JP6582314B2 - 3次元像構築方法、画像処理装置、および電子顕微鏡 - Google Patents

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Description

本発明は、3次元像構築方法、画像処理装置、および電子顕微鏡に関する。
電子顕微鏡を用いた生物試料の構造解析方法としては、電子線結晶学による2次元結晶を用いた構造解析方法、単粒子解析法、電子線トモグラフィー法、の3つの方法が知られている。
電子線結晶学による2次元結晶を用いた構造解析方法では、様々な傾斜角度(例えば、0度、20度、45度、60度等)に傾斜した試料から電子線回折像および電子顕微鏡像(明視野像)を取得し、電子線回折像の回折点の強度から振幅情報を求め、電子顕微鏡像から位相情報を求めることによって立体的な構造が解析される。電子線結晶学を用いることで、良好な2次結晶が得られる場合には、1.9Åという高い分解能での解析が可能であり、膜タンパク質の構造のみならず、脂質分子や、水分子などを含む詳細な構造も解析することができる。
単粒子解析法は、タンパク質など生体高分子の単離した一分子の粒子から得た電子顕微鏡像から画像処理によってその立体構造を再構成する手法である(例えば、特許文献1参照)。
単粒子解析法では、近年、TRP(Transient Receptor Potential)チャネルのような膜タンパク質の構造が3.4Åの分解能で構造解析されている。単粒子解析では、結晶を作製することなく、膜タンパク質の立体構造を原子モデルが作製できるレベルの高い分解能で解析できる。
近年の単粒子解析法の発展は、安定な低温電子顕微鏡の開発に加えて、画像を記録する装置における革新的な進展によってもたらされた。これまでは、電子顕微鏡用フィルムに電子顕微鏡像を記録するか、電子線を蛍光剤で光に変換し、それをCCD(Charge Coupled Device)などで記録するカメラが用いられてきた。これに対して、近年、電子線を直接CMOS(Complementary MOS)カメラ等に記録する装置が開発され、記録方法の改良がなされた。これにより、DQE(Detective Quantum Efficiency)が大きく向上すると共にMTF(Modulation Transfer Function)も大きく向上した。このような装置の発展によって極めて高効率に高分解能の画像を記録することができるようになった。このような技術発展によって、膜タンパク質についても、単粒子解析法を用いて結晶を作製することなく高分解能の構造解析ができるようになった。
しかし、単粒子解析を用いたTRPの構造解析においては、界面活性剤を用いるとミセルが深刻なバックグラウンドノイズとなるという問題がある。そのため、TRPの構造解析では、界面活性剤をamphipolsに置き換えることによってミセルを取り除いていた。TRPの場合には、界面活性剤をamphipolsに置き換えることができたが、必ずしもこの置き換えは一般的に可能ではない。
電子線トモグラフィー法は、試料を連続的に近い少ない角度変化で傾斜させて撮影した多数の電子顕微鏡像を画像処理し、3次元構造を再構成する手法である(例えば特許文献2参照)。電子線トモグラフィー法を用いると、複雑な構造体の立体構造を解析することができる。しかし、電子線結晶学を用いた構造解析方法や単粒子解析法のように、多くの分子を平均化してSN比を向上させることはできないため、現状では30Åより高い分解能での解析が困難である。
以上のように、電子顕微鏡を用いた高分解能の構造解析には、3種類の方法が用いられているが、特に、単粒子解析法が大きな注目を浴びつつある。単粒子解析法が注目される理由は、成功するか否かわからない結晶化の努力を行わなくても立体構造が解析でき、また、その分解能が原子モデルを作製できるレベルの3.5Åより高い分解能での解析が可能となってきたことによる。それゆえ、単粒子解析法は、基礎生物学研究の発展のみならず、創薬のための構造研究をはじめとする多くの応用を含む研究分野において大きな期待と注目を得るようになってきた。
特開2007−41738号公報 特開2012−209050号公報
しかし、単粒子解析法を用いて、創薬の標的として重要な膜タンパク質の構造を解析しようとした場合には、重要な問題点が残されている。
膜タンパク質の単粒子解析法を用いた構造解析では、膜タンパク質の疎水的な部分を界面活性剤で覆うことで可溶化し、あるいは界面活性剤をamphipolsに置き換えて、構造解析が行われる。すなわち、膜タンパク質が本来機能している脂質膜内には存在しない状態で構造が解析されることになる。これまでに行われた膜タンパク質の構造解析研究から、膜タンパク質の構造を本来機能している脂質膜内に存在する状態で構造解析する重要性が明らかになってきた。
例えば、脳に多くの発現が確認されている水チャネル、アクアポリン−4の構造が電子線結晶学を用いた構造解析方法により2.8Åの分解能で解析され、水チャネル内の水分子が明確に分離して観察されている。ところが、X線結晶構造解析で解析された同じアクアポリン−4の構造では、分解能がより高い1.8Åで解析されたにもかかわらず、水分子の位置はぼやけて水分子を分離して観察することができなかった。
その理由は、X線結晶構造解析では、界面活性剤により脂質分子を溶かし去った状態で構造が解析されたために、脂質膜の特徴的な静電分布(Dielectric constant)が無くなってしまい、短いヘリックスの双極子(helix dipole)による静電場が弱くなって、水チャネル内での水分子の配向が崩れてしまったことが原因と考えられる。なお、このような短いヘリックスが形成する静電場は、水チャネルに見られるだけでなく、他のイオンチャネルにおいても重要な役割を果たしている。
また、膜タンパク質は、脂質膜の横からの圧力の中にある状態で、構造を形成しているので、その脂質膜による圧力がない場合には、構造が変化してしまう、あるいは、変性してしまう恐れがある。
以上のように、膜タンパク質は、本来それらが働いている脂質膜の中での構造を知る必要があるが、単粒子解析法では、上述のように膜タンパク質の疎水的な部分を界面活性剤で覆うことによって可溶化し、バッファー内に分散した状態の像を撮影して、構造を解析する。そのため、単粒子解析法では、電子線結晶学法で解析されるような、本来の機能構造を解析することは困難である。
図13は、界面活性剤を用いて可溶化して単粒子解析を行う際の膜タンパク質4の状態を示す図である。界面活性剤を用いて膜タンパク質4の単粒子解析を行う場合には、図13に示すように、界面活性剤dがミセルmを形成して、高いバックグラウンドノイズを与えるために、膜タンパク質4の正確な構造解析が困難である。そのため、高分解能での構造解析に成功した近年の単粒子解析では、上述したように、界面活性剤をamphipolsに置き換えている。ただし、この置き換えが困難な膜タンパク質も存在しており、このような置き換えが困難な膜タンパク質の単粒子解析を進めるために、新たな手法が望まれている。
また、そもそも多くの膜タンパク質は、界面活性剤で脂質膜から溶かしだして精製すると変性してしまい構造解析が困難になる。このような不安定な膜タンパク質の構造研究を行うためには、界面活性剤で可溶化することなく構造解析ができることが望ましい。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、脂質膜内に存在する膜タンパク質の3次元像を構築することができる3次元像構築方法および画像処理装置を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記画像処理装置を含む透過電子顕微鏡を提供することにある。
(1)本発明に係る3次元像構築方法は、
膜タンパク質の3次元像を構築する3次元像構築方法であって、
脂質膜内に存在する前記膜タンパク質を含む試料に、前記脂質膜の膜面の垂線に対して傾いた方向から電子線を入射して撮影された、前記試料の第1透過電子顕微鏡像を取得する工程と、
前記試料に、前記脂質膜の膜面に対して垂直に前記電子線を入射して撮影された、前記試料の第2透過電子顕微鏡像を取得する工程と、
前記第1透過電子顕微鏡像の前記膜タンパク質の向きを、前記第2透過電子顕微鏡像において対応する前記膜タンパク質の前記脂質膜に垂直な軸に対する回転角から特定する工程と、
前記第1透過電子顕微鏡像から前記膜タンパク質の粒子像を取り出し、取り出した前記粒子像を、前記膜タンパク質の向きを特定する工程で特定された前記膜タンパク質の向きで分類し、分類された前記粒子像を平均化して、前記膜タンパク質の3次元像を構築する工程と、
を含み、
前記第1透過電子顕微鏡像の撮影の後に、前記第2透過電子顕微鏡像の撮影が行われ、
前記第2透過電子顕微鏡像を撮影するときのデフォーカス量は、前記第1透過電子顕微鏡像を撮影するときのデフォーカス量よりも大きい
このような3次元像構築方法では、脂質膜の膜面に対して垂直に電子線を入射して撮影された第2透過電子顕微鏡像に基づいて、脂質膜の膜面の垂線に対して傾いた方向から電子線を入射して撮影された第1透過電子顕微鏡像の膜タンパク質の向きを特定して、膜タンパク質の3次元像を構築することができる。したがって、このような3次元像構築方法では、脂質膜内に存在する膜タンパク質の3次元像を構築することができる。
)本発明に係る3次元像構築方法において、
前記試料に、前記脂質膜の膜面の垂線に対して前記第1透過電子顕微鏡像の撮影のときとは異なる角度で傾いた方向から前記電子線を入射して撮影された、前記試料の第3透過電子顕微鏡像を取得する工程と、
前記第2透過電子顕微鏡像に基づいて、前記第3透過電子顕微鏡像の前記膜タンパク質の向きを特定する工程と、
を含み、
前記膜タンパク質の3次元像を構築する工程では、特定された前記膜タンパク質の向きの情報に基づいて、前記第1透過電子顕微鏡像および前記第3透過電子顕微鏡像から前記膜タンパク質の3次元像を構築してもよい。
このような3次元像構築方法では、互いに電子線の入射角度の異なる第1透過電子顕微鏡像および第3透過電子顕微鏡像から、3次元像を構築することができるため、より高分解能の3次元像を構築することができる。
)本発明に係る3次元像構築方法において、
前記第2透過電子顕微鏡像を撮影するときの前記試料に対する前記電子線のドーズ量は、前記第1透過電子顕微鏡像を撮影するときの前記試料に対する前記電子線のドーズ量よりも多くてもよい。
このような3次元像構築方法では、高いコントラストを達成するために第1透過電子顕微鏡像とは異なる焦点条件で撮影することができる第2透過電子顕微鏡像を得ることができ、かつ、試料損傷の少ない第1透過電子顕微鏡像を得ることができる。
)本発明に係る画像処理装置は、
膜タンパク質の3次元像を構築する画像処理装置であって、
脂質膜内に存在する前記膜タンパク質を含む試料に、前記脂質膜の膜面の垂線に対して傾いた方向から電子線を入射して撮影された、前記試料の第1透過電子顕微鏡像を取得する第1像取得部と、
前記試料に、前記脂質膜の膜面に対して垂直に前記電子線を入射して撮影された、前記試料の第2透過電子顕微鏡像を取得する第2像取得部と、
前記第1透過電子顕微鏡像の前記膜タンパク質の向きを、前記第2透過電子顕微鏡像において対応する前記膜タンパク質の前記脂質膜に垂直な軸に対する回転角から特定する向き特定部と、
前記第1透過電子顕微鏡像から前記膜タンパク質の粒子像を取り出し、取り出した前記粒子像を、前記膜タンパク質の向きを特定する工程で特定された前記膜タンパク質の向きで分類し、分類された前記粒子像を平均化して、前記膜タンパク質の3次元像を構築する3次元像構築部と、
を含み、
前記第2透過電子顕微鏡像は、前記第1透過電子顕微鏡像の撮影の後に撮影されたものであり、
前記第2透過電子顕微鏡像は、前記第1透過電子顕微鏡像を撮影するときのデフォーカス量よりも大きいデフォーカス量で撮影されたものである
このような画像処理装置では、脂質膜の膜面に対して垂直に電子線を入射して撮影された第2透過電子顕微鏡像に基づいて、脂質膜の膜面の垂線に対して傾いた方向から電子線を入射して撮影された第1透過電子顕微鏡像の膜タンパク質の向きを特定して、膜タンパク質の3次元像を構築することができる。したがって、このような画像処理装置では、脂質膜内に存在する膜タンパク質の3次元像を構築することができる。
)本発明に係る画像処理装置において、
前記試料に、前記脂質膜の膜面の垂線に対して前記第1透過電子顕微鏡像の撮影のときとは異なる角度で傾いた方向から前記電子線を入射して撮影された、前記試料の第3透過電子顕微鏡像を取得する第3像取得部を含み、
前記向き特定部は、前記第2透過電子顕微鏡像に基づいて、前記第3透過電子顕微鏡像の前記膜タンパク質の向きを特定し、
前記3次元像構築部は、特定された前記膜タンパク質の向きの情報に基づいて、前記第1透過電子顕微鏡像および前記第3透過電子顕微鏡像から前記膜タンパク質の3次元像を構築してもよい。
このような画像処理装置では、互いに電子線の入射角度の異なる第1透過電子顕微鏡像および第3透過電子顕微鏡像から、3次元像を構築することができるため、より高分解能の3次元像を構築することができる。
)本発明に係る電子顕微鏡は、
本発明に係る画像処理装置を含む。
このような電子顕微鏡では、本発明に係る画像処理装置を含むため、脂質膜内に存在する膜タンパク質の3次元像を構築することができる。
図1は、試料を模式的に示す斜視図である。 図2は、試料を模式的に示す平面図である。 図3は、第1実施形態に係る画像処理装置を含む電子顕微鏡の構成を模式的に示す図である。 図4は、第1実施形態に係る画像処理装置の3次元像構築部の処理を説明するための図である。 図5は、第1実施形態に係る3次元像構築方法の一例を示すフローチャートである。 図6は、60°傾斜像を撮影する際の試料の状態を模式的に示す斜視図である。 図7は、非傾斜像を撮影する際の試料の状態を模式的に示す斜視図である。 図8は、非傾斜像の膜タンパク質を模式的に示す図である。 図9は、精製されていない膜タンパク質を含む試料の、60°傾斜像を撮影する際の状態を模式的に示す斜視図である。 図10は、精製されていない膜タンパク質を含む試料の、非傾斜像を撮影する際の状態を模式的に示す斜視図である。 図11は、第2実施形態に係る画像処理装置を含む電子顕微鏡の構成を模式的に示す図である。 図12は、第2実施形態に係る3次元像構築方法の一例を示すフローチャートである。 図13は、界面活性剤を用いて可溶化して単粒子解析を行う際の膜タンパク質の状態を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 第1実施形態
1.1. 試料
まず、構造解析(3次元像構築)の対象となる試料について説明する。図1は、構造解析の対象となる試料2を模式的に示す斜視図である。図2は、試料2を模式的に示す平面図である。なお、図2では、便宜上、脂質膜3の図示を省略している。
試料2は、脂質膜(脂質二重膜)3内に存在する膜タンパク質4を含む。膜タンパク質4は、図1に示すように、脂質膜3内において脂質膜3の膜面3a(例えば脂質膜3の上面)に垂直に存在する。膜タンパク質4は、脂質膜3を、脂質膜3の膜面3aに垂直な方向に貫通している。また、膜タンパク質4の各粒子は、図1および図2に示すように、様々な方向を向いている。すなわち、膜タンパク質4の各粒子は、脂質膜3の膜面3aに垂直な軸に対する回転がランダムであり隣り合う粒子との間隔もランダムである。なお、図2の矢印は、膜タンパク質4の各粒子の向きを表している。例えば、図2に示すように、膜タンパク質4の各粒子の向きを示す軸(矢印)と、任意の方向の軸Aと、がなす角度θは、様々な大きさとなる。角度θは、膜タンパク質4の各粒子の、脂質膜3の膜面3aに垂直な軸に対する回転角ということもできる。膜タンパク質4の向き(各粒子の向き)は、回転角θで表すこともできる。
試料2は、例えば、界面活性剤を用いて膜タンパク質4を精製し、精製された膜タンパク質4に脂質分子を加えて透過法で界面活性剤を除き、脂質膜3に再構成して脂質膜3の中に疎に分散した状態の膜タンパク質4を含む脂質膜断片を作製することで得られる。
試料2としては、上記のように、膜タンパク質4が精製されて、膜タンパク質4が疎に脂質膜3内に分散した試料が望ましい。膜タンパク質4の分散の程度は、脂質とタンパク質の混合比(LPR: lipid protein ratio)を調整することによって制御することができる。
また、試料2は、膜タンパク質4が互いに比較的近い状態で分散しているが、結晶性は示さない状態の膜断片であってもよい。また、試料2は、界面活性剤で精製していない膜タンパク質であってもよい。
試料2は、カーボン膜5で支持されている。カーボン膜5は、原子レベルで平坦であることが望ましい。
試料2は、例えば、氷包埋される。具体的には、まず、スパークを飛ばすことなく雲母劈開面上に真空蒸着して作製されたカーボン膜5に試料2を吸着させて、余分なバッファー液をろ紙で吸い取る。そして、カーボン膜5に吸着された試料2を、液体エタンに落下させて急速凍結を行うことにより、試料2を氷包埋する。氷包埋された試料2は、電子顕微鏡の試料ステージ(冷却ステージ)に装着される。
1.2. 画像処理装置および電子顕微鏡
次に、第1実施形態に係る画像処理装置を含む電子顕微鏡1000について図面を参照しながら説明する。図3は、第1実施形態に係る画像処理装置100を含む電子顕微鏡1000の構成を模式的に示す図である。
電子顕微鏡本体10は、透過電子顕微鏡である。電子顕微鏡本体10は、試料2を透過した電子で結像して、透過電子顕微鏡像を得る装置である。ここでは、電子顕微鏡本体10は、透過電子顕微鏡(TEM)である例について説明するが、電子顕微鏡本体10は、走査透過電子顕微鏡(STEM)であってもよい。
電子顕微鏡1000では、試料2を低温に冷やすことができる。これにより、電子線EBが照射されることによる試料2の損傷を低減することができる。すなわち、電子顕微鏡1000は、いわゆる低温電子顕微鏡システムである。
電子顕微鏡1000は、図3に示すように、電子顕微鏡本体10と、画像処理装置100と、を含む。
電子顕微鏡本体10は、電子線源11と、集束レンズ12と、対物レンズ13と、傾斜機構を有する試料ステージ14と、試料ホルダー15と、中間レンズ16と、投影レンズ17と、撮像部18と、を含む。
電子線源11は、電子線EBを発生させる。電子線源11は、陰極から放出された電子を陽極で加速し電子線EBを放出する。電子線源11としては、例えば、電子銃を用いることができる。電子線源11として用いられる電子銃は特に限定されず、例えば熱電子放出型や、熱電界放出型、冷陰極電界放出型などの電子銃を用いることができる。
集束レンズ(コンデンサーレンズ)12は、電子線源11の後段(電子線EBの下流側)に配置されている。集束レンズ12は、電子線源11で発生した電子線EBを集束して試料2に照射するためのレンズである。集束レンズ12は、図示はしないが、複数のレンズを含んで構成されていてもよい。
対物レンズ13は、集束レンズ12の後段に配置されている。対物レンズ13は、試料2を透過した電子線EBで結像するための初段のレンズである。対物レンズ13は、図示はしないが、上部磁極(ポールピースの上極)、および下部磁極(ポールピースの下極)を有している。対物レンズ13では、上部磁極と下部磁極との間に磁場を発生させて電子線EBを集束させる。
試料ステージ14は、試料2を保持する。図示の例では、試料ステージ14は、試料ホルダー15を介して、試料2を保持している。試料ステージ14は、例えば、対物レンズ13の上部磁極と下部磁極との間に試料2を位置させる。試料ステージ14は、試料ホルダー15を移動および静止させることにより、試料2の位置決めを行うことができる。試料ステージ14は、試料2を水平方向(電子線EBの進行方向に対して直交する方向)や鉛直方向(電子線EBの進行方向に沿う方向)に移動させることができる。試料ステージ14は、さらに、試料2を傾斜させることができる。試料ステージ14は画像処理装置100との連結が行われ、画像処理装置100は試料が移動、傾斜するように試料ステージ14を制御する。
試料ステージ14は、図示の例では、対物レンズ13のポールピース(図示せず)の横から試料2を挿入するサイドエントリーステージである。なお、図示はしないが、試料ステージ14は、ポールピースの上方から試料2を挿入するトップエントリーステージであってもよい。
試料ステージ14は、試料2を冷却することが可能な冷却ステージである。試料ステージ14では、例えば、試料ホルダー15に液体窒素や、液体ヘリウムを導入して試料2を冷却することができる。
中間レンズ16は、対物レンズ13の後段に配置されている。投影レンズ17は、中間レンズ16の後段に配置されている。中間レンズ16および投影レンズ17は、対物レンズ13によって結像された像をさらに拡大し、撮像部18に結像させる。電子顕微鏡1000では、対物レンズ13、中間レンズ16、および投影レンズ17によって、結像系が構成されている。中間レンズ16は、図示はしないが、複数のレンズを含んで構成されていてもよい。
撮像部18は、結像系によって結像された透過電子顕微鏡像(TEM像)を撮影する。撮像部18は、例えば、CCDカメラや、CMOSカメラ等のデジタルカメラである。撮像部18は、撮影した透過電子顕微鏡像の情報を画像処理装置100に出力する。
電子顕微鏡本体10は、図示の例では、除振器20を介して架台22上に設置されている。
画像処理装置100は、電子顕微鏡本体10で撮影された試料2の透過電子顕微鏡像に基づいて、膜タンパク質4の3次元像を構築するための装置である。画像処理装置100は、図3に示すように、処理部110と、操作部120と、表示部122と、記憶部124と、情報記憶媒体126を、を含む。
操作部120は、ユーザーによる操作に応じた操作信号を取得し、処理部110に送る処理を行う。操作部120は、例えば、ボタン、キー、タッチパネル型ディスプレイ、マイクなどである。
表示部122は、処理部110によって生成された画像を表示するものであり、その機能は、LCD、CRTなどにより実現できる。表示部122は、例えば、処理部110で生成された膜タンパク質4の投影像、および、3次元像を表示する。
記憶部124は、処理部110のワーク領域となるもので、その機能はRAMなどにより実現できる。記憶部124は、処理部110が各種の計算処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。また、記憶部124は、処理部110の作業領域として用いられ、処理部110が各種プログラムに従って実行した算出結果等を一時的に記憶するためにも使用される。
情報記憶媒体126(コンピューターにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、その機能は、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、或いはメモリ(ROM)などにより実現できる。処理部110は、情報記憶媒体126に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。情報記憶媒体126には、処理部110の各部としてコンピューターを機能させるためのプログラムを記憶することができる。
処理部110は、記憶部124に記憶されているプログラムに従って、各種の計算処理を行う。処理部110は、記憶部124に記憶されているプログラムを実行することで、以下に説明する、第1像取得部112、第2像取得部114、向き特定部116、3次元像構築部118として機能する。処理部110の機能は、各種プロセッサ(CPU、DSP等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。なお、処理部110の少なくとも一部をハードウェア(専用回路)で実現してもよい。処理部110は、第1像取得部112と、第2像取得部114と、向き特定部116と、3次元像構築部118と、を含む。
第1像取得部112は、撮像部18から出力された像情報を取り込むことで、試料2に脂質膜3の膜面3aの垂線に対して傾いた方向から電子線EBを入射して撮影された透過電子顕微鏡像(第1透過電子顕微鏡像、以下「傾斜像」ともいう)を取得する。例えば、第1像取得部112は、脂質膜3の膜面3aの垂線に対して60°傾いた方向から電子線EBを入射して撮影された60°傾斜像を取得する。なお、第1像取得部112が取得する傾斜像を撮影するときの電子線EBの傾きは、60°に限定されない角度であり、例えば、0°から70°の任意の角度である。
第2像取得部114は、撮像部18から出力された像情報を取り込むことで、試料2の傾斜像を撮影した試料2の領域と同じ領域に脂質膜3の膜面3aに対して垂直に電子線EBを入射して撮影された透過電子顕微鏡像(第2透過電子顕微鏡像、以下「非傾斜像」ともいう)を取得する。
向き特定部116は、非傾斜像に基づいて、傾斜像の膜タンパク質4の向きを特定する。向き特定部116は、傾斜像の膜タンパク質4の各粒子の向きを、非傾斜像において対応する膜タンパク質4の粒子の向きから特定する。膜タンパク質4の向きは、例えば、膜タンパク質4の各粒子の、脂質膜3の膜面3aに垂直な軸に対する回転(回転角θ、図2参照)として表わされる。すなわち、向き特定部116は、膜タンパク質4の向きの情報として、膜タンパク質4の各粒子の回転角θの情報を生成する。
3次元像構築部118は、特定された膜タンパク質4の向きの情報に基づいて、傾斜像から膜タンパク質4の3次元像を構築する。
図4は、3次元像構築部118の処理を説明するための模式図である。3次元像構築部118は、まず、傾斜像から膜タンパク質4の各粒子の像(粒子像)を取り出す。そして、向き特定部116で特定された膜タンパク質4の各粒子の向きの情報(回転角θの情報など)を加味して、取り出した粒子像を膜タンパク質4の向き(回転角θなど)で分類する(クラス分けする)。そして、分類された同一の投影粒子像、すなわち、膜タンパク質4の向きが同じまたは向きが近い粒子像(同じクラスに属する粒子像)を、平均化する。これにより、膜タンパク質4の向きごとに(すなわち、投影方向ごとに)平均化された粒子像4m,4m,4m,・・・、4m(nは2以上の整数、図示の例ではn=12)が得られる。3次元像構築部118は、平均化された粒子像4m,4m,4m,・・・、4mを用いて、単粒子解析法と同様に逆投影法によって、膜タンパク質4の3次元像を構築する。この模式図(図4)は描画の都合上平面的に描写されているが、立体的に再構成するものである。
1.3. 3次元像構築方法
次に、第1実施形態に係る画像処理装置100を含む電子顕微鏡1000を用いた、膜タンパク質4の3次元像を構築する方法について、図面を参照しながら説明する。図5は、第1実施形態に係る3次元像構築方法の一例を示すフローチャートである。
まず、低い倍率条件(例えば、デフォーカスした回折像条件)で試料を非傾斜にした条件で、最適視野(撮影する試料)を選択する(ステップS1)。次に、その選択した試料位置の60°傾斜像が撮影できるように、試料を60°傾斜させる。そして、試料2に、脂質膜3の膜面3aの垂線に対して傾いた方向から電子線EBを入射して撮影された、試料2の傾斜像を取得する(ステップS10)。なお、ここでは、60°傾斜像を取得する例について説明する。
図6は、60°傾斜像を撮影する際の試料2の状態を模式的に示す斜視図である。なお、図6に示す矢印は、電子線EBの入射方向を表している。60°傾斜像は、図6に示すように、試料ステージ14によって試料ホルダー15に保持された試料2を60°傾斜させた状態で撮影される。これにより、試料2に、脂質膜3の膜面3aに対して60°傾いた方向から電子線EBを入射することができ、60°傾斜像が得られる。
第1像取得部112は、このようにして撮影された60°傾斜像の像情報を取り込み、60°傾斜像を取得する。
次に、試料2の60°傾斜像を撮影した領域に、脂質膜3の膜面3aに対して垂直に電子線EBを入射して撮影された、試料2の非傾斜像を取得する(ステップS12)。
図7は、非傾斜像を撮影する際の試料2の状態を模式的に示す斜視図である。なお、図7に示す矢印は、電子線EBの入射方向を表している。非傾斜像は、図7に示すように、試料ステージ14によって試料ホルダー15に保持された試料2を傾斜させずに、例えば水平な状態で撮影される。これにより、試料2に脂質膜3の膜面3aに垂直な方向から電子線EBを入射することができる。非傾斜像は、60°傾斜像と同じ視野で撮影される。なお、60°傾斜像と非傾斜像とは、完全に同じ視野でなくてもよく、60°傾斜像と非傾斜像に、試料2の同じ領域が含まれていればよい。
非傾斜像を撮影するときの試料2に対する電子線EBのドーズ量は、60°傾斜像を撮影するときの試料2に対する電子線EBのドーズ量と同じか、あるいは多くなるような条件で撮影される。
なお、膜タンパク質4が比較的分子量が小さい膜タンパク質の場合には、非傾斜像のコントラストが低くなってしまう場合がある。その場合には、非傾斜像を、傾斜像よりも大きいデフォーカス(defocus)条件で撮影する。これにより、非傾斜像において高いコントラストを得ることができる。
ただし、3次元像の構築に用いられる傾斜像は、比較的小さい(例えば非傾斜像よりも小さい)デフォーカス(defocus)条件で撮影する。これは、大きなデフォーカス(defocus)条件では、コントラスト伝達関数の振動が高分解能側で激しくなるためである。
第2像取得部114は、このようにして撮影された非傾斜像の像情報を取り込み、非傾斜像を取得する。図8は、非傾斜像の膜タンパク質4を模式的に示す図である。図8に示すように、非傾斜像は、膜タンパク質4を脂質膜3の膜面3aから垂直な方向から撮影した像となる。
このように、画像処理装置100では、同じ視野で撮影された60°傾斜像と非傾斜像のペアを取得する。なお、画像処理装置100は、60°傾斜像と非傾斜像のペアを1つ取得してもよいし、60°傾斜像と非傾斜像のペアを複数取得してもよい。なお、60°傾斜像および非傾斜像の撮影は、オペレーターによって手動で行われてもよいし、電子顕微鏡本体10を制御する制御部(図示せず)によって自動で行われてもよい。
次に、向き特定部116が、非傾斜像に基づいて、60°傾斜像の膜タンパク質4の向きを特定する(ステップS14)。
向き特定部116は、60°傾斜像の膜タンパク質4の各粒子の向きを、非傾斜像において対応する膜タンパク質4の粒子の向きから特定する。ここで、非傾斜像は、図8に示すように、膜タンパク質4を脂質膜3の膜面3aに垂直な方向から撮影した像である。そのため、非傾斜像から、膜タンパク質4の各粒子の向き、すなわち、膜タンパク質4の各粒子の、脂質膜3の膜面3aに垂直な軸に対する回転(回転角θ)を正確に特定することができる。
次に、3次元像構築部118が、特定された膜タンパク質4の向きの情報に基づいて、60°傾斜像から膜タンパク質4の3次元像を構築する。
具体的には、3次元像構築部118は、まず、60°傾斜像から膜タンパク質4の各粒子の像(60°粒子像)を取り出す。そして、向き特定部116で特定された膜タンパク質4の各粒子の向きの情報を加味して、取り出した60°粒子像を膜タンパク質4の各粒子の向きで分類する(クラス分けする)(ステップS16)。そして、分類された60°粒子像、すなわち、膜タンパク質4の粒子の向きが同じまたは向きが近い60°粒子像を、平均化する(ステップS17)。これにより、膜タンパク質4の粒子の向きごとに(投影方向ごとに)、平均化された60°粒子像が得られる。3次元像構築部118は、平均化された60°粒子像を用いて、単粒子解析法と同様に逆投影法などによって、膜タンパク質4の3次元像を構築することができる(ステップS18)。次に、3次元像構築部118は、構築した3次元像に対して精密化を行う必要があるか否かを判定する(ステップS19)。精密化が必要と判定した場合(ステップS19でYesの場合)、ステップS14に戻り、ステップS14〜ステップS19の処理を行う。そして、精密化が必要ないと判定した場合(ステップS19でNoの場合)、処理を終了する。
以上の工程により、膜タンパク質4の3次元像を得ることができる。
第1実施形態に係る3次元像構築方法および画像処理装置100は、例えば、以下の特徴を有する。
第1実施形態に係る3次元像構築方法では、試料2の傾斜像を取得する工程(ステップS10)と、試料2の非傾斜像を取得する工程(ステップS12)と、非傾斜像に基づいて、傾斜像の膜タンパク質4の向きを特定する工程(ステップS14)と、特定された膜タンパク質4の向きの情報に基づいて、傾斜像から膜タンパク質4の3次元像を構築する工程(ステップS18)と、を含む。このように、第1実施形態に係る3次元像構築方法では、非傾斜像に基づいて傾斜像の膜タンパク質4の向きを特定して、膜タンパク質4の3次元像を構築することができる。したがって、脂質膜3内に存在する膜タンパク質4の3次元像を構築することができる。なお、必要に応じて、3次元像を構築した結果をステップS14に繰り返しフィードバックさせて、膜タンパク質の向きの特定をさらに精密化することができる。これにより、解像できる分解能と解析精度を向上させることができる。
また、非傾斜像は、膜タンパク質4を脂質膜3の膜面3aに垂直な方向から撮影した像であるため、例えば傾斜像と比べて、膜タンパク質4の各粒子の向きを正確に特定することができる。したがって、第1実施形態に係る3次元像構築方法では、高分解能の3次元像を得ることができる。
このように、第1実施形態に係る3次元像構築方法では、脂質膜3内に存在する膜タンパク質4の3次元像を得ることができるため、例えば界面活性剤で可溶化しようとすると変性してしまう膜タンパク質の3次元像を得ることができる。すなわち、第1実施形態に係る3次元像構築方法では、膜タンパク質4を可溶化して精製することなく、3次元像を構築することができる。
図9は、精製されていない膜タンパク質4を含む試料2の、60°傾斜像を撮影する際の状態を模式的に示す斜視図である。図10は、精製されていない膜タンパク質を含む試料2の、非傾斜像を撮影する際の状態を模式的に示す斜視図である。図9および図10に示すように、標的以外の多くの膜タンパク質4bがある状態でも、非傾斜像から標的膜タンパク質4aを選択して3次元像を構築することができる。非傾斜像では、多様な膜タンパク質が存在する場合でも、傾斜像と比べて、標的膜タンパク質4aを選択しやすいため、標的膜タンパク質4aの3次元像の構築が容易である。
第1実施形態に係る3次元像構築方法では、膜タンパク質4の3次元像を構築する工程(ステップS18)では、傾斜像から複数の膜タンパク質4の粒子像を取り出し、取り出した粒子像を膜タンパク質4の向きで分類し、分類された粒子像を平均化して、膜タンパク質4の3次元像を構築する。このように、第1実施形態に係る3次元像構築方法では、分類された粒子像を平均化して3次元像を構築するため、3次元像を構築するための粒子像のSN比を向上させることができ、高分解能の3次元像を構築することができる。
ここで、非傾斜像は、3次元構築には用いられないため、傾斜像に比べて試料損傷が許容されるが、膜タンパク質4の向きを特定するために高いコントラストであることが望ましい。また、傾斜像は、3次元構築に用いられるため、試料損傷が少ないことが望ましい。第1実施形態に係る3次元像構築方法において、非傾斜像を撮影するときの試料2に対する電子線EBのドーズ量は、傾斜像を撮影するときの試料2に対する電子線EBのドーズ量よりも多くすれば、高いコントラストと高いSN比の非傾斜像を得ることができ、かつ試料損傷の少ない傾斜像を得ることができる。
また、第1実施形態に係る3次元像構築方法では、傾斜像を撮影した後に、非傾斜像を撮影するため、非傾斜像を撮影した後に傾斜像を撮影する場合と比べて、試料損傷の少ない傾斜像を得ることができる。
画像処理装置100では、向き特定部116が脂質膜3内に存在する膜タンパク質4を含む試料2の非傾斜像に基づいて、傾斜像の膜タンパク質4の向きを特定し、3次元像構築部118が向き特定部116で特定された膜タンパク質4の向きの情報に基づいて、試料2の傾斜像から膜タンパク質4の3次元像を構築する。このように画像処理装置100では、非傾斜像に基づいて傾斜像の膜タンパク質4の向きを特定して、膜タンパク質4の3次元像を構築することができる。したがって、脂質膜3内に存在する膜タンパク質4の3次元像を構築することができる。
画像処理装置100では、3次元像構築部118は、傾斜像の複数の膜タンパク質4の粒子像を取り出し、取り出した粒子像を膜タンパク質4の向きで分類し、分類された粒子像を平均化して、膜タンパク質4の3次元像を構築する。そのため、画像処理装置100では、高分解能の3次元像を構築することができる。
電子顕微鏡1000では、画像処理装置100を含むため、脂質膜3内に存在する膜タンパク質4の3次元像を構築することができる。
2. 第2実施形態
2.1. 画像処理装置および電子顕微鏡
次に、第2実施形態に係る画像処理装置を含む電子顕微鏡について図面を参照しながら説明する。図11は、第2実施形態に係る画像処理装置200を含む電子顕微鏡2000の構成を模式的に示す図である。以下、第2実施形態に係る画像処理装置および電子顕微鏡において、第1実施形態に係る画像処理装置100および電子顕微鏡本体10の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
画像処理装置200では、図11に示すように、処理部110は、第3像取得部210を含んで構成されている。
第3像取得部210は、撮像部18から出力された像情報を取り込むことで、試料2に脂質膜3の膜面3aの垂線に対して、第1像取得部112が取得した傾斜像(以下、「第1傾斜像」ともいう)の撮影のときとは異なる角度で傾いた方向から電子線EBを入射して撮影された傾斜像(第3透過電子顕微鏡像、以下「第2傾斜像」ともいう)を取得する。
例えば、第1像取得部112は、脂質膜3の膜面3aの垂線に対して60°傾いた方向から電子線EBを入射して撮影された60°傾斜像を取得し、第3像取得部210は、脂質膜3の膜面3aの垂線に対して20°傾いた方向から電子線EBを入射して撮影された20°傾斜像を取得する。
第3像取得部210が取得する第2傾斜像は、第1傾斜像と異なる視野である。このとき、第2像取得部114は、第1傾斜像と同じ視野の非傾斜像と、第2傾斜像と同じ視野の非傾斜像と、を取得する。なお、第3像取得部210が取得する第2傾斜像は、第1傾斜像と同じ視野であってもよい。また、第1像取得部112が取得する第1傾斜像を撮影するときの電子線EBの傾き、および第3像取得部210が取得する第2傾斜像を撮影するときの電子線EBの傾きは、60°、20°に限定されない。
向き特定部116は、非傾斜像に基づいて、第1傾斜像の膜タンパク質4の向きおよび第2傾斜像の膜タンパク質4の向きを特定する。向き特定部116は、第2傾斜像の膜タンパク質4の各粒子の向きを、第2傾斜像と同じ視野の非傾斜像において対応する膜タンパク質4の粒子の向きから特定する。
3次元像構築部118は、特定された膜タンパク質4の向きの情報に基づいて、第1傾斜像および第2傾斜像から膜タンパク質4の3次元像を構築する。
3次元像構築部118は、まず、第1傾斜像から膜タンパク質4の各粒子の像(粒子像)を取り出す。そして、向き特定部116で特定された膜タンパク質4の各粒子の向きの情報を加味して、取り出した粒子像を膜タンパク質4の向きで分類する。そして、分類された粒子像、すなわち、膜タンパク質4の向きが同じまたは近い粒子像を、平均化する。
次に、3次元像構築部118は、第2傾斜像から膜タンパク質4の各粒子の像(粒子像)を取り出す。そして、向き特定部116で特定された膜タンパク質4の各粒子の向きの情報を加味して、取り出した粒子像を膜タンパク質4の向きで分類する。そして、分類された粒子像、すなわち、膜タンパク質4の向きが同じまたは近い粒子像を、平均化する。
これにより、膜タンパク質4の向きごとに(投影方向ごとに)、平均化された粒子像が得られる。3次元像構築部118は、平均化された粒子像を用いて、単粒子解析法と同様に逆投影法によって、膜タンパク質4の3次元像を構築する。
2.2. 3次元像構築方法
次に、第2実施形態に係る画像処理装置200を含む電子顕微鏡2000を用いた、膜タンパク質4の3次元像を構築する方法について、図面を参照しながら説明する。図12は、第2実施形態に係る3次元像構築方法の一例を示すフローチャートである。図12に示すフローチャートにおいて、図5に示すフローチャートの同様のステップについては、同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
まず、最適視野が選択される(ステップS1)。この最適視野の選択は、上述した第1実施形態におけるステップS1の処理と同様に行われる。そして、その選択した試料位置の60°傾斜像が撮影できるように、試料を60°傾斜させる。次に、第1像取得部112が、試料2に、脂質膜3の膜面3aの垂線に対して傾いた方向から電子線EBを入射して撮影された、試料2の第1傾斜像(例えば60°傾斜像)を取得する(ステップS10)。
次に、第2像取得部114が、試料2の60°傾斜像を撮影した領域に、脂質膜3の膜面3aに対して垂直に電子線EBを入射して撮影された、試料2の非傾斜像を取得する(ステップS12)。
次に、観察視野を移動してステップS1の処理と同様にして最適視野の選択を行う(ステップS20)。試料ステージ14によって試料2を移動させて、観察視野を移動(変更)する。これにより、次のステップS22で試料2の60°傾斜像を撮影した領域とは異なる領域を撮影することができる。
次に、第3像取得部210が、試料2の60°傾斜像を撮影した領域とは異なる領域に、脂質膜3の膜面3aの垂線に対して20°傾いた方向から電子線EBを入射して撮影された、試料2の第2傾斜像(例えば20°傾斜像)を取得する(ステップS22)。
20°傾斜像は、試料ステージ14によって試料ホルダー15に保持された試料2を20°傾斜させた状態で撮影される。これにより、試料2に、脂質膜3の膜面3aに対して20°傾いた方向から電子線EBを入射することができ、20°傾斜像が得られる。
第3像取得部210は、このようにして撮影された20°傾斜像の情報を取り込み、20°傾斜像を取得する。
次に、第2像取得部114が、20°傾斜像を撮影した領域に、脂質膜3の膜面3aに対して垂直に電子線EBを入射して撮影された、試料2の非傾斜像を取得する(ステップS24)。
なお、60°傾斜像と20°傾斜像とは同じ視野であってもよい。
次に、向き特定部116が、非傾斜像に基づいて、60°傾斜像の膜タンパク質4の向きを特定する(ステップS14)。
次に、向き特定部116が、非傾斜像に基づいて、20°傾斜像の膜タンパク質4の向きを特定する(ステップS26)。ステップS26の処理は、ステップS14の処理と同様に行われる。
次に、3次元像構築部118は、まず、取得した60°傾斜像から膜タンパク質4の各粒子の像(60°粒子像)を取り出す。そして、向き特定部116で特定された膜タンパク質4の各粒子の向きの情報を加味して、取り出した60°粒子像を膜タンパク質4の各粒子の向きで分類する(クラス分けする)(ステップS28)。そして、分類された60°粒子像、すなわち、膜タンパク質4の粒子の向きが同じまたは向きが近い60°粒子像を、平均化する(ステップS30)。3次元像構築部118は、同様にして、取得した20°傾斜像(第2傾斜像)に対してクラス分け(ステップS32)と平均化(ステップS34)を行う。次に、3次元像構築部118は、膜タンパク質4の粒子の向きごとに平均化された60°粒子像と20°粒子像を用いて、膜タンパク質4の3次元像を構築する(ステップS18)。次に、3次元像構築部118は、構築した3次元像に対して精密化を行う必要があるか否かを判定する(ステップS19)。精密化が必要と判定した場合(ステップS19でYesの場合)、ステップS14に戻り、ステップS14〜ステップS19の処理を行う。そして、精密化が必要ないと判定した場合(ステップS19でNoの場合)、処理を終了する。なお、3次元像構築部118は、取得した60°傾斜像と20°傾斜像とを比較することにより、わずかに構造が変化した膜タンパク質4を含む場合でも、正確に傾斜像のクラス分けを行うことができる。
以上の工程により、膜タンパク質4の3次元像を得ることができる。
第2実施形態に係る3次元像構築方法および画像処理装置200は、第1実施形態に係る3次元構築方法および画像処理装置100と同様の効果に加えて以下の効果を有する。
第2実施形態に係る3次元像構築方法は、試料2に、脂質膜3の膜面3aの垂線に対して第1傾斜像の撮影のときとは異なる角度で傾いた方向から電子線EBを入射して撮影された、試料2の第2傾斜像を取得する工程(ステップS22)と、非傾斜像に基づいて、第2傾斜像の膜タンパク質4の向きを特定する工程(ステップS24)と、を含み、膜タンパク質4の3次元像を構築する工程(ステップS18)では、特定された膜タンパク質4の向きの情報に基づいて、第1傾斜像および第2傾斜像から膜タンパク質4の3次元像を構築する。そのため、第2実施形態に係る3次元像構築方法では、傾斜角度(電子線EBの入射角度)の異なる複数の傾斜像を用いて、3次元像を構築することができるため、より高精度で、高分解能の3次元像を構築することができる。
画像処理装置200では、試料2の第2傾斜像を取得する第3像取得部210を含み、向き特定部116は、非傾斜像に基づいて、第2傾斜像の膜タンパク質4の向きを特定し、3次元像構築部118は、特定された膜タンパク質4の向きの情報に基づいて、第1傾斜像および第2傾斜像から膜タンパク質4の3次元像を構築する。そのため、画像処理装置200では、より高分解能の3次元像を構築することができる。
なお、第2実施形態では、60°傾斜像、20°傾斜像から膜タンパク質4の3次元像を構築したが、その他の角度の傾斜像も含めて3次元像を構築してもよい。例えば、60°傾斜像、45°傾斜像、20°傾斜像、0°傾斜像(非傾斜像)から3次元像を構築してもよい。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
2…試料、3…脂質膜、4…膜タンパク質、5…カーボン膜、10…電子顕微鏡本体、11…電子線源、12…集束レンズ、13…対物レンズ、14…試料ステージ、15…試料ホルダー、16…中間レンズ、17…投影レンズ、18…撮像部、20…除振器、22…架台、100…画像処理装置、110…処理部、112…第1像取得部、114…第2像取得部、116…向き特定部、118…3次元像構築部、120…操作部、122…表示部、124…記憶部、126…情報記憶媒体、200…画像処理装置、210…第3像取得部、1000…電子顕微鏡、2000…電子顕微鏡

Claims (6)

  1. 膜タンパク質の3次元像を構築する3次元像構築方法であって、
    脂質膜内に存在する前記膜タンパク質を含む試料に、前記脂質膜の膜面の垂線に対して傾いた方向から電子線を入射して撮影された、前記試料の第1透過電子顕微鏡像を取得する工程と、
    前記試料に、前記脂質膜の膜面に対して垂直に前記電子線を入射して撮影された、前記試料の第2透過電子顕微鏡像を取得する工程と、
    前記第1透過電子顕微鏡像の前記膜タンパク質の向きを、前記第2透過電子顕微鏡像において対応する前記膜タンパク質の前記脂質膜に垂直な軸に対する回転角から特定する工程と、
    前記第1透過電子顕微鏡像から前記膜タンパク質の粒子像を取り出し、取り出した前記粒子像を、前記膜タンパク質の向きを特定する工程で特定された前記膜タンパク質の向きで分類し、分類された前記粒子像を平均化して、前記膜タンパク質の3次元像を構築する工程と、
    を含み、
    前記第1透過電子顕微鏡像の撮影の後に、前記第2透過電子顕微鏡像の撮影が行われ、
    前記第2透過電子顕微鏡像を撮影するときのデフォーカス量は、前記第1透過電子顕微鏡像を撮影するときのデフォーカス量よりも大きい、3次元像構築方法。
  2. 請求項において、
    前記試料に、前記脂質膜の膜面の垂線に対して前記第1透過電子顕微鏡像の撮影のときとは異なる角度で傾いた方向から前記電子線を入射して撮影された、前記試料の第3透過電子顕微鏡像を取得する工程と、
    前記第2透過電子顕微鏡像に基づいて、前記第3透過電子顕微鏡像の前記膜タンパク質の向きを特定する工程と、
    を含み、
    前記膜タンパク質の3次元像を構築する工程では、特定された前記膜タンパク質の向きの情報に基づいて、前記第1透過電子顕微鏡像および前記第3透過電子顕微鏡像から前記膜タンパク質の3次元像を構築する、3次元像構築方法。
  3. 請求項1または2のいずれか1項において、
    前記第2透過電子顕微鏡像を撮影するときの前記試料に対する前記電子線のドーズ量は、前記第1透過電子顕微鏡像を撮影するときの前記試料に対する前記電子線のドーズ量よりも多い、3次元像構築方法。
  4. 膜タンパク質の3次元像を構築する画像処理装置であって、
    脂質膜内に存在する前記膜タンパク質を含む試料に、前記脂質膜の膜面の垂線に対して傾いた方向から電子線を入射して撮影された、前記試料の第1透過電子顕微鏡像を取得する第1像取得部と、
    前記試料に、前記脂質膜の膜面に対して垂直に前記電子線を入射して撮影された、前記試料の第2透過電子顕微鏡像を取得する第2像取得部と、
    前記第1透過電子顕微鏡像の前記膜タンパク質の向きを、前記第2透過電子顕微鏡像において対応する前記膜タンパク質の前記脂質膜に垂直な軸に対する回転角から特定する向き特定部と、
    前記第1透過電子顕微鏡像から前記膜タンパク質の粒子像を取り出し、取り出した前記粒子像を、前記膜タンパク質の向きを特定する工程で特定された前記膜タンパク質の向きで分類し、分類された前記粒子像を平均化して、前記膜タンパク質の3次元像を構築する3次元像構築部と、
    を含み、
    前記第2透過電子顕微鏡像は、前記第1透過電子顕微鏡像の撮影の後に撮影されたものであり、
    前記第2透過電子顕微鏡像は、前記第1透過電子顕微鏡像を撮影するときのデフォーカス量よりも大きいデフォーカス量で撮影されたものである、画像処理装置。
  5. 請求項において、
    前記試料に、前記脂質膜の膜面の垂線に対して前記第1透過電子顕微鏡像の撮影のときとは異なる角度で傾いた方向から前記電子線を入射して撮影された、前記試料の第3透過電子顕微鏡像を取得する第3像取得部を含み、
    前記向き特定部は、前記第2透過電子顕微鏡像に基づいて、前記第3透過電子顕微鏡像の前記膜タンパク質の向きを特定し、
    前記3次元像構築部は、特定された前記膜タンパク質の向きの情報に基づいて、前記第1透過電子顕微鏡像および前記第3透過電子顕微鏡像から前記膜タンパク質の3次元像を構築する、画像処理装置。
  6. 請求項4または5に記載の画像処理装置を含む、電子顕微鏡。
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