオキサンアルコールのε−カプロラクトン付加物の(メタ)アクリレート、1,3−ジオキソラン(メタ)アクリレート等、単官能の(メタ)アクリレート類、あるいはこれらの(メタ)アクリレートを、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えた、イタコン酸エステル、クロトン酸エステル、マレイン酸エステル、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ハイドロキノンジ(メタ)アクリレート、レゾルシンジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートのジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロール(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロール(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン付加物、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリレート等2官能の(メタ)アクリレート類、あるいはこれらの(メタ)アクリレートを、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたイタコン酸エステル、クロトン酸エステル、マレイン酸エステル、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン付加物、ピロガロールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等多官能の(メタ)アクリレート、あるいはこれらの(メタ)アクリレートを、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたイタコン酸エステル、クロトン酸エステル、マレイン酸エステル、ホスファゼンモノマー、トリエチレングリコール、イソシアヌール酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、アルキレングリコールタイプ(メタ)アクリル酸変性、ウレタン変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、保護層は、フィラ―を含んでいてもよい。フィラーとしては、有機フィラー、無機フィラーおよび有機−無機のハイブリッド型のフィラーが挙げられる。また、フィラーは、粉体であっても、ゾル状のものであってもよい。分散性という観点からは、上記したフィラーの中でも無機粒子が好ましい。
保護層に含有されるフィラーは、平均粒子径が1nm以上、200nm以下であることが好ましく、1nm以上、50nm以下であることがより好ましく、7nm以上、25nm以下であることがさらに好ましい。フィラーの平均粒子径を上記数値範囲内とすることによって、保護層の透明性を維持しつつ、分散性を維持することができ、保護層塗工液の安定性が低下することを防止することができる。なお、「平均粒子径」とは、体積平均粒子径を意味し、粒度分布・粒径分布測定装置(例えば、ナノトラック粒度分布測定装置、日機装株式会社製等)を用いて公知の方法により測定することができる。
無機粒子としては、例えば、シリカ粒子(コロダイルシリカ、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ等)、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、チタニア粒子、酸化亜鉛粒子等の金属酸化物粒子が挙げられ、耐摩耗性向上という観点から、シリカ粒子を用いることが好ましい。さらに、無機粒子は、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤等を用いて表面処理が施されたものであることが好ましい。
上記フィラーは、保護層中の固形分総量に対し、10質量%以上、60質量%以下含まれていることが好ましく、10質量%以上、45質量%以下含まれていることがより好ましく、20質量%以上、40質量%以下含まれていることがさらに好ましい。
また、保護層の厚さは、好ましくは1μm以上、8μm以下であり、より好ましくは2μm以上、6μm以下である。保護層の厚さが上記数値範囲内であれば、箔切れ、尾引きやバリといった転写不良を防止しつつ、十分なハードコート性能および耐可塑剤性能を付与でき、また、保護層の転写時に紙むけや欠けといった転写不良を防止することができる。
保護層が活性光線硬化性樹脂を含んでいない場合、上記樹脂を含む塗工液を、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、バーコート、ロッドコート等の公知の手段により、受容層上に塗布、乾燥して形成することができる。活性光線硬化性樹脂を含んでなる場合、上記したような活性光線硬化性樹脂を含む塗工液を、上記手段により、受容層上に塗布して塗膜を形成させ、活性光線により、上記した、重合可能な共重合体等の重合成分を、架橋・硬化させることにより形成することができる。例えば、紫外線の照射は、従来公知の紫外線照射装置を用いることができ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ、無電極紫外線ランプ、LED等、種々のものを制限なく使用することができる。また、電子線の照射は、100keV以上、300keV以下のエネルギーで電子線を照射する高エネルギー型電子線照射装置や100keV以下のエネルギーで電子線を照射する低エネルギー型電子線照射装置のいずれを用いてもよく、また、照射方式も、走査型やカーテン型いずれの方式の照射装置であってもよい。なお、塗工液に重合開始剤を添加してもよい。また、保護層は、予め基材等の上に形成させ、転写シートとしておき、これを受容層上に転写することによっても形成させることができる。
<断熱層>
またオーバーシート体は、所望により、受容層と基材との間、または受容層と保護層との間に断熱層をさらに備えていてもよい。断熱層は、受容層上への熱転写による印画物形成時に加えられた熱が、オーバーシート体用基材等への伝熱によって損失されることを防止できる断熱性を有するものである。断熱層は、中空層または多孔質層であることが好ましい。
中空層は、中空粒子を含むものであり、親水性バインダーやその他の添加剤をさらに含んでいてもよい。多孔質層が中空粒子を含んでなることにより、多孔質層のクッション性が向上する。多孔質層のクッション性の程度は、多孔質層の厚みを変更すること等により変更することができる。多孔質層の厚さは、特に限定されず、例えば、10μm以上、100μm以下とすることができる。また、多孔質層の密度は、0.1g/cm以上、0.8g/cm以下であることが好ましく、0.2g/cm以上、0.7g/cm以下であることがより好ましい。
中空粒子の平均粒子径は、0.1μm以上、10μm以下が好ましく、0.3μm以上、5μm以下がより好ましい。中空粒子の平均粒子径が上記数値範囲内であれば、多孔質層の断熱性およびクッション性を向上させることができる。また、中空粒子の平均中空率は、20%以上が好ましく、30%以上、80%以下がより好ましい。さらに中空粒子は、樹脂等から構成される有機系中空粒子、ガラス等から構成される無機系中空粒子、架橋中空粒子のいずれであってもよい。
多孔質層は、多孔質フィルムからなるものである。多孔質フィルムの厚さは、10μm以上、100μm以下であることが好ましく、15μm以上、80μm以下であることがより好ましく、20μm以上、50μm以下であることがさらに好ましい。また、好ましい態様では、多孔質フィルムは、ベースとなる樹脂としてポリプロピレン樹脂を含む微細空隙(ミクロボイド)を有する多孔質フィルムが好ましい。
<離型層>
またオーバーシート体は、所望により、基材と保護層との間に離型層をさらに備えていてもよい。離型層に用いられる樹脂としては、例えば、メラミン系樹脂、シリコーン、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、尿素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、繊維素系樹脂などが挙げられる。これらの中で、転写箔に対し、基材と転写層との適度な接着力を付与することができることから、メラミン系樹脂が好ましい。
通常、離型層の厚さは、0.1〜5μmの範囲内であることが好ましく、0.5〜2μmの範囲内であることがより好ましい。
<意匠シートの作成>
一実施形態において、意匠シート10は、上記オーバーシート体5が備える受容層6上に、熱転写により、色材層を有する熱転写シートから熱転写法によって印画物を形成させ(図示せず)、この受容層6を、シート体1が備えるシート体用基材4へラミネートすることにより得ることができる(図3参照)。好ましい態様においては、ラミネート後、オーバーシート体用基材を剥離する(図示せず)。このようにして作成された意匠シートは、印画物が、よりシート体用基材側へ形成されており、耐久性が向上されている。
上記のようにして得られた意匠シートは、剥離フィルムを剥がし、露出した粘接着層をコンクリート構造物に貼り合わせることにより、対象に粘着することができる。その際、ローラー等を用いて、意匠シートが備える粘接着層を対象に圧着させることが好ましい。
一実施形態において、意匠シートは、粘接着層の粘着前、粘着と同時または粘着後に加熱硬化させることにより、対象に接着させることができる。加熱温度は、使用する硬化剤の種類等にもよるが、100℃以上、150℃以下である。また、一実施形態において、粘接着層の粘着前、粘着と同時または粘着後に紫外線や電子線等の活性光線を照射することにより、対象に接着させることができる。紫外線の照射条件としては、例えば、波長300nm以上、370nm以下の領域で、積算光量が1000mJ/cm程度の条件を挙げることができる。また、電子線の照射条件としては、50kGy以上、100kGy以下程度の条件を挙げることができる。
なお、シート体が備える剥離フィルムを剥がし、先にシート体のみコンクリート構造物等の対象へ貼り付け、または接着しておき、シート体用基材へオーバーシート体の受容層をラミネートすることによっても、意匠シートを対象へ貼り付けることができる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<シート体の作成>
厚さ30μmのポリプロピレンフィルム(フタムラ化学(株)製、商品名:FOS−BT#30)をシート体用基材として用い、基材上に、下記の組成からなる粘接着層塗工液Aをアプリケーターにより全面塗工した後、乾燥オーブンにより100℃で2分間乾燥させ、厚さ150μmの粘接着層を形成した。なお、粘接着層塗工液Aは、液状エポキシ樹脂と硬化剤2種とを配合し、ディスパーにて回転数1000rpmで30分間撹拌した後、固形エポキシ樹脂とアクリル樹脂と希釈溶剤とを配合してディスパーにて回転数1200rpmで30分間撹拌させて調製した。
<粘接着層塗工液A>
・アクリル樹脂 100部
(水酸基が導入された変性メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−メチルメタクリレートトリブロック共重合体、Tg:−42℃、アルケマ社製、商品名:M22N)
・液状エポキシ樹脂 50部
(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:190g/eq.、三菱化学(株)製、商品名:jER828)
・固形エポキシ樹脂 150部
(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:480g/eq.、三菱化学(株)製、商品名:jER1001)
・硬化剤 7部
(アミン系硬化剤、味の素ファインテクノ(株)製、商品名:アミキュアMY−H)
・硬化剤 11部
(ジシアンジアミド、三菱化学(株)製、商品名:DICY)
・希釈溶剤 122部
(酢酸エチル、DICグラフィックス社製)
次いで、剥離フィルムとして、厚さ100μmのポリプロピレンフィルム(東洋紡績(株)製、商品名:クリスパーG1212)を粘接着層へラミネートしシート体を得た。
<オーバーシート体の作成>
厚さ12μmのパッチ(JVC社製、商品名:CY−R10FC−60)上に下記の組成からなる受容層塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥状態で2.0g/mの塗工量となるように塗工した後、乾燥し、受容層を形成させ、オーバーシート体を得た。
<受容層塗工液組成>
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 95部
(日信化学工業(株)製、商品名:CNL)
・エポキシ変性シリコーンオイル 5部
(信越化学工業(株)製、商品名:KP−1800U)
・トルエン 200部
・MEK 200部
<意匠シートの作成>
得られたオーバーシート体の受容層上に、下記のようにして作成した熱転写シートAを下記テストプリンターを用いて転写した。
(テストプリンター)
サーマルヘッド:KEE−57−12GAN2−STA(京セラ(株)製)
発熱体平均抵抗値:3303(Ω)
主走査方向印字密度:300dpi
副走査方向印字密度:300dpi
印画電圧:18(V)
1ライン周期:1.5(msec.)
印字開始温度:35(℃)
パルスDuty比:85%
<熱転写シートAの作成>
基材として厚さ4.5μmの易接着処理済みポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、この上に、下記組成の背面層用塗工液を乾燥時0.8g/m2になるように塗工し、背面層を形成した。次いで、基材の他方の面に、下記組成のイエロー染料層用塗工液1、下記組成のマゼンタ染料層用塗工液1、上記組成のシアン染料層用塗工液1をそれぞれ、乾燥時塗工量が0.6g/m2となるように面順次に塗工して、イエロー染料層、マゼンタ染料層、シアン染料層を形成することで熱転写シートを作成した。
<背面層用塗工液>
・ポリビニルブチラール樹脂 2.0部
(積水化学工業(株)製、商品名:エスレックBX−1)
・ポリイソシアネート 9.2部
(大日本インキ化学工業(株)製、商品名:バーノック D750)
・リン酸エステル系界面活性剤 1.3部
(第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフA208N)
・タルク 0.3部
(日本タルク工業(株)製、商品名:ミクロエースP−3)
・トルエン 43.6部
・メチルエチルケトン 43.6部
<イエロー染料層用塗工液1>
・下記一般式(1)で表されるイエロー染料 6.0部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 4.0部
(積水化学工業(株)製、商品名:KS−5)
・シリコーン 0.1部
(信越化学(株)製、商品名:X−22−3939)
・トルエン 45部
・メチルエチルケトン 45部
Figure 0006587119
<マゼンタ染料層用塗工液1>
・下記一般式(2)で表されるマゼンタ染料 7.0部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 7.0部
(積水化学工業(株)製、商品名:KS−5)
・シリコーン 1.4部
(信越化学(株)製、商品名:X−22−3939)
・トルエン 45部
・メチルエチルケトン 45部
Figure 0006587119
<シアン染料層用塗工液1>
・下記一般式(3)で表されるシアン染料 5.0部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 5.0部
(積水化学工業(株)製、商品名:KS−5)
・シリコーン 0.1部
(信越化学(株)製、商品名:X−22−3939)
・トルエン 45部
・メチルエチルケトン 45部
Figure 0006587119
転写後、オーバーシート体が備える受容層と、シート体が備えるシート体用基材とをラミネートし、シート体と、オーバーシート体とのセットから意匠シートを作成した。
(実施例2)
<オーバーシート体の作成>
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの一方面にメラミン系樹脂の離型層が塗布されたフィルムを基材として用い、その離型層上に、下記の組成からなる保護層塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥後の厚みが6μmになるように塗布し乾燥させた後に、UV露光器(Hバルブ使用、反射鏡はコールドタイプ、LH10ランプ、フージョンUVシステムズジャパン社製、商品名:F600V)を用いて紫外線を照射し、保護層を形成させた。次いで、保護層上に実施例1で用いた受容層塗工液を塗工した後、乾燥し、受容層を形成させ、オーバーシート体を得た。
<保護層塗工液組成A>
・多官能アクリレート 40部
(新中村化学工業(株)製、商品名:NKエステルA−9300)
・ウレタンアクリレート 25部
(2官能、新中村化学工業(株)製、商品名:NKオリゴマーUA122−P)
・アクリル共重合体 30部
・光重合開始剤 5部
(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製、商品名:イルガキュア907)
・フィラー(架橋ポリメタクリル酸メチル) 5部
(平均粒径5μm、積水化成品工業(株)製、商品名:MBX−5)
・トルエン 200部
・MEK 200部
<意匠シートの作成>
得られたオーバーシート体の受容層上に、実施例1と同様にして転写し、転写後、オーバーシート体が備える受容層と、実施例1で作成したシート体が備えるシート体用基材とをラミネートし、次いで、シート体とオーバーシート体の積層体からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、意匠シートを作成した。
(実施例3)
実施例2において用いた保護層塗工液を、下記保護層塗工液b1〜b3を、各バインダー樹脂の含有比率(質量基準)が、b1:b2:b3を0.25:0.25:0.5となるように混練した保護層塗工液Bに変更し、乾燥状態で4.5g/mの塗工量となるように、オーバーシート体用基材上に塗工することにより保護層を形成した以外は、実施例2と同様にして意匠シートを得た。
<保護層塗工液b1>
・ポリエステル樹脂 20部
(数平均分子量:3000、Tg=53℃、東洋紡績(株)社製、商品名:バイロン220)
・トルエン 40部
・MEK 40部
<保護層塗工液b2>
・ポリエステル樹脂 20部
(数平均分子量:10000、Tg=60℃、東洋紡績(株)社製、商品名:バイロンGK−250)
・トルエン 40部
・MEK 40部
<保護層塗工液b3>
・ポリエステル樹脂 20部
(数平均分子量:3000、Tg=53℃、東洋紡績(株)社製、商品名:バイロン220)
・トルエン 40部
・MEK 40部
(実施例4)
粘接着層塗工液の組成を以下に変更した以外は、実施例2と同様にして意匠シートを得た。
<粘接着層塗工液B>
・アクリル樹脂 10部
(水酸基が導入された変性メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−メチルメタクリレートトリブロック共重合体、Tg:−42℃、アルケマ社製、商品名:M22N)
・液状エポキシ樹脂 80部
(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:190g/eq.、三菱化学(株)製、商品名:jER828)
・固形エポキシ樹脂 120部
(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:480g/eq.、三菱化学(株)製、商品名:jER1001)
・硬化剤 7部
(アミン系硬化剤、味の素ファインテクノ(株)製、商品名:アミキュアMY−H)
・硬化剤 11部
(ジシアンジアミド、三菱化学(株)製、商品名:DICY)
・希釈溶剤 122部
(酢酸エチル、DICグラフィックス社製)
(実施例5)
粘接着層塗工液の組成を以下に変更した以外は、実施例2と同様にして意匠シートを得た。
<粘接着層塗工液C>
・アクリル樹脂 200部
(水酸基が導入された変性メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−メチルメタクリレートトリブロック共重合体、Tg:−42℃、アルケマ社製、商品名:M22N)
・液状エポキシ樹脂 80部
(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:190g/eq.、三菱化学(株)製、商品名:jER828)
・固形エポキシ樹脂 120部
(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:480g/eq.、三菱化学(株)製、商品名:jER1001)
・硬化剤 7部
(アミン系硬化剤、味の素ファインテクノ(株)製、商品名:アミキュアMY−H)
・硬化剤 11部
(ジシアンジアミド、三菱化学(株)製、商品名:DICY)
・希釈溶剤 122部
(酢酸エチル、DICグラフィックス社製)
(実施例6)
シート体用基材を、厚さ60μmのポリプロピレンフィルム(FOS−BT#60、フタムラ化学(株)製)、剥離フィルムを、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂(株)製、商品名:S100−38)に変更した以外は実施例2と同様にして意匠シートを作成した。
(比較例1)
実施例1の粘接着層塗工液Aに含まれるアクリル樹脂(水酸基が導入された変性メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−メチルメタクリレートトリブロック共重合体、Tg:−42℃、アルケマ社製、商品名:M22N)を、別のアクリル樹脂(エチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体、Tg:18℃、根上工業株式会社製、商品名:W−197C)に変更した以外は、実施例1と同様にして意匠シートを作成した。
(比較例2)
実施例2の受容層を形成しなかった以外は、実施例2と同様にして意匠シートを形成した。
実施例1〜6および比較例1〜2において、シート体と、オーバーシート体とのセットを用いて作製された意匠シートについて以下の試験を行い、評価した。各試験の評価結果は表1に示される通りであった。
<接着性試験>
実施例1〜6および比較例1〜2で得られた意匠シートが備える剥離フィルムを剥がし、露出した粘接着層を粘接着層側から、紫外線照射装置(Hバルブ使用、フージョンUVシステムズジャパン社製、商品名:DRE−10/12QN)を用いて波長300〜370nmの領域で積算光量が1000mJ/cmとなるように紫外線を照射した。次いで、その粘接着層側の面をハンドローラーにて厚さ60nmのコンクリートに貼り付けた後、室温で7日間放置した。このコンクリートに貼り付けた意匠シートをコンクリート用コアカッターを用いて、40mm×40mmの大きさに切断し、剥落防止性能照査試験(JIS 424 2004)により、以下の評価基準で評価試験を行った。
○: 付着強度が1.5N/mm以上であった
×: 付着強度が1.5N/mm未満であった
<耐久性試験(Taber試験)>
実施例1〜6および比較例1〜2で得られた意匠シートが備える受容層上の印画物に対し、テーバー摩耗試験機で、摩耗輪:CS−10Fを用い、荷重:500gfで250回毎に摩耗輪を研磨し、合計1000回研磨した。研磨後に表面の状態を目視にて観察し、以下の評価基準で評価試験を行った。
○:1000サイクル実施後の画像が良好である
△:1000サイクル実施後の画像が良好ではないが実用上問題がない
×:1000サイクル実施後の画像が不良である
<意匠性試験>
実施例1〜6および比較例1〜2で得られた意匠シートを目視にて観察し、以下の評価基準で評価試験を行った。
○:画像が鮮明である。
×:画像が鮮明でない。
Figure 0006587119
1 シート体
2 剥離フィルム
3 粘接着層
4 シート体用基材
5 オーバーシート体
6 受容層
7 オーバーシート体用基材
10 意匠シート

Claims (7)

  1. シート体と、オーバーシート体とを重ね合わせて、意匠シートを作成するために用いられる、シート体と、オーバーシート体とのセットであって、
    前記シート体が、剥離フィルム、粘接着層およびシート体用基材をこの順に備え、
    前記粘接着層が、(メタ)アクリル樹脂、液状エポキシ樹脂、固形エポキシ樹脂および硬化剤を含んでなり、
    前記(メタ)アクリル樹脂のガラス転移温度が15℃以下であり、
    前記シート体用基材が、ポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリプロピレンフィルムであり、
    前記オーバーシート体が、受容層およびオーバーシート体用基材を備え、
    前記オーバーシート体が、前記オーバーシート体基材と前記受容層との間に、保護層を備え、
    前記受容層が、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体およびポリ塩化ビニルの少なくとも一方を含むことを特徴とする、シート体と、オーバーシート体とのセット。
  2. 前記(メタ)アクリル樹脂の含有量が、前記(メタ)アクリル樹脂、前記液状エポキシ樹脂および前記固形エポキシ樹脂の合計量に対して、4質量%以上、50質量%以下である、請求項1に記載のセット。
  3. 前記液状エポキシ樹脂の含有量が、前記液状エポキシ樹脂および前記固形エポキシ樹脂の合計量に対して、20質量%以上、80質量%以下である、請求項1または2に記載のセット。
  4. 前記液状エポキシ樹脂および前記固形エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のセット。
  5. 前記シート体が、前記粘接着層と前記基材との間に、補修用または補強用のシートを備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載のセット。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のシート体と、オーバーシート体とのセットを用いた意匠シートの作成方法であって、
    前記オーバーシート体が備える受容層上に印画物を形成する工程と、
    前記受容層と、前記シート体が備えるシート体用基材とをラミネートする工程と、を含んでなることを特徴とする、方法。
  7. 前記オーバーシート体が備えるオーバーシート体用基材を剥離する工程を含んでなる、請求項6に記載の方法。
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