JP6586673B2 - 塗膜の採取用具および塗膜の採取方法。 - Google Patents
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Description
以上のように、鉛、クロムの顔料を主体とした防食用下塗り塗料と中・上塗り塗料は、すべて廃止されている。
従来の塗膜の採取方法では、有害塗膜が仮設備へ付着する汚れや拡散を防止するための飛散対策工の設置など、大掛かりで安全な仮設備が必要となる。しかも、その仮設備に付着した有害塗膜屑による二次汚染の産業廃棄物の発生量も多いので、そのための処理時間と費用も多大となっている。
1.塗膜の採取作業中に発生する既存の塗膜片やダスト状塗膜の拡散や飛散による周辺環境の汚染を防止するには、仮設備を設けるなどの、有害物質を含有する塗膜片の飛散対策が必要である。
2. 塗膜の採取作業は、天候に左右されやすく、採取した塗膜が風雨の影響によって拡散や流失の恐れもあり、塗膜の採取作業の工程に安定性がない。
3. 仮設備と飛散対策が必要な作業環境では、分析用途の塗膜を採取する塗装面は広範囲となり、採取した塗膜の回収作業時に不純物が混入しやすく、不適品質の分析試料になりやすい。
4.有害物質が含まれる塗膜を採取する場合、作業者は安全保護衣や有害物質に適合した防塵マスクや保護手袋、および保護メガネ等の安全保護具を装着する必要がある。また、狭隘で封鎖作業場内では、換気等の機材を設置するなどの、吸引による健康障害を防止する対策が必要となる。
5.仮設備を設けるなどの、塗膜飛散対策を実施するには、所定の手続きが必要となる。しかも、仮設備の設置や撤去などを含む作業日数が多くなり、飛散対策の範囲も広く、有害物質を含む塗膜の付着や染込みによる二次汚染廃棄物の発生も多くなる。
6. 有害物質が含まれる塗膜を採取して取り扱うには、塗装系履歴に対する知識と、安全保護具や工具などを取扱う知識や実務経験などを有する専門的技能工が必要とされる。
前記開口部(12)の反対側に位置する前記袋状体(11)の他端側に、手袋の代用となるように手の幅程度の2つの分離部(13a,13b)を備え、
前記袋状体(11)において前記開口部(12)の近くに、塗膜掻き落し用工具あるいは塗膜剥離剤を出し入れするための少なくとも一つの開閉部(15)を有し、該開閉部(15)は、袋状体(11)の開口部(12)を塗装面に固定した状態で、該袋状体(11)の上側に位置しており、
該開閉部(15)に、前記袋状体(11)と連通し且つ筒状をなす、筒状開通部(16)を取り付けることによって、該開閉部(15)から該筒状開通部(16)を、袋状体(11)から外側へ突出させて設けるとともに、袋状体(11)の開口部(12)を塗装面に固定した際、該筒状開通部(16)及び該開閉部(15)から、塗膜掻き落し用工具あるいは塗膜剥離剤が、袋状体(11)内部に出し入れ可能であり、
更に、該筒状開通部(16)の内周面側にファスナー(15b)を設け、該ファスナー(15b)は、袋状体(11)の内側と外側とを仕切るとともに、
前記分離部(13a,13b)は、その先端側から折り返すことにより前記袋状体(11)の内部側、且つ塗装面に向かって、左右対称に略平行の状態で突き出るように形成された左右一対の筒状部(14,14)であり、該筒状部(14)は腕を挿入可能な直径を有し、
塗装面における塗膜の剥離作業を行う際に使用する右手用及び左手用の保護手袋(21a,21b)が、該筒状部(14,14)の先端に各々設けられており、
加えて、前記袋状体(11)に開通する塗膜回収部(22)が設けられ、該塗膜回収部(22)は、該袋状体(11)の開口部(12)を塗装面に固定した場合に、下側(作業者が塗装面に正対して作業を行う姿勢を採った際、その身体に対して足元方向)へ延出して形成され、剥離された塗膜を該塗膜回収部(22)に落下させて集めて回収するようにしたことを特徴としている。
また、塗膜の採取用具における袋状体が透明のプラスチックフィルムであるので、塗膜掻き落し作業を目視できる。そのために、よりいっそう安全に塗膜掻き落し作業することができる。さらに、採取する塗膜の量を確認でき、採取する時の塗装面の膜層から塗装系履歴を確認することができる。
また、塗膜回収部は、袋状体の開口部を塗装面に固定した状態で、袋状体の下側に位置するように形成することで、採取した塗膜を塗膜回収部によりいっそう容易に回収することができる。
塗膜剥離剤は、塗膜の採取作業で使用するもので、例えば、塩素系剥離剤、溶剤・エマルジョン系剥離剤、水性系剥離剤、高級アルコール系剥離剤など、多種類の剥離剤がある。袋状体11のプラスチックフィルムは、前述の多種類の塗膜剥離剤のいずれかを用いる場合であっても、溶解しない素材のポリエチレン樹脂及びその類似樹脂で構成することができる。
例えば、開閉部15は、袋状体11に形成した開口と、この開口を塞ぐためのフィルム片(蓋部材)とすることができる。あるいは、図2及び図3(a),(b)に示すように、袋状体11に形成した開口15aの外側に突出する筒状をなす筒状開通部16を形成し、筒状開通部16に開閉部15を設けることができる。なお、筒状開通部16は開口15aを介して袋状体11の内部に開通している。
塗膜の採取方法は、基本的に、開口部取付け工程と、塗膜採取工程と、塗膜回収工程を有している。
その後、図5に示すように、両面接着テープ41aに貼り付けられた開口部12の端縁部12aと、塗装面50に跨るように、片面接着テープ41bを重ねて貼り付けて、開口部12の端縁部12aと塗装面50に隙間が生じないように二重に固定する。
なお、塗膜51を回収する際に、図7に示すように、回収する側の分離部13a(又は13b)の端部に塗膜回収袋30を取り付けてから、前記の端部に集めた塗膜51を塗膜回収袋30へ堆積させることができる。この塗膜回収袋30の端部を外側から接着テープ31で封印し、接着テープ31をほぼ中央から切断して塗膜51を回収する。
したがって、塗膜51の有害成分の有無を調べるために、必要な塗膜量を、安全でかつ不純物を混入することなく採取できる。
また、袋状体11が透明のプラスチックフィルムであるので、袋状体11の外側から作業状況を記録撮影することができる。なお、前記の記録撮影は開閉部15を利用することもできる。例えば、開放した開閉部15から作業状況を記録撮影する。
また、開閉部15は、袋状体11に開通して外側に突出するように形成した筒状をなす筒状開通部16に設けることで、袋状体11の内部を完全な密閉状態に維持する点で効果的である。
また、袋状体11は、開口部12の反対側に位置する他端側に、図8に示すように、手袋の代用となるように手の幅程度の2つの分離部13a,13bを備えている。より詳しくは、各分離部13a,13bは、保護手袋の代用となるように腕を挿入可能な直径を有する筒状部14,14を備えている。第一の実施形態と異なる点は、各筒状部14,14の先端に、プラスチックフィルムからなる保護手袋21a,21bを取り付けていることである。左右の保護手袋21a,21bの一方は左手用であり、他方は右手用である。
図8の塗膜の採取用具20では、開閉部15が、図9に示すように、袋状体11の開口部12を塗装面50に固定した状態で、その袋状体11の上側に位置して形成している。この開閉部15は、図1および図3(a),(b)と同様であり、プラスチックフィルムに単なる開口15aを形成し、この開口15aの外側に突出する筒状をなす筒状開通部16を形成し、筒状開通部16に一つのファスナー15bを設けている。なお、開閉部15におけるファスナー15bについても前述の第一の実施形態と同様である。
開閉部15の一例としては、図9及び図10に示すように、採取した塗膜51を回収するために袋状体11に開通して外側に突出する袋状をなす塗膜回収部22を形成し、かつ塗膜回収部22の突出した端部に開閉部15を設けている。
塗膜回収部22は、袋状体11の開口部12を塗装面50に固定した状態で、開口部12の下方側に位置するように形成することが望ましい。また、開閉部15としては、塗膜回収部22の下部に一つのファスナー15bを設けている。なお、開閉部15におけるファスナー15bについては、図9および図10に示すものに限定されず、前述の第一の実施形態と同様である。
また、塗膜回収部22は、袋状体11の開口部12を塗装面50に固定した状態で、袋状体11の下側に位置するように形成することで、採取した塗膜51を塗膜回収部22によりいっそう容易に回収することができる。
第二の実施形態の塗膜の採取方法は、基本的に、開口部取付け工程と、塗膜採取工程と、塗膜回収工程を有している。
11 袋状体 12 開口部
12a 端縁部 13a,13b 分離部
14 筒状部 15 開閉部
15a 開口 15b ファスナー
16 筒状開通部
20 塗膜の採取用具(第二の実施形態の)
21a,21b 保護手袋 22 塗膜回収部
30 塗膜回収袋 31 接着テープ
40 固定用具 41 接着テープ
41a 両面接着テープ 41b 片面接着テープ
50 塗装面 51 塗膜
Claims (2)
- 透明でかつ塗膜剥離剤に溶解しない、単層あるいは複層のプラスチックフィルムからなる袋状体で構成する塗膜の採取用具であって、
前記袋状体の一端に、塗装面に正対させるための開口部を備え、
前記開口部の反対側に位置する前記袋状体の他端側に、手袋の代用となるように手の幅程度の2つの分離部を備え、
前記袋状体において前記開口部の近くに、塗膜掻き落し用工具あるいは塗膜剥離剤を出し入れするための少なくとも一つの開閉部を有し、該開閉部は、袋状体の開口部を塗装面に固定した状態で、該袋状体の上側に位置しており、
該開閉部に、前記袋状体と連通し且つ筒状をなす、筒状開通部を取り付けることによって、該開閉部から該筒状開通部を、袋状体から外側へ突出させて設けるとともに、袋状体の開口部を塗装面に固定した際、該筒状開通部及び該開閉部から、塗膜掻き落し用工具あるいは塗膜剥離剤が、袋状体内部に出し入れ可能であり、
更に、該筒状開通部の内周面側にファスナーを設け、該ファスナーは、袋状体の内側と外側とを仕切るとともに、
前記分離部は、その先端側から折り返すことにより前記袋状体の内部側、且つ塗装面に向かって、左右対称に略平行の状態で突き出るように形成された左右一対の筒状部であり、該筒状部は腕を挿入可能な直径を有し、
塗装面における塗膜の剥離作業を行う際に使用する右手用及び左手用の保護手袋が、該筒状部の先端に各々設けられており、
加えて、前記袋状体に開通する塗膜回収部が設けられ、該塗膜回収部は、該袋状体の開口部を塗装面に固定した場合に、下側(作業者が塗装面に正対して作業を行う姿勢を採った際、その身体に対して足元方向)へ延出して形成され、剥離された塗膜を該塗膜回収部に落下させて集めて回収するようにしたことを特徴とする塗膜の採取用具。 - 前記筒状開通部におけるファスナーを複数として、前記袋状体から外側方向に対してほぼ垂直方向に並列して設け、該袋状体の密閉状態を確実ならしめたことを特徴とする請求項1に記載の塗膜の採取用具。
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