以下、本発明の無線送信装置および無線送信システムを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて説明する。なお、以下の説明では、本発明に係る無線送信装置および無線送信システムは、外部から入力される振動エネルギーを利用して発電を行う発電素子を利用するが、本発明はこれに限られない。圧力等の様々な機械的エネルギーを利用して発電を行う様々な環境発電素子が、本発明の無線送信装置および無線送信システムに利用されてもよい。
図2は、本発明に係る無線送信装置および無線送信システムを示すブロック図である。図3は、図2に示す発電素子の断面斜視図である。図4は、図2に示す発電素子の分解斜視図である。図5は、図2に示す発電素子が備える板バネの平面図である。図6は、図2に示す無線送信部のブロック図である。図7は、図2に示す無線送信部が実行する無線送信動作を示すフローチャートである。図8は、図7に示す無線送信動作と、昇圧部およびスイッチング部のON/OFF制御の関係を概念的に示す図である。図9は、図1に示す無線送信装置および無線送信システムによるエネルギー効率の向上効果を説明するための図である。なお、以下の説明では、図3および図4中の上側を「上」または「上方」と言い、下側を「下」または「下方」と言う。
図2に示す無線送信システム900は、外部から入力された振動(振動エネルギー)を利用して発電を行う発電素子(環境発電素子)100と、発電素子100から供給される電力を利用して無線送信を実行する無線送信装置1とを含む。
<発電素子100>
発電素子100は、振動体に固定され、該振動体から入力される振動を利用して発電を行う機能を有する。ここで、振動体としては、例えば、回転機器(モーター、タービン、ファン等)、空調ダクト、配管、輸送機(貨物列車や自動車、トラックの荷台等)、線路を構成する枕木、高速道路やトンネル、架橋、ポンプ、油圧及び空気圧を伝達するためのパイプ類などが挙げられる。
このような発電素子100は、図2に示すように、交流電源Eと内部抵抗IRを直列接続した回路と等価とみなすことができる。ただし、発電素子100は、振動体から入力される振動を利用して発電するので、交流電源Eの起電力は、振動体から入力される振動(振幅、周波数)に依存して変動する。
図3および図4に示すように、発電素子100は、筐体20と、筐体20内に図3および図4の上下方向に振動可能に保持された発電部10とを備えている。発電部10は、一対の対向する上側板バネ60Uおよび下側板バネ60Lと、これらの間に固定され、永久磁石31を有する磁石組立体30と、永久磁石31の外周側を囲むように設けられたコイル40と、コイル40を保持するコイル保持部50とを有している。
筐体20は、発電素子100を振動体に固定すると共に、発電部10を収納する機能を有する。筐体20は、カバー21と、ベース23と、カバー21とベース23との間に位置する筒状部22とを備えている。
ベース23の4隅には、それぞれ、貫通孔231が形成されている。図示しないネジをベース23の貫通孔231に貫通させ、振動体に設けられたネジ穴と螺合させることより、ベース23が振動体に固定され、発電素子100を振動体に取り付ける(固定する)ことができる。発電素子100を振動体に取り付けることにより、振動体の振動を発電素子100に伝達させることができる。
上側板バネ60Uおよび下側板バネ60Lは、磁石組立体30およびコイル保持部50を、筐体20に対して振動可能に保持する機能を有する。上側板バネ60Uは、カバー21と筒状部22との間に固定されている。一方、下側板バネ60Lは、ベース23と筒状部22との間に固定されている。各板バネは、それぞれ、金属製の薄板材で形成された円環状の部材であり、互いに同じ構造を有している。
図5に示すように、各板バネは、それぞれ、外周側から、第1の環状部61、第1の環状部61の内径よりも小さい外径を有する第2の環状部62、および第2の環状部62の内径よりも小さい外径を有する第3の環状部63を有している。これらの第1の環状部61、第2の環状部62および第3の環状部63は、それぞれ、各板バネに同心的に設けられている。また、第1の環状部61と第2の環状部62は、複数(本実施形態では、4つ)の第1のバネ部64によって連結されており、第2の環状部62と第3の環状部63は、複数(本実施形態では、2つ)の第2のバネ部65によって連結されている。
上側板バネ60Uが、上側板バネ60Uの上側に設けられたワッシャー80とコイル保持部50との間に位置する状態で、上側板バネ60Uの第2の環状部62が、コイル保持部50の外周部(筒状部51)の上端部に固定されている。また、下側板バネ60Lが、下側板バネ60Lの下側に設けられたワッシャー80とコイル保持部50との間に位置する状態で、下側板バネ60Lの第2の環状部62が、コイル保持部50の外周部(筒状部51)の下端部に固定されている。
また、上側板バネ60Uの第3の環状部63は、後述する磁石組立体30上に取り付けられたスペーサ70の上部に固定されており、下側板バネ60Lの第3の環状部63は、磁石組立体30の底部に固定されている。
各板バネの4つの第1のバネ部64は、第2の環状部62を第1の環状部61に対して図3および図4の上下方向に振動可能に支持(連結)している。上述のように、第1の環状部61は筐体20(カバー21、筒状部22およびベース23)に固定され、第2の環状部62は、コイル保持部50に固定されている。そのため、振動体から筐体20に振動が伝達されると、さらに、第1のバネ部64を介して、振動がコイル保持部50に伝達される。その結果、コイル保持部50が筐体20に対して振動する。
また、各板バネの2つの第2のバネ部65は、第3の環状部63を第2の環状部62に対して図3および図4の上下方向に振動可能に支持(連結)している。上述のように、上側板バネ60Uの第3の環状部63は、スペーサ70を介して、磁石組立体30に固定されており、下側板バネ60Lの第3の環状部63は、磁石組立体30の底部に固定されている。そのため、振動体から筐体20に振動が伝達されると、さらに、第2のバネ部65を介して、振動が磁石組立体30に伝達される。その結果、磁石組立体30が筐体20およびコイル保持部50に対して振動する。
かかる構成を有する発電素子100では、筐体20に対して、各板バネの第1のバネ部64によってコイル保持部50が振動する第1の振動系と、筐体20およびコイル保持部50に対して、各板バネの第2のバネ部65によって磁石組立体30が振動する第2の振動系とが形成されている。
磁石組立体30は、上側板バネ60Uと下側板バネ60Lとの間に、筐体20およびコイル保持部50に対して振動可能に支持されている。磁石組立体30は、円盤状(厚さの比較的薄い円柱状)の永久磁石31と、永久磁石31がその略中央に配設される底板部321と、底板部321の外周端部から立設した筒状部322とを有する円筒状のバックヨーク32と、永久磁石31の上面に設けられたヨーク33とを有している。バックヨーク32の底板部321の外周部は、下側板バネ60Lの第3の環状部63に固定されており、ヨーク33は、スペーサ70を介して上側板バネ60Uの第3の環状部63に固定されている。
バックヨーク32は、筒状部322と永久磁石31(ヨーク33)との間に、コイル保持部50に保持されたコイル40が筒状部322および永久磁石31と離間した状態で配置されるように構成されている。すなわち、筒状部322の内径は、コイル40の外径よりも大きく設計されている。また、バックヨーク32の底板部321には、中央部付近に貫通孔が形成されている。
コイル保持部50は、磁石組立体30と筐体20との間に、筐体20および磁石組立体30に対して振動可能に支持されている。コイル保持部50は、円筒状の筒状部51と、筒状部51の内周面側に配設された円環状の環状部52とを有している。筒状部51は、各板バネの第2の環状部62に固定されている。また、コイル保持部50は、環状部52の下面側でコイル40を保持している。
コイル40は、コイル保持部50の環状部52下面の内周部付近に固定されて、コイル保持部50に保持されている。また、コイル40は、コイル保持部50に保持された状態で、磁石組立体30のバックヨーク32の筒状部322と永久磁石31との間に、筒状部322および永久磁石31と離間して配置されている。このコイル40は、発電部10の振動(コイル保持部50の振動および磁石組立体30の振動)に伴って、永久磁石31に対して相対的に上下方向に変位する。このような振動により、コイル40を通過する永久磁石31からの磁力線の密度が変化し、コイル40に交流電流が発生する。
コイル40の両端は、それぞれ、コイル保持部50の環状部52の上側に設けられた一対の電極端子90に接続されている。無線送信装置1の入力端子に電極端子90を接続することにより、無線送信装置1は、発電素子100を電源として利用することができる。
<無線送信装置1>
無線送信装置1は、発電素子100から供給される電力を利用して、センサ8が取得した測定データをホストコンピュータ、サーバー、制御装置等の外部機器に無線送信する機能を有する。
なお、無線送信すべき測定データを取得するセンサ8の種類は特に限定されず、温度、湿度、光、電気、磁気、振動、加速度、圧力等の様々な対象を測定可能なセンサをセンサ8として用いることができる。本実施形態では、センサ8として、温度および湿度を測定可能な温湿度センサを用いた場合について説明する。また、本実施形態では、図2に示すように、センサ8は、無線送信装置1のコンポーネントとして説明されるが、本発明はこれに限られない。例えば、センサ8は、独立したコンポーネントとして無線送信装置1の外部に設けられ、有線接続または無線接続によって無線送信装置1とデータ通信を実行し、測定データを無線送信装置1に送信してもよい。
また、図示の形態では、無線送信装置1が備えるセンサ8の数は1つであるが、本発明はこれに限られない。無線送信装置1が複数のセンサ8を備えていてもよく、各センサ8が測定する対象がそれぞれ異なっていてもよい。例えば、複数のセンサ8の1つは温湿度を測定し、複数のセンサ8の異なる1つは振動を測定してもよい。
図2に示すように、無線送信装置1は、発電素子100から供給される電力を交流から直流に変換する整流部2と、整流部2からの電力を蓄電する蓄電部C1と、蓄電部C1内に蓄電された電力を昇圧する昇圧部3と、昇圧部3の出力を平滑化する平滑コンデンサC2と、温度および湿度を測定するセンサ8と、昇圧部3から供給される電力を利用してセンサ8が取得した測定データの無線送信動作(処理S100、図7参照)を実行する無線送信部9と、平滑コンデンサC2と後段のコンポーネント(特に、無線送信部9)との間の接続を制御するスイッチング部Sと、無線送信部9の無線送信動作に同期して昇圧部3およびスイッチング部Sを制御する電力制御部4と、昇圧部3の出力電圧を調整するための第1の抵抗R1および第2の抵抗R2と、蓄電部C1の電圧V1と昇圧部3の出力電圧V2のうち、より高い一方を電力制御部4に供給するための第1のダイオードD1および第2のダイオードD2と、を含む。
また、無線送信装置1において、少なくとも、センサ8と無線送信部9との間、無線送信部9と電力制御部4との間、電力制御部4と昇圧部3との間、および電力制御部4とスイッチング部Sとの間は、データバス等によって通信可能に接続されている。特に、無線送信部9と電力制御部4との間は、シリアル通信、より具体的には、I2C(Inter-Integrated Circuit)通信を実行可能に接続されている。図2中では、データ通信可能に接続されたコンポーネントは、矢印線によって結ばれている。
電力制御部4から出力される制御信号によって、昇圧部3およびスイッチング部SのON/OFF制御が実行される。また、図示のように、昇圧部3およびスイッチング部Sは、電力制御部4から出力される同一の制御信号によって制御されるので、昇圧部3の動作とスイッチング部Sの動作を同期させることができる。すなわち、昇圧部3がOFFのときは、スイッチング部Sも必ずOFFであり、昇圧部3がONのときは、スイッチング部Sも必ずONである。その結果、昇圧部3がOFFであるときに、スイッチング部SがONされ、平滑コンデンサC2内の電力が不必要に消費されるケースを確実に防止することができる。さらに、昇圧部3がONであるときに、スイッチング部SがOFFされ、無線送信部9の無線送信動作が実行できないケースを確実に防止することができる。
また、後述するように、電力制御部4は、無線送信部9が実行する無線送信動作(処理S100)に同期して制御信号を出力するよう構成されている。すなわち、電力制御部4が制御信号を出力するタイミングは、後述する無線送信部9が実行する無線送信動作の開始タイミングと略一致し、電力制御部4が制御信号の出力を停止するタイミングは、無線送信動作の終了タイミングと略一致する。
そのため、電力制御部4から出力される制御信号を用いて昇圧部3およびスイッチング部SのON/OFF制御を実行することにより、昇圧部3およびスイッチング部SのON/OFF制御を無線送信部9が実行する無線送信動作に同期させることができる。
<<整流部2>>
整流部2は、発電素子100の電極端子90に接続されており、発電素子100から供給される電力を交流から直流に変換する機能を有する。整流部2は、発電素子100から供給される電力を交流から直流に変換することができれば特に限定されない。例えば、ダイオード整流器、ブリッジ整流器等を整流部2として用いることができる。
<<蓄電部C1>>
蓄電部C1は、整流部2からの電力を蓄電および放出(充放電)する機能を有する。蓄電部C1の一方の端子は、整流部2の出力端子に接続されており、他方の端子は、グラウンド(基準電位点)接続されている。なお、図示のように、蓄電部C1の電圧は、電圧V1で表現されている。
蓄電部C1としては、例えば、電気二重層コンデンサやリチウムイオンキャパシタ等のコンデンサを用いることができる。このようなコンデンサは、急速充電が可能であり、小型であることから、蓄電部C1として適している。また、コンデンサと、鉛電池、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池等の二次電池(蓄電池)との組み合わせを蓄電部C1として用いてもよい。この場合、コンデンサの容量以上の電力が供給された場合に、余剰分の電力を二次電池内に蓄電しておくことができるので、発電素子100から供給される電力をより効率的に利用することができる。
<<昇圧部3>>
昇圧部3は、蓄電部C1と並列に接続されており、蓄電部C1に蓄電された電力を昇圧し、出力する機能を有する。昇圧部3は、蓄電部C1に蓄電された電力を昇圧し、出力することができれば特に限定されず、典型的には、DC−DCコンバータを昇圧部3として用いることができる。
昇圧部3の出力端子VOUTは、平滑コンデンサC2の一方の端子に接続されている。また、昇圧部3のFB端子(出力電圧帰還端子)は、平滑コンデンサC2に並列に接続された第1の抵抗R1と第2の抵抗R2との間に接続されている。このような構成により、第1の抵抗R1および第2の抵抗R2の抵抗値を調整することによって、出力端子VOUTから出力される昇圧部3の出力電圧を調整することができる。例えば、本実施形態の昇圧部3に0.9Vの電圧が入力された場合、2.2Vの出力電圧を出力端子VOUTから出力することができる。また、昇圧部3のゲート端子には、電力制御部4の出力端子が接続されており、電力制御部4から出力される制御信号に従って、昇圧部3のON/OFF制御が実行される。なお、図示のように、昇圧部3の出力電圧は、電圧V2で表現されている。
<<平滑コンデンサC2>>
平滑コンデンサC2は、出力端子VOUTから出力される昇圧部3の出力を平滑化し、後段のコンポーネント(第1の抵抗R1、第2の抵抗R2、センサ8および無線送信部9)に供給する機能を有する。平滑コンデンサC2の一方の端子は、昇圧部3の出力端子VOUTに接続され、他方の端子は、グラウンド接続されている。平滑コンデンサC2としては、前述した蓄電部C1と同様のコンデンサを用いることができる。
<<スイッチング部S>>
スイッチング部Sは、平滑コンデンサC2と並列に接続され、電力制御部4から出力される制御信号に従って、平滑コンデンサC2と、後段のコンポーネントとの間の接続を制御する機能を有する。スイッチング部Sは、第1の半導体スイッチング素子Q1と、第2の半導体スイッチング素子Q2と、第3の抵抗R3とを備える。
第1の半導体スイッチング素子Q1のソース端子またはドレイン端子の一方の端子は、平滑コンデンサC2の一方の端子に接続され、他方の端子は、後段のコンポーネントに接続されている。また、第1の半導体スイッチング素子Q1のゲート端子は、第2の半導体スイッチング素子Q2のソース端子またはドレイン端子の一方の端子に接続されている。第2の半導体スイッチング素子Q2の他方の端子は、グラウンド接続されている。また、第2の半導体スイッチング素子Q2のゲート端子は、電力制御部4の出力端子に接続されており、電力制御部4から昇圧部3に出力される制御信号が、第2の半導体スイッチング素子Q2のゲート端子にも出力される。第3の抵抗R3は、平滑コンデンサC2の一方の端子と、第1の半導体スイッチング素子Q1のゲート端子との間に接続され、第1の半導体スイッチング素子Q1のゲート端子に入力される電圧を調整するために用いられる。
第1の半導体スイッチング素子Q1および第2の半導体スイッチング素子Q2は、ノーマルオープン(NO)タイプのスイッチング素子であり、例えば、MOSFETやIGBT等を、第1の半導体スイッチング素子Q1および第2の半導体スイッチング素子Q2として用いることができる。
電力制御部4から、第2の半導体スイッチング素子Q2のゲート端子に制御信号が出力されると、第2の半導体スイッチング素子Q2がONとなる。その結果、第1の半導体スイッチング素子Q1のゲート端子に電流が流れ、第1の半導体スイッチング素子Q1がONとなる。それにより、スイッチング部SがONとなり、スイッチング部Sを介して後段のコンポーネントに、平滑コンデンサC2によって平滑化された電力が供給される。また、第2の半導体スイッチング素子Q2のゲート端子に出力される制御信号は、昇圧部3のゲート端子に出力される制御信号と同一の制御信号であるため、昇圧部3が同時にONされる。
かかる構成のスイッチング部Sを用いることにより、昇圧部3のON/OFF制御に同期して、平滑コンデンサC2と後段のコンポーネントとの間の接続を制御することができる。さらに、上述のように、昇圧部3のゲート端子および第2の半導体スイッチング素子Q2のゲート端子に出力される制御信号は、無線送信部9の無線送信動作と同期している。そのため、無線送信部9が無線送信動作を実行しない待機状態の間、確実に平滑コンデンサC2と、後段のコンポーネントとの間の接続を遮断することができる。その結果、平滑コンデンサC2内の電力が、無線送信部9の無線送信動作以外の要因、すなわち、第1の抵抗R1、第2の抵抗R2、センサ8および無線送信部9の待機電力によって不必要に消費されることを防止することができる。その結果、昇圧部3から平滑コンデンサC2への突入電流が減少するので、蓄電部C1に蓄積された電力が不必要に消費されることを防止することができ、無線送信装置1のエネルギー効率を向上させることができる。
<<ダイオードD1、D2>>
平滑コンデンサC2の一方の端子とスイッチング部Sとの間には、第2のダイオードD2の入力端子(アノード)が接続されている。一方、蓄電部C1の一方の端子には、第1のダイオードD1の入力端子が接続されている。第1のダイオードD1の出力端子(カソード)は、第2のダイオードD2の出力端子に接続されている。したがって、第1のダイオードD1の出力端子と第2のダイオードD2の出力端子の接合点から出力される電圧V1Rは、蓄電部C1の電圧V1と、昇圧部3の出力電圧V2のいずれか高い一方である。
このように、第1のダイオードD1および第2のダイオードD2は、蓄電部C1の電圧V1と昇圧部3の出力電圧V2のうち、より高い一方を、第1のダイオードD1の出力端子と第2のダイオードD2の出力端子の接合点から出力するために用いられる。
例えば、蓄電部C1の電圧V1が昇圧部3の出力電圧V2よりも高い場合、第1のダイオードD1の出力端子と第2のダイオードD2の出力端子の接合点から出力される電圧V1Rは、蓄電部C1の電圧V1である。一方、昇圧部3の出力電圧V2が蓄電部C1の電圧V1よりも高い場合、第1のダイオードD1の出力端子と第2のダイオードD2の出力端子の接合点から出力される電圧V1Rは、昇圧部3の出力電圧V2である。また、第1のダイオードD1の出力端子と第2のダイオードD2の出力端子の接合点は、電力制御部4に接続されている。
<<電力制御部4>>
電力制御部4は、蓄電部C1と昇圧部3との間に接続され、無線送信部9が実行する無線送信動作(処理S100)に同期して、昇圧部3およびスイッチング部SのON/OFF制御を実行する機能を有する。図示のように、電力制御部4は、蓄電部C1と並列に接続された電源監視回路5と、第1のダイオードD1の出力端子と第2のダイオードD2の出力端子の接合点に接続されたタイマー6と、電源監視回路5の出力端子およびタイマー6の出力端子に接続された加算器7と、を備える。
電源監視回路5は、蓄電部C1と並列に接続され、蓄電部C1の電圧V1を監視して、監視結果に応じて加算器7に信号を出力する機能を有する。電源監視回路5は、電圧V1が所定の上側しきい値以上となったことを検出すると、加算器7に信号を出力する(出力が論理値Highとなる)。その後、蓄電部C1の電圧V1は、無線送信部9が実行する無線送信動作等により降下する。電源監視回路5は、電圧V1が電圧降下により、所定の下側しきい値未満となったことを検出すると、加算器7に対する信号の出力を停止する(出力が論理値Lowとなる)。
電圧V1用の下側しきい値は、昇圧部3の動作可能最小電圧となるように設定される。一方、昇圧部3の動作可能最小電圧をVminとし、無線送信部9が1回の無線送信動作を実行した場合の電圧V1の降下量をΔVとしたとき、電圧V1用の上側しきい値は、Vmin+ΔV以上に設定されることが好ましい。例えば、昇圧部3の動作可能最小電圧Vminが0.9Vであり、無線送信部9が1回の無線送信動作を実行した場合の電圧V1の降下量ΔVが0.2Vであるとき、電圧V1用の下側しきい値は0.9Vであり、電圧V1用の上側しきい値は、1.1V以上に設定される。
このように、電圧V1用の上側しきい値をVmin+ΔV以上に設定することにより、無線送信部9が無線送信動作を実行中に、蓄電部C1の電圧V1が昇圧部3の動作可能最小電圧Vminを下回り、無線送信動作が中断されてしまうことを確実に防止することができる。また、電圧V1用の下側しきい値を昇圧部3の動作可能最小電圧Vminに設定することにより、蓄電部C1の電圧V1が昇圧部3の動作可能最小電圧Vmin未満であるにも関わらず、蓄電部C1から昇圧部3に電力が供給され、電力が不必要に消費されることを防止することができる。
タイマー6は、第1のダイオードD1の出力端子と第2のダイオードD2の出力端子の接合点に接続され、所定の時間間隔ΔTをカウントする度に、加算器7へ信号を出力する(加算器7への出力を論理値Lowから論理値Highへ変化させる)機能を有する。また、上述のように、タイマー6は、無線送信部9とI2C通信可能に接続されている。
タイマー6は、初期状態において、加算器7に信号を出力し続ける(出力が論理値Highである)。その後、タイマー6は、無線送信実行前に、所定の時間間隔ΔTを設定するための時間間隔設定信号、およびタイマー6のタイムカウントをリセットするためのタイマーカウントリセット信号を、無線送信部9からI2C通信により受信する。
タイマー6は、無線送信部9から時間間隔設定信号およびタイマーカウントリセット信号を受信した後も、無線送信部9からタイマー出力OFF信号を受信するまで、加算器7に信号を出力し続ける(論理値Highの出力を維持する)。また、タイマー6は、無線送信部9からタイマー出力OFF信号を受信し、加算器7への信号の出力を停止した後(論理値Lowとなった後)、無線送信部9によって設定された所定の時間間隔ΔTをカウントすると、加算器7への信号の出力を再開する(出力を論理値Lowから論理値Highへと変化させる)。
このように、タイマー6は、無線送信部9からのタイマー出力OFF信号に従って加算器7への信号の出力を停止し、設定した所定の時間間隔ΔTをカウントすると加算器7への信号の出力を再開するよう構成されている。また、上述のタイマー出力OFF信号およびタイマーカウントリセット信号は、無線送信部9からタイマー6に周期的に送信されるので、タイマー6は、周期的に、加算器7への信号の出力および停止を繰り返すことができる。
図7および8を参照して後述するように、無線送信部9による時間間隔設定信号およびタイムカウントリセット信号の送信は、無線送信実行前に実行される。一方、無線送信部9によるタイマー出力OFF信号の送信は、無線送信実行後に実行される。そのため、タイマー6は、無線送信部9が無線送信動作(処理S100)を開始した後は、無線送信実行前後を問わず、無線送信部9から信号を受信するために、常時I2C通信可能な状態で駆動している必要がある。
このように、タイマー6は、無線送信部9が無線送信動作を開始した後において、無線送信部9から出力される前述の各種信号をI2C通信により受信する必要がある。したがって、無線送信部9が無線送信動作を開始した後では、タイマー6をI2C通信可能に駆動するのに必要な電圧(以下、I2C通信可能電圧という)を、タイマー6に常時供給する必要がある。一般に、I2C通信可能電圧は、昇圧部3の動作可能最小電圧Vminより高い。例えば、I2C通信可能電圧は、最低1.5Vであり、昇圧部3の動作可能最小電圧Vmin(前述の例では、0.9V)より高い。
そのため、蓄電部C1のみからタイマー6へ電力を供給する場合、蓄電部C1の電圧V1を、I2C通信実行可能電圧(前述の例では、1.5V)以上に常時保つ必要がある。そのため、従来では、蓄電部C1の電圧V1がI2C通信実行可能電圧未満に低下することを防止するため、昇圧部3の駆動電圧をI2C通信実行可能電圧以上に設定する必要があった。しかしながら、昇圧部3の駆動電圧を高く設定すると、発電素子100に入力される振動(機械的エネルギー)が微弱な場合、昇圧部3が駆動されず、無線送信装置1を駆動できない場合があった。
それに対し、本実施形態のタイマー6は、第1のダイオードD1の出力端子と第2のダイオードD2の出力端子の接合点から供給される電力を受信している。そのため、タイマー6に供給される電力の電圧V1Rは、蓄電部C1の電圧V1と、昇圧部3の出力電圧V2のうち、より高い一方である。
したがって、昇圧部3から昇圧された電力が出力される前、すなわち、蓄電部C1の電圧V1が昇圧部3の駆動電圧より低く、無線送信部9が無線送信動作を開始する前において、タイマー6に供給される電圧V1Rは、蓄電部C1の電圧V1である。
一方、昇圧部3から昇圧された電力が出力され、無線送信部9が無線送信動作を開始した後、すなわち、昇圧部3の出力電圧V2が蓄電部C1の電圧V1よりも大きい間において、タイマー6に供給される電圧V1Rは、昇圧部3の出力電圧V2となる。
このように、タイマー6を、第1のダイオードD1の出力端子と第2のダイオードD2の出力端子の接合点に接続することにより、無線送信部9が無線送信動作を開始する前、すなわち、タイマー6にI2C通信可能電圧を供給する必要がない間においては、蓄電部C1の電圧V1をタイマー6に供給することができる。一方、無線送信部9が無線送信動作を開始した後、すなわち、タイマー6にI2C通信可能電圧を供給する必要がある間においては、昇圧部3の出力電圧V2をタイマー6に供給することができる。
したがって、本発明の無線送信装置1では、蓄電部C1の電圧V1をI2C通信可能電圧以上に保つ必要がない。そのため、昇圧部3の駆動電圧を、最低限、昇圧部3の動作可能最小電圧Vmin(または上側しきい値)まで低く設定することができる。その結果、発電素子100に入力される振動(機械的エネルギー)が微弱な場合であっても、昇圧部3を駆動させ、無線送信装置1を駆動させることが可能となる。
加算器7は、電源監視回路5の出力端子とタイマー6の出力端子に接続され、電源監視回路5およびタイマー6の双方から信号(High出力)を受信した場合にのみ、昇圧部3のゲート端子および第2の半導体スイッチング素子Q2のゲート端子に制御信号を出力する機能を有する。
前述のように、初期状態において、タイマー6は、加算器7に信号を出力し続ける。そのため、無線送信部9によって第1回目の無線送信動作が実行される前は、蓄電部C1の電圧V1が所定の上側しきい値以上となった場合に、加算器7から昇圧部3のゲート端子および第2の半導体スイッチング素子Q2のゲート端子に制御信号が出力される。
一方、タイマー6がタイマー出力OFF信号を受信し、加算器7への信号の出力を停止した後では、蓄電部C1の電圧V1が所定の下側しきい値以上であり、かつ、タイマー6が所定の時間間隔ΔTをカウントし、加算器7への信号の出力を再開したときに、加算器7から昇圧部3のゲート端子および第2の半導体スイッチング素子Q2のゲート端子に制御信号が出力される。かかる構成の電力制御部4を用いることにより、所定の時間間隔ΔTで昇圧部3およびスイッチング部SをONすることができる。
<<抵抗R1、R2>>
第1の抵抗R1および第2の抵抗R2は、スイッチング部S後段に、平滑コンデンサC2と並列に接続されている。第1の抵抗R1の一方の端子は、第1の半導体スイッチング素子Q1の他方の端子に接続され、他方の端子は第2の抵抗R2の一方の端子に接続されている。第2の抵抗R2の他方の端子は、グラウンド接続され、第1の抵抗R1の他方の端子と、第2の抵抗の一方の端子との間には、昇圧部3のFB端子が接続されている。したがって、第1の抵抗R1および第2の抵抗R2は、分圧回路を構成し、第1の抵抗R1および第2の抵抗R2の抵抗値を調整することによって、昇圧部3のFB端子への帰還電圧を調整することができる。例えば、第1の抵抗R1および第2の抵抗R2の抵抗値が等しい場合、昇圧部3のFB端子への帰還電圧は、昇圧部3の出力電圧V2の略半分となる。
<<センサ8>>
センサ8は、スイッチング部S後段に、平滑コンデンサC2と並列に接続され、温度および湿度を測定し、測定データを無線送信部9に出力する機能を有する。
センサ8は、昇圧部3およびスイッチング部SがONされ、昇圧部3から電力供給を受けると、電源がONされ、温度および湿度の測定を開始する。センサ8は、昇圧部3から電力供給を受けてから、温度および湿度の少なくとも一方を測定可能な状態となるまでの測定待機時間を有している。例えば、本実施形態において、センサ8が温度および湿度の少なくとも一方を測定可能な状態となるまでの測定待機時間は、15msecである。
所定の測定待機時間が経過した後、センサ8は、温度および湿度の少なくとも一方の測定を開始し、取得した測定データを無線送信部9へ送信する。なお、センサ8が温度および湿度の双方を同時に測定可能に構成されている場合には、センサ8は、温度および湿度の双方を同時に測定し、温度および湿度の測定データを無線送信部9へ送信してもよい。
無線送信部9が測定データの無線送信を実行し、タイマー6のタイムカウントをリセットすると、昇圧部3およびスイッチング部SがOFFされ、センサ8への電力供給が停止する。センサ8への電力供給が停止すると、センサ8の電源がOFFされる。
<<無線送信部9>>
無線送信部9は、スイッチング部S後段に、平滑コンデンサC2と並列に接続され、センサ8が測定した温度および湿度に関する測定データを、ホストコンピュータやサーバー等の外部機器に無線送信する機能を有する。
図6に示すように、無線送信部9は、制御部91と、制御部91への電力供給を制御するオンチップレギュレーター92と、無線送信部9の各種機能を実行するためのモジュール93とを備えている。
制御部91は、無線送信部9の動作を制御する機能を有する。制御部91は、少なくとも1つのプロセッサ911と、メモリ912とを備えている。少なくとも1つのプロセッサ911は、メモリ912内に保存されているコンピューター可読命令をフェッチおよび実行する任意のデバイスである。例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコンピューター、マイクロコントローラー、デジタル信号プロセッサ、中央演算ユニット(CPU)、状態マシーン、論理回路等をプロセッサ911として用いることができる。
メモリ912は、制御部91によって読み込まれるコンピューター可読命令を保存するROM等の不揮発性メモリ913と、命令およびデータを一時保存するRAM等の揮発性メモリ914とを含む。揮発性メモリ914は、制御部91に電力が供給されている間、命令およびデータを保存することができる。一方、制御部91への電力供給が停止すると、揮発性メモリ914に一時保存されている命令およびデータは、消去される。
オンチップレギュレーター(内部電源回路)92は、無線送信部9が実行すべき処理の内容に応じて、制御部91への電力供給を制御する機能を有する。オンチップレギュレーター92を用いることにより、無線送信部9の電源電圧の変動を抑制することができる。さらに、制御部91を使用する必要がないときには、制御部91への電力供給を停止することができるため、無線送信部9の電力消費を削減することができる。
無線送信部9は、制御部91へ電力が供給され、制御部91のプロセッサ911がメインクロックを出力するアクティブモードと、制御部91のプロセッサ911がメインクロックの出力を停止するノンアクティブモードとで動作可能である。また、ノンアクティブモードは、制御部91へ電力が供給され、制御部91のプロセッサ911がメインクロックの出力を停止する省電力モードと、制御部91へ電力が供給されず、制御部91のプロセッサ911がメインクロックの出力を停止するパワーダウンモードとを含む。
アクティブモードでは、プロセッサ911がメインクロックを出力しているため、消費電力が比較的大きいが、無線送信部9が有する全ての機能を実行可能である。そのため、アクティブモードをフルファンクションモードともいう。一方、ノンアクティブモードでは、プロセッサ911がメインクロックの出力を停止しているため、消費電力が比較的小さいが、実行可能な機能の数が制限される。
また、ノンアクティブモードの省電力モードでは、オンチップレギュレーター92によって、制御部91に電力が供給されているため、揮発性メモリ914が命令およびデータを保持し続けることが可能である。一方、ノンアクティブモードのパワーオフモードでは、オンチップレギュレーター92によって、制御部91への電力供給が停止されているため、揮発性メモリ914に一時保存されている命令およびデータは消去されるが、消費電力が最も少なくなる。
すなわち、消費電力の大きさ順に上記3つのモードを並べると、アクティブモード>省電力モード>パワーオフモードとなる。例えば、本実施形態におけるアクティブモードでの無線送信部9の1秒当たりの消費電力は14.5mWであり、省電力モードでの無線送信部9の1秒当たりの消費電力は0.4mWであり、パワーダウンモードでの無線送信部9の1秒当たりの消費電力は0.002mWである。本発明の無線送信部9は、無線送信部9が実行すべき処理に応じて、上述の3つのモードを切り替えて動作することによって、無線送信動作(処理S100)に要する電力消費を削減することができる。
モジュール93は、各種機能を実行するためのルーティン、プログラム、オブジェクト等であり、不揮発性メモリ913やデータベース等の記憶部に保存されている。モジュール93は、ノンアクティブモードおよびアクティブモードの双方で実行可能なノンアクティブモードモジュール94と、アクティブモードでのみ実行可能なアクティブモードモジュール95とを含む。
ノンアクティブモードモジュール94は、上述の3つのモードを切り替えるためのモード切替モジュール941と、時間をカウントするためのタイムカウントモジュール942と、を含む。
モード切替モジュール941は、無線送信部9が実行すべき処理に応じて、上述の3つのモードを切り替えるために実行される。したがって、パワーダウンモードで動作しているときでも、無線送信部9は、モード切替モジュール941を実行可能である。モード切替モジュール941がモードを切り替えるためのトリガーイベントとしては、例えば、無線送信部9の初期設定が終了した、タイムカウントモジュール942が所定の時間間隔をカウントした、センサ8の測定が開始された等のイベントが挙げられる。
タイムカウントモジュール942は、時間をカウントするために実行されるモジュールであり、無線送信部9は、電源がONされている間、常時タイムカウントモジュール942を実行している。したがって、パワーダウンモードで動作しているときでも、無線送信部9は、タイムカウントモジュール942を用いて、タイムカウントを実行することができる。
アクティブモードモジュール95は、センサ8とデータ通信を実行するためのインターフェースモジュール951と、センサ8を制御するためのセンサ制御モジュール952と、タイマー6を制御するためのタイマー制御モジュール953と、無線送信を実行するための無線送信モジュール954と、を含む。
インターフェースモジュール951は、センサ8とデータ通信を実行するために実行される。無線送信部9は、インターフェースモジュール951を使用して、センサ8から測定データを受信し、揮発性メモリ914内に記憶する。
センサ制御モジュール952は、センサ8が実行する温度および湿度の測定を制御するために実行される。無線送信部9は、センサ8が所定の測定待機時間を待機し、温度および湿度の少なくとも一方を測定可能な状態に移行した後、センサ制御モジュール952を用いて、センサ8の温度および湿度の測定を開始するための測定開始処理を実行する。
また、本実施形態のようにセンサ8が複数の測定対象(すなわち、温度および湿度)を測定可能な場合、無線送信部9は、センサ制御モジュール952を用いて、センサ8が測定すべき測定対象を指定することができる。なお、センサ8が複数の測定対象を同時に測定可能に構成されている場合、無線送信部9は、複数の測定対象を同時に測定するよう指定してもよい。
また、無線送信部9は、センサ制御モジュール952を用いて、センサ8の指定された測定対象の測定が終了した否かを確認することができる。さらに、無線送信部9は、センサ制御モジュール952を用いて、センサ8が測定すべき測定対象の全てを測定済みか否か確認する。センサ8が測定すべき測定対象の全てを測定していない場合、無線送信部9は、センサ制御モジュール952を用いて、再度、センサ8の測定対象を指定し、測定を続行させる。
タイマー制御モジュール953は、タイマー6の制御を行うために実行される。無線送信部9は、タイマー制御モジュール953を用いて、タイマー6の所定の時間間隔ΔTを設定するための時間間隔設定信号、タイマー6のタイムカウントをリセットするためのタイムカウントリセット信号、およびタイマー6の出力を停止するためのタイマー出力OFF信号をタイマー6に出力することができる。
このように、無線送信部9は、タイマー制御モジュール953を用いて、タイマー6の所定の時間間隔ΔTを設定し、タイマー6のタイムカウントをリセットし、さらに、タイマー6の出力を停止することにより、所望のタイミングでタイマー6の出力をON/OFFすることができる。なお、無線送信部9が設定するタイマー6の所定の時間間隔ΔTは、無線送信部9が無線送信すべき測定データ量、センサ8の性能、発電素子100の発電能力等に応じて適宜設定可能である。時間間隔ΔTの値は不揮発性メモリ913内に予め保存されており、無線送信部9に対する外部入力によって変更可能である。
無線送信モジュール954は、ホストコンピュータやサーバー等の外部機器に、揮発性メモリ914内に保存されているセンサ8が測定した測定データ(すなわち、温度および湿度に関する測定データ)を無線送信するために実行される。
無線送信部9は、一度の無線送信で無線送信するデータの量を調整可能に構成されていてもよい。一般に、一度の無線送信で消費される電力は、送信するデータの量(バイト数)に比例するので、無線送信部9は、一度の無線送信で送信するデータの量を調整することにより、一度の無線送信で消費される電力を調整することができる。一度の無線送信で送信するデータの量は、センサ8が測定すべき測定対象、センサ8の性能、タイマー6の時間間隔ΔT、発電素子100の発電能力等に応じて、適宜調整される。
(処理S100)
次に、図7および図8を参照し、無線送信部9が実行する処理S100(無線送信動作)について説明する。
外部から入力される振動によって発電素子100が発電を開始すると、発電素子100から蓄電部C1に電力が供給され、蓄電される。その後、蓄電部C1の電圧V1が所定の上側しきい値以上となったとき、電力制御部4の電源監視回路5から加算器7に信号が出力される。初期状態において、タイマー6は、加算器7に信号を出力し続けているので、電源監視回路5から加算器7に信号が出力されると、加算器7から昇圧部3およびスイッチング部Sに制御信号が出力される。その結果、昇圧部3およびスイッチング部SがONされ、昇圧部3から平滑コンデンサC2に電力が供給され、昇圧部3の出力が平滑化される。その後、昇圧部3から無線送信部9に電力が供給されると、無線送信部9の電源がONになり、無線送信部9の処理S100が開始される。
無線送信部9は、アクティブモードにて処理S100を開始する。まず、無線送信部9は、ステップS101において、自身の初期設定を実行する。ステップS101において、無線送信部9は、インターフェースモジュール951を用いてセンサ8と通信を行い、センサ8の測定可能対象、測定分解能、前述の測定待機時間等の種々の性能を取得し、測定対象の数、測定の順番、測定待機時間、無線送信すべきデータの量、実行すべき無線送信の回数等のパラメータの初期設定を実行する。なお、ステップS101において設定された各種パラメータは、不揮発性メモリ913内に保存される。そのため、無線送信部9は、アクティブモード(または省電力モード)からパワーダウンモードに移行しても、これらパラメータを保持し続けることができる。
なお、ステップS101において初期設定されるパラメータは、これに限定されず、無線送信装置1が実行する様々な動作に必要な任意のパラメータを初期設定することができる。無線送信部9の初期設定が終了すると、処理S100は、ステップS102に移行する。
ステップS102において、無線送信部9は、モード切替モジュール941を用いて、アクティブモードからパワーダウンモードに移行する。その後、ステップS103において、無線送信部9は、タイムカウントモジュール942を用いて、ステップS101において設定したセンサ8の測定待機時間(例えば、本実施形態にいて、センサ8の測定待機時間は、15msecである)分のタイムカウントが終了するまで、待機する。このように、センサ8が測定可能となるまでの間、無線送信部9をパワーダウンモードで動作させることにより、無線送信部9(特に、制御部91のプロセッサ911)による不必要な電力消費を削減することができる。
無線送信部9がタイムカウントモジュール942を用いて、測定待機時間をカウントした後、処理S100は、ステップS104に移行する。ステップS104において、無線送信部9は、モード切替モジュール941を用いて、パワーダウンモードからアクティブモードへ移行する。
ステップS105において、無線送信部9は、タイマー制御モジュール953を用いて、タイマー6の時間間隔ΔTの設定、およびタイマー6のタイムカウントのリセットを実行する。タイマー6は、ステップS105において、時間間隔ΔTの設定およびタイムカウントのリセットが実行された後も、後のステップにおいて無線送信部9からタイマー出力OFF信号を受信するまで、加算器7へ信号を出力し続ける(論理値Highの出力を出力し続ける)。
ステップS105において、無線送信部9は、不揮発性メモリ913内に予め保存されている時間間隔ΔTの値を読み込み、タイマー6の時間間隔ΔTを設定する。不揮発性メモリ913内には時間間隔ΔTの値が複数保存されていてもよい。また、無線送信部9が処理S100を実行する度に設定する時間間隔ΔTの値は、毎回同じ値であってもよいし、発電素子100の発電量に応じて変更されてもよい。例えば、電源監視回路5によって発電素子100の発電量が減少したことを検出した場合には、比較的長い時間間隔ΔTを設定し、電源監視回路5によって発電素子100の発電量が増加したことを検出した場合には、比較的短い時間間隔ΔTを設定することができる。
ステップS106において、無線送信部9は、センサ制御モジュール952を用いて、センサ8による温度および湿度の測定を開始するための測定開始処理を実行する。無線送信部9によって測定開始処理が実行されると、処理S100は、ステップS107に移行する。ステップS107において、無線送信部9は、センサ制御モジュール952を用いて、センサ8が測定すべき測定対象、すなわち、温度または湿度の一方を指定する。なお、センサ8が温度および湿度を同時に測定可能に構成されている場合、無線送信部9は、センサ制御モジュール952を用いて、温度および湿度を同時に測定するよう指定してもよい。
ステップS107において、温度または湿度の少なくとも一方が指定されると、処理S100は、ステップS108に移行する。ステップS108において、無線送信部9は、モード切替モジュール941を用いて、アクティブモードから省電力モードに移行する。ステップS108において、無線送信部9が省電力モードで動作を開始すると、センサ8は、指定された測定対象、すなわち、温度または湿度の少なくとも一方の測定を開始する。
ステップS108において、無線送信部9が省電力モードに移行し、さらに、センサ8が指定された測定対象の測定を開始すると、処理S100は、ステップS109に移行する。ステップS109において、無線送信部9は、タイムカウントモジュール942を用いて、センサ8の測定が終了するまでの所定の時間待機する。ステップS109において無線送信部9が待機する所定の時間は、特に限定されず、ステップS101においてインターフェースモジュール951を用いて取得したセンサ8の測定分解能等の種々の性能に応じて適宜設定される。例えば、本実施形態において、無線送信部9は、ステップS109において、温度測定のために66msec、湿度測定のために22msec待機する。
このように、センサ8が指定された測定対象の測定を実行している間、無線送信部9は、省電力モードで動作する。上述のように、省電力モードでは、プロセッサ911は、メインクロックの出力を停止しているため、プロセッサ911による不必要な電力消費を削減することができる。一方、省電力モードでは、制御部91(メモリ912)へ電力が供給されているため、センサ8の測定制御および測定データの無線送信に必要なデータまたは命令、例えば、指定した測定対象の種類、測定値(測定データ)、測定回数等を揮発性メモリ914内に保持することができる。これにより、センサ8が指定された測定対象の測定を実行している間、揮発性メモリ914内に必要なデータまたは命令を保持しつつ、プロセッサ911による不必要な電力消費を削減することができる。
ステップS109において、無線送信部9が所定の時間待機した後、処理S100は、ステップS110に移行する。ステップS110において、無線送信部9は、モード切替モジュール941を用いて、省電力モードからアクティブモードへ移行する。その後、処理S100は、ステップS111に移行する。ステップS111において、無線送信部9は、センサ制御モジュール952を用いて、指定された測定対象の測定が終了したかどうかを判別する。ステップS111において、指定された測定対象の測定が終了していないと判別された場合、処理S100は、ステップS112に移行する。
ステップS112において、無線送信部9は、モード切替モジュール941を用いて、アクティブモードから省電力モードへと移行する。その後、処理S100は、ステップS113へと移行する。ステップS113において、無線送信部9は、タイムカウントモジュール942を用いて、所定の時間待機する。ステップS113において無線送信部9が待機する所定の時間は、特に限定されず、ステップS101においてインターフェースモジュール951を用いて取得したセンサ8の測定分解能等の種々の性能に応じて適宜設定される。例えば、本実施形態において、無線送信部9は、ステップS113において、1msec待機する。このように、ステップS111において、指定された測定対象の測定が終了していないと判別された場合に、無線送信部9を省電力モードで動作させることにより、プロセッサ911による不必要な電力消費を削減することができる。
ステップS113において、無線送信部9が所定の時間待機した後、処理S100は、再度、ステップS110に移行する。ステップS110において、無線送信部9は、再度、省電力モードからアクティブモードへ移行し、その後、ステップS111において、指定された測定対象の測定が終了したかどうかを判別する。このように、処理S100は、指定された測定対象の測定が終了するまで、ステップS110〜S113を繰り返す。
一方、ステップS111において、指定された測定対象の測定が終了していると判別された場合、処理S100は、ステップS114に移行する。ステップS114において、無線送信部9は、インターフェースモジュール951を用いて、センサ8と通信を行い、センサ8から測定データを読み込む。取得された測定データは、揮発性メモリ914内に一時保存される。
その後、処理S100は、ステップS115に移行する。ステップS115において、無線送信部9は、センサ制御モジュール952を用いて、センサ8が測定すべき測定対象の全て(本実施形態では、温度および湿度)が測定済みか否かを判別する。ステップS115において、全ての測定対象が測定済みではないと判別された場合(すなわち、温度または湿度の一方が測定されていない場合)、処理S100は、ステップS107に戻る。ステップS107において、無線送信部9は、センサ制御モジュール952を用いて、測定されていない測定対象をセンサ8が測定すべき測定対象として指定する。処理S100は、全ての測定対象の測定が終了するまで、上述のステップS107〜S115を繰り返し実行する。
一方、ステップS115において、センサ8が測定すべき測定対象の全てが測定済みであると判別された場合、処理S100は、ステップS116に移行する。ステップS116において、無線送信部9は、無線送信モジュール954を用いて、揮発性メモリ914内に保存されている温度および湿度の測定データを読み込み、ホストコンピュータやサーバー等の外部機器に無線送信する。なお、無線送信した測定データは、FIFOの形式で揮発性メモリ914内から消去してもよい。これにより、揮発性メモリ914が飽和することを防ぐことができるので、容量の小さな揮発性メモリを、揮発性メモリ914として用いることができる。
その後、処理S100は、ステップS117に移行する。ステップS117において、無線送信部9は、タイマー制御モジュール953を用いて、タイマー6にタイマー出力OFF信号を送信し、タイマー6から加算器7への信号の出力を停止させる(タイマー6の出力が論理値Lowとなる)。ステップS117においてタイマー6が加算器7への出力を停止すると、昇圧部3およびスイッチング部SがOFFされ、無線送信部9への電力供給が停止する。昇圧部3から無線送信部9への電力供給が停止すると、無線送信部9の電源がOFFされ、処理S100は終了する。なお、上記処理S100は、所定の回数の無線送信を実行するまで繰り返し実行される。
次に、図8を参照して、無線送信部9が繰り返し実行する処理S100(無線送信動作)と、昇圧部3およびスイッチング部SのON/OFF制御の関係を説明する。なお、図8には、タイマー6、電源監視回路5、昇圧部3およびスイッチング部Sのタイミングチャートが含まれているが、図の簡略化および説明のため、タイミングチャートの横軸(時間軸)は線形ではない。
発電素子100から無線送信装置1に電力が供給されるタイミングでは、蓄電部C1の電圧V1は、所定の上側しきい値よりも低いので、電源監視回路5から加算器7へ信号は出力されない。すなわち、電源監視回路5の出力は、論理値Lowである。一方、初期状態のタイマー6は、加算器7へ信号を出力し続ける。すなわち、タイマー6の出力は、論理値Highである。したがって、発電素子100から無線送信装置1に電力が供給されるタイミングでは、図示のように、昇圧部3およびスイッチング部Sは、OFF状態を取る。
その後、蓄電部C1の電圧V1が所定の上側しきい値以上となるタイミングP1において、電源監視回路5の出力が論理値Highとなる。以後、電源監視回路5からの出力は、蓄電部C1の電圧V1が所定の下側しきい値未満となるまで、論理値Highを維持する。
タイミングP1において、昇圧部3およびスイッチング部SがONされ、平滑コンデンサC2および無線送信部9に昇圧部3から電力が供給される。その結果、無線送信部9の電源がONされ、第1回目の処理S100が開始される。処理S100が開始されると上述のステップS101〜S104が実行され、無線送信部9はセンサ8が測定可能な状態となるまで待機する。
その後、無線送信部9は、ステップS105が実行されるタイミングP2において、タイマー6の所定の時間間隔ΔTを設定し、さらに、タイマー6のタイムカウントをリセットする。なお、無線送信部9が処理S100を開始するタイミングP1から、タイマー6の所定の時間間隔ΔTを設定し、さらに、タイマー6のタイムカウントをリセットするタイミングP2までに要する時間を「待機時間a」という。
ステップS106〜S115が実行され、センサ8によって無線送信すべき測定データが取得され、無線送信部9による測定データの読み込み、保存が実行される。ステップS116が実行されるタイミングP3において、無線送信部9は、取得した測定データの無線送信を実行する。なお、タイミングP2から、無線送信を実行するタイミングP3までに要する時間を「測定時間b」という。
その後、ステップS117が実行されるタイミングP4において、無線送信部9からタイマー6へタイマー出力OFF信号が送信され、タイマー6の出力が論理値Lowとなる。その結果、昇圧部3およびスイッチング部SがOFFとなり、無線送信部9への電力供給が停止し、無線送信部9の電源がOFFされるので、第1回目の処理S100が終了する。
その後、タイマー6が、タイマー6のタイムカウントがリセットされたタイミングP2から、所定の時間間隔ΔTをカウントすると、タイマー6の出力が論理値Lowから論理値Highへと変化する。そのため、昇圧部3およびスイッチング部Sが再度ONされ、平滑コンデンサC2および無線送信部9に、昇圧部3から電力が供給される。その結果、無線送信部9は、第2回目の処理S100を開始する。以下、所定の回数の無線送信が終了するまで、上述の処理S100が繰り返し実行される。
このように、本発明の無線送信装置1は、タイミングP2においてタイマー6の所定の時間間隔ΔTの設定およびタイマー6のタイムカウントのリセットを実行し、さらに、タイミングP4においてタイマー6から加算器7への出力を停止することによって、昇圧部3およびスイッチング部SのON/OFF制御を、無線送信部9が実行する処理S100(無線送信動作)に同期させることができる。
したがって、無線送信部9が処理S100を実行していない間、平滑コンデンサC2と、後段のコンポーネントとの間の接続を遮断することができ、後段のコンポーネントによる待機電力によって平滑コンデンサC2内の電力が不必要に消費されることを防止することができる。その結果、昇圧部3およびスイッチング部SがONされたときの平滑コンデンサC2への突入電流を減らすことができ、蓄電部C1に蓄電された電力の消費を削減することができる。
また、処理S100では、タイマー6の時間間隔ΔTの設定およびタイマー6のタイムカウントのリセットを実行するためのステップS105は、無線送信を実行するタイミングP3より前、すなわち、無線送信実行前に実行される。この場合、図示のように、無線送信部9の無線送信間隔は、時間間隔ΔT+待機時間a+測定時間b−測定時間b=時間間隔ΔT+待機時間aによって規定されるので、無線送信間隔が測定時間bに無依存となる。
一般に、無線送信部9が実行する処理S100の中で、センサ8が温度および湿度を測定し、無線送信部9がセンサ8から測定データを読み込み、保存するために要する測定時間bが最も変動しやすい。上述のように、本実施形態において、無線送信部9は、無線送信実行前にタイマー6の時間間隔ΔTの設定およびタイマー6のタイムカウントのリセットを実行するので、無線送信間隔を変動しやすい測定時間bに対して無依存とすることができる。その結果、測定時間bの変動により、無線送信部9の無線送信間隔にズレが生じることを防止することができる。
また、平滑コンデンサC2後段のコンポーネントによる電力消費の内、無線送信による電力消費が最も大きい。そのため、タイマー6の時間間隔ΔTの設定およびタイマー6のタイムカウントのリセットを無線送信実行前に実行することにより、タイマー6の時間間隔ΔTの設定およびタイマー6のタイムカウントのリセットを実行する前に、無線送信によって蓄電部C1の電圧V1が低下し、昇圧部3およびスイッチング部SがOFFになってしまうことを確実に防止することができる。
次に、図9を参照して、無線送信動作(処理S100)に同期して、スイッチング部Sを制御することによる、エネルギー効率の向上効果を説明する。
図9は、蓄電部C1に3.0Vの電力を蓄電した後、9回無線送信を実行した場合の蓄電部C1の電圧V1、平滑コンデンサC2の電圧、およびスイッチング部S後段の電圧を示す図である。図9(a)は、上述の無線送信動作と同期したスイッチング部SのON/OFF制御を実行しなかった場合の各電圧を示す図である。図9(b)は、無線送信動作と同期したスイッチング部SのON/OFF制御を実行した場合の各電圧を示す図である。すなわち、図9(a)の例において、スイッチング部Sは常にON状態を取る。一方、図9(b)の例において、スイッチング部Sは、無線送信動作と同期して、ON/OFFされる。
なお、図9の例において、昇圧部3の動作電圧は0.9V〜2.2Vであり、蓄電部C1の電圧V1が上述の範囲内にある場合、出力端子VOUTからは、2.2Vの出力電圧V2が出力される。一方、蓄電部C1の電圧V1が2.2Vより高い場合、出力端子VOUTからは、入力電圧、すなわち蓄電部C1の電圧V1と等しい電圧が出力される。
最初に、図9(a)について説明する。初期状態において3.0Vまで蓄電された蓄電部C1の電圧V1は、無線送信、および、各コンポーネント(抵抗R1、R2、センサ8、無線送信部9)の待機電力によって消費される。これらの電力消費の中でも無線送信による電力消費が最も大きく、図9(a)中において蓄電部C1の電圧V1が不連続に低下している部分が、無線送信による電力消費を示している。一方、蓄電部C1の電圧V1が連続的に低下している部分が、各コンポーネントの待機電力による電力消費を示している。図9(a)中の蓄電部C1の電圧V1は、9回不連続に低下しているので、9回の無線送信が実行されている。図9(a)の例において、9回の無線送信実行後、蓄電部C1の電圧V1は、約2.1Vまで低下している。
第1回目の無線送信前では、昇圧部3がOFFされている。そのため、平滑コンデンサC2の電圧およびスイッチング部S後段の電圧は0Vである。その後、第1回目の無線送信動作に同期して昇圧部3がONされると、平滑コンデンサC2および無線送信部9に昇圧部3から電力が供給される。その結果、平滑コンデンサC2の電圧およびスイッチング部S後段の電圧が上昇する。図9(a)の例では、スイッチング部Sは常にON状態なので、無線送信実行後においても、平滑コンデンサC2と、後段のコンポーネントとの接続が維持されており、平滑コンデンサC2の電圧と、スイッチング部S後段の電圧は、各コンポーネント(抵抗R1、R2、センサ8、無線送信部9)の待機電力によって徐々に低下し、最終的に約0.5Vまで低下する。なお、スイッチング部S後段の電圧は、平滑コンデンサC2の電圧に遅延して低下していく。
次に、図9(b)について説明する。図9(b)の例では、無線送信動作に同期して、スイッチング部SのON/OFF制御が実行されるため、無線送信実行後における平滑コンデンサC2の電圧の低下量が減少していることがわかる。無線送信実行後は、スイッチング部SがOFFされるため、理想的には、平滑コンデンサC2の電圧は低下しないが、図9(b)に示すように、実際には、スイッチング部Sおよび平滑コンデンサC2の漏れ電流により、わずかに低下する。一方、無線送信実行後、スイッチング部SがOFFされ、平滑コンデンサC2と後段のコンポーネントとの接続が遮断されるため、スイッチング部S後段の電圧は、急速に低下する。
このように、図9(b)の例では、第2回目以降の無線送信実行時における平滑コンデンサC2の電圧が高く保たれている。そのため、昇圧部3がONされたときの平滑コンデンサC2への突入電流が減少し、無線送信実行時における蓄電部C1の電圧V1の低下量が減少する。そのため、図示のように、図9(b)中における無線送信実行時の蓄電部C1の電圧V1の低下量は、図9(a)中における無線送信実行時の蓄電部C1の電圧V1の低下量よりも少ない。
さらに、図9(b)の例では、無線送信実行時以外では、平滑コンデンサC2と、後段のコンポーネントとの接続が遮断されている。そのため、図示のように、図9(b)中における後段のコンポーネントの待機電力による蓄電部C1の電圧V1の低下量(電圧V1の傾き)は、図9(a)中における後段のコンポーネントの待機電力による蓄電部C1の電圧V1の低下量よりも少ない。
このように、無線送信動作に同期してスイッチング部SをON/OFF制御することにより、平滑コンデンサC2への突入電流の減少、および、後段のコンポーネントの待機電力による電力消費の減少という効果が得られる。図9(b)の例において、9回の無線送信実行後の蓄電部C1の電圧V1は、約2.3Vであり、図9(a)の例と比較して、電圧低下が低減していることがわかる。すなわち、図9(b)の例のように、無線送信動作に同期してスイッチング部SをON/OFF制御することにより、無線送信装置1のエネルギー効率を向上させることができる。
以上、本発明の無線送信装置および無線送信システムを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することができる。
なお、上述の実施形態では、発電素子100は、交流電流を発電し、電力を無線送信装置1に供給する交流電源であるが、本発明はこれに限られず、発電素子100は、直流電流を発電し、電力を無線送信装置1に供給する直流電源であってもよい。この場合、無線送信装置1から、整流部2を省略することができる。