JP6586836B2 - 石炭の自然発火性の評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酸素の吸収(吸着)による石炭の重量増加量に基づいて、石炭の自然発火性を評価する方法に関する。
石炭の使用時や保管時における安全性を管理するために、石炭の自然発火性を評価することは重要である。石炭は、石炭化度に応じて分類されており、石炭の自然発火性は、石炭化度と関連性があると考えられている。このため、一般的に、自然発火性の高い順序は、褐炭、亜瀝青炭、高揮発性瀝青炭(一般炭)、瀝青炭(原料炭)の順序であると考えられている。
特許文献1では、石炭の自然発火性および酸化吸収速度の関係に着目し、雰囲気中の酸素濃度を管理することにより、石炭の酸素吸収速度を、自然発火に至らない酸素吸収速度に維持して、自然発火を防止しながら石炭を使用できるようにしている。
特許文献2では、加熱した低品位炭から発生するCO,COを測定し、加熱温度に対するCO,COの発生量の変化が複数の温度域にピークを有するとき、低温側のピークに基づいて、低品位炭が自然発火性を有する石炭であることを評価している。
非特許文献1では、雰囲気温度を65℃とし、雰囲気ガスとして、酸素濃度が22%である酸素/ヘリウムガスを用いて、石炭の酸素吸収量を測定している。そして、65℃での酸化反応と自己発火性との関連について言及している。
特開2010−248047号公報 特開2014−126541号公報
Fuel 114(2013)、p16−20
石炭の自然発火性は、石炭化度と関連性があるものの、自然発火性の高い順序は、必ずしも、褐炭、亜瀝青炭、高揮発性瀝青炭(一般炭)、瀝青炭(原料炭)の順序にならない。そこで、石炭の自然発火性を評価するときには、特許文献1や非特許文献1に記載されているように、石炭による酸素の吸収を考慮する必要がある。ここで、石炭が酸素を吸収すると、石炭の重量が増加するため、石炭の重量増加量に基づいて石炭の自然発火性を評価することが考えられる。
しかし、石炭の重量増加量を単に測定しただけでは、石炭の自然発火性を適切に評価することはできない。すなわち、重量増加量を測定する条件によっては、石炭の重量増加量および自然発火性の間に相関が無くなり、石炭の重量増加量から自然発火性を評価することができなくなる。
本発明者によれば、所定条件で測定された石炭の重量増加量が、石炭の自然発火性と相関があることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明である石炭の自然発火性評価方法では、雰囲気温度が60℃以下の所定温度であり、雰囲気ガスが純酸素ガスである雰囲気において、石炭の重量増加量を熱天秤によって測定し、石炭の重量が増加し始めてから所定時間が経過するまでの間の所定タイミングにおける石炭の重量増加量を、石炭の発火レベルを複数に区分する重量増加量の閾値と比較することにより、石炭の自然発火性の高低に関する評価を行う。ここで、所定時間は、前記雰囲気における褐炭の重量増加量がピーク値の90%に低下するまでの時間である。
上述した条件で測定された石炭の重量増加量は、石炭の自然発火性の高低と相関があることが分かった。そこで、自然発火性の高低に関する評価を行うときに、上述した条件で測定された重量増加量を考慮すれば、適切な評価を行うことができる。また、所定時間が経過するまでの重量増加量に基づいて、自然発火性の高低を評価できるため、この評価を迅速に行うことができる。
自然発火性の高低に関する評価では、所定タイミングにおける石炭の重量増加量が大きいほど、この石炭を発火レベルの高いクラスに分類することができる。所定タイミングにおける石炭の重量増加量が大きいほど、自然発火性が高いという相関があるため、重量増加量が大きい石炭を、発火レベルの高いクラスに分類することができる。
石炭の重量増加量を測定する前に、前処理を行うことができる。この前処理では、不活性ガスの雰囲気において、雰囲気温度を所定温度よりも高い温度まで上昇させた後に、雰囲気温度を所定温度まで低下させ、雰囲気ガスを不活性ガスから純酸素ガスに変更する。この前処理によれば、石炭に含まれる水分を取り除くことができ、石炭に含まれる水分によって、熱天秤の測定精度が低下することを抑制できる。
石炭の重量増加量としては、石炭の単位重量当たりの増加量とすることができる。これにより、互いに異なる重量の石炭に対して、自然発火性の高低に関する評価を画一的に行うことができる。
石炭の単位重量(上記前処理を行うときには、前処理後の石炭の重量を基準とする)当たりの増加量が2.5[mg/g]以上であるとき、この石炭の発火レベルが、石炭の管理上で自然発火に注意すべきレベルであると判定することができる。この判定結果に基づけば、石炭を安全に使用したり保管したりすることができる。
自然発火性の評価対象の石炭の例には、高揮発性瀝青炭がある。高揮発性瀝青炭では、この性状に応じて、自然発火性が変化しやすい。そこで、高揮発性瀝青炭に対して本発明の評価方法を適用することにより、高揮発性瀝青炭において、自然発火性が高いものや、自然発火性が低いものを区別することができる。
自然発火性の評価の指標となる石炭の重量増加量を特定するタイミングを説明する図である。 石炭の自然発火性を評価する手順を示すフローチャートである。 実施例1において、石炭A〜Gの重量増加量と測定時間の関係を示す図である。 比較例1において、石炭A〜Gの重量増加量と測定時間の関係を示す図である。 比較例2において、石炭A〜Gの重量増加量と測定時間の関係を示す図である。
本発明の実施形態について説明する。本実施形態は、石炭の重量増加量に基づいて、石炭(特に、高揮発性瀝青炭)の自然発火性を評価するものである。この評価は、自然発火性の高低を評価するものである。
石炭が酸素を吸収(吸着)することにより、石炭の重量が増加するが、本実施形態では、石炭の自然発火性が、石炭による酸素の吸収量(すなわち、石炭の重量増加量)に依存することに着目し、石炭の重量増加量に基づいて、石炭の自然発火性を評価している。石炭の自然発火性を評価すれば、石炭の保管時等において、石炭の自然発火を抑制するための様々な措置を講じることができる。
石炭の重量増加量とは、所定の雰囲気に放置される前の石炭の重量と、所定の雰囲気において酸素を吸収したときの石炭の重量との差である。石炭の重量増加量は、熱天秤を用いて測定される。熱天秤としては、既存の熱天秤が用いられ、例えば、示差熱天秤が用いられる。本実施形態では、既存の熱天秤を用いて、石炭の自然発火性を評価できるため、石炭の自然発火性を評価するための専用の装置(例えば、島津製作所の自然発火試験装置SIT−2)を用意する必要が無く、石炭の自然発火性の評価を簡便に行うことができる。
また、石炭の重量増加量を測定するときには、雰囲気温度を60℃以下の所定温度とし、雰囲気ガスとして純酸素ガスを用いる。
雰囲気温度を60℃以下の所定温度とすることの意義について、以下に説明する。
雰囲気ガスが酸素ガスを含むとき、石炭が酸素を吸収したり、石炭の酸化によってガス(例えば、CO,CO,HO)が発生したりする。ここで、雰囲気温度が60℃よりも高いとき、炭種によっては、石炭による酸素の吸収よりも、石炭の酸化に伴うガスの発生が優先されやすくなる。言い換えれば、酸素の吸収に伴う石炭の重量増加よりも、ガスの発生に伴う石炭の重量減少が優先されやすくなる。この場合には、石炭の重量増加量を把握しにくくなるため、石炭の重量増加量に基づいて、自然発火性を評価しにくくなる。
雰囲気温度が60℃以下の所定温度であれば、石炭の酸化に伴うガスの発生よりも、石炭による酸素の吸収を優先させやすくなる。これにより、石炭の重量増加量を把握しやすくなり、重量増加量に基づいて、自然発火性を評価しやすくなる。
また、石炭の重量増加量を測定するときには、雰囲気温度を60℃以下の所定温度に維持する必要がある。
石炭の反応(酸素の吸収や、酸化に伴うガスの発生)は、雰囲気温度に依存するため、石炭の重量増加量を測定する間に雰囲気温度が変動してしまうと、石炭による酸素の吸収と、石炭の酸化に伴うガスの発生との間のバランスが変化しやすくなり、酸素の吸収に伴う石炭の重量増加量を把握しにくくなることがある。結果として、石炭の重量増加量に基づいて、石炭の自然発火性を評価しにくくなる。
そこで、雰囲気温度を60℃以下の所定温度に維持することにより、石炭による酸素の吸収と、石炭の酸化に伴うガスの発生との間のバランスを維持することができ、酸素の吸収に伴う石炭の重量増加量を把握しやすくなる。
次に、雰囲気ガスとして純酸素ガスを用いることの意義について、以下に説明する。
純酸素ガスとは、酸素の濃度が99%以上のガスである。純酸素ガスを用いることにより、石炭による酸素の吸収を積極的に行わせることができ、酸素の吸収に伴う石炭の重量増加量を把握しやすくなる。結果として、石炭の重量増加量に基づいて、石炭の自然発火性を評価しやすくなる。
雰囲気ガスとして、酸素以外の他の種類のガスを用いると、このガスが石炭に吸収されることなどにより、酸素の吸収とは異なる要因によって、石炭の重量が増加してしまい、酸素の吸収に伴う石炭の重量増加量を把握しにくくなる。また、雰囲気ガスとして、酸素を含むガス(例えば、空気)を用いると、酸素以外の共存ガス(例えば、空気ではN,CO等)が石炭に吸収されることなどにより、酸素の吸収とは異なる要因によって、石炭の重量が増加してしまい、酸素の吸収に伴う石炭の重量増加量を把握しにくくなる。
石炭の自然発火性は、石炭による酸素の吸収に依存するため、上述したように、酸素の吸収とは異なる要因によって石炭の重量が増加してしまうと、石炭の重量増加量を測定しても、石炭の自然発火性を評価しにくくなる。
次に、石炭の自然発火性を評価するための指標となる石炭の重量増加量としては、所定タイミングで測定された重量増加量が用いられる。
所定タイミングとは、雰囲気温度が60℃以下の所定温度であり、雰囲気ガスが純酸素ガスである雰囲気において、石炭の重量が増加し始めてから所定時間t_thが経過するまでの間の任意のタイミングである。石炭の重量が増加し始めてから所定時間t_thが経過するまでの間であれば、所定タイミングを適宜設定することができる。
上述した所定時間t_thは、炭種の一つである褐炭の重量増加量の挙動に基づいて予め決定される。この点について、図1を用いながら具体的に説明する。図1は、褐炭の重量増加量の挙動を示す図であり、褐炭の重量増加量と測定時間との関係を示す。
雰囲気温度が60℃以下の所定温度であり、雰囲気ガスが純酸素ガスである雰囲気において、褐炭は酸素を吸収しやすく、褐炭の重量増加量は急激に上昇する。そして、褐炭が酸素を吸収し始めてから短時間の間に、褐炭の重量増加量はピーク値M_peakに到達する。褐炭の重量増加量がピーク値M_peakに到達した後では、褐炭の酸化によってガスが発生しやすくなり、褐炭の重量増加量が低下し続ける。
図1に示す褐炭の重量増加量の挙動において、褐炭の重量増加量が上昇し始めてから、言い換えれば、重量増加量の測定を開始したタイミング(0[min])から、褐炭の重量増加量がピーク値M_peakの90%に低下するまでの時間が、上述した所定時間t_thとなる。上述したように、所定時間t_th内における所定タイミングで測定された石炭の重量増加量は、石炭の自然発火性を評価するための指標として用いられる。
ここで、所定タイミングを、褐炭の重量増加量がピーク値M_peakの90%に到達したタイミング(ピーク値M_peakに到達する前のタイミング)t_bと、所定時間t_thに相当するタイミングとの間における任意のタイミングとすれば、石炭の自然発火性を評価する上では、より好ましい。タイミングt_bと、所定時間t_thに相当するタイミングとの間では、石炭の重量増加量を測定するのに充分な測定時間が確保できるので、重量増加量の測定精度を向上させることができる。
さらに、所定タイミングを、褐炭の重量増加量がピーク値M_peakに到達したタイミングt_peakと、所定時間t_thに相当するタイミングとの間における任意のタイミングとすれば、石炭の自然発火性を評価する上では、特に好ましい。酸素の吸収によって褐炭の重量増加量がピーク値M_peakに到達するまでの時間は短時間であり、この時間内(0〜t_peak[min])では、炭種にかかわらず、石炭の重量増加量が急激に上昇する。
炭種にかかわらず、石炭の重量増加量が急激に上昇している時間帯では、炭種毎の重量増加量を把握しにくいことがあり、この時間帯内の重量増加量に基づいて石炭の自然発火性を評価しにくくなることがある。褐炭の重量増加量がピーク値M_peakに到達した後であれば、石炭の重量増加量の急激な上昇が終了しているため、炭種毎の重量増加量を把握しやすくなり、石炭の自然発火性を評価しやすくなる。
自然発火性を評価するときには、複数の発火レベルに区分されたクラスに石炭を分類することができる。複数の発火レベルは、自然発火性の高低によって区分されている。例えば、複数の発火レベルを、高レベル、中レベル、低レベルに区分することができる。
複数の発火レベルに区分するときには、重量増加量の閾値を予め設定しておけばよい。例えば、1つの閾値(重量増加量)を設定すれば、自然発火性を2つの発火レベルに区分することができる。また、互いに異なる2つの閾値(重量増加量)を設定すれば、自然発火性を3つの発火レベルに区分することができる。
上述した所定タイミングで測定された石炭の重量増加量と、閾値(重量増加量)とを比較することにより、測定対象の石炭が、複数の発火レベルのいずれに属しているかを判定することができる。例えば、1つの閾値(重量増加量)を設定して、自然発火性を2つの発火レベル(高レベル及び低レベル)に区分したとき、測定値(重量増加量)が閾値(重量増加量)以上であれば、測定対象の石炭が高レベルのクラスに属することを判定できる。また、測定値(重量増加量)が閾値(重量増加量)よりも小さければ、測定対象の石炭が低レベルのクラスに属することを判定できる。
測定値(重量増加量)及び閾値(重量増加量)を比較するとき、重量増加量としては、熱天秤によって測定されたままの値(重量増加量)を用いたり、石炭の単位重量当たりの重量増加量を用いたりすることができる。
熱天秤によって測定されたままの重量増加量を用いて、石炭の自然発火性を評価するときには、測定対象となる石炭の重量を一定にする必要がある。これは、石炭の重量が異なると、石炭の重量増加量も異なってしまい、自然発火性の画一的な評価を行うことができなくなるからである。
石炭の単位重量当たりの重量増加量を用いれば、重量増加量を測定するときの石炭の重量が異なっていても、自然発火性の画一的な評価を行うことができる。石炭の単位重量当たりの重量増加量を用いたとき、閾値としては、例えば、2.5[mg/g]に設定することができる。
ここで、測定値(単位重量当たりの重量増加量)が閾値(2.5[mg/g])以上であれば、測定対象である石炭の自然発火性が高レベルに属することを判定できる。具体的には、測定対象の石炭が、石炭の使用時や保管時における安全性を管理するときに、自然発火に注意すべきレベルであることを判定できる。そして、この判定結果に基づいて、石炭の自然発火を抑制するための様々な措置を講じながら、石炭の管理を行うことができる。
一方、測定値(単位重量当たりの重量増加量)が閾値(2.5[mg/g])よりも小さければ、測定対象である石炭の自然発火性が低レベルに属することを判定できる。具体的には、測定対象の石炭が、石炭の使用時や保管時における安全性を管理するときに、自然発火に注意すべきレベルではないことを判定できる。
石炭の重量増加量を測定する前では、石炭の加熱や乾燥といった前処理を、重量増加量測定装置(示差熱天秤)を用いて行うことが好ましい。この前処理により、石炭に含まれる水分を蒸発させることができ、熱天秤を用いて石炭の重量増加量を測定するときの精度を向上させることができる。熱天秤の測定精度は、石炭に含まれる水分量に依存しやすいため、熱天秤を用いて石炭の重量増加量を測定する前に、石炭に含まれる水分を蒸発させておくことにより、石炭の重量増加量を精度良く測定することができる。なお、重量増加量の測定対象となる石炭は、事前に別装置(乾燥機など)を用いて乾燥処理が行われることが一般的であるが、この乾燥処理を行ってから重量増加量測定装置(示差熱天秤)に石炭をセットするまでの間に、石炭が大気中の水分を吸湿してしまう。このため、上述したように別装置を用いて乾燥処理を行った場合であっても、本前処理を実施することが望ましい。
前処理では、水分を蒸発させやすくするために、石炭の重量増加量を測定するときの所定温度よりも高い温度まで、雰囲気温度を上昇させる。ここで、雰囲気温度を水の沸点以上まで上昇させることが好ましい。また、雰囲気温度を所定温度よりも高い温度(好ましくは、水の沸点以上の温度)まで上昇させた状態を、所定時間の間、維持することにより、石炭を乾燥させやすくなる。ただし、雰囲気温度を必要以上に高温とすることは、石炭性状の変質(官能基の脱離や細孔構造の変化など)を招くため、石炭中の水分を蒸発させる上で適切な温度を選択することが重要である。
前処理を行うとき、雰囲気ガスとしては、不活性ガスが用いられる。不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガスがある。不活性ガスを用いることにより、雰囲気ガスによる石炭の反応が進行することを抑制しながら、前処理を行うことができる。
前処理時の雰囲気ガスに酸素が含まれていると、酸素が石炭に吸収されてしまい、石炭の重量増加量を測定する前に、石炭の重量が増加してしまう。また、前処理時の雰囲気ガスに酸素が含まれていると、石炭が酸化されて、酸化に伴うガス(CO,CO,HO)が発生してしまい、石炭の重量増加量を測定する前に、石炭の重量が減少してしまう。そこで、上述したように、不活性ガスを用いて前処理を行うことにより、石炭の重量増加量を測定する前に石炭の重量が変化してしまうことを抑制しながら、石炭に含まれる水分を取り除くことができる。
なお、前処理を行うときであって、石炭の自然発火性を評価するために、石炭の単位重量当たりの重量増加量を用いるとき、石炭の単位重量としては、前処理を行った後の石炭の重量を基準とすることができる。
上述した本実施形態において、石炭の自然発火性を評価するための手順(一例)を図2に示す。
ステップS101では、石炭に対して前処理(加熱や乾燥)を行う。前処理は、熱天秤を用いて行われる。また、前処理を終了するときには、雰囲気温度を60℃以下の所定温度に低下させる。なお、前処理は、省略することもできる。
ステップS102では、まず、雰囲気温度を60℃以下の所定温度に維持しながら、雰囲気ガスを純酸素ガスにする。前処理では、雰囲気ガスとして不活性ガスを用いているため、ステップS102では、不活性ガスを純酸素ガスに変更する。次に、雰囲気温度が60℃以下の所定温度であり、雰囲気ガスが純酸素ガスである雰囲気において、石炭の重量増加量を測定する。これにより、測定時間に応じた石炭の重量増加量が得られる。
ステップS103では、まず、ステップS102の測定結果に基づいて、所定タイミングにおける石炭の重量増加量を特定する。次に、この重量増加量に基づいて、測定対象の石炭が、複数の発火レベルのいずれに属するかを判定する。
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
(石炭の種類)
下記表1に示す石炭A〜Gを用意し、石炭A〜Gのそれぞれについて、自然発火性の評価を行った。石炭Aは褐炭、石炭Bは亜瀝青炭、石炭C〜Fは高揮発性瀝青炭、石炭Gは瀝青炭である。石炭A〜Gの分析値(工業分析値および元素分析値)は、下記表1に示す通りである。
Figure 0006586836
石炭A〜Gは、10mgずつ用意した。また、石炭A〜Gとしては、粒度が150〜250μmの範囲内のものを用意した。後述するように、示差熱天秤を用いて石炭A〜Gの重量増加量を測定するときには、測定精度を担保する上で、粒度が150〜250μmである石炭A〜Gを用いることが好ましい。
(重量増加量の測定)
各石炭A〜Gの重量増加量を測定するために、示差熱天秤(株式会社リガク製、Thermo Plus Evo2 TG-DTA8120/H-IR スマートローダ)を用いた。示差熱天秤に石炭A〜Gをそれぞれ設置し、石炭A〜Gの雰囲気ガスをアルゴンガス(不活性ガス)とした。この状態において、雰囲気温度を常温から110℃まで上昇させた後、60℃まで低下させた。この処理は、図2に示すS101の前処理である。
次に、雰囲気ガスをアルゴンガスから純酸素ガスに変更し、雰囲気温度を60℃に維持しながら、各石炭A〜Gの重量増加量を測定した。ここで、重量増加量の測定は、雰囲気ガスを純酸素ガスに変更してから240分が経過するまで行った。図3には、石炭A〜Gについて、重量増加量及び測定時間の関係を示す。
図3に示すように、測定を開始した直後では、各石炭A〜Gが酸素を吸着することにより、各石炭A〜Gの重量増加量が急激に上昇している。石炭A(褐炭)では、重量増加量がピーク値M_peakに到達した後に低下し、測定時間が経過するにつれて重量増加量が低下し続けている。石炭B(亜瀝青炭)では、重量増加量が急激に上昇した後、僅かずつ重量増加量が上昇している。
石炭C〜F(高揮発性瀝青炭)では、重量増加量が急激に上昇した後、重量増加量が変化しにくくなっている。各石炭C〜Fの重量増加量は、石炭A,Bの重量増加量よりも小さくなっている。石炭G(瀝青炭)では、重量増加量が急激に上昇した後、重量増加量が低下・上昇を繰り返している。石炭Gの重量増加量は、石炭A〜Fの重量増加量よりも小さくなっている。
(自然発火性の評価)
測定時間が20分における各石炭A〜Gの重量増加量に基づいて、石炭A〜Gの自然発火性について評価した。測定時間が20分となるタイミングは、石炭A〜Gの重量増加量の測定を開始したタイミング(0[min])から、石炭A(褐炭)の重量増加量がピーク値M_peakの90%に低下するまでの時間(上述した所定時間t_th)に含まれている。より具体的には、測定時間が20分となるタイミングは、石炭A(褐炭)の重量増加量がピーク値M_peakに到達したタイミングt_peakと、所定時間t_thに相当するタイミングとの間にある。なお、石炭A(褐炭)の重量増加量がピーク値M_peakの90%に低下したときの測定時間は、約47分である。
下記表2には、測定時間が20分における各石炭A〜Gの重量増加量を示す。下記表2に示す重量増加量は、各石炭A〜Gの単位重量当たりの重量増加量である。下記表2に示す参考例は、自然発火試験装置SIT−2(島津製作所)を用いて、各石炭A〜Gの発火開始時間を測定した結果を示している。
Figure 0006586836
上記表2によれば、石炭A〜Gの重量増加量は、参考例の発火開始時間と概ね相関を有していることが分かる。すなわち、重量増加量が大きいほど、発火開始時間が短く、重量増加量が小さいほど、発火開始時間が長いことが分かる。したがって、重量増加量が大きいほど、自然発火性が高いことが分かり、重量増加量が小さいほど、自然発火性が低いことが分かる。
ここで、自然発火性を3つの発火レベル(高レベル、中レベルおよび低レベル)に区分したとき、石炭A〜Gは、下記表3に示すように分類される。ここで、高レベルおよび中レベルの境界を規定する閾値(重量増加量)を2.5mg/gとし、中レベルおよび低レベルの境界を規定する閾値(重量増加量)を1.0mg/gとしている。
Figure 0006586836
石炭A(褐炭)及び石炭B(亜瀝青炭)の発火レベルが、石炭C〜F(高揮発性)や石炭G(瀝青炭)の発火レベルよりも高いことは、従来知られている発火レベルと同様であった。また、石炭Gの発火レベルが、石炭A〜Fの発火レベルよりも低いことは、従来知られている発火レベルと同様であった。
一方、石炭C〜Fは、同一の炭種(高揮発性瀝青炭)であるが、石炭C,Dおよび石炭E,Fの間で発火レベルが互いに異なっている。このように、炭種に着目しただけでは、石炭の自然発火性を評価することができないことが分かる。特に、高揮発性瀝青炭については、性状(工業分析値や元素分析値)に応じて発火レベルが異なることがあるため、本実施例の評価方法によって、高揮発性瀝青炭の自然発火性を適切に評価することができる。
ここで、本実施形態で説明したように、雰囲気温度が60℃以下の所定温度であり、雰囲気ガスが純酸素ガスである雰囲気において、石炭の重量増加量を測定し、石炭の自然発火性を評価するための指標となる重量増加量として、上述した所定タイミングで測定された重量増加量を用いることにより、この重量増加量と、上記表2の参考例に示す発火開始時間との間に相関を持たせることができる。これにより、所定タイミングで測定された重量増加量に基づいて、石炭の自然発火性を適切に評価することができる。また、所定時間t_thまでの間の重量増加量に基づいて、石炭の自然発火性を評価できるため、自然発火性の評価を迅速に行うことができる。
図3に示すように、測定時間が所定時間t_thを超えると、石炭A〜Gの重量増加量の挙動が様々に変化してしまい、石炭の自然発火性を評価するための指標となる重量増加量を特定しにくくなる。また、所定時間t_thを超えたタイミングで測定された重量増加量と、上記表2の参考例に示す発火開始時間との間で相関が得にくくなることがあり、石炭の自然発火性を適切に評価しにくくなる。
(比較例1)
比較例1では、実施例1で説明した示差熱天秤を用いて、実施例1で説明した石炭A〜Gの重量増加量を測定した。ここで、実施例1では、雰囲気温度を60℃に維持しながら、石炭A〜Gの重量増加量を測定したが、比較例1では、雰囲気温度を80℃に維持しながら、石炭A〜Gの重量増加量を測定した。
具体的には、アルゴンガスの雰囲気において、雰囲気温度を常温から110℃まで上昇させた後に、80℃まで低下させた。そして、雰囲気温度を80℃に維持しながら、雰囲気ガスをアルゴンガスから純酸素ガスに変更した後、石炭A〜Gの重量増加量を測定した。なお、重量増加量の測定中における雰囲気温度を80℃に設定することを除き、比較例1の測定条件は、実施例1と同じである。
図4は、比較例1において、各石炭A〜Gの重量増加量と測定時間との関係を示す。図4に示す石炭A〜Gの重量増加量の挙動は、図3に示す重量増加量の挙動とまったく異なる。このため、図4では、任意の測定時間における各石炭A〜Gの重量増加量を把握しても、上記表2の参考例に示す発火開始時間との間で相関を持たせることができず、石炭A〜Gの重量増加量に基づいて、石炭A〜Gの自然発火性を適切に評価することができない。特に、図4に示す重量増加量の挙動では、上記表3に示すように、発火レベルが高レベルである石炭A〜Dを特定することができない。
(比較例2)
比較例2では、実施例1で説明した示差熱天秤を用いて、実施例1で説明した石炭A〜Gの重量増加量を測定した。ここで、実施例1では、重量増加量の測定時における雰囲気ガスを純酸素ガスとしているが、比較例2では、重量増加量の測定時における雰囲気ガスを空気としている。なお、雰囲気ガスを除き、比較例2の測定条件は、実施例1と同じである。
図5は、比較例2において、各石炭A〜Gの重量増加量と測定時間との関係を示す。図5に示す石炭A〜Gの重量増加量の挙動は、図3に示す重量増加量の挙動とまったく異なる。このため、図5では、任意の測定時間における各石炭A〜Gの重量増加量を把握しても、上記表2の参考例に示す発火開始時間との間で相関を持たせることができず、石炭A〜Gの重量増加量に基づいて、石炭A〜Gの自然発火性を適切に評価することができない。
特に、石炭Dについて、図5に示す重量増加量の挙動では、上記表3に示すように、発火レベルが高レベルであることを判定しにくい。ここで、測定時間が240分であるときの各石炭A〜Gの重量増加量に着目すると、上記表3に示すように発火レベルの分類を行うことができるが、240分まで重量増加量を測定し続けなければならず、自然発火性の評価を迅速に行うことができない。

Claims (6)

  1. 雰囲気温度が60℃以下の所定温度であり、雰囲気ガスが純酸素ガスである雰囲気において、石炭の重量増加量を熱天秤によって測定し、
    前記石炭の重量が増加し始めてから所定時間が経過するまでの間の所定タイミングにおける前記石炭の重量増加量を、前記石炭の発火レベルを複数に区分する前記重量増加量の閾値と比較することにより、前記石炭の自然発火性の高低に関する評価を行い、
    前記所定時間は、前記雰囲気における褐炭の重量増加量がピーク値の90%に低下するまでの時間であることを特徴とする石炭の自然発火性評価方法。
  2. 前記評価において、前記所定タイミングにおける前記石炭の重量増加量が大きいほど、この石炭を発火レベルの高いクラスに分類することを特徴とする請求項1に記載の石炭の自然発火性評価方法。
  3. 不活性ガスの雰囲気において、雰囲気温度を前記所定温度よりも高い温度まで上昇させた後に、前記雰囲気温度を前記所定温度まで低下させ、
    雰囲気ガスを前記不活性ガスから前記純酸素ガスに変更した後、前記石炭の重量増加量を測定することを特徴とする請求項1又は2に記載の石炭の自然発火性評価方法。
  4. 前記石炭の重量増加量は、前記石炭の単位重量当たりの増加量であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の石炭の自然発火性評価方法。
  5. 前記石炭の単位重量当たりの増加量が2.5[mg/g]以上であるとき、この石炭の発火レベルが、前記石炭の管理上で自然発火に注意すべきレベルであると判定することを特徴とする請求項4に記載の石炭の自然発火性評価方法。
  6. 前記石炭は、高揮発性瀝青炭を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の石炭の自然発火性評価方法。
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