JP6583359B2 - ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物 - Google Patents

ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物 Download PDF

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Description

本発明は、非水系電解質二次電池の正極活物質の前駆体となるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物及びその製造方法に関し、特に、リチウムイオン二次電池の正極活物質の前駆体となるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物に関する。
従来、携帯電話やノート型パーソナルコンピュータなどの携帯機器の普及に伴い、高いエネルギー密度を有する小型、軽量な二次電池が必要とされている。このような用途に好適な電池としては、リチウムイオン二次電池があり、研究開発が盛んに行なわれている。
また、自動車の分野でも、資源、環境問題から電気自動車に対する要望が高まり、電気自動車用やハイブリット自動車用の電源として、小型、軽量で放電容量が大きく、サイクル特性が良好なリチウムイオン二次電池が求められている。特に、自動車用の電源においては、出力特性が重要であり、出力特性が良好なリチウムイオン二次電池が求められている。
リチウム含有複合酸化物、特に合成が比較的容易なリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)を正極活物質に用いたリチウムイオン二次電池は、4V級の高い電圧が得られるため、高いエネルギー密度を有する電池として実用化が進んでいる。そして、この種のリチウムコバルト複合酸化物を用いたリチウムイオン二次電池では、優れた初期容量特性やサイクル特性を得るための開発がこれまで数多く行なわれてきており、すでにさまざまな成果が得られている。
しかしながら、リチウムコバルト複合酸化物は、原料に高価なコバルト化合物を用いるため、活物質さらには電池のコストアップの原因となり、活物質の改良が望まれている。このリチウムコバルト複合酸化物を用いる電池の容量あたりの単価は、ニッケル水素電池より大幅に高いため、適用される用途がかなり限定されている。したがって、現在普及している携帯機器用の小型二次電池についてだけではなく、電力貯蔵用や電気自動車用などの大型二次電池についても、活物質のコストを下げ、より安価なリチウムイオン二次電池の製造を可能とすることに対する期待は大きく、その実現は、工業的に大きな意義があるといえる。
ここで、リチウムイオン二次電池用正極活物質の新たな材料として、リチウムコバルト複合酸化物よりも安価な4V級正極活物質、即ち、ニッケル、コバルト及びマンガンの原子比が実質的に1:1:1であるLi[Ni1/3Co1/3Mn1/3]Oなる組成を有するリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物が注目されている。リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物は、安価であるばかりか、リチウムコバルト複合酸化物やリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質に用いたリチウムイオン二次電池よりも高い熱安定性を示すことから、開発が盛んに行なわれている。
リチウムイオン二次電池が良好な電池特性を発揮するためには、正極活物質であるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物が適度な粒径と比表面積を有するとともに高密度であることが必要である。このような正極活物質の性状は、前駆体であるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の性状を強く反映するため、複合水酸化物においても同様な性状が求められる。
さらに、良好な電池特性を発揮する正極活物質を得るには、リチウム化合物との合成時に発生する水蒸気や炭酸ガス雰囲気中においてもリチウム化合物との反応が進行しやすい、反応性に優れるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物が求められる。リチウム化合物との反応性が悪いニッケルコバルトマンガン複合水酸化物は、リチウム化合物との合成時にニッケルコバルトマンガン複合水酸化物との反応が不完全となって、未反応のリチウム化合物が残留してしまう。また、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物とリチウム化合物との反応が完了する前にリチウム化合物が溶融し、凝集を引き起こす問題がある。
正極活物質の前駆体となるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物に関しては、以下に述べるような種々の提案がなされている。しかしながら、いずれの提案においても高密度化の検討はされているが、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の表面性状やリチウム化合物との反応性に関しては十分に考慮されていない。
例えば、特許文献1には、反応槽内において、不活性ガス雰囲気中又は還元剤の存在下、コバルト塩及びマンガン塩を含むニッケル塩水溶液、錯化剤、並びにアルカリ金属水酸化物を連続供給し、連続結晶成長させて連続的に取り出す方法が提案されている。特許文献1では、タップ密度が1.5g/cm以上であり、平均粒径が5〜20μm、比表面積が8〜30m/gの球状である高密度コバルトマンガン共沈水酸化ニッケルが得られることが記載されている。
得られる共沈水酸化ニッケルは、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物の原料として用いることが可能である。しかしながら、この共沈水酸化ニッケルは、実施例によれば、タップ密度が1.71〜1.91g/cmと、2.0g/cm未満であることから十分に高密度であるとはいえない。一方、比表面積については具体的な数値は記載されておらず、比表面積の適正化については不明であり、リチウム化合物との反応性に関しては検討されていない。したがって、この共沈水酸化ニッケルを前駆体として用いても良好な電池特性を有するリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物は得られない。
また、特許文献2には、pH9〜13の水溶液中において、錯化剤の存在下、ニッケルとコバルトとマンガンとの原子比が実質的に1:1:1であるニッケル塩とコバルト塩とマンガン塩との混合水溶液を不活性ガス雰囲気下でアルカリ溶液と反応、共沈殿させてニッケルとコバルトとマンガンとの原子比が実質的に1:1:1であるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物および/またはニッケルコバルトマンガン複合酸化物を得る工程と、ニッケルとコバルトとマンガンとの合計の原子比とリチウムの原子比が実質的に1:1となるように、前記水酸化物および/または酸化物とリチウム化合物との混合物を700℃以上で焼成する工程とからなるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物の製造方法が提案されている。
特許文献2に提案されている方法においても、得られるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物のタップ密度は1.95g/cm3で2.0g/cm3未満であり、比表面積は13.5m/gと非常に大きいものとなっている。さらに、リチウム化合物との反応性に関しては検討されていない。
したがって、リチウム化合物との反応性が良く、良好な電池特性が得られるようなニッケルコバルトマンガン複合酸化物を製造可能なニッケルコバルトマンガン複合水酸化物が求められている。
特開2008−195608号公報 特開2003−59490号公報
そこで、本発明は、リチウム化合物との反応性に優れ、熱安定性及び電池特性に優れた非水系電解質二次電池用の正極活物質を得ることが可能なニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物のリチウム化合物との反応性に対する影響について鋭意研究したところ、乾燥後の酸化によるCoとMnの平均価数及び比表面積が大きく影響するとの知見を得て、本発明を完成させるに至った。
上述した目的を達成する本発明に係るニッケルコバルトマンガン複合水酸化物は、非水系電解質二次電池の正極活物質の前駆体となるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物であって、上記ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物は、Ni、Co、Mnの金属元素及び添加元素M(Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Wから選択される1種以上の元素)からなり、上記Ni、Co、Mnの金属元素及び添加元素Mの原子比は、上記Coが0より大きく1/3以下、上記Mnが0より大きく1/3以下、上記添加元素Mが0以上かつ0.1以下及び上記Niが1から上記CoとMnと添加元素Mの原子比を引いたものであり、窒素吸着によるBET法により測定される比表面積が3.0〜11.0m/gであり、かつ、酸化還元滴定より求められるCoとMnの平均価数が2.4価以上であり、窒素吸着法により測定される平均メソ細孔半径が4.00〜6.00nmであり、細孔容積が0.010〜0.020ml/gであることを特徴とする。
本発明は、非水系電解質二次電池の正極活物質の前駆体となるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物であって、リチウム化合物との反応性に優れたものであり、それを前駆体として得たリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物を非水系電解質二次電池の正極活物質として用いた場合には熱安定性に優れるとともに電池特性に優れた非水系電解質二次電池とすることができる。また、本発明は、容易に工業的規模でニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を生産することができ、工業的価値が非常に高いものである。
実施例1において得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物とリチウム化合物との混合物を炭酸ガス雰囲気下で昇温後得られた試料のSEM写真である。 比較例1において得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物とリチウム化合物との混合物の炭酸ガス雰囲気下で昇温後得られた試料のSEM写真である。
以下に、本発明を適用したニッケルコバルトマンガン複合水酸化物及びその製造方法について詳細に説明する。なお、本発明は、特に限定がない限り、以下の詳細な説明に限定されるものではない。本発明に係る実施の形態の説明は、以下の順序で行う。
1.ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物
2.ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の製造方法
2−1.晶析工程
2−2.固液分離工程
2−3.乾燥工程
2−4.酸化工程
<1.ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物>
本実施の形態に係るニッケルコバルトマンガン複合水酸化物は、非水系電解質二次電池の正極活物質の前駆体であって、特にリチウムイオン二次電池の正極活物質の前駆体となるものである。ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物は、一般式:Ni1−x−y−zCoMn(OH)(0<x≦1/3、0<y≦1/3、0≦z≦0.1、Mは、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Wから選択される1種以上の元素)で表され、非水系電解質二次電池の正極活物質の前駆体となる。ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物は、窒素吸着によるBET法により測定される比表面積が3.0〜11.0m/gであり、酸化還元滴定より求められるCoとMnの平均価数が2.4価以上である。
比表面積が11.0m/gを超える場合には、最終的に得られる正極活物質の比表面積が大きくなり過ぎ、十分な安全性が得られない。また、比表面積が3.0m/g未満である場合には、リチウム化合物との合成時にリチウム化合物との反応性が悪くなり、十分に反応が進行せず、昇温過程でリチウム化合物が溶融し凝集を引き起こしてしまう。したがって、正極活物質の安全性を高め、凝集を防止するため、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の比表面積を3.0〜11.0m/gの範囲とする。
酸化還元滴定より求められるCoとMnの平均価数が2.4価未満の場合には、リチウム化合物との合成は酸化反応であることから、リチウム化合物との反応性が悪くなり、十分に反応が進行せずリチウム化合物が残留する場合があるばかりか、昇温過程でリチウム化合物が融解し粒子間で凝集を引き起こしてしまう。平均価数を必要以上に高くすると、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の酸化が進行して、比表面積が大きくなり過ぎることがある。このため、平均価数を2.4価〜3.3価とすることが好ましい。
更に、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物は、窒素吸着法により測定される平均メソ細孔半径が4.00〜6.00nmであり、細孔容積が0.010〜0.020ml/gであることが好ましい。このような要件を満たすニッケルコバルトマンガン複合水酸化物は、リチウム化合物との反応性がより良好となり、十分なリチウム化合物との反応性が得られる。
平均メソ細孔半径が4.00nm未満、又は細孔容積が0.010ml/g未満では、合成時に粒子内へ溶融した炭酸リチウムの浸透が十分でなく、リチウム化合物との反応性が低下することがある。一方、平均メソ細孔半径が6.00nmを超えるか、又は細孔容積が0.020ml/gを超えると、比表面積が大きくなりすぎ、十分な安全性が得られないことがある。
ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の平均粒径は、5〜15μmであることが好ましく、タップ密度が2.0g/cm以上であることが好ましい。このような要件を満たすニッケルコバルトマンガン複合水酸化物は、正極活物質の前駆体として用いた場合、電池性能をより向上させることができる。
一般式中にMで表した添加元素は、サイクル特性や出力特性などの電池特性を向上させるために添加するものである。添加元素Mの原子比zが0.1を超える場合には、Redox反応に貢献する金属元素が減少するため、電池容量が低下することから好ましくない。したがって、添加元素Mは、原子比zで0.1以下となるように調整する。
以上のようなニッケルコバルトマンガン複合水酸化物は、非水系電解質二次電池の正極活物質の前駆体として好適であり、通常の製造方法により非水系電解質二次電池の正極活物質とすることができる。
例えば、リチウムイオン二次電池の正極活物質となるニッケルコバルトマンガン複合酸化物の製造方法は、先ず、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物をそのままの状態か、800℃以下の温度で熱処理する。次に、リチウム化合物を好ましくはニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の金属元素に対してリチウムを原子比で0.95〜1.5となるように混合して800〜1000℃で焼成する。これにより、ニッケルコバルトマンガン複合酸化物を得ることができる。
上述したニッケルコバルトマンガン複合水酸化物は、窒素吸着によるBET法により測定される比表面積が3.0〜11.0m/gであり、かつ、酸化還元滴定より求められるCoとMnの平均価数が2.4価以上であることによって、リチウム化合物との反応性に優れ、リチウム化合物との反応が進行しやすく、リチウム化合物の溶融よりもリチウム化合物との反応が先行し、凝集が発生することを防止できる。
ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物のリチウム化合物との反応性及び凝集のしやすさを評価する方法としては、不活性雰囲気での熱重量測定及び示差熱分析(TG−DTA)を利用することができる。例えば、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物と炭酸リチウムを混合して得られた混合物を、炭酸ガス雰囲気中でTG−DTA測定をすることにより評価できる。ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の炭酸リチウムとの反応性が悪ければ、未反応の炭酸リチウムが昇温後も残り、680〜720℃付近に炭酸リチウムの溶融に由来する吸熱ピークがDTA曲線に観察される。また、TG−DTA測定後の試料についてSEM観察を行うことでニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の凝集の有無を確認できる。
以上のようなニッケルコバルトマンガン複合水酸化物は、リチウム化合物との反応性に優れ、凝集が抑えられている。このようにニッケルコバルトマンガン復合水酸化物を非水系電解質二次電池の正極活物質の前駆体に用いた場合には、熱安定性に優れながら、優れた電池特性を有する非水系電解質二次電池を得ることができる。
<2.ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の製造方法>
次に、上述したニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の製造方法について説明する。
ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の製造方法は、少なくともニッケル塩、コバルト塩及びマンガン塩を含む混合水溶液と、アンモニウムイオン供給体を含む水溶液を混合するとともに、液温25℃基準でのpHが11〜13の範囲に保持されるように苛性アルカリ水溶液を供給して反応溶液とし、該反応溶液中でニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を晶析し、固液分離後に乾燥し、乾燥後に酸化する。このような製造方法では、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の比表面積及びCoとMnの平均価数を増加させることができる。
以下に、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の製造方法について工程毎を詳細に説明する。
(2−1)晶析工程
晶析工程は、少なくともニッケル塩、コバルト塩及びマンガン塩を含む混合水溶液と、アンモニウムイオン供給体を含む水溶液とを混合するとともに、液温25℃基準でのpHが11〜13の範囲に保持されるように苛性アルカリ水溶液を供給して反応溶液とし、反応溶液中においてニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を非酸化性雰囲気又は還元剤の存在下で晶析する。
晶析工程では、反応溶液の温度を20〜70℃に維持することが好ましい。これにより、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の結晶が成長する。反応溶液の温度が20℃未満の場合では、反応溶液における塩の溶解度が低く塩濃度が低くなるため、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の結晶が十分に成長しない。一方、反応溶液の温度が70℃を超える場合では、結晶核の発生が多く微細な粒子が多くなるため、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子が高密度とならない。
また、晶析工程では、液温25℃基準でのpHを11〜13、好ましくは11〜12の範囲に反応溶液を制御する。pHが11未満では、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の粒子が粗大になる上に、反応後、反応溶液中にニッケルが残留し、ニッケルのロスが発生してしまう。一方、pHが13を超えると、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の晶析速度が速くなり、微細な粒子が多くなってしまう。微細な粒子が多くなった場合には、これらが焼結して凝集粉を生ずるという問題が起こってしまう。
反応溶液のpHは、苛性アルカリ水溶液を供給することにより制御することができる。苛性アルカリ水溶液は、特に限定されるものではなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物水溶液を用いることができる。アルカリ金属水酸化物は、直接、反応溶液に添加することもできるが、pH制御の容易さから、水溶液として添加することが好ましい。苛性アルカリ水溶液の添加方法は、特に限定されるものではなく、反応溶液を十分に攪拌しながら、定量ポンプなどの流量制御が可能なポンプで、液温25℃基準でのpHが11〜13の範囲となるように添加すればよい。
さらに、晶析工程では、共沈殿によるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を非酸化雰囲気又は還元剤の存在下で生成させる。酸化雰囲気又は還元剤が存在しない状態で晶析させた場合には、コバルト及びマンガンが酸化し、新たな核が生成しやすく、一次粒子が微細となって比表面積が大きくなりすぎてしまう。さらには、二次粒子が低密度化するため、過度の平均細孔半径及び細孔容積の増加が生じてしまう。
また、晶析工程では、反応溶液の開放面と接触する反応槽内の雰囲気の酸素濃度を0.2容量%以下に維持することにより、非酸化性雰囲気とすることが好ましい。酸素濃度を0.2容量%以下に維持した場合には、反応溶液中での金属元素、特にマンガンの酸化が抑制され、一次粒子が発達して高結晶性の球状の二次粒子が得られ、低い比表面積と過度の平均細孔半径と細孔容積の増加を抑制することができる。
酸素濃度が0.2容量%を超える場合には、一次粒子が微細となり、結晶界面が増加するため、得られるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の比表面積が11.0m/gを超えることがある。また、平均細孔半径と細孔容積が大きくなりすぎることがある。酸素濃度の下限は、特に限定されるものではなく、酸素濃度の低下とともに比表面積及び炭素含有量も低くなるので、0.2容量%以下でかつ工業的に可能な範囲で、所望の比表面積と炭素含有量に制御できる酸素濃度とすればよい。炭素含有量は、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物中において0.1質量%以下であることが好ましい。炭素含有量は、高周波−赤外燃焼法により測定することができる。
反応槽内の酸素濃度を0.2容量%以下にするには、例えば、反応槽内に不活性ガスを供給することにより制御することが容易であるため、不活性ガスを用いることが好ましい。ここで、反応槽内への不活性ガスの供給は、酸素濃度が0.2容量%以下に維持されるように晶析中は十分な量の不活性雰囲気ガスを供給すること、又は供給し続けることが必要である。そこで、例えば、蓋付反応槽を用い、この反応槽に供給する不活性ガス量を調整することで酸素濃度の調整を容易に行うことができる。不活性ガスとしては、窒素ガスがコスト的に有利であり、好ましい。
なお、酸素濃度は、0.2容量%以下に保持されていれば良いため、上述した制御方法に限定されるものではない。
晶析工程では、酸素濃度が0.2容量%以下に保持されずとも、反応溶液に還元剤を添加することにより、金属元素の酸化が抑制されれば、一次粒子が発達するとともに二次粒子も大きくなり、比表面積や細孔の制御が可能である。還元剤は、金属元素の酸化が抑制される程度に添加すればよく、ヒドラジンなど、金属元素の酸化が抑制可能なものであればよい。
晶析工程において得られるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物は、一般式:Ni1−x−y−zCoMn(OH)(0<x≦1/3、0<y≦1/3、0≦z≦0.1、Mは、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Wから選択される1種以上の元素)で表されるものであり、供給する原料中の原子比とほぼ一致する。したがって、原料中の原子比を上記一般式の原子比に調整することで、ニッケル、コバルト、マンガン及び添加元素Mの原子比を、上記一般式の範囲とすることができる。
具体的に、ニッケル塩とコバルト塩とマンガン塩との混合水溶液の塩濃度は、各塩の合計で1mol/L〜2.6mol/Lとすることが好ましい。1mol/L未満である場合には、塩濃度が低く、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の結晶が十分に成長しない。一方、2.6mol/Lを超える場合には、常温での飽和濃度を超えるため、結晶が再析出して配管を詰まらせるなどの危険がある上、結晶核の発生が多く微細な粒子が多くなってしまう。
ニッケル塩、コバルト塩及びマンガン塩としては、特に限定されるものではないが、硫酸塩、硝酸塩又は塩化物の少なくとも1種であることが好ましい。
晶析工程において用いるアンモニウムイオン供給体は、特に限定されるものではないが、アンモニア、硫酸アンモニウム又は塩化アンモニウムの少なくとも1種であることが好ましい。
アンモニウムイオン供給体の添加量は、反応溶液中のアンモニウムイオン濃度で5〜20g/Lの範囲とすることが好ましい。アンモニウムイオン濃度で5g/L未満では、反応溶液中のニッケル、コバルト及びマンガンの溶解度が低く、結晶成長が十分でないため、高密度のニッケルコバルトマンガン複合水酸化物が得られない。また、アンモニウムイオン濃度で20g/Lを超えると、晶析速度が低下して生産性が悪化するとともに、液中に残留するニッケルなどの金属イオンが多くなり、コストが増加する。
添加元素Mは、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Wから選択される1種以上の元素であり、晶析工程中の混合水溶液に添加するか、個別に反応溶液に添加することで、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を一般式の組成とすることができる。
添加元素Mは、水溶性の化合物として添加することが好ましく、例えば硫酸チタン、ペルオキソチタン酸アンモニウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸バナジウム、バナジン酸アンモニウム、硫酸クロム、クロム酸カリウム、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、シュウ酸ニオブ、モリブデン酸アンモニウム、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸アンモニウムなどを用いることができる。
添加元素Mをニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子の内部に均一に分散させる場合には、混合水溶液に、添加元素Mを含有する添加物を添加すればよく、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子の内部に添加元素Mを均一に分散させた状態で共沈させることでできる。
また、添加元素Mを添加する方法としては、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子の表面を添加元素Mで被覆してもよい。その場合には、例えば添加元素Mを含んだ水溶液でニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子をスラリー化し、所定のpHとなるように制御しつつ、1種以上の添加元素Mを含む水溶液を添加して、晶析反応により添加元素Mをニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子表面に析出させれば、その表面を添加元素Mで均一に被覆することができる。添加元素Mを含んだ水溶液に替えて、添加元素Mのアルコキシド溶液を用いてもよい。更に、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子に対して、添加元素Mを含んだ水溶液又はスラリーを吹き付けて乾燥させることによっても、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子の表面を添加元素Mで被覆することができる。また、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子と1種以上の添加元素Mを含む塩とが懸濁したスラリーを噴霧乾燥させる、又はニッケルコバルトマンガン複合水酸化物と1種以上の添加元素Mを含む塩を固相法で混合するなどの方法によっても被覆することができる。
なお、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子の表面を添加元素Mで被覆する場合には、混合水溶液中に存在する添加元素イオンの原子数比を被覆する量だけ少なくしておくことで、所望のニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子の金属イオンの原子数比と一致させることができる。
晶析工程における反応方式は、特に限定されるものではなく、バッチ方式や連続方式を使用することができる。連続方式は、混合水溶液、アンモニウムイオン供給体を含む水溶液及び苛性アルカリ水溶液をそれぞれ連続的に供給して、反応槽からニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を含む反応溶液を連続的にオーバーフローさせてニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を回収する方式であり、生産性、安定性の面から好ましい。
連続方式の場合には、温度を一定に保持しながら、混合水溶液とアンモニウムイオン供給体を反応槽に一定量供給するとともに、苛性アルカリ水溶液を添加してpHを制御し、反応槽内が定常状態になった後、オーバーフローパイプより生成粒子を連続的に採取することが好ましい。なお、混合水溶液と苛性アルカリ水溶液を予め混合してから反応槽に供給することも可能であるが、苛性アルカリ水溶液との混合時に、混合水溶液中にニッケルコバルトマンガン複合水酸化物が生成することを防止するため、混合水溶液と苛性アルカリ水溶液は、個別に反応槽に供給することが好ましい。
いずれの反応方式を用いる場合においても、晶析中は均一な反応を維持するために、十分に攪拌することが好ましい。また、晶析工程に用いる水は、不純物の混入を防止するため、純水などの可能な限り不純物の含有量が少ない水を用いることが好ましい。
(2−2)固液分離工程
固液分離工程では、晶析によって得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を濾過した後、水洗し、再び濾過することにより、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を回収することができる。濾過は、通常用いられる方法でよく、例えば、遠心機、吸引濾過機を用いることができる。また、水洗は、通常行なわれる方法でよく、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子に含まれる余剰の塩基、非還元性錯化剤を除去できればよい。水洗で用いる水は、不純物の混入を防止するため、可能な限り不純物の含有量が少ない水を用いることが好ましく、純水を用いることがより好ましい。
(2−3)乾燥工程
乾燥工程では、固液分離後のニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を非酸化性雰囲気中で、好ましくは乾燥温度を100〜230℃で乾燥する。
酸化性雰囲気中で乾燥した場合には、酸化の制御が困難であり、乾燥中にニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子の酸化が更に進行して比表面積が大きくなり過ぎてしまう。また、細孔容積が大きくなり過ぎてしまう。このため、後工程である酸化工程において、比表面積と細孔の制御が困難となる。
非酸化性雰囲気としては、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子の酸化を抑制できるものであればよく、真空雰囲気や酸素濃度が0.2容量%以下の窒素雰囲気などの不活性ガス雰囲気が好ましい。
乾燥温度は、物温、即ち乾燥されるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子の最高温度である。乾燥温度が100℃未満である場合には、水分の蒸発が不十分であり、一方、乾燥温度が230℃を超える場合には、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の分解が進み、酸化物との混合物となってしまう。酸化物が存在する場合には、酸化物の混在量により質量あたりのニッケルなどの金属含有量が変動するため、正極活物質の製造工程においてリチウム化合物と正確に配合することが困難になり、得られる正極活物質の電池特性を十分なものとすることが困難となる。
(2−4)酸化工程
酸化工程では、乾燥後のニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を酸化する。酸化工程では、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を、窒素吸着によるBET法により測定される比表面積が3.0〜11.0m/gで、かつ酸化還元滴定より求められるCoとMnの平均価数が2.4価以上となるように酸化する。酸化工程では、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を酸化することにより、粒子内に微細なクラックが発生して比表面積が増加する。これにより、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子とリチウム化合物との反応性が良くなる。また、前記微細なクラックは、晶析時に形成された細孔より微細であるため、平均細孔半径が減少する一方、細孔数の増加により細孔容積は増加する。
したがって、酸化条件は、所望の比表面積及び平均価数が得られるように適宜決定する。酸化温度は、20〜230℃とすることが好ましい。酸化温度が20℃未満では、酸化が進まず、比表面積が3.0未満又はCoとMnの平均価数が2.4価未満になることがある。また、酸化温度が低いと酸化時間が長くなり過ぎるため工業的に好ましくない。さらに、平均細孔半径と細孔容積が小さくなり過ぎることがある。一方、酸化温度が230℃を超えると、酸化が急激に進むため、比表面積が11.0m/gを超えることがある。また、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の分解が進み、酸化物との混合物となることがある。さらに、平均細孔半径と細孔容積が大きくなり過ぎることがある。
酸化時間は、酸化温度が低い場合は長く、酸化温度が高い場合は短く調整して、所望の比表面積及び平均価数が得られるよう調整すればよい。また、酸化時の雰囲気は、CoとMnが酸化する雰囲気であればよく、大気雰囲気とすることが、制御の容易性から、好ましい。
以上のように、ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法では、少なくともニッケル塩、コバルト塩及びマンガン塩を含む混合水溶液と、アンモニウムイオン供給体を含む水溶液を混合するとともに、液温25℃基準でのpHが11〜13の範囲に維持されるように苛性アルカリ水溶液を供給して反応溶液とし、該反応溶液中でニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を晶析し、固液分離後に乾燥し、乾燥後に酸化する。
このようなニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法では、一般式:Ni1−x−y−zCoMn(OH)(0<x≦1/3、0<y≦1/3、0≦z≦0.1、Mは、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Wから選択される1種以上の元素)で表され、窒素吸着によるBET法により測定される比表面積が3.0〜11.0m/gであり、かつ、酸化還元滴定より求められるCoとMnの平均価数が2.4価以上であるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を得ることができる。
得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物は、結晶が適度に微細化されており、比表面積が増加し、CoとMnの平均価数が2.4価以上であるため、リチウム化合物との反応性が高く、熱安定性及び電池特性に優れた非水系電解質二次電池を得ることができる正極活物質の前駆体となる。
したがって、得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物により製造された正極活物質を用いた非水系電解質二次電池、特にリチウムイオン二次電池では、高容量でサイクル特性がよく、電池特性及び安全性に優れたものとなる。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物及び非水系電解質二次電池用正極活物質の評価方法は、以下の通りである。
(1)金属成分の分析:
ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析装置(VARIAN社製、725ES)を用いて、ICP発光分析法により分析した。
(2)アンモニウムイオン濃度の分析:
JIS標準による蒸留法によって測定した。
(3)BET比表面積の測定:
比表面積測定装置(ユアサアイオニクス社製、マルチソープ16)を用いて、窒素吸着によるBET1点法により測定した。
(4)平均粒径の測定および粒度分布幅の評価:
レーザー回折式粒度分布計(日機装株式会社製、マイクロトラックHRA)を用いて、平均粒径の測定及び粒度分布幅の評価を行った。
(5)TG−DTA測定:
差動型示差熱天秤(ブルカーAXS社製、TG−DTA2020SR)を用いて、熱重量測定及び示差熱分析を行った。
(6)形態の観察評価:
走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JSM−6360LA、以下、SEMと記載)を用いて、形状と外観の観察及び凝集の有無の評価を行った。
[実施例1]
実施例1では、邪魔板を4枚取り付けた槽容積5Lのオーバーフロー式晶析反応槽に、純水4L、25質量%アンモニア水を200mL投入して、恒温槽及び加温ジャケットにて60℃に加温し、25質量%苛性ソーダ溶液を添加して、恒温槽内の反応溶液のpHを液温25℃基準で12.0に調整した。
次に、60℃に保持した反応溶液を攪拌しつつ、定量ポンプを用いて、ニッケル濃度0.667mol/Lの硫酸ニッケルと、コバルト濃度0.667mol/Lの硫酸コバルトと、マンガン濃度0.667mol/Lの硫酸マンガンとの混合水溶液(以下、混合水溶液という。)を10ml/minで、併せて25質量%アンモニア水を1.5ml/minで連続的に供給するとともに、25質量%苛性ソーダ溶液を添加して、液温25℃基準でのpHが12.0、アンモニウムイオン濃度を5〜15g/Lとなるように制御して、晶析反応を行った。
晶析の際の攪拌は、直径8cmの6枚羽根タービン翼を用いて、800rpmの回転速度で水平に回転させることにより行った。また、混合水溶液の反応系内への供給方法としては、反応溶液中に供給口となる注入ノズルを差込み、混合水溶液が反応溶液中に直接供給されるようにして行った。
晶析反応によって生成したニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を、オーバーフローにて連続的に取り出した。反応が安定した反応開始から48〜72時間にかけて取り出した。ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子をブフナー漏斗及び吸引瓶を用いて固液分離した後、水洗し濾過物を得た。この濾過物を真空乾燥機で乾燥温度120℃、12時間保持することにより乾燥した。
次に、この乾燥物を120℃に保持した定置乾燥機により1時間維持することにより酸化させ、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を得た。
得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物のニッケル品位は21.5wt%、コバルト品位は21.5wt%、マンガン品位は19.8wt%で、各元素比は33.6:33.4:33.0でほぼ原料水溶液の組成比に等しく、平均粒径は10.5μmであった。また、比表面積は7.6m/gであり、CoとMnの平均価数は3.1価であった。これらの値を表1に示す。
得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を炭酸リチウムと混合した後、その混合物を100ml/minの炭酸ガス雰囲気中で、昇温速度5℃/minで980℃までTG−DTA測定を行ったところ、680〜720℃の間に吸熱ピークは観察されなかった。また、TG−DTA測定後の試料を乳鉢で粉砕後、SEMにて観察したところ、凝集は確認されなかった。680〜720℃の間の吸熱ピークの有無及びSEMにて観察した凝集の有無を表1に示す。また、実施例1により得られた試料のSEM写真を図1に示す。更に、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物について窒素吸着法により平均メソ細孔半径及び細孔容積を測定した結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例2では、乾燥物を定置乾燥機により2時間維持して酸化したこと以外は実施例1と同様にしてニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を得るとともに各評価を行った。このニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の比表面積は、8.6m/gであり、CoとMnの平均価数は3.2価であった。
得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を炭酸リチウムと混合した後、その混合物を100ml/minの炭酸ガス雰囲気中で、昇温速度5℃/minで980℃までTG−DTA測定を行ったところ、680〜720℃の間に吸熱ピークは観察されなかった。また、TG−DTA測定後の試料を乳鉢で粉砕後、SEMにて観察したところ、凝集は確認されなかった。680〜720℃の間の吸熱ピークの有無及びSEMにて観察した凝集の有無を表1に示す。更に、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物について窒素吸着法により平均メソ細孔半径及び細孔容積を測定した結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例3では、乾燥物を定置乾燥機により温度25℃で3週間維持して酸化したこと以外は実施例1と同様にしてニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を得るとともに各評価を行った。このニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の比表面積は、5.2m/gであり、CoとMnの平均価数は2.5価であった。
得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を炭酸リチウムと混合した後、その混合物を100ml/minの炭酸ガス雰囲気中で、昇温速度5℃/minで980℃までTG−DTA測定を行ったところ、680〜720℃の間に吸熱ピークは観察されなかった。また、TG−DTA測定後の試料を乳鉢で粉砕後、SEMにて観察したところ、凝集は確認されなかった。680〜720℃の間の吸熱ピークの有無及びSEMにて観察した凝集の有無を表1に示す。更に、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物について窒素吸着法により平均メソ細孔半径及び細孔容積を測定した結果を表1に示す。
[比較例1]
比較例1では、乾燥物を定置乾燥機での維持を行わなかった、即ち酸化しなかったこと以外は実施例1と同様にしてニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を得るとともに各評価を行った。このニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の比表面積は、2.8m/gであり、CoとMnの平均価数は2.1価であった。
得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を炭酸リチウムと混合した後、その混合物を100ml/minの炭酸ガス雰囲気中で、昇温速度5℃/minで980℃までTG−DTA測定を行ったところ、680〜720℃の間に吸熱ピークが観察された。また、TG−DTA測定後の試料を乳鉢で粉砕後、SEMにて観察したところ、凝集体が確認された。680〜720℃の間の吸熱ピークの有無及びSEMにて観察した凝集の有無を表1に示す。また、比較例1により得られた試料のSEM写真を図2に示す。更に、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物について窒素吸着法により平均メソ細孔半径及び細孔容積を測定した結果を表1に示す。
[比較例2]
比較例2では、乾燥物を定置乾燥機により10分間維持すること以外は実施例1と同様にしてニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を得るとともに各評価を行った。このニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の比表面積は3.6m/gであり、CoとMnの平均価数は2.3価であった。
得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を炭酸リチウムと混合した後、その混合物を100ml/minの炭酸ガス雰囲気中で、昇温速度5℃/minで980℃までTG−DTA測定を行ったところ、680〜720℃の間に吸熱ピークが観察された。また、TG−DTA測定後の試料を乳鉢で粉砕後、SEMにて観察したところ、凝集体が確認された。680〜720℃の間の吸熱ピークの有無及びSEMにて観察した凝集の有無を表1に示す。更に、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物について窒素吸着法により平均メソ細孔半径及び細孔容積を測定した結果を表1に示す。
[比較例3]
比較例3では、乾燥物を定置乾燥機により5時間維持すること以外は実施例1と同様にしてニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を得るとともに各評価を行った。このニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の比表面積は、11.3m/gであり、CoとMnの平均価数は、3.4価であった。
得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を炭酸リチウムと混合した後、その混合物を100ml/minの炭酸ガス雰囲気中で、昇温速度5℃/minで980℃までTG−DTA測定を行ったところ、680〜720℃の間に吸熱ピークは観察されなかった。また、TG−DTA測定後の試料を乳鉢で粉砕後、SEMにて観察したところ、凝集は確認されなかった。680〜720℃の間の吸熱ピークの有無及びSEMにて観察した凝集の有無を表1に示す。更に、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物について窒素吸着法により平均メソ細孔半径及び細孔容積を測定した結果を表1に示す。
[比較例4]
比較例4では、濾過物を大気雰囲気下の定置乾燥機で乾燥温度120℃、12時間維持し、乾燥後の乾燥物を酸化しなかったこと以外は実施例1と同様にしてニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を得るとともに各評価を行った。このニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の比表面積は、11.9m/gであり、CoとMnの平均価数は、3.4価であった。
得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を炭酸リチウムと混合した後、その混合物を100ml/minの炭酸ガス雰囲気中で、昇温速度5℃/minで980℃までTG−DTA測定を行ったところ、680〜720℃の間に吸熱ピークは観察されなかった。また、TG−DTA測定後の試料を乳鉢で粉砕後、SEMにて観察したところ、凝集は確認されなかった。680〜720℃の間の吸熱ピークの有無及びSEMにて観察した凝集の有無を表1に示す。更に、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物について窒素吸着法により平均メソ細孔半径及び細孔容積を測定した結果を表1に示す。
表1に示す結果から、実施例1〜3では、反応溶液のpHが液温25度基準で12に維持して晶析したニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を乾燥後、所定時間酸化させることにより得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の比表面積が3.0〜11.0m/gの範囲内であるとともに、CoとMnの平均価数は2.4価以上となった。
このように比表面積及びCoとMnの平均価数が所望の範囲内であるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物は、680〜720℃の間に吸熱ピークは観察されず、リチウム化合物との反応が進行しやすく、炭酸ガス雰囲気中において炭酸リチウムの融解よりもニッケルコバルトマンガン複合水酸化物と炭酸リチウムとの反応が先に進行し、図1に示すように凝集が起きていないことがわかる。
以上より、実施例1〜3のニッケルコバルトマンガン複合水酸化物は、リチウム化合物との反応性が高いことがわかる。
一方、比表面積が3m/gよりも小さく、CoとMnの平均価数が2.4価よりも低い比較例1では、680℃〜720℃の付近に吸熱ピークが観察されており、リチウム化合物との反応が進行しにくく、炭酸ガス雰囲気中においては炭酸リチウムの融解が、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物と炭酸リチウムとの反応よりも先に起こり、図2に示すように凝集を引き起こしていることがわかる。したがって、比較例1のニッケルコバルトマンガン複合水酸化物は、リチウム化合物との反応性が低いことがわかる。
CoとMnの平均価数が2.4価よりも低い比較例2においても、比較例1と同様に、680℃〜720℃の付近に吸熱ピークが観察されており、リチウム化合物との反応が進行しにくく、凝集を引き起こしていることがわかる。
また、比較例3は、酸化時間が長く、酸化が進行し過ぎたため、平均価数が高いものの、比表面積が大きくなり過ぎて、11m/gを超えてしまった。比較例4も同様に、大気中においてニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を乾燥したことにより、酸化が進行して比表面積が大きくなり過ぎた。

Claims (2)

  1. 非水系電解質二次電池の正極活物質の前駆体となるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物であって、
    上記ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物は、Ni、Co、Mnの金属元素及び添加元素M(Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Wから選択される1種以上の元素)からなり、
    上記Ni、Co、Mnの金属元素及び添加元素Mの原子比は、上記Coが0より大きく1/3以下、上記Mnが0より大きく1/3以下、上記添加元素Mが0以上かつ0.1以下及び上記Niが1から上記CoとMnと添加元素Mの原子比を引いたものであり、
    窒素吸着によるBET法により測定される比表面積が3.0〜11.0m/gであり、かつ、酸化還元滴定より求められるCoとMnの平均価数が2.4価以上であり、
    窒素吸着法により測定される平均メソ細孔半径が4.00〜6.00nmであり、細孔容積が0.010〜0.020ml/gであることを特徴とするニッケルコバルトマンガン複合水酸化物。
  2. 上記ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の平均粒径は、5〜15μmであり、かつタップ密度が2.0g/cm以上であることを特徴とする請求項1に記載のニッケルコバルトマンガン複合水酸化物。
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