以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
また本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
(実施の形態)
<磁気冷凍装置>
初めに、本発明の一実施形態である実施の形態の磁気冷凍装置について説明する。図1は、実施の形態の磁気冷凍装置の構成を模式的に示す図である。
図1に示すように、本実施の形態の磁気冷凍装置1は、温熱又は冷熱を発生する本体部2と、本体部2で発生された冷熱を取り出す冷熱取り出し部3と、を備えている。なお、本実施の形態の磁気冷凍装置1は、磁気熱量効果を用いて低温部分から高温部分へ熱を移動させる、磁気ヒートポンプである。
本体部2は、回転駆動部4と、回転子5と、固定子6と、を備えている。回転駆動部4は、例えば回転軸7を備えたモータ8を有する。回転子5は、回転軸7を中心として回転可能に設けられ、且つ、磁場を発生する磁場発生部9を有する。具体的には、例えば磁場発生部9が接続部材10により回転軸7に接続されることにより、磁場発生部9は、回転軸7を中心として回転可能に設けられており、回転駆動部4は、回転軸7を中心として磁場発生部9を回転駆動する。固定子6は、温熱又は冷熱を発生する熱発生部11と、継鉄部としてのヨーク12と、を有する。
熱発生部11は、容器部としてのダクトDUを複数個有する。複数のダクトDUは、回転子5の回転方向、即ち磁場発生部9の回転方向に沿って配列されている。複数のダクトDUの各々には、磁気作業部13が格納されている。磁気作業部13は、磁場発生部9により印加される磁場の強度の変化に伴って温度が変化する磁気作業物質14を含む。複数の磁気作業部13は、磁場発生部9が回転駆動される際に、温熱又は冷熱を発生する。即ち、熱発生部11は、回転駆動部4により磁場発生部9が回転駆動され、回転駆動部4により回転駆動された磁場発生部9により複数の磁気作業部13の各々に印加される磁場の強度の増減が繰り返され、複数の磁気作業部13の温度の増減が繰り返される際に、温熱又は冷熱を発生する。なお、本体部2の詳細な構成については、後述する。
冷熱取り出し部3は、冷却器15と、循環器としてのポンプ16と、排熱交換器17と、ロータリー弁18と、を有する。冷熱取り出し部3は、冷熱取り出し部3と複数のダクトDUの各々との間で熱交換媒体(室温域における典型例は水)を循環させることにより、複数のダクトDUの各々にそれぞれ含まれる複数の磁気作業部13により発生された冷熱を取り出し、冷却器15中で被冷却体19を冷却する。即ち、冷熱取り出し部3は、複数の磁気作業部13により発生された冷熱を取り出す。
冷熱取り出し部3と複数のダクトDUの各々との間で熱交換媒体を循環させるために、複数のダクトDUの各々には、冷却器15側に低温配管PLが接続され、排熱交換器17側に高温配管PHが接続されている。即ち、複数のダクトDUの各々は、低温配管PLを介して低温側の冷却器15に接続され、高温配管PHを介して高温側の排熱交換器17に接続されている。なお、冷却器15と排熱交換器17との間で、複数のダクトDUは、並列に接続されていてもよく、或いは、直列に接続されていてもよい。
図1に示す例では、回転子5の回転方向に沿って順次、4つのダクトDUとして、ダクトDU1、DU2、DU3及びDU4が配置されている。
ダクトDU1の冷却器15側には低温配管PL1が接続され、ダクトDU1の排熱交換器17側には高温配管PH1が接続されている。ダクトDU2の冷却器15側には低温配管PL2が接続され、ダクトDU2の排熱交換器17側には高温配管PH2が接続されている。ダクトDU3の冷却器15側には低温配管PL3が接続され、ダクトDU3の排熱交換器17側には高温配管PH3が接続されている。ダクトDU4の冷却器15側には低温配管PL4が接続され、ダクトDU4の排熱交換器17側には高温配管PH4が接続されている。
図1に示す例では、冷却器15と排熱交換器17との間で、ダクトDU1とダクトDU3とは、直列に接続されている。このとき、ダクトDU1に接続された高温配管PH1と、ダクトDU3に接続された低温配管PL3とは、接続されている。また、ダクトDU1に接続された低温配管PL1は、冷却器15に接続され、ダクトDU3に接続された高温配管PH3は、ロータリー弁18を介して、排熱交換器17に接続されている。
図1に示す例では、冷却器15と排熱交換器17との間で、ダクトDU2とダクトDU4とは、直列に接続されている。このとき、ダクトDU2に接続された高温配管PH2と、ダクトDU4に接続された低温配管PL4とは、接続されている。また、ダクトDU2に接続された低温配管PL2は、冷却器15に接続され、ダクトDU4に接続された高温配管PH4は、ロータリー弁18を介して、排熱交換器17に接続されている。
<本体部>
次に、本実施の形態の磁気冷凍装置の本体部について、比較例の磁気冷凍装置の本体部と比較しながら説明する。図2は、実施の形態の磁気冷凍装置の本体部の構成を模式的に示す図その1である。図3は、比較例の磁気冷凍装置の本体部の構成を模式的に示す図である。
まず、実施の形態の磁気冷凍装置のうち、比較例の磁気冷凍装置と同様の部分について説明する。
前述したように、本体部2は、回転駆動部4と、回転子5と、固定子6と、を備え、回転子5は、磁場発生部9を有し、固定子6は、熱発生部11と、ヨーク12と、を有し、熱発生部11は、ダクトDUを複数個有する。図2及び図3に示す例では、複数のダクトDUは、磁場発生部9の回転方向に沿って配列されている。複数のダクトDUの各々には、磁気作業部13が格納されている。磁気作業部13は、磁気作業物質14を含む。
磁気作業物質14として、例えばガドリニウムなどの室温で強磁性体に相転移する磁性体を用いることができる。
図2及び図3に示す例では、図1に示した例と同様に、回転子5の回転方向に沿って順次、4つのダクトDUとして、ダクトDU1、DU2、DU3及びDU4が配置されている。従って、ダクトDU1、DU2、DU3及びDU4は、ダクトDU1の回転軸7を中心とした回転角を0°としたときに、ダクトDU2、DU3及びDU4の各々の回転軸7を中心とした回転角が、例えば90°、180°及び270°のそれぞれになるように、配置されている。
前述したように、ヨーク12は、回転軸7を中心として熱発生部11よりも外周側に設けられている。また、ヨーク12は、継鉄部とも称され、例えば日本工業規格(Japanese Industrial Standards:JIS)においてSS400と称される鋼材などの、高い比透磁率を有する強磁性体よりなる。これにより、熱発生部11よりも外周側で、磁力線がヨーク12内を通るため、磁場発生部9により発生された磁場が、熱発生部11よりも外周側に大きく広がることを防止又は抑制することができる。そのため、回転軸7を中心として熱発生部11よりも外周側にヨーク12が設けられている場合、回転軸7を中心として熱発生部11よりも外周側にヨーク12が設けられていない場合に比べ、熱発生部11に印加される磁場の強度を大きくすることができる。
次に、実施の形態の磁気冷凍装置のうち、比較例の磁気冷凍装置と異なる部分について、比較例の磁気冷凍装置と比較しながら説明する。
図3に示すように、比較例の磁気冷凍装置では、磁場発生部9は、磁場発生部9の回転方向に沿って順次配置された2つの永久磁石PM101及びPM102を有する。永久磁石PM101及びPM102は、永久磁石PM101の回転軸7を中心とした回転角を例えば0°としたときに、永久磁石PM102の回転軸7を中心とした回転角が例えば180°になるように、配置されている。
なお、図3では、永久磁石PM101及びPM102の各々の磁化の向きを矢印により示している。
永久磁石PM101は、N極と、S極と、を有する。永久磁石PM101のN極は、回転軸7を中心として永久磁石PM101の外周側に配置され、永久磁石PM101のS極は、回転軸7を中心として永久磁石PM101の内周側に配置されている。
永久磁石PM102は、N極と、S極と、を有する。永久磁石PM102のN極は、回転軸7を中心として永久磁石PM102の内周側に配置され、永久磁石PM102のS極は、回転軸7を中心として永久磁石PM102の外周側に配置されている。
更に、比較例の磁気冷凍装置では、磁場発生部9は、ヨークYK101を有する。ヨークYK101は、永久磁石PM101と永久磁石PM102との間に配置されている。図3に示す例では、回転軸7に沿った方向から視たときに、ヨークYK101は、回転軸7を中心とした径方向における両側に延伸し、永久磁石PM101及びPM102は、ヨークYK101の回転軸7を中心とした径方向における両側の端部の各々に、接続されている。
このような比較例の磁気冷凍装置において、磁場発生部9が回転する際に、永久磁石PM101がダクトDU1と対向し、永久磁石PM102がDU3と対向している時を考える。このような時、永久磁石PM101のN極から出た磁力線は、ダクトDU1、ヨーク12及びダクトDU3を通って、永久磁石PM102のS極に入る。また、永久磁石PM102のN極から出た磁力線は、ヨークYK101を通って、永久磁石PM101のS極に入る。そのため、永久磁石PM101、ヨーク12、永久磁石PM102及びヨークYK101よりなる磁気回路が形成され、ダクトDU1に印加される磁場の強度は、時間変化において極大となり、ダクトDU3に印加される磁場の強度は、時間変化において極大となる。また、ダクトDU2に印加される磁場の強度は、時間変化において極小(ほぼ零)となり、ダクトDU4に印加される磁場の強度は、時間変化において極小(ほぼ零)となる。
次に、磁場発生部9が図3に示す状態から90°回転し、永久磁石PM101がダクトDU2と対向し、永久磁石PM102がDU4と対向している時を考える。このような時、ダクトDU2に印加される磁場の強度は、時間変化において極大となり、ダクトDU4に印加される磁場の強度は、時間変化において極大となり、ダクトDU1に印加される磁場の強度は、時間変化において極小(ほぼ零)となり、ダクトDU3に印加される磁場の強度は、時間変化において極小(ほぼ零)となる。
従って、回転駆動部4により回転軸7を中心として磁場発生部9を回転させる際に、ダクトDU1、DU2、DU3及びDU4の各々に印加される磁場の強度の、増加と減少とが、即ち増減が、繰り返される。そして、ダクトDU1、DU2、DU3及びDU4の各々に印加される磁場の増加と減少とが繰り返される際に、磁気作業物質14の、温度の上昇と下降とが、即ち温度の増減が、繰り返され、磁気作業物質14の温度が下降する際に、磁気作業物質14が冷熱を発生することができる。
ところが、比較例では、永久磁石PM101のN極から出た磁力線の一部は永久磁石PM101の側面部を回り込んで永久磁石PM101のS極に入る。そのため、図3に示す回転角度位置において、ダクトDU1に印加される磁場の強度の時間変化における極大値を大きくすることは困難である。
また、比較例では、永久磁石PM102のN極から出た磁力線の一部は永久磁石PM102の側面部を回り込んで永久磁石PM102のS極に入る。そのため、図3に示す回転角度位置において、ダクトDU3に印加される磁場の強度の時間変化における極大値を大きくすることは困難である。
このように、ダクトDUに印加される磁場の強度の時間変化における極大値を大きくすることができない場合には、磁気作業物質14の温度の時間変化における極大値と極小値との差を大きくすることができない。従って、磁気作業物質14が発生する冷熱を大きくすることができず、磁気冷凍装置の冷凍能力を大きくすることができない。
或いは、ダクトDUに印加される磁場の強度の最大値を大きくすることができない場合には、磁気作業物質14の温度の最大値と最小値との差を大きくすることができない。従って、磁気作業物質14が発生する冷熱を大きくすることができず、磁気冷凍装置の冷凍能力を大きくすることができない。
一方、図2に示すように、本実施の形態の磁気冷凍装置では、磁場発生部9に含まれる複数の永久磁石PMは、回転軸7の周りに、磁場発生部9の回転方向に沿ってハルバッハ(Halbach)配列されている。そして、本実施の形態の磁気冷凍装置では、磁場発生部9に含まれる複数の永久磁石PMは、回転軸7を中心として磁場発生部9よりも外周側の磁場の強度が、回転軸7を中心として磁場発生部9よりも内周側の磁場の強度よりも大きくなるように、磁場発生部9の回転方向に沿ってハルバッハ配列されている。
ここで、磁場発生部9よりも外周側の磁場の強度を、例えば、回転軸7に垂直な断面において、磁場発生部9の回転方向における、ある永久磁石PMの外周の中心位置から、回転軸7を中心とした径方向において外周側にある距離LR1だけ離れた位置PS1における磁場の強度であると定義する。このような場合、磁場発生部9よりも内周側の磁場の強度を、回転軸7に垂直な断面において、磁場発生部9の回転方向における、当該永久磁石PMの内周の中心位置から、回転軸7を中心とした径方向において内周側即ち中心側に距離LR2だけ離れた位置PS2における磁場の強度であると定義することができる。なお、距離LR2を距離LR1と等しくすることができる。
また、複数の永久磁石PMが、回転軸7を中心として磁場発生部9よりも外周側の磁場の強度が、回転軸7を中心として磁場発生部9よりも内周側の磁場の強度よりも大きくなるように、ハルバッハ配列されている場合とは、具体的には、例えば次のように配列されている場合が含まれる。
図2に示すように、磁場発生部9は、磁場発生部9の回転方向に沿って順次配置された、永久磁石PM1、永久磁石群GM1、永久磁石PM2及び永久磁石群GM2を有する。
永久磁石群GM1は、磁場発生部9の回転方向に沿って配列された複数の永久磁石PM31を含み、永久磁石群GM2は、磁場発生部9の回転方向に沿って配列された複数の永久磁石PM32を含む。永久磁石PM1、複数の永久磁石PM31、永久磁石PM2、及び、複数の永久磁石PM32は、磁場発生部9の回転方向に沿って円環状に配列されている。即ち、本実施の形態の磁気冷凍装置では、複数の永久磁石PMは、磁場発生部9の回転方向に沿って全周に亘ってハルバッハ配列されている。
なお、図2では、永久磁石PM1、複数の永久磁石PM31、永久磁石PM2、及び、複数の永久磁石PM32の各々の磁化の向きを矢印により示している(図5及び図7〜図10においても同様)。
永久磁石PM1は、回転軸7を中心として磁場発生部9の径方向に沿って永久磁石PM1の外周側に配置されたN極と、回転軸7を中心として磁場発生部9の径方向に沿って永久磁石PM1の内周側に配置されたS極と、を含む。永久磁石PM2は、回転軸7を中心として磁場発生部9の径方向に沿って永久磁石PM2の外周側に配置されたS極と、回転軸7を中心として磁場発生部9の径方向に沿って永久磁石PM2の内周側に配置されたN極と、を含む。
複数の永久磁石PM31の各々は、磁場発生部9の回転方向に沿って永久磁石PM1側に配置されたN極と、磁場発生部9の回転方向に沿って永久磁石PM1側と反対側に配置されたS極と、を含む。複数の永久磁石PM32の各々は、磁場発生部9の回転方向に沿って永久磁石PM1側に配置されたN極と、磁場発生部9の回転方向に沿って永久磁石PM1側と反対側に配置されたS極と、を含む。
なお、本実施の形態では、N極を第1極性を有する第1磁極と定義し、S極を第1極性と反対の第2極性を有する第2磁極と定義する。しかし、本実施の形態において、全てのN極と全てのS極とを入れ替え、S極を第1極性を有する第1磁極と定義し、N極を第1極性と反対の第2極性を有する第2磁極と定義してもよい。
このように複数の永久磁石を配置することにより、永久磁石PM1のN極から出た磁力線は、永久磁石PM1と隣り合う永久磁石PM31のN極、及び、永久磁石PM1と隣り合う永久磁石PM32のN極、のいずれにも入らないため、永久磁石PM1よりも外周側に大きく広がる。しかし、永久磁石PM1のS極に入る磁力線は、永久磁石PM1と隣り合う永久磁石PM31のN極、及び、永久磁石PM1と隣り合う永久磁石PM32のN極のいずれかから出たものであるため、永久磁石PM1よりも内周側にはあまり広がらない。そのため、永久磁石PM1よりも外周側における磁場の強度が、永久磁石PM1よりも内周側における磁場の強度よりも大きい。
また、永久磁石PM2のS極に入る磁力線は、永久磁石PM2と隣り合う永久磁石PM31のS極、及び、永久磁石PM2と隣り合う永久磁石PM32のS極、のいずれからも出たものではないため、永久磁石PM2よりも外周側に大きく広がる。しかし、永久磁石PM2のN極から出た磁力線は、永久磁石PM2と隣り合う永久磁石PM31のS極、及び、永久磁石PM2と隣り合う永久磁石PM32のS極のいずれかに入るため、永久磁石PM2よりも内周側にはあまり広がらない。そのため、永久磁石PM2よりも外周側における磁場の強度が、永久磁石PM2よりも内周側における磁場の強度よりも大きい。
従って、本実施の形態の磁気冷凍装置では、本実施の形態における永久磁石PM1として、例えば比較例における永久磁石PM101(図3参照)の磁化と等しい磁化を有する永久磁石を用いた場合でも、比較例の磁気冷凍装置に比べ、ダクトDUに印加される磁場の強度の時間変化における極大値を大きくすることができる。また、本実施の形態における永久磁石PM2として、例えば比較例における永久磁石PM102(図3参照)の磁化と等しい磁化を有する永久磁石を用いた場合も、同様である。
即ち、本実施の形態の磁気冷凍装置は、複数の永久磁石PMを有し、回転軸7を中心として回転可能に設けられた磁場発生部9と、複数のダクトDUを含み、回転軸7を中心として磁場発生部9よりも外周側に設けられた熱発生部11と、回転軸7を中心として熱発生部11よりも外周側に設けられたヨーク12と、を備えている。そして、磁場発生部9に含まれる複数の永久磁石は、回転軸7を中心として磁場発生部9よりも外周側の磁場の強度が、回転軸7を中心として磁場発生部9よりも内周側の磁場の強度よりも大きくなるように、回転軸7の周りに、磁場発生部9の回転方向に沿ってハルバッハ配列されている。
このような本実施の形態の磁気冷凍装置によれば、磁気作業物質14に印加される磁場の強度の時間変化における極大値を大きくすることができ、磁気作業物質14の温度の時間変化における極大値と極小値との差を大きくすることができる。そのため、磁気作業物質14が発生する冷熱を大きくすることができ、磁気冷凍装置の冷凍能力を大きくすることができる。これにより、冷凍能力の高いヒートポンプとしての磁気冷凍装置が得られるので、フロンガスを熱交換媒体として用いる蒸気圧縮方式のヒートポンプとしての冷凍装置を置き換えることができ、地球温暖化の原因となるフロンガスの使用量を削減することができる。
或いは、このような本実施の形態の磁気冷凍装置によれば、磁気作業物質14に印加される磁場の強度の最大値を大きくすることができ、磁気作業物質14の温度の最大値と最小値との差を大きくすることができる。そのため、磁気作業物質14が発生する冷熱を大きくすることができ、磁気冷凍装置の冷凍能力を大きくすることができる。
なお、回転軸7を中心として回転可能に設けられた磁場発生部9が、熱発生部11よりも中心側即ち内周側に配置されることにより、磁場発生部9が回転する際の、接続部材10と、例えば高温配管PH(図1参照)又は低温配管PL(図1参照)との干渉を考慮する必要がないので、磁気冷凍装置を容易に設計することができる。
また、本実施の形態における永久磁石PM1、永久磁石PM2、複数の永久磁石PM31、及び、複数の永久磁石PM32の各々として、例えばネオジウム鉄ホウ素(NdFeB)などの強磁性合金よりなる永久磁石を用いることができる。
また、図2に示す例では、回転軸7を中心として磁場発生部9の外周側の磁場の強度が、磁場発生部9の回転方向に沿って極大になる永久磁石PMの数、即ち、外周側に配置された磁極を有する永久磁石PMの数は、2(永久磁石PM1及びPM2)である。しかし、外周側に配置された磁極を有する永久磁石PMの数は2に限定されず、任意の偶数にすることができる。また、図2に示す例では、ダクトDUの数は4であるが、ダクトDUの数は4に限定されず、複数のダクトDUの各々に磁場の印加と除去を交互に行うためには、ダクトDUの数を、外周側に配置された磁極を有する永久磁石PMの数の倍数にすることができる。なお、外周側に配置された磁極を有する永久磁石PMとは、回転軸7を中心とした径方向に沿った磁化を有する永久磁石PMを意味する。
図2に示す例では、永久磁石PM1、5つの永久磁石PM31、永久磁石PM2、及び、5つの永久磁石PM32が、磁場発生部9の回転方向に沿って円環状に配列されている。一方、図2に示す例では、4つのダクトDUが、磁場発生部9の回転方向に沿って互いに間隔を空けて配列されている。
具体的には、永久磁石PM1、5つの永久磁石PM31、永久磁石PM2、及び、5つの永久磁石PM32よりなる12の永久磁石PMは、磁場発生部9の回転方向に沿って互いに隣り合う永久磁石PMの間の、回転軸7を中心とした中心角が、例えば30°になるように、配置されている。また、4つのダクトDUは、磁場発生部9の回転方向に沿って互いに隣り合うダクトDUの間の、回転軸7を中心とした中心角が、例えば90°になるように、配置されている。
本実施の形態では、好適には、ヨーク12は、回転軸7を中心とした円環形状を有する環状部12aを含む。磁場発生部9に含まれる複数の永久磁石PMが、回転軸7の周りに円環状に配列されている場合を考える。このような場合には、ヨーク12が環状部12aを含むことによって、回転駆動される磁場発生部9により各ダクトDUに印加される磁場の強度の時間変化における極大値を、互いに等しくすることができ、回転駆動される磁場発生部9により各ダクトDUに印加される磁場の強度の時間変化における極小値(ほぼ零値)を、互いに等しくすることができる。
ヨーク12として、例えばJISにおいてSS400と称される鋼材などを用いることができる。
好適には、ヨーク12は、環状部12aの内周面から内周側即ち中心側にそれぞれ突出し、且つ、複数のダクトDUの各々とそれぞれ対向した複数の突出部12bを含む。一方、磁場発生部9の回転方向に沿って、複数のダクトDUの各々とそれぞれ対向しない複数の位置の各々では、環状部12aの内周面から内周側にそれぞれ突出した複数の突出部は設けられていない。
磁場発生部9の回転方向に沿って、例えば永久磁石PM1の径方向で外周側に突出部12bが設けられている場合、永久磁石PM1のN極から出た磁力線が突出部12bに入るため、磁場発生部9の回転方向に広がりにくい。そのため、磁場発生部9の回転方向に沿って、例えば永久磁石PM2の径方向で外周側に突出部12bが設けられている場合、例えば永久磁石PM2の径方向で外周側に突出部が設けられていない場合に比べ、ダクトDUに印加される磁場の強度が大きくなる。
<磁気冷凍装置の冷熱発生動作>
次に、図2及び図4乃至図6を参照し、磁気冷凍装置の冷熱発生動作について説明する。図4は、実施の形態の磁気冷凍装置のロータリー弁の動作を模式的に示す図その1である。図5は、実施の形態の磁気冷凍装置の本体部の構成を模式的に示す図その2である。図6は、実施の形態の磁気冷凍装置のロータリー弁の動作を模式的に示す図その2である。
図4は、磁場発生部9を有する回転子5の回転角度位置が、図2に示す回転角度位置であるときの、ロータリー弁18の動作を模式的に示す。図5に示す回転角度位置は、図2に示す回転角度位置から90°回転したときの回転角度位置である。図6は、磁場発生部9を有する回転子5の回転角度位置が、図5に示す回転角度位置であるときの、ロータリー弁18の動作を模式的に示す。
図2及び図4に示す回転角度位置では、ダクトDU1及びDU3に印加される磁場の強度が、時間変化において極大となり、ダクトDU1及びDU3の各々に格納された磁気作業部13に含まれる磁気作業物質14の温度が、時間変化において極大となる。一方、ダクトDU2及びDU4に印加される磁場の強度は、時間変化において極小(ほぼ零)となり、ダクトDU2及びDU4の各々に格納された磁気作業部13に含まれる磁気作業物質14の温度は、時間変化において極小となる。
また、ロータリー弁18は、ダクトDU1及びDU3に接続された高温配管PH1及びPH3が、排熱交換器17に接続され、ダクトDU2及びDU4に接続された高温配管PH2及びPH4が、ポンプ16に接続されるように、切り替えられている。
このような場合、排熱交換器17で熱交換された熱交換媒体としての水は、ポンプ16により、ロータリー弁18を介して高温配管PH2及びPH4を通ってダクトDU2及びDU4に送られ、ダクトDU2及びDU4で温度が下降した磁気作業部13により冷却される。そして、ダクトDU2及びDU4で冷却された水は、低温配管PL2及びPL4を通って冷却器15に送られ、冷却器15中で被冷却体19を冷却する。冷却器15中で被冷却体19を冷却した水は、低温配管PL1及びPL3を通ってダクトDU1及びDU3に送られ、ダクトDU1及びDU3で温度が上昇した磁気作業部13により加熱される。そして、ダクトDU1及びDU3で加熱された水は、高温配管PH1及びPH3を通ってロータリー弁18を介して排熱交換器17に送られ、排熱交換器17中で熱交換される。
一方、図5及び図6に示す回転角度位置では、ダクトDU2及びDU4に印加される磁場の強度が、時間変化において極大となり、ダクトDU2及びDU4の各々に格納された磁気作業部13に含まれる磁気作業物質14の温度が、時間変化において極大となる。一方、ダクトDU1及びDU3に印加される磁場の強度は、時間変化において極小(ほぼ零)となり、ダクトDU1及びDU3の各々に格納された磁気作業部13に含まれる磁気作業物質14の温度は、時間変化において極小となる。
また、ロータリー弁18は、ダクトDU2及びDU4に接続された高温配管PH2及びPH4が、排熱交換器17に接続され、ダクトDU1及びDU3に接続された高温配管PH1及びPH3が、ポンプ16に接続されるように、切り替えられている。
このような場合、排熱交換器17で熱交換された熱交換媒体としての水は、ポンプ16により、ロータリー弁18を介して高温配管PH1及びPH3を通ってダクトDU1及びDU3に送られ、ダクトDU1及びDU3で温度が下降した磁気作業部13により冷却される。そして、ダクトDU1及びDU3で冷却された水は、低温配管PL1及びPL3を通って冷却器15に送られ、冷却器15中で被冷却体19を冷却する。冷却器15中で被冷却体19を冷却した水は、低温配管PL2及びPL4を通ってダクトDU2及びDU4に送られ、ダクトDU2及びDU4で温度が上昇した磁気作業部13により加熱される。そして、ダクトDU2及びDU4で加熱された水は、高温配管PH2及びPH4を通ってロータリー弁18を介して排熱交換器17に送られ、排熱交換器17中で熱交換される。
このように、磁場発生部9を回転させるとともに、磁場発生部9の回転と同期してロータリー弁18を切り替えることにより、冷却器15中で被冷却体19を連続して冷却することができる。
図2に示す例では、磁場発生部9の回転方向に沿った永久磁石群GM1の長さLG1、即ち周長は、磁場発生部9の回転方向に沿った永久磁石PM1の長さLM1、即ち周長よりも長く、且つ、磁場発生部9の回転方向に沿った永久磁石PM2の長さLM2、即ち周長よりも長い。即ち、磁場発生部9の回転方向に沿った複数の永久磁石PM31の各々の長さLM31の総和は、磁場発生部9の回転方向に沿った永久磁石PM1の長さLM1よりも長く、且つ、磁場発生部9の回転方向に沿った永久磁石PM2の長さLM2よりも長い。
また、磁場発生部9の回転方向に沿った永久磁石群GM2の長さLG2、即ち周長は、磁場発生部9の回転方向に沿った永久磁石PM1の長さLM1、即ち周長よりも長く、且つ、磁場発生部9の回転方向に沿った永久磁石PM2の長さLM2、即ち周長よりも長い。即ち、磁場発生部9の回転方向に沿った複数の永久磁石PM32の各々の長さLM32の総和は、磁場発生部9の回転方向に沿った永久磁石PM1の長さLM1よりも長く、且つ、磁場発生部9の回転方向に沿った永久磁石PM2の長さLM2よりも長い。
これにより、磁場発生部9の回転方向に沿った永久磁石PM1と永久磁石PM2との間隔を、磁場発生部9の回転方向に沿った永久磁石PM1及びPM2の各々の長さよりも長くすることができるので、複数のダクトDUの各々の温度が下降した時間帯と、複数のダクトDUの各々の温度が上昇した時間帯を切り離すことができる。そのため、複数のダクトDUの各々の温度が下降又は上昇する際に、各ダクトDUの温度が安定し、熱交換媒体としての水を、各ダクトDUで温度が下降又は上昇した磁気作業部13により確実に冷却又は加熱することができる。
なお、上記特許文献1の図18には、環状にハルバッハ配列された永久磁石を含む永久磁石群が設けられ、当該永久磁石群の中心に強力な磁場が形成される磁気冷凍装置が記載されている。このとき、磁気作業体が、駆動部により当該永久磁石群の中心で昇降され、磁気作業体の温度の増減が繰り返される際に、磁気作業体が温熱又は冷熱を発生する。
しかし、上記特許文献1の図18に記載された磁気冷凍装置では、永久磁石群に含まれる複数の永久磁石は、永久磁石群の内周側における磁場の強度が、永久磁石群の外周側における磁場の強度よりも大きくなるように、ハルバッハ配列されている。そのため、上記特許文献1の図18に記載された磁気冷凍装置では、永久磁石群の中心で1つの磁気作業体が昇降され、その1つの磁気作業体の温度が増減を繰り返すことになるが、これでは冷熱を断続的に発生することになり、冷熱を連続的に発生することができない。従って、上記特許文献1の図18に記載された磁気冷凍装置では、冷凍能力を時間的に連続して大きくすることができない。
また、上記特許文献1の図19には、環状にハルバッハ配列された永久磁石を含む永久磁石群が、互いに同心に2つ設けられ、2つの永久磁石群のいずれか一方を回動機構により回動させることにより、2つの永久磁石群の中心に形成される磁場の増減を繰り返す磁気冷凍装置が記載されている。このとき、磁気作業体が当該永久磁石群の中心に配置され、磁気作業体の温度が増減を繰り返す際に、磁気作業体が温熱又は冷熱を発生する。
しかし、上記特許文献1の図19に記載された磁気冷凍装置では、2つの永久磁石群に含まれる複数の永久磁石は、2つの永久磁石群の各々の内周側における磁場の強度が、当該永久磁石群の外周側における磁場の強度よりも大きくなるように、ハルバッハ配列されている。そのため、上記特許文献1の図19に記載された磁気冷凍装置では、互いに同心に設けられた2つの永久磁石群の中心に1つの磁気作業体が配置され、その1つの磁気作業体の温度の増減が繰り返されることになるが、これでは冷熱を断続的に発生することになり、冷熱を連続的に発生することができない。従って、上記特許文献1の図19に記載された磁気冷凍装置では、磁気冷凍装置の冷凍能力を時間的に連続して大きくすることができない。
一方、本実施の形態の磁気冷凍装置においては、磁場発生部9に含まれる複数の永久磁石PMは、回転軸7を中心として磁場発生部9よりも外周側の磁場の強度が、回転軸7を中心として磁場発生部9よりも内周側の磁場の強度よりも大きくなるように、回転軸7の周りに、磁場発生部9の回転方向に沿ってハルバッハ配列されている。
このような本実施の形態の磁気冷凍装置においては、熱発生部11に含まれる複数のダクトDUは、回転軸7を中心として磁場発生部9よりも外周側に設けられている。このとき、磁場発生部9が回転駆動され、複数の磁気作業部13の各々に印加される磁場の強度の増減が繰り返され、複数のダクトDUの各々にそれぞれ格納された複数の磁気作業部13の温度の増減が繰り返される際に、複数の磁気作業部13の各々が互いに異なるタイミングで冷熱を発生することができる。従って、本実施の形態の磁気冷凍装置では、上記特許文献1に記載された磁気冷凍装置に比べて、磁気冷凍装置の冷凍能力を時間的に連続して大きくすることができる。
なお、上記特許文献1の図15には、磁場発生手段が、回転可能な円板状又は放射状部材の周端部に複数設けられ、磁気作業体が、磁場発生手段に対向する固定側に複数配設され、磁場発生手段が、磁場発生手段の回転に伴って磁気作業物質に印加される磁場を増減させる磁気冷凍装置が記載されている。
しかし、上記特許文献1の図15に記載された、磁場発生手段に対向する固定側に複数配設された磁気作業体に、上記特許文献1の図18又は図19に記載された、環状にハルバッハ配列された複数の永久磁石を含む永久磁石群を組み合わせても、磁気冷凍装置の冷凍能力を大きくすることができない。なぜなら、上記特許文献1の図18又は図19に記載された、環状にハルバッハ配列された複数の永久磁石は、永久磁石群の内周側における磁場の強度が、永久磁石群の外周側における磁場の強度よりも大きくなるように、ハルバッハ配列されているため、上記特許文献1の図15に記載された磁気作業体に印加される磁場の強度を大きくすることができないからである。
また、上記特許文献2には、回転子が、円環状ハルバッハ配列の永久磁石磁気回路を対にして間隔を設定した永久磁石組立体を有する磁気冷凍装置が記載されている。
しかし、上記特許文献1の図15に記載された、磁場発生手段に対向する固定側に複数配設された磁気作業体に、特許文献2に記載された、円環状ハルバッハ配列の永久磁石磁気回路を組み合わせても、磁気冷凍装置の冷凍能力を大きくすることができない。なぜなら、特許文献2に記載された永久磁石磁気回路に含まれる複数の永久磁石は、一方の永久磁石磁気回路の、他方の永久磁石磁気回路との対向面側における磁場の強度が、当該対向面側と反対側における磁場の強度よりも大きくなるように、ハルバッハ配列されているため、上記特許文献1の図15に記載された磁気作業体に印加される磁場の強度を大きくすることができないからである。
また、上記特許文献2に記載された磁気冷凍装置を大型化して冷凍能力を大きくする場合には、永久磁石磁気回路同士の間隔を広げると当該間隔における磁場が弱くなってしまうので、回転軸に沿った方向には大型化できず、径方向に大型化する必要があるが、径方向に大型化する場合、例えば機械的強度を大きくするなど、再び強度設計を行う必要がある。そのため、上記特許文献2に記載された磁気冷凍装置を大型化することは困難である。
一方、本実施の形態の磁気冷凍装置を大型化する場合、単純に回転軸7を延長し、磁場発生部9、熱発生部11及びヨーク12を、単純に回転軸7に沿った方向に延長すればよい。そのため、本実施の形態の磁気冷凍装置を容易に大型化することができる。
なお、本実施の形態において、磁場発生部9に含まれる複数の永久磁石PMがハルバッハ配列されることにより、磁気作業物質14が発生する冷熱を大きくする、という技術思想については、被冷却体19を冷却する冷却用の磁気ヒートポンプだけでなく、被加熱体を加熱する加熱用の磁気ヒートポンプにも適用可能である。このような磁気ヒートポンプにおいては、被冷却体19を冷却する冷却用の磁気ヒートポンプと逆にロータリー弁18を切り替えることにより、被冷却体19を冷却する冷却用の磁気ヒートポンプと逆に熱交換媒体としての水が送られ、冷却器15改め加熱器中で被冷却体19改め被加熱体を連続して加熱することができる。
<実施の形態の第1変形例>
次に、本実施の形態の磁気冷凍装置の第1変形例について説明する。図7は、実施の形態の磁気冷凍装置の第1変形例の本体部の構成を模式的に示す図である。
本第1変形例の磁気冷凍装置のうち、本体部2以外の部分は、実施の形態の磁気冷凍装置の各部分と同様にすることができ、それらの説明を省略する。
また、本第1変形例の磁気冷凍装置の本体部2のうち、磁場発生部9以外の部分は、実施の形態の磁気冷凍装置の本体部2の各部分と同様にすることができ、それらの説明を省略する。
図7に示すように、本第1変形例の磁気冷凍装置でも、実施の形態の磁気冷凍装置と同様に、磁場発生部9に含まれる複数の永久磁石PMは、回転軸7の周りに、磁場発生部9の回転方向に沿ってハルバッハ配列されている。そして、本第1変形例の磁気冷凍装置でも、実施の形態の磁気冷凍装置と同様に、磁場発生部9に含まれる複数の永久磁石PMは、回転軸7を中心として磁場発生部9よりも外周側の磁場の強度が、回転軸7を中心として磁場発生部9よりも内周側の磁場の強度よりも大きくなるように、ハルバッハ配列されている。
一方、具体的な配列としては、図7に示すように、本第1変形例の磁気冷凍装置では、実施の形態の磁気冷凍装置と異なり、磁場発生部9は、磁場発生部9の回転方向に沿って順次配置された、永久磁石群GM3、継鉄部としてのヨークYK21、永久磁石群GM4及び継鉄部としてのヨークYK22を有する。
即ち、本第1変形例の磁気冷凍装置では、実施の形態の磁気冷凍装置で、磁場発生部9の回転方向に沿って全周に亘ってハルバッハ配列された複数の永久磁石のうち一部の永久磁石を、ヨークYK21及びYK22に置き換えている。
永久磁石群GM3は、磁場発生部9の回転方向に沿って配列された複数の永久磁石PM4を含む。永久磁石群GM4は、磁場発生部9の回転方向に沿って配列された複数の永久磁石PM5を含む。複数の永久磁石PM4と複数の永久磁石PM5との間にヨークYK21又はヨークYK22が配置されることにより、磁場発生部9に含まれる永久磁石PMの数を削減することができる。
好適には、永久磁石群GM3は、複数の永久磁石PM4として、永久磁石PM41、PM42及びPM43を含む。永久磁石PM41は、永久磁石群GM3のヨークYK21側の端部に配置され、永久磁石PM42は、永久磁石PM41よりもヨークYK21側と反対側に配置されている。また、永久磁石PM43は、永久磁石群GM3のヨークYK21側と反対側、即ちヨークYK22側の端部に配置されている。
好適には、永久磁石群GM4は、複数の永久磁石PM5として、永久磁石PM51、PM52及びPM53を含む。永久磁石PM51は、永久磁石群GM4のヨークYK21側の端部に配置され、永久磁石PM52は、永久磁石PM51よりもヨークYK21側と反対側に配置されている。また、永久磁石PM53は、永久磁石群GM4のヨークYK21側と反対側、即ちヨークYK22側の端部に配置されている。
永久磁石PM42は、回転軸7を中心として磁場発生部9の径方向に沿って永久磁石PM42の外周側に配置されたN極と、回転軸7を中心として磁場発生部9の径方向に沿って永久磁石PM42の内周側に配置されたS極と、を含む。永久磁石PM41は、磁場発生部9の回転方向に沿って永久磁石PM42側に配置されたN極と、磁場発生部9の回転方向に沿って永久磁石PM42側と反対側に配置されたS極と、を含む。永久磁石PM43は、磁場発生部9の回転方向に沿って永久磁石PM42側に配置されたN極と、磁場発生部9の回転方向に沿って永久磁石PM42側と反対側に配置されたS極と、を含む。
永久磁石PM52は、回転軸7を中心として磁場発生部9の径方向に沿って永久磁石PM52の外周側に配置されたS極と、回転軸7を中心として磁場発生部9の径方向に沿って永久磁石PM52の内周側に配置されたN極と、を含む。永久磁石PM51は、磁場発生部9の回転方向に沿って永久磁石PM52側と反対側に配置されたN極と、磁場発生部9の回転方向に沿って永久磁石PM52側に配置されたS極と、を含む。永久磁石PM53は、磁場発生部9の回転方向に沿って永久磁石PM52側に配置されたS極と、磁場発生部9の回転方向に沿って永久磁石PM52側と反対側に配置されたN極と、を含む。
なお、本第1変形例でも、実施の形態と同様に、N極を第1極性を有する第1磁極と定義し、S極を第1極性と反対の第2極性を有する第2磁極と定義する。しかし、本第1変形例において、全てのN極と全てのS極とを入れ替え、S極を第1極性を有する第1磁極と定義し、N極を第1極性と反対の第2極性を有する第2磁極と定義してもよい。
このように複数の永久磁石を配置することにより、永久磁石PM42のN極から出た磁力線は、永久磁石PM42と隣り合う永久磁石PM41のN極、及び、永久磁石PM42と隣り合う永久磁石PM43のN極、のいずれにも入らないため、永久磁石PM42よりも外周側に大きく広がる。しかし、永久磁石PM42のS極に入る磁力線は、永久磁石PM42と隣り合う永久磁石PM41のN極、及び、永久磁石PM42と隣り合う永久磁石PM43のN極のいずれかから出たものであるため、永久磁石PM42よりも内周側にはあまり広がらない。そのため、永久磁石PM42よりも外周側における磁場の強度が、永久磁石PM42よりも内周側における磁場の強度よりも大きい。
また、永久磁石PM52のS極に入る磁力線は、永久磁石PM52と隣り合う永久磁石PM51のS極、及び、永久磁石PM52と隣り合う永久磁石PM53のS極、のいずれからも出たものではないため、永久磁石PM52よりも外周側に大きく広がる。しかし、永久磁石PM52のN極から出た磁力線は、永久磁石PM52と隣り合う永久磁石PM51のS極、及び、永久磁石PM52と隣り合う永久磁石PM53のS極のいずれかに入るため、永久磁石PM52よりも内周側にはあまり広がらない。そのため、永久磁石PM52よりも外周側における磁場の強度が、永久磁石PM52よりも内周側における磁場の強度よりも大きい。
そのため、本第1変形例の磁気冷凍装置では、本第1変形例における永久磁石PM42として、例えば比較例における永久磁石PM101(図3参照)の磁化と等しい磁化を有する永久磁石を用いた場合でも、実施の形態の磁気冷凍装置と同様に、比較例の磁気冷凍装置に比べ、ダクトDUに印加される磁場の強度の時間変化における極大値を大きくすることができる。また、本第1変形例における永久磁石PM52として、例えば比較例における永久磁石PM102(図3参照)の磁化と等しい磁化を有する永久磁石を用いた場合も、同様である。
それに加えて、本第1変形例の磁気冷凍装置では、実施の形態の磁気冷凍装置で、磁場発生部9の回転方向に沿って全周に亘ってハルバッハ配列された複数の永久磁石のうち一部の永久磁石を、ヨークYK21及びYK22に置き換えている。そのため、永久磁石群GM3及びGM4によりヨークYK21及びYK22に印加される磁場が、ヨークYK21及びYK22が飽和する磁場以下であれば、実施の形態の磁気冷凍装置に比べ、磁場発生部9に含まれる永久磁石の数を削減することができるので、磁気冷凍装置の製造コストを低減することができる。
なお、ヨークYK21及びYK22として、実施の形態と同様に、例えばJISにおいてSS400と称される鋼材を用いることができる。
<実施の形態の第2変形例>
次に、本実施の形態の磁気冷凍装置の第2変形例について説明する。図8は、実施の形態の磁気冷凍装置の第2変形例の本体部の構成を模式的に示す図である。図9は、実施の形態の磁気冷凍装置の第2変形例の他の例の本体部の構成を模式的に示す図である。図10は、実施の形態の磁気冷凍装置の第2変形例の更に他の例の本体部の構成を模式的に示す図である。
本第2変形例の磁気冷凍装置のうち、本体部2以外の部分は、実施の形態の磁気冷凍装置の各部分と同様にすることができ、それらの説明を省略する。
また、本第2変形例の磁気冷凍装置の本体部2のうち、磁場発生部9は、実施の形態の磁気冷凍装置の磁場発生部9と同様にすることができ、それらの説明を省略する。
図8に示すように、本第2変形例では、実施の形態と異なり、複数のダクトDUは、回転軸7の周りに円環状に配列されている。これにより、磁場発生部9の回転方向に沿って配列されているダクトDUの数を増加させることができ、複数のダクトDUの各々に格納された磁気作業部13に含まれる磁気作業物質14の量の総和を増加させることができる。そのため、本第2変形例の磁気冷凍装置では、実施の形態の磁気冷凍装置に比べ、磁気冷凍装置の冷凍能力を更に大きくすることができる。
図8に示す例では、図2に示した例と同様に、永久磁石PM1、5つの永久磁石PM31、永久磁石PM2、及び、5つの永久磁石PM32が、磁場発生部9の回転方向に沿って円環状に配列されている。一方、図8に示す例では、図2に示した例とは異なり、12のダクトDUが、磁場発生部9の回転方向に沿って円環状に配列されている。
具体的には、永久磁石PM1、5つの永久磁石PM31、永久磁石PM2、及び、5つの永久磁石PM32よりなる12の永久磁石PMは、磁場発生部9の回転方向に沿って互いに隣り合う永久磁石PMの間の、回転軸7を中心とした中心角が、例えば30°になるように、配置されている。また、12のダクトDUは、磁場発生部9の回転方向に沿って互いに隣り合うダクトDUの間の、回転軸7を中心とした中心角が、例えば30°になるように、配置されている。
前述したように、ダクトDUの数は4に限定されず、ダクトDUの数を、外周側に配置された磁極を有する永久磁石PMの数の倍数にすることができる。図8に示す例では、外周側に配置された磁極を有する永久磁石PMの数を2にし、ダクトDUの数を2の倍数である12にしている。
本第2変形例では、ヨーク12は、環状部12aを含むものの、環状部12aの内周面から内周側即ち中心側にそれぞれ突出し、且つ、複数のダクトDUの各々とそれぞれ対向した複数の突出部を含まない。そのため、ヨーク12自身が、回転軸7を中心とした円環形状を有する。
なお、本第2変形例の他の例を図9に示すように、本第2変形例では、実施の形態の第1変形例と同様に、磁場発生部9の回転方向に沿って全周に亘ってハルバッハ配列された複数の永久磁石のうち一部の永久磁石を、ヨークYK21及びYK22に置き換えてもよい。
また、前述したように、外周側に配置された磁極を有する永久磁石PMの数は2に限定されず、任意の偶数にすることができ、ダクトDUの数は4に限定されず、外周側に配置された磁極を有する永久磁石PMの数の倍数にすることができる。本第2変形例の更に他の例を図10に示すように、外周側に配置された磁極を有する永久磁石PMの数を4にし、ダクトDUの数を4の倍数である12にしてもよい。外周側に配置された磁極を有する永久磁石PMの数を4にした場合、外周側に配置された磁極を有する永久磁石PMの数を2にした場合に比べて、磁場発生部9が一回転する間に磁気作業物質14の温度が増減を繰り返す回数を、2回から4回に増加させることができる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
例えば、前述の各実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。