[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、実施形態に係る定着装置を備えた画像形成装置の概略構成を簡単に説明し、その後、定着装置の詳細な構成について説明する。
また、以下の説明において、方向は、画像形成装置を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
図1に示すように、画像形成装置としてのレーザプリンタ1は、本体筐体2内に、シートの一例としての用紙Sを供給する給紙部3と、露光装置4と、用紙Sにトナー像を転写するプロセスカートリッジ5と、用紙Sに転写されたトナー像を熱定着する定着装置100とを主に備えている。
給紙部3は、本体筐体2内の下部に設けられ、給紙トレイ31と、用紙押圧板32と、給紙機構33とを主に備えている。給紙トレイ31に収容された用紙Sは、用紙押圧板32によって上方に寄せられ、給紙機構33によってプロセスカートリッジ5の感光体ドラム61と転写ローラ63との間に向けて供給される。
露光装置4は、本体筐体2内の上部に配置され、図示しないレーザ発光部や、符号を省略して示すポリゴンミラー、レンズ、反射鏡などを備えている。露光装置4では、レーザ発光部から出射される画像データに基づくレーザ光(鎖線参照)が、感光体ドラム61の表面で高速走査されることで、感光体ドラム61の表面を露光する。
プロセスカートリッジ5は、露光装置4の下方に配置され、本体筐体2に設けられたフロントカバー21を開いたときにできる開口から本体筐体2に対して着脱可能に装着される構成となっている。プロセスカートリッジ5は、ドラムユニット6と、現像ユニット7とを備えている。
ドラムユニット6は、感光体ドラム61と、帯電器62と、転写ローラ63とを主に備えている。また、現像ユニット7は、ドラムユニット6に対して着脱可能に装着される構成となっており、現像ローラ71と、供給ローラ72と、層厚規制ブレード73と、トナーを収容する収容部74とを主に備えている。
プロセスカートリッジ5では、感光体ドラム61の表面が、帯電器62により一様に帯電された後、露光装置4からのレーザ光の高速走査によって露光されることで、感光体ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、収容部74内のトナーは、供給ローラ72を介して現像ローラ71に供給され、現像ローラ71と層厚規制ブレード73の間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ71上に担持される。
現像ローラ71上に担持されたトナーは、現像ローラ71から感光体ドラム61上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム61上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム61と転写ローラ63の間を用紙Sが搬送されることで感光体ドラム61上のトナー像が用紙S上に転写される。
定着装置100は、プロセスカートリッジ5の後方に配置され、図2に示すように、ベルトユニット110と、回転体の一例としての加圧ローラ120とを主に備えている。そして、ベルトユニット110は、エンドレスベルト111と、ハロゲンランプ112と、ニップ部材113と、反射部材114と、ステイ115と、保持部材116(図3参照)とを主に備えている。
エンドレスベルト111は、耐熱性と可撓性を有する筒状のベルトであり、例えば、ステンレス鋼などから形成されている。
ハロゲンランプ112は、通電によって発熱してニップ部材113およびエンドレスベルト111を加熱することで用紙Sに転写されたトナーを加熱するヒータであり、エンドレスベルト111の内側に配置されている。
ニップ部材113は、ハロゲンランプ112からの輻射熱を受ける板状の部材であり、エンドレスベルト111の内側においてエンドレスベルト111の内周面に接触するように配置されている。ニップ部材113は、ハロゲンランプ112から受けた輻射熱をエンドレスベルト111を介して用紙S上のトナーに伝達するため、熱伝導率が大きい、例えば、アルミニウム板などから形成されている。
反射部材114は、ハロゲンランプ112からの輻射熱をニップ部材113に向けて反射する部材であり、エンドレスベルト111の内側でハロゲンランプ112を取り囲むように配置されている。反射部材114は、赤外線および遠赤外線の反射率が大きい、例えば、アルミニウム板などを断面視略U字形状に湾曲させて形成されている。
ステイ115は、反射部材114を介してニップ部材113を支持することで加圧ローラ120から荷重が加わるニップ部材113の剛性を確保する部材であり、反射部材114を覆うように配置されている。ステイ115は、比較的剛性が大きい、例えば、鋼板などを折り曲げることで形成されている。
図3に示すように、保持部材116は、エンドレスベルト111の回転をガイドするとともに、ハロゲンランプ112、ニップ部材113、反射部材114およびステイ115を保持する部材であり、エンドレスベルト111の長手方向の両側に配置されている(図4参照)。保持部材116は、エンドレスベルト111の内周面をガイドするガイド面116Aや、エンドレスベルト111の左右方向への移動を規制する規制面116B、ハロゲンランプ112やステイ115などを保持する保持部116Cなどを有している。
図2に戻って、加圧ローラ120は、エンドレスベルト111を介してニップ部材113との間で用紙Sを搬送するローラであり、ニップ部材113との間でエンドレスベルト111を挟むようにしてニップ部材113の下方に配置されている。加圧ローラ120は、本体筐体2内に設けられた図示しないモータから駆動力が伝達されることで、エンドレスベルト111を従動回転させながら図2の反時計回りに回転駆動する。これにより、定着装置100は、ベルトユニット110と加圧ローラ120との間で、用紙Sを所定の搬送方向、本実施形態では、具体的には前から後に向けて搬送する。
定着装置100では、トナー像が転写された用紙Sがベルトユニット110と加圧ローラ120との間を搬送されることで、トナー像が用紙Sに熱定着される。トナー像が熱定着された用紙Sは、図1に示すように、搬送ローラ23,24によって排紙トレイ22上に排出される。
次に、定着装置100の詳細な構成について説明する。なお、以下の説明では、定着装置100での用紙Sの搬送方向を単に「搬送方向」といい、加圧ローラ120の回転軸方向を単に「回転軸方向」というものとする。本実施形態において、「搬送方向」は、略前後方向に相当し、「回転軸方向」は、左右方向に相当する。
図4に示すように、定着装置100は、前述したベルトユニット110や加圧ローラ120の他、さらに、支持部材の一例としての支持フレーム130と、第1ガイド部材の一例としての第1ガイドフレーム140と、第2ガイド部材の一例としての第2ガイドフレーム150と、第1調整部材の一例としての第1カム160と、固定部材の一例としてのネジ171と、ネジ172とを備えている。
支持フレーム130は、加圧ローラ120を支持する部材であり、第1側壁部131と、第2側壁部132と、第1側壁部131と第2側壁部132を連結する第3側壁部133とを主に有している。
第1側壁部131および第2側壁部132は、それぞれ、側面視略U字形状をなしており、軸支凹部134と、逃げ部135とを有している。軸支凹部134は、軸受125が係合可能な凹部として形成されており、加圧ローラ120のシャフト121を軸受125を介して回転可能に支持する。また、逃げ部135は、軸支凹部134の上方で軸支凹部134よりも前後方向の間隔が大きい空間として形成されており、ベルトユニット110の前後方向への移動を許容する。さらに説明すると、第1側壁部131および第2側壁部132は、その上部に、それぞれ、第1壁部と、第1壁部から搬送方向へ離れた第2壁部とを有しており、この第1壁部と第2壁部との間で逃げ部135が形成されている。
第1側壁部131には、ネジ171により第1ガイドフレーム140を支持フレーム130に固定するためのネジ穴131Aが設けられており、第2側壁部132には、ネジ172により第2ガイドフレーム150を支持フレーム130に固定するためにネジ穴132Aが設けられている。
また、図5に示すように、第1側壁部131には、2つの突起182と、4つのカム取付穴131Bとが形成されている。
突起182は、第1側壁部131の左右方向外側の面から外側に向けて突出する略円柱状の突起であり、逃げ部135を挟んだ搬送方向両側に1つずつ設けられている。
カム取付穴131Bは、第1カム160がネジ173により回転可能に取り付けられる穴である。カム取付穴131Bは、各突起182の搬送方向外側の斜め上方で逃げ部135を挟んだ両側に1つずつ設けられ、さらに、各突起182の搬送方向外側の斜め下方で軸支凹部134を挟んだ両側に1つずつ設けられている。
図6に示すように、第1ガイドフレーム140は、エンドレスベルト111の長手方向におけるベルトユニット110の一端部、具体的には左端部を加圧ローラ120に向けてガイドする部材である。第1ガイドフレーム140は、第1ガイド部141と、第2ガイド部142と、第1ガイド部141と第2ガイド部142を連結する連結部143とを有する側面視略U字形状に形成されている。
第1ガイド部141は、ベルトユニット110の左端部の搬送方向上流側、具体的には前側に配置された部分であり、第2ガイド部142は、ベルトユニット110の左端部の搬送方向下流側、具体的には後側に配置された部分である。第1ガイド部141の搬送方向下流側の縁および第2ガイド部142の搬送方向上流側の縁は、ベルトユニット110の保持部材116のガイド溝116D(図3参照)に係合して、ベルトユニット110の上下のスライド移動をガイドするガイド部140Aとなっている。ガイド部140Aは、ベルトユニット110の左端部の加圧ローラ120に向けての移動をガイドする。
連結部143は、エンドレスベルト111の長手方向から見て、加圧ローラ120のシャフト121や軸受125を挟んでベルトユニット110とは反対側の下側を通って第1ガイド部141の下端と第2ガイド部142の下端とを連結するように設けられている。
第1ガイド部141および第2ガイド部142には、それぞれ、搬送方向、すなわち、突起182が並ぶ方向に延びる長穴181,144が1つずつ形成されている。
長穴181は、第1ガイド部141および第2ガイド部142の上下方向中央部付近にそれぞれ設けられている。長穴181には、支持フレーム130の第1側壁部131に設けられた突起182が係合する。長穴181の上下方向の寸法は、突起182の径と略同じ寸法となっている。
搬送方向に延びる長穴181と突起182とが係合することで、第1ガイドフレーム140は、支持フレーム130および後述する第2ガイドフレーム150に対して、搬送方向の上流側または下流側、本実施形態では、具体的には前後方向にスライド移動可能に設けられている。
一方で、長穴181と突起182は、長穴181の上下方向の寸法が突起182の径と略同じ寸法であることで、第1ガイドフレーム140の移動方向である前後方向と直交する方向、本実施形態では、具体的には上下方向についての、支持フレーム130および第2ガイドフレーム150に対する第1ガイドフレーム140の平行移動を規制している。本実施形態では、長穴181と突起182とを含んで第1規制部180が構成されている。
長穴144は、第1ガイド部141および第2ガイド部142の下端部付近にそれぞれ設けられている。第1ガイドフレーム140は、長穴144に通されたネジ171が、支持フレーム130の第1側壁部131に設けられたネジ穴131A(図5参照)に締結されることで、支持フレーム130に固定される。
ネジ171は、支持フレーム130および第2ガイドフレーム150に対して位置が調整された状態の第1ガイドフレーム140を支持フレーム130に固定する部材である。ネジ171は、第1ガイドフレーム140を支持フレーム130および第2ガイドフレーム150に対して位置調整するまでは、完全には締結されておらず、緩められた状態となっている。これにより、第1ガイドフレーム140を、支持フレーム130および第2ガイドフレーム150に対して前後方向にスライド移動させることができる。
図7に示すように、第2ガイドフレーム150は、エンドレスベルト111の長手方向におけるベルトユニット110の他端部、具体的には右端部を加圧ローラ120に向けてガイドする部材である。第2ガイドフレーム150は、第1ガイド部151と、第2ガイド部152と、第1ガイド部151と第2ガイド部152を連結する連結部153とを有する側面視略U字形状に形成されている。
第1ガイド部151は、ベルトユニット110の右端部の搬送方向上流側、具体的には前側に配置された部分であり、第2ガイド部152は、ベルトユニット110の右端部の搬送方向下流側、具体的には後側に配置された部分である。第1ガイド部151の搬送方向下流側の縁および第2ガイド部152の搬送方向上流側の縁は、ベルトユニット110の保持部材116のガイド溝116D(図3参照)に係合して、ベルトユニット110の上下のスライド移動をガイドするガイド部150Aとなっている。ガイド部150Aは、ベルトユニット110の右端部の加圧ローラ120に向けての移動をガイドする。なお、ベルトユニット110の左右の保持部材116は、図示しないバネによって加圧ローラ120に向けて付勢されている。
ガイド部140A,150Aが、ベルトユニット110の両端部の加圧ローラ120に向けての移動をガイドすることで、例えば、ベルトユニット110を付勢するバネが縮んだときや、加圧ローラ120が熱膨張したときなどには、ベルトユニット110を加圧ローラ120から離れる方向にガイドすることができる。また、ベルトユニット110を付勢するバネが伸びたときや、暖まった加圧ローラ120が冷めて径が縮んだときなどには、ベルトユニット110を加圧ローラ120に近づく方向にガイドすることができる。すなわち、ガイド部140A,150Aは、ベルトユニット110の両端部の加圧ローラ120に離間または近接する方向への移動をガイドする。
連結部153は、エンドレスベルト111の長手方向から見て、加圧ローラ120のシャフト121や軸受125を挟んでベルトユニット110とは反対側の下側を通って第1ガイド部151の下端と第2ガイド部152の下端とを連結するように設けられている。
第1ガイド部151および第2ガイド部152には、それぞれ、下端部付近に略円形の貫通穴154(図4参照)が1つずつ形成されている。第2ガイドフレーム150は、貫通穴154に通されたネジ172が、支持フレーム130の第2側壁部132に設けられたネジ穴132A(図4参照)に締結されることで、支持フレーム130に固定されている。これにより、第2ガイドフレーム150は、第1ガイドフレーム140とは異なり、支持フレーム130に対して移動不能に設けられている。
図6に示すように、第1カム160は、回転動作により支持フレーム130および第2ガイドフレーム150に対する第1ガイドフレーム140の位置を変える部材であり、第1ガイドフレーム140の搬送方向両側で上下に間隔をあけて2つずつ設けられている。
図8(a),(b)に示すように、第1カム160は、カム本体部161と、付勢部材支持部の一例としてのバネ支持部162とを有している。
カム本体部161は、第1ガイドフレーム140の搬送方向外側の面145に係合するカム面163と、貫通穴164とを有している。
カム面163は、断面視略円弧状の凸曲面として形成されており、凸曲面の両側の端から頂部にいくにしたがって、第1カム160の回転中心からの距離が徐々に大きくなるように設けられている。
第1カム160は、貫通穴164、ワッシャ175および支持フレーム130のカム取付穴131Bに通されたネジ173にナット174を締結することで、支持フレーム130に対して適度なフリクションを持った状態で回転可能に設けられている。カム面163は、第1ガイドフレーム140の面145と直接接触している。
バネ支持部162は、カム本体部161のカム面163が形成された側の端部から延出する部分であり、第1ガイドフレーム140を挟んで支持フレーム130とは反対側において第1ガイドフレーム140と所定の間隔をあけて配置されている。バネ支持部162の第1ガイドフレーム140側の面には、ネジ穴165が形成されている。
バネ支持部162と第1ガイドフレーム140との間には、付勢部材の一例としての板バネ190が配置されている。板バネ190は、第1ガイドフレーム140を支持フレーム130に向けて付勢する部材であり、ネジ176によりバネ支持部162に固定される固定部191と、固定部191の端部から第1ガイドフレーム140に向けて延びて第1ガイドフレーム140を支持フレーム130に向けて押圧する押圧部192とを有している。
次に、支持フレーム130および第2ガイドフレーム150に対する第1ガイドフレーム140の位置調整、詳しくは、エンドレスベルト111と加圧ローラ120との平行度の調整について説明する。なお、ここでの位置調整(平行度調整)は、定着装置100を備えるレーザプリンタ1を工場から出荷する前の段階、例えば、レーザプリンタ1の製造工程の途中で行われるものである。
まず、例えば、レーザ測量計を用い、エンドレスベルト111の長手方向の一端部外表面と他端部外表面の位置を測定し、エンドレスベルト111の傾きを算出する。同様に、加圧ローラ120の長手方向の一端部と他端部の位置を測定し、加圧ローラ120の傾きを算出する。その後、エンドレスベルト111の傾きと加圧ローラ120の傾きを比較することにより、エンドレスベルト111と加圧ローラ120の平行度を算出する。
そして、図9(b)に鎖線で示すように、エンドレスベルト111の左端部が右端部に対して前側にずれていることで、エンドレスベルト111が加圧ローラ120に対して非平行である場合、図9(a)に示すように、前側の第1カム160を、カム面163の頂部付近が第1ガイドフレーム140の面145に接触するように回転させる。これにより、後側の第1カム160が回転し、第1ガイドフレーム140を支持フレーム130および第2ガイドフレーム150に対して搬送方向下流側、具体的には後方に移動させることができる。その結果、図9(b)に実線で示すように、エンドレスベルト111の左端部を右端部に対して後方に移動させることができるので、エンドレスベルト111を加圧ローラ120に対して平行な位置に配置することができる。
一方、図10(b)に鎖線で示すように、エンドレスベルト111の左端部が右端部に対して後側にずれていることで、エンドレスベルト111が加圧ローラ120に対して非平行である場合、図10(a)に示すように、後側の第1カム160を、カム面163の頂部付近が第1ガイドフレーム140の面145に接触するように回転させる。これにより、前側の第1カム160が回転し、第1ガイドフレーム140を支持フレーム130および第2ガイドフレーム150に対して搬送方向上流側、具体的には前方に移動させることができる。その結果、図10(b)に実線で示すように、エンドレスベルト111の左端部を右端部に対して前方に移動させることができるので、エンドレスベルト111を加圧ローラ120に対して平行な位置に配置することができる。
第1ガイドフレーム140の位置(エンドレスベルト111の平行度)を調整した後は、緩めてあったネジ171を締め付け、第1ガイドフレーム140を支持フレーム130に固定する。なお、第1ガイドフレーム140を支持フレーム130に固定する前に、再度、エンドレスベルト111と加圧ローラ120の平行度を算出し、平行度が所定の範囲内であるかを確認することが望ましい。
以上説明した本実施形態によれば、第1ガイドフレーム140が支持フレーム130および第2ガイドフレーム150に対して搬送方向の上流側または下流側に移動可能に設けられているので、第1ガイドフレーム140を搬送方向の上流側または下流側に動かすことで、ベルトユニット110の左端部の位置を右端部に対して調整することができる。これにより、エンドレスベルト111と加圧ローラ120との平行度の精度を向上させることができる。
なお、本実施形態において、エンドレスベルト111と加圧ローラ120との平行度の精度を向上させる(平行度を高める)とは、エンドレスベルト111の長手方向と加圧ローラ120の回転軸方向との平行度の精度を向上させる(平行度を高める)とも言うことができる。
また、第1ガイドフレーム140の移動方向と直交する上下方向についての支持フレーム130に対する第1ガイドフレーム140の移動を規制する第1規制部180を備えるので、第1ガイドフレーム140の搬送方向への移動を安定させることができる。これにより、エンドレスベルト111と加圧ローラ120との平行度の調整を容易に行うことができる。
また、回転動作により支持フレーム130および第2ガイドフレーム150に対する第1ガイドフレーム140の位置を変える第1カム160を備えるので、例えば、第1ガイドフレーム140を手などで直接動かしてエンドレスベルト111と加圧ローラ120との平行度の調整を行う場合と比べて、エンドレスベルト111と加圧ローラ120との平行度の調整の精度をより向上させることができる。
また、支持フレーム130に対して位置が調整された状態の第1ガイドフレーム140を支持フレーム130に固定するネジ171を備えるので、例えば、第1カム160のフリクションだけで第1ガイドフレーム140の位置を保持する構成と比べて、エンドレスベルト111と加圧ローラ120との平行度を良好に維持することができる。
また、第1カム160が第1ガイドフレーム140と直接接触するので、例えば、第1カム160が別の部材を介して第1ガイドフレーム140と接触する構成と比べて、エンドレスベルト111と加圧ローラ120との平行度の調整の精度をより向上させることができる。
また、第2ガイドフレーム150が支持フレーム130に対して移動不能に設けられているので、第1ガイドフレーム140を移動させるだけで、エンドレスベルト111と加圧ローラ120との平行度の調整を行うことができる。
また、第1ガイドフレーム140を支持フレーム130に向けて付勢する板バネ190を備えるので、第1ガイドフレーム140と支持フレーム130とのがたつきを抑制することができる。
また、板バネ190が第1カム160の第1ガイドフレーム140を挟んで支持フレーム130とは反対側に配置されるバネ支持部162と第1ガイドフレーム140との間に配置されているので、第1カム160以外の部材にバネを支持する部位を設けたり、バネを支持するための部材を別に設けたりする必要がない。これにより、第1ガイドフレーム140を支持フレーム130に向けて付勢する構成の簡略化や、部品点数の削減などを図ることができる。
また、第1規制部180が、第1ガイドフレーム140に形成された長穴181と、支持フレーム130に形成された突起182とを含むので、比較的簡単な構成で、支持フレーム130および第2ガイドフレーム150に対する第1ガイドフレーム140の上下方向についての移動を規制することができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。なお、以下では、第1実施形態と異なる点について詳細に説明し、第1実施形態と同様の構成要素については同一符号を付して適宜説明を省略する。
図11(a)に示すように、本実施形態において、第1ガイドフレーム140は、支持フレーム130および図示しない第2ガイドフレームに対して、搬送方向にスライド移動可能かつ回動可能に設けられている。
具体的に、支持フレーム130は、第1側壁部131に、前記第1実施形態の2つの突起182の代わりに、1つの突起184が形成されている。突起184は、第1側壁部131の左右方向外側の面から外側に向けて突出する略円柱状の突起であり、軸支凹部134の下側に設けられている。
一方、第1ガイドフレーム140には、前記第1実施形態の2つの長穴181の代わりに、1つの長穴183が形成されている。長穴183は、搬送方向に延びる穴であり、連結部143の下端部に設けられている。長穴183の上下方向の寸法は、突起184の径と略同じ寸法となっている。
搬送方向に延びる長穴183と突起184とが係合することで、第1ガイドフレーム140は、支持フレーム130および第2ガイドフレームに対して、搬送方向の上流側または下流側(前後方向)にスライド移動可能に設けられている。さらに、第1ガイドフレーム140は、突起184を中心に回動することができるので、支持フレーム130および第2ガイドフレームに対して、略搬送方向に回動可能に設けられている。
一方で、長穴183と突起184は、長穴183の上下方向の寸法が突起184の径と略同じ寸法であることで、第1実施形態と同様に、第1ガイドフレーム140の移動方向である前後方向と直交する方向(上下方向)についての支持フレーム130および第2ガイドフレームに対する第1ガイドフレーム140の平行移動を規制している。本実施形態では、長穴183と突起184とを含んで第1規制部180が構成されている。第1規制部180は、回転軸方向から見て、加圧ローラ120のシャフト121を挟んで、ベルトユニット110とは反対側に配置されている。
このような構成により、第1ガイドフレーム140は、図11(b)に示すように、4つの第1カム160を適宜回転させることで、第1ガイドフレーム140を、支持フレーム130および第2ガイドフレームに対して、搬送方向にスライド移動させつつ、さらに回動させることができる。
以上説明した本実施形態によれば、前記した第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、第1ガイドフレーム140が支持フレーム130および第2ガイドフレームに対して搬送方向に移動可能かつ回動可能に設けられているので、第1ガイドフレーム140の位置調整の自由度を向上させることができる。これにより、エンドレスベルト111と加圧ローラ120との平行度の調整を容易に行うことができるとともに、エンドレスベルト111と加圧ローラ120との平行度の精度をより向上させることができる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。
図12に示すように、本実施形態において、定着装置は、前記第1実施形態の第1カム160の代わりに、送りネジ機構を構成するネジ361と、コイルバネ362とを備えている。
また、支持フレーム130の第1側壁部131には、第1延出部131Cおよび第2延出部131Dが形成されている。第1延出部131Cおよび第2延出部131Dは、第1側壁部131の左右方向外側の端部から回転軸方向外側に延出する板状の部位であり、逃げ部135を挟んだ搬送方向両側で、第1延出部131Cが搬送方向上流側(前側)に設けられ、第2延出部131Dが搬送方向下流側(後側)に設けられている。第2延出部131Dには、ネジ溝を有するネジ穴131Eが形成されている。
また、第1ガイドフレーム140の第1ガイド部141には、第1延出部131Cと第2延出部131Dとの間に対応する位置に、回転軸方向外側に延出する板状の第3延出部141Cが形成されている。また、第2ガイド部142には、第1延出部131Cと第2延出部131Dとの間に対応する位置に、回転軸方向外側に延出する板状の第4延出部142Dが形成されている。第1延出部131Cと第3延出部141Cは、搬送方向で対向して配置され、第2延出部131Dと第4延出部142Dは、搬送方向で対向して配置されている。
ネジ361は、回転動作により支持フレーム130および図示しない第2ガイドフレームに対する第1ガイドフレーム140の位置を変える部材であり、第2延出部131Dのネジ穴131Eに螺挿され、ネジ部の先端が第4延出部142Dに当接するように配置されている。
コイルバネ362は、第1延出部131Cと第3延出部141Cとの間で自然長から押し縮められた状態で配置されている。
次に、本実施形態における、支持フレーム130および図示しない第2ガイドフレームに対する第1ガイドフレーム140の位置調整について簡単に説明する。
ネジ361を図示時計回りに回転させて搬送方向上流側に向けて移動させると、第1ガイドフレーム140は、ネジ361によって第4延出部142Dが搬送方向上流側に向けて押されることで、第1延出部131Cと第3延出部141Cとの間でコイルバネ362を押し縮めながら搬送方向上流側に移動する。これにより、図示しないベルトユニットの左端部を右端部に対して前方に移動させることができ、図示しないエンドレスベルトを加圧ローラ120に対して平行な位置に配置することが可能となる。
一方、ネジ361を図示反時計回りに回転させて搬送方向下流側に向けて移動させると、第1ガイドフレーム140は、コイルバネ362の復元力によって第3延出部141Cが搬送方向下流側に向けて押されることで、搬送方向下流側に移動する。これにより、ベルトユニットの左端部を右端部に対して後方に移動させることができ、エンドレスベルトを加圧ローラ120に対して平行な位置に配置することが可能となる。
なお、本実施形態において、このような第1ガイドフレーム140の位置調整は、第1実施形態の場合と同様に、定着装置を備えるレーザプリンタ1を工場から出荷する前の段階で行ってもよいが、第1ガイドフレーム140の位置を制御可能に構成してもよい。具体的には、定着装置は、ネジ361を回転させるアクチュエータと、エンドレスベルトと加圧ローラ120との平行度を測定する測定装置と、測定装置の測定結果に基づいてアクチュエータを制御する制御装置とを備える構成としてもよい。そして、レーザプリンタ1の出荷後、ユーザが使用している段階で、エンドレスベルトと加圧ローラ120との平行度がずれた場合に、制御装置がアクチュエータを制御して、エンドレスベルトと加圧ローラ120との平行度を調整する構成としてもよい。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。
前記した第1実施形態では、第2ガイドフレーム150が支持フレーム130に対して移動不能に設けられていた。本実施形態は、第2ガイド部材としての第2ガイドフレームが、支持フレーム130および第1ガイド部材としての第1ガイドフレームに対して、搬送方向の上流側または下流側に移動可能に設けられている形態である。具体的には、図13に示すように、第2ガイドフレーム150側が第1ガイドフレーム140側と左右対称に構成された形態である。
詳しく説明すると、定着装置100は、支持フレーム130と、第1ガイドフレーム140と、第2ガイドフレーム150と、第1カム160と、固定部材としてのネジ171,172と、第2調整部材の一例としての第2カム260とを備えている。
支持フレーム130の第2側壁部132には、第1側壁部131の2つの突起182に対応する位置に2つの突起282が形成され、第1側壁部131の4つのカム取付穴131Bに対応する位置に4つのカム取付穴132Bが形成されている。また、第2ガイドフレーム150には、第1ガイドフレーム140と同様に、搬送方向に延びる長穴281,154が2つずつ形成されている。
搬送方向に延びる長穴281と突起282とが係合することで、第2ガイドフレーム150は、支持フレーム130および第1ガイドフレーム140に対して、搬送方向の上流側または下流側(前後方向)にスライド移動可能に設けられている。一方で、長穴281と突起282は、第2ガイドフレーム150の移動方向と直交する方向(上下方向)についての、支持フレーム130および第1ガイドフレーム140に対する第2ガイドフレーム150の平行移動を規制している。本実施形態では、長穴281と突起282とを含んで第2規制部280が構成されている。
第2カム260は、回転動作により支持フレーム130および第1ガイドフレーム140に対する第2ガイドフレーム150の位置を変える部材であり、第2ガイドフレーム150の搬送方向両側で上下に間隔をあけて2つずつ設けられている。第2カム260は、第1カム160と同様に、符号を省略して示すカム本体部と、バネ支持部とを有している。そして、カム本体部は、第2ガイドフレーム150の搬送方向外側の面に係合するカム面163を有している。
第2カム260は、第1カム160と同様に、支持フレーム130に対して適度なフリクションを持った状態で回転可能に設けられている。第2カム260のカム面163は、第2ガイドフレーム150の搬送方向外側の面と直接接触する。なお、各第2カム260は、それぞれ、他の第2カム260や第1カム160とは独立して回転するように設けられている。
次に、支持フレーム130および第1ガイドフレーム140に対する第2ガイドフレーム150の位置調整について簡単に説明する。
右の第2カム260の前側に配置されたものをカム面163の頂部付近が第2ガイドフレーム150に接触するように回転させると、第2ガイドフレーム150を支持フレーム130および第1ガイドフレーム140に対して搬送方向下流側に移動させることができる。これにより、ベルトユニット110の右端部を左端部に対して後方に移動させることができる。
一方、第2カム260の後側に配置されたものをカム面163の頂部付近が第2ガイドフレーム150に接触するように回転させると、第2ガイドフレーム150を支持フレーム130および第1ガイドフレーム140に対して搬送方向上流側に移動させることができる。これにより、ベルトユニット110の右端部を左端部に対して前方に移動させることができる。
このような第2ガイドフレーム150の位置調整により、エンドレスベルト111を加圧ローラ120に対して平行な位置に配置することが可能となる。
以上説明した本実施形態によれば、前記した第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、第2ガイドフレーム150が支持フレーム130および第1ガイドフレーム140に対して搬送方向の上流側または下流側に移動可能に設けられているので、第2ガイドフレーム150を搬送方向の上流側または下流側に動かすことで、ベルトユニット110の右端部の位置を左端部に対して調整することができる。これにより、第1ガイドフレーム140の位置調整と合わせて、エンドレスベルト111と加圧ローラ120との平行度の精度をより向上させることができる。
また、回転動作により支持フレーム130および第1ガイドフレーム140に対する第2ガイドフレーム150の位置を変える第2カム260を備えるので、例えば、第2ガイドフレーム150を手などで直接動かしてエンドレスベルト111と加圧ローラ120との平行度の調整を行う場合と比べて、エンドレスベルト111と加圧ローラ120との平行度の調整の精度をより向上させることができる。
また、第2ガイドフレーム150の移動方向と直交する上下方向についての支持フレーム130に対する第2ガイドフレーム150の移動を規制する第2規制部280を備えるので、第2ガイドフレーム150の搬送方向への移動を安定させることができる。これにより、エンドレスベルト111と加圧ローラ120との平行度の調整を容易に行うことができる。
また、第2カム260が第2ガイドフレーム150と直接接触するので、例えば、第2カム260が別の部材を介して第2ガイドフレーム150と接触する構成と比べて、エンドレスベルト111と加圧ローラ120との平行度の調整の精度をより向上させることができる。
以上、実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、下記のように発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
前記第1実施形態では、第1規制部180が、第1ガイドフレーム140に形成された長穴181と、支持フレーム130に形成された突起182とを含んで構成されていたが、これに限定されるものではない。例えば、第1規制部は、支持フレームに形成された長穴と、第1ガイドフレームに形成された突起とを含んで構成されていてもよい。第4実施形態で説明した第2規制部についても同様である。
前記第1実施形態では、固定部材としてネジ171を例示したが、これに限定されず、例えば、固定部材は、ビスなどであってもよい。また、本発明の定着装置は、固定部材を備えずに、例えば、第1ガイドフレームや第2ガイドフレームを支持フレームに対して溶接して固定してもよい。
前記第1実施形態では、付勢部材として板バネ190を例示したが、これに限定されず、例えば、付勢部材は、コイルバネやクリップ状のバネなどであってもよい。また、前記第1実施形態では、付勢部材としての板バネ190が第1カム160に固定されていたが、これに限定されず、例えば、付勢部材は、支持フレームなどに固定されていてもよい。
前記第1実施形態では、支持部材としての支持フレーム130と、支持フレーム130に対して移動不能に設けられる第2ガイド部材としての第2ガイドフレーム150とが別部品として構成されていたが、これに限定されるものではない。例えば、支持部材と第2ガイド部材は、一部品として一体に構成されていてもよい。
前記実施形態では、第1ガイドフレーム140や第2ガイドフレーム150が支持フレーム130に直接移動可能に支持されていたが、これに限定されず、例えば、第1ガイドフレームや第2ガイドフレームは、支持フレームに固定された中間フレームなどに移動可能に支持されていてもよい。この場合、第1規制部や第2規制部は、例えば、中間フレームに設けられた長穴および突起の一方と、第1ガイドフレームや第2ガイドフレームに設けられた長穴および突起の他方とを含む構成などとすることができる。
前記実施形態では、定着装置100が、第1調整部材としての第1カム160や、第2調整部材としての第2カム260を備える構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、定着装置は、カムのような調整部材を備えず、手で第1ガイドフレームや第2ガイドフレームを移動させて位置調整を行う構成であってもよい。
前記実施形態では、本発明の定着装置を備えた画像形成装置として、用紙Sにモノクロ画像を形成するレーザプリンタ1を例示したが、これに限定されず、例えば、用紙にカラー画像を形成可能なプリンタであってもよい。また、画像形成装置は、プリンタに限定されず、例えば、フラットベッドスキャナなどの原稿読取装置を備える複写機や複合機などであってもよい。
前記実施形態では、シートとして用紙Sを例示したが、これに限定されず、例えば、シートは、OHPシートなどであってもよい。